液体吐出装置
【課題】一方の吸収体から廃液が染み出たことを1つのセンサで検出する。
【解決手段】廃液箱ユニット2は、インクを吸収する第1吸収体8が配置される第1室31と、処理液を吸収する第2吸収体80が配置される第2室32と、第1室31と第1仕切壁90を介して隣接し、かつ、第2室32と第2仕切壁92を介して隣接する第3室9とを有する廃液箱3と、廃液箱3の外側にて前記第3室9に対向し、前記第3室9内の処理液又はインクの存在を検知する光センサ75を備える。第1仕切壁90は上端部が、第1吸収体8のインクの吸収限界に対応した高さ位置にあり、第2仕切壁91は上端部が、第2吸収体80の処理液の吸収限界に対応した高さ位置にある。第3室9には、前記第1吸収体8又は第2吸収体80の少なくとも一方が吸収限界に達するまで廃液を吸収した後に該吸収体から染み出た廃液が、前記第1仕切壁90又は第2仕切壁91の上端部を乗り越えて流れ込む。
【解決手段】廃液箱ユニット2は、インクを吸収する第1吸収体8が配置される第1室31と、処理液を吸収する第2吸収体80が配置される第2室32と、第1室31と第1仕切壁90を介して隣接し、かつ、第2室32と第2仕切壁92を介して隣接する第3室9とを有する廃液箱3と、廃液箱3の外側にて前記第3室9に対向し、前記第3室9内の処理液又はインクの存在を検知する光センサ75を備える。第1仕切壁90は上端部が、第1吸収体8のインクの吸収限界に対応した高さ位置にあり、第2仕切壁91は上端部が、第2吸収体80の処理液の吸収限界に対応した高さ位置にある。第3室9には、前記第1吸収体8又は第2吸収体80の少なくとも一方が吸収限界に達するまで廃液を吸収した後に該吸収体から染み出た廃液が、前記第1仕切壁90又は第2仕切壁91の上端部を乗り越えて流れ込む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃液箱を有するインクジェット記録装置のような液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ノズル面に多数のノズル孔を形成したインクヘッドから、記録媒体にインクを吐出して印刷を行うインクジェット記録装置が知られている。かかる記録装置にあっては、インクを記録媒体に吐出する前又は後に、インクの成分を凝集又は析出させる処理液を、処理液ヘッドから記録媒体に吐出することも行われている。
インクヘッド又は処理液ヘッドが吐出不良になったときは、インクヘッドのノズル面及び処理液ヘッドのノズル面近傍に残存した処理液又はインクを個別に吸引する。吸引したインク及び処理液を収容する夫々の廃液箱を設けると記録装置が大型化するから、1つの廃液箱内に1つの吸収体を配置し、インク及び処理液をその吸収体に吸収させる。しかし、インク及び処理液は混合すると硬化するから、吸引したインク及び処理液を、一つの吸収体の異なる端部に導入する技術が提案されている (特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−118678号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
吸引したインク及び処理液の混合を抑制するために、1つの廃液箱を2つの部屋に分けて、各部屋に吸収体を配置し、吸引したインク及び処理液を各部屋に導入することにより各部屋の吸収体に吸収させることが考えられる。その場合、何れかの吸収体が一杯に廃液を吸収した後に、更に該吸収体に廃液が導入されると、該吸収体から廃液が染み出る。かかる染み出た廃液をセンサで検知して、使用者に吸収体が廃液で一杯である旨のアラームを発することが考えられる。その場合、各部屋にセンサを設けて、何れか一方の吸収体から廃液が染み出たことを検出するようにした場合、センサが2つ必要であり、コストアップとなる。
本発明の目的は、かかる検出を1つのセンサで可能とする液体吐出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は係る点に鑑みてなされたもので、第1廃液と前記第1廃液とは異なる第2廃液を生じる液体吐出装置は、前記第1廃液が導入され、前記第1廃液を吸収する第1吸収体が配置される第1室と、前記第2廃液が導入され、前記第2廃液を吸収する第2吸収体が配置される第2室と、前記第1室と第1仕切壁を介して隣接し、かつ、前記第2室と第2仕切壁を介して隣接する第3室とを有する廃液箱と、
前記廃液箱の外側にて前記第3室の側壁に対向するように設けられ、又は前記第3室の内部に設けられて、前記第3室内における前記第1廃液又は前記第2廃液の少なくとも一方の存在を検知可能な検知手段とを備え、
前記廃液箱は、
前記第1仕切壁における、前記第1吸収体の第1廃液の吸収限界高さ以下の高さ位置に、上端部または液体通過部が形成されており、
前記第2仕切壁における、前記第2吸収体の第2廃液の吸収限界高さ以下の高さ位置に、上端部または液体通過部が形成されており、
前記第3室には、前記第1吸収体又は第2吸収体の少なくとも一方が吸収限界に達するまで廃液を吸収した後に該吸収体から染み出た廃液が、前記第1仕切壁又は第2仕切壁の上端部を乗り越えて、または、前記液体通過部を通過して流れ込む。
【発明の効果】
【0006】
例えば、第1吸収体の吸収限界高さを超える量の第1廃液が第1室に導入されると、該第1廃液は第1吸収体から染み出て、第1仕切り壁の上端部または液体通過部を越えて第3室に流れ込む。第2吸収体の吸収限界高さを超える量の第2廃液が第2室に導入されると、該第2廃液は第2吸収体から染み出て、第2仕切り壁の上端部または液体通過部を越えて第3室に流れ込む。即ち、何れの廃液についても、対応する吸収体の吸収限界高さを越える量の廃液が導入されると、該廃液は吸収体から染み出て第3室に流れ込む。検知手段は何れの廃液であろうとも、第3室に流れ込む廃液を検知すればよいから、検知手段は1つで済み、コスト低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施形態におけるインクジェット記録装置の全体的な構成を示す概略図である。
【図2】(a)、(b)、(c)はプラテンと液体受け部材の移動動作を示す図である。
【図3】ヘッドの周辺部を拡大した図である。
【図4】廃液箱ユニットの分解斜視図である。
【図5】廃液箱の平面図である。
【図6】図5の廃液箱をB−B線を含む面にて破断し矢視した断面図である。
【図7】図5の廃液箱をC−C線を含む面にて破断し矢視した断面図である。
【図8】図6に示す廃液箱をD方向から見た斜視図である。
【図9】第1及び第2吸収体の正面図である。
【図10】(a)、(b)は、第3室内の廃液の流れを示す断面図である。
【図11】(a)、(b)は、光の反射状態を説明する平面図である。
【図12】第3室内のプリズムを示す平面図である。
【図13】第2実施形態の廃液箱の平面図である。
【図14】図13の廃液箱をF−F線を含む面にて破断し矢視した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態について、図面を用いて説明する。以下の記載では、上方及び下方は鉛直方向に沿う向きを指す。また、液体の具体例として従来から知られているインクと、従来から知られている処理液を例示する。
図1に示すように、インクジェット記録装置1は直方体状の筐体10を有し、該筐体10の天板上部には、排紙部11が設けられている。筐体10内には、上方から下方に向かって、夫々処理液及びブラックのインクを用紙Pに吐出するヘッド4、4a、用紙Pを水平に搬送した後に排紙部11に送る搬送ユニット5、用紙Pを供給する給紙ユニット6及び後記の廃棄すべき処理液及びインクを廃液として収容する廃液箱ユニット2が配置されている。筐体10の内側上部にて、ヘッド4、4aに干渉しない位置には、筐体10内の各機構及び電気回路の動作を司るコントローラ100が配置されている。廃液箱ユニット2は筐体10に設けられた開閉扉12に対向している。以下、廃液箱ユニット2に対し、開閉扉12が設けられた方向を前方とする。
【0009】
廃液箱ユニット2は、廃液が導入される廃液箱3と、該廃液箱3に被さる蓋体21と、筐体10の底に固定されて該廃液箱3が載置される支持台20を備えている。該廃液箱3は支持台20に着脱自在に取り付けられる。開閉扉12を開いた状態で、廃液箱3を筐体10から前方に取り出し、又は前方から筐体10に挿入することができる。
前記給紙ユニット6は、給紙トレイ60と給紙ローラ61を有している。該給紙ローラ61と前記搬送ユニット5の間には、3つのガイド62及び送りローラ63が配置されている。給紙ローラ61は給紙トレイ60内の最上位の用紙Pを取り出し、該ガイド62及び送りローラ63によって搬送ユニット5の上流側に搬送する。
【0010】
搬送ユニット5は、図1中の用紙Pを左から右に搬送する機構である。以下の記載では、印刷領域において用紙Pを搬送する方向を副走査方向、水平面内において該副走査方向と直交する方向を主走査方向と呼ぶ。
前記搬送ユニット5は、プラテン50と、該プラテン50の両側に配備された搬送ローラ51、51aを有する。搬送方向上流側の搬送ローラ51によって搬送力を付与された用紙Pはプラテン50の上面に支持されつつ搬送される。プラテン50を通過した用紙Pは、搬送方向下流側の搬送ローラ51aによって搬送力を付与されて、該搬送ローラ51aと排紙部11との間に位置するガイド52及び送りローラ53によって排紙部11に送られる。
【0011】
ヘッド4、4aは、主走査方向に延びた直方体状のラインヘッドであって、その下面はインクを吐出する多数のノズル孔が形成されたノズル面40、40aとして形成されている。該ヘッド4、4aの下端部周面には、環状の弾性部材41が昇降可能に取り付けられ、ノズル面40、40aの下方には液体受け部材7、7aが設けられている。用紙Pに印刷を行わないときには該弾性部材41が下降して液体受け部材7、7aの上面に当接する。
図2(a)、(b)、(c)に示すように、プラテン50は樹脂製の一対の扉部材55、55から構成される。両扉部材55、55は、ヘッド4、4aのノズル面40、40a.に平行で主走査方向に延びた枢軸56に一端部が嵌まっており、互いに逆方向に回転することができる。該プラテン50は両扉部材55、55が水平面内に位置してノズル面40に対向した対向位置(図2(a))と、両扉部材55、55が下方を向いてノズル面40、40a.とは対向しない非対向位置(図2(b))との間を回転移動する。扉部材55、55の対向位置にて、用紙Pが扉部材55、55の上面を通過し、この際にヘッド4からは処理液が、ヘッド4aからはインクが夫々吐出されて、用紙Pに印刷が施される。
【0012】
プラテン50の下方には、上面に前記液体受け部材7、7aを設けた昇降体70、70aが配置されている。用紙Pに印刷を施す際には昇降体70、70aは該印刷を妨げないように、用紙Pの搬送路より下方に位置し、該搬送路から退避している(図2(a))。図2(b)に示すように、扉部材55、55の非対向位置では、両扉部材55、55間に昇降体70、70aが通過可能な通路が形成される。図2(c)に示す昇降体70、70aの上昇完了状態では、液体受け部材7、7aがノズル面40、40aに接近する。
図3に示すように、前記の弾性部材41はホルダ42に支持される。該ホルダ42はモータMによって中間ギア43を介してヘッド4、4aに対して昇降駆動される。昇降体70、70aの上昇完了状態となると、弾性部材41及びホルダ42はモータMによって下降され、弾性部材41の下端部はノズル面40、40aよりも下側に位置して、液体受け部材7、7aに接する。
【0013】
長時間に亘って印刷を行わないときに、ノズル面40、40aが露出したままであると、該ノズル面40、40aに残存した処理液及びインクが乾燥して増粘固着する。この対策として、長時間に亘って印刷を行わないときは、弾性部材41の下端部を液体受け部材7、7aに当接させ、ノズル面40、40aと液体受け部材7、7a上面との間に、封止空間S1を形成する。これにより、ノズル面40、40aが露出することを防いでいる。
また、所定回数又は所定時間の印刷後は、前記コントローラ100はヘッド4、4aの液体吐出特性の維持・回復のためにメインテナンスを行う。このメインテナンスは処理液及びインクをノズル面40、40aのノズル孔から排出させる動作である。このメインテナンスの1つに図示しない吸引ポンプによって封止空間S1内に負圧を生じさせ、ノズル孔に残存した処理液及びインクを液体受け部材7、7a上面に排出させるパージ動作がある。液体受け部材7、7aは処理液及びインクをはじくガラス又はステンレス等の金属にて形成される。
液体受け部材7、7aには処理液及びインクが流れるダクト71、71aが設けられ、該処理液及びインクは該ダクト71、71aを通って廃液として廃液箱3に回収される。
【0014】
しかし、全ての処理液及びインクがダクト71、71aに流れ込む場合は少なく、多くの場合は処理液及びインクが液体受け部材7、7a上面に残存する。この液体受け部材7、7a上面に残存した処理液及びインクを図示しないワイプユニットにて掻き取り、前記廃液箱3に廃液として導入することも行われている。
かかる廃液箱3において、処理液とインクとが混合すると硬化してしまう。よって、導入された処理液及びインクは別個の吸収体に吸収する必要がある。
【0015】
(廃液箱ユニットの全体構成)
図4は、廃液箱ユニット2の分解斜視図であって、図1の廃液箱ユニット2とは前後を逆にして示している。廃液箱ユニット2の廃液箱3は、上面が開口した直方体状であって、長手方向を前後に向けている。該廃液箱3には、廃液であるインクを吸収する第1吸収体8及び廃液である処理液を吸収する第2吸収体80が挿入される。第1吸収体8は2枚の吸収体半体81、81を、第2吸収体80は2枚の吸収体半体81a、81aを、夫々廃液箱3の幅方向に並べて構成される。両吸収体8、80は長手方向を前後に向け、略直方形の主吸収部82と、該主吸収部82の前端部に位置して上向きに突出した角柱状の突部83を一体に設けている。前記の蓋体21は各吸収体8、80の主吸収部82の上面及び突部83に被さる。該突部83には蓋体21の角柱部22が被さる。該角柱部22の上面には開口23が形成されている。該開口23を設けていることにより、蓋体21が廃液箱3に被さった状態でも、開口23から空気が出入りでき、両吸収体8、80が吸収した廃液の水分を蒸発させることができる。蓋体21の下面と廃液箱3の間にはゴム製のシールリング24を配置することによって、蓋体21と廃液箱3の間から廃液が漏れることを防止している。
【0016】
廃液箱3は、幅方向の中央部にて、長手方向に延びた主仕切壁30によって、第1室31と第2室32に仕切られる。第1室31には第1吸収体8が、第2室32には第2吸収体80が夫々収容される。前記の如く、処理液とインクを混合すると硬化するから、主仕切壁30にて両吸収体8、80を当接させないようにしている。また、1つの廃液箱3で処理液とインクの廃液を収容することにより、廃液箱3をコンパクトにしている。
支持台20においては、受け皿25の後端部に基板26が立てて設けられており、該基板26に廃液の導入ノズル27、27aが設けられている。廃液は基本的に吸収体8、80に吸収されるが、万一、廃液が廃液箱3から漏れた場合には該受け皿25で受けられる。
導入ノズル27、27a は処理液とインクとの2種類の廃液に対応して2つ設けられている。一方の導入ノズル27から処理液の廃液が、他方の導入ノズル27aからインクの廃液が排出される。該導入ノズル27、27a は廃液箱3の後端部に嵌合して、廃液箱3の第1室31及び第2室32内に廃液を導入する。以下の記載では、第1室31に導入されるインクの廃液を第1廃液、第2室32に導入される処理液の廃液を第2廃液と呼ぶ。
導入ノズル27、27a の上側には、光センサ75が設けられ、該光センサ75は周知の如く、発光部77と受光部76を備える。光センサ75は前記コントローラ100に接続されて、検知信号をコントローラ100に送信する。廃液箱3は、発光部77からの光が通過することができる透光性の樹脂から形成されている。
【0017】
図5は、廃液箱3の平面図であり、図8は、廃液箱3の後端部の斜視図である。これらの図に示すように、廃液箱3の後端部内側には、第3室9が設けられている。該第3室9は第1室31との境界をなす第1仕切壁90と、第2室32との境界をなす第2仕切壁91とに囲まれて形成される。即ち、第3室9は第1仕切壁90を介して第1室31と隣接し、第2仕切壁91を介して第2室32と隣接する。
第3室9は、廃液箱3の幅方向中央部に位置しており、主仕切壁30に繋がる第3仕切壁92によって第1小室93と第2小室94に仕切られる。第3仕切壁92の上端は、第1仕切壁90、第2仕切壁91の上端よりも高い。
第1小室93が第1室31側に位置し、第2小室94が第2室32側に位置する。第3仕切壁92の後端部には、第1小室93と第2小室94との間での、液体の通過を可能とする切欠き95が形成されている。該切欠き95は、第1仕切壁90及び第2仕切壁91の上端部の高さ以下の高さまで切り欠かれている。
図6は、図5の第2小室94をB−B線を含む面にて破断した断面図である。各小室93、94は第1受け部96と、該第1受け部96よりも前方に位置し、且つ第1受け部96よりも一段低い第2受け部97とを備えている。前記光センサ75は第2小室94の第2受け部97の後側壁98に対向する。
また、第1小室93も、第1受け部96aと、該第1受け部96aよりも前方に位置し、且つ第1受け部96aよりも一段低い第2受け部97aを備えている。
【0018】
光センサ75の発光部77は、後側壁98に向けて光を出射する。該光の一部は後側壁98内を通って該後側壁98と第2受け部97内の空間の境目にて反射されて、受光部76に入射する。一般に透明な媒質同士の界面での光の反射率は、2つの媒質の屈折率の比で決定される。空気と液体とでは屈折率が相違するので、第2受け部97内の空間に空気のみが存在する場合と、液体が存在する場合とでは、発光部77から出射した光の反射率が異なる。従って、それまで空気しかなかった第2小室94の第2受け部97に処理液又はインクである液体が流入すると、発光部77から出射した光の反射率が変化する。この光の反射率の変化が、受光部76に入射する光量の変化として表れるので、光センサ75が出力する信号(検出信号)が変化する。これにより第2受け部97に液体、即ち第1廃液又は第2廃液が流入したことが判る。
廃液箱3の後端部であって、該第2受け部97の下側部分は、ノズル嵌合壁33を構成し、該ノズル嵌合壁33に形成された孔34に、前記導入ノズル27、27a が嵌合する。導入ノズル27、27a から廃液箱3に導入された廃液は、各吸収体8、80の下側を浸してから、各吸収体8、80の毛細管現象によって上昇する。
【0019】
図6及び図7に示すように、第1吸収体8の一方の吸収体半体81は、第1小室93の第1仕切壁90の上端部に位置し、第2吸収体80の一方の吸収体半体81aは、第2小室94の第2仕切壁91の上端部に位置する。
図9に示すように、各吸収体8、80には吸収限界高さKLと呼ばれる高さ位置、及びその上部に位置する含水領域85が定められている。各吸収体8、80は、処理液又はインクを含水領域の上端部までは吸収することができる。吸収限界高さKLとは、吸収体8、80の下方側から処理液又はインクを吸収させていくと、吸収された処理液又はインクの高さ位置は次第に上昇していくが、含水率100%に達するまでに処理液又はインクの到達し得る最大の高さ位置のことである。これは、各吸収体8、80が吸収することができる処理液又はインクの最大量に対応して定まる。含水領域85は吸収限界高さKLにまで達した処理液又はインクが毛細管現象によって到達できる領域であって、その含水率は数10%である。
【0020】
含水領域85よりも上側の前記突部83は、予備吸収部84として機能する。吸収体8、80の下端部を浸した処理液又はインクは、予備吸収部84までは上昇しない。予備吸収部84を設けた理由を以下に示す。前記の如く、開閉扉12が開いた状態で、廃液箱3は筐体10から取り外される。使用者が廃液箱3を取り外したときに、処理液又はインクが吸収体8、80の吸収限界に達するまで満ちていると、使用者が誤って廃液箱3を転倒させた場合に、転倒の勢いによって主吸収部82が処理液又はインクの廃液を保持しきれなくなり、主吸収部82から廃液が放出されることがある。もしも予備吸収部84が設けられていなければ、主吸収部82から放出された廃液が廃液箱3から零れてしまう。しかし、本実施形態では、主吸収部82から放出された廃液を予備吸収部84が吸収するので、廃液が廃液箱3から零れることはない。
【0021】
第1仕切壁90及び第2仕切壁91の上端は、対応する吸収体8、80の吸収限界高さKL以下の高さ位置にある。第1仕切壁90や第2仕切壁91の上端部の高さを超えて、第1廃液が第1室31に又は第2廃液が第2室32に導入された場合は、各廃液は以下の如く流れる。
例えば、第1仕切壁90の上端部高さを超える量の第1廃液が第1室31に導入されると、該第1廃液は第1吸収体8から染み出て、図10(a)に示すように、第1仕切壁90の上端部を越えて第1小室93の第1受け部96aに流れ込む。さらに該第1廃液は第1受け部96aから第2受け部97aに落ちる。
図10(b)に示すように、第1小室93における第1廃液の液位が、第3仕切壁92に形成された切欠き95に達すると、第1廃液は切欠き95を通って、第2小室94の第1受け部96に流れる。さらに、該第1受け部96に流れた第1廃液は第2小室94の第2受け部97に流れる。即ち、第1室31に導入された第1廃液が、図6に示すように、前記光センサ75に対向した第2室32側の第2受け部97に流れる。切欠き95が本発明における「液体通過部」を構成する。
第2受け部97に第1廃液が溜まりだすと、後側壁98と第2受け部97内の空間の境目における光の反射率が変化するので、光センサ75から出力される信号(検知信号)が変化する。この信号はコントローラ100に送信されるので、該コントローラ100は、第2室32側の第2受け部97に何れかの廃液が流入したことを知る。
【0022】
尚、第2仕切壁91の上端部高さを超える量の第2廃液が第2室32に導入されると、該第2廃液は第2吸収体80から染み出て、第2仕切壁91の上端部を越えて第2小室94の第1受け部96に流れ込む。さらに、該第2廃液は第1受け部96から第2小室94の第2受け部97に落ちる。第2受け部97に第2廃液が溜まりだすと、上記の如く、後側壁98と第2受け部97内の空間の境目における光の反射率が変化するので、光センサ75から出力される信号(検知信号)が変化する。これにより、第2室32側の第2受け部97に何れかの廃液が流入したことが判る。
即ち、何れの廃液についても、対応する吸収体の吸収限界高さKLを越える量の廃液が廃液箱3内に導入されると、該廃液は吸収体から染み出て第3室9の第2受け部97に流れ込む。光センサ75は何れの廃液であろうとも、第3室9の第2受け部97に流れ込む廃液を検知すればよいから、光センサ75は1つで済み、コスト低減を図ることができる。
【0023】
コントローラ100は、光センサ75からの信号によって、第2受け部97に何れかの廃液が流入したことを知ると、筐体10内に設けられた警報装置(図示せず)を作動させて、使用者に少なくとも何れかの吸収体が廃液によって吸収限界に達するまで満たされた状態であることの注意を喚起する。この警報装置は音のように聴覚で報知するものであっても、光のように視覚で知らせるものであってもよい。
使用者は開閉扉12を開いて廃液箱3を筐体10から取り出し、該廃液箱3を交換する。
【0024】
図11(a)に拡大して示すように、第2小室94の第2受け部97の後端壁98は、発光部77からの光の出射方向に対して垂直ではなく、傾いている。この理由を示す。発光部77からの光は、一部が該後側壁98と第2受け部97内の空間の境目にて反射されるが、残りの光は後側壁98の後面98aでも反射される。例えば図11(b)に示すように、該後端壁98が発光部77からの光の出射方向に対して垂直であると、後側壁98の後面98aにて反射されて受光部76に達する光が強すぎて、後側壁98と第2受け部97内の空間の境目にて反射される光の量の変化を正確に検知することができない。従って、該後端壁98を発光部77からの光の出射方向に対して垂直ではなく傾けて設け、後側壁98の後面98aにて反射されて受光部76に達する光を弱めている。
【0025】
また、図12に示すように、第2小室94の第2受け部97の後端壁98に、プリズム78を第2受け部97内に位置するように設けてもよい。プリズム78を設けていることにより、後端壁98と第2受け部97内の空間の境目部分において反射した光が確実に受光部76に入射される。即ち、プリズム78を設けていない場合に比して、後端壁98と第2受け部97内の空間の境目部分において反射した光のうち、受光部76に入射する光量が多くなる。
【0026】
(第2の実施形態)
図13の平面図に示すように、廃液箱3は、長手方向に延びた主仕切壁30によって、第1室31と第2室32に仕切られている。第1室31には第1吸収体8が、第2室32には第2吸収体80が夫々収容される。廃液箱3の後端部内側には、第3室9が設けられている。該第3室9は第1室31との境界をなす第1仕切壁90と、第2室32との境界をなす第2仕切壁91とに囲まれて形成される。第1仕切壁90には第1透孔900が、第2仕切壁91には第2透孔910が形成されている。第1透孔900の高さ位置は、第1吸収体8の吸収限界高さ以下の高さであり、第2透孔910の高さ位置は、第2吸収体80の吸収限界高さ以下の高さである。
廃液箱3は、前記と同様に透光性の樹脂から形成される。廃液箱3の外側には、発光部77と受光部76を備えた光センサ75が配備される。前記と同様に、光センサ75の発光部77は、第3室9の後側壁98に向けて光を発する。該光の一部は該後側壁98と第3室9内の空間の境目にて反射されて、受光部76に入射する。尚、前記の如く、後側壁98を発光部77からの光の出射方向に対して傾けてもよい。
【0027】
図14に示すように、第1透孔900の高さ位置を超える量の第1廃液が第1室31に導入されると、該第1廃液は第1吸収体8から染み出て、第1透孔900を通って第3室9に流れる。また、第2透孔910の高さ位置を超える量の第2廃液が第2室32に導入されると、該第2廃液は第2吸収体80から染み出て、第2透孔910を通って第3室9に流れる。
第3室9に廃液が溜まりだすと、後側壁98と第3室9内の空間の境目における光の反射率が変化するので、光センサ75からの信号(検知信号)によって、コントローラ100は第1室31又は第2室32の何れかに吸収限界高さを越える廃液が導入されたことを知る。該コントローラ100は、筐体10内に設けられた警報装置(図示せず)を作動させて、使用者に少なくとも何れかの廃液が廃液箱3内で一杯であることの注意を喚起する。
本実施形態にあっても、何れかの廃液について対応する吸収体の吸収限界高さを越える量の廃液が廃液箱3内に導入されると、該廃液は吸収体から染み出て第3室9に流れ込む。光センサ75は何れの廃液であろうとも、第3室9に流れ込む廃液を検知すればよいから、光センサ75は1つで済み、コスト低減を図ることができる。
【0028】
処理液は、例えば、濃度向上作用(用紙Pに吐出されたインクの濃度を向上させる作用)、インクの滲みや裏抜け(用紙Pの表面に着弾したインクが用紙Pの層を貫通して裏面に滲み出す現象)の防止作用、インクの発色性や速乾性を向上させる作用、インク着弾後の用紙Pの皺やカールを抑制する作用等を有する液体である。処理液としては、例えば、カチオン系高分子やマグネシウム塩等の多価金属塩を含有する液体等を用いてよい。
上記実施形態で用いられた処理液は、あらかじめ用紙Pに塗布しておくことで、後から付着したインクの用紙P内への浸透度を低下させるものである。即ち、所謂前処理液である。しかし、これに代えて、先に吐出されたインクの上に着弾することで、インクの用紙P上での凝固性を向上させる処理液、すなわち後処理液を用いてもよい。この場合、処理液用のヘッド4aは、副走査方向に沿ってインク用のヘッド4よりも下流側に配置される。
上記記載にあっては、光センサ75にて第3室9に流入した廃液の存在を検知するとした。しかし、これに代えて、一対の電極(図示せず)を第3室9内に設け、電極間の通電の有無で第3室9内に廃液が流入したことを検知してもよい。即ち、光センサ75又は一対の電極によって、本発明の「検知手段」を形成する。
また、第1室31に処理液の廃液を、第2室32にインクの廃液を導入してもよい。更に、光センサ75を第1小室93の第2受け部97aに対向させて設けてもよい。
また、廃液の種類はインクと処理液の2種類を例示したが、3種類以上の廃液が導入される廃液箱3についても、本発明の技術的思想は適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、少なくとも2種類の廃液を格納するインクジェット記録装置に用いると有用である。
【符号の説明】
【0030】
1 インクジェット記録装置
2 廃液箱ユニット
3 廃液箱
8 第1吸収体
9 第3室
31 第1室
32 第2室
80 第2吸収体
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃液箱を有するインクジェット記録装置のような液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ノズル面に多数のノズル孔を形成したインクヘッドから、記録媒体にインクを吐出して印刷を行うインクジェット記録装置が知られている。かかる記録装置にあっては、インクを記録媒体に吐出する前又は後に、インクの成分を凝集又は析出させる処理液を、処理液ヘッドから記録媒体に吐出することも行われている。
インクヘッド又は処理液ヘッドが吐出不良になったときは、インクヘッドのノズル面及び処理液ヘッドのノズル面近傍に残存した処理液又はインクを個別に吸引する。吸引したインク及び処理液を収容する夫々の廃液箱を設けると記録装置が大型化するから、1つの廃液箱内に1つの吸収体を配置し、インク及び処理液をその吸収体に吸収させる。しかし、インク及び処理液は混合すると硬化するから、吸引したインク及び処理液を、一つの吸収体の異なる端部に導入する技術が提案されている (特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−118678号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
吸引したインク及び処理液の混合を抑制するために、1つの廃液箱を2つの部屋に分けて、各部屋に吸収体を配置し、吸引したインク及び処理液を各部屋に導入することにより各部屋の吸収体に吸収させることが考えられる。その場合、何れかの吸収体が一杯に廃液を吸収した後に、更に該吸収体に廃液が導入されると、該吸収体から廃液が染み出る。かかる染み出た廃液をセンサで検知して、使用者に吸収体が廃液で一杯である旨のアラームを発することが考えられる。その場合、各部屋にセンサを設けて、何れか一方の吸収体から廃液が染み出たことを検出するようにした場合、センサが2つ必要であり、コストアップとなる。
本発明の目的は、かかる検出を1つのセンサで可能とする液体吐出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は係る点に鑑みてなされたもので、第1廃液と前記第1廃液とは異なる第2廃液を生じる液体吐出装置は、前記第1廃液が導入され、前記第1廃液を吸収する第1吸収体が配置される第1室と、前記第2廃液が導入され、前記第2廃液を吸収する第2吸収体が配置される第2室と、前記第1室と第1仕切壁を介して隣接し、かつ、前記第2室と第2仕切壁を介して隣接する第3室とを有する廃液箱と、
前記廃液箱の外側にて前記第3室の側壁に対向するように設けられ、又は前記第3室の内部に設けられて、前記第3室内における前記第1廃液又は前記第2廃液の少なくとも一方の存在を検知可能な検知手段とを備え、
前記廃液箱は、
前記第1仕切壁における、前記第1吸収体の第1廃液の吸収限界高さ以下の高さ位置に、上端部または液体通過部が形成されており、
前記第2仕切壁における、前記第2吸収体の第2廃液の吸収限界高さ以下の高さ位置に、上端部または液体通過部が形成されており、
前記第3室には、前記第1吸収体又は第2吸収体の少なくとも一方が吸収限界に達するまで廃液を吸収した後に該吸収体から染み出た廃液が、前記第1仕切壁又は第2仕切壁の上端部を乗り越えて、または、前記液体通過部を通過して流れ込む。
【発明の効果】
【0006】
例えば、第1吸収体の吸収限界高さを超える量の第1廃液が第1室に導入されると、該第1廃液は第1吸収体から染み出て、第1仕切り壁の上端部または液体通過部を越えて第3室に流れ込む。第2吸収体の吸収限界高さを超える量の第2廃液が第2室に導入されると、該第2廃液は第2吸収体から染み出て、第2仕切り壁の上端部または液体通過部を越えて第3室に流れ込む。即ち、何れの廃液についても、対応する吸収体の吸収限界高さを越える量の廃液が導入されると、該廃液は吸収体から染み出て第3室に流れ込む。検知手段は何れの廃液であろうとも、第3室に流れ込む廃液を検知すればよいから、検知手段は1つで済み、コスト低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施形態におけるインクジェット記録装置の全体的な構成を示す概略図である。
【図2】(a)、(b)、(c)はプラテンと液体受け部材の移動動作を示す図である。
【図3】ヘッドの周辺部を拡大した図である。
【図4】廃液箱ユニットの分解斜視図である。
【図5】廃液箱の平面図である。
【図6】図5の廃液箱をB−B線を含む面にて破断し矢視した断面図である。
【図7】図5の廃液箱をC−C線を含む面にて破断し矢視した断面図である。
【図8】図6に示す廃液箱をD方向から見た斜視図である。
【図9】第1及び第2吸収体の正面図である。
【図10】(a)、(b)は、第3室内の廃液の流れを示す断面図である。
【図11】(a)、(b)は、光の反射状態を説明する平面図である。
【図12】第3室内のプリズムを示す平面図である。
【図13】第2実施形態の廃液箱の平面図である。
【図14】図13の廃液箱をF−F線を含む面にて破断し矢視した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態について、図面を用いて説明する。以下の記載では、上方及び下方は鉛直方向に沿う向きを指す。また、液体の具体例として従来から知られているインクと、従来から知られている処理液を例示する。
図1に示すように、インクジェット記録装置1は直方体状の筐体10を有し、該筐体10の天板上部には、排紙部11が設けられている。筐体10内には、上方から下方に向かって、夫々処理液及びブラックのインクを用紙Pに吐出するヘッド4、4a、用紙Pを水平に搬送した後に排紙部11に送る搬送ユニット5、用紙Pを供給する給紙ユニット6及び後記の廃棄すべき処理液及びインクを廃液として収容する廃液箱ユニット2が配置されている。筐体10の内側上部にて、ヘッド4、4aに干渉しない位置には、筐体10内の各機構及び電気回路の動作を司るコントローラ100が配置されている。廃液箱ユニット2は筐体10に設けられた開閉扉12に対向している。以下、廃液箱ユニット2に対し、開閉扉12が設けられた方向を前方とする。
【0009】
廃液箱ユニット2は、廃液が導入される廃液箱3と、該廃液箱3に被さる蓋体21と、筐体10の底に固定されて該廃液箱3が載置される支持台20を備えている。該廃液箱3は支持台20に着脱自在に取り付けられる。開閉扉12を開いた状態で、廃液箱3を筐体10から前方に取り出し、又は前方から筐体10に挿入することができる。
前記給紙ユニット6は、給紙トレイ60と給紙ローラ61を有している。該給紙ローラ61と前記搬送ユニット5の間には、3つのガイド62及び送りローラ63が配置されている。給紙ローラ61は給紙トレイ60内の最上位の用紙Pを取り出し、該ガイド62及び送りローラ63によって搬送ユニット5の上流側に搬送する。
【0010】
搬送ユニット5は、図1中の用紙Pを左から右に搬送する機構である。以下の記載では、印刷領域において用紙Pを搬送する方向を副走査方向、水平面内において該副走査方向と直交する方向を主走査方向と呼ぶ。
前記搬送ユニット5は、プラテン50と、該プラテン50の両側に配備された搬送ローラ51、51aを有する。搬送方向上流側の搬送ローラ51によって搬送力を付与された用紙Pはプラテン50の上面に支持されつつ搬送される。プラテン50を通過した用紙Pは、搬送方向下流側の搬送ローラ51aによって搬送力を付与されて、該搬送ローラ51aと排紙部11との間に位置するガイド52及び送りローラ53によって排紙部11に送られる。
【0011】
ヘッド4、4aは、主走査方向に延びた直方体状のラインヘッドであって、その下面はインクを吐出する多数のノズル孔が形成されたノズル面40、40aとして形成されている。該ヘッド4、4aの下端部周面には、環状の弾性部材41が昇降可能に取り付けられ、ノズル面40、40aの下方には液体受け部材7、7aが設けられている。用紙Pに印刷を行わないときには該弾性部材41が下降して液体受け部材7、7aの上面に当接する。
図2(a)、(b)、(c)に示すように、プラテン50は樹脂製の一対の扉部材55、55から構成される。両扉部材55、55は、ヘッド4、4aのノズル面40、40a.に平行で主走査方向に延びた枢軸56に一端部が嵌まっており、互いに逆方向に回転することができる。該プラテン50は両扉部材55、55が水平面内に位置してノズル面40に対向した対向位置(図2(a))と、両扉部材55、55が下方を向いてノズル面40、40a.とは対向しない非対向位置(図2(b))との間を回転移動する。扉部材55、55の対向位置にて、用紙Pが扉部材55、55の上面を通過し、この際にヘッド4からは処理液が、ヘッド4aからはインクが夫々吐出されて、用紙Pに印刷が施される。
【0012】
プラテン50の下方には、上面に前記液体受け部材7、7aを設けた昇降体70、70aが配置されている。用紙Pに印刷を施す際には昇降体70、70aは該印刷を妨げないように、用紙Pの搬送路より下方に位置し、該搬送路から退避している(図2(a))。図2(b)に示すように、扉部材55、55の非対向位置では、両扉部材55、55間に昇降体70、70aが通過可能な通路が形成される。図2(c)に示す昇降体70、70aの上昇完了状態では、液体受け部材7、7aがノズル面40、40aに接近する。
図3に示すように、前記の弾性部材41はホルダ42に支持される。該ホルダ42はモータMによって中間ギア43を介してヘッド4、4aに対して昇降駆動される。昇降体70、70aの上昇完了状態となると、弾性部材41及びホルダ42はモータMによって下降され、弾性部材41の下端部はノズル面40、40aよりも下側に位置して、液体受け部材7、7aに接する。
【0013】
長時間に亘って印刷を行わないときに、ノズル面40、40aが露出したままであると、該ノズル面40、40aに残存した処理液及びインクが乾燥して増粘固着する。この対策として、長時間に亘って印刷を行わないときは、弾性部材41の下端部を液体受け部材7、7aに当接させ、ノズル面40、40aと液体受け部材7、7a上面との間に、封止空間S1を形成する。これにより、ノズル面40、40aが露出することを防いでいる。
また、所定回数又は所定時間の印刷後は、前記コントローラ100はヘッド4、4aの液体吐出特性の維持・回復のためにメインテナンスを行う。このメインテナンスは処理液及びインクをノズル面40、40aのノズル孔から排出させる動作である。このメインテナンスの1つに図示しない吸引ポンプによって封止空間S1内に負圧を生じさせ、ノズル孔に残存した処理液及びインクを液体受け部材7、7a上面に排出させるパージ動作がある。液体受け部材7、7aは処理液及びインクをはじくガラス又はステンレス等の金属にて形成される。
液体受け部材7、7aには処理液及びインクが流れるダクト71、71aが設けられ、該処理液及びインクは該ダクト71、71aを通って廃液として廃液箱3に回収される。
【0014】
しかし、全ての処理液及びインクがダクト71、71aに流れ込む場合は少なく、多くの場合は処理液及びインクが液体受け部材7、7a上面に残存する。この液体受け部材7、7a上面に残存した処理液及びインクを図示しないワイプユニットにて掻き取り、前記廃液箱3に廃液として導入することも行われている。
かかる廃液箱3において、処理液とインクとが混合すると硬化してしまう。よって、導入された処理液及びインクは別個の吸収体に吸収する必要がある。
【0015】
(廃液箱ユニットの全体構成)
図4は、廃液箱ユニット2の分解斜視図であって、図1の廃液箱ユニット2とは前後を逆にして示している。廃液箱ユニット2の廃液箱3は、上面が開口した直方体状であって、長手方向を前後に向けている。該廃液箱3には、廃液であるインクを吸収する第1吸収体8及び廃液である処理液を吸収する第2吸収体80が挿入される。第1吸収体8は2枚の吸収体半体81、81を、第2吸収体80は2枚の吸収体半体81a、81aを、夫々廃液箱3の幅方向に並べて構成される。両吸収体8、80は長手方向を前後に向け、略直方形の主吸収部82と、該主吸収部82の前端部に位置して上向きに突出した角柱状の突部83を一体に設けている。前記の蓋体21は各吸収体8、80の主吸収部82の上面及び突部83に被さる。該突部83には蓋体21の角柱部22が被さる。該角柱部22の上面には開口23が形成されている。該開口23を設けていることにより、蓋体21が廃液箱3に被さった状態でも、開口23から空気が出入りでき、両吸収体8、80が吸収した廃液の水分を蒸発させることができる。蓋体21の下面と廃液箱3の間にはゴム製のシールリング24を配置することによって、蓋体21と廃液箱3の間から廃液が漏れることを防止している。
【0016】
廃液箱3は、幅方向の中央部にて、長手方向に延びた主仕切壁30によって、第1室31と第2室32に仕切られる。第1室31には第1吸収体8が、第2室32には第2吸収体80が夫々収容される。前記の如く、処理液とインクを混合すると硬化するから、主仕切壁30にて両吸収体8、80を当接させないようにしている。また、1つの廃液箱3で処理液とインクの廃液を収容することにより、廃液箱3をコンパクトにしている。
支持台20においては、受け皿25の後端部に基板26が立てて設けられており、該基板26に廃液の導入ノズル27、27aが設けられている。廃液は基本的に吸収体8、80に吸収されるが、万一、廃液が廃液箱3から漏れた場合には該受け皿25で受けられる。
導入ノズル27、27a は処理液とインクとの2種類の廃液に対応して2つ設けられている。一方の導入ノズル27から処理液の廃液が、他方の導入ノズル27aからインクの廃液が排出される。該導入ノズル27、27a は廃液箱3の後端部に嵌合して、廃液箱3の第1室31及び第2室32内に廃液を導入する。以下の記載では、第1室31に導入されるインクの廃液を第1廃液、第2室32に導入される処理液の廃液を第2廃液と呼ぶ。
導入ノズル27、27a の上側には、光センサ75が設けられ、該光センサ75は周知の如く、発光部77と受光部76を備える。光センサ75は前記コントローラ100に接続されて、検知信号をコントローラ100に送信する。廃液箱3は、発光部77からの光が通過することができる透光性の樹脂から形成されている。
【0017】
図5は、廃液箱3の平面図であり、図8は、廃液箱3の後端部の斜視図である。これらの図に示すように、廃液箱3の後端部内側には、第3室9が設けられている。該第3室9は第1室31との境界をなす第1仕切壁90と、第2室32との境界をなす第2仕切壁91とに囲まれて形成される。即ち、第3室9は第1仕切壁90を介して第1室31と隣接し、第2仕切壁91を介して第2室32と隣接する。
第3室9は、廃液箱3の幅方向中央部に位置しており、主仕切壁30に繋がる第3仕切壁92によって第1小室93と第2小室94に仕切られる。第3仕切壁92の上端は、第1仕切壁90、第2仕切壁91の上端よりも高い。
第1小室93が第1室31側に位置し、第2小室94が第2室32側に位置する。第3仕切壁92の後端部には、第1小室93と第2小室94との間での、液体の通過を可能とする切欠き95が形成されている。該切欠き95は、第1仕切壁90及び第2仕切壁91の上端部の高さ以下の高さまで切り欠かれている。
図6は、図5の第2小室94をB−B線を含む面にて破断した断面図である。各小室93、94は第1受け部96と、該第1受け部96よりも前方に位置し、且つ第1受け部96よりも一段低い第2受け部97とを備えている。前記光センサ75は第2小室94の第2受け部97の後側壁98に対向する。
また、第1小室93も、第1受け部96aと、該第1受け部96aよりも前方に位置し、且つ第1受け部96aよりも一段低い第2受け部97aを備えている。
【0018】
光センサ75の発光部77は、後側壁98に向けて光を出射する。該光の一部は後側壁98内を通って該後側壁98と第2受け部97内の空間の境目にて反射されて、受光部76に入射する。一般に透明な媒質同士の界面での光の反射率は、2つの媒質の屈折率の比で決定される。空気と液体とでは屈折率が相違するので、第2受け部97内の空間に空気のみが存在する場合と、液体が存在する場合とでは、発光部77から出射した光の反射率が異なる。従って、それまで空気しかなかった第2小室94の第2受け部97に処理液又はインクである液体が流入すると、発光部77から出射した光の反射率が変化する。この光の反射率の変化が、受光部76に入射する光量の変化として表れるので、光センサ75が出力する信号(検出信号)が変化する。これにより第2受け部97に液体、即ち第1廃液又は第2廃液が流入したことが判る。
廃液箱3の後端部であって、該第2受け部97の下側部分は、ノズル嵌合壁33を構成し、該ノズル嵌合壁33に形成された孔34に、前記導入ノズル27、27a が嵌合する。導入ノズル27、27a から廃液箱3に導入された廃液は、各吸収体8、80の下側を浸してから、各吸収体8、80の毛細管現象によって上昇する。
【0019】
図6及び図7に示すように、第1吸収体8の一方の吸収体半体81は、第1小室93の第1仕切壁90の上端部に位置し、第2吸収体80の一方の吸収体半体81aは、第2小室94の第2仕切壁91の上端部に位置する。
図9に示すように、各吸収体8、80には吸収限界高さKLと呼ばれる高さ位置、及びその上部に位置する含水領域85が定められている。各吸収体8、80は、処理液又はインクを含水領域の上端部までは吸収することができる。吸収限界高さKLとは、吸収体8、80の下方側から処理液又はインクを吸収させていくと、吸収された処理液又はインクの高さ位置は次第に上昇していくが、含水率100%に達するまでに処理液又はインクの到達し得る最大の高さ位置のことである。これは、各吸収体8、80が吸収することができる処理液又はインクの最大量に対応して定まる。含水領域85は吸収限界高さKLにまで達した処理液又はインクが毛細管現象によって到達できる領域であって、その含水率は数10%である。
【0020】
含水領域85よりも上側の前記突部83は、予備吸収部84として機能する。吸収体8、80の下端部を浸した処理液又はインクは、予備吸収部84までは上昇しない。予備吸収部84を設けた理由を以下に示す。前記の如く、開閉扉12が開いた状態で、廃液箱3は筐体10から取り外される。使用者が廃液箱3を取り外したときに、処理液又はインクが吸収体8、80の吸収限界に達するまで満ちていると、使用者が誤って廃液箱3を転倒させた場合に、転倒の勢いによって主吸収部82が処理液又はインクの廃液を保持しきれなくなり、主吸収部82から廃液が放出されることがある。もしも予備吸収部84が設けられていなければ、主吸収部82から放出された廃液が廃液箱3から零れてしまう。しかし、本実施形態では、主吸収部82から放出された廃液を予備吸収部84が吸収するので、廃液が廃液箱3から零れることはない。
【0021】
第1仕切壁90及び第2仕切壁91の上端は、対応する吸収体8、80の吸収限界高さKL以下の高さ位置にある。第1仕切壁90や第2仕切壁91の上端部の高さを超えて、第1廃液が第1室31に又は第2廃液が第2室32に導入された場合は、各廃液は以下の如く流れる。
例えば、第1仕切壁90の上端部高さを超える量の第1廃液が第1室31に導入されると、該第1廃液は第1吸収体8から染み出て、図10(a)に示すように、第1仕切壁90の上端部を越えて第1小室93の第1受け部96aに流れ込む。さらに該第1廃液は第1受け部96aから第2受け部97aに落ちる。
図10(b)に示すように、第1小室93における第1廃液の液位が、第3仕切壁92に形成された切欠き95に達すると、第1廃液は切欠き95を通って、第2小室94の第1受け部96に流れる。さらに、該第1受け部96に流れた第1廃液は第2小室94の第2受け部97に流れる。即ち、第1室31に導入された第1廃液が、図6に示すように、前記光センサ75に対向した第2室32側の第2受け部97に流れる。切欠き95が本発明における「液体通過部」を構成する。
第2受け部97に第1廃液が溜まりだすと、後側壁98と第2受け部97内の空間の境目における光の反射率が変化するので、光センサ75から出力される信号(検知信号)が変化する。この信号はコントローラ100に送信されるので、該コントローラ100は、第2室32側の第2受け部97に何れかの廃液が流入したことを知る。
【0022】
尚、第2仕切壁91の上端部高さを超える量の第2廃液が第2室32に導入されると、該第2廃液は第2吸収体80から染み出て、第2仕切壁91の上端部を越えて第2小室94の第1受け部96に流れ込む。さらに、該第2廃液は第1受け部96から第2小室94の第2受け部97に落ちる。第2受け部97に第2廃液が溜まりだすと、上記の如く、後側壁98と第2受け部97内の空間の境目における光の反射率が変化するので、光センサ75から出力される信号(検知信号)が変化する。これにより、第2室32側の第2受け部97に何れかの廃液が流入したことが判る。
即ち、何れの廃液についても、対応する吸収体の吸収限界高さKLを越える量の廃液が廃液箱3内に導入されると、該廃液は吸収体から染み出て第3室9の第2受け部97に流れ込む。光センサ75は何れの廃液であろうとも、第3室9の第2受け部97に流れ込む廃液を検知すればよいから、光センサ75は1つで済み、コスト低減を図ることができる。
【0023】
コントローラ100は、光センサ75からの信号によって、第2受け部97に何れかの廃液が流入したことを知ると、筐体10内に設けられた警報装置(図示せず)を作動させて、使用者に少なくとも何れかの吸収体が廃液によって吸収限界に達するまで満たされた状態であることの注意を喚起する。この警報装置は音のように聴覚で報知するものであっても、光のように視覚で知らせるものであってもよい。
使用者は開閉扉12を開いて廃液箱3を筐体10から取り出し、該廃液箱3を交換する。
【0024】
図11(a)に拡大して示すように、第2小室94の第2受け部97の後端壁98は、発光部77からの光の出射方向に対して垂直ではなく、傾いている。この理由を示す。発光部77からの光は、一部が該後側壁98と第2受け部97内の空間の境目にて反射されるが、残りの光は後側壁98の後面98aでも反射される。例えば図11(b)に示すように、該後端壁98が発光部77からの光の出射方向に対して垂直であると、後側壁98の後面98aにて反射されて受光部76に達する光が強すぎて、後側壁98と第2受け部97内の空間の境目にて反射される光の量の変化を正確に検知することができない。従って、該後端壁98を発光部77からの光の出射方向に対して垂直ではなく傾けて設け、後側壁98の後面98aにて反射されて受光部76に達する光を弱めている。
【0025】
また、図12に示すように、第2小室94の第2受け部97の後端壁98に、プリズム78を第2受け部97内に位置するように設けてもよい。プリズム78を設けていることにより、後端壁98と第2受け部97内の空間の境目部分において反射した光が確実に受光部76に入射される。即ち、プリズム78を設けていない場合に比して、後端壁98と第2受け部97内の空間の境目部分において反射した光のうち、受光部76に入射する光量が多くなる。
【0026】
(第2の実施形態)
図13の平面図に示すように、廃液箱3は、長手方向に延びた主仕切壁30によって、第1室31と第2室32に仕切られている。第1室31には第1吸収体8が、第2室32には第2吸収体80が夫々収容される。廃液箱3の後端部内側には、第3室9が設けられている。該第3室9は第1室31との境界をなす第1仕切壁90と、第2室32との境界をなす第2仕切壁91とに囲まれて形成される。第1仕切壁90には第1透孔900が、第2仕切壁91には第2透孔910が形成されている。第1透孔900の高さ位置は、第1吸収体8の吸収限界高さ以下の高さであり、第2透孔910の高さ位置は、第2吸収体80の吸収限界高さ以下の高さである。
廃液箱3は、前記と同様に透光性の樹脂から形成される。廃液箱3の外側には、発光部77と受光部76を備えた光センサ75が配備される。前記と同様に、光センサ75の発光部77は、第3室9の後側壁98に向けて光を発する。該光の一部は該後側壁98と第3室9内の空間の境目にて反射されて、受光部76に入射する。尚、前記の如く、後側壁98を発光部77からの光の出射方向に対して傾けてもよい。
【0027】
図14に示すように、第1透孔900の高さ位置を超える量の第1廃液が第1室31に導入されると、該第1廃液は第1吸収体8から染み出て、第1透孔900を通って第3室9に流れる。また、第2透孔910の高さ位置を超える量の第2廃液が第2室32に導入されると、該第2廃液は第2吸収体80から染み出て、第2透孔910を通って第3室9に流れる。
第3室9に廃液が溜まりだすと、後側壁98と第3室9内の空間の境目における光の反射率が変化するので、光センサ75からの信号(検知信号)によって、コントローラ100は第1室31又は第2室32の何れかに吸収限界高さを越える廃液が導入されたことを知る。該コントローラ100は、筐体10内に設けられた警報装置(図示せず)を作動させて、使用者に少なくとも何れかの廃液が廃液箱3内で一杯であることの注意を喚起する。
本実施形態にあっても、何れかの廃液について対応する吸収体の吸収限界高さを越える量の廃液が廃液箱3内に導入されると、該廃液は吸収体から染み出て第3室9に流れ込む。光センサ75は何れの廃液であろうとも、第3室9に流れ込む廃液を検知すればよいから、光センサ75は1つで済み、コスト低減を図ることができる。
【0028】
処理液は、例えば、濃度向上作用(用紙Pに吐出されたインクの濃度を向上させる作用)、インクの滲みや裏抜け(用紙Pの表面に着弾したインクが用紙Pの層を貫通して裏面に滲み出す現象)の防止作用、インクの発色性や速乾性を向上させる作用、インク着弾後の用紙Pの皺やカールを抑制する作用等を有する液体である。処理液としては、例えば、カチオン系高分子やマグネシウム塩等の多価金属塩を含有する液体等を用いてよい。
上記実施形態で用いられた処理液は、あらかじめ用紙Pに塗布しておくことで、後から付着したインクの用紙P内への浸透度を低下させるものである。即ち、所謂前処理液である。しかし、これに代えて、先に吐出されたインクの上に着弾することで、インクの用紙P上での凝固性を向上させる処理液、すなわち後処理液を用いてもよい。この場合、処理液用のヘッド4aは、副走査方向に沿ってインク用のヘッド4よりも下流側に配置される。
上記記載にあっては、光センサ75にて第3室9に流入した廃液の存在を検知するとした。しかし、これに代えて、一対の電極(図示せず)を第3室9内に設け、電極間の通電の有無で第3室9内に廃液が流入したことを検知してもよい。即ち、光センサ75又は一対の電極によって、本発明の「検知手段」を形成する。
また、第1室31に処理液の廃液を、第2室32にインクの廃液を導入してもよい。更に、光センサ75を第1小室93の第2受け部97aに対向させて設けてもよい。
また、廃液の種類はインクと処理液の2種類を例示したが、3種類以上の廃液が導入される廃液箱3についても、本発明の技術的思想は適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、少なくとも2種類の廃液を格納するインクジェット記録装置に用いると有用である。
【符号の説明】
【0030】
1 インクジェット記録装置
2 廃液箱ユニット
3 廃液箱
8 第1吸収体
9 第3室
31 第1室
32 第2室
80 第2吸収体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1廃液と前記第1廃液とは異なる第2廃液を生じる液体吐出装置であって、
前記第1廃液が導入され、前記第1廃液を吸収する第1吸収体が配置される第1室と、前記第2廃液が導入され、前記第2廃液を吸収する第2吸収体が配置される第2室と、前記第1室と第1仕切壁を介して隣接し、かつ、前記第2室と第2仕切壁を介して隣接する第3室とを有する廃液箱と、
前記廃液箱の外側にて前記第3室の側壁に対向するように設けられ、又は前記第3室の内部に設けられて、前記第3室内における前記第1廃液又は前記第2廃液の少なくとも一方の存在を検知可能な検知手段とを備え、
前記廃液箱は、
前記第1仕切壁における、前記第1吸収体の第1廃液の吸収限界高さ以下の高さ位置に、上端部または液体通過部が形成されており、
前記第2仕切壁における、前記第2吸収体の第2廃液の吸収限界高さ以下の高さ位置に、上端部または液体通過部が形成されており、
前記第3室には、前記第1吸収体又は第2吸収体の少なくとも一方が吸収限界に達するまで廃液を吸収した後に該吸収体から染み出た廃液が、前記第1仕切壁又は第2仕切壁の上端部を乗り越えて、または、前記液体通過部を通過して流れ込む、液体吐出装置。
【請求項2】
前記検知手段は、前記廃液箱の外側にて前記第3室に対向するように設けられた、発光部と受光部とを有する光学式センサであり、
前記第3室の前記光学式センサに対向する側壁は透光性であり、
前記発光部は該側壁に向かって光を出射し、前記受光部は該側壁からの反射光を受光し、
前記光学式センサは、前記第3室内の廃液の有無による前記側壁の内面の光反射率の違いによって、前記第3室内の廃液の有無を検知する、請求項1記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記第3室の前記光学式センサに対向する側壁の外面は、前記発光部から出射された光を反射し、反射した光の少なくとも一部が前記受光部に入射されることを妨げる角度に傾いている、請求項2記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記第3室の前記光学式センサに対向する側壁の内面には、前記発光部から出射された光を反射するプリズムが設けられている、請求項2又は3記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記第3室は第3仕切壁によって第1小室と第2小室とに区切られており、
前記第1小室は前記第1仕切壁を介して前記第1室と隣接しており、前記第2小室は前記第2仕切壁を介して前記第2室と隣接しており、
前記検知手段は、前記第2小室に対応する位置に設けられており、
前記第3仕切壁には、前記第1仕切壁の上端部又は液体通過部の高さ以下の高さに、上端部または液体通過部が形成されており、
前記第1小室に流れ込んだ第1廃液は、前記第3仕切壁の上端部を乗り越えて、または、前記第3仕切壁の液体通過部を通過して、前記第2小室に流れ込む、請求項1乃至4の何れかに記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記第3室から延びる主仕切壁を介して前記第1室と前記第2室とが隣接している、請求項1乃至5の何れかに記載の液体吐出装置。
【請求項1】
第1廃液と前記第1廃液とは異なる第2廃液を生じる液体吐出装置であって、
前記第1廃液が導入され、前記第1廃液を吸収する第1吸収体が配置される第1室と、前記第2廃液が導入され、前記第2廃液を吸収する第2吸収体が配置される第2室と、前記第1室と第1仕切壁を介して隣接し、かつ、前記第2室と第2仕切壁を介して隣接する第3室とを有する廃液箱と、
前記廃液箱の外側にて前記第3室の側壁に対向するように設けられ、又は前記第3室の内部に設けられて、前記第3室内における前記第1廃液又は前記第2廃液の少なくとも一方の存在を検知可能な検知手段とを備え、
前記廃液箱は、
前記第1仕切壁における、前記第1吸収体の第1廃液の吸収限界高さ以下の高さ位置に、上端部または液体通過部が形成されており、
前記第2仕切壁における、前記第2吸収体の第2廃液の吸収限界高さ以下の高さ位置に、上端部または液体通過部が形成されており、
前記第3室には、前記第1吸収体又は第2吸収体の少なくとも一方が吸収限界に達するまで廃液を吸収した後に該吸収体から染み出た廃液が、前記第1仕切壁又は第2仕切壁の上端部を乗り越えて、または、前記液体通過部を通過して流れ込む、液体吐出装置。
【請求項2】
前記検知手段は、前記廃液箱の外側にて前記第3室に対向するように設けられた、発光部と受光部とを有する光学式センサであり、
前記第3室の前記光学式センサに対向する側壁は透光性であり、
前記発光部は該側壁に向かって光を出射し、前記受光部は該側壁からの反射光を受光し、
前記光学式センサは、前記第3室内の廃液の有無による前記側壁の内面の光反射率の違いによって、前記第3室内の廃液の有無を検知する、請求項1記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記第3室の前記光学式センサに対向する側壁の外面は、前記発光部から出射された光を反射し、反射した光の少なくとも一部が前記受光部に入射されることを妨げる角度に傾いている、請求項2記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記第3室の前記光学式センサに対向する側壁の内面には、前記発光部から出射された光を反射するプリズムが設けられている、請求項2又は3記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記第3室は第3仕切壁によって第1小室と第2小室とに区切られており、
前記第1小室は前記第1仕切壁を介して前記第1室と隣接しており、前記第2小室は前記第2仕切壁を介して前記第2室と隣接しており、
前記検知手段は、前記第2小室に対応する位置に設けられており、
前記第3仕切壁には、前記第1仕切壁の上端部又は液体通過部の高さ以下の高さに、上端部または液体通過部が形成されており、
前記第1小室に流れ込んだ第1廃液は、前記第3仕切壁の上端部を乗り越えて、または、前記第3仕切壁の液体通過部を通過して、前記第2小室に流れ込む、請求項1乃至4の何れかに記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記第3室から延びる主仕切壁を介して前記第1室と前記第2室とが隣接している、請求項1乃至5の何れかに記載の液体吐出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−111938(P2013−111938A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262509(P2011−262509)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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