説明

液体吐出装置

【課題】吸引力発生源において発生する振動が液体吐出に悪影響を及ぼしにくい。
【解決手段】サブキャリッジ100に保持されたプレコートヘッド10とインクジェットヘッド11との間に吸引機構130が設けられている。吸引機構130は、固定側ダクト131、可動側ダクト132及び吸引ユニット133(吸引力発生源)を有している。固定側ダクト131及び可動側ダクト132は互いに連結され、吸引ユニット133は、固定側ダクト131及び可動側ダクト132を介してミストを吸引する。固定側ダクト131及び吸引ユニット133は、メインキャリッジ120に保持されており、可動側ダクト132はサブキャリッジ100に保持されている。移動機構は、メインキャリッジ120に対してサブキャリッジ100を移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を吐出する液体吐出ヘッドを有する液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ヘッド間に吸引力発生源(ファン)を設け、この吸引力発生源が発生させた吸引力によってミストを吸い上げることで、ヘッドにミストが付着するのを防止するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−154196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、ヘッドの吐出面と記録媒体との距離を調整するなどの目的のため、ヘッドを保持するヘッド保持部を移動させる移動機構を設ける構成を検討した。その結果、以下の問題を知見した。例えば、吸引力発生源がヘッド保持部に取り付けられていると、移動機構にかかる負荷が過大になるおそれがある。また、吸引力発生源から発生する振動がヘッド保持部に直接伝わり、ヘッドが振動して、液体吐出に悪影響が及ぶおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、吸引力発生源において発生する振動が液体吐出に悪影響を及ぼしにくい液体吐出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の観点による液体吐出装置は、各々液体を吐出する吐出面を有する複数の液体吐出ヘッドと、前記吐出面に対向する位置において記録媒体を支持する媒体支持部材と、前記複数の液体吐出ヘッドのうちの隣接して配置された2つの液体吐出ヘッドの間に配置された第1開口が形成された吸引管と、前記吸引管に連結された吸引力発生源と、前記複数の液体吐出ヘッドを保持するヘッド保持部と、前記ヘッド保持部を少なくとも前記吸引力発生源に対して移動させる移動機構とを備えている。
【0007】
本発明の液体吐出装置によると、ヘッド保持部は、吸引力発生源に対して移動される。したがって、ヘッド保持部を移動させる移動機構に負荷が掛かりにくいと共に、吸引力発生源からの振動がヘッドに伝わりにくく、液体吐出に影響が及びにくい。
【0008】
また、本発明においては、前記吸引管は、第1管と、第2管とを有し、前記第1管は、前記吐出面に直交する直交方向において前記媒体支持部材側に形成された第1開口と、前記直交方向において前記媒体支持部材側とは反対側に形成された第2開口と、前記第1開口及び第2開口同士を連通させる連通空間とを有し、前記第2管は、前記吸引力発生源に連結されるとともに、第3開口が形成された先端部を有し、当該先端部が前記第2開口から前記連通空間内へと挿入されており、前記ヘッド保持部は、前記第1管を保持しており、前記移動機構は、前記第1管を前記第2管に対して移動させることが好ましい。
【0009】
ミストの発生源である吐出面と吸引口である第1開口との位置関係が変化すると、ミストを吸引する能力が変動するおそれがある。そのため、移動機構によりヘッドの位置が移動された場合であっても吐出面と第1開口との位置関係を変動させないためには、吸引管はヘッド保持部に支持されるのが好ましい。しかしながら、第1開口を有する吸引管がヘッド保持部に保持される構成とすると、吸引管に連結された吸引力発生源の振動がヘッドに伝わりやすいという弊害がある。本発明の構成によれば、吸引管は、第1管と第2管とを有している。そして、第1管に形成された第1開口から連通空間へとミストが引き込まれる。さらに、連通空間内に配置された第2管の先端部に形成された第3開口へとミストが引き込まれる。そして、第1管はヘッド保持部に保持されており、移動機構によって第2管に対して移動される。これにより、移動機構によりヘッドの位置が移動された場合であっても、吐出面と第1開口との位置関係が変化しないので、吸引機構によるミストを吸引する能力が変動しにくい。さらに、ヘッド及び第1管は、ヘッド保持部に保持されており、移動機構によって吸引力発生源及び第2管に対して移動される。これにより、吸引力発生源の振動はヘッドに伝わりにくい。そのため、画像品質の低下を抑制することができる。
【0010】
また、本発明においては、前記第1管が、前記2つの液体吐出ヘッド同士を結ぶ方向に関して前記連通空間を互いの間に挟む一対の側壁と、前記側壁における前記媒体支持部材側の一端同士を結び且つ前記第1開口が形成された底壁と、前記側壁の他端同士を結び且つ前記第2開口が形成された天井壁とを有し、前記一対の側壁と前記底壁と前記天井壁により前記連通空間が画定されていることが好ましい。これによると、一対の側壁、底壁及び天井壁により連通空間が画定される。そして、該連通空間にミストが引き込まれる。したがって、第1管外にミストが残留しにくくなり、ヘッド等の第1管外の構成にミストが付着するのを抑制できる。
【0011】
また、本発明においては、前記2つの液体吐出ヘッドの一方から他方に向かって記録媒体を搬送する搬送機構をさらに備え、前記直交方向に関して前記底壁の前記媒体支持部材側の面は、前記搬送機構によって搬送される記録媒体を案内する案内面であることが好ましい。これによると、第1管が記録媒体を案内する案内面を有している。第1管はヘッド保持部に支持されているため、移動機構がヘッド保持部を移動させても、吐出面と案内面との位置関係が変化しない。吐出面と案内面との位置関係が変化すると、吐出面から搬送された記録媒体を案内面が適切に案内できなくなるおそれがあるが、本発明によると上記の位置関係が変化しないので、ヘッド保持部が移動しても、案内面が適切に記録媒体を案内できる。よって、搬送精度が低下しにくい。
【0012】
また、本発明においては、前記第1管が、前記底壁に形成された第4開口と、前記連通空間において軸支される回転部材とを有しており、前記回転部材の一部が前記第4開口から前記ヘッド間部材外へと突出していることが好ましい。これによると、吸引力発生源の吸引力による記録媒体の浮きを回転部材により抑えることができる。しかしながら、回転部材の周囲の隙間にミストが入り込んでしまう虞がある。本発明においては、回転部材は前記連通空間において軸支されるとともに、回転部材の一部は、底壁に形成された第4開口から第1管の外部へと突出している。そのため、回転部材と第4開口との間の隙間から入り込むミストは、連通空間に到達する。連通空間に到達したミストは、第3開口から吸引される。よって、吸引手段は、回転部材の周囲の隙間に入り込むミストも確実に吸引することができる。
【0013】
また、本発明においては、前記第1管内に、前記第1開口から前記第2開口に向かって気流を導入する導入部が形成されており、前記先端部が、前記第2開口近傍に位置していることが好ましい。これによると、第2管の先端部が第2開口側に位置しているため、連通空間からのミストの吸引が導入部によって妨げられにくい。
【0014】
また、本発明においては、記録媒体の厚みに関する設定値を記憶する設定値記憶手段と、記録媒体の厚みを検出するセンサと、前記設定値記憶手段が記憶している設定値に基づいて、前記吐出面と前記媒体支持手段との離隔距離を調整するように前記移動機構を制御する移動機構制御手段と、前記センサにより検出された厚みと前記設定値記憶手段が記憶している設定値との差に基づいて吸引力を調整するように前記吸引力発生源を制御する吸引力調整手段とをさらに備えていることが好ましい。
【0015】
液体吐出ヘッドが記録媒体に液体を吐出して記録媒体に画像を記録する場合、吐出面と記録媒体との離隔距離が画像品質に影響を与える。そのため、記録媒体の厚みに応じて、吐出面と媒体支持部材との離隔距離を調整することによって、高い画像品質を保持することができる。しかしながら、実際に使用される記録媒体の厚みが設定値と異なる場合がある。仮に、設定値よりも記録媒体の厚みが小さい場合、吐出面と記録媒体の表面との実際の離隔距離は、設定値よりも大きくなる。吐出面と記録媒体の表面との離隔距離が大きいと、吐出面から吐出される液体の飛翔距離が長くなる。液体の飛翔距離が長いと、吐出された液体が空気から抵抗を受ける距離が増大するため、ミストの発生量が多くなる現象が見られる。つまり、実際に使用される記録媒体の厚みが設定値と異なる場合には、記録媒体の厚みが設定値と等しい場合と比べて、記録媒体の表面と吐出面との距離が異なる。そのため、ミストの発生量も異なる。本発明によると、検出値と設定値との差に基づいて吸引力を調整するので、発生量の違いに応じてミストを適切に吸引できる。
【0016】
また、本発明においては、前記移動機構が、弾性部材を介して前記ヘッド保持部に連結されていることが好ましい。これによると、移動機構からヘッド保持部へと吸引力発生源の振動が伝わるのを弾性部材により抑制できる。
【0017】
また、本発明においては、前記ヘッド保持部が、前記吐出面に直交する直交方向において前記媒体支持部材から離隔する側が開口した箱形状を有しており、前記移動機構が、前記吐出面に平行な方向における前記ヘッド保持部の側方において前記ヘッド保持部に連結されており、前記吸引管は、前記直交方向において前記媒体支持部材側とは反対側から前記2つの液体吐出ヘッド間に向かって前記先端部が延びていてもよい。
【0018】
また、本発明においては、前記移動機構が、前記ヘッド保持部に支持されたラックと、前記ラックに噛合するピニオンとを有していてもよい。
【発明の効果】
【0019】
ヘッド保持部は、吸引力発生源に対して移動される。したがって、ヘッド保持部を移動させる移動機構に負荷が掛かりにくいと共に、吸引力発生源からの振動がヘッドに伝わりにくく、液体吐出に影響が及びにくい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係るインクジェットプリンタの内部構成を概念的に示す正面図である。
【図2】図1のインクジェットプリンタ内においてインクジェットヘッドを保持するサブキャリッジ100の構成と、サブキャリッジ100を支持するメインキャリッジ120の構成とを概念的に示す分解斜視図である
【図3】サブキャリッジ100の構成を具体的に示す側面図である。
【図4】メインキャリッジ120及びサブキャリッジ100の構成を具体的に示す断面であって、図2のIV−IV線に沿った断面に対応する縦断面図である。正面図である。
【図5】用紙搬送経路の途中に設けられた厚みセンサの構成を概念的に示す正面図である。
【図6】図6(a)は、インクジェットヘッド周辺の構成を具体的に示す断面であって、図2のVI−VI線に沿った断面に対応する縦断面図である。図6(b)は、吸引機構周辺の構成を具体的に示す断面であって、主走査方向に沿った縦断面図である。
【図7】吸引機構の吸引管の一部を構成する中継部の構成を具体的に示す分解斜視図である。
【図8】中継部の下部を構成する下部材の構成を示す斜め下方からの視点の斜視図である。
【図9】制御部の構成を示す機能ブロック図である。
【図10】制御部による制御の一連の流れを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。図1〜図8を参照し、本発明に係る一実施形態であるインクジェットプリンタ1の構成について説明する。
【0022】
プリンタ1は、図1に示すように、直方体形状の筐体1aを有する。筐体1aの天板上部には、排紙部35が設けられている。筐体1a内には、後述の給紙ユニット1cから排紙部35に向けて、図1に示す太矢印に沿って、記録媒体である用紙Pが搬送される用紙搬送経路が形成されている。当該搬送経路に沿って、用紙Pが搬送される方向を搬送方向とする。筐体1a内には、プレコートヘッド10及びインクジェットヘッド11(複数の液体吐出ヘッド)、用紙Pを搬送する搬送ユニット30(搬送機構)、用紙Pを支持するプラテン40(媒体支持部材)、ヘッド10及び11に供給する液体を貯留するカートリッジ(図示せず)、ヘッド10及び11を保持するサブキャリッジ100(ヘッド保持部)、サブキャリッジ100を支持するメインキャリッジ120、及び、プリンタ1の各部の動作を制御する制御部1p等が収容されている。
【0023】
プレコートヘッド10は、図2に示すように、主走査方向に長尺なほぼ直方体形状を有するラインヘッドである。プレコートヘッド10には、図示しない液体タンクから画質向上液が供給される。プレコートヘッド10の下面である吐出面10aには、画質向上液を吐出する多数の吐出口が開口している。画質向上液としては、インクの色素を凝集させる無色透明の液体が使用される。この液体には、カチオン系高分子やマグネシウム塩等の多価金属塩を含有する液体等が適宜に選択される。この画質向上液があらかじめ付着した用紙Pの領域にインクが付着すると、多価金属塩等がインク中の染料又は顔料に作用する。画質向上液とインクとが接触すると、不溶性又は難溶性の金属複合体等が凝集又は析出する。なお、画質向上液は、インクの発色濃度を向上させる機能を有するものであってもよい。プレコードヘッド10は、制御部1pの制御により、吐出口から画質向上液を吐出する。
【0024】
インクジェットヘッド11は、図2に示すように、プレコートヘッド10と同様の形状を有するラインヘッドである。インクジェットヘッド11は、搬送方向に関してプレコートヘッド10の下流側に、プレコートヘッド10と並んで配置されている。また、インクジェットヘッド11は、後述の主走査方向に関して、プレコートヘッド10と同じ位置に配置されている。インクジェットヘッド11には、図示しないインクタンクからブラックのインクが供給される。インクジェットヘッド11の下面である吐出面11aには、ブラックインクを吐出する多数の吐出口が開口している。インクジェットヘッド11は、制御部1pの制御により、吐出口からインクを吐出する。以下、プレコートヘッド10及びインクジェットヘッド11の区別を必要としない場合、これらを「ヘッド10」「ヘッド11」と表記することがある。
【0025】
以下の説明において、副走査方向とは、図1において左方から右方へと向かう方向であり、吐出面10a及び吐出面11aと対向する位置にある用紙Pの搬送方向に対応する。また、主走査方向とは、水平面に平行且つ副走査方向に直交する方向である。
【0026】
サブキャリッジ100は、図2に示すように、側壁101〜104及び底壁105を有している。側壁101〜104及び底壁105は、全体として、上方(鉛直方向においてプラテン40から離隔した側)に開口した直方体の箱型の概略形状を構成している。底壁105には貫通孔105aが形成されている。ヘッド10及び11は、副走査方向に関して互いの間に所定の間隔を空けつつ配置され、サブキャリッジ100の底壁105に固定されている。つまり、ヘッド10及び11は、サブキャリッジ100に保持されている。ヘッド10及び11の下端部は、貫通孔105aから下方へと突出している。側壁101及び102の各外表面には、図3及び図4に示すように、鉛直方向に沿ったレール112が固定されている。側壁101及び102において、レール112の下端部には、図4に示すように、凹部112aが形成されている。凹部112a内には、ばね113が、伸縮方向が鉛直方向に沿うように設置されている。
【0027】
メインキャリッジ120は、図2に示すように、側壁121〜124並びに天井壁125及び126を有している。側壁121〜124並びに天井壁125及び126は、全体として、上方及び下方のそれぞれに開口した略直方体の箱形状を構成している。側壁121及び122の各内表面には、図4に示すように、後述のピニオン115を支持する支持部116と、ピニオン115を駆動するピニオンモータ51M(図9参照)とが設けられている。メインキャリッジ120は筐体1aに固定されている。
【0028】
メインキャリッジ120とサブキャリッジ100との間には、メインキャリッジ120に対してサブキャリッジ100を鉛直方向に移動させる移動機構110が設けられている。移動機構110は、図1及び図4に示すように、副走査方向におけるサブキャリッジ100の両側方に連結されている。移動機構110は、サブキャリッジ100に支持されたラック111と、メインキャリッジ120に支持されたピニオン115とを有している。ラック111は、サブキャリッジ100の側壁101及び102のそれぞれに2個ずつ、主走査方向に所定の間隔を空けて配置されている。ラック111の下端部に、鉤状の係止部111aが形成されている。係止部111aには、ばね113の上端部が巻きかけられている。ラック111は、直線状に並んだ複数の歯を有しており、これらの歯が鉛直方向に並ぶようにレール112に取り付けられている。レール112は、水平方向には移動せず、鉛直方向にのみ移動するように、ラック111の移動を規制している。
【0029】
ピニオン115は、ラック111のそれぞれに対して副走査方向に対向する位置に設けられている。各ピニオン115は、対向するラック111と噛み合った状態で、図4のC方向に回転可能に支持部116に支持されている。なお、図2においては、メインキャリッジ120とサブキャリッジ100とが互いに分離された状態で図示されているが、これらが互いに組み合わされた状態においては、矢印C1〜C4に示す対応関係でラック111及びピニオン115が互いに噛み合う。ピニオン115は、ピニオンモータ51Mの駆動軸と接続されており、制御部1pがピニオンモータ51Mを制御することにより、図4のC方向に回転する。ピニオン115が回転するとラック111がピニオン115に対して鉛直方向に沿って移動する。ピニオン115はメインキャリッジ120に支持されているため、ラック111がピニオン115に対して移動すると、ばね113を介してラック111と連結されたサブキャリッジ100が、メインキャリッジ120に対して鉛直方向に沿って移動する。このように、移動機構110(ラック111及びピニオン115)は、ばね113を介してサブキャリッジ100に連結されている。したがって、メインキャリッジ120の振動は、ばね113によって吸収される。そのため、メインキャリッジ120からサブキャリッジ100に振動が伝わりにくい。
【0030】
搬送ユニット30は、図1に示すように、給紙ユニット1c、ガイド26a〜26c、27及び28a〜28c、送りローラ対29及び34、レジローラ対31及びヘッド間ローラ対32を有している。制御部1pは、搬送ユニット30の駆動を制御して、給紙ユニット1cから用紙搬送経路に沿って排紙部35まで用紙Pを搬送させる。
【0031】
給紙ユニット1cは、給紙トレイ23及び給紙ローラ24を有する。このうち給紙トレイ23が筐体1aに対して副走査方向に着脱可能である。給紙トレイ23は、上方に開口する箱であり、用紙Pを収容可能である。給紙ローラ24は、制御部1pが給紙モータ55M(図9参照)を制御することにより回転して、給紙トレイ23の最も上方にある用紙Pを送り出す。給紙ローラ24によって送り出された用紙Pは、ガイド26aによりガイドされて、送りローラ対29に送られる。送りローラ対29は、制御部1pが送りモータ52M(図9参照)を制御することにより回転して、用紙Pをレジローラ対31へと送る。ガイド26b及び26cは、用紙Pをレジローラ対31へとガイドする。
【0032】
レジローラ対31は、制御部1pがレジモータ53M(図9参照)を制御することにより回転する。レジローラ対31は、用紙Pの傾きを補正しつつ、用紙Pをヘッド間ローラ対32へと送り出す。ヘッド間ローラ対32は、制御部1pが送りモータ52Mを制御することにより回転する。ヘッド間ローラ対32は、副走査方向に関して、ヘッド10とヘッド11との間に配置されており、第1ローラ81及び第2ローラ82の2つのローラを有している。第2ローラ82は、送りモータ52Mによって駆動されるローラであり、第1ローラ81は、第2ローラ82との間に用紙Pを挟みこみつつ用紙Pに従動して回転するローラである。第1ローラ81周辺の構成については後述する。ヘッド間ローラ対32は、レジローラ対31から送り出された用紙Pを送りローラ対34へと送り出す。このとき用紙Pは、後述のプラテン40に支持されつつ、吐出面10a及び11aと対向する位置を通過する。
【0033】
送りローラ対34は、制御部1pが送りモータ52Mを制御することにより回転する。送りローラ対34は、ガイド28a〜28cに沿って用紙Pを搬送すると共に、筐体1a上部に形成された開口38を介して用紙Pを排紙部35へと送り出す。
【0034】
最も下流側の送りローラ対29とレジローラ対31との間には、用紙の厚みを検出する厚みセンサ60が設けられている。厚みセンサ60は、図5に示すように、用紙Pの表面に当接する当接バー61と、図5のB方向に回転可能に筐体1aに支持された回転軸61aと、当接バー61を付勢する付勢部材62と、当接バー61の移動を規制するストッパー63と、B方向に関する回転軸61aの位置を検出するエンコーダ(不図示)とを有している。
【0035】
付勢部材62は、当接バー61を図5中左方へと付勢している。これにより、当接バー61は、図5中右方からストッパー63に当接した状態で保持されている。当接バー61の下端は、厚みセンサ60の下方を用紙Pが通過する際、ちょうど用紙Pに当接する位置に配置されている。用紙Pは、厚みセンサ60の下方に差し掛かると、当接バー61の下端部に当接すると共に、付勢部材62の付勢力に抗して、当接バー61の下端部を図5中右方へと押し出す。これによって、当接バー61が、図5の実線の位置から破線の位置へと移動する。このとき、エンコーダが回転軸61aの変位量を検出する。厚みセンサ60は、エンコーダの検出結果を示す信号を制御部1pへと出力する。この信号は、用紙Pの厚みを示す。当接バー61は、用紙Pの厚みが大きいほど大きく回転するため、回転軸61aの変位量は、用紙Pの厚みに対応した大きさとなるからである。用紙P全体が厚みセンサ60を通過すると、当接バー61は図5の実線の位置に戻る。
【0036】
2つのプラテン40は、吐出面10aに対向する位置と吐出面11aに対向する位置とのそれぞれに設けられている。各プラテン40はそれぞれ、2つの扉部材41及び42からなる。扉部材41及び42はそれぞれ、平面視で対応する吐出面10a又は11aを挟み且つ吐出面10a又は11aに平行で主走査方向に延びた一対の回転軸40aに、開閉可能に支持されている。各プラテン40は、制御部1pがプラテンモータ54M(図9参照)を制御することにより、回転軸40aを中心として回転する。これによって、プラテン40は、対向位置(図1の実線の位置)と非対向位置(図1の破線の位置)とを選択的に取る。対向位置は、各扉部材41及び42が水平に位置し、対応する吐出面10a又は11aと対向する位置である。また、非対向位置は、各扉部材41及び42が対応する吐出面10a又は11aと対向しないで垂れ下がる位置である。
【0037】
プラテン40が対向位置にあるとき、図1左側のプラテン40の上面と吐出面10aとの間、並びに、図1右側のプラテン40の上面と吐出面11aとの間のそれぞれにわずかな隙間が形成される。これらの隙間が用紙の搬送経路となる。用紙Pが左側のプラテン40に支持されているときにヘッド10から画質向上液が吐出されることによって、用紙Pに画質向上液が付着する。また、用紙Pが右側のプラテン40に支持されているときにヘッド11から画質向上液が吐出されることによって、用紙Pにインクが付着する。
【0038】
対向位置にあるプラテン40の下方には、対向部材8が配置されている。例えば、吐出性能を回復させるためにヘッド10及び11から液体を吐出させる処理を実行する場合がある。この場合には、プラテン40を非対向位置に移動させ、対向部材8に向けて液体を吐出させることで、用紙Pを支持するプラテン40を汚さずに済む。
【0039】
ところで、ヘッド10やヘッド11から画質向上液やインクが吐出された際、吐出されたこれらの液体のうち、用紙Pに付着しなかった一部の液体が微小な液滴となって空中を霧状に浮遊することがある。ミストは、このような霧状の微小液滴である。ミストの発生量は、ヘッド10の吐出面10a及び11aと用紙Pの表面との離隔距離に応じて変化する。例えば、ヘッド10の吐出面10a及び11aと用紙Pの表面との離隔距離が大きいと、吐出された液体が空気から抵抗を受ける距離も増大するため、ミストの発生量も大きくなる。
【0040】
ここで、用紙Pに対してヘッド10、11から液体が吐出されて用紙Pに画像が記録される場合、用紙Pは、ヘッド10及び11とプラテン40との間を、図1の左方から右方に向かって搬送される。そのため、ヘッド10、11近傍においては、用紙Pの搬送に伴って図1の左方から右方に向かう気流が生じている。言い換えると、ヘッド10、11近傍においては、搬送方向下流側に向かう気流が生じている。つまり、ヘッド10、11から吐出された液体のうちの用紙Pに着弾せずに空中に浮遊するミストは、当該気流によって図1の左方から右方(搬送方向下流側)の向きに移動する。ヘッド10から発生した画質向上液のミストが当該気流によってヘッド11へと移動し、吐出面11aに付着する場合がある。そして、ヘッド10から発生したミストが、吐出面11aに付着すると、画質向上液とインクとが接触する場合がある。すると、画質向上液はインクを凝集又は析出させるため、特に吐出口付近に画質向上液のミストが付着した場合、吐出口を塞いでしまい、吐出不良を発生させるおそれがある。また、ヘッド11から発生したインクのミストが用紙の搬送方向下流側に流れ、プリンタ1内(例えば、搬送経路を構成するガイド28a〜28c又は送りローラ対34)を汚染するおそれもある。
【0041】
そこで、プリンタ1には、プリンタ1内に発生する画質向上液やインクのミストを吸引するための吸引機構130及び150が設けられている。以下、吸引機構130、150及びその周辺の構成について、図1、図2、図6〜図8を参照しつつ説明する。
【0042】
吸引機構130は、第1ダクト(吸引管)と、吸引ユニット133(吸引力発生源)とを有している。第1ダクトは、固定側ダクト131(第2管)と、可動側ダクト132(第1管)とを有している。図6(b)に示すように、固定側ダクト131の左端は固定部材134を介してメインキャリッジ120の天井壁125に固定されている。固定側ダクト131の右端は、吸引ユニット133を介してメインキャリッジ120の天井壁126に固定されている。つまり、固定側ダクト131は、メインキャリッジ120に保持されている。固定側ダクト131は、図6(a)に示すように、副走査方向に関してヘッド10とヘッド11との間に配置されている。固定側ダクト131は、主走査方向に関して長尺な筒状の形状を有している。固定側ダクト131の下端部(先端部)は、上端部に対し、副走査方向に幅が窄まっており、後述の可動側ダクト132の開口132d(第2開口)より一回り小さい長方形の平面形状を有している。固定側ダクト131の下端部は、図6(a)及び図6(b)に示すように、可動側ダクト132の開口132dから可動側ダクト132の内部空間132a(連通空間)へと挿入されている。固定側ダクト131の下端部は、開口132dを規定する天井壁145(後述)と当接しないように配置されている。また、固定側ダクト131の下端部において開口132dに挿入された部分は、鉛直方向に関するサブキャリッジ100の位置が調整される際(後述)、メインキャリッジ120に対してサブキャリッジ100が最大限に下降した場合でも、固定側ダクト131の下端部が開口132dから完全に抜け出してしまうことがないように十分な長さを有している。また、メインキャリッジに対してサブキャリッジ100が最大限に上昇した場合でも、固定側ダクト131の下端部が、可動側ダクト132と当接しないように、固定側ダクト131は構成されている。
【0043】
固定側ダクト131の外壁は、図6(b)に示すように薄板で構成されている。固定側ダクト131内には中空の内部空間131aが形成されている。固定側ダクト131の上端部には、図6(b)の右端部に気流の流出口131bが形成されている。固定側ダクト131の下端部には、主走査方向に関してほぼ固定側ダクト131の幅いっぱいに延びる気流の流入口131cが形成されている。
【0044】
内部空間131a内には、吸引ユニット133が発生させる気流を案内する案内部131d〜131fが形成されている。案内部131d〜131fは、図6(b)に示すように、いずれも、湾曲部と平板部とからなる。湾曲部は、流入口131cから固定側ダクト131の天井壁に向かって立ち上がりつつ、右方へと湾曲している。平板部は、湾曲部の右端からさらに右方へと直線的に延びている。案内部131d〜131fは、図6(b)の左方から右方に向かって案内部131d、案内部131e、案内部131fの順に形成されており、右方のものほど平板部が下方に配置されている。これにより、案内部131d〜131fは、図6(b)に示すように、内部空間131aを4つの気流の経路R1〜R4に区画している。経路R1は、流入口131cの左端部と流出口131bとを結ぶ。経路R2は、流入口131cにおける中間よりやや左側の部分と流出口131bとを結ぶ。経路R3は、流入口131cにおける中間よりやや右側の部分と流出口131bとを結ぶ。経路R4は、流入口131cの右端部と流出口131bとを結ぶ。これらの経路が形成されることにより、流入口131cの全体から流出口131bへと円滑に空気が流れる。
【0045】
可動側ダクト132は、図2、図6(a)及び図6(b)に示すように、副走査方向に関してヘッド10及び11の間に配置されており、ねじ105bによってサブキャリッジ100の底壁105に固定されている。つまり、可動側ダクト132は、サブキャリッジ100に保持されている。可動側ダクト132は、図6(a)及び図7に示すように、側壁141〜144、天井壁145及び底壁146からなる外壁を有しており、全体として主走査方向に長尺な直方体の概略形状を有している。可動側ダクト132の外壁は、中空の内部空間132aを画定している。側壁141及び142は、ヘッド10及び11を結ぶ方向(副走査方向)に内部空間132aを互いの間に挟んでいる。側壁143及び144は、主走査方向に内部空間132aを互いの間に挟んでいる。底壁146は、側壁141及び142の一端(プラテン40に近い側の端)同士を結んでいる。天井壁145は、側壁141及び142の他端(プラテン40から遠い側の端)同士を結んでいる。
【0046】
内部空間132aには、主走査方向に並んだ4つの第1ローラ81(回転部材)と拍車ローラ33(回転部材)とが収容されている。内部空間132aにおいて第1ローラ81が配置される領域と拍車ローラ33が配置される領域とは、互いに連通している。各第1ローラ81は、円筒形のローラ部81aと回転軸81bとを有している。拍車ローラ33は、8つのローラ部33aと回転軸33bとを有している。8つのローラ部33aは、主走査方向に所定の間隔を空けつつ配列されている。ローラ部33aは、略円筒形状を有しており、その外周には、それぞれ径方向に同じ長さで突出した複数の突起が周方向に並んでいる。
【0047】
可動側ダクト132は、図7に示すように、上部材132b及び下部材132cを有している。上部材132bと下部材132cとは互いにねじ147で固定されている。上部材132bは、平面視において主走査方向に長尺な長方形の概略形状を有する平板状の部材であり、可動側ダクト132の天井壁145と側壁141の一部及び側壁142の一部とを構成している。上部材132bの上面には、主走査方向に長尺な長方形の平面形状を有する開口132dが形成されている。開口132dは、内部空間132aと連通している。
【0048】
下部材132cは、上方に開口した箱型の概略形状を有している。下部材132cは、可動側ダクト132の側壁141の一部及び142の一部、側壁143及び144、並びに、底壁146を構成している。図8に示すように、下部材132cの底壁146において、第1ローラ81のローラ部81aが配置される位置には開口132e(第4開口)が、拍車ローラ33のローラ部33aが配置される位置には開口132f(第4開口)がそれぞれ形成されている。また、下部材132cの底壁146において、副走査方向に中央には、主走査方向に沿って延びる開口132g(第1開口)が形成されている。開口132gの主走査方向における長さは、吐出領域の主走査方向の長さよりも長い。ここで、吐出領域とは、吐出面10aに形成された複数の吐出口のうち主走査方向において最も外側に配置された2つの吐出口をつなぐ領域である。言い換えると、両外側に配置された2つの吐出口をつなぐ領域である。開口132gは、後述のリブ149を互いの間に挟みつつ、主走査方向に複数並んでいる。開口132gは、内部空間132aと連通している。内部空間132aは、開口132dと開口132gとを連通させる本発明の連通空間の一例である。
【0049】
底壁146の上面には、図6(a)、図7及び図8に示すように、開口132gから鉛直上方へと突出する突出部148が形成されている。突出部148は、開口132gに沿って形成されており、その上端部は、固定側ダクト131の下端部より下方に配置されている。つまり、固定側ダクト131の下端部は突出部148の上端部より開口132d側に配置されている。
【0050】
ここで、可動側ダクト132は、サブキャリッジ100に保持されている。一方、固定側ダクト131は、メインキャリッジ120に保持されている。サブキャリッジ100は、移動機構110によって、メインキャリッジ120に対して鉛直方向に移動される。つまり、移動機構110によってサブキャリッジ100がメインキャリッジ120に対して移動すると、可動側ダクト132が固定側ダクト131に対して移動されることとなる。つまり、サブキャリッジ100が上方へ移動すると、可動側ダクト132が固定側ダクト131に近づくように移動する。一方、サブキャリッジ100が下方に移動すると、可動側ダクト132が固定側ダクト131から遠ざかるように移動する。
【0051】
また、固定側ダクト131の下端部において開口132dに挿入された部分は、鉛直方向に関してサブキャリッジ100が移動される際、メインキャリッジ120に対してサブキャリッジ100が最大限に下降した場合でも、固定側ダクト131の下端部が開口132dから完全に抜け出してしまうことがないように十分な長さを有している。また、メインキャリッジに対してサブキャリッジ100が最大限に上昇した場合でも、固定側ダクト131の下端部が、可動側ダクト132と当接しないように、固定側ダクト131は構成されている。つまり、固定側ダクト131の下端部と突出部148の上端部とは所定の距離を隔てて配置されている。この所定の距離は、メインキャリッジに対してサブキャリッジ100が最大限に上昇した場合でも、固定側ダクト131と突出部148とが互いに干渉しない距離である。突出部148は、開口132gから内部空間132aへと鉛直上方に気流を導入する導入部として機能する。下部材132cの下面(プラテン40側の面)には複数のリブ149が形成されている。各リブ149は、副走査方向に沿って開口132gを跨いで延びていると共に、下面が同じ高さに形成されている。各リブ149の下面は、用紙Pをヘッド10の下方からヘッド11の下方へと案内する案内面として機能する。
【0052】
このように、本実施形態では、第1ダクトを、固定側ダクト131と可動側ダクト132とにより構成するとともに、固定側ダクト131をメインキャリッジ120に保持させ、可動側ダクト132をサブキャリッジ100に保持させている。そして、可動側ダクト132の開口132dに、固定側ダクト131先端部が挿入されている。また、可動側ダクト132と固定側ダクト132は、サブキャリッジ100が移動しても、互いに干渉しないように構成されている。これにより、サブキャリッジ100が移動すると、固定側ダクト131と可動側ダクト132とが相対移動することにより、吸引管としての第1ダクトが伸縮される構成となっている。すなわち、サブキャリッジ100が移動しても、吐出面10a、11aと可動側ダクト132の開口132gとの相対位置が変化しない。
【0053】
下部材132cの上面(プラテン40とは反対側の面)には、図7及び図8に示すように、第1ローラ81の回転軸81bを支持する支持部135と、拍車ローラ33の回転軸33bを支持する支持部136とが形成されている。支持部135及び136にはそれぞれ、凹部135a及び136aが形成されている。また、支持部135同士の間には、後述のばね137を支持する支持部138が設けられている。支持部138は、上方へと突出する円筒部であり、凹部138aが形成されている。
【0054】
第1ローラ81は、回転軸81bが凹部135aに挿入されることにより、支持部135に支持される。第1ローラ81が支持部135に支持されると、ローラ部81aの下端部が開口132eとの間に隙間を空けつつ、開口132eを介して可動側ダクト132外へと突出する。言い換えると、ローラ部81aの下端部は、開口132eを介して下方(プラテン40側)に突出する。一方、拍車ローラ33は、回転軸33bが凹部136aに挿入されることにより支持部136に支持される。拍車ローラ33が支持部136に支持されると、ローラ部33aの下端部が開口132fとの間に隙間を空けつつ、開口132fを介して可動側ダクト132外へと突出する。言い換えると、ローラ部33aの下端部は、開口132fを介して下方(プラテン40側)に突出する。これにより、第1ローラ81も拍車ローラ33も、各開口に当接することなく回転可能な状態で支持部135及び136に支持される。
【0055】
第1ローラ81の回転軸81bの先端部は、支持部138の凹部138aに挿入される。凹部138aには、回転軸81bの上方からさらに、ばね137が挿入される。ばね137は、回転軸81bを下方に向かって付勢する。第1ローラ81は、用紙Pの記録面(用紙Pにおける吐出面10a、11aと対向する側の面)と対向する。そして、第1ローラ81が第2ローラ82に向かって付勢されるため、第1ローラ81及び第2ローラ82が用紙Pを確実に挟み込むことができる。
【0056】
拍車ローラ33は、用紙Pの記録面(用紙Pにおける吐出面10a、11aと対向する側の面)と対向すると共に、ローラ部33aに形成された突起の最下点が鉛直方向に関してほぼ用紙Pの搬送経路と同じ位置になるように配置される。用紙Pが浮き上がろうとすると、拍車ローラ33の突起が用紙Pの記録面と当接する。そして、拍車ローラ33は、用紙Pの移動に伴って回転する。各突起は用紙Pの記録面と点接触するため、用紙Pに吐出された画質向上液が乱れるのを抑制することができる。
【0057】
吸引ユニット133は、図6に示すように、メインキャリッジ120の天井壁126に固定されていると共に、流出口131b付近において固定側ダクト131に連結されている。吸引ユニット133は、貫通孔、吸引用のファン及びフィルタを有している。貫通孔は、流出口131bと接続されている。制御部1pがファンを制御することにより、ファンが回転して、貫通孔を介して空気を吸引する気流を発生させる。これによって、可動側ダクト132の開口132g付近の空気が、開口132gを通じて可動側ダクト132内に吸引される。そして、その空気が、内部空間132a、固定側ダクト131の流入口131c(第3開口)、内部空間131a及び流出口131bを経て、吸引ユニット133へと吸引される。このように、固定側ダクト131及び可動側ダクト132は、本発明の吸引管として機能する。吸引ユニット133が吸引した空気は、フィルタによってミストと分離され、吸引ユニット133外へと排出される。なお、吸引機構130による吸引力は、ヘッド10から生じたミストを回収するのに適した吸引力となるように設定されている。具体的には、吸引力はファンの回転数、第1ダクトの形状、及び、開口132gの形状によって決められる。
【0058】
吸引機構150は、第2ダクト151(吸引管)及び吸引ユニット153を有している。図2、図6(a)に示すように、第2ダクト151の一端は固定部材154を介してメインキャリッジ120の天井壁125に固定されている。第2ダクト151の他端は固定部材を介してメインキャリッジ120の天井壁126に固定されている。第2ダクト151は、図6(a)に示すように、ヘッド11における固定側ダクト131とは反対側の側面の近傍に配置されている。つまり、第2ダクト151は、ヘッド11の搬送方向下流側に配置されている。第2ダクト151は、副走査方向に関して幅が狭い直方体の概略形状を有しており、中空の内部空間151aを有している。第2ダクト151の上端部には気流の流出口が形成されており、第2ダクト151の下端部には気流の流入口151bが形成されている。流出口及び流入口151bは、内部空間151aと連通している。第2ダクト151は、流出口において吸引ユニット153と連結されている。吸引ユニット153は、吸引ユニット133と同様の構成を有しており、第2ダクト151の下方におけるミストを含む空気を、流入口151bから吸引する。なお、吸引機構150による吸引力は、ヘッド11から生じたミストを回収するのに適した吸引力となるように設定されている。具体的には、吸引力は、ファンの回転数、第2ダクトの形状、及び、流入口151bの形状によって決められる。
【0059】
以下、制御部1pによる画像記録の制御について説明する。制御部1pは、図9に示すように、印刷制御部161、設定値記憶部162(設定値記憶手段)、ヘッド移動制御部163(移動機構制御手段)及び吸引制御部164(吸引力調整手段)を有している。画像記録においては、用紙Pとして、厚みが異なる複数種類の用紙が用いられる。ユーザは、PCなどの外部装置において画像記録に用いる用紙を指定する。外部装置は、ユーザが指定した用紙の種類を示すデータを含む印刷データをインクジェットプリンタ1に送信する。あるいは、インクジェットプリンタ1のインタフェースを介して用紙Pの種類をユーザが指定してもよい。
【0060】
このとき、仮に、プラテン40に対するヘッド10及び11の位置が常に同じであるとすると、異なる厚みの用紙Pを用いた場合、用紙Pの記録面と吐出面10a及び11aとの離隔距離が、印刷に適した距離と異なってしまうおそれが生じる。そこで、設定値記憶部162は、これらの複数種類の用紙に係る厚みを示す厚みデータを記憶している。ヘッド移動制御部163は、設定値記憶部162の記憶内容から、ユーザが指定した用紙の種類に対応する厚みデータを取得する。そして、ヘッド移動制御部163は、取得した厚みデータに基づき、ピニオンモータ51Mを制御することにより、メインキャリッジ120に対してサブキャリッジ100を鉛直方向に所定の位置に配置させる。このときの所定の位置は、プラテン40に支持された用紙Pの記録面と吐出面10a及び11aとが、印刷に適した所定の距離で離隔する位置に対応する。これにより、ユーザが指定した用紙の種類に応じた適切な距離で用紙Pの記録面と吐出面10a及び11aとが離隔するように、サブキャリッジ100の位置が調整される。なお、印刷に適した所定の距離についての一例を説明する。例えば、ユーザが指定した用紙の種類が普通紙だった場合には、吐出面10a、11aとプラテン40との離隔距離が1mmとなるように、サブキャリッジ100の位置が調整される。また、ユーザが指定した用紙の種類が厚紙だった場合には、吐出面10a、11aとプラテン40との離隔距離が2mmとなるように、サブキャリッジ100の位置が調整される。厚紙の厚みは通常1mmと考えられるからである。このようにサブキャリッジ100の位置が調整されることで、プラテン40に支持された用紙Pの記録面と吐出面10a、11aとの離隔距離が、印刷に適した所定の距離となる。
【0061】
外部装置から印刷データが転送されると、印刷制御部161は、当該印刷データに基づいて、プラテン40、搬送ユニット30及びヘッド10,11を以下のように制御する。まず、印刷制御部161のヘッド移動制御部163は、上記のとおり、サブキャリッジ100を適切な位置に配置する。そして、印刷制御部161は、プラテンモータ54Mを制御し、プラテン40が対向位置を取るようにする。次に、印刷制御部161は、送りモータ52M、レジモータ53M、給紙モータ55Mを制御して、用紙Pを給紙トレイ23から排紙部35へと搬送させる。このとき、給紙トレイ23から搬送された用紙Pが厚みセンサ60に到達すると、厚みセンサ60は、当接バー61が変位したことを示す検出信号を出力する。印刷制御部161は、厚みセンサ60が上記の検出信号を出力し始めてから所定時間後にヘッド10、ヘッド11から画質向上液もしくはインクを吐出させる。ここで、所定時間とは、ヘッド10及び11のそれぞれについて、厚みセンサ60が上記の検出信号を出力し始めたときの用紙Pの先端から、最も上流にある吐出口までの搬送経路に沿った距離を、用紙Pの搬送速度で割った時間である。印刷制御部161は、ヘッド10及び11から液体を吐出させることにより、用紙Pに対して印刷データに基づく所望の画像を記録する。
【0062】
吸引制御部164は、画像を記録する期間中、吸引ユニット133及び153のファンを制御し、ヘッド10及び11から発生するミストを吸引させる。ここで、ヘッド10及び11から発生するミストの量は、上記のとおり、吐出面10a及び11aと用紙Pの表面との離隔距離に依存する。一方、ヘッド移動制御部163は、上記のとおり、ユーザが指定した用紙の種類に応じてサブキャリッジ100を移動させ、当該離隔距離を印刷に適した所定の距離に調整する。このため、ユーザが指定した用紙の種類と実際に用いられた用紙の種類とが一致する場合には、当該離隔距離が常に所定の距離に保たれるため、ミストの発生量も変動しない。しかしながら、ユーザが指定した用紙の種類と実際に用いられた用紙の種類とが異なる場合、当該離隔距離が変動するため、ミストの発生量も変動するおそれがある。
【0063】
そこで、吸引制御部164は、厚みセンサ60の検出結果に基づき、吸引ユニット133及び153の吸引力を調整する。具体的には、吸引制御部164は、図10に示すようにファンの回転数を制御する。まず、吸引制御部164は、厚みセンサ60が検出した用紙Pの厚み(以下、検出厚みとする)とユーザが指定した用紙の種類に対応する厚み(以下、指定厚みとする)とを比較する。指定厚みは、設定値記憶部162の記憶内容に基づき、ユーザ指定の用紙に対応する厚みデータから取得される。そして、検出厚みと指定厚みとが互いに一致すると判定した場合(ステップS1、Yes)、吸引制御部164は、所定の回転数で回転するように吸引ユニット133及び153のファンを制御する(ステップS3)。
【0064】
一方、検出厚みと指定厚みとが互いに一致せず(ステップS1、No)、検出厚みが指定厚みより大きいと判定した場合(ステップS2、Yes)、吸引制御部164は、検出厚みと指定厚みとの差の絶対値に応じた大きさだけ上記所定の回転数より小さい回転数で回転するようにファンを制御する(ステップS4)。これにより、検出厚みと指定厚みとが互いに一致する場合と比べてファンによる吸引力が小さくなる。検出厚みが指定厚みより大きい場合には、一致する場合と比べてミストの発生量が小さくなると予想される。つまり、サブキャリッジ100の位置は、指定厚みの用紙Pの記録面と吐出面10a,11aとの距離が印刷に適した距離となるように設定されている。この場合に、検出厚みが指定厚みよりも大きい場合には、検出厚みと指定厚みとが等しい場合と比較して、用紙Pの記録面と吐出面10a,11aとの距離が短くなる。記録面と吐出面10a,11aとの距離が短くなると、吐出された液滴の飛翔距離が短くなるため、ミストが発生しにくくなる。したがって、吸引力を小さくすることにより、ミストの発生量に応じた適切な制御となる。ファンによる吸引力を調整しない場合と比較して、省エネルギーを達成できる。
【0065】
また、検出厚みと指定厚みとが互いに一致せず(ステップS1、No)、検出厚みが指定厚みより小さいと判定した場合(ステップS2、No)、吸引制御部164は、検出厚みと指定厚みとの差の絶対値に応じた大きさだけ上記所定の回転数より大きい回転数で回転するようにファンを制御する(ステップS5)。これにより、検出厚みと指定厚みとが互いに一致する場合と比べてファンによる吸引力が大きくなる。検出厚みが指定厚みより小さい場合には、一致する場合と比べてミストの発生量が大きくなると予想される。つまり、サブキャリッジ100の位置は、指定厚みの用紙Pの記録面と吐出面10a、11aとの距離が印刷に適した距離となるように設定されている。この場合に、検出厚みが指定厚みよりも小さい場合には、検出厚みと指定厚みとが等しい場合と比較して、用紙Pの記録面と吐出面10a,11aとの距離が長くなる。記録面と吐出面10a,11aとの距離が長くなると、吐出された液滴の飛翔距離が長くなるため、ミストが発生しやすくなる。したがって、吸引力を大きくすることにより、ミストの発生量に応じた適切な制御となる。なお、吸引力が大きいと、用紙Pに浮きが生じやすいが、拍車ローラ33及び第1ローラ81が用紙Pの記録面と当接するため、拍車ローラ33及び第1ローラ81によって用紙Pの浮きを押さえることができる。
【0066】
以上説明した本実施形態によると、ヘッド10とヘッド11との間に第1ダクトの開口132gが配置されている。したがって、ヘッド10において画質向上液のミストが発生し、搬送方向に向かう気流に乗ってヘッド11側へと流れても、かかるミストは空気と共に吸引機構130に吸引される。これにより、画質向上液のミストがヘッド11側へと到達しにくくなるので、画質向上液が吐出面11aに付着しにくくなり、吐出不良が発生しにくくなる。
【0067】
また、本実施形態の吸引ユニット133及び153は、メインキャリッジ120に保持されている。そして、移動機構110は、ヘッド10及び11を保持したサブキャリッジ100をメインキャリッジ120に対して移動させる構成を有している。したがって、サブキャリッジ100に吸引ユニット133及び153がされている構成と比較して、サブキャリッジ100を移動させる移動機構110に負荷が掛かりにくい。そのため、移動機構110の大型化を抑制することができる。また、吸引ユニット133及び153からの振動がサブキャリッジ100に伝わりにくい。その結果、吸引ユニット133及び153からの振動がヘッド10及び11に伝わりにくい。これにより、吸引ユニット133及び153において発生した振動がヘッド10及び11の液体吐出に影響を及ぼすのが抑制される。そのため、画像品質の低下を抑制することができる。さらに、移動機構110において、サブキャリッジ100側に設けられたラック111が、ばね113によって支持されている。このため、メインキャリッジ120に保持された吸引ユニット133及び153において発生した振動は、ばね113によって吸収される。したがって、メインキャリッジ120から移動機構110を介してサブキャリッジ100へと振動が伝わりにくく、液体吐出に悪影響を及ぼすのがさらに抑制される。
【0068】
また、本実施形態では、吸引機構130の吸引管の一部である可動側ダクト132がサブキャリッジ100に保持されている。したがって、移動機構110がサブキャリッジ100を移動させた際、可動側ダクト132もヘッド10及び11と同様に移動する。このため、可動側ダクト132の開口132gと吐出面10a及び11aとの位置関係が変化しない。仮に、これらの位置関係が変化したとすると、吸引機構130において、ミストの発生位置と吸引位置との関係が変化することになり、開口132gからミストを吸引する能力が変動するおそれがある。一方、上記のとおり、可動側ダクト132の開口132gと吐出面10a及び11aとの位置関係が変化しないため、吸引機構130において吸引能力が変化しにくい。
【0069】
さらに、吸引機構130の吸引管の一部である固定側ダクト131がメインキャリッジ120に保持されている。そして、固定側ダクト131と可動側ダクト132とは互いに当接しないように構成されている。そのため、固定側ダクト131に連結された吸引ユニット133の振動がサブキャリッジ100を介してヘッド10やヘッド11に伝わるのを抑制することができる。仮に、吸引管が固定側ダクト131だけから構成されているとすると、サブキャリッジ100が移動した際、固定側ダクト131の流入口131cと吐出面10a,11aとの相対位置が変動してしまい、吸引機構130による吸引力が変動してしまう虞がある。一方、固定側ダクト131をサブキャリッジ100に保持させる構成とすると、サブキャリッジ100の重量が増大するため、移動機構110が大型化してしまう。さらに、固定側ダクト131に連結された吸引ユニット133の振動がサブキャリッジ100に伝わってしまう。つまり、ヘッド10、11に吸引ユニット133の振動が伝わってしまうこととなり、画像品質の低下を招きうる。
【0070】
また、本実施形態では、吸引されたミストは一旦、可動側ダクト132の内部空間132aに取り込まれる。内部空間132aは、側壁141〜144、天井壁145及び底壁146によって画定されており、これらの外壁に取り囲まれているため、可動側ダクト132外にミストが逃れにくい。したがって、ヘッド11等、可動側ダクト132外の構成にミストが付着するのが抑制される。
【0071】
また、本実施形態では、可動側ダクト132のリブ149に用紙Pの案内面が形成されている。可動側ダクト132はサブキャリッジ100に支持されているため、移動機構110がサブキャリッジ100を移動させても、吐出面10a及び11aと案内面との位置関係が変化しない。吐出面10a及び11aと案内面との位置関係が変化すると、吐出面10a及び11a側から搬送された用紙Pを案内面が適切に案内できなくなるおそれがあるが、本実施形態では、上記の位置関係が変化しないので、サブキャリッジ100が移動しても、案内面が適切に用紙Pを案内できる。よって、搬送精度が低下しにくい。
【0072】
ここで、本実施形態において、ヘッド10、11間に吸引機構130が設けられており、開口132gから内部空間132aに向う気流が生じている。このため、用紙Pは吸引機構130による吸引力によって上方に浮いてしまう虞がある。用紙Pが浮くと、ジャムが生じる虞がある。そこで、本実施形態では、ヘッド10,11間に用紙Pの記録面と接触して用紙Pの浮きを押さえる拍車ローラ33及び第1ローラ81を配置している。拍車ローラ33及び第1ローラ81を、可動側ダクト131とは別の支持部材に取り付けた場合、拍車ローラ33及び第1ローラ81と当該支持部材との間には隙間が生じ、この隙間にミストが入り込んでしまう場合がある。この隙間にミストが入り込むと、ミストが拍車ローラ33及び第1ローラ81に付着し、拍車ローラ33及び第1ローラ81から用紙Pに転写される虞がある。本実施形態では、可動側ダクト131の開口132eを介して第1ローラ81のローラ部81aが突出している。また、可動側ダクト131の開口132fを介して拍車ローラ33のローラ部33aが突出している。そのため、第1ローラ81と開口132eとの間の隙間及び拍車ローラ33と開口132fとの間に隙間から入り込んだミストは可動側ダクト132の内部空間132aに至る。そして、第1ローラ81と開口132eとの間の隙間及び拍車ローラ33と開口132fとの隙間から入り込むミストは、内部空間を通じて固定側ダクト131の流入口131cへと到達し、この流入口131cから固定側ダクト131内へと吸引される。よって、吸引機構130は、拍車ローラ33の周囲の隙間に入り込むミストも確実に吸引することができる。
【0073】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。
【0074】
例えば、上述の実施形態では、プレコートヘッド10及びインクジェットヘッド11の2つのヘッドが設けられている。しかし、3つ以上のヘッドが設けられている場合に本発明が適用されてもよい。この場合、吸引機構130は、互いに隣接するいずれか2つのヘッドの間に配置される。プレコートヘッド10は、画質向上液を吐出するものに限られず、インクを吐出するインクジェットヘッドでもよい。可動側ダクト132に拍車ローラ33及び第1ローラ81が取り付けられていたが、いずれか一方だけでもよく、両方とも取り付けられていない構成でもよい。可動側ダクト132に案内面が形成されていなくてもよい。可動側ダクト132がない構成であっても良い。吸引機構150は、吸引機構130と同じ構成でもよい。
【0075】
また、上述の実施形態では、メインキャリッジ120がサブキャリッジ100を支持すると共に、固定側ダクト131と吸引ユニット133を保持している。しかし、固定側ダクト131と吸引ユニット133がメインキャリッジ120以外に保持されていてもよい。例えば、固定側ダクト131と吸引ユニット133が筐体1aに直接保持されていてもよい。このような場合も、移動機構110がサブキャリッジ100を固定側ダクト131と吸引ユニット133に対して移動させる構成を有していれば、固定側ダクト131と吸引ユニット133からサブキャリッジ100へと振動が直接伝わる構成にはなりにくい。このため、固定側ダクト131と吸引ユニット133の振動がヘッド10及び11へと伝わりにくく、液体吐出に影響が及びにくい。
【0076】
また、上述の実施形態では、吸引力発生源として、ファンを有する吸引機構130及び150が設けられている。しかし、ファン以外の構成により吸引力を発生させる吸引ユニットが設けられていてもよい。例えば、ポンプ式の吸引方式が採用された吸引ユニットが設けられてもよい。
【0077】
また、上述の実施形態では、吸引制御部164が、検出厚みと指定厚みとの大小関係を判定し、その判定結果に基づいてファンの回転数を制御している。しかし、吸引制御部164が、検出厚みと指定厚みとの差と回転数とを関連付ける関数やテーブルを有しており、かかる関数やテーブルに基づいて導出した回転数でファンを回転させてもよい。
【0078】
また、本発明は、プリンタに限定されず、ファクシミリやコピー機等の各種液体吐出装置に適用可能である。ヘッドは、インクや画質向上液以外の液体を吐出するものでもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 インクジェットプリンタ(プリンタ)
1p 制御部
10 プレコートヘッド(ヘッド)
11 インクジェットヘッド(ヘッド)
11a 吐出面
30 搬送ユニット
60 厚みセンサ
100 サブキャリッジ
110 移動機構
120 メインキャリッジ
130 吸引ユニット
131 ダクト
132 中継部
133 吸引ユニット
162 設定値記憶部
163 ヘッド移動制御部
164 吸引制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々液体を吐出する吐出面を有する複数の液体吐出ヘッドと、
前記吐出面に対向する位置において記録媒体を支持する媒体支持部材と、
前記複数の液体吐出ヘッドのうちの隣接して配置された2つの液体吐出ヘッドの間に配置された第1開口が形成された吸引管と、
前記吸引管に連結された吸引力発生源と、
前記複数の液体吐出ヘッドを保持するヘッド保持部と、
前記ヘッド保持部を少なくとも前記吸引力発生源に対して移動させる移動機構とを備えていることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記吸引管は、第1管と、第2管とを有し、
前記第1管は、前記吐出面に直交する直交方向において前記媒体支持部材側に形成された第1開口と、前記直交方向において前記媒体支持部材側とは反対側に形成された第2開口と、前記第1開口及び第2開口同士を連通させる連通空間とを有し、
前記第2管は、前記吸引力発生源に連結されるとともに、第3開口が形成された先端部を有し、当該先端部が前記第2開口から前記連通空間内へと挿入されており、
前記ヘッド保持部は、前記第1管を保持しており、
前記移動機構は、前記第1管を前記第2管に対して移動させることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記第1管が、前記2つの液体吐出ヘッド同士を結ぶ方向に関して前記連通空間を互いの間に挟む一対の側壁と、前記側壁における前記媒体支持部材側の一端同士を結び且つ前記第1開口が形成された底壁と、前記側壁の他端同士を結び且つ前記第2開口が形成された天井壁とを有し、前記一対の側壁と前記底壁と前記天井壁により前記連通空間が画定されていることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記2つの液体吐出ヘッドの一方から他方に向かって記録媒体を搬送する搬送機構をさらに備え、
前記直交方向に関して前記底壁の前記媒体支持部材側の面は、前記搬送機構によって搬送される記録媒体を案内する案内面であることを特徴とする請求項3に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記第1管が、前記底壁に形成された第4開口と、前記連通空間において軸支される回転部材とを有しており、
前記回転部材の一部が前記第4開口から前記第1管外へと突出していることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記第1管内に、前記第1開口から前記第2開口に向かって気流を導入する導入部が形成されており、
前記先端部が、前記第2開口近傍に位置していることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
記録媒体の厚みに関する設定値を記憶する設定値記憶手段と、
記録媒体の厚みを検出するセンサと、
前記設定値記憶手段が記憶している設定値に基づいて、前記吐出面と前記媒体支持手段との離隔距離を調整するように前記移動機構を制御する移動機構制御手段と、
前記センサにより検出された厚みと前記設定値記憶手段が記憶している設定値との差に基づいて吸引力を調整するように前記吸引力発生源を制御する吸引力調整手段とをさらに備えていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記移動機構が、弾性部材を介して前記ヘッド保持部に連結されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
前記ヘッド保持部が、前記吐出面に直交する直交方向において前記媒体支持部材から離隔する側が開口した箱形状を有しており、
前記移動機構が、前記吐出面に平行な方向における前記ヘッド保持部の側方において前記ヘッド保持部に連結されており、
前記吸引管は、前記直交方向において前記媒体支持部材側とは反対側から前記2つの液体吐出ヘッド間に向かって前記先端部が延びていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項10】
前記移動機構が、前記ヘッド保持部に支持されたラックと、前記ラックに噛合するピニオンとを有していることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の液体吐出装置。

【図9】
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【図10】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−111954(P2013−111954A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262954(P2011−262954)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】