説明

液体吐出装置

【課題】ヘッドの吐出面を覆うカバーを有する構成において、ヘッド間の距離を短くする。
【解決手段】カバー11a,11bはサイドプレート12a,12b等を介して支持体1a1に支持されている。支持体1a1は第1筐体に固定されており、第1筐体と共に移動する。第1筐体が近接位置から離隔位置に向けて回動する際、カバー11a,11bはそれぞれサイドプレート12a,12b等に支持されつつ、対応するヘッド10a,10bの吐出面10xを覆わない退避位置から吐出面10xを覆う保護位置に移動する。カバー11aの退避位置は対応するヘッド10aの左側(当該ヘッド10aとは別のヘッド10bから遠い側の側方)にあり、カバー11bの退避位置は対応するヘッド10bの右側(当該ヘッド10bとは別のヘッド10aから遠い側の側方)にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク等の液体を吐出する液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体吐出装置において、ヘッドの吐出面を、ユーザの手や異物から保護するため、カバーで覆うという技術が知られている(特許文献1参照)。
特許文献1によると、複数のヘッド101のそれぞれに対してカバー(キャップ102)が設けられている。複数のカバーは、対応するヘッドの吐出面を覆う保護位置と吐出面を覆わない退避位置とを取り得る。各カバーの退避位置は、対応するヘッドの、同じ側の側方にある(図8において、キャップ102はそれぞれ対応するヘッド101の左側の側方にある)。
【0003】
【特許文献1】特開2002−347255号公報(特に、図8)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1によると、少なくとも1つのカバーの退避位置がヘッド間に位置するため、ヘッド間の距離を短くすることができない。
ヘッド間の距離が長い場合、特に記録媒体の搬送方向下流側にあるヘッドから吐出される液体の記録媒体に対する着弾位置がずれ、画質が低下し易くなる。この問題は、記録媒体が斜行している場合に特に顕著になり得る。
【0005】
本発明の目的は、ヘッドの吐出面を覆うカバーを有する構成において、ヘッド間の距離を短くすることができる液体吐出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の観点によると、記録媒体に対して液体を吐出する複数の吐出口が開口した吐出面をそれぞれ有する2つのライン型のヘッドと、前記2つのヘッドのそれぞれに対して移動可能であり、当該移動によって対応する前記ヘッドの前記吐出面を覆う保護位置と前記吐出面を覆わない退避位置とを取り得る2つのカバーと、を備え、前記カバーの前記退避位置が、対応する前記ヘッドの、当該ヘッドとは別のヘッドから遠い側の側方にあることを特徴とする、液体吐出装置が提供される。
【0007】
上記観点によれば、ヘッドの吐出面を覆うカバーを有する構成において、ヘッド間の距離を短くすることができる。
【0008】
本発明に係る液体吐出装置は、第1筐体と、第2筐体と、を備え、前記第1筐体は、前記第2筐体に対して移動可能であり、当該移動によって前記第2筐体に近接した近接位置と前記近接位置のときよりも前記第2筐体から離隔した離隔位置とを取り得ると共に、前記2つのヘッドを収容してよい。この場合において、本発明に係る液体吐出装置は、前記第1筐体が前記近接位置にあるとき前記2つのカバーがそれぞれ前記退避位置を取り、前記第1筐体が前記離隔位置にあるとき前記2つのカバーがそれぞれ前記保護位置を取るように、前記第1筐体の移動に応じて前記2つのカバーをそれぞれ移動させる移動機構をさらに備えてよい。
この構成によれば、第1筐体が離隔位置にあるときに第1筐体と第2筐体との間に形成される空間を利用して、ユーザが手動でジャム処理(搬送経路における記録媒体の詰まりを解消する作業)を行うことができる。さらに、第1筐体の移動に応じてカバーを移動させる(即ち、カバーを第1筐体と連動させる)ことで、ヘッドの吐出面をユーザの手や異物から効果的に保護することができる。
【0009】
本発明に係る液体吐出装置は、前記2つのヘッド間に配置されたローラ対であって、前記第1筐体に取り付けられた第1ローラと前記第2筐体に取り付けられた第2ローラとから構成されるローラ対を含み、前記2つのヘッドの前記吐出面にそれぞれ対向する位置及び前記第1ローラと前記第2ローラとの間を通るように記録媒体を搬送する搬送手段を備えてよい。
本発明によれば、ヘッド間の空間をカバーの退避位置として確保する必要がないため、上記のように当該空間にローラ対を配置することができ、これにより搬送精度を高めることができる。さらに、ローラ対の第1ローラが第1筐体に取り付けられているので、第1筐体が近接位置から離隔位置に移動する際に、第1ローラも第1筐体と共に移動する。これにより、搬送経路が露出され、ジャム処理作業を容易に行うことができる。
【0010】
前記第1筐体は、前記2つのヘッドの並設方向と直交する方向に延在した回動軸を中心として、前記第2筐体に対して回動可能であり、前記移動機構は、前記第1筐体が前記近接位置から前記離隔位置に向けて回動する際、前記回動軸から遠い側のヘッドに対応する前記カバーが前記保護位置に到達するときの前記第1筐体と前記第2筐体とのなす角度が、前記回動軸に近い側のヘッドに対応する前記カバーが前記保護位置に到達するときの前記第1筐体と前記第2筐体とのなす角度よりも小さくなるように、前記2つのカバーをそれぞれ移動させてよい。
回動軸から遠い側のヘッドと回動軸に近い側のヘッドとにおいて、カバーの移動を上記のように異ならせることで、カバー(特に回動軸に近い側のヘッドに対応するカバー)が搬送経路に詰まった記録媒体を挟み込む問題、及び、ヘッド(特に回動軸から遠い側のヘッド)の吐出面にユーザの手が触れるという問題を、共に抑制することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、ヘッドの吐出面を覆うカバーを有する構成において、ヘッド間の距離を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係るインクジェット式プリンタを示す外観斜視図である。
【図2】プリンタの内部を示す概略側面図である。
【図3】ロック機構を示す正面図であり、(a)はロック機構による第1筐体の移動規制がなされている状態、(b)はロック機構による第1筐体の移動規制が解除された状態を示す。
【図4】第1筐体が近接位置から離隔位置に移動する際のカバーの動作を示す、プリンタの概略側面図であり、(a),(b),(c),(d)はそれぞれ第1筐体と第2筐体とのなす角度が0°,10°,13°,29°のときの状態を示す。
【図5】第1筐体が近接位置から離隔位置に移動する際のカバーの動作を示す、プリンタの概略側面図において中間部材の図示を省略した図であり、(a),(b),(c),(d)はそれぞれ第1筐体と第2筐体とのなす角度が0°,10°,13°,29°のときの状態を示す。
【図6】第1筐体と第2筐体とのなす角度と各カバーの回動角度との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0014】
先ず、図1及び図2を参照し、本発明の一実施形態に係るインクジェット式プリンタ1の全体構成について説明する。
【0015】
プリンタ1は、共に直方体形状で且つサイズが略等しい第1筐体1a及び第2筐体1bを有する。第1筐体1aは下面が開口し、第2筐体1bは上面が開口している。第1筐体1aが第2筐体1b上に重なり、互いの開口面を封止することで、プリンタ1内部の空間が画定される(図2参照)。
【0016】
第1筐体1aの天板上部には、排紙部31が設けられている。第1及び第2筐体1a,1bにより画定される空間には、給紙ユニット1cから排紙部31に向けて、図2に示す太矢印に沿って、用紙Pが搬送される搬送経路が形成されている。
【0017】
第1筐体1aは、その下端の一辺であるヒンジ部1hを中心として、第2筐体1bに対して回動可能である。当該回動によって、第1筐体1aは、第2筐体1bに近接した近接位置(図2に示す位置)と、近接位置のときよりも第2筐体1bから離隔した離隔位置(図1に示す位置)とを取り得る。第1筐体1aが離隔位置にあるとき、搬送経路の一部が露出され、第1筐体1aと第2筐体1bとの間にユーザの作業空間が確保される。ユーザは、当該作業空間を利用して、手動でジャム処理(搬送経路における用紙Pの詰まりを解消する作業)を行うことができる。
【0018】
第1筐体1aは、近接位置から離隔位置に向かう方向に、バネ等で付勢されている。第1筐体1aは、水平面に対して所定の角度まで開くことができ且つこれ以上開かないようにストッパ等で規制される。第1筐体1aの水平面に対する所定の角度とは、即ち、第1筐体1aと第2筐体1bとのなす角度θが所定の角度となる状態を示す。所定の角度とは、ユーザが第1筐体1aと第2筐体1bとの間に手を入れてジャム処理を行うことが出来る程度の作業空間が確保できる角度であり、本実施形態では29°である。
本実施形態において、近接位置は水平面に沿った位置、離隔位置は水平面に対して略29°傾斜した位置である。
【0019】
第1筐体1aの正面(図1の紙面左手前側の面)には、近接位置にある第1筐体1aの移動を規制(禁止)するロック機構70が設けられている。第2筐体1bの正面には、第1筐体1aの正面を覆う開閉可能な蓋1dが設けられている。蓋1dを開放することによってロック機構70が露出される。ロック機構70の構成については後に詳述する。
【0020】
第1筐体1aは、2つのヘッド、2つのヘッドにそれぞれ対応する2つのカートリッジ(図示略)、プリンタ1各部の動作を制御するコントローラ1p(図2参照)、搬送ユニット20の一部(図2参照)等を収容している。2つのヘッドは、図2に太矢印で示す用紙搬送方向の上流側から順に、前処理液を吐出するプレコートヘッド10a、及び、ブラックインクを吐出するインクジェットヘッド10bである。ヘッド10a,10bは、互いに同じ構造であり、第1筐体1a内においてヒンジ部1hの延在方向(主走査方向)と直交する方向(副走査方向)に並設されている。
【0021】
第2筐体1bは、各ヘッド10a,10bの下方に設けられた平板状のプラテン9a,9b、給紙ユニット1c、搬送ユニット20の一部等を収容している。
【0022】
なお、第1筐体1aには、各ヘッド10a,10bの吐出面10xを覆うカバー11a,11b、及び、カバー11a,11bを回動可能に支持する支持体1a1(共に図4参照)が取り付けられている。図1及び図2ではカバー11a,11b等の図示を省略している。カバー11a,11b等の構成については後に詳述する。
【0023】
各カートリッジは、対応するヘッド10a,10bに供給される前処理液又はブラックインク(以下、これらを「液体」と総称する。)を貯留している。前処理液は、インクの滲みや裏抜けを防止する機能、インクの発色性や速乾性を向上させる機能等を有する液体である。カートリッジ内の液体は、ポンプの駆動等により、対応するヘッド10a,10bに供給される。
【0024】
ヘッド10a,10bは、主走査方向に長尺なライン型であり、略直方体の外形形状を有する。ヘッド10a,10bは、副走査方向に互いに離隔し、フレーム3を介して第1筐体1aに支持されている。各ヘッド10a,10bの上面には、可撓性チューブが取り付けられるジョイントが設けられ、各ヘッド10a,10bの下面の吐出面10xには、多数の吐出口が開口している。各ヘッド10a,10bの内部には、チューブ及びジョイントを介して対応するカートリッジから供給された液体が吐出口に至るまでの流路が形成されている。
【0025】
コントローラ1pは、外部装置(プリンタ1に接続されたPC等)から供給された記録指令に基づいて、用紙Pに画像が記録されるよう、記録に係わる準備動作、用紙Pの供給・搬送・排出動作、用紙Pの搬送に同期した液体吐出動作等を制御する。
コントローラ1pは、演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)に加え、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory:不揮発性RAMを含む)、I/F(Interface)等を有する。ROMには、CPUが実行するプログラム、各種固定データ等が記憶されている。RAMには、プログラム実行時に必要なデータ(画像データ等)が一時的に記憶される。コントローラ1pは、I/Fを介して、外部装置とのデータ送受信等を行う。
【0026】
給紙ユニット1cは、給紙トレイ1c1及び給紙ローラ1c2を有する。このうち給紙トレイ1c1が第2筐体1bに対して副走査方向に着脱可能である。給紙トレイ1c1は、上面が開口した箱であり、複数種類のサイズの用紙Pを収容可能である。給紙ローラ1c2は、コントローラ1pの制御により回転し、給紙トレイ1c1の最も上方にある用紙Pを送り出す。
【0027】
プラテン9a,9bはそれぞれ、対応するヘッド10a,10bの吐出面10xに鉛直方向に対向して配置されている。プラテン9a,9bの表面は、対応するヘッド10a,10bの吐出面10xに対向しつつ用紙Pを裏面側から支持する支持面9xである。各ヘッド10a,10bは、記録が行われる際、吐出面10xと支持面9xとの間に記録に適した所定の間隙が形成されるよう、フレーム3に支持されている。
【0028】
搬送ユニット20は、ローラ対22,23,24,25,26,27、ガイド29a,29b,29c,29d,29e、及び、中間ローラ21を有する。
【0029】
搬送ユニット20の構成要素のうち、中間ローラ21、ローラ対24の上側ローラ24a、ローラ対26,27、及び、ガイド29d,29eは、第1筐体1aに取り付けられ(支持され)ている。ローラ対22,23,25、ローラ対24の下側ローラ24b、及び、ガイド29a,29b,29cは、第2筐体1bに取り付けられ(支持され)ている。
【0030】
ローラ対22〜27は、給紙ユニット1cから排紙部31に向かう搬送経路を形成するよう、搬送方向上流側からこの順で配置されている。ローラ対23〜25の下側ローラ23b,24b,25bは、搬送モータ(図示略)に接続されており、コントローラ1pによる搬送モータの駆動制御によって回転する駆動ローラである。ローラ対23〜25の上側ローラ23a,24a,25aは、従動ローラである。また、各ローラ対26,27において、一方のローラは駆動ローラであり、他方のローラは従動ローラである。また、ローラ対23〜25の下側ローラ23b〜25bは外周にゴム層が設けられたゴムローラであるのに対し、ローラ対23〜25の上側ローラ23a〜25a及び中間ローラ21は外周に複数の突起を有する金属層が設けられた拍車ローラである。
【0031】
ガイド29a〜29eは、搬送経路を形成するよう、搬送方向上流側からこの順で、給紙ユニット1cとローラ対22との間、各ローラ対間等に、配置されている。各ガイド29a〜29eは、互いに面方向に離隔配置された一対の板からなる。
【0032】
中間ローラ21は、ヘッド10aとローラ対24との間の、搬送経路に対して上側の位置に配置されている。言い換えると、中間ローラ21は、ヘッド10aとローラ対24との間の、用紙Pの表面(画像が記録される記録面)に対向する位置に配置されている。
【0033】
給紙ユニット1cから送り出された用紙Pは、ローラ対22〜27に挟持されつつ、ガイド29a〜29eの板間を通って、搬送方向に搬送される。
【0034】
用紙Pが支持面9x上に支持されつつヘッド10a,10bの真下を順次通過する際に、コントローラ1pの制御により各ヘッド10a,10bが駆動し、各吐出面10xの吐出口から用紙Pの表面に向けて液体が吐出される。各吐出面10xの吐出口から用紙Pの表面に向けて液体が吐出されることで、用紙P上に画像が形成される。吐出口からの液体吐出動作は、用紙センサ32からの検出信号に基づき、コントローラ1pによる制御の下で行われる。用紙Pは、その後上方に搬送され、第1筐体1a上部に形成された開口30から排紙部31に排出される。
【0035】
次いで、図3を参照し、ロック機構70の構成について説明する。
【0036】
ロック機構70は、円柱状の回転部材71と、2つの連動部材73a,73bと、2つの揺動部材74a,74bと、2つのバネ76a,76bと、2つの固定部材75a,75bとを含む。連動部材73a,73bの長手方向一端はそれぞれ回転部材71の周面に連結されている。揺動部材74a,74bにはそれぞれ、回転部材71aから離れる方向に開口する凹部74c,74dが形成されている。固定部材75a,75bには、凹部74c,74dのそれぞれに挿入可能な軸部材75c,75dが設けられている。なお、揺動部材74a,74bの揺動軸は第1筐体1aに固定されている。バネ76a,76bは、回転部材71aに近い側の一端がそれぞれ第1筐体1aに固定されている。また、固定部材75a,75bは、第2筐体1bにそれぞれ固定されている。
【0037】
回転部材71の正面には、棒状のツマミ72が固定されている。ツマミ72は、回転部材71と一体に回転する。バネ76a,76bはそれぞれ揺動部材74a,74bの上端を回転部材71に近づく方向に付勢している。これにより、外力が付加されない状況において、ロック機構70の各部は、図3(a)に示すようにツマミ72が鉛直方向に延在した状態で、静止している。
【0038】
図3(a)に示す状態では、凹部74c,74dが、軸部材75c,75dにそれぞれ係合している。この係合によって、近接位置にある第1筐体1aが離隔位置に向かって回動しないように、第1筐体1aの移動が規制されている。ユーザがバネ76a,76bの付勢力に抗してツマミ72を時計回りに回転させると、図3(b)に示すように、凹部74c,74dが軸部材75c,75dから外れる。これにより、第1筐体1aの移動規制が解除される。
【0039】
第1筐体1aが離隔位置から近接位置に戻されると、凹部74c,74dと軸部材75c,75dとの係合が復帰される。これにより、再びロック機構70によって第1筐体1aの移動が規制される。
【0040】
次いで、図4〜図6を参照し、カバー11a,11bの構成及び動作について説明する。
【0041】
図4に示すように、カバー11a,11bは、サイドプレート12a,12bを介して、支持体1a1に支持されている。支持体1a1は、サイドプレート12a,12b及び中間部材13a,13bの他、フレーム3を支持している。フレーム3は、ヘッド10a,10bを支持している。
【0042】
カバー11a,11bは、主走査方向に長尺な略矩形状の板状の部材である。カバー11a,11bの主走査方向の長さは、それぞれヘッド10a,10bの吐出面10xの主走査方向の長さよりも長い。カバー11a,11bの副走査方向の長さは、それぞれヘッド10a,10bの副走査方向の長さよりも若干短い。カバー11a,11bは、それぞれヘッド10a,10bに対して移動可能であり、当該移動によって対応するヘッド10a,10bの吐出面10xを覆う保護位置(図4(d)に示す位置)と吐出面10xを覆わない退避位置(図4(a)に示す位置)とを取り得る。図4(a)に示すように、カバー11aの退避位置は対応するヘッド10aの左側にあり、カバー11bの退避位置は対応するヘッド10bの右側にある。
【0043】
カバー11a,11bは、保護位置(図4(d)参照)では吐出面10xに直交する方向に関して吐出面10xに対向し、退避位置(図4(a)参照)では吐出面10xに直交する方向に関して吐出面10xに対向しない。
【0044】
カバー11a,11bは、第1筐体1aが近接位置にあるとき退避位置を取り(図4(a)参照)、第1筐体1aが離隔位置にあるとき保護位置を取る(図4(d)参照)ように、第1筐体1aの移動に応じて移動する。サイドプレート12a,12b、中間部材13a,13b、ねじりコイルばね13a4,13b4、及び、第2筐体1bに形成されたガイド部14a,14bは、このような移動を実現するための移動機構として機能する。
【0045】
サイドプレート12a,12bは、カバー11a,11bの主走査方向両端に固定されていると共に、軸12a1,12b1を介して支持体1a1に回転可能に支持されている。即ち、カバー11a,11bは軸12a1,12b1を中心として支持体1a1に対して回動可能である。
【0046】
サイドプレート12a,12bは、主走査方向外側に突出したピン12a2,12b2を有する。ピン12a2,12b2は、中間部材13a,13bに形成された長孔13a2,13b2に挿入されている。ピン12a2,12b2の先端は、長孔13a2,13b2外に配置されており、長孔13a2,13b2の幅よりも一回り大きい径を有する。このようにピン12a2,12b2の先端が拡径されていることにより、ピン12a2,12b2の長孔13a2,13b2からの脱落が防止され、中間部材13a,13bとサイドプレート12a,12bとの係合が保持されている。
【0047】
中間部材13a,13bは、ピン12a2,12b2を介してサイドプレート12a,12bと係合していると共に、軸13a1,13b1を介して支持体1a1に回転可能に支持されている。中間部材13a,13bは、サイドプレート12a,12b(ピン12a2,12b2を除く)よりも主走査方向外側にある。中間部材13a,13bの軸13a1,13b1は、それぞれ対応するサイドプレート12a,12bの軸12a1,12b1よりも、支持体1a1の副走査方向中央に近い位置にあり、中間部材13a,13bの回動半径はサイドプレート12a,12bの回動半径よりも大きい。
【0048】
中間部材13a,13bは、軸13a1,13b1が設けられた一端と軸13a1,13b1から離隔した他端13a3,13b3とを含む長尺な部材であり、他端13a3,13b3とガイド部14a,14bとの当接状態に応じて、軸13a1,13b1を中心として回動する。
【0049】
ねじりコイルばね13a4,13b4は、中間部材13a,13bの軸13a1,13b1に取り付けられている。より具体的には、ねじりコイルばね13a4,13b4は、中間部材13a,13bの軸13a1,13b1を案内棒として取り付けられている。ねじりコイルばね13a4,13b4の一端は支持体1a1に固定されており、ねじりコイルばね13a4,13b4の他端は、中間部材13a,13bに固定されている。これにより、中間部材13a,13bには、図4において反時計回り方向及び時計回り方向の付勢力がそれぞれ付与されている。即ち、ねじりコイルばね13a4,13b4による付勢力によって、カバー11a,11bがそれぞれ退避位置から保護位置に向けて付勢されている。
【0050】
ガイド部14a,14bは、第2筐体1bの上端面に設けられた、板状の突出部である。ガイド部14a,14bは主走査方向から見て共に略矩形状である。ガイド部14aの上端面は水平に延在しているのに対し、ガイド部14bの上端面は、頂部を境に水平面に対して互いに逆向きに傾斜した2つの傾斜部を有する、山形形状である。
【0051】
なお、サイドプレート12a,12b、中間部材13a,13b、及びガイド部14a,14bは、カバー11a,11bの主走査方向両端に設けられている。即ち、図4及び図5にはカバー11a,11bの主走査方向一端側の構成のみが示されているが、カバー11a,11bの主走査方向他端側も同様の構成である。
【0052】
続いて、第1筐体1aが近接位置から離隔位置に移動する際の、中間部材13a,13b、サイドプレート12a,12b、及びカバー11a,11bの動作について、具体的に説明する。
第1筐体1aは、ユーザにより持ち上げられることで、近接位置(図2参照)から離隔位置(図1参照)に移動する。このとき、支持体1a1は第1筐体1aと共に移動する。
【0053】
第1筐体1aが近接位置にあるとき、第1筐体1aと第2筐体1bとのなす角度θは0°である(図4(a)及び図5(a)参照)。このとき、中間部材13a,13bは、他端13a3,13b3がガイド部14a,14bの上端面に当接した状態で、静止している。サイドプレート12a,12bは、ピン12a2,12b2を介して中間部材13a,13bに係合した状態で、静止している。
【0054】
第1筐体1aが近接位置から離隔位置に向けて移動すると、支持体1a1とガイド部14a,14bとの距離が大きくなる。このとき、中間部材13a,13bは、軸13a1,13b1にねじりコイルばね13a4,13b4による付勢力が働いているため、他端13a3,13b3がガイド部14a,14bと当接したまま、回動する。つまり、中間部材13a,13bは、他端13a3,13b3とガイド部14a,14bの上端面との当接状態に応じて、軸13a1,13b1を中心として、それぞれ図4において反時計回り及び時計回りに回動する。サイドプレート12a,12bは、中間部材13a,13bの回動に応じて、ピン12a2,12b2が長孔13a2,13b2内を移動することで、軸12a1,12b1を中心として、それぞれ図5において反時計回り及び時計回りに回動する。
【0055】
角度θが0°から10°に至るまでの過程において、中間部材13bの他端13b3は、ガイド部14bの上端面の図4及び図5の右側傾斜部に当接しつつ右側傾斜部に沿って頂部に向かって移動する。
【0056】
角度θが10°のとき(図4(b)参照)、カバー11aは保護位置に到達しているが、カバー11bは未だ保護位置に到達していない。
【0057】
角度θが10°から13°に至るまでの過程において、中間部材13aの他端13a3は、ガイド部14aから離隔する。中間部材13bの他端13b3は、ガイド部14bの上端面の図4及び図5の左側傾斜部に当接しつつ、頂部から離隔する方向に、左側傾斜部に沿って移動する。
【0058】
角度θが13°のとき(図4(c)参照)、カバー11aは保護位置に到達しているが、カバー11bは未だ保護位置に到達していない。
【0059】
角度θが13°から29°に至るまでの過程において、中間部材13bの他端13b3は、ガイド部14bから離隔する。
【0060】
角度θが29°のとき(図4(d)及び図5(d)参照)、即ち第1筐体1aが離隔位置にあるとき、カバー11a,11bは共に保護位置に到達している。
角度θが0°から29°に至るまでの過程において、カバー11a,11bは図5(a)〜(d)に示すように退避位置から保護位置に移動する。
【0061】
図6に示すように、本実施形態において、カバー11a,11bの退避位置から保護位置に至るまでの回動角度は100°である。カバー11aの退避位置から保護位置に至るまでの回動角度とは、図5(d)に示す角度Aであり、カバー11bの退避位置から保護位置に至るまでの回動角度とは、図5(d)に示す角度Bである。つまり、本実施形態において、角度A及び角度Bは共に100°である。ここで、角度Aは、仮想線L1と仮想線L3とのなす角であり、角度Bは、仮想線L2と仮想線L4とのなす角である。仮想線L1は、角度θが0°のときの、サイドプレート12aの軸12a1とサイドプレート12aのピン12a2とを結ぶ線である。仮想線L3は、角度θが29°のときの、サイドプレート12aの軸12a1とサイドプレート12aのピン12a2とを結ぶ線である。仮想線L2は、角度θが0°のときの、サイドプレート12bの軸12b1とサイドプレート12bのピン12b2とを結ぶ線である。仮想線L4は、角度θが29°のときの、サイドプレート12bの軸12b1とサイドプレート12bのピン12b2とを結ぶ線である。
カバー11aは角度θが10°のときに保護位置に到達するのに対し、カバー11bは角度θが15°のときに保護位置に到達する。
角度θに対するカバー11a,11bの回動角度の変化量(図6のグラフの傾き)は、カバー11bでは、角度θが0°〜13°でV1、角度θが13°〜15°でV2(>V1)、角度θが15°を超えると0である。カバー11aでは、角度θが0°〜10°でV3(>V1)、角度θが10°を超えると0である。
【0062】
角度θが0°から29°に至るまでの過程において、カバー11a,11bが保護位置に到達した後は、当該カバー11a,11b、及び、当該カバー11a,11bに対応する中間部材13a,13bとサイドプレート12a,12bは、支持体1a1及び第1筐体1aに対して移動せず、支持体1a1及び第1筐体1aに対して保持されたまま、支持体1a1及び第1筐体1aと共に移動する。言い換えると、角度θが0°から29°に至るまでの過程において、カバー11aでは角度θが10°を超えた後、カバー11aでは角度θが15°を超えた後は、当該カバー11a,11b、及び、当該カバー11a,11bに対応する中間部材13a,13bとサイドプレート12a,12bは、支持体1a1及び第1筐体1aに対して移動せず、支持体1a1及び第1筐体1aに対して保持されたまま、支持体1a1及び第1筐体1aと共に移動する。
【0063】
第1筐体1aが離隔位置から近接位置に移動する際の、中間部材13a,13b、サイドプレート12a,12b、及びカバー11a,11bの動作は、上述した第1筐体1aが近接位置から離隔位置に移動する際の動作と逆の動作となる。
【0064】
以上に述べたように、本実施形態に係るプリンタ1によると、図4(a)及び図5(a)に示すように、カバー11aの退避位置は対応するヘッド10aの左側(当該ヘッド10aとは別のヘッド10bから遠い側の側方)にあり、カバー11bの退避位置は対応するヘッド10bの右側(当該ヘッド10bとは別のヘッド10aから遠い側の側方)にある。これにより、ヘッド10a,10b間の距離を短くすることができる。
【0065】
また、ヘッド10a,10b間に部材(フレーム3や吸引ダクト等)を設ける必要がある場合に、カバー11a,11bの退避位置がヘッド10a,10b間にあると、カバー11a,11bの存在が障害となって、部材の配置が困難になり得る。しかし本実施形態によれば、カバー11a,11bの退避位置がヘッド間10a,10bにないため、部材の配置を容易に行うことができる。
【0066】
カバー11a,11bは、移動機構(サイドプレート12a,12b、中間部材13a,13b、ねじりコイルばね13a4,13b4、及びガイド部14a,14b)によって、第1筐体1aが近接位置にあるとき退避位置を取り(図4(a)参照)、第1筐体1aが離隔位置にあるとき保護位置を取る(図4(d)参照)ように、構成されている。
これにより、第1筐体1aが離隔位置にあるときに第1筐体1aと第2筐体1bとの間に形成される空間を利用して、ユーザが手動でジャム処理を行うことができる。さらに、第1筐体1aの移動に応じてカバー11a,11bを移動させる(即ち、カバー11a,11bを第1筐体1aと連動させる)ことで、ヘッド10a,10bの吐出面10xをユーザの手や異物から効果的に保護することができる。
【0067】
また、移動機構は、電気的な機構ではなく、機械的な機構である。移動機構として電気的な機構を用いた場合、移動機構の構成が複雑になる、電源を投入しないと動作しない等の問題が生じ得る。これに対し、本実施形態では、移動機構として機械的な機構を用いているため、移動機構の構成が簡素化し、電源を投入しなくても動作するという効果が得られる。
【0068】
また、移動機構として、カバー11a,11bの回動半径よりも大きい回動半径を有する中間部材13a,13bを設けたことで、中間部材13a,13bが無い場合に比べ、カバー11a,11bの回動角度を効果的に大きくすることができる。
【0069】
ヘッド10a,10b間の空間をカバー11a,11bの退避位置として確保する必要がないため、当該空間にローラ対24を配置することができ、これにより搬送精度を高めることができる。仮に、ローラ対24を省略した場合、用紙Pは、ヘッド10a,10bよりも搬送方向上流側に配置されたローラ対23及び/又はヘッド10a,10bよりも搬送方向下流側に配置されたローラ対25によって搬送されつつ、ヘッド10a,10bの吐出面10xと対向する位置(記録位置)を通ることとなる。ヘッド10a,10b間にローラ対24がないと、ローラ対23,25間の距離が大きくなる。すると、ローラ対23だけに挟持され片持ち状態となった用紙Pにおけるローラ対23よりも搬送方向下流側の部分の長さが長くなり、当該部分が上方に浮く問題、さらに当該部分が上方に浮くことによりヘッド10a,10bの吐出面10xに接触する問題が生じ得る。また、ローラ対25だけに挟持され片持ち状態となった用紙Pにおけるローラ対25よりも搬送方向上流側の部分においても、上記問題が生じ得る。しかし本実施形態では、ヘッド10a,10b間にローラ対24が配置されている。そのため、ローラ対23に挟持された用紙Pにおけるローラ対23よりも搬送方向下流側の部分が、ローラ対24に挟持される。また、ローラ対25に挟持された用紙Pにおけるローラ対25よりも搬送方向上流側の部分が、ローラ対24に挟持される。これにより、記録位置を通る用紙Pが挟持され得るローラ対間の距離を短くすることができるため、上記問題が抑制され、ひいては搬送精度が向上する。なお、当該問題は、本実施形態のようなローラ搬送の構成において、特に吐出面10xの搬送方向の長さが長いライン型のヘッドを搬送方向に複数個並設した場合に、顕著になり得る。吐出面10xの搬送方向の長さは、ヘッドの小型化のためには短い方が好ましいが、画質向上の目的で吐出口の数を増加させた場合に、長くなる傾向にある。
しかも、ローラ対24の上側ローラ24aが第1筐体1aに取り付けられているので、第1筐体1aが近接位置から離隔位置に移動する際に、上側ローラ24aも第1筐体1aと共に移動する。これにより、搬送経路が露出され、ジャム処理作業を容易に行うことができる。
【0070】
また、ローラ対24は、用紙Pがヘッド10bの吐出面10xに接触するのを防止するため、用紙Pがプラテン9bの支持面9xに押し付けられるよう、斜め下方に用紙Pを搬送するように構成されている。そのため、ローラ対24に挟持された用紙Pにおけるローラ対24よりも搬送方向上流側の部分が、上方に浮き、ヘッド10aの吐出面10xに接触し得る。
しかしながら、ヘッド10aとローラ対24との間に中間ローラ21が配置されているため、たとえ用紙Pが浮いたとしても、用紙Pの浮いた部分が中間ローラ21によって抑えられる。これにより、用紙Pとヘッド10aの吐出面10xとの接触、ひいては用紙Pの汚れやヘッド10aの損傷を抑制することができる。
【0071】
しかも、中間ローラ21も、ローラ対24の上側ローラ24aと同様、第1筐体1aに取り付けられている。そのため、第1筐体1aが近接位置から離隔位置に移動する際に、中間ローラ21及び上側ローラ24aは第1筐体1aと共に移動する。これにより、搬送経路が露出され、ジャム処理作業をより一層容易に行うことができる。
【0072】
また、ローラ対23〜25の上側ローラ23a〜25a及び中間ローラ21は、記録直後の用紙Pの記録面に接触し得るものであり、記録面に対するこれらローラの接触によって、画像の乱れが生じ得る。そこで本実施形態では、これらローラを全て拍車ローラとしている。これにより、用紙Pの記録面がこれらローラに接触したとしても、記録面に対するローラの接触領域が小さくなり(ローラは記録面に点接触することになり)、画像の乱れが抑制される。
【0073】
第1筐体1aが近接位置から離隔位置に向けてヒンジ部1hを回動軸として回動する際、ヒンジ部1hから遠い側のヘッド10aに対応するカバー11aが保護位置に到達するときの角度θ(10°)は、ヒンジ部1hに近い側のヘッド10bに対応するカバー11bが保護位置に到達するときの角度θ(15°)よりも小さい(図6参照)。
回動軸となるヒンジ部1hから遠い側のヘッド10aとヒンジ部1hに近い側のヘッド10bとにおいて、カバー11a,11bの移動を上記のように異ならせることで、カバー11a,11b(特にヒンジ部1hに近い側のヘッド10bに対応するカバー11b)が搬送経路に詰まった用紙Pを挟み込む問題、及び、ヘッド10a,10b(特にヒンジ部1hから遠い側のヘッド10a)の吐出面10xにユーザの手が触れるという問題を、共に抑制することができる。
【0074】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。
【0075】
カバーについて:
・カバーの吐出面と対向する部分に、液体を吸収するスポンジ等を設けてよい。この場合、吐出口から漏出した液体の液体吐出装置内への飛散を抑制することができる。
・カバーは、吐出面の全体を覆ってもよいし、吐出面の一部を覆ってもよい。
【0076】
カバーの移動機構について:
・移動機構は、上述の実施形態ではサイドプレート12a,12b、中間部材13a,13b、ねじりコイルばね13a4,13b4、及びガイド部14a,14bを例示したが、その他様々な機構であってよい。サイドプレート12a,12b、中間部材13a,13b、ねじりコイルばね13a4,13b4、及びガイド部14a,14bの形状等を任意に変更してよい。例えば、中間部材13a,13bを省略し、サイドプレート12a,12bを中間部材として機能させてよい(即ち、サイドプレート12a,12bがガイド部14a,14bと直接当接し、これらの当接状態に応じてカバー11a,11bが移動する構成であってもよい)。また、移動機構は、機械的な機構に限定されず、電気的な機構であってもよい。
・カバーの回動角度は、上述の実施形態では100°としているが、特に限定されない。また、2つのカバーの回動角度が互いに異なってもよい。
・カバーが保護位置に到達するときの第1筐体と第2筐体とのなす角度が、カバー毎に異なってもよいし同じであってもよい。
・第1筐体が近接位置から離隔位置に向けて回動する際に、第1筐体と第2筐体とのなす角度に対するカバーの移動量が、段階的に変化せず、一定であってもよい。
・移動機構は、カバーを回動させることに限定されず、カバーを一方向(例えば鉛直方向又は水平方向)に沿って移動させてもよい。
・移動機構は、第1筐体の移動に応じてカバーを移動させるのではなく、第1筐体の移動とは独立してカバーを移動させてよい。
【0077】
筐体について:
・第1筐体は、ユーザの手動によらず、コントローラが機械的な機構を制御することで、近接位置と離隔位置との間を移動してもよい。
・第1筐体は、第2筐体に対して回動可能であることに限定されず、例えば鉛直方向又は水平方向に移動してもよい。
・液体吐出装置は、第1及び第2筐体という分割式の筐体ではなく、単一の筐体を有してもよい。
【0078】
搬送手段について:
・ヘッド間に配置されたローラ対の両方のローラを第2筐体に取り付けてもよい。
・ヘッド間に配置されたローラ対を省略してもよい。
・中間ローラ21を省略してもよい。
・記録直後の記録媒体の記録面に接触し得るローラを拍車ローラとしなくてもよい。
【0079】
ヘッドは、前処理液やインク以外の任意の液体を吐出してよい。
【0080】
記録媒体は、用紙Pに限定されず、記録可能な任意の媒体であってよい。
【0081】
本発明は、プリンタに限定されず、ファクシミリやコピー機等にも適用可能である。
【符号の説明】
【0082】
1 インクジェット式プリンタ(液体吐出装置)
1a 第1筐体
1b 第2筐体
1h ヒンジ部(回転軸)
10a,10b ヘッド
10x 吐出面
11a,11b カバー
12a,12b サイドプレート(移動機構)
13a,13b 中間部材(移動機構)
13a4,13b4 ねじりコイルばね(移動機構)
14a,14b ガイド部(移動機構)
20 搬送ユニット(搬送手段)
24 ローラ対(ローラ対)
24a 上側ローラ(第1ローラ)
24b 下側ローラ(第2ローラ)
P 用紙(記録媒体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に対して液体を吐出する複数の吐出口が開口した吐出面をそれぞれ有する2つのライン型のヘッドと、
前記2つのヘッドのそれぞれに対して移動可能であり、当該移動によって対応する前記ヘッドの前記吐出面を覆う保護位置と前記吐出面を覆わない退避位置とを取り得る2つのカバーと、を備え、
前記カバーの前記退避位置が、対応する前記ヘッドの、当該ヘッドとは別のヘッドから遠い側の側方にあることを特徴とする、液体吐出装置。
【請求項2】
第1筐体と、
第2筐体と、を備え、
前記第1筐体は、前記第2筐体に対して移動可能であり、当該移動によって前記第2筐体に近接した近接位置と前記近接位置のときよりも前記第2筐体から離隔した離隔位置とを取り得ると共に、前記2つのヘッドを収容し、
前記第1筐体が前記近接位置にあるとき前記2つのカバーがそれぞれ前記退避位置を取り、前記第1筐体が前記離隔位置にあるとき前記2つのカバーがそれぞれ前記保護位置を取るように、前記第1筐体の移動に応じて前記2つのカバーをそれぞれ移動させる移動機構をさらに備えたことを特徴とする、請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記2つのヘッド間に配置されたローラ対であって、前記第1筐体に取り付けられた第1ローラと前記第2筐体に取り付けられた第2ローラとから構成されるローラ対を含み、前記2つのヘッドの前記吐出面にそれぞれ対向する位置及び前記第1ローラと前記第2ローラとの間を通るように記録媒体を搬送する搬送手段を備えたことを特徴とする、請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記第1筐体は、前記2つのヘッドの並設方向と直交する方向に延在した回動軸を中心として、前記第2筐体に対して回動可能であり、
前記移動機構は、前記第1筐体が前記近接位置から前記離隔位置に向けて回動する際、前記回動軸から遠い側のヘッドに対応する前記カバーが前記保護位置に到達するときの前記第1筐体と前記第2筐体とのなす角度が、前記回動軸に近い側のヘッドに対応する前記カバーが前記保護位置に到達するときの前記第1筐体と前記第2筐体とのなす角度よりも小さくなるように、前記2つのカバーをそれぞれ移動させることを特徴とする、請求項2又は3に記載の液体吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−49185(P2013−49185A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188250(P2011−188250)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】