説明

液体吸収性内層、抗菌物質および不透過性外層を含むフィルム

吸着された抗菌物質入り液体吸収性層および不透過性層を含むフィルムが提供される。フィルムは、食料用のケーシングなどのチューブ状ケーシングおよびシュリンクバッグの製造に好適であり得る。抗菌物質を含むチューブ状ケーシング中で加工された食料もまた開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食料を含有するためのケーシング、熱成形パウチおよびシュリンクバッグの製造用フィルム中へ抗菌性添加剤を組み込むために使用することができるものなどの、食料を包装するのにおよび/または食料を包むために使用できるフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
肉製品の食品安全性は、近年ずっと、食品媒介病原体による生鮮肉およびインスタント食肉での汚染の幾つかの広く報道された発生と共に増大する懸念の対象であった。1999年研究で、米国疾病対策センター(US Center for Disease Control)は、食品媒介疾病が米国で毎年約7600万の病気、32.5万の入院および5000の死亡を引き起こすと推定した。1999年FDA文献調査は、動物製品中に見いだされる7つの病原体に起因する食品媒介病気の年間コストが65億〜350億米国ドルに達することを指摘した。報告システムを持った諸国は、1975年から1998年の期間中に汚染、微生物の生残りおよび微生物増殖に起因する食品媒介疾病の発生率の著しい増加を文書化してきた。
【0003】
デリミート、ソーセージ、およびホットドッグなどの加工インスタント食肉および鶏肉食品のケースでは、調理および他の加工(キュアリング、発酵、乾燥など)後の再汚染がさらなる取扱い、剥離、スライス化および再包装のために起こることがある。リステリア・ノモサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、高い耐熱性および耐塩性を持ったならびに冷凍条件で増殖できる病原体の防除が特に関心を集めている。他の病原体には、サルモネラ種(Salmonella species)、大腸菌(Escherichia coli)、および黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)が含まれる。
【0004】
食品工業は照射、低温殺菌、高圧処理、および抗菌剤の使用による様々なやり方で対応してきた。例えば、米国特許第6,451,365B1号明細書、米国特許第5,573,797号明細書、米国特許第6,172,040B1号明細書、米国特許出願公開第2004/0043922A1号明細書および米国特許出願公開第2003/0091612号明細書を参照されたい。一般に、フィルム上への抗菌組成物のコーティングはフィルム表面の化学処理またはコロナ処理なしに有効に達成することが困難である。食料のための当該抗菌システムのほとんどは塗布のために水性媒体を使用するので、セルロース系フィルムは35重量%以下の水を吸収することができ、それは抗菌物質の送達に有用な特性である。かかるフィルムまたはケーシングは抗菌溶液をその表面上に吸収するかもしれないが、それらは十分なバリアを持たず、そしてまたそれらは食品パッケージへヒートシールすることもできない。それ故、食料はある時点で取り出されて酸素またはガスバリア性を提供するが抗菌保護を持たない他のプラスチックバリアパッケージング中へ入れられなければならない。
【0005】
本発明は、封入食料に抗菌物質を送達することができる内部水吸収性ポリマー層入り多層プラスチック包装フィルムの使用を提供する。かかるフィルムは、小売りレベルまでの流通網の様々な段階を通じて保護機能を果たすかもしれず、多層パッケージングの他の層は包装フィルムの望ましい特性(バリア性、耐乱用性、成形性など)を有する。かかるフィルムはまた食肉を調理するために使用することができ、次にパッケージ中で出荷することができる。かかるフィルムは、加工肉および生鮮肉および製品(例えば、ベーコン、ケースレディー生肉、付加価値食肉、魚、または農産物)を包装するために使用することができる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、(i)内層、(ii)少なくとも1つの抗菌物質、および(iii)外層を含むフィルムであって、該内層が食肉に抗菌物質を与えるために有用な液体吸収性層であることができ、溶液が吸収性内層に吸着され、そして該外層が不透過性バリア層であることができ、該内層がブロックコポリエーテルエステルポリマー、ブロックコポリエーテルアミドポリマー、またはそれらの組み合わせをはじめとするポリマーを含むまたはそれから製造されることができ、該外層が少なくとも1つのポリマー層および場合により少なくとも1つのタイ層を含むまたはそれらから製造された単一フィルム層、またはラミネートもしくは多層フィルムであることができ、そして該ポリマー層がポリアミド、エチレン・ビニルアルコールコポリマー、ポリ塩化ビニリデン、ポリオレフィン、またはそれらの2つもしくはそれ以上の組み合わせをはじめとするポリマーを含むまたはそれから製造されるフィルムを包含する。
【0007】
本発明はまた、内層が抗菌物質を食肉にむらなく与えることができる、上に開示されたフィルムを含むまたはそれから製造されたフィルムを含むチューブ状ケーシングまたはシュリンクバッグまたは熱成形可能なパウチを包含する。
【0008】
本発明はまた、上に開示されたようなものであることができる、フィルムを製造する工程と、該フィルムを少なくとも1つの抗菌剤を含む溶液と接触させて抗菌性フィルムを製造する工程と、場合により該抗菌性フィルムを洗浄する工程と、該抗菌性フィルムを食料と接触させて抗菌性フィルムと接触した食料を製造する工程と、場合により食料を加熱する工程とを含む、食料を加工するために用いることができる方法を包含する。
【0009】
本発明はまた、フィルムを使用して抗菌物質または抗菌剤で処理された食料を包含する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
内層は、外側バリア層以外の任意の層であることができる。例えば、内層は最内層(ケーシング内部に置かれた食料と直接接触することができる層)または吸収性内層(最内層と外側バリア層との間に配置された任意の層)であることができる。外層は食料から最も遠い層である。
【0011】
吸収性層に使用されるポリマーは親水性で、かつ、吸湿性であることができる。コポリエーテルエステル(PEPE)は熱可塑性ポリマーであることができ、標準方法ISO11443に従って測定される際に、約20パスカル秒(Pa・s)〜約3000Pa・s、約40〜約1000Pa・s、または約50〜約700Pa・sの範囲の粘度を有することができる。
【0012】
PEPEは、標準ISO3146に従って示差走査熱量測定(DSC)によって測定される際に、120℃より高いまたは約120℃〜約220℃の範囲の融点を有することができる。
【0013】
コポリエーテルエステルは米国特許第4,725,481号明細書に記載されている。好ましくは、PEPEは、頭−尾エステル結合によってランダムに結合している多数の繰り返し長鎖エステル単位と短鎖エステル単位とを有する。
【0014】
繰り返し長鎖エステル単位は式(I)([A−O−G−OC(O)−R−C(O)−A])によって表すことができ、繰り返し短鎖エステル単位は式(II)([A−O−D−OC(O)−R−C(O)−A])を有することができ、式中、「A」は、コポリエーテルエステルポリマーの残った不特定部分を示し、Gは、約400〜約3500、好ましくは約1000〜約2500の範囲の分子量を有するポリ(アルキレンオキシド)グリコールからの末端ヒドロキシル基の除去後に残る二価基であり、Rは、約300未満の分子量を有するジカルボン酸からの両カルボン酸基の除去後に残る二価基であり、そしてDは約250未満の分子量を有するジオールからのヒドロキシル基の除去後に残る二価基である。短鎖エステル単位(II)は、ジオールとジカルボン酸とのエステル化反応から得られる反応生成物であることができる。
【0015】
エステル単位は、それが末端エステル単位でない場合、そしてさらにエステル単位が末端単位である場合には式Iまたは式II中の不特定部分の1つは長鎖エステル単位または短鎖エステル単位以外の置換基であるという条件で、両端で長鎖エステル単位、または両端で短鎖エステル単位に、または一端で長鎖エステル単位に、そして他端で短鎖エステル単位に結合することができる。用語「末端」は、ポリマー技術では慣習的である意味を有するエステル単位を言う、すなわち、ポリマー鎖の末端のエステル単位を言う。
【0016】
PEPEは、ASTM D6701−01に従って測定される際に少なくとも約1200(または約1200〜約20000)g・25μ/m2・24時間の水蒸気透過速度を有することができる。
【0017】
コポリエーテルエステルを製造するために使用されるポリ(アルキレンオキシド)グリコールは、ポリ(プロピレンエーテル)グリコールおよび/またはポリ(エチレンエーテル)グリコールであることができる。エチレンオキシド基をPEPE中へ組み込むことができる。長鎖グリコール(すなわち、400より大きい分子量を有するグリコール)は、コポリエーテルエステルがコポリエーテルエステルの総重量を基準にして約5〜約68重量%、15〜約68重量%、または約20〜約55重量%のエチレンオキシド単位を組み込むように十分なエチレンオキシドを含むことができる。コポリエーテルエステルに組み込まれたエチレンオキシド基についての言及は、総コポリエーテルエステルでの長鎖エステル単位中の(−CH2−CH2−O−)基の重量%を記載する。
【0018】
ポリマー中のエチレンオキシド基の量を測定するためにカウントされるPEPE中のエチレンオキシド基は、ポリ(アルキレンオキシド)グリコールに由来するものであり、低分子量ジオールを用いてコポリエーテルエステル中へ導入されたエチレンオキシド基に由来するものではない。
【0019】
長鎖グリコールには、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシド−キャップド・ポリ(プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(エチレンオキシド)グリコールと例えば、少なくとも約5重量%のエチレンオキシド基を有するPEPEをもたらすエチレンオキシド−キャップド・ポリ(プロピレンオキシド)グリコールおよび/またはポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールなどの他のグリコールとの混合物が含まれ得る。約600〜2500の分子量を有するポリ(エチレンオキシド)グリコールから製造されたPEPEが好ましい。約2150の分子量を有するエチレンオキシドキャップド・ポリ(プロピレンオキシド)から製造されたPEPEが特に好ましい。
【0020】
低分子量ジオールには、エチレングリコール、プロピレングリコール、イソブチレングリコール、ブチレングリコール、1,4−ペンタメチレングリコール、2,2−ジメチル−トリメチレングリコール、およびデカメチレングリコール、ジヒドロキシシクロヘキサン、シクロヘキサンジメタノール、レゾルシノール、ヒドロキノン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、同様なジオール、ならびにそれらの2つもしくはそれ以上の組み合わせを含むがそれらに限定されない2〜15個の炭素原子を有する非環式、脂環式および芳香族ジオールが含まれ得る。好ましくは、1,4−ブタンジオールなどの2〜8個の炭素原子を含有する脂肪族ジオールが含まれ得る。ビスフェノールには、ビス(p−ヒドロキシ)ジフェニル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、およびそれらの2つもしくはそれ以上の組み合わせが含まれる。エチレンオキシドまたは炭酸エチレンをはじめとするジオールの同等エステル形成性誘導体もまた有用であることができる。低分子量は、その誘導体ではなく、ジオールに関連する。
【0021】
ジカルボン酸は、脂肪族、脂環式または芳香族ジカルボン酸、ならびにエステルおよび酸ハロゲン化物および酸無水物などのエステル形成性誘導体をはじめとするそれらの官能性同等物であることができる。開示される分子量は、その同等エステルまたはエステル形成性誘導体にではなく、酸形に関連する。
【0022】
脂肪族ジカルボン酸は、それぞれが飽和炭素原子に結合した2個のカルボキシル基を有するカルボン酸である。カルボキシル基が結合している炭素原子が飽和であり、かつ、環中にある場合、酸は脂環式である。共役不飽和を有する脂肪族または脂環式酸はしばしば、ホモ重合のせいで使用することができない。マレイン酸などの、幾つかの不飽和酸は使用することができる。
【0023】
芳香族ジカルボン酸は、炭素環式の芳香族環構造中の炭素原子に結合した2個のカルボキシル基を有するものであるが、両官能性カルボキシル基は同じ芳香環に結合してはならず(2つ以上の環が存在する場合)、そして脂肪族もしくは芳香族二価基または−O−もしくは−SO2−などの二価基によって結合され得る。
【0024】
ジカルボン酸には、セバシン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、グルタル酸、4−シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸、2−エチルスベリン酸、シクロペンタンジカルボン酸、デカヒドロ−1,5−ナフチレンジカルボン酸、4,4’−ビシクロヘキシルジカルボン酸、デカヒドロ−2,6−ナフチレンジカルボン酸、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシル)カルボン酸、3,4−フランジカルボン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ビ安息香酸、2つのベンゼン核の置換ジカルボキシ化合物(例えば、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン)、p−オキシ−1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−スルホニルジ安息香酸、またはそれらの1つもしくはそれ以上のC1〜C12アルキルおよび環置換誘導体(例えば、ハロ、アルコキシ、およびアリール誘導体)が含まれ得る。p−(β−ヒドロキシエトキシ)安息香酸などのヒドロキシル酸もまた、芳香族ジカルボン酸もまた存在するという条件で使用することができる。脂肪族酸のうちで、シクロヘキサンジカルボン酸およびアジピン酸がしばしば使用される。芳香族酸のうちで、テレフタル酸単独またはフタル酸および/またはイソフタル酸との混合物などの8〜16個の炭素原子を有するものがしばしば使用される。
【0025】
コポリエーテルエステルは、約25重量%〜約80重量%の上の式(II)に相当する短鎖エステル単位を含有することができ、残りは上の式(I)に相当する長鎖エステルである。理論に拘束されるものではないが、PEPEは約25重量%未満の短鎖エスエル単位を含有し、結晶化速度は遅くなるかもしれず、PEPEは、有用であるかもしれないが、取り扱うために粘着性であるかもしれず、そして一方、約80%より多い短鎖エステルを含有する場合、有用であるかもしれないが、堅くなり過ぎる。PEPEは好ましくは約30〜約60重量%、または約40〜約60重量%の短鎖エステル単位を含有し、残りは長鎖エステル単位である。短鎖エステル単位を増やすと、引張強度および弾性率を上げるかもしれないが、水蒸気透過速度を下げるかもしれない。また好ましくは、上の式(I)および(II)中のRで表される基の少なくとも約70%は1,4−フェニレン基であり、上の式(II)中のDで表される基の少なくとも約70%は1,4−ブチレン基であり、1,4−フェニレン基ではないR基と1,4−ブチレン基ではないD基の百分率の合計は30%を超えない。第2のジカルボン酸がPEPEを製造するために使用される場合、イソフタル酸が選り抜きの酸であり、第2の低分子量ジオールが使用される場合、1,4−ブタンジオールまたはヘキサメチレングリコールが選り抜きのジオールである。
【0026】
異なるPEPEのブレンドを使用することができる。
【0027】
他の成分がPEPEの反応プロセスまたは性能を最適化するために添加されてもよい。
【0028】
ブロックPEPEおよびそれらの製造は、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering、第12巻(1985)、76−177ページおよびその中に報告されている参考文献に開示されている。
【0029】
好適なブロックコポリエーテルエステルには、幾つかの商標で幾つかの会社から商業的に入手可能な製品、例えば、E.I.du Pont de Nemours and Company(DuPont)から入手可能なHytrel(登録商標)、Ticonaから入手可能なRiteflex(登録商標)、およびDSMから入手可能なArnitel(登録商標)が含まれ得る。
【0030】
フィルム中の吸収性層はまた、ブロックコポリエーテルアミドを含んでもよい。かかるブロックコポリエーテルアミドは、結晶性ポリアミドおよび非晶性ポリエーテルブロックを含むまたはそれらからなることができる。ポリアミドはナイロン6またはナイロン12であってもよい。ポリエーテルアミドの商業的に入手可能なシリーズは、Atofinaから商品名「Pebax(登録商標)」で入手可能である。
【0031】
不透過性外層
不透過性層は単一フィルム層、ラミネートまたは多層フィルムであることができ、それは、ポリアミド、エチレン・ビニルアルコールコポリマー、ポリ塩化ビニリデン、およびポリオレフィンをはじめとするポリマーを含むフィルムの少なくとも1つの層を含む。層は場合により、ラミネート外層中の2つの非相溶性層間のタイ層として有用な、接着層を含む。接着層(タイ層)は、酸無水物変性エチレンホモポリマー、酸無水物変性エチレンコポリマー、および/または当業者に公知の他のものを含むことができる。
【0032】
層は不透過性バリア構造体として機能することができ、水分および酸素に対する有効なバリア性と、清澄性、靱性および貫入抵抗などの、食料を加工するおよび/または包装するために好適なバルク機械的特性とを提供するためにポリマーの幾つかの層を含む。燻製および/または調理法のためには、収縮性が望ましいものであることができる。多層バリア構造体の例には、最外層から最内層へ、ポリエチレン/タイ層/ポリアミド、ポリエチレン/タイ層/ポリアミド/タイ層/ポリエチレン、ポリプロピレン/タイ層/ポリアミド/EVOH/ポリアミド、ポリアミド/タイ層/ポリエチレン、ポリアミド/タイ層/ポリエチレン/タイ層/ポリアミド、ポリアミド/タイ層/ポリアミド/EVOH/ポリアミドが挙げられる。不透過性構造体の最内層の性質に依存して、吸収性層への望ましいレベルの接着性を提供するために、追加の内部タイ層を不透過性構造体と吸収性層との間に置くことができる。
【0033】
本明細書での使用に好適なポリアミドには、脂肪族ポリアミド、非晶性ポリアミド、またはそれらの組み合わせが含まれる。脂肪族ポリアミドは、脂肪族ポリアミド、脂肪族コポリアミド、およびポリアミド6、ポリアミド6.66などのこれらのブレンドまたは混合物、それらのブレンドおよび混合物を意味することができる。ポリアミド6.66は、BASFから商品名「Ultramid C4」および「Ultramid C35」で、またはUbe Industries Ltdから商品名「Ube5033FXD27」で商業的に入手可能である。ポリアミド6は、DuPontから商品名Nylon4.12で商業的に入手可能である。
【0034】
脂肪族ポリアミドは、ISO307に従って96%H2SO4中0.5%で測定されたグラム当たり約140〜約270立方センチメートル(cm3/g)の範囲の粘度を有してもよい。
【0035】
フィルムは、米国特許第5,408,000号明細書、米国特許第4,174,358号明細書、米国特許第3,393,210号明細書、米国特許第2,512,606号明細書、米国特許第2,312,966号明細書、および米国特許第2,241,322号明細書に開示されているものなどの他のポリアミドをさらに含んでもよい。フィルムはまた、部分芳香族ポリアミドを含んでもよい。好適な部分芳香族ポリアミドは、[C(O)ArC(O)N(H)CH2CH2CH2CH2CH2CH2NH]n(ここで、Arはアリーレン基またはフェニレン基である)の式の非晶性コポリアミド6−I/6−Tである。幾つかの部分芳香族コポリアミドは、DuPontから商品名Selar(登録商標)PAでまたはEMS−Chemie AGから商標Grivory(登録商標)G21で商業的に入手可能な非晶性ナイロン樹脂6−I/6−Tである。
【0036】
ポリオレフィンには、ポリプロピレン、ポリエチレンポリマーおよびコポリマーが含まれる。ポリエチレンは、周知のZiegler−Natta触媒重合(例えば、米国特許第4,076,698号明細書および米国特許第3,645,992号明細書を参照されたい)、メタロセン触媒重合(例えば、米国特許第5,198,401号明細書および米国特許第5,405,922号明細書を参照されたい)をはじめとする様々な方法によって、およびフリーラジカル重合によって製造することができる。ポリエチレンには、高密度ポリエチレン(HDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、非常に低い密度または超低密度ポリエチレン(VLDPEまたはULDPE)などの線状ポリエチレンおよび低密度ポリエチレン(LDPE)などの分岐ポリエチレンが含まれ得る。本発明での使用に好適なポリエチレンの密度は0.865g/cc〜0.970g/ccの範囲である。線状ポリエチレンは、該密度範囲内で粘度を下げるためにブテン、ヘキセンまたはオクテンなどのα−オレフィンコモノマーを組み込むことができる。不透過性層は、エチレン・ビニルエステル、エチレン・アクリル酸アルキル、エチレン酸ジポリマー、エチレン酸ターポリマーおよびそれらのアイオノマーなどのエチレンコポリマーを含むことができる。かかるエチレンコポリマーの例は、エチレン酢酸ビニル、エチレン・アクリル酸メチルおよびエチレン(メタ)アクリル酸ポリマーならびにそれらのアイオノマーである。本発明の実施で有用なポリプロピレンポリマーには、プロピレンホモポリマー、耐衝撃性改質ポリプロピレンおよびプロピレンとα−オレフィンとのコポリマーならびにそれらのブレンドが含まれる。
【0037】
Kuraray製の商品名Evalca(登録商標)または日本合成製のNoltex(登録商標)などの約20〜約50モル%エチレンを有するポリエチレン/ビニルアルコールコポリマー(「EVOH」)が好適であることができる。ポリ塩化ビニリデン(PVDC)は商品名Saran(登録商標)でDow Chemicalから商業的に入手することができる。
【0038】
酸無水物または酸−変性エチレンおよびプロピレンホモポリマーおよびコポリマーは、ポリマーが互いにうまく接着しない時に一緒にポリマー層の接合を改善し、このようにして多層構造体での層−層接着を改善するための押出可能な接着層(「タイ」層)として使用することができる。タイ層の組成物は、多層構造体で接合される必要がある隣接層の組成物に応じて決定することができる。ポリマー当業者は、構造体に使用される他の材料に基づいて適切なタイ層を選択することができる。様々なタイ層組成物がDuPontから商品名Bynel(登録商標)で商業的に入手可能である。
【0039】
不透過性フィルムは、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、加水分解安定剤、帯電防止剤、染料または顔料、フィラー、難燃剤、滑剤、ガラス繊維およびフレークなどの強化剤、加工助剤、粘着防止剤、剥離剤、および/またはそれらの混合物をはじめとするポリマーフィルム中に使用される通常の添加剤などの、1つもしくはそれ以上の物質または試剤をさらに含むことができる。
【0040】
本明細書に開示されるポリマーは、様々な技法によってラミネートフィルムへ変換することができる。例えば、ラミネートフィルムは、次の通り共押出によって得ることができる。様々な成分の粒状体は押出機で溶融することができ、溶融したポリマーはダイまたはダイのセットを通過して溶融ポリマーの層を形成し、それは次に層流として加工される。溶融ポリマーは冷却して層状構造体を形成することができる。共押出ポリマーフィルムは、延伸ポリエステルまたは延伸ポリプロピレンなどの1つもしくはそれ以上の他のフィルム上へさらに積層することができる。
【0041】
他の好適な技法には、ブローンフィルム押出、キャストフィルム押出、キャストシート押出および押出コーティングが含まれる。本明細書に開示される不透過性バリアフィルムは、ブローンフィルム押出法によって得られるブローンフィルムであることができる。
【0042】
ラミネートフィルムは、フィルムの即時急冷またはキャスティングを越えてさらに延伸することができる。本方法は、溶融ポリマーの多層層流を共押出する工程と、共押出物を急冷する工程と、十分に急冷された共押出物を少なくとも1方向に延伸する工程とを含むことができる。「十分に急冷された」は、固体フィルムを得るためにその融点より下に実質的に冷却された押出物を意味する。
【0043】
フィルムは、機械的特性と物理的特性との満足な組み合わせを達成するために一軸延伸されても、またはフィルムの平面で2つの相互に垂直の方向に延伸することによって二軸延伸されてもよい。
【0044】
フィルムを一軸または二軸延伸するための配向および延伸装置は当該技術で公知であり、本発明のフィルムを製造するために当業者によって改造されてもよい。かかる装置および方法の例には、例えば、米国特許第3,278,663号明細書、米国特許第3,337,665号明細書、米国特許第3,456,044号明細書、米国特許第4,590,106号明細書、米国特許第4,760,116号明細書、米国特許第4,769,421号明細書、米国特許第4,797,235号明細書、および米国特許第4,886,634号明細書に開示されているものが挙げられる。
【0045】
好ましい実施形態では、ラミネートフィルムはダブルバブル押出法を用いて延伸され、その方法では、同時二軸延伸は、一次チューブを押し出し、それがその次に急冷され、再加熱され、そして次に横延伸を誘発するために内部ガス圧力によって膨張させられ、縦延伸を誘発するかもしれない速度で異周速ニップまたは搬送ローラーによって延伸されることによって達成されるかもしれない。
【0046】
延伸ブローンフィルムを得るための加工は、ダブルバブル技法として当該技術で公知であり、米国特許第3,456,044号明細書に開示されているように実施することができる。例えば、一次チューブは環状ダイから溶融押出される。この押し出された一次チューブは結晶化を最小限にするために急冷却される。それは次にその延伸温度に加熱される(例えば、水浴を用いて)。フィルム製造装置の延伸ゾーンで、二次チューブが膨張によって形成され、それによってフィルムは、膨張が両方向に起こるような温度で横方向に放射状に膨張させられ、そして縦方向に引っ張られるまたは延伸され、チュービングの膨張は延伸ポイントでの厚さの大幅な急減少に伴われる。チューブ状フィルムは次にニップロールによって再び平たくされる。フィルムは再膨張させられ、アニーリング工程(熱固定)に通され、その工程中にそれは収縮性を調節するためにもう一度加熱される。食品ケーシング(例えば、ソーセージケーシング、シュリンクバッグ)の製造のためには、フィルムをチューブ形に維持することが望ましいかもしれない。フラットフィルムを製造するためには、チューブ状フィルムはその長さに沿って細長く切り、フラットシートへ広げ、それを巻くおよび/またはさらに加工することができる。
【0047】
別の実施形態では、フィルムはまた、真空バッグなどのバッグ、シュリンクバッグ、およびパウチにすることができる。かかるバッグは、フィルムをシールし、次にそれを横にカットすることによってチューブ状フィルムから形成することができる。あるいはまた、チューブ状フィルムはフラットフィルムへ細長く切られ、次に最上部および底部で横にシールされてバッグを製造してもよい。あるいはまた、チューブラー法かキャスト法のいずれかにかかわらず製造されたフラットフィルムは、フィルムを折り重ね、次にシールし、2つの露出長さに沿ってカットすることによってバッグにされてもよい。バッグおよびパウチの他の製造方法はよく知られており、用いることができる。
【0048】
抗菌剤
フィルム、チューブ状ケーシング、シュリンクバッグなどは、ケーシングの吸収性層中への溶液での少なくとも1つの抗菌剤の吸着によってさらに処理される。抗菌物質はその後、食料とフィルム表面との接触によって、および例えば加熱、キュアリング、燻製または調理などの食品加工中に食料に移される。本明細書に開示されるようなラミネートフィルムは食料を包装するために使用することができるので、抗菌組成物は、食料がいつでも消費できるまで食料と接触したままである。
【0049】
好適な抗菌物質には、細菌性ポリペプチドとホップ抽出物との組み合わせ、殺菌性化合物とベータホップ酸もしくはベータホップ酸誘導体または両方との組み合わせ、ナタマイシン、ジアルキルジカーボネートおよびソルビン酸塩防腐剤を含む組み合わせ、乳酸カルシウムおよび金属イオン封鎖剤(クエン酸、酒石酸、マレイン酸、シュウ酸、アスコルビン酸、エリソルビン酸、リン酸、安息香酸、ソルビン酸、それらの塩、およびそれらの混合物を含むが、それらに限定されない)を含む組み合わせ、熱処理乳酸および/またはグリコール酸、ランチビオチック、リゾチーム、ペディオシン、ラクチシン、活性化ラクトフェリン、キトサン、およびそれらの2つもしくはそれ以上の組み合わせが含まれる。本明細書に開示されるキトサンにはまた、キトサンの塩または誘導体が含まれる。酢酸ナトリウムまたは酢酸ナトリウムもまた抗菌性組み合わせを増やすために加えられてもよい。ラクトフェリンは、ラクトフェリンのN−末端領域によって天然産生基質上に固定化することができる。殺菌性化合物は、ランチビオチック、ペディオシン、ラクチシンクラス・バクテリオシン、溶菌酵素、またはそれらの2つもしくはそれ以上の組み合わせである。
【0050】
これらの抗菌剤は、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、リステリア・インノクア(Listeria innocua)、ネズミチフス菌(Salmonella Typhimurium)および他のサルモネラ種、セレウス菌(Bacillus cereus)、枯草菌(B.subtilis)、サッカロマイセス・セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロマイセス・セレヴィシエ・バール.パラドックス(S.cerevisiae var.paradoxes)、サッカロマイセス・カールスベルゲンシス(S.carlsbergensis)、蛍光菌(Pseudomonas fluorescens)、クロストリジウム・スポロゲネス(Clostridium sporogenes)、ラクトバシラス・サケ(Lactobacillus sake)、ブロッコトレズックス・テルモスファクタ(Brochothrzx thermosphacta)、ミクロコッカス・ルテウス(Micrococcus luteus)、腸炎エルシニア(Yersinia enterocolitica)、エンテロバクター・エアロゲネス(Enterobacter aerogenes)、ジゴサッカロマイセス・バイリイ(Zygosaccharomyces bailii)、またはそれらの2つもしくはそれ以上の組み合わせなどのものをはじめとする広範囲の有害な微生物を有効に防除するために使用することができる。
【0051】
上に開示されたフィルムを上に開示された少なくとも1つの抗菌剤を含む溶液と接触させることができる、食料を加工するために用い得る方法もまた開示される。溶液は水そのものまたは水および試剤の溶解を容易にするための約0.1〜約95重量もしくは容量%のアルコールなどの溶媒であることができる。溶媒の1つは、それがしばしば食料で使用されるのでエタノールである。他の溶媒には、アセトン、酢酸、プロピオン酸、酪酸、またはそれらの2つもしくはそれ以上の組み合わせが含まれ得る。溶液は約0.01〜約50重量%、または約0.1重量%〜約20重量%、または約0.2重量%〜約10重量%、または約0.2重量%〜約8重量%の抗菌剤を含むことができる。
【0052】
抗菌剤を含む溶液はフィルム中へ吸収されまたは含浸され、それによって抗菌剤を含有する抗菌性フィルムを製造することができる。吸収または含浸は、フィルムを溶液に浸漬させることなどの当業者に公知の任意の方法によって実施することができる。
【0053】
抗菌性フィルムは、水、溶媒、または約0.1〜約50重量%の金属水酸化物または鉱酸もしくは低級アルキル脂肪酸などの塩基または酸を含有する溶液で洗浄することができる。洗浄は、任意の周囲温度または100℃ほどに高い温度で約1分〜約5時間実施することができる。抗菌性フィルムは、洗浄されようとされまいと、上に開示されたような物品にすることができる。物品には、パウチ、バッグ、カートン、ブリスター、ボックス、熱成形フィルム、真空スキンフィルム、または他の容器が含まれ得る。物品は、抗菌剤を含有する食料を製造するためにそれらの傷みやすい食料をはじめとする本質的にすべての公知食料と接触させることができる。かかる食料は場合により、高温で、例えば、約30〜約250℃で約1分〜約5時間の期間加熱することができる。
【0054】
本発明のフィルムを使用して加工し、包装することができる食料の例には、牛肉、豚肉、鶏肉(例えば、ニワトリおよび七面鳥)、シーフード(例えば、魚および軟体動物)ならびにチーズが挙げられる。肉製品には、ソーセージ、ランチミート、ハム、七面鳥、ホットドッグおよびキルバサが含まれるが、それらに限定されない。肉製品は、全体筋肉、様々な肉スラリーへの調合品、形状への成形品、またはひき肉であることができる。成形肉またはひき肉は場合により、2つ以上の種に由来する材料の混合物であることができる。食料は、本発明のフィルム中へのその導入前に加工し、次に包装フィルム中でさらに加工することができる。
【0055】
抗菌性フィルムはパウチ、バッグ、ケーシングまたは熱成形フィルムの形で製造することができる。フィルムは、熱成形される前に他の基材上へ積層されてもよい。かかるフィルムは次に、未調理肉もしくは生肉(例えば、牛肉、豚肉、鶏肉もしくはシーフード)またはホットドッグ、ソーセージ、インスタント・デリミート(例えば、ハム、鶏肉、ボローニャ・ソーセージなど)などの加工肉を包装するために使用されてもよい。
【実施例】
【0056】
次の実施例は例示的なものであるにすぎず、本発明の範囲を限定するように解釈されるべきではない。表中、「w%」は重量%を表す。表1は、表2に開示される試験のための吸収性層の組成物の実施例(1〜3はコポリエーテルエステルについてであり、4〜5はコポリエーテルアミドについてであった)および比較例(1はナイロンであり、2はナイロン6.66であり、3はDuPont市販コポリエステルSelar(登録商標)PT8307であり、4〜5はエチレンオキシド単位を全く含有しないコポリエーテルエステルであった)を開示する。
【0057】
表1

【0058】
表1のポリマーを、フィルムの吸収性層を容易に取り外すことができる3層フィルムを製造するためにブローンフィルム・ラインで他の非接着ポリマーと共押出した。すべてのケースで、HDPEかナイロン6かのどちらかが表1のポリマーと共押出された他の層であった。多数のケースで、Conpol(登録商標)AC BとしてDuPontによって販売されている粘着防止コンセントレートもまた下のケースで記載されるように添加した。ブローアップ比は2:1であり、剥がされたフィルム層は25〜64μmの範囲の様々な厚さを有した。
【0059】
24時間後の吸湿量を測定するために、共押出フィルムを15.24cm×15.24cm(6×6インチ)平方へカットし、次に剥がした。吸収性フィルム層を次に、秤量する前に23℃および20%相対湿度で少なくとも24時間順化させ、次に水の容器に入れた。24時間後に、フィルムを取り出し、遊離水分が表面上に全く見られないように紙タオルで乾燥させ、次に直ちに秤量した。表2の各実施例について、3サンプルの取られた平均値を重量%吸湿量として報告した。23℃および20%相対湿度で少なくとも24時間順化させたフィルムをまた、38℃および100%相対湿度で水蒸気透過速度(MVTR)についても測定した。高い水透過性のサンプルについては、MVTR試験を、ASTM D6701−01に従って、Mocon Permatran−W(登録商標)101Kで行った。他のサンプルについては、MVTR試験をMocon Permatran−W(登録商標)700(ASTM F1249−01)で行った。
【0060】
表2

【0061】
表2は、高い吸湿および高い透湿の両方を示すが、比較例は不満足な吸湿および不満足な透湿か良好な吸湿だが不満足な透湿かのどちらかを示す。
【0062】
24時間までの時間に応じた吸湿量もまた記録した。フィルムに、表2について記載したものと同じ処理を行った。水中での各曝露後に、フィルムを取り出し、フィルム表面上に遊離水分が全く見られないように紙タオルで軽く押さえて水気を切り、次に直ちに秤量した。これらのフィルムを次に捨て、異なるセットのフィルムを使用して異なる曝露時間について吸水量を測定した。表3の各例および時間について、3サンプルについて測定した平均値を重量%吸湿量として記録した。
【0063】
表3

【0064】
表は、吸水が実施例および比較例の両方について迅速に起こったことを示す。0.5時間内に、実施例は23℃での吸水量の平衡レベル近くまたはほぼ平衡レベルであった。
【0065】
時間および温度に応じたフィルムからの水分放出もまた記録した。これらの実験で、フィルムを20%相対湿度で23℃に少なくとも24時間順化させ、秤量してその「乾燥」重量を記録し、次に水中に23℃で少なくとも24時間(幾つかのケースでは2〜3日間)入れ、取り出し、フィルム表面上に遊離水分が全く見られないように紙タオルで軽く押さえて水気を切り、直ちにその吸水重量について秤量した。秤量後直ちに、フィルムを90℃に設定した輻射熱オーブン中に吊した。個々のフィルムが互いにまたはオーブン壁の側面に接触しないように、どの時点においても3つ以下のフィルムをオーブン中に入れた。フィルムを次に秤量するために5、10および60分で取り出した。5〜8フィルムサンプルの平均値を下の表4に報告する。
【0066】
表4

【0067】
表4の結果は、吸水フィルムがそれらの含水量を90℃で5分内に非常に速く放出したことを示す。多くのケースで、多分、元の「乾燥」重量は20%相対湿度で取られるが、フィルムは熱処理でより低い相対湿度にあったため、フィルムの重量は元の「乾燥」重量を下回った。
【0068】
実施例のフィルムに対する様々な抗菌溶液の有効性もまた、下に様々に記載されるように試験した。
【0069】
53μの実施例1を含有するフィルムを、0.5重量%酢酸および商品名Chitoclear PM588で、アイスランド国のPrimexから入手した1重量%キトサン(2−アミノ−2−デオキシ−β−D−グルコピラノース)の脱イオン水の溶液中へ1分未満手で浸け、次に乾燥させた。第2の同一フィルムは未処理のままにした。次に、これらの2つのフィルムに、下に記載するような振盪フラスコ試験を行った。
【0070】
大腸菌ATCC#25922寒天平板培養からの単一の単離コロニーを、滅菌フラスコ中の15〜25mlのトリプチケースソイブロス(TSB)中へ接種した。フラスコを37℃で少なくとも16時間振盪しながら培養した。培養物を次に滅菌したpH7.0のリン酸緩衝液へ希釈しておおよそ105cfu/ml(ミリリットル当たりのコロニー形成単位)を得た。初期接種カウントを得るために、トリプチケースソイ寒天(TSA)平板上への10-4および10-3の最終希釈液(リン酸緩衝液で調製した)を正副2通りに調製し、平板を37℃で一晩培養した。接種されたリン酸緩衝液(50ml)を3つの滅菌試験フラスコ中へ移した。フラスコ1は試験フィルム材料を全く含有しなかった。フラスコ2は1重量%キトサンで処理した実施例1の0.5gフィルムを含有した。フラスコ3は、無処理の実施例1の0.5gフィルムを含有した。50mlの未接種リン酸緩衝液の対照緩衝液もまた別個の滅菌フラスコ(フラスコ4)に調製した。
【0071】
すべてのフラスコをリストアクションシェーカーに入れ、室温(約25℃)で激しく振盪しながら培養した。すべてのフラスコを0、1、4および8時間でサンプリングし、正副TSA平板上へ割当希釈にプレート化した。これらの平板を37℃で少なくとも16時間培養し、コロニーを、表5に報告するようにml当たりのコロニー形成単位(cfu/ml)でカウントした。
【0072】
表5 大腸菌ATCC#2592(cfu/ml)

【0073】
厚さ150μの実施例1および実施例2のフィルムを、アルミ箔上へ置かれた15mm×15mmサンプルにカットし、層流フード中で4〜7分間UV光に曝した。サンプルを次に箔から表6に記載するような様々な溶液に移して室温で12〜24時間浸漬した。
【0074】
各抗菌溶液濃度について、コロニー防除に対する溶液の効能を評価するためにローンアッセイ(lawn assay)手順でのスポットを先ず寒天平板上に行った。この手順では、TSA寒天平板にラクトバシラス・モノサイトゲネス(L.monocytogenes)15313を、Spiral Biotech製のAutoplate4000モデルによって10E+08cfu/mlのレベルで接種した。次に容量ピペットポンプを用いて抗菌溶液の3つの10μlスポットを試験板の適切な領域上へつけた。別々に、別の容量ピペットポンプを用いて10μlの対照溶液(すなわち、抗菌剤が溶解している溶液)を置いた。3つのかかる寒天平板を各濃度の抗菌溶液について調製した。スポットをつけた後、平板を、37℃で少なくとも24時間の培養前に層流フードに10〜30分間乱れなく放置した。阻害の生じたゾーンを、ダイアル測径器(Brown and Sharpe、0.02mmまでの精度)を用いて各ゾーンを90°軸で2回測って測定した。3つのかかるスポット(抗菌処理溶液について)を、条件当たり3平板を使って、平板当たりそのように測定して18のかかる測定値を提供した。これらの測定値のグループ平均値を表6に示す。阻害のゾーンは対照スポットのいかなるものについても全く書き留められなかった。ローン手順でのフィルムで、実施例1および2の15mm×15mmフィルムを新たに調製した溶液中に室温で12〜24時間入れ、次に一対の火炎滅菌接眼レンズピンセットで取り出し、ドリップドライさせ、次に、ローンアッセイ手順でフィルムを寒天平板上に置く前に滅菌ペトリ皿上に60秒間置いた。TSA寒天平板は、ラクトバシラス・モノサイトゲネスをSpiral Biotech製のAutoplate4000モデルによって10E+08cfu/mlのレベルで接種することによって調製した。2つのかかるフィルムを、調製したTSA寒天平板上にそのように置いた。第3の15mm×15mmフィルムを同じ条件下に対照溶液(抗菌剤なしの溶液)に浸漬し、平板の第3領域に置いた。3つのかかる平板を抗菌剤の各濃度についてこのやり方で調製した。フィルムを置いた後、平板を、37℃で少なくとも24時間の培養前に層流フードに10〜30分間乱れなく放置した。阻害の生じたゾーンを、ダイアル測径器(Brown and Sharpe、0.02mmまでの精度)を用いて各ゾーンを90°軸で2回測って測定した。2つのかかるフィルム(抗菌処理フィルムについて)を、条件当たり3平板を使って、平板当たりそのように測定して12のかかる測定値を提供した。これらの測定のグループ平均値を表6に報告する。阻害のゾーンは対照フィルムについては全く記録されなかった。
【0075】
表6で、ナイシンは、供給業者(Rhodia)によって提供された情報に基づき、455IU/Novaguard CB1のmgの推定値を有した。抗菌成分および溶液成分は合計して100重量%になった。
【0076】
表6


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)内層、(ii)少なくとも1つの抗菌剤、および(iii)外層を含むラミネートフィルムであって、該内層がブロックコポリエーテルエステルポリマー、ブロックコポリエーテルアミドポリマー、またはそれらの組み合わせをはじめとするポリマーを含みまたはそれから製造され、該内層が場合によりその中にまたはそれをもって該抗菌剤の溶液を吸収しており、該外層が少なくとも1つのポリマー層および場合により少なくとも1つのタイ層を含むまたはそれらから製造された単一フィルム層、ラミネート、または多層フィルムであり、そして該ポリマー層がポリアミド、エチレン・ビニルアルコールコポリマー、ポリ塩化ビニリデン、ポリオレフィン、またはそれらの2つもしくはそれ以上の組み合わせをはじめとするポリマーを含むまたはそれから製造されるフィルム。
【請求項2】
前記内層が少なくとも約1200g・25μ/m2・24時間、または約1200〜約20000g・25μ/m2・24時間の水蒸気透過速度(MVTR)を有するコポリエーテルエステルまたはコポリエーテルアミドポリマーを含む請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
前記内層が約2150の分子量を有するエチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリエーテルグリコールから誘導された長鎖エステルを含むコポリエーテルエステルである請求項1または2に記載のフィルム。
【請求項4】
ブローンフィルムまたはキャストフィルムであり、かつ、場合により二軸延伸されている請求項1〜3のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項5】
二軸延伸されている請求項4に記載のフィルム。
【請求項6】
前記内層がその中にまたはそれをもって前記抗菌剤の溶液を吸収しており、前記抗菌剤が1つもしくはそれ以上の細菌性ポリペプチドと1つもしくはそれ以上のホップ抽出物との組み合わせ、殺菌性化合物とベータホップ酸もしくはベータホップ酸誘導体または両方との組み合わせ、ナタマイシン、ジアルキルジカーボネートおよびソルビン酸塩防腐剤を含む組み合わせ、乳酸カルシウムおよび金属イオン封鎖剤、熱処理乳酸、熱処理グリコール酸、抗生物質、リゾチーム、ペディオシン、ラクチシン、固定化ラクトフェリン、キトサン、安息香酸、ソルビン酸を含む組み合わせ、またはそれらの2つもしくはそれ以上の組み合わせであり、該金属封鎖剤には、クエン酸、酒石酸、マレイン酸、シュウ酸、アスコルビン酸、エリソルビン酸、リン酸、それらの塩、またはそれらの2つもしくはそれ以上の組み合わせが含まれ、そして該殺菌性化合物がランチビオチック、ペディオシン、ラクチシンクラス・バクテリオシン、溶菌酵素、またはそれらの2つもしくはそれ以上の組み合わせである請求項1〜4のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項7】
前記抗菌剤がキトサン、安息香酸、クエン酸、またはそれらの2つもしくはそれ以上の組み合わせである請求項6に記載のフィルム。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載のラミネートフィルムを含む物品であって、食料、チューブ状ケーシング、熱成形フィルム、真空スキンフィルム、ボックス、ブリスター、パウチ、またはバッグである物品。
【請求項9】
前記フィルムを、少なくとも1つの抗菌剤を含む溶液と接触させて抗菌性フィルムを製造する工程と、場合により該抗菌性フィルムから物品を製造する工程と、該抗菌性フィルムまたは該物品を食料と接触させて抗菌剤を含有する食料を製造する工程と、場合により該食料を加熱する工程とを含む方法であって、該フィルムが請求項1〜7のいずれか一項に記載のものである方法。
【請求項10】
請求項8に記載の物品を製造する工程を含み、かつ、前記食料が生鮮肉、生肉、インスタント食肉、ホットドッグ、またはソーセージである請求項9に記載の方法。

【公表番号】特表2007−537073(P2007−537073A)
【公表日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−513345(P2007−513345)
【出願日】平成17年5月11日(2005.5.11)
【国際出願番号】PCT/US2005/016588
【国際公開番号】WO2005/113236
【国際公開日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】