液体噴出器
【課題】収容液を泡状に、しかも泡の塗布パターンを広い範囲になるべく丸く散布することが可能であり、しかも、構造も簡単で、製造も容易である液体噴出器を提案する。
【解決手段】シリンダ内を加圧及び減圧させて容器体内の液を噴出孔66より噴出するポンプ機構を備え、スピン機構70を介して噴出孔66より霧状に液を噴出する液体噴出器であって、噴出孔66先方に起泡拡散機構を備え、起泡拡散機構は、噴出孔66の先方に延設した柱状空間形態の噴出口67を備え、噴出口67の基端部を円周面72とするとともに、先端部に外方へ広がるテーパ周面73を備え、円周面72に外部と連通して外気を導入する外気導入路74の一端を開口してなり、外気導入路74からの外気と混合した噴出孔66からの噴霧液を円周面72に衝突させて起泡し、噴出口67の先端開口より噴出可能とした。
【解決手段】シリンダ内を加圧及び減圧させて容器体内の液を噴出孔66より噴出するポンプ機構を備え、スピン機構70を介して噴出孔66より霧状に液を噴出する液体噴出器であって、噴出孔66先方に起泡拡散機構を備え、起泡拡散機構は、噴出孔66の先方に延設した柱状空間形態の噴出口67を備え、噴出口67の基端部を円周面72とするとともに、先端部に外方へ広がるテーパ周面73を備え、円周面72に外部と連通して外気を導入する外気導入路74の一端を開口してなり、外気導入路74からの外気と混合した噴出孔66からの噴霧液を円周面72に衝突させて起泡し、噴出口67の先端開口より噴出可能とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体噴出器に関し、詳しくは、収容液を泡状に、しかも泡の塗布パターンを広い範囲になるべく丸く散布することが可能な液体噴出器に関する。
【背景技術】
【0002】
容器体に装着して使用し、シリンダ内を加圧及び減圧させて容器体内の液を噴出孔より噴出するポンプ機構を備えた液体噴出器が種々提案されている。(例えば、特許文献1参照)
【0003】
特許文献1に記載された液体噴出器はトリガー式の液体噴出器であり、本体に揺動可能に装着されたトリガーの操作によりシリンダ内を加圧或いは減圧させることで、容器体内の液を噴出口より噴出する。
【0004】
また、容器体内に垂下固定されるシリンダと、シリンダ内より上部を突出して上方付勢状態で上下動可能に設けられた作動部材とを備え、作動部材の上下動でシリンダ内を加圧及び減圧させることで、容器体内の液を噴出口より噴出する縦型ポンプ式の液体噴出器も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−290731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記トリガー式の液体噴出器或いは縦型ポンプ式液体噴出器は内部構造により、棒状形態の液状に、或いは霧状、泡状に液を噴出する。霧状に噴出する場合には、例えば、液流路にスピン機構を配置して回動液を噴出口より噴出することで霧状の噴出を可能としている。また、泡状に噴出する場合には外気を導入する機構を備え、外気と液とを混合して起泡する機構を備えている。縦型ポンプ式の液体噴出器の場合、大径の空気用シリンダ小径の液用シリンダを備え、それらに連携する作動部材の上下動により泡状に液を噴出しているが全体構造が大きくなる嫌いがある。また、いずれの液体噴出器の場合も泡を噴出する噴出口が円筒状の噴出口を採用しているため、泡状に噴出する場合にその塗布パターンが狭いという欠点もあった。
【0007】
本発明は上記した点に鑑みたもので、収容液を泡状に、しかも泡の塗布パターンを広い範囲になるべく丸く散布することが可能であり、しかも、構造も簡単で、製造も容易である液体噴出器を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の手段として、以下の通り構成した。即ち、シリンダ23内を加圧及び減圧させて容器体B内の液を噴出孔66より噴出するポンプ機構を備え、スピン機構70を介して噴出孔66より霧状に液を噴出する液体噴出器に於いて、噴出孔66先方に起泡拡散機構を備え、起泡拡散機構は、噴出孔66の先方に延設した柱状空間形態の噴出口67を備え、噴出口67の基端部を円周面72とするとともに、先端部に外方へ広がるテーパ周面73を備え、円周面72に外部と連通して外気を導入する外気導入路74の一端を開口してなり、外気導入路74からの外気と混合した噴出孔66からの噴霧液を円周面72に衝突させて起泡し、噴出口67の先端開口より噴出可能とした。
【0009】
第2の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段に於いて、テーパ周面73と連続する噴出口67の先端に、拡散程度を調整する調整円周面75を設けた。
【0010】
第3の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第2の手段に於いて、調整円周面75の先端に、外方へ広がる調整テーパ周面77を連設した。
【0011】
第4の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段乃至第3の手段に於いて、円周面72を基端側の小径部72aと、先端側の大径部72bとで構成し、小径部72aに外気導入路74の一端を開口した。
【0012】
第5の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段乃至第4の手段のいずれかの手段に於いて、揺動可能に設けられたトリガー操作によりシリンダ23内を加圧及び減圧されるポンプ機構を備えたトリガー式の液体噴出器である。
【0013】
第6の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段乃至第4の手段のいずれかの手段に於いて、容器体B内に垂下固定されるシリンダ23と、シリンダ23内より上部を突出させて上方付勢状態で上下動可能に設けられた作動部材80とを備え、作動部材80の上下動でシリンダ23内を加圧及び減圧させる縦型ポンプ式の液体噴出器である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、泡パターンを広い範囲になるべく丸く散布することができ、しかも構造が簡単で、噴出孔66より霧状に噴出する機構を備えた液体噴出器の簡単な改良で形成することができる利点がある。
【0015】
テーパ周面73と連続する噴出口67の先端に、拡散程度を調整する調整円周面75を設けた場合には、散布された泡パターンを必要に応じた拡散状態に調整することができ、泡パターンの輪郭もはっきりした散布を行える。
【0016】
調整円周面75の先端に、外方へ広がる調整テーパ周面77を連設した場合には、噴出された泡の塗布パターンは、調整円周面75のみ付加した場合と比較して、全体の泡の分散域が拡大することで中央集中域p1の大きさが小さくなる傾向があり、調整円周面75のみ付加した形態と用途によって好ましい選択使用が可能となる。
【0017】
円周面72を基端側の小径部72aと、先端側の大径部72bとで構成し、小径部72aに外気導入路74の一端を開口した場合には、外気の導入が噴出孔66近傍の狭い噴出口67内に行われて密な混合が可能となり、また、その後混合液が大径部に衝突してより良好な起泡性を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】液体噴出器の縦断面図である。(第1実施例)
【図2】スピン機構の説明図である。(第1実施例)
【図3】噴出孔及び噴出口部分の要部拡大断面図である。(第1実施例)
【図4】泡の塗布パターンの正面図である。(第1実施例)
【図5】液体噴出器の縦断面図である。(第2実施例)
【図6】ノズルの拡大正面図である。(第2実施例)
【図7】噴出孔及び噴出口部分の要部拡大断面図である。(第2実施例)
【図8】噴出孔及び噴出口部分の要部拡大断面図である。(第3実施例)
【図9】調整テーパ周面部分の要部拡大図断面図である。(第3実施例)
【図10】泡の塗布パターンの正面図である。(第3実施例)
【図11】噴出孔及び噴出口部分の要部拡大断面図である。(第4実施例)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の形態を図面を参照して説明する。
【0020】
図1乃至図4は本発明の液体噴出器の第1実施例を示す。以下の説明に於いて、便宜上図面の上方を上部、下方を下部とし、また、噴出口67のある左方を前部、その反対を後部として説明する。本例に於ける液体噴出器Aは、揺動可能に設けられたトリガー操作によりシリンダ内を加圧及び減圧されるポンプ機構を備えたトリガー式の液体噴出器A1であり、装着キャップ10と、本体20と、連結筒部材30と、トリガー40と、連結部材50と、ノズル60とを備えている。
【0021】
装着キャップ10は、容器体Bの口頸部100外周に螺着してトリガー式液体噴出器Aを容器体に装着固定するもので、本体20の下部に回動可能に連設されている。
【0022】
本例では、本体20に嵌着した連結筒部材30を介して、本体と装着キャップ10とを連繋させている。本体20は、上端を閉塞した下端開口の嵌合筒34を有し、また、嵌合筒34頂部の後部偏心位置に下端を開口して起立した有頂筒状の基筒部21を有し、基筒部21の上部より前方へ射出筒22を、下方より前方へシリンダ23をそれぞれ突設しており、シリンダ23内にプランジャ28を摺動可能に嵌合させている。また、連結筒部材30は嵌合筒34内に上部を嵌着した上端閉塞の大径筒部31を備え、大径筒部31頂部の後部偏心位置を貫通して下端を開口した縦筒33を基筒部21内に嵌着固定している。縦筒33の下端には吸い上げ用のパイプ24の上端を嵌着して、その下端を容器体内底部に垂下させている。
【0023】
縦筒33内下部には吸込み弁25を配置し、上部には弾性部材26で常時は圧接閉塞されている吐出弁27を備えている。また、プランジャ28により閉塞されるシリンダ23内と縦筒33内とを連通する連通孔29を、吸込み弁25下流で吐出弁27上流の基筒部21及び縦筒33を貫通して穿設している。更に、縦筒33内と射出筒22内とを連通する連通孔35を吐出弁27下流の基筒部21及び縦筒33を貫通して穿設している。また、連結筒部材30の大径筒部31外周下部より突設したフランジ32上面に、装着キャップ10上端のフランジ状頂壁を当接させて本体20に対して装着キャップ10を回動可能に装着している。
【0024】
トリガー40は、射出筒22の前部位置の連結部材50に上端部を回動可能に枢着して前後揺動可能に装着されており、また、連結部材50の左右より一体に垂設された一対のバネ板41の下端部を、トリガー40の両側面上部にそれぞれ連繋させて常時前方へ付勢された状態で枢着されている。また、プランジャ28の先端部をトリガー40上部に連携させて、トリガー40の引き込みによりプランジャ28の押し込みが可能に、押し込んだ状態からバネ板41の弾性復元力で元の状態に復元するトリガー40により、プランジャ28を元の状態に引き戻すよう構成されている。
【0025】
連結部材50は、射出筒22の先端外周に装着筒部51を嵌合させて射出筒22の先端に嵌着している。装着筒部51の前部両側からは上記したバネ板41を一体に垂設しており、また、バネ板41垂設部分後方の両側にトリガー40の両側板上端部をそれぞれ枢着している。また、装着筒部51先端に射出筒22先端面を被覆する基板52を備え、基板52前面中央より先端閉塞の筒状をなす中心軸53を、その周囲に連結用筒54を突設し、基板52に設けた透孔55を介して射出筒22内と中心軸53外方の連結用筒54内とを連通している。
【0026】
ノズル60は、連結用筒54外周に回動可能に嵌合させた嵌合筒61を前壁62後面より突設し、また、嵌合筒61内周の前壁62後面からは中心軸53外周に液密回動可能に嵌合する中心筒63を突設している。また、中心筒63の内面後端部所定位置に前後方向に伸びる第2凹溝64を設けており、連結部材50の中心軸53の外面先端部所定位置に設けた前後方向に延びる第1凹溝56とノズル60の所定回動位置では連通が可能に、それ以外の回動位置では連通が不能に構成している。
【0027】
前壁62の中央部にはスピン機構70を介して噴出孔66が穿設され、噴出孔66の先方に柱状空間形態の噴出口67を延設している。スピン機構70は、前壁62後面に刻設されたもので、図2に示す如く、中央凹部71から螺旋状の放射状凹部68が複数凹設され噴出孔66に連通させたもので、第1凹溝56からの液を噴出孔66から霧状に噴出する機能を果たす。
【0028】
本発明では、噴出孔66先方に起泡拡散機構を備えている。起泡拡散機構は、基端部を円周面72とするとともに、先端部に外方へ広がるテーパ周面73を備えた上記柱状空間形態の噴出口67を備えており、また、噴出口67の円周面72に外部と連通して外気を導入する外気導入路74の一端を開口している。そして、外気導入路74からの外気と混合した噴出孔66からの噴霧液を円周面72に衝突させて起泡し、噴出口67の先端開口より噴出可能に構成している。
【0029】
本例に於ける噴出口67は、前面中央に円形突部76を突設した肉厚の前壁62の中央部に凹設し、奥面中央に噴出孔66を開口した柱状空間形態をなしている。また、円周面72を基端側の小径部72aと、先端側の大径部72bとで構成し、小径部72aの両側に外部と連通して外気を導入する外気導入路74の一端を開口している。更に本例では、テーパ周面73と連続する噴出口67の先端に、拡散程度を調整する調整円周面75を設けている。円周面72及び調整円周面75は、水平軸に沿った横方向にストレートな真円構造であり、これらの円周面と、その周縁部より360°方向に広がるテーパ周面との組み合わせで良好な拡散状態の調整を行える。
【0030】
そして、噴出孔66から霧状に噴出する液と外気導入路74からの外気を小径部72a内で混合させた後大径部72bに混合液を衝突させて起泡させ、噴出口67先端開口より泡状に噴出する如く構成している。この際テーパ周面73の存在で泡の塗布パターンが円形に広範囲に広がり、また、調整円周面75により周縁部の輪郭をはっきりさせた泡の過剰な広がり過ぎをおさえた塗布パターンを形成できる。
【0031】
上記の如く構成した液体噴出器Aは、トリガー40を後方へ引くことでプランジャ28を押し込み、シリンダ23内の液を加圧して吐出弁27を開き、加圧液は射出筒22から透孔55を通り、第2凹溝64、第1凹溝56を介してスピン機構70に導入される。スピン機構70から噴出孔66を介して霧状に噴出された液は外気導入路74から導入された外気と混合して大径部72bに衝突するとともに、噴出口67先端より泡状に噴出される。
【0032】
噴出された泡の塗布パターンは、例えば、図1及び図4に示す如く、比較的大粒の中央集中域p1と、その周囲の比較的小径の拡散域p2とで構成される。
【0033】
次いでトリガーの引き込みをやめるとバネ板41の弾性復元力によりトリガー40が元の状態に戻されるとともに、プランジャ28が引き出され、負圧化したシリンダ23内に吸込み弁25を開いて容器体B内の液が導入される。
【0034】
図5乃至図7は第2実施例を示し、この場合も便宜上図面の上方を上部、下方を下部とし、また、噴出口67のある左方を前部、その反対を後部として説明する。本例に於ける液体噴出器Aは、容器体B内に垂下固定されるシリンダ23と、シリンダ23内より上部を突出させて上方付勢状態で上下動可能に設けられた作動部材80とを備え、作動部材80の上下動でシリンダ23内を加圧及び減圧させる縦型ポンプ式の液体噴出器A2である。縦型ポンプ式の液体噴出器A2は、装着キャップ10と、シリンダ23と、作動部材80とを備えている。
【0035】
装着キャップ10は、容器体Bの口頸部100外周に螺着して縦型ポンプ式の液体噴出器A2を容器体Bに装着固定するもので、シリンダ23の上端部を内面に嵌着固定している。
【0036】
シリンダ23は、装着キャップ10の容器体Bへの装着固定により容器体B内に垂下固定し、内部底部には吸込み弁25を設けている。また、吸い上げ用のパイプ24を下端に嵌着し、その下端を容器体B内底部に垂下している。
【0037】
作動部材80は、コイルスプリングsにより常時上方に付勢されて上下動可能に装着されており、下部にシリンダ23内を摺動する小径のピストン81を、上部外周に大径のピストン82をそれぞれ突設し、また、内部に液流路を設けたステム部材83を備え、ステム部材83の上端に噴出ヘッド84を装着している。
【0038】
噴出ヘッド84は、下部に垂設した補助シリンダ85に大径のピストン82を摺動自在に嵌合させてステム部材83と連繋しており、コイルスプリングsにより上方付勢されたステム部材83により押し上げられるとともに、補助シリンダ85外周を装着キャップ10の案内筒内面上部に係合させることで上方への抜け出しを防止している。また、補助シリンダ85の頂壁部中央に穿設した吐出弁口を、ステム部材83上端の吐出弁体で閉塞して吐出弁27を形成している。
【0039】
噴出ヘッド84の前面には、周囲を環状溝86で囲まれ、ノズル60を嵌着させるための前向きの柱状部87を備え、環状溝86の基端部の一部を連通路88を介して吐出弁27と連通する内部の液流路と連通している。
【0040】
ノズル60は、中央に噴出孔66を穿設した隔壁92で後端を閉塞し、内部に柱状空間形態の噴出口67を備えた筒状部91を備え、筒状部91の後面より環状溝86に嵌着する嵌着筒90を突設している。そして、嵌着筒90を環状溝86に嵌着して噴出ヘッド84に装着している。また、ノズル60後面には、図1の例と同様形態のスピン機構70を刻設しており、連通路88から嵌着筒90と柱状部87との隙間を介してスピン機構70の放射状凹部68に連通させている。
【0041】
噴出口67は、図1の例と同様に基端部を円周面72とするとともに、先端部に外方へ広がるテーパ周面73を備え、円周面72に外部と連通して外気を導入する外気導入路74の一端を開口している。この場合も円周面72を基端側の小径部72aと、先端側の大径部72bとで構成し、小径部72aに外部と連通して外気を導入する外気導入路74の一端を開口しており、更にテーパ周面73と連続する噴出口67の先端に、拡散程度を調整する調整円周面75を設けている。
【0042】
上記の如く構成した縦型ポンプ式の液体噴出器A2は、作動部材80を下方へ押し下げることでシリンダ23内が加圧され、ステム部材83内の流路を介して連通するシリンダ23と、シリンダ23より大径の補助シリンダ85との存在で、ステム部材83が噴出ヘッド84に対して相対的に押し下げられて吐出弁27が開口し、加圧液が噴出ヘッド84内流路から環状溝86を介してスピン機構70に導入され、図1の例の場合と同様に泡状に噴出口67の先端開口より噴出される。
【0043】
噴出された泡の塗布パターンは、図1の例と同様に例えば、図5に示す如く、比較的大粒の中央集中域p1と、その周囲の比較的小径の拡散域p2とで構成される。
【0044】
次いで液圧の減少に伴い吐出弁27が閉じ、作動部材80の押し下げをやめるとコイルスプリングsの作用で作動部材80は上昇し、負圧化したシリンダ23内に吸込み弁25を開いて容器体B内の液が導入される。
【0045】
図8は第3実施例を示し、第1実施例に於ける、揺動可能に設けられたトリガー操作によりシリンダ内を加圧及び減圧されるポンプ機構を備えたトリガー式の液体噴出器A1であり、本例は、図示しないが、第1実施例と同様の、装着キャップ10と、本体20と、連結筒部材30と、トリガー40と、連結部材50とを備えており、ノズル60のみ一部の構成が異なる。
【0046】
ノズル60は、第1実施例と同様に、連結用筒54外周に回動可能に嵌合させた嵌合筒61を前壁62後面より突設し、また、嵌合筒61内周の前壁62後面からは中心軸53外周に液密回動可能に嵌合する中心筒63を突設している。また、中心筒63の内面後端部所定位置に前後方向に伸びる第2凹溝64を設けており、連結部材50の中心軸53の外面先端部所定位置に設けた前後方向に延びる第1凹溝56とノズル60の所定回動位置では連通が可能に、それ以外の回動位置では連通が不能に構成している。前壁62の中央部には第1実施例と同様のスピン機構70を介して噴出孔66が穿設され、噴出孔66の先方に柱状空間形態の噴出口67を延設している。
【0047】
また、第1実施例と同様に、噴出孔66先方に起泡拡散機構を備えている。本例に於ける起泡拡散機構は、第1実施例に於ける起泡拡散機構に、図9に拡大図で示す如く、調整テーパ周面77の構成を付加したものであり、基端部を円周面72とするとともに、先端部に外方へ広がるテーパ周面73を備えた上記柱状空間形態の噴出口67を備えており、また、噴出口67の円周面72に外部と連通して外気を導入する外気導入路74の一端を開口している。そして、外気導入路74からの外気と混合した噴出孔66からの噴霧液を円周面72に衝突させて起泡し、噴出口67の先端開口より噴出可能に構成している点は第1実施例と同様である。この場合も、水平軸に沿った横方向にストレートな真円構造とその周縁から360°方向に広がるテーパ周面との組み合わせで良好な拡散状態の調整を行え、この場合にはストレートな真円構造から広がるテーパ構造を二段階に設けてより微細な調整を可能としている。
【0048】
本例に於ける噴出口67は、前面中央に円形突部76を突設した肉厚の前壁62の中央部に凹設し、奥面中央に噴出孔66を開口した柱状空間形態をなしている。また、円周面72を基端側の小径部72aと、先端側の大径部72bとで構成し、小径部72aの両側に外部と連通して外気を導入する外気導入路74の一端を開口している。テーパ周面73と連続する噴出口67の先端に、拡散程度を調整する調整円周面75を設けており、調整円周面75の先端に、外方へ広がる調整テーパ周面77を連設している。
【0049】
本例の場合も、噴出孔66から霧状に噴出する液と外気導入路74からの外気を小径部72a内で混合させた後大径部72bに混合液を衝突させて起泡させ、噴出口67先端開口より泡状に噴出する如く構成している。この際テーパ周面73の存在で泡の塗布パターンが円形に広範囲に広がり、また、調整円周面75により塗布パターンの広がりをある程度の範囲に調整した後、調整テーパ周面77で更に塗布パターンを広げる。
【0050】
トリガー40操作による泡の噴出作用は上記した第1実施例と同様である。
【0051】
噴出された泡の塗布パターンは、例えば、図10に示す如く、比較的大粒の中央集中域p1と、その周囲の比較的小径の拡散域p2と、その周囲の第2拡散域p3とで構成される。第2拡散域p3の存在で、全体の泡の分散域が拡大することで、中央集中域p1の大きさが小さくなる傾向があり、第1実施例の形態と用途によって選択使用することが可能である。
【0052】
図11は第4実施例を示し、第2実施例に於ける、縦型ポンプ式の液体噴出器Aであり、図示しないが、第2実施例と同様の装着キャップ10と、シリンダ23と、作動部材80とを備えており、ノズル60のみ一部の構成が異なる。
【0053】
ノズル60は、第2実施例と同様に、中央に噴出孔66を穿設した隔壁92で後端を閉塞し、内部に柱状空間形態の噴出口67を備えた筒状部91を備え、筒状部91の後面より環状溝86に嵌着する嵌着筒90を突設している。そして、嵌着筒90を環状溝86に嵌着して噴出ヘッド84に装着している。また、ノズル60後面には、同様形態のスピン機構70を刻設しており、連通路88から嵌着筒90と柱状部87との隙間を介してスピン機構70の放射状凹部68に連通させている。
【0054】
噴出口67は、第3実施例と同様に基端部を円周面72とするとともに、先端部に外方へ広がるテーパ周面73を備え、円周面72に外部と連通して外気を導入する外気導入路74の一端を開口している。この場合も円周面72を基端側の小径部72aと、先端側の大径部72bとで構成し、小径部72aに外部と連通して外気を導入する外気導入路74の一端を開口しており、更にテーパ周面73と連続する噴出口67の先端に、拡散程度を調整する調整円周面75を設け、調整円周面75の先端に、外方へ広がる調整テーパ周面77を連設している。
【0055】
本例の場合も、噴出孔66から霧状に噴出する液と外気導入路74からの外気を小径部72a内で混合させた後大径部72bに混合液を衝突させて起泡させ、噴出口67先端開口より泡状に噴出する如く構成している。この際テーパ周面73の存在で泡の塗布パターンが円形に広範囲に広がり、また、調整円周面75により塗布パターンの広がりをある程度の範囲に調整した後、調整テーパ周面77で更に塗布パターンを広げる。
【0056】
作動部材80の押し下げ操作によるの噴出作用は上記した第2実施例と同様である。また、噴出された泡の塗布パターンは第3実施例と同様である。
【0057】
尚、上記各例では調整円周面75或いは調整円周面75と調整テーパ周面77を設けている例を示したが、調整円周面75或いは調整円周面75と調整テーパ周面77を設けずに、円周面72とテーパ周面73とを設けた場合も本発明の目的を達成できる。
【符号の説明】
【0058】
A:液体噴出器
A1:トリガー式の液体噴出器
A2:縦型ポンプ式の液体噴出器
10…装着キャップ、20…本体、21…基筒部、22…射出筒、23…シリンダ、
24…吸い上げ用のパイプ、25…吸込み弁、26…弾性部材、27…吐出弁、
28…プランジャ、29…連通孔、30…連結筒部材、31…大径筒部、
32…フランジ、33…縦筒、34…嵌合筒、
35…連通孔、40…トリガー、41…バネ板、50…連結部材、51…装着筒部、
52…基板、53…中心軸、54…連結用筒、
55…透孔、56…第1凹溝、60…ノズル、61…嵌合筒、62…前壁、
63…中心筒、64…第2凹溝、66…噴出孔、67…噴出口、68…放射状凹部、 70…スピン機構、71…中央凹部、72…円周面、72a…小径部、
72b…大径部、73…テーパ周面、74…外気導入路、75…調整円周面、
76…円形突部、77…調整テーパ周面、80…作動部材、81…小径のピストン、
82…大径のピストン、83…ステム部材、84…噴出ヘッド、85…補助シリンダ、
86…環状溝、87…柱状部、88…連通路、90…嵌着筒、91…筒状部、
92…隔壁、s…コイルスプリング、p1…中央集中域、p2…拡散域、
B:容器体
100…口頸部
【技術分野】
【0001】
本発明は液体噴出器に関し、詳しくは、収容液を泡状に、しかも泡の塗布パターンを広い範囲になるべく丸く散布することが可能な液体噴出器に関する。
【背景技術】
【0002】
容器体に装着して使用し、シリンダ内を加圧及び減圧させて容器体内の液を噴出孔より噴出するポンプ機構を備えた液体噴出器が種々提案されている。(例えば、特許文献1参照)
【0003】
特許文献1に記載された液体噴出器はトリガー式の液体噴出器であり、本体に揺動可能に装着されたトリガーの操作によりシリンダ内を加圧或いは減圧させることで、容器体内の液を噴出口より噴出する。
【0004】
また、容器体内に垂下固定されるシリンダと、シリンダ内より上部を突出して上方付勢状態で上下動可能に設けられた作動部材とを備え、作動部材の上下動でシリンダ内を加圧及び減圧させることで、容器体内の液を噴出口より噴出する縦型ポンプ式の液体噴出器も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−290731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記トリガー式の液体噴出器或いは縦型ポンプ式液体噴出器は内部構造により、棒状形態の液状に、或いは霧状、泡状に液を噴出する。霧状に噴出する場合には、例えば、液流路にスピン機構を配置して回動液を噴出口より噴出することで霧状の噴出を可能としている。また、泡状に噴出する場合には外気を導入する機構を備え、外気と液とを混合して起泡する機構を備えている。縦型ポンプ式の液体噴出器の場合、大径の空気用シリンダ小径の液用シリンダを備え、それらに連携する作動部材の上下動により泡状に液を噴出しているが全体構造が大きくなる嫌いがある。また、いずれの液体噴出器の場合も泡を噴出する噴出口が円筒状の噴出口を採用しているため、泡状に噴出する場合にその塗布パターンが狭いという欠点もあった。
【0007】
本発明は上記した点に鑑みたもので、収容液を泡状に、しかも泡の塗布パターンを広い範囲になるべく丸く散布することが可能であり、しかも、構造も簡単で、製造も容易である液体噴出器を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の手段として、以下の通り構成した。即ち、シリンダ23内を加圧及び減圧させて容器体B内の液を噴出孔66より噴出するポンプ機構を備え、スピン機構70を介して噴出孔66より霧状に液を噴出する液体噴出器に於いて、噴出孔66先方に起泡拡散機構を備え、起泡拡散機構は、噴出孔66の先方に延設した柱状空間形態の噴出口67を備え、噴出口67の基端部を円周面72とするとともに、先端部に外方へ広がるテーパ周面73を備え、円周面72に外部と連通して外気を導入する外気導入路74の一端を開口してなり、外気導入路74からの外気と混合した噴出孔66からの噴霧液を円周面72に衝突させて起泡し、噴出口67の先端開口より噴出可能とした。
【0009】
第2の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段に於いて、テーパ周面73と連続する噴出口67の先端に、拡散程度を調整する調整円周面75を設けた。
【0010】
第3の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第2の手段に於いて、調整円周面75の先端に、外方へ広がる調整テーパ周面77を連設した。
【0011】
第4の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段乃至第3の手段に於いて、円周面72を基端側の小径部72aと、先端側の大径部72bとで構成し、小径部72aに外気導入路74の一端を開口した。
【0012】
第5の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段乃至第4の手段のいずれかの手段に於いて、揺動可能に設けられたトリガー操作によりシリンダ23内を加圧及び減圧されるポンプ機構を備えたトリガー式の液体噴出器である。
【0013】
第6の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段乃至第4の手段のいずれかの手段に於いて、容器体B内に垂下固定されるシリンダ23と、シリンダ23内より上部を突出させて上方付勢状態で上下動可能に設けられた作動部材80とを備え、作動部材80の上下動でシリンダ23内を加圧及び減圧させる縦型ポンプ式の液体噴出器である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、泡パターンを広い範囲になるべく丸く散布することができ、しかも構造が簡単で、噴出孔66より霧状に噴出する機構を備えた液体噴出器の簡単な改良で形成することができる利点がある。
【0015】
テーパ周面73と連続する噴出口67の先端に、拡散程度を調整する調整円周面75を設けた場合には、散布された泡パターンを必要に応じた拡散状態に調整することができ、泡パターンの輪郭もはっきりした散布を行える。
【0016】
調整円周面75の先端に、外方へ広がる調整テーパ周面77を連設した場合には、噴出された泡の塗布パターンは、調整円周面75のみ付加した場合と比較して、全体の泡の分散域が拡大することで中央集中域p1の大きさが小さくなる傾向があり、調整円周面75のみ付加した形態と用途によって好ましい選択使用が可能となる。
【0017】
円周面72を基端側の小径部72aと、先端側の大径部72bとで構成し、小径部72aに外気導入路74の一端を開口した場合には、外気の導入が噴出孔66近傍の狭い噴出口67内に行われて密な混合が可能となり、また、その後混合液が大径部に衝突してより良好な起泡性を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】液体噴出器の縦断面図である。(第1実施例)
【図2】スピン機構の説明図である。(第1実施例)
【図3】噴出孔及び噴出口部分の要部拡大断面図である。(第1実施例)
【図4】泡の塗布パターンの正面図である。(第1実施例)
【図5】液体噴出器の縦断面図である。(第2実施例)
【図6】ノズルの拡大正面図である。(第2実施例)
【図7】噴出孔及び噴出口部分の要部拡大断面図である。(第2実施例)
【図8】噴出孔及び噴出口部分の要部拡大断面図である。(第3実施例)
【図9】調整テーパ周面部分の要部拡大図断面図である。(第3実施例)
【図10】泡の塗布パターンの正面図である。(第3実施例)
【図11】噴出孔及び噴出口部分の要部拡大断面図である。(第4実施例)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の形態を図面を参照して説明する。
【0020】
図1乃至図4は本発明の液体噴出器の第1実施例を示す。以下の説明に於いて、便宜上図面の上方を上部、下方を下部とし、また、噴出口67のある左方を前部、その反対を後部として説明する。本例に於ける液体噴出器Aは、揺動可能に設けられたトリガー操作によりシリンダ内を加圧及び減圧されるポンプ機構を備えたトリガー式の液体噴出器A1であり、装着キャップ10と、本体20と、連結筒部材30と、トリガー40と、連結部材50と、ノズル60とを備えている。
【0021】
装着キャップ10は、容器体Bの口頸部100外周に螺着してトリガー式液体噴出器Aを容器体に装着固定するもので、本体20の下部に回動可能に連設されている。
【0022】
本例では、本体20に嵌着した連結筒部材30を介して、本体と装着キャップ10とを連繋させている。本体20は、上端を閉塞した下端開口の嵌合筒34を有し、また、嵌合筒34頂部の後部偏心位置に下端を開口して起立した有頂筒状の基筒部21を有し、基筒部21の上部より前方へ射出筒22を、下方より前方へシリンダ23をそれぞれ突設しており、シリンダ23内にプランジャ28を摺動可能に嵌合させている。また、連結筒部材30は嵌合筒34内に上部を嵌着した上端閉塞の大径筒部31を備え、大径筒部31頂部の後部偏心位置を貫通して下端を開口した縦筒33を基筒部21内に嵌着固定している。縦筒33の下端には吸い上げ用のパイプ24の上端を嵌着して、その下端を容器体内底部に垂下させている。
【0023】
縦筒33内下部には吸込み弁25を配置し、上部には弾性部材26で常時は圧接閉塞されている吐出弁27を備えている。また、プランジャ28により閉塞されるシリンダ23内と縦筒33内とを連通する連通孔29を、吸込み弁25下流で吐出弁27上流の基筒部21及び縦筒33を貫通して穿設している。更に、縦筒33内と射出筒22内とを連通する連通孔35を吐出弁27下流の基筒部21及び縦筒33を貫通して穿設している。また、連結筒部材30の大径筒部31外周下部より突設したフランジ32上面に、装着キャップ10上端のフランジ状頂壁を当接させて本体20に対して装着キャップ10を回動可能に装着している。
【0024】
トリガー40は、射出筒22の前部位置の連結部材50に上端部を回動可能に枢着して前後揺動可能に装着されており、また、連結部材50の左右より一体に垂設された一対のバネ板41の下端部を、トリガー40の両側面上部にそれぞれ連繋させて常時前方へ付勢された状態で枢着されている。また、プランジャ28の先端部をトリガー40上部に連携させて、トリガー40の引き込みによりプランジャ28の押し込みが可能に、押し込んだ状態からバネ板41の弾性復元力で元の状態に復元するトリガー40により、プランジャ28を元の状態に引き戻すよう構成されている。
【0025】
連結部材50は、射出筒22の先端外周に装着筒部51を嵌合させて射出筒22の先端に嵌着している。装着筒部51の前部両側からは上記したバネ板41を一体に垂設しており、また、バネ板41垂設部分後方の両側にトリガー40の両側板上端部をそれぞれ枢着している。また、装着筒部51先端に射出筒22先端面を被覆する基板52を備え、基板52前面中央より先端閉塞の筒状をなす中心軸53を、その周囲に連結用筒54を突設し、基板52に設けた透孔55を介して射出筒22内と中心軸53外方の連結用筒54内とを連通している。
【0026】
ノズル60は、連結用筒54外周に回動可能に嵌合させた嵌合筒61を前壁62後面より突設し、また、嵌合筒61内周の前壁62後面からは中心軸53外周に液密回動可能に嵌合する中心筒63を突設している。また、中心筒63の内面後端部所定位置に前後方向に伸びる第2凹溝64を設けており、連結部材50の中心軸53の外面先端部所定位置に設けた前後方向に延びる第1凹溝56とノズル60の所定回動位置では連通が可能に、それ以外の回動位置では連通が不能に構成している。
【0027】
前壁62の中央部にはスピン機構70を介して噴出孔66が穿設され、噴出孔66の先方に柱状空間形態の噴出口67を延設している。スピン機構70は、前壁62後面に刻設されたもので、図2に示す如く、中央凹部71から螺旋状の放射状凹部68が複数凹設され噴出孔66に連通させたもので、第1凹溝56からの液を噴出孔66から霧状に噴出する機能を果たす。
【0028】
本発明では、噴出孔66先方に起泡拡散機構を備えている。起泡拡散機構は、基端部を円周面72とするとともに、先端部に外方へ広がるテーパ周面73を備えた上記柱状空間形態の噴出口67を備えており、また、噴出口67の円周面72に外部と連通して外気を導入する外気導入路74の一端を開口している。そして、外気導入路74からの外気と混合した噴出孔66からの噴霧液を円周面72に衝突させて起泡し、噴出口67の先端開口より噴出可能に構成している。
【0029】
本例に於ける噴出口67は、前面中央に円形突部76を突設した肉厚の前壁62の中央部に凹設し、奥面中央に噴出孔66を開口した柱状空間形態をなしている。また、円周面72を基端側の小径部72aと、先端側の大径部72bとで構成し、小径部72aの両側に外部と連通して外気を導入する外気導入路74の一端を開口している。更に本例では、テーパ周面73と連続する噴出口67の先端に、拡散程度を調整する調整円周面75を設けている。円周面72及び調整円周面75は、水平軸に沿った横方向にストレートな真円構造であり、これらの円周面と、その周縁部より360°方向に広がるテーパ周面との組み合わせで良好な拡散状態の調整を行える。
【0030】
そして、噴出孔66から霧状に噴出する液と外気導入路74からの外気を小径部72a内で混合させた後大径部72bに混合液を衝突させて起泡させ、噴出口67先端開口より泡状に噴出する如く構成している。この際テーパ周面73の存在で泡の塗布パターンが円形に広範囲に広がり、また、調整円周面75により周縁部の輪郭をはっきりさせた泡の過剰な広がり過ぎをおさえた塗布パターンを形成できる。
【0031】
上記の如く構成した液体噴出器Aは、トリガー40を後方へ引くことでプランジャ28を押し込み、シリンダ23内の液を加圧して吐出弁27を開き、加圧液は射出筒22から透孔55を通り、第2凹溝64、第1凹溝56を介してスピン機構70に導入される。スピン機構70から噴出孔66を介して霧状に噴出された液は外気導入路74から導入された外気と混合して大径部72bに衝突するとともに、噴出口67先端より泡状に噴出される。
【0032】
噴出された泡の塗布パターンは、例えば、図1及び図4に示す如く、比較的大粒の中央集中域p1と、その周囲の比較的小径の拡散域p2とで構成される。
【0033】
次いでトリガーの引き込みをやめるとバネ板41の弾性復元力によりトリガー40が元の状態に戻されるとともに、プランジャ28が引き出され、負圧化したシリンダ23内に吸込み弁25を開いて容器体B内の液が導入される。
【0034】
図5乃至図7は第2実施例を示し、この場合も便宜上図面の上方を上部、下方を下部とし、また、噴出口67のある左方を前部、その反対を後部として説明する。本例に於ける液体噴出器Aは、容器体B内に垂下固定されるシリンダ23と、シリンダ23内より上部を突出させて上方付勢状態で上下動可能に設けられた作動部材80とを備え、作動部材80の上下動でシリンダ23内を加圧及び減圧させる縦型ポンプ式の液体噴出器A2である。縦型ポンプ式の液体噴出器A2は、装着キャップ10と、シリンダ23と、作動部材80とを備えている。
【0035】
装着キャップ10は、容器体Bの口頸部100外周に螺着して縦型ポンプ式の液体噴出器A2を容器体Bに装着固定するもので、シリンダ23の上端部を内面に嵌着固定している。
【0036】
シリンダ23は、装着キャップ10の容器体Bへの装着固定により容器体B内に垂下固定し、内部底部には吸込み弁25を設けている。また、吸い上げ用のパイプ24を下端に嵌着し、その下端を容器体B内底部に垂下している。
【0037】
作動部材80は、コイルスプリングsにより常時上方に付勢されて上下動可能に装着されており、下部にシリンダ23内を摺動する小径のピストン81を、上部外周に大径のピストン82をそれぞれ突設し、また、内部に液流路を設けたステム部材83を備え、ステム部材83の上端に噴出ヘッド84を装着している。
【0038】
噴出ヘッド84は、下部に垂設した補助シリンダ85に大径のピストン82を摺動自在に嵌合させてステム部材83と連繋しており、コイルスプリングsにより上方付勢されたステム部材83により押し上げられるとともに、補助シリンダ85外周を装着キャップ10の案内筒内面上部に係合させることで上方への抜け出しを防止している。また、補助シリンダ85の頂壁部中央に穿設した吐出弁口を、ステム部材83上端の吐出弁体で閉塞して吐出弁27を形成している。
【0039】
噴出ヘッド84の前面には、周囲を環状溝86で囲まれ、ノズル60を嵌着させるための前向きの柱状部87を備え、環状溝86の基端部の一部を連通路88を介して吐出弁27と連通する内部の液流路と連通している。
【0040】
ノズル60は、中央に噴出孔66を穿設した隔壁92で後端を閉塞し、内部に柱状空間形態の噴出口67を備えた筒状部91を備え、筒状部91の後面より環状溝86に嵌着する嵌着筒90を突設している。そして、嵌着筒90を環状溝86に嵌着して噴出ヘッド84に装着している。また、ノズル60後面には、図1の例と同様形態のスピン機構70を刻設しており、連通路88から嵌着筒90と柱状部87との隙間を介してスピン機構70の放射状凹部68に連通させている。
【0041】
噴出口67は、図1の例と同様に基端部を円周面72とするとともに、先端部に外方へ広がるテーパ周面73を備え、円周面72に外部と連通して外気を導入する外気導入路74の一端を開口している。この場合も円周面72を基端側の小径部72aと、先端側の大径部72bとで構成し、小径部72aに外部と連通して外気を導入する外気導入路74の一端を開口しており、更にテーパ周面73と連続する噴出口67の先端に、拡散程度を調整する調整円周面75を設けている。
【0042】
上記の如く構成した縦型ポンプ式の液体噴出器A2は、作動部材80を下方へ押し下げることでシリンダ23内が加圧され、ステム部材83内の流路を介して連通するシリンダ23と、シリンダ23より大径の補助シリンダ85との存在で、ステム部材83が噴出ヘッド84に対して相対的に押し下げられて吐出弁27が開口し、加圧液が噴出ヘッド84内流路から環状溝86を介してスピン機構70に導入され、図1の例の場合と同様に泡状に噴出口67の先端開口より噴出される。
【0043】
噴出された泡の塗布パターンは、図1の例と同様に例えば、図5に示す如く、比較的大粒の中央集中域p1と、その周囲の比較的小径の拡散域p2とで構成される。
【0044】
次いで液圧の減少に伴い吐出弁27が閉じ、作動部材80の押し下げをやめるとコイルスプリングsの作用で作動部材80は上昇し、負圧化したシリンダ23内に吸込み弁25を開いて容器体B内の液が導入される。
【0045】
図8は第3実施例を示し、第1実施例に於ける、揺動可能に設けられたトリガー操作によりシリンダ内を加圧及び減圧されるポンプ機構を備えたトリガー式の液体噴出器A1であり、本例は、図示しないが、第1実施例と同様の、装着キャップ10と、本体20と、連結筒部材30と、トリガー40と、連結部材50とを備えており、ノズル60のみ一部の構成が異なる。
【0046】
ノズル60は、第1実施例と同様に、連結用筒54外周に回動可能に嵌合させた嵌合筒61を前壁62後面より突設し、また、嵌合筒61内周の前壁62後面からは中心軸53外周に液密回動可能に嵌合する中心筒63を突設している。また、中心筒63の内面後端部所定位置に前後方向に伸びる第2凹溝64を設けており、連結部材50の中心軸53の外面先端部所定位置に設けた前後方向に延びる第1凹溝56とノズル60の所定回動位置では連通が可能に、それ以外の回動位置では連通が不能に構成している。前壁62の中央部には第1実施例と同様のスピン機構70を介して噴出孔66が穿設され、噴出孔66の先方に柱状空間形態の噴出口67を延設している。
【0047】
また、第1実施例と同様に、噴出孔66先方に起泡拡散機構を備えている。本例に於ける起泡拡散機構は、第1実施例に於ける起泡拡散機構に、図9に拡大図で示す如く、調整テーパ周面77の構成を付加したものであり、基端部を円周面72とするとともに、先端部に外方へ広がるテーパ周面73を備えた上記柱状空間形態の噴出口67を備えており、また、噴出口67の円周面72に外部と連通して外気を導入する外気導入路74の一端を開口している。そして、外気導入路74からの外気と混合した噴出孔66からの噴霧液を円周面72に衝突させて起泡し、噴出口67の先端開口より噴出可能に構成している点は第1実施例と同様である。この場合も、水平軸に沿った横方向にストレートな真円構造とその周縁から360°方向に広がるテーパ周面との組み合わせで良好な拡散状態の調整を行え、この場合にはストレートな真円構造から広がるテーパ構造を二段階に設けてより微細な調整を可能としている。
【0048】
本例に於ける噴出口67は、前面中央に円形突部76を突設した肉厚の前壁62の中央部に凹設し、奥面中央に噴出孔66を開口した柱状空間形態をなしている。また、円周面72を基端側の小径部72aと、先端側の大径部72bとで構成し、小径部72aの両側に外部と連通して外気を導入する外気導入路74の一端を開口している。テーパ周面73と連続する噴出口67の先端に、拡散程度を調整する調整円周面75を設けており、調整円周面75の先端に、外方へ広がる調整テーパ周面77を連設している。
【0049】
本例の場合も、噴出孔66から霧状に噴出する液と外気導入路74からの外気を小径部72a内で混合させた後大径部72bに混合液を衝突させて起泡させ、噴出口67先端開口より泡状に噴出する如く構成している。この際テーパ周面73の存在で泡の塗布パターンが円形に広範囲に広がり、また、調整円周面75により塗布パターンの広がりをある程度の範囲に調整した後、調整テーパ周面77で更に塗布パターンを広げる。
【0050】
トリガー40操作による泡の噴出作用は上記した第1実施例と同様である。
【0051】
噴出された泡の塗布パターンは、例えば、図10に示す如く、比較的大粒の中央集中域p1と、その周囲の比較的小径の拡散域p2と、その周囲の第2拡散域p3とで構成される。第2拡散域p3の存在で、全体の泡の分散域が拡大することで、中央集中域p1の大きさが小さくなる傾向があり、第1実施例の形態と用途によって選択使用することが可能である。
【0052】
図11は第4実施例を示し、第2実施例に於ける、縦型ポンプ式の液体噴出器Aであり、図示しないが、第2実施例と同様の装着キャップ10と、シリンダ23と、作動部材80とを備えており、ノズル60のみ一部の構成が異なる。
【0053】
ノズル60は、第2実施例と同様に、中央に噴出孔66を穿設した隔壁92で後端を閉塞し、内部に柱状空間形態の噴出口67を備えた筒状部91を備え、筒状部91の後面より環状溝86に嵌着する嵌着筒90を突設している。そして、嵌着筒90を環状溝86に嵌着して噴出ヘッド84に装着している。また、ノズル60後面には、同様形態のスピン機構70を刻設しており、連通路88から嵌着筒90と柱状部87との隙間を介してスピン機構70の放射状凹部68に連通させている。
【0054】
噴出口67は、第3実施例と同様に基端部を円周面72とするとともに、先端部に外方へ広がるテーパ周面73を備え、円周面72に外部と連通して外気を導入する外気導入路74の一端を開口している。この場合も円周面72を基端側の小径部72aと、先端側の大径部72bとで構成し、小径部72aに外部と連通して外気を導入する外気導入路74の一端を開口しており、更にテーパ周面73と連続する噴出口67の先端に、拡散程度を調整する調整円周面75を設け、調整円周面75の先端に、外方へ広がる調整テーパ周面77を連設している。
【0055】
本例の場合も、噴出孔66から霧状に噴出する液と外気導入路74からの外気を小径部72a内で混合させた後大径部72bに混合液を衝突させて起泡させ、噴出口67先端開口より泡状に噴出する如く構成している。この際テーパ周面73の存在で泡の塗布パターンが円形に広範囲に広がり、また、調整円周面75により塗布パターンの広がりをある程度の範囲に調整した後、調整テーパ周面77で更に塗布パターンを広げる。
【0056】
作動部材80の押し下げ操作によるの噴出作用は上記した第2実施例と同様である。また、噴出された泡の塗布パターンは第3実施例と同様である。
【0057】
尚、上記各例では調整円周面75或いは調整円周面75と調整テーパ周面77を設けている例を示したが、調整円周面75或いは調整円周面75と調整テーパ周面77を設けずに、円周面72とテーパ周面73とを設けた場合も本発明の目的を達成できる。
【符号の説明】
【0058】
A:液体噴出器
A1:トリガー式の液体噴出器
A2:縦型ポンプ式の液体噴出器
10…装着キャップ、20…本体、21…基筒部、22…射出筒、23…シリンダ、
24…吸い上げ用のパイプ、25…吸込み弁、26…弾性部材、27…吐出弁、
28…プランジャ、29…連通孔、30…連結筒部材、31…大径筒部、
32…フランジ、33…縦筒、34…嵌合筒、
35…連通孔、40…トリガー、41…バネ板、50…連結部材、51…装着筒部、
52…基板、53…中心軸、54…連結用筒、
55…透孔、56…第1凹溝、60…ノズル、61…嵌合筒、62…前壁、
63…中心筒、64…第2凹溝、66…噴出孔、67…噴出口、68…放射状凹部、 70…スピン機構、71…中央凹部、72…円周面、72a…小径部、
72b…大径部、73…テーパ周面、74…外気導入路、75…調整円周面、
76…円形突部、77…調整テーパ周面、80…作動部材、81…小径のピストン、
82…大径のピストン、83…ステム部材、84…噴出ヘッド、85…補助シリンダ、
86…環状溝、87…柱状部、88…連通路、90…嵌着筒、91…筒状部、
92…隔壁、s…コイルスプリング、p1…中央集中域、p2…拡散域、
B:容器体
100…口頸部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダ(23)内を加圧及び減圧させて容器体(B)内の液を噴出孔(66)より噴出するポンプ機構を備え、スピン機構(70)を介して噴出孔(66)より霧状に液を噴出する液体噴出器に於いて、噴出孔(66)先方に起泡拡散機構を備え、起泡拡散機構は、噴出孔(66)の先方に延設した柱状空間形態の噴出口(67)を備え、噴出口(67)の基端部を円周面(72)とするとともに、先端部に外方へ広がるテーパ周面(73)を備え、円周面(72)に外部と連通して外気を導入する外気導入路(74)の一端を開口してなり、外気導入路(74)からの外気と混合した噴出孔(66)からの噴霧液を円周面(72)に衝突させて起泡し、噴出口(67)の先端開口より噴出可能としたことを特徴とする液体噴出器。
【請求項2】
テーパ周面(73)と連続する噴出口(67)の先端に、拡散程度を調整する調整円周面(75)を設けた請求項1に記載の液体噴出器。
【請求項3】
調整円周面(75)の先端に、外方へ広がる調整テーパ周面(77)を連設した請求項2に記載の液体噴出器。
【請求項4】
円周面(72)を基端側の小径部(72a)と、先端側の大径部(72b)とで構成し、小径部(72a)に外気導入路(74)の一端を開口した請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の液体噴出器。
【請求項5】
揺動可能に設けられたトリガー操作によりシリンダ(23)内を加圧及び減圧されるポンプ機構を備えたトリガー式の液体噴出器である請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の液体噴出器。
【請求項6】
容器体(B)内に垂下固定されるシリンダ(23)と、シリンダ(23)内より上部を突出させて上方付勢状態で上下動可能に設けられた作動部材(80)とを備え、作動部材(80)の上下動でシリンダ(23)内を加圧及び減圧させる縦型ポンプ式の液体噴出器である請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の液体噴出器。
【請求項1】
シリンダ(23)内を加圧及び減圧させて容器体(B)内の液を噴出孔(66)より噴出するポンプ機構を備え、スピン機構(70)を介して噴出孔(66)より霧状に液を噴出する液体噴出器に於いて、噴出孔(66)先方に起泡拡散機構を備え、起泡拡散機構は、噴出孔(66)の先方に延設した柱状空間形態の噴出口(67)を備え、噴出口(67)の基端部を円周面(72)とするとともに、先端部に外方へ広がるテーパ周面(73)を備え、円周面(72)に外部と連通して外気を導入する外気導入路(74)の一端を開口してなり、外気導入路(74)からの外気と混合した噴出孔(66)からの噴霧液を円周面(72)に衝突させて起泡し、噴出口(67)の先端開口より噴出可能としたことを特徴とする液体噴出器。
【請求項2】
テーパ周面(73)と連続する噴出口(67)の先端に、拡散程度を調整する調整円周面(75)を設けた請求項1に記載の液体噴出器。
【請求項3】
調整円周面(75)の先端に、外方へ広がる調整テーパ周面(77)を連設した請求項2に記載の液体噴出器。
【請求項4】
円周面(72)を基端側の小径部(72a)と、先端側の大径部(72b)とで構成し、小径部(72a)に外気導入路(74)の一端を開口した請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の液体噴出器。
【請求項5】
揺動可能に設けられたトリガー操作によりシリンダ(23)内を加圧及び減圧されるポンプ機構を備えたトリガー式の液体噴出器である請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の液体噴出器。
【請求項6】
容器体(B)内に垂下固定されるシリンダ(23)と、シリンダ(23)内より上部を突出させて上方付勢状態で上下動可能に設けられた作動部材(80)とを備え、作動部材(80)の上下動でシリンダ(23)内を加圧及び減圧させる縦型ポンプ式の液体噴出器である請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の液体噴出器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−81927(P2013−81927A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261028(P2011−261028)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】
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