説明

液体噴射ヘッド及び液体噴射装置

【課題】回路基板の移動を効果的に抑制でき、回路基板のコネクターに対して外部配線を良好に挿抜することができる液体噴射ヘッド及び液体噴射装置を提供する。
【解決手段】回路基板90上に、外部配線が接続されるコネクター92を、外部配線が挿抜される接続口93を流路部材80側に開口させて固定し、流路部材80が、回路基板90に対向する領域に回路基板90に向かって突出すると共に回路基板90の表面に実質的に当接する変形規制部200を備える構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体貯留手段から液体供給路を介してヘッド本体に供給された液体をノズルから噴射する液体噴射ヘッド及びそれを備えた液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体噴射ヘッドの代表例であるインクジェット式記録ヘッドは、一般的に、インクが充填されたインクカートリッジ(液体貯留手段)からインク流路(液体流路)を介してヘッド本体の圧力発生室にインクが供給されるように構成されている。そして、圧電素子等の圧力発生手段によって、圧力発生室内に圧力を付与することで、圧力発生室に連通するノズルからインク滴が噴射されるようになっている。
【0003】
インクジェット式記録ヘッドの具体的な構成としては、例えば、ヘッド本体と、複数のヘッド本体が固定されるヘッドケースと、ヘッドケースが固定されるカートリッジケースと、備え、これらヘッドケースとカートリッジケースとの間に、圧電素子を駆動するための信号を供給する回路基板が固定されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−11383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この特許文献1の図1にも示されているように、回路基板には、外部配線が挿抜されるコネクターが設けられている。このようなコネクターは、外部配線が挿抜される接続口が回路基板の面内方向外側に向かって開口するように回路基板に固定されていることが多い。つまり外部配線は、回路基板の面内方向に力を加えることによってコネクターに対して挿抜されることになる。ところで、例えば、図9に示すように、コネクター920が設けられた従来の回路基板900は、回路基板900に設けられた貫通孔940にヘッドケース600上に突出して設けられたボス部650が挿通されることで、回路基板900の面内方向での移動が規制されていた。外部配線1000をコネクター920の接続口930に挿抜する際にも、回路基板900は、その面内方向の移動がこのボス部650によって規制されていた。
【0006】
このように回路基板900の面内方向における移動は、ボス部650によって規制することはできる。しかしながら、外部配線1000をコネクター920の接続口930に挿抜する際にかかる力によってボス部650が割れてしまう虞があった。このような問題は、例えば、ボス部650の直径を大きくする等してボス部650の剛性を高めることによって防止することはできる。しかしながら、回路基板900上には配線が密に形成されており、ボス部650の径を大きくしてしまうと、回路基板900に配線を形成するスペースを確保することができなくなる虞がある。さらに電子部品を実装するスペースを回路基板900上に確保できなくなる虞もある。
【0007】
なお、このような問題はインクジェット式記録ヘッドだけではなく、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドにおいても同様に存在する。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、回路基板の移動を効果的に抑制でき、回路基板のコネクターに対して外部配線を良好に挿抜することができる液体噴射ヘッド及び液体噴射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する本発明は、液滴を噴射するヘッド本体と、該ヘッド本体が固定されるケース部材と、該ケース部材に固定され、液体が貯留される液体貯留手段に繋がる液体供給路を備える流路部材と、これらケース部材と流路部材との間に設けられて前記ヘッド本体を構成する圧力発生素子が接続される回路基板と、を備え、該回路基板上には、外部配線が接続されるコネクターが、前記外部配線が挿抜される接続口を前記流路部材側に開口させて固定されており、前記流路部材は、前記回路基板に対向する領域に前記回路基板に向かって突出すると共に前記回路基板の表面に実質的に当接して設けられて当該回路基板の前記流路部材側への変形を規制する変形規制部を備えることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる本発明では、変形規制部によって回路基板の変形(反り)が規制される。回路基板に設けられたコネクターから外部配線を引き抜く際にも、変形規制部によって回路基板の反りが規制される。つまり外部配線をコネクターから良好に引き抜くことができる。また外部配線をコネクターから引き抜く際に回路基板が変形して破損することがない。さらに変形規制部が回路基板に向かって突出して設けられているため、回路基板の反りに伴う圧力が変形規制部に加わっても、変形規制部が破損することもない。
【0010】
ここで、前記変形規制部が、前記コネクターに近接して設けられていることが好ましい。これにより、外部配線をコネクターから引き抜く際に生じる回路基板の反りがより確実に抑えられる。
【0011】
また前記変形規制部が、前記回路基板の外周部の複数箇所に設けられていることが好ましい。これにより回路基板の反りの発生がさらに確実に抑えられる。
【0012】
また前記ケース部材と前記流路部材とが前記回路基板を間に挟んだ状態で締結部材によって固定されている場合には、前記変形規制部は前記締結部材近傍に設けられていることが好ましい。これにより回路基板が変形規制部に当接した際に、締結部材による締結力が回路基板の変形を抑える力としても作用する。したがって、回路基板の反りがより確実に抑えられる。
【0013】
また本発明は、このような液体噴射ヘッドを備えることを特徴とする液体噴射装置にある。かかる本発明では、ヘッドの耐久性を向上することができ、信頼性を向上した液体噴射装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る記録ヘッドの全体構成を示す概略斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る記録ヘッドの組立断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るヘッド本体の分解斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るヘッド本体の断面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る回路基板の概略構成を示す平面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る記録ヘッドの要部の概略を示す断面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る記録ヘッドの変形例を示す断面図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る記録装置の概略図である。
【図9】従来技術に係る記録ヘッドの要部の概略を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの分解斜視図であり、図2は、その組立断面図である。
【0016】
図1及び図2に示すように、インクジェット式記録ヘッド(以下、単に「記録ヘッド」という)10は、インク滴を噴射する複数のヘッド本体20と、ヘッド本体20が固定されるケース部材60と、ケース部材60のヘッド本体20とは反対面側に設けられた流路部材80と、ケース部材60と流路部材80との間に設けられる回路基板90と、を備えている。
【0017】
まずは、ヘッド本体20の構成の一例について、図3及び図4を参照して説明する。なお図3は、一実施形態に係るヘッド本体の分解斜視図であり、図4は、ヘッド本体の圧力発生室の長手方向における断面図である。
【0018】
図3及び図4に示すように、ヘッド本体20を構成する流路形成基板21には、複数の圧力発生室22がその幅方向に並設された列が2列設けられている。また、各列の圧力発生室22の長手方向外側の領域には連通部23が形成され、連通部23と各圧力発生室22とが、圧力発生室22毎に設けられたインク供給路24及び連通路25を介して連通されている。
【0019】
流路形成基板21の一方の面には、各圧力発生室22のインク供給路24とは反対側の端部近傍に連通するノズル26が穿設されたノズルプレート27が接合されている。
【0020】
一方、流路形成基板21のノズルプレート27とは反対側の面には、弾性膜28及び絶縁体膜29を介して圧電素子30が形成されている。圧電素子30は、第1電極31と、圧電体層32と、第2電極33とで構成されている。各圧電素子30を構成する第2電極33には、絶縁体膜29上まで延設されたリード電極34が接続されている。リード電極34は、一端部が第2電極33に接続されていると共に、他端部側が、フレキシブル配線部材(COF基板)であり圧電素子30を駆動するための駆動IC35aが実装された駆動配線35と接続されている。このように駆動配線35の一端側にはリード電極34が接続され、駆動配線35の他端側は回路基板90に固定されている(図2参照)。
【0021】
このような圧電素子30が形成された流路形成基板21上には、圧電素子30に対向する領域に、圧電素子30を保護するための空間である圧電素子保持部36を備えた保護基板37が接着剤38によって接合されている。また保護基板37には、マニホールド部39が設けられている。このマニホールド部39は、本実施形態では、流路形成基板21の連通部23と連通されて各圧力発生室22の共通のインク室となるマニホールド40を構成している。
【0022】
また保護基板37には、保護基板37を厚さ方向に貫通する貫通孔41が設けられている。貫通孔41は、本実施形態では、2つの圧電素子保持部36の間に設けられている。そして、各圧電素子30から引き出されたリード電極34の端部近傍は、貫通孔41内に露出するように設けられている。
【0023】
さらに保護基板37上には、封止膜44及び固定板45とからなるコンプライアンス基板46が接合されている。ここで、封止膜44は、剛性が低く可撓性を有する材料からなり、この封止膜44によってマニホールド部39の一方面が封止されている。また、固定板45は、金属等の硬質の材料で形成される。この固定板45のマニホールド40に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部47となっているため、マニホールド40の一方面は可撓性を有する封止膜44のみで封止されている。さらにコンプライアンス基板46には、マニホールド40内にインクを導入するためのインク導入口48が設けられている。
【0024】
コンプライアンス基板46上には、ヘッドケース49が固定されている。ヘッドケース49には、インク導入口48に連通してカートリッジ等の貯留手段からのインクをマニホールド40に供給するインク導入路50が設けられている。さらに、ヘッドケース49には、保護基板37に設けられた貫通孔41と連通する配線部材保持孔51が設けられており、駆動配線35は配線部材保持孔51内に挿通された状態でその一端側がリード電極34と接続されている。
【0025】
このような構成の各ヘッド本体20は、ケース部材60に固定されている。図1及び図2に示すように、ケース部材60の底面側に、複数(本実施形態では4つ)のヘッド本体20が固定されている。
【0026】
ケース部材60には、ケース部材60を厚さ方向に貫通した貫通孔61が、各ヘッド本体20に対応して設けられている。ケース部材60の貫通孔61の外側には、ヘッド本体20のヘッドケース49に設けられたインク導入路50に連通する供給路62が設けられている。そして、各ヘッド本体20の駆動配線35がこの貫通孔61に挿入され、インク導入路50と供給路62とが連通した状態で、各ヘッド本体20のヘッドケース49が貫通孔61の周縁部に接合されている。
【0027】
なおケース部材60に固定された各ヘッド本体20のノズルプレート27側の面には、ノズル26を露出する窓71を備えるカバーヘッド70が固定されている。
【0028】
流路部材80は、ケース部材60のヘッド本体20とは反対側の面に、回路基板90及びゴム材料等からなるシール部材95を介して固定されている。
【0029】
回路基板90には、上述のように圧電素子30を駆動するための電子部品や各種配線が実装されている。また回路基板90には、厚さ方向に貫通した接続孔91が設けられている。そしてヘッド本体20の駆動配線35は、この接続孔91内に挿通され、その先端部が回路基板90の各種配線等と電気的に接続されている。
【0030】
流路部材80は、流路部材本体81と、カバー部材82とを備える。上述の回路基板90及びシール部材95は、流路部材80を構成する流路部材本体81とケース部材60との間に保持されている。
【0031】
また流路部材本体81は、インクカートリッジに挿入される複数のインク供給針100が一方面側に固定される固定部83と、この固定部83の下面に突設される流路形成部84とで構成されている。流路形成部84には、一端側がインク供給針100に対向して開口するインク供給孔85がそれぞれ形成されている。そしてインク供給孔85の他端側は、シール部材95に設けられた供給連通路96を介してケース部材60の供給路62と接続されている。
【0032】
なおインク供給孔85の一端側の開口部には、インク内の気泡や異物を除去するためのフィルター110が設けられている。すなわちインク供給針100は、このフィルター110を介して流路部材本体81の固定部83に固定されている。
【0033】
各インク供給針100は、インク供給孔85に連通する貫通路101をそれぞれ内部に備える。そしてインク供給針100がインクカートリッジ(図示なし)に挿入されることで、インクカートリッジ内のインクがインク供給針100の貫通路101、インク供給孔85、供給路62等を介してヘッド本体20のマニホールド40に供給されるようになっている。
【0034】
カバー部材82は、下面側(ヘッド本体20側)が開口する略箱形状を有し、インク供給針100側から流路部材本体81に重ねられた状態で流路部材本体81と一体化されている。具体的には、カバー部材82は、インク供給針100が露出される開口部87を備えた底面部(上面部)86と、流路形成部84の周りを囲って設けられてケース部材60に達する高さを有する壁面部88とを備えている。
【0035】
このようなカバー部材82をインク供給針100側から流路部材本体81に重ね合わせ、流路部材本体81とケース部材60との間に回路基板90及びシール部材95を挟んだ状態で、カバー部材82とケース部材60とを、例えば、ネジ等の締結部材120によって固定する。これにより、流路部材本体81とカバー部材82とが一体化されて流路部材80が形成されると共に、流路部材80とケース部材60とが一体化される。本実施形態では、流路部材80とケース部材60とが、それらの各辺にそれぞれ設けられた4つの締結部材120によって固定されている(図1参照)。
【0036】
このような本発明に係る記録ヘッド10の構成では、圧電素子30を駆動するための電子部品等が搭載された回路基板90の周囲が、流路部材80及びケース部材60によって覆われている。すなわち回路基板90が、カバー部材82とケース部材60との間に形成される空間内に収容されている。これにより、ヘッド本体20のノズル26からインク滴を噴射した際等に発生するインクミストが、回路基板90に付着してしまうのを効果的に抑制することができる。
【0037】
ところで、回路基板90には、図示しない外部配線が接続されるコネクター92が設けられている。コネクター92は、図5に示すように、本実施形態では、略長方形を有する回路基板90の対向する角部にそれぞれ設けられている。またコネクター92は、図6に示すように、外部配線が挿抜される接続口93が流路部材80側に向かって開口するように回路基板90に固定されている。流路部材80を構成するカバー部材82には、コネクター92に対向する領域に、コネクター92の接続口93を露出する露出開口部89が形成されている。つまりコネクター92の接続口93には、流路部材80の外側から露出開口部89を介して外部配線を挿抜できるようになっている。
【0038】
そして流路部材80(本実施形態ではカバー部材82)は、回路基板90に対向する領域に設けられて回路基板90の表面に実質的に当接する変形規制部200を備える。ここで「実質的に当接する」とは、変形規制部200が回路基板90の表面に実際に当接した状態だけでなく、変形規制部200が回路基板90の表面に近接した状態も含む。つまり変形規制部200と回路基板90とは接触していてもよし、両者の間には若干の隙間が存在していてもよい。
【0039】
この変形規制部200は、カバー部材82の回路基板90に対向する面(下面)から回路基板90に向かって突出して設けられている。本実施形態では、変形規制部200は、カバー部材82の下面から回路基板90に向かって突出すると共にカバー部材82の側面からも連続して設けられている。
【0040】
変形規制部200を設ける位置は、特に限定されるものではないが、変形規制部200はコネクター92に近接して設けられていることが好ましい。また変形規制部200は、回路基板90の外周部に対向して設けられていることが好ましい。例えば、本実施形態では、図5に示すように、略長方形を有する回路基板90の各辺の周縁部の所定領域Aに実質的に当接するように、カバー部材82に4つの変形規制部200が設けられている。
【0041】
このような変形規制部200が設けられていることで、回路基板90の反りが抑制される。コネクター92から外部配線を引き抜く際には、回路基板90には流路部材80側に引っ張られる力が働く。この力によって回路基板90は変形しようとするが、変形規制部200に当接してその変形(反り)が抑えられる。したがって外部配線をコネクター92から良好に引き抜くことができる。また回路基板90の変形が抑えられるため、外部配線をコネクター92から引き抜く際に回路基板90が破損することもない。さらに変形規制部200は、回路基板90に向かって突出して設けられている。このため、コネクター92から外部配線を引き抜く際に、回路基板90を介して変形規制部200に圧力が加わっても、変形規制部200自体が破損することもない。
【0042】
また上述のようにケース部材60と流路部材80とは、回路基板90を間に挟んだ状態で4つの締結部材120によって固定されている。これら4つの締結部材120は、各変形規制部200に近接して配置されている。これにより、回路基板90が変形規制部200に当接した際に、締結部材120による締結力が回路基板90の変形を抑える力としても作用する。したがって回路基板90の変形(反り)がより確実に規制される。
【0043】
またこのように変形規制部200によって回路基板90の変形を規制することで、回路基板90自体に貫通孔等を設ける必要が無くなり、回路基板90の構造を簡素化することができる。さらに、変形規制部200が設けられていることでカバー部材82の剛性が高まり、記録ヘッドとしての強度も向上するという効果もある。
【0044】
なお本実施形態に係る変形規制部200は、カバー部材82の下面から回路基板90に向かって突出すると共にカバー部材82の側面からも連続して設けられているが、例えば、図7に示すように、カバー部材82の側面から連続することなくカバー部材82の下面から回路基板90に向かって突出して設けられていてもよい。このような構成であっても、勿論、変形規制部200によって回路基板90の変形(反り)を良好に規制することができる。
【0045】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、勿論、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。
【0046】
例えば、上述の実施形態では、カバー部材の4箇所に変形規制部を設けるようにしたが、変形規制部の数は特に限定されるものではない。例えば、上述のように回路基板の2つの角部にコネクターが設けられた構成では、少なくともコネクターが設けられた回路基板の各角部付近にそれぞれ変形規制部が設けられていればよい。勿論、変形規制部は、5箇所以上に設けられていてもよい。
【0047】
また例えば、上述の実施形態では、変形規制部がカバー部材に設けられた構成を例示したが、変形規制部は、流路部材本体に設けられていてもよい。何れにしても、変形規制部は、回路基板に向かって突出して回路基板の表面に実質的に当接するように構成されていればよい。
【0048】
また例えば、上述の実施形態では、流路部材が、流路部材本体と、カバー部材とで構成されたものを例示したが、流路部材の構成は、特に限定されるものではない。例えば、流路部材は、流路部材本体とカバー部材とが一体的に形成されたものであってもよい。
【0049】
また例えば、上述の実施形態で説明したヘッド本体の構成は、あくまで一例であり、これに限定されるものではない。上述した実施形態では、圧力発生素子として、薄膜型の圧電素子を例示したが、圧力発生素子の構成は特に限定されず、例えば、グリーンシートを貼付する等の方法により形成される厚膜型の圧電素子や、圧電材料と電極形成材料とを交互に積層させて軸方向に伸縮させる縦振動型の圧電素子などであってもよい。また圧力発生素子として、圧力発生室内に発熱素子を配置して、発熱素子の発熱で発生するバブルによってノズルから液滴を噴射するものや、振動板と電極との間に静電気を発生させて静電気力によって振動板を変形させてノズルから液滴を噴射させるいわゆる静電式アクチュエーターなどを使用することができる。
【0050】
また、上述の実施形態の記録ヘッドは、インクカートリッジ等と連通するインク流路を具備するインクジェット式記録ヘッドヘッドユニットの一部を構成して、インクジェット式記録装置に搭載される。図8は、そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図である。
【0051】
図8に示すように、記録ヘッドを備える記録ヘッドユニット1A及び1Bは、インク供給手段を構成するカートリッジ2A及び2Bが着脱可能に設けられ、この記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。この記録ヘッドユニット1A及び1Bは、例えば、それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物を噴射する。
【0052】
そして、駆動モーター6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4にはキャリッジ軸5に沿ってプラテン8が設けられており、図示しない給紙ローラーなどにより給紙された紙等の記録媒体である記録シートSがプラテン8に巻き掛けられて搬送されるようになっている。
【0053】
また、上述した実施形態では、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを説明したが、本発明は、広く液体噴射ヘッド及びそれを具備する液体噴射装置全般を対象としたものであり、例えば、プリンタ等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0054】
10 記録ヘッド、 20 ヘッド本体、 60 ケース部材、 61 貫通孔、 62 供給路、 70 カバーヘッド、 71 窓、 80 流路部材、 81 流路部材本体、 82 カバー部材、 83 固定部、 84 流路形成部、 85 インク供給孔、 86 底面部、 87 開口部、 88 壁面部、 89 支持壁、 90 回路基板、 91 接続孔、 91 接続孔、 92 コネクター、 93 接続口、 95 シール部材、 96 供給連通路、 100 インク供給針、 101 貫通路、 110 フィルター、 120 締結部材、 200 変形規制部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を噴射するヘッド本体と、
該ヘッド本体が固定されるケース部材と、
該ケース部材に固定され、液体が貯留される液体貯留手段に繋がる液体供給路を備える流路部材と、
これらケース部材と流路部材との間に設けられて前記ヘッド本体を構成する圧力発生素子が接続される回路基板と、を備え、
該回路基板上には、外部配線が接続されるコネクターが、前記外部配線が挿抜される接続口を前記流路部材側に開口させて固定されており、
前記流路部材は、前記回路基板に対向する領域に前記回路基板に向かって突出すると共に前記回路基板の表面に実質的に当接して設けられて当該回路基板の前記流路部材側への変形を規制する変形規制部を備えることを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項2】
前記変形規制部が、前記コネクターに近接して設けられていることを特徴とする請求項1に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項3】
前記変形規制部が、前記回路基板の外周部の複数箇所に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項4】
前記ケース部材と前記流路部材とが前記回路基板を間に挟んだ状態で締結部材によって固定されており、前記変形規制部は前記締結部材近傍に設けられていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載の液体噴射ヘッドを備えることを特徴とする液体噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−20451(P2012−20451A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−159077(P2010−159077)
【出願日】平成22年7月13日(2010.7.13)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】