説明

液体噴射用液体、液体噴射用液体の製造方法、液体噴射記録ヘッド及び液体噴射記録装置

【課題】 本発明は、上記課題を克服するためになされたものであり、中空粒子の徐放作用によって印刷物に芳香作用を付与し、且つその芳香作用を持続させられる液体噴射用液体、液体噴射記録ヘッド及び液体噴射記録装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明の液体噴射用液体は、溶剤と、香料成分と、前記香料成分を内包するとともに平均粒子径が0.05〜15μmである内部に密閉された空洞構造を有する中空粒子とを含み、温度25℃でせん断速度10000s-1の時の粘度が3〜30mPa・sであることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴射孔から飛翔し、記録紙などの被記録媒体上に着弾する液体噴射用液体であって、持続的に所望の芳香を発生する特徴を提供する液体噴射用液体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の液体噴射記録(インクジェット記録)方式は、印刷版を用意する必要のある印刷方式と異なり、一台の機械で様々なパターンを印字できることから、例えば梱包剤やポスター、車体のラッピングなど幅広い分野での利用が可能なものである。
【0003】
従来、液体噴射記録方式としてはコンティニュアスタイプとオンデマンドタイプの2つの方式に大別することができる。コンティニュアスタイプは、例えば、液体噴射用液体(インク)を粒子状にして噴射し、帯電させた液体噴射用液体粒子の進行経路に電界を形成することにより、液体噴射用液体粒子を偏向させて対象物に記録することができるものなどが挙げられる。また、オンデマンドタイプは、例えば、液体噴射記録ヘッド(インクジェットヘッド)の噴射孔(ノズル)から画像に応じて液体噴射用液体を吐出させて、紙、フィルム、布帛等の被記録媒体に印字を行うものなどが挙げられる。
【0004】
これらの液体噴射記録の長所としては、直接記録であるためにプロセスが簡単であることに加えて、インパクト方式ではないために無騒音である、カラー化が容易である、高速記録が可能である、普通紙が使用できるため低ランニングコストである、微小液体噴射用液滴を吐出させるために高解像度の記録が可能である等の優れた特徴が挙げられる(特許文献1)。
【0005】
また、液体噴射用液体中に樹脂を添加することにより、液体噴射用液体溶剤の揮発に伴い樹脂皮膜で着色剤を覆う試み(特許文献2)や、光硬化樹脂を添加し印字後の光照射で液体噴射用液体の硬化を促進する試み(特許文献3)が試されるなど、耐候性、耐擦過性、耐溶剤性などの耐久性の向上に関する研究は鋭意行われている。
【0006】
一方、印刷物の用途が多岐に渡るようになると、昨今では印刷物から香を発生させたり、温度によって色味を変化させたりなどの特殊な性能を印刷物に付与したいというニーズが生じている。これらのニーズに対して香成分をインクに添加するなどの工夫がなされているが、適用分野はスクリーン印刷やオフセット印刷の分野が主である。インクジェットの分野においてもインク自体に香料成分を添加するものが提案されている(特許文献4、5)が、スクリーン印刷やオフセット印刷に置き換わるまでには至っていない。また、インクに香油を直接添加した場合、被記録媒体上に塗布されたインクの乾燥時に溶剤が揮発するのと同時に香油の蒸発も生じてしまって印刷物から発生する芳香が弱まったり、インクの乾燥後に残留した香油も暴露されているために大気中に蒸発しやすく、印刷物に芳香作用を付与できる期間が非常に短いなどの課題も多い。
【0007】
そこで、スクリーン印刷やオフセット印刷の分野では、香油を中空粒子に封入してインクに添加する(特許文献6)ことにより、被記録媒体上に塗布されていたインクの乾燥時における香油の蒸発を抑制でき、且つ香油が暴露されている状態で塗布されていないため、中空粒子から香の徐々に放出されて(徐放作用)、印刷物に芳香作用を付与できる期間が飛躍的に延ばすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平5−65443号公報
【特許文献2】特開平5−295313号公報
【特許文献3】特開平8−060054号公報
【特許文献4】特開昭59−12977号公報
【特許文献5】特開2002−338863号公報
【特許文献6】特開平6−262882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献4と5に記載されている技術は、香料成分が添加された液体噴射用液体について具体的な物性や組成がほとんど記載されておらず、香料成分の添加による液体噴射用液体の物性や安定性への影響について未知な部分が多く、実施には更なる調査が必要となっている。特に、低温環境下において特許文献4と5に記載されている液体噴射用液体を使用した場合には、液体噴射用液体の粘度が上昇して噴射孔から噴射されないとか、香料成分が分離してしまうなどの不具合を生じ易い。また、香料成分が分離した場合には、液体噴射用液体中で香料成分が油滴として存在しやすくなってしまい、擬視的にエマルション状態を形成して、液体噴射用液体の流動性が大きく変化してしまう。逆に、高温環境下では液体噴射用液体の粘度が低下しすぎてしまい、印刷中に飛沫が発生するなどの不具合も予想される。
【0010】
また、特許文献6に記載されている技術は、香油を中空粒子に封入した状態で、インクに添加するため、その分散性の確保と粒径の制御が大きな課題となる。中空粒子の分散には一般的な分散剤を使用できるが、インクジェット分野に使用する場合には、少なくとも噴射孔から噴射できる粒径である必要があるし、また経時的にも分散が安定していることが望ましい。一方で、粒径が小さすぎると、内包できる香油量が必然的に少なくなり、被記録媒体上に塗布した後に印刷物から生じてくる香が弱くなったり、全く感じられなくなったりしてしまう。
【0011】
具体的に、画像形成できる液体噴射用液体として香油を内包した中空粒子の添加を検討する際には、インクジェットに使用できる液体噴射用液体を得るには、印刷物に芳香作用を付与できる香油量を内包できる粒径の中空粒子を安定に分散し、且つ噴射孔から噴射できるように粘度を設定することが重要になり、これらを両立し得る組成設計を図る必要がある。
【0012】
本発明は、上記課題を克服するためになされたものであり、中空粒子の徐放作用によって印刷物に芳香作用を付与し、且つその芳香作用を持続させられる液体噴射用液体、液体噴射記録ヘッド及び液体噴射記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の液体噴射用液体は以下の手段を採用している。
本発明は液体噴射用液体として、溶剤と、香料成分と、香料成分を内包するとともに平均粒子径が0.05〜15μmである内部に密閉された空洞構造を有する中空粒子とを含み、温度25℃でせん断速度10000s-1の時の粘度が3〜30mPa・sであるという構成を採用する。
【0014】
この構成によれば、中空粒子を使用することによって、香油の暴露を無くしてカプセルの壁から香が徐々に放出されることによる印刷物からの芳香作用と、芳香作用を付与できる期間の延長を図ることができる。さらに指で擦るなどして中空粒子を破壊した際には、より一層の芳香を感じられるものとなる。また、中空粒子の平均粒子径を0.05〜15μmとすることで、一部の粒子が二次粒子化しても噴射孔で目詰まりするような粗大粒子を発生しにくくできし、微粒子であるために沈降しにくく、分散安定性も確保しやすいものである。一方で、液体噴射装置から噴射するためには、噴射孔付近でかかる剪断速度である10000s-1の時の粘度が重要であり、このときの粘度を3〜30mPa・sとすることで、噴射孔から安定して噴射できる液体噴射用液体に調整することができる。
【0015】
さらに、中空粒子の材質が、ゼラチン、メラミン、ウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル、エチルセルロース、酢酸セルロース、サレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、でんぷん、アラビアゴム、メチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ヒドロキシセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ナイロン、ウレア樹脂から選択され、それらを単独、又は2種以上を併用する、という構成を採用する。
【0016】
この構成によれば、汎用性の高い樹脂で香成分を内包することができ、さらに香成分の種類や液体噴射用液体の溶媒の種類によって樹脂種を選択することで、中空粒子の溶出を防いだり、凝集のしやすさを低減したりできるものである。特に、材質の異なる中空粒子を併用することによって、液体噴射用液体に使用できる香料成分や液体噴射用液体の溶剤として、幅広い材料の選択が可能になり、より汎用性の高い液体噴射用液体を得ることができる。
【0017】
また、溶剤と、香料成分と、香料成分を内包するとともに平均粒子径が0.05〜15μmである内部に密閉された空洞構造を有する中空粒子とを含み、温度25℃でせん断速度10000s-1の時の粘度が3〜30mPa・sである液体噴射用液体の製造方法として、
(第一手法)
中空粒子は、香料成分分散系にラジカル重合性モノマーを加え、該モノマーをラジカル重合させて、香料成分をポリマーで被覆する界面重合法によって生成することを特徴とする液体噴射用液体の製造方法、
(第二手法)
中空粒子は、香料成分物分散系に中空粒子を形成するポリマーが溶解した溶液を添加し、その後、ポリマーを溶解している溶媒を留去することによって、香料成分の周りにポリマーを析出させて香料成分を被覆させる液中乾燥法によって生成することを特徴とする液体噴射用液体の製造方法、および
(第三手法)
中空粒子は、中空粒子を形成するポリマーが溶解した溶液中に香料成分を分散し、熱風中に噴霧して溶媒を蒸発させることで香料成分の周りにポリマーを析出させて香料成分を被覆させる噴霧乾燥法によって生成することを特徴とする液体噴射用液体の製造方法、を開示する。
【0018】
第一手法は、ポリマーを形成させるモノマー種を選択することにより、重合反応によって生成される中空粒子の材質の設計自由度がかなり広く、中空粒子に求められる化学特性や物理特性の制御も行いやすくなるものである。
【0019】
第二手法は、化学反応を利用せずにポリマーを中空粒子として析出させる手法であるため、化学反応の制御など複雑な調整を必要とせずに目的の中空粒子を得やすいものである。第一手法と第二手法は中空粒子が液中で精製されるため、中空粒子形成後に分散媒体と中空粒子をろ過などによって取り出す必要がある。
【0020】
一方、第三手法は、噴霧器が必要になるが、第二手法と同様に化学反応の制御は必要とせず、熱風温度などの制御を行えば、生成される中空粒子は全体に均一であり、形成された中空粒子をプロセスの出口において、直接得られるという利点がある。
【0021】
中空粒子の調整方法として、これらの構成を採用すれば、香料成分を内包した中空粒子の製造方法を選択することによって、中空粒子の材質として使用できる材料の種類を増やすことができる。そのため、例えば、中空粒子材質と酸やアルカリなどとの反応性の制御や、内包する香料の徐放性、壁の破壊強度の調整など、目的に応じた特性を有する中空粒子を用意しやすくなるものである。
【0022】
また、本発明に係る液体噴射用液体を使用する液体噴射記録ヘッドは、圧電素子によって形成されたアクチュエータープレートと、前記アクチュエータープレートに液体を供給する液体室が形成された液体室プレートとを有することを特徴としている。
この構成によれば、本発明に係る液体噴射用液体を液体噴射記録ヘッドを用いて被記録媒体に噴射し、所望の印字及び記録等の作業を実施することができる。
【0023】
また、本発明に係る液体噴射ヘッドを有する液体噴射記録装置は、被記録媒体を搬送する一対の搬送手段と、前記液体噴射ヘッドに液体噴射用液体を供給する液体供給手段と、前記液体噴射ヘッドを被記録媒体の搬送方向と略直交する方向に走査させる走査手段とを備えることを特徴としている。
この構成によれば、本発明に係る液体噴射ヘッドを液体噴射記録装置に搭載することができる。この構成を採用したことによって、液体噴射用液体を供給する手段を備え、被記録媒体に連続的に液体噴射用液体を噴射し、所望の印字及び記録等の作業を実施することができる。
【発明の効果】
【0024】
中空粒子を使用することによって、香油の暴露を無くして中空粒子の壁から香が徐々に放出されることによる印刷物からの芳香作用と、芳香作用を付与できる期間の延長を図ることができる。また、平均粒子径を0.05〜15μmとすることで、印刷物に芳香作用を付与できる量の香成分を中空粒子に内包させることができ、さらに噴射孔で目詰まりすること無く安定して液体噴射用液体を噴射でき、さらに、中空粒子の平均粒子径を0.05〜15μmとすることで、一部の粒子が二次粒子化しても噴射孔で目詰まりするような粗大粒子を発生しにくくできし、微粒子であるために沈降しにくく、分散安定性も確保しやすいものである。中空粒子の粒径が0.05μmを下回ると、内包される香成分が少なくなってしまい、印刷物から芳香が感じられなかったり、製造時に粒度分布が広くなって収率が低下したりするなどの不具合を生じやすくなってしまう。逆に、15μmを上回った場合は、二次凝集した際に噴射孔で目詰まりしたり、比重によっては液体噴射用液体から分離しやすくなるなど分散安定性の確保が困難になりやすいものである。
【0025】
一方で、液体噴射装置から噴射するためには、噴射孔付近でかかる剪断速度である10000s-1の時の粘度が重要であり、このときの粘度を3〜30mPa・sとすることで、噴射孔から安定して噴射できる液体噴射用液体に調整することができる。粘度が3mPa・sを下回ると、飛沫が発生しやすくなってしまい、画質の確保が困難になるし、逆に30mPa・sを上回ると、追従不良や飛翔速度の異常を生じやすくなってしまう。
【0026】
また、壁材質が、ゼラチン、ウレタン、メラミンである中空粒子を1種以上併用されて添加されていることによって、汎用性の高い樹脂で香成分を内包することができ、さらに香成分の種類や液体噴射用液体の溶媒の種類によって樹脂種を選択することで、中空粒子の溶出を防いだり、凝集のしやすさを低減したりできるものである。特に、複数種の壁剤からなる中空粒子を併用することによって、幅広い香成分の使用や液体噴射用液体の溶剤の選定が可能になり、より汎用性の高い液体噴射用液体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の液体噴射用液体の実施例と比較例に含まれる成分を示す図である。
【図2】本発明の液体噴射用液体の実施例と比較例の評価結果を示す図である。
【図3】本発明の液体噴射記録装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
25℃におけるせん断速度104-1の粘度はAnton Paar社製レオメーターMCR−301を用いて測定した。
着色材としては、染料及び顔料のどちらか一方またはその双方を使用できる。
非水性の液体噴射用液体に適用する場合、染料としては、油性染料ならば何れも用いることができるが、その液体噴射用液体溶剤への溶解性を考慮した上で使用するものである。その一例を挙げる。
【0029】
具体的には、ニグロシンベ−スEE、同EEL、同EX、同EXBP、同EB、オイルイエロー101、同107、オイルピンク312、オイルブラウンBB、同GR、オイルグリーンBG、オイルブルー613、同BOS オイルブラックHBB、同860、同BS、バリファストピンク2310N、バリファストイエロー1101、同1105、同3108、同4120、バリファストオレンジ2210、同3209、同3210、バリファストレッド1306、同1308、同1355、同1360、同2303、同2320、同3304、同3306、同3320、バリファストブラウン2402、同3405、バリファストグリーン1501、バリファストブルー1603、同1605、同1607、同1631、同2606、同2610、同2620、バリファストバイオレット1701、同1702、バリファストブラック1802、同1807、同3804、同3806,同3808、同3810、同3820、同3830、スピリットレッド102、オスピーイエローRY、ROB−B、MVB3、SPブルー105(以上、オリエント化学工業(株)製)、アイゼンスピロンイエロー3RH、同GRHコンクスペシャル、同GRLHスペシャル、同C−2GH、同C−GNH、アイゼンスピロンオレンジ2RH、アイゼンスピロンレッドGEH、同BEH、同GRLHスペシャル、同C−GH、同C−BH、アイゼンスピロンバイオレットRH、同C−RH、アイゼンスピロンブラウンBHコンク、同RH、アイゼンスピロンマホガニーRH、アイゼンスピロンブルーGNH、同2BNH、同C−RH、同BPNH、アイゼンスピロングリーンC−GH、同3GNHスペシャル、アイゼンスピロンブラックBNH、同MH、同RLH、同GMHスペシャル、同BHスペシャル、S.B.N.オレンジ703、S.B.N.バイオレット510、同521、S.P.T.オレンジ6、S.P.T.ブルー111、SOTピンク1、SOTブルー4、SOTブラック1、同6、同10、同12、13リキッド、アイゼンローダミンBベース、アイゼンメチルバイオレットベース、アイゼンビクトリアブルーBベース(以上、保土谷化学工業(株)製)、オイルイエローCH、オイルピンク330、オイルブルー8B、オイルブラックS、同FSスペシャルA、同2020、同109、同215、ALイエロー1106D、同3101、ALレッド2308、ネオスーパーイエローC−131、同C−132、同C−134、ネオスーパーオレンジC−233、ネオスーパーレッドC−431、ネオスーパーブルーC−555、ネオスーパーブラウンC−732、同C−733(以上、中央合成化学(株)製)、オレオゾールファストイエロー2G、同GCN、オレオゾールファストオレンジGL、オレオゾールファストレッドBL、同RL(以上、田岡化学工業(株)製)、サビニールイエロー2GLS、同RLS、同2RLS、サビニールオレンジRLS、サビニールファイアレッドGLS、サビニールレッド3BLS、サビニールピンク6BLS、サビニールブルーRN、同GLS、サビニールグリーン2GLS、サビニールブラウンGLS(以上、サンド社製、スイス国)、マゼンタSP247%、クリスタルバイオレット10B250%、マラカイトグリーンクリスタルコンク、ブリリアントグリーンクリスタルH90%、スピリットソルブルレッド64843(以上、ホリディ社製、英国)、ネプチューンレッドベース543、ネプチューンブルーベース634、ネプチューンバイオレットベース604、バソニールレッド540、バソニールバイオレット600(以上、BASF社製、独国)などが挙げられる。
【0030】
顔料では、従来公知の顔料が使用でき、アゾ系顔料、ニトロソ系顔料、ニトロ系顔料、塩基性染料系顔料、酸性染料系顔料、建て染め染料系顔料、媒染染料系顔料、及び天然染料系顔料等の有機系顔料、黄土、バリウム黄、紺青、カドミウムレッド、硫酸バリウム、酸化チタン、弁柄、鉄黒、カーボンブラック等の無機顔料等が挙げられ、これらは単独あるいは混合して使用することができる。具体例を挙げると、TITONE SR−1、同650、同R62N、同R3L、同R7E(以上、堺化学工業(株)製)、クロノスKR−310、同KR−380、同480(以上、チタン工業(株)製)、タイピュアR−900、同R−602、同R−960、同R−931(以上、デュポン・ジャパン、リミテッド製)、TITANIXJR301、同JR805、同JR602、同JR701、同JR800(以上、テイカ(株)製)などの酸化チタン、Special Black 6、同S170、同S610、同5、同4、同4A、同550、同35、同250、同100、Printex 150T、同U、同V、同140U、同140V、同95、同90、同85、同80、同75、同55、同45、同P、同XE2,同L6、同L、同300、同30、同3、同35、同25、同200、同A、同G(以上、デグサ・ジャパン(株)製)、#2400、#2350、#2300、#2200B、#1000、#950、#900、#850、#MCF88、MA600、MA100、MA7、MA11,#50、#52、#45、#44、#40、#33,#32、#30、CF9、#20B、#4000B(以上、三菱化成工業(株)製)、MONARCH 1300、同1100、同1000、同900、同880、同800、同700、MOGUL L、REGAL 400R、同660R、同500R、同330R、同300R、同99R、ELFTEX 8、同12、BLACK PEARLS 2000(以上、米国、キャボットCo.LTD製)、RAVEN7000、同5750、同5250、同5000、同3500、同2000、同1500、同1255、同1250、同1200、同1170、同1060、同1040、同1035、同1020、同1000、同890H、同890、同850、同790、同780、同760、同500、同450、同430、同420、同410、同22,同16、同14、同825Oil Beads、同H20、同C、Conductex 975、同900,同SC(以上、コロンビヤン・カーボン日本(株)製)などのカーボンブラック、BS−605、同607(以上、東洋アルミ(株)製)、ブロンズパウダーP−555、同P−777(以上、中島金属箔工業(株)製)、ブロンズパウダー3L5、同3L7(以上、福田金属箔工業(株)製)などの金属粉顔料、また、黒色酸化鉄、低次性酸化チタン、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、群青、紺青、コバルトブルー、クロムグリーン、酸化クロムなどの無機顔料、ハンザエロー−10G、同5G、同3G、同4、同GR、同A、ベンジジンエロー、パーマネントエローNCG、タートラジンレーキ、キノリンエロー、スダーン1、パーマネントオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジGN、パーマネントブラウンFG、パラブラウン、パーマネントレッド4R、ファイヤーレッド、ブリリアントカーミンBS、ピラゾンレッド、レーキレッドC、キナクリドンレッド、ブリリアントカーミン6B、ボルドー5B、チオインジゴレッド、ファストバイオレットB、ジオキサジンンバイオレット、アルカリブルーレーキ、フタロシアニンブルー、インジゴ、アシッドグリーンレーキ、フタロシアニングリーンなどの有機顔料などが挙げられる。また、この他に硫化亜鉛、珪酸亜鉛、硫酸亜鉛カドミウム、硫化カルシウム、硫酸ストロンチウム、タングステン酸カルシウムなどの無機蛍光顔料が挙げられる。
【0031】
また、本発明に係る液体噴射用液体では、着色剤に顔料を用いる場合、分散剤を併用することができる。
【0032】
本発明の液体噴射用液体の着色剤に顔料を用いる場合には顔料の分散性向上の為に、従来一般に用いられている高分子分散剤や、アニオン系もしくはノニオン系の界面活性剤などで一般に顔料の分散剤として用いられるものが使用できる。一例として、高分子分散剤として、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−アクリル共重合体、スチレン−アクリル酸アルキルエステルを主成分とした共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸アルキルエステルを主成分とした共重合体などの油溶性高分子などが挙げられる。また、界面活性剤として、リグニンスルホン酸塩、セラック等の天然高分子;ポリアクリル酸塩、スチレン−アクリル酸共重合体の塩、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体の塩、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩、リン酸塩等の陰イオン性高分子;ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等の非イオン性高分子が例示できる。また、界面活性剤であれば、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、アルキルスルホカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩等の陰イオン界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ソルビタンアルキルエステル類、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル類等の非イオン性界面活性剤が挙げられる。これら油溶性高分子及び界面活性剤は、その1種または2種以上を選択し、併用しても使用できる。また、水溶性界面活性剤としては、アニオン系又はノニオン系の界面活性剤等が例示できる。より具体的には、高分子分散剤であれば、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸アルキルエステルを主成分とした共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸アルキルエステルを主成分とした共重合体等の油溶性高分子が例示できる。また、界面活性剤であれば、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、N−アシルアミノ酸、N−アシルアミノ酸の塩、N−アシルメチルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、アルキルスルホカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩等の陰イオン界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ソルビタンアルキルエステル類、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル類等の非イオン性界面活性剤が例示できる。その使用量は、少ない場合は添加する目的である分散効果が弱く、多い場合は液体噴射用液体中の各組成物の溶解バランスを崩してしまい各種不具合が発生する懸念があるため、液体噴射用液体全量に対して0.1重量%以上15重量%以下が好ましい。
【0033】
更に、顔料を油溶性樹脂に分散した顔料チップを用いることは、顔料液体噴射用液体製造上有利なことである。これは、油溶性樹脂に分散した顔料チップは、顔料表面に分散樹脂が直接固着、分散されているため、液体噴射用液体製造時に溶解作業の導入のみで、簡便に顔料の分散が実現されるためである。具体的には、NC790ホワイト、L1/8レッドF3RK−70、同ブラックMA100、同イエローN1F、同オレンジ501、同ブラウン5R、同ブルーKLG、NCL1/8バイオレットPRL50(太平化学社(製))などが挙げられる。
【0034】
本発明において、液体噴射用液体が水生溶剤で構成される場合には、例えば、ノズル孔におけるインクの乾燥防止、低温時における液体噴射用液体の凍結防止等の目的で使用される水溶性有機溶剤が例示できる。
【0035】
このような乾燥又は凍結防止等のための前記水溶性有機溶剤として、より具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、1,3−ブチレングリコール、チオジエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド類;トリエタノールアミン等の多価アルコールアミン類が例示でき、これらは水と併用して使用される。
【0036】
また、液体噴射用液体が油性溶剤で構成される場合には、前記着色剤を溶解させる溶剤又は分散させる分散媒として、アセトン、ジメチルケトン、ジフェニルケトン等のケトン類;メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、ベンジルアルコール等のアルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、モノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルアセテート等のエステル類;メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素;トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素が例示できる。
【0037】
これらは1種又は2種以上選択して併用できるものである。さらに、その使用量は、少ない場合は液体噴射用液体の内容物の溶解不足や分散不足により不溶・凝集物が発生し、多い場合は液体噴射用液体粘度が上昇して吐出が減少したり、液体噴射用液体保管時に前記化合物の加水分解や縮重合が生起するなど各種不具合が発生するため、液体噴射用液体全量に対して5重量%〜90重量%が好ましい。
【0038】
水性の液体噴射用液体に適用する場合には、従来の水性インク組成物で使用される公知の染料又は顔料を前記着色剤として使用できる。染料としては、ジャパノールファストブラックDコンク(C.I.ダイレクトブラック17)、ウォーターブラック100L(C.I.ダイレクトブラック19)、ウォーターブラックL−200(C.I.ダイレクトブラック19)、ダイレクトファストブラックB(C.I.ダイレクトブラック22)、ダイレクトファストブラックAB(C.I.ダイレクトブラック32)、ダイレクトディープブラックEX(C.I.ダイレクトブラック38)、ダイレクトファストブラックコンク(C.I.ダイレクトブラック51)、カヤラススプラグレイVGN(C.I.ダイレクトブラック71)、カヤラスダイレクトブリリアントエローG(C.I.ダイレクトエロー4)、ダイレクトファストエロー5GL(C.I.ダイレクトエロー26)、アイゼンプリムラエローGCLH(C.I.ダイレクトエロー44)、ダイレクトファストエローR(C.I.ダイレクトエロー50)、アイゼンダイレクトファストレッドFH(C.I.ダイレクトレッド1)、ニッポンファストスカーレットGSX(C.I.ダイレクトレッド4)、ダイレクトファストスカーレット4BS(C.I.ダイレクトレッド23)、アイゼンダイレクトローデュリンBH(C.I.ダイレクトレッド31)、ダイレクトスカーレットB(C.I.ダイレクトレッド37)、カヤクダイレクトスカーレット3B(C.I.ダイレクトレッド39)、アイゼンプリムラピンク2BLH(C.I.ダイレクトレッド75)、スミライトレッドF3B(C.I.ダイレクトレッド80)、アイゼンプリムラレッド4BH(C.I.ダイレクトレッド81)、カヤラススプラルビンBL(C.I.ダイレクトレッド83)、カヤラスライトレッドF5G(C.I.ダイレクトレッド225)、カヤラスライトレッドF5B(C.I.ダイレクトレッド226)、カヤラスライトローズFR(C.I.ダイレクトレッド227)、ダイレクトスカイブルー6B(C.I.ダイレクトブルー1)、ダイレクトスカイブルー5B(C.I.ダイレクトブルー15)、スミライトスプラブルーBRRコンク(C.I.ダイレクトブルー71)、ダイボーゲンターコイズブルーS(C.I.ダイレクトブルー86)、ウォーターブルー#3(C.I.ダイレクトブルー86)、カヤラスターコイズブルーGL(C.I.ダイレクトブルー86)、カヤラススプラブルーFF2GL(C.I.ダイレクトブルー106)、カヤラススプラターコイズブルーFBL(C.I.ダイレクトブルー199)等の直接染料; アシッドブルーブラック10B(C.I.アシッドブラック1)、ニグロシン(C.I.アシッドブラック2)、スミノールミリングブラック8BX(C.I.アシッドブラック24)、カヤノールミリングブラックVLG(C.I.アシッドブラック26)、スミノールファストブラックBRコンク(C.I.アシッドブラック31)、ミツイナイロンブラックGL(C.I.アシッドブラック52)、アイゼンオパールブラックWHエクストラコンク(C.I.アシッドブラック52)、スミランブラックWA(C.I.アシッドブラック52)、ラニルブラックBGエクストラコンク(C.I.アシッドブラック107)、カヤノールミリングブラックTLB(C.I.アシッドブラック109)、スミノールミリングブラックB(C.I.アシッドブラック109)、カヤノールミリングブラックTLR(C.I.アシッドブラック110)、アイゼンオパールブラックニューコンク(C.I.アシッドブラック119)、ウォーターブラック187−L(C.I.アシッドブラック154)、カヤクアシッドブリリアントフラビンFF(C.I.アシッドエロー7:1)、カヤシルエローGG(C.I.アシッドエロー17)、キシレンライトエロー2G140%(C.I.アシッドエロー17)、スミノールレベリングエローNR(C.I.アシッドエロー19)、ダイワタートラジン(C.I.アシッドエロー23)、カヤクタートラジン(C.I.アシッドエロー23)、スミノールファストエローR(C.I.アシッドエロー25)、ダイアシッドライトエロー2GP(C.I.アシッドエロー29)、スミノールミリングエローO(C.I.アシッドエロー38)、スミノールミリングエローMR(C.I.アシッドエロー42)、ウォーターエロー#6(C.I.アシッドエロー42)、カヤノールエローNFG(C.I.アシッドエロー49)、スミノールミリングエロー3G(C.I.アシッドエロー72)、スミノールファストエローG(C.I.アシッドエロー61)、スミノールミリングエローG(C.I.アシッドエロー78)、カヤノールエローN5G(C.I.アシッドエロー110)、スミノールミリングエロー4G200%(C.I.アシッドエロー141)、カヤノールエローNG(C.I.アシッドエロー135)、カヤノールミリングエロー5GW(C.I.アシッドエロー127)、カヤノールミリングエロー6GW(C.I.アシッドエロー142)、スミトモファストスカーレットA(C.I.アシッドレッド8)、カヤクシルクスカーレット(C.I.アシッドレッド9)、ソーラールビンエクストラ(C.I.アシッドレッド14)、ダイワニューコクシン(C.I.アシッドレッド18)、アイゼンボンソーRH(C.I.アシッドレッド26)、ダイワ赤色2号(C.I.アシッドレッド27)、スミノールレベリングブリリアントレッドS3B(C.I.アシッドレッド35)、カヤシルルビノール3GS(C.I.アシッドレッド37)、アイゼンエリスロシン(C.I.アシッドレッド51)、カヤクアシッドローダミンFB(C.I.アシッドレッド52)、スミノールレベリングルビノール3GP(C.I.アシッドレッド57)、ダイアシッドアリザリンルビノールF3G200%(C.I.アシッドレッド82)、アイゼンエオシンGH(C.I.アシッドレッド87)、ウォーターピンク#2(C.I.アシッドレッド92)、アイゼンアシッドフロキシンPB(C.I.アシッドレッド92)、ローズベンガル(C.I.アシッドレッド94)、カヤノールミリングスカーレットFGW(C.I.アシッドレッド111)、カヤノールミリングルビン3BW(C.I.アシッドレッド129)、スミノオールミリングブリリアントレッド3BNコンク(C.I.アシッドレッド131)、スミノールミリングブリリアントレッドBS(C.I.アシッドレッド138)、アイゼンオパールピンクBH(C.I.アシッドレッド186)、スミノールミリングブリリアントレッドBコンク(C.I.アシッドレッド249)、カヤクアシッドブリリアントレッド3BL(C.I.アシッドレッド254)、カヤクアシッドブリリドブリリアントレッドBL(C.I.アシッドレッド265)、カヤノールミリングレッドGW(C.I.アシッドレッド276)、ミツイアシッドバイオレット6BN(C.I.アシッドバイオレット15)、ミツイアシッドバイオレットBN(C.I.アシッドバイオレット17)、スミトモパテントピュアブルーVX(C.I.アシッドブルー1)、ウォーターブルー#106(C.I.アシッドブルー1)、パテントブルーAF(C.I.アシッドブルー7)、ウォーターブルー#9(C.I.アシッドブルー9)、ダイワ青色1号(C.I.アシッドブルー9)、スプラノールブルーB(C.I.アシッドブルー15)、オリエントソルブルブルーOBC(C.I.アシッドブルー22)、スミノールレベリングブルー4GL(C.I.アシッドブルー23)、ミツイナイロンファストブルーG(C.I.アシッドブルー25)、カヤシルブルーAGG(C.I.アシッドブルー40)、カヤシルブルーBR(C.I.アシッドブルー41)、ミツイアリザリンサフィロールSE(C.I.アシッドブルー43)、スミノールレベリングスカイブルーRエクストラコンク(C.I.アシッドブルー62)、ミツイナイロンファストスカイブルーB(C.I.アシッドブルー78)、スミトモブリリアントインドシアニン6Bh/c(C.I.アシッドブルー83)、サンドランシアニンN−6B350%(C.I.アシッドブルー90)、ウォーターブルー#115(C.I.アシッドブルー90)、オリエントソルブルブルーOBB(C.I.アシッドブルー93)、スミトモブリリアントブルー5G(C.I.アシッドブルー103)、カヤノールミリングウルトラスカイSE(C.I.アシッドブルー112)、カヤノールミリングシアニン5R(C.I.アシッドブルー113)、アイゼンオパールブルー2GLH(C.I.アシッドブルー158)、ダイワギニアグリーンB(C.I.アシッドグリーン3)、アシッドブリリアントミリンググリーンB(C.I.アシッドグリーン9)、ダイワグリーン#70(C.I.アシッドグリーン16)、カヤノールシアニングリーンG(C.I.アシッドグリーン25)、スミノールミリンググリーンG(C.I.アシッドグリーン27)等の酸性染料;アイゼンカチロンイエロー3GLH(C.I.ベーシックイエロー11)、アイゼンカチロンブリリアントイエロー5GLH(C.I.ベーシックイエロー13)、スミアクリルイエローE−3RD(C.I.ベーシックイエロー15)、マキシロンイエロー2RL(C.I.ベーシックイエロー19)、アストラゾンイエロー7GLL(C.I.ベーシックイエロー21)、カヤクリルゴールデンイエローGL−ED(C.I.ベーシックイエロー28)、アストラゾンイエロー5GL(C.I.ベーシックイエロー51)、アイゼンカチロンオレンジGLH(C.I.ベーシックオレンジ21)、アイゼンカチロンブラウン3GLH(C.I.ベーシックオレンジ30)、ローダミン6GCP(C.I.ベーシックレッド1)、アイゼンアストラフロキシン(C.I.ベーシックレッド12)、スミアクリルブリリアントレッドE−2B(C.I.ベーシックレッド15)、アストラゾンレッドGTL(C.I.ベーシックレッド18)、アイゼンカチロンブリリアントピンクBGH(C.I.ベーシックレッド27)、マキシロンレッドGRL(C.I.ベーシックレッド46)、アイゼンメチルバイオレット(C.I.ベーシックバイオレット1)、アイゼンクリスタルバイオレット(C.I.ベーシックバイオレット3)、アイゼンローダミンB(C.I.ベーシックバイオレット10)、アストラゾンブルーG(C.I.ベーシックブルー1)、アストラゾンブルーBG(C.I.ベーシックブルー3)、メチレンブルー(C.I.ベーシックブルー9)、マキシロンブルーGRL(C.I.ベーシックブルー41)、アイゼンカチロンブルーBRLH(C.I.ベーシックブルー54)、アイゼンダイヤモンドグリーンGH(C.I.ベーシックグリーン1)、アイゼンマラカイトグリーン(C.I.ベーシックグリーン4)、ビスマルクブラウンG(C.I.ベーシックブラウン1)等の塩基性染料が例示できる。
【0039】
なお、先に示した顔料との下記顔料の一部重複する記載については、上記非水性の液体噴射用液体の調整に例示した顔料のうち、水性の液体噴射用液体にも使用できるし、次に挙げるものも使用可能である。
【0040】
その顔料としては、アゾ系顔料、ニトロソ系顔料、ニトロ系顔料、塩基性染料系顔料、酸性染料系顔料、建て染め染料系顔料、媒染染料系顔料、天然染料系顔料等の有機系顔料;黄土、バリウム黄、紺青、カドミウムレッド、硫酸バリウム、酸化チタン、弁柄、鉄黒、カーボンブラック等の無機系顔料が例示でき、例えば、アニリンブラック(C.I.50440)、シアニンブラック、ナフトールエローS(C.I.10316)、ハンザエロー10G(C.I.11710)、ハンザエロー5G(C.I.11660)、ハンザエロー3G(C.I.11670)、ハンザエローG(C.I.11680)、ハンザエローGR(C.I.11730)、ハンザエローA(C.I.11735)、ハンザエローRN(C.I.11740)、ハンザエローR(C.I.12710)、ピグメントエローL(C.I.12720)、ベンジジンエロー(C.I.21090)、ベンジジンエローG(C.I.21095)、ベンジジンエローGR(C.I.21100)、パーマネントエローNCG(C.I.20040)、バルカンファストエロー5G(C.I.21220)、バルカンファストエローR(C.I.21135)、タートラジンレーキ(C.I.19140)、キノリンエローレーキ(C.I.47005)、アンスラゲンエロー6GL(C.I.60520)、パーマネントエローFGL、パーマネントエローH10G、パーマネントエローHR、アンスラピリミジンエロー(C.I.68420)、スダーンI(C.I.12055)、パーマネントオレンジ(C.I.12075)、リソールファストオレンジ(C.I.12125)、パーマネントオレンジGTR(C.I.12305)、ハンザエロー3R(C.I.11725)、バルカンファストオレンジGG(C.I.21165)、ベンジジンオレンジG(C.I.21110)、ペルシアンオレンジ(C.I.15510)、インダンスレンブリリアントオレンジGK(C.I.59305)、インダンスレンブリリアントオレンジRK(C.I.59105)、インダンスレンブリリアントオレンジGR(C.I.71105)、パーマネントブラウンFG(C.I.12480)、パラブラウン(C.I.12071)、パーマネントレッド4R(C.I.12120)、パラレッド(C.I.12070)、ファイヤーレッド(C.I.12085)、パラクロルオルトアニリンレッド(C.I.12090)、リソールファストスカーレット、ブリリアントファストスカーレット(C.I.12315)、ブリリアントカーミンBS、パーマネントレッドF2R(C.I.12310)、パーマネントレッドF4R(C.I.12335)、パーマネントレッドFRL(C.I.12440)、パーマネントレッドFRLL(C.I.12460)、パーマネントレッドF4RH(C.I.12420)、ファストスカーレットVD、バルカンファストルビンB(C.I.12320)、バルカンファストピンクG(C.I.12330)、ライトファストレッドトーナーB(C.I.12450)、ライトファストレッドトーナーR(C.I.12455)、パーマネントカーミンFB(C.I.12490)、ピラゾロンレッド(C.I.12120)、リソールレッド(C.I.15630)、レーキレッドC(C.I.15585)、レーキレッドD(C.I.15500)、アンソシンB(C.I.18030)、ブリリアントスカーレットG(C.I.15800)、リソールルビンGK(C.I.15825)、パーマネントレッドF5R(C.I.15865)、ブリリアントカーミン6B(C.I.15850)、ピグメントスカーレット3B(C.I.16105)、ボルドー5B(C.I.12170)、トルイジンマルーン(C.I.12350)、パーマネントボルドーF2R(C.I.12385)、ヘリオボルドーBL(C.I.14830)、ボルドー10B(C.I.15880)、ボンマルーンライト(C.I.15825)、ボンマルーンメジウム(C.I.15880)、エオシンレーキ(C.I.45380)、ローダミンレーキB(C.I.45170)、ローダミンレーキY(C.I.45160)、アリザリンレーキ(C.I.58000)、チオインジゴレッドB(C.I.73300)、チオインジゴマルーン(C.I.73385)、パーマネントレッドFGR(C.I.12370)、PVカーミンHR、ワッチングレッド,モノライトファストレッドYS(C.I.59300)、パーマネントレッドBL、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ(C.I.42535)、ジオキサジンバイオレット、アルカリブルーレーキ(C.I.42750A、C.I.42770A)、ピーコックブルーレーキ(C.I.42090)、ピーコックブルーレーキ(C.I.42025)、ビクトリアブルーレーキ(C.I.44045)、フタロシアニンブルー(C.I.74160)、ファストスカイブルー(C.I.74180)、インダンスレンブルーRS(C.I.69800)、インダンスレンブルーBC(C.I.69825)、インジゴ(C.I.73000)、ピグメントグリーンB(C.I.10006)、ナフトールグリーンB(C.I.10020)、グリーンゴールド(C.I.12775)、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ(C.I.42000)、フタロシアニングリーン等が例示できる。
【0041】
さらに、上記以外の加工顔料としては、Renol Yellow GG−HW30、Renol Yellow HR−HW30、Renol Orange RL−HW30、Renol Red HF2B−HW30、Renol Red FGR−HW30、Renol Red F5RK−HW30、Renol Carmine FBB−HW30、Renol Violet RL−HW30、Renol Blue B2G−HW30、Renol Blue CF−HW30、Renol GreenGG−HW30、Renol Brown HFR−HW30、Renol BlackR−HW30(以上、クラリアントジャパン株式会社製)、UTCO−001エロー、UTCO−012エロー、UTCO−021オレンジ、UTCO−031レッド、UTCO−032レッド、UTCO−042バイオレット、UTCO−051ブルー、UTCO−052ブルー、UTCO−061グリーン、UTCO−591ブラック、UTCO−592ブラック(以上、大日精化工業株式会社製)、MICROLITH Yellow 4G−A、MICROLITH Yellow MX−A、MICROLITH Yellow 2R−A、MICROLITH Brown5R−A、Scarlet R−A、Red2C−A、Red3R−A、Magenta2B−A、VioletB−A、Blue4G−A、GreenG−A(以上、チバスペシャリティケミカルズ株式会社製)等が例示できる。
【0042】
香料成分としては特に制限を受けるものではなく、具体的には、アンバーグリス(リュウゼン香)、ベンゾイン精油(安息香)、丁字精油、ベルガモット精油、ビターオレンジ精油、グレープフルーツ精油、カフィライム精油、レモン精油、ライム精油、マンダリン精油、ペティグレン精油、タンジェリン精油、ニガヨモギ精油、バジル精油、セージ精油、サイプレス精油、ファーニードル精油、ゼラニウム精油、ジュニパー精油、ラベンダー精油、レモングラス精油、マートル精油、パルマローズ精油、ローズマリー精油、ティーツリー精油、タイム精油、イランイラン精油、トロピカルフルーツ精油、アニスシード精油、ブラックペッパー精油、カルダモン精油、シナモン精油、クローヴ精油、コリアンダー精油、ジンジャー精油、ナツメグ精油、アトラスシダーウッド精油、ヒバ精油、ヒノキ精油、パチョリ精油、パインウッド精油、ローズウッド精油、サンダルウッド精油、スパイクナード精油、ベチバー精油、ウィンターグリーン精油、フランキンセンス精油、ミルラ精油、カモミール精油、セロリシード精油、ダヴァナ精油、ガルバナム精油、リツィアクベバ精油、タジェット精油、ピンクペッパー精油、サフラン精油、エレミ精油、ラブダナム精油、スティラックス精油、イモーテル精油、トンカビーン精油、ジンジャーリリー精油、ナグチャンパ精油、ネロリ精油、ローズオットー精油、アミリスウッド精油、バーチタール精油、ガイヤックウッド精油、アンブレットシード精油、ジャスミンアブソリュート、ミモザアブソリュート、バイオレットリーフアブソリュート、ビーワックスアブソリュート、カカオアブソリュート、ヘイアブソリュート、オークモスアブソリュート、タバコアブソリュート、バニラアブソリュート、フランジパニアブソリュート、ガーデニアアブソリュート、サンバックジャスミンアブソリュート、ジョンキルアブソリュート、ナルシスアブソリュート、オスマンサスアブソリュート、ローズアブソリュート、チュベローズアブソリュート、アイリスコンクリート等の天然香料などが挙げられ、これらは1種単独で液体噴射用液体に添加されても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0043】
また、ヘディオン、キャローン、セタロックス、ポリサントール、フィクサトゥール505、オーラタッチ、ムスクケトン、ムスセノンデルタ、ヘルベトリド、リーラル(以上、フェルメニッヒ社製)、カラナール、ケファリス、サンダロア(以上、ジボダン社製)、オッリニッフ、バグダノール(以上、IFF社製)、ガラクソリド(インターナショナルフレーバーアンド フレグランシズ社製)、安息香酸、ケイ皮酸、ケイ皮アルデヒド、ケイ皮アルコール、ヘリオトロピン、アルデヒドC‐8(オクタナール)、アルデヒドC‐10(デシルアルデヒド)、アルデヒドC‐11(ウンデカナール)、アルデヒドC‐12(ドデカナール)、ピーチアルデヒド(γ‐ウンデカラクトン)、ストロベリーアルデヒド(メチルフェニルグリシド酸エチル)、ココナッツアルデヒド(γ‐ノナラクトン)、アニスアルデヒド(4-メトキシベンズアルデヒド)、オーランチオール、ベンズアルデヒド、ベンジルアセテート、ベンジルブチラーテ、シス‐3‐ヘキサノール、シトラール(3,7‐ジメチルオクタ‐2,6‐ジエナール)、シトロネロール、クマリン、シクラメンアルデヒド(3‐(4‐イソプロピルフェニル)イソブチルアルデヒド)、ダマスコン、オイゲノール、ゲラニオール、ヘキシルシンナムアルデヒド、ヒドロキシシトロネラール、インドール、リナロール、リナリルアセテート、フェニルエチルアルコール、ラズベリーケトン(4‐(4‐ヒドロキシフェニル)‐2‐ブタノン)、テルピネオール、イオノン、エチルマルトール、ヘリオナール、ホモフロノール、バニリン、イソ・イー・スーパー(1,2,3,4,5,6,7,8‐オクタヒドロ‐2,3,8,8‐テトラメチル‐2‐アセトナフトン)、カシュメラン(ジヒドロペンタメチルインダノン)、トナリド(6‐アセチル‐1,1,2,4,4,7‐ヘキサメチルテトラヒドロナフタレン)、ベルドラシン(1,3,5−ウンデカトリエン)、インドラローメ、フロロパール(2,4,6‐トリメチル‐4‐フェニル‐1,3‐ジオキサン)、イソカンフィルシクロヘキサノール、ジヒドロミルセノール、アミルシンナムアルデヒド、エチルバニリン、アセチルセドレン、サリチル酸メチル、ゲラノニトリル(3,7‐ジメチル‐2,6‐オクタジニトリル)の合成香料などが挙げられ、さらにこれらの異性体も含まれ、これらは1種単独で液体噴射用液体に添加されても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0044】
液体噴射用液体を製造する方法は、液体噴射用液体組成物の製造方法としては従来知られている種々の方法が採用できる。例えば、ボールミル、ビーズミル、ロールミル、ヘンシェルミキサー、プロペラ撹拌機、ホモジナイザー、ホモミキサー、ニーダー等の装置を使用して作ることができる。
【0045】
さらに、撹拌終了後に濾過や遠心分離を行い粗大粒子や気体を除いても良い。粗大粒子や気体を取り除くことにより、液体噴射用液体を使用する際に詰まり等の印刷不良や経時的な液体噴射用液体の変質を抑制しやすいためである。
【0046】
一方で、製造時に加熱や冷却、加圧や減圧、不活性ガス置換をしても良い。製造時のこれらの作業によって、内容物の溶解や分散の促進効果や脱泡効果に加えて、酸化による内容物の変質を防ぐことができる。例えば、内容物の溶解や分散を促進するため、液体噴射用液体自体を加熱放置したり、過熱しながら撹拌や分散したりすれば、内容物の溶解や分散が短時間に行われるし、均一な溶解や分散が促進されるためである。
【0047】
また、製造した液体噴射用液体を温度の低い状態(0乃至30℃)で保管することは、インク組成物の経時性能を劣化させないためにも好ましい。製造後の液体噴射用液体を高温(例えば、50℃以上)にて保管すると、液体噴射用液体の粘度が低下して、内容物の沈降が生じやすくなったりするのを防ぐためである。
これらはそれぞれ単独で使用しても良いし、組み合わせて使用しても良い。
【0048】
定着性付与を目的として樹脂を本発明の液体噴射用液体に含有させることも可能である。これらの樹脂は本発明のインク組成物に使用する有機溶剤に可溶なものであれば、特に種類を限定されるものではない。具体的には、エポキシ樹脂、アクリル酸樹脂、メタクリル酸樹脂、エチレンイミン樹脂、ポリオキシエチレンアルキルエーテル樹脂、マレイン酸樹脂、マレイミド樹脂、ロジンエステルとその塩、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性グリセリンエステル、ロジン変性フェノールマレイン酸エステル、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂、スチレン−マレイン酸共重合体、アルキルフェノール樹脂、アルキッド樹脂、ポリアミド樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ベンゾニトリル樹脂、テルペンジフェノール、テルペンフェノール共重合体、ケトン樹脂、クマロン−インデン樹脂、ブチラール樹脂、ポリビニルピロリドン、及びこれらの誘導体などが挙げられる。市販されているものとしては、テスラック2158−100(日立ポリマー(株)製)、フタルキッドDX615(50重量%キシレン溶液、日立化成(株)製)などのアルキド樹脂、アクリロイドB66、同B67(以上、英国、ロームアンドハース社製)、ジョンクリル690、同67、同678、同586、同61J、同60J、同HPD−96J、同7100、同711(以上、独国、BASF社製)などのアクリル樹脂、カリフレックスTR−1107(シェル化学(株)製)、タフプレンA、アサプレンT−431(以上、旭化学工業(株)製)などのスチレン系エラストマー、スミテートRB−11(住友化学工業(株)製)、エバフレックス150(三井ポリケミカル(株)製)などのエチレン・酢酸ビニル共重合体などを例示できる。
【0049】
これらの樹脂は、添加量が少ないと印字物に十分な定着性の向上が発現されず、多過ぎても液体噴射用液体粘度の上昇を生じるため、添加量としては液体噴射用液体全量に対して1乃至20重量%が好ましい。
【実施例】
【0050】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。実施例中の各成分を含有している箇所にのみ、図1において数字を記載している。図1において、−(ハイフン)で示す箇所は、その成分が含有されていないことを示す。実施例中および比較例中の数字は「重量部」を示す。
【0051】
実施例1乃至4及び比較例1乃至4は、溶剤としてフタル酸ジメチルまたは水を大量に使用した。他の溶剤は、実施例2と3および比較例3のみジエチレングリコールモノエチルエーテルアセレートを含んでおり、実施例3と4および比較例4のみ酢酸ヘキシルを含んでおり、比較例1のみ2−ピロリドンと3−メチル−2−オキサゾリジノンを含んでいない。
【0052】
また、定着樹脂としては、各例において、ジョンクリル711またはアクリロイドB66を使用した。各例の着色剤は、アイゼンスピロンブラックBNHまたはアニリンブラックの黒系着色剤とした。もちろん、実施例は、その他の色系の着色剤に応用可能である。さらに、分散材としては、実施例1−4および比較例2と3でポリオキシエチレンソルビタンモノヤシ油脂肪酸エステルまたはSorbon T−20を用いた。
【0053】
以下、特に各例において、マイクロカプセルと香料成分に特徴を持たせ、図1の通りに配合している。カプセル−香料成分の欄では、図1の成分名における左側の成分がカプセルの成分を表し、右側の成分が香料成分を表す。
【0054】
カプセルの成分は、ゼラチン、ウレタン及びメラミンの3種から1種を用い、香料成分はジャスミンアブソリュート、レモングラス精油、アルデヒドC−8及びクマリンの4種から1種を用いた。なお、図1に示すカプセルと香料成分の組合せは例示であって、図1に開示していない組合せも実施可能である。なお、比較例1および4にはカプセル‐香料成分の組合せを配合していない。この他、カプセル‐香料成分の組合せは、実施例において、全種用いることも可能である。また、中空粒子(カプセル)の材質は、他に、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル、エチルセルロース、酢酸セルロース、サレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、でんぷん、アラビアゴム、メチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ヒドロキシセルロース、ナイロン、ウレア樹脂から選択することができる。さらに、上述した2種以上の異なる材質を併用することが可能である。
【0055】
そして、実施例1乃至4の粘度については、温度25℃、せん断速度10000s-1において、3乃至30mPa・sであるし、香の持続性や分散安定性が所望性能を満足した。一方で、比較例1、2の粘度については、温度25℃、せん断速度10000s-1において、3乃至30mPa・sの範囲外である。比較例3、4は、粘度が温度25℃、せん断速度10000s-1において、3乃至30mPa・sの範囲内であるが、香料成分が液体中に含まれているものの、香料成分がカプセルに包含されていないため、香の持続性が所望の性能を満足しない。
【0056】
以上のように配合した結果、図2に示すような評価を実施した。実施例1乃至4、及び比較例1乃至4で得た液体噴射用液体を液体噴射記録装置(360dpi、駆動周波数8kHz、ノズル数508)でPVCフィルム上に一面に印字した。
(芳香)
実施例1乃至4及び比較例1乃至4の液体噴射用液体をPVCフィルム上にベタ印字し、30分間放置後、印字物の芳香について比較を行った。
○:芳香あり
×:芳香なし
(芳香の持続性)
実施例1乃至4及び比較例1乃至4の液体噴射用液体をPVCフィルム上にベタ印字し、10日間放置後、印字物の芳香について比較を行った。
○:芳香あり
×:芳香なし
(印字安定性)
実施例1乃至4及び比較例1乃至4の液体噴射用液体をPVCフィルム上に2分間ベタ印字し、抜け無く印字できるかどうかを確認した。
○:2分間連続印字が可能
×:2分間連続印字できない
実施例1乃至4は、各評価項目で○を付けるに値する、芳香作用が付与され、且つ芳香作用を持続させるために、香料成分を安定的に溶解、分散することができる優れた液体噴射用液体であると言える。
【0057】
一方で、比較例1と4は、香料成分を含んでいないため、比較例1・4の「芳香」および「芳香の持続性」の項目は、×評価である。比較例1及び2においては、上述のとおり温度25℃、せん断速度10000s-1において、3乃至30mPa・sの範囲外であるため、「印字安定性」が×評価である。また比較例3は、上述のとおり香料成分を含んでいるため「芳香」は○評価であるが、カプセルに香料成分が含有されていないため「芳香の持続性」は×評価となった。
【0058】
なお、溶剤と、香料成分と、香料成分を内包するとともに平均粒子径が0.05〜15μmである内部に密閉された空洞構造を有する中空粒子とを含み、温度25℃でせん断速度10000s-1の時の粘度が3〜30mPa・sである液体噴射用液体の製造方法として、
(第一手法)
中空粒子は、香料成分分散系にラジカル重合性モノマーを加え、該モノマーをラジカル重合させて、香料成分をポリマーで被覆する界面重合法によって生成することを特徴とする液体噴射用液体の製造方法、
(第二手法)
中空粒子は、香料成分物分散系に中空粒子を形成するポリマーが溶解した溶液を添加し、その後、ポリマーを溶解している溶媒を留去することによって、香料成分の周りにポリマーを析出させて香料成分を被覆させる液中乾燥法によって生成することを特徴とする液体噴射用液体の製造方法、および
(第三手法)
中空粒子は、中空粒子を形成するポリマーが溶解した溶液中に香料成分を分散し、熱風中に噴霧して溶媒を蒸発させることで香料成分の周りにポリマーを析出させて香料成分を被覆させる噴霧乾燥法によって生成することを特徴とする液体噴射用液体の製造方法、を開示する。
【0059】
第一手法は、ポリマーを形成させるモノマー種を選択することにより、重合反応によって生成される中空粒子の材質の設計自由度がかなり広く、中空粒子に求められる化学特性や物理特性の制御も行いやすくなるものである。
【0060】
第二手法は、化学反応を利用せずにポリマーを中空粒子として析出させる手法であるため、化学反応の制御など複雑な調整を必要とせずに目的の中空粒子を得やすいものである。第一手法と第二手法は中空粒子が液中で精製されるため、中空粒子形成後に分散媒体と中空粒子をろ過などによって取り出す必要がある。
【0061】
一方、第三手法は、噴霧器が必要になるが、第二手法と同様に化学反応の制御は必要とせず、熱風温度などの制御を行えば、生成される中空粒子は全体に均一であり、形成された中空粒子をプロセスの出口において、直接得られるという利点がある。
【0062】
中空粒子の調整方法として、これらの構成を採用すれば、香料成分を内包した中空粒子の製造方法を選択することによって、中空粒子の材質として使用できる材料の種類を増やすことができる。そのため、例えば、中空粒子材質と酸やアルカリなどとの反応性の制御や、内包する香料の徐放性、壁の破壊強度の調整など、目的に応じた特性を有する中空粒子を用意しやすくなるものである。
【0063】
以下、本発明の液体噴射用液体を使用する液体噴射ヘッド、および液体噴射ヘッドを搭載した液体噴射記録装置について図3を参照して説明する。
【0064】
図3は、本実施形態の液体噴射記録装置の概略構成を示す斜視図である。図3に示すように、液体噴射記録装置1は、紙等の被記録媒体sを搬送する一対の搬送手段2、3と、被記録媒体sに液体を噴射するとともに、圧電素子によって形成されたアクチュエータープレートと、アクチュエータープレートに液体を供給する液体室が形成された液体室プレートとを有する液体噴射ヘッド4と、液体噴射ヘッド4に液体を供給する液体供給手段5と、液体噴射ヘッド4を被記録媒体sの搬送方向(主走査方向)と略直交する方向(副走査方向)に走査させる走査手段6とを備えている。また図示していないが、液体噴射記録装置1は搬送手段2、3、液体噴射ヘッド4、液体供給手段5、及び走査手段6などに対して制御信号を送受信して制御する制御部を備えている。以下、副走査方向をX方向、主走査方向をY方向、そしてX方向およびY方向にともに直交する方向をZ方向として説明する。
【0065】
一対の搬送手段2、3は、それぞれ副走査方向に延びて設けられたグリッドローラ20、30と、グリッドローラ20、30のそれぞれに平行に延びるピンチローラ21、31と、詳細は図示しないがグリッドローラ20、30を軸回りに回転動作させるモータ等の駆動機構とを備えている。
【0066】
液体供給手段5は、液体噴射用液体が収容された液体収容体50と、液体収容体50と液体噴射ヘッド4とを接続する液体供給管51とを備えている。液体収容体50は、複数備えられており、具体的には、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4種類の液体噴射用液体が収容された液体タンク50y、50m、50c、50bが並べて設けられている。液体タンク50y、50m、50c、50bのそれぞれには図示しないポンプモーターmが設けられており、液体を液体供給管を通じて液体噴射ヘッド4へ押圧移動できる。液体供給管51は、液体噴射ヘッド4(キャリッジユニット62)の動作に対応可能な可撓性を有するフレキシブルホースからなる。
【0067】
走査手段6は、副走査方向(X方向)に延びて設けられた一対のガイドレール60、61と、一対のガイドレール60、61に沿って摺動可能なキャリッジユニット62と、キャリッジユニット62を副走査方向に移動させる駆動機構63と、を備えている。駆動機構63は、一対のガイドレール60、61の間に配置された一対のプーリ64、65と、一対のプーリ64、65間に巻回された無端ベルト66と、一方のプーリ64を回転駆動させる駆動モータ67とを備えている。
【0068】
一対のプーリ64、65は、一対のガイドレール60、61の両端部間にそれぞれ配置されており、副走査方向に間隔をあけて配置されている。無端ベルト66は一対のガイドレール60、61間に配置されており、この無端ベルトにはキャリッジユニット62が連結されている。キャリッジユニット62の基端部62aには複数の液体噴射ヘッド4が搭載されており、具体的には、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4種類の液体噴射用液体に個別に対応する液体噴射ヘッド4y、4m、4c、4bが副走査方向に並んで搭載されている。
【0069】
液体噴射記録装置1のキャリッジユニット62には、液体噴射ヘッド4が、長手方向(Y方向)を主走査方向に一致させ、短手方向(X方向)を副走査方向に一致させて搭載されている。またキャリッジユニット62には、複数の液体噴射ヘッド4がX方向に並んで搭載されている。そして、被記録媒体sをY方向に搬送し、キャリッジユニット62をX方向に移動させつつ、液体噴射ヘッド4から液体噴射用液体を噴射することで、被記録媒体に記録を行うようになっている。
【符号の説明】
【0070】
1 液体噴射記録装置
2 搬送手段
4 液体噴射ヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶剤と、香料成分と、前記香料成分を内包するとともに平均粒子径が0.05〜15μmである内部に密閉された空洞構造を有する中空粒子とを含み、温度25℃でせん断速度10000s-1の時の粘度が3〜30mPa・sであることを特徴とする液体噴射用液体。
【請求項2】
前記中空粒子の材質が、ゼラチン、メラミン、ウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル、エチルセルロース、酢酸セルロース、サレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、でんぷん、アラビアゴム、メチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ヒドロキシセルロース、ナイロン、ウレア樹脂から選択されることを特徴とする請求項1に記載の液体噴射用液体。
【請求項3】
前記中空粒子は、2種以上の異なる材質を併用していることを特徴とする請求項2に記載の液体噴射用液体。
【請求項4】
溶剤と、香料成分と、前記香料成分を内包するとともに平均粒子径が0.05〜15μmである内部に密閉された空洞構造を有する中空粒子とを含み、温度25℃でせん断速度10000s-1の時の粘度が3〜30mPa・sである液体噴射用液体の製造方法であって、
前記中空粒子は、香料成分分散系にラジカル重合性モノマーを加え、該モノマーをラジカル重合させて、香料成分をポリマーで被覆する界面重合法によって生成することを特徴とする液体噴射用液体の製造方法。
【請求項5】
溶剤と、香料成分と、前記香料成分を内包するとともに平均粒子径が0.05〜15μmである内部に密閉された空洞構造を有する中空粒子とを含み、温度25℃でせん断速度10000s-1の時の粘度が3〜30mPa・sである液体噴射用液体の製造方法であって、
前記中空粒子は、香料成分物分散系に中空粒子を形成するポリマーが溶解した溶液を添加し、その後、ポリマーを溶解している溶媒を留去することによって、香料成分の周りにポリマーを析出させて香料成分を被覆させる液中乾燥法によって生成することを特徴とする液体噴射用液体の製造方法。
【請求項6】
溶剤と、香料成分と、前記香料成分を内包するとともに平均粒子径が0.05〜15μmである内部に密閉された空洞構造を有する中空粒子とを含み、温度25℃でせん断速度10000s-1の時の粘度が3〜30mPa・sである液体噴射用液体の製造方法であって、
前記中空粒子は、中空粒子を形成するポリマーが溶解した溶液中に香料成分を分散し、熱風中に噴霧して溶媒を蒸発させることで香料成分の周りにポリマーを析出させて香料成分を被覆させる噴霧乾燥法によって生成することを特徴とする液体噴射用液体の製造方法。
【請求項7】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の液体噴射用液体を使用する液体噴射記録ヘッドであって、圧電素子によって形成されたアクチュエータープレートと、前記アクチュエータープレートに液体を供給する液体室が形成された液体室プレートとを有することを特徴とする液体噴射記録ヘッド。
【請求項8】
請求項7に記載の液体噴射記録ヘッドを有する液体噴射記録装置であって、
被記録媒体を搬送する一対の搬送手段と、前記液体噴射記録ヘッドに液体噴射用液体を供給する液体供給手段と、前記液体噴射記録ヘッドを被記録媒体の搬送方向と略直交する方向に走査させる走査手段とを備えることを特徴とする液体噴射記録装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−87192(P2013−87192A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228905(P2011−228905)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(501167725)エスアイアイ・プリンテック株式会社 (198)
【Fターム(参考)】