説明

液体噴射装置、および、液体噴射装置の制御方法

【課題】駆動信号を無駄に長くすることなく従来よりも微振動回数を増加させることができ、より効果的に液体の増粘を抑制することが可能な液体噴射装置、および、その制御方法を提供する。
【解決手段】噴射駆動パルスDPは、インクの噴射に伴う圧力振動を制振させる制振要素p14を含み、この制振要素は、前段の第1制振要素ca1、および、後段の第2制振要素ca2を有し、この第2制振要素は、補助微振動駆動パルスCPとしての使用が可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット式記録装置などの液体噴射装置、および、液体噴射装置の制御方法に関し、特に、駆動信号に含まれる駆動波形を圧力発生手段に印加することにより当該圧力発生手段を駆動させ、ノズルに連通する圧力室内の液体に圧力変動を生じさせることでノズルから液体を噴射させる液体噴射装置、および、液体噴射装置の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体噴射装置は噴射ヘッドを備え、この噴射ヘッドから各種の液体を噴射(吐出)する装置である。この液体噴射装置としては、例えば、インクジェット式プリンターやインクジェット式プロッター等の画像記録装置があるが、最近ではごく少量の液体を所定位置に正確に着弾させることができるという特長を生かして各種の製造装置にも応用されている。例えば、液晶ディスプレイ等のカラーフィルタを製造するディスプレイ製造装置,有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイやFED(面発光ディスプレイ)等の電極を形成する電極形成装置,バイオチップ(生物化学素子)を製造するチップ製造装置に応用されている。そして、画像記録装置用の記録ヘッドでは液状のインクを噴射し、ディスプレイ製造装置用の色材噴射ヘッドではR(Red)・G(Green)・B(Blue)の各色材の溶液を噴射する。また、電極形成装置用の電極材噴射ヘッドでは液状の電極材料を噴射し、チップ製造装置用の生体有機物噴射ヘッドでは生体有機物の溶液を噴射する。
【0003】
この種の液体噴射ヘッドではノズルにおいて液体(メニスカス)が外気に晒されているため、液体に含まれる溶媒成分が蒸発する等して、液体が増粘することがある。液体が増粘すると、ノズルから液体が正常に噴射されない虞がある。このような液体の増粘を抑制するため、液体噴射動作中(例えば、プリンターにおいては印刷動作中)に液体を噴射しないノズルについては、対応する圧力発生手段(例えば、圧電振動子や発熱素子等)に微振動パルス(微振動駆動波形)を印加することで、ノズルから液体を噴射させない程度に圧力室内の液体およびメニスカスを微振動させている。即ち、この微振動動作により、ノズル付近の液体を攪拌し、増粘が抑えられている(例えば、特許文献1参照)。当該特許文献1では、液滴を噴射させない程度に圧力室を加圧させる微振動加圧パルスと、液滴を噴射させない程度に圧力室を減圧させる微振動減圧パルスとが、駆動信号に分割した状態で含まれ、これらの微振動加圧パルスと微振動減圧パルスとを組み合わせて圧力発生素子に印加することでメニスカスを微振動させるように構成されている。
【0004】
【特許文献1】特開2007−83737号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば、バーコードなどの特定の画像を繰り返し印刷する用途に用いられるプリンター(所謂ラベルプリンター)や、記録ヘッドのノズル群が記録紙等の記録媒体の最大記録幅に対応可能な長さに配置された所謂ライン型プリンターなどでは、特定のノズルが他のノズルと比べて液体等を噴射しない状態がより長く継続するような場合がある。この場合、上記の微振動だけでは当該ノズルの増粘を抑制しきれないことがあった。このため、液体噴射ヘッド内の液体の増粘をより確実に防止するには、定期的にインクを捨て撃ちするフラッシング処理や、ノズルからインクを吸引するクリーニング処理が有効である。しかしながら、これらの処理は液体を無駄に消費するだけでなく、処理時間を別途設けることによるスループットの低下が問題となっていた。したがって、上記の微振動の回数をできるだけ増加させて、上記のフラッシング処理等の回数を低減することが望ましい。しかしながら、この場合、駆動信号中に微振動駆動パルスをより多く含ませると、その分駆動信号が長くなってしまい、記録周波数の低下を招くという問題があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、駆動信号を無駄に長くすることなく従来よりも微振動回数を増加させることができ、より効果的に液体の増粘を抑制することが可能な液体噴射装置、および、その制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の液体噴射装置は、上記目的を達成するために提案されたものであり、駆動波形の印加による圧力発生手段の駆動によってノズルから液体を噴射させる液体噴射ヘッドと、
液体の噴射に用いられる噴射駆動波形および液体を微振動させる微振動駆動波形を含む駆動信号を発生させる駆動信号生成手段と、
を備える液体噴射装置であって、
前記噴射駆動波形は、液体の噴射に伴う圧力振動を制振させる制振要素を含み、
前記制振要素は、第1制振要素、および、第1制振要素の後に第2制振要素を有し、
前記第2制振要素は、微振動駆動波形として使用可能であることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、噴射駆動波形の制振要素が、第1制振要素、および、第1制振要素の後に第2制振要素を有し、後段の第2制振要素は、微振動駆動波形として使用可能であり、残留振動の制振機能および微振動機能の2つの機能を奏する。このため、駆動信号を無駄に長くすることなく従来よりも微振動回数を増加させることができ、より効果的に液体の増粘を抑制することが可能となる。このため、フラッシング処理やクリーニング処理等の頻度を低減することができる。その結果、これらの処理に伴う液体の消費量を削減することができ、また、処理時間を別途設けることによるスループットの低下を抑制することが可能となる。
【0009】
上記構成において、前記第2制振要素は、第1電位から第1電位とは異なる第2電位へ変化させる第1変化部と、前記第2電位を保持する制振ホールド部と、前記第2電位から前記第1電位まで変化させる第2変化部と、を有する構成を採用することが望ましい。
【0010】
また、上記構成において、前記制振要素は、前記第1制振要素と前記第2制振要素との間に電位が一定のホールド要素を有し、
当該ホールド要素の途中で駆動波形の切り替えが可能であることが望ましい。
【0011】
また、本発明の液体噴射装置の制御方法は、駆動波形の印加による圧力発生手段の駆動によってノズルから液体を噴射させる液体噴射ヘッドと、液体の噴射に用いられる噴射駆動波形および液体を微振動させる微振動駆動波形を含む駆動信号を発生させる駆動信号生成手段と、を備える液体噴射装置の制御方法であって、
前記噴射駆動波形に、液体の噴射に伴う圧力振動を制振させる制振要素を設け、
前記制振要素に、第1制振要素、および、第1制振要素に続く第2制振要素を含ませ、
前記第2制振要素を単独で前記圧力発生手段へ印加することで、微振動駆動波形として作用させることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】プリンターの内部構成を説明する平面図である。
【図2】プリンター1の内部構成を説明する側面図である。
【図3】記録ヘッドの構成を説明する要部断面である。
【図4】プリンターの電気的構成を説明するブロック図である。
【図5】駆動信号の構成および駆動パルスの選択パターンについて説明する図である。
【図6】噴射駆動パルスおよび微振動駆動パルスの構成を説明する波形図である。
【図7】第2実施形態における駆動信号の構成および駆動パルスの選択パターンについて説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下に述べる実施の形態では、本発明の好適な具体例として種々の限定がされているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、以下においては、本発明の液体噴射装置として、インクジェット式記録装置(以下、プリンター)を例に挙げて説明する。
【0014】
図1は、プリンター1の内部構成を説明する平面図、図2は、プリンター1の内部構成を説明する側面図である。このプリンター1は、記録紙14(記録媒体或いは着弾対象の一種)の搬送方向に沿って複数配設された記録ヘッド2(2a〜2d)と、記録紙14を搬送ベルト3に供給する給紙ローラー10と、給紙ローラー10を駆動する給紙モーター9と、搬送ベルト3によって記録紙14を搬送する搬送機構16と、リニアスケール13と検出ヘッド7からなるリニアエンコーダーと、を備えている。本実施形態におけるプリンター1は、記録処理(あるいは印刷処理または液体噴射処理)の際に、記録ヘッド2の位置を固定した状態で記録紙14の搬送のみを搬送しながら当該記録紙14に対して画像等の記録を行う所謂ライン型プリンターである。
【0015】
給紙ローラー10は、搬送機構16の上流側に配設され、図示しない給紙部から給紙された記録紙14を狭持した状態で互いに反対方向に同期回転可能な上下一対のローラー10a,10bにより構成されている。この給紙ローラー10は、給紙モーター9からの動力で駆動される。そして、給紙ローラー10は、図示しないスキュー補正ローラーと共働して記録紙14の搬送方向に対する傾き及び搬送方向に直行する方向の位置ずれを補正してから、この記録紙14を搬送機構16側に供給する。
【0016】
搬送機構16は、搬送ベルト3の駆動源である搬送モーター12と、搬送モーター12から動力が伝達される駆動ローラー4と、駆動ローラー4よりも上流側に配設された従動ローラー5と、駆動ローラー4及び従動ローラー5の間に張設される搬送ベルト(無端ベルト)3と、テンションローラー6と、圧接ローラー11と、帯電部17(図2参照)と、により構成されている。テンションローラー6は、駆動ローラー4と、従動ローラー5との間に配設され、搬送ベルト3に内接し、ばね等の付勢部材の付勢力により搬送ベルト3に張力を付与している。また、圧接ローラー11は、記録紙14を搬送ベルト3側に押圧するローラーであり、搬送ベルト3を挟んで従動ローラー5の直上に配設されている。
【0017】
ベルト帯電部17は、帯電ローラー8と、帯電用電源15とを備えている。帯電ローラー8は搬送ベルト3を挟んで従動ローラー5の上流側下方に配設され、搬送ベルト3に当接している。帯電用電源15は、帯電ローラー8と導通接続されており、帯電ローラー8に交流電圧を印加する。なお、従動ローラー5は、図2に示すように接地されており、搬送ベルト3を挟んで対向する帯電ローラー8に対する対向電極となっている。このベルト帯電部17は、帯電用電源15が帯電ローラー8を介して搬送ベルト3に電荷を供給し搬送ベルト3を帯電させる。そして、帯電された搬送ベルト3に載置される記録紙14には、誘電分極が発生し、搬送ベルト3との間に静電力が作用する。さらに、圧接ローラー11は、帯電された搬送ベルト3に載置される記録紙14を搬送ベルト3に押し付けて、記録紙14の搬送ベルト3に対する密着性を高める。
【0018】
図1に示すように、搬送ベルト3の外周面には、リニアスケール13がベルト全周に渡って配設されている。このリニアスケール13は、スリット状の検出用パターンを搬送ベルト3の搬送方向に一定間隔(例えば、180dpi)で複数配列して構成されている。このリニアスケール13の検出用パターンは、検出ヘッド7によって光学的に検出され、検出信号がエンコーダー信号として、プリンターコントローラー36(図4参照)に出力される。したがって、プリンターコントローラー36は、このエンコーダー信号に基づいて、搬送機構16(搬送ベルト3)による記録紙14の搬送量を把握することができる。また、このエンコーダー信号は、記録ヘッド2の圧力発生手段である圧電振動子23を駆動する駆動信号の発生タイミングを規定する。
【0019】
図3は、本実施形態における記録ヘッド2の要部断面図である。なお、記録ヘッド2a〜2dは、同様な構成であるため、以下では1つの記録ヘッドを代表して説明する。本実施形態における記録ヘッド2は、ノズル群が所定のピッチで記録紙14の最大記録幅に対応可能な長さに配置された所謂ライン型記録ヘッドである。なお、1つの記録ヘッド2は、複数の単位ヘッドが連結されて構成される場合もある。
【0020】
本実施形態における記録ヘッド2は、図1に示すように、イエロー(Y)色のインクを吐出(噴射)するイエロー記録ヘッド2aと、マゼンタ(M)色のインクを噴射するマゼンタ記録ヘッド2bと、シアン(C)色のインクを噴射するシアン記録ヘッド2cと、ブラック(K)色のインクを噴射するブラック記録ヘッド2dとから構成されている。各色の記録ヘッド2a、2b、2c、2dのノズル面(ノズルプレート32)には、複数のノズル31が、プリンター1が対応可能な記録紙の最大幅以上の長さに渡って配列されている。これらの記録ヘッド2a、2b、2c、2dは、ノズル面を記録紙14に向けて、且つノズル面と記録紙14との間に所定の間隔(所謂ペーパーギャップ或いはプラテンギャップ)が形成される状態で配設されている。
【0021】
本実施形態における記録ヘッド2は、圧力発生ユニット18と流路ユニット19とから構成されており、これらを重ね合わせて一体化されている。圧力発生ユニット18は、圧力室20を区画するための圧力室プレート21、供給側連通口25及び第1連通口27aを開設した連通口プレート22、及び、圧電振動子23が実装された振動板24と、が積層されて、焼成等により一体化されることで構成されている。また、流路ユニット19は、供給口26や第2連通口27bを形成した供給口プレート28、リザーバー29や第3連通口27cが形成されたリザーバープレート30、及び、ノズル31が形成されたノズルプレート31からなるプレート部材を積層状態で接着することで構成されている。
【0022】
本実施例におけるノズルプレート31は、インクを噴射するノズル31が、記録紙14の搬送方向に直交する方向に複数並ぶノズル列(ノズル群の一種)を構成している。本実施形態におけるノズル列は、例えば360dpiのピッチで開設されたノズル31から成り、ノズル列の全長(ノズル列の一端に位置するノズル31から他端に位置するノズル31までの距離)は、記録紙14の最大記録幅に対応可能な長さになっている。なお、1つのノズル列33を構成するノズル31の数や形成ピッチに関しては例示したものには限られない。
【0023】
圧力室20とは反対側となる振動板24の外側表面には、圧力室20毎に対応して圧電振動子23が配設される。例示した圧電振動子23は、所謂撓み振動モードの圧電振動子であり、駆動電極23aと共通電極23bとによって圧電体23cを挟んで構成されている。そして、圧電振動子23の駆動電極に駆動信号(駆動パルス)が印加されると、駆動電極23aと共通電極23bとの間には電位差に応じた電場が発生する。この電場は圧電体23cに付与され、圧電体23cが付与された電場の強さに応じて変形する。即ち、駆動電極23aの電位を高くする程、圧電体層20cの幅方向(ノズル列方向)の中央部が圧力室20の内側(ノズルプレート31に近づく側)に撓み、圧力室20の容積を減少させるように振動板24を変形させる。一方、駆動電極23aの電位を低くする程(0に近づける程)、圧電体層20cの短尺方向の中央部が圧力室20の外側(ノズルプレート31から離れる側)に撓み、圧力室20の容積を増加させるように振動板24を変形させる。
【0024】
次に、プリンター1の電気的構成を説明する。
図4は、プリンター1の電気的な構成を説明するブロック図である。外部装置35は、例えばコンピューターやデジタルカメラなどの画像を取り扱う電子機器(或いは情報処理装置)である。この外部装置35は、プリンター1と通信可能に接続されており、プリンター1において記録紙等の記録媒体に画像やテキストを印刷させるため、その画像等に応じた印刷データをプリンター1に送信する。
【0025】
本実施形態におけるプリンター1は、搬送機構16、検出ヘッド7、帯電用電源15記録ヘッド2、及び、プリンターコントローラー36等を有する。
【0026】
プリンターコントローラー36は、制御手段の一種であり、プリンターの各部の制御を行う制御ユニットである。プリンターコントローラー36は、インターフェース(I/F)部37と、CPU38と、記憶部39と、駆動信号生成部40と、を有する。インターフェース部37は、外部装置35からプリンター1へ印刷データや印刷命令を送ったり、外部装置35がプリンター1の状態情報を受け取ったりする等プリンターの状態データの送受信を行う。CPU38は、プリンター全体の制御を行うための演算処理装置である。記憶部39は、CPU38のプログラムや各種制御に用いられるデータを記憶する素子であり、ROM、RAM、NVRAM(不揮発性記憶素子)を含む。CPU38は、記憶部39に記憶されているプログラムに従って、各ユニットを制御する。
【0027】
駆動信号生成部40は、本発明における駆動信号生成手段として機能し、駆動信号の波形に関する波形データに基づいてアナログの電圧信号を生成する。また、駆動信号生成部40は、上記の電圧信号を増幅して駆動信号COMを生成する。本実施形態におけるプリンター1は、液量の異なるインク滴を噴射することで、大きさの異なるドットを記録紙14に形成する多階調記録が可能であり、本実施形態においては、大ドット、中ドット、小ドット、及び非噴射(微振動)の4階調での記録処理が可能に構成されている。そして、駆動信号生成部40は、例えば、図5に示す第1噴射駆動パルスDP1、第2噴射駆動パルスDP2、第3噴射駆動パルスDP3、第1微振動駆動パルスVP1、および、第2微振動駆動パルスVP2(何れも駆動波形の一種。)を含んで構成される駆動信号COMを発生する。
【0028】
駆動信号COMは、エンコーダー信号に基づいて生成されるラッチ信号LATに応じて繰り返し発生される。このラッチ信号LATは、記録周期の開始タイミングを規定する信号である。したがって、駆動信号COMの単位周期は、このラッチ信号LATで区切られる区間であると言える。また、チェンジ信号CHは、圧電振動子23に対する各駆動パルスの選択的な印加に用いられる信号であり、ラッチ信号LATに基づいて生成される。本実施形態におけるチェンジ信号CHは、CH1〜CH7の合計7つから構成される。各チェンジ信号CHは、ラッチ信号LATの生成タイミングを基点とした所定のタイミングで生成される。
【0029】
本実施形態において、駆動信号COMの発生周期であり記録周期である単位周期Tが、ラッチ信号LATおよびチェンジ信号CH1〜CH7によって合計8つの期間T1〜期間T8に区切られている。そして、期間T1では第1噴射駆動パルスDP1の前段部が発生され、期間T2では、第1噴射駆動パルスDP1の後段部である第1補助微振動駆動パルスCP1(第2制振要素ca2であり、また、本発明における微振動駆動波形の一種。)が発生され、期間T3では第1微振動駆動パルスVP1が発生される。また、期間T4では第2噴射駆動パルスDP2の前段部が発生され、期間T5では、第2噴射駆動パルスDP2の後段部である第2補助微振動駆動パルスCP2(第2制振要素ca2であり、また、本発明における微振動駆動波形(補助微振動駆動波形)の一種。)が発生され、期間T6では第2微振動駆動パルスVP2が発生される。さらに、期間T7では第3噴射駆動パルスDP3の前段部が発生され、期間T8では、第3噴射駆動パルスDP3の後端部である第3補助微振動駆動パルスCP3(第2制振要素ca2であり、また、本発明における微振動駆動波形(補助微振動駆動波形)の一種。)が発生される。
【0030】
このように、本発明に係るプリンター1は、噴射駆動パルスDPがチェンジ信号CHによって前段部と後段部とに分けられており、後段部を補助微振動駆動パルスCPとして単独での圧電振動子23への印加が可能に構成されている点に特徴を有している。この点の詳細については後述する。
【0031】
噴射駆動パルスDP1〜DP3は、ノズル31からインクを噴射させるべく駆動電圧(駆動パルスの最低電位から最高電位までの電位差)や波形等が定められた駆動パルスである。
図6(a)は、噴射駆動パルスDP1〜DP3の構成を説明する波形図である。本実施形態における噴射駆動パルスDP1〜DP3は同一波形となっているので、以下では1つを代表として説明する。本実施形態における噴射駆動パルスDPは、膨張要素p11と、膨張ホールド要素p12と、収縮要素(噴射要素)p13と、制振要素p14とからなる。膨張要素p11は、圧力室20の基準容積(膨張又は収縮の基準となる容積)に対応し駆動パルスの電位変化の基点となる基準電位Vbから、当該基準電位Vbよりも低い第1膨張電位VL1までインクを噴射させない程度の一定勾配で電位がマイナス(或いはグランドGND)側に下降する(第1の極性側に変化する)波形要素である。膨張ホールド要素p12は、膨張要素p11の終端電位である第1膨張電位VL1を所定時間だけ維持する波形要素である。収縮要素p13は、第1膨張電位VL1から基準電位Vbよりも高い第1収縮電位VH1まで急勾配で電位がプラス側に上昇する(第2の極性側に変化する)ことで、ノズル31からインクを噴射し得る程度の圧力変動を生じさせる波形要素である。制振要素p14は、収縮要素p13の印加によりノズル31からインクが噴射されることに伴う圧力室20内の圧力振動(残留振動)を低減する波形要素である。
【0032】
制振要素p14は、収縮要素p13に続く前段の第1制振要素ca1と、当該第1制振要素ca1に続く中間ホールド要素ha(本発明におけるホールド要素に相当)と、当該中間ホールド要素haに続く第2制振要素ca2と、から構成される。第1制振要素ca1は、第1収縮電位VH1を所定時間維持する収縮ホールド要素phと、第1収縮電位VH1から基準電位Vbまでインクを噴射させない程度の勾配で電位が下降する制振収縮要素pcと、から成る。そして、この制振収縮要素pcが、圧力室20内のインクの圧力振動(残留振動)を相殺し得るタイミングで圧電振動子23に印加されるように、収縮ホールド要素phの継続時間が設定されている。中間ホールド要素haは、制振収縮要素pcの後端電位である基準電位Vbを一定時間維持する波形要素である。なお、この中間ホールド要素haの途中でチェンジ信号CHによる噴射駆動パルスDPの前段部(p11、p12、p13、ca1、およびhaの前半)と後段部(haの後半およびca2)の切り替えが可能となっている。
【0033】
第2制振要素ca2は、中間ホールド要素haの後端電位である基準電位Vb(第1電位に相当)から、当該基準電位Vbと第1膨張電位VL1との間の中間電位VM(第2電位に相当)までインクを噴射させない程度の緩やかな勾配で電位がマイナス側に変化する第1変化部a1と、中間電位VMで一定な制振ホールド部a2と、中間電位VMから基準電位Vbまで電位がプラス側に変化する第2変化部a3と、から構成されている。そして、圧力室20内の残留振動を相殺し得るタイミングで第2制振要素ca2の第1変化部a1が圧電振動子23に印加されるように、収縮要素p13の後端から第1変化部a1の始端までの時間が設定されている。また、基準電位Vbから中間電位VMまでの電位差は、第1収縮電位VH1から基準電位Vbまでの電位差よりも小さくなっている。このため、この第2制振要素ca2の第1変化部a1による圧力変動の大きさは、第1制振要素ca1の制振収縮要素pcによる圧力変動の大きさよりも小さいが、第1制振要素ca1(制振収縮要素pc)と第2制振要素ca2(第1変化部a1)との2回に分けて残留振動の制振が行われるため、1回の制振と比べて残留振動がより効果的に抑制される。
【0034】
上記の噴射駆動パルスDP(前段部および後段部の両方)が圧電振動子23に供給されると、まず、膨張要素p11によって圧電振動子23および振動板24の作動部の幅方向中央部が圧力室20の外側(ノズルプレート32から離隔する側)に撓む。これにより圧力室20が基準電位Vbに対応する基準容積から第1膨張電位VL1に対応する膨張容積まで膨張する。この膨張によりノズル31におけるメニスカスが圧力室20側に引き込まれると共に、圧力室20内にはリザーバー29側から供給口26を通じてインクが供給される。そして、この圧力室20の膨張状態は、膨張ホールド要素p12の供給期間中に亘って維持される。その後、収縮要素p13が印加されることで圧電振動子23および作動部の中央部が圧力室20の内側に大きく撓む。これにより、圧力室20は膨張容積から第1収縮電位VH1に対応する収縮容積まで急激に収縮される。この圧力室20の急激な収縮により圧力室20内のインクが加圧され、ノズル31から規定量(例えば、数ng〜十数ng)のインクが噴射される。圧力室20の収縮状態は、第1制振要素ca1の収縮ホールド要素phの供給期間に亘って維持され、この間、インクの噴射によって生じた圧力室20内のインクの圧力振動は周期的に増減を繰り返す。そして、圧力室20内のインク圧力が上昇するタイミングに合わせて、第1制振要素ca1の制振収縮要素pcが圧電振動子23に印加され、これに伴って圧電振動子23および作動部の中央部が圧力室20の外側に向けて撓む。これにより、圧力室20が基準容積まで戻ると共に、圧力室20内のインクの残留振動が低減される。その後、圧力室20の基準容積は、中間ホールド要素haの期間に亘って維持される。そして、第1制振要素caのみでは抑制しきれなかった残留振動のインク圧力が上昇するタイミングに合わせて、第2制振要素ca2の第1変化部a1が圧電振動子23に印加される。これに伴って圧電振動子23および作動部の中央部が圧力室20の外側に向けて撓む。これにより、圧力室20が基準容積から中間膨張容積まで少し膨張すると共に、圧力室20内のインクの残留振動がさらに抑制される。そして、圧力室20の膨張状態は、制振ホールド部a2の印加期間中に亘って維持された後、第2変化部a3によって基準状態に復帰する。
【0035】
図6(b)は、微振動駆動パルスVP(VP1,VP2)の構成を説明する波形図である。微振動駆動パルスVPは、記録処理中のノズル31におけるインクの増粘を抑制するべく、ノズル31からインクが噴射されない程度にメニスカスを微振動させ得る駆動電圧や波形に設定された駆動パルスである。本実施形態における微振動駆動パルスVPは、微振動膨張要素p21と、微振動膨張ホールド要素p22と、微振動収縮要素p23とからなる。微振動膨張要素p21は、基準電位Vbから第2の膨張電位VL2まで、ノズル31からインクが噴射されない程度に緩やかな勾配で電位が上昇する波形要素である。また、第2の膨張電位VL2は、中間電位VMと第1膨張電位VL1との間の値(VL1<VL2<VM)に設定されている。微振動膨張ホールド要素p22は、微振動膨張要素p21の終端電位である第2の膨張電位VL2を一定時間維持する波形要素である。また、微振動収縮要素p23は、第2の膨張電位VL2から基準電位Vbまで、ノズル31からインクが噴射されない態度に十分に緩やかな勾配で電位を下降させる波形要素である。
【0036】
このように構成された微振動駆動パルスVPが圧電振動子23に印加されると、まず、微振動膨張要素p21によって圧電振動子23および振動板24の作動部の幅方向中央部が、基準状態から圧力室20の外側に撓む。これにより圧力室20が基準電位Vbに対応する基準容積から第2の膨張電位VL2に対応する微振動膨張容積まで収縮する。この膨張により、圧力室20内のインクが、ノズル31から噴射されない程度に減圧される。そして、この圧力室20の膨張状態は、微振動膨張ホールド要素p22の印加期間中に亘って維持される。その後、微振動収縮要素p23が印加されることで圧電振動子23および作動部の中央部が圧力室20の内側に撓んで基準状態に復帰する。これにより、圧力室20が微振動膨張容積から基準容積まで戻ると共に、圧力室20内のインクの残留振動が低減される。この圧力室20の一連の容積変動に伴って圧力室20内には比較的緩やかな圧力振動が生じ、この圧力変動によってノズル31に露出したメニスカスが微振動する。このメニスカスの微振動によってノズル31付近の増粘インクが分散され、その結果、インクの増粘を防止することができる。
【0037】
本発明に係るプリンター1では、噴射駆動パルスDPの後段部である第2制振要素ca2が単独で圧電振動子23に印加されると、補助微振動駆動パルスCPとしても機能する。すなわち、第2制振要素ca2の第1変化部a1によって圧電振動子23および振動板24の作動部の幅方向中央部が、基準状態から圧力室20の外側に撓む。これにより圧力室20が基準電位Vbに対応する基準容積から中間電位VMに対応する中間膨張容積まで収縮する。この膨張により、圧力室20内のインクが、ノズル31から噴射されない程度に減圧される。そして、この圧力室20の膨張状態は、制振ホールド部a2の印加期間中に亘って維持される。その後、第2変化部a3が印加されることで圧電振動子23および作動部の中央部が圧力室20の内側に撓んで基準状態に復帰する。これにより、圧力室20が中間膨張容積から基準容積まで戻ると共に、圧力室20内のインクの残留振動が低減される。この圧力室20の一連の容積変動に伴って圧力室20内には比較的緩やかな圧力振動が生じ、この圧力変動によってノズル31に露出したメニスカスが微振動する。
【0038】
上記構成において、所定の記録周期(単位周期)Tでノズル31からインクが噴射されない非記録の場合、図5に示すように、期間T2の第1補助微振動駆動パルスCP1と、期間T3の第1微振動駆動パルスVP1と、期間T5の第2補助微振動駆動パルスCP2と、期間T6の第2微振動駆動パルスVP2と、期間T8の第3補助微振動駆動パルスCP3と、が選択されて圧電振動子23に順次印加される。すなわち、本実施形態では、非記録時に合計5つの微振動駆動パルスが圧電振動子23に印加されて微振動が行われる。これにより、ノズル31や圧力室20内のインクが攪拌され、インクの増粘が防止される。
【0039】
所定の記録周期Tで小ドットを形成する場合、本実施形態では、期間T4の第2噴射駆動パルスDP2の前段部と、期間T5の第2噴射駆動パルスDP2の後段部(第2制振要素ca2、第2補助微振動駆動パルスCP2)と、が選択されて圧電振動子23に順次印加される。これにより、ノズル31からは小ドットに対応する量のインクが1回噴射され、記録媒体上の画素領域に対して着弾して小ドットが形成される。インクを噴射することにより生じる圧力室20内の圧力振動(残留振動)は、2段の制振要素p14によって抑制される。また、所定の記録周期Tで中ドットを形成する場合、本実施形態では、期間T1の第1噴射駆動パルスDP1の前段部と、期間T2の第1噴射駆動パルスDP1の後段部(第2制振要素ca2、第1補助微振動駆動パルスCP1)と、期間T7の第3噴射駆動パルスDP3の前段部と、期間T8の第3噴射駆動パルスDP3の後段部(第2制振要素ca2、第3補助微振動駆動パルスCP3)と、が選択されて圧電振動子32に順次印加される。これにより、ノズル31から小ドットに対応する量のインクが2回連続して噴射され、これらのインクが記録媒体上の画素領域に対して着弾して中ドットが形成される。各噴射駆動パルスDPによってインクを噴射することにより生じる圧力室20内の圧力振動は、それぞれの2段の制振要素p14によって抑制される。
【0040】
そして、所定の記録周期Tで大ドットを形成する場合、本実施形態では、期間T1の第1噴射駆動パルスDP1の前段部と、期間T2の第1噴射駆動パルスDP1の後段部(第2制振要素ca2、第1補助微振動駆動パルスCP1)と、期間T4の第2噴射駆動パルスDP2の前段部と、期間T5の第2噴射駆動パルスDP2の後段部(第2制振要素ca2、第2補助微振動駆動パルスCP2)と、期間T7の第3噴射駆動パルスDP3の前段部と、期間T8の第3噴射駆動パルスDP3の後段部(第2制振要素ca2、第3補助微振動駆動パルスCP3)と、が選択されて圧電振動子32に順次印加される。これにより、ノズル31から小ドットに対応する量のインクが3回連続して噴射され、これらのインクが記録媒体上の画素領域に対して着弾して大ドットが形成される。各噴射駆動パルスDPによってインクを噴射することにより生じる圧力室20内の圧力振動は、それぞれの2段の制振要素p14によって抑制される。なお、ドットの大きさを示す大・中・小は相対的なものであり、実際のドットの大きさや液量についてはプリンター1の仕様に応じて定められる。
【0041】
このように、本発明に係るプリンター1では、噴射駆動パルスDPの制振要素p14が、前段の第1制振要素ca1と後段の第2制振要素ca2とに分けられ、後段の第2制振要素ca2は、微振動駆動パルス(補助微振動駆動パルス)としての利用が可能であり、残留振動の制振機能および微振動機能の2つの機能を奏する。このため、駆動信号COMを無駄に長くすることなく従来よりも微振動回数を増加させることができ、より効果的にインクの増粘を抑制することが可能となる。このため、フラッシング処理やクリーニング処理等の頻度を低減することができる。その結果、これらの処理に伴うインクの消費量を削減することができ、また、処理時間を別途設けることによるスループットの低下を抑制することが可能となる。
【0042】
なお、制振要素p14の後段の第2制振要素ca2は、当該第2制振要素ca2の駆動電圧(基準電位Vbと中間電VMとの電位差)が他の要素の駆動電圧よりも低いためノズル31からインクが誤噴射される虞が小さい。また、第2制振要素ca2は、始端電位(第1変化部a1の始端電位)と終端電位(第2変化部a3の終端電位)を基準電位Vbに揃えることができるので、単独での圧電振動子32への印加に適している。このため、第2制振要素ca2は、補助微振動駆動パルスCPとして最適である。
【0043】
ところで、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて種々の変形が可能である。
【0044】
図7は、第2実施形態における駆動信号COMと、非記録時における各駆動パルスの選択パターンについて構成を説明する図である。本実施形態では、駆動信号COMの構成は、上記第1実施形態の駆動信号COMと同一の構成であるが、非記録時の駆動パルスの選択パターンが2種類用意されている点が上記第1実施形態と相違している。具体的には、記録媒体(記録紙14)に対して記録を行っている際に、当該記録媒体の記録領域(インクの噴射を行う領域)に対応するノズル31の非記録時には、第1の選択パターン(非1)に基づいて駆動パルスの選択が行われる一方、記録媒体の記録領域外に対応するノズル31の非記録時には、第2の選択パターン(非2)に基づいて駆動パルスの選択が行われるように構成されている。記録領域に対応するノズル31ではインクの噴射が行われる可能性が高いため、増粘の進行度合いが比較的低い。このため、第1の選択パターンでは、期間T3の第1微振動駆動パルスVP1と期間T6の第2微振動駆動パルスVP2のみが選択されて圧電振動子23に印加されるようになっている。これに対し、記録領域外に対応するノズル31ではインクの噴射が行われないため、増粘の進行度合いが記録領域内のノズル31と比べて高い。このため、第2の選択パターンでは、期間T1の第1補助微振動駆動パルスCP1と、期間T2の第1微振動駆動パルスVP1と、期間T5の第2補助微振動駆動パルスCP2と、期間T6の第2微振動駆動パルスVP2と、期間T8の第3補助微振動駆動パルスCP3と、が選択されて圧電振動子23に印加されるようになっている。これにより、より多くの微振動が行われて、増粘が防止される。このように、記録媒体の記録領域内外のノズル31に応じて非記録時の選択パターンを変更することで、より無駄なく効率的に微振動を行うことができる。なお、その他の構成については上記第1実施形態と同様であるため、その説明は省略する。
【0045】
また、中間ホールド要素haに関し、上記第1実施形態においては、当該中間ホールド要素haの電位が基準電位Vbである構成を例示したが、これには限られず、中間ホールド要素haの電位が基準電位Vbとは異なる構成を採用することもできる。この場合、中間ホールド要素haと第1変化部a1との間に、中間ホールド要素haの終端電位から基準電位Vbまで電位を調整する調整要素を入れることが望ましい。
【0046】
さらに、上記各実施形態では、圧力発生手段として、所謂撓み振動型の圧電振動子23を例示したが、これには限られず、例えば、所謂縦振動型の圧電振動子にも本発明を適用することも可能である。この場合、例示した各駆動信号(駆動パルス)の波形に関し、電位の変化方向、つまり上下が反転した波形となる。
また、上記各実施形態では、所謂ライン型プリンターを例示したが、これには限られず、記録ヘッドを記録媒体に対して往復移動させながら記録を行う所謂シリアルプリンターにも本発明を適用することができる。
その他、駆動信号COM内の噴射駆動パルスDPや微振動駆動パルスVPの波形については例示したものには限られず、種々の波形を採用することができる。ただし、噴射駆動パルスDPについては、制振要素が少なくとも前段部と後段部の2段に分けられており、後段部を圧電振動子32に対して単独で印加できることを要する。
【0047】
さらに、上記実施形態では、第1膨張電位VL1は基準電位Vbより低く、また第1収縮電位VH1は基準電位Vbより高く、さらに中間電位VMは基準電位Vbより低いとしているが、第1膨張電位VL1は基準電位Vbより高く、また第1収縮電位VH1は基準電位Vbより低く、さらに中間電位VMは基準電位Vbより高くても良い。
【0048】
そして、本発明は、駆動波形の印加により圧力発生手段を駆動して液体の噴射制御が可能な液体噴射装置であれば、プリンターに限らず、プロッター、ファクシミリ装置、コピー機等、各種のインクジェット式記録装置や、記録装置以外の液体噴射装置、例えば、ディスプレイ製造装置、電極製造装置、チップ製造装置等にも適用することができる。そして、ディスプレイ製造装置では、色材噴射ヘッドからR(Red)・G(Green)・B(Blue)の各色材の溶液を噴射する。また、電極製造装置では、電極材噴射ヘッドから液状の電極材料を噴射する。チップ製造装置では、生体有機物噴射ヘッドから生体有機物の溶液を噴射する。
【符号の説明】
【0049】
1…プリンター,2…記録ヘッド,14…記録紙,20…圧力室,23…圧電振動子,31…ノズル,36…プリンターコントローラー,38…CPU,40…駆動信号生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動波形の印加による圧力発生手段の駆動によってノズルから液体を噴射させる液体噴射ヘッドと、
液体の噴射に用いられる噴射駆動波形および液体を微振動させる微振動駆動波形を含む駆動信号を発生させる駆動信号生成手段と、
を備える液体噴射装置であって、
前記噴射駆動波形は、液体の噴射に伴う圧力振動を制振させる制振要素を含み、
前記制振要素は、第1制振要素、および、第1制振要素の後に第2制振要素を有し、
前記第2制振要素は、微振動駆動波形として使用可能であることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
前記第2制振要素は、第1電位から第1電位とは異なる第2電位へ変化させる第1変化部と、前記第2電位を保持する制振ホールド部と、前記第2電位から前記第1電位まで変化させる第2変化部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
【請求項3】
前記制振要素は、前記第1制振要素と前記第2制振要素との間に電位が一定のホールド要素を有し、
当該ホールド要素の途中で駆動波形の切り替えが可能であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液体噴射装置。
【請求項4】
駆動波形の印加による圧力発生手段の駆動によってノズルから液体を噴射させる液体噴射ヘッドと、液体の噴射に用いられる噴射駆動波形および液体を微振動させる微振動駆動波形を含む駆動信号を発生させる駆動信号生成手段と、を備える液体噴射装置の制御方法であって、
前記噴射駆動波形に、液体の噴射に伴う圧力振動を制振させる制振要素を設け、
前記制振要素に、第1制振要素、および、第1制振要素に続く第2制振要素を含ませ、
前記第2制振要素を単独で前記圧力発生手段へ印加することで、微振動駆動波形として作用させることを特徴とする液体噴射装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−82154(P2013−82154A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224588(P2011−224588)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】