説明

液体噴射装置に装着される液体収容容器

【課題】液体収容容器が落下した際など、液体収容容器に衝撃が加わった場合でも、デバ
イスの損傷を回避することができる技術を提供する。
【解決手段】液体収容容器は、液体を内部に収容する液体収容室と、液体を噴出ヘッドに
供給するための液体供給部と、液体収容室から液体供給部に液体を供給するための経路中
に設けられ、内部にデバイスを備えるデバイス室と、内部が空気で満たされており、液体
収容室から液体が逆流した場合に液体をトラップする空気室と、を備える。デバイス室を
囲む壁のうち、少なくとも一部の壁は、空気室と隣接している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクなどの液体を噴射する液体噴射装置に適用されて、内部に、その液体
を収容する液体収容容器に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷媒体上にインクを噴射して画像を印刷する印刷装置が広く使用されている。この印
刷装置では、噴射ヘッドが設けられたキャリッジを印刷媒体上で往復動させながら、噴射
ヘッドからインクを噴射することによって画像を印刷する。また、噴射されるインクは、
インクカートリッジと呼ばれる専用の収容容器に収納されて、キャリッジに搭載されてい
る。
【0003】
このようなインクカートリッジにおいては、所定のデバイスを備えるものがある。所定
のデバイスの一例として、インクカートリッジのインク残量を検出するための残量センサ
ーが挙げられる。その残量センサーは、周囲を壁に囲まれたセンサー室と呼ばれる部屋に
設置されている。そのセンサー室は、インクカートリッジ内にインクが残っている間、イ
ンクで満たされるように構成されている。従って、残量センサーは、センサー室内がイン
クで満たされているか否かを検知することによって、インクカートリッジ内のインク残量
を検出する。
【0004】
また、インクカートリッジでは、センサー等のデバイスが収容されたデバイス室の近傍
に回路基板が設けられており、デバイスは、その回路基板に電気的に接続されている。そ
して、インクカートリッジが印刷装置に装着されることにより、残量センサー等のデバイ
スは、その回路基板を介して印刷装置に電気的に接続される。また、その回路基板には、
インク種、製造年月日など各種情報を記憶しておくためのメモリーなども搭載されている
。この種のインクカートリッジとしては、例えば、特許文献1に記載のものが知られてい
る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−285889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のインクカートリッジにおいては、センサー室が、壁を隔てて気泡分
離室と隣接している。インクカートリッジ内にインクが収容されている状態では、センサ
ー室及び気泡分離室は、インクによって満たされている。このような状態のときに、例え
ば、ユーザーが誤ってインクカートリッジを落とすと、インクカートリッジが床面に衝突
した際に、隣接する気泡分離室内のインクによる衝撃が壁を介してセンサー室に伝わり、
センサー室内に設置された残量センサーや、センサー室の近傍に設けられたメモリーなど
に損傷を与えるおそれがあった。そして、このような課題はセンサー以外のデバイスを備
えるカートリッジにおいても同様に存在していた。
【0007】
この発明は、従来の技術が有する上述した課題を解決するためになされたものであり、
液体収容容器が落下した際など、液体収容容器に衝撃が加わった場合でも、残量センサー
などのデバイスの損傷を回避することができる技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題の少なくとも一部を解決するために、本発明の液体収容容器は次の構成を
採用した。すなわち、
噴射ヘッドから液体を噴射する液体噴射装置に装着されて、該噴射ヘッドに液体を供給
する液体収容容器であって、
前記液体を内部に収容する液体収容室と、
前記液体を前記噴出ヘッドに供給するための液体供給部と、
前記液体収容室から前記液体供給部に前記液体を供給するための経路中に設けられ、内
部にデバイスを備えるデバイス室と、
前記液体収容室における前記液体の減少に伴い、外部から前記液体収容室に空気を供給
するための経路中に設けられ、内部が空気で満たされており、前記液体収容室から前記液
体が逆流した場合に、前記液体をトラップして、前記液体の外部への漏洩を防止する空気
室と
を備え、
前記デバイス室を囲む壁のうち、少なくとも一部の壁は、前記空気室と隣接しているこ
とを要旨とする。
【0009】
このように、本発明の液体収容容器では、デバイス室を囲む壁のうち、少なくとも一部
の壁が、空気室と隣接している。従って、液体収容容器が落下し、液体収容容器に衝撃が
加わった場合でも、空気室は内部が空気で満たされているため、デバイス室には、空気室
から衝撃が加わらない。よって、デバイス室が液体を収容する部屋に接している場合と比
べて、デバイス室内に設けられたデバイスに加わる衝撃が緩和されるため、デバイスの損
傷を回避することができる。
【0010】
本発明の液体収容容器において、前記デバイス室を囲む壁のうち、外部と仕切る壁以外
の壁が、前記空気室と隣接していることが好ましい。
【0011】
このように、外部と仕切る壁以外の壁が、空気室と隣接することにより、デバイス室は
、液体の収容された部屋と隣接しなくなるため、液体収容容器が落下し、液体収容容器に
衝撃が加わった場合でも、デバイス室には、隣接する部屋から液体による衝撃が加わらな
くなる。よって、デバイス室内に設けられたデバイスに加わる衝撃がさらに緩和されるた
め、デバイスの損傷をより回避することができる。
【0012】
本発明の液体収容容器において、前記デバイスは、センサーであってよい。このように
、デバイスをセンサーとすることにより、収容する液体の残量を検出することも可能とな
る。
【0013】
本発明の液体収容容器において、前記デバイス室を囲む壁であって、外部と仕切る壁の
うち、少なくとも一部の壁は、他のデバイスと隣接していてもよい。このように構成する
ことにより、液体収容容器が落下し、液体収容容器に衝撃が加わった場合でも、前述した
とおり、デバイス室には、空気室から衝撃が加わらないため、そのデバイス室に壁を隔て
て隣接する上記他のデバイスにも衝撃が加わりにくい。従って、上記他のデバイスの損傷
も回避することができる。
【0014】
本発明の液体収容容器において、前記他のデバイスは、メモリーであってよい。このよ
うに,他のデバイスをメモリーとすることにより、収容する液体の種類や製造年月日など
の情報を記憶させることができる。
【0015】
本発明の液体収容容器において、前記キャリッジに前記液体収容容器を固定するための
固定レバーをさらに備え、前記固定レバーは、前記デバイス室に近接して配置されること
が好ましい。
【0016】
液体収容容器が落下した場合、液体収容容器の重心を考慮すると、液体収容容器は、空
気室側が上となるよう落下する可能性が高い。従って、固定レバーを、その空気室に隣接
するデバイス室に近接して配置することにより、液体収容容器が床面に衝突した際に、固
定レバーが下側となって破損する可能性は低くなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施例としてのインクカートリッジが、インクジェットプリンターのキャリッジに搭載された状態を例示した説明図である。
【図2】キャリッジに搭載されているインクカートリッジの外観形状を示した斜視図である。
【図3】カートリッジ本体の裏側の側面に貼り付けられた封止フィルムを剥がすことによって、インクカートリッジの内部構造を示した平面図である。
【図4】カートリッジ本体の表側に貼り付けられた表示ラベルを剥がすことによって、インクカートリッジの内部構造を示した平面図である。
【図5】インクカートリッジの内部構造を簡略化して示した構造図である。
【図6】本発明の第2の実施例としてのインクカートリッジの内部構造を簡略化して示した構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施
例を説明する。
【0019】
A.第1の実施例:
B.第2の実施例:
【0020】
A.第1の実施例 :
図1は、本発明の第1の実施例としてのインクカートリッジ100が、インクジェット
プリンター1のキャリッジ10に搭載された状態を例示した説明図である。図示されるよ
うに、インクジェットプリンター1には、印刷媒体2の上で往復動するキャリッジ10が
設けられており、インクカートリッジ100は、このキャリッジ10に搭載されている。
キャリッジ10の底面側(印刷媒体2に向き合う側)には、インクを噴射する噴射ヘッド
20が、インクカートリッジ100毎に設けられており、インクカートリッジ100内に
収容されているインクが噴射ヘッド20に供給されて、噴射ヘッド20から印刷媒体2に
向けて噴射される。尚、図示したインクジェットプリンター1は、シアン色のインク(C
インク)、マゼンタ色のインク(Mインク)、イエロー色のインク(Yインク)、および
黒色のインク(Kインク)を用いて画像を印刷しており、これに対応してキャリッジ10
には、Cインクを収容したインクカートリッジ100、Mインクを収容したインクカート
リッジ100、Yインクを収容したインクカートリッジ100、Kインクを収容したイン
クカートリッジ100の4つのインクカートリッジ100が搭載されている。
【0021】
図2は、図1におけるキャリッジ10に搭載されているインクカートリッジ100の外
観形状を示した斜視図である。図示されるようにインクカートリッジ100は、略直方体
形状をしたカートリッジ本体102で、主として構成されている。このカートリッジ本体
102は硬質の樹脂材料で形成されている。カートリッジ本体102には、図2(a)に
示されるように、表側の側面から上面にかけて折り曲げるように表示ラベル160が貼り
付けられる。
【0022】
また、図2(b)に示されるように、カートリッジ本体102の裏側の側面には封止フ
ィルム170が貼り付けられている。後述するようにカートリッジ本体102の裏側の側
面は開口しており、開口部に封止フィルム170を貼り付けてインクを封止することによ
って初めて、インクカートリッジ100内にインクを収容することが可能となる。また、
カートリッジ本体102の底面には、キャリッジ10の噴射ヘッド20に向けてインクを
供給するためのインク供給部104が設けられている。
【0023】
さらに、図2に示されるように、カートリッジ本体102の横側の一方の側面には、イ
ンクカートリッジ100をキャリッジ10に装着した際、インクカートリッジ100をキ
ャリッジ10に固定するための固定レバー106が設けられている。
【0024】
図3は、カートリッジ本体102の裏側の側面に貼り付けられた封止フィルム170を
剥がすことによって、図2におけるインクカートリッジ100の内部構造を示した平面図
である。図示されるように、カートリッジ本体102の裏側に添付された封止フィルム1
70を剥がすと、大きく開口した凹部110が現れる。また、この凹部110は、縦横に
設けられた複数の壁120によって、主として5つの領域に区分けされている。そして、
カートリッジ本体102の裏側に封止フィルム170を貼り付けて凹部110を封止する
ことによって、凹部110と封止フィルム170との間に5つの部屋が形成される。
【0025】
これら5つの部屋のうち、図3に斜線を付して示されるように、紙面上で右側には、第
1インク収容室116aが設けられており、その左側上方には、第2インク収容室116
bが設けられている。第2インク収容室116bに対して紙面上で下方には、細かい斜線
を付して示したセンサー室118が設けられている。このセンサー室118には、図示し
ない残量センサーが設けられている。更に、センサー室118の右斜め上方には、バッフ
ァー室119が設けられている。そして、バッファー室119は、小さな丸い連通孔15
2によって圧力調整室107に連通している。圧力調整室107には図示しない膜弁やバ
ネなどが内蔵されており、キャリッジ10に供給されるインクの圧力を調整する機能を有
している。
【0026】
また、第1インク収容室116aと第2インク収容室116bとはインク流路150に
よって接続されており、センサー室118とバッファー室119とはインク流路146に
よって接続されている。従って、噴射ヘッド20からインクを噴射する際には、インクは
、第1インク収容室116aから、第2インク収容室116b、センサー室118、バッ
ファー室119と経由して、連通孔152から圧力調整室107に流入した後、インク供
給部104から噴射ヘッド20に供給されるようになっている。
【0027】
また、図3に示されるように、第1インク収容室116aに対して紙面上で左側下方に
は、空気室114も設けられている。この空気室114には連通孔130が設けられてお
り、後述するように、カートリッジ本体102の表側に設けられた空気流路を経由して大
気開放孔に繋がっている。また、この空気室114は、空気流路134によって前述した
第1インク収容室116aと繋がっている。このような空気室114は、周囲の温度変化
、あるいはインクカートリッジ100の姿勢変化などによって第1インク収容室116a
からインクが逆流してきた場合に、内部にインクをトラップすることで、インクがさらに
上流側に移動してインクカートリッジ100から漏れ出ることを防止する。
【0028】
図4は、カートリッジ本体102の表側に貼り付けられた表示ラベル160を剥がすこ
とによって、図2におけるインクカートリッジ100の内部構造を示した平面図である。
図示されるように、カートリッジ本体102の表側に添付された表示ラベル160を剥が
すと、複数の溝が現れる。図4では、これらの溝に斜線を付して表示している。カートリ
ッジ本体102の表側に表示ラベル160を貼り付けて、これらの溝を封止することによ
って、各溝と表示ラベル160との間に流路が形成される。
【0029】
これら流路は、カートリッジ本体102の底面に開口した大気開放孔124に連通した
連通孔154を始端として、何度も向きを変えながら蛇行する細長い上流側空気流路15
6と、図3を用いて前述した連通孔130を終端とする細長い下流側空気流路128と、
上流側空気流路156及び下流側空気流路128の間に設けられて、浅い凹型に形成され
た略長方形の空気溜まり112などから構成されている。尚、連通孔130の隣(図4の
紙面上では右側)には、圧力調整室107の表面構造が見えている。
【0030】
ここで、本実施例におけるインクカートリッジ100の内部構造をより理解しやすくす
るために、構造全体を簡略化すると共に、一部構造を変更した構成に基づいて、説明を続
ける。
【0031】
図5は、図3及び図4に示したインクカートリッジ100の内部構造を簡略化して示し
た構造図である。図5において、(a)はカートリッジ本体102を上側から見た上面図
、(b)はカートリッジ本体102を裏側から見た背面図、(c)はカートリッジ本体1
02を横側から見た側面図、(d)はカートリッジ本体102を表側から見た正面図であ
る。
【0032】
図5では、大気開放孔124は、(a)に示されるように、カートリッジ本体102の
底面ではなく上面に設けられている。また、空気溜まり112は、(b)に示されるよう
に、カートリッジ本体102の裏側において、上部左側隅に設けられている。空気室11
4は、カートリッジ本体102の下部に設けられており、下部の大部分を占めている。一
方、インク収容室116は、1部屋で構成されており、カートリッジ本体102の上部に
設けられ、上部の大部分を占めている。
【0033】
センサー室118は、カートリッジ本体102の下部左側に設けられている。従って、
センサー室118を囲む壁のうち、壁120aは空気室114に隣接し、壁120bはイ
ンク収容室116に隣接している。それ以外の壁は、外部と仕切る壁となっている。外部
と仕切る壁のうち、壁120cは、カートリッジ本体102の外部に設けられた回路基板
122と隣接している。センサー室118内の残量センサー(図示せず)は、この壁12
0cを介して、回路基板122に電気的に接続されている。回路基板122には、インク
種、製造年月日など各種情報を記憶しておくためのメモリー(図示せず)などが搭載され
ている。インクカートリッジ100がキャリッジ10に搭載されている状態では、回路基
板122は、インクジェットプリンター1に電気的に接続されている。
【0034】
また、固定レバー106は、カートリッジ本体102の横側の側面のうち、センサー室
118に近い側の側面に設けられている。
【0035】
空気溜まり112は大気開放孔124と連通している。空気溜まり112には、連通孔
126が設けられており、図5(d)に示されるように、カートリッジ本体102の表側
と連通している。
【0036】
カートリッジ本体102の裏側では、連通孔126が空気流路128を介して連通孔1
30に接続されている。連通孔130は、前述したとおり、カートリッジ本体102の裏
側において、空気室114と連通している。空気室114には、その他、連通孔132が
設けられており、カートリッジ本体102の表側と連通している。表側では、連通孔13
2が空気流路134を介して連通孔136に接続されている。連通孔136は、カートリ
ッジ本体102の裏側にあるインク収容室116と連通している。
【0037】
インク収容室116には、その他、連通孔138が設けられており、カートリッジ本体
102の表側と連通している。表側では、連通孔138がインク流路140を介して連通
孔142に接続されている。連通孔142は、カートリッジ本体102の裏側において、
センサー室118と連通している。センサー室118には、連通孔142の他、連通孔1
44が設けられており、カートリッジ本体102の表側と連通している。表側では、連通
孔144がインク流路146を介して連通孔148に接続されている。連通孔142はイ
ンク供給部104と連通している。尚、図5では、バッファー室119や圧力調整室10
7などは、簡略化のため、省略されている。
【0038】
従って、図5では、噴射ヘッド20からインクを噴射する際、インクは、インク収容室
116から、連通孔138,インク流路140,連通孔142,センサー室118,連通
孔144,インク供給部104を介して、噴射ヘッド20に供給される。
【0039】
また、インク収容室116は、空気流路134を介して空気室114と繋がっており、
空気室114は、連通孔130,空気流路128,連通孔126,空気溜まり112,大
気開放孔124を介して、大気開放されている。空気室114は、前述したとおり、温度
変化や姿勢変化などによって、インク収容室116からインクが逆流してきた場合でも、
内部にそのインクをトラップすることで、インクがさらに上流側に移動してインクカート
リッジ100から漏れ出ることを防止する。
【0040】
一方、インク収容室116より下流に位置するセンサー室118は、インク収容室11
6にインクが存在する状態では、インクで満たされている。従って、センサー室118に
設置されている残量センサー(図示せず)は、センサー室118がインクで満たされてい
るか否かを検知することによって、インクカートリッジ100内のインク残量を検出する
。検出した結果は、回路基板122を介してインクジェットプリンター1に伝達される。
【0041】
本実施例においては、図5(b)に示されているように、残量センサー(図示せず)の
設置されたセンサー室118を囲む壁のうち、上方の壁120bはインク収容室116に
隣接しているものの、右方の壁120aは、前述したように空気室114に隣接している
。すなわち、センサー室118は、上方が、インクの収容されている部屋に隣接している
が、右方は、空気で満たされている部屋に隣接している。
【0042】
このため、ユーザーが、インクの入っているインクカートリッジ100を誤って落とし
た場合でも、以下の理由により、センサー室118内に設置された残量センサー(図示せ
ず)や、センサー室118に隣接して設けられたメモリー(図示せず)などが損傷するの
を回避することができる。
【0043】
すなわち、インクカートリッジ100が床面に衝突した際、センサー室118に、イン
ク収容室116からは、収容するインクによる衝撃が壁120bを介して伝えられるが、
空気室114からは、内部が空気であるため、衝撃が加わらないので、その分、残量セン
サーやメモリーなどに加わる衝撃が緩和される。その結果、これらデバイスの損傷を回避
することができる。
【0044】
また、本実施例においては、インクカートリッジ100の重心を考えた場合、その重心
は、空気で満たされた空気室114側ではなく、インクを収容しているインク収容室11
6側に存在する。このため、ユーザーがインクカートリッジ100を誤って落とした場合
、インクカートリッジ100は、空気室114側が上となるよう落下する可能性が高い。
一方、固定レバー106は、空気室114に隣接するセンサー室118に近接するように
設けられている。従って、インクカートリッジ100が床面に衝突した際に、固定レバー
106が下側になって損傷する可能性は低くなる。
【0045】
B.第2の実施例 :
図6は本発明の第2の実施例としてのインクカートリッジの内部構造を簡略化して示し
た構造図である。図6において、(a)はカートリッジ本体202を上側から見た上面図
、(b)はカートリッジ本体202を裏側から見た背面図、(c)はカートリッジ本体2
02を横側から見た側面図、(d)はカートリッジ本体202を表側から見た正面図であ
る。
【0046】
本実施例が、上述した第1の実施例と異なる点は、以下の通りである。すなわち、第1
の実施例においては、センサー室118を囲む壁のうち、右方の壁120aは空気室11
4に隣接していたものの、上方の壁120bはインク収容室116に隣接していた。これ
に対し、本実施例においては、センサー室218を囲む壁のうち、右方の壁220aも、
上方の壁220bも、共に、空気室214と隣接するように構成されている。言い換えれ
ば、外部と仕切る壁以外の壁は、全て、空気室214と隣接するように構成されている。
【0047】
すなわち、本実施例においては、空気溜まり212は、カートリッジ本体202の上部
の左寄りに設けられている。空気室214は、カートリッジ本体202の左側に設けられ
ており、左側部分の大部分を占めている。インク収容室216は、カートリッジ本体20
2の右側に設けられており、右側部分の大部分を占めている。センサー室218は、カー
トリッジ本体202の下部左側に設けられており、上述したとおり、壁220a,220
bを介して、空気室214に隣接するよう配置されている。従って、本実施例においては
、センサー室218は、上方及び右方が、空気で満たされている部屋に隣接しており、イ
ンクの収容されている部屋とは一切隣接していない。
【0048】
このため、ユーザーが、インクの入っているインクカートリッジを誤って落とした場合
でも、以下の理由により、センサー室218内に設置された残量センサー(図示せず)や
、センサー室218の近傍に設けられたメモリー(図示せず)などが損傷するのを回避す
ることができる。すなわち、インクカートリッジ床面に衝突した際、センサー室218へ
は、隣接する部屋からインクによる衝撃が加わらないので、残量センサーやメモリーなど
に加わる衝撃が大幅に緩和され、これらデバイスの損傷を回避することができる。
【0049】
なお、本実施例において、それ以外の構成及び動作については、第1の実施例と同様で
あるので、それらについての説明は省略する。
【0050】
以上、各種の実施形態を説明したが、本発明は上記すべての実施形態に限られるもので
はなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
【符号の説明】
【0051】
1…インクジェットプリンター、 2…印刷媒体、 10…キャリッジ、
20…噴射ヘッド、 100…インクカートリッジ、
102…カートリッジ本体、 104…インク供給部、 106…固定レバー、
107…圧力調整室、 110…凹部、 112…空気溜まり、
114…空気室、 116…インク収容室、
116a…第1インク収容室、 116b…第2インク収容室、
118…センサー室、 119…バッファー室、 120…壁、
122…回路基板、 124…大気開放孔、 126…連通孔、
128…空気流路、 130…連通孔、 132…連通孔、
134…空気流路、 136…連通孔、 138…連通孔、
140…インク流路、 142…連通孔、 144…連通孔、
146…インク流路、 148…連通孔、 150…インク流路、
152…連通孔、 154…連通孔、 156…空気流路、
160…表示ラベル、 170…封止フィルム、
202…カートリッジ本体、 204…インク供給部、 206…固定レバー、
210…凹部、 212…空気溜まり、 214…空気室、
216…インク収容室、 218…センサー室、 222…回路基板、
224…大気開放孔、 226…連通孔、 228…空気流路、
230…連通孔、 232…連通孔、 234…空気流路、
236…連通孔、 238…連通孔、 240…インク流路、
242…連通孔、 244…連通孔、 246…インク流路、
248…連通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴射ヘッドから液体を噴射する液体噴射装置に装着されて、該噴射ヘッドに液体を供給
する液体収容容器であって、
前記液体を内部に収容する液体収容室と、
前記液体を前記噴出ヘッドに供給するための液体供給部と、
前記液体収容室から前記液体供給部に前記液体を供給するための経路中に設けられ、内
部にデバイスを備えるデバイス室と、
前記液体収容室における前記液体の減少に伴い、外部から前記液体収容室に空気を供給
するための経路中に設けられ、内部が空気で満たされており、前記液体収容室から前記液
体が逆流した場合に、前記液体をトラップして、前記液体の外部への漏洩を防止する空気
室と
を備え、
前記デバイス室を囲む壁のうち、少なくとも一部の壁は、前記空気室と隣接している液
体収容容器。
【請求項2】
請求項1に記載の液体収容容器において、
前記デバイス室を囲む壁のうち、外部と仕切る壁以外の壁は、前記空気室と隣接してい
る液体収容容器。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の液体収容容器において、
前記デバイスは、センサーである液体収容容器。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の液体収容容器において、
前記デバイス室を囲む壁であって、外部と仕切る壁のうち、少なくとも一部の壁は、他
のデバイスと隣接している液体収容容器。
【請求項5】
請求項4に記載の液体収容容器において、
前記他のデバイスは、メモリーである液体収容容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−152998(P2012−152998A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−13762(P2011−13762)
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】