説明

液体噴射装置

【課題】液体噴射装置の大型化を回避すると共に、装置内に発生した気泡を分離可能とす

【解決手段】噴射ヘッドに供給する液体の圧力を調整する圧力調整手段を噴射ヘッドの上
流側に設けておく。また、液体循環手段を用いて噴射ヘッドと圧力調整手段との間で液体
を循環させることで、圧力調整手段に内蔵される圧力室へと気泡を運び込む。圧力室の内
部は、圧力室の上流側、あるいは下流側の流路と比べて液体の流れが穏やかなので、気泡
は浮力によって徐々に上方へと移動する。その結果、圧力室の上面付近に気泡が蓄積され
ることで、サブタンクを設けなくても圧力室内で液体中の気泡を分離することが可能であ
る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴射ヘッドから液体を噴射する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆるインクジェットプリンターでは、微細な噴射ノズルから、正確な分量のインク
を正確な位置に噴射することによって、高画質の画像を印刷することが可能である。また
、この技術を利用して、インクの代わりに各種の液体を基板に向けて噴射すれば、電極や
、センサ、バイオチップなどを製造することも可能である。
【0003】
このような技術では、噴射ノズルを備えた噴射ヘッドを用いてインクなどの液体を噴射
する。噴射ヘッドは液体を加圧することによって噴射しているので、正確な分量の液体を
噴射する為には、噴射ヘッドに供給される液体の圧力を適正な圧力に保っておく必要があ
る。ところが、液体を噴射ヘッドに供給するための通路で圧力損失が生じる影響で、噴射
ヘッドに供給される液体の圧力を一定に保っておくことは難しい。そこで、噴射ヘッドの
上流側に圧力調整弁が設けられることがある。圧力調整弁で液体の圧力を所定の圧力範囲
に調整した後、噴射ヘッドに供給することで、適切な圧力に調整した液体を供給すること
が可能となる。
【0004】
また、噴射ヘッド内や噴射ヘッドに液体を供給する流路内では、液体中に溶存する空気
が気泡化したり、あるいはインクジェットプリンターの外部から空気が巻きこまれるなど
して気泡が生ずることがある。こうした気泡が噴射ノズルや流路を塞ぐと、液体を上手く
噴射することが出来なくなって印刷画質が低下してしまう。そこで、噴射ヘッドに液体を
供給するための流路中に、液体を一時的に溜めるサブタンクを設けておき、サブタンクと
噴射ヘッドとの間で液体を循環させることで、サブタンク内で液体と気泡とを分離する技
術が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−246843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した従来の技術では、液体噴射装置の内部にサブタンクを設置するための
空間を確保する必要が生じ、その結果として液体噴射装置が大型化してしまうという問題
があった。
【0007】
この発明は、従来の技術が有する上述した課題を解決するためになされたものであり、
液体噴射装置の大型化を回避すると共に、装置内に発生した気泡を分離可能とする技術の
提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題の少なくとも一部を解決するために、本発明の液体噴射装置は次の構成を
採用した。すなわち、
噴射ヘッドに設けられた噴射ノズルから液体を噴射する液体噴射装置であって、
前記噴射ノズルから噴射する液体を収容する液体収容部と、
前記液体収容部に収容されている液体を前記噴射ヘッドに供給する液体供給手段と、
前記液体供給手段と前記噴射ヘッドとの間で該噴射ヘッドに供給される液体を蓄えてお
く圧力室が内蔵されており、該圧力室内の液体が該噴射ヘッドに供給されて該圧力室内の
圧力が低下すると開弁して、該液体供給手段によって供給された液体を該圧力室に取り込
むことにより、該噴射ヘッドに供給される液体の圧力を所定の圧力範囲に調整する圧力調
整手段と、
前記噴射ヘッド内の液体を前記圧力室の上流側へ還流させることで、該噴射ヘッドと該
圧力調整手段との間で液体を循環させると同時に、該液体中の気泡を該圧力室で分離させ
る液体循環手段と
を備えることを要旨とする。
【0009】
このような本発明の液体噴射装置においては、液体供給手段によって供給された液体を
、圧力調整手段を介して噴射ヘッドに供給しているため、噴射ヘッド内の液体の圧力を一
定圧力に保っておくことができ、適切に液体を噴射することができる。また、液体循環手
段を用いて噴射ヘッド内の液体を循環させることにより、噴射ヘッド内や噴射ヘッドに液
体を供給する流路内に生じた気泡が噴射ノズルや流路を塞ぐことを防止する。ここで、液
体循環手段は、噴射ヘッド内の液体を、圧力調整手段の上流側に還流することによって液
体を循環させている。圧力調整手段の内部には、液体供給手段によって供給された液体が
蓄えられる圧力室が設けられており、この圧力室の内部では、圧力室の上流側、あるいは
下流側の流路と比べて液体の流れが穏やかとなっている。このため圧力室内では、液体中
に含まれる気泡が、浮力によって徐々に上方へと移動して、圧力室内で気泡を分離するこ
とができる。
【0010】
こうすれば、液体噴射装置内に発生した気泡を分離する目的で、サブタンクを設置しな
くてもよい。従って、液体噴射装置内にサブタンクを設けるための空間を確保する必要が
なくなるので、液体噴射装置が大型化することを回避することができる。尚、圧力室の大
きさは、通常のサブタンクの大きさに比べれば小さいので、液体中に多くの気泡が含まれ
ている場合には、気泡を分離することが困難となる。しかし実際には、液体噴射装置内に
初めて液体を供給する場合を除いては、液体中に含まれる気泡はそれほど多いわけではな
い。このため、圧力室を用いた場合でも、液体中に含まれる気泡を十分に分離しておくこ
とが可能である。
【0011】
また、上述した本発明の液体噴射装置において、圧力調整手段は、圧力室で分離された
気泡が浮き上がる方向とは反対方向の箇所から、圧力室内の液体を噴射ヘッドに供給する
こととしてもよい。
【0012】
圧力室からは、所定の圧力に調整された液体が噴射ヘッドへと供給される。従って、噴
射ヘッドへと供給される液体の流れに乗って、圧力室に運び込まれた気泡が流出すること
も考えられるが、圧力室の液体が噴射ヘッドへと供給される箇所を、圧力室で分離された
気泡が浮き上がる方向とは反対方向に設けておけば、圧力室内の気泡は噴射ヘッドへ流出
しにくくなる。その結果、圧力室に運ばれてきた気泡を圧力室内でより確実に分離させる
ことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】ラインプリンターを例に用いて本実施例の液体噴射装置の大まかな構造を示した説明図である。
【図2】ヘッドユニットを底面側から見たときの状態を示す説明図である。
【図3】本実施例のラインプリンターが噴射ヘッドにインクを供給するための構成を示した説明図である。
【図4】圧力調整弁の詳細な構造を示した説明図である。
【図5】圧力調整弁がインクの供給圧力を調整する動作を示した説明図である。
【図6】本実施例のラインプリンターがインクの循環を実行する方法を示した説明図である。
【図7】インクの循環によって圧力室に気泡が分離される様子を示した説明図である。
【図8】圧力室に分離した気泡を液体噴射装置の外に排出する方法を示した説明図である。
【図9】ラインプリンターにサブタンクを設けた場合のヘッドユニット周辺の構成について例示した説明図である。
【図10】変形例のラインプリンターが噴射ヘッドにインクを供給するための構成を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施
例を説明する。
A.装置構成:
B.本実施例のインク供給方法:
C.本実施例の気泡の分離方法:
D.変形例:
【0015】
A.装置構成 :
図1は、ラインプリンター1を例に用いて本実施例の液体噴射装置の大まかな構造を示
した説明図である。図示されているように、本実施例のラインプリンター1は、大まかに
は箱型の外形形状をしており、上面には、モニターパネル2や、ユーザーが操作するため
の操作パネル3などが設けられている。また、ラインプリンター1の前面には、インクカ
ートリッジを交換する際に開けるカートリッジ交換扉4や、印刷用紙を装填する際に開け
る給紙扉5が設けられており、更に、向かって右側面には、印刷された印刷用紙が排出さ
れる排紙口6が設けられている。
【0016】
ラインプリンター1の内部には、各種の機能を実行する複数のユニットあるいは部品が
搭載されている。先ず、ラインプリンター1のほぼ中央の位置には、印刷用紙にインクを
噴射するヘッドユニット30が設けられている。ヘッドユニット30の下方には、ヘッド
ユニット30にインクを供給するインク供給部60が設けられており、このインク供給部
60には、インクが充填されたインクカートリッジ62が装着される。尚、本実施例のラ
インプリンター1では、黒インク(Kインク)、シアンインク(Cインク)、マゼンタイ
ンク(Mインク)、イエローインク(Yインク)の4色のインクを印刷に使用することが
可能であり、このことに対応して、インク供給部60には、各色のインクが充填された4
つのインクカートリッジ62が装着されるようになっている。
【0017】
図1の紙面上で、ヘッドユニット30の左下の位置には、印刷用紙が装填される給紙カ
セット10が設けられており、給紙カセット10の右端の上面に接する位置に、給紙ロー
ラー20が設けられている。更に、給紙ローラー20の奥側には給紙モーター22が接続
されており、給紙モーター22を駆動して給紙ローラー20を回転させると、給紙カセッ
ト10から印刷用紙が1枚ずつ、ヘッドユニット30に向かって搬送されるようになって
いる。尚、図1では、印刷用紙の搬送経路が太い破線で示されている。
【0018】
また、図1の紙面上で、ヘッドユニット30の右側の領域は空きスペースとなっており
、この空きスペースの下方には、キャップ40や、吸引ポンプ50、廃液タンク52など
が設けられている。本実施例のラインプリンター1では、ヘッドユニット30内にインク
が長い間放置されるなどしてインクの性状が劣化した場合、先ずヘッドユニット30を右
側の空きスペースへ移動させる。続いて、図示しない駆動機構によってキャップ40をヘ
ッドユニット30の底面に当接させてキャップ40とヘッドユニット30との間に閉空間
を形成し、この状態で吸引ポンプ50を作動させる。その結果、ヘッドユニット30内で
性状の劣化したインクを吸引するメンテナンス動作(吸引クリーニング)を行うことが可
能となっている。また、吸引クリーニングによってヘッドユニット30から吸い出された
インクは、廃液タンク52に溜められる。
【0019】
また、モニターパネル2や操作パネル3が設けられている部分の直ぐ下の位置には、ラ
インプリンター1に電力を供給するための電源ユニット70や、ラインプリンター1の各
種の動きを制御する制御ユニット80などが搭載されている。
【0020】
続いて、図1を参照しながら、ラインプリンター1の印刷動作について説明する。先ず
、給紙カセット10には、複数枚の印刷用紙が装填される。給紙カセット10に装填され
た印刷用紙は図示しないバネによって押し上げられて、上方に設けられた給紙ローラー2
0に押し付けられている。給紙ローラー20は、金属製の細長い円柱を長さ方向に半分に
割って形成した略半円形断面の細長い部材であり、円周部分に対応する側面はゴム材料に
よって形成されている。この給紙ローラー20の一端には給紙モーター22が接続されて
おり、給紙モーター22によって給紙ローラー20を回転させることによって、給紙カセ
ット10から印刷用紙を1枚ずつ、ヘッドユニット30に向かって送り出す。
【0021】
給紙ローラー20とヘッドユニット30との間には、複数のガイドローラー24が設け
られている。ガイドローラー24は、図示しないモーターによって駆動されて回転するこ
とにより、印刷用紙をガイドしながら、ヘッドユニット30へと搬送する。
【0022】
ヘッドユニット30は、印刷用紙の搬送経路上に、印刷用紙を跨ぐような状態で設けら
れており、ヘッドユニット30の底面側(すなわち、印刷用紙に面する側)には、インク
を噴射する複数の噴射ヘッドが設けられている(図2を参照)。また、ヘッドユニット3
0には、インク供給部60のインクカートリッジ62が図示しない流路を介して接続され
ており、インクカートリッジ62内に収容されたインクが、ヘッドユニット30の下面側
に設けられた複数の噴射ヘッドから噴射される。
【0023】
図2は、ヘッドユニット30を底面側(印刷用紙に面した側)から見たときの状態を示
す説明図である。図示されるように、本実施例のヘッドユニット30の底面には、略矩形
形状をした噴射ヘッド32が、6つずつを一組として4組(合計24個)設けられている
。また、各組の6つの噴射ヘッド32は、3つずつ二列に並べられるとともに、互いの列
の噴射ヘッド32が互い違いとなるように配列されている。更に、各噴射ヘッド32には
、インクを噴射する複数の噴射ノズルが列状に設けられている。尚、こうした噴射ノズル
が設けられている噴射ヘッド32の下側の面を「ノズル面」と呼ぶことがあるものとする

【0024】
このような噴射ヘッド32は、互い違いに配列されることにより、6つの噴射ヘッド3
2が一体となって1つの噴射ユニット33を構成している。上述したように、本実施例の
ヘッドユニット30には、24個の噴射ヘッド32が設けられているから、結局、4つの
噴射ユニットが設けられており、各噴射ユニット33が、Yインクを噴射する噴射ユニッ
ト33y、Mインクを噴射する噴射ユニット33m、Cインクを噴射する噴射ユニット3
3c、Kインクを噴射する噴射ユニット33kとなっている。
【0025】
ヘッドユニット30の下方には、ヘッドユニット30の底面に向かい合うようにして、
印刷用紙を背面から支持するプラテンが設けられている(図示は省略)。給紙ローラー2
0およびガイドローラー24によって搬送されてきた印刷用紙はプラテン上を搬送され、
この間にヘッドユニット30の底面に設けられた複数の噴射ヘッド32からインクが噴射
されて印刷用紙に画像が印刷されていく。こうして画像が印刷された印刷用紙は、ヘッド
ユニット30の下流側に設けられたガイドローラー24によって進行方向を下方に曲げら
れた後、廃液タンク52の下側を通って排紙口6からラインプリンター1の外部に排出さ
れる。ここで、本実施例のラインプリンター1では、ヘッドユニット30に設けられた複
数の噴射ヘッド32に対して、次のような構成を用いてインクを供給している。
【0026】
B.本実施例のインク供給方法 :
図3は、噴射ヘッド32にインクを供給するための構成を示した説明図である。本実施
例の噴射ヘッド32にインクを供給するための構成は、大まかには、ヘッドユニット30
にインクを圧送するインク供給部60と、ヘッドユニット30の内部で噴射ヘッド32に
インクを供給するための機構などから構成されている。尚、前述したように、本実施例の
ヘッドユニット30には、異なる4色のインクを噴射するための複数の噴射ヘッド32が
設けられているが(図2を参照)、ここでは、図が複雑となることを避けるために、ある
インク(例えばKインク)を噴射する噴射ヘッド32と、これらの噴射ヘッド32にイン
クを供給するための構成のみが示されている。
【0027】
インク供給部60には、インクカートリッジ62や、インクカートリッジ62内のイン
クをヘッドユニット30に供給するための加圧ポンプ64などが設けられている。インク
カートリッジ62内には、インクが収容されたアルミ製のインクパック61が設けられて
おり、インクパック61は、インク供給流路65を介してヘッドユニット30に接続され
ている。また、加圧ポンプ64には圧迫部材63が設けられており、圧迫部材63は、加
圧ポンプ64で発生させた空気圧によって駆動されて、インクパック61を側面から圧迫
する。その結果、インクパック61が圧迫部材63によって圧迫されることで、インクが
インク供給流路65を通ってヘッドユニット30に供給されるようになっている。尚、イ
ンク供給流路65がヘッドユニット30へと接続する流路上には、開閉弁66が設けられ
ているが、通常、開閉弁66は開いた状態となっている。開閉弁66が設けられている理
由については後述する。
【0028】
ヘッドユニット30に接続されたインク供給流路65は、ヘッドユニット30内で複数
の流路に分岐しており、分岐したインク供給流路65は、噴射ヘッド32へのインクの供
給圧力を調節する圧力調整弁90を介して噴射ヘッド32に接続されている。尚、本実施
例のラインプリンター1では、噴射ヘッド32と圧力調整弁90の上流側とを接続する循
環流路34が設けられており、循環流路34の流路上には、噴射ヘッド32内のインクを
圧力調整弁90の上流側へ送り込むための循環ポンプ35が設けられている。また、循環
流路34が圧力調整弁90の上流側でインク供給流路65に接続する位置には切替弁36
が設けられており、通常は、切替弁36によって、インク供給流路65と循環流路34と
は接断たれた状態となっている。これら循環流路34や循環ポンプ35、あるいは切替弁
36の働きについては後に詳しく説明する。
【0029】
ここで、本実施例のラインプリンター1が、噴射ヘッド32へのインクの供給圧力を圧
力調整弁90によって調整するのは、次のような理由による。すなわち、本実施例では、
各インクカートリッジ62から噴射ヘッド32にインク供給流路65を介してインクを供
給する構成をとっており、一本のインク供給流路65が分岐して複数の噴射ヘッド32に
接続している為、分岐した先のインク供給流路65内では、分岐する前のインク供給流路
65内と比べて、流路抵抗によってインクの圧力が大きく変化する。その結果、噴射ヘッ
ド32から正常にインクを吐出させるために必要なインクの供給圧力の下限値を下回って
しまう場合があるので、インクカートリッジ62のインクパック61を加圧してインクを
供給する加圧供給システムを採用している。このようなインクの加圧供給システムでは、
加圧された液体が噴射ヘッド32に供給されるので、インクの供給圧力を維持することが
可能であるが、噴射ヘッド32に加圧力がそのまま伝わることでインクを正常に吐出する
ことができなくなったり、場合によっては噴射ノズルからインクが流れ出す不具合が生ず
る。そこで、こうした不具合を防止する目的で圧力調整弁90が設けられている。
【0030】
また、噴射ヘッド32は、ヘッドユニット30の異なる位置に配置されているので(図
2を参照)、インク供給流路65が噴射ヘッド32に到達するまでの流路の長さは、噴射
ヘッド32ごとに異なっている場合がある。この場合、インクがインク供給流路65を流
れる際の圧力損失の違いによって、噴射ヘッド32へのインク供給圧力にバラつきが生ず
ることとなる。噴射ヘッド32は、液体を加圧することによって噴射しているので、噴射
ヘッド32へのインクの供給圧力を一定に保つことができなければ、噴射ヘッド32のイ
ンクの噴射量にバラつきが生じてしまい、その結果として、印刷画質の低下を招いてしま
う。このため、本実施例のラインプリンター1では、圧力調整弁90を用いることで、噴
射ヘッド32へのインクの供給圧力を一定に保っているのである。以下では、こうした圧
力調整弁90が、噴射ヘッド32へのインクの供給圧力を一定に保つための構造について
説明する。
【0031】
図4は、圧力調整弁90の詳細な構造を示した説明図である。尚、図4には、圧力調整
弁90の縦断面をとることによって、圧力調整弁90の内部構造が示されている。本実施
例の圧力調整弁90には、噴射ヘッド32に接続された上圧力室91と、インクカートリ
ッジ62に接続された下圧力室92の2つの圧力室が設けられている。これら2つの圧力
室を隔てる隔壁には、細い通路が貫通しており、この通路には、通路とほぼ同じ径の通路
軸93が通路内で摺動可能に設けられている。通路軸93の側面には、複数本の通路溝9
4が設けられており、通路溝94の一端は、上圧力室91側に開口するとともに、他端は
下圧力室92側に開口している。
【0032】
通路軸93の上圧力室91側の端部は台座状に形成されており、通路軸93の台座部分
は、通路軸93を取り巻くように設けられた支持バネ96によって上圧力室91の底面側
から一定の高さに持ち上げられている。また、通路軸93の台座部分は、上圧力室91の
一側面(図4では上面側)を構成する薄いフィルム膜97のほぼ中央位置に接着されてい
る。
【0033】
また、通路軸93の下圧力室92側の端部には、ゴム製の封止弁98が設けられている
。封止弁98は、下圧力室92の底面側から封止バネ99によって上方に押し上げられて
おり、通常は、封止弁98の上方に設けられた突出部分が、下圧力室92の上面に押し付
けられることで、下圧力室92側から通路軸93の周囲を密閉するようになっている。
【0034】
図5は、圧力調整弁90が噴射ヘッド32にインクを供給する圧力を調整する動作を示
した説明図である。前述したように、圧力調整弁90には、インク供給流路65を介して
インクカートリッジ62からインクが供給されている(図3を参照)。このとき、圧力調
整弁90の下圧力室92(インクカートリッジ62側の圧力室)には、加圧ポンプ64の
押圧力によってインクが供給されている。また、下圧力室92側に設けられた封止弁98
は封止バネ99によって押し付けられているので、図5(a)に示されるように、通路溝
94は封止弁98によって閉鎖された状態となっている。従って、この状態では、下圧力
室92から通路溝94を介して上圧力室91にインクが供給されることはない。
【0035】
図5(a)に示す状態で、噴射ヘッド32からインクを噴射すると、噴射した分だけの
インクが上圧力室91から噴射ヘッド32に供給される。その結果、噴射ヘッド32から
インクを噴射するに従って、上圧力室91内の圧力が低下する。ここで、上圧力室91の
上面側はフィルム膜97によって構成されているので、上圧力室91内の圧力低下に応じ
てフィルム膜97が引き下げられ、その結果、図5(b)に示されるように、フィルム膜
97に設けられた通路軸93が、支持バネ96、封止バネ99の反発力に逆らって移動す
る。すると、通路軸93に押されて封止弁98が開口し、通路軸93に設けられた通路溝
94を介して、2つの圧力室(インクカートリッジ62側の下圧力室92および噴射ヘッ
ド32側の上圧力室91)が連通状態となる。その結果、図5(c)の中に太い破線の矢
印で示したように、通路溝94を介して、下圧力室92から、上圧力室91へとインクが
供給される。
【0036】
こうして上圧力室91にインクが供給されると、上圧力室91内の圧力が回復するので
、フィルム膜97が元の状態にもどり、それと共に通路軸93も元の位置まで復帰する。
その結果、図5(a)に示すように、再び封止弁98によって下圧力室92側の通路軸9
3の周囲は密閉されて、下圧力室92から上圧力室91へのインクの供給が終了する。
【0037】
以上のように、圧力調整弁90では、通常は封止弁98が閉じているが、上圧力室91
内のインク量が所定量よりも少なくなることで上圧力室91のインクの供給圧力が低下す
ると、一時的に封止弁98が開口する。これにより、下圧力室92からインクが供給され
、上圧力室91のインク圧力が回復する。結局、噴射ヘッド32から噴射された分だけイ
ンクが供給されて、噴射ヘッド32にインクを供給する圧力が一定に保たれることになる
。このように、本実施例のラインプリンター1では、圧力調整弁90を介して噴射ヘッド
32にインクを供給することで、複数の噴射ヘッド32に供給されるインク圧力を一定に
保つことができ、その結果、インクの噴射量のバラつきを抑制して高画質な画像を印刷す
ることが可能となっている。
【0038】
ここで、本実施例のラインプリンター1では、インクカートリッジ62内に充填された
インクを噴射ノズルへと供給する過程において、ラインプリンター1内に気泡が生ずるこ
とがある。すなわち、噴射ヘッド32内や噴射ヘッド32にインクを供給するインク供給
流路65内では、インク中に溶存する空気が温度上昇によって気泡化したり、あるいはラ
インプリンター1の外部から空気が巻きこまれるなどして気泡が発生する。こうした気泡
が噴射ノズルやインク供給流路65を塞ぐと、インクを上手く噴射することが出来なくな
り、結果として印刷画質の低下を招いてしまう。そこで、本実施例のラインプリンター1
では、以下のような方法によって噴射ヘッド32内やインク供給流路65内に生じた気泡
を分離している。
【0039】
C.本実施例の気泡の分離方法 :
図6は、本実施例のラインプリンター1が噴射ヘッド32内などに生じた気泡を分離す
る方法を示した説明図である。尚、図6には、気泡を分離する際におけるヘッドユニット
30の内部機構の一部の様子が示されている。
【0040】
前述したように、本実施例のラインプリンター1には、噴射ヘッド32と圧力調整弁9
0の上流側とを接続する循環流路34が設けられており、通常は、切替弁36によって、
インク供給流路65と循環流路34とは接続を断たれた状態となっている(図3を参照)
。この状態から、噴射ヘッド32内などに生じた気泡を分離するに際しては、図6に示さ
れるように、先ず、切替弁36の内部で流路の接続状態を切り替えて、インク供給部60
からのインクが流れ込まないように流路を切断するとともに、循環流路34からのインク
が圧力調整弁90に流れ込むように、圧力調整弁90の上流側と循環流路34とを接続す
る。続いて、循環流路34上に設けられた循環ポンプ35を駆動させて、噴射ヘッド32
内のインクを吸い出した後、圧力調整弁90の上流側へと還流させる。尚、循環ポンプ3
5の駆動開始と切替弁36の切り替えとを同時に行ってもよい。
【0041】
こうすると、図6に破線の矢印で示されるように、噴射ヘッド32と圧力調整弁90と
の間でインクが循環され、このとき噴射ヘッド32内などに生じた気泡は、循環するイン
クの流れに乗って圧力調整弁90へと移動する。そして、圧力調整弁90内で気泡を分離
することが可能である。以下ではこの点について詳しく説明する。
【0042】
図7は、インクの循環によって圧力調整弁90で気泡が分離される様子を示した説明図
である。前述したように、循環ポンプ35を駆動させると、噴射ヘッド32から循環流路
34にインクが吸い出される(図6を参照)。噴射ヘッド32と上圧力室91とはインク
供給流路65を介してつながっているので、噴射ヘッド32から吸い出した分のインクが
上圧力室91から噴射ヘッド32に供給されて上圧力室91内の圧力が低下する。すると
、図7(a)に示されるように、上圧力室91の上面のフィルム膜97が引き下げられ、
フィルム膜97に設けられた通路軸93に押されて封止弁98が開口する。その結果、通
路溝94を介して、2つの圧力室(インクカートリッジ62側の下圧力室92および噴射
ヘッド32側の上圧力室91)が連通状態となって噴射ヘッド32と圧力調整弁90との
間でインクの循環が開始される。すると、循環するインクの流れに乗って、噴射ヘッド3
2から圧力調整弁90の下圧力室92へと気泡が運ばれる。図7(a)には、循環するイ
ンクの流れに乗って、下圧力室92に気泡が運ばれてきた様子が示されている。
【0043】
インクカートリッジ62側の下圧力室92の内部は、下圧力室92に接続するインク供
給流路65に対して広い空間となっており、インク供給流路65から流入するインクの勢
いが弱まる結果、下圧力室92内はインクの流れが緩やかとなる。従って、下圧力室92
に運ばれてきた気泡は、浮力によって徐々に上方へと移動していく。このとき、上述した
ように、下圧力室92は、通路溝94を介して上圧力室91と連通しているので、下圧力
室92内の気泡は、通路溝94を通って上圧力室91へと移動する。また、上圧力室91
も、下圧力室92と同様に広い空間に形成されており、インクの流れが緩やかとなってい
るので、上圧力室91に移動してきた気泡は浮力によって更に上方へと移動する。その結
果、図7(b)に示されるように、噴射ヘッド32から運ばれてきた気泡は上圧力室91
の上面付近に到達する。
【0044】
また、循環ポンプ35を駆動させてインクの循環を行っている間には、噴射ヘッド32
側の上圧力室91から噴射ヘッド32へとインクが流れているが、本実施例では、図7(
b)に示されるように、上圧力室91から噴射ヘッド32へのインク供給流路65が上圧
力室91の下端に設けられている。従って、上圧力室91の上面付近の気泡がインク供給
流路65から再び噴射ヘッド32に供給されることはない。このようなメカニズムによっ
て、インクに混入した気泡が分離されて上圧力室91の上面付近に溜まっていく。
【0045】
尚、大部分の気泡は上圧力室91で分離されるが、一部の気泡については下圧力室92
の上面付近に溜まっていき、下圧力室92内で分離されることもある。以上のようにして
圧力調整弁90の上圧力室91あるいは下圧力室92で分離された気泡は、次のようにし
てラインプリンター1の外に排出させる。
【0046】
図8は、上圧力室91あるいは下圧力室92で分離された気泡をラインプリンター1の
外に排出させる方法を示した説明図である。尚、図8では、図が複雑となることを避ける
ため、ヘッドユニット30に設けられた複数の噴射ヘッド32のうちの一部のみが示され
ており、これに伴って、噴射ヘッド32にインクを供給する機構や、噴射ヘッド32から
圧力調整弁90へとインクを循環させる機構についても、一部のみが示されている。
【0047】
前述したように、本実施例のラインプリンター1は、ヘッドユニット30をキャップ4
0の位置まで移動させ、キャップ40をヘッドユニット30の底面に当接させて閉空間を
形成した状態で吸引ポンプ50を駆動させることで、噴射ヘッド32内の性状が劣化した
インクを吸引する吸引クリーニングを実行可能となっている(図1を参照)。本実施例で
は、こうした吸引クリーニングを利用して、上圧力室91あるいは下圧力室92で分離さ
れた気泡を次のようにラインプリンター1の外に排出する。先ず、キャップ40をヘッド
ユニット30の底面に当接させた状態で、吸引ポンプ50を駆動させる。このとき、前述
したように、通常は開いた状態となっているインク供給流路65上の開閉弁66(図3を
参照を)を閉じておく。すると、図8(a)に示されるように、インク供給流路65が途
中で遮断されることにより、キャップ40とヘッドユニット30との間に形成された閉空
間に負圧が蓄積されていく。
【0048】
この状態で、所定の時間が経過した後に開閉弁66を開いてやると、キャップ40内に
蓄積された負圧によって、噴射ヘッド32内のインクが強力に吸引される。このことに伴
って、図8(b)に示されるように、圧力調整弁90からもインクが強力に吸引されると
共に、圧力調整弁90の上圧力室91あるいは下圧力室92で分離された気泡が吸い出さ
れて、噴射ノズルからキャップ40へと排出される。
【0049】
以上に説明したように、本実施例のラインプリンター1では、噴射ヘッド32へのイン
クの供給圧力を調整する目的で設けられた圧力調整弁90に対して、噴射ヘッド32から
のインクを循環させて気泡を導くことで、圧力調整弁90内の圧力室(噴射ヘッド32側
の上圧力室91、あるいはインクカートリッジ62側の下圧力室92)で気泡を分離する
ことが可能となっている。ここで、一般に、噴射ヘッド32内などに発生した気泡を分離
する方法としては、噴射ヘッド32にインクを供給するための流路中に、インクを一時的
に溜めておくためのサブタンクを設けておき、サブタンクと噴射ヘッド32との間でイン
クを循環させることで、サブタンク内で気泡とインクとを分離する方法が採られている。
しかし、こうしたサブタンクをラインプリンター1内に設けると、次のような弊害が生ず
る。
【0050】
図9は、ラインプリンター1にサブタンク100を設けた場合のヘッドユニット30周
辺の構成について例示した説明図である。尚、図9に例示したラインプリンター1では、
全ての噴射ヘッド32から、循環流路34を介してインクを吸い出す循環ポンプ35が設
けられており、循環ポンプ35によって吸い出されたインクは、途中でサブタンク100
を経由して、圧力調整弁90の上流側へと還流されるようになっている。
【0051】
図9に例示されるように、サブタンク100の内容積は比較的広く、サブタンク100
内のインクの流れは緩やかとなっているので、サブタンク100内に運ばれてきた気泡は
浮力によって上方へ移動する。その結果、サブタンク100内でインクに混入する気泡を
分離することが可能となっているが、サブタンク100は大型の装置であり、サブタンク
100を設置するための空間をラインプリンター1内に確保しようとすると、ラインプリ
ンター1全体が大型化してしまう。
【0052】
本実施例のラインプリンター1では、こうしたサブタンク100を設けておかなくても
、圧力調整弁90内の2つの圧力室(上圧力室91、下圧力室92)でインクと気泡とを
分離することができるので、ラインプリンター1が大型化してしまうことを回避すること
が可能である。もちろん、サブタンク100の内容積に比べれば、本実施例の圧力調整弁
90内の2つの圧力室(上圧力室91、下圧力室92)の内容積は小さくなっており(図
9を参照)、従って、上圧力室91あるいは下圧力室92内に溜めることが可能な気泡の
量も少なくなっている。しかし、噴射ヘッド32内などに発生した気泡が生長する速度は
それほど速くはないので、内容積の小さな上圧力室91あるいは下圧力室92であっても
十分に気泡を溜めておくことが可能である。また、上圧力室91あるいは下圧力室92内
に溜まった気泡は、吸引クリーニングによって定期的に排出してやればよい。
【0053】
D.変形例 :
前述した実施例のラインプリンター1では、複数の噴射ヘッド32の各々に対して、噴
射ヘッド32へのインクの供給圧力を調整する圧力調整弁90、およびインクの循環に係
る構成(循環流路34、循環ポンプ35、切替弁36)を設けるものと説明した。しかし
、圧力調整弁90やインクの循環に係る構成は、次のようにして設けることとしてもよい

【0054】
図10は、変形例のラインプリンター1が噴射ヘッド32にインクを供給するための構
成を示した説明図である。図示されているように、変形例のラインプリンター1では、圧
力調整弁90は1つだけ設けられており、インクカートリッジ62からのインクを導くイ
ンク供給流路65は、1つの圧力調整弁90の下流側で分岐して、全ての噴射ヘッド32
に並列に接続されている。また、各噴射ヘッド32は、循環流路34によって、循環ポン
プ35の下流側で並列に接続されており、循環ポンプ35の上流側で循環流路34が圧力
調整弁90のインク供給流路65と接続する位置には切替弁36が設けられている。この
ような構成では、1つの切替弁36の内部で流路を切り替えて圧力調整弁90の上流側と
噴射ヘッドとを接続し、この状態で1つの循環ポンプ35を駆動させることで、全ての噴
射ヘッド32から圧力調整弁90へとインクを循環させることが可能である。
【0055】
このような変形例のラインプリンター1では、圧力調整弁90の設置数を減らすことが
できると共に、インクの循環に係る構成(循環流路34、循環ポンプ35、切替弁36)
の設置数も減らすことが可能となる。従って、ヘッドユニット30の内部構成を簡単にす
ることができ、部品点数が減ることに伴って、ラインプリンター1の製作コストを低く抑
えることが可能となる
【0056】
以上、本願発明の実施例について説明したが、本発明は上記に限られるものではなく、
その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
【符号の説明】
【0057】
1…ラインプリンター、 30…ヘッドユニット、 32…噴射ヘッド、
34…循環流路、 35…循環ポンプ、 36…切替弁、
40…キャップ、 50…吸引ポンプ、 60…インク供給部、
62…インクカートリッジ、 64…加圧ポンプ、 65…インク供給流路、
90…圧力調整弁、 91…上圧力室、 92…下圧力室、
93…通路軸、 94…通路溝、 97…フィルム膜、
98…封止弁、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴射ヘッドに設けられた噴射ノズルから液体を噴射する液体噴射装置であって、
前記噴射ノズルから噴射する液体を収容する液体収容部と、
前記液体収容部に収容されている液体を前記噴射ヘッドに供給する液体供給手段と、
前記液体供給手段と前記噴射ヘッドとの間で該噴射ヘッドに供給される液体を蓄えてお
く圧力室が内蔵されており、該圧力室内の液体が該噴射ヘッドに供給されて該圧力室内の
圧力が低下すると開弁して、該液体供給手段によって供給された液体を該圧力室に取り込
むことにより、該噴射ヘッドに供給される液体の圧力を所定の圧力範囲に調整する圧力調
整手段と、
前記噴射ヘッド内の液体を前記圧力室の上流側へ還流させることで、該噴射ヘッドと該
圧力調整手段との間で液体を循環させると同時に、該液体中の気泡を該圧力室で分離させ
る液体循環手段と
を備える液体噴射装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体噴射装置であって、
前記圧力調整手段は、前記圧力室で分離された気泡が浮き上がる方向とは反対方向の箇
所から、該圧力室内の液体が前記噴射ヘッドに供給される手段である液体噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−178013(P2011−178013A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43857(P2010−43857)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】