説明

液体噴射装置

【課題】液体供給チューブの移動を規制しつつ、液体供給チューブの引き回し作業を簡便に行うことができる液体噴射装置を提供する。
【解決手段】用紙の搬送領域上部を露呈させる開口部13aが設けられた本体ハウジング13と、インクが収容されたインクタンク19から送られるインクを液体噴射ヘッドへと導き、キャリッジ17の移動に伴って追従変形する変形可動部20aを有するインク供給チューブ20と、本体ハウジング13の開口部13aを開閉する方向に変位可能なイメージスキャナ12とを備え、本体ハウジング13又はイメージスキャナ12のいずれか一方には、インク供給チューブ20をその長さ方向と交差する方向に移動させて通過させるスリット23及びそのスリット23を通過したインク供給チューブ20の外面に当接してインク供給チューブ20がその長さ方向と交差する方向に移動することを規制する内面21aを有するスペーサー21が設けられた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターゲットに液体を噴射する液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液体噴射装置の一種として、液体噴射ヘッドから用紙等の媒体に対してインクを噴射することにより印刷を行うインクジェット式のプリンターが知られている。このようなプリンターにおいては、比較的大量の印刷を行う場合に液体噴射ヘッドへ連続的に安定してインクを供給するために、インクの収容容量が比較的大きなインクタンクからインク供給チューブを通じてインクカートリッジにインクを供給する構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に記載のプリンターでは、本体ハウジング内で用紙に対する主走査方向への往復移動可能に設けられたキャリッジに液体噴射ヘッドが搭載されている。そして、このプリンターでは、本体ハウジングの外側に設けられたインクタンクから延びるインク供給チューブが、本体ハウジングの上側の開口部を通じてキャリッジの移動領域に挿入され、キャリッジに搭載されたインクカートリッジに接続される。
【0004】
なお、本体ハウジングには、その開口部を開閉する方向に変位可能なカバーが設けられると共に、その開口部を閉塞する方向に変位したカバーと本体ハウジングとの間に挟まれた状態となることにより、そのカバーと開口部の周縁部位との間にインク供給チューブを挿通させる隙間を形成するためのスペーサーが設けられている。このスペーサーは、インク供給チューブをその長さ方向に移動させることにより挿入可能とする略環状をなしており、その内側に挿入されたインク供給チューブは、その外面をスペーサーの内面に当接させることにより、その長さ方向と交差する方向に移動することが規制されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】台湾特許第538909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記のプリンターにおいて、インク供給チューブをスペーサーに取り付ける場合やスペーサーから取り外す場合には、インク供給チューブにおけるインクタンクやインクカートリッジに接続されている側の端部を、その接続相手であるインクタンクやインクカートリッジから取り外す必要があった。すなわち、インク供給チューブにおいて、インクタンクやインクカートリッジに接続されている側の端部を、一旦、取り外し作業を経て自由端とした上で、そのインク供給チューブを長さ方向に移動させつつ、スペーサーの内側に挿入したり、スペーサーの内側から抜き出したりする必要があった。その結果、インク供給チューブをその長さ方向と交差する方向への移動を規制しつつ引き回す際に煩雑な作業を要するという問題があった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、液体供給チューブをその長さ方向と交差する方向への移動を規制しつつ引き回す作業を簡便に行うことができる液体噴射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の液体噴射装置は、ターゲットに対して液体を噴射する液体噴射ヘッドと、前記ターゲットの搬送領域を内部に有すると共に、その搬送領域上部を露呈させる開口部が設けられた本体ハウジングと、前記液体が収容された液体収容部から送られる前記液体を前記液体噴射ヘッドへと導き、キャリッジの移動に伴って追従変形する変形可動部を有する液体供給チューブと、前記本体ハウジングの前記開口部を開閉する方向に変位可能な開閉部材とを備え、前記本体ハウジング又は前記開閉部材のいずれか一方には、前記液体供給チューブをその長さ方向と交差する方向に移動させて通過させる通過部及びその通過部を通過した前記液体供給チューブの外面に当接して前記液体供給チューブがその長さ方向と交差する方向に移動することを規制する当接部を有する当接部材が設けられる。
【0009】
上記構成によれば、液体供給チューブの端部を取り外さなくても、その液体供給チューブを長さ方向と交差する方向への移動を伴って当接部材の通過部を通過させれば、その外面が当接部材の当接部に当接して長さ方向と交差する方向に移動することを規制された状態及びその状態から解放された状態にできる。そのため、液体供給チューブをその長さ方向と交差する方向への移動を規制しつつ引き回す作業を簡便に行うことができる。
【0010】
また、本発明の液体噴射装置において、前記当接部材は、前記開閉部材と前記本体ハウジングとの間に隙間を形成するスペーサーである。
上記構成によれば、スペーサーを当接部材として兼用することができるため、部品点数の削減に伴って装置の組み付け性の向上を図ることができる。
【0011】
また、本発明の液体噴射装置において、前記当接部材は、前記開閉部材に設けられ、前記液体供給チューブは、前記開閉部材が前記開口部を開放する方向に変位した場合に、前記当接部材から外れる。
【0012】
上記構成によれば、開閉部材が開口部を開放する方向に変位することに伴って、開閉部材と一体となって変位する当接部材から液体供給チューブを取り外すことができる。
また、本発明の液体噴射装置において、前記当接部材は、前記開閉部材に設けられ、前記液体供給チューブは、前記開閉部材が前記開口部を開放する方向に変位した場合に、前記当接部材と共に前記開閉部材から外れる。
【0013】
上記構成によれば、開閉部材が開口部を開放する方向に変位することに伴って、開閉部材から当接部材と一体となって液体供給チューブを取り外すことができる。
また、本発明の液体噴射装置において、前記当接部材は、前記本体ハウジングに設けられると共に、前記液体供給チューブにおいて前記本体ハウジング内に挿入される端部を前記液体噴射ヘッド側に導くように前記液体供給チューブを支持する。
【0014】
上記構成によれば、液体供給チューブが液体噴射ヘッドに導かれるように支持されることにより液体供給チューブの引き回し作業を更に簡便に行うことができる。
また、本発明の液体噴射装置において、前記当接部材は、前記当接部を内面側に有する筒状体であって、その筒状体における周壁の一部には前記液体供給チューブをその長さ方向と交差する方向に移動させて通過させるスリットが前記通過部として形成されている。
【0015】
上記構成によれば、当接部材を構成する筒状体の周壁の一部に形成されたスリットを通じて液体供給チューブを筒状体に挿入された状態と非挿入状態との間で移動させることにより、液体供給チューブの端部を取り外すことなく、液体供給チューブの引き回し作業を簡便に行うことができる。
【0016】
また、本発明の液体噴射装置において、前記当接部材には、前記液体供給チューブを長さ方向と交差する方向から挿入可能な凹部が前記当接部として形成されている。
上記構成によれば、凹部の開口を通じて凹部の内側に液体供給チューブを挿入して凹部の内面に液体供給チューブを当接させることにより、液体供給チューブの端部を取り外すことなく、液体供給チューブの移動を規制することができる。
【0017】
また、本発明の液体噴射装置において、前記液体供給チューブは、その長さ方向と交差する方向への移動不能に前記凹部に対して嵌合される。
上記構成によれば、液体供給チューブを当接部材の凹部に嵌合させることにより、液体供給チューブがその長さ方向と交差する方向に移動不能となるように固定することができる。
【0018】
また、本発明の液体噴射装置において、前記本体ハウジングにはねじ穴が形成され、前記スペーサーは、前記ねじ穴に部分的に螺合する軸部を有すると共に当該軸部の軸線方向と交差する方向に距離をおいて隣り合うように配置される複数の固定ねじを含んで構成される。
【0019】
上記構成によれば、固定ねじは、軸部における本体ハウジングに螺合しない部分が本体ハウジングから突出するため、本体ハウジングと開閉部材との間に隙間を介在させることができる。また、隣り合う固定ねじの間の隙間を通じて軸部の間に液体供給チューブを挿入して液体供給チューブを軸部に当接させることにより、液体供給チューブの端部を取り外すことなく、液体供給チューブの移動を規制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】(a)は本発明に係る実施形態の複合機の斜視図、(b)は同実施形態の複合機に設けられるスペーサーの模式図。
【図2】同実施形態の複合機において、インク供給チューブがスペーサーから取り外された状態を示す模式図。
【図3】本発明に係る別の実施形態の複合機の斜視図。
【図4】(a)は本発明に係る別の実施形態の複合機の斜視図、(b)は同実施形態の複合機に設けられるスペーサーの模式図。
【図5】(a)は本発明に係る別の実施形態の複合機の斜視図、(b)は同実施形態の複合機に設けられるスペーサーの模式図。
【図6】本発明に係る別の実施形態の複合機の斜視図。
【図7】本発明に係る別の実施形態の複合機を示す斜視図。
【図8】本発明に係る別の形態のプリンターを示す斜視図。
【図9】本発明に係る別の形態のプリンターを示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した一実施形態について図面に従って説明する。
図1(a)に示すように、液体噴射装置としての複合機10は、インクジェット式のプリンター11と、プリンター11上に設けられた開閉部材としてのイメージスキャナ12とを備え、全体として略直方体状をなしている。
【0022】
プリンター11は、上面に開口した開口部13aを有する略矩形箱状の本体ハウジング13を備えている。そして、イメージスキャナ12の基端は、本体ハウジング13の開口部13aを開閉するように本体ハウジング13に対して回動自在に取り付けられている。また、本体ハウジング13においてイメージスキャナ12の先端が上方から覆う部位には、複合機10を操作する際に用いられる操作パネル14が設けられている。
【0023】
また、本体ハウジング13内の下部には矩形板状の支持台15が設けられている。そして、支持台15上には、本体ハウジング13内に設けられた図示しない紙送りモーターの駆動に基づいてターゲットとしての用紙が給送される。すなわち、本体ハウジング13内における支持台15の上方の空間域は用紙の搬送領域Sとなっており、この搬送領域S上部が本体ハウジング13の開口部13aによって本体ハウジング13の外側に露呈されている。なお、支持台15は、その長手方向が用紙の幅方向と一致するように設けられている。
【0024】
本体ハウジング13内における支持台15の上方には、支持台15の長手方向に沿って延びるガイドレール16が設けられている。ガイドレール16には、その長手方向に往復移動可能にキャリッジ17が支持されている。そして、キャリッジ17は、本体ハウジング13内に設けられた図示しないキャリッジモーターの駆動に基づき、ガイドレール16にガイドされながら走査方向に往復移動する。
【0025】
キャリッジ17は、キャリッジ17の下面に一体に組み込まれた液体噴射ヘッドと、キャリッジ17に着脱自在に収納された複数(本実施形態では4つ)の中継アダプター18とを備えて構成されている。中継アダプター18は、本体ハウジング13の外部に設けられた液体収容部としてのインクタンク19と液体噴射ヘッドとを中継するアダプターであり、液体噴射ヘッドから噴射される液体としての各色のインク(本実施形態では、シアンインク、マゼンダインク、イエローインク、黒インク)を収容可能となっている。なお、液体噴射ヘッドの下面には、図示しない複数のノズルが開口している。そして、液体噴射ヘッドに備えられた図示しない圧電素子の駆動に伴って、中継アダプター18内のインクが液体噴射ヘッドへ供給され、供給されたインクが液体噴射ヘッドのノズルから支持台15上に給送された用紙に向けて噴射されることにより印刷が行われる。
【0026】
また、本体ハウジング13の外部には、液体噴射ヘッドのノズルから噴射される各色のインクを収容する液体収容部としてのインクタンク19が設けられている。これらのインクタンク19は、キャリッジ17の走査方向におけるホームポジションHP寄りの位置に設けられている。そして、インクタンク19に収容されたインクの流路として機能する液体供給チューブとしてのインク供給チューブ20の一端側がインクタンク19に接続されている。また、インク供給チューブ20の他端側は、キャリッジ17の走査方向におけるホームポジションHPとは反対寄りの位置から本体ハウジング13の開口部13aを通じてキャリッジ17の移動領域に挿入され、キャリッジ17に搭載された中継アダプター18に接続されている。
【0027】
また、本体ハウジング13の上面において、イメージスキャナ12を回動自在に支持する側を奥側とした場合に開口部13aよりも手前側に位置する凹部22には、略四角筒状をなすスペーサー21が、その軸方向を本体ハウジング13の長手方向に沿わせた状態にて固定されている。すなわち、スペーサー21は、イメージスキャナ12が本体ハウジング13の開口部13aを閉塞する方向に回動した場合に、その凹部22とイメージスキャナ12との間に挟まれる筒状体21Aであって、イメージスキャナ12と本体ハウジング13の開口部13aとの間に、インク供給チューブ20を挿通させる隙間を確保するために設けられている。
【0028】
また、図1(a)及び図1(b)に示すように、スペーサー21を構成する筒状体21Aの周壁の一部、具体的には凹部22に接触していない壁部(図1(a)(b)では上壁部)には、筒状体21Aの内外を連通する矩形状の通過部としてのスリット23が形成されている。スリット23は、スペーサー21の長手方向(筒状体21Aの軸方向)の全域に亘って延びるように形成されている。
【0029】
そのため、インク供給チューブ20は、その長さ方向と直交(交差)する方向への移動により、弾性変形を伴いながらスリット23を通過してスペーサー21の内側の空間域24に挿入可能となっている。そして、インク供給チューブ20がスペーサー21の内側の空間域24に挿入された状態になると、インク供給チューブ20の外側面がスペーサー21(筒状体21A)の内面21aに当接することにより、インク供給チューブは長さ方向と交差する方向に移動することが規制される。すなわち、スペーサー21は、その筒状体21Aの内面21aが当接部となってインク供給チューブ20の移動を規制する当接部材として機能する。その結果、インク供給チューブ20の長さ方向におけるスペーサー21と中継アダプター18との間の部分が、キャリッジ17の移動に伴って追随変形する変形可動部20aとしてスペーサー21によって規定される。
【0030】
次に、上記のように構成された複合機10の作用について説明する。
さて、図2に示すように、本実施形態の複合機10では、インク供給チューブ20のメンテナンスを行うためにインク供給チューブ20をスペーサー21から取り外す場合には、以下のような作業が行われる。すなわち、スペーサー21が本体ハウジング13に取り付けられた状態で、インク供給チューブ20の長さ方向の途中部分を長さ方向と交差する方向に移動させ、弾性変形を伴いつつスリット23を通過させてスペーサー21の内部の空間域24から取り出す。ちなみに、インク供給チューブ20をスペーサー21から取り外すために、インク供給チューブ20におけるインクタンク19に接続されている側の端部をインクタンク19から取り外したり、又は、インク供給チューブ20における中継アダプター18に接続されている側の端部を中継アダプター18から取り外したりすることは不要とされる。したがって、インク供給チューブ20は、煩雑な作業を要することなくスペーサー21から取り外される。
【0031】
また、図1(a)に示すように、本実施形態の複合機10では、インク供給チューブ20の移動を規制するためにインク供給チューブ20をスペーサー21に取り付ける場合には、以下のような作業が行われる。すなわち、スペーサー21が本体ハウジング13に取り付けられた状態で、インク供給チューブ20の長さ方向の途中部分を長さ方向と交差する方向に移動させ、弾性変形を伴いつつスリット23を通過させてスペーサー21の内側の空間域24に挿入する。なお、このようにインク供給チューブ20をスペーサー21に対して取り付ける場合にも、インク供給チューブ20におけるインクタンク19に接続されている側の端部をインクタンク19から取り外したり、又は、インク供給チューブ20における中継アダプター18に接続されている側の端部を中継アダプター18から取り外したりすることは不要とされる。したがって、インク供給チューブ20は、煩雑な作業を要することなくスペーサー21に対して取り付けられる。
【0032】
上記実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)インク供給チューブ20の端部をインクタンク19や中継アダプター18から取り外さなくても、そのインク供給チューブ20を長さ方向と交差する方向への移動を伴ってスペーサー21のスリット23を通過させれば、その外面がスペーサー21の内面21aに当接して長さ方向と交差する方向に移動することを規制された状態及びその状態から解放された状態にできる。そのため、インク供給チューブ20をその長さ方向と交差する方向への移動を規制しつつ引き回す作業を簡便に行うことができる。
【0033】
(2)インク供給チューブ20の移動を規制する規制部材としてスペーサー21を兼用することができるため、部品点数の削減に伴って装置の組み付け性の向上を図ることができる。
【0034】
なお、上記実施形態は、以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・上記実施形態において、インク供給チューブ20の長さ方向の途中部分を弾性変形を伴うことなくスリット23を通過させてスペーサー21の内側の空間域24に挿入する構成としてもよい。
【0035】
・上記実施形態において、スペーサー21を構成する筒状体21Aの周壁のうち、凹部22に接触していない側壁部にスリット23を形成してもよい。
・上記実施形態において、図3に示すように、スペーサー21は、本体ハウジング13の上面における開口部13aの周縁部位から開口部13aを横切る方向に延出する構成としてもよい。
【0036】
この構成では、インク供給チューブ20において本体ハウジング13内に挿入される端部が中継アダプター18側に導かれるようにスペーサー21によって支持されるため、インク供給チューブ20の引き回し作業を更に簡便に行うことができる。
【0037】
・上記実施形態において、図4(a)及び図4(b)に示すように、スペーサー21は、インク供給チューブ20を長さ方向と交差する方向から挿入可能な凹部25が形成された構成としてもよい。
【0038】
この構成では、凹部25の開口を通じて凹部25の内側にインク供給チューブ20を挿入して凹部25の内面にインク供給チューブ20を当接させることにより、インク供給チューブ20をインクタンク19や中継アダプター18から取り外すことなく、インク供給チューブ20の移動を規制することができる。
【0039】
この場合、図4(a)及び図4(b)に示すように、スペーサー21の凹部25の幅寸法をインク供給チューブ20の外径と略同一となるように構成してもよい。
この構成では、インク供給チューブ20をスペーサー21の凹部25に嵌合させることにより、インク供給チューブ20がその長さ方向と交差する方向への移動不能となるように固定することができる。
【0040】
また、スペーサー21の凹部25の幅寸法をインク供給チューブ20の外径よりも大きくなるように構成してもよい。
・上記実施形態において、図5(a)及び図5(b)に示すように、本体ハウジング13の上面に形成されたねじ穴26に対し、規制部材としての一対の固定ねじ27の軸部27aを該軸部27aの軸線方向と直交する水平方向に距離をおいて部分的に螺合させる構成としてもよい。
【0041】
この構成では、固定ねじ27は、軸部27aにおける本体ハウジング13に螺合しない部分が本体ハウジング13から突出するため、本体ハウジング13とイメージスキャナ12との間にインク供給チューブ20を挿通させるための隙間を介在させることができる。また、隣り合う固定ねじ27の間の隙間を通じて軸部27aの間にインク供給チューブ20を挿入してインク供給チューブ20を軸部27aに当接させることにより、インク供給チューブ20をインクタンク19や中継アダプター18から取り外すことなく、インク供給チューブ20の移動を規制することができる。
【0042】
・上記実施形態において、スペーサー21がイメージスキャナ12に設けられる構成としてもよい。
この場合、図6に示すように、イメージスキャナ12が本体ハウジング13の開口部13aを開放する方向に変位した場合に、インク供給チューブ20がスペーサー21から外れる構成としてもよい。
【0043】
また、この場合、イメージスキャナ12が本体ハウジング13の開口部13aを開放する方向に変位した場合に、インク供給チューブ20がスペーサー21と共にイメージスキャナ12から外れる構成としてもよい。
【0044】
・上記実施形態において、インク供給チューブ20の外面に当接してインク供給チューブ20の移動を規制する当接部材を、本体ハウジング13とイメージスキャナ12との間に隙間を形成するためのスペーサー21とは別部材構成で設けてもよい。
【0045】
・上記実施形態において、キャリッジ17に中継アダプター18を搭載しない構成としてもよい。すなわち、本体ハウジング13の外部に設けられたインクタンク19からインク供給チューブ20を通じて供給されるインクを、中継アダプター18を介さずに液体噴射ヘッドへと供給するようにしてもよい。
【0046】
・上記実施形態において、ターゲットの材質は紙に限定されず、布や樹脂フィルム、樹脂シート、金属シートなどを採用してもよい。
・上記実施形態において、図7に示すように、イメージスキャナ12に操作パネル14が設けられた複合機10に本発明を具体化してもよい。
【0047】
・上記実施形態において、図8に示すように、イメージスキャナ12を備えた複合機10とは異なり、本体ハウジング13の開口部13aが開閉部材としてのカバー30で覆われるプリンター11に本発明を具体化してもよい。この場合、図9に示すように、本体ハウジング13の開口部13aを覆うカバー30を省略した構成としてもよい。
【0048】
・上記実施形態において、液体噴射ヘッドを固定したままでも用紙最大幅範囲の印字が可能なラインヘッド式のプリンターであってもよい。
・上記実施形態において、液体噴射装置をインクジェット式のプリンター11を備えた複合機10に具体化したが、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体噴射装置に具体化してもよい。微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の液体噴射装置に流用可能である。なお、液滴とは、上記液体噴射装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、液体噴射装置が噴射させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状体、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルターの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置、捺染装置やマイクロディスペンサー等であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置を採用してもよい。そして、これらのうちいずれか一種の液体噴射装置に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0049】
10…液体噴射装置としての複合機、12…開閉部材としてのイメージスキャナ、13…本体ハウジング、13a…開口部、19…液体収容部としてのインクタンク、20…液体供給チューブとしてのインク供給チューブ、20a…変形可動部、21…当接部材としてのスペーサー、21A…筒状体、21a…当接部としての内面、23…通過部としてのスリット、25…規制部としての凹部、26…ねじ穴、27…固定ねじ、27a…軸部、30…開閉部材としてのカバー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターゲットに対して液体を噴射する液体噴射ヘッドと、
前記ターゲットの搬送領域を内部に有すると共に、その搬送領域上部を露呈させる開口部が設けられた本体ハウジングと、
前記液体が収容された液体収容部から送られる前記液体を前記液体噴射ヘッドへと導き、キャリッジの移動に伴って追従変形する変形可動部を有する液体供給チューブと、
前記本体ハウジングの前記開口部を開閉する方向に変位可能な開閉部材と
を備え、
前記本体ハウジング又は前記開閉部材のいずれか一方には、前記液体供給チューブをその長さ方向と交差する方向に移動させて通過させる通過部及びその通過部を通過した前記液体供給チューブの外面に当接して前記液体供給チューブがその長さ方向と交差する方向に移動することを規制する当接部を有する当接部材が設けられることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体噴射装置において、
前記当接部材は、前記開閉部材と前記本体ハウジングとの間に隙間を形成するスペーサーであることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の液体噴射装置において、
前記当接部材は、前記開閉部材に設けられ、
前記液体供給チューブは、前記開閉部材が前記開口部を開放する方向に変位した場合に、前記当接部材から外れることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の液体噴射装置において、
前記当接部材は、前記開閉部材に設けられ、
前記液体供給チューブは、前記開閉部材が前記開口部を開放する方向に変位した場合に、前記当接部材と共に前記開閉部材から外れることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の液体噴射装置において、
前記当接部材は、前記本体ハウジングに設けられると共に、前記液体供給チューブにおいて前記本体ハウジング内に挿入される端部を前記液体噴射ヘッド側に導くように前記液体供給チューブを支持することを特徴とする液体噴射装置。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載の液体噴射装置において、
前記当接部材は、前記当接部を内面側に有する筒状体であって、その筒状体における周壁の一部には前記液体供給チューブをその長さ方向と交差する方向に移動させて通過させるスリットが前記通過部として形成されていることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項7】
請求項3に記載の液体噴射装置において、
前記当接部材は、前記当接部を内面側に有する筒状体であって、その筒状体における周壁の一部には前記液体供給チューブをその長さ方向と交差する方向に移動させて通過させるスリットが前記通過部として形成されていることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項8】
請求項4に記載の液体噴射装置において、
前記当接部材は、前記当接部を内面側に有する筒状体であって、その筒状体における周壁の一部には前記液体供給チューブをその長さ方向と交差する方向に移動させて通過させるスリットが前記通過部として形成されていることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項9】
請求項5に記載の液体噴射装置において、
前記当接部材は、前記当接部を内面側に有する筒状体であって、その筒状体における周壁の一部には前記液体供給チューブをその長さ方向と交差する方向に移動させて通過させるスリットが前記通過部として形成されていることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項10】
請求項1又は請求項2に記載の液体噴射装置において、
前記当接部材には、前記液体供給チューブを長さ方向と交差する方向から挿入可能な凹部が前記当接部として形成されていることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項11】
請求項3に記載の液体噴射装置において、
前記当接部材には、前記液体供給チューブを長さ方向と交差する方向から挿入可能な凹部が前記当接部として形成されていることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項12】
請求項4に記載の液体噴射装置において、
前記当接部材には、前記液体供給チューブを長さ方向と交差する方向から挿入可能な凹部が前記当接部として形成されていることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項13】
請求項5に記載の液体噴射装置において、
前記当接部材には、前記液体供給チューブを長さ方向と交差する方向から挿入可能な凹部が前記当接部として形成されていることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項14】
請求項10に記載の液体噴射装置において、
前記液体供給チューブは、その長さ方向と交差する方向への移動不能に前記凹部に対して嵌合されることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項15】
請求項11〜請求項14のうち何れか一項に記載の液体噴射装置において、
前記液体供給チューブは、その長さ方向と交差する方向への移動不能に前記凹部に対して嵌合されることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項16】
請求項2に記載の液体噴射装置において、
前記本体ハウジングにはねじ穴が形成され、
前記スペーサーは、前記ねじ穴に部分的に螺合する軸部を有すると共に当該軸部の軸線方向と交差する方向に距離をおいて隣り合うように配置される複数の固定ねじを含んで構成されることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項17】
請求項3に記載の液体噴射装置において、
前記本体ハウジングにはねじ穴が形成され、
前記スペーサーは、前記ねじ穴に部分的に螺合する軸部を有すると共に当該軸部の軸線方向と交差する方向に距離をおいて隣り合うように配置される複数の固定ねじを含んで構成されることを特徴とする液体噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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