説明

液体噴射装置

【課題】液体噴射ヘッドを駆動するためのエネルギーを有効利用して、ミスト除去装置を駆動することで、コストを低減し、且つ、エネルギー効率を高める。
【解決手段】インクジェットヘッド4は、ヘッド基板90の駆動回路から活性部からなるコンデンサに電流を供給する。そして、当該コンデンサを充電するときに流れる電流の一部を回収して、第1電極31と第2電極32の間に電流を流す。これにより、第1電極31をプラスに帯電させ、第2電極32をマイナスに帯電させる。そして、プラスに帯電した第1電極31に、ノズルからインクを噴射させることで発生し、マイナスに帯電したミストを静電吸着させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を噴射する液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ノズルから液体を噴射する液体噴射装置において、ノズルから液体を噴射することで周囲に浮遊するミストを除去する、ミスト除去手段を備えたものがある。上述した液体噴射装置として、例えば、特許文献1には、記録媒体に対してノズルからインクを噴射して文字や画像などを記録する、インクジェット式のプリンタが開示されている。
【0003】
この特許文献1に記載のプリンタは、記録ヘッドの搬送方向下流側に、インクが噴射された記録媒体を加熱して乾燥させるためのハロゲンヒータが設けられている。そして、ハロゲンヒータの、搬送される記録媒体と対向する発熱面の縁部には電極部材が貼り付けられており、この電極部材には、電圧を印加するための専用の電源のプラス端子が接続されている。また、記録ヘッドのノズルが形成されたノズルプレートには、上記電源のマイナス端子が接続されており、グランド電位に保持されている。
【0004】
電源から電極部材にプラスの電圧を印加すると、電極部材とノズルプレートとの間で電界が発生し、電極部材にプラスの電荷が帯電するとともに、ノズルプレートにマイナスの電荷が帯電する。記録ヘッドから噴射されるインクは、ノズルの開口部の面積分のマイナスの電荷を持ってノズルから噴射される。そして、ノズルからインクを噴射することで浮遊したミストは、マイナスに帯電しているため、クーロン力によりプラスに帯電した電極部材に引き寄せられて静電吸着される。
【0005】
【特許文献1】特開2009−241578号公報(図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のプリンタにおいては、電極部材に電圧を印加するため、すなわち、ミスト除去手段を駆動するために専用の駆動装置である電源を必要としている。したがって、記録ヘッドを駆動するための駆動装置に加えて、ミスト除去手段を駆動するための駆動装置を有することから、消費電力が増大してしまい、且つ、コストが増大してしまう。
【0007】
そこで、本発明の目的は、液体噴射ヘッドを駆動するためのエネルギーを有効利用して、ミスト除去装置を駆動することで、コストを低減し、且つ、エネルギー効率を高めた液体噴射装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の液体噴射装置は、液体を噴射するノズルを有する液体噴射ヘッドと、前記液体噴射ヘッドを駆動するための駆動エネルギーを出力する駆動装置と、前記駆動装置から前記液体噴射ヘッドへ供給される駆動エネルギーの一部を回収するエネルギー回収手段と、前記エネルギー回収手段によって回収された駆動エネルギーが供給されて、供給されたエネルギーを用いてミストを除去するミスト除去装置と、を備えている。
【0009】
本発明の液体噴射装置によると、ノズルから液体を噴射するために液体噴射ヘッドを駆動するときに、駆動装置から供給された駆動エネルギーの一部を回収して、ミスト除去装置を駆動するための駆動エネルギーとして有効利用している。これにより、ミスト除去装置を駆動するための専用の駆動装置が必要なくなり、コストを低減し、且つ、エネルギー効率を高めることができる。
【0010】
また、前記エネルギー回収手段は、前記液体噴射ヘッドから駆動エネルギーの一部を回収して前記ミスト除去装置へ供給しており、前記ミスト除去装置は、供給されたエネルギーによって充電されて、ミストと異なる極性の電荷を蓄積する電荷蓄積手段を有していることが好ましい。
【0011】
これによると、電荷蓄積手段はミストと異なる極性の電荷を蓄積して、ミストと異なる極性に帯電している。したがって、クーロン力により電荷蓄積手段にミストを引き寄せて静電吸着させることができる。
【0012】
さらに、前記エネルギー回収手段は、前記液体噴射ヘッドから電流の一部を取り込んで駆動エネルギーを回収し、回収した駆動エネルギーを電流にして前記電荷蓄積手段へ供給することが好ましい。
【0013】
これによると、電流を流すことで電荷蓄積手段に電荷を蓄積することができ、ミストと異なる極性に帯電させることができる。
【0014】
そして、前記液体噴射ヘッドの前記ノズルが開口した液体噴射面を覆うキャッピング位置と前記液体噴射面から離れたアンキャッピング位置とに移動可能なキャップ部材をさらに備え、前記エネルギー回収手段は、乾燥防止のために前記ノズルから液体を排出させるフラッシング時に前記液体噴射ヘッドへ供給される駆動エネルギーの一部を回収しており、前記電荷蓄積手段は、前記液体噴射ヘッドの前記液体噴射面の外周部分に配置された第1電極部材と、前記キャップ部材に設けられ、前記キャップ部材が前記キャッピング位置に位置するときに、前記アンキャッピング位置に位置するときよりも前記第1電極部材に近い位置で前記第1電極部材と隙間をあけて対向して配置される第2電極部材と、を有しており、前記第1電極部材または前記第2電極部材は、前記エネルギー回収手段に接続されており、前記キャップ部材を前記キャッピング位置に位置させて前記フラッシングを行うと、前記第1電極部材と前記第2電極部材との間に前記エネルギー回収手段から電流が供給されてもよい。
【0015】
これによると、フラッシングを行うことで液体噴射ヘッドが駆動され、エネルギー回収手段はこのフラッシング時に液体噴射ヘッドへ供給された駆動エネルギーの一部を回収している。このフラッシングを行うときには、液体噴射面の第1電極部材とキャップ部材の第2電極部材とは対向しており、第1電極部材と第2電極部材との間にはコンデンサが形成される。そして、第1電極部材と第2電極部材との間にエネルギー回収手段から電流が供給されることで、第1電極部材と第2電極部材とから形成されるコンデンサを充電して、第1電極部材と第2電極部材とに電荷を蓄積させて帯電させることができる。
【0016】
このフラッシングを行うときには、キャップ部材は、キャッピング位置に位置しており、アンキャッピング位置に位置している場合に比べて、第1電極部材と第2電極部材を微小な距離まで近接させることができる。したがって、第1電極部材と第2電極部材との間に形成されるコンデンサの静電容量を大きくすることができ、第1電極部材と第2電極部材とに蓄積する電荷量を増大させることができる。そして、フラッシング後に液体噴射面からキャップ部材を離せば、第1電極部材と第2電極部材が離れて、第1電極部材には電荷が蓄積(帯電)したままになる。これにより、液体噴射ヘッドの第1電極部材に大量のミストを静電吸着させることができる。また、キャップ部材の移動を利用して、第1電極部材と第2電極部材とを微小な距離まで近づけたり、離したりしており、別個に第1電極部材と第2電極部材とを離接するための構成を設ける必要がなく、装置を小型化し、且つ、コストを低減することができる。
【0017】
このとき、前記キャップ部材に形成された吸引口に接続され、前記キャップ部材が前記キャッピング位置に位置する状態において、前記キャップ部材内を吸引し、前記ノズルから液体を排出する吸引パージを行う吸引手段をさらに備え、前記キャップ部材は、前記アンキャッピング位置よりも前記キャッピング位置に近く、前記液体噴射面から離れた位置であり、且つ、前記吸引パージ後に前記キャップ部材内に受容された液体を吸引排出する中間位置に移動可能であり、前記電荷蓄積手段は、前記キャップ部材を前記中間位置に位置させて前記フラッシングを行うと、前記第1電極部材と前記第2電極部材との間に前記エネルギー回収手段から電力が供給されることが好ましい。
【0018】
仮に、キャップ部材をキャッピング位置に位置させて、ノズルをキャップ部材で覆った密閉状態でフラッシングを行うと、ノズルから液体が噴射されにくいおそれがある。そこで、中間位置でフラッシングを行うことで、ノズルから液体が確実に噴射されてノズルの乾燥を防止することができる。また、この中間位置においては、キャッピング位置と同様に、アンキャッピング位置に比べて、第1電極部材と第2電極部材を微小な距離まで近接させることができる。したがって、第1電極部材と第2電極部材との間に形成されるコンデンサの静電容量を大きくし、第1電極部材に帯電する電荷量を増大させて、大量のミストを静電吸着させることができる。
【0019】
また、前記液体噴射ヘッドを所定の走査方向に往復移動させる走査手段と、前記液体噴射ヘッドの移動範囲内における前記走査方向の一方端部に配置され、前記液体噴射ヘッドから噴射された液体を受容する液体受容部と、をさらに備え、前記エネルギー回収手段は、乾燥防止のために前記ノズルから液体を排出させるフラッシング時に前記液体噴射ヘッドへ供給される駆動エネルギーの一部を回収しており、前記電荷蓄積手段は、前記液体噴射ヘッドの、前記走査方向の前記一方側の側面に配置された第1電極部材と、前記第1電極部材と向かい合う前記一方端部に設けられた壁面に配置され、前記液体噴射ヘッドを前記一方端部に移動させた状態において、前記第1電極部材との間に隙間を有する第2電極部材と、を有しており、前記液体噴射ヘッドが前記走査手段により前記一方端部に移動されて前記液体受容部と対向した状態で、前記フラッシングを行うと、前記第1電極部材と前記第2電極部材との間に前記エネルギー回収手段から電流が供給されてもよい。
【0020】
これによると、フラッシングを行うことで液体噴射ヘッドが駆動され、エネルギー回収手段はこのフラッシング時に液体噴射ヘッドへ供給された駆動エネルギーの一部を回収している。このフラッシングを行うときには、液体噴射ヘッドを一方端部に移動させて、液体噴射ヘッドの第1電極部材と第2電極部材とは対向しており、第1電極部材と第2電極部材との間にはコンデンサが形成される。そして、第1電極部材と第2電極部材との間にエネルギー回収手段から電流が供給されることで、第1電極部材と第2電極部材とから形成されるコンデンサを充電して、第1電極部材と第2電極部材とに電荷を蓄積させて帯電させることができる。
【0021】
このフラッシングを行うときには、液体噴射ヘッドの第1電極部材と第2電極部材は微小な距離まで近接させる。したがって、第1電極部材と第2電極部材との間に形成されるコンデンサの静電容量を大きくすることができ、第1電極部材と第2電極部材とに蓄積する電荷量を増大させることができる。そして、フラッシング後に液体噴射ヘッドを移動方向の他方側に移動させれば、第1電極部材と第2電極部材とが離れて、第1電極部材には電荷が蓄積(帯電)したままになる。これにより、液体噴射ヘッドの第1電極部材に大量のミストを静電吸着させることができる。また、液体噴射ヘッドの走査方向への移動を利用して、第1電極部材と第2電極部材とを微小な距離まで近づけたり、離したりしており、別個に第1電極部材と第2電極部材とを離接するための構成を設ける必要がなく、装置を小型化し、且つ、コストを低減することができる。
【0022】
そして、前記エネルギー回収手段と前記電荷蓄積手段の前記第1電極部材とを、電気的に接続させた導通状態と電気的に接続しない非導通状態とに切り換える第1切換手段をさらに備え、前記第1切換手段は、前記フラッシングの間、前記エネルギー回収手段と前記第1電極部材との間を前記導通状態にしておき、前記フラッシング後に前記第1電極部材に対して前記第2電極部材が離れる方向に相対移動する前に、前記エネルギー回収手段と前記第1電極部材との間を前記非導通状態に切り換えてもよい。
【0023】
これによると、エネルギー回収手段と第1電極部材とを導通させてフラッシングを行うことで、第1電極部材と第2電極部材との間に電位差が発生する。そして、第1電極部材と第2電極部材との間に電位差が発生している状態で、第1電極部材から第2電極部材を離すと電位差が大きくななり、高電圧がエネルギー回収手段を介して液体噴射ヘッドに入り込み、過電圧で故障するおそれがある。そこで、フラッシング後に、エネルギー回収手段と第1電極部材とを絶縁させてから、第1電極部材から第2電極部材を離すことで、高電圧がエネルギー回収手段を介して液体噴射ヘッドに入り込み、過電圧で故障するおそれを失くすことができる。
【0024】
また、前記液体噴射ヘッドを所定の走査方向に往復移動させる走査手段をさらに備え、前記キャップ部材は、前記液体噴射ヘッドの移動範囲内における前記走査方向の一方端部に配置されており、前記一方端部に設けられた壁面に配置され、前記液体噴射ヘッドが前記走査手段により前記一方端部に移動された状態で、前記エネルギー回収手段と前記第1電極部材とに接触して両者を電気的に接続する第3電極部材が設けられていてもよい。
【0025】
これによると、第3電極部材を介してエネルギー回収手段と第1電極部材とを導通させてフラッシングを行うことで、第1電極部材と第2電極部材との間に電位差が発生する。そして、第1電極部材と第2電極部材との間に電位差が発生している状態で、第1電極部材から第2電極部材を離すと電位差が大きくなり、高電圧がエネルギー回収手段を介して液体噴射ヘッドに入り込み、過電圧で故障するおそれがある。そこで、フラッシング後に、液体噴射ヘッドを走査方向の他方へ移動させて、エネルギー回収手段と第1電極部材とを絶縁させてから、第1電極部材から第2電極部材を離すことで、高電圧がエネルギー回収手段を介して液体噴射ヘッドに入り込み、過電圧で故障するおそれを失くすことができる。
【0026】
また、前記液体噴射ヘッドは、被記録媒体に画像を記録するものであり、前記被記録媒体に画像を記録する記録動作前に前記フラッシングを行っており、前記記録動作前の前記フラッシング時に、前記液体噴射ヘッドへ供給される駆動エネルギーの一部を回収して、前記電荷蓄積手段によってミストと異なる極性の電荷を蓄積することが好ましい。
【0027】
これによると、記録動作前のフラッシングを利用して、ミストと異なる極性の電荷を蓄積している。したがって、その後の記録動作でノズルから液体を噴射させることで発生したミストを静電吸着させることができる。
【0028】
また、前記エネルギー回収手段によって回収された駆動エネルギーを貯めるとともに、その貯めた駆動エネルギーを電流にして放出することが可能な充電装置と、前記液体噴射ヘッドの前記ノズルが開口した液体噴射面を覆うキャッピング位置と前記液体噴射面から離れたアンキャッピング位置とに移動可能なキャップ部材と、前記充電装置と前記電荷蓄積手段とを、電気的に接続させる導通状態と電気的に接続しない非導通状態とに切り換える第2切換手段と、をさらに備え、前記電荷蓄積手段は、前記液体噴射ヘッドの前記液体噴射面の外周部分に配置された第1電極部材と、前記キャップ部材に設けられ、前記キャップ部材が前記キャッピング位置に位置するときに、前記アンキャッピング位置に位置するときよりも前記第1電極部材に近い位置で前記第1電極部材と隙間をあけて対向して配置される第2電極部材と、を有しており、前記第2切換手段により前記充電装置と前記電荷蓄積手段との間を前記非導通状態に切り換え、前記液体噴射ヘッドを駆動した後、前記キャップ部材を前記キャッピング位置に位置させて、前記第2切換手段により前記充電装置と前記電荷蓄積手段との間を前記導通状態に切り換えると、前記第1電極部材と前記第2電極部材との間に前記充電装置から電流が供給されてもよい。
【0029】
これによると、ノズルから被噴射媒体へ液体を噴射させたり、フラッシングを行ったりして液体噴射ヘッドを駆動している間に充電装置を充電する。そして、充電している間は、充電装置と電荷蓄積手段とを絶縁させておき、充電が完了すると、キャップ部材をキャッピング位置に位置させて、充電装置と電荷蓄積手段とを導通させる。すると、第1電極部材と第2電極部材とを近づけてコンデンサを形成する前にあらかじめ充電された充電装置から放出された電流によって、第1電極部材と第2電極部材との間に形成されるコンデンサを充電することができる。
【0030】
このとき、キャップ部材は、キャッピング位置に位置しており、アンキャッピング位置に位置している場合に比べて、第1電極部材と第2電極部材を微小な距離まで近接させることができる。したがって、第1電極部材と第2電極部材との間に形成されるコンデンサの静電容量を大きくすることができ、第1電極部材と第2電極部材とに蓄積する電荷量を増大させることができる。そして、その後に液体噴射面からキャップ部材を離せば、第1電極部材と第2電極部材が離れて、第1電極部材には電荷が蓄積(帯電)したままになる。これにより、液体噴射ヘッドの第1電極部材に大量のミストを静電吸着させることができる。また、キャップ部材の移動を利用して、第1電極部材と第2電極部材とを微小な距離まで近づけたり、離したりしており、別個に第1電極部材と第2電極部材とを離接するための構成を設ける必要がなく、装置を小型化し、且つ、コストを低減することができる。
【0031】
そして、前記液体噴射ヘッドを制御する噴射制御手段をさらに備えており、前記液体噴射ヘッドは、被記録媒体に画像を記録するものであり、前記ノズルから複数種類のサイズの異なる液滴を噴射可能であり、前記噴射制御手段は、低解像度記録モードとこれよりも解像度の高い高解像度記録モードの少なくとも2つの記録モードから1つのモードを選択し、前記高解像度記録モードを選択したときには、前記低解像度記録モードを選択したときよりも前記ノズルから小さな液滴を噴射させており、さらに、前記噴射制御手段は、選択したモードが前記高解像度記録モードの場合には、前記低解像度記録モードの場合に比べて、所定期間内に行われる前記フラッシングの頻度を多くしてもよい。
【0032】
高解像度記録モードでは、記録時間が長く、さらに、ノズルから噴射される液滴径が小さく、ミストが大量に発生する。そのため、第1電極部材に蓄積した電荷の減少が早く、ミストの吸着力の低下が早い。そこで、高解像度記録モードの場合には、フラッシングの頻度を多くすることで、第1電極部材を大きな電荷量で十分に帯電させた状態で、記録動作を行うことができ、記録動作の間、ミストの吸着力を高めた状態を維持することができる。
【0033】
また、前記液体噴射ヘッドを制御する噴射制御手段をさらに備えており、前記液体噴射ヘッドは、被記録媒体に画像を記録するものであり、前記ノズルから複数種類のサイズの異なる液滴を噴射可能であり、前記噴射制御手段は、低解像度記録モードとこれよりも解像度の高い高解像度記録モードの少なくとも2つの記録モードから1つのモードを選択し、前記高解像度記録モードを選択したときには、前記低解像度記録モードを選択したときよりも前記ノズルから小さな液滴を噴射させており、さらに、前記噴射制御手段は、選択したモードが前記高解像度記録モードの場合には、前記低解像度記録モードの場合に比べて、前記フラッシングにおける前記ノズルから液体を噴射させる回数を増やしてもよい。
【0034】
高解像度記録モードでは、記録時間も長く、さらに、ノズルから噴射される液滴径が小さく、ミストが大量に発生する。そのため、第1電極部材に蓄積した電荷の減少が早く、ミストの吸着力の低下が早い。そこで、高解像度記録モードの場合には、フラッシングにおけるノズルから液体を噴射させる回数を増やすことで、第1電極部材を大きな電荷量で帯電させることができる。これにより、記録動作の間、ミストの吸着力を高めた状態を維持することができる。
【0035】
また、前記電荷蓄積手段は、前記第1電極部材と前記第2電極部材の互いに対向する面の少なくとも一方の面に、誘電体を設けていることが好ましい。
【0036】
これによると、第1電極部材と第2電極部材とから形成されるコンデンサの静電容量を大きくして、第1電極部材に蓄積できる電荷量を増大させることができる。したがって、静電容量を大きくするために、第1電極部材と第2電極部材との間の隙間の距離を近づけすぎなくてもよく、第1電極部材と第2電極部材との間の距離に関する位置制御が容易となる。
【0037】
さらに、前記液体噴射ヘッドは、前記ノズルを含む個別流路と、前記個別流路内の液体に噴射エネルギーを付与する圧電アクチュエータと、を有していることが好ましい。
【0038】
これによると、圧電アクチュエータは圧電効果を利用して対象を駆動しているため、容量式であり電荷を溜めるために充電時に多くの電力を必要としている。また、充電完了した後には放電して無駄に電力を廃棄している。そこで、この電流をミスト除去装置に用いることで、エネルギー効率を高めることができる。
【発明の効果】
【0039】
ノズルから液体を噴射するために液体噴射ヘッドを駆動するときに、駆動装置から供給された駆動エネルギーの一部を回収して、ミスト除去装置を駆動するためのエネルギーとして有効利用している。これにより、ミスト除去装置を駆動するための専用の駆動装置が必要なくなり、コストを低減し、且つ、エネルギー効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本実施形態に係るインクジェットプリンタの概略構成図である。
【図2】インクジェットヘッドの平面図である。
【図3】図2のA部拡大図である。
【図4】図3のIV−IV線断面図である。
【図5】キャップ部材のキャッピング状態でのインクジェットヘッドとキャップ部材の断面図である。
【図6】圧電アクチュエータの等価回路図及びヘッド基板の回路図である。
【図7】(a)は帯電について説明するインクジェットヘッドの断面図であり、(b)は静電吸着について説明するインクジェットヘッドの断面図である。
【図8】プリンタの制御系を概略的に示すブロック図である。
【図9】記録動作時において発生したミストの浮遊状態について説明するインクジェットヘッドの断面図である。
【図10】変形例1におけるインクジェットヘッドと液受け部材の平面図である。
【図11】変形例2におけるインクジェットヘッドと液受け部材とキャップ部材の平面図である。
【図12】変形例3における圧電アクチュエータの等価回路図及びヘッド基板の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
次に、本発明の実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係るインクジェットプリンタの概略構成図である。図1に示すように、インクジェットプリンタ1(液体噴射装置)は、記録用紙Pが載置されるプラテン2と、このプラテン2と平行な走査方向に往復移動可能なキャリッジ3と、キャリッジ3に搭載されたインクジェットヘッド4(液体噴射ヘッド)と、記録用紙Pを走査方向と直交する搬送方向に搬送する搬送機構5と、インクジェットヘッド4の液体噴射性能の回復・維持に関する各種メンテナンス作業を行うメンテナンスユニット6と、インクジェットヘッド4へ供給された電流の一部を回収する電流回収回路93(図6参照)と、ミストを静電吸着により回収するミスト吸着装置7(図5参照)と、インクジェットプリンタ1の全体制御を司る制御装置8などを有している。これらのインクジェットプリンタ1の主要な構成について、以下順を追って説明する。
【0042】
(画像記録用の構成)
まず、画像記録用の構成について説明する。プラテン2の上面には図示しない給紙機構から供給された記録用紙Pが載置される。また、プラテン2の上方には、インクジェットプリンタ1の樹脂材料からなる筐体1aにおける図1の左右方向(走査方向)両端まで平行に延びる2本のガイドレール10、11が設けられている。
【0043】
キャリッジ3は、プラテン2と対向する領域において2本のガイドレール10、11に沿って走査方向に往復移動可能であり、さらに、プラテン2上の記録用紙Pと対向する領域(記録領域)から、非記録領域である、プラテン2から離れた筐体1a内の走査方向両端まで移動可能である。また、キャリッジ3には、2つのプーリ12、13間に巻き掛けられた無端ベルト14が連結されており、キャリッジ駆動モータ15によって無端ベルト14が走行駆動されたときに、キャリッジ3は、無端ベルト14の走行にともなって走査方向に移動する。
【0044】
なお、インクジェットプリンタ1の筐体1aには、走査方向に間隔を空けて配列された多数の透光部(スリット)を有するリニアエンコーダ24が設けられている。一方、キャリッジ3には、発光素子と受光素子とを有する透過型のフォトセンサ25が設けられている。そして、インクジェットプリンタ1は、キャリッジ3の移動中にフォトセンサ25が検出したリニアエンコーダ24の透光部の計数値(検出回数)から、キャリッジ3の走査方向に関する現在位置を認識することができる。
【0045】
インクジェットヘッド4は、キャリッジ3の下部に取り付けられており、プラテン2の上面と平行な、インクジェットヘッド4の下面(図1の紙面向こう側の面)が、複数のノズル16が開口するインク噴射面4a(図4参照)となっている。また、図1に示すように、インクジェットプリンタ1の筐体1aにはホルダ9が固定的に設けられ、このホルダ9の4つのカートリッジ装着部20には、4色のインク(ブラック、イエロー、シアン、マゼンタ)がそれぞれ貯留された4つのインクカートリッジ17が交換可能に着脱される。
【0046】
また、図示は省略するが、キャリッジ3に搭載されたインクジェットヘッド4とホルダ9とは4本のチューブ(図示省略)で接続され、4つのインクカートリッジ17内のインクが、4本のチューブを介してインクジェットヘッド4にそれぞれ供給される。そして、インクジェットヘッド4は、複数のノズル16から4色のインクをプラテン2に載置された記録用紙Pに対して噴射する。インクジェットヘッド4の構造の詳細については後ほど説明する。
【0047】
搬送機構5は、搬送方向にプラテン2を挟むように配置された2つの搬送ローラ18、19を有し、これら2つの搬送ローラ18、19によって、プラテン2に載置された記録用紙Pを搬送方向(図1の前方)に搬送する。
【0048】
そして、インクジェットプリンタ1は、プラテン2上に載置された記録用紙Pに対して、キャリッジ3とともに走査方向(図1の左右方向)に往復移動するインクジェットヘッド4からインクを噴射させるとともに、2つの搬送ローラ18、19によって記録用紙Pを搬送方向(図1の前方)に搬送することにより、記録用紙Pに所望の画像や文字などを記録する。なお、本実施形態におけるキャリッジ3、プーリ12、13、無端ベルト14、キャリッジ駆動モータ15が、本発明における走査手段に相当する。
【0049】
(インクジェットヘッドの構造)
次に、インクジェットヘッド4の構造について説明する。図2は、インクジェットヘッド4の平面図である。図3は、図2のA部拡大図である。図4は、図3のIV−IV線断面図である。図2〜図4に示すように、インクジェットヘッド4は、複数のノズル16及び複数のノズル16にそれぞれ連通する複数の圧力室37が形成された流路ユニット29と、流路ユニット29の上面に配置された圧電アクチュエータ30とを有している。
【0050】
図4に示すように、流路ユニット29は複数枚(ここでは4枚)の金属プレートが積層された構造を有している。また、図2に示すように、これら複数のノズル16は搬送方向に配列され、走査方向に並ぶ4列のノズル列を構成している。4列のノズル列にそれぞれ属するノズル16からは、4色(ブラック、イエロー、シアン、マゼンタ)のインクがそれぞれ噴射される。
【0051】
また、流路ユニット29には、複数のノズル16にそれぞれ連通する複数の圧力室37が形成されている。これら複数の圧力室37は、流路ユニット29の上面において開口しており、後述する圧電アクチュエータ30の振動板40によって塞がれた構造となっている。また、4列のノズル列に対応して、複数の圧力室37も4列に配列されている。
【0052】
さらに、流路ユニット29には、それぞれ搬送方向に延在し、4列の圧力室列にブラック、イエロー、シアン、マゼンタの4色のインクを供給する4本のマニホールド35が形成されている。なお、4本のマニホールド35は、流路ユニット29の上面に形成された4つのインク供給口36に接続されている。そして、図4に示すように、流路ユニット29内には、マニホールド35から圧力室37を経てノズル16に至る個別流路38が複数形成されている。
【0053】
図2〜図4に示すように、圧電アクチュエータ30は、流路ユニット29の上面に接合された振動板40と、この振動板40の上面に複数の圧力室37と対向するように形成された圧電層41と、この圧電層41の上面に配置された複数の個別電極42とを有している。
【0054】
振動板40は、平面視で略矩形状の、ステンレス鋼などの金属製の板部材である。この振動板40は、流路ユニット29の上面に、上述した複数の圧力室37を覆うように接合されており、複数の圧力室37を区画する壁部の一部を構成している。また、導電性を有する振動板40は、複数の個別電極42との間で圧電層41を挟み、この圧電層41に厚み方向の電界を生じさせる共通電極を兼ねており、後述するドライバIC47に接続されて常時グランド電位に保持されている。
【0055】
振動板40の上面(圧力室37と反対側の面)には、チタン酸鉛とジルコン酸鉛との固溶体であり強誘電体であるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を主成分とする、圧電材料からなる圧電層41が形成されている。この圧電層41は、複数の圧力室37にまたがって平面的に形成されている。
【0056】
圧電層41の上面には、圧力室37よりも一回り小さい略楕円形の平面形状を有する複数の個別電極42が形成されている。これら個別電極42は、対応する圧力室37の中央部と対向する位置にそれぞれ配置されている。さらに、複数の個別電極42からは、それぞれ圧力室37と対向しない領域まで複数の接続端子45が引き出されている。これら複数の接続端子45には、ドライバIC47を実装したCOF(Chip On Film:図示省略)が接続される。このCOFは、ヘッド基板90(図5参照)を介してインクジェットプリンタ1の制御装置8と接続される。
【0057】
なお、圧電層41の、複数の個別電極42と共通電極としての振動板40とに挟まれた部分は、予め、その厚み方向に分極されており、個別電極42と振動板40の間に電圧が印加されたときに、圧電層41に変形(圧電歪)を生じさせる活性部46となる。そして、個別電極42と振動板40との間に電位差(電圧)が発生したときには、活性部46には圧電変形(圧電歪み)が発生し、この変形によって、その活性部46と対向する圧力室37内のインクに圧力が付与されることになる。
【0058】
次に、インク噴射時における圧電アクチュエータ30の作用について説明する。個別電極42と共通電極としての振動板40とに挟まれた、各々の活性部46において、個別電極42の電位が振動板40と同じグランド電位となっている場合には、活性部46には電界が作用しておらず、活性部46に圧電歪みは生じていない。この状態から、ドライバIC47から個別電極42に所定の駆動電位が付与されると、この活性部46を挟む個別電極42と振動板40との間に、所定の電圧が印加されることになり、活性部46には厚み方向の電界が作用する。
【0059】
この電界の方向は圧電層41の分極方向と平行であるから、活性部46が厚み方向と直交する面方向に収縮する。ここで、圧電層41の下側の振動板40は流路ユニット29の最上層のプレートに固定されているため、この振動板40の上面に位置する圧電層41が面方向に収縮するのにともなって、振動板40の圧力室37を覆う部分が圧力室37側に凸となるように変形する(ユニモルフ変形)。このとき、圧力室37内の容積が減少するために圧力室37内のインク圧力が上昇し、この圧力室37に連通するノズル16からインクが噴射される。
【0060】
また、個別電極42の電位が再びグランド電位になると、活性部46には電界が作用しなくなることから、活性部46の変形状態が解消され、振動板40は、元の状態(流路ユニット29を構成するプレートと平行な状態)に戻る。
【0061】
(メンテナンスユニット)
次に、メンテナンスユニット6について説明する。図1に戻って、メンテナンスユニット6は、筐体1a内において、プラテン2を挟んだ走査方向の両端部に配置されている。このメンテナンスユニット6は、インクジェットヘッド4の下面(インク噴射面4a)に密着して複数のノズル16を覆うキャップ部材21と、キャップ部材21に接続された吸引ポンプ23(吸引手段)と、インク噴射面4aに付着したインクを拭き取るワイパー22と、ノズル16から噴射されたインクを受容する液受け部材39(液体受容部)などを有している。
【0062】
図5は、キャップ部材のキャッピング状態でのインクジェットヘッドとキャップ部材の断面図である。キャップ部材21は、ゴムなどの絶縁性の弾性材料からなる、底壁部21aと、この底壁部21aの外周部に設けられたリップ部21bと、を有している。このキャップ部材21は、キャップ駆動モータ26(図8参照)などの駆動手段を含むキャップ駆動機構27により昇降駆動される。そして、キャップ部材21は、インク噴射面4aに密着して、複数のノズル16を覆うキャッピング位置と、インク噴射面4aから離れて、インク噴射面4aと接触しないアンキャッピング位置と、キャッピング位置とアンキャッピング位置との間の中間位置であり、インク噴射面4aと微小な隙間をあけて離間した空吸引位置との、インク噴射面4aに対する距離が異なる3つの位置に移動可能となっている。
【0063】
また、キャップ部材21は、底壁部21aに形成された吸引口28を介して吸引ポンプ23と接続されている。そして、キャップ部材21が、キャップ駆動機構27によってキャッピング位置に上昇して、インクジェットヘッド4のインク噴射面4aに密着した状態で、吸引ポンプ23がキャップ部材21内の空気を吸引して減圧することで、複数のノズル16からキャップ部材21へインクを強制的に排出させる(吸引パージ)。このとき、ノズル16の噴射不良の原因となる、塵や気泡、あるいは、乾燥によって粘度の高くなったインク(増粘インク)などが、インクとともにノズル16から排出されることになる。
【0064】
吸引パージが終了すると、キャップ部材21が、キャップ駆動機構27によって空吸引位置まで下降して、キャップ部材21はインク噴射面4aに対して微小な隙間をあけて離間して、キャップ部材21内を大気開放させる。そして、吸引ポンプ23により吸引パージ時にキャップ部材21内に溜まったインクを吸引して排出する(空吸引)。
【0065】
この空吸引位置におけるキャップ部材21とインク噴射面4aとの隙間の距離は、キャップ部材21(リップ部21b)とインク噴射面4aとの間に繋がったインク(インクのブリッジ)が切れない程度の距離であり、キャップ部材21は、インク噴射面4aに接触していないが、非常に近接している。これにより、仮に、キャップ部材21をアンキャッピング位置に移動させて、キャップ部材21内に溜まったインクを吸引して排出しようとして、キャップ部材21をインク噴射面4aから離間させた勢いでインクのブリッジが切れてインクが周囲に飛散するのを防止している。
【0066】
また、キャップ部材21は、上述した吸引パージ以外にも、インクジェットヘッド4を使用しない休止時(インクを噴射しない状態)においても用いられる。キャップ部材21は、インクジェットヘッド4の休止時にインク噴射面4aに接触して複数のノズル16の開口を覆うことによって、ノズル16を保護するとともに、ノズル16内のインクの乾燥を抑制する。また、キャップ部材21は、後述する停止フラッシング時においても用いられる。
【0067】
図1に戻って、ワイパー22はキャップ部材21よりもプラテン2側の位置に立設されており、吸引パージ後に、このワイパー22の先端がインクジェットヘッド4のインク噴射面4aに接触した状態でキャリッジ3が走査方向に移動することによって、ワイパー22がインク噴射面4aに付着したインクを拭き取る。
【0068】
また、本実施形態のインクジェットプリンタ1は、ノズル16内のインクの乾燥を防止するために、ノズル16からインクを間欠的に噴射させる、2種類のフラッシング(加速フラッシングと停止フラッシング)を適宜のタイミングで行う。
【0069】
加速フラッシングとは、ノズル16から液受け部材39に向かってインクを噴射させる動作である。このとき、インクジェットヘッド4は、液受け部材39と対向する位置で停止してノズル16からインクを噴射するのではなく、記録領域から液受け部材39が位置する側に向かって走査方向に走行しながら液受け部材39に対して斜めにずれた位置から液受け部材39に向かってインクを噴射する。このように、加速フラッシングにおいては、インクジェットヘッド4は停止せずに走行しながらインクを噴射させるため、フラッシングに要する時間を短くすることができる。
【0070】
また、停止フラッシングとは、詳しくは後述するが、ノズル16からキャップ部材21に向かってインクを噴射させる動作である。このとき、インクジェットヘッド4は、キャップ部材21と対向する位置で停止して、キャップ部材21が空吸引位置に位置する状態でキャップ部材21に向かってインクを噴射する。すなわち、加速フラッシングと停止フラッシングとは、ノズル16からインクを噴射させる領域が異なるのに加えて、インクジェットヘッド4の走行中にノズル16からインクを噴射させるか否かが異なっている。なお、上述したフラッシングは、記録用紙Pに画像を記録する記録動作前、記録動作の途中や吸引パージ直後などに行われる。また、本実施形態における2種類のフラッシングのうち停止フラッシングが、本発明におけるフラッシングに相当する。
【0071】
(ヘッド基板の回路構成)
次に、ヘッド基板90の回路構成について説明する。図6は、圧電アクチュエータの等価回路図及びヘッド基板の回路図である。図6に示すように、ヘッド基板90は、駆動回路91(駆動装置)と制御信号付与回路92と電流回収回路93(エネルギー回収手段)などを有している。また、圧電アクチュエータ30に設けられ、個別電極42と振動板40との間に挟まれ、分極された圧電層41の活性部46は、充放電を行うコンデンサ43とみなすことができ、充放電に応じて圧電変形する。
【0072】
駆動回路91は、ドライバIC47に対して駆動するための電力を供給する。制御信号付与回路92は、ドライバIC47に対して制御信号を出力して、ドライバIC47内のスイッチング素子(図示せず)のON/OFF状態を切り替えて、コンデンサ43の充放電状態の切り替えを制御する。コンデンサ43は、スイッチング素子のON/OFF状態に応じて、図6中矢印Bで示す経路に沿って電流が流れて充電するとともに、図6中矢印Cで示す経路に沿って電流が流れて放電する。
【0073】
電流回収回路93は、トランス94と整流ダイオード95とコンデンサ96とを有しており、ミスト吸着装置7に接続されている。トランス94は、一次巻線97の一方端子がコンデンサ43のドライバIC47から電流が供給される側とは反対側の端子に接続されており、一次巻線97の他方端子がグランド(GND)に接続されている。また、トランス94は、二次巻線98の端子間に整流ダイオード95とコンデンサ96が並列に接続されている。コンデンサ96は、ノイズ除去用に設けられている。
【0074】
ドライバIC47の図示しないスイッチング素子がスイッチング動作を行い、個別電極42に駆動電位が付与されると、コンデンサ43が充電し、活性部46は圧電変形する。そして、電流回収回路93は、コンデンサ43の充電時に、駆動回路91からドライバIC47を介してコンデンサ43に供給される、図6の矢印B方向の電流が、トランス94の一次巻線97に流れることにより二次巻線98に電流を流している。また、個別電極42にグランド電位が付与されると、コンデンサ43が放電し、活性部46の変形は解消する。そして、電流回収回路93は、コンデンサ43の放電時に、コンデンサ43から放電される、図6の矢印C方向の電流が、トランス94の一次巻線97に流れることにより二次巻線98に電流を流している。そして、この二次巻線98に流れた電流をミスト吸着装置7に供給している。すなわち、駆動回路91から電流を供給して活性部46(コンデンサ43)を駆動することで、電流回収回路93によって活性部46を駆動するための電流の一部が回収されてミスト吸着装置7に供給されることになる。このとき、トランス94を用いて、一次巻線97と二次巻線98との巻き線比を適宜設定することで、ミスト吸着装置7に供給される電流を増大させることができる。
【0075】
(ミスト吸着装置の構成)
次に、ミスト吸着装置7について説明する。図5に示すように、ミスト吸着装置7は、第1電極31と、第2電極32と、ニードル電極33(第3電極部材)とを有している。図1及び図2に示すように、第1電極31は、流路ユニット29の下面に絶縁層を挟んで設けられており、複数のノズル16が形成された領域を取り囲んでいる。そして、第1電極31は、インク噴射面4aと連続した平面を有している。また、第1電極31と流路ユニット29は絶縁している。
【0076】
第2電極32は、キャップ部材21のリップ部21bの外周部を取り囲んでおり、グランド電位に保持されている。また、図5に示すように、第2電極32は、インクジェットヘッド4がキャップ部材21と対向し、キャップ部材21が空吸引位置に位置するときに、インクジェットヘッド4に設けられた第1電極31のインク噴射面4aと連続した面と微小な隙間をあけて対向する。
【0077】
ニードル電極33は、筐体1aの走査方向に関するキャップ部材21が設けられた側(図1の右方側)の内壁面に固定されている。そして、ニードル電極33は、上下方向に間隔をあけて配置された第1ニードル部33a及び第2ニードル部33bと、筐体1aの内壁面に固定され、第1ニードル部33aと第2ニードル部33bとを連結する連結部33cとを有している。
【0078】
第1ニードル部33aの先端は、インクジェットヘッド4がキャップ部材21と対向する位置に位置したときに、ヘッド基板90のトランス94の二次巻線98のプラス側端子と接触して電気的に接続される。また、第2ニードル部33bの先端は、インクジェットヘッド4がキャップ部材21と対向する位置に位置したときに、ミスト吸着装置7の第1電極31と接触して電気的に接続される。
【0079】
すなわち、インクジェットヘッド4がキャップ部材21と対向する位置に位置するときには、ニードル電極33を介してトランス94の二次巻線98のプラス側端子とミスト吸着装置7の第1電極31とが導通し、電流回収回路93とミスト吸着装置7とが電気的に接続された状態となる。また、インクジェットヘッド4がキャップ部材21と対向していないときには、トランス94の二次巻線98のプラス側端子とミスト吸着装置7の第1電極31とがニードル電極33から離れて絶縁し、電流回収回路93とミスト吸着装置7とは電気的に接続されない状態となる。
【0080】
そして、第1電極31と第2電極32は、インクジェットヘッド4がキャップ部材21と対向し、キャップ部材21が空吸引位置に位置するときに、微小な隙間をあけて対向してコンデンサ34(電荷蓄積手段:図6参照)を形成する。そして、図7(a)に示すように、ヘッド基板90(電流回収回路93)から第1電極31に電流が供給されると、第1電極31と第2電極32とから形成されるコンデンサ34が充電されて、第1電極31にプラスの電荷が蓄えられるとともに、第2電極32にマイナスの電荷が蓄えられる。
【0081】
その後、図7(b)に示すように、キャップ部材21が空吸引位置からアンキャッピング位置に移動すると、第1電極31から第2電極32が離れて、第1電極31にプラスの電荷が蓄えられたままとなる。そして、プラスの電荷が蓄積して、プラスに帯電した第1電極31は、周囲に浮遊するマイナスに帯電したミスト48をクーロン力により引き寄せて静電吸着する。
【0082】
ここで、第1電極31と第2電極32とから形成されるコンデンサ34に蓄えられる電荷量は、このコンデンサ34に印加される電圧が一定であると、コンデンサ34の静電容量に比例する。そして、コンデンサ34の静電容量は、第1電極31と第2電極32との間の距離に反比例する。したがって、コンデンサ34に蓄えられる電荷量を増やすには、第1電極31と第2電極32との間の距離をできる限り微小にする必要がある。そこで、インクジェットヘッド4に対して離接可能なキャップ部材21に第2電極32を設けることで、第1電極31と第2電極32との間の距離を微小にしたり、第1電極31から第2電極32を離したりすることができる。
【0083】
(プリンタの制御構成)
次に、制御装置8を中心とするインクジェットプリンタ1の制御系について、図8のブロック図を参照して説明する。図8に示されるインクジェットプリンタ1の制御装置8は、例えば、中央処理装置であるCPU(Central Processing Unit)と、インクジェットプリンタ1の全体動作を制御するための各種プログラムやデータなどが格納されたROM(Read Only Memory)と、CPUで処理されるデータなどを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)などを含むマイクロコンピュータを備え、ROMに格納されたプログラムがCPUで実行されることにより、以下に説明するような種々の制御を行う。あるいは、制御装置8は、演算回路を含む各種回路が組み合わされたハードウェア的なものであってもよい。
【0084】
この制御装置8は、ヘッド制御部61と、キャリッジ制御部62と、搬送制御部63と、モード選択部64と、昇降制御部65と、ポンプ制御部66とを有している。
【0085】
ヘッド制御部61は、PC60などの外部装置から入力された記録データに基づいて、インクジェットヘッド4を制御して記録用紙Pに向けてインクを噴射させ、記録用紙Pに所望の画像や文字などを記録させる。また、ヘッド制御部61は、上述した2種類のフラッシング時に、インクジェットヘッド4を制御して液受け部材39またはキャップ部材21に向けてインクを噴射させる。キャリッジ制御部62は、キャリッジ駆動モータ15を制御して、キャリッジ3を走査方向に移動させる。搬送制御部63は、搬送機構5を制御して、記録用紙Pの搬送を行わせる。
【0086】
モード選択部64は、PC60から入力された記録データの解像度に基づいて、印刷モードを選択する。印刷モードとは、ユーザが要求する印字品質の度合に応じて定められた複数のモードであり、本実施形態においては、モード選択部64は高解像度記録モードと低解像度記録モードの2つのモードを選択可能である。高解像度記録モードと低解像度記録モードを比較すると、高解像度記録モードは、低解像度記録モードに比べて、インクジェットヘッド4から噴射される液滴のサイズが小さい。そして、このように、高解像度記録モードにおいては、噴射される液滴のサイズが小さいため、低解像度記録モードに比べて、筐体1a内にミストが発生しやすく、また、記録時間が長い。
【0087】
昇降制御部65は、キャップ駆動モータ26を制御して、キャップ部材21を昇降移動させる。ポンプ制御部66は、吸引ポンプ23を制御して、吸引パージや空吸引を行わせる。
【0088】
(記録動作について)
本実施形態におけるインクジェットプリンタ1は、上述した停止フラッシングを行った後に、記録用紙Pに対してインクを噴射させて、所望の画像や文字などを記録する記録動作を行っている。そして、記録動作の途中に所定のフラッシング周期で停止フラッシングや加速フラッシングを行っている。以下では、停止フラッシングを行って、記録動作が完了するまでについて説明する。
【0089】
まず、PC60から記録データが入力されると、モード選択部64により印刷モードを選択する。そして、キャリッジ制御部62によりキャリッジ駆動モータ15を制御して、インクジェットヘッド4をキャップ部材21と対向する位置まで移動させて、ニードル電極33を介してヘッド基板90と第1電極31(電流回収回路93)とを導通させる。その後、昇降制御部65によりキャップ駆動モータ26を制御して、キャップ部材21を空吸引位置まで移動させる。そして、ヘッド制御部61によりインクジェットヘッド4を制御して、ノズル16からインクを噴射させて停止フラッシングを行う。すると、第1電極31にはプラスの電荷が蓄えられてプラスに帯電する。このとき、モード選択部64により選択された印刷モードが高解像度記録モードの場合には、低解像度記録モードの場合に比べて、停止フラッシング時にノズル16からインクを噴射させる回数(フラッシング発数)を増やす。
【0090】
これは、マイナスに帯電したミストが、プラスに帯電した第1電極31に静電吸着されると、第1電極31に蓄えられたプラスの電荷はミストとの間で中和されて減少する。ここで、高解像度記録モードでは、記録時間が長く、さらに、ノズル16から噴射される液滴径が小さく、ミストが大量に発生する。このようにミストが大量に発生すると、第1電極31に蓄えられた電荷の減少も早く、ミストの吸着力の低下が早い。そこで、高解像度記録モードの場合には、停止フラッシングにおけるノズル16からインクを噴射させる回数を増やすことで、第1電極31を大きな電荷量で帯電させることができる。これにより、記録動作の間、ミストの吸着力を高めた状態を維持することができる。
【0091】
その後、キャリッジ制御部62によりキャリッジ駆動モータ15を制御して、インクジェットヘッド4を記録領域まで移動させようとして、ニードル電極33から離れてヘッド基板90と第1電極31とが絶縁した後に、昇降制御部65によりキャップ駆動モータ26を制御して、キャップ部材21をアンキャッピング位置まで移動させる。
【0092】
これは、ヘッド基板90と第1電極31とを導通させて停止フラッシングを行うことで、第1電極31と第2電極32との間に電流が流れて、電位差が発生する。そして、第1電極31と第2電極32との間に電位差が発生している状態で、第1電極31から第2電極32を離すと電位差が大きくなる。そこで、停止フラッシング後に、ヘッド基板90と第1電極31とを絶縁させてから、第1電極31から第2電極32を離すことで、高電圧がヘッド基板90に入り込み、過電圧で故障するおそれを失くすことができる。
【0093】
また、仮に、停止フラッシングを行うときに、キャップ部材21がキャッピング位置に位置してインク噴射面4aに接触していると、キャップ部材21をインク噴射面4aから離す前に、ニードル電極33から離れてヘッド基板90と第1電極31とを絶縁させるのは困難である。しかしながら、停止フラッシングを行うときに、キャップ部材21が空吸引位置に位置していることで、アンキャッピング時に比べて、第1電極31と第2電極32との間の距離を微小にすることができ、上述したように、停止フラッシング後に、ヘッド基板90と第1電極31とを絶縁させてから、第1電極31から第2電極32を離すことができる。
【0094】
そして、PC60から入力された記録データに基づき、インクジェットヘッド4のドライバIC47、キャリッジ駆動モータ15、及び、搬送機構5をそれぞれ制御して、記録用紙Pへの記録動作を行わせる。このとき、記録用紙Pへノズル16からインクを噴射させることにより発生したミストを、クーロン力によりプラスに帯電した第1電極31に引き寄せて静電吸着させることができる。
【0095】
なお、印刷の途中においても所定のフラッシング周期でフラッシングを行っている。本実施形態においては、通常、フラッシングにかかる時間を短くするために加速フラッシングを行うが、数周期おきに加速フラッシングではなく、停止フラッシングを行う。このとき、モード選択部64により選択された印刷モードが高解像度記録モードの場合には、低解像度記録モードの場合に比べて、停止フラッシングを行う間隔を短くする。
【0096】
例えば、以下のように設定することができる。
[高解像度記録モード]
3周期に1回、加速フラッシングではなく停止フラッシングを行う。
[低解像度記録モード]
5周期に1回、加速フラッシングではなく停止フラッシングを行う。
【0097】
これは、上述したように、高解像度記録モードでは、低解像度記録モードに比べて、第1電極31に蓄えられた電荷の減少が早く、ミストの吸着力の低下が早い。そこで、高解像度記録モードの場合には、フラッシングの頻度を多くすることで、第1電極31を大きな電荷量で十分に帯電させた状態で、記録動作を行うことができ、記録動作の間、ミストの吸着力を高めた状態を維持することができる。
【0098】
本実施形態のインクジェットプリンタ1によると、ノズル16からインクを噴射するためにインクジェットヘッド4を駆動するときに、駆動回路91から供給された電流の一部を回収して、ミスト吸着装置7を駆動するために有効利用している。これにより、ミスト吸着装置7を駆動するための専用の駆動回路が必要なくなり、エネルギー効率を高めることができ、且つ、コストを低減することができる。
【0099】
また、このようにミスト吸着装置7を駆動するためにインクジェットヘッド4を駆動する動作として、記録用紙Pにインクを噴射させる動作ではなく、停止フラッシングを用いている。そして、この停止フラッシングを行うときにキャップ部材21を空吸引位置に位置させていることで、アンキャッピング位置に位置させている場合に比べて、第1電極31と第2電極32を微小な距離まで近接させることができる。したがって、第1電極31と第2電極32との間に形成されるコンデンサ34の静電容量を大きくすることができ、第1電極31に蓄えられる電荷量を増大させることができる。
【0100】
そして、その後にインク噴射面4aからキャップ部材21を離せば、第1電極31と第2電極32が離れて、第1電極31には電荷が蓄えられたままになっており、インクジェットヘッド4に設けられた第1電極31に大量にミストを静電吸着させることができる。
【0101】
ここで、仮に、キャップ部材21をキャッピング位置に位置させて、ノズル16をキャップ部材21で覆った密閉状態で停止フラッシングを行うと、ノズル16からインクが噴射されにくいおそれがある。そこで、空吸引位置で停止フラッシングを行うと、ノズル16からインクが噴射されてノズル16の乾燥をより確実に防止することができる。すなわち、ミスト吸着装置7に電流を流すためにインクジェットヘッド4を駆動したいが、インクを消費しないようにノズル16からインクをあまり噴射させたくない場合、例えば、記録動作での全てのノズル16からのインクの噴射回数が多く、全てのノズル16についてフラッシングによりインクを噴射させる必要がない場合には、キャップ部材21をキャッピング位置に位置させて、ノズル16をキャップ部材21で覆った密閉状態で停止フラッシングを行うのが好ましい。
【0102】
また、キャップ部材21の昇降移動を利用して、第1電極31と第2電極32とを微小な距離まで近づけて電荷量を増大させており、別個に第1電極31と第2電極32とを微小な距離まで近づけるための構成を設ける必要がなく、インクジェットプリンタ1を小型化し、且つ、コストを低減することができる。
【0103】
また、第1電極31は、流路ユニット29の下面において複数のノズル16が形成された領域を取り囲んでいる。これにより、ノズル16からインクを噴射させることで発生したミストを吸着させやすい。具体的には、図9に示すように、記録動作時に、インクジェットヘッド4を走査方向の一方(矢印D方向:図5の右方)に移動させながら、ノズル16からインクを噴射させているときには、ノズル16からインクを噴射させることで発生したミストは、インクジェットヘッド4の移動している方向の下流側に矢印Eのようなうず流を形成して浮遊する。したがって、第1電極31が複数のノズル16が形成された領域を取り囲んでいることで、インクジェットヘッド4が双方向印字する構成であり、インクジェットヘッド4がどちらの方向へ走行時にインクを噴射させてミストを発生しても吸着させやすい。
【0104】
さらに、第1電極31はインク噴射面4aと連続した平面となっており、ワイパー22によりインク噴射面4aを払拭するときに、第1電極31に吸着したミストも拭き取ることができる。
【0105】
また、圧電アクチュエータ30は圧電効果を利用して対象を駆動しているため、容量式であり電荷を溜めるために充電時に多くの電流を必要としている。また、充電完了した後には放電して無駄に電流を廃棄している。そのため、エネルギー効率が比較的低い。そこで、この圧電アクチュエータ30を駆動するための電流の一部をミスト吸着装置7に用いることで、ミスト吸着装置7にも駆動に必要な電流を十分に供給することができ、エネルギー効率を高めることができる。
【0106】
次に、前記実施形態に種々の変更を加えた変更形態について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
【0107】
1)上述した実施形態においては、インクジェットヘッド4に設けられた第1電極31に第2電極32を近づける構成として、インク噴射面4aに対して離接移動するキャップ部材21に第2電極32を設けていたが、第2電極32はキャップ部材21以外の部材に設けられてもいい。
【0108】
例えば、図10(a)に示すように、第1電極131は、インクジェットヘッド104の走査方向に関する液受け部材39側の側面に設けられている。第2電極132は、筐体1aの走査方向に関する液受け部材39側の内壁面に固定されており、グランド電位に保持されている。また、第2電極132の、第1電極131と対向する表面には、誘電体134が配置されている。そして、第1電極131とヘッド基板90(電流回収回路93)とはスイッチ133を介して接続されている(変形例1)。
【0109】
そして、図10(b)に示すように、停止フラッシング時には、スイッチ133がOFFの状態で、まず、インクジェットヘッド104を液受け部材39と対向する位置(図1の左端)まで移動させる。すると、第1電極131が誘電体134を挟んで第2電極132と微小な隙間をあけて対向する。その後、スイッチ133をONした状態で、インクジェットヘッド104を駆動して、液受け部材39に対してノズル16からインクを噴射させる。
【0110】
これにより、ヘッド基板90(電流回収回路93)から第1電極131に電流が供給されると、第1電極131にプラスの電荷が蓄えられるとともに、第2電極132にマイナスの電荷が蓄えられる。このとき、第1電極131と第2電極132との間に誘電体134が介在していることで、第1電極131と第2電極132とから形成されるコンデンサ34の静電容量が大きくなり、電荷量が増大する。その後、スイッチ133をOFFして、インクジェットヘッド104を記録領域に移動させる。
【0111】
これによっても、フラッシングを行いつつ、第1電極131を帯電させることができ、さらに、インクジェットヘッド104を筐体1a内の端まで位置させて筐体1aに設けられた第2電極132とインクジェットヘッド104に設けられた第1電極131との隙間を微小にすることで、第1電極131に帯電する電荷量を増大させて、大量のミストを静電吸着させることができる。このとき、第1電極131と第2電極132との間に誘電体134が介在していることで、第1電極131に帯電させることが可能な電荷量を増大させることができる。そのため、静電容量を大きくするために、第1電極131と第2電極132との間の隙間の距離を近づけすぎなくてもよく、第1電極131と第2電極132との間の距離に関する位置制御が容易となる。
【0112】
また、本変形例において、インクジェットヘッド104を記録領域に移動させて、第1電極131と第2電極132とが離れる前に、スイッチ133をOFFにして、ヘッド基板90と第1電極131とを絶縁させているため、第1電極131と第2電極132とを離すことで発生する高電圧がインクジェットヘッド104に入り込み、過電圧で故障するおそれを失くすことができる。なお、誘電体134は、第2電極132側に設けられずに、第1電極131側に設けられてもよい。また、本変形例において、誘電体は設けられていなくてもよい。また、当然のことながら、上述した実施形態において、第1電極31と第2電極32との間に誘電体を設けてもよい。
【0113】
2)上述した変形例1に加えて、図11に示すように、第1電極235が、第1電極131に加えて、インクジェットヘッド204の走査方向に関するキャップ部材21側の側面に設けられている。すなわち、インクジェットヘッド204の走査方向両側に第1電極131、235が設けられている。また、第2電極236が、第2電極132に加えて、筐体1aの走査方向に関するキャップ部材21側の内壁面に固定されており、グランド電位に保持されている。すなわち、筐体1aの走査方向に関する両側の内壁面に第2電極132、236が設けられている。また、第2電極236の、第1電極235と対向する表面には、誘電体237が配置されている。そして、第1電極235とヘッド基板90(電流回収回路93)とは、スイッチ238を介して接続されている(変形例2)。
【0114】
そして、停止フラッシングとして、変形例1と同様に、スイッチ133、238がOFFの状態で、インクジェットヘッド204を液受け部材39と対向する位置(図11の左端)まで移動させて、第1電極131と第2電極132とを微小な隙間をあけて対向させる。その後、スイッチ133をON、スイッチ238がOFFした状態で、インクジェットヘッド204を駆動して、液受け部材39に対してノズル16からインクを噴射させる。これにより、第1電極131にプラスの電荷が蓄えられる。
【0115】
また、停止フラッシングとして、スイッチ133、238がOFFの状態で、インクジェットヘッド204をキャップ部材21と対向する位置(図11の右端)まで移動させて、第1電極235と第2電極236とを微小な隙間をあけて対向させる。その後、スイッチ238をON、スイッチ133をOFFした状態で、インクジェットヘッド204を駆動して、キャップ部材21に対してノズル16からインクを噴射させる。これにより、第1電極235にプラスの電荷が蓄えられる。
【0116】
このように、走査方向の両側でそれぞれ停止フラッシングを行って、インクジェットヘッド204の走査方向両側の第1電極131、235にプラスの電荷を蓄えて帯電させることができる。したがって、インクジェットヘッド4が双方向印字する構成であり、インクジェットヘッド4がどちらの方向へ走行時にインクを噴射させてミストを発生しても吸着させやすい。また、インクジェットヘッド204の走査方向の両側に第1電極131、235が配置されることで、仮に片側だけに配置される場合に比べて、バランスが取りやすい。
【0117】
3)上述した実施形態においては、フラッシング時においてインクジェットヘッド4を駆動するときの電流の一部を回収して、ミスト吸着装置7を駆動していたが、記録用紙Pにインクを噴射させる記録動作時においてインクジェットヘッド4を駆動するときの電流の一部を回収して、ミスト吸着装置7を駆動してもよい(変形例3)。ただし、記録動作時には、インクジェットヘッド4は走査方向に移動しており、インクジェットヘッド4に設けられた第1電極31と第2電極32とを近接させた状態を維持し、電荷を蓄えるのは困難である。そこで、以下に説明するように電流回収回路に充電回路を設けてもよい。
【0118】
例えば、図12に示すように、電流回収回路393は、スイッチ394と電解コンデンサ395とを有しており、上述した実施形態と同じミスト吸着装置7に接続されている。スイッチ394は、圧電アクチュエータ30のコンデンサ43とミスト吸着装置7との間に接続されている。電解コンデンサ395は、ミスト吸着装置7のコンデンサ34とスイッチ394を挟んで並列に接続されている。
【0119】
そして、スイッチ394をOFFにして、インクジェットヘッド4を駆動して、記録用紙Pにインクを噴射させる。すると、コンデンサ43へ供給された電流の一部が電解コンデンサ395に充電される。そして、記録用紙Pへのインクの噴射が終了した後に、インクジェットヘッド4をキャップ部材21と対向する位置まで移動させて、キャップ部材21を空吸引位置まで移動させる。
【0120】
続いて、スイッチ394をONすると、電解コンデンサ395から放電される電流が、第1電極31と第2電極32との間に形成されるコンデンサ34に供給されて、コンデンサ34が充電される。その後、キャップ部材21をアンキャッピング位置まで移動させることで、第1電極31に帯電したプラスの電荷により、ミストを静電吸着させることができる。なお、本変形例のように電流回収回路93に充電回路を設けた場合には、記録動作時に加えてフラッシング時も含めた、全てのインクジェットヘッド4を駆動する動作において、インクジェットヘッド4に供給された電流の一部を回収することができ、さらにエネルギー効率を高めることができる。
【0121】
4)上述した実施形態においては、モード選択部64が選択可能なモードとしては、高解像度記録モードと低解像度記録モードとの2つのモードを例に挙げて説明したが、これらのモードに加えて、より複数のモードが選択可能であってもよい。この場合、各モード内でノズル16から噴射される最も小さな液滴のサイズに応じて、停止フラッシングにおけるフラッシング発数や、停止フラッシングを行う間隔を設定すればよい。また、モード選択部64が、記録動作が非常に高速なドラフトモードを選択可能な場合には、記録動作にかかる時間が非常に短い。したがって、記録動作前の停止フラッシングにおけるフラッシング発数を少なくし、記録動作の途中においては停止フラッシングを行わずに、加速フラッシングのみを行ってもよい。これにより、記録動作が完了するまでの時間をさらに短くすることができる。
【0122】
5)上述した実施形態においては、ノズル16からインクを噴射させるアクチュエータとして圧電式を用いており、この圧電アクチュエータ30を駆動するときに供給される電流の一部を電流回収回路93に回収させていたが、アクチュエータは圧電式に限らず、サーマル式または静電式などであってもよい。例えば、サーマル式であれば、ノズル16からインクを噴射させるために発生した熱をペルチェ素子で回収して、そのエネルギーをミスト吸着装置7に有効利用してもよい。この場合、アクチュエータを駆動するエネルギーの一部として、電流ではなく、熱エネルギーを回収することになる。このように、アクチュエータの駆動時に回収するエネルギーとしては、電流に限らず、上述した熱エネルギーなどいかなるエネルギーであってもよい。
【0123】
6)上述した実施形態においては、ミストを除去する装置として、ミストを静電吸着させるミスト吸着装置7を用いたが、これに限らず、例えば、ファンを設けて、電流回収回路93により回収した電流を有効利用して、ファンを駆動してもよい。
【0124】
7)上述した実施形態においては、ミストがマイナスに帯電していることから、インクジェットヘッド4に設けられた第1電極31をプラスに帯電させていたが、仮に、ミストがプラスに帯電しているのであれば、回路構成を逆にすれば、第1電極31をマイナスに帯電させて、プラスに帯電したミストを静電吸着させることも可能である。
【0125】
8)上述した実施形態においては、第2電極32を第1電極31に対して離接させる構成として、昇降移動可能なキャップ部材21を利用したが、第2電極32を第1電極31に対して離接させるための専用の離接機構を設けてもよい。この離接機構をインクジェットヘッド4に設ければ、フラッシング時に加えて、記録動作時にインクジェットヘッド4を駆動したときにも第1電極31に電荷を蓄えることができる。
【0126】
9)以上説明した実施形態及びその変更形態は、記録用紙にインクを噴射して文字や画像などを記録するインクジェットプリンタに本発明を適用した一例であるが、本発明の適用対象は、このような用途に使用されるものに限られない。すなわち、インク以外のさまざまな種類の液体をその用途に応じて対象に噴射する、種々の液体噴射装置に本発明を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0127】
1 インクジェットプリンタ
4 インクジェットヘッド
7 ミスト吸着装置
16 ノズル
31 第1電極
32 第2電極
34 コンデンサ
91 駆動回路
93 電流回収回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を噴射するノズルを有する液体噴射ヘッドと、
前記液体噴射ヘッドを駆動するための駆動エネルギーを出力する駆動装置と、
前記駆動装置から前記液体噴射ヘッドへ供給される駆動エネルギーの一部を回収するエネルギー回収手段と、
前記エネルギー回収手段によって回収された駆動エネルギーが供給されて、供給されたエネルギーを用いてミストを除去するミスト除去装置と、を備えていることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
前記エネルギー回収手段は、前記液体噴射ヘッドから駆動エネルギーの一部を回収して前記ミスト除去装置へ供給しており、
前記ミスト除去装置は、供給されたエネルギーによって充電されて、ミストと異なる極性の電荷を蓄積する電荷蓄積手段を有していることを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
【請求項3】
前記エネルギー回収手段は、前記液体噴射ヘッドから電流の一部を取り込んで駆動エネルギーを回収し、回収した駆動エネルギーを電流にして前記電荷蓄積手段へ供給することを特徴とする請求項2に記載の液体噴射装置。
【請求項4】
前記液体噴射ヘッドの前記ノズルが開口した液体噴射面を覆うキャッピング位置と前記液体噴射面から離れたアンキャッピング位置とに移動可能なキャップ部材をさらに備え、
前記エネルギー回収手段は、乾燥防止のために前記ノズルから液体を排出させるフラッシング時に前記液体噴射ヘッドへ供給される駆動エネルギーの一部を回収しており、
前記電荷蓄積手段は、
前記液体噴射ヘッドの前記液体噴射面の外周部分に配置された第1電極部材と、
前記キャップ部材に設けられ、前記キャップ部材が前記キャッピング位置に位置するときに、前記アンキャッピング位置に位置するときよりも前記第1電極部材に近い位置で前記第1電極部材と隙間をあけて対向して配置される第2電極部材と、を有しており、
前記第1電極部材または前記第2電極部材は、前記エネルギー回収手段に接続されており、
前記キャップ部材を前記キャッピング位置に位置させて前記フラッシングを行うと、前記第1電極部材と前記第2電極部材との間に前記エネルギー回収手段から電流が供給されることを特徴とする請求項3に記載の液体噴射装置。
【請求項5】
前記キャップ部材に形成された吸引口に接続され、前記キャップ部材が前記キャッピング位置に位置する状態において、前記キャップ部材内を吸引し、前記ノズルから液体を排出する吸引パージを行う吸引手段をさらに備え、
前記キャップ部材は、前記アンキャッピング位置よりも前記キャッピング位置に近く、前記液体噴射面から離れた位置であり、且つ、前記吸引パージ後に前記キャップ部材内に受容された液体を吸引排出する中間位置に移動可能であり、
前記電荷蓄積手段は、前記キャップ部材を前記中間位置に位置させて前記フラッシングを行うと、前記第1電極部材と前記第2電極部材との間に前記エネルギー回収手段から電流が供給されることを特徴とする請求項4に記載の液体噴射装置。
【請求項6】
前記液体噴射ヘッドを所定の走査方向に往復移動させる走査手段と、
前記液体噴射ヘッドの移動範囲内における前記走査方向の一方端部に配置され、前記液体噴射ヘッドから噴射された液体を受容する液体受容部と、をさらに備え、
前記エネルギー回収手段は、乾燥防止のために前記ノズルから液体を排出させるフラッシング時に前記液体噴射ヘッドへ供給される駆動エネルギーの一部を回収しており、
前記電荷蓄積手段は、
前記液体噴射ヘッドの、前記走査方向の前記一方側の側面に配置された第1電極部材と、
前記第1電極部材と向かい合う前記一方端部に設けられた壁面に配置され、前記液体噴射ヘッドを前記一方端部に移動させた状態において、前記第1電極部材との間に隙間を有する第2電極部材と、を有しており、
前記液体噴射ヘッドが前記走査手段により前記一方端部に移動されて前記液体受容部と対向した状態で、前記フラッシングを行うと、前記第1電極部材と前記第2電極部材との間に前記エネルギー回収手段から電流が供給されることを特徴とする請求項3に記載の液体噴射装置。
【請求項7】
前記エネルギー回収手段と前記電荷蓄積手段の前記第1電極部材とを、電気的に接続させた導通状態と電気的に接続しない非導通状態とに切り換える第1切換手段をさらに備え、
前記第1切換手段は、前記フラッシングの間、前記エネルギー回収手段と前記第1電極部材との間を前記導通状態にしておき、前記フラッシング後に前記第1電極部材に対して前記第2電極部材が離れる方向に相対移動する前に、前記エネルギー回収手段と前記第1電極部材との間を前記非導通状態に切り換えることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の液体噴射装置。
【請求項8】
前記液体噴射ヘッドを所定の走査方向に往復移動させる走査手段をさらに備え、
前記キャップ部材は、前記液体噴射ヘッドの移動範囲内における前記走査方向の一方端部に配置されており、
前記一方端部に設けられた壁面に配置され、前記液体噴射ヘッドが前記走査手段により前記一方端部に移動された状態で、前記エネルギー回収手段と前記第1電極部材とに接触して両者を電気的に接続する第3電極部材が設けられていることを特徴とする請求項4または5に記載の液体噴射装置。
【請求項9】
前記液体噴射ヘッドは、被記録媒体に画像を記録するものであり、前記被記録媒体に画像を記録する記録動作前に前記フラッシングを行っており、
前記記録動作前の前記フラッシング時に、前記液体噴射ヘッドへ供給される駆動エネルギーの一部を回収して、前記電荷蓄積手段によってミストと異なる極性の電荷を蓄積することを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の液体噴射装置。
【請求項10】
前記エネルギー回収手段によって回収された駆動エネルギーを貯めるとともに、その貯めた駆動エネルギーを電流にして放出することが可能な充電装置と、
前記液体噴射ヘッドの前記ノズルが開口した液体噴射面を覆うキャッピング位置と前記液体噴射面から離れたアンキャッピング位置とに移動可能なキャップ部材と、
前記充電装置と前記電荷蓄積手段とを、電気的に接続させる導通状態と電気的に接続しない非導通状態とに切り換える第2切換手段と、をさらに備え、
前記電荷蓄積手段は、
前記液体噴射ヘッドの前記液体噴射面の外周部分に配置された第1電極部材と、
前記キャップ部材に設けられ、前記キャップ部材が前記キャッピング位置に位置するときに、前記アンキャッピング位置に位置するときよりも前記第1電極部材に近い位置で前記第1電極部材と隙間をあけて対向して配置される第2電極部材と、を有しており、
前記第2切換手段により前記充電装置と前記電荷蓄積手段との間を前記非導通状態に切り換え、前記液体噴射ヘッドを駆動した後、前記キャップ部材を前記キャッピング位置に位置させて、前記第2切換手段により前記充電装置と前記電荷蓄積手段との間を前記導通状態に切り換えると、前記第1電極部材と前記第2電極部材との間に前記充電装置から電流が供給されることを特徴とする請求項3に記載の液体噴射装置。
【請求項11】
前記液体噴射ヘッドを制御する噴射制御手段をさらに備えており、
前記液体噴射ヘッドは、被記録媒体に画像を記録するものであり、前記ノズルから複数種類のサイズの異なる液滴を噴射可能であり、
前記噴射制御手段は、低解像度記録モードとこれよりも解像度の高い高解像度記録モードの少なくとも2つの記録モードから1つのモードを選択し、前記高解像度記録モードを選択したときには、前記低解像度記録モードを選択したときよりも前記ノズルから小さな液滴を噴射させており、
さらに、前記噴射制御手段は、
選択したモードが前記高解像度記録モードの場合には、前記低解像度記録モードの場合に比べて、所定期間内に行われる前記フラッシングの頻度を少なくすることを特徴とする請求項4〜9のいずれか1項に記載の液体噴射装置。
【請求項12】
前記液体噴射ヘッドを制御する噴射制御手段をさらに備えており、
前記液体噴射ヘッドは、被記録媒体に画像を記録するものであり、前記ノズルから複数種類のサイズの異なる液滴を噴射可能であり、
前記噴射制御手段は、低解像度記録モードとこれよりも解像度の高い高解像度記録モードの少なくとも2つの記録モードから1つのモードを選択し、前記高解像度記録モードを選択したときには、前記低解像度記録モードを選択したときよりも前記ノズルから小さな液滴を噴射させており、
さらに、前記噴射制御手段は、
選択したモードが前記高解像度記録モードの場合には、前記低解像度記録モードの場合に比べて、前記フラッシングにおける前記ノズルから液体を噴射させる回数を増やすことを特徴とする請求項4〜9のいずれか1項に記載の液体噴射装置。
【請求項13】
前記電荷蓄積手段は、前記第1電極部材と前記第2電極部材の互いに対向する面の少なくとも一方の面に、誘電体を設けていることを特徴とする請求項4〜12のいずれか1項に記載の液体噴射装置。
【請求項14】
前記液体噴射ヘッドは、前記ノズルを含む個別流路と、前記個別流路内の液体に噴射エネルギーを付与する圧電アクチュエータと、を有していることを特徴とする請求項3〜13のいずれか1項に記載の液体噴射装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図12】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2013−71443(P2013−71443A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214594(P2011−214594)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】