説明

液体噴霧ノズル

【課題】液体の粒径を微細化して噴霧する液体噴霧ノズルを提供する。
【解決手段】ノズル本体20と弁10を具備する液体噴射ノズルであって、前記ノズル本体20には、噴射開口3、内室11、及び、液体供給路7がこの順で設けられて、かつ、それぞれ連通しており、前記弁10は、弁体1と弁棒1’’から構成されており、前記弁体1が、前記噴射開口3に設けられた弁座2に着座するように、弾性体4で付勢された液体噴射ノズルにおいて、前記内室11と液体供給路7との間に、絞り6を設けることにより、前記弁体1が自励的に高速開閉を繰り返すようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体の粒径を微細化して噴霧する液体噴霧ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1のように、液体の粒径を微細化して噴霧する場合、ノズルに小径孔を設け、高圧の液体を供給することで、液体を微細化して噴霧していた。
噴霧される粒径は、ノズル孔径が小さい程、また、供給圧が高い程、小径にすることができる。このため、供給する液体は高圧であることが必要(エネルギーが多く必要)となっていた。また、ノズルを小径孔に加工するのは難しく、かつ、高コストになるという問題点が生じていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭56−7911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記問題に鑑み、液体の粒径を微細化して噴霧する液体噴霧ノズルを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、ノズル本体(20)と弁(10)を具備する液体噴射ノズルであって、前記ノズル本体(20)には、噴射開口(3)、内室(11)、及び、液体供給路(7)がこの順で設けられて、かつ、それぞれ連通しており、前記弁(10)は、弁体(1)と弁棒(1’’)から構成されており、前記弁体(1)が、前記噴射開口(3)に設けられた弁座(2)に着座するように、弾性体(4)で付勢された液体噴射ノズルにおいて、前記内室(11)と液体供給路(7)との間に、絞り(6)を設けることにより、前記弁体(1)が自励的に高速開閉を繰り返すようにしたことを特徴とする液体噴射ノズルである。
これにより、ノズル先端の開閉弁から放出される液体は高速で断続されるため、供給圧が低くても、噴霧される液体の粒径を微細化して連続噴霧することができる。また、噴霧される粒径を微細にするために、小径ノズル孔を加工する必要はなく、供給圧を高くする必要もなく、省エネルギー上や加工上の利点を有する。
【0006】
請求項2の発明は、前記弁体(1)において、弁座(2)に着座する面が球面状部(1’)となっていることを特徴とする請求項1の発明の液体噴射ノズルである。
これにより、弁体1は傾いても弁座2との密封性が良く、弁体が半開き状態のままと成ることがない。
なお、上記に付した符号は、後述する実施形態に記載の具体的実施態様との対応関係を示す一例である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】複数の小径孔を設け、高圧の液体を供給することで、液体を微細化して噴霧するノズルの一例を示す参考図であり、(a)はその正面図であり、(b)は断面図である。
【図2】本発明の一実施態様とその作動を示す概要図であり、(a)はノズル弁体が閉鎖されたときの図であり、(b)はノズル弁体が開放されたときの図である。
【図3】図2の正面図である。
【図4】本発明の他の実施態様を示す概要図である。
【図5】弁体の着座面の別の実施態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態を説明する。各実施態様について、同一構成の部分には、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0009】
図1は、複数の小径孔を設け、高圧の液体を供給することで、液体を微細化して噴霧するノズルの一例を示す参考図であり、(a)はその正面図であり、(b)は断面図である。この一例では、A方向から高圧の液体が供給されると、ノズル本体20に設けられた液体供給路7及び内室11を通って、複数の小径墳口12にて液体の粒径を微細化して連続噴霧する。噴霧される液体の粒径を微細化して連続噴霧するためには、墳口12を小径化し高圧の液体を供給する必要があった。噴霧される粒径を微細にするには、ノズル孔径を小さくし、供給圧を高くしなければならなかった。このため、供給する液体を高圧にし、ノズルを小径孔にするため、省エネルギー上や加工上の問題点が生じていた。
【0010】
これに対して、本発明の一実施態様は次のようなものである。
図2は、本発明の一実施態様とその作動を示す概要図であり、(a)はノズル弁体が閉鎖されたときの図であり、(b)はノズル弁体が開放されたときの図である。図3は図2の正面図である。
【0011】
図2に示すように、ノズル本体20には、A方向からの順でいうと、液体供給路7、絞り6、内室11、噴射開口3がこの順に設けられている。内室11の内径は、液体供給路7、噴射開口3の内径に比して大きく設定され、ある程度の容量を持っている。
弁10は、弁体1と弁棒1’’から構成されている。弁体1が、噴射開口3に設けられた弁座2に着座するように、弾性体4でA方向と反対方向に付勢されている。すなわち供給流体圧に対して、ばね力にて弁体1が閉鎖されるように付勢されている。図2の実施態様の場合は、弾性体4はばねであり、ばね4は、内室11の前面側(噴射開口3側)と弁棒1’’の後端部に設置された受け板5との間に設けられている。ばね4はゴム等の一般的弾性体を使用しても良い。
また、弁体1において、弁座2に着座する面が球面状部1’となっている。球面状部1’は、噴射開口3に対してノズル外部から着座している。この実施態様では、弁体1は傾いても弁座2との密封性が良い球面状が望ましい。このシール性は重要でシール性が甘いと半開き状態のままと成り、後述するような自励的な開閉は繰り返されないので注意が必要である。
【0012】
次に、図2の(a)、(b)を参照して、本実施態様の作動について説明する。
A方向から液体が供給されると、液体は、ノズル本体20に設けられた液体供給路7から、絞り6を通過して内室11に至る。絞り6を通り内室11へ供給された液体により、内室11の圧力が上昇すると、図2の(b)に示すように、ばね力で弁座2に押付けられている弁体1が、弁座2から離れ液体は外部へ噴射される。
【0013】
ここで液体が噴射されると、絞り6があるため、内室11への液体の供給は追いつかず内室11の圧力は低下し弁体1は再度閉鎖状態に戻る。したがって、このようにして弁10の閉と開は自励的に高速に繰り返されることになる。そして、閉と開を高速で繰り返すと、供給圧が低くても開放時に噴射される液体は、粒径が微細化して噴霧されるのである。なお、弁10とばね4の質量−ばね定数、絞り6の開度、内室11の容積、供給液体圧等は、液体噴霧の観点から、自励的振動が適切に発生されるように、経験的に調整される。従来一般的な弁類においてはいわゆる自励振動の発生は望ましいことではなかった(機械工学便覧流体機械γ2−238ページ等参照)が、本実施態様においては、むしろ液体噴霧に積極的に活用をする点で、従来の一般的な弁類の技術と大きく相違するものである。
本実施態様では、ノズルの先端部に開閉弁10、ノズル入口部に流体の絞り6を配置することにより、開閉弁10は自励的に開と閉を高速で繰り返す。ノズル先端の開閉弁10から放出される液体は高速で断続されるため、供給圧が低くても、微細化して噴霧されることになる。
【0014】
次に、他の実施態様について説明する。
図4は、本発明の他の実施態様を示す概要図である。
この実施態様においては、弁棒1’’は円筒部32を貫通している。弁棒1’’と円筒部32内面との間隙は、弁体1の自励的開閉を妨げないように調整されている。円筒部32は3本のステム31によりバルブ本体に支持されており、ステム31間の間隙は流路30となっている。円筒部32にスペーサを介して受け板5’が設けられ、受け板5、5’間にはばね4が設けられている。この実施態様に限らず、受け板には、必要な場合には通孔をもうけて、液体の流通を阻害しないようにしても良い。ばね4はゴム等の一般的弾性体を使用しても良い。この実施態様の場合ゴム等の保持が容易である。その他は、一実施形態と同一構成なので、その説明を省略する。
この実施態様では、弁体1の開閉が比較的安定しており、必ずしも、弁体1の弁座2に着座する面が球面状部1’である必要性が少ない。図5は、弁体の着座面の別の実施態様を示す図である。弁体1の弁座2に着座する面を円錐状にした場合の実施態様である。この場合は着座面の加工が容易になる。
【0015】
本発明の液体噴射ノズルは、微細噴霧を必要とする用途にすべて適用が可能である。コーティング、塗料、水、薬品、燃料等の液体の微細噴霧において当業者が適宜改変して用いることができる。
【符号の説明】
【0016】
1 弁体
2 弁座
3 噴射開口
4 弾性体、ばね
5、5’ 受け板
6 絞り
7 液体供給路
10 弁
11 内室
12 噴口
20 ノズル本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズル本体(20)と弁(10)を具備する液体噴射ノズルであって、
前記ノズル本体(20)には、噴射開口(3)、内室(11)、及び、液体供給路(7)がこの順で設けられて、かつ、それぞれ連通しており、
前記弁(10)は、弁体(1)と弁棒(1’’)から構成されており、前記弁体(1)が、前記噴射開口(3)に設けられた弁座(2)に着座するように、弾性体(4)で付勢された液体噴射ノズルにおいて、
前記内室(11)と液体供給路(7)との間に、絞り(6)を設けることにより、前記弁体(1)が自励的に高速開閉を繰り返すようにしたことを特徴とする液体噴射ノズル。
【請求項2】
前記弁体(1)において、弁座(2)に着座する面が球面状部(1’)となっていることを特徴とする請求項1に記載の液体噴射ノズル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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