説明

液体噴霧装置

【課題】 本発明の目的は、液体を噴霧部から噴霧する液体噴霧装置において、噴霧されるミストを十分に微粒化することができ、更には、その微粒化されたミストの粒径を簡単に調整することができる技術を提供する点にある。
【解決手段】 液体Lを噴霧部3から噴霧する液体噴霧装置100において、液体LにガスGを溶解するガス溶解手段1と、ガス溶解手段1から噴霧部3に導かれる液体Lからガスを気化分離する気化分離手段2とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を噴霧部から噴霧する液体噴霧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような噴霧部から液体のミストを噴霧する液体噴霧装置として、浴室に温水のミストを噴霧することで、浴室をミストサウナとして利用するミストサウナ装置が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0003】
また、このような液体噴霧装置では、噴霧部から噴霧されるミストの粒径を、使用者の嗜好やその利用用途等に合わせて、できるかぎり微細化することが望まれる場合がある。
そこで、ディーゼルエンジンで用いられる燃料噴射装置では、噴霧部から噴射される燃料を微粒化することで排ガス中のパティキュレートを低減するための技術として、噴霧部に導かれる燃料にキャビテーションを発生させて気泡を発生させ、その気泡の消滅力により、燃料の微粒化を促進させる技術が知られている(例えば、特許文献2を参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開2001−276170号公報
【特許文献2】特開2003−83205号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献2に記載の液体噴霧装置では、排ガス中のパティキュレートの低減を目的として、噴霧部から噴霧される燃料をできるだけ微粒化するものの、その微粒化の程度、即ち噴霧される燃料の粒径を調整する技術については、その必要性が少ないことから、検討されていなかった。更に、ディーゼルエンジンでは、燃料を高圧で噴霧することから、上記の手法により、十分に微粒化された燃料のミストを得ることができるが、例えば、液体噴霧装置をミストサウナ装置として構成して、液体としての水道水を噴霧する場合には、その水道圧が比較的低いことから、噴霧部に導かれる水に十分なキャビテーションを発生させることが困難であり、噴霧部から噴霧されるミストを十分に微粒化することができなかった。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、液体を噴霧部から噴霧する液体噴霧装置において、噴霧されるミストを十分に微粒化することができ、更には、その微粒化されたミストの粒径を簡単に調整することができる技術を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係る液体噴霧装置は、液体を噴霧部から噴霧する液体噴霧装置であって、その第1特徴構成は、前記液体にガスを溶解するガス溶解手段と、
前記ガス溶解手段から前記噴霧部に導かれる液体から前記ガスを気化分離する気化分離手段とを備えた点にある。
尚、本願において、気化分離とは、液体に溶解されているガスが気化して液体から分離することを言う。
【0008】
上記第1特徴構成によれば、上記ガス溶解手段により液体にガスを溶解することにより、液体の溶存ガス量が飽和状態に近くなるので、上記気化分離手段によりその溶存ガスを良好に気化分離して、噴霧部に導かれる液体に気化分離したガスによる気泡を発生させることができる。よって、結果、その気泡の消滅力により、噴霧部から噴霧されるミストの微粒化を促進させることができる。
さらに、上記ガス溶解手段による液体へのガスの溶解量や、上記気化分離手段により液体からのガスの気化分離量を調整すれば、噴霧部に導かれる液体に発生する気泡の量を調整することができ、結果、その気泡の消滅力が変化して、噴霧部から噴霧されるミストの微粒化の程度、即ち噴霧されるミストの粒径を調整することができる。
【0009】
本発明に係る液体噴霧装置の第2特徴構成は、前記ガスが空気である点にある。
【0010】
上記第2特徴構成によれば、液体に溶解し後に気化分離されるガスとして、大気から容易に得ることができる空気を用いることにより、ガスを貯留するための装置などを別に備える必要がなく、装置コストを削減することができる。
【0011】
本発明に係る液体噴霧装置の第3特徴構成は、前記ガス溶解手段が、前記ガスが充満する密閉容器内に前記液体を投下させるように構成されている点にある。
【0012】
上記第3特徴構成によれば、ガスを密閉容器内に充満させ、その密閉容器内に液体を投下させるように構成することで、密閉容器内に投下される液体に対してガスを良好に接触させて、液体に対して良好にガスを溶解することができ、結果、噴霧部に導かれる液体からガスが気化分離されて発生する気泡の量を増加させて、噴霧部から噴霧されるミストの微粒化を一層促進させることができる。
【0013】
本発明に係る液体噴霧装置の第4特徴構成は、上記第3特徴構成に加えて、前記密閉容器内に前記液体を散布する散布ノズルを備えた点にある。
【0014】
上記第4特徴構成によれば、上記密閉容器内に液体を投下するにあたり、上記散布ノズルにより密閉容器内に液体を散布することで、液体に対するガスの接触面積を増加させて、液体に対して一層良好にガスを溶解することができる。
【0015】
本発明に係る液体噴霧装置の第5特徴構成は、上記第3又は第4特徴構成に加えて、前記密閉容器内の圧力低下に伴って開放して前記ガスを前記密閉容器内に供給し、前記密閉容器内の圧力上昇に伴って閉鎖する逆止弁を備えた点にある。
【0016】
上記第5特徴構成によれば、上記密閉容器に対する液体の供給を開始すれば、密閉容器内の圧力が上昇して上記逆止弁が閉鎖すると共に、その密閉容器内の圧力上昇に伴って密閉容器内の下方に溜まる液体が噴霧部側に押し出されて、その液体を噴霧部から噴霧することができる。一方、密閉容器に対する液体の供給を停止すれば、密閉容器内の圧力が低下して上記逆止弁が開放し、その密閉容器内の圧力低下に伴って逆止弁を介してガスを密閉容器に供給することができる。したがって、上記のような逆止弁を設けることにより、密閉容器から噴霧部への液体の供給、及び、密閉容器へのガスの供給を、例えば夫々の供給用ポンプ等を設けることなく簡単な構成で、適切に行うことができる。
【0017】
本発明に係る液体噴霧装置の第6特徴構成は、上記第3乃至第4特徴構成の何れかに加えて、前記密閉容器内から前記噴霧部に導かれる液体に対して、前記密閉容器内から抜き出された前記ガスを混入させて気泡を発生させるガス混入手段を備えた点にある。
【0018】
上記第6特徴構成によれば、上記ガス混入手段を設けることで、噴霧部に導かれる液体において、気化分離手段により気化分離されたガスによる気泡に加えて、ガスを混入させることによる気泡を発生させることができ、その多くの気泡の消滅力により、噴霧部から噴霧されるミストの微粒化を一層促進させることができる。
【0019】
本発明に係る液体噴霧装置の第7特徴構成は、前記ガス溶解手段においてガスが溶解される前記液体を冷却する冷却手段を備えた点にある。
【0020】
上記第7特徴構成によれば、上記冷却手段により液体を冷却することにより、上記ガス溶解手段においてその液体に多くのガスを溶解させることができ、結果、噴霧部に導かれる液体からガスが気化分離されて発生する気泡の量を増加させて、噴霧部から噴霧されるミストの微粒化を一層促進させることができる。
【0021】
本発明に係る液体噴霧装置の第8特徴構成は、前記気化分離手段として、前記液体を加熱する加熱手段を備えた点にある。
【0022】
上記第8特徴構成によれば、上記加熱手段により、ガスが溶解された液体を加熱することで、液体から良好にガスを気化分離して、液体に発生する気泡の量を増加させることができ、結果、噴霧部から噴霧されるミストの微粒化を一層促進させることができる。
【0023】
本発明に係る液体噴霧装置の第9特徴構成は、前記気化分離手段として、前記液体にキャビテーションを発生させるキャビテーション手段を備えた点にある。
【0024】
上記第9特徴構成によれば、上記キャビテーション手段により、ガスが溶解された液体にキャビテーションを発生させることで、液体から良好にガスを気化分離して、液体に発生する気泡の量を増加させることができ、結果、噴霧部から噴霧されるミストの微粒化を一層促進させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明にかかる液体噴霧装置の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1に示す液体噴霧装置100は、水などの液体Lを噴霧部3から噴霧してその液体LのミストMを発生するものであって、更には、供給された液体L0に空気などのガスGを溶解するガス溶解手段1と、そのガス溶解手段1から排出された液体L1からガスGを気化分離する気化分離手段2とを備える。
よって、その気化分離手段2から排出された液体L2は、ガスGが気化分離することにより発生した気泡Bが含まれた状態となっており、その気泡Bを含む液体L2を噴霧部3により噴霧することで、その気泡Bの消滅力により、噴霧部3から噴霧されるミストMの微粒化が促進される。
【0026】
更に、ガス溶解手段1においてガスGが溶解される液体L0を冷却する冷却手段4が設けられており、この冷却手段4により液体L0を冷却することにより、ガス溶解手段1において液体L0に多くのガスGが溶解されることになり、噴霧部3に導かれる液体L2において気泡Bの量が増加して、噴霧部3から噴霧されるミストMの微粒化が一層促進される。
【0027】
以下、液体噴霧装置100に設けられた各手段の具体的構成について説明を加える。
【0028】
〔ガス溶解手段〕
ガス溶解手段1としては、図2に示すように、ガスGが充満する密閉容器11内に液体L0を投下させるように構成されたガス溶解機構10として構成することができる。
そして、このガス溶解機構10により、密閉容器11内に投下される液体L0に対してガスGが良好に接触して、液体L0に対して良好にガスGが溶解される。
【0029】
具体的には、上記ガス溶解機構10は、空気であるガスGが充満する密閉容器11を備え、その密閉容器11には、液体L0が流入する流入部12が上部に設けられ、内部に溜まる液体L2が流出する流出部13が下部に設けられ、更には、逆止弁15を介して大気開放される開放部14が上部に設けられている。
また、上記供給部12には、密閉容器11内に液体L0を散布する散布ノズル12aが設けられており、この散布ノズル12aにより密閉容器11内に液体L0を散布することで、液体L0に対するガスGの接触面積が増加され、液体L0に対して一層良好にガスGが溶解される。
【0030】
上記逆止弁15は、密閉容器11内の圧力低下に伴って開放し、逆に、密閉容器11内の圧力上昇に伴って閉鎖する形態で配置されており、密閉容器11内の圧力低下に伴ってこの逆止弁15が開放すれば、空気であるガスGが密閉容器11内に供給されることになる。
【0031】
更に、密閉容器11の流入部12への液体L0の供給を断続可能な開閉弁5が設けられている。したがって、この開閉弁5を開状態とすることで、所定の供給圧で液体L0が密閉容器11内に供給され、逆に、この開閉弁5を閉状態とすることで、密閉容器11内への液体L0の供給が停止される。
【0032】
以下、このガス溶解機構10の作動状態について、説明を加える。
上記開閉弁5を開状態として密閉容器11への液体L0の供給を開始すれば、図2(a)に示すように、密閉容器11内の圧力が上昇して逆止弁15が閉鎖され、密閉容器11内は加圧状態となる。
この加圧状態となった密閉容器11内においては、散布ノズル12aから散布された液体L0に対して、密閉容器11内に充満するガスGが良好に溶解して、そのガスGが溶解した液体L1が下方に溜まることになる。
【0033】
そして、その密閉容器11内の圧力上昇に伴って、密閉容器11内の下方に溜まる液体L1が、気化分離手段2及び噴霧部3側に押し出され、噴霧部3からミストMとして噴霧される。
ここで、上記ガスGの液体L0への溶解に伴って、密閉容器11内のガスGが消費されることになるが、密閉容器11の容量をその消費程度に対して適切に設定することで、ガスGの不足を解消することができる。
【0034】
一方、上記開閉弁5を閉状態として密閉容器11への液体L0の供給を停止すれば、図2(b)に示すように、密閉容器11内の圧力が低下して逆止弁15が開放される。
この密閉容器11内においては、上記のように予め溜まっていた液体L1の液面が低下すると共に、密閉容器11内のガスGの部分の容積が増加し、更にそれに伴って、逆止弁15を介して空気であるガスGが低圧で密閉容器11内に供給され、密閉容器11内が再度ガスGにより充満される。
【0035】
更に、この密閉容器11内には、冷却手段4として、ペルチェ効果を利用して冷熱を発生するペルチェ素子40が設けられており、このペルチェ素子40が発生する冷熱により、密閉容器11内でガスGが溶解される液体L0が冷却されて、その液体L0に対するガスGの溶解量が増加されている。
【0036】
また、このペルチェ素子40の出力、即ちペルチェ素子40による液体L0の冷却量を変更すれば、液体L0へのガスGの溶解量が変化し、噴霧部3に導かれる液体L2に発生する気泡Bの量を変化し、結果、その気泡Bの消滅力が変化して、噴霧部3から噴霧されるミストMの微粒化の程度、即ち噴霧されるミストMの粒径が変化する。このことを利用して、ペルチェ素子40の出力を調整するなどの形態で、冷却手段の冷却量を調整することで、噴霧されるミストMの粒径を調整するように構成することができる。
【0037】
尚、本実施形態では、冷却手段4としてのペルチェ素子40を、ガス溶解手段1を構成する密閉容器11内に設けたが、別に、冷却手段4は、ガス溶解手段1に供給される前の液体L0を冷却するようにガス溶解手段1の上流側に設けても構わない。
【0038】
また、本実施形態のように、ガス溶解手段1をガスGが充満する密閉容器11内に液体L0を投下させるように構成する場合には、図3に示すように、その密閉容器11内から気化分離手段2及び噴霧部3側に導かれる液体L1に対して、密閉容器11内から抜き出されたガスGを混入させて気泡Bを発生させるガス混入手段50を備えることができる。
かかるガス混入手段50は、密閉容器11の下方から押し出された液体L1が流通する流路51に、上記液体L1と同様に密閉容器11の上方から押し出されたガスGを吹出す吹出し部52を配置して構成されている。また、この吹出し部52は、パンチングメタルや焼結金属などの筒状体として構成することができる。
また、上記ガス混入手段50へ供給される液体L1及びガスGの量は、夫々の流路に設けられた流量調整弁53,54の開度を調整することで適切に設定することができる。
【0039】
そして、噴霧部3に供給される液体L2には、上述した気化分離手段2により発生された気泡Bに加えて、上記ガス混入手段50により発生された気泡Bが含まれた状態となっているので、その多くの気泡Bを含む液体L2を噴霧部3により噴霧することで、その気泡Bの消滅力により、噴霧部3から噴霧されるミストMの微粒化が一層促進される。
【0040】
また、密閉容器11は逆止弁15を備えることで、液体L1とガスGとの両方をガス混入手段50側に押し出すことができ、これらをガス混入手段50側に供給するためのポンプを省略することができる。
【0041】
尚、ミストMの微粒化を良好に促進させるために、例えば液体Lの流量即ちミストMの噴霧量が500mL/minである場合には、ガス混入手段50においてその10%程度(50mL/min程度)のガスGを混入することが望ましい。また、このようにミストMの噴霧量及びガスGの混入量を設定する場合には、密閉容器11の容量を3L以上とすることで、60分間連続してミストMを噴霧することができる。
【0042】
〔気化分離手段〕
気化分離手段2としては、ガス溶解手段1から排出された液体L1を加熱する加熱手段や、同液体Lにキャビテーションを発生させるキャビテーション手段として構成することができ、夫々の詳細構成について以下に説明する。
【0043】
(加熱手段)
気化分離手段2として機能する加熱手段は、単に電気ヒータ等で構成しても構わないが、図4に示すように、液体L1を熱媒としての温水Hとの熱交換により加熱する熱交換器20として構成することができる。
【0044】
かかる熱交換器20は、内側管21とそれを外囲する外側管24とからなる2重筒状に構成されている。
そして、その内側管21内においては、一方側の端部に設けられた流入部22から液体L1が内側管21内に供給され、内側管21の他方側の端部に設けられた流出部23から加熱後の液体L2が流出する。一方、内側管21と外側管24との間においては、内側管21内における上記液体Lの流れ方向とは逆向きに温水Hが流通する形態で、流入部25から流出部26にかけて温水Hが流通する。
よって、内側管21内を通流する液体L1と、内側管21と外側管24との間を通流する温水Hとが、内側管21を介して熱交換を行うことで、液体L1が加熱されるので、その液体L1からガスGが気化分離されて気泡Bが発生し、その気泡Bを含む液体L2が流出部23から流出するようになる。
【0045】
更に、流出部26から流出して比較的低温となった温水Hは、液体L0として、ガス溶解手段1に供給しても構わない。
【0046】
この加熱手段としての熱交換器20による液体L1に対する加熱量、即ち熱交換器20に供給する温水Hの温度及び流量の一方又は両方を変更すれば、液体L1からのガスGの気化分離量が変化して、噴霧部3に導かれる液体L2に含まれる気泡Bの量が変化し、結果、その気泡Bの消滅力が変化して、噴霧部3から噴霧されるミストMの微粒化の程度、即ち噴霧されるミストMの粒径が変化する。このことを利用して、上記熱交換器20へ供給する温水Hの温度及び流量の一方又は両方を調整するなどの形態で、加熱手段による加熱量を調整することで、噴霧されるミストMの粒径を調整するように構成することができる。
【0047】
(キャビテーション手段)
気化分離手段2として機能するキャビテーション手段は、図5に示すように、噴霧部3としての噴孔36を有するキャビテーションノズル30に形成された段部34として構成することができる。
【0048】
即ち、このキャビテーションノズル30は、流入部32から円形の流路断面を有する供給路33に供給された液体L1を、その供給路33の後端側に接続された円形の流路断面を有するノズル路35に流入させて、そのノズル路35の後端側に形成された噴孔36から噴霧するように構成されている。
そして、上記ノズル路35の内径が、上記供給路33よりも十分に小さいものとすることで、供給路33とノズル路35との間に流路断面が急に縮小する形態の段部34が形成されることになる。
【0049】
そして、供給路33からノズル路31に流入する液体L1は、その段部34において、縮流の影響により減圧沸騰を起こし、これにより飽和水蒸気圧を下回った液体L1からガスGが気化分離して、気泡Bが発生する所謂キャビテーション現象が発生する。この気泡Bは圧力が高くなるノズル路35の下流側で消滅し、その気泡Bの消滅力によりノズル路35及び噴孔36近傍において乱れが発生する。即ち、上記段部34が、キャビテーション手段として機能し、この段部34によるキャビテーションにより発生した気泡Bを含む液体L2が噴孔36から噴霧されることになるので、気泡Bの消滅力により、噴孔36から噴霧されるミストMの微粒化が促進される。
【0050】
尚、本実施の形態では、噴孔4はノズル路35の内径と同じ内径の開口として構成したが、ノズル路35の噴孔36付近を段階的に又は連続的に縮径させることで、気泡Bの消滅を促進させて、ミストMの更なる微粒化を促進させても構わない。
【0051】
〔ミストサウナ装置〕
また、これまで説明してきた液体噴霧装置100は、図6に示すように、温水Wを液体Lとして利用し、空気AをガスGとして利用する形態で、その温水WのミストMを浴室41に噴霧して、浴室41をミストサウナとして利用することができるミストサウナ装置として構成することができ、そのミストサウナ装置について説明を加える。
【0052】
液体噴霧装置100は、給湯暖房機42から供給された温水Wを噴霧部3から浴室41内に噴霧するように、浴室41の壁面に設けられている。
【0053】
このミストサウナ装置の運転を制御する制御装置45は、その液体噴霧装置100に温水Wを供給する給湯暖房機42の作動を制御することで、液体噴霧装置100への温水Wの供給の開始及び停止、温水Wの温度や供給量の設定等を行うことができる。
また、浴室41の側壁には、制御装置45に運転指示を与えるリモコン46が設けられている。
このリモコン46には、図示は省略するが、使用者が認識可能な状態で情報を表示する表示部や、使用者が操作するためのボタン等が配置された操作部等が設けられている。
【0054】
また、この液体噴霧装置100には、これまで説明してきた第実施形態と同様に、供給された温水Wに空気Aを溶解するガス溶解手段1と、そのガス溶解手段1から排出された温水Wから空気Aを気化分離する気化分離手段2とが設けられており、噴霧部3から噴霧されるミストMの微粒化が促進されている。
【0055】
尚、上記実施の形態では、浴室41に温水Wを噴霧するミストサウナ装置として構成される液体噴霧装置100について説明したが、別に、温水以外の別の液体を噴霧するように構成したり、浴室41以外の別の場所に液体を噴霧するように構成しても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明に係る液体噴霧装置は、ノズル流路を流通する液体を噴孔から噴霧する際に、噴霧されるミストを十分に微粒化することができ、更には、その微粒化されたミストの粒径を簡単に調整することができる液体噴霧装置として好適に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明に係る液体噴霧装置の概略構成を説明する図
【図2】ガス溶解手段として機能するガス溶解機構の構成図
【図3】ガス混入手段の構成図
【図4】加熱手段として機能する熱交換器の構成図
【図5】キャビテーション手段として機能するキャビテーションノズルの構成図
【図6】液体噴霧装置をミストサウナ装置に適用した形態を示す概略構成図
【符号の説明】
【0058】
1:ガス溶解手段
2:気化分離手段
3:噴霧部
4:冷却手段
100:液体噴霧装置
10:ガス溶解機構(ガス溶解手段)
11:密閉容器
12a:散布ノズル
15:逆止弁
20:熱交換器(加熱手段)
30:キャビテーションノズル
34:段部(キャビテーション手段)
50:ガス混入手段
L,L0,L1,L2:液体
G:ガス
M:ミスト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を噴霧部から噴霧する液体噴霧装置であって、
前記液体にガスを溶解するガス溶解手段と、
前記ガス溶解手段から前記噴霧部に導かれる液体から前記ガスを気化分離する気化分離手段とを備えた液体噴霧装置。
【請求項2】
前記ガスが空気である請求項1に記載の液体噴霧装置。
【請求項3】
前記ガス溶解手段が、前記ガスが充満する密閉容器内に前記液体を投下させるように構成されている請求項1又は2に記載の液体噴霧装置。
【請求項4】
前記密閉容器内に前記液体を散布する散布ノズルを備えた請求項3に記載の液体噴霧装置。
【請求項5】
前記密閉容器内の圧力低下に伴って開放して前記ガスを前記密閉容器内に供給し、前記密閉容器内の圧力上昇に伴って閉鎖する逆止弁を備えた請求項3又は4に記載の液体噴霧装置。
【請求項6】
前記密閉容器内から前記噴霧部に導かれる液体に対して、前記密閉容器内から抜き出された前記ガスを混入させて気泡を発生させるガス混入手段を備えた請求項3〜5の何れか一項に記載の液体噴霧装置。
【請求項7】
前記ガス溶解手段においてガスが溶解される前記液体を冷却する冷却手段を備えた請求項1〜6の何れか一項に記載の液体噴霧装置。
【請求項8】
前記気化分離手段として、前記液体を加熱する加熱手段を備えた請求項1〜7の何れか一項に記載の液体噴霧装置。
【請求項9】
前記気化分離手段として、前記液体にキャビテーションを発生させるキャビテーション手段を備えた請求項1〜8の何れか一項に記載の液体噴霧装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−255076(P2006−255076A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−74911(P2005−74911)
【出願日】平成17年3月16日(2005.3.16)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】