説明

液体噴霧装置

【課題】効率よく果房全体にむらなく液体を付着させることができる液体噴霧装置を提供することを目的とする。
【解決手段】カップ31に収容された果房Gにジベレリン11を散布する複数のノズル33が、カップ31の深さ方向の位置を変えて、カップ31に取り付けられているので、ノズルをカップの上端にのみ設けている従来の液体噴霧装置に比べ、ジベレリン11を果房G全体に散布できるので、より確実にジベレリン11を付着させることができ、また散布作業を効率的に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、果房に農薬などの液体を散布する液体噴霧装置に関し、特に種無しブドウの栽培で行われるジベレリン処理のように、カップ内で果房に液体を散布して付着させるのに用いる液体噴霧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
種無しブドウの人気が高まっており、種無しブドウの栽培が増加している。この種無しブドウを栽培するために、ジベレリン処理が行われていることは広く知られている。
【0003】
ジベレリン処理とは、プラスチックカップの中に水で希釈したジベレリンA3(ジベレリン酸)を入れ、このカップの中にブドウの果房を浸す作業である。このジベレリン処理は、だいたい開花前後に一回目の作業を行い、その後10〜14日後に二回目の作業を行うということで、短期間の内に二回行う必要がある。したがって、栽培棚から吊下げられた多数の果房それぞれに行うジベレリン処理は、ブドウ栽培における作業の中でも、重労働な作業の一つとなっている。
【0004】
そのため、このジベレリン処理の作業負担を軽減するものとして、特許文献1、特許文献2に記載されているジベレリン処理器が知られている。
【0005】
これら特許文献1、特許文献2に記載されているジベレリン処理器は、カップの上端にだけノズル孔が設けられている。そしてこのカップ上端のノズル孔からジベレリンが噴射されるようになっている。
【0006】
このような構成のジベレリン処理器を用いたジベレリンの散布は、カップ部の中に果房全体を収容した後でジベレリンの散布が行われる(特許文献2の段落0019、0023等に記載)。この時、果房の下方への散布は、漏斗状部となっているカップ部の形状を利用し、カップ壁面からの跳ね返りを利用して行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開昭64−6852号公報
【特許文献2】特開2003−250347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このようなカップ壁面からの跳ね返りを利用したジベレリンの散布では、ジベレリンをむらなく付着させることが難しい。つまり、カップ部の壁面では、実際のところジベレリンの跳ね返りはほとんど生じないので、果房の下方ではあまりジベレリンが付着しない。したがって、このようなやり方で果房の下方へもジベレリンを十分に付着させようと思えば、長時間の散布を行う必要がある。
【0009】
一方、特許文献1、特許文献2のようなジベレリン処理器を用いて、果房の下方にもむらなくジベレリンを付着させる方法として、図5に示すようなやり方がある。図5に示すカップ201には、特許文献1、特許文献2のジベレリン処理器と同様に上端にだけノズル孔202が設けられている。そして、果房Gの下方が、カップ201の上端のノズル孔202と平行な状態か若しくは多少カップ201内に収容されると、ジベレリンの散布を開始することで、果房G全体にむらなくジベレリンを付着させるやり方である。
【0010】
しかしながら、このような果房Gをカップ201に収容しながらジベレリンを散布する方法は、慎重な作業が要求され、手間と時間を要するだけでなく、散布するタイミングにも熟練を要する。
【0011】
以上のように、特許文献1、特許文献2のようなカップ201の上端にノズル孔202を設けただけのジベレリン処理器のような液体散布装置では、果房全体にむらなくジベレリン等の液体を付着させることは非常に難しく、また作業効率も悪い。
【0012】
本願の発明者は、この問題を解消すべく種々検討を重ねた結果、散布のためのノズルを、カップ部内において深さ方向の位置を変えて設けておくことにより、この問題を解決し得ることに想到し、本発明を完成するに至ったものである。
【0013】
すなわち、本発明は上記問題を解決することを課題とし、効率よく果房全体にむらなく液体を付着させることができる液体噴霧装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決するため、本発明の第1の態様は、果房を収容できるカップと、収容された果房に液体を散布する複数のノズルと、を有する噴霧部と、前記液体を貯蔵できるタンクを有するタンク部と、前記タンクに貯蔵された前記液体を前記ノズルへ圧送できるポンプを有する供給部と、を備えた液体噴霧装置であって、前記ノズルは、前記カップの深さ方向の位置を変えて、前記カップに取り付けられていることを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明の第2の態様は、第1の態様にかかる液体噴霧装置であって、前記ノズルにはそれぞれ噴管が接続され、該噴管の一端は分岐コネクタに接続され、該分岐コネクタは吐出管に接続され、該吐出管の一端は前記ポンプに接続され、前記ポンプと前記ノズルとの間には、前記噴霧部へ供給される液体の逆流を防止できる逆止弁が設けられていることを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明の第3の態様は、第2の態様にかかる液体噴霧装置であって、前記逆止弁は、前記噴管に設けられていることを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明の第4の態様は、第1から3の態様の何れかにかかる液体噴霧装置であって、前記噴霧部の前記カップと、前記タンク部の前記タンクは、一体形成された容器で構成されていることを特徴とするものである。
【0018】
また、本発明の第5の態様は、第4の態様にかかる液体噴霧装置であって、前記タンクの下方は、漏斗状になっており、該タンクの底部を介して前記供給部と接続されていることを特徴とするものである。
【0019】
また、本発明の第6の態様は、第1から3の態様の何れかにかかる液体噴霧装置であって、前記噴霧部の前記カップと、前記タンク部の前記タンクは、前記供給部を介して接続されていることを特徴とするものである。
【0020】
また、本発明の第7の態様は、第6の態様にかかる液体噴霧装置であって、前記供給部は、把持部を有しており、前記カップは、前記把持部に対して傾斜していることを特徴とするものである。
【0021】
また、本発明の第8の態様は、第1から7の何れかにかかる液体噴霧装置であって、前記ポンプは、手動式のポンプであることを特徴とする。
【0022】
また、本発明の第9の態様は、第8の態様にかかる液体噴霧装置であって、前記ポンプは、複数の前記ノズルから一回で散布される液体の総量が1.5〜2.5ccになるように圧送できるものであることを特徴とするものである。
【0023】
また、本発明の第10の態様は、第1から7の何れかにかかる液体噴霧装置であって、前記ポンプは、電動式のポンプであることを特徴とするものである。
【0024】
また、本発明の第11の態様は、第10の態様にかかる液体噴霧装置であって、前記ポンプは、複数の前記ノズルから一回で散布される液体の総量が1.5〜10.0ccになるように圧送できるものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
第1の態様にかかる発明においては、ノズルが、カップの深さ方向の位置を変えて、カップに取り付けられているので、ノズルをカップの上端にのみ設けている従来の液体噴霧装置に比べ、液体を果房全体に散布できるので、より確実に液体を付着させることができ、また散布作業を効率的に行うことができる。
【0026】
第2の態様にかかる発明においては、ポンプとノズルとの間には、噴霧部へ供給される液体の逆流を防止できる逆止弁が設けられているので、ポンプの操作が停止した際に、重力によって液体が逆流し、タンク部側へ戻ることを防止することが可能となる。
【0027】
第3の態様にかかる発明においては、逆止弁がそれぞれの噴管に設けられているので、作業を中断した際に高い位置のノズルに繋がる噴管内へ、空気が溜まることを防止でき、作業の再開が容易に行うことができる。
【0028】
第4の態様にかかる発明においては、噴霧部のカップと、タンク部のタンクが、一体形成された容器で構成されているので、特別な構造を設けなくても噴霧部で散布した液体を簡単にタンクに戻すことができる。
【0029】
第5の態様にかかる発明においては、タンクの下方が漏斗状になっており、タンクの底部を介して供給部と接続する構成となっているので、液体を無駄なく利用することができる。
【0030】
第6の態様にかかる発明においては、噴霧部のカップと、タンク部のタンクは、供給部を介して接続する構成となっているので、液体散布の作業中に使用者が倒れたり、タンクが傾いたりしても、タンク内の液体が零れることを防止することができる。
【0031】
第7の態様にかかる発明においては、供給部が把持部を有しており、カップは把持部に対して傾斜しているので、カップ内への果房の挿入を容易に行うことができる。
【0032】
第8の態様にかかる発明においては、ポンプは手動式のポンプであるので、液体噴霧装置の重量を軽くすることができ、また構造の簡素化が可能となるので、故障等の少ない液体噴霧装置を提供することができる。
【0033】
第9の態様にかかる発明においては、複数のノズルから一回で散布される液体の総量が2cc程度になるように圧送できるポンプであるため、ポンプを作動させる際の力をそれほど必要としないので、長時間の散布作業を行うのに適した液体噴霧装置となる。
【0034】
第10の態様にかかる発明においては、ポンプが電動式のポンプであるため、より省力化を図ることができる。
【0035】
第11の態様にかかる発明においては、複数のノズルから一回で散布される液体の総量が1.5〜10.0cc程度になるように圧送できるポンプであるため、ポンプをそれほど大きくすることなく、効率的に液体の散布作業を行える液体噴霧装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第1の実施例にかかる液体噴霧装置の全体図である。
【図2】本発明の第1の実施例にかかる液体噴霧装置を構成する逆止弁の断面図である。
【図3】本発明の第1の実施例にかかる液体噴霧装置を構成するノズルの断面図である。
【図4】本発明の第2の実施例にかかる液体噴霧装置の全体図である。
【図5】従来のジベレリン処理器における液体散布の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための液体噴霧装置を例示するものであって、本発明をこの液体噴霧装置に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態の液体噴霧装置にも等しく適応し得るものである。
【実施例1】
【0038】
図1は本実施例の液体噴霧装置1の全体図である。液体噴霧装置1は、タンク部10と、供給部20と、噴霧部30と、バンド部40と、を備えている。
【0039】
タンク部10は果房Gに噴霧するジベレリン11を入れて貯蔵しておくものでる。このタンク部10は、ジベレリン11を実際に入れておくタンク12と、ジベレリン11に混じっているゴミ等を濾過するフィルタ13とを備えている。
【0040】
ジベレリン11は先にも述べたように種無しブドウを栽培するために行うジベレリン処理に用いられる薬液である。ジベレリン11は具体的には水で希釈したジベレリンA3(ジベレリン酸)である。そしてこのジベレリン11がタンク12に収容されている。
【0041】
タンク12はジベレリン11を貯蔵しておくものである。タンク12は具体的にはプラスチック容器で形成されている。貯蔵されているジベレリン11の残量がわかるように、タンク12は透明なものを用いている。
また、このタンク12は後述する噴霧部30を構成するカップ31と一体に形成されている。したがって、噴霧部30側からジベレリン11を注ぐことで、作業者はタンク12の内部に簡単にジベレリンを注入することができる。また、タンク12はタンク下方に向かって断面積が徐々に狭くなる漏斗状となっているので、タンク12の底部に設けられたタンク連結部50を介してジベレリン11は供給部20へ効率よく流れていく。したがって、タンク12の底部が平坦なものに比べるとジベレリン11が効率よく供給部20へ流れるので、漏斗状の構造はジベレリン11を無駄なく利用することができる。
【0042】
フィルタ13は、金属や樹脂、紙等で形成されていて、タンク部20と供給部20を繋ぐ開口を覆うように、タンク12の底部に取り付けられている。そして、ジベレリン11が供給部20へ流れる際に、ゴミ等の異物をこのフィルタ13によって濾過する。このフィルタ13は付着したゴミ等が簡単に取り除けるように、取り外しが行えるように取り付けられているのが好ましい。また、フィルタ13はタンク部10に設けられているが、例えば供給部20の供給管21に取り付けられていても構わない。
【0043】
供給部20はタンク部10に収容されているジベレリン11を噴霧部30へ供給するものである。この供給部20は、タンク部10から流れてきたジベレリン11の流路となる供給管21と、ジベレリン11を吸引、吐出するポンプ22と、ポンプ22から吐出され圧送されたジベレリン11の流路となる吐出管23と、ジベレリン11の流路を複数に分けるための分岐コネクタ24と、分岐コネクタ24で分岐された複数の流路毎に設けられている逆止弁25を備えている。
【0044】
供給管21は可撓性を有するゴムで作られたチューブからなる。そして供給管21は、タンク連結部50を介して一端をタンク部10と連結し、他端をポンプ22と連結することで、ジベレリン11をタンク12から吸い込んでくることができる。なお、タンク連結部50は、タンク12の底部に設けられたネジ部と、供給管21の一端に取り付けられたネジ部と、からなる。そして、タンク連結部50は両ネジ部のネジ接合によってタンク12と供給管21とを着脱可能に連結する構成となっている。なお、タンク連結部50はネジ接合による連結構造に限らず、他の着脱可能な構造による連結構造であってもよい。また、このタンク連結部50は、供給管21とタンク12とを、例えば溶接により着脱不可能に取り付ける構成であってもよい。
【0045】
ポンプ22は、ポンプ22のレバー22aを押下して、図の矢印のように上下方向のピストン運動を繰り返すことで、タンク部10からジベレリン11を吸い込み、噴霧部30へ向けてジベレリン11を吐出する。このポンプ22は手動式のポンプ22であり、作業者自身の力によって動作する。このポンプ22の構造は、例えば霧吹きと同じような構造となっている。具体的には、作業者がレバー22aを押下すると、ポンプ22はジベレリン11を吐出管23側へ圧送し、作業者がレバー22aから指を離すと、ポンプ22は内部に配置されたバネ(図示せず)の力によって押下されたレバー22aを上方へ押し上げ、その際、ポンプ22はジベレリン11をタンク部10側から吸引するようになっている。
【0046】
吐出管23は可撓性を有するゴムで作られたチューブからなる。そして、吐出管23はポンプ22により圧送されたジベレリン11が噴霧部30へ向かうための流路を形成する。また、噴出管23の一端は分岐コネクタ24へと繋がっている。
【0047】
分岐コネクタ24は樹脂で作られている。分岐コネクタ24は、噴出管23を流れてくるジベレリン11の流路を複数に分けるため、排出管23と接続する1つの入口と、流路の数と同数の出口とを備えている。なお、分岐コネクタ24の分岐の数は本実施例では後述するノズル33の数と同数の8つとなっている。
【0048】
逆止弁25は分岐コネクタ24の出口にそれぞれ設けられており、8つの逆止弁からなる。なお、図1では8つの逆止弁の内、4つの逆止弁25a〜25dを例示している。また、図1では逆止弁25b〜25dを破線で示している。分岐コネクタ24の入口を通過して、8つの流路に分かれて流れてきたジベレリン11を、各々の逆止弁25は、噴霧部30側へ流すとともに、その逆流路である噴霧部30側から分岐コネクタ24側へのジベレリン11の逆流を防止する。
この逆止弁25の具体的な内部構造を図2に示している。逆止弁25は、内部にボール27と、ボール27を分岐コネクタ24側へ付勢するバネ28を備えている。そして作業者がポンプ22のレバー22aを押下すると、ポンプ22から圧送されたジベレリン11は、バネ28の付勢力に勝って、ボール27を押し上げて(図2のaからbの方向)流れていき、その先の噴霧部30側へ進んでいくことになる。
反対に、作業者がレバー22aから指を離すと、レバー22aが上方に戻り、ポンプ22からのジベレリン11の圧送が停止されるので、今度はバネの付勢力が勝り、ボール27を分岐コネクタ24側へ押し付けるので、分岐コネクタ24への経路が塞がることになる。
【0049】
噴霧部30は供給部20から供給されたジベレリン11を果房Gに付着させるものである。噴霧部30は、果房Gにジベレリン11を付着させるために、果房Gを収容するカップ31と、逆止弁25を通過して圧送されたジベレリン11が流れる噴管32と、噴管32を流れてきたジベレリン11を霧状にして噴射するノズル33と、カップ31の一部に設けられた把持部34とを備えている。
【0050】
カップ31は収容した果房Gにジベレリン11を付着させ、かつジベレリンを外部に飛散させないためのものである。具体的にはカップ31はプラスチック容器で形成されている。収容された果房Gと、果房Gへのジベレリン11の付着具合とが観察できるように、カップ31は透明なものを用いている。また、カップ31は上部が開口する略円筒状となっている。
そして、本実施例では、カップ31はタンク12と一体に設けられている。したがって、タンク部10と噴霧部30が直接繋がっているので、カップ31内で散布され、果房Gへ付着しなかったジベレリン11は、カップ31からタンク部10のタンク12へそのまま戻ることができる。この構成によって液体噴霧装置1は、ジベレリン11を噴霧部30からタンク部10へ戻して再利用するための構造を特に必要としないので、部品点数を削減でき、また構造の簡素化も図れることができる。したがって、液体噴霧装置1の重量を削減でき、作業の省力化を図ることができる。
【0051】
噴管32は可撓性を有したゴムで作られたチューブからなる。噴管32は逆止弁25とそれぞれ接続するため、8本の噴管32a〜32hで構成されている。なお、図1では、噴管32b〜32hについて、途中一部の記載を省略している。そして、噴管32aは、一端を逆止弁25aと接続し、他端をノズル33aと接続する。噴管32bは、一端を逆止弁25bと接続し、他端をノズル33bと接続する。噴管32cは、一端を逆止弁25cと接続し、他端をノズル33cと接続する。噴管32dは、一端を逆止弁25dと接続し、他端をノズル33dと接続する。噴管32eは、一端を図示していない逆止弁25と接続し、他端をノズル33eと接続する。噴管32fは、一端を図示していない逆止弁25と接続し、他端をノズル33fと接続する。噴管32gは、一端を図示していない逆止弁25と接続し、他端をノズル33gと接続する。噴管32hは、一端を図示していない逆止弁25と接続し、他端をノズル33hと接続する。
【0052】
ノズル33は果房Gにジベレリン11を霧状にして散布するものである。ノズル33の拡大した断面図を図3に示す。ノズル33の先端には直径の小さな穴からなる噴口35が設けられている。そしてポンプ22から圧送されたジベレリン11がこの噴口35を通過することで霧状になって、散布される。
ノズル33は、8つの噴管32a〜32hにそれぞれ取り付けられるよう、上述したように8つのノズル33a〜33hからなる。そして、この8つのノズル33a〜33hは、噴霧部30のカップ31内において、カップ31の深さ方向(A−A´方向)での位置をそれぞれ変えて、カップ31の側面に取り付けられている。具体的には、カップ31の上端近傍にノズル33dと33hを取り付け、その少し下にノズル33cと33g、その少し下にノズル33bと33f、最下部にノズル33aと33eを設けている。
そして、最下部のノズル33aと33eは、噴射面を斜め上方に向けて取り付けられている。ノズル33b、33c、33f、33gは、噴射面を略水平に向けて取り付けられている。最上部のノズル33dと33hは、噴射面を斜め下方に向けて取り付けられている。このように、カップ31における深さ方向の位置を変えてノズル33を設けることにより、ノズル33をカップ31の上端にのみ設けていた従来の液体噴霧装置に比べ、カップ31内に果房Gを収容してからジベレリン11の散布を行っても、果房Gの全体にジベレリン11を散布できるので確実にジベレリン11を果房Gへ付着させることができる。また、カップ31に果房Gを挿入しながら散布を行う必要もないので、ジベレリン処理に対する高度な熟練度を要求せず、作業者は作業を効率的に行うことができる。
【0053】
把持部34はカップ31と一体に設けられている。そして、作業者が片手で把持部34を握りながら、ポンプ22のレバー22aを例えば親指により下方に押す操作を繰り返すことで、ポンプ22によるジベレリン11の圧送が行われる。なお、把持部34は実施例2では供給部200に設けられているように、必ずしも噴霧部30に設ける必要はない。
【0054】
バンド部40はユーザがジベレリン処理を行う際に、液体噴霧装置1を作業者に固定しておく等のためのものである。バンド部40は紐41とフック42を備えている。
【0055】
紐41は作業者が液体噴霧装置1を自分の首からぶら下げておくためのものである。紐41を作業者の首にかけておくことで、作業者が液体噴霧装置1から手を離したとしても、液体噴霧装置1が地面等に落下することを防止でき、高価なジベレリン11を無駄にすることを防ぐことができる。
【0056】
フック42は作業者がジベレリン処理の作業中に休憩をする等の場合に、フックをブドウの枝等に引っかけておくことで、液体噴霧装置1をブドウの樹に吊下げておくためのものである。
【0057】
以上のような本実施例において、逆止弁25をポンプ22とノズル33との間に設けておくことで、ポンプ22の操作を作業者が停止した時に、重力によってジベレリン11が逆流し、タンク部10側へ戻ることを防止することが可能となる。
【0058】
また、本実施例においては、深さ方向の位置を変えて設けられているノズル33a〜33hに対応して、ノズル33毎に逆止弁25を設けている。逆止弁25が一つだけであると(例えば、分岐コネクタ24の手前に一つ)、噴管32a〜32hによるジベレリン11の流路が、分岐コネクタ24内で一つに繋がった構造となってしまう。このように全ての流路が連続して繋がってしまうと、ノズル33の高さがそれぞれ異なっているので、例えばジベレリン処理の作業を中断した時、重力の影響により、高い位置のノズル(33d、33h、33c、33g)に対応した流路から、低い位置のノズル(33a、33e)に対応した流路へとジベレリン11が流れてしまい、噴管32d、32c、32h、32g内に空気が入ってきてしまうおそれがある。噴管33d、33c等の内部に空気が入ってしまうと、ジベレリン処理の作業を再開した時に、噴管33内に溜まった空気を押し出して、ジベレリン11で満たすまでに、作業者は何度もポンプ22を操作しなければならなくなる。作業中、休息を行う毎に或いは次のブドウの樹へ移動する毎等に、このようなポンプ22の操作を行うことは、作業効率の低下を招くことが考えられる。しかしながら、本実施例においては、深さ方向の位置を変えて設けられているノズル33a〜33bに対応して、ノズル33毎に逆止弁25が設けられているので、このような作業効率の低下や散布量の不安定化を防ぐことができる。
【0059】
なお、ノズル33は、カップ31の深さ方向での位置を変えているだけで、カップ31の円周方向(B−B´方向)での位置は、全て略同じ位置(図1ではカップ31の左端と左端にそれぞれ4個)に位置するように図示しているが、果房Gにむらなくジベレリン11を散布するため、円周方向においてもノズル33の位置は変えて取り付けておくのがよい。
【0060】
また、ノズル33の噴射面には噴口35が設けられているが、本実施例において、ノズル33a〜33dの噴口35から一度に散布されるジベレリン11を合算した際の総量は、大体1.5〜2.5cc程度になるような手動式のポンプ22を選んで用いている。これはノズル33から散布されるジベレリン11の総量が、0.7cc程度のポンプと、2cc程度のポンプと、4cc程度のポンプの3種類のポンプを用いて比較したところ、一度に散布する量が0.7cc程度のポンプは、果房Gにむらなくジベレリン11を散布するのに、ポンプを十数回程度動かさなければならず、ポンプの作動回数が多すぎて好ましくなかった。また、一度に散布する量が大体4cc程度のポンプは、散布回数は1回ないし2回程度で、むらなく散布することができたが、ポンプを動かすためには非常に大きな力が必要となり、手動ポンプを用いると、特に女性や高齢者にとっては、長時間作業を行う上で好ましくなかった。しかし、一度に散布する量が2cc程度のポンプ22であれば、散布回数は2回程度でむらなく散布することができ、また、ポンプ22を動かす場合にも、それほどの力を必要としないので、女性や高齢者にとっても、長時間のジベレリン処理を行う上で適している。なお、ここで例示したものより軽い力で多い散布量が得られるポンプがあれば、1回の操作でより十分な付着が得られる。
【実施例2】
【0061】
図4は、第2の実施例にかかる液体噴霧装置1´の全体図である。液体噴霧装置1´は、液体噴射装置1と同様に、タンク部100と、供給部200と、噴霧部300と、バンド部400と、を備えている。なお、実施例2の説明においては、実施例1と同様のものについては、同じ符号を付しており、詳細な説明は省略する。
【0062】
タンク部100は、ジベレリン11を実際に入れておくタンク120と、ジベレリン11に混じっているゴミ等を濾過するフィルタ130を備えている。
【0063】
タンク120はプラスチック容器で形成されている。タンク120内に収容されたジベレリン11の残量がわかるように、タンク120は透明なものが用いられている。またタンク120は上方が開口する円筒状の容器となっている。
【0064】
フィルタ130は金属や樹脂、紙等で形成されていて、供給部200から延びている供給管210の先端に取り付けられている。
【0065】
供給部200は、タンク部100のタンク120内からジベレリンを吸い上げる供給管210と、ジベレリン11を吸引、吐出するポンプ220と、ポンプ220から吐出され圧送されたジベレリン11の流路となる吐出管230と、ジベレリン11の流路を複数に分けるための分岐コネクタ240と、分岐コネクタ240で分岐された複数の流路毎に設けられている逆止弁250と、作業者が片手で液体噴霧装置1´を支持するための把持部260を備えている。
【0066】
供給管210はプラスチックで作られたチューブで形成されている。そして供給管210は把持部260の内部に配置され、タンク連結部500を介してタンク120の底部近くにまで伸びている。また供給管210の一端はポンプ220と連結し、タンク部100のジベレリン11をタンク120から吸い込んでくる。
【0067】
なお、タンク連結部500は、タンク120の頂部に設けられたネジ部と、把持部260内に設けられたネジ部と、からなる。そして、タンク連結部500は、両ネジ部のネジ接合によりタンク120と把持部260とを着脱可能に連結できる構成となっている。そしてタンク120にジベレリン11を補充する際には、作業者がタンク連結部500でタンク120と把持部260とのネジ接合を解いて、ジベレリン11の補充を行う。なお、把持部260内には供給管210の他に、タンク120に繋がる空間が設けられており、この空間を通って、噴霧部300で散布されたジベレリン11の一部がタンク120の内部に戻ってくる。
【0068】
ポンプ220は作業者がポンプ220のレバー220aを押下して図の矢印のように水平方向のピストン運動を繰り返すことで、タンク部100からジベレリン11を吸い込み、噴霧部300へ向けてジベレリン11を吐出する。ポンプ220の内部構造については、実施例1のポンプ22と同様になっている。
【0069】
吐出管230は実施例1の吐出管23と同様であり、一端が分岐コネクタ240へと繋がっている。
【0070】
分岐コネクタ240は、ジベレリン11の流路を後述するノズル330の数と同数の流路に分けるため、吐出管230と接続する1つの入口に対して、ノズル330の数と同数の9つの出口を備えている。
【0071】
逆止弁250は分岐コネクタ240の分岐の数と同じく、9つの逆止弁で構成されており、図4では逆止弁250a〜250eの5つだけを示している。また、図4では逆止弁250b〜250eを破線で示している。
【0072】
把持部260は供給部200の大部分を占めており、作業者が片手でこの把持部260を握りながら、ポンプ220のレバー220aを例えば人差し指により水平方向に引く操作を繰り返す。これによりポンプ220がジベレリン11を圧送する。
【0073】
噴霧部300は、果房Gを収容するカップ310と、逆止弁250を通過して圧送されたジベレリン11が流れる噴管320と、噴管320を流れてきたジベレリン11を霧状にして噴射するノズル330とを備えている。
【0074】
カップ310はプラスチック容器で形成されている。カップ310は、収容された果房Gと、果房Gへのジベレリン11の付着具合とが観察できるよう、透明なものとなっている。そしてカップ310は上部が開口する略円筒状となっている。
【0075】
そして、本実施例では、カップ310は、供給部200とカップ連結部600とを介して供給部200と連結している。カップ連結部600は、カップ310の底部に設けられてネジ部と、供給部200の把持部260内に設けられたネジ部と、からなり、両ネジ部のネジ接合により把持部260とカップ310を着脱可能に連結できる構成となっている。そしてカップ310の底部には開口が設けられ、この開口と、把持部260の内部に設けられた空間とを通って、散布の際に果房Gへ付着しなかったジベレリン11がタンク120へ戻ってくる構造となっている。このように本実施例においては、タンク部100のタンク120と、噴霧部300のカップ310とが、供給部200の把持部260の内部を通じて連通する構成としている。したがって、例えば作業者がジベレリン処理の作業中に、転倒等をしたとしても、タンク120のジベレリン11がカップ310を通じて簡単に零れることはないので、高価なジベレリン11が無駄になることを防ぐことができる。
【0076】
また、カップ310は連結部600で着脱できるので、二回行うジベレリン処理の場合、一回目は小さなカップ310を用いた噴霧部300を用い、二回目は一回目よりも大きなカップ310を用いた噴霧部300を用いてもよい。先にも述べたが、ジベレリン処理は一回目と二回目との作業の間隔を大体10〜14日程度あけて行われる。この間に果房は非常に早く成長するので、回数にあわせて噴霧部300のサイズを変えることにより、作業者が効率よく作業を進めることができる。
【0077】
噴管320は可撓性を有したゴムで作られたチューブからなる。噴管320は9つの逆止弁250とそれぞれ接続するように、逆止弁250と同数の噴管320で構成されている。なお、図4では、逆止弁250aと接続する噴管320a、逆止弁250bと接続する噴管320b、逆止弁250cと接続する噴管320c、逆止弁250dと接続する噴管320d、逆止弁250eと接続する噴間320eを図示している。また噴管320b〜320eについて、一部の記載を途中省略している。
【0078】
ノズル330は果房Gにジベレリン11を散布するものである。ノズル330は9本の噴管320の先端にそれぞれ取り付けられるよう、ノズル330a〜330iからなる。そして、ノズル330a〜330iはカップ310内において、カップ310の深さ方向(C−C´方向)での位置をそれぞれ変えて、カップ310の内側に取り付けられている。
具体的には、カップ310の上端近傍にノズル330aと330iが取り付けられている。次にカップ310の深さ方向(C−C´方向)での位置を変えて、ノズル330aと330iよりも下方にノズル330bと330hが取り付けられている。そしてカップ310の深さ方向での位置を変えて、ノズル330bと330hよりも下方にノズル330cと330gが二つ取り付けられている。更にカップ310の深さ方向での位置を変えて、ノズル330cと330gよりも下方にノズル330dと330fが取り付けられている。また、カップ310の最下部にノズル330eが一つ取り付けられている。
【0079】
このノズル330aは噴管320aの先端に接続されていて、ノズル330iとはカップ310の深さ方向での位置が略同じになっている。また、ノズル330bは噴管320bの先端に接続されていて、ノズル330hとはカップ310の深さ方向での位置が略同じなっている。また、ノズル330cは噴管320cの先端に接続されていて、ノズル330gとはカップ310の深さ方向での位置が略同じになっている。また、ノズル330dは噴管320dの先端に接続されていて、ノズル330fとはカップ310の深さ方向での位置が略同じになっている。そして、ノズル330eは噴管320eの先端に接続されている。またノズル330f、330g、330h、330iについても、図示していないがそれぞれ対応する噴管320の先端に接続されている。
【0080】
なお、ノズル330a〜330dとノズル330f〜330iはカップ310内において、カップ310の円周方向(D−D´方向)での位置が略同じ位置(図4ではカップ310の左右端)になるよう図示しているが、果房Gにむらなくジベレリン11を付着させるため、円周方向にずらして配置してもよい。
【0081】
そして、最上部のノズル330aとノズル330iは噴射面を斜め下方に向けている。また、ノズル330b、ノズル330c、330g、330hは噴射面を略水平に向けている。また、ノズル330dとノズル330fは噴射面を斜め上方に向けている。また、最下部のノズル330eは、噴射面を真上に向けている。なお、カップ310の底部に一つだけ配置された最下部のノズル330eは必ずしも必要というわけではない。しかしながら、果房Gの下方側にむらなくジベレリンを付着させるということでは、最下部のノズル330eは設けておいた方が好ましい。
【0082】
このように、カップ310における深さ方向の位置を変えてノズル330を設けることにより、ノズル330をカップ310の上端にのみ設けていた液体噴霧装置に比べ、カップ310内に果房Gを収容してからジベレリン11の散布を行ったとしても、ジベレリン11が果房Gの全体に散布できるので、作業者はより確実にジベレリン11を果房Gに付着させることができる。また、カップ310に果房Gを挿入しながら散布を行う必要がないので、ジベレリン処理に対する熟練度を必要とせず、作業者は作業を効率的に行うことができる。なお、ノズル330の数は、本実施例で図示した数はあくまでも一例であり、この実施例に示したノズルの数に限定されるものではなく、より多くのノズルを用いても構わない。
【0083】
バンド部400は、実施例1のバンド部40と同様に、紐410とフック420とを備えている。
【0084】
本実施例においては、噴霧部300を構成するカップ310が、供給部200の把持部260に対して、少し斜め方向に傾斜して取り付けられている。このようにすることで、カップ310の開口が斜め方向を向くので、果房Gが下向きに垂れ下がっていない場合であっても、作業者がカップ310へ果房Gを挿入し易くなっている。1回目のジベレリン処理を行う際には、果房Gはまだ小さく、下向きに垂れ下がって生育しないで斜めになって生育していることが多い。したがって、カップ310の開口が斜めになっている構成は、1回目のジベレリン処理に特に適している。
【0085】
なお、実施例1や実施例2では採用していなかったが、手動式のポンプに変えて電動式のポンプを液体噴霧装置に用いても構わない。電動式のポンプであれば、ポンプを作動させるのに作業者が手に力を入れて動かす必要がないので、長時間の作業において作業者の労力を低減することが可能となる。なお、電動式ポンプの場合は、本実施例のようなタンク部と供給部と噴霧部とが片手で持てるような一体型のものではなく、それぞれが別々に独立して連結されているような構成が好ましい。
【0086】
また、電動式のポンプを用いる場合には、ノズルの散布面に電極を仕込んでおき、散布するジベレリンに電荷を付与する静電散布が好ましい。このような構成であれば、液体噴霧装置はより一層ジベレリンをむらなく果房に散布することができる。
【0087】
また、電動式のポンプを用いる場合には、カップ内に非接触型のセンサスイッチを組み込んでおいてもよい。このような構成によれば、果房をカップに挿入するだけで、散布が行われるので、作業者にとってより一層の省力化を図ることができる。なお、カップ内にセンサスイッチを組み込む場合には、カップ上端側にセンサスイッチを配置すると、果房の先端がカップに挿入された時点で散布が始まり、果房の先端がカップから抜けるまでジベレリンの散布が続くので、カップ上端側にセンサスイッチを配置する構成は、無駄な散布や電源の消耗につながるおそれがある。したがって、カップの深さ方向において、カップの略中央(カップ上端から1/3〜2/3)の位置にセンサスイッチを配置する構成がより好ましい。
【0088】
また、電動式のポンプを用いる場合、全てのノズルから一度に散布される液体の総量が1.5〜10.0cc程度となるようなポンプを用いるとよい。散布される液体の総量が1.5ccよりも少なくなってしまうと、一つの果房にジベレリンをむらなく付着させるためのポンプの作動回数が多くなってしまい、散布される液体の総量が10.0cc以上になってしまうと、無駄にジベレリンを散布するだけでポンプの大型化を招いてしまう。したがって、全てのノズルから一度に散布される液体の総量が1.5〜10cc程度となるような電動式のポンプを用いる液体噴霧装置は、作業を効率的に行えるとともに、バッテリーや電池等の電源消費を抑え、装置の小型化を図ることができる。
【0089】
また、本実施例において、ノズルが全てカップの内側に固定して取り付けられているものを示したが、ノズルが取り外し可能になっていても構わない。このような構成であれば、果房の成長具合にあわせて、ジベレリンを散布するのに最適なノズルだけを残して、他のノズルは取り外して噴管を塞ぐことにより、無駄がなく効率的にジベレリンを散布することが可能となる。なお、本発明の効果を奏する上では、ノズルが取り外し可能となっている場合であっても、少なくともカップの深さ方向における位置が異なっているノズルが配置されていなければならない。
【0090】
また、本実施例で示したノズル330の数はあくまでも一例であり、この実施例に示したノズルの数に限定されるものではなく、より多くのノズルを用いても構わない。またカップの形状も本実施例では円筒状のもので説明したが、果房が収容できるのであれば、円筒状に限定されるものではなく、断面が5角形や6角形等の角筒状のカップでも構わない。
【0091】
また、本実施例における液体噴霧装置は、カップ内に挿入したブドウに対して、ジベレリンを散布するものだけ説明したが、カップ内に果房を挿入し農薬等の液体を散布し付着させる作業であれば、液体噴霧装置はブドウのジベレリン処理に用いるものに限定されない。
【符号の説明】
【0092】
1,1´・・・液体噴霧装置
10,100・・・タンク部
11・・・ジベレリン
12,120・・・タンク
20,200・・・供給部
21,210・・・供給管
22,220・・・ポンプ
22a,220a・・・レバー
23,230・・・吐出管
24,240・・・分岐コネクタ
25,250・・・逆止弁
30,300・・・噴霧部
31,310・・・カップ
32,320・・・噴管
33,330・・・ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
果房を収容できるカップと、収容された果房に液体を散布する複数のノズルと、を有する噴霧部と、
前記液体を貯蔵できるタンクを有するタンク部と、
前記タンクに貯蔵された前記液体を前記ノズルへ圧送できるポンプを有する供給部と、を備えた液体噴霧装置であって、
前記ノズルは、前記カップの深さ方向の位置を変えて、前記カップに取り付けられていることを特徴とする液体噴霧装置。
【請求項2】
前記ノズルにはそれぞれ噴管が接続され、該噴管の一端は分岐コネクタに接続され、該分岐コネクタは吐出管に接続され、該吐出管の一端は前記ポンプに接続され、
前記ポンプと前記ノズルとの間には、前記噴霧部へ供給される液体の逆流を防止できる逆止弁が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の液体噴霧装置。
【請求項3】
前記逆止弁は、前記噴管に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の液体噴霧装置。
【請求項4】
前記噴霧部の前記カップと、前記タンク部の前記タンクは、一体形成された容器で構成されていることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の液体噴霧装置。
【請求項5】
前記タンクの下方は、漏斗状になっており、該タンクの底部を介して前記供給部と接続されていることを特徴とする請求項4に記載の液体噴射装置。
【請求項6】
前記噴霧部の前記カップと、前記タンク部の前記タンクは、前記供給部を介して接続されていることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の液体噴霧装置。
【請求項7】
前記供給部は、把持部を有しており、
前記カップは、前記把持部に対して傾斜していることを特徴とする請求項6に記載の液体噴射装置。
【請求項8】
前記ポンプは、手動式のポンプであることを特徴とする請求項1から7の何れか一項に記載の液体噴射装置。
【請求項9】
前記ポンプは、複数の前記ノズルから一回で散布される液体の総量が1.5〜2.5ccになるように圧送できるものであることを特徴とする請求項8に記載の液体噴射装置。
【請求項10】
前記ポンプは、電動式のポンプであることを特徴とする請求項1から7の何れか一項に記載の液体噴射装置。
【請求項11】
前記ポンプは、複数の前記ノズルから一回で散布される液体の総量が1.5〜10.0ccになるように圧送できるものであることを特徴とする請求項10に記載の液体噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−94130(P2013−94130A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240528(P2011−240528)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(504150461)国立大学法人鳥取大学 (271)
【出願人】(000130710)株式会社サンエー (6)
【Fターム(参考)】