説明

液体塗布装置及び液体塗布方法

【課題】微量の液体を高精度に塗布するための液体材料塗布装置に関し、特に1pL以下の塗布量をディスペンサー方式によって塗布するのに好適な液体塗布技術を提供する。
【解決手段】ディスペンサーノズル先端の内径を細くし、ノズル内の液体が形成する2つの界面に接する気体の圧力を等しくすることにより、ノズル先端の液面位置が安定するようにし、該ノズル先端の液面位置が安定した状態で、ノズル内部の液体に、ノズル後端から高精度に制御されたパルス状の圧力を加えることにより、ノズル内の液体を被塗布物上に塗布し、さらに塗布後において適切なタイミングでノズルを上昇させるよう、液体塗布装置を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を高精度に塗布するための液体材料塗布技術に関し、特に1pL(ピコリットル)以下の微量の塗布量を、ディスペンサー方式によって塗布するのに好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
LCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)の配線形成プロセスや、カラーフィルタ等の製造プロセスにおいては、微量な機能性液体材料の塗布によって、局所の微細な欠陥修正が行われている。
また、現在、FPD(Flat Panel Display)、太陽電池、有機EL(Electro Luminescence)等の製造プロセスを対象として、環境負荷製造コスト低減を目的とした、印刷技術を応用した製造プロセスの開発が行われており、このようなプロセスにおいては、プロセス上で発生した欠陥の修正において、液体を微量で高精度に塗布することが必須になると考えられる。これらのプロセスにおけるパターン幅の最小値は、マイクロメートルオーダであり、これに対応した液体の塗布修正には、塗布量として1ピコリットル以下の塗布量制御が必要である。
【0003】
特許文献1に示す液体材料供給装置は、一端が毛管部分であるディスペンサーノズルを用いた、揮発成分を含む液体材料の塗布装置であるが、ピコリットル以下の精度で塗布量制御するための構造、方法については述べられていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−268519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ピコリットル以下の液体を確実に塗布可能で、かつ構造が簡単な液体塗布技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明の液体塗布技術は、ディスペンサーノズル先端の内径を細くし、ノズル内の液体が形成する2つの界面に接する気体の圧力を互いに等しくすることにより、ノズル先端の液面位置が安定するようにし、該ノズル先端の液面位置が安定した状態で、ノズル内部の液体に、ノズル後端から高精度に制御されたパルス状の圧力を加えることにより、ノズル内の液体を被塗布物上に塗布し、さらに塗布後において適切なタイミングでノズルを上昇させるものである。
本発明の液体塗布装置の代表的な構成は、例えば次のとおりである。すなわち、
内部に供給された液体を、その先端から吐出する管状のノズルと、
前記ノズルの後端に連通し、ノズル内部の液体を加圧するためのパルス状の圧力を発生する圧力発生手段と、
ノズル先端と被塗布物間の距離を調整する距離調整手段と、
ノズル先端から液体を吐出した後、ノズルを被塗布物から離すタイミングを制御するタイミング制御手段と、
前記ノズルの先端と後端の雰囲気の圧力を等しくする圧力調整手段とを備え、
前記ノズルは、先端のノズル内径をd1とし、先端と後端の間であって液体を貯える部分のノズル内径をd2とした場合、d2よりd1が小さいものである液体塗布装置。
【発明の効果】
【0007】
上述した本発明の液体塗布技術によれば、1pL以下の微量の液体を対象被塗布物上に塗布することが可能となる。これにより、マイクロメートルオーダの微小領域に対する塗布が必要となる修正や、微小部品の組立てなどが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1実施例の構成を示す模式図である。
【図2】第1実施例の動作フローである。
【図3】第1実施例に係る塗布動作の説明図である。
【図4】第1実施例に係る塗布動作の説明図である。
【図5】第1実施例に係る塗布動作の説明図である。
【図6】第1実施例に係る塗布動作の説明図である。
【図7】毛管現象の説明図である。
【図8】ノズル内液体の釣り合い状態に関する説明図である。
【図9】ノズル内液体の釣り合い状態に関する説明図である。
【図10】ノズル内液体の釣り合い状態に関する説明図である。
【図11】ノズル内液体の釣り合い状態に関する説明図である。
【図12】第1実施例における圧力調整室の構成図である。
【図13】圧力調整室の機能の説明図である。
【図14】第1実施例による塗布結果データである。
【図15】第2実施例の構成を示す模式図である。
【図16】第3実施例の構成を示す模式図である。
【図17】第4実施例の構成を示す模式図である。
【図18】第5実施例の構成を示す模式図である。
【図19】第6実施例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施例)
以下、本発明の第1実施例に係る液体塗布装置について、図を用いて説明する。図1は、本発明の第1実施例の構成を示す模式図である。図1において、1はガラス管で形成したノズルであり、先端から液体を被塗布物に対して塗布するものである。ノズル1は、先端が尖ったテーパ形状をなしている直管であり、ノズル1の先端部の外径は30μm、内径は10μm程度である。ノズル1の後端は、外形が1〜2mm、内径が0.5〜1mm程度である。2は、ノズル1を保持し、ノズル1の後端とチューブ3を連結するためのノズルホルダである。
【0010】
3は、柔軟性のあるプラスチック等の材料で作られたチューブである。チューブ3は、ノズルホルダ2と圧力調整室4とを連結している。圧力調整室4は、ノズル1内に充填された液体に対して、パルス状の圧力を発生するための機構である。圧力調整室4は、配管9によって2ポートのバルブ5と連結されている。バルブ5は、配管9によって圧力制御手段6と連結されており、後述する制御部30の制御により、圧力制御手段6から圧力調整室4へ送られる圧縮空気を通過させる状態と、圧縮空気を通過させない状態とを切り替えるものである。圧力制御手段6は、圧縮空気源8から送られる圧縮空気の圧力を所定の値に制御するもので、例えば、一般的にエア回路で用いられているエアレギュレータ(減圧弁)である。圧力制御手段6は、配管9によってエアフィルタ7と連結されている。エアフィルタ7は、圧縮空気源8から送られる圧縮空気中の異物を除去するものである。エアフィルタ7は、配管9によって圧縮空気源8と連結されている。
【0011】
ノズルホルダ2は、ノズル1の高さを調整するためのZステージ10に固定されている。Zステージ10はZ軸架台11に固定され、Z軸架台11はベース12に固定されている。したがって、ノズル1は、Zステージ10の昇降動作(Z方向動作)に伴って、昇降動作する。
【0012】
液体の塗布対象(被塗布物)である基板20は、XYステージ21上に、図示しない真空吸着等の手段により固定されている。XYステージ21は、ベース12に固定されている。XYステージ21上には、塗布液体22を収容する容器23が固定されている。したがって、XYステージ21をXY方向(水平の縦横方向)に動作させることにより、ノズル1と基板20のXY方向の位置関係が変化する。
したがって、Zステージ10の昇降動作とXYステージ21のXY方向動作により、ノズル1の先端を容器23内に入れてノズル1内に液体を貯え、その後、基板20上の所望の位置に、ノズル1内の液体を塗布することが可能となる。
【0013】
27は、Zステージ10の上下方向の位置や、速度を制御し駆動するためのZ軸コントローラである。28は、ノズルの上昇遅延時間を制御する遅延制御手段であり、ノズル1による液体の塗布後のノズル上昇タイミングを制御する。遅延制御手段28は、Z軸コントローラ27に含まれるように構成してもよい。また、遅延制御手段28とZ軸コントローラ27を、制御装置30に含まれるように構成してもよい。Z軸コントローラ27には、遅延制御手段28が接続されている。30は制御装置であり、バルブ5、圧力制御手段6、XYステージ21、遅延制御手段28等の本実施例に係る液体塗布装置の各構成部に接続されており、バルブ5、圧力制御手段6、XYステージ21、遅延制御手段28等の本実施例に係る液体塗布装置の各構成部を、所定の液体塗布動作順序に基づき動作するよう制御する。また、制御装置30は、操作者からの指示を受け付ける操作部(不図示)と、各種データ等を記憶する記憶部(不図示)を備えている。
【0014】
24は、ノズル1と基板20の間隔等の位置関係を把握するために、ノズル1と基板20の間近くの拡大画像を取得して表示可能な、ノズル観察手段である。本実施例では、ノズル観察手段24は、ノズル1と基板20の間近くの拡大画像を取得するカメラ25と、その拡大画像を表示するモニタ26から構成され、ノズル間隔確認手段として例示されている。
【0015】
第1実施例では、圧力調整室4、バルブ5、圧力制御手段6、エアフィルタ7、圧縮空気源8等により、パルス状の圧力を発生する圧力発生手段が構成される。また、Zステージ10、Z軸コントローラ27等により、ノズル先端と被塗布物間の距離を調整する距離調整手段が構成される。また、遅延制御手段28等により、ノズルを被塗布物から離すタイミングを制御するタイミング制御手段が構成される。また、圧力調整室4等により、ノズルの先端と後端の雰囲気の圧力を等しくする圧力調整手段が構成される。また、ノズル観察手段24等により、ノズル先端と被塗布物間の距離を、ノズルの側面方向からの画像情報を用いて検出する画像距離検出手段が構成される。
【0016】
上記構成による液体の塗布方法について、図2の動作フローや、図3ないし図6を用いて説明する。図2は、第1実施例の動作フローである。図3ないし図6は、第1実施例に係る塗布動作の説明図である。
まず、ノズル1内へ塗布液を供給するため、ノズル1を、塗布液22を収容した容器23の上方に位置決めする(図2のステップS1)。この位置決めは、操作者による操作部からの指示により、制御装置30が、Zステージ10やXYステージ21を制御して動作させることにより行う。次に、Zステージ10を下降させてノズル1を下降し、図3に示すように、ノズル1の先端を容器23の液中に浸漬する(ステップS2)。ノズル1内は、微細な管状であるため、毛細管現象により、液体22はノズル1の管内を上昇しノズル1内に給液される(ステップS3)。
ノズル1内に所定量給液後、Zステージ10を上昇させてノズル1を上昇する(ステップS4)。次に、XYステージ21により、基板20の塗布位置に対してノズル1のXY方向の位置を合わせる(ステップS5)。その後、Zステージ10によりノズル1を下降する(ステップS6)。
【0017】
ノズル1の先端を、操作者がノズル観察手段24により観察しながら、操作部からZステージ10への制御入力を行い、基板20に対して、図4に示すように、数マイクロメートルの間隙Gの位置にノズル1の先端を位置決め、あるいは当接する。この状態で、操作者が操作部から、ノズル1内の液体22を吐出させるための指示を行うと、制御装置30がバルブ5を開けるよう制御し、ノズル1内の液体22にパルス状の圧力34が加えられる(ステップS7)。その結果、図5に示すように、ノズル1の先端から液体22が突出して基板20に接触して濡れ、ノズル1と基板20間が液体で繋がったブリッジ状態35が形成される。このとき、制御装置30から、前記パルス状の圧力34を加えるタイミングと同時に、遅延制御手段28に対してZステージ10を上昇させる上昇トリガ信号を出しているので、遅延制御手段28に設定された遅延時間の経過後(ステップS8)、Z軸コントローラ27がノズル1を所定の高さ分上昇させる(ステップS9)。これにより、図6に示すように、ノズル1と基板20間を繋ぐブリッジ状態35が切れ、基板20上に液体22が塗布されて、塗布動作は終了する。
【0018】
次に、上記第1実施例の構造と塗布方法において、1pL以下の塗布量を実現するための、本発明の3つの特徴について説明する。
本発明の第1の特徴は、ノズルの先端および該先端と反対側の後端を、ともに同圧の雰囲気とする、例えば大気開放状態とすることによる、ノズルの先端における液面位置の安定性である。本発明の第1の特徴を、図7〜図11を用いて説明する。図7は毛管現象の説明図であり、容器23内の液体22に細管40の先端を浸漬し、毛管現象により、細管40内の液面41が上昇している状態を表す。毛管現象は、液体が管内で濡れて凹面状になることで、液体と大気との界面41の直下42における圧力Pが大気圧Pよりも下がるため、管内の液面が上昇する現象である。微細な円管内部の界面41の形状は、曲率半径Rの球面の一部をなすと考えられる。この場合、液体の表面張力をγとすると、界面直下の圧力Pは、下記(式1)で表される。
【0019】
【数1】

また、曲率半径Rは、管内壁と液面の接触角をθ、管内径をdとすれば
【0020】
【数2】

で表される。接触角θは、管内径dに無関係であり、液体の性質と管の表面状態で決まる。
(式1)と(式1)から、圧力Pは、接触角θと管内径dの関係(式3)で表すことができる。
【0021】
【数3】

ここで、管内の液面の上昇量hは、圧力差P−Pに比例する。このため、接触角θが同じならば、管の内径dが小さいほど圧力差が大きくなり、上昇量hは大きくなる。
【0022】
図8に、ノズル1内に液体22が供給された状態を示す。図8は、ノズル内液体の釣り合い状態に関する説明図であり、ノズル1の先端と後端は、大気に対して開放された状態である。この状態において、図8に示すように、ノズル1内の液体は、ノズル先端45側に寄った状態で安定する。この状態では、ノズル1の先端部45とノズル管内上方46の2箇所に、それぞれ界面47,48が存在する。界面47における管の内径をd1、界面48における管の内径をd2とする。前述したように、d1は10μm程度、d2は0.5〜1mm程度であるので、d1は、d2の1/50〜1/100程度である。このように、ノズル先端の内径の方が細くなっている。
なお、図8では、ノズル1の内径は、先端に近づくほど小さくなるテーパ状であるが、テーパ状に限られず、段差のある階段状でもよい。ノズル1の内径をテーパ状にすると、階段状に比べ、ノズル1内の液体が先端方向に移動しやすいという利点がある。
【0023】
この状態において、内部の液体は静止状態にあり、2箇所の界面47と48における液内部49,50の圧力は、釣り合った状態にある。これは、ノズル内の界面47と48における圧力が等しく釣り合っていることを表しており、さらに(式1)より両界面の曲率Rが等しくなっていることがわかる。
界面48の曲率半径Rは、管路中にあるため、(式2)で示すように、接触角θと管径dで決まる。一方、ノズル先端における界面47は、図9のノズル先端拡大図に示すように、ノズル先端内面のエッジ51を起点として、界面48と等しい曲率半径を有し、界面48と逆向きの凹面が形成されている。界面47では、管内径d1が界面48の管内径d2よりも小さいが、エッジ51の作用により、界面48と等しい曲率半径となる。したがって、(式1)より、界面47と48における圧力が等しくなり釣り合う。
【0024】
次に、このようなノズル1内の液体において、ノズル先端部の液面位置47が常に安定することを説明する。例えば、図10に示すように、ノズル先端の液界面47が、ノズル先端部45よりも上昇した場合を仮定すると、液界面47は管内壁と接触角θで接触する。この場合、界面47と48の接触角θはほぼ等しいため、(式3)より、管内径が小さいノズル先端ほど圧力が低くなる。ノズル先端45における内径が最も小さくなっているため、界面47は、ノズル先端45方向に移動する。
また、図11に示すように、ノズル先端から液体がわずかに突き出した状態を仮定すると、突き出した部分52の内部では、圧力は正圧(大気圧より大きい圧力)になるため、液体にはノズル内部に引き込む方向に力が働く。したがって、ノズル先端における液面位置は、圧力の釣り合いにより、図9に示す位置で安定する。このため、図3〜図6に示す塗布動作を行っても、ノズル先端における液面位置は、自立的に常に安定して、釣り合いの位置に戻る。ただし、この様な状態が成り立つ条件としては、表面張力に比べてノズル内の液重量が無視できるほど小さいことと、ノズル内の液体に外力が加わらないことが必要である。
【0025】
次に、本発明の第2の特徴について説明する。第2の特徴は、ノズル内の液体に対してパルス状の圧力を加えるための圧力発生機構である。図12に、第1実施例の圧力調整室4の構造を示す。図12は、第1実施例における圧力調整室4の構成図である。圧力調整室4は、本実施例では、箱状の閉じた空間61に開放穴62を設け、ノズルホルダ2とバルブ5に、それぞれチューブ3と配管9で繋がった構造である。空間61の体積は、200mm程度、開放穴62の直径は0.8mmである。
【0026】
圧力調整室4の機能について説明する。図13は、圧力調整室4の機能の説明図であり、バルブ5に対する制御装置30からの制御信号波形71と、圧力調整室4における圧力応答波形72を示す。横軸は時間(ms)である。制御信号71は、電圧5Vのときバルブ5を開き、0Vのときバルブ5を閉じるものであり、図13では、20msの間、バルブ5を開く制御信号を示す。
バルブ5が開く前は、圧力調整室4内の気体は大気圧であるが、バルブ5が開くと、圧縮空気が配管9を通って圧力調整室4に流入する。このとき、圧力調整室4に繋がっているチューブ3はノズル1の後端に繋がっており、ノズル1は、内部に液体22が充填されているため、チューブ3は塞がった状態になっている。
圧縮空気は、圧力調整室4に流入すると、開放穴62から圧力調整室4の外部へ抜けるが、開放穴62はオリフィスとして作用し空気が通過する通気抵抗が大きいため、圧力調整室4の内部圧力は、ノズル先端から液体を吐出可能な供給圧力まで、短時間で急速に上昇する。このように、開放穴62は、圧力調整室4からノズル1へ連通するときの通気抵抗よりも大きな通気抵抗で、圧力調整室外部へ連通する。約20msの後、バルブ5が閉じられると、圧縮空気が流入しなくなるため、圧力調整室4内部の圧縮空気は開放穴62から抜け、圧力調整室4の内部圧力は急速に低下し、圧力調整室4外部の雰囲気である大気の圧力と等しくなる。このようにして、パルス状の高圧気体を、ノズル1の後端に加えることができる。
【0027】
図13に示すように、圧力調整室4における圧力応答波形72は、バルブ5に対する制御装置30からの制御信号波形71に比べて、形状は鈍っており、また5ms程度の遅れはあるが、良好な応答特性を示している。このように、本実施例によれば、単純な構成で応答性の良好なパルス状圧力発生器を構成できることがわかる。また、本実施例の方式の利点は、開放穴62により通常は大気に開放されていることにより、ノズル1内の液体に、大気圧以外の力が加わり難い状態になっていることである。もし開放されていない場合は、例えば、内部の空気がわずかな温度変動の影響を受けるだけで熱膨張による圧力変動が発生し、ノズル内の液体に力が加わるため、ノズル先端での液面が安定しない。
なお、本実施例では、圧力調整室4外部の雰囲気を大気としたが、大気に限られるものではなく、ノズル先端と後端の雰囲気が同圧であればよい。
【0028】
本発明の第3の特徴は、ノズル内の液体に対してパルス状の圧力を加えた後、ノズル上昇タイミングを制御してノズルを上昇させることである。本実施例では、ノズル1内の液体にパルスエア(パルス状の高圧気体)を加圧後、遅延制御手段28によって、ノズル上昇タイミングを制御する。
図5、図6に示すように、ノズル1内の液体22に対してパルス状の圧力を加えて、ノズル1内の液体22を基板へ吐出した後、ノズル1を上昇させるが、この上昇タイミングが液体の塗布量に影響する。例えば、パルスエア加圧後、ノズル1の上昇タイミングが遅れた場合、図5に示す状態では界面48の影響により液体内部は負圧になるため、基板上に塗布された液体がノズル1内に吸引され、塗布不良が発生する。また、ノズル上昇タイミングが早すぎると、塗布量が不足する。したがって、ノズル上昇タイミングを制御することにより、ノズル1からの1回あたりの吐出量を制御することができる。
【0029】
ノズル1内の液体22は、パルスエア加圧されノズル1内を移動しノズル1先端から塗布されるが、液体の移動速度は物性の影響を受け、特に粘度の影響を強く受ける。粘度が高いほど移動し難いため、パルス状エア加圧による圧力応答が遅くなる。このため、粘度の高い液体ほど、ノズル上昇時間を遅延することが必要になる。このように、液体の物性に応じて、遅延制御手段28の遅延時間の設定値を適切に決める必要がある。このため、液物性、塗布条件(パルスエア圧力、加圧時間(つまり、バルブ5の開放時間)、ノズル径等)、遅延時間を因子とする塗布実験から、塗布量を制御するための適正遅延時間を求めてデータベース化し、このデータベースを遅延制御手段28が参照し、制御することにより、適切な遅延時間制御を行うように構成することが可能となる。
【0030】
図14に、第1実施例による塗布結果を示す。図14は、パラメータを、バルブ5の開放時間30msおよび50msの2つとし、各パラメータにおいて、パルスエア圧力を60kPa、80kPa、100kPaと変えて実験を行った結果である。図14において、縦軸はノズル1先端からの塗布液の体積(pL)であり、横軸はパルスエアの印加圧力値である。また、80はバルブ5の開放時間が30msの場合であり、81はバルブ5の開放時間が50msの場合である。液体の粘度は、30mPa.s(パスカル・秒)、ノズル上昇遅延時間は、100msの条件、つまり、バルブ5の開放開始から100ms後にノズル上昇を開始する条件で行った。圧力印加時間30msの塗布結果のグラフ80では、ノズル1先端からの塗布量は、パルスエア印加圧力60〜100kPaにおいて、パルスエア印加圧力にほぼ比例し、0.6〜1.4pLであった。圧力印加時間50msの塗布結果のグラフ81では、ノズル1先端からの塗布量は、パルスエア印加圧力60〜100kPaにおいて、パルスエア印加圧力に比例し、1〜2.7pLであった。以上の結果より、第1実施例の構成によって、1pL以下の液体の塗布量を制御して塗布可能であり、かつ塗布量は、印加圧力値と圧力印加時間で制御可能であるといえる。
したがって、ノズル1内に液体を1度供給した後、液体を供給することなく、複数回、ノズル1から液体を塗布することもできる。
【0031】
(第2実施例)
第2実施例について、図15を用いて説明する。図15は、第2実施例の構成を示す模式図であり、図1の第1実施例における、圧力調整室4と2ポートバルブ5の代わりに、3ポートバルブ90で構成したものである。3ポートバルブ90以外は、図1の第1実施例と同じなので、説明を省略する。
3ポートバルブ90は、チューブ3によりノズルホルダ2と連結され、配管9により圧力制御手段6と連結されている。3ポートバルブ90は、さらに大気開放口91に連結されている。3ポートバルブ90は、ノズルホルダ2と圧力制御手段6とを連通させる第1の状態(高圧力状態)と、ノズルホルダ2と大気開放口91とを連通させる第2の状態(低圧力状態)のうち、いずれか一方の状態に切り替えるものである。3ポートバルブ90を第1の状態(高圧力状態)にした場合は、チューブ3とノズルホルダ2を介してノズル1内を加圧し、第2の状態(低圧力状態)にした場合は、ノズル1内への加圧が弱まるので、ノズル1内の液体22に対して、パルス状のパルスエア加圧が可能となる。また、塗布時以外の待機状態においては、3ポートバルブ90を第2の状態(低圧力状態)にすることにより、ノズル1の先端と反対側の後端が大気開放状態となり、ノズル1への毛管作用による液供給など、第1実施例と同様な機能を達成できる。但し、2ポートバルブに比べて、3ポートバルブの切り替え応答時間は多少遅くなるが、この点を考慮して遅延制御手段28の遅延時間を設定すればよい。
第2実施例では、圧力発生手段からの高い圧力が前記ノズル内に連通する状態と、ノズル先端の雰囲気の圧力と等しい圧力が前記ノズル内に連通する状態とを切り替える3ポートバルブ90等により、圧力調整手段が構成される。
【0032】
(第3実施例)
第3実施例について、図16を用いて説明する。図16は、第3実施例の構成を示す模式図であり、図1の第1実施例におけるノズル1の観察手段24の代わりに、ノズル1と基板20間の距離を検出する画像距離検出手段95で構成したものである。画像距離検出手段95以外は、図1の第1実施例と同じなので、説明を省略する。画像距離検出手段95は、画像処理に適した光学観察系を有する撮像手段96と、撮像手段96で得られた画像を処理し、ノズル1と基板20間の距離や、当接状態を制御データとして取得するための画像解析手段97により構成される。画像距離検出手段95からのデータをもとに、制御装置30により、バルブ5によるパルスエア圧力制御と、ノズル1のZ方向駆動と、XYステージ21のXY方向駆動とを同期制御することによって、塗布動作の自動化が可能となる。つまり、ノズル1への給液動作、ノズル1の基板20への接近動作、ノズル1からの液体吐出動作、液体吐出後のノズル1の上昇動作を、制御装置30により制御して、自動化することができる。
【0033】
(第4実施例)
第4実施例について、図17を用いて説明する。図17は、第4実施例の構成を示す模式図であり、図16における画像距離検出手段95の代わりに、画像以外の方法による非画像距離検出手段103を用い、非画像距離検出手段103を、距離検出センサ100と、センサアンプ101等で構成する。非画像距離検出手段103以外は、図16の第3実施例と同じなので、説明を省略する。距離センサ100は、ノズル1の動作と同期した動作とするために、Zステージ10にブラケット102により固定される。距離センサ100の検出部とノズル1の先端45の位置関係は、予めキャリブレーション(調整)しておき、距離センサ100からの信号に基づき、制御装置30が、Z軸コントローラ27とZステージ10を介して、ノズル先端位置45の上下位置を制御する。また、制御装置30は、XYステージ21のXY方向駆動を制御する。
距離センサ100としては、塗布対象基板20の種類によるが、静電容量検出方式、エアマイクロ方式、電気マイクロ方式、レーザ反射光検出方式、光学式距離検出方式、光ファイバの戻り光検出方式、渦電流検出方式等の公知の高精度な検出方式を採用することができる。
なお、第4実施例においても、第3実施例と同様に、ノズル1への給液動作、ノズル1の基板20への接近動作、ノズル1からの液体吐出動作、液体吐出後のノズル1の上昇動作を、制御装置30により制御して、自動化することができる。
【0034】
(第5実施例)
第5実施例について、図18を用いて説明する。図18は、第5実施例の構成を示す模式図であり、図1の第1実施例に対して、ノズル1内の液体の温度を制御するために、温度制御素子105と温度制御用アンプ106を追加し、温度制御素子105と温度制御用アンプ106を、制御装置30で制御可能な構成としたものである。温度制御素子105と温度制御用アンプ106、および温度制御素子105と温度制御用アンプ106に対する制御装置30の制御機能以外は、図1の第1実施例と同じなので、説明を省略する。
温度制御素子105には、ノズル1表面の温度検出手段(不図示)が組み込まれている。温度制御素子105としては、例えば、ヒータあるいはペルチェ素子で構成し、加熱および冷却可能な構成とする。
このような構成により、ノズル1内の液体の温度が制御可能となる。微量塗布の挙動には、液体の粘性が大きく影響する。粘性は温度により大きく変化するため、温度を制御することにより塗布量を制御することが可能となる。
第5実施例では、温度制御素子105等により、温度調整手段が構成される。
【0035】
(第6実施例)
第6実施例について、図19を用いて説明する。第6実施例では、第1実施例から第5実施例において、図19に示す塗布量の校正フローを実現するための仕組みを、制御装置30に組み込む。図19は、第6実施例を説明するフローチャートである。本実施例によって、塗布量を校正し、塗布量ばらつきを低減することが可能となる。
【0036】
以下、図19に示す塗布量の校正フローについて説明する。
まず、操作員が、制御装置30の操作部から制御装置30の記憶部に、塗布量の目標値と目標塗布量に対する許容ばらつき量となる許容偏差を設定する(図19のステップS21)。次に、操作員が、制御装置30の操作部から制御装置30の記憶部に、塗布液の物性、ノズル1の形状(ノズル先端内径、長さ)、対象基板情報(基板20の濡れ性、電気特性、表面状態等)等の塗布条件を設定する(ステップS22)。次に、制御装置30が制御装置30の記憶部に、前記設定した塗布条件に対して目標塗布量を実現するための、パルス圧力、パルス加圧時間、温度などの装置制御条件を設定する(ステップS23)。この設定には、予め塗布量と、塗布条件、制御条件に関して、傾向がわかる程度の相関データを有するデータベース110を設けておき、これを参照して設定する構造とする。次に、対象基板20上に液体塗布を実施し(ステップS24)、図示しない塗布量測定手段によって塗布量を測定する(ステップS25)。
【0037】
塗布量の測定方法としては、制御装置30は、例えば、塗布した液体の側面像を、図16に示すようなカメラ96によって取得し、該取得した液体の側面像に基づいて、塗布量を演算することによって求めることができる。塗布した液体は微量であるため、表面張力の作用により欠球形状を形成する場合が多いので、この性質を利用して側面像から体積を計算することが可能である。
また、塗布対象表面と塗布液体との接触角を、予め接触角計などで測定しておけば、塗布後の液体を上方からカメラで撮影した画像を利用して体積を求めることが可能である。表面張力の作用により液体は円形になるため、円形に広がった液体の直径を求め、これと、接触角と、塗布液が欠球形状を形成する関係から、塗布液の体積を求めることができる。
【0038】
制御装置30は、塗布量測定手段によって測定された塗布量と目標値との差を求め、目標偏差値と比較判定し(ステップS26)、目標許容偏差よりも大きければ制御条件を調整し(ステップS27)、再度塗布、測定、判定を繰り返す(ステップS24〜S27)。
【0039】
塗布量制御条件の調整においては、本実施例では、制御装置30は、加圧時間、パルス圧力、ノズル温度(液体温度)を制御する。制御方法としては、加圧時間とパルス圧力が塗布量にほぼ比例するため、これらの値を増減することによって、塗布量を制御可能である。液体の粘度が高くなると、加圧時間とパルス圧力の制御のみでは、装置のスループットを低下させずに塗布量を制御することが困難となる場合が生じる。このような場合は、ノズル温度を上昇することによって液体の粘度を下げて、加圧時間とパルス圧力を制御することにより、塗布量を制御することができる。
制御装置30は、以上のような方法で塗布量の制御を行い、許容偏差よりも小さくなれば、校正を終了する(ステップS28)。
【0040】
制御装置30は、この校正で得られた制御条件を、データベース110に情報として追加する。これにより、校正動作を繰り返すことで、データベース110を精密化し、制御条件設定の精度が向上する。塗布対象液体は、微量であるため周囲温度の影響を受け粘度が変化する、あるいは液中の成分が反応し、物性が時間とともに変化することも考えられるが、定期的に校正を実施することにより、液の状態が変化しても目標塗布量からのばらつきを抑えることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明による液体塗布技術により、これまで困難であった微量液体の高精度塗布が可能となる。これにより、今後発展が期待されるプリンタブルエレクトロ二クス等の塗布応用プロセスにおける塗布欠陥修正や、またマイクロメートルオーダの塗布を必要とするMEMS(Micro-Electro-Mechanical Systems)部品同士の組み立てのような、微細部品接合への応用が期待できる。
【0042】
本明細書には、少なくとも次の発明が含まれる。すなわち、第1の発明は、
内部に供給された液体を、その先端から吐出する管状のノズルと、
前記ノズルの後端に連通し、ノズル内部の液体を加圧するためのパルス状の圧力を発生する圧力発生手段と、
ノズル先端と被塗布物間の距離を調整する距離調整手段と、
ノズル先端から液体を吐出した後、ノズルを被塗布物から離すタイミングを制御するタイミング制御手段と、
前記ノズルの先端と後端の雰囲気の圧力を等しくする圧力調整手段とを備え、
前記ノズルは、先端のノズル内径をd1とし、先端と後端の間であって液体を貯える部分のノズル内径をd2とした場合、d2よりd1が小さいものである液体塗布装置。
【0043】
第2の発明は、前記第1の発明の液体塗布装置であって、
前記圧力調整手段は、前記圧力発生手段からの高い圧力が前記ノズル後端に連通する状態と、前記ノズル先端の雰囲気の圧力と等しい圧力が前記ノズル後端に連通する状態とを切り替える3ポートバルブを含むことを特徴とする液体塗布装置。
【0044】
第3の発明は、前記第1の発明の液体塗布装置であって、
ノズル先端と被塗布物間の距離を、ノズルの側面方向からの画像情報を用いて検出する画像距離検出手段を備え、
前記距離調整手段が、前記画像距離検出手段で検出した距離に基づいて、ノズル先端と被塗布物間の距離を調整することを特徴とする液体塗布装置。
【0045】
第4の発明は、前記第1の発明の液体塗布装置であって、
ノズル先端と被塗布物間の距離を検出する距離検出センサを備え、
前記距離調整手段が、前記距離検出センサで検出した距離に基づいて、ノズル先端と被塗布物間の距離を調整することを特徴とする液体塗布装置。
【0046】
第5の発明は、前記第1の発明ないし第4の発明の液体塗布装置であって、
ノズル内の液体の温度を調整可能な温度調整手段を備えることを特徴とする液体塗布装置。
【0047】
第6の発明は、前記第1の発明ないし第5の発明の液体塗布装置であって、
1回の塗布量を測定する塗布量測定手段と、
前記塗布量測定手段で測定された塗布量と所定の目標塗布量とに基づき、塗布時におけるパルス圧力値、パルス加圧時間を含む装置制御条件を決定する制御装置とを備えることを特徴とする液体塗布装置。
【0048】
第7の発明は、前記第1の発明ないし第6の発明の液体塗布装置であって、
前記圧力発生手段の発生するパルス状の圧力の印加圧力値又は圧力印加時間、あるいは、前記タイミング制御手段のノズルを被塗布物から離すタイミングを制御することにより、ノズルから1度に吐出する液体の吐出量を制御することを特徴とする液体塗布装置。
【0049】
第8の発明は、
前記ノズル内部に1回で供給された液体を用いて、ノズルから複数回の吐出を行なうことを特徴とする液体塗布装置。
【0050】
第9の発明は、
中空のノズルの先端から液体を塗布する液体塗布方法であって、
前記ノズルの中空部分に液体を供給する給液工程と、
前記ノズルの後端側の気体の圧力を上昇させ、前記液体の一部である液滴を前記ノズル先端から射出する液滴射出工程と、
前記液滴射出の後に、前記ノズル後端側の気体の圧力を、前記液滴射出工程前の圧力に戻す圧力降下工程と、
前記液滴射出工程から次の液滴射出工程までの間に、前記ノズルを液体射出対象から遠ざけてから近づける距離制御工程を含み、
前記液滴射出工程と前記圧力降下工程と前記距離制御工程とを、1回の液滴の射出ごとに繰り返すことを特徴とする液体塗布方法。
【0051】
第10の発明は、前記第9の発明の液体塗布方法であって、気体を内包し前記ノズルの後端側に連通する圧力調整室を使用するものであり、前記圧力調整室は、前記ノズルへ連通するときの通気抵抗よりも大きな通気抵抗で圧力調整室外部へ連通する開放穴を有しており、
前記液滴射出工程において、該圧力調整室室内の気体を加圧することにより、前記ノズル後端側の気体の圧力上昇を行い、
前記圧力降下工程において、前記圧力調整室の開放穴から気体を外部へ流出させることにより、前記ノズル後端側の気体の圧力を、前記液滴射出工程前の圧力に戻すことを特徴とする液体塗布方法。
【0052】
第11の発明は、前記第9の発明または前記第10の発明の液体塗布方法であって、
前記液滴射出工程前の前記ノズル後端側の気体の圧力は、大気圧であることを特徴とする液体塗布方法。
【0053】
第12の発明は、前記第9の発明ないし前記第11の発明の液体塗布方法であって、
前記ノズル内の中空部分の内径が、先端側に行くほど徐々に小さくなっていることを特徴とする液体塗布方法。
【符号の説明】
【0054】
1…ノズル、2…ノズルホルダ、3…チューブ、4…圧力調整室、5…バルブ、6…圧力制御手段、7…エアフィルタ、8…圧縮空気源、9…配管、10…Zステージ、11…架台、12…ベース、20…基板、21…XYステージ、22…液体、23…容器、24…ノズル観察手段、25…カメラ、26…モニタ、27…Z軸コントローラ、28…遅延制御手段、30…制御装置、47、48…界面、62…開放穴、90…3ポートバルブ、91…大気開放口、95…画像距離検出手段、96…撮像手段、97…画像解析手段、100…距離検出センサ、101…センサアンプ、102…ブラケット、105…温度制御素子、106…温度制御用アンプ、110…データベース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に供給された液体を、その先端から吐出する管状のノズルと、
前記ノズルの後端に連通し、ノズル内部の液体を加圧するためのパルス状の圧力を発生する圧力発生手段と、
ノズル先端と被塗布物間の距離を調整する距離調整手段と、
ノズル先端から液体を吐出した後、ノズルを被塗布物から離すタイミングを制御するタイミング制御手段と、
前記ノズルの先端と後端の雰囲気の圧力を等しくする圧力調整手段とを備え、
前記ノズルは、先端のノズル内径をd1とし、先端と後端の間であって液体を貯える部分のノズル内径をd2とした場合、d2よりd1が小さいものである液体塗布装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体塗布装置であって、
前記圧力調整手段は、前記圧力発生手段からの高い圧力が前記ノズル後端に連通する状態と、前記ノズル先端の雰囲気の圧力と等しい圧力が前記ノズル後端に連通する状態とを切り替える3ポートバルブを含むことを特徴とする液体塗布装置。
【請求項3】
請求項1に記載の液体塗布装置であって、
ノズル先端と被塗布物間の距離を、ノズルの側面方向からの画像情報を用いて検出する画像距離検出手段を備え、
前記距離調整手段が、前記画像距離検出手段で検出した距離に基づいて、ノズル先端と被塗布物間の距離を調整することを特徴とする液体塗布装置。
【請求項4】
請求項1に記載の液体塗布装置であって、
ノズル先端と被塗布物間の距離を検出する距離検出センサを備え、
前記距離調整手段が、前記距離検出センサで検出した距離に基づいて、ノズル先端と被塗布物間の距離を調整することを特徴とする液体塗布装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4の内いずれか1項に記載の液体塗布装置であって、
ノズル内の液体の温度を調整可能な温度調整手段を備えることを特徴とする液体塗布装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5の内いずれか1項に記載の液体塗布装置であって、
1回の塗布量を測定する塗布量測定手段と、
前記塗布量測定手段で測定された塗布量と所定の目標塗布量とに基づき、塗布時におけるパルス圧力値、パルス加圧時間を含む装置制御条件を決定する制御装置とを備えることを特徴とする液体塗布装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6の内いずれか1項に記載の液体塗布装置であって、
前記タイミング制御手段のノズルを被塗布物から離すタイミングを制御することにより、ノズルから1度に吐出する液体の吐出量を制御することを特徴とする液体塗布装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7の内いずれか1項に記載の液体塗布装置であって、、
前記ノズル内部に1回で供給された液体を用いて、ノズルから複数回の吐出を行なうことを特徴とする液体塗布装置。
【請求項9】
中空のノズルの先端から液体を塗布する液体塗布方法であって、
前記ノズルの中空部分に液体を供給する給液工程と、
前記ノズルの後端側の気体の圧力を上昇させ、前記液体の一部である液滴を前記ノズル先端から射出する液滴射出工程と、
前記液滴射出の後に、前記ノズル後端側の気体の圧力を、前記液滴射出工程前の圧力に戻す圧力降下工程と、
前記液滴射出工程から次の液滴射出工程までの間に、前記ノズルを液体射出対象から遠ざけてから近づける距離制御工程を含み、
前記液滴射出工程と前記圧力降下工程と前記距離制御工程とを、1回の液滴の射出ごとに繰り返すことを特徴とする液体塗布方法。
【請求項10】
請求項9に記載の液体塗布方法であって、気体を内包し前記ノズルの後端側に連通する圧力調整室を使用するものであり、前記圧力調整室は、前記ノズルへ連通するときの通気抵抗よりも大きな通気抵抗で圧力調整室外部へ連通する開放穴を有しており、
前記液滴射出工程において、該圧力調整室室内の気体を加圧することにより、前記ノズル後端側の気体の圧力上昇を行い、
前記圧力降下工程において、前記圧力調整室の開放穴から気体を外部へ流出させることにより、前記ノズル後端側の気体の圧力を、前記液滴射出工程前の圧力に戻すことを特徴とする液体塗布方法。
【請求項11】
請求項9又は請求項10に記載の液体塗布方法であって、
前記液滴射出工程前の前記ノズル後端側の気体の圧力は、大気圧であることを特徴とする液体塗布方法。
【請求項12】
請求項9ないし請求項11のいずれかに記載の液体塗布方法であって、
前記ノズル内の中空部分の内径が、先端側に行くほど徐々に小さくなっていることを特徴とする液体塗布方法。
【請求項13】
請求項9ないし請求項12のいずれかに記載の液体塗布方法であって、
前記液滴射出工程から次の液滴射出工程までの間に、前記ノズルを液体射出対象から遠ざけてから近づける距離制御工程を含むことを特徴とする液体塗布方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−24704(P2012−24704A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−166178(P2010−166178)
【出願日】平成22年7月23日(2010.7.23)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】