説明

液体塗布装置

【課題】塗布ロボットを使った液剤塗布において、半導体や医療品に対応したクリーンな塗布を可能とする。
【解決手段】液剤塗布の装置カバー7の上部にHEPAフィルター6を設け、塗布ヘッド9の下方には、塗布部材(回路基板2)の上面を示すA−Aのラインより下方にX−Yテーブル部20の摺動部やZ軸駆動部42、X軸駆動部43、Y軸駆動部44を配置し、ダウンフローエアの流れ45は排気口17を通過し排出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液剤を塗布部材に塗布するにあたり、クリーンな環境において液剤を塗布する液体塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液剤塗布に関しては、各種業界分野に幅広く使用されている。近年においてクリーン度が必要な分野である、半導体分野、医療品分野、食品分野など液剤塗布の用途が広くなってきている。自然エネルギーや環境に配慮した商品分野であるLED、バッテリー、ソーラー、情報機器、食品など環境に配慮した商品や医療の進歩にともなう医療品など、これからも市場拡大が続いていく。これにより対応できるクリーン度の高い塗布装置が求められる。
【0003】
従来、各種分野の設備においても、ヘッド部が上下する構成がとられている。装置設計からすれば、ヘッドなどの軽量部を動作させることは基本的なことであるが、半導体分野や医療品分野においては、クリーン度を非常に高める必要がある。このことが製品の品質や信頼性をより向上させることになる。このため、必要な塗布面とHEPAフィルターとの間に駆動部や摺動部があると、塗布面に対するクリーン度は低下することになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体分野や医療分野の装置を見ると、カバー上部にHEPAフィルター(JISZ8122)を取り付いているものが多い。その下方には半導体部品の装着ヘッドや医療の薬液注入や実験時等においても、HEPAフィルターの下方にヘッドを上下動させる駆動ユニットや摺動部が、トレイや回路基板の上を移動していると、クリーン度が低下したエアーが塗布部材上にダウンブローされていることになる。
【0005】
塗布装置のベースプレートもしくはベースプレート近傍より、ダウンブローされたエアーは排出されるようにする。このように、理想的には塗布面より上方に駆動部や摺動部がなく、クリーンエアーがダウンブローされる構成が好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
液剤塗布装置において、液剤塗布関連ヘッド部は、基本的に液剤塗布部材の上方に位置することになる。また塗布精度を要する場合、塗布部材を塗布位置に位置決めするためには、水平方向と上下方向の2方向に対して位置決めを行う必要がある場合が多い。X−Yテーブル上に載置された塗布部材の位置決めに対して、水平方向の位置決めはX−Y軸の駆動により位置決めを行う。また上下方向の位置決めに対して
本実施例においては、X軸テーブルに上下動可能なZ軸を設け、液材塗布ノズル先端が塗布部材の塗布位置高さに対して最適となるように、X−Yテーブル部の載置テーブルを上下動させて液剤塗布を行う。。液剤塗布に対するX−Y−Z軸の位置決めのための駆動部、摺動部を塗布部材の塗布面より下方に位置する構成としたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、装置カバー上部に取り付けているHEPAフィルターからのクリーンなエアーをダウンブローさせ、液剤塗布時において塗布部材の塗布面まで対して、装置内の駆動部や摺動部を塗布面より下方に位置させる構成とすることにより、クリーン度の高い状態で液剤塗布が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態の液剤塗布装置の構成を示す斜視図
【図2】X−Yテーブル部の上下駆動の一実施概略図
【図3】本発明の一実施形態の液材塗布装置の右側面概略図
【図4】本発明の一実施形態のヘッド部取り付け片側スタンドの右側面概略図
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。まず図1は本発明の全体構成をあらわしたものである。塗布装置1の前後には、塗布部材である回路基板2を搬出入するためのクリーントンネルやクリーンストッカー等、詳細な図示はしていないが供給部3から排出部4に液剤塗布後に取りだされていく。5は塗布装置1の制御部である。
【0010】
塗布装置1には、上部にクリーンフィルターであるHEPAフィルター6が、装置カバー上部7に取り付けられ、クリーンエアーがダウンブローされている。その下方には液剤タンク8と結合さされている液剤塗布ヘッド9が、ヘッド取り付けプレート11に取り付けられている。10は液剤供給チューブである。12は塗布面高さ検出センサーであり、ブラケット13に取り付けられ、ヘッド取り付けプレート11に固定されている。また、ヘッド取り付けプレート11は保持支柱14に取り付けられ本体ベースプレート16に固定されている。ポジション15はメンテナンス用のポジションである。駆動は図示していないが、シリンダーとかボールネジ等で駆動させることにより、装置の前面方向でメンテナンスを容易にさせるためのものである。
【0011】
塗布装置1の本体ベースプレート16か、その近傍にHEPAフィルター6の風量に対して、クリーンエアーが最適な方向に流れ排出できるように適宜排気口17を設ける。また本体ベースプレート16上には回路基板2の半導体部品18の液剤塗布に対して、水平方向の位置決め、および液剤塗布ヘッド9の吐出ノズル先端19が上下方向に対して最適な高さとなる様にX−Yテーブル部20で回路基板2を上下動可能とすることにより、最適な液剤塗布が可能となるように構成している。尚塗布部材である回路基板2の搬出入時のガイドとして、またX−Yテーブル上での位置決めのために、一対のガイドレール21がある。
【0012】
X−Yテーブル部20の構成について図1と図2を用いて説明する。Y軸フレーム22の駆動は、Y軸駆動モータ23とY軸駆動ボールネジ24により前後に駆動し、かつ2本のY軸ガイド25に沿って移動する。その上方にはX軸フレーム26があり、X軸駆動モータ27とX軸駆動ボールネジ28により左右方向にX軸ガイド29に沿って移動する。30は上下駆動のZ軸モータである。
Z軸モータ30はX軸フレーム26に固定されたブラケット31により取り付いている。モータに直結しているプーりー34は、ベアリング35に支持されたZ軸駆動ボールネジ36と一体となったプーりー37とを、タイミングベルト38で結合し、Z軸ボールネジ36を回転可能にしX軸フレーム26に対して塗布部材である回路基板2を載置しているZ軸フレーム32を上下動させる。
またZ軸フレーム32は、4本のリニアガイド33により、
X軸フレーム26と一体的に水平方向移動可能となっている。39はX軸フレーム26に固定するための固定リングであり、40はZ軸フレーム32に固定されたボールネジナット、41はY軸駆動ボールネジ24のボールネジナット取り付けブラケットである。
【0013】
図3は塗布装置1の右側面概略図である。装置カバー7上部にHEPAフィルター6を取り付け液剤塗布ヘッド9はヘッド取り付けプレート11に搭載され、保持支柱14に固定されている。塗布ヘッド9の下方にはX−Yテーブル部20があり、上部には塗布部材である回路基板2が載置されている。Z軸駆動部42、X軸駆動部43およびY軸駆動部44と、塗布に対応する駆動部は、塗布部材の回路基板2の上面であるA−Aのラインより下方に駆動部や摺動部を配置している。45はHEPAフィルターよりダウンブローされたクリーンエアーの流れであり、本実施例では、ベースプレート16に設けられた排気口17より46の様に排出される。
【0014】
装置内のユニットにおいてクリーン度を向上させるには、駆動部のボールネジやタイミングベルトやプーりー等、クリーン度の必要な箇所に対応させるためのカバーを設けると効果がありますが、今回の実施例の説明においては、基本的な構成の考えに対する説明を重視しているため、カバー等に関しての図示はしていません。
【0015】
図4は、液剤塗布ヘッド9のヘッド取り付けプレート11を、片方からのスタンド構成とした右側面概略図であり、基本的構成は図3と同じである。液剤塗布装置の塗布部材が小型であった場合や前面からの作業性、またヘッド部の重量および振動等、必要に応じて保持支柱の形状を使い分けるとよい。上部にHEPAフィルター6があり、その下方にはヘッド取り付けプレート11が片側保持支柱47に取り付けられている。その下方には、塗布部材である回路基板2がX−Yテーブル部20に載置され本体ベースプレート16上に取り付けられている。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明の液剤塗布装置は、クリーン度を必要とされる分野である、半導体分野、医療品分野、食品分野等における液剤塗布に対して有用である。
【符号の説明】
【0017】
2 回路基板
5 制御部
6 HEPAフィルター
8 液剤タンク
9 液剤塗布ヘッド
11 ヘッド取り付けプレート
17 排気口
20 X−Yテーブル部
42 Z軸駆動部
43 X軸駆動部
44 Y軸駆動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液剤塗布装置のカバー上部にHEPAフィルターを設けダウンブローしている。液剤供給部に接合されている塗布関連ヘッド部は保持支柱に取り付けられている。塗布関連ヘッド部の下方には、塗布部材を水平方向および上下方向に駆動可能な構成のX−Yテーブルがあり、液剤塗布時において、液剤塗布ヘッドの吐出口と塗布部材との隙間を最適に保ち、液剤塗布可能とするため、前記X−Yテーブルに載置している塗布部材を上下動させ液材塗布をする。塗布部材に対し塗布位置決めを行う駆動部や摺動部を、塗布面より下方に位置するように構成したことを特徴とする液剤塗布装置。
【請求項2】
前記塗布関連ヘッド部は、液剤塗布ヘッドの塗布ノズル先端と塗布部材の塗布位置との隙間を検出するユニットや、液剤塗布状態を検出するユニットを搭載可能としたことを特徴とする請求項1記載の液剤塗布装置。
【請求項3】
前記液剤塗布装置において、塗布ノズル先端と塗布位置との隙間が設定寸法となるようにフィードバック制御を行い、X−Yテーブル上の塗布部材を水平方向や上下動させる請求項2記載の塗布設備。
【請求項4】
前記液剤塗布装置において、液剤の塗布状態を検出し、設定した塗布形状の位置やサイズに対してフィードバック制御を行い、塗布圧、塗布時間、塗布部材の移動速度を調整させ液剤を安定塗布させる、請求項2記載の液剤塗布設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−17985(P2013−17985A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164813(P2011−164813)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(591262861)エース技研株式会社 (5)
【Fターム(参考)】