説明

液体天然ガスタンク用の懸下デッキ

低温または極低温保管タンクの屋根から断熱体を支持するために使用される非溶接のデッキが開示される。デッキは、バーの間の空間を覆う金属シートを備える複数の離隔されたバーから成る。金属シートの縁部は、デッキを形成するためにバーに締め付けられてもよい。隣接する金属シートの縁部は、重なってもよく、シートを変形させて金属対金属の耐蒸気および耐塵の密封をもたらすようにして一緒に締め付けられてもよい。複数の締結バーおよび支持バーが、デッキ全体が応力をかけられた膜として荷重を支持できるのに十分な強度で金属シートを固定してもよい。タンクは、摂氏200°(華氏360°)を超える繰り返される熱サイクルを受けた後でさえも固定を維持するハードウェアで製造されてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる、2005年10月17日に提出された、Ronald Carl Kernによる、「Suspended Deck For Liquid Natural Gas Tank」という名称の、米国特許仮出願第11/252,067号に対する優先権を主張する。
【0002】
本発明は一般に、たとえば、液体天然ガスタンクなどの低温タンクの屋根から懸下された断熱体デッキに関する。
【背景技術】
【0003】
毎年、より多くの天然ガス埋蔵地が発見されている。不運なことに、その大部分は、主要な消費国から遠い所で発見され、経済的な輸送および分散を致命的にしている。現在、世界で消費されるよりもずっと多くの天然ガスが、発見された天然ガス埋蔵源から取り出されている。過度の量の天然ガスは、抽出された天然ガスを保持するための保管施設の迅速な建造を必要とする。天然ガスが、天然ガスを液化させる極低温で保管される場合、必要とされる保管施設および容器のサイズが、縮小されることができる。天然ガスを液化させることは、天然ガスの体積を600パーセント超減少させる。したがって、液体天然ガス(「LNG」)は、天然ガスよりも小さい保管スペースを必要とする。しかし、LNGは、液化されたままであるために、摂氏−163°(華氏−261.4°)未満で保管されなければならない。
【0004】
このような保管容器は、極低温で延性を維持することができ、亀裂を生じない材料で製造されなければならない。一般に、LNGタンクは、外側タンク内に封入された、内側タンクで製造され、内側タンクは、9%ニッケル鋼などの極低温で延性を維持する金属で製造されなければならない。内側タンクと外側タンクの間の空間は、LNGを極低温に維持するコストを減少させるために、様々な形態の断熱体で充填される。外側タンクは、同じ極低温を受けず、したがって、プレストレストコンクリートなどの様々な材料で製造されてもよい。これらの保管容器は、内側容器を極低温に維持することを助けるために、外側タンクの屋根から内側タンクの上方に懸下された断熱体デッキを備えてもよい。
【0005】
内側保管容器と同様に、デッキは、摂氏−163°で延性を維持する材料で製造されなければならない。また、断熱体デッキは、断熱体、断熱体作業員、および検査員の荷重を支持することができるような材料で製造されなければならない。様々なアルミニウムおよびステンレス鋼合金は、必要な強度を提供し、低温で延性を維持するため、極低温材料で使用されるために優れた製造材料である。さらに、アルミニウム合金は、実際に極低温で強度が増加する。しかし、デッキの製造でこれらの材料を使用することは、いくつかの欠点を有する。
【0006】
アルミニウムまたはステンレス鋼合金の断熱体デッキを製造する一方法は、デッキを一緒に溶接し、次にデッキを屋根から懸下することによる。しばしば、断熱体デッキは、地面の高さでデッキの様々な構成要素を一緒に溶接し、いったん完成した後、ブロアおよびガイドラインを使用して、デッキが取り付けられた外屋根を定位置に浮遊させることによって製造される。しかし、溶接されたデッキを製造するために必要とされる時間は、デッキが作業場所で一緒に溶接されなければならないため、長いことがあり、アルミニウムは、一般に、最も溶接が困難な合金であるとみなされているため、溶接は、かなり予測不可能なプロセスであり得る。ステンレス鋼合金もまた、他の炭素鋼合金と比較して溶接するのが困難である。したがって、このようなデッキの製造は、熟練した溶接工を必要とし、このことは、製造のコストおよび時間を増加させる。タンクの上部への外屋根のエアリフトの前に、デッキが完成されて外屋根に取り付けられなければならないため、デッキの組立はしばしば、プロジェクトのクリティカルパス上にある。
【0007】
断熱体デッキを一緒に溶接することは、断熱体デッキの強度に負の影響を有する。通常、アルミニウムには、熱処理可能な合金と熱処理不可能な合金がある。熱処理可能なアルミニウム合金は、ねかしと呼ばれるプロセスからそれらの強度を得る。アルミニウム合金はまた、焼きなましプロセスからそれらの強度を得ることができる。しかし、引張り強度のかなりの減少が、アルミニウムのねかしまたは焼きなましによって、アルミニウムを溶接したときに生じる。強度の低下を補償するために、しばしば、溶接されたアルミニウムデッキの厚さが、増加されなければならず、したがってデッキのコストおよび重量を増加させる。また、デッキの重量の増加は、外側タンクの屋根から断熱体デッキを懸下している支持体の数およびサイズを増加させる。
【0008】
懸下された断熱体デッキを製造するための別の方法は、波型の金属から成る構成要素を一緒にボルト止めし、波型の金属のデッキを屋根から懸下することである。一緒にボルト止めされた波型の金属で製造されたデッキは、溶接されたデッキよりも迅速に組み立てられることができるが、このタイプの断熱体デッキは、使用されることができる断熱体のタイプに対する限界を有する。LNGタンクで使用されるあるタイプの断熱体は、パーライトであり、これは低価格であるが、極めて効果的な断熱体材料である。パーライトは、極めて微細な粉末であり、したがって、波型の金属のデッキの継ぎ目を通って漏出し、おそらく内側保管容器内に保持されたLNGでの汚染問題を生じさせる。fiberglass(登録商標)またはロックウールなどの他の一般的な断熱体材料もまた、継ぎ目を通って漏出し、おそらく汚染を生じさせることがある、塵の微細粒子を有することがある。継ぎ目をシーラントまたはガスケット材料で閉鎖することは、コストを増加させ、かつこのような材料は、極低温および繰り返される温度差サイクルに適していなければならない。
【0009】
一緒にねじ付けまたはボルト付けされる現行のデッキでの別の問題点は、デッキの構造で使用される異なる材料の熱膨張および収縮である。しばしば、断熱体デッキの構造で使用されるファスナは、デッキとは異なる材料から成り、したがって、ファスナおよびデッキは、異なるように収縮および膨張する。膨張および収縮の差が、保管容器の熱サイクルによってデッキのファスナを緩めることがある。LNGタンクは少なくとも摂氏200°(華氏360°)、LNGを液体形態に維持するために必要とされる典型的な夏期の周囲温度と極低温の間の差の熱サイクルを受ける。この熱サイクルは、LNGタンクの日常維持作業によって生じることもある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記のことに照らして、製造するために熟練した溶接工を必要としない断熱体デッキおよびその製造方法を提供することが望ましい。最少量の時間で製造されることができるデッキも望ましいであろう。さらに、少なくとも摂氏200°の熱サイクル中、構造的な一体性を有するデッキおよびその製造方法を提供することが望ましいであろう。また、パーライト、または、保管されたLNGを汚染する機会なしで使用されることができる塵または微細繊維を含むその他の断熱体材料などの微細粉末化された断熱体をその上に溶接することなく、デッキを製造することが望ましいであろう。LNGからの蒸気が、デッキの継ぎ目を通って逃げることができないように、デッキが製造されることもまた望ましいであろう。
【0011】
本発明は、上記で述べた課題の1つまたは複数の影響を克服すること、または、少なくとも低減させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示の一実施形態の装置は、アルミニウム構成要素を溶接することなく組み立てることによって製造され、かつ断熱体デッキによって支持された断熱体による低温タンク内に保管されたLNGなどの材料の汚染を防止する、断熱体デッキである。本明細書で使用されるとき、低温タンクは、その中で、タンク内の温度が極低温に到達するタンクであり、かつ低温タンクという用語は、LNGタンク、極低温タンクなどと互換的に使用されてもよい。各用語(低温タンク、LNGタンク、極低温タンク)は、その普通の意味で与えられるものである。
【0013】
断熱体デッキは、断熱体がそれを通って漏出し、保管された材料を汚染する亀裂または継ぎ目なしで、金属対金属の密封が、断熱体デッキをもたらすデッキ構成要素の間の接合部でもたらされるようにして製造される。また、デッキは、デッキの縁部から低温タンクの側部へ延びる密封部材を備える。
【0014】
本開示の一実施形態は、複数の梁、複数の梁と接続された複数の支持バー、複数の金属シートのそれぞれの外部部分が、複数の支持バーの1つの上に載り、かつ複数の支持バーの間の開口部を覆っている複数の金属シート、金属シートの少なくとも1つの上部表面と係合している複数の締結バー、および締結バーを支持バーに固定している複数のファスナを備える、低温タンク内で使用するための断熱体デッキである。複数の締結バーおよび支持バーは、デッキ全体が応力をかけられた膜として荷重を支持できるのに十分な強度で金属シートを固定してもよい。また、断熱体デッキの一実施形態が、断熱体デッキの縁部の周りに延びている終端部材を備えてもよい。複数のファスナが、ロックボルトであってもよい。別法として、複数のファスナが、定位置に機械的にロックされてもよい。断熱体が、複数の金属シート上に配置されてもよい。一実施形態では、断熱体が、パーライトなどの微細な粉末であってよい、またはかなりの塵構成要素を含んでもよい。
【0015】
本開示の一実施形態では、断熱体デッキが、実質上平行に配列されている複数の梁、実質上平行に、かつ複数の梁に対して実質上横方向に配列されている複数の梁と接続している複数の支持バー、金属シートのそれぞれの外部部分が、支持バーの1つの上に載り、かつ支持バーの間の開口部を覆っている複数の金属シート、金属シートの少なくとも1つの上部表面と係合している複数の締結バー、および締結バーを支持バーに固定する複数のファスナから成ってもよい。断熱体デッキの構成要素、すなわち、平行な梁、支持バー、金属シート、締結バーおよびファスナはそれぞれ、アルミニウム合金から成ってよい。しかし、構成要素はすべて、デッキ構成要素の膨張および収縮率が一様であるように、同じ材料から成ることができるが、必ずしもアルミニウム合金でなくてもよい。
【0016】
一実施形態では、断熱体デッキは、低温タンクの屋根から断熱体デッキを懸下するための手段を備えてもよい。断熱体デッキを懸下するための手段は、金属のバー、構造梁、金属のケーブル、またはステンレス鋼ケーブルを備えてもよい。断熱体デッキを懸下するための手段が、複数の梁と接続されてもよい。別法として、断熱体デッキを懸下するための手段が、複数のファスナと接続されてもよい。断熱体デッキは、本開示の利益を有する当業者によって理解されるように、バーまたはケーブルなどの様々な構造を使用して低温タンクの屋根から懸下されてもよい。
【0017】
断熱体デッキの金属シートは、実質上矩形であってよいが、シートのサイズおよび形状は、本開示の利益を有する当業者によって理解されるように様々であってよい。金属シートは、締結バーがファスナによって支持バーに固定されるとき、締結バーによって少なくとも部分的に変形されてもよい。隣接する金属シートが、縁部で重なってもよく、このようにして、締結バーによって生じるシートの変形が、シート間の金属対金属の密封をもたらしてもよい。同様に、各シートの変形が、シートと締結バーの間および/またはシートと支持バーの間の金属対金属の密封をもたらしてもよい。
【0018】
一実施形態では、支持バーの少なくとも1つが、リブを備えてもよく、締結バーの少なくとも1つが、リブと対合する溝を備えてもよい。支持バー上のリブが、ファスナが締め付けられるとき、金属シートの一部分を溝内へ変形させてもよい。別法として、支持バーが、溝を備える一方、締結バーが対合するリブを備え、やはり、ファスナが締め付けられるとき、金属シートの一部分が対合するリブによって溝内へ変形されてもよい。代替となる実施形態では、支持バーの少なくとも1つが、支持バーに沿って走るチャネルを備えてもよく、かつ締結バーの少なくとも1つが、金属シートの1つをチャネル内へ部分的に変形させてもよい。
【0019】
一実施形態では、複数の支持梁および複数の締結梁が相互嵌合する凸状のおよび凹状の表面を備えてもよい。複数の金属シートのうちの2つの隣接する金属シートが、金属シートの一部分が凸状および凹状の表面の間に載るように、重なってもよい。金属シートの重なっている部分が、ファスナが締め付けられたとき、支持梁および締結梁によって少なくとも部分的に変形されてもよい。重なり部分の変形が、金属対金属の密封を生じさせてもよい。
【0020】
本開示の一実施形態は、複数の実質上平行な梁を低温タンクの屋根に取り付けるステップ、複数の実質上平行な支持バーを複数の梁に取り付けるステップであって、複数の支持バーが、複数の梁に対して横方向に延びているステップ、複数の支持バーの間の開口部を横切って複数の金属シートを配置するステップ、複数の金属シート上に複数の締結バーを配置して締結バーを複数の支持バーの上方に位置させるステップ、複数のファスナを締め付けることによって複数の金属シートの少なくとも一部分を変形させるステップであって、複数のファスナが、複数の支持バー、複数の金属シート、および複数の締結バーを一緒に固定するステップ、断熱体デッキの縁部から延びている密封部材を低温タンクの側部に取り付けるステップ、および断熱体デッキの上部の上に断熱体を設置するステップを含む、低温タンク内で使用するための断熱体デッキを製造する方法である。
【0021】
方法は、金属シートの縁部を重ねるステップをさらに含んでもよい。また、変形される金属シートの一部分が、重なっている縁部であってよい。断熱体デッキを製造する方法で使用される断熱体は、微細な粉末であってもまたはかなりの量の塵(dust)を含んでもよい。断熱体デッキを製造する方法の一実施形態では、平行な梁、支持バー、金属シート、締結バー、およびファスナがすべて、アルミニウム合金から成る。
【0022】
本発明は、様々な修正形態および変形形態が可能であるが、特定の実施形態が図面で一例として示されており、本明細書で詳細に説明される。しかし、本発明は、開示された特定の形態に限定されるように意図されていないことを理解されたい。むしろ、本発明は、特許請求の範囲によって定義された本発明の精神および範囲内にあるすべての修正形態、等価なものおよび代替形態をカバーするものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の例示的な実施形態が、LNG容器またはその他の流体保管タンクの屋根から懸下された断熱体デッキのための設計の使用で採用されるように以下で説明される。明瞭化の点で、実際の実施形態のすべての特徴が、本明細書に記載されているわけではない。このような実際の実施形態の開発では、システム関連およびビジネス関連の制約の遵守など、実施例ごとに様々である開発業者の特有の目的を達成するために、様々な実施例固有の決定が行われなければならないことを、もちろん理解されよう。さらに、このような開発の努力は複雑であり時間を消費するものであるが、多かれ少なかれ、本開示の利益を有する当業者が担うルーチンであることを理解されたい。
【0024】
本発明の様々な実施形態のさらなる態様および利点が、以下の説明および図面の考慮から明らかになるであろう。
【0025】
図1に示すように、本開示の低温タンク2のための断熱体デッキ1は、一緒に締結された金属シート10のネットワークから成る。図2〜4に示すように、断熱体デッキ1は、支持バー20と締結バー30の間に金属シート10を締結することによって製造されてもよい。金属シート10、支持バー20、および締結バー30の組立体は、ファスナ40によって一緒に固定されてもよい。支持バー20は、支持バー20に対して実質上垂直である梁90と接続されてもよい。断熱体デッキ1は、梁90と接続されたケーブルまたはバーによって低温タンク2の屋根から懸下されてもよい。
【0026】
図2に示すように、本開示の実施形態は、支持バー20と締結バー30の間で重なる隣接する金属シートから成ってもよい。支持バー20は、その上部表面25を通る中央開口部15を含んでもよい。支持バー20の上部表面25は、図2に示すように凹状の形状であってよい。締結バー30は、図2に示すように凸状である、その底部表面35を通る中央開口部5を含んでもよい。別法として、支持バー20の上部表面および締結バーの底部表面が平らであり、本開示の利益を有する当業者によって理解されるようにその表面に沿った溝をまた備える。
【0027】
支持バー20は、上部表面25の反対側の端部にフランジ26を備える。本開示の利益を有する当業者によって理解されるように、フランジ26の形状は様々であってよく、フランジ26が、梁70を支持バー20と接続するために使用されてもよい。たとえば、ファスナが、支持バー20を梁70に締結するために、フランジ26を通って梁70内へ挿入されてもよい。同様に、締結バー30は、フランジ36を備えてもよく、フランジの形状は様々であってよい。締結バーのフランジ36は、梁70またはその他の構造への締結バー30の固定のために使用されることができる。
【0028】
図3に示すように、ファスナ40が、支持バー20内の開口部15および締結バー30内の開口部5を通って挿入されてもよい。ファスナ40は、図3に示すように、カラー50およびピグテイル60を備えるロックボルトであってよいが、本開示の利益を有する当業者によって認識されるような、いかなる適用可能なファスナであってもよい。金属シート10は、デッキの組立を助けるために、事前に製造された開口部(図示せず)を備えてもよい。または別法として、開口部が、製造プロセス中金属シート内に作られてもよい。ツール60が、カラー50をファスナ40の鋸歯付き部分の上にスウェッジ(swedge)するために使用される。ツール60は、カラー50に下向きの力または圧力を加えて、カラーをファスナ40上へ変形させ、定位置にロックする。ツール60は、油圧、空気圧、または本開示の利益を有する当業者に明らかであるようなその他の手段を通じて、必要な圧力を加えてもよい。
【0029】
カラー50をスウェッジするためにツール60によって加えられる力が、図4によって示されているように、ファスナ40のピグテイル70を破壊させてもよい。カラー40をファスナ40上にスウェッジすることによって、ファスナ40の軸部が張力を加えられる。ファスナ40およびカラー40の張力が、支持バー20および締結バー30を一緒にロックし、組立体がその中に設置されているタンクの熱サイクルによって組立体が緩むことを防止する。また、ファスナ40のスウェッジは、支持バーおよび締結バー30を一緒に引き、バーの間に締結している重なっている金属シート10の変形を生じさせる。金属シートの変形が、シート間の金属対金属の密封を生じさせる。締結バーの凸状の表面および支持バーの凹状の表面が、表面と実質上同じ曲率で、金属シートを変形させる。対合する凸状のおよび凹状の表面が、重なっている金属シート10の間の金属対金属の密封を形成することを助ける。本開示の利益を有する当業者ならわかるように、表面内に溝を含むなど、支持バーおよび締結バーの両方の表面構造および幾何形状は、様々であってよい。
【0030】
断熱体デッキ1が、断熱体デッキと内側タンクの間に隙間があるように、低温タンク2の内側タンクの上方に位置されてもよい。周辺プレート100が、図5に示すように、断熱体デッキ1と内側タンクの間の隙間を接続するために使用されてもよい。周辺プレート100は、ブラケット110とともに接続された多角形の梁105から成ってもよい。周辺プレートが熱サイクルを受けるときに一様な膨張および収縮率を可能にするために、多角形の梁105、ブラケット110、および梁とブラケットを接続しているファスナ115はすべて、たとえばアルミニウム合金などの同じ材料から成ってもよい。周辺プレートは、本開示の利益を有する当業者ならわかるようにいくつかの異なる設計および構成要素を使用して製造されてもよい。
【0031】
様々な実施形態が示され、説明されてきたが、本発明は、そのように限定されず、当業者ならわかるようにすべてのこのような修正形態および変形形態を含むことが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】一緒に締結された金属シート10のネットワークから成る本開示の低温タンク2のための断熱体デッキ1の一実施形態の上面図である。
【図2】支持バー20と締結バー30の間で重なる2つの金属シート10の本実施形態の断面図である。
【図3】ロックボルト40が、締結バー30の開口部5および支持バー20の開口部15を通って挿入されている図2の実施形態の図である。
【図4】カラー50が、ロックボルト40上にスエージングされ、ピグテイル60がロックボルト40から折り取られている図3の実施形態の図である。
【図5】低温タンクの断熱体デッキと内側タンクの間の隙間を閉鎖する周辺プレート100の一実施形態を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の梁、
複数の梁と接続された複数の支持バー、
複数の金属シートであって、複数の金属シートのそれぞれの外部部分が、複数の支持バーの1つの上に載り、かつ複数の金属シートが、複数の支持バーの間の開口部を覆っている複数の金属シート、
それぞれが複数の金属シートの少なくとも1つの上部表面と係合している複数の締結バー、および
複数のファスナであって、複数のファスナの少なくとも1つが、複数の締結バーの少なくとも1つを、複数の支持バーの少なくとも1つに固定している複数のファスナを備える、
低温タンク内で使用するための断熱体デッキ。
【請求項2】
断熱体デッキの縁部の周りに延びている終端部材をさらに備える、請求項1に記載の断熱体デッキ。
【請求項3】
複数のファスナが、ロックボルトである、請求項1に記載の断熱体デッキ。
【請求項4】
複数のファスナが、定位置に機械的にロックされている、請求項1に記載の断熱体デッキ。
【請求項5】
複数の梁が、実質上平行に配列され、かつ複数の支持バーが、実質上平行に、かつ複数の梁に対して実質上横方向に配列されている、請求項1に記載の断熱体デッキ。
【請求項6】
複数の実質上平行な梁、複数の実質上平行な支持バー、複数の金属シート、複数の締結バーおよび複数のファスナがそれぞれ、アルミニウム合金から成る、請求項5に記載の断熱体デッキ。
【請求項7】
低温タンクの屋根から断熱体デッキを懸下するための手段をさらに備える、請求項6に記載の断熱体デッキ。
【請求項8】
断熱体デッキを懸下するための手段が、複数の梁と接続されている、請求項7に記載の断熱体デッキ。
【請求項9】
複数のファスナが、断熱体デッキを懸下するための手段を、複数の支持バーまたは複数の締結バーと接続している、請求項7に記載の断熱体デッキ。
【請求項10】
断熱体デッキを懸下するための手段が、金属のバーまたは構造梁である、請求項7に記載の断熱体デッキ。
【請求項11】
断熱体デッキを懸下するための手段が、金属のケーブルである、請求項7に記載の断熱体デッキ。
【請求項12】
金属のケーブルが、ステンレス鋼ケーブルをさらに備える、請求項11に記載の断熱体デッキ。
【請求項13】
低温タンクの屋根から断熱体デッキが、金属のバー、構造梁、または金属のケーブルから成る群から懸下されている、請求項6に記載の断熱体デッキ。
【請求項14】
複数の支持バーの少なくとも1つが、少なくとも1つのリブを有し、かつ複数のファスナの少なくとも1つが締め付けられるとき、複数の金属シートの1つの少なくとも一部分がリブによって溝に押し込まれるように、複数の締結バーの少なくとも1つが、少なくとも1つのリブと対合する少なくとも1つの溝を有する、請求項1に記載の断熱体デッキ。
【請求項15】
複数の支持バーの少なくとも1つが、少なくとも1つ溝を有し、かつ複数のファスナの少なくとも1つが締め付けられるとき、複数の金属シートの1つの少なくとも一部分がリブによって溝に押し込まれるように、複数の締結バーの少なくとも1つが、少なくとも1つの溝と対合する少なくとも1つのリブを有する、請求項1に記載の断熱体デッキ。
【請求項16】
複数の支持梁および複数の締結梁が、相互嵌合する凸状および凹状の表面を有する、請求項1に記載の断熱体デッキ。
【請求項17】
複数の金属シートの少なくとも2つの隣接する金属シートが、金属シートの一部分が、凹状および凸状の表面の間に載るように重なっている、請求項16に記載の断熱体デッキ。
【請求項18】
複数の締結バーの少なくとも1つおよび複数の支持梁の少なくとも1つが、複数のファスナの少なくとも1つが締め付けられるとき、金属シートの一部分を部分的に変形させる、請求項17に記載の断熱体デッキ。
【請求項19】
金属シートの一部分の変形が、金属対金属の密封を生じさせる、請求項18に記載の断熱体デッキ。
【請求項20】
複数の梁、複数の支持バー、複数の金属シート、複数の締結バーおよび複数のファスナがそれぞれ、同じ材料から成る、請求項1に記載の断熱体デッキ。
【請求項21】
複数の支持バーの少なくとも1つが、支持バーに沿って走るチャネルをさらに備える、請求項1に記載の断熱体デッキ。
【請求項22】
複数の締結バーの少なくとも1つが、複数の金属シートの1つの一部分を、支持バーに沿って走るチャネル内へ少なくとも部分的に変形させる、請求項21に記載の断熱体デッキ。
【請求項23】
複数のファスナが、複数の締結バーおよび複数の支持バーによって複数の金属シートが応力をかけられた膜となるように、締め付けられる、請求項1に記載の断熱体デッキ。
【請求項24】
応力をかけられた膜によって支持された断熱体をさらに備える、請求項23に記載の断熱体デッキ。
【請求項25】
断熱体が粉末である、請求項24に記載の断熱体デッキ。
【請求項26】
複数の金属シート上で支持された断熱体をさらに備える、請求項1に記載の断熱体デッキ。
【請求項27】
断熱体が、粉末である、請求項26に記載の断熱体デッキ。
【請求項28】
断熱体が、パーライトである、請求項27に記載の断熱体デッキ。
【請求項29】
複数の実質上平行な梁を低温タンクの屋根に取り付けるステップ、
複数の実質上平行な支持バーを複数の実質上平行な梁に取り付けるステップであって、複数の支持バーが、複数の梁に対して横方向に延びているステップ、
複数の支持バーの間の開口部を横切って複数の金属シートを配置するステップ、
複数の金属シート上に複数の締結バーを配置するステップであって、複数の締結バーが、複数の支持バーの上方に位置されるステップ、
複数のファスナを締め付けることによって複数の金属シートの少なくとも一部分を変形させるステップであって、複数のファスナが、複数の支持バー、複数の金属シート、および複数の締結バーを一緒に固定するステップ、
断熱体デッキの縁部から延びている密封部材を低温タンクの側部に取り付けるステップ、および
断熱体デッキの上部の上に断熱体を設置するステップを含む、
低温タンク内で使用するための断熱体デッキを製造する方法。
【請求項30】
複数の実質上平行な梁、複数の実質上平行な支持バー、複数の金属シート、複数の締結バー、および複数のファスナのそれぞれが、アルミニウムから成る、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
断熱体が、粉末である、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
断熱体が、パーライトである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
複数の金属シートが、応力をかけられた膜である、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
複数の金属シートの縁部を重ねるステップをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
変形される複数の金属シートの少なくとも一部分が、複数の金属シートの重なっている縁部である、請求項34に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−516809(P2009−516809A)
【公表日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−536752(P2008−536752)
【出願日】平成18年10月17日(2006.10.17)
【国際出願番号】PCT/US2006/040642
【国際公開番号】WO2007/047727
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(508116300)ウルトラフロート・コーポレイシヨン (1)
【Fターム(参考)】