説明

液体容器及びその製造方法

【課題】インクなどの液体を収容するための液体容器であって、容器内の液体残量を検知するための揺動体を容器に取り付ける作業が簡易且つ単純であり、取り付けられた揺動体が安定して容器内の所定位置に保持されるものを提供する。
【解決手段】第一の向きに開放された第一の開口57aを有するインク収容室11を備えた本体フレーム50と、インク収容室11と連通開口16を介して連通する指示室15を内部に備えた突出部14と、第一の向きに延びる揺動軸77と、指示部72とフロート部73とを有し第一の開口57aを通じて第一の向きへ取り出すことの可能な外形状を成す揺動体70と、揺動軸77に取り付けられて揺動体70の落脱を防止するとともに揺動体70の揺動範囲を指示部72が指示室15に存在する範囲に規制するキャップ60と、第一の開口57aを覆うフィルム40とを含めて、液体容器を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクなどの液体が収容される液体容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙などの記録媒体にインクで画像を記録するインクジェット記録装置が知られている。このようなインクジェット記録装置は、記録媒体に対してインクを吐出する記録ヘッド部と、インクを貯溜するインク容器と、記録ヘッド部へインク容器に貯溜されたインクを供給するインク供給部とを備えている。インク容器は、一般的に、インクジェット記録装置の装置本体に対して着脱可能なインクカートリッジに設けられており、インクカートリッジの装置本体への着脱時にインク供給部とインク容器とが連結又は連結解除される。
【0003】
インクジェット記録装置の装置本体に装着されたインクカートリッジのインク残量が少なくなれば、インクが充填された新たなインクカートリッジと交換することにより、インクジェット記録装置の使用を継続することができる。従来、インクカートリッジのインク残量が少なくなったことは、インクジェット記録装置の装置本体に備えた光学的機構を用いて検知することが行われている。このようなインクジェット記録装置として、例えば特許文献1に記載されているように、インクカートリッジのインク容器の壁面の一部に半透明又は透明のインク残量検知窓を備え、このインク残量検知窓に光学センサからの光を当てて、インク容器のインク残量を検知するように構成されたものが知られている。
【0004】
特許文献1に記載されたインクカートリッジは、インクを貯溜するインク室と、このインク室と連続する検知用の空間が内部に形成された光透過性を有する突起状の検知窓と、インク残量を検知するためのアームとを本体に備えている。このアームは、インク室に設けられた支軸に外嵌される軸孔と、該軸孔を挟んで両側にインク室内で揺動するフロート部と検知窓内で揺動するインジケータ部とを備えており、インク室内のインクの液面の変動に伴って支軸を中心として揺動する。そして、インクカートリッジがインクジェット記録装置の装置本体に装着されたときに、インクカートリッジの検知窓は装置本体に備えられた光学センサの発光部と受光部との間に配置され、インク室内のインク量が多いときは、発光部からの光が検知窓内のインジケータ部により遮断されて受光部に届かず、インク室内のインク量が少なくなると、インクケータ部が発光部からの光を遮断しない位置に移動し、発光部からの光が受光部に届くようになる。このような光の検知によりインクカートリッジのインク室内のインク量が少なくなったことを検知するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−254194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載のインクカートリッジにおいて、小型化を図るために検知窓の厚み(支軸の軸方向と平行な方向の寸法)はインクカートリッジの本体の厚み(支軸の軸方向と平行な方向の寸法)よりも更に薄く形成されている。具体的には、検知窓とこれを挟み込む装置本体の発光部及び受光部とを合わせた厚みが、インクカートリッジの本体の厚みに相応している。このように検知窓が薄く形成されているため、検知窓内に挿入されるアームのインジケータ部も十分に薄く形成されている。さらに、アームが液面の変化に追従しやすいように支軸が軸孔に遊嵌されていることから、一旦アームのインジケータ部が
検知窓内から抜け出ると再び検知窓内に戻ることが困難である。そこで、アームのインジケータ部が検知窓内から抜け出さないように、インジケータ部が検知窓内の上壁や下壁に接触したり、フロート部がインク室の底面に接触したりすることによって、アームの揺動範囲が規制されている。このようなインクカートリッジのアームをインク室へ取り付ける作業においては、支軸の軸方向に対してアームの軸孔の軸方向が傾くようにアームを位置させた状態でインジケータ部を検知窓内に挿入させつつ、支軸を軸孔に強制的に挿入させなければならない。なぜなら、支軸の軸方向に対してアームの軸孔の軸方向が平行になるようにアームを位置させた状態で支軸を軸孔に挿入すると、インジケータ部が検知窓の側壁に干渉してしまうからである。そうすると、支軸の軸方向に対して斜めにねじれた向きへアームを移動させることになり、アーム及び支軸に負荷が掛かり、インク室へのアームの取り付け作業が困難となる。特に、カートリッジの厚みが大きいほど、その作業は困難となる。さらに、直線的な動きしかできない汎用の産業用ロボットでは支軸の軸方向に対して斜めにねじれた向きへアームを移動させることは難しく、その作業を機械化することが難しい。
【0007】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたものであって、インクなどの液体を収容するための液体容器であって、容器内の液体残量を検知するための揺動体を容器に取り付ける作業が簡易且つ単純であり、取り付けられた揺動体が安定して容器内の所定位置に保持されるものを提供することを目的とする。さらには、容器への揺動体の取り付け作業が単純化されることにより、その作業の機械化を容易とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る液体容器は、第一の向きに開放された第一の開口を有する枠形状を成し、当該枠内に液体が収容される収容室が形成された本体フレームと、該本体フレームから前記第一の向きと直交する向きであって前記収容室から離れる向きへ突出し、その内部に前記収容室に向けて開放された第二の開口を有する中空状の指示室が形成された突出部と、前記本体フレームの前記収容室内に設けられて前記第一の向きと略平行に延びる揺動軸と、前記揺動軸に外嵌された軸孔を有し、該軸孔を介して一側に前記収容室内で揺動可能なフロート部を有し、他側に前記第二の開口を通じて前記指示室へ進入及び退出するように揺動可能であって、前記収容室の液体量を示す指示部を有し、該指示部が前記指示室から前記収容室へ退出した状態において前記本体フレームの前記第一の開口を通じて前記第一の向きへ前記収容室から取り出すことの可能な外形状を成す揺動体と、前記揺動軸の前記第一の向きの端部に取り付けられて、前記揺動軸から前記揺動体が落脱するのを防止し、かつ、前記揺動体の揺動範囲を前記指示部の少なくとも一部分が前記指示室と前記第一の向きに重なる範囲に規制するキャップと、前記第一の開口を覆う壁とを備えているものである。
【0009】
上記構成の液体容器の組立作業は、(1)本体フレームに対し揺動体を第一の向きと逆向きに移動させることによって、揺動体を第一の開口を通じて収容室内へ挿入すると同時に該揺動体の軸孔に揺動軸を通すステップ、(2)揺動体の指示部が指示室から収容室へ退出している状態から該指示室へ進入した状態となるように揺動体を揺動軸を中心として回転させるステップ、(3)本体フレームに対しキャップを第一の向きと逆向きに移動させることによって、揺動軸にキャップを取り付けて、このキャップにより揺動軸から揺動体の落脱を防止するとともに、揺動体の揺動範囲を指示部の少なくとも一部分が指示室と第一の向きに重なる範囲に規制するステップ、(4)壁により本体フレームの第一の開口を覆うステップの、上記(1)〜(4)のステップを含むものとなる。この組立作業において、(1)及び(2)のステップは、揺動軸の軸方向と略平行な第一の向きと逆向きへの揺動体の直線的な移動と、揺動体の揺動軸周りの一方向への回転移動との、単純且つ簡易な動作で構成される。これには揺動軸の軸方向に対して斜めにねじれた向きへの揺動体の移動は含まれないので、揺動体及び揺動軸に負荷が掛からない。そして、上記(3)の
ステップで取り付けられたキャップにより、揺動体は、例え液体容器が姿勢変化しても第一の向きへ移動したり指示部が指示室から脱出したりすることなく、安定して液体容器内の所定位置に保持される。さらに、上記(1)〜(3)のステップにおいて、本体フレームに対する揺動体及びキャップの取り付け作業は、本体フレームに対する揺動体又はキャップの直線的移動と回転移動との組み合わせから成る単純且つ簡易な動作で構成されるので、これらの作業工程の機械化を容易に実現することができる。
【0010】
本発明に係る液体容器の製造方法は、第一の向きに開放された第一の開口を有する枠形状を成し、当該枠内に液体が収容される収容室が形成された本体フレームと、該本体フレームの壁面から前記第一の向きと直交する向きであって前記収容室から離れる向きへ突出し、その内部に前記収容室に向けて開放された第二の開口を有する中空状の指示室が形成された突出部と、前記本体フレームの前記収容室内に設けられて前記第一の向きと略平行に延びる揺動軸と、前記揺動軸に外嵌された軸孔を有し、該軸孔を介して一側に前記収容室内で揺動するフロート部を有し、他側に前記第二の開口を通じて前記指示室へ進入及び退出するように揺動する指示部を有し、該指示部が前記指示室から前記インク室へ退出した状態において前記本体フレームの前記第一の開口を通じて前記第一の向きへ前記収容室から取り出すことの可能な外形状を成す揺動体と、前記揺動体の前記揺動軸からの落脱を防止するキャップと、前記第一の開口を覆う壁と、を備えた液体容器の製造方法であって、前記本体フレームに対し、前記揺動体を前記第一の向きと逆向きに移動させて前記第一の開口を通じて前記収容室内へ挿入するとともに、前記軸孔に前記揺動軸を通すステップと、前記指示部が前記指示室から退出した状態から前記指示室へ進入した状態となるように前記揺動体を回転させるステップと、前記揺動体の揺動範囲を、前記指示部の少なくとも一部分が前記指示室と前記第一の向きに重なる範囲に規制するように前記キャップを前記揺動軸の前記第一の向きの端部に取り付けるステップと、前記壁により前記第一の開口を覆うステップとを含むものである。
【0011】
上記製造方法によれば、揺動体を直線的に第一の向きと逆向きへ移動させて収容室内へ挿入するステップと、揺動体を揺動軸周りに一方向へ回転させるステップとの、単純且つ簡易な動作を行うステップで揺動体を本体フレームに取り付けることができる。これらのステップでは、揺動軸の軸方向に対して斜めにねじれた向きへの揺動体の移動は含まれないので、揺動体及び揺動軸に負荷が掛かることはない。そして、揺動軸にキャップを取り付けるステップで揺動体の揺動軸からの落脱が防止されるとともに、該揺動体の指示部の揺動範囲が指示室内に規制されることによって、本体フレームに取り付けられた揺動体は、第一の向きへ移動したり指示部が指示室から脱出したりすることなく安定して液体容器内の所定位置に保持される。さらに、本体フレームに対する揺動体及びキャップの取り付け作業は単純且つ簡易な動作で構成されるので、作業工程の機械化を容易に実現することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、インクなどの液体を収容するための液体容器において、液体容器内の液体残量を検知するための揺動体を液体容器の本体フレームに取り付ける作業は、揺動軸に対してねじれた斜め方向への揺動体の移動を含まず、揺動体の直線的移動と回転移動との組み合わせであり、揺動体及び揺動軸に負荷のかからない簡易且つ単純な作業となる。さらに、揺動軸に取り付けられたキャップによって、揺動体の揺動軸からの落脱が防止されるとともに、該揺動体の指示部の揺動範囲が指示室内に規制されるので、揺動体は、第一の向きへ移動したり指示部が指示室から脱出したりすることなく安定して容器内の所定位置に保持される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施の形態に係る液体容器であるインクカートリッジの側面図である。
【図2】インクカートリッジの分解斜視図である。
【図3】本体の側面図である。
【図4】本体の分解斜視図である。
【図5】突出部を断面表示した本体の模式的な側面図である。
【図6】キャップの斜視図である。
【図7】揺動体の姿勢変化を示す側面図であり、(a)は第0姿勢の揺動体と本体フレームとを示す側面図、(b)は第1姿勢の揺動体と本体フレームとを示す側面図、(c)は第2姿勢の揺動体と本体フレームとを示す側面図である。
【図8】本体の組立の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0015】
本実施の形態に係る液体容器は、インクジェット方式のプリンタに代表される記録装置に装着されて使用されるインクカートリッジとして構成されている。詳細については省略するが、インクジェット方式の記録装置は、紙などの記録媒体に対してインクを吐出する記録ヘッド部と、インクを貯溜するインク収容室を有するインクカートリッジと、記録ヘッド部へインク収容室に貯溜されたインクを供給するインク供給部とを備えている。インクカートリッジは、記録装置が備えるカートリッジ収容部に着脱可能に構成されており、該カートリッジ収容部にインクカートリッジが装着されると、インクカートリッジのインク収容室がインク供給部を介して記録ヘッド部と接続され、記録ヘッド部にインクが供給可能となる。
【0016】
[インクカートリッジ10の構成]
図1は本実施の形態に係る液体容器であるインクカートリッジの側面図、図2はインクカートリッジの分解斜視図である。図1及び図2に示すように、インクカートリッジ10は、扁平形状の略六面体である。詳細には、インクカートリッジ10は、幅方向(矢印31の方向)に細く、高さ方向(矢印32の方向)及び奥行き方向(矢印33の方向)が幅方向31よりも長い略直方体形状に形成されている。幅方向31、高さ方向32、及び、奥行き方向33は、互いに直交している。インクカートリッジ10は、図1及び図2に示された起立状態、つまり、図中の下側の面を底面とし、図中の上側の面を上面とした状態で、記録装置のカートリッジ収容部(不図示)に対して奥行き方向33と平行な矢印30の向きに挿脱される。この挿脱方向30のうち、インクカートリッジ10が記録装置に対して挿入される向きを前とし、これと逆向きのインクカートリッジ10が記録装置から脱出する向きを後ろとして説明する。
【0017】
インクカートリッジ10は、大別して、インク収容室11が形成された本体20と、第一カバー21と、第二カバー22とを備えている。インクカートリッジ10の外装は互いに嵌合された第一カバー21及び第二カバー22で構成され、これらのカバー21,22で本体20が覆い隠されている。具体的には、本体20の前部分は第一カバー21によって覆われ、本体20の後ろ部分は第二カバー22によって覆われている。第一カバー21の前面には本体20が備える大気連通バルブ80、インク供給バルブ90及び突出部14を露出させる開口がそれぞれ形成されており、インクカートリッジ10の前面に上記開口を通じて大気連通バルブ80、インク供給バルブ90及び突出部14が現れている。なお、本実施形態では、本体20、第一カバー21及び第二カバー22は例えば、ナイロン、ポリエチレン、又はポリプロピレンなどの樹脂材料により構成されている。
【0018】
次に、図2〜図5を参照しながら、本体20について詳細に説明する。図3は本体の側
面図、図4は本体の分解斜視図、図5は検知窓を断面表示した本体の模式的な側面図である。図3〜図5では、フィルム40の図示が省略されている。図5では、キャップ60の図示が省略されている。本体20は、大別して、本体フレーム50と、揺動体70と、キャップ60と、大気連通バルブ80と、インク供給バルブ90と、透明な一対のフィルム40(図2参照)とにより構成されている。本体20は、インクカートリッジ10と概ね同形状の外形を呈しており、扁平形状の略六面体である。本体20は、図3に示された起立状態で、記録装置のカートリッジ収容部(不図示)に装着される。以下では説明の便宜を図り、本体20において、挿脱方向30の前方側の面を前面41、挿脱方向30の後方側の面を後面42、鉛直上方側の面を上面43、鉛直下方側の面を下面44とする。また、前面41、後面42、上面43及び下面44のそれぞれに隣接し、互いに対向する2つの面を側面45,46とする。さらに、後面42から見て左側を左側面45とし、右側を右側面46とする。本実施形態では、一対の側面45,46が本体20において最大面積となっている。以下では、本体20の各構成要素について詳細に説明する。
【0019】
まず、本体フレーム50から説明する。本体フレーム50は、本体20の筐体を構成する部材であり、本体20の六面41〜46を形成している。したがって、本体20の六面41〜46は、本体フレーム50の六面に一致するので、以下では、本体20の各面に付された符号を用いて本体フレーム50の各面を示すこととする。本体フレーム50は、透光性を有する透明又は半透明の樹脂材料で構成されており、この樹脂材料を例えば射出成形することにより得られる。このような樹脂材料は、例えばポリアセタール、ナイロン、ポリエチレン、又はポリプロピレンなどが該当する。
【0020】
本体フレーム50は、枠形状を成す外周壁51と、外周壁51の内側に配設された複数の内壁52とを一体的に備えている。外周壁51及び内壁52は、本体20の左側面45から右側面46に渡って設けられている。外周壁51は、内部に空間を形成するように、前面41、上面43、後面42及び下面44に概ね沿って環状に配設されている。これにより、本体フレーム50の左側面45に開口57a(第一の開口)が形成され、右側面46に開口57bが形成される。以下では、本体フレーム50の左側面45の開口57aが開放している向きを「左向き(第一の向き)」といい、左向きと逆の向きを「右向き」という。左向き及び右向きは幅方向31と平行である。
【0021】
本体フレーム50の左側面45及び右側面46には一対のフィルム40(図2参照)が貼設されており、開口57a及び開口57bは一対のフィルム40により覆われている。フィルム40は、薄肉状の透明な樹脂製であって、外周壁51の側面45,46側の部分に加え、内壁52の側面45,46側の外縁部分にも周知の熱溶着法によって溶着されている。このように一対のフィルム40の壁で本体フレーム50の開口57a及び開口57bが覆われることにより、外周壁51と上記一対のフィルム40とによって区画された空間が形成されている。この空間は、インクが収容されるインク収容室11である。ここでは、本体フレーム50と上記一対のフィルム40とによってインク収容室11が形成されているが、例えば、右側面46の開口57bが外周壁51及び内壁52と一体に設けられた壁によって覆われており、左側面45にのみフィルム40が溶着されて開口57aがフィルム40によって覆われていてもよい。またフィルム40に代わり、ある程度の剛性を持つ壁が左側面45に溶着されて開口57aがその壁よって覆われていてもよい。ある程度の剛性とは、例えば、インク収容室11内に負圧が生じたとしても、壁が撓まない程度の剛性である。
【0022】
本体フレーム50の右側面46の開口57bの下部には、奥行き方向33に延びる支持杆58が掛け渡されており、この支持杆58に幅方向31に延びる揺動軸77が設けられている。即ち、揺動軸77の軸方向と幅方向31とは平行の関係にある。この揺動軸77は、揺動体70を揺動可能に支承するために本体フレーム50のインク収容室11内に設
けられている。揺動軸77は、支持杆58に固定された基端から左向きに延び、その先端は本体フレーム50の左側面45とほぼ同じ面位置において自由端となっている。
【0023】
本体フレーム50の前面41には、突出部14が形成されている。突出部14は、インク収容室11に収容されているインクの量を視覚的或いは光学的に検知するために使用されるものである。突出部14は、本体フレーム50の前面41の中段付近から前向き(第一の向きと直交する向きであってインク収容室11から離れる向き)に突設されて本体フレーム50と一体的に形成されている。突出部14は、本体フレーム50と同じ材質、つまり、透光性のある透明又は半透明の樹脂材料で構成されており、外部からの光を透過することができる。
【0024】
突出部14は、略矩形状の5つの壁面で区画されている。具体的には、突出部14は、前面41に平行で、この前面41から前向きに所定距離だけ離間した矩形状の前壁14aと、この前壁14aの幅方向の二辺にそれぞれ接続された一対の側壁14b,14bと、前壁14aの上辺及び一対の側壁14b,14bの上辺のそれぞれに接続された上壁14cと、前壁14aの下辺及び一対の側壁14b,14bの下辺のそれぞれに接続された下壁14dとにより区画されている。突出部14の内部には、上記5つの壁面に囲まれた中空状の指示室15が形成されている。この指示室15は、インク収容室11に向けて開放された連通開口16(第二の開口)を有し、この連通開口16を介して指示室15とインク収容室11とが連通されている。後述する揺動体70の指示部72は、連通開口16を通じてインク収容室11から指示室15へ進入することができる。
【0025】
突出部14には、記録装置に取り付けられたフォトインタラプタなどの光学的検知機器からの光が照射される。図示しないが、この光学的検知機器はインクカートリッジ10の液体残量を検知するためのものであって、発光素子と受光素子とを有し、本実施形態では、発光素子から出射された光が突出部14の側壁14bに照射され、指示室15を透過した光が上記受光素子によって受光される。そして、突出部14の幅方向31の寸法は、本体フレーム50の幅方向31の寸法よりも小さく形成されており、この突出部14と本体フレーム50との幅方向31の寸法の差に相当する空間に、記録装置側の構成要素が配置されて、記録装置の更なる小型化が図られている。この記録装置側の構成要素に該当するものとして、例えば、上述の光学的検知機器の発光素子及び受光素子が挙げられる。すなわち、突出部14を幅方向31に挟み込むように発光素子及び受光素子が配置されることにより、幅方向31における記録装置の小型化が図られる。また、記録装置側の構成要素に該当するものとして、インクカートリッジ10の支持機構なども挙げることができる。
【0026】
また、本体フレーム50の前面41の上部、言い換えれば、突出部14の上方に、円形の開口81が設けられている。この開口81に連続して本体フレーム50の内部側に円筒状のバルブ収容室55が形成されている。バルブ収容室55は、本体20の奥行き方向33へ延設されており、その奥部においてインク収容室11に連通している。バルブ収容室55に、大気連通バルブ80が収容されている。大気連通バルブ80は、開口81からインク収容室11に至る空気経路を開放又は閉鎖する弁機構として構成されている。
【0027】
さらに、本体フレーム50の前面41の下部、言い換えれば、突出部14の下方に、円形の開口91が設けられている。この開口91に連続して本体フレーム50の内部側に円筒状のバルブ収容室54が形成されている。バルブ収容室54は、本体20の奥行き方向33へ延設されており、その奥部においてインク収容室11に連通している。バルブ収容室54に、インク供給バルブ90が収容されている。インク供給バルブ90は、開口91からインク収容室11に至るインク経路を開放又は閉鎖する弁機構として構成されている。
【0028】
本体フレーム50における、インク収容室11の底部を画定している面にはストッパ53が設けられている。スットパ53は、インク収容室11の底部を画定している面から上方に延びている。ストッパ53は、後述する揺動体70の接触部71が接触し得る位置に配置されている。
【0029】
次に、揺動体70を説明する。揺動体70は、インク収容室11に収容されたインクの液量を検知するための部材である。揺動体70は幅方向31に延びる円筒形状部を有し、この円筒形状部を幅方向31に貫通する軸孔78と、この軸孔78が形成された円筒形状部を基端として後ろ向きに延びるフロート部73と、軸孔78が形成された円筒形状部のフロート部73と反対側を基端として延びるアーム79と、アーム79の先端に設けられた指示部72と、軸孔78が形成された円筒形状部から下方に延びる接触部71とを一体的に備えている。アーム79とフロート部73とが成す中心角はおよそ90〜120°であり、フロート部73の下端が略水平であるときに、アーム79が略垂直に起立し、このアーム79の先端部において指示部72が前向きに突出している。
【0030】
揺動体70の軸孔78は、本体フレーム50に設けられた揺動軸77に遊びを持って外嵌されている。これにより、揺動体70は揺動軸77を中心にして矢印35の方向へ揺動可能に支持されている。
【0031】
揺動体70のフロート部73は、例えば、内部が中空状に形成されており、インクなどの液体に対して浮力を有する浮力体の役割を担っている。したがって、フロート部73は、インク量の増減に応じて上下に変位し、このフロート部73の変位に応じて揺動体70が揺動する。
【0032】
揺動体70の指示部72は、インク収容室11内のインクの残量を指し示すためのものである。アーム79の基部はインク収容室11内にあるが、該アーム79の先端部である指示部72は連通開口16を通じて突出部14内の指示室15に進入している。
【0033】
接触部71は、ストッパ53と接触し得る位置に配置されており、接触部71がストッパ53と接触することにより、揺動体70の前向き(図3における反時計方向)への揺動範囲を規制している。
【0034】
続いて、図3〜図5に加えて図6を参照しながら、キャップ60を説明する。また、図7を参照しながら、揺動体70が取り得る姿勢について説明する。図6はキャップの斜視図である。図7(a)は第0姿勢の揺動体と本体フレームとを示す側面図、図7(b)は第1姿勢の揺動体と本体フレームとを示す側面図、図7(c)は第2姿勢の揺動体と本体フレームとを示す側面図である。キャップ60は、揺動軸77の先端に取り付けられており、支持杆58と対向して配置されている。このキャップ60は、揺動体70の軸方向への動きを規制して揺動軸77からの落脱を防止するとともに、揺動体70の後ろ向き(図3における時計方向)への揺動範囲を規制している。キャップ60は、奥行き方向33及び高さ方向32に平行な平面状の基板65と、基板65を貫いて幅方向31に延びる複数のフィルム支持部61,61,61と、基板65から幅方向31と略平行であって右向きに延びるストッパ62と、基板65を幅方向31に貫通する位置決め孔63と、基板65及び基板65から立ち上がった円筒形状部を幅方向31に貫通する軸孔64とを有している。キャップ60は、本体フレーム50と同じ合成樹脂により一体的に形成されている。
【0035】
キャップ60は、軸孔64に揺動軸77の自由端が嵌め入れられ、位置決め孔63に本体フレーム50に設けられた位置決めピン59が嵌め入れられることにより、基板65で本体フレーム50の第一の開口57aの一部分を塞ぐようにして、本体フレーム50に取り付けられている。
【0036】
キャップ60のフィルム支持部61の幅方向31の寸法は、本体フレーム50の幅方向31の寸法とほぼ同じ寸法であり、フィルム支持部61の左端と右端は、いずれも本体フレーム50の側面45,46に張られた一対のフィルム40と接触している。インク収容室11内のインクが酸素と接触することによりインクの化学的性質が変化するのを抑制するため、もしくは、インク収容室11内に気泡が発生することを抑制するために、インク収容室11内を減圧してから、インクカートリッジ10を出荷する場合がある。このようなインク収容室11が減圧状態下にある場合において、フィルム40がインク収容室11内方へ撓んで変形しないように、キャップ60のフィルム支持部61によりフィルム40が支持されている。
【0037】
キャップ60のストッパ62は、揺動体70の後ろ向き(図3における時計方向)への揺動範囲を定めるものである。揺動体70のアーム79がストッパ62に接触すると、揺動体70はそれ以上後ろ向きへの回転が規制される。このようにアーム79がキャップ60のストッパ62に接触している揺動体70の姿勢を「第1姿勢」という(図7(b)参照)。一方、揺動体70の前向き(図3における反時計方向)への揺動範囲は、ストッパ53により定められている。揺動体70の接触部71がストッパ53に接触すると、揺動体70はそれ以上前向きへの回転が規制される。このように接触部71がストッパ53に接触している揺動体70の姿勢を「第2姿勢」という(図5の二点鎖線及び図7(c)参照)。このように規制されている揺動体70の揺動範囲は、指示部72の少なくとも一部が指示室15と幅方向31(第一の向き)に重複する範囲となっており、この揺動範囲において指示部72は指示室15から退出しない。なお、検出アーム79が突出部14の下壁14dに接触することにより、揺動体70の前向きの回転が規制されるようにしてもよい。また、キャップ60にストッパ62に加えてもう一つのストッパを設けることにより、揺動体70の前向きの回転が規制されるようにしてもよい。
【0038】
上記のように、揺動軸77にキャップ60が取り付けられているときには、揺動体70の揺動範囲は指示部72の少なくとも一部が指示室15から退出しないように規制されるが、キャップ60が取り外されると、揺動体70は指示部72が指示室15からインク収容室11へ退出した位置まで内壁52と干渉することなく揺動軸77周りに後ろ向き(図3における時計方向)へ回転することができる。キャップ60が取り外されているときの揺動体70の後ろ向きへの回転は、フロート部73がインク収容室11の底部を画定している面に接触することにより規制される。このようにフロート部73がインク収容室11の底部を画定している面に接触するまで回転した揺動体70の姿勢を、「第0姿勢」という(図5の実線及び図7(a)参照)。第0姿勢の揺動体70は、指示部72が指示室15からインク収容室11へ退出しており全体がインク収容室11に収まっている。第0姿勢の揺動体70は、本体フレーム50の左側面45の開口57aを通じて左向きへ取り出すことができる。換言すれば、揺動体70を左側面から見た外形状は、本体フレーム50の左側面45の開口57aの内径よりも小さいものとなっている。
【0039】
ここで、揺動体70の動きについて説明する。本実施形態に係る揺動体70は、アーム79及び指示部72の重量がフロート部73及び接触部71の重量よりも小さくなるように形成されている。したがって、空気中においては、フロート部73及び接触部71がアーム79及び指示部72よりも重い。そのため、インク収容室11にインクが入っていない、もしくは、第1所定量未満のインクが貯留されている状態では、フロート部73が重力方向に移動することにより、揺動体70は揺動軸77を中心にして後ろ向き(図3における時計方向)に回転し、第1姿勢となる。揺動体70が第1姿勢にある場合に、光学式検知機器の発光素子から突出部14に照射された光は、指示部72に遮られることなく受光素子で受光されて、これによりインク収容室11にインクが入っていない、もしくは、第1所定量未満のインクが貯留されていることを検知できる。
【0040】
一方、インク収容室11に第2所定量以上のインクが貯留され、フロート部73がインクに浸かった状態では、フロート部73に浮力が発生する。この浮力によって、フロート部73及び接触部71の重力方向に働く力はアーム79及び指示部72の重量方向に働く力よりも小さくなる。したがって、指示部72が重力方向に移動することにより、揺動体70は、揺動軸77を中心にして前向き(図3における反時計方向)に回転し、第2姿勢となる。揺動体70が第2姿勢にある状態から、インク収容室11内のインクが消費され、インク収容室11内のインクが第2所定量未満になると、揺動体70は、インク収容室11内のインクの液面が低下するのに従って、第2姿勢から第1姿勢に向けて回転する。インク収容室11内のインクがさらに消費され、インク収容室11内のインクが第1所定量未満になると、揺動体70は第1姿勢に至る。揺動体70が第2姿勢から第1姿勢に至るまでの間は、光学式検知機器の発光素子から突出部14に照射された光は、指示部72に遮られて受光素子で受光することができない。これによりインク収容室11に第1所定量以上のインクが貯留されていることを検知できる。ここで、揺動体70の軸孔78に揺動軸77が遊嵌されているので、揺動軸77と軸孔78を区画している壁との間の摩擦抵抗が少なく、揺動体70はインク収容室11に収容されたインクの液面の変化に追従して揺動することができる。
【0041】
上述のように揺動体70が動作するため、指示室15における指示部72の位置を突出部14の外部から目視で確認し、或いは、フォトインタラプタなどの光学式検知機器で監視することで、インク収容室11内のインクの液量が第1所定量以上あるかどうかを検知することができる。
【0042】
[インクカートリッジ10の製造方法]
次に、上記構成のインクカートリッジ10の製造方法を説明する。インクカートリッジ10は、本体20に対して、カバー21,22を取り付けて製造されている。インクカートリッジ10の本体20は、成形された各構成要素を組み立てて作られている。以下では、図8を参照しながら、本体20の組立の過程を説明する。図8は本体の組立の流れを示すフローチャートである。
【0043】
まず、揺動体70を指示部72が前に向きフロート部73が後ろに向いた姿勢とし、揺動軸77の軸心の延長線上に揺動体70の軸孔78の軸心を配置し、本体フレーム50の左側面45の開口57aに向けて揺動体70を揺動軸77の軸方向と平行に右向きへ直線的に移動させる(ステップS1)。これにより、本体フレーム50のインク収容室11へ開口57aを通じて揺動体70が差し込まれると同時に、揺動体70の軸孔78に揺動軸77が挿入される。このステップS1においては、揺動体70は第0姿勢又はこれに近い姿勢にあり、指示部72は指示室15から退出して揺動体70の全体がインク収容室11に収まっている(図7(a)参照)。
【0044】
次に、揺動体70を揺動軸77周りに前方(図7(a)における反時計方向)へ回転させる(ステップS2)。これにより、揺動体70は、指示部72が指示室15からインク収容室11へ退出した状態から、指示室15へ進入した状態へと姿勢変化する。指示室15へ進入している揺動体70の指示部72は、揺動軸77周りに揺動することはできるが、揺動軸77の軸方向(幅方向31)への移動は突出部14の側壁14b,14bによって規制されている。但し、揺動軸77と軸孔78との間に遊びがあるので、揺動軸77の軸方向に対して軸孔78の軸方向が振れたり、指示部72から離れたフロート部73が揺動軸77の軸方向(幅方向31)へ移動したりすることができる。
【0045】
続いて、揺動軸77の軸心の延長線上にキャップ60の軸孔64の軸心を配置し、揺動軸77に向けてキャップ60を揺動軸77の軸方向と平行に右向きへ直線的に移動させる
(ステップS3)。これにより、揺動軸77の先端部にキャップ60が取り付けられる(図7(b)参照)。キャップ60により、揺動体70の揺動軸77からの落脱が防止されるとともに、揺動軸77の軸方向に対する揺動体70の軸孔78の軸方向の振れが抑制されて、揺動体70は揺動軸77の軸方向への移動が規制される。さらに、キャップ60のストッパ62により、揺動体70の揺動範囲は第1姿勢から第2姿勢の間に規制される。前述したように、突出部14の幅方向31の寸法は本体フレーム50の幅方向31の寸法と比較して小さく、これに合わせて揺動体70の指示部72の幅方向31の寸法も十分に小さく形成されている。これに加え、揺動軸77が軸孔78に遊嵌されていることから、一旦揺動体70の指示部72が指示室15から抜け出ると再び指示室15内に戻ることが困難である。そこで、キャップ60で揺動体70の移動を規制することにより、例えインクカートリッジ10が姿勢変化しても、揺動体70は揺動軸77の軸方向へ移動したり指示部72が指示室15から脱出したりすることなく、安定して液体容器内の所定位置に保持される。さらに、突出部14の幅方向31の寸法は本体フレーム50の幅方向31の寸法と比較して小さいので、突出部14の側壁14b,14bによっても揺動体70の移動が規制されて、揺動体70がより安定して液体容器の所定位置へ保持されるようになっている。
【0046】
続いて、本体フレーム50の右側面46の開口57bと左側面45の開口57aとに一対のフィルム40をそれぞれ貼設する(ステップS4)。これにより、右側面46の開口57bと左側面45の開口57aとを覆う一対の壁が形成されて、本体フレーム50内にインク収容室11が区画され、インク収容室11にインクを収容可能な状態となる。貼設された一対のフィルム40は、開口57a,57bの開口縁のみならず、キャップ60のフィルム支持部61,61,61の側縁や軸孔64が形成されている円筒形状部の縁などにも接触しており、このフィルム支持部61,61によりフィルム40はインク収容室11の内側へ撓まないように支持されている。さらに、本体フレーム50に大気連通バルブ80とインク供給バルブ90とが取り付けられて(ステップS5)、本体20が組み上がる。なお、大気連通バルブ80及びインク供給バルブ90を本体フレーム50に取り付ける作業は、本体20の組立作業のいずれのステップの間に行われてもかまわない。本体20の組立作業の後、大気連通バルブ80及びインク供給バルブ90が開放され、大気連通バルブ80もしくはインク供給バルブ90を介してインク収容室11内にインクが注入される。その後、大気連通バルブ80もしくはインク供給バルブ90の一方を開放して、インク収容室11内の空気を吸引することにより、インク収容室11内を減圧してもよい。
【0047】
上述の本体20の組立の過程において、本体フレーム50へ揺動体70を取り付ける作業は、揺動体70を揺動軸77の軸方向と略平行に直線的に移動させるステップS1と、揺動体70を揺動軸77周りに一方向へ回転させるステップS2との、単純且つ簡易な動作で構成されている。これらのステップでは、揺動軸77の軸方向に対して斜めにねじれた向きへの揺動体70の移動は含まれないので、揺動体70及び揺動軸77に負荷が掛からない。そして、ステップS3で、揺動体70は揺動軸77の軸方向への移動と揺動範囲とが規制されて、例えインクカートリッジ10が姿勢変化しても軸方向へ移動したり指示部72が指示室15から脱出したりすることなく、本体フレーム50に取り付けられた揺動体70は安定してインク収容室11内の所定位置に保持される。さらに、前述の通り、本体フレーム50への揺動体70の取り付け作業は単純且つ簡易な動作で構成されるので、直線的な動きと回転しかできない汎用の産業用ロボットを使って機械化することも可能であり、本体20の組立作業工程の機械化を容易に実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、インクが収容されたインクカートリッジのみならず、液体が収容された液体容器全般に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0049】
10 インクカートリッジ
11 インク収容室(収容室)
14 検知窓(突出部)
15 指示室
16 連通開口(第二の開口)
20 本体
21 第一カバー
22 第二カバー
40 フィルム
50 本体フレーム
51 外周壁
52 内壁
57a 開口(第一の開口)
60 キャップ
61 フィルム支持部
62 ストッパ
70 揺動体
72 指示部
73 フロート部
77 揺動軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の向きに開放された第一の開口を有する枠形状を成し、当該枠内に液体が収容される収容室が形成された本体フレームと、
該本体フレームから前記第一の向きと直交する向きであって前記収容室から離れる向きへ突出し、その内部に前記収容室に向けて開放された第二の開口を有する中空状の指示室が形成された突出部と、
前記本体フレームの前記収容室内に設けられて前記第一の向きと略平行に延びる揺動軸と、
前記揺動軸に外嵌された軸孔を有し、該軸孔を介して一側に前記収容室内で揺動可能なフロート部を有し、他側に前記第二の開口を通じて前記指示室へ進入及び退出するように揺動可能であって、前記収容室の液体量を示す指示部を有し、該指示部が前記指示室から前記収容室へ退出した状態において前記本体フレームの前記第一の開口を通じて前記第一の向きへ前記収容室から取り出すことの可能な外形状を成す揺動体と、
前記揺動軸の前記第一の向きの端部に取り付けられて、前記揺動軸から前記揺動体が落脱するのを防止し、かつ、前記揺動体の揺動範囲を前記指示部の少なくとも一部分が前記指示室と前記第一の向きに重なる範囲に規制するキャップと、
前記第一の開口を覆う壁とを備えている、
液体容器。
【請求項2】
前記第一の向きと平行な方向において、前記突出部の寸法は、前記本体フレームの寸法よりも小さい、請求項1に記載の液体容器。
【請求項3】
前記第一の開口を覆う壁はフィルムであって、
前記キャップは、前記フィルムを前記第一の向きに支持するフィルム支持部を有する、請求項1又は請求項2に記載の液体容器。
【請求項4】
第一の向きに開放された第一の開口を有する枠形状を成し、当該枠内に液体が収容される収容室が形成された本体フレームと、
該本体フレームの壁面から前記第一の向きと直交する向きであって前記収容室から離れる向きへ突出し、その内部に前記収容室に向けて開放された第二の開口を有する中空状の指示室が形成された突出部と、
前記本体フレームの前記収容室内に設けられて前記第一の向きと略平行に延びる揺動軸と、
前記揺動軸に外嵌された軸孔を有し、該軸孔を介して一側に前記収容室内で揺動するフロート部を有し、他側に前記第二の開口を通じて前記指示室へ進入及び退出するように揺動する指示部を有し、該指示部が前記指示室から前記インク室へ退出した状態において前記本体フレームの前記第一の開口を通じて前記第一の向きへ前記収容室から取り出すことの可能な外形状を成す揺動体と、
前記揺動体の前記揺動軸からの落脱を防止するキャップと、
前記第一の開口を覆う壁と、
を備えた液体容器の製造方法であって、
前記本体フレームに対し、前記揺動体を前記第一の向きと逆向きへ移動させて前記第一の開口を通じて前記収容室内へ挿入するとともに、前記軸孔に前記揺動軸を通すステップと、
前記指示部が前記指示室から退出した状態から前記指示室へ進入した状態となるように前記揺動体を回転させるステップと、
前記揺動体の揺動範囲を、前記指示部の少なくとも一部分が前記指示室と前記第一の向きに重なる範囲に規制するように前記キャップを前記揺動軸の前記第一の向きの端部に取り付けるステップと、
前記壁により前記第一の開口を覆うステップと、
を含む液体容器の製造方法。
【請求項5】
前記壁はフィルムであって、
前記壁により第一の開口を覆うステップは、前記キャップが前記フィルムを前記第一の向きに支持するように、前記フィルムを前記キャップに接触させるステップを含む、請求項4に記載の液体容器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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