説明

液体容器用注出口栓

【課題】注出量の選択が可能で、容器内の減圧状態を緩和でき、密封性が良好で、開口用レバーの作動が良好な液体容器用注出口栓を提供する。
【解決手段】スパウトに回転可能にゴム弾性のキャップが装着し、スパウトの注出筒の上端口部外周面に咬合リングを周設し、キャップの周壁内周面に複数段の咬合リングを設け、天板は外周縁部天板と中央側凹状部天板とからなり、中央側凹状部天板の下面はスパウトの注出筒の上端に密接し、天板の外周縁部下面と周壁の先端部とからなる大開口部と小開口部とを、中心線を介して対向する位置に設け、中央側凹状部天板の中央位置に開口用レバーを立設し、開口用レバーの両側面下端部と中央側凹状部天板の上面に連設させて、二つの開口部を結ぶ方向と直交する方向へ複数箇の補強リブを並設し、周壁上端内周面と外周縁部天板下面と天板中央側凹部外周下面とに連設させて、複数個の補強リブを周方向に放射状に設る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッグ・イン・ボックスの外箱に収容されている袋状容器に使用する注出口栓であって、液体内容物を注出するときに内圧が掛かり、しかも注出位置が最下方に位置する場合に使用する液体容器用注出口栓に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、バッグ・イン・ボックスの袋状容器の注出位置に取り付ける注出口栓(10)としては、図5に示すように、袋状容器の注出位置に取り付けられたスパウト(200)に、天板(110)の中央側が凹面状で開口用レバー(113)をもつゴム弾性を有するキャップ(100)が打栓方式で咬合により装着されていた。この注出口栓の構造は、スパウトの注出筒の上端口部の外周にキャップとの咬合リングを周設し、キャップ(100)は、図5に示すように、天板(110)とこの天板の外周縁部下面に連設する周壁(120)とからなり、周壁の内周面にスパウトとの咬合リングを設け、天板は平面状の外周縁部天板(111)と凹面状の中央側凹状部天板(112)とからなり、この中央側凹状部天板の下面はスパウトの注出筒の上端口部に密接してスパウトを封止し、天板の外周縁部下面と周壁の先端部とからなる開口部(124)を、液体内容物を注出するときに下端側となる一カ所に設け、天板の中央側凹状部天板(112)の中央位置に、開口部方向と直交する方向へ開口用レバー(113)を立設し、この開口用レバーの開口部側の側面下端部と中央側凹状部天板の上面に連設させて、開口部方向へ並列する複数箇の補強外リブ(114)を設けたものであった。そして、バッグ・イン・ボックスの袋状容器に収納する液体内容物を注出するときには、開口用レバーを上方へ引いて、天板の中央側凹状部天板の開口部側の下方部分を変形させて、中央側凹状部端板の下面をスパウトの注出筒の上端口部から離して開口し、内圧により開口部から液体内容物を注出させるものであった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述の従来の液体容器用注出口栓は、内容物を注出する開口部が一カ所であり、注出量が常に一定であるため、用途別に注出量を変えて対応することが出来なかった。また、注出しているときに、袋状容器内の注出に伴う減圧状態を緩和することが出来ないため、安定した液体内容物の注出が難しいことがあった。また、キャップの強度不足により、密封性や開口用レバーの動作の反発力や戻り力に問題を生じることなどがあった。
【0004】
本発明は、上述の従来の液体容器用注出口栓の問題点を解決したものであり、使用目的に合わせて注出量の選択が可能で、容器内の減圧状態を緩和することができ、密封性が良好で、そのうえ、開口用レバーの作動が良好な液体容器用注出口栓を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち、本発明の第1の発明は、バッグ・イン・ボックスの外箱に収容される袋状容器の注出口栓であって、袋状容器の注出位置に取り付けられるスパウトと、このスパウトに咬合して回転可能に装着するゴム弾性を有するキャップとからなり、スパウトは、注出筒の上端口部の外周面にキャップとの咬合リングを周設し、キャップは、天板とこの天板の外周縁部下面に連設する周壁とからなり、周壁の内周面に複数段のスパウトとの咬合リングを設け、天板は平面状の外周縁部天板と凹面状の中央側凹状部天板とからなり、この中央側凹状部天板の下面はスパウトの注出筒の上端口部に密接してスパウトを封止し、天板の外周縁部下面と周壁の先端部とからなる大きい開口部と小さい開口部とを、キャップ
の中心線を介して対向する位置に設け、天板の中央側凹状部天板の中央位置に、二つの開口部を結ぶ方向と直交する方向へ開口用レバーを立設し、この開口用レバーの開口部側の両側面下端部と中央側凹状部天板の上面に連設させて、二つの開口部を結ぶ方向と直交する方向へ複数箇の補強外リブを並列させて設け、周壁上端内周面と外周縁部天板下面と天板中央側凹部外周下面とに連設させて、複数個の補強内リブを開口部位置を避けて周方向に放射状に設け、かつ、大きい開口部の両側に設ける補強内リブを他の補強内リブより小さくし、小さい開口部の両側に設ける補強内リブを他の補強内リブより大きくし、袋状容器に収納される液体内容物を注出するときに、キャップを回転させて注出させる開口部を下方にし、中央側凹状部天板の上面に立設する開口用レバーを上方へ引いて、中央側凹状部天板の下方を変形させてスパウトの注出筒の上端口部を開口し、下方の開口部から液体内容物を注出させることを特徴とする液体容器用注出口栓である。
【0006】
そして、本発明の第2の発明は、スパウトの材質がポリオレフィン系樹脂で、キャップの材質が熱可塑性エラストマーであることを特徴とする請求項1記載の液体容器用注出口栓である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の液体容器用注出口栓は、キャップがスパウトに回転可能に咬合装着しており、キャップの中心を介して対向する位置に、天板の外周縁部下面と周壁の先端部とからなる大きい開口部と小さい開口部が設けられており、内容物を注出するときに、キャップを回転させて注出させる開口部を下方にし、中央側凹状部天板の上面に突設する開口用レバーの先端部を上方へ引いて、中央側凹状部天板の下方を外側へ変形させて、スパウトの注出筒の先端口部下方部を開口し、下方の開口部から袋状容器に収納されている液体内容物を、内容物の自重により注出させるものである。使用目的に合わせて注出量を選択することができる。
【0008】
また、本発明の液体容器用注出口栓は、液体内容物を注出しているときに、注出に伴い袋状容器内が減圧状態になり、注出状態が不安定になったときに、開口用レバーを先端部を下方へ押し下げて、中央側凹状部天板の上方を変形させてスパウトの注出筒の先端口部上方部を開口し、上方の開口部から空気を供給して、袋状容器内の注出に伴う減圧状態を緩和させることができる。
【0009】
また、本発明の液体容器用注出口栓は、キャップの周壁上端内周面と外周縁部天板下面と天板中央側凹部外周下面とに連設させて、複数個の補強内リブを開口部位置を避けて周方向に放射状に設けているため、キャップの中央側凹状部天板の下面をスパウトの注出筒の上端口部に密接してスパウトを封止するときに、中央側凹状部天板が適度の強度を有しており、キャップのスパウトに対する密封性が良好である。なお、補強内リブは、開口部位置を避けて設けられており、また、大きい開口部の両側に設ける補強内リブは、他の補強内リブより小さくし、小さい開口部の両側に設ける補強内リブは、他の補強内リブより大きくしているため、補強内リブが開口部からの液体内容物の注出に影響することはない。
【0010】
また、本発明の本発明の液体容器用注出口栓の天板の中央側凹状部天板の中央位置に設ける開口用レバーは、開口部側の両側面下端部と中央側凹状部天板の上面に連設させて、二つの開口部を結ぶ方向と直交する方向へ複数箇の補強外リブを並列させて設けあるため、開口用レバーの作動が良好である。
【0011】
また、本発明の液体容器用注出口栓においては、バッグ・イン・ボックスの袋状容器の注出位置に、スパウトのフランジを熱融着してスパウトを取り付け、スパウトの注出筒から液体内容物を袋状容器に充填したのち、ゴム弾性を有するキャップをスパウトの注出筒
に打栓して咬合装着し、袋状容器を封止するものであるが、キャップの内周面には、複数段の咬合リングが設けられており、下方の咬合リングから順次平行を保ちながらスパウトの咬合リングに咬合するため、安定した打栓ができ、また、内圧や外的衝撃によりキャップの一段目の咬合リングがスパウトの咬合リングから外れても、キャップの二段目の咬合リングが作用し、フェイルセーフの役割を果たす。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、本発明の液体容器用注出口栓の実施形態について、図を用いて詳細に説明する。
【0013】
本実施形態の液体容器用注出口栓(10)は、例えば図4に示すように、バッグ・イン・ボックス(20)の外箱(22)に収容される液体内容物を収納する袋状容器(21)の注出口栓として使用するものであり、注出するときの外箱の最下方位置に突設させて使用するものである。また、内容物を注出するときに、収納する内容物自体の自重により内圧が掛かる袋状容器に使用するものである。そして、この注出口栓(10)は、図1(a)に示すように、袋状容器の注出位置に取り付けられるスパウト(200)と、このスパウトに咬合して回転可能に装着するゴム弾性を有するキャップ(100)とから構成されるものである。また、液体内容物を充填した袋状容器に取り付けられたスパウトにキャップを装着する方法は、打栓機によりスパウトの注出筒の咬合リングに、キャップの周壁内周面の咬合リングを咬合させて装着するものである。
【0014】
本実施形態の液体容器用注出口栓のキャップ(100)の構造は、図1(a)及び(b)に示すように、天板(110)とこの天板の外周縁部下面に連設する周壁(120)とからなり、周壁の内周面にスパウトとの三段の咬合リング(121)を設け、天板は平面状の外周縁部天板(111)と凹面状の中央側凹状部天板(112)とからなり、この中央側凹状部天板の下面がスパウト(200)の注出筒(210)の上端口部に密接してスパウトを封止するように設けるものである。そして、天板の外周縁部下面と周壁の先端部とからなる大きい開口部(122)と小さい開口部(123)とを、キャップの中心線を介して対向する位置に設けるもである。また、天板の中央側凹状部天板(112)の中央位置に、二つの開口部を結ぶ方向と直交する方向へ開口用レバー(113)を立設し、この開口用レバーの開口部側の両側面下端部と中央側凹状部天板の上面に連設させて、二つの開口部を結ぶ方向と直交する方向へそれぞれ3個ずつの補強外リブ(114)を並列させて設けるものである。また、周壁上端内周面と外周縁部天板下面と天板中央側凹部外周下面とに連設させて、10個の補強内リブ(115)を開口部位置を避けて周方向に等間隔で放射状に設けるものである。そして、大きい開口部(122)の両側に設ける補強内リブ(115a)を他の補強内リブより小さくし、小さい開口部の両側に設ける補強内リブ(115b)を他の補強内リブより大きくするものである。そして、キャップは、熱可塑性エラストマーを用いて、射出成形法により作製するものである。なお、熱可塑性エラストマーとしては、ポリエステル系、スチレン系、ポリエチレン系のものが使用でき、また、エチレン・プロピレン・ジエン三成分共重合体ゴム、ブタジエンゴム、シリコーンゴムなどが使用できる。
【0015】
本実施形態の液体容器用注出口栓のスパウト(200)の構造は、図1(a)及び(b)に示すように、注出筒(210)とこの注出筒の下端外周に周設する袋状容器に熱融着するフランジ(220)とからなり、注出筒の上端口部の外周面にキャップとの咬合リング(211)を周設し、また、キャップ装着位置より下方の外周面に、三段の係着リングを設けるものである。そして、スパウトは、袋状容器との熱融着性を考慮して直鎖低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンなどの熱可塑性樹脂を用いて、射出成形法により作製するものである。
【0016】
上述した本実施形態の液体容器用注出口栓は、袋状容器の注出位置に、スパウトを熱融
着して取り付け、この袋状容器に液体内容物を充填して、図4に示すように、注出するときの外箱(22)の最下方位置に注出口栓(10)を突設させて、袋状容器(22)をバッグ・イン・ボックス(20)の外箱に収容封止するものである。そして、バッグ・イン・ボックスから収納する液体内容物を注出するときには、注出させる開口部が下方位置に来るようにキャンプを回転し、図3に示すように、キャップ(100)の中央側凹状部天板(112)の上面に突設する開口用レバー(113)の先端部を上方へ引いて(矢印で示す)、中央側凹状部天板(112)の下方を外側へ変形させてスパウト(200)の注出筒(210)の先端口部下方部を開口し、袋状容器(21)に収納する液体内容物を自重による内圧で、下方の開口部(122)から液体内容物を注出させる(矢印で示す)ものである。
【0017】
また、本実施形態の液体容器用注出口栓を取り付けたバッグ・イン・ボックスは、液体内容物を注出しているときに、液体内容物の注出に伴い袋状容器内が減圧状態になり、注出状態が不安定になったときに、開口用レバーを先端部を下方へ押し下げて、上方の開口部から空気を供給して、袋状容器内の減圧状態を緩和させることができる。
【0018】
なお、本実施形態の液体容器用注出口栓を使用するバッグ・イン・ボックスはとしては、主に、清涼飲料、食品、アルコール類、化学薬品など広い分野に使用される容量が5〜20リットルの容器であるが、これより大型の容器にも使用することができる、
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】(a)は、本発明の一実施形態の液体容器用注出口栓の断面図であり、(b)は、その平面図である。
【図2】図1の液体容器用注出口栓のスパウトに咬合嵌着しているキャップが、回転可能であることを示す説明図である。
【図3】図1の液体容器用注出口栓の開口用レバーを操作して、内容物を注出ときの状態を示す説明図である。
【図4】注出口栓が外箱の下方から突出する一例のバッグ・イン・ボックスの外観を示す説明図である。
【図5】従来の一例の液体容器用注出口栓の平面図である。
【符号の説明】
【0020】
10……注出口栓
20……バッグ・イン・ボックス
21……袋状容器
22……外箱
100……キャップ
110……天板
111……外周縁部天板
112……中央側凹状部天板
113……開口用レバー
114……補強外リブ
115……補強内リブ
120……周壁
121,211……咬合リング
122,123,124……開口部
200……スパウト
210……注出筒
212……係着リング
220……フランジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッグ・イン・ボックスの外箱に収容される袋状容器の注出口栓であって、袋状容器の注出位置に取り付けられるスパウトと、このスパウトに咬合して回転可能に装着するゴム弾性を有するキャップとからなり、スパウトは、注出筒の上端口部の外周面にキャップとの咬合リングを周設し、キャップは、天板とこの天板の外周縁部下面に連設する周壁とからなり、周壁の内周面に複数段のスパウトとの咬合リングを設け、天板は平面状の外周縁部天板と凹面状の中央側凹状部天板とからなり、この中央側凹状部天板の下面はスパウトの注出筒の上端口部に密接してスパウトを封止し、天板の外周縁部下面と周壁の先端部とからなる大きい開口部と小さい開口部とを、キャップの中心線を介して対向する位置に設け、天板の中央側凹状部天板の中央位置に、二つの開口部を結ぶ方向と直交する方向へ開口用レバーを立設し、この開口用レバーの開口部側の両側面下端部と中央側凹状部天板の上面に連設させて、二つの開口部を結ぶ方向と直交する方向へ複数箇の補強外リブを並列させて設け、周壁上端内周面と外周縁部天板下面と天板中央側凹部外周下面とに連設させて、複数個の補強内リブを開口部位置を避けて周方向に放射状に設け、かつ、大きい開口部の両側に設ける補強内リブを他の補強内リブより小さくし、小さい開口部の両側に設ける補強内リブを他の補強内リブより大きくし、袋状容器に収納される液体内容物を注出するときに、キャップを回転させて注出させる開口部を下方にし、中央側凹状部天板の上面に立設する開口用レバーを上方へ引いて、中央側凹状部天板の下方を変形させてスパウトの注出筒の上端口部を開口し、下方の開口部から液体内容物を注出させることを特徴とする液体容器用注出口栓。
【請求項2】
スパウトの材質がポリオレフィン系樹脂で、キャップの材質が熱可塑性エラストマーであることを特徴とする請求項1記載の液体容器用注出口栓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−8499(P2007−8499A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−189598(P2005−189598)
【出願日】平成17年6月29日(2005.6.29)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】