液体容器

【課題】インク室内においてアームとインク液面との間に形成されるインク膜を途切れやすくして、インク液面から離反する方向へアームをスムーズに回動させることが可能なインクカートリッジを提供する。
【解決手段】インクカートリッジ10は、インク室100及び検知窓140を備えた本体20を有する。インク室100に、アーム70が揺動可能に設けられている。アーム70は、インジケータ部72を有する第1部位75と、フロート部73を有する第2部位76とを有する。第1部位75は、軸孔78から鉛直上方に延びる鉛直部62と、これと鋭角をなしてインジケータ部72へ延びる傾斜部63とを有する。インジケータ部72が検知窓140に進入した第1姿勢において、鉛直部62と傾斜部63とにより形成される屈曲部71がインジケータ部72より高位置に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクなどの液体が収容される液体容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクを用いて記録用紙(被記録媒体)に画像を記録するインクジェット記録装置(以下「記録装置」と略称する。)が広く知られている。インクジェット記録装置は、インクジェット方式の記録ヘッドを備える。記録ヘッドは、該記録ヘッドに供給されたインクを記録用紙へ向けてノズルから選択的に噴出する。これにより、記録用紙にインクで形成された画像が記録される。インクジェット記録装置には、液体容器としてのインクカートリッジが着脱可能に設けられる。インクカートリッジは、記録装置へ供給されるインクを収容するものであり、その本体の内部には、インクが収容されるインク室が形成されている。
【0003】
上記インクカートリッジの一例として、特許文献1には、上記インク室に揺動可能に設けられたアーム状の部材(以下「アーム」と称する。)を有するインクカートリッジが開示されている。上記アームは、浮力を利用してインクの貯留量に応じて揺動するよう構成されている。インク室内のインクが所定量未満になると、光センサなどの検出手段によって上記先端が検出される検出位置から非検出位置へアームの先端が移動する。これにより、インク室内のインクの貯留量が検出される。なお、特許文献1では、上記アームは「シャッター機構」と称されている。
【0004】
【特許文献1】特開2005−262564号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前掲の特許文献1に記載の従来のインクカートリッジでは、インク室がインクで満たされている場合は、アームがインク中に配置される。一方、インク室内のインクが徐々に減少すると、アームがインクの液面から気中に徐々に露出される。このとき、アームがインクの液面から気中に露出される際に、アームとインク液面との間に、アームに引っ張られるようにして水掻き状或いは風船状のインク膜が形成される場合がある。このインク膜は、
アームの揺動動作を阻害し、検出不良を引き起こす要因となっている。このような問題は、インクカートリッジに限られず、液体を収容可能な液体容器全般に起こり得る。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、収容室内においてアームと液面との間に形成される液膜を途切れやすくして、液面から離反する方向へアームをスムーズに回動させることが可能な液体容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 本発明は、液体が収容される収容室を有する本体と、上記収容室内で揺動可能に設けられ、第1端が所定位置で静止された第1姿勢と上記第1端が上記所定位置から離間された第2姿勢との間で姿勢変化するアームと、上記第1端とは反対側の第2端に設けられ、上記収容室内の液量に応じて変位する浮力体とを具備する液体容器として構成されている。上記アームは、上記第1端から上記アームの揺動軸に至る第1アーム部と、上記揺動軸から上記第2端に至る第2アーム部とを有する。本液体容器では、上記アームが上記第1姿勢にある状態で、上記第1アーム部の少なくとも一部が上記第1端よりも高い位置に配設されている。
【0008】
アームは、収容室内で揺動可能に設けられている。収容室内の液量が増減すると浮力体が上下方向へ変位する。これに伴い、アームが揺動軸を中心として第1姿勢と第2姿勢との間で回動する。
【0009】
収容室が液体で満たされている場合は、アームが液中に配置される。収容室内の液体が使用されて徐々に減少すると、アームが液面から気中に徐々に露出される。このとき、アームの第1端よりも高い位置にある第1アーム部の一部が第1端よりも先に気中に露出される。そのため、アームが液面から気中に露出される際に、アームと液面との間に液膜が形成されたとしても、その液膜は直ぐに途切れる。その結果、液面から離反しようとするアームの動作がスムーズになる。
【0010】
(2) 上記第1アーム部は、上記揺動軸から液面に対して垂直上方へ延出された第1部材と、上記第1部材の終端に鋭角をなして上記第1端へ延出された第2部材とを有する。この構成であれば、第1部材にインク膜などの液膜が形成され難いので、第1アーム部全体として液膜が発生し難くなる。
【0011】
(3) 本発明の液体容器においては、上記収容室内の液体が所定量以上のときに上記アームを上記第1姿勢に保持する保持部を更に備えることが望ましい。
【0012】
(4) 上記第1アーム部及び上記第2アーム部は、上記揺動軸を含む平面で分断された二つの空間それぞれに配置されている。これにより、第1アーム部及び第2アーム部それぞれの自重がバランスよく配置されるため、アームを回動させる際に大きな力を要しない。また、浮力体或いはアーム全体を小型化することが可能となる。
【0013】
(5) 本発明の液体容器においては、上記本体の所定の壁面から上記本体の外部へ向けて突設され、内部が上記収容室に連続して形成された中空状の突出部を更に備えることが好ましい。この場合、上記第1姿勢は、上記第1端が上記突出部の内部に進入した姿勢であり、上記第2姿勢は、上記突出部の内部から上記第1端が退出した姿勢である。
【0014】
(6) 上記突出部は、透光性を有する部材で構成されており、上記突出部の内部に進退する上記第1端の動きを上記収容室内の液量として表示するものである。このようなアームを備えた液体容器において、アームの動きをスムーズにすることで、液量の誤検出が防止される。
【0015】
(7) 本発明の液体容器では、少なくとも上記第1アーム部の外周面に突起が設けられている。これにより、アームと液面との間に液膜が形成され難くなる。また、仮に液膜が形成されたとしても、突起によって当該液膜は破られやすくなる。
【0016】
(8) 上記突起の先端は、尖形に形成されていることが望ましい。
【0017】
(9) 上記突起は、上記アームの揺動方向へ突出していることが望ましい。
【0018】
(10) 少なくとも上記第1アーム部は、上記アームの揺動方向の端部が鋭角となるように断面形状が略台形に形成されている。この場合、上記突起は、上記揺動方向の傾斜面に設けられている。
【0019】
(11) 本発明は、略直方体形状に形成され、液体が収容される収容室を有する本体と、上記本体の所定の壁面から上記本体の外部へ向けて突設され、内部が上記収容室に連続して形成された略中空箱状の突出部と、上記収容室内で揺動可能に設けられ、第1端が上記突出部の内部に進入した第1姿勢と上記第1端が上記突出部の内部から退出した第2姿勢との間で姿勢変化するアームと、上記第1端とは反対側の第2端に設けられ、上記収容室内の液量に応じて変位する浮力体と、上記アームにおいて上記第1端から上記アームの揺動軸に至る部位を構成し、上記アームが上記第1姿勢にある状態で少なくとも一部が上記第1端よりも高い位置に配設された第1アーム部と、上記アームにおいて上記揺動軸から上記第2端に至る部位を構成する第2アーム部と、少なくとも上記第1アーム部の外周面に設けられた突起と、を具備する液体容器として具体的に実現される。
【0020】
(12) 本発明は、液体が収容される収容室を有する本体と、上記収容室内で揺動可能に設けられ、第1端が所定位置で静止された第1姿勢と上記第1端が上記所定位置から離間された第2姿勢との間で姿勢変化するアームと、上記第1端とは反対側の第2端に設けられ、上記収容室内の液量に応じて変位する浮力体とを具備し、上記アームは、上記第1端から上記アームの揺動軸に至る第1アーム部と、上記揺動軸から上記第2端に至る第2アーム部とを有し、少なくとも上記第1アーム部の外周面に突起が設けられている液体容器として捉えることもできる。
【0021】
(13) また、本発明は、液体が収容される収容室を有する本体と、上記収容室内で揺動可能に設けられ、第1端が所定位置で静止された第1姿勢と上記第1端が上記所定位置から離間された第2姿勢との間で姿勢変化するアームと、上記第1端とは反対側の第2端に設けられ、上記収容室内の液量に応じて変位する浮力体とを具備し、上記アームは、上記第1端から上記アームの揺動軸に至る第1アーム部と、上記揺動軸から上記第2端に至る第2アーム部とを有し、少なくとも上記第1アーム部は、揺動方向の端部が鋭角に形成されている液体容器として捉えてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、アームと液面との間に形成される液膜が途切れやすくなる。その結果、液面から離反する方向へアームをスムーズに回動させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、適宜図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。なお、本実施形態は本発明を具体化した一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0024】
図1は、本発明の実施形態に係るインクカートリッジ10(本発明の液体容器の一例)の外観形状を示す斜視図である。図2は、インクカートリッジ10の側面図である。インクカートリッジ10は、インクジェット方式のプリンタに代表される記録装置に装着されて使用される。詳細については省略するが、インクカートリッジ10は、記録装置が備えるカートリッジ収容部に着脱可能に構成されており、該カートリッジ収容部にインクカートリッジ10が装着されると、インクカートリッジ10に収容されたインクが記録装置の記録ヘッドへ供給可能となる。
【0025】
図1及び図2に示されるように、インクカートリッジ10は、扁平形状の略六面体として構成されている。詳細には、インクカートリッジ10は、幅方向(矢印31の方向)に細く、高さ方向(矢印32の方向)及び奥行き方向(矢印33の方向)が上記幅方向よりも長い略直方体形状に形成されている。
【0026】
インクカートリッジ10は、大別して、本体20(図2参照、本発明の本体に相当)と、第1カバー21と、第2カバー22と、コイルバネ23、24(図7参照)とを備えている。インクカートリッジ10の外装は第1カバー21及び第2カバー22で構成されている。本体20は、内部にインクが収容されるインク室100(本発明の収容室に相当)が形成されている。この本体20は、各カバー21,22で覆い隠されている。なお、本実施形態では、本体20、第1カバー21及び第2カバー22は樹脂材料により構成されている。樹脂材料としては、例えば、ナイロン、ポリエチレンやポリプロピレンなどが該当する。
【0027】
インクカートリッジ10は、図1及び図2に示された起立状態、つまり、図中の下側の面を底面とし、図中の上側の面を上面として記録装置に対して矢印30(図1及び図2参照)で示される方向(以下「挿入方向30」と称する。)に挿入される。
【0028】
第1カバー21及び第2カバー22は、本体20の略全体を覆う。詳細には、本体20の挿入方向30の前方側の部分(以下「前方部」と称する。)20a(図3参照)が第1カバー21によって覆われ、本体20の挿入方向の後方側の部分(以下「後方部」と称する。)20b(図3参照)が第2カバー22によって覆われる。これにより、本体20の前方側が第1カバー21によって保護され、本体20の後方側が第2カバー22によって保護される。
【0029】
本実施形態では、第1カバー21は、本体20に対して奥行き方向(矢印33の方向)へスライドするように設けられている。図1(a)及び図2(a)には、第1カバー21が本体20の前面41(本発明の所定の壁面に相当)に最も近づけられた第2位置にスライドされた状態が示されており、図1(b)及び図2(b)には、第1カバー21が本体20の前面41から最も離された第1位置にスライドされた状態が示されている。図1及び図2に示されるように、第1カバー21が上記第2位置にスライドされることによって、後述の大気連通バルブ80のロッド84が押圧され、且つ、インク供給バルブ90が外部へ露出される。また、第1カバー21が上記第1位置にスライドされることによって、大気連通バルブ80のロッド84が元の状態に復帰し、インク供給バルブ90が第1カバー21内に没入される。なお、第1カバー21をスライドさせる機構については後段で詳細に説明する。
【0030】
次に、図3から図6を参照して、本体20について説明する。ここに、図3は、本体20の外観形状を示す斜視図であり、(a)には、本体20の前面41側から見た斜視図が示されており、(b)には、本体20の後面42側から見た斜視図が示されている。図4は、本体20の側面図である。図5は、図3における切断線V−Vの断面図である。図6は、本体20の前面31側の断面構造を詳細に示す部分拡大図である。
【0031】
図3に示されるように、本体20は、インクカートリッジ10と概ね同形状の外形を呈しており、扁平形状の略六面体として構成されている。本体20は、図3に示された起立状態で、記録装置のカートリッジ収容部(不図示)に装着される。なお、本実施形態では、図3から図5に示されるように、本体20において、挿入方向30の前方側の面を前面41、挿入方向30の後方側の面を後面42、鉛直上方側の面を上面43、鉛直下方側の面を下面44とする。また、前面41、後面42、上面43、下面44それぞれに隣接し、互いに対向する2つの面を側面45,46とする。後面42から見て左側が左側面45であり、右側が右側面46である。本実施形態では、一対の側面45,46が本体20において最大面積となっている。
【0032】
本体20は、大別して、フレーム50と、アーム70(本発明のアームに相当)と、大気連通バルブ80と、インク供給バルブ90と、図示しない透明なフィルムとにより構成されている。フレーム50の両側面(図3の左右の2面)に上記フィルムが溶着される。これにより、フレーム50と上記フィルムとにより囲まれた内部に、インクを収容することが可能なインク室100が形成される。なお、図3及び図4では、上記フィルムが省略されている。
【0033】
フレーム50は、本体20の筐体を構成する部材であり、本体20の六面41〜46を形成する。したがって、本体20の六面41〜46は、フレーム50の六面に一致する。以下において、本体20の各面に付された符号を用いてフレーム50の各面を示す。
【0034】
フレーム50は、透光性のある透明又は半透明の樹脂材料で構成されており、例えば、樹脂材料を射出成形することにより得られる。樹脂材料としては、ポリアセタールやナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが該当する。
【0035】
図3及び図4に示されるように、フレーム50は、外周壁51と、複数の内壁52とを備える。内壁52は、外周壁51の内側に配設されている。外周壁51及び内壁52は、フレーム50として一体に形成されている。外周壁51及び内壁52は、本体20の左側面45から右側面46に渡って設けられている。外周壁51は、内部に空間を形成するように、前面41、上面43、後面42、下面44に概ね沿って環状に配設されている。これにより、フレーム50の左側面45に開口57aが形成され、右側面46に開口57bが形成される。
【0036】
フレーム50の側面45,46それぞれに、透明な樹脂で構成された薄肉状のフィルム(不図示)が周知の熱溶着法によって溶着される。上記フィルムによって開口57a及び開口57bが閉塞される。これにより、外周壁51と上記フィルムとによって囲まれた空間がインク室100として区画される。このように区画されたインク室100にインクが収容される。なお、本実施形態では、フレーム50と上記フィルタとによってインク室100が形成されるが、例えば、フレーム50自体を直方体の容器状に形成することによってその内部にインク室100を形成してもかまわない。
【0037】
内壁52は、外周壁51で囲まれた領域内に配設されている。この内壁52の側面45,46側の外縁部分にも上記フィルムが溶着される。これにより、上記フィルムの弛みを抑制することができる。また、第1カバー21及び第2カバー22が本体20側に変形したとしても、内壁52によって第1カバー21及び第2カバー22の変形が規制される。これにより、本体20や上記フィルムの破損を防止することができる。
【0038】
図3及び図5に示されるように、フレーム50の後面42にインク注入部150が形成されている。インク注入部150は、後面42からインク室100側に穿設された略円筒状の孔である。インク注入部150は、インク室100に連通している。このインク注入部150は、インクをインク室100に注入するためのものであり、インク注入部150を通じてインクがインク室100へ流入する。インク注入部150は、後面42の下端付近においてフレーム50と一体に形成されている。
【0039】
フレーム50の前面41には、検知窓140(本発明の突出部に相当)が形成されている。検知窓140は、インク室100に収容されているインクの量を視覚的或いは光学的に検知するためのものである。検知窓140は、フレーム50に一体に形成されている。したがって、検知窓140は、フレーム50と同じ材質、つまり、透光性のある透明又は半透明の樹脂材料で構成されている。そのため、検知窓140は、外部からの光を透過することができる。なお、検知窓140には、記録装置に取り付けられたフォトインタラプタなどの光センサによって検出光が照射される。光センサは発光素子と受光素子とを有する。本実施形態では、発光素子から出射された検出光が側壁140b(図3参照)に照射され、側壁140bを透過した検出光が上記受光素子によって受光される。
【0040】
検知窓140は、本体20の前面41の中段付近から本体20の外部へ向けて突設されてる。つまり、検知窓140は、インク室100とは反対側の方向(図4及び図5の左向き)へ突出するように設けられている。この検知窓140は、図示されるように、略矩形状の5つの壁面で区画され、内部が中空状の略箱状に形成されている。具体的には、検知窓140は、前面41に平行で、この前面41から外向きに所定距離だけ離間した矩形状の前壁140aと、この前壁140aの幅方向の二辺を含む一対の側壁140bと、前壁140aの上辺を含む上壁140cと、前壁140aの下辺を含む下壁140dとにより区画されている。なお、前壁140aの幅(図3の矢印31方向の寸法)は、前面51の幅よりも小さく形成されている。
【0041】
図5に示されるように、検知窓140の内部には、前壁140a、側壁140b、上壁140c及び下壁140dによって囲まれた空間142が形成されている。検知窓140のインク室100側には壁は設けられておらず、空間142がインク室100へ連続して通じている。この空間142に、アーム70のインジケータ部72が進入或いは退出する。図5では、空間142にインジケータ部72が進入した姿勢(以下「第1姿勢」と称する。)が実線で示されており、空間142からインジケータ部72が退出した姿勢(以下「第2姿勢」と称する)が破線で示されている。
【0042】
アーム70は、インク室100に収容されたインクの液量を検知するための部材である。アーム70の一方端(第1端)に、空間142に進入或いは退出されるインジケータ部72が設けられている。また、アーム70の他方端(第2端)にフロート部73(本発明の浮力体に相当)が設けられている。このアーム70は、外周壁51の幅方向(矢印31の方向)の中心に立設されたリブ74に揺動可能に支持されている。リブ74は、前面41及び下面44で形成されるコーナー付近の外周壁51に設けられている。このリブ74に、アーム70を軸支する支持軸77(図5参照)が設けられている。この支持軸77に、アーム70に設けられた軸孔78が挿通されることにより、アーム70が支持軸77を中心にして矢印35の方向へ揺動可能に支持される。
【0043】
以下、図5及び図10から図12を参照しながら、アーム70の構成及びその動きについて詳細に説明する。ここに、図10は、アーム70の外観形状を示す斜視図である。図11は、アーム70の外観構成を示す図であり、(a)は左側面図、(b)は正面図、(c)は右側面図である。図12は、図11における切断線XII−XIIの断面拡大図である。なお、図12では、切断面が実線で示されており、後述の突起65が太線で示されており、他の部分が破線で示されている。
【0044】
アーム70は、軸孔78からインジケータ部72に至る第1部位75(本発明の第1アーム部に相当)と、軸孔78からフロート部73に至る第2部位76(本発明の第2アーム部に相当)とを有する。図5に示されるように、第1部位75は、軸孔78から図5の左方向へ延出されており、第2部位76は、軸孔78から図5の右方向へ延出されている。言い換えれば、仮に、軸孔78の中心軸を含む平面で空間が分割された場合に、一方の空間に第1部位75が配置され、他方の空間に第2部位76が配置されるように、アーム70が構成されている。
【0045】
フロート部73は、例えば、内部が中空状に形成されており、インクなどの液体に対して浮力を有する浮力体の役割を担っている。したがって、フロート部73は、インク量の増減に応じて上下に変位する。これにより、フロート部73の変位に応じてアーム70が回動する。本実施形態では、インク中において、第2部位76が浮き上がるように当該フロート部73が形成されている。なお、フロート部73を中空形状とせず、フロート部73自体をインクの比重よりも小さい比重の素材で形成してもよい。
【0046】
インジケータ部72は、インク室100内のインクの残量を指し示すためのものである。アーム70が図5において反時計方向へ回動されると、インジケータ部72が検知窓140の空間142に進入する。空間142に進入したインジケータ部72は、検知窓140の下壁140dに当接して、それ以上の進入が阻止される。これにより、アーム70が上記第1姿勢となる。一方、アーム70が図5において時計方向へ回動されると、インジケータ部72が下壁140dから離間して、その一部が空間142から退出する(図5の破線参照)。退出したインジケータ部72は、下壁140dから所定距離だけ隔てた位置で静止する。これにより、アーム70が上記第2姿勢となる。
【0047】
インジケータ部72には、2つのピン部材131,132が設けられている。ピン部材131は、インジケータ部72の上部先端に設けられている。また、ピン部材132は、インジケータ部72の下部に設けられている。これらピン部材132は、小径の円柱形状の部材であって、アーム70と一体に形成されている。いずれのピン部材131,132も、インジケータ部72の厚み方向(図11(a)の紙面に垂直な方向)へ延出されている。ピン部材131,132の延出長さはインジケータ部72の厚みよりも大きい。したがって、図10に示されるように、ピン部材131,132は、側壁140bに接触しない程度に、インジケータ部72の厚み方向へ突出している。このピン部材131,132が設けられているため、インジケータ部72と側壁140bとの間隔が一定長さに規制される。これにより、インジケータ部72の動きが、インクの表面張力によって損なうことなく円滑となる。また、このようなピン部材131,132が設けられているため、検知窓140の幅を無駄に大きくする必要がなくなる。つまり、本実施形態のインクカートリッジ10においては、検知窓140の幅を小さくすることができる。
【0048】
ピン部材131,132の突出方向の端部(以下「突出端」と称する。)134は、球面に形成されている(図10及び図11(b)参照)。したがって、仮に、ピン部材131,132の突出端134が側壁140bに接触したとしても、点で接触する。したがって、接触によりインジケータ部72の動きが極端に鈍くなることはない。また、検知窓140のインクが無くなった場合に、突出端134と側壁140bとの接触部にインクが付着したとしても、付着したインク量を最小限に抑えることができる。上記接触部にインクが付着すると、ピン部材131,132と側壁140bとインクの表面張力によって引き寄せられるという現象が生じるが、本実施形態では、付着するインク量が少ないため、上記現象は生じにくい。したがって、検知窓140に対するインジケータ部70の進退動作が円滑になる。
【0049】
本実施形態では、アーム70は、軸孔78からインジケータ部72に至る第1部位75が軸孔78からフロート部73に至る第2部位76よりも重量が小さくなるように形成されている。したがって、空気中においては、第2部位76が第1部位75よりも重い。そのため、インク室100にインクが入っていない状態では、アーム70は、フロート部73の重力方向に引っ張られる。これにより、アーム70は、支持軸77を中心にして時計方向へ回動する。このとき、インジケータ部72が検知窓140の空間142から退出する。つまり、インジケータ部72が空間142から退出している場合は、インク室100にインクが入っていないことを検知できる。なお、フロート部73の下端がインク室100の底面に当接すると、アーム70の回動が停止して、その姿勢(第2姿勢)が保持される。このとき、インジケータ部72は、その一部が空間142から退出した所定の位置で静止する(図5の破線参照)。なお、インジケータ部72が空間142から完全に退出する必要はなく、例えば、上記空間142内において、上記検出光が照射されない位置までインジケータ部72が退出すればよい。
【0050】
一方、インク室100に所定量のインクが貯留され、フロート部73がインクに浸かった状態では、フロート部73に浮力が発生する。この浮力によって、第1部位75と第2部位76との重量の均衡が逆転する。すなわち、インク中では、フロート部73の重力方向に働く力はインジケータ部72の重量方向に働く力よりも小さくなる。したがって、アーム70は、インジケータ部72の重力方向へ相対的に引っ張られる。これにより、アーム70は、支持軸77を中心にして反時計回りへ回動する。このとき、インジケータ部72は検知窓140の空間142に進入する。インジケータ部72の下端が下壁140dに当接すると、アーム70の回動が停止して、その姿勢(第1姿勢)が保持される。つまり、インジケータ部72が空間142に進入している場合は、インク室100に所定量のインクが貯留されていることを検知できる。このように、アーム70を第1姿勢に保持する下壁140dが、本発明の保持部に相当する。
【0051】
上述のようにアーム70が動作するため、空間142におけるインジケータ部72の位置を検知窓140の外部から目視で確認し、或いは、フォトインタラプタなどの光センサで監視することで、インク室100内のインクの液量が一定量あるかどうかを検知することができる。言い換えれば、インジケータ部72の動きによって、インク室100内のインクの量が外部に表示される。
【0052】
本実施形態では、図5に示されるように、アーム70が上記第1姿勢にある状態で、第1アーム部位75の少なくとも一部がインジケータ部72の位置よりも高い位置に配置されている。具体的には、第1アーム部位75に設けられた後述の屈曲部71及びその周辺部分がインジケータ部72の位置よりも高い位置に配置されている。このようにアーム70が配設されたことによる作用効果については後述する。
【0053】
図10から図12に示されるように、軸孔78からインジケータ部72に至る第1部位75は、屈曲部71を有する。この屈曲部71は、アーム70が上記第1姿勢にある状態で、軸孔78から鉛直方向へ延出された鉛直部62(本発明の第1部材に相当)と、該鉛直部62の鉛直上方側の終端からインジケータ部72の方向へ斜め下方へ延出された傾斜部63(本発明の第2部材に相当)とにより形成されている。実施形態では、傾斜部63と鉛直部62とによってなす角が鋭角となるように、第1部位75が形成されている。
【0054】
第1部位75は、図10及び図11に示されるように、厚みの薄い板状部材で構成されている。詳細には、第1部位75は、図5の紙面に垂直な方向の寸法が短く、つまり薄く形成されており、アーム70の揺動方向(図5の矢印35の方向)に細長い形状を呈している。具体的には、図12に示されるように、第1部位75は、その断面が、上記揺動方向に細長い略台形に形成されている(図12の斜線部参照)。
【0055】
第1部位75には、該第1部位75の長手方向に沿って長尺状のリブ64が設けられている。リブ64は、第1部位75において、左側面及び右側面の双方に設けられている(図12(a)、(b)参照)。このリブ64によって、第1部位75が補強されている。
【0056】
第1部位75の外周面には、複数の突起65が設けられている。これらの突起65は、第1部位75とインク液面との間にインク膜が形成されないようにするため、或いは形成されたインク膜を途切れやすくするために設けられている。具体的には、突起65は、第1部位75の上記揺動方向の端面66に設けられている。この端面66は、第1部位75の断面が略台形に形成されることによってアーム70の揺動方向側に現れる傾斜面である。端面66の揺動方向の先端(図12の紙面に対して上下方向の先端)が鋭角に形成されている。言い換えれば、端面66の揺動方向の先端が刃状に形成されている。端面66において、複数の突起65が、第1部位75の長手方向へ所定の間隔を隔てて配設されている。なお、突起65の間隔は、インク室100で形成される水掻き状或いは風船状のインク膜に応じて適宜決定される。
【0057】
図12に示されるように、突起65は、上記揺動方向へ突出するように設けられている。詳細には、突起65は、鉛直部62及び傾斜部63それぞれの揺動方向の端面66から垂直方向へ突出している。突起65は、先端が尖った形状(尖形)に形成されている。このような突起が設けられたことによる作用効果については後述する。
【0058】
図6に示されるように、フレーム50の前面41の上部、言い換えれば、検知窓140の上方に、円形の開口82が設けられている。開口82に連続してフレーム50の内部側に円筒状のバルブ収容室55が形成されている。バルブ収容室55は、本体20の奥行き方向(矢印33の方向)へ延設されている。バルブ収容室55は、その奥部においてインク室100に連通している。バルブ収容室55に、大気連通バルブ80が収容されている。
【0059】
大気連通バルブ80は、開口82からインク室100に至る空気経路を開放又は閉鎖する弁機構として構成されている。この大気連通バルブ80は、主として、バルブ本体87、バネ86、シール部材83、キャップ85などの部材で構成されている。バルブ本体87は、バルブ収容室55において、本体20の奥行き方向へスライド可能に設けられている。このバルブ本体87は、蓋体88(本発明の蓋体に相当)と、ロッド84とを有する。バルブ本体87がバルブ収容室55内でスライドされると、そのスライド動作に伴って蓋体88がシール部材83に当接する位置(本発明の第3位置に相当)とシール部材83から離れる位置(本発明の第4位置に相当)との間でスライドする。蓋体88がシール部材83に当接すると、後述する大気連通口81(本発明の第1孔に相当)が閉塞され、蓋体88がシール部材83から離れると、大気連通口81が開放される。ロッド84は、蓋体88の中心軸から開口82の中心を通って外側へ突出している。このロッド84は、図6に示されるように、前面41に設けられた部材の中で最も外方向へ突出している。
【0060】
開口82の外縁部分にシール部材83を介してキャップ85が取り付けられている。キャップ85及びシール部材83には貫通孔(不図示)が設けられている。キャップ85及びシール部材83が開口82の外縁部分に取り付けられると、上記貫通孔によって、バルブ収容室55の内部と外部とを連通する大気連通口81が形成される。この大気連通口81にロッド84が挿通される。
【0061】
バルブ収容室55内において、バネ86は、上記空気経路を閉鎖する方向へバルブ本体87を付勢している。つまり、バネ86は、蓋体88をシール部材83に近づける方向へバルブ本体87を付勢している。したがって、大気連通バルブ80は、常時は、蓋体88で大気連通口81を閉塞している。一方、ロッド84が開口82の奥部側へ押圧されると、バネ86の付勢力に抗してバルブ本体87の蓋体88がシール部材83から離間して、大気連通口81が開放される。これにより、開口82からインク室100に至る空気経路が開放されて、インク室100に形成された空気層が大気圧と同圧になる。
【0062】
また、図6に示されるように、フレーム50の前面42の下部、言い換えれば、検知窓140の下方に、円形の開口92が設けられている。この開口92に連続してフレーム50の内部側に円筒状のバルブ収容室54が形成されている。バルブ収容室54は、本体20の奥行き方向へ延設されている。バルブ収容室54は、その奥部においてインク室100に連通している。バルブ収容室54に、インク供給バルブ90が収容されている。
【0063】
インク供給バルブ90は、開口92からインク室100に至るインク経路を開放又は閉鎖する弁機構として構成されている。このインク供給バルブ90は、主として、バルブ本体97、バネ96、シール部材93、キャップ95などの部材で構成されている。
【0064】
開口92の外縁部分にシール部材93を介してキャップ95が取り付けられている。キャップ95及びシール部材93には貫通孔(不図示)が設けられている。キャップ95及びシール部材93が開口92の外縁部分に取り付けられると、上記貫通孔によって、バルブ収容室54の内部と外部とを連通するインク供給口91(本発明の第2孔に相当)が形成される。このインク供給口91は、インクカートリッジ10がカートリッジ収容部に装着されたときに、管状のインクニードルが挿入される部分である。
【0065】
バルブ収容室54内において、バネ96は、上記インク経路を閉鎖する方向へバルブ本体87を付勢している。つまり、バネ96は、バルブ本体97をシール部材93へ近づける方向へ付勢している。したがって、インク供給バルブ90は、常時は、バルブ本体97でインク供給口91を閉塞している。一方、インク供給口91に上記インクニードルが挿入されると、バネ96の付勢力に抗してバルブ本体97がシール部材93から離間して、インク供給口91が開放される。これにより、インク室100内のインクを上記インクニードルを通じて記録装置側へ導出することが可能となる。
【0066】
フレーム50の上面43に凹陥部59が設けられている。また、下面44に凹陥部60が形成されている。凹陥部59,60は、本体20の後方部20bが第2カバー22で覆われた際に、第2カバー22の内面に設けられた突起片210,211(図7参照)と係合する。凹陥部59に突起片210が嵌められ、凹陥部60に突起片211が嵌められることにより、後方部20bと第2カバー22とが確実に係合する。
【0067】
図5に示されるように、バルブ収容室55の上側にバネ収容室110が形成されている。また、バルブ収容室54の下側にバネ収容室111が形成されている。バネ収容室110,111は、フレーム50の前面41からインク室111側へ穿設された略円筒状の孔である。バネ収容室110,111には、第1カバー21を挿入方向30へ弾性的に付勢するためのコイルバネ23、24(図7参照)が収容される。なお、バネ収容室110,111の位置や孔の外径寸法又は深さ寸法などは、収容されるバネの仕様に応じて適宜決定される要素である。しかし、本体20の高さ方向(矢印32の方向)に長尺の第1カバー21を安定且つ均等に付勢するためには、本実施形態の如く、本体20の高さ方向に隔てられた位置にバネ収容室110及びバネ収容室111をそれぞれ配設することが望ましい。
【0068】
フレーム50の上面43の挿入方向前端に、支持部材115が設けられている。支持部材115は、第1カバー21を本体20に対してスライド可能に支持するとともに、第1カバー21のスライド範囲を規制する。この支持部材115と後述の支持部材116とによって、第1カバー21が2点でスライド可能に支持される。支持部材115は、フレーム50に一体に形成されている。支持部材115は、図5に示されるように、上面43から垂直上方へ延出された第1部材118と、第1部材118の終端から上面43に平行に挿入方向30へ延出された第2部材119と、第2部材119の終端に形成された上向き鉤状の第3部材120とにより構成されている。つまり、支持部材115は、横向き略L字状に形成されている。これにより、第2部材119と上面43との間に隙間122が形成される。この隙間122によって、第2部材119が本体20の高さ方向(矢印32の方向)へ撓むことを許容される。
【0069】
フレーム50の下面44の挿入方向前端に、支持部材115と略同形状の支持部材116が設けられている。この支持部材116は、フレーム50に一体に形成されており、下面44から垂直下方へ延出された第1部材124と、第1部材124の終端から下面44に平行に挿入方向30へ延出された第2部材125と、第2部材125の終端に形成された下向き鉤状の第3部材126とにより構成されている。これら支持部材115,116が設けられたことによる作用効果については後述する。
【0070】
以下、図1及び図2、図7から図9の各図を参照しながら、第1カバー21及び第2カバー22の構成とともに、第1カバー21のスライド機構について詳述する。ここに、図7は、図1(a)における切断線VII−VIIの断面図である。図8は、図1(b)における切断線VIII−VIIIの断面図である。図9は、インクカートリッジ10の要部の拡大断面図であり、(a)には、図7における囲み部分IXa(第1カバー21の上部付近)の断面構造が詳細に示されており、(b)には、図7における囲み部分IXb(第1カバー21の下部付近)の断面構造が詳細に示されている。
【0071】
第2カバー22は、本体20の後方部20bを収容可能な容器形状に形成されている。この第2カバー22は、後方部20bの外形に対応して扁平形状に形成されている。具体的には、第2カバー22は、本体20の後面42に対応する後壁212と、上面43に対応する上壁213と、下面44に対応する下壁214と、左側面45に対応する左側壁215と、右側面46に対応する右側壁216とを有する。これら各壁によって囲まれた空間が後方部20bを収容する収容空間である。
【0072】
第2カバー22は、後方部20bが挿入される開口(不図示)を有する。この開口から後方部20bが第2カバー22の奥部まで挿入されることで、後方部20bが第2カバー22によって覆われる。第2カバー22の内面の上記開口側には、突起片210,211が設けられている。突起片210,211は、凹陥部59,60に対応する位置に設けられている。突起片210は、後方部20bが第2カバー22で覆われた際に、本体20の上面43に設けられた凹陥部59に嵌められる。また、突起片211は、本体20の下面44に設けられた凹陥部60に嵌められる。これにより、本体20と第2カバー22とが確実に係合する。
【0073】
第1カバー21は、本体20の前方部20aを収容可能な容器形状に形成されている。この第1カバー21は、前方部20aの外形に対応して扁平形状に形成されている。具体的には、第1カバー21は、本体20の前面41に対応する前壁161と、上面43に対応する上壁163と、下面44に対応する下壁164と、左側面45に対応する左側壁165(本発明の側壁部に相当)と、右側面46に対応する右側壁166(本発明の側壁部に相当)とを有する。これら各壁によって囲まれた空間が前方部20aを収容する収容空間である。
【0074】
左側壁165及び右側壁166は、前壁161から本体20の奥行き方向へ延出されており、本体20の左側面45及び右側面46を覆っている。したがって、後述するように第1カバー21がスライドすると、左側壁165及び右側壁166が左側面45及び右側面46に対するガイド面となる。これにより、第1カバー21が円滑にスライドする。
【0075】
本実施形態では、第1カバー21の表面が、インク室100に収容されるインクと同じ色に着色されている。つまり、第1カバー21を構成する前壁161、上壁163、下壁164、左側壁165及び右側壁166の全てがインク室100に収容されるインクと同じ色に着色されている。例えば、第1カバー21をインクと同色の樹脂材料で構成することにより、第1カバー21をインクと同じ色に着色することが可能である。これにより、仮に、本体20内のインク色を識別できない状態であっても、インク色を外部から容易に把握することができる。なお、厳密にインクと同じ色である必要はなく、インク色と類似する色に着色されていてもよい。また、第1カバー21の表面全体を着色する必要はなく、例えば、視認されやすい前壁161のみを着色してもよい。
【0076】
第1カバー21は、支持バー168,169と、摺動溝171,172と、押圧部174(本発明の押圧部に相当)と、開口180とを有する。
【0077】
支持バー168は、コイルバネ23を支持するとともにその伸縮方向を規制するものである。また、支持バー169は、コイルバネ24を支持するとともにその伸縮方向を規制するものである。支持バー168,169は、前壁161の裏面、つまり、本体20の前面41に対向する対向面に設けられている。具体的には、支持バー168は、前壁161の上端の裏面であって、バネ収容室110に対応する位置に設けられている。また、支持バー169は、前壁161の下端の裏面であって、バネ収容室111に対応する位置に設けられている。
【0078】
図9に示されるように、支持バー168,169は、前壁161の裏面から本体20の奥行き方向(矢印33の方向)へ突出された棒状の部材で構成されている。バネ収容室110にコイルバネ23が収容され、バネ収容室111にコイルバネ24が収容された状態で、第1カバー21が本体20の前方部20aに嵌め入れられると、支持バー168がコイルバネ23の内孔に挿通され、支持バー169がコイルバネ24の内孔に挿通される。これにより、各コイルバネ23,24が支持バー168,169で支持される。また、コイルバネ23,24の伸縮方向が支持バー168,169の延出方向、つまり、本体20の奥行き方向に規制される。
【0079】
本実施形態では、コイルバネ23,24は、所謂圧縮コイルバネとして用いられる。つまり、第1カバー21が前方部20aに装着された状態で、コイルバネ23,24が圧縮されてバネ収容室110,111に収容される。したがって、第1カバー21のスライド位置に関係なく、コイルバネ23,24は、常に、第1カバー21を本体20の前面41から離れる方向へ付勢している。
【0080】
摺動溝171は、図1に示されるように、上壁163が断面視で略逆向きU字形状に形成されることによって構成される。図9(a)に示されるように、摺動溝171に支持部材115が挿入される。上壁163の裏面、つまり、本体20の上面43に対向する対向面に、突起片182が形成されている。突起片182によって摺動溝171の一部が狭められている。一方、摺動溝172は、下壁164が断面視でU字形状に形成されることによって構成される。図9(b)に示されるように、摺動溝172に支持部材116が挿入される。下壁164の裏面、つまり、本体20の下面44に対向する対向面に、突起片183が形成されている。突起片183によって摺動溝172の一部が狭められている
【0081】
第1カバー21を本体20の前方部20aに装着する過程において、支持部材115が摺動溝171に挿入され、支持部材116が摺動溝172に挿入される。支持部材115が摺動溝171に挿入されると、まず、突起片182と第3部材120とが当接する。そして、更に支持部材115が挿入されると、支持部材115が隙間122側へ撓まされて、突起片182の傾斜部182aと第3部材120の傾斜部120aとが摺接しつつ、第3部材120が突起片182を乗り越える。一旦、第3部材120が突起片182を乗り越えると、第1カバー21を引き抜こうとしても、第3部材120の鉤部が突起片182に引っ掛かり、容易に抜き出せない構造となっている。なお、支持部材116も、上述と同様にして摺動溝172に挿入される。
【0082】
本実施形態では、第1カバー21が前方部20aに装着されると、コイルバネ23,24によって第1カバー21が前面41から離れる方向へ付勢される。したがって、第1カバー21に外力が加えられていない状態では、第1カバー21は、図8に示される第1位置に移動してその状態を維持する。なお、第1カバー21は、突起片182と第3部材120とが当接することによって上記第1位置で静止する。一方、第1カバー21に対して前壁161に垂直な方向の外力が加えられると、第1カバー21は、第1位置(図8参照)から第2位置(図7参照)へスライドする。
【0083】
図7及び図8に示されるように、前壁161の裏面に押圧部174が設けられている。この押圧部174は、大気連通バルブ80のロッド84に対応する位置に設けられている。押圧部174は、ロッド84の先端を受け止める座である。押圧部174は、第1カバー21が第1位置(図8参照)にあるときは、ロッド84の先端から離れており、第1カバー21が第1位置から第2位置(図7参照)へスライドする過程において押圧部174がロッド84の先端に当接する。そして、更に第1カバー21が第2位置側へスライドされると、ロッド84を大気連通バルブ80内へ押し込んで、大気連通口81を開放させる。
【0084】
前壁161の下端近傍に、開口180が形成されている。この開口180は、インク供給バルブ90に対応する位置に形成されている。開口180は、インク供給バルブ90のキャップ95が挿通可能なサイズに形成されており、第1カバー21が第1位置(図8参照)から第2位置(図7参照)にスライドすると、そのスライド過程において、キャップ95が開口180から露出される。これにより、カートリッジ収容部のインクニードルに対してインク供給口91を挿入しやすくなる。なお、前壁161の上端付近、前壁161において大気連通バルブ80に対応する部分には開口などが設けられていない。したがって、大気連通バルブ80は、前壁161によって覆われている。
【0085】
上述したように、本実施形態では、アーム70が上記第1姿勢にある状態において、第1アーム部位75に設けられた屈曲部71及びその周辺部分がインジケータ部72の位置よりも高い位置に配置されている。そのため、インク室100内のインクが徐々に減少して、アーム70がインクの液面から気中に露出された場合に、アーム70とインク液面との間にインク膜が形成され難くなる。また、仮にインク膜が形成されたとしても、屈曲部71側からインク膜が途切れやすくなる。その結果、インク液面から離反しようとするアーム70の動作がスムーズになる。
【0086】
また、アーム70の第1部位75に複数の突起65が設けられているため、アーム70とインク液面との間にインク膜が形成されたとしても、突起65によって上記インク膜が破られる。これにより、アーム70の動作がよりスムーズになる。
【0087】
なお、本実施形態では、第1部位75の端面66に突起65を設けることとしたが、第1部位75の外周面全域に突起65を設けてもかまわない。また、第1部位75において、傾斜部63のみに突起65を設けてもよい。この構成であっても、インク膜を形成し難くし、或いは、インク膜を途切れやすくすることができる。
【0088】
また、本実施形態では、第1部位75の端面66に突起65を形成する例について説明したが、例えば、突起65が設けられてなくても、刃状に形成された端面66によって、インク膜を効果的に途切れさせることができる。また、刃状の端面66が形成されておらず、突起65のみが第1部位75に設けられた構成であっても、インク膜を途切れさせることが可能である。
【0089】
また、インクが収容されたインクカートリッジ10のみならず、液体、特に粘性を有する液体が収容された液体容器全般に本発明は好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係るインクカートリッジ10の外観形状を示す斜視図である。
【図2】図2は、インクカートリッジ10の側面図である。
【図3】図3は、本体20の外観形状を示す斜視図であり、(a)には、本体20の前面41側から見た斜視図が示されており、(b)には、本体20の後面42側から見た斜視図が示されている。
【図4】図4は、本体20の側面図である。
【図5】図5は、図3における切断線V−Vの断面図である。
【図6】図6は、本体20の前面31側の断面構造を詳細に示す部分拡大図である。
【図7】図7は、図1(a)における切断線VII−VIIの断面図である。
【図8】図8は、図1(b)における切断線VIII−VIIIの断面図である。
【図9】図9は、インクカートリッジ10の要部の拡大断面図であり、(a)には、図7における囲み部分IXa(第1カバー21の上部付近)の断面構造が詳細に示されており、(b)には、図7における囲み部分IXb(第1カバー21の下部付近)の断面構造が詳細に示されている。
【図10】図10は、アーム70の外観形状を示す斜視図である。
【図11】図11は、アーム70の外観構成を示す図であり、(a)は左側面図、(b)は正面図、(c)は右側面図である。
【図12】図12は、図11における切断線XII−XIIの断面拡大図である。
【符号の説明】
【0091】
10・・・インクカートリッジ
20・・・本体
21・・・第1カバー(スライド部材)
22・・・第2カバー
23,24・・・コイルバネ(弾性部材)
50・・・フレーム
62・・・鉛直部(第1部材)
63・・・傾斜部(第2部材)
70・・・アーム
72・・・インジケータ部
73・・・フロート部(浮力体)
75・・・第1部位(第1アーム部)
76・・・第2部位(第2アーム部)
80・・・大気連通バルブ(大気連通部)
81・・・大気連通口
90・・・インク供給バルブ(インク導出部)
91・・・インク供給口
100・・・インク室(収容室)
140・・・検知窓(突出部)
174・・・押圧部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が収容される収容室を有する本体と、
上記収容室内で揺動可能に設けられ、第1端が所定位置で静止された第1姿勢と上記第1端が上記所定位置から離間された第2姿勢との間で姿勢変化するアームと、
上記第1端とは反対側の第2端に設けられ、上記収容室内の液量に応じて変位する浮力体とを具備し、
上記アームは、上記第1端から上記アームの揺動軸に至る第1アーム部と、上記揺動軸から上記第2端に至る第2アーム部とを有し、
上記アームが上記第1姿勢にある状態で、上記第1アーム部の少なくとも一部が上記第1端よりも高い位置に配設されている液体容器。
【請求項2】
上記第1アーム部は、上記揺動軸から液面に対して垂直上方へ延出された第1部材と、上記第1部材の終端に鋭角をなして上記第1端へ延出された第2部材とを有する請求項1に記載の液体容器。
【請求項3】
上記収容室内の液体が所定量以上のときに上記アームを上記第1姿勢に保持する保持部を更に備える請求項1又は2に記載の液体容器。
【請求項4】
上記第1アーム部及び上記第2アーム部は、上記揺動軸を含む平面で分断された二つの空間それぞれに配置されている請求項1から3のいずれかに記載の液体容器。
【請求項5】
上記本体の所定の壁面から上記本体の外部へ向けて突設され、内部が上記収容室に連続して形成された中空状の突出部を更に備え、
上記第1姿勢は、上記第1端が上記突出部の内部に進入した姿勢であり、上記第2姿勢は、上記突出部の内部から上記第1端が退出した姿勢である請求項1から4のいずれかに記載の液体容器。
【請求項6】
上記突出部は、透光性を有する部材で構成されており、上記突出部の内部に進退する上記第1端の動きを上記収容室内の液量として表示するものである請求項5に記載の液体容器。
【請求項7】
少なくとも上記第1アーム部の外周面に突起が設けられている請求項1から6のいずれかに記載の液体容器。
【請求項8】
上記突起の先端は、尖形に形成されている請求項7に記載の液体容器。
【請求項9】
上記突起は、上記アームの揺動方向へ突出している請求項7又は8に記載の液体容器。
【請求項10】
少なくとも上記第1アーム部は、上記アームの揺動方向の端部が鋭角となるように断面形状が略台形に形成されており、
上記突起は、上記揺動方向の傾斜面に設けられている請求項7から9のいずれかに記載の液体容器。
【請求項11】
略直方体形状に形成され、液体が収容される収容室を有する本体と、
上記本体の所定の壁面から上記本体の外部へ向けて突設され、内部が上記収容室に連続して形成された略中空箱状の突出部と、
上記収容室内で揺動可能に設けられ、第1端が上記突出部の内部に進入した第1姿勢と上記第1端が上記突出部の内部から退出した第2姿勢との間で姿勢変化するアームと、
上記第1端とは反対側の第2端に設けられ、上記収容室内の液量に応じて変位する浮力体と、
上記アームにおいて上記第1端から上記アームの揺動軸に至る部位を構成し、上記アームが上記第1姿勢にある状態で少なくとも一部が上記第1端よりも高い位置に配設された第1アーム部と、
上記アームにおいて上記揺動軸から上記第2端に至る部位を構成する第2アーム部と、
少なくとも上記第1アーム部の外周面に設けられた突起と、を具備する液体容器。
【請求項12】
液体が収容される収容室を有する本体と、
上記収容室内で揺動可能に設けられ、第1端が所定位置で静止された第1姿勢と上記第1端が上記所定位置から離間された第2姿勢との間で姿勢変化するアームと、
上記第1端とは反対側の第2端に設けられ、上記収容室内の液量に応じて変位する浮力体とを具備し、
上記アームは、上記第1端から上記アームの揺動軸に至る第1アーム部と、上記揺動軸から上記第2端に至る第2アーム部とを有し、
少なくとも上記第1アーム部の外周面に突起が設けられている液体容器。
【請求項13】
液体が収容される収容室を有する本体と、
上記収容室内で揺動可能に設けられ、第1端が所定位置で静止された第1姿勢と上記第1端が上記所定位置から離間された第2姿勢との間で姿勢変化するアームと、
上記第1端とは反対側の第2端に設けられ、上記収容室内の液量に応じて変位する浮力体とを具備し、
上記アームは、上記第1端から上記アームの揺動軸に至る第1アーム部と、上記揺動軸から上記第2端に至る第2アーム部とを有し、
少なくとも上記第1アーム部は、揺動方向の端部が鋭角に形成されている液体容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−254194(P2008−254194A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−95477(P2007−95477)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】