説明

液体廃棄物処理装置

【課題】回転ディスクが高速で回転した場合であっても、振動や回転軸のブレが生じることがなく、軸受部の温度上昇を防止する一方で反応室内の温度低下を防ぎ、反応室の掃除や保守管理が容易で被処理液の連続処理が可能な液体廃棄物処理装置を提供する。
【解決手段】中心部に冷却通路を有し、冷却手段を具える上部軸受部および下部軸受部に軸支され、該下部軸受部よりも下方に延伸する部分を有する回転軸の延伸部分が、正八角形の壁面を有する気密空間の反応室に囲繞され、さらに該反応室が蒸気貯留室に囲繞され、該反応室には該回転軸に固定されて高速回転する複数の有孔回転ディスクと該反応室に固定される複数の邪魔板とが相互に配置され、該反応室にナトリウムが混入された被処理液が送り込まれて該反応室内で無害化処理され、無害化処理された処理済液が該蒸気貯留室に送出された後、外部に排出するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有害な液体廃棄物を無害化する処理装置に関し、詳しくは常態では化学的に反応しないポリ塩化ビフェニル等を含む化合物を連続的に無害化処理する液体廃棄物処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリ塩化ビフェニル(polychlorinated biphenyl)は、ビフェニルの水素原子が塩素原子で置換された化合物の総称であって、一般式がC12Cl(10−n)(0≦n≦9)で表され、略してPCBとも呼ばれる。なお、本明細書では主に、ポリ塩化ビフェニルをPCBと称する。このPCBは、熱に対して安定で、電気絶縁性が高く、耐薬品性に優れているため、加熱や冷却用熱媒体、変圧器やコンデンサといった電気機器の絶縁油、可塑剤、塗料、ノンカーボン紙の溶剤など、非常に幅広い分野に用いられた。
しかしながら、生体に対する毒性が高く、脂肪組織に蓄積しやすく、発ガン性があり、また皮膚障害、内臓障害、ホルモン異常を引き起こすことから、使用はもちろん、製造・輸入は禁止されている。
【0003】
ところで、このPCBは、常態では非常に安定して薬品を加えただけでは化学的に反応しない物質であり、無害化するための処理方法として、以下のような物理的な処理を加えて反応させる方法が提案されている。
(1)脱塩素化分解法:PCBの分子を構成している塩素とアルカリ剤等を反応させ、PCBの塩素を水素等に置換する方法。
(2)水熱酸化分解法:超臨界水や亜臨界状態の水によってPCBを塩、水、二酸化炭素に分解する方法。
(3)光分解法:紫外線でPCBを構成している塩素を取り外して分解する方法。
(4)プラズマ分解法:アルゴンガス等のプラズマによってPCBを二酸化炭素、塩化水素等に分解する方法。
【0004】
しかしながら、これらの方法は、高温高圧の条件下および/または窒素ガスの存在下で密閉処理をおこなう必要があることから、高温高圧および発生ガスによる腐食に耐える堅牢な反応装置を必要とするばかりではなく、その保守管理に技術と手間を要し、装置の操作に対して高度な処理制御技術が要求される。さらに、これらの方法ではバッチ処理はできても、連続処理に不向きであるがゆえに、実験的に可能な方法としてのみ存在し、実用に供するようなものではなかった。
このため、本願出願人は、実用に供する液体廃棄物処理装置や処理方法を提供していて、この装置や処理方法は、特開2002−136857号公報および特開2003−181279号公報に開示されている。
【0005】
特開2002−136857号公報に開示の「汚染液体処理方法と装置」は、「有害化合物の無害化(例えばPCBの脱塩素化)を常温、常圧の条件下で迅速かつ連続的に行うこと」を目的とし、その解決手段として、「上下に離間配置された2個以上の水平有孔攪拌子を内装した攪拌房室を用意し、有害化合物を含んだ汚染液体と該化合物からの遊離基と結合し得る反応剤との混合溶液を用意し、混合溶液を化合物に導入し、上記の攪拌子を10,000〜18,000rpmの速度で回転駆動し、処理済み混合溶液を攪拌房室から排出する」構成や方法としたものである。
また、特開2003−181279号公報に開示の「液体反応装置」は、「軸受部の過熱を防止できると共に共振の発生をなくし、また、撹拌室の保守や装置の拡張を容易になし得るようにした液体反応装置を提供すること」を目的とし、その解決手段として、「複数段設けた撹拌部材を撹拌室内で高速回転させる液体反応装置において、前記撹拌部材の上下に軸受部を設け、前記撹拌室の上下には軸受過熱防止の冷却装置を設けた」構成としたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−136857号公報
【特許文献2】特開2003−181279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特開2002−136857号公報に開示の装置は、10,000〜18,000rpmの速度で回転駆動する回転軸の下端に複数の小孔付円盤が取り付けられており、しかも回転軸の上端に駆動モーターが連結されており、その中間の位置で回転軸が軸受により支持されていて、ボトムヘビー構造となっている。このため、小孔付円盤が高速回転した場合には、振動や回転軸のブレが生じやすく、運転状態が不安定になる恐れがあり、また、高温(230〜300℃以上)になる汚染液体を無害化処理する攪拌房室の温度が回転軸を通して軸受部に伝わり軸受けボールベアリングが加熱されて破壊される恐れがあった。
このため、特開2003−181279号公報に開示の装置を発明するに至ったが、この装置においては、以下の問題点を有していた。すなわち、
(1)特開2002−136857号公報に開示の装置の問題点である振動を防止し、安定した運転状態を持続させるために、小孔付円盤の回転軸を上部と下部の軸受けで軸支することとしたが、反応室を密閉固定しているため、反応室内の保守や点検が困難である。
(2)反応室の上下に位置する上部軸受部および下部軸受部の冷却を行ったため、上部軸受部および下部軸受部だけでなく反応室内の温度も低下し、その結果、反応室における被処理液の分解反応が鈍くなるばかりでなく、被処理液内の金属ナトリウムが反応室の床面に固まって堆積し、これにより被処理液の連続処理ができなくなる場合があった。
【0008】
そこで、本願発明は、小孔付円盤である回転ディスクが高速で回転した場合であっても、振動や回転軸のブレが生じることがなく、軸受部の温度上昇を防止する一方で反応室内の温度低下を防ぎ、反応室の掃除や保守管理が容易で被処理液の連続処理が可能な液体廃棄物処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本願請求項1に係る液体廃棄物処理装置は、中心部に回転軸冷却通路を有し上部軸受部および下部軸受部に軸支され該下部軸受部よりも下方に延伸する延伸部を有する回転軸と、前記延伸部に固着される複数の貫通孔を有する複数の回転ディスクと、複数の前記回転ディスクおよび前記回転軸の下端部を囲繞して反応室を形成する横断面が略正多角形の壁面、天井面および床面からなる筐体と、前記筐体の壁面全周から前記回転ディスクの外周縁よりも前記回転軸方向に水平に延伸し各該回転ディスク間に設置される複数の邪魔板と、前記筐体の天井面から床面にかけて壁面の隅角部間に該筐体の壁面から前記回転ディスク方向に突設される複数の偏流板と、前記筐体の外壁を囲繞して蒸気貯留室を形成するケーシング部と、からなり、前記回転軸は前記上部軸受部と前記下部軸受部間で駆動装置と連結し、前記上部軸受部は冷却手段を具える上部軸受ハウジングに摺動自在に把持され、前記下部軸受部は冷却手段を具える下部軸受ハウジングに把持され、前記反応室の天井面は冷却手段を具える反応室ラビリンス蓋および前記回転軸に固着される反応室ラビリンスディスクから形成されて、該反応室ラビリンス蓋は該反応室ラビリンスディスクの上面を僅かな間隙を保持することによりラビリンスが形成されて該反応室を密閉空間とするとともに、該反応室の上部壁面には前記蒸気貯留室内に連通し処理済液を該蒸気貯留室内に送出する処理済液送出孔が貫設され、前記反応室の床面には外部と該反応室内とを連通し被処理液および不活性ガスを該反応室内に吸引する被処理液吸引通路および不活性ガス吸引通路が貫設され、
前記蒸気貯留室の天井面および床面には外部と該蒸気貯留室内とを連通し処理済液蒸気および処理済液を外部に排出する処理済液蒸気排出通路および処理済液排出通路が貫設されている、ことを特徴としている。
また、本願請求項2に係る液体廃棄物処理装置は、請求項1に記載の液体廃棄物処理装置であって、前記反応室の床を形成する反応室床板は壁を形成する反応室壁板に対して着脱自在に固着され、複数の前記回転ディスクおよび前記反応室ラビリンスディスクは前記回転軸に焼ばめされて固着され、前記偏流板は水平方向に複数に分割されるとともに分割された同一レベルに位置する該偏流板は互いに偏流板連結板に連結されて一体となった偏流板ユニットが形成されて前記反応室の壁面に着脱自在に密着し、前記邪魔板は2つ以上に分割されて該偏流板ユニット間に挟持され、前記ケーシング部は前記筐体に対して着脱自在に固着されている、ことを特徴としている。
そして、本願請求項3に係る液体廃棄物処理装置は、請求項1または請求項2に記載の液体廃棄物処理装置であって、前記反応室の壁面の横断面形状は略正八角形である、ことを特徴としている。
さらに、本願請求項4に係る液体廃棄物処理装置は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の液体廃棄物処理装置であって、前記回転軸の回転軸冷却通路は上部が開放された有底の外管および内部に位置する上下が開放された内管からなり、該内管に冷却水を注入する冷却水注入口は該内管よりも細径であって該回転軸冷却通路の上端よりも高い位置に固定されて保持され、該内管に注入された冷却水は該内管を下降した後、該内管および該外管の間隙を上昇して排出される、ことを特徴としている。
また、本願請求項5に係る液体廃棄物処理装置は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の液体廃棄物処理装置であって、前記反応室ラビリンス蓋は上下二層からなり、下層には空気が流通する空気流通通路が埋設され上層には冷却水が流通する冷却水流通通路が埋設され、前記上部軸受ハウジングおよび前記下部軸受ハウジングのそれぞれの壁内には冷却水が流通する上部軸受冷却水流通通路および下部軸受冷却水流通通路が埋設されるとともに、該上部軸受ハウジングおよび該下部軸受ハウジング内の前記回転軸を軸支するボールベアリングにオイルを霧状に噴霧するオイルミスト送出通路が埋設されている、ことを特徴としている。
そして、本願請求項6に係る液体廃棄物処理装置は、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の液体廃棄物処理装置であって、前記回転ディスクの貫通孔は同心円上に等間隔に穿設され、該同心円を回転軸に近いほうから順に第1の同心円、・・・、第nの同心円(ただしnは1以上の自然数)としたときに、第1の同心円、・・・、第mの同心円(ただしmは奇数の自然数、かつm≦n)上の貫通孔の位置は該回転ディスクの中心から同一放射方向上にあり、第2の同心円、・・・、第(m−1)の同心円上の貫通孔の位置は該回転ディスクの中心から見て該第1の同心円、・・・、第mの同心円上の隣接する貫通孔の位置を2等分する位置であって、貫通孔の径は同一の同心円上では同一であり該回転ディスクの外側に行く程大きくなっていて、隣接する円盤貫通孔の周縁間距離は略同一になるように形成されている、ことを特徴としている。
さらに、本願請求項7に係る液体廃棄物処理装置は、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の液体廃棄物処理装置であって、前記回転ディスクの貫通孔は該回転ディスクの表面の径よりも内部が細径となっている、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本願発明は、上記構成により以下の効果を奏する。
(1)本願発明に係る液体廃棄物処理装置は、回転軸と、該回転軸に固着される複数の貫通孔を有する複数の回転ディスクと、該回転ディスクを囲繞して反応室を形成する筐体と、該回転ディスク間に設置される固定された邪魔板と、筐体の壁面から突設される偏流板と、から構成されているため、回転軸を10,000〜18,000rpmの高速で回転させている状態で、反応室内に金属ナトリウムを混合したPCBを含む被処理液を吸引させることにより被処理液を無害化することができる。なお、この無害化処理の過程については後述する。
(2)回転軸の中心部には上下方向に冷却通路を有し、反応室の天井面は冷却手段を具える反応室ラビリンス蓋を具え、上部軸受部および下部軸受部もまた冷却手段を具える上部軸受ハウジングおよび下部軸受ハウジングに把持されているので、反応室内の高温が回転軸を通して軸受部に伝わり軸受けボールベアリングが加熱されて破壊されることを防止することができる。なお、回転軸の冷却通路を二重構造として、冷却水注入口を冷却通路の上端よりも高い位置に保持することにより、回転軸の回転に伴って高速回転する冷却通路であっても効率よく冷却水を循環させることができる。
(3)上部軸受部が上部軸受ハウジングに摺動自在に把持されているため、温度変化による回転軸の長さの伸縮を上部軸受ハウジングで吸収することができる。
(4)反応室を形成する筐体の外壁が蒸気貯留室で囲繞され、反応室の天井面を形成する反応室ラビリンス蓋は下層に空気が流通する空気流通通路が埋設されているので、蒸気貯留室および反応室ラビリンス蓋の保温効果により反応室内の温度低下を防止でき、反応室における被処理液の無害化反応が効率よく速やかに行われる。
(5)上部軸受部と下部軸受部の軸支間で回転軸が駆動装置と連結しているため、高速回転に伴う回転軸のブレが生じ難くなる。さらに、回転軸の延伸部の長さを上部軸受部および下部軸受部の軸支間距離の略1/2以下とすることにより、回転軸のブレは一層生じ難くなる。
(6)反応室の床板は壁板に対して着脱自在であり、偏流板は偏流板ユニットとしてユニット化されて反応室の壁面に着脱自在に密着し、邪魔板は2つ以上に分割されて偏流板ユニット間に挟持され、ケーシング部は筐体に対して着脱自在に固着されているため、反応室や蒸気貯留室の飽和蒸気室の掃除等を容易に行うことができる。また、回転ディスクの貫通孔の径を回転ディスクの表面よりも内部を細径とした場合には、貫通孔壁の表面積を大きくし、かつ、貫通孔壁が斜面となることから、貫通孔壁に被処理液の残渣が固まり難くなる。
(7)反応室を形成する壁面を略正多角形としているため、着脱自在に設置される邪魔板の回転ディスクの回転に伴う供回りを防止することができる。特に、反応室を形成する壁面を正八角形とした場合には、反応室内における被処理液の滞留もなく、無駄なく無害化反応を進めることができる。
(8)回転ディスクの貫通孔は、回転ディスクに対してバランス良く配置され、隣接する円盤貫通孔の周縁間距離は略同一になるように形成されているため、回転ディスクを高速回転させても局部的な応力集中が生せず、回転ディスクの破断を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、実施例に係る液体廃棄物処理装置の主要部縦断面図である。
【図2】図2は、図1のII部分拡大図である。
【図3】図3は、図2のlII−III矢視断面図である。
【図4】図4は、図2のIV−IV矢視断面図である。
【図5】図5は、液体廃棄物処理装置のプロトタイプで行った実証実験の被処理液(A)と処理済液(B)のガスクロマトグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本願発明を実施するための最良の形態に係る実施例について、図1ないし図5に基づいて説明する。なお、図2および図3において、回転ディスクの回転方向は右回りである。
また、図1ないし図4において、符号1は実施例に係る液体廃棄物処理装置、符号11は上部軸受ハウジング部、符号13は上部軸受部、符号15は下部軸受ハウジング部、符号17は下部軸受部、符号21は上部蓋、符号23は上部ラビリンスディスク、符号31は回転軸、符号33は回転軸冷却通路、符号331は外管、符号333は内管、符号35は回転ディスク、符号351は貫通孔、符号37は反応室ラビリンスディスク、符号41は反応室、符号43は反応室ラビリンス蓋、符号431は空気流通通路、符号433は冷却水流通通路、符号45は反応室壁板、符号47は反応室床板、符号471は被処理液吸引通路、符号473は不活性ガス吸引通路、符号49は邪魔板、符号51は偏流板、符号53は偏流板連結板、符号55はリブ、符号57はリング堰、符号61は蒸気貯留室、符号63は蒸気貯留室壁板、符号65は蒸気貯留室床板、符号67は処理済液送出孔、符号69は上部処理済液排出通路、符号71は下部処理済液排出通路、符号73は冷却水注入口、符号75は駆動装置、である。
【0013】
〔液体廃棄物処理装置の構成〕
液体廃棄物処理装置1は、主に、回転軸31と、上方に位置し回転軸31を回動自在に軸支する上部軸受部13と、上部軸受部13の下方に位置し回転軸31を回動自在に軸支する下部軸受部17と、下部軸受部17から下方に延伸する回転軸31の延伸部を囲繞する反応室41を形成する筐体と、該筐体の外壁周りを囲繞する蒸気貯留室61と、回転軸31を駆動する駆動装置75および駆動装置75の駆動力を伝達する図示外の駆動伝達部と、から構成されている。
【0014】
回転軸31は前述したように、上部軸受部13および下部軸受部17に回動自在に軸支されていて、その下部は下部軸受部17よりも下方に延伸し、延伸部分の長さは軸支間距離の略1/2以下となっている。そして、回転軸31の中心部には上端部が開放され下端部が閉鎖された穴が穿設されていて外管331が形成され、さらに外管331の中心部には上下端部が開放された内管333が外管331の下端部近傍まで挿入されていて、外管331および内管333により回転体冷却通路33が形成されている。すなわち、回転体冷却通路33は外管331および内管333の二重管構造になっている。
【0015】
略円筒状の上部軸受部13は回転軸31を軸支する複数のボールベアリングを具え、その外側を囲繞する円筒状の上部軸受ハウジング部11に摺動自在に把持されていて、上部軸受ハウジング部11に脱着自在に嵌着される上部蓋21により上部軸受部13の逸脱が防止されるようになっている。そして、上部軸受ハウジング部11の壁内には冷却水が流通する図示外の上部軸受冷却水流通通路およびボールベアリングにオイルを霧状にして噴霧する図示外のオイルミスト送出通路が埋設されている。なお、上部蓋21の頂部は、回転軸31に固着される上部ラビリンスディスク23に被包されていて、上部蓋21および上部ラビリンスディスク23との僅かな間隙を保持することによりラビリンスが形成され、上部軸受部13を気密空間としている。
略円筒状の下部軸受部17も上部軸受部13と同様であって、複数のボールベアリングを具え、その外側を囲繞する円筒状の下部軸受ハウジング部15に把持されていて、下部軸受ハウジング部15の壁内には冷却水が流通する図示外の下部軸受冷却水流通通路およびボールベアリングにオイルを霧状にして噴霧する図示外のオイルミスト送出通路が埋設されている。
【0016】
また、回転軸31の上部軸受部13および下部軸受部17間には図示外の駆動伝達部が介装されていて、この駆動伝達部を介して液体廃棄物処理装置1に並設される駆動装置75の駆動が回転軸31に伝達され回転軸31が回転するようになっている。
【0017】
反応室41を形成する筐体は、下部軸受ハウジング部15の下部に位置し、横断面が正八角形の壁面を有する反応室壁板45と、反応室壁板45に着脱自在に嵌着し中央部分が円形に凹設された床面を有する反応室床板47と、反応室壁板45に嵌着し天井面を形成する反応室ラビリンス蓋43と、から構成されている。
そして、反応室壁板45および反応室ラビリンス蓋43の取り合い部分には後述する蒸気貯留室61に連通する4つの処理済液送出孔67が貫設されている。また、反応室床板47の円形の凹設部の周囲にはリング状のリング堰57が立設されるとともに、リング堰57から放射状、かつ、床面上に4つのリブ55が立設されている。そして、凹設部の中央底部には外部に通じる貫通孔が貫設されていて、円形の凹設部および回転軸の下端部の間隙部分とこの貫通孔により被処理液吸引通路471が形成されるとともに、反応室床板47内部には不活性ガス吸引通路473が埋設されていて、その先端はそれぞれ円形の凹設部および後述する蒸気貯留室61に連通している。さらに、反応室ラビリンス蓋43は上下二層から構成されていて、下層には空気が流通する空気流通通路431が埋設され上層には冷却水が流通する冷却水流通通路433が埋設されている。上層の冷却水流通通路433は、下部軸受部17が反応室41の上部に接する位置にあることから高温となる反応室41への熱伝導を防ぎ、下部の空気流通通路431は、反応室41の保温効果を高めるためのものである。
【0018】
また、反応室41には、反応室41の壁面に当接し後述する回転ディスク35の外周縁よりも回転軸31側に水平方向に延伸し回転ディスク35間に設置される4つの平板状の邪魔板49が設置され、反応室41の壁面の隅角部間には上下方向に渡って回転ディスク35に突設される8つの偏流板51が設置されている。
【0019】
邪魔板49は中心部に円形の孔が開いた正八角形の板であって、2つに略等分割されていて、その円形の孔は回転ディスク35の外周側に位置する貫通孔351近傍まで延伸している。なお、邪魔板49の分割は2以上であれば良く、等分割でなくとも良い。また、偏流板51は平面形状が反応室41の壁面に接する長辺を底辺とする略台形であって、底辺を下側として見たときに左辺は底辺に対して略直角であり、右辺は斜辺となっている。そして、この斜辺を回転ディスク35の回転に伴う被処理液の回転流に対面する側としている。そして、8つの偏流板51は水平方向に5つに分割され、分割されたそれぞれ8つの偏流板51は8つの偏流板連結板53で連結されて一体となってそれぞれ偏流板ユニットが形成される。この一体となった偏流板ユニットの平面から見た形状は正八角形であって、この大きさは反応室41の壁面および邪魔板49に一致する。そして、反応室41内の4つの邪魔板49および5つの偏流板ユニットは、相互に積み重ねて設置するようになっている。
【0020】
回転軸31の延伸部分、すなわち反応室41内に位置する回転軸31には、4枚の回転ディスク35が等間隔に回転軸31に固着され、さらに4枚の回転ディスク35の上部には反応室ラビリンスディスク37が回転軸31に固着されている。
【0021】
反応室ラビリンスディスク37は反応室ラビリンス蓋43の直下に位置していて、反応室ラビリンス蓋43の下面が反応室ラビリンスディスク37の上面に対して僅かな間隙を保持することによりラビリンスが形成され、開口している処理済液送出孔67を除き反応室41内を気密空間としている。
【0022】
回転ディスク35は、中心部に回転軸31が挿通される挿通孔を有する円盤であって、挿通孔が穿設される部分は外周部分よりも肉厚が厚くなっていて、肉厚の薄い部分に複数個の貫通孔351が貫設されている。
この回転ディスク35には3つの同心円上に等間隔に貫通孔351が貫設されていて、3つの同心円を回転軸31に近いほうから順に第1の同心円、第2の同心円、第3の同心円としたときに、第1の同心円、第2の同心円、第3の同心円上にはそれぞれ12個の貫通孔351が貫設されている。このうち第1の同心円および第3の同心円上に貫設された貫通孔351の位置は回転ディスク35の中心から同一放射方向上にあり、第2の同心円上に貫設された貫通孔351の位置は回転ディスク35の中心から見て第1の同心円および第3の同心円上の隣接する貫通孔351、351の位置を2等分する位置であり、貫通孔351の径は同一同心円上では同一であるものの、回転ディスク35の外側に行く程大きくなっていて、隣接する貫通孔351、351の周縁間距離は略同一になるように形成されている。
そして、貫通孔351の形状は平面から見て円形であるが、断面から見ると図2に示すように回転ディスク35の表面における径よりも内部が細径となっていて中間部分がくびれたようになっている。
【0023】
4枚の回転ディスク35は、回転軸31に挿入されて肉厚の厚い部分が互いに当接して積み重ねられるが、この際、回転ディスク35の各々の貫通孔351は平面から見て同一位置になるようにしている。また、4枚の回転ディスク35および反応室ラビリンスディスク37は回転軸31に焼きばめされて強固に固着された後、予め回転軸31に対してバランス調整されて回転軸31がスムーズに回転できるようになっている。
【0024】
蒸気貯留室61を形成するケーシング部は、縦断面から見て、反応室壁板45の外側をコの字状に囲繞していて、反応室41を形成する筐体に対して蒸気貯留室壁板63および蒸気貯留室床板65が着脱自在に固着されている。そして、蒸気貯留室61の天井部分には蒸気となった処理済液を排出する上部処理済液排出通路69が連通し、蒸気貯留室床板65には液体状の処理済液を排出する下部処理済液排出通路71が連通している。
【0025】
〔液体廃棄物処理装置の作用〕
つぎに、液体廃棄物処理装置1の作用について、被処理液の液体廃棄物処理装置1への吸引から処理済液の排出まで順を追って説明する。
【0026】
〔被処理液の反応室への吸引〕
PCBを含む液体廃棄物は、PCB濃度が略10wt%となるように灯油を加え、その後さらに金属ナトリウムをPCB中の塩素と同当量分加える。その後、この混合液(以下、「被処理液」という。)は、被処理液吸引通路471に連通する図示外の被処理液送出通路を通って反応室41内に吸引される。
被処理液送出通路には図示外のポンプが介設されているが、このポンプは被処理液を反応室41に圧送するためのものではなく、回転ディスク35が10,000〜18,000rpmの高速回転することにより反応室41内が負圧になり、この負圧の吸引力に抗して適量の混合液を反応室41内に送り込む役割を担うものである。
【0027】
〔反応室の作用〕
被処理液吸引通路471の先端部は、反応室床板47の円形の凹設部および回転軸の下端部の間隙部分に連通しているため、被処理液吸引通路471を通った被処理液は反応室41内に吸引されて、瞬時に10,000〜18,000rpmの高速で右回転する回転ディスク35により、右回転流となって反応室床板47上に突設される複数のリブ55に突き当たり、液体廃棄物、灯油および金属ナトリウムが均一に斑なく混合され高速回転する回転ディスク35に接触するとともに、回転ディスク35に貫設された貫通孔351にも入り込む。
なお、リング堰57により反応室41内に吸引された被処理液は堰き止められて局部的な対流を生じることはない。また、回転ディスク35の回転方向は特に限定されるものではないことは勿論である。さらに、金属ナトリウムが水分と反応して水素が発生しこれに着火することを防止するために、被処理液吸引通路471には不活性ガス吸引通路473が開口し、被処理液に不活性ガスが混入されるようになっている。
【0028】
被処理液は、高速回転する回転ディスク35による遠心力により、反応室41の壁面に沿って上昇しようとするが、邪魔板49により行く手を遮られるとともに、回転ディスク35による被処理液の回転流もまた、偏流板51によりその回転流は乱されて高速回転する回転ディスク35上に流れ込む。回転ディスク35上に流れ込んだ被処理液は、静止状態の偏流板51と高速回転する回転ディスク35との間に挟まれるとともに回転ディスク35に貫設された貫通孔351にも入り込んで、一般式がC12Cl(10−n)(0≦n≦9)で表されるPCBの塩素原子が分離され、被処理液中の金属ナトリウムと結合してNaClが生成されて無害化される。
【0029】
この反応室62内で生ずる被処理液の無害化反応のメカニズムは、まだ十分に解明されていない部分もあるが、おそらく以下の理由に拠るものと考えられる。
すなわち、反応室41内の被処理液は、前述したように、高速回転する複数の回転ディスク35と静止している邪魔板49により、被処理液には圧縮、引張さらには剪断の外力が作用して、高温になるとともに、貫通孔351内では回転ディスク35の20,000〜40,000Gもの加速度による超高圧を受けて、液体を維持することができなくなり気泡が発生する。すなわち、貫通孔351内ではキャビテーションが発生することになる。そして、キャビテーションにより発生した気泡は常圧下の貫通孔351外で崩壊するが、気泡の崩壊時には、超臨界・超高温・超高圧の局所場が形成され、PCB中の水素分子が分離されて水素原子となり、さらに塩素原子も分離される。そして、分離された塩素原子が金属ナトリウムと結合して、塩化ナトリウム分子(NaCl)が生成され、PCBが無害化される。
【0030】
上述した反応室41内におけるPCBの無害化反応は、反応室41を略230℃の高温に保つことにより促進される。このため、反応室41内の温度低下を防止するべく、反応室41を形成する筐体の外壁を蒸気貯留室61で囲繞するとともに、反応室41の天井面を形成する反応室ラビリンス蓋43を二層構造として下層に空気が流通する空気流通通路431を埋設し所定温度の空気を流通させることとしている。
【0031】
そして、反応室41の上部は、反応室ラビリンス蓋43および反応室ラビリンスディス37により密封された状態にあるため、無害化された処理済液は、次々に反応室41内に吸引される被処理液に押し出されるようにして、処理済液送出孔67を通って、蒸気貯留室61内に送出される。
【0032】
〔蒸気貯留室の作用〕
蒸気貯留室61内に送出された処理済液には、蒸気が含まれているが、この蒸気は臨界を超えているため、PCBの無害化反応が完全に行われず、未処理のPCBが含まれる。このため、蒸気貯留室61内に送出された液体の処理済液は、下部処理済液排出通路71を通って図示外の処理済液貯留タンクに送られる一方、蒸気貯留室61内の蒸気は、上部処理済液排出通路69から冷却装置に送られ、そこで冷却されて、液体廃棄物に混入する灯油として再利用される。
【0033】
〔回転軸等の冷却〕
回転軸31が高速回転すると、回転軸31を軸支する上部軸受部13および下部軸受部17は高温となるが、高温になると上部軸受部13および下部軸受部17が把持するボールベアリングが破断する恐れが生ずる。このため、上部軸受けハウジング部12の壁内には、冷却媒体である冷却水を流通させる図示外の上部軸受冷却水流通通路が埋設されるとともにボールベアリングにオイルを霧状に噴霧して冷却する図示外のオイルミスト送出通路が埋設されている。また、下部軸受けハウジング部15についても上部軸受けハウジング部12と同様にその壁内には、図示外の下部軸受冷却水流通通路およびオイルミスト送出通路が埋設されている。
また、回転軸31の中心部には上部が開放された外管331および内管333からなる二重管の回転軸冷却通路33が設置されていて、内管333に冷却水注入口73から冷却水を流下させるようになっている。この冷却水注入口73は内管333よりも細径であって回転軸冷却通路33の上端よりも高い位置に固定されて保持され、内管333に注入された冷却水は内管333を下降した後、暖められて内管333および外管331の間隙を上昇して回転軸冷却通路33の先端からオーバーフローして排出される。ところで、温度変化により回転軸31の長さは伸縮するが、上部軸受部13が上部軸受ハウジング部11に摺動自在に把持されているため、伸縮による回転軸31の長さ変化を吸収することができる。
【0034】
〔反応室および蒸気貯留室の保守〕
被処理液の無害化処理過程で生成される食塩(NaCl)等の残渣が反応室41内や蒸気貯留室61内で固まることがあるため、適当な間隔で反応室41内や蒸気貯留室61内の掃除等の保守をする必要が生じる。
反応室41については、反応室床板47が反応室壁板45に対して着脱自在に固着されていて取り外すことができ、偏流板51が偏流板連結板53で連結されて一体となって偏流板ユニットおよび2つに分割された邪魔板49が相互に積み重ねて設置されているので、反応室床板47を取り外した後に、偏流板51、偏流板連結板53および邪魔板49を取り外すことができるため、これらの掃除等は簡単にできる。また、回転ディスク35の各々の貫通孔351は平面から見て同一位置になるようにしているため、貫通孔351の壁面に付着した残渣も簡単に掻き落とすことができる。なお、貫通孔351の形状が断面から見て中間部分がくびれたようになっているため、貫通孔351の壁面は斜面となって残渣が付着し難い。
蒸気貯留室61については、蒸気貯留室壁板63および蒸気貯留室床板65が反応室41を形成する筐体に対して着脱自在に固着されているため、取り外すことができ、蒸気貯留室61内部を容易に掃除することができる。
【0035】
〔実証実験〕
つぎに、試作の液体廃棄物処理装置で平成16年7月12日に行った実証実験について説明する。
実証実験で使用した液体廃棄物処理装置の仕様は以下の通りである。
回転ディスク直径:320mm
回転ディスクの厚さ:8mm
貫通孔直径:15mmφ〜25mmφ
貫通孔数:36個
回転ディスク面積に対する貫通孔面積比:15%
貫通孔位置:15°
回転ディスク段数:4段
貫通孔間隔:12方向放射状
反応室容量:0.020m
回転ディスクの回転速度:12,000rpm
反応室内の温度:230℃
【0036】
被処理液のPCBが10wt%濃度となるようにPCBの原液を灯油で希釈して40リットルとし、さらに、PCB中の塩素と同当量の金属ナトリウムを投入した。なお、上記の混合液40リットル中の塩素は5.6kgであるので、金属ナトリウムは1.52kgとなる。
この被処理液を上記液体廃棄物処理装置に1分間当たり5リットルのペースで投入し処理した。したがって、1回あたりの全被処理液の処理時間は8分となる。そして、繰り返しこの液体廃棄物処理装置に投入して処理し、各回毎にサンプルを採取した。ここで、未処理の被処理液のサンプルをNo.0とし、1回目に液体廃棄物処理装置で処理した被処理液のサンプルをNo.1とし、以下順に、No.2、No.3、・・・No.9、No.10とした。
【0037】
上記のサンプルを株式会社ニチユ・テクノ(作業環境測定機関登録番号14−59、報告年月日:平成16年7月13日)で分析した結果を〔表1〕に示し、分析・試験報告書の一部を図5に示す。なお、分析方法はGC−ECDに拠り、定量下限値は0.5ppmである。
【0038】
【表1】

【0039】
表1から明らかなように、試作の液体廃棄物処理装置で行った実証実験では、回数を追って被処理液中のPCBが減少し、No.10では、0.5ppmの定量下限値以下となっている。
プロトタイプの液体廃棄物処理装置ではPCBを未検出とするために10回の処理を要したが、本願発明に係る液体廃棄物処理装置1では、未反応のPCBが含まれる蒸気とPCBが分解されて無害となった処理済液とを分別して回収するとともに、反応室41内を装置の稼動開始時から230℃の高温としておくことが可能となったため、PCBを未検出とするために要する処理回数は数分の1になるものと考えられる。
なお、実証実験で使用した試作の液体廃棄物処理装置は、平成13年6月18日に難分解性有機化合物処理技術検討・評価委員会の認定を受けていて、その認定番号は「13環技第21号」となっている。
【符号の説明】
【0040】
1 実施例に係る液体廃棄物処理装置
11 上部軸受ハウジング部
13 上部軸受部
15 下部軸受ハウジング部
17 下部軸受部
31 回転軸
33 回転軸冷却通路
331 外管
333 内管
35 回転ディスク
351 貫通孔
37 反応室ラビリンスディスク
41 反応室
43 反応室ラビリンス蓋
431 空気流通通路
433 冷却水流通通路
45 反応室壁板
47 反応室床板
471 被処理液吸引通路
473 不活性ガス吸引通路
49 邪魔板
51 偏流板
53 偏流板連結板
61 蒸気貯留室
67 処理済液送出孔
69 上部処理済液排出通路
71 下部処理済液排出通路
73 冷却水注入口
75 駆動装置
77 駆動伝達部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心部に回転軸冷却通路を有し上部軸受部および下部軸受部に軸支され該下部軸受部よりも下方に延伸する延伸部を有する回転軸と、
前記延伸部に固着される複数の貫通孔を有する複数の回転ディスクと、
複数の前記回転ディスクおよび前記回転軸の下端部を囲繞して反応室を形成する横断面が略正多角形の壁面、天井面および床面からなる筐体と、
前記筐体の壁面全周から前記回転ディスクの外周縁よりも前記回転軸方向に水平に延伸し各該回転ディスク間に設置される複数の邪魔板と、
前記筐体の天井面から床面にかけて壁面の隅角部間に該筐体の壁面から前記回転ディスク方向に突設される複数の偏流板と、
前記筐体の外壁を囲繞して蒸気貯留室を形成するケーシング部と、からなり、
前記回転軸は前記上部軸受部と前記下部軸受部間で駆動装置と連結し、
前記上部軸受部は冷却手段を具える上部軸受ハウジングに摺動自在に把持され、前記下部軸受部は冷却手段を具える下部軸受ハウジングに把持され、
前記反応室の天井面は冷却手段を具える反応室ラビリンス蓋および前記回転軸に固着される反応室ラビリンスディスクから形成されて、該反応室ラビリンス蓋は該反応室ラビリンスディスクの上面を僅かな間隙を保持することによりラビリンスが形成されて該反応室を密閉空間とするとともに、該反応室の上部壁面には前記蒸気貯留室内に連通し処理済液を該蒸気貯留室内に送出する処理済液送出孔が貫設され、
前記反応室の床面には外部と該反応室内とを連通し被処理液および不活性ガスを該反応室内に吸引する被処理液吸引通路および不活性ガス吸引通路が貫設され、
前記蒸気貯留室の天井面および床面には外部と該蒸気貯留室内とを連通し処理済液蒸気および処理済液を外部に排出する処理済液蒸気排出通路および処理済液排出通路が貫設されている、ことを特徴とする液体廃棄物処理装置。
【請求項2】
前記反応室の床を形成する反応室床板は壁を形成する反応室壁板に対して着脱自在に固着され、複数の前記回転ディスクおよび前記反応室ラビリンスディスクは前記回転軸に焼ばめされて固着され、前記偏流板は水平方向に複数に分割されるとともに分割された同一レベルに位置する該偏流板は互いに偏流板連結板に連結されて一体となった偏流板ユニットが形成されて前記反応室の壁面に着脱自在に密着し、前記邪魔板は2つ以上に分割されて該偏流板ユニット間に挟持され、前記ケーシング部は前記筐体に対して着脱自在に固着されている、ことを特徴とする請求項1に記載の液体廃棄物処理装置。
【請求項3】
前記反応室の壁面の横断面形状は略正八角形である、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液体廃棄物処理装置。
【請求項4】
前記回転軸の回転軸冷却通路は上部が開放された有底の外管および内部に位置する上下が開放された内管からなり、該内管に冷却水を注入する冷却水注入口は該内管よりも細径であって該回転軸冷却通路の上端よりも高い位置に固定されて保持され、該内管に注入された冷却水は該内管を下降した後、該内管および該外管の間隙を上昇して排出される、ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の液体廃棄物処理装置。
【請求項5】
前記反応室ラビリンス蓋は上下二層からなり、下層には空気が流通する空気流通通路が埋設され上層には冷却水が流通する冷却水流通通路が埋設され、
前記上部軸受ハウジングおよび前記下部軸受ハウジングのそれぞれの壁内には冷却水が流通する上部軸受冷却水流通通路および下部軸受冷却水流通通路が埋設されるとともに、該上部軸受ハウジングおよび該下部軸受ハウジング内の前記回転軸を軸支するボールベアリングにオイルを霧状に噴霧するオイルミスト送出通路が埋設されている、ことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の液体廃棄物処理装置。
【請求項6】
前記回転ディスクの貫通孔は同心円上に等間隔に穿設され、該同心円を回転軸に近いほうから順に第1の同心円、・・・、第nの同心円(ただしnは1以上の自然数)としたときに、第1の同心円、・・・、第mの同心円(ただしmは奇数の自然数、かつm≦n)上の貫通孔の位置は該回転ディスクの中心から同一放射方向上にあり、第2の同心円、・・・、第(m−1)の同心円上の貫通孔の位置は該回転ディスクの中心から見て該第1の同心円、・・・、第mの同心円上の隣接する貫通孔の位置を2等分する位置であって、貫通孔の径は同一の同心円上では同一であり該回転ディスクの外側に行く程大きくなっていて、隣接する円盤貫通孔の周縁間距離は略同一になるように形成されている、ことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の液体廃棄物処理装置。
【請求項7】
前記回転ディスクの貫通孔は該回転ディスクの表面の径よりも内部が細径となっている、ことを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の液体廃棄物処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−81897(P2013−81897A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223440(P2011−223440)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(596133588)
【Fターム(参考)】