説明

液体式マッサージ装置

【課題】噴射ノズルの開口面積を変更して、刺激感を大きく変更する。
【解決手段】ドラム36A内に設けた回転体52Aが、ドラム36Aの頂壁部材51Aに対して所定角度範囲だけ相対回転可能で、かつ噴射用液体の圧力を受けた時に頂壁部材51Aに圧着される。頂壁部材51Aに第1開口部61Aが形成され、回転体52Aに互いに開口面積の異なる複数の第2開口部62A、63Aが形成される。回転体52Aに対して頂壁部材51Aを相対回転させて、第1開口部61Aに対して整合される第2開口部62A、63Aの変更(噴射ノズル12Aの開口面積の変更)が行われる。前記相対回転可能な状態であっても、例えば回転体52Aに設けた永久磁石70Aと本体ハウジング1に設けた磁性部材76Aとの間の吸引力によって、回転体52Aの停止状態が確保される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体式マッサージ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人体に対するマッサージを行うマッサージ装置の中には、噴射ノズルから噴射される液体つまり噴射液体を利用したものがある。この種の液体式マッサージ装置としては、本体ハウジングの上方開口が支持シートによって施蓋されて、該本体ハウジング内に配設された噴射ノズルから噴射用液体を支持シートの下面に向けて噴射することにより、該支持シート上に横たわる使用者(患者と呼ばれることもある)に対して刺激を与えるものとなっている。
【0003】
上記液体式マッサージ装置にあっては、使用者への刺激部位に応じて多くの噴射ノズルを固定配置したものがある。また、特許文献1に示すように、上下方向軸線回りに回転される一対の回転体に対してオフセットさせた位置でもってそれぞれ噴射ノズル(噴射用開口)を設けると共に、一対の回転体を支持シートの長手方向に移動可能として、少ない数の噴射ノズルによって広範囲に渡って刺激を与えることのできるようにしたものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−180981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、使用者によっては、噴射用液体から受ける刺激の好みに相違がある。このため、従来の液体式マッサージ装置にあっては、噴射用液体の噴射圧力変更や噴射量変更によって刺激感を変更しているというのが実情であるが、刺激感を大きく変更させるには限界がある。
【0006】
本発明は、以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、刺激感を大きく変更できるようにした液体式マッサージ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明にあっては次のような解決手法を採択してある。すなわち、特許請求の範囲における請求項1に記載のように、
本体ハウジングの所定面に使用者を支承するマッサージ面が構成され、前記本体ハウジング内に配設された噴射ノズルから前記マッサージ面に向けて噴射用液体を噴射するようにした液体式マッサージ装置において、
前記本体ハウジング内に、内部に噴射用液体が供給されると共に所定の回転軸線を中心にして回転駆動されるドラムが配設され、
前記ドラムに、前記回転軸線を中心にして前記ドラムに対して所定角度範囲だけ相対回転可能とされると共に、前記ドラム内に供給される噴射用液体の圧力を受けたときに前記ドラムに圧着されて前記ドラムと一体回転される回転体が配設され、
前記ドラムと前記回転体とのいずれか一方の部材に、前記回転軸線と偏心した位置において第1開口部が形成され、
前記ドラムと前記回転体との他方の部材に、前記回転軸線と偏心した位置において、それぞれ前記第1開口部と整合されたときに前記第1開口部と共働して前記ドラム内に供給された噴射用液体を噴射する前記噴射ノズルを構成するための第2開口部が前記回転軸線の周方向に間隔をあけて複数形成され、
前記回転体の前記ドラムに対する相対回転位置の変更によって、前記複数の第2開口部のうち任意の1つのみが前記第1開口部に整合され、
前記複数の第2開口部の有効開口面積が互いに相違されて、前記第1開口部と整合される前記第2開口部を変更することによって、前記噴射ノズルの有効開口面積が変更され、
永久磁石と前記永久磁石の磁力によって吸着作用を受ける磁性部材との一方が前記回転体に取付けられる共に、他方が回転しない非回転部材に固定され、
前記ドラム内に噴射用液体を供給しない状態において前記ドラムを回転させたときに、前記所定角度範囲内では、前記永久磁石と前記磁性部材との間での吸着力によって前記回転体を回転停止させた状態をとり得るようにされている、
ようにしてある。
【0008】
上記解決手法によれば、噴射用液体を供給しない状態でドラムを回転させる(正転あるいは逆転させる)と、回転体は慣性によってその場にとどまろうとするため、ドラムに対する回転体の相対回転位置が変更されて、噴射ノズルの開口面積が変更されることになる。そして、噴射ノズルの開口面積の相違が、刺激感として大きく相違されることになる。すなわち、噴射ノズルの先端の直径は、一般的に11mm〜15mmの範囲でもって選択されているが、直径の小さい(開口面積の小さい)噴射ノズルを用いた場合は突き刺すような感覚(鋭い刺激感)を与えることになり、直径の大きい(開口面積の大きい)噴射ノズルを用いた場合はずっしりとした感覚(重みのある刺激感)を与えることになる。このように、噴射ノズルの開口面積を変更可能とすることにより、刺激感を大きく変更することが可能になる。勿論、この噴射ノズルの開口面積の変更と共に、従来から行われている噴射圧力の変更等を組み合わせることによって、さらにきめこまかく刺激感を変更することが可能になる。また、噴射ノズルの開口面積変更のために、噴射用液体を供給しない状態でドラムを回転させたときに、回転体がドラムに連れ回ってしまう事態が考えられるが(ドラムに対する回転体の相対回転位置の変更が不能になる状態の発生)、少なくとも連れ回りに伴って永久磁石と磁性部材との間で吸引力が作用する回転位置にまで回転体が位置された後は、この連れ回りが確実に防止されて、ドラムに対する回転体の相対回転位置を確実に変更することができ、噴射ノズルの開口面積を確実に所望の大きさに変更することができる。さらに、上記連れ回り防止を、永久磁石と磁性部材との吸引力を利用するという簡単な構造でもって得ることができる。
【0009】
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、特許請求の範囲における請求項2以下に記載のとおりである。すなわち、
前記第2開口部が2つとされ、
前記回転体が前記ドラムに対して一方側の相対回転端位置とされたときに前記第1開口部に対して前記第2開口部の一方が整合されると共に、他方側の相対回転端位置とされたときに前記第1開口部に対して前記第2開口部の他方が整合される、
ようにしてある(請求項2対応)。この場合、噴射ノズルの開口面積を2種類としつつ、回転体のドラムに対する各相対回転端位置が開口面積の選択位置とされるので、所望の開口面積(の選択)を確実に得る上で好ましいものとなる。
【0010】
前記第1開口部と前記第2開口部とのうち前記ドラムに形成される開口部が、前記ドラムの先端頂壁部に形成され、
前記ドラムの前記先端頂壁部の内面が平板状に形成され、
前記回転体が、板状とされて前記ドラム内に配設され、
前記ドラム内に噴射用液体が供給されたとき、前記回転体が前記ドラムの先端頂壁部内面に圧着される、
ようにしてある(請求項3対応)。この場合、回転体をドラム内の空間を有効に利用して配設しつつ、ドラムと回転体とを大きな面積でもって圧着できるようにして、選択された後の噴射ノズルの開口面積を確実に維持し続ける上で好ましいものとなる。
【0011】
前記噴射ノズルが、前記マッサージ面に沿って移動可能とされ、
前記非回転部材が前記本体ハウジングとされて、前記本体ハウジングに設けられた前記永久磁石または前記磁性部材が、前記噴射ノズルが前記マッサージ面に沿う移動方向の所定移動端側に位置した基準位置付近に配置されている、
ようにしてある(請求項4対応)。この場合、噴射ノズルをマッサージ面に沿って移動させるようにしつつ、永久磁石または磁性部材が噴射ノズルの移動の邪魔にならないようにする上で好ましいものとなる。
【0012】
前記本体ハウジングに、前記マッサージ面と前記基準位置にある前記噴射ノズルとの間に位置されて、前記噴射ノズルから噴射される液体が衝突される衝突部材が設けられ、
前記本体ハウジングに設けられる前記永久磁石または前記磁性部材が、前記衝突部材に固定されている、
ようにしてある(請求項5対応)。この場合、衝突部材を有効に利用して、本体ハウジングに永久磁石または磁性部材を固定することができる。また、衝突部材に噴射用液体を衝突させつつ噴射ノズルから噴射用液体を噴射することにより、液体式マッサージ装置の使用前に噴射用液体を適度の温度にまで昇温させることができ、しかもこの噴射用液体の昇温時には噴射用液体をマッサージ面に衝突させないようにすることで、マッサージ面の保護(耐久性向上)を図ることができる。
【0013】
マニュアル操作されて、前記噴射ノズルの有効開口面積の大きさを選択するための変更スイッチを備え、
前記変更スイッチからの信号が入力され、前記噴射ノズルの前記マッサージ面に沿う移動と前記ドラム内への噴射用液体の供給と前記ドラムの回転とを制御する制御手段を備え、
前記制御手段は、前記変更スイッチからの選択指令があったときは、前記噴射ノズルが前記基準位置にある状態でかつ前記ドラムの内部に噴射用液体を供給しない状態で、前記選択指令に応じて前記ドラムを正転方向または逆転方向に回転させる、
ようにしてある(請求項6対応)。この場合、噴射ノズル開口面積をスイッチ操作によって簡単に変更することができる。
【0014】
マッサージの終了時には、前記噴射ノズルが前記基準位置へ自動復帰される、ようにしてある(請求項7対応)。この場合、次の使用時において噴射ノズルの開口面積を変更しようとする際に、噴射ノズルは基準位置にあるので、噴射ノズルの開口面積の変更をすみやかに行うことができる。また、使用後は、噴射ノズルは基準位置という移動端に位置されるので、使用しないときに不必要にマッサージ面に荷重をかけられることにより特にマッサージ面の中央部が大きく変形されても、マッサージ面と噴射ノズルとが不用意に接触されないようにする上でも好ましいものとなる。
【0015】
前記非回転部材が、前記ドラムを回動自在に支承する支持軸とされている、ようにしてある(請求項8対応)。この場合、ドラムがどの位置にあっても噴射ノズルの開口面積を変更することができる。
【0016】
前記ドラムが、前記支持軸の頂壁部に固定された係止部材によって該支持軸からの抜け止めが行われており、
前記永久磁石または前記磁性部材が、前記係止部材に一体的に設けられている、ようにしてある(請求項9対応)。この場合、係止部材を有効に利用して、ドラムを回転体との相対回転の規制を行うことができる。
【0017】
前記ドラムに、前記回転軸線を中心とする円弧状に形成されると共に前記回転体に一体化された前記永久磁石または前記磁性部材が摺動自在に嵌合されるガイド溝部が形成され、
前記永久磁石または前記磁性部材が前記ガイド溝部内で動き得る範囲が、前記ドラムと前記回転体とが相対可能な範囲となる前記所定角度範囲とされている、
ようにしてある(請求項10対応)。この場合、永久磁石または磁性部材を有効に利用して、回転体がドラムに対して相対回転可能な所定角度範囲を設定することができる。
【0018】
前記ドラムに、前記回転軸線を中心とする円弧状に形成されたガイド溝部が形成され、
前記回転体に、部分的に厚肉とされることにより前記ガイド溝部内に摺動自在に突出すると共に前記回転軸線を中心とする円弧状の隆起部が形成され、
前記隆起部が前記ガイド溝部内で動き得る範囲が、前記ドラムと前記回転体とが相対可能な範囲となる前記所定角度範囲とされ、
前記隆起部に、前記第1開口部または前記第2開口部が形成されている、
ようにしてある(請求項11対応)。この場合、相対回転可能な所定角度範囲の設定を行いつつ、第1開口部または第2開口部が形成される部分を隆起部に対応した厚肉として、この開口部の指向性を高める等の上で好ましいものとなる。
【0019】
前記第1開口部に対して前記第2開口部のいずれか1つが整合されたときに、前記永久磁石との間での磁力によって前記ドラムに対して前記回転体が相対回転しないようにするためのストッパ部材が設けられ、
最近接位置での前記永久磁石と前記ストッパ部材との間で作用する磁力の大きさが、最近接位置での該永久磁石と前記磁性部材との間で作用する磁力よりも小さくなるように設定されている、
ようにしてある(請求項12対応)。この場合、永久磁石の磁力を有効に利用して、所望の相対回転位置を確実に維持させ続ける上で好ましいものとなる。
【0020】
前記マッサージ面が、水平状態とされて、患者を仰向け状態で支承できるように設定され、
前記回転軸線が上下方向に延びて、前記噴射ノズルからの噴射用液体が下方から前記マッサージ面に向けて噴射される、
ようにしてある(請求項13対応)。この場合、広く普及している使用者を仰向け状態で支承しつつマッサージを行う液体式マッサージ装置において、噴射ノズルの開口面積を変更して刺激感を変更することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、噴射ノズルの開口面積を変更して、使用者に与える刺激感を大きく変更することができる。また、ドラムと回転体との連れ回り防止のために、永久磁石と磁性部材との吸引力を利用するという簡単な構造でもって達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態を示す全体平面図。
【図2】図1の側面断面図。
【図3】噴射ノズル付近を詳細に示す断面図。
【図4】第1の開口部が形成されたドラム構成部材の一例を示す平面図。
【図5】図4のX5−X5線相当断面図。
【図6】図4のX6−X6線相当断面図。
【図7】複数の第2の開口部が形成された回転体の一例を永久磁石と共に示す平面図。
【図8】図7のXA−X8線相当断面図。
【図9】図7のXA−X9線相当断面図で、永久磁石を取外した状態を示す。
【図10】第1の開口部が小さい開口面積とされた第2の開口部と整合された相対回転位置を示す平面図。
【図11】図10のX11−X11線相当断面図。
【図12】第1の開口部が大きい開口面積とされた第2の開口部と整合された相対回転位置を示す平面図。
【図13】図12のX13−X13線相当断面図。
【図14】噴射ノズルが基準位置とされたときの状態を示す要部側面断面図。
【図15】マッサージ面を除去した状態での図14の要部平面図。
【図16】本発明の第2の実施形態を示すもので、複数の第2開口部が形成されたドラム構成部材の一例を示す平面図。
【図17】本発明の第2の実施形態を示すもので、第1開口部が形成された回転体の一例を示す平面図。
【図18】本発明の制御系統例をブロック図的に示す図。
【図19】本発明の制御例を示すフローチャート。
【図20】本発明の第3の実施形態を示すもので、ドラム部分の分解斜視図。
【図21】図20のドラムを組み立てた状態で上方から見た図。
【図22】図21のX22−X22線相当断面図。
【図23】係止板の平面図
【図24】図23のX24−X24線相当断面図。
【図25】磁性部材の平面図
【図26】図25の側面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1、図2において、フレームF上に本体ハウジング1が固定、設置され、この本体ハウジング1は、例えば繊維強化プラスチックによって、上方が開口された細長い槽状に形成されている。この本体ハウジング1は、略水平に配設されて、その上方開口1aは支持シート2によって液密に施蓋されている。支持シート2上には、マッサージを受ける使用者(患者)Mが、例えばあお向け等の倒伏姿勢(横たわり姿勢)でもって保持(支持)される。つまり、支持シート2は、使用者Mを少なくとも仰向けの状態で支承可能なような大きさとされている。支持シート2は、適宜の材質でもって構成できるが、例えば、網目状(格子状)の繊維強化シートをゴム(例えばシリコンゴム)で被覆した構造や、ゴムシートの下面に網目状(格子状)の繊維強化シートを積層した構造とすることができる。
【0024】
本体ハウジング1内には、マッサージ液体としての噴射用液体(通常は湯水が用いられる)が貯溜されている。実施形態では、本体ハウジング1内は噴射用液体で充満されて、自由表面を有しない構造が採択されている。本体ハウジング1の底壁(底部)には、その長手方向ほぼ全長に渡って、ほぼ水平に伸びる細幅の溝状の貯溜部3が形成されている。本体ハウジング1の底部には、貯溜部3の上方開口縁部において、本体ハウジング1の長手方向にほぼ水平に伸びる左右一対の走行レール4が配設、固定されている。この走行レール4上を、走行台車5が走行されるようになっており、その走行車輪が符号6で示される。
【0025】
本体ハウジング1内には、走行レール4に沿って、当該走行レール4よりも若干高い位置において、駆動チェーン7が配設されている。この駆動チェーン7は、ほぼ水平に伸びていて、エンドレス式とされている。すなわち、駆動チェーン7は、本体ハウジング1内においてその長手方向端部に回転自在に保持された一対のスプロケット8、9に巻回されている。スプロケット8が駆動スプロケット、スプロケット9が従動スプロケットとされており、駆動スプロケット8が、本体ハウジング1の側方に設置した駆動モータ(図示略)によって、連動機構(図示略)を介して駆動される。走行台車5は、駆動チェーン7に連結、固定されて、モータによりスプロケット8を正逆回転させることによって、走行台車5が往復駆動される。モータの駆動を制御することにより、走行台車5の往復駆動範囲を任意に変更することができ、また任意の走行位置でもって走行台車5を停止させておくことができる。なお、走行台車5を走行駆動する駆動手段としては、実施形態で示すチェーン式の他、適宜の構造のものを採択し得る。
【0026】
走行台車5には、後述するように、左右一対の噴射ノズル12A、12Bが設けられている。噴射ノズル12A、12Bからマッサージ液体を噴射させるため、本体ハウジング1の側方には、モータ(図示略)によって駆動されるポンプ14が装備される。ポンプ14は、前記貯溜部3内のマッサージ液体を汲み上げて、流量(圧力)制御弁(図示略)を介して、各噴射ノズル12A、12Bへと噴射用液体を圧送する。なお、ポンプ14から伸びる噴射用液体の圧送用の配管は、上記流量制御弁の下流側において2つに分岐されて、図3に示すように、その一方の分岐配管15Aが一方の噴射ノズル12Aに接続され、他方の分岐配管15Bが他方の噴射ノズル12Bに接続される。そして、分岐配管15A、15Bは所定長さに渡って撓み可能な可撓配管(例えば合成樹脂製の蛇腹状の配管)とされて、走行台車5の走行位置の変更に対応できるようにされている。また、ポンプ14の圧送能力つまり噴射ノズル12A、12Bからの噴射圧力は、ポンプ14(のモータ)を制御(周波数制御)するインバータ(図示略)に対する制御用の印加電圧を変更することにより変更されるようになっている。
【0027】
噴射ノズル12A,12Bから噴射された噴射用液体は、支持シート2の下面に衝突して、この衝突がマッサージの刺激として、支持シート2上の使用者Mに対して作用される。支持シート2に衝突した噴射用液体は、落下されて、再び噴射ノズル12A、12Bから噴射されることになる。
【0028】
次に、図3を参照しつつ、噴射ノズル12A,12B付近の構成について詳述する。まず、走行台車5の上面には、上下方向に伸びる左右一対の支軸32A、32Bが固定されている。この支軸32A、32Bは管状とされて、その下部に、前述した分岐配管15Aあるいは15Bが接続されている。
【0029】
上記支軸32A、32Bに対して、軸受部材34A、34Bを介して、左右一対のドラム36A、36Bが回転自在に保持されている。各ドラム36A、36Bは、その内部が密閉状とされた空間部37Aあるいは37Bとされている。また、各ドラム36A、36Bは、その外径が円形とされて、その外周面に歯形38Aあるいは38Bが形成された一種の歯車として機能されるようになっている。歯車としてのドラム36A、36Bは、その歯形38A、38B同士が噛合されて、ドラム36A、36Bの一方が回転されると、他方も回転されるようになっている。
【0030】
各ドラム36A、36Bの上面に、その回転中心に対して偏心した位置において、前述の噴射ノズル12A、12Bが構成されている。この噴射ノズル12A、12Bは、ドラム36A、36B内の空間部37A、37Bに常時連通されている。これにより、配管15A、15Bから供給される噴射用液体は、支軸32A、32B内、空間部37A、37Bを通った後、噴射ノズル12A、12Bから上方に向けて噴射される。そして、ドラム36A、36Bの回転に応じて、噴射ノズル12A、12Bの位置が変更されて、使用者Mに対する噴射用液体の噴射位置が変更されることになる。
【0031】
ドラム36A、36Bを回転させるために、一方のドラム36Bの下面には、ウオーム歯車42が固定されている。このウオーム歯車42は、支軸32Bに対して相対回転可能に嵌合されている。ウオーム歯車42に対して、ウオーム44が噛合されている。このウオーム44は、図示を略すブラケットを利用して、走行台車5に回転自在にかつ軸方向に変位しないように保持されている。また、ウオーム44は、本体ハウジング1の長手方向に伸びる回転軸46に対して、一体回転するようにかつその軸線方向にスライド可能に保持されている。回転軸46は、本体ハウジング1に回転自在に保持されているものである。これにより、本体ハウジング1の外方に設けたモータ等の駆動手段によって回転軸46を回転させると、ウオーム44も回転され、これによりウオーム歯車42つまりドラム36Bが回転され、このドラム36Bの回転に応じて他方のドラム36Aも回転される。走行台車5が移動したとき、ウオーム44は回転軸46に対してスライドされるので、走行台車5の位置を問わず、ドラム36A、36Bが回転可能とされる。
【0032】
次に、噴射ノズル12A、12Bの詳細について、図3〜図13を参照しつつ説明するが、左右一対の噴射ノズル12A、12B(ドラム36A、36B)は左右対称構造に形成されているので、一方の噴射ノズル12Aに着目して説明することとする。まず、回転体としてのドラム36Aは、上方に向けて開口された本体部材50Aと、本体部材50Aの上方開口を覆う頂壁部材51Aとを有し、超部材50Aと51Aとは、固定具53(実施形態ではボルト)により一体化されている。そして、頂壁部材51A(つまりドラム36A)が、支軸32Aの上面に固定具54によって固定された係止板55によって上方への移動が規制されている。
【0033】
ドラム36Aを構成する頂壁部材51Aの直下方に、回転体52Aが配設されている。回転体52Aは、本体部材50Aおよび頂壁部材51Aに対して所定角度範囲だけ相対回転可能で、かつ上下方向に若干(数mm)上下方向に変位可能とされている。そして、通常は、自重によって下方に位置される一方、空間部37A内に噴射用液体が供給されたときは、その圧力を受けて上昇されて、頂壁部材51Aに対して圧接されて、頂壁部材51Aと一体となって回転されるようになっている。頂壁部材51Aの内面(下面)は平板状とされる一方、回転体52Aも平板状とされて、空間部37A内に供給された噴射用液体からの圧力を受けたときに、回転体52Aは頂壁部材51Aに対して大きな面積でもって圧着されて、回転体52Aと頂壁部材51A(ドラム36A)との確実な一体回転状態が確保される。
【0034】
頂壁部材51Aには、1つの第1開口部61Aが形成される。また、回転体52Aには、その周方向に小間隔をあけて、2つの第2開口部62A、63Aが形成されている。第2開口部62A、63Aの開口面積(直径)は、互いに異なるように設定されている。より具体的には、例えば第2開口部のうち62Aの直径が12mmとされ、63Aの直径が14mmとされ、第1開口部61Aの直径が14mmとされている。なお、回転中心となる支軸32Aを中心とする同一円弧状に、各開口61A、62A、63Aの中心が位置するように設定されている。なお、上記のような直径の設定は一例であり、第1開口部61Aに対して第2開口部62Aが整合したときの開口面積と、第1開口部61Aに対して第2開口部63Aが整合したときの開口面積とが互いに相違するような設定であればよい。例えば第1開口部61Aの直径を各第2開口部62Aおよび63Aの直径よりも大きくしたり、第1開口部61Aの直径を、各第2開口部62Aの直径と63Aの直径との中間の大きさの直径にする等のことができる。
【0035】
回転体52Aを、頂壁部材51Aに対して周方向所定方向に相対回転させたとき、図10、図11に示すように、第1開口部61Aが開口面積の小さい方の第2開口部62Aに整合される(開口面積の大きい方の第2開口部63Aは、頂壁部材51Aによって閉塞された状態)。この整合された開口61Aと62Aとによって実質的に噴射ノズル12Aが形成され、その開口面積は実質的に第2開口部62Aの開口面積となる(噴射ノズル12Aの開口面積が小の状態)。
【0036】
回転体52Aを、頂壁部材51Aに対して周方向所定方向とは反対方向に相対回転させたとき、図12.図13に示すように、第1開口部61Aが開口面積の大きい方の第2開口部63Aに整合される(開口面積の小さい方の第2開口部62Aは、頂壁部材51Aによって閉塞された状態)。この整合された開口61Aと63Aとによって実質的に噴射ノズル12Aが形成され、その開口面積は実質的に第2開口部63A(第1開口部61A)の開口面積となる(噴射ノズル12Aの開口面積が大の状態)。
【0037】
なお、各開口部61A、62A、63A(61B、62B、63B)はそれぞれ、下向きに広がるテーパ状とされて、上方へ向けての指向性を高めるようにされているが、このようなテーパ状の設定は、第1開口部のみあるいは第2開口部のみとしてもよい。
【0038】
回転体52Aには、永久磁石70Aが、例えば接着材により固定されている。この永久磁石70Aは、回転体52Aの上面よりも若干上方に突出されている。永久磁石70Aに対応して、頂壁部材51Aの下面には、ガイド溝71Aが形成されている。ガイド溝71Aは、支軸32Aを中心とする円弧状に形成されて、永久磁石70Aが摺動自在に嵌合されるようになっている。これにより、永久磁石70Aがガイド溝71A内でもって摺動できる角度範囲が、回転体52Aが頂壁部材51Aに対して相対回転できる所定の角度範囲とされる。そして、永久磁石70Aがガイド溝71Aの一方側ストローク端に位置したときが、例えば図10の状態とされる。また、永久磁石70Aがガイド溝71Aの他方側ストローク端に位置したときが、例えば図12の状態とされる。このように、回転体52Aの頂壁部材51Aに対する相対回転の各ストローク端となったときに、第1開口部61Aに対して第2開口部62Aあるいは63Aが整合される位置とされることになり、この各整合位置を正確に得ることが可能となる。
【0039】
走行台車5が、図14に示す一方の移動ストローク端となったときが、噴射ノズル12A(12B)の基準位置となる。この基準位置は、使用者Mの頭部側のストローク端とされている(基準位置は使用者Mに対してマッサージを行う位置とされていない)。この基準位置において、走行台車5(噴射ノズル12A、12B)の上方でかつマッサージ面となる支持シート2の下方において、板状の衝突部材75が配設されている。この衝突部材75は、本体ハウジング1に固定されて、噴射ノズル12A、12Bを上方から覆う大きさに設定されている。
【0040】
図14に示す上記基準位置において、噴射ノズル12A、12Bから噴射用液体を噴射させたとき、噴射された噴射用液体は、衝突部材75に衝突されて、支持シート2には衝突しないものとなる。衝突部材75に噴射用液体を衝突させつつ噴射ノズル12A、12Bから噴射用液体を噴射し続けることにより、噴射用のポンプ14で発生する熱によって噴射用液体が昇温されることになる(昇温目的なので、ドラム36A、36Bは回転されない)。液体式マッサージ装置の使用前にあらかじめこのような噴射用液体の噴射を所定時間行うことにより、噴射用液体を適度な温度に昇温させることができる(冷たい噴射用液体によって使用者Mに不快感を与えてしまうことの防止)。
【0041】
上記衝突部材75には、永久磁石70A、70Bに対応させて、磁性部材76A、76Bが固定されている。磁性部材76Aは一方の回転体52Aに設けた永久磁石70A用であり、磁性部材76Bは他方の回転体52Bに設けた永久磁石70B用である。各磁性部材76A、76Bは、永久磁石70A、70Bが磁力によって吸着作用を受ける部材であれば適宜の部材を選択することができ、永久磁石を選択することもできる。実施形態では、磁性部材76A、76Bは、鉄製の部材を防錆のために合成樹脂で被覆した構造としてある。
【0042】
基準位置において、磁性部材76Aは、平面視において、回転体52Aに設けた永久磁石70Aの支軸36Aを中心とする回転軌跡上に位置するように設定されている。同様に、磁性部材76Bは、平面視において、回転体52Bに設けた永久磁石70Bの支軸36Bを中心とする回転軌跡上に位置するように設定されている。
【0043】
前述した本体部材50A(50B)、頂壁部材51A(51B)、回転体52A(52B)、係止板55等は、合成樹脂(つまり磁力の影響を受けない材質)によって形成されている。
【0044】
頂壁部材51Aと回転体52Aとが相対回転可能な状態で、ウォーム44を介してドラム36A(頂壁部材51A)を例えば正転させると、回転体52Aは慣性によってその場にとどまろうとするため、頂壁部材51Aと回転体52Aとが相対回転されることとなって、例えば図10に示す第1の相対回転位置とされる。同様に、頂壁部材51Aと回転体52Aとが相対回転可能な状態で、ウォーム44を介してドラム36A(頂壁部材51A)を逆転させると、回転体52Aは慣性によってその場にとどまろうとするため、頂壁部材51Aと回転体52Aとが相対回転されることとなって、例えば図12に示す第2の相対回転位置とされる。
【0045】
永久磁石70Aが頂壁部材51Aのガイド溝71Aのストローク端に位置しない状態でドラム36A(つまり頂壁部材51A)を回転させたとき、回転体52が頂壁部材51Aと連れ回ってしまうと、永久磁石70Aのガイド溝71A内における位置は変更されないものとなってしまう(前述の第1の相対回転位置あるいは第2の相対回転位置とすることが不能になる状態)。しかしながら、基準位置では、連れ回る回転体52Aの回転に伴ってその永久磁石70Aが磁性部材76Aあるいはその付近に位置したときに、磁力による吸引力によって、回転体52Aはその場にとどまろうとする停止作用を受けることになる(連れ回りの解消)。したがって、頂壁部材51Aの回転(例えば正転)を続行すると、頂壁部材51Aと回転体52Aとは、永久磁石70Aがガイド溝71Aの一方側ストローク端となる位置まで相対回転され、永久磁石70Aがガイド溝71Aの一方側ストローク端に位置された後(第1開口部61Aに対して第2開口部62Aあるいは63Aが整合された状態)は、永久磁石70Aがガイド溝71Aのストローク端に当接しつつ頂壁部材51Aと回転体52Aとは一体化されることになる。
【0046】
第1開口部61Aに対して整合される第2開口部を変更するときは、基準位置において、ドラム36Aを正転あるいは逆転させればよい。すなわち、基準位置において、ドラム36A(頂壁部材51A)を例えば正転させることにより、第1開口部61Aに第2開口部62Aが整合される。また、基準位置において、ドラム36A(頂壁部材51A)を例えば逆転させることにより、第1開口部61Aに対して第2開口部63Aが整合される。なお、他方のドラム36B側においての噴射ノズル12Bの開口面積の変更も、一方側のドラム36Aの場合と同様である(ただし、噴射ノズル12Aの開口面積と12Bの開口面積とは互いに同じになるように設定される)。
【0047】
図16、図17は、本発明の第2の実施形態を示すものである。本実施形態では、頂壁部材52Aに複数(実施形態では2つ)の第2開口部62A、63Aを形成する一方、回転体52Aに1つの第1開口部61Aを形成したものである。永久磁石70Aが、ガイド溝71Aの各ストローク端に位置したときに、第1開口部61Aに対して、第2開口部62Aあるいは63Aが整合される。
【0048】
図18は、本発明の制御系統例を示すものである。前述したコントロールボックスCBは、マイクロコンピュータを利用して構成されて、各種スイッチあるいはセンサS1〜S6からの信号が入力される。すなわち、S1はスイッチで、マニュアル操作されて、マッサージの開始を指令するものである。S2はタイマで、マニュアル操作されて、マッサージ時間を所望の時間に設定するものである。S3は、スイッチで、マニュアル操作されて、噴射ノズル12A、12Bの開口面積の大きさを選択するものである。S4は、センサで、走行台車5が基準位置にあることを検出するものである。S5は、スイッチで、マニュアル操作されて、噴射用液体を昇温させることを指令するものである。S6は、センサで、噴射用液体の温度を検出するものである。
【0049】
また、コントロールボックスCBは、噴射用液体の噴射用のポンプ14を駆動制御する他、ドラム36A、36B回転駆動用のモータM1、走行台車5の移動(走行)用のモータM2を駆動制御する。さらに、コントロールボックスCBは、現在選択されている噴射ノズル12A、12Bの開口面積が「大」であるのか「小」であるのかの表示の制御を行うようになっている。なお、開口面積の「大」、「小」の表示は、例えばコントロールボックスCBの表面あるいは支持シート2の周辺部に設けた表示面に表示されるようになっている。
【0050】
次に、コントロールボックスCBによる制御例について、図19に示すフローチャートを参照しつつ説明する。なお、以下の説明でQはステップを示す。まず、Q1において、各種センサあるいはスイッチS1〜S6からの信号が入力される。次いでQ2において、スイッチS5がONされて、昇温モードが選択されているか否かが判別される。このQ2の判別でYESのときは、Q3において、センサS4からの信号をみることにより、走行台車5が基準位置にあるか否かが判別される。このQ3の判別でNOのときは、Q4において、走行台車5が、基準位置に位置するように移動される。このQ5の後、あるいはQ3の判別でYESのときは、Q5において、ポンプ14が運転されて、噴射用液体の昇温制御が行われる(走行台車5は基準位置のままで、かつドラム36A、36Bの回転は停止された状態とされる)。噴射用液体の昇温制御は、例えば、センサS6で検出される温度が上限温度(例えば40度C)以上になるとポンプ14が停止され、検出温度が下限温度(例えば36度C)以下になるとポンプ14が再び運転されて、本体ハウジング1内における噴射用液体の温度が、使用者Mに対して適温範囲となるように制御される。
【0051】
上記Q5の後は、Q6において、昇温モードが終了したか否か、つまりスイッチS5がOFFされたか否かが判別される。このQ6の判別でNOのときは、Q5へ戻る。また、Q6の判別でYESのときは、ポンプ14を停止して、Q1へリターンされる。
【0052】
前記Q2の判別でNOのときは、Q11において、スイッチS3の操作状態に基づいて、噴射ノズル12A、12Bの開口面積を変更する指令があったか否かが判別される。このQ11の判別でYESのときは、Q12において、センサS4からの信号をみることにより、走行台車5が基準位置にあるか否かが判別される。このQ12の判別でNOのときは、Q13において、走行台車5が、基準位置に位置するように移動される。
【0053】
上記Q13の後、あるいはQ12の判別でYESのときは、それぞれ、Q14において、噴射ノズル12A(12B)の「大」あるいは「小」の指令に応じて、ドラム36A(36B)が正転あるいは逆転される(例えばゆっくりとした回転速度での1回転ないし数回転)。このドラム36A(36B)の回転によって、永久磁石70A(70B)がガイド溝71A(71B)の一方側ストローク端あるいは他方側ストローク端に位置されて、所望の開口面積が選択されることになる。勿論、噴射ノズル12A(12B)の開口面積の変更制御の際には、ポンプ24は停止されており(噴射用液体の噴射なし)、走行台車5は基準位置のままとされる。
【0054】
上記Q14の後は、Q15において、スイッチS1がONされて、マッサージの開始が指令されたか否かが判別される。このQ15の判別でYESのときは、Q16において、ポンプ14が運転されて噴射ノズル12A(12B)から噴射用液体が噴射され、このとき、走行台車5は支持シート2の長手方向に沿って往復駆動される。ただし、走行台車5は、衝突部材75側に向けて移動するときに、噴射ノズル12A(12B)からの噴射用液体が衝突部材75に衝突する直前の位置でもって停止された後、衝突部材75から離れる方向へ移動(反転)されるような往復動とされる。
【0055】
上記Q16の後、Q17において、タイマS2で設定されたマッサージ時間が経過したか否かが判別される。このQ17の判別でNOのときは、Q16へ戻る。また、Q17の判別でYESのときは、Q18において、ポンプ14が停止されて噴射用液体の噴射が停止され、ドラム36A(36B)の回転が停止され、さらに相応台車5が基準位置となるように移動された後、Q1へリターンされる。噴射用液体の噴射によるマッサージが終了したときには、上記のように走行台車5が自動的に基準位置へ復帰されるので、次にマッサージを行うときに、噴射ノズル12A(12B)の開口面積の変更をすみやかに行うことができる(Q11から極力すみやかにQ14の処理を行えるようにするためで、Q13はバックアップ制御用となる)。
【0056】
前記Q11の判別でNOのときはQ15へ移行される。また、前記Q15の判別でNOのときは、そのままQ1へリターンされる。
【0057】
図20〜図26は、本発明の第3の実施形態を示すもので、磁性部材80(前記実施形態における磁性部材76A(76B)に相当)を支持軸32A(32B)に設けたものである。なお、以下の説明では、ドラム36Aに着目して説明することとする。まず、この図20〜図22に示すように、第1開口部61Aがドラム32Aの頂壁部材51Aに形成される一方、2つの第2開口部62A、63Aがそれぞれ回転体52Aに形成されている。また、永久磁石70Aが回転体51Aに保持される一方、この永久磁石70Aが摺動自在に嵌合される円弧状のガイド溝71Aが、頂壁部材51Aの頂壁部内面に形成されている。
【0058】
本実施形態では、回転体52Aの上面に、厚肉となるように隆起部52aが形成されている。この隆起部52aは、支持軸32Aの軸線を中心とする円弧状に形成されており、この隆起部52aの周方向1一端部に第2開口部62Aが形成されると共に、周方向他端部に第2開口部63Aが形成されている。この隆起部52aに対応して、頂壁部材51Aの頂壁部内面には、支持軸32Aの軸線を中心とする円弧状のガイド溝85が形成されている(図21,図22参照)。このガイド溝85内に、隆起部52aが摺動自在に嵌合されている。そして、隆起部52aがガイド溝85の一方ストローク端に位置したときに、第2開口部62Aが第1開口部61Aに整合され、隆起部52aがガイド溝85の他方ストローク端に位置したときに、第2開口部63Aが第1開口部61Aに整合される。
【0059】
本実施形態では、磁性部材80が、固定具54によって、係止板55と共に支持軸32Aの頂壁面に固定(共締め)されている。すなわち、係止板55には、そのフランジ部の周方向一部を切り欠くことにより切欠部55aが形成されている。また、磁性部材は、板状の金属板を加工することより形成されて、係止板55の中央部上に重なるように配置される中央部には、固定具54のねじ部が挿通される取付孔80bが形成されている。また、磁性部材80は、支持軸32Aの径方向外方側に向けて延びる細幅の突起部80aを有して、この突起部80aが、係止板55の切欠部55a内に位置される。そして、突起部80aの先端部は、永久磁石70Aの移動軌跡に対して上下方向において重なるような位置関係とされている。
【0060】
なお、永久磁石70A(70B)の移動軌跡付近にある本体部材50A(50B)、頂壁部材51A(51B)、回転体52A(52B)、支持軸32A(32B)(の少なくとも上部部分)、係止板55等は、合成樹脂(つまり磁力の影響を受けない材質)によって形成されている
【0061】
図21は、第1開口部61Aに対して、小さい開口面積とされた第2開口部62Aが整合された状態が示される。図21の状態から、回転体52Aをドラム36Aに対して図中反時計方向に相対回転させると、大きい開口面積を有する第2開口部63Aが第1開口部61Aに整合された状態とされる。
【0062】
図20,図21に示すように、頂壁部材51Aには、一対のストッパ部材81,82が保持されている。このストッパ部材81,82は、磁性部材となるもので、例えば金属製のねじ部材を合成樹脂でコーティングすることにより構成されて、頂壁部材51Aに形成された取付孔(ねじ孔)83内に螺合されている。一方のストッパ部材81は、小さい開口面積の第2開口部62Aが第1開口部61Aに整合された図21の状態において、永久磁石70Aの近くに位置される。これにより、永久磁石70Aとストッパ部材81との間での磁力によって、ドラム32Aが回転するときの振動等によって不用意に回転体52Aがドラム32Aに対して相対回転するのが規制されて、第2開口部62Aが第1開口部61に対して整合された状態が確実に維持される。同様に、第2開口部63Aが第1開口部61Aに整合された状態では、ストッパ部材82が永久磁石70Aの近くに位置されて、第2開口部63Aと第1開口部61Aとの整合状態が確実に維持される。
【0063】
永久磁石70Aとストッパ部材81あるいは82との間での磁力(最接近した位置における磁力)は、永久磁石70Aと磁性部材80(の突起部80a)との間での磁力(最接近した位置における磁力)よりも十分に小さくなるように設定されている(磁性部材80による相対回転規制作用が優先される)。本実施形態では、走行レール4に沿ってドラム32Aがどの位置にあろうとも、噴射ノズル12Aの開口面積を変更することができる。
【0064】
以上実施形態について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば次のような場合をも含むものである。液体式マッサージ装置特に本体ハウジング1としては、ベッド形式のものに限らず、椅子形式のもの等、適宜の形式のものとすることができる。また、本発明による液体式マッサージ装置は、本体ハウジング1内が噴射用液体で充満されることなく、自由表面を有する形式であってもよい(自由表面を有する場合は、噴射ノズル12A、12Bは、噴射用液体中に浸漬された状態でもよく、あるいは噴射用液体(の自由表面)から上方へ露出した状態でもよい)。走行台車5つまり噴射ノズル12の駆動は、チェーンではなくて、例えばねじ棒とこれに螺合されたナットとを利用する方式等、適宜の方式を採択できる。
【0065】
少なくとも基準位置において、回転体の回転位置にかかわらず永久磁石と磁性部材との吸引力が常時作用するように、永久磁石と磁性部材を配置するようにしてもよい(例えば永久磁石を回転体の周方向に間隔をあけて複数設けたり、永久磁石を回転体の周方向全長に渡って延びる円環状に構成する等)。永久磁石と磁性部材との配置関係を逆の関係としてもよい(例えば永久磁石を本体ハウジングに設ける一方、磁性部材を回転体に設ける)。噴射ノズルを移動させる走行台車5を有する場合、永久磁石(または磁性部材)を走行台車5に固定配置するようにしてもよい。
【0066】
噴射ノズルを有するドラムは、1つのみであってもよい(特に走行台車に設けて支持シート2に沿って移動される場合)。また、噴射ノズルを有するドラムは、支持シート2の面に対して分散させて複数固定設置するようにしてもよく(ドラムの移動なしの場合)、この場合、支持シート2に対して、例えば左右2個となるドラム列を、支持シート2の長手方向に沿って複数列(例えば6列)設けるようにしてもよい。頂壁部材51Aと回転体52との相対回転可能な角度範囲の設定に際しては、永久磁石70A(70B)とガイド溝71A(71B)を利用することなく、例えば、頂壁部材51A(51B)と回転体52A(52B)との一方に係止ピンを設け、他方に上記係止ピンが挿入された円弧状の溝部を形成しておくことによって構成する等、適宜の手法を採択し得る。実施形態では、永久磁石70A(70B)の移動軌跡付近にある本体部材50A(50B)、頂壁部材51A(51B)、回転体52A(52B)、支持軸32A(32B)(の少なくとも上部部分)、係止板55等は、合成樹脂(つまり磁力の影響を受けない材質)によって形成されているが、永久磁石70A(70B)の影響をうけにくい比較的遠い距離にある部材は磁力の影響を受ける鉄等の金属材で形成するようにしてもよく、例えば頂壁部材51A(51B)と回転体52A(52B)のみを合成樹脂によって形成することもできる。勿論、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することを暗黙的に含むものである。
【符号の説明】
【0067】
M:使用者
CB:コントローラ
1:本体ハウジング
2:支持シート
5:走行台車
7:駆動チェーン(走行駆動用)
12A、12B:噴射ノズル
14:ポンプ(噴射用液体圧送用)
32A、32B:支軸(回転中心)
36A、36B:ドラム
37A、37B:空間部(噴射用液体の経路)
38A:38B:歯形(回転用)
42:ウォーム(回転用)
46:回転軸
50A、50B:本体部材
51A、51B:頂壁部材
52A、52B:回転体
52a:隆起部
55:係止板
61A、61B:第1開口部
62A、62B:第2開口部
63A、63B:第2開口部
70A、70B:永久磁石
71A、71B:ガイド溝
75:衝突部材
76A、76B:磁性部材
80:磁性部材
80a:突起部
81,82:ストッパ部材
85:ガイド溝(隆起部対応)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ハウジングの所定面に使用者を支承するマッサージ面が構成され、前記本体ハウジング内に配設された噴射ノズルから前記マッサージ面に向けて噴射用液体を噴射するようにした液体式マッサージ装置において、
前記本体ハウジング内に、内部に噴射用液体が供給されると共に所定の回転軸線を中心にして回転駆動されるドラムが配設され、
前記ドラムに、前記回転軸線を中心にして前記ドラムに対して所定角度範囲だけ相対回転可能とされると共に、前記ドラム内に供給される噴射用液体の圧力を受けたときに前記ドラムに圧着されて前記ドラムと一体回転される回転体が配設され、
前記ドラムと前記回転体とのいずれか一方の部材に、前記回転軸線と偏心した位置において第1開口部が形成され、
前記ドラムと前記回転体との他方の部材に、前記回転軸線と偏心した位置において、それぞれ前記第1開口部と整合されたときに前記第1開口部と共働して前記ドラム内に供給された噴射用液体を噴射する前記噴射ノズルを構成するための第2開口部が前記回転軸線の周方向に間隔をあけて複数形成され、
前記回転体の前記ドラムに対する相対回転位置の変更によって、前記複数の第2開口部のうち任意の1つのみが前記第1開口部に整合され、
前記複数の第2開口部の有効開口面積が互いに相違されて、前記第1開口部と整合される前記第2開口部を変更することによって、前記噴射ノズルの有効開口面積が変更され、
永久磁石と前記永久磁石の磁力によって吸着作用を受ける磁性部材との一方が前記回転体に取付けられる共に、他方が回転しない非回転部材に固定され、
前記ドラム内に噴射用液体を供給しない状態において前記ドラムを回転させたときに、前記所定角度範囲内では、前記永久磁石と前記磁性部材との間での吸着力によって前記回転体を回転停止させた状態をとり得るようにされている、
ことを特徴とする液体式マッサージ装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第2開口部が2つとされ、
前記回転体が前記ドラムに対して一方側の相対回転端位置とされたときに前記第1開口部に対して前記第2開口部の一方が整合されると共に、他方側の相対回転端位置とされたときに前記第1開口部に対して前記第2開口部の他方が整合される、
ことを特徴とする液体式マッサージ装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記第1開口部と前記第2開口部とのうち前記ドラムに形成される開口部が、前記ドラムの先端頂壁部に形成され、
前記ドラムの前記先端頂壁部の内面が平板状に形成され、
前記回転体が、板状とされて前記ドラム内に配設され、
前記ドラム内に噴射用液体が供給されたとき、前記回転体が前記ドラムの先端頂壁部内面に圧着される、
ことを特徴とする液体式マッサージ装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
前記噴射ノズルが、前記マッサージ面に沿って移動可能とされ、
前記非回転部材が前記本体ハウジングとされて、前記本体ハウジングに設けられた前記永久磁石または前記磁性部材が、前記噴射ノズルが前記マッサージ面に沿う移動方向の所定移動端側に位置した基準位置付近に配置されている、
ことを特徴とする液体式マッサージ装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記本体ハウジングに、前記マッサージ面と前記基準位置にある前記噴射ノズルとの間に位置されて、前記噴射ノズルから噴射される液体が衝突される衝突部材が設けられ、
前記本体ハウジングに設けられる前記永久磁石または前記磁性部材が、前記衝突部材に固定されている、
ことを特徴とする液体式マッサージ装置。
【請求項6】
請求項4または請求項5において、
マニュアル操作されて、前記噴射ノズルの有効開口面積の大きさを選択するための変更スイッチを備え、
前記変更スイッチからの信号が入力され、前記噴射ノズルの前記マッサージ面に沿う移動と前記ドラム内への噴射用液体の供給と前記ドラムの回転とを制御する制御手段を備え、
前記制御手段は、前記変更スイッチからの選択指令があったときは、前記噴射ノズルが前記基準位置にある状態でかつ前記ドラムの内部に噴射用液体を供給しない状態で、前記選択指令に応じて前記ドラムを正転方向または逆転方向に回転させる、
ことを特徴とする液体式マッサージ装置。
【請求項7】
請求項4ないし請求項6のいずれか1項において、
マッサージの終了時には、前記噴射ノズルが前記基準位置へ自動復帰される、
ことを特徴とする液体式マッサージ装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
前記非回転部材が、前記ドラムを回動自在に支承する支持軸とされている、ことを特徴とする液体式マッサージ装置。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれか1項において、
前記ドラムが、前記支持軸の頂壁部に固定された係止部材によって該支持軸からの抜け止めが行われており、
前記永久磁石または前記磁性部材が、前記係止部材に一体的に設けられている、ことを特徴とする液体式マッサージ装置。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のいずれか1項において、
前記ドラムに、前記回転軸線を中心とする円弧状に形成されると共に前記回転体に一体化された前記永久磁石または前記磁性部材が摺動自在に嵌合されるガイド溝部が形成され、
前記永久磁石または前記磁性部材が前記ガイド溝部内で動き得る範囲が、前記ドラムと前記回転体とが相対可能な範囲となる前記所定角度範囲とされている、
ことを特徴とする液体式マッサージ装置。
【請求項11】
請求項1ないし請求項9のいずれか1項において、
前記ドラムに、前記回転軸線を中心とする円弧状に形成されたガイド溝部が形成され、
前記回転体に、部分的に厚肉とされることにより前記ガイド溝部内に摺動自在に突出すると共に前記回転軸線を中心とする円弧状の隆起部が形成され、
前記隆起部が前記ガイド溝部内で動き得る範囲が、前記ドラムと前記回転体とが相対可能な範囲となる前記所定角度範囲とされ、
前記隆起部に、前記第1開口部または前記第2開口部が形成されている、
ことを特徴とする液体式マッサージ装置。
【請求項12】
請求項1ないし請求項11のいずれか1項において、
前記第1開口部に対して前記第2開口部のいずれか1つが整合されたときに、前記永久磁石との間での磁力によって前記ドラムに対して前記回転体が相対回転しないようにするためのストッパ部材が設けられ、
最近接位置での前記永久磁石と前記ストッパ部材との間で作用する磁力の大きさが、最近接位置での該永久磁石と前記磁性部材との間で作用する磁力よりも小さくなるように設定されている、
ことを特徴とする液体式マッサージ装置。
【請求項13】
請求項1ないし請求項12のいずれか1項において、
前記マッサージ面が、水平状態とされて、患者を仰向け状態で支承できるように設定され、
前記回転軸線が上下方向に延びて、前記噴射ノズルからの噴射用液体が下方から前記マッサージ面に向けて噴射される、
ことを特徴とする液体式マッサージ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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