説明

液体微細化装置とそれを用いたサウナ装置

【課題】本発明は、液体微細化装置とそれを用いたサウナ装置に関するもので、非微細化液体の排出のための配管施工を解消し、施工工事を簡単にすることを目的とする。
【解決手段】吸込口4と排気口5を有する本体ケース6と、吸込口4と排気口5を結ぶ風路に設けた熱交換器7およびファンモータ8aと、このファンモータ8aと排気口5間に設けた液体微細化手段9とを備え、液体微細化手段9は、回転手段13と、この回転手段13に液体を供給する液体供給手段により構成し、液体供給手段は、上方の回転板16aに液体を供給する上供給手段と、下方の回転板16bに液体を供給する下供給手段とを有し、この下供給手段は、貯水手段19と、この貯水手段19から下方の回転板16bへ液体を供給する水路20とを有し、この水路20から下方の回転板16bへの液体供給位置は、上方の回転板16aへの液体供給位置より外側である構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体微細化装置とそれを用いたサウナ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、サウナ装置に用いられる液体微細化装置の構成は、次のような構成となっていた。
【0003】
すなわち、吸込口と排気口を有する本体ケースと、この本体ケース内の通気路に設けた加熱手段および送風手段と、この送風手段と排気口間に設けた微細化手段とを備え、前記微細化手段は、給水管から液体を噴射させる構成となっていた(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平6−63103号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来例で課題となるのは、ノズルから噴出された液体のうち、微細化できなかった液体を排出するために、サウナ室に配管を施工しなければならず、施工作業が煩雑になるということである。
【0005】
すなわち、ノズルから液体を噴出して液体を微細化するタイプのものでは、液体を完全に微細化することができず、サウナ装置に残った大量の非微細化液体を処理するためにサウナ室に配管を延長して、この非微細化液体をサウナ室に排出するようになっている。このような配管をサウナ室に美観的に施工するのは非常に煩雑な作業となっている。
【0006】
そこで本発明は、施工作業を簡単に行えるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そして、この目的を達成するために本発明は、吸込口と排気口を有する本体ケースと、この本体ケース内の前記吸込口と前記排気口を結ぶ風路に設けた加熱手段および送風手段と、この送風手段と前記排気口間の風路内に設けた液体微細化手段とを備え、前記液体微細化手段は、上下方向に開口した筒状の経路と、この筒状の経路内に設けた、回転手段と、この回転手段に液体を供給する液体供給手段とを有し、前記回転手段は、上下方向に向けて配置した回転軸と、この回転軸の軸方向に所定間隔で固定した複数の回転板とを有し、前記液体供給手段は、上方の回転板に液体を供給する上供給手段と、下方の回転板に液体を供給する下供給手段とを有し、この下供給手段は、前記筒状の経路の内壁に設けた貯水手段と、この貯水手段から下方の回転板へ液体を供給する水路とを有し、この水路から下方の回転板への液体供給位置は、上方の回転板への液体供給位置より外側である構成とし、これにより、上記目的を達成している。
【発明の効果】
【0008】
以上のように、本発明は、液体微細化手段を、回転手段と、この回転手段に液体を供給する液体供給手段とにより構成することにより、液体微細化手段において、高速で回転する回転手段に微細化に必要な最低限の液体を供給して液体を微細化するので、結果として、液体の微細化時に大量の排液が発生しないものとなる。
【0009】
つまり、微細化終了時においては、供給した液体をほぼすべて微細化することができ、わずかに残った非微細化液体を特別に排出しなくても自然に乾燥させることもできるので、非微細化液体の排出のための配管施工を解消することができ、その結果として、施工作業が簡単になるという効果を奏する。
【0010】
しかも、液体供給手段は、上方の回転板に液体を供給する上供給手段と、下方の回転板に液体を供給する下供給手段とを有し、この下供給手段は、前記筒状の経路の内壁に設けた貯水手段と、この貯水手段から下方の回転板へ液体を供給する水路とを有し、この水路から下方の回転板への液体供給位置は、上方の回転板への液体供給位置より外側である構成とすることにより、水路が短くなるため、回転板の間隔を小さくでき、回転板の数量を増やしても液体微細化装置の小型化が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0012】
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態における液体微細化装置を用いたサウナ装置の斜視図であり、この図1に示すように、サウナ室1の天井面2には、液体微細化装置3が取り付けられている。
【0013】
図2は本発明の実施の形態における液体微細化装置の垂直断面の構成図、図3は同内部の斜視図、図4は同液体微細化手段の垂直断面の構成図、図5は同下供給手段の斜視図、図6は同液体供給手段の構成を示す斜視図である。
【0014】
液体微細化装置3は、図2と図3に示すように、吸込口4と排気口5を有する本体ケース6と、この本体ケース6内の吸込口4と排気口5とを結ぶ風路に設けた加熱手段としての熱交換器7および送風手段としてのファンモータ8aと、このファンモータ8aと排気口5との間に設けた液体微細化手段9とを備えた構成としている。
【0015】
なお、本実施の形態では、一例として、吸込口4と排気口5とを結ぶ風路は、吸込口4から熱交換器7を通過後、図3(a)に示す、液体微細化手段9を経由する加湿用の風路(矢印A)と、図3(b)に示す、液体微細化手段9を経由しない加熱用の風路(矢印B)の2風路に分岐した構成としている。
【0016】
まず、加湿用の風路(矢印A)構成から説明する。
【0017】
図2に示すように、ファンモータ8aから液体微細化手段9へ通じる風路は、ケーシング10aとダクト11aにより形成されており、矢印Aに示すように、筒状の経路12の下側開口に接続している。
【0018】
液体微細化手段9は、吸込口4と排気口5とを結ぶ風路(加湿用の風路)内の筒状の経路12と、この筒状の経路12の内部に設けた回転手段13と、この回転手段13に液体を供給する液体供給手段として、上方の回転板16aに液体を供給する上供給手段と、下方の回転板16bに液体を供給する下供給手段18とを有し、上供給手段として給水管14を備えている。
【0019】
図4に示すように、回転手段13は、上下方向に向けて配置した回転軸15を有し、この回転軸15の軸方向に、回転軸15を中心として回動する複数の回転板16a,16bを所定間隔で固定している。本実施の形態では、回転軸15の上方に設けた回転板16aと、下方に設けた回転板16bとの2つを設ける構成としている。
【0020】
回転手段13の上部には、回転軸15を駆動するためのモータ17を備え、回転手段13の下部には、モータ17の駆動により高速回転する回転軸15および複数の回転板16a,16bを支えるための保持部(図示せず)を備えている。
【0021】
筒状の経路12の内壁には、内壁に付着した液体を下方の回転板16bへと供給する下供給手段18として、図5に示す、環状形状の貯水手段19および水路20を設けている。
【0022】
また図4の下供給手段18は、筒状の経路12の内壁に付着した液体を下方の回転板16bへと供給するために、本実施の形態では、上方の回転板16aと下方の回転板16bとの間に、筒状の経路12の内壁に沿って図5に示す貯水手段19を設け、この貯水手段19から下方の回転板16bへと液体を供給する水路20を設ける構成とする。
【0023】
複数の水路20は、図5に示すように、貯水手段19の三方から筒状の経路12の中心に向かって伸びる形状で、環状形状となった貯水手段19に対し、等間隔に設けており、図6に示すように、各水路20から下方の回転板16bへの液体供給位置(b)は、上方の回転板16aへの液体供給位置(a)より外側としている。
【0024】
次に、液体微細化手段9を経由しない加熱用の風路(矢印B)構成を説明する。
【0025】
図3(b)の矢印Bで示すように、加熱用の風路は、ファンモータ8bからケーシング10bとダクト11bを経由し、排気チャンバー21内で、加湿用の風路(矢印A)と合流し、排気口5から排出される。なお、本実施の形態では、ファンモータ8aとファンモータ8bは、2ファン1モータで構成している。
【0026】
以上の構成において、次に動作(加湿用)を説明する。
【0027】
サウナ室1内において、サウナを使用する場合、まず、図示していないガス湯沸かし器や電気温水器等の熱源から、図1に示すパイプ22を介し、図2に示す熱交換器7に温水が供給される。
【0028】
この状態で、熱交換器7が運転され、図3(a)(b)に示すファンモータ8a、ファンモータ8bが駆動されると、ファンモータ8aが吸込口4を介してサウナ室1内の空気を吸い込み、吸い込まれた空気は熱交換器7によって加熱される。
【0029】
加熱された空気は、ファンモータ8aによって、ケーシング10aとダクト11aを介して、筒状の経路12の下側開口へと送られるとともに、ファンモータ8bによって、ケーシング10bとダクト11bを介して、排気チャンバー21に送られる。
【0030】
一方、モータ17が駆動されると、回転軸15が高速回転し、それにともない回転板16aおよび回転板16bが高速回転される。
【0031】
このとき、給水管14は、高速回転する上方の回転板16aの上面の中央近傍に水を供給する。上方の回転板16aに供給された水は、高速回転による遠心力によって外周方向に向かって薄膜状に広がり、この薄膜状になった水は、上方の回転板16aの外周縁から接線方向へと高速で吹き飛ばされる。
【0032】
このように、上方の回転板16aから遠心力で飛散し微細化された水の一部は、筒状の経路12の内壁に衝突して破砕され、水の微細化が加速される。
【0033】
このように、給水管14から上方の回転板16aの上面に供給された水は、この時点で大部分が微細化され、筒状の経路12の下側開口から流入した加熱された暖かい空気と混ざって蒸気の状態となり、筒状の経路12の上側開口から流出する。
【0034】
一方、上方の回転板16aの回転によって筒状の経路12の内壁に衝突しても微細化されずに筒状の経路12の内壁に付着したわずかな水滴や、微細化された後に内壁において結露した微量の水滴は、筒状の経路12の内壁を伝って、貯水手段19に流れ落ち、貯水される。貯水手段19に貯まったわずかな水は、貯水手段19の底部に設けた傾斜により各水路20に向かって流れ、水路20を介して、貯水手段19の三方向から、下方の回転板16bへと運ばれる。
【0035】
このとき、貯水手段19に貯まったわずかな水は、図5の貯水手段19外周の矢印で示すように、貯水手段19の底部は、水路20側に下方への傾斜、すなわち貯水手段19の水路20接続部間のほぼ中央の底部を高くして、水路20接続部の底部が低くなるように傾斜を設けてあるため、貯水手段19から各水路20へ水が流れやすくなり、貯水手段19内に滞留する水を少なくでき、液体微細化手段9に残った熱によって自然に乾燥できる。
【0036】
また、図6に示すように、水路20から下方の回転板16bへの水供給位置bを、上方の回転板16aへの水供給位置aより外側にするのが好ましい。
【0037】
すなわち水路20は水が自然に流れるように傾斜しており、この水路20を短くした構成により、上方の回転板16aと下方の回転板16bの間隔を小さくできるため、同じスペース内で回転板(16a、16b)の枚数を増加でき、供給した水の微細化をより完全に行うことができる。
【0038】
さらに、回転板(16a、16b)の枚数を増加することで、給水管14からの供給水量を多くしたい場合にも対応できる。
【0039】
本構成は、特に浴室の天井裏など、限られたスペースに液体微細化装置を設置する場合に有効である。
【0040】
しかし、下方の回転板16bへの温水供給位置が外側になっているため、上方の回転板16aに比べ外周縁までの距離が短く、高速回転による遠心力によって外周方向へ薄膜状に広がる面積が狭くなり、薄膜状で下方の回転板16bの外周縁から接線方向へと高速で吹き飛ばされる水量が少なくなるため、単位時間当たりの供給水量を少なくしなければならない。
【0041】
そのため、図5に示すように、水路20を複数設ければ、各水路20から供給する水による薄膜状の面積は狭くても、3水路合計できるため薄膜状に広がる面積を広くでき、単位時間当たりの供給水量を少なくする必要がなく、薄膜状で下方の回転板16bの外周縁から接線方向へと高速で吹き飛ばされる水量を多くできる。
【0042】
さらに複数の水路20を、環状形状となった貯水手段19に対し等間隔に設けることにより、各水路20から下方の回転板16bへ供給された水による、下方の回転板16b上での薄膜の広がりが重ならず、薄膜状で下方の回転板16bの外周縁から接線方向へと高速で吹き飛ばされる水量を多くできる。
【0043】
また、貯水手段19に貯まったわずかな水を下方の回転板16bへ流すため、水路20の底部を、前記貯水手段側から前記回転軸へ向かって、前記下方の回転板16b側へ、1〜10°傾斜させることが好ましい。この傾斜角は大きすぎると、回転板の間隔を大きくする必要があり、設置面の水平性を考慮すると、5〜10°がより好ましい。
【0044】
また、微細化終了時において、供給した水をほぼすべて微細化するためには、上方の回転板16aより下方の回転板16bの外周縁から接線方向へと高速で吹き飛ばされる水に対し、乾燥空気を当てる、すなわち、図2の矢印Aに示すように、送風手段としてのファンモータ8aにより、筒状の経路12内を下から上へ空気を流すのが好ましい。
【0045】
また、図5に示す水路20を構成する両側の側面は、それぞれ水路外へと傾斜させることが好ましい。これにより、筒状の経路12内の下から上への空気の流れに対する抵抗を少なくでき、筒状の経路12内の圧力損失を低減できる。ここで水路20の垂直断面はU字形状でもよく、両側の側面の傾斜は、U字の最下端を起点に両側の側面を構成しているので、両側の側面は傾斜していると言える。
【0046】
また、貯水手段19と水路20を一体で構成すれば、部品点数が少なく精度良く製造することができる。
【0047】
このように、上方の回転板16aに供給された温水は、上方の回転板16aが高速回転することによって大部分が微細化されるのに加え、わずかに残った微細化されなかった一部の水滴も、筒状の経路12に設けた下供給手段18を介して、高速回転する下方の回転板16bへと運ばれ、上方の回転板16aと同様に下方の回転板16bが高速回転することにより、微細化が行われる。
【0048】
すなわち、筒状の経路12の内壁から、貯水手段19および水路20を介して、下方の回転板16bに供給されたわずかな水滴は、高速回転による遠心力で下方の回転板16bの外周方向に向かって薄膜状に広がって、外周縁から接線方向へと高速で吹き飛ばされ、吹き飛ばされた水滴が筒状の経路12の内壁に衝突して破砕され、水の微細化が促進されるとともに、筒状の経路12内を下から上へ流れる高温低湿の乾燥空気と混合し、ほぼ完全に微細化される。
【0049】
一方、筒状の経路12の下側開口から液体微細化手段9へ流入した高温低湿の乾燥空気は、まず下方の回転板16bの外周縁から接線方向へと高速で吹き飛ばされた水と接触し、水を微細化して、湿度が上昇するとともに、気化熱を奪われ、温度は少し下がった空気となる。
【0050】
次に筒状の経路12内を下から上へ上昇し、上方の回転板16aの外周縁から接線方向へと高速で吹き飛ばされた水と接触し、水を微細化して、さらに湿度が上昇するとともに、さらに気化熱を奪われ、温度の低下した空気となる。
【0051】
このように、上方の回転板16aおよび下方の回転板16bの高速回転によって微細化された温水を含む高湿の空気は、図3(b)に示すように、ファンモータ8aの送風によって、筒状の経路12の上部開口から排気チャンバー21に送られ、排気チャンバー21内で、加熱用の風路(矢印B)を通ってきた高温乾燥空気と混合することにより、気化熱により低下した温度が上がり、排気口5からサウナ室1の内部へ供給される。
【0052】
また、このサウナ運転を中断あるいは停止した場合には、ファンモータ8a、ファンモータ8bと回転手段13の回転および給水管14からの給水が停止する。そのときには、給水管14からそれまでに供給された水は、上方の回転板16aおよび下方の回転板16bの高速回転によって、ほぼすべて微細化されている。
【0053】
以上のような構成と動作によれば、上述のとおり、図4に示すように、高速回転する回転手段13とこの回転手段13に液体を供給する給水管14とを備え、回転手段13において上方の回転板16a,下方の回転板16bを軸方向に備える構成としたことにより、上方の回転板16aでは微細化されなかった、わずかに残った液体を、下方の回転板16bによって微細化することができるため、供給された液体を段階に分けて、ほぼ完全に微細化することが可能となるという効果を奏する。非微細化液体がわずかに残ったとしても、特別に排出せずとも液体微細化手段9に残った熱によって自然に乾燥できる程度の分量となる。
【0054】
また、液体供給手段としての給水管14から液体が供給される上方の回転板16a、下方の回転板16bの外周に筒状の経路12を設け、この筒状の経路12の内壁に付着した微細化されなかった液体を、下方の回転板16bへと供給する下供給手段18を設ける構成としたことにより、上方の回転板16aから飛散して筒状の経路12の内側に付着したわずかな非微細化液体を回転手段13に戻し、下方の回転板16bによってほぼ完全に微細化することが可能となるため、供給したすべての温水を効率よく微細化することが可能となるという効果を奏する。
【0055】
また、図4〜図6に示す下供給手段18は、筒状の経路12の内壁に設けた貯水手段19と、この貯水手段19の三方から下方の回転板16bへと液体を供給する水路20を備えた構成としたことにより、上方の回転板16aから吹き飛ばされ、筒状の経路12の内側に付着した非微細化液体を貯水手段19に貯めて、そこに貯めた温水を、水路20を介して、高速回転する下方の回転板16bに戻すことによって、給水管14から供給した温水を確実に集めて、ほぼ完全に微細化することが可能となる。
【0056】
また、図6に示すように、水路20から下方の回転板16bへの水供給位置を、上方の回転板16aへの水供給位置より外側にした構成により、上方の回転板16aと下方の回転板16bの間隔を小さくできるため、同じスペース内で回転板の枚数を増加でき、供給した水の微細化をより完全に行うことができる。
【0057】
また、図5に示すように、水路20を複数設けることにより、下方の回転板16b上で薄膜状に広がる面積を広くでき、薄膜状で下方の回転板16bの外周縁から接線方向へと高速で吹き飛ばされる水量を多くでき、供給した温水の微細化をより完全に行うことができる。
【0058】
さらに複数の水路20を、環状形状となった貯水手段19に対し等間隔に設けることにより、各水路20から下方の回転板16bへ供給された水による、下方の回転板16b上での薄膜の広がりが重ならず、薄膜状で下方の回転板16bの外周縁から接線方向へと高速で吹き飛ばされる水量を多くでき、供給した温水の微細化をより完全に行うことができる。
【0059】
なお、本実施の形態では、水路20を3本設けた構成としたが、水路20から下方の回転板16bへの水供給位置が外周に近づくに従い、薄膜状に広がる面積を広くするためには、水路数を多くしなければならない。しかし、あまり多くすると薄膜の広がりが重なり、薄膜状で下方の回転板16bの外周縁から接線方向へと高速で吹き飛ばされる水量を多くできないとともに、通風路を遮るため、水路数3〜6本が好ましい。
【0060】
また、貯水手段19の底部は、水路20側に下方への傾斜を設けてあるため、各水路20へほとんどの水を流せ、貯水手段19内に滞留する水を少なくでき、液体微細化手段9に残った熱によって自然に乾燥できるという効果を奏する。
【0061】
また、図(a)(b)に示すように、送風手段としてのファンモータ8aにより、筒状の経路12内を下から上へ空気を流すことにより、下方の回転板16bの外周縁から接線方向へと高速で吹き飛ばされる水に対し、より高温で乾燥した空気を当てることができるため、供給した水の微細化をより完全に行うことができる。
【0062】
また、水路20を構成する両側の側面を、それぞれ水路外へと傾斜させた構成とすることにより、筒状の経路12内の下から上への空気の流れに対する抵抗を少なくでき、筒状の経路12内の圧力損失を低減できるという効果を奏する。
【0063】
また、本体ケース6内の吸込口4と排気口5を結ぶ風路を分岐させ、一方の風路にのみ液体微細化手段9を設けた構成とすることにより、液体微細化手段9を経由する加湿用の風路からの空気と、液体微細化手段9を経由しない加熱用の風路からの空気を排気チャンバー21内で混合でき、適度な温湿度の空気を排気口5からサウナ室1の内部へ供給することができるという効果を奏する。
【0064】
また、水路20の底部を、貯水手段19側から回転軸15へ向かって、下方の回転板16b側へ、1〜10°傾斜させることにより、貯水手段19に貯まったわずかな水を下方の回転板16bへ自然に流すことができる。
【0065】
また、貯水手段19と水路20を一体で構成すれば、部品点数が少なく精度良く製造することができる。
【0066】
なお、図4と図6に示す突起23は、水が筒状の経路12の内壁に衝突する際に、微細化を促進するために設けられている。
【0067】
なお、複数の回転板16a,16bの回転数は、3000rpm(rpmは毎分の回転数を表す単位)より低い回転数とすることにより、高速回転による騒音を抑えることが可能となるという効果を奏する。
【0068】
なお、給水管14から供給する水は温水でもよく、給水管14から60g/分以下で供給する構成とすると、供給した水あるいは温水を、上方の回転板16aおよび下方の回転板16bによって3000rpmの回転数において、ほぼ完全に微細化することが可能となるという効果を奏する。
【0069】
このように、上記の液体微細化装置3をサウナ室1に設置してサウナ装置として利用した場合、供給した液体をほぼ完全に微細化することができ、わずかに残った非微細化液体を特別に排出せずとも、液体微細化手段9に残った熱によって自然に乾燥できる程度の分量となるので、微細化できなかった温水を排水として処理するための配管施工の工事が不要となり、結果として、サウナ装置の施工作業が簡単になるという効果を奏する。
【0070】
しかも、液体供給手段は、上方の回転板に液体を供給する上供給手段と、下方の回転板に液体を供給する下供給手段とを有し、この下供給手段は、前記筒状の経路の内壁に設けた貯水手段と、この貯水手段から下方の回転板へ液体を供給する水路とを有し、この水路から下方の回転板への液体供給位置は、上方の回転板への液体供給位置より外側である構成とすることにより、水路が短くなるため、回転板の間隔を小さくでき、回転板の数量を増やしても液体微細化装置の小型化が実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
以上のように、本発明の液体微細化装置は、液体を効率よく、ほぼ完全に微細化することが可能となるため、微細化されなかった液体を特別に排出しなくても自然に乾燥させることもできるので、排液手段を別途設ける必要のないものとなる。
【0072】
したがって、例えば、サウナ装置、加湿装置、冷却装置、噴霧装置、洗浄装置、植物育成設備等への活用が期待される。また、温水だけでなく、油や洗剤等のその他の液体の微細化設備にも利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の実施の形態における液体微細化装置を用いたサウナ装置の斜視図
【図2】同液体微細化装置の垂直断面の構成図
【図3】(a)同液体微細化装置の内部(加湿用風路)の斜視図、(b)同液体微細化装置の内部(加熱用風路)の斜視図
【図4】同液体微細化手段の垂直断面の構成図
【図5】同下供給手段の斜視図
【図6】同液体微細化手段の構成を示す斜視図
【符号の説明】
【0074】
4 吸込口
5 排気口
6 本体ケース
7 熱交換器
8a、8b ファンモータ
9 液体微細化手段
10a、10b ケーシング
11a、11b ダクト
12 筒状の経路
13 回転手段
14 給水管
15 回転軸
16a、16b 回転板
17 モータ
18 下供給手段
19 貯水手段
20 水路
21 排気チャンバー
22 パイプ
23 突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込口と排気口を有する本体ケースと、この本体ケース内の前記吸込口と前記排気口を結ぶ風路に設けた加熱手段および送風手段と、この送風手段と前記排気口間の風路内に設けた液体微細化手段とを備え、前記液体微細化手段は、上下方向に開口した筒状の経路と、この筒状の経路内に設けた、回転手段と、この回転手段に液体を供給する液体供給手段とを有し、前記回転手段は、上下方向に向けて配置した回転軸と、この回転軸の軸方向に所定間隔で固定した複数の回転板とを有し、前記液体供給手段は、上方の回転板に液体を供給する上供給手段と、下方の回転板に液体を供給する下供給手段とを有し、この下供給手段は、前記筒状の経路の内壁に設けた貯水手段と、この貯水手段から下方の回転板へ液体を供給する水路とを有し、この水路から下方の回転板への液体供給位置は、上方の回転板への液体供給位置より外側である液体微細化装置。
【請求項2】
水路を複数設けた請求項1に記載の液体微細化装置。
【請求項3】
水路は、環状形状となった貯水手段に対し、等間隔に設けた請求項2に記載の液体微細化装置。
【請求項4】
送風手段により、前記筒状の経路内を下から上へ空気を流す請求項1から3のいずれかに記載の液体微細化装置。
【請求項5】
水路を構成する両側の側面は、その上端がそれぞれ水路外へと傾斜させた請求項4に記載の液体微細化装置。
【請求項6】
本体ケース内の前記吸込口と前記排気口を結ぶ風路を分岐させ、一方の風路にのみ液体微細化手段を設けた請求項1から5のいずれかに記載の液体微細化装置。
【請求項7】
貯水手段の底部は、前記水路側に下方への傾斜を設けた請求項1から6のいずれかに記載の液体微細化装置。
【請求項8】
水路の底部は、前記貯水手段側から前記回転軸へ向かって、前記下方の回転板側へ、1〜10°傾斜させた請求項1から7のいずれかに記載の液体微細化装置。
【請求項9】
貯水手段と水路を一体で構成とした請求項1から8のいずれかに記載の液体微細化装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一つに記載の液体微細化装置をサウナ室に設置したサウナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−179011(P2010−179011A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−26901(P2009−26901)
【出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】