説明

液体微細化装置とそれを用いたサウナ装置

【課題】本発明は、液体微細化装置とそれを用いたサウナ装置に関するもので、タンク内に貯めた液体を循環させるためのポンプ等の動力を使用せずタンク内に貯めた液体を循環させ、簡単な構成で複数の回転する円板の上面に液体を供給することを目的とする。
【解決手段】液体微細化手段9は、上方および下方に開口部を有する筒状の経路12と、筒状の経路12内に設けた回転手段13と、回転手段13に液体を供給する定流量弁15を有する液体供給手段と、筒状の経路12の下部に貯水部26を有し、回転手段13は、上下方向に向けて配置した回転軸19と、回転軸19を回転させる回転モータ21と、回転軸19に固定されるとともに貯水部26から水を吸上げる揚水管22と、この外面の回転軸19の軸方向に所定間隔で固定された複数の回転板20a〜20cを設け、定流量弁15上流側近傍で定流量弁15に供給する液体を加熱する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体微細化装置とそれを用いたサウナ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、サウナ装置に用いられる液体微細化装置の構成は、次のような構成となっていた。
【0003】
すなわち、給気口と排気口を有する本体ケースと、この本体ケース内の風路に設けた送風手段と、この送風手段と排気口間に設けた液体微細化手段とを備え、前記液体微細化手段は、タンク内に液体を貯め、その貯めた液体をポンプにより回転する円板の上面に供給し、円板上に薄く広がった液体を遠心力により外方に飛散させて微細化させる構成となっていた(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−118068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来例で課題となるのは、タンク内に液体を貯め、複数の回転する円板の上面に液体を供給するため、装置外にポンプ等の動力と各円板に液体を供給するための配管が必要であるということである。
【0006】
すなわち、従来の液体微細化装置は、上述のごとく、タンク内に貯めた液体を循環させて回転する円板の上面に液体を供給しているが、循環のためにポンプ等の動力及び円板の枚数に応じた液体の供給管が必要となり、装置内外とも部品の点数が多くなり、複雑な構成になるという課題があった。
【0007】
そこで本発明は、タンク内に貯めた液体を循環させるためのポンプ等の動力を使用せずタンク内に貯めた液体を循環させ、簡単な構成で複数の回転する円板の上面に液体を供給することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そして、この目的を達成するために本発明は、吸込口と排気口を有する本体ケースと、この本体ケース内の前記吸込口と前記排気口を結ぶ風路に設けた加熱手段および送風手段と、この送風手段と前記排気口間の風路内に設けた液体微細化手段とを備え、前記液体微細化手段は、垂直方向に配置され、上方開口部および下方開口部を有する筒状の経路と、この筒状の経路内に設けた回転手段と、この回転手段に液体を供給する液体供給手段と、前記筒状の経路の下部に設けた貯水部とを有し、前記回転手段は、上下方向に向けて配置した回転軸と、この回転軸を回転させる回転モータと、前記回転軸に固定されるとともに前記貯水部から水を吸上げる揚水管と、この揚水管の外面に、前記回転軸の軸方向に所定間隔で固定された複数の回転板とを有し、前記液体供給手段は、液体を移送し、前記上方の回転板に液体を供給する給水管と、この給水管途中に配した定流量弁と、この定流量弁の上流側に設けた給水弁を有し、この定流量弁上流側近傍で前記定流量弁に供給する液体を加熱することを特徴とし、上記目的を達成している。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、本発明は、揚水管を回転板と同じ回転モータで回転させることにより、貯水部に溜まった水を吸上げるとともに、上方の回転板と下方の回転板の間に開口から吸上げた水を回転板に供給でき、結果として、揚水管がポンプの循環の役目と回転板への液体供給を兼ねており、簡単な構成で、液体の循環と回転板への液体供給を実現させることができる。
【0010】
さらに、定流量弁上流側近傍で前記定流量弁に供給する液体を加熱できる構成にすることにより、高速で回転する回転手段に微細化に必要な最低限の液体をほぼ定量供給できるので、結果として、液体微細化手段内の保有水量を一定にでき、安定した液体微細化が可能となる。
【0011】
つまり、定流量弁の精度は流れる液体の温度に左右され、特に低温時に精度が悪い。そこで本発明では、定流量弁に供給する液体を加熱することにより精度の高い範囲で定流量弁を使用できるので、高速で回転する回転手段に微細化に必要な最低限の液体をほぼ定量供給でき、微細化終了時における残水量も一定となり、その結果として、微細化終了後に行う装置内の残水をなくす乾燥運転も一定時間で行えるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態における液体微細化装置を用いたサウナ装置の斜視図
【図2】同液体微細化装置の垂直断面の構成図
【図3】(a)同揚水管の側面を示す構成図、(b)同揚水管の構成を示す斜視図、(c)同揚水管のA−A断面を示す構成図、(d)同揚水管のB−B断面を示す構成図
【図4】定流量弁の特性を示すグラフ
【図5】本発明の実施の形態における配管加熱構成を示す斜視図
【図6】本発明の実施の形態における他の配管加熱構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0014】
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態における液体微細化装置を用いたサウナ装置の斜視図であり、この図1に示すように、サウナ室1の天井面2には、液体微細化装置3が取り付けられている。以下、本実施の形態では、微細化する液体を水として説明する。
【0015】
液体微細化装置3は、図2に示すように、吸込口4と排気口5を有する本体ケース6と、この本体ケース6内の吸込口4と排気口5とを結ぶ風路に設けた加熱手段としての熱交換器7および送風手段としてのファンモータ8と、このファンモータ8と排気口5との間に設けた液体微細化手段9とを備えた構成としている。
【0016】
また、ファンモータ8から液体微細化手段9へ通じる風路は、ファンケーシング10により形成され、液体微細化手段9と排気口5の間に補助熱交換器11を設けている。
【0017】
液体微細化手段9は、図2に示すように、筒状の経路12と、この筒状の経路12の内部に設けた回転手段13と、この回転手段13に水を供給する液体供給手段としての給水管14を備える。この給水管14には定流量弁15を設け、この定流量弁15の上流側配管16は筒状の経路12に接触するように配している。さらに給水弁17が上流側配管16に設けられている。
【0018】
回転手段13は、上下方向に向けて配置した回転軸19と、この回転軸19の上部に配置されるとともに、この回転軸19を駆動するための回転モータ21と、回転軸19の下部に配置されるとともに、逆円錐状となった揚水管22と、この揚水管22の外面の上下方向に所定間隔で固定して設けた複数の回転板20a,20b、20cとにより構成されている。
【0019】
なお、前記複数の回転板20a,20b、20cは、回転軸19の軸方向(上下方向)に、上方から下方に向けて順に、回転板20a、回転板20b、回転板20cとして配置している。
【0020】
したがって、回転軸19を中心として揚水管22と、複数の回転板20a、20b、20cが、回転モータ21によって回転駆動されるようになっている。
【0021】
回転板20a、回転板20b、回転板20cは、何れも水平方向に配置されており、この内、回転板20a、回転板20bの間、及び回転板20b、回転板20cの間には、揚水管22で揚水した水を下方の回転板20b、回転板20cへ落下させる当て板23を環状に設けている。
【0022】
なお、環状の当て板23は、筒状の経路12の内壁からの複数の支持棒24で支持されている。
【0023】
また、図3に示すように、前記揚水管22の回転板20a、回転板20bの間部分には、揚水した水を回転による遠心力で噴出させる水平方向に長い開口25aを所定角度で2個配置している。
【0024】
また、前記揚水管22の回転板20b、回転板20cの間部分には、揚水した水を回転による遠心力で噴出させる水平方向に長い開口25bを所定角度で2個配置している。
【0025】
なお、2個の開口25aの開口方向は180度の位置で、また2個の開口25bの開口方向は180度の位置となっており、さらに隣接する開口25a、25bの開口方向は90度の位置となっている。
【0026】
また、各開口25a、25bの中心角θは90度であり、その結果として、揚水管22の内面側で揚水した水を、揚水管22の外周方向360度、つまり全周に噴出させることができる。
【0027】
また、筒状の経路12の下部には図2に示すごとく貯水部26を設けているが、この貯水部26は、揚水管22で揚水できない水量、すなわち微細化運転終了時の貯水部26の貯水量が少なくなるよう、筒状の経路12の下部おいて、例えば逆台形の形状(下方に凸)としている。
【0028】
以上の構成において、次に動作を説明する。
【0029】
サウナ室1内において、サウナを使用する場合、まず、図示していないガス湯沸かし器や電気温水器等の熱源から、図1に示すパイプ27を介し、図2に示す熱交換器7に温水が供給される。また、給水管14へは配管28により市水が供給される。給水管14に供給される市水は、極めて少量であって、この時点では、給水管14から排出されていない。
【0030】
この状態で、熱交換器7が運転され、ファンモータ8が駆動されると、ファンモータ8が吸込口4を介してサウナ室1内の空気を吸い込み、吸い込まれた空気は熱交換器7によって加熱される。加熱された空気は、ファンモータ8によって、ファンケーシング10を介して、筒状の経路12へと送られる。
【0031】
一方、回転モータ21が駆動されると、回転軸19が高速回転し、それにともない回転板20aおよび回転板20b、回転板20c、および揚水管22が高速回転される。
【0032】
このとき、給水管14は、高速回転する上方の回転板20aの上面の回転軸19に近い位置に、定流量弁15で設定された流量の水を供給する。上方の回転板20aの上面に供給された水は、高速回転による遠心力によって外周方向に向かって薄膜状に広がり、この薄膜状になった水は、回転板20aの外周縁から接線方向へと高速で吹き飛ばされる。
【0033】
このように、遠心力で飛散した水滴は、筒状の経路12の内壁に衝突して破砕され、水の微細化が促進される。
【0034】
そして、給水管14から上方の回転板20aの上面に供給された水は、この時点で大部分が微細化され、前述の加熱された暖かい空気と混ざって蒸気の状態となっている。
【0035】
一方、上方の回転板20aから遠心力により飛散した水滴のうち、微細化されずに筒状の経路12の内壁に付着したわずかな水滴や、微細化された後に内壁において結露した微量の水滴は、筒状の経路12の内壁を伝って、貯水部26に流れ落ち、貯水される。
【0036】
このとき、貯水部26の上方では前記回転モータ21によって揚水管22が回転している。このため、貯水部26の貯水量が増え、水面が揚水管22の下端に近づくと、貯水部26の貯水は水面上の空気と一緒に揚水管22内に巻き上げられ、揚水管22の内壁を伝って上方へ移動していく。
【0037】
すなわち、この揚水管22は、上述のごとく逆円錐状となっているので、内部には吸引力が働くようになっている。このため、貯水部26の貯水は水面上の空気と一緒に巻き上げられ、揚水管22の内壁を伝って上方へ移動していく。
【0038】
そして揚水管22の内壁を伝って上方へ移動した水は、まず、回転板20b、回転板20cの間の開口25bから回転による遠心力で噴出し、環状に設けられた当て板23に当たり、回転板20cへ落下する。
【0039】
回転板20cへ落下した水は、上方の回転板20aの上面に供給された水と同様に、高速回転による遠心力によって外周方向に向かって薄膜状に広がり、この薄膜状になった水は、回転板20cの外周縁から接線方向へと高速で吹き飛ばされる。
【0040】
このように、遠心力で飛散した水滴は、筒状の経路12の内壁に衝突して破砕され、水の微細化が促進される。
【0041】
また揚水管22の内壁を伝って上方へ移動し、開口25bから噴出しなかった水は、回転板20a、回転板20bの間の開口25aから回転による遠心力で噴出し、環状に設けられた当て板23に当たり、回転板20bへ落下する。
【0042】
回転板20bへ落下した水は、上方の回転板20aの上面に供給された水と同様に、高速回転による遠心力によって外周方向に向かって薄膜状に広がり、この薄膜状になった水は、回転板20bの外周縁から接線方向へと高速で吹き飛ばされる。
【0043】
このように、遠心力で飛散した水滴は、筒状の経路12の内壁に衝突して破砕され、水の微細化が促進される。
【0044】
このとき揚水管22の内壁を伝って上方へ移動する水は、回転モータ21が高速回転しているため、螺旋状に旋回して上方へ移動するのではなく、内壁全周において略均一な状態で真上に移動していく。
【0045】
すなわち、回転板20a、回転板20bの間、及び回転板20b、回転板20cの間に2個ずつ設けられた水平方向に長い開口25a、25bの位置を、周方向で同じ位置に設けた場合、揚水管22の内壁を伝って上方へ移動してきた水は最初の開口25bから噴出し、上側の開口25aへは水が上がって来なくなる。
【0046】
このため、前述の図3で説明したように、各回転板20a〜20cの間で水を噴出させる方向が異なるように、上述のごとく開口25a、25bの位置を周方向にずらしている。
【0047】
このように、揚水管22で揚水した水も、上方の回転板20aに供給した水と同様、ほとんど全て微細化され、加熱された暖かい空気と混ざって蒸気の状態となって上方の開口から排出されるが、一部は、微細化されずに筒状の経路12の内壁に付着したわずかな水滴や、微細化された後に内壁において結露した微量の水滴となり、これらの水滴が、筒状の経路12の内壁を伝って、貯水部26に流れ落ち、貯水される。
【0048】
このとき、揚水管22で揚水した水も、上方の回転板20aに供給した水と同様、ほぼ完全に微細化されるためには、給水管14から高速回転する上方の回転板20aの上面に供給する水の量が問題となる。すなわち、回転板20a〜20cの枚数や回転モータ21の回転数等により決定される、液体微細化手段9の微細化能力により、微細化できる水の量は設定され、たとえば30cc/minである。
【0049】
しかし、定流量弁15は水温や水圧により流量にバラツキを生じるため、貯水部26での貯水量及び揚水管22での揚水量にバッファ機能を持たせているが、安定した液体微細化を行うためには、定流量弁15からの供給水量のバラツキをなくす必要がある。
【0050】
このバラツキの要因は、特に水温で、すなわち定流量弁15の精度は水温に左右され、その要因は水の粘性係数の温度依存性にあると考えられる。
【0051】
図4に水の温度と水の粘性係数及び水量の関係を示す。実線が水の粘性係数、破線が水量で、水量は定流量弁15を水温40℃で30cc/minと設定した時の定流量弁15を流れる水量である。図4のグラフから明らかなように、水の粘性係数は、低水温時での変化は大きく、水温が高くなるにつれて、変化は小さくなり、定流量弁15を流れる水量も、同様の傾向を示している。
【0052】
このような定流量弁15の温度依存性を考慮すれば、定流量弁15に供給する水の温度は高い方がよく、グラフに示すように水温40℃で給水管14から30cc/minを上方の回転板20aの上面に供給する場合、水温が1℃変化しても供給水量はほとんど変わらない。
【0053】
このように、定流量弁15に供給する水の温度を高くする必要があるため、図2に示すように、定流量弁15の上流側配管16を排気口5近傍の筒状の経路12の外面に接触するように配している。この場合、筒状の経路12内を通過する温風を熱源として定流量弁15に供給する水を加熱している。
【0054】
すなわち、排気口5からサウナ室1の内部へ供給される微細化水を含む温風は50〜60℃と暖かく、排気口5近傍の筒状の経路12の外面も温められているため、定流量弁15の上流側配管16を排気口5近傍の筒状の経路12の外面に接触するように配することにより、定流量弁15に供給する水を加熱することができる。さらに温風温度は安定しており、加熱した水温もほぼ一定にできるため、定流量弁15の精度をより向上できる。
【0055】
定流量弁15の上流側配管16を排気口5近傍の筒状の経路12の外面に接触するように配する例を図5に示す。
【0056】
図5に示すように、上流側配管16は排気口5近傍の筒状の経路12の外面に接触させ、下から上へ、U字状に2往復させている。この往復回数、すなわち接触させる部分の長さは、必要加熱量の最大値から決定され、供給水温が最低となる冬場の例えば5℃から加熱する場合でも設定温度まで加熱できるよう、決定される。
【0057】
また、図2に示す、補助熱交換器11を液体微細化手段9と排気口5の間に設けることにより、排気口5からサウナ室1の内部へ供給される微細化水を含む温風の温度を高めることができるので、筒状の経路12を介しての、温風から上流側配管16内への単位面積当たりの熱交換量を増やせるため、定流量弁15に供給する水を短時間で加熱することができる。すなわち、上記の接触させる部分の長さを短くできる。
【0058】
以上のように、定流量弁15に供給する水を温風を熱源として加熱することにより精度の高い範囲で定流量弁15を使用できるので、高速で回転する回転手段13に微細化に必要な最低限の水をほぼ定量供給でき、液体微細化手段内の保有水量を一定にでき、安定した液体微細化が可能となるとともに、微細化終了時における残水量も一定となり、その結果として、微細化終了後に行う乾燥運転も一定時間で行えるという効果を奏する。
【0059】
次に、温水を熱源として、定流量弁15に供給する水を加熱する例を図6の配管構成を示す図で説明する。図2と同様の構成は同じ番号を付し、詳細な説明は省略する。
【0060】
図6では、図2では図示しなかった、水−水熱交換器31とスプラッシュノズル32を備え、温水循環設備33であるガス湯沸かし器や電気温水器からの温水を、熱交換器7、補助熱交換器11および水−水熱交換器31で熱交換させ、この熱交換後の温水を熱源として、定流量弁15に供給する水を加熱している。一方、市水配管は分岐管で定流量弁15と水−水熱交換器31に供給されている。
【0061】
ここで、水−水熱交換器31とスプラッシュノズル32を備えることにより、この水−水熱交換器31にて加熱された温水をスプラッシュノズル32からサウナ室1へ噴霧でき、室内には水滴をほとんど供給しない加湿運転に対し強制的に水を噴霧するスプラッシュ運転もできる液体微細化装置である。
【0062】
以上の構成において、次に動作を説明する。
【0063】
温水循環設備33から出た温水は、補助熱交換器11までの経路途中で分配され、一部の温水は水−水熱交換器31へ供給され、水−水熱交換器31内ではスプラッシュノズル32へ供給される水を加熱している。また、補助熱交換器11で微細化水を含む空気を加熱した温水は、次に熱交換器7へ送られ、熱交換器7内でサウナ室から吸い込んだ空気を加熱する。この熱交換器7を出た温水は水−水熱交換器31内で熱交換した温水と合流し、温水循環設備33へ戻り、温水循環設備33内で再加熱され、循環利用される。
【0064】
一方、定流量弁15に供給する市水は、熱交換器7及び水−水熱交換器31内で熱交換した温水が通る配管との熱交換で加熱されている。この加熱のための熱源は温水循環設備33へ戻る温水であり、熱交換器7、補助熱交換器11および水−水熱交換器31の熱交換に影響を与えず、各熱交換器での熱交換量はほぼ一定しているため、定流量弁15に供給する水をほぼ一定温度まで加熱できる。
【0065】
さらに、熱交換器7を出た温水と水−水熱交換器31内で熱交換した温水の合流後の配管と熱交換しており、合流前の熱交換器7を出た温水の配管との熱交換に比べ、温水量が多く、配管同士の少ない接触で定流量弁15に供給する水を加熱できる。
【0066】
以上のように、温水を熱源とした場合も、定流量弁15に供給する水を加熱することにより精度の高い範囲で定流量弁15を使用できるので、高速で回転する回転手段13に微細化に必要な最低限の水をほぼ定量供給でき、液体微細化手段9内の保有水量を一定にでき、安定した液体微細化が可能となるとともに、微細化終了時における残水量も一定となり、その結果として、微細化終了後に行う乾燥運転も一定時間で行えるという効果を奏する。
【0067】
以上、本実施の形態では、上記の液体微細化装置3をサウナ室1に設置してサウナ装置として利用した場合に、定流量弁15に供給する水を定流量弁15上流側近傍で加熱することにより精度の高い範囲で定流量弁15を使用できるので、高速で回転する回転手段13に微細化に必要な最低限の水をほぼ定量供給できる。
【0068】
よって、液体微細化手段9内の保有水量を一定にでき、安定した液体微細化が可能となるとともに、微細化終了時における残水量も一定となり、その結果として、微細化終了後に行う乾燥運転も一定時間で行えるという効果を奏する。さらに、わずかに残った非微細化水を特別に排出せずとも、乾燥運転により残水をなくすことができるので、微細化できなかった水を排水として処理するための配管施工の工事が不要となり、結果として、サウナ装置の施工作業が簡単になるという効果も奏する。
【産業上の利用可能性】
【0069】
以上のように、本発明の液体微細化装置は、定流量弁に供給する水を加熱することにより精度の高い範囲で定流量弁を使用でき、高速で回転する回転手段に微細化に必要な最低限の水をほぼ定量供給できるので、水を効率よく、ほぼ完全に微細化することが可能となり、微細化されなかった水を特別に排出しなくても自然に乾燥させることもできるので、排液手段を別途設ける必要のないものとなる。
【0070】
したがって、例えば、サウナ装置、加湿装置、冷却装置、噴霧装置、洗浄装置、植物育成設備等への活用が期待される。また、水だけでなく、油や洗剤等のその他の液体の微細化設備にも利用することが可能である。
【符号の説明】
【0071】
4 吸込口
5 排気口
6 本体ケース
7 熱交換器
8 ファンモータ
9 液体微細化手段
10 ファンケーシング
11 補助熱交換器
12 筒状の経路
13 回転手段
14 給水管
15 定流量弁
16 上流側配管
17 給水弁
19 回転軸
20a、20b、20c 回転板
21 回転モータ
22 揚水管
23 当て板
24 支持棒
25a、25b 開口
26 貯水部
27 パイプ
28 配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込口と排気口を有する本体ケースと、
この本体ケース内の前記吸込口と前記排気口を結ぶ風路に設けた加熱手段および送風手段と、
この送風手段と前記排気口間の風路内に設けた液体微細化手段とを備え、
前記液体微細化手段は、
垂直方向に配置され、上方開口部および下方開口部を有する筒状の経路と、
この筒状の経路内に設けた回転手段と、
この回転手段に液体を供給する液体供給手段と、
前記筒状の経路の下部に設けた貯水部とを有し、
前記回転手段は、
上下方向に向けて配置した回転軸と、
この回転軸を回転させる回転モータと、
前記回転軸に固定されるとともに前記貯水部から水を吸上げる揚水管と、
この揚水管の外面に、前記回転軸の軸方向に所定間隔で固定された複数の回転板とを有し、
前記液体供給手段は、
液体を移送し、前記上方の回転板に液体を供給する給水管と、
この給水管途中に配した定流量弁と、
この定流量弁の上流側に設けた給水弁を有し、
この定流量弁上流側近傍で前記定流量弁に供給する液体を加熱することを特徴とする液体微細化装置。
【請求項2】
揚水管は、
逆円錐形状で、上方の回転板と下方の回転板の間に水平方向に長い開口(スリット)を有し、吸上げた水をこの開口から外周方向へ噴出し、
前記開口の外側周囲に筒状の経路に支持された環状の当て板を設け、
前記開口から噴出した水を当て板に当て、下方の回転板に落下させることを特徴とする請求項1記載の液体微細化装置。
【請求項3】
回転板は、3枚以上で、
揚水管の開口の周方向の位置を、前記回転板間毎にずらすことを特徴とする請求項2記載の液体微細化装置。
【請求項4】
定流量弁に供給する液体の加熱は、温風を熱源とすることを特徴とする請求項1から3のいずれかにに記載の液体微細化装置。
【請求項5】
定流量弁上流側近傍の配管を、排気口近傍の筒状の経路の外面に接するように設けることを特徴とする請求項4記載の液体微細化装置。
【請求項6】
補助加熱手段を、液体微細化手段の上方向に開口した筒状の経路と排気口との間に設けたことを特徴とする請求項5に記載の液体微細化装置。
【請求項7】
定流量弁に供給する液体の加熱は、温水を熱源とすることを特徴とする請求項1から3のいずれかにに記載の液体微細化装置。
【請求項8】
加熱手段は温水を熱源とし、加熱手段で熱交換した後の温水配管と、定流量弁上流側近傍の配管を接触させることを特徴とする請求項7に記載の液体微細化装置。
【請求項9】
水加熱手段を有し、
加熱手段で熱交換した後の温水と水加熱手段で熱交換した後の温水の合流後の配管と、定流量弁上流側近傍の配管を接触させることを特徴とする請求項7に記載の液体微細化装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一つに記載の液体微細化装置をサウナ室の天井に設けたサウナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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