説明

液体微細化装置とそれを用いたサウナ装置

【課題】本発明は、液体微細化装置とそれを用いたサウナ装置に関するもので、タンク内に貯めた液体を循環させるためのポンプ等の動力を使用せずタンク内に貯めた液体を循環させ、簡単な構成で複数の回転する円板の上面に液体を供給することを目的とする。
【解決手段】液体微細化手段9は、上方および下方に開口部を有する筒状の経路12と、筒状の経路12内に設けた回転手段13と、回転手段13に液体を供給する定流量弁15を有する液体供給手段と、筒状の経路12の下部に貯水部26を有し、回転手段13は、上下方向に向けて配置した回転軸19と、回転軸19を回転させる回転モータ21と、回転軸19に固定されるとともに貯水部26から水を吸上げる揚水管22と、この外面の回転軸19の軸方向に所定間隔で固定された複数の回転板20a〜20cを設け、補助熱交換器11を液体微細化手段9と排気口5との間に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体微細化装置とそれを用いたサウナ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、サウナ装置に用いられる液体微細化装置の構成は、次のような構成となっていた。
【0003】
すなわち、給気口と排気口を有する本体ケースと、この本体ケース内の風路に設けた送風手段と、この送風手段と排気口間に設けた液体微細化手段とを備え、前記液体微細化手段は、タンク内に液体を貯め、その貯めた液体をポンプにより回転する円板の上面に供給し、円板上に薄く広がった液体を遠心力により外方に飛散させて微細化させる構成となっていた(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−118068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来例で課題となるのは、タンク内に液体を貯め、複数の回転する円板の上面に液体を供給するため、装置外にポンプ等の動力と各円板に液体を供給するための配管が必要であるということである。
【0006】
すなわち、従来の液体微細化装置は、上述のごとく、タンク内に貯めた液体を循環させて回転する円板の上面に液体を供給しているが、循環のためにポンプ等の動力及び円板の枚数に応じた液体の供給管が必要となり、装置内外とも部品の点数が多くなり、複雑な構成になるという課題があった。
【0007】
そこで本発明は、タンク内に貯めた液体を循環させるためのポンプ等の動力を使用せずタンク内に貯めた液体を循環させ、簡単な構成で複数の回転する円板の上面に液体を供給することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そして、この目的を達成するために本発明は、吸込口と排気口を有する本体ケースと、この本体ケース内の前記吸込口と前記排気口を結ぶ風路に設けた加熱手段および送風手段と、この送風手段と前記排気口間の風路内に設けた液体微細化手段とを備え、前記液体微細化手段は、上下方向に開口した筒状の経路と、この筒状の経路内に設けた回転手段と、この回転手段に液体を供給する液体供給手段とを有し、前記回転手段は、上下方向に向けて配置した回転軸と、この回転軸を回転させる回転モータと、前記回転軸に固定されるとともに前記貯水部から水を吸上げる揚水管と、この揚水管の外面の、前記回転軸の軸方向に所定間隔で固定された複数の回転板とを有し、前記液体供給手段は、液体を移送し、前記上方の回転板に液体を供給する給水管と、この給水管途中に配した定流量弁と、この定流量弁の上流側に設けた給水弁を有し、補助加熱手段を前記液体微細化手段と前記排気口との間に設けた構成とし、これにより、上記目的を達成している。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、本発明は、揚水管を回転板と同じ回転モータで回転させることにより、貯水部に溜まった水を吸上げるとともに、上方の回転板と下方の回転板の間に開口から吸上げた水を回転板に供給でき、結果として、揚水管がポンプの循環の役目と回転板への液体供給を兼ねており、簡単な構成で、液体の循環と回転板への液体供給を実現させることができる。
【0010】
さらに、補助加熱手段を液体微細化手段と排気口との間に設けた構成にすることにより、高速で回転する回転手段に微細化に必要な最低限の液体を供給して液体を微細化し、微細化しきれなかった液体は、補助加熱手段にて気化させることができるので、結果として、微細化された液体のみを排気口から排出することができる。
【0011】
また、液体微細化手段において気化熱を奪われた微細化空気を加熱することができ、その結果として、サウナ等に必要とされる暖かな微細化空気を提供することができ、快適性を高めることができるという効果を奏する。
【0012】
しかも、液体微細化手段と排気口を結ぶ風路に補助加熱手段を設けた構成とすることにより、液体微細化手段において発生した、液体の噴出音や液体の衝突音、あるいは回転体等による風切り音が、補助加熱手段を通過するので、結果として、排気口から漏れ出る騒音を低減できるという効果も奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態における液体微細化装置を用いたサウナ装置の斜視図
【図2】同液体微細化装置の垂直断面の構成図
【図3】(a)同液体微細化装置の内部(加湿用風路)の斜視図、(b)同液体微細化装置の内部(加熱用風路)の斜視図
【図4】(a)同揚水管の側面を示す構成図、(b)同揚水管の構成を示す斜視図、(c)同揚水管のA−A断面を示す構成図、(d)同揚水管のB−B断面を示す構成図同液体微細化手段の垂直断面の構成図
【図5】本発明の実施の形態2における液体微細化装置の断面構成図
【図6】(a)は同液体微細化装置の加湿運転時の温水系統図、(b)は同液体微細化装置のスプラッシュ運転時の温水系統図、(c)は同液体微細化装置の暖房運転時の温水系統図
【図7】(a)は本発明の実施の形態3における液体微細化装置の加湿運転時および暖房運転時の温水系統図、(b)は同液体微細化装置のスプラッシュ運転時の温水系統図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0015】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態における液体微細化装置を用いたサウナ装置の斜視図であり、この図1に示すように、サウナ室1の天井面2には、液体微細化装置3が取り付けられている。
【0016】
液体微細化装置3は、図2と図3に示すように、吸込口4と排気口5を有する本体ケース6と、この本体ケース6内の吸込口4と排気口5とを結ぶ風路の吸込口4の近傍に設けた加熱手段としての熱交換器7および送風手段としてのファンモータ8aと、このファンモータ8aと排気口5との間に、液体微細化手段9と、この液体微細化手段9と排気口5との間に補助加熱手段としての補助熱交換器11とを備えた構成としている。
【0017】
なお、本実施の形態では、一例として、吸込口4と排気口5とを結ぶ風路は、吸込口4から熱交換器7を通過後、図3(a)に示す、液体微細化手段9を経由する加湿用の風路(矢印A)と、図3(b)に示す、液体微細化手段9を経由しない加熱用の風路(矢印B)の2風路に分岐した構成としている。また、ファンモータ8は1モータ2ファンであり、ファンモータ8aとファンモータ8bで構成している。
【0018】
まず、加湿用の風路(矢印A)構成から説明する。
【0019】
図2に示すように、ファンモータ8aから液体微細化手段9へ通じる風路は、ファンケーシング10により形成されており、矢印Aに示すように、筒状の経路12の下側開口に接続している。
【0020】
そして、液体微細化手段9は、筒状の経路12と、この筒状の経路12の内部に設けた回転手段13と、この回転手段13に水を供給する液体供給手段としての給水管14を備える。この給水管14には定流量弁15を設け、この定流量弁15の上流側配管16は筒状の経路12に接触するように配している。さらに給水弁17が上流側配管16に、開閉弁18が給水管14の分岐管に、それぞれ設けられている。
【0021】
回転手段13は、上下方向に向けて配置した回転軸19と、この回転軸19の上部に配置されるとともに、この回転軸19を駆動するための回転モータ21と、回転軸19の下部に配置されるとともに、逆円錐状となった揚水管22と、この揚水管22の外面の上下方向に所定間隔で固定して設けた複数の回転板20a,20b、20cとにより構成されている。
【0022】
なお、前記複数の回転板20a,20b、20cは、回転軸19の軸方向(上下方向)に、上方から下方に向けて順に、回転板20a、回転板20b、回転板20cとして配置している。
【0023】
したがって、回転軸19を中心として揚水管22と、複数の回転板20a、20b、20cが、回転モータ21によって回転駆動されるようになっている。
【0024】
回転板20a、回転板20b、回転板20cは、何れも水平方向に配置されており、この内、回転板20a、回転板20bの間、及び回転板20b、回転板20cの間には、揚水管22で揚水した水を下方の回転板20b、回転板20cへ落下させる当て板23を環状に設けている。
【0025】
なお、環状の当て板23は、筒状の経路12の内壁からの複数の支持棒24で支持されている。
【0026】
また、図4に示すように、前記揚水管22の回転板20a、回転板20bの間部分には、揚水した水を回転による遠心力で噴出させる水平方向に長い開口25aを所定角度で2個配置している。
【0027】
また、前記揚水管22の回転板20b、回転板20cの間部分には、揚水した水を回転による遠心力で噴出させる水平方向に長い開口25bを所定角度で2個配置している。
【0028】
なお、2個の開口25aの開口方向は180度の位置で、また2個の開口25bの開口方向は180度の位置となっており、さらに隣接する開口25a、25bの開口方向は90度の位置となっている。
【0029】
また、各開口25a、25bの中心角θは90度であり、その結果として、揚水管22の内面側で揚水した水を、揚水管22の外周方向360度、つまり全周に噴出させることができる。
【0030】
また、筒状の経路12の下部には図2に示すごとく貯水部26を設けているが、この貯水部26は、揚水管22で揚水できない水量、すなわち微細化運転終了時の貯水部26の貯水量が少なくなるよう、筒状の経路12の下部おいて、例えば逆台形の形状(下方に凸)としている。
【0031】
そして、図3(a)に示すように、液体微細化手段9と排気口5との間の液体微細化手段9側に、補助加熱手段としての補助熱交換器11を設けている。
【0032】
次に、液体微細化手段9を経由しない加熱用の風路(矢印B)構成を説明する。
【0033】
図3(b)の矢印Bで示すように、加熱用の風路は、ファンモータ8bからファンケーシング10bを経由し、排気チャンバー27内で、加湿用の風路(矢印A)と合流し、排気口5から排出される。
【0034】
以上の構成において、次に動作(加湿用)を説明する。
【0035】
図1に示すように、サウナ室1内において、サウナを使用する場合、まず、図示していないガス湯沸かし器や電気温水器等の熱源から配管28aを介し、図2に示すように、熱交換器7および図3(a)に示す補助熱交換器11に温水が供給される。また、給水管14へは配管28bにより市水が供給される。
【0036】
この状態で、熱交換器7が運転され、図2、図3に示すように、ファンモータ8が駆動されると、ファンモータ8が吸込口4を介して図1に示すサウナ室1内の空気を吸い込み、吸い込まれた空気は熱交換器7によって加熱される。
【0037】
そして、加熱された空気は、ファンモータ8aによって、ファンケーシング10aを介して、筒状の経路12の下側開口へと送られるとともに、ファンモータ8bによって、ファンケーシング10bを介して、排気チャンバー27に送られる。
【0038】
一方、回転モータ21が駆動されると、回転軸19が高速回転し、それにともない回転板20aおよび回転板20b、回転板20c、および揚水管22が高速回転される。
【0039】
このとき、給水管14は、高速回転する上方の回転板20aの上面の回転軸19に近い位置に、定流量弁15で設定された流量の水を供給する。上方の回転板20aの上面に供給された水は、高速回転による遠心力によって外周方向に向かって薄膜状に広がり、この薄膜状になった水は、回転板20aの外周縁から接線方向へと高速で吹き飛ばされる。
【0040】
このように、遠心力で飛散した水滴は、筒状の経路12の内壁に衝突して破砕され、水の微細化が促進される。
【0041】
そして、給水管14から上方の回転板20aの上面に供給された水は、この時点で大部分が微細化され、前述の加熱された暖かい空気と混ざって蒸気の状態となっている。
【0042】
一方、上方の回転板20aから遠心力により飛散した水滴のうち、微細化されずに筒状の経路12の内壁に付着したわずかな水滴や、微細化された後に内壁において結露した微量の水滴は、筒状の経路12の内壁を伝って、貯水部26に流れ落ち、貯水される。
【0043】
このとき、貯水部26の上方では前記回転モータ21によって揚水管22が回転している。このため、貯水部26の貯水量が増え、水面が揚水管22の下端に近づくと、貯水部26の貯水は水面上の空気と一緒に揚水管22内に巻き上げられ、揚水管22の内壁を伝って上方へ移動していく。
【0044】
すなわち、この揚水管22は、上述のごとく逆円錐状となっているので、内部には吸引力が働くようになっている。このため、貯水部26の貯水は水面上の空気と一緒に巻き上げられ、揚水管22の内壁を伝って上方へ移動していく。
【0045】
そして揚水管22の内壁を伝って上方へ移動した水は、図4に示すように、まず、回転板20b、回転板20cの間の開口25bから回転による遠心力で噴出し、環状に設けられた当て板23に当たり、回転板20cへ落下する。
【0046】
回転板20cへ落下した水は、上方の回転板20aの上面に供給された水と同様に、高速回転による遠心力によって外周方向に向かって薄膜状に広がり、この薄膜状になった水は、回転板20cの外周縁から接線方向へと高速で吹き飛ばされる。
【0047】
このように、遠心力で飛散した水滴は、筒状の経路12の内壁に衝突して破砕され、水の微細化が促進される。
【0048】
また揚水管22の内壁を伝って上方へ移動し、開口25bから噴出しなかった水は、回転板20a、回転板20bの間の開口25aから回転による遠心力で噴出し、環状に設けられた当て板23に当たり、回転板20bへ落下する。
【0049】
回転板20bへ落下した水は、上方の回転板20aの上面に供給された水と同様に、高速回転による遠心力によって外周方向に向かって薄膜状に広がり、この薄膜状になった水は、回転板20bの外周縁から接線方向へと高速で吹き飛ばされる。
【0050】
このように、遠心力で飛散した水滴は、筒状の経路12の内壁に衝突して破砕され、水の微細化が促進される。
【0051】
このとき揚水管22の内壁を伝って上方へ移動する水は、回転モータ21が高速回転しているため、螺旋状に旋回して上方へ移動するのではなく、内壁全周において略均一な状態で真上に移動していく。
【0052】
すなわち、回転板20a、回転板20bの間、及び回転板20b、回転板20cの間に2個ずつ設けられた水平方向に長い開口25a、25bの位置を、周方向で同じ位置に設けた場合、揚水管22の内壁を伝って上方へ移動してきた水は最初の開口25bから噴出し、上側の開口25aへは水が上がって来なくなる。
【0053】
このため、前述の図4で説明したように、各回転板20a〜20cの間で水を噴出させる方向が異なるように、上述のごとく開口25a、25bの位置を周方向にずらしている。
【0054】
このように、揚水管22で揚水した水も、上方の回転板20aに供給した水と同様、ほとんど全て微細化され、加熱された暖かい空気と混ざって蒸気の状態となって上方の開口から排出されるが、一部は、微細化されずに筒状の経路12の内壁に付着したわずかな水滴や、微細化された後に内壁において結露した微量の水滴となり、これらの水滴が、筒状の経路12の内壁を伝って、貯水部26に流れ落ち、貯水される。
【0055】
そして、図2および図3(a)に示すように、補助熱交換器11を、液体微細化手段9の筒状の経路12の上方の開口と排気口5との間に設けた構成とする。
【0056】
このように構成することで、微細化しきれなかった液体を、補助熱交換器11にて気化させることができるので、結果として、微細化された液体のみを排気口5から排出することができる。
【0057】
また、回転板20a,20b、20cの回転による音が、補助熱交換器11により遮られ、排気口5から回転板20a,20b、20cの音が出ることがなくなり、結果、騒音を防止することができることにもなる。
【0058】
一方、筒状の経路12の下側開口から液体微細化手段9へ流入した高温低湿の乾燥空気は、まず下方の回転板20b、20cの外周縁から接線方向へと高速で吹き飛ばされた水と接触し、水を微細化して、湿度が上昇するとともに、気化熱を奪われ、温度は少し下がった空気となる。
【0059】
次に、筒状の経路12内を下から上へ上昇し、上方の回転板20aの外周縁から接線方向へと高速で吹き飛ばされた水と接触し、水を微細化して、さらに湿度が上昇するとともに、さらに気化熱を奪われ、温度の低下した空気となる。
【0060】
しかし、湿度が上昇し、気化熱を奪われ温度が低下した空気は、図2および図3(a)に示すように、補助熱交換器11により温度を上昇させるとともに、微細化されていない水を気化させ、ほぼ全て微細化させた水を含んだ空気となる。
【0061】
このように、回転板20a,20b、20cの高速回転によって微細化された温水を含む高湿の空気は、図3(a)に示すように、ファンモータ8aの送風によって、筒状の経路12の上部開口から排気チャンバー27に送られ、排気チャンバー27内で、加熱用の風路(矢印B)を通ってきた高温乾燥空気と混合することにより、気化熱により低下した温度が更に上がり、排気口5からサウナ室1の内部へ供給される。
【0062】
以上のような構成と動作によれば、上述のとおり、揚水管22を回転板20a,20b、20cと同じ回転モータ21で回転させることにより、貯水部26に溜まった水を吸上げるとともに、回転板20bと回転板20cおよび回転板20aと回転板20bの間に開口25から吸上げた水を回転板20b、20cに供給でき、結果として、揚水管22がポンプの循環の役目と回転板20b、20cへの液体供給を兼ねており、簡単な構成で、液体の循環と回転板への液体供給を実現させることができる。
【0063】
また、図3(a)に示すように、送風手段としてのファンモータ8aにより、筒状の経路12内を下から上へ空気を流すことにより、回転板20bの外周縁から接線方向へと高速で吹き飛ばされ、重力により落下する非微細化水に対し、より効率よく乾燥した空気を当てることができるため、供給した水の微細化をより完全に行うことができる。
【0064】
さらに微細化終了時には、貯水部26に貯まった残水に、筒状の経路12の下部開口から高温の乾燥空気を当てることができ、残水を乾燥させる乾燥運転の時間を短くできる。
【0065】
また、本体ケース6内の吸込口4と排気口5を結ぶ風路を分岐させ、一方の風路にのみ液体微細化手段9を設けた構成とすることにより、液体微細化手段9を経由する加湿用の風路からの空気と、液体微細化手段9を経由しない加熱用の風路からの空気を排気チャンバー27内で混合でき、適度な温湿度の空気を排気口5からサウナ室1の内部へ供給することができるという効果を奏する。
【0066】
このように、上記の液体微細化装置3をサウナ室1に設置してサウナ装置として利用した場合、揚水管を回転板と同じ回転モータで回転させることにより、貯水部に溜まった水を吸上げるとともに、上方の回転板と下方の回転板の間に開口から吸上げた水を回転板に供給でき、結果として、揚水管がポンプの循環の役目と回転板への液体供給を兼ねており、簡単な構成で、液体の循環と回転板への液体供給を実現させることができる。
【0067】
さらに、補助加熱手段を液体微細化手段と排気口との間に設けた構成にすることにより、高速で回転する回転手段に微細化に必要な最低限の液体を供給して液体を微細化し、微細化しきれなかった液体は、補助加熱手段にて気化させることができるので、結果として、微細化された液体のみを排気口から排出することができる。
【0068】
また、わずかに残った非微細化水を特別に排出せずとも、乾燥運転により残水をなくすことができるので、微細化できなかった水を排水として処理するための配管施工の工事が不要となり、結果として、サウナ装置の施工作業が簡単になるという効果も奏する。
【0069】
(実施の形態2)
図5は、本発明の他の実施の形態における液体微細化装置の斜視図であり、実施の形態1と同じ構成には同じ番号を付し、詳細な説明は省略する。
【0070】
実施の形態1との違いは、水加熱手段として水−水熱交換器32とこの水−水熱交換器32にて加熱された温水を噴霧するノズル33を備え、実施の形態1で説明した通常のサウナ運転、すなわち微細化運転に加え、スプラッシュ運転と暖房運転を可能としている点にある。
【0071】
すなわち、室内には水滴をほとんど供給しない微細化運転に対し強制的に水を噴霧するスプラッシュ運転や、サウナ使用前にサウナ室を暖める暖房運転もできる加湿装置である。
【0072】
加湿用の風路については、実施の形態1と同じ構成、作用であり、ここでは加熱用の風路について説明する。
【0073】
加熱用の風路は、L型の筒状経路のケーシング30で形成され、ファンモータ8bからの送風は、ケーシング30の水平部30a内の水平風から、ケーシング30の垂直部30b内の垂直風に風向を変え、下降風となり排気口5に導かれ、ルーバ29近傍で、第1風路からの加湿空気と混合され、サウナ室1内へ供給される。
【0074】
ファンモータ8bとケーシング30の接続部の下方には、仕切り板31を設け、仕切り板31とケーシング30の垂直部30bとの間の下部には、水−水熱交換器32を設けている。さらにケーシング30の第1風路側には、開閉可能な切欠き34を有している。
【0075】
水−水熱交換器32の一次側入口は、切替弁を介して熱交換器7の入口(供給側)配管と接続され、一次側出口は、切替弁を介して熱交換器7の出口配管と接続され、二次側入口は市水(水道の蛇口)と、二次側出口はノズル33に接続されている。
【0076】
上記構成において、まず、3種類の運転モードに共通な空気(風)の流れを説明する。
【0077】
ファンモータ8が作動することにより、吸込口4を介して吸込まれた空気は、熱交換器7によって加熱された後、ファンモータ8aによる加湿用の風路とファンモータ8bによる加熱用の風路に分かれ、各風路内を通り排気口5からサウナ室1内へ供給される。
【0078】
ファンモータ8を運転すると、スプラッシュ運転時には、実施の形態1の液体微細化手段9は作動させず、水−水熱交換器32を作動させ、加熱水をノズル33に供給する。水−水熱交換器32の作動については、後述する。
【0079】
ノズル33から加熱水が噴霧され、各風路内を通り排気口5へ到達した空気に混じり、ルーバ29でサウナ室1内の設定された方向へ供給される。
【0080】
このとき、加熱水の温度は、例えば40℃で、微細化運転によるサウナ中に、このスプラッシュ運転に変更することにより、水滴が直接体に当たり、快い刺激を感じることができる。
【0081】
また、液体微細化手段9も水−水熱交換器32も作動させない場合が、暖房運転であり、排気口5からサウナ室1内へ、約50℃の温風を供給することにより、サウナ室1内を約40℃に暖めることができる。
【0082】
この暖房運転時には、図5に示すように、ケーシング30に設けた開閉板34を開くことにより、第1風路内の一部の空気は、液体微細化手段9を通過せず、低圧損で室内へ温風を供給できる。
【0083】
次に図6を用いて、微細化運転時、スプラッシュ運転時、暖房運転時における、熱交換器7、補助熱交換器11、水−水熱交換器32への温水供給系統を説明する。
【0084】
図6(a)は、微細化運転時の温水供給系統を示しており、熱交換器7と、補助熱交換器11は、同じ熱源からの温水を利用している。
【0085】
図に示すように、熱交換器7へは、開閉弁35を介してボイラー(図示せず)等の熱源から温水が供給され、同時に補助熱交換器11へも開閉弁35、切替弁37を介して温水が供給される。
【0086】
熱交換器7へ供給され、熱交換器7中で吸込口4を介して吸込まれた空気を加熱して温度の低下した温水は、開閉弁36を介してボイラーに戻る。補助熱交換器11へ供給された温水は、液体微細化手段9で気化熱を奪われ温度が低下した微細化空気を再度暖めることにより温度が低下し、切替弁38、開閉弁36を介してボイラーに戻る。
【0087】
図6(b)は、スプラッシュ運転時の温水供給系統を示しており、微細化運転時に開閉弁35から補助熱交換器11に供給していた温水を、切替弁38により水−水熱交換器32へ供給するように切替えている。
【0088】
図6(c)は、暖房運転時の温水供給系統を示しており、ボイラーからの温水を、開閉弁35、開閉弁36により、補助熱交換器11及び水−水熱交換器32への供給を止め、熱交換器7のみで使用している。
【0089】
上記の3種類の熱交換器に必要な加熱能力を試算してみた。
【0090】
熱交換器7において、送風量5m3/minの空気を20℃50%から60℃0%に加熱するために必要な熱量は、約5400kJ/h、補助熱交換器11では、前述の約4300kJ/h、水−水熱交換器32では、約0.7l/minの水を20℃から60℃に加熱するために、約3500kJ/hの熱量が必要となった。
【0091】
加熱能力は、熱交換器7>補助熱交換器11>水−水熱交換器32となり、補助熱交換器11と水−水熱交換器32の同時使用はなく、同じ熱源の温水を使用する場合は、上記のように、3種類の運転を同じ熱源の温水を切替えることにより、効率よく熱源の有する熱量を分配して使用することができる。
【0092】
なお、本実施の形態2においても、上述のとおり、給水管14に熱源からの温水を供給するのではなく、市水(水道の蛇口)から水を供給する構成としても大きな問題はない。
【0093】
(実施の形態3)
本実施の形態3における液体微細化装置は、実施の形態2で説明した微細化運転、スプラッシュ運転および暖房運転が可能な液体微細化装置であって、実施の形態2との違いは、図示しないボイラー等の熱源からの温水(水)をまずは補助熱交換器11に供給し、次に、この補助熱交換器11を通過した温水(水)を熱交換器7を介して熱源に戻す構成としたことである。
【0094】
図7(a)は、本発明の実施の形態3における液体微細化装置の微細化運転時および暖房運転時の温水系統図、(b)は同液体微細化装置のスプラッシュ運転時の温水系統図であり、図1〜図6と同じ構成には同じ番号を付し、詳細な説明は省略する。
【0095】
図7(a)および(b)に示すように、熱源から補助熱交換器11および熱交換器7を経由して熱源へと戻る温水系統には、補助熱交換器11および熱交換器7への温水の循環また停止を行うための開閉弁39を備えている。
【0096】
また、同じ熱源からの温水を、水−水熱交換器32を介する経路に分岐する構成とし、この水−水熱交換器32を介する経路に、水−水熱交換器32への温水の循環または停止を行うための開閉弁40を備えている。本実施の形態3では、図7(a)および(b)に示すように、熱源から補助熱交換器11へ向かう温水の経路に分岐部41を設け、熱交換器7から熱源へと戻る温水の経路に合流部42を設ける構成としている。分岐部41により分岐された熱源からの温水の経路は、水−水熱交換器32の一次側入口へ接続されており、水−水熱交換器32の一次側出口からの温水の経路は、合流部42へと接続されている。
【0097】
本実施の形態3では、水−水熱交換器32の一次側出口と合流部42の間に、開閉弁40を備える構成とし、開閉弁40を開放した場合には、熱源からの温水が、分岐部41から分岐されて、水−水熱交換器32を通過し、この水−水熱交換器32を通過した温水は、合流部42で熱交換器7から熱源へ戻る温水の経路と合流し、熱源へ戻るようになっている。
【0098】
また、実施の形態2と同じく、水−水熱交換器32の二次側入口は市水(水道の蛇口)に、二次側出口はノズル33に、それぞれ接続されている。
【0099】
上記構成において、以下に本実施の形態3の液体微細化装置を、微細化運転、スプラッシュ運転、暖房運転した場合の動作について説明する。
【0100】
なお、本実施の形態3における液体微細化装置を微細化運転、スプラッシュ運転、暖房運転した場合の、共通の空気(風)の流れは、実施の形態2において説明したものと同じであるので説明を簡略化する。
【0101】
次に、本実施の形態3の微細化運転時、スプラッシュ運転時、暖房運転時における、熱交換器7、補助熱交換器11、水−水熱交換器32への温水供給系統を説明する。
【0102】
図7(a)は、微細化運転および暖房運転時の温水供給系統を示しており、開閉弁39を開放することでボイラー(図示せず)等の熱源から供給された温水はまず補助熱交換器11に流入し、次に熱交換器7を介して熱源に戻る。またこの際に水−水熱交換器32と合流部42とを結ぶ経路に備えられた開閉弁40は閉塞しており、水−水熱交換器32側への温水の流通はないものとする。
【0103】
図7(b)は、スプラッシュ運転時の温水供給系統を示しており、微細化運転および暖房運転時に閉塞していた水−水熱交換器32と合流部42とを結ぶ経路に備えられた開閉弁40を開放することにより、循環温水を水−水熱交換器32側へも供給することができる。
【0104】
このように、本実施の形態3においては、上述のとおり、熱源からの高温の温水は、まず補助熱交換器11に供給され、この補助熱交換器11を介して熱交換器7へと供給される構成としているので、微細化運転時には、上述のとおり、熱源からまず補助熱交換器11に、高温(たとえば85℃)の温水を供給することで、液体微細化手段9で気化熱を奪われた加湿空気を加熱して十分に暖かな加湿空気を得るためにこの補助熱交換器11で消費される熱エネルギーを低く抑えることができる。
【0105】
上述のとおり、加熱能力は、熱交換器7>補助熱交換器11となっているので、このように、温水を補助熱交換器11を介して熱交換器7へ供給する構成とすると、すでに説明したとおり、熱交換器7は上述したように吸込口4を介して吸込んだサウナ室1内の空気を加熱し、その後、排気口5からサウナ室1内へ暖房空気を供給するために設けたものであるので、多少の温度低下が発生したとしても、実質的な問題はない。
【0106】
また、上記のような構成としたことにより、暖房運転時には、熱交換器7の運転だけでなく補助熱交換器11も運転されることとなるので、図5に示すファンモータ8aによって送風される温風を補助熱交換器11でさらに加熱することが可能となり、ファンモータ8bからの温風と合流して排気口5からサウナ室1へと吹き出されることにより、暖房運転の性能を高めることが可能となる。
【0107】
また、熱源からの高温の温水は、まず補助熱交換器11に供給され、この補助熱交換器11を介して熱交換器7へと供給される構成としたことにより、上述のとおり、運転時および暖房運転の効率が高まることから、微細化運転や暖房運転からスプラッシュ運転に切り替えた時にもサウナとしての快適性を高めることができる。
【0108】
さらに、このような構成により、開放弁部品の構成点数を削減することができるため、より簡易な構成で各々の運転に適した温水供給系統へと切り替えることができる。
【0109】
なお、本実施形態3においては、上述のとおり、図示していないガス湯沸かし器や電気温水器等の熱源からの温水の一部が給水管14へと供給される構成としているが、給水管14に熱源からの温水を供給するのではなく、水−水熱交換器32から、給水管14に水を供給するように、構成してもよい。
【0110】
この場合は、微細化運転の際に水−水熱交換器32と合流部42とを結ぶ経路に備えられた開閉弁40を流量調整弁とすることにより、少量の温水を水−水熱交換器32に供給して、給水管14より回転板20aに供給する水を温水にすることで気化効率を高めることができる。
【0111】
上述のとおり、熱源(図示していないが、ボイラー等)から、まずはこの補助熱交換器11にできるだけ高い温度、例えば85℃の温水が供給されるので、液体微細化手段9で気化熱を奪われた加湿空気を効率良く加熱することが可能となり、サウナ運転に必要な十分に暖かな加湿空気を得る事が可能となる。
【0112】
なお、本実施形態3においては、水−水熱交換器32への分水は、補助熱交換器11前で行う構成としているが、この限りではなく、補助熱交換器11の後で分水する構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0113】
以上のように、本発明の液体微細化装置は、揚水管を回転板と同じ回転モータで回転させることにより、貯水部に溜まった水を吸上げるとともに、上方の回転板と下方の回転板の間に開口から吸上げた水を回転板に供給することが可能となるため、簡単な構成で、液体の循環と回転板への液体供給を実現させることが可能となる。
【0114】
したがって、例えば、サウナ装置、加湿装置、冷却装置、噴霧装置、洗浄装置、植物育成設備等への活用が期待される。また、温水だけでなく、油や洗剤等のその他の液体の微細化設備にも利用することが可能である。
【符号の説明】
【0115】
4 吸込口
5 排気口
6 本体ケース
7 熱交換器
8、8a、8b ファンモータ
9 液体微細化手段
10、10a、10b ファンケーシング
11 補助熱交換器
12 筒状の経路
13 回転手段
14 給水管
15 定流量弁
16 上流側配管
17 給水弁
18 開閉弁
19 回転軸
20a、20b、20c 回転板
21 回転モータ
22 揚水管
23 当て板
24 支持棒
25、 25a、25b 開口
26 貯水部
27 排気チャンバー
28a、28b 配管
29 ルーバ
30 ケーシング
30a 水平部
30b 垂直部
31 仕切り板
32 水−水熱交換器
33 ノズル
34 開閉板
35、36 開閉弁
37、38 切替弁
39、40 開閉弁
41 分岐部
42 合流部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込口と排気口を有する本体ケースと、
この本体ケース内の前記吸込口と前記排気口を結ぶ風路に設けた加熱手段および送風手段と、
この送風手段と前記排気口間の風路内に設けた液体微細化手段とを備え、
前記液体微細化手段は、
垂直方向に配置され、上方開口部および下方開口部を有する筒状の経路と、
この筒状の経路内に設けた回転手段と、
この回転手段に液体を供給する液体供給手段と、
前記筒状の経路の下部に設けた貯水部とを有し、
前記回転手段は、
上下方向に向けて配置した回転軸と、
この回転軸を回転させる回転モータと、
前記回転軸に固定されるとともに前記貯水部から水を吸上げる揚水管と、
この揚水管の外面の、前記回転軸の軸方向に所定間隔で固定された複数の回転板とを有し、
前記液体供給手段は、
液体を移送し、前記上方の回転板に液体を供給する給水管と、
この給水管途中に配した定流量弁と、
この定流量弁の上流側に設けた給水弁を有し、
補助加熱手段を前記液体微細化手段と前記排気口との間に設けたことを特徴とする液体微細化装置。
【請求項2】
揚水管は、
逆円錐形状で、上方の回転板と下方の回転板の間に水平方向に長い開口(スリット)を有し、吸上げた水をこの開口から外周方向へ噴出し、
前記開口の外側周囲に筒状の経路に支持された環状の当て板を設け、
前記開口から噴出した水を当て板に当て、下方の回転板に落下させることを特徴とする請求項1記載の液体微細化装置。
【請求項3】
回転板は、3枚以上で、
揚水管の開口の周方向の位置を、前記回転板間毎にずらすことを特徴とする請求項2記載の液体微細化装置。
【請求項4】
加熱手段および補助加熱手段を、同じ熱源からの温水による加熱とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の液体微細化装置。
【請求項5】
温水は、補助加熱手段を介して加熱手段へ供給することを特徴とする請求項4に記載の液体微細化装置。
【請求項6】
水加熱手段を有し、熱源から補助加熱手段へ向かう温水を切替えて、前記水加熱手段へ温水を供給することを特徴とする請求項4または5に記載の液体微細化装置。
【請求項7】
送風手段により、筒状の経路内を下から上へ空気を流すことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の液体微細化装置。
【請求項8】
本体ケース内の吸込口と排気口を結ぶ風路を分岐させ、一方の風路にのみ液体微細化手段を設けたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の液体微細化装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一つに記載の液体微細化装置をサウナ室に設置したサウナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−152359(P2012−152359A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−13621(P2011−13621)
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】