説明

液体搬送デバイス及び分析システム

【課題】従来のオイルで満たされた液体搬送デバイスでは、複数の液体を操作する際に、その操作により生じるオイルの流れが、他の液体に影響を及ぼすことが問題となっていた。
【解決手段】液体搬送デバイスにおいて、搬送する液体を、空気で分画されたオイル滴でとり囲み、操作する。また、複数の液体を次々とオイル滴で取り囲み処理するような液体の供給方法として,液体導入部にて1のオイルと1の液体とを対応させてオイル滴に取り囲まれた液体を生成する。
【効果】本発明によれば、複数の液体を操作する場合でも他の液体に影響を及ぼさず安定して操作することができる。また、次々とオイル滴に取り囲まれた液体として液体搬送デバイス内で処理することが可能となり,分析システムへの適用が容易となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基板上で液体を操作するシステムに関する。特に多数の液体を搬送する分析または反応システムに関する。
【背景技術】
【0002】
試料中に含まれる成分量を検出する分析装置として、ハロゲンランプ等からの白色光を試料と試薬との混合液である反応液に照射し、反応液を透過してきた光を回折格子で分光して必要な波長成分を取り出し、その吸光度を割り出すことで目的の成分量を測定する分光分析装置が広く用いられている。あるいは、白色光を回折格子で分光した後、反応液に照射する場合もある。これらの分析装置においては、従来、プラスチックやガラスの反応容器内に試料と試薬とを分注し、これらを混合して反応液として光を照射し、成分量を測定していた。
【0003】
しかし近年、試薬コストの削減や、環境への負荷低減のため、分析に用いる反応液の微少量化が求められており、従来方式での反応液微少量化では液の取り扱いが困難になり、また分注、混合時に発生する気泡等により正確な測定ができなくなるという問題があった。このため、微少量の液体を的確に操作する技術が求められていた。
【0004】
微少量の液体を操作する一つの方法として、平面基板に形成された電極上の液体を電気的な制御により搬送する方法がある。この代表的な一つの方法は、複数の電極を形成した二つの対向する基板間に、搬送する液体を粒状の液体にして挟みこみ、二つの対向する基板間の表面に沿って配置された電極に電圧を印加することで、液体を搬送する(例えば非特許文献1、非特許文献2)。二つの対向する基板で構成されたものを液体搬送デバイスと称する。この方法では、通常、液体を搬送させる液体搬送路に沿って、片方の基板上に多数の電極が形成され、もう一方の基板上にグランドに接続された一つの電極を備える。粒状の液体下部の電極の一つに電圧を印加すると、エレクトロウェティング現象(例えば非特許文献3)により、電圧を印加した電極の上の濡れ性が良くなり、その電圧を印加した電極に載るようにその粒状の液体が移動する。これを繰り返すことで液体を搬送する。
【0005】
また、複数に分岐した電極列を用いて液体を分岐に振分けたり、複数の溝が合流する位置で液体を融合させることも報告されている(例えば特許文献1)。また、一つの粒状の液体を分割することも報告されている(例えば特許文献2)。また試料を搬送し、液体搬送デバイス内部で計測を行うようなシステムも報告されている(非特許文献4)。
【0006】
このような,液体を搬送する液体搬送デバイスの利点は、周囲が壁に囲まれた容器に比べ、基板を利用するため気泡の影響を受けにくいことなどが挙げられる。ここで、液体搬送デバイスの内部を満たす媒体には二通り報告されている。1つは非特許文献1記載の通り、内部をオイルで満たす場合、もう1つは非特許文献2記載の通り、内部を空気で満たす場合である。
【0007】
一方、自動分析装置における液体搬送方法として、シリコーンオイル等の液体を収めた導管に水溶液セグメントを導入して搬送することの報告がある(例えば特許文献3)。また、分離した液体を吸引、分注、又は液流中で搬送したりする装置について、複数の試料セグメントを空気のセグメントと不混和性液体のセグメントとによって互いに間隔をとりながら搬送することの報告がある(例えば特許文献4)。
また,オイルの液滴で液体を取り囲み,エレクトロウェティング現象により搬送することが報告されている(非特許文献5)。
【0008】
【特許文献1】特開平10−267801号公報
【0009】
【特許文献2】米国特許公報第6565727号公報
【特許文献3】米国特許公報第3479141号公報
【特許文献4】米国特許公報第4259291号公報
【非特許文献1】Applied Physics Letters、 Vol. 77、 No. 11、 pp. 1725-1726、 2000
【非特許文献2】IEEE 15th Int. Conf. MEMS Jan 2002、p. 97-100.
【非特許文献3】Polymer 37 (1996) 2465-2470
【非特許文献4】Micro Total Analysis Systems 2003 p.1287-1290
【非特許文献5】Lab-on-a-Chip: Platforms, Devices, and Applications, Conf. 5591, SPIE Optics East, Philadelphia, Oct. 25-28, 2004.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
液体搬送デバイス内がオイルで満たされている場合、搬送する粒状の液体はオイルで囲まれているため、液体搬送デバイス表面に汚れがつきにくいこと、オイルにより液体と液体搬送デバイスとの摩擦が低減され移動に必要な電圧を下げられること、液体の蒸発が防止されることなどの利点がある。しかしながら、液体搬送デバイスの底面や側面をオイルが漏れないようにシールする必要があり、実装に手間がかかっていた。また液体を操作する際にオイルに流れが生じ、他の液体に影響を及ぼしてしまうという課題が考えられる。例えば、液体搬送デバイス内に液体を導入する際、液体を分注するプローブや導入された粒状の液体が、オイルに流れを生じ、液体搬送デバイス内に配置されている別の液体を移動させてしまうなどの課題が考えられる。液体が制御なしに移動してしまう場合、他の液体と接触して混合してしまうことや、液体が液体搬送路から外れてしまい、搬送できなくなる可能性がある。特に分析システムにおいては、多数の試料や試薬に対して、分注、搬送、混合、検出、排出など、複数の操作を複数の液体に対して実行する必要がある。このため、ある液体に対する操作が他の液体に対して影響を及ぼさないことが肝要である。
【0011】
また、液体搬送デバイス内で計測を行う分析システムへの応用を考えた場合、液体を導入する口より,オイル中に気泡が入りこむと、気泡が測定部において測定を阻害するなどの課題が考えられる。これに対して、液体搬送デバイス内が空気で満たされている場合、液体搬送デバイスの底面や側面をシールする必要がないため、実装が容易であり,また、液体の周囲が空気であるため、ある液体に対しての操作が他の液体に対して影響を及ぼさず、複数の液体に対して独立して安定した操作が可能であるという特長がある。しかしながら、オイルで囲まれた場合と異なり、液体が直接液体搬送デバイス表面に接触してしまうため、液体内部の成分が吸着しやすいことや、液体と液体搬送デバイスとの摩擦が大きいために移動に必要な電圧が高くなること、液体の蒸発が防止できないことなどの課題が考えられる。液体搬送デバイスを用いた分析システムにおいては、搬送する液体である試料内部の成分の濃度を測定するため、液体内部の成分の吸着や蒸発を防止することが肝要である。
【0012】
搬送する液体を、搬送する液体と混ざり合わない搬送用液体の液滴でとり囲み、搬送する液体とともに搬送用液体を搬送する方式では、搬送用液体によるとり囲みが適切に行なわれる必要がある。また、一般の分析システムは多数の試料を次々と計測することが必要であるが、当該搬送方式で多数に試料を計測する際には、試料のコンタミネ―ション防止や計測のスループット向上のため、当該取り囲みを適切かつ簡便に進める必要がある。
【0013】
本発明は、これらオイルで満たされている場合と空気で満たされている場合の特長を兼ね備え、実装が簡易であり、複数の液体を安定して搬送し、液体内部の成分が吸着しにくく、移動に必要な電圧を下げることができ、さらには、試料の蒸発を防止できる液体搬送デバイス、さらには多数の試料を次々と搬送用液体とともに搬送する分析システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
搬送する液体を分画された搬送用液体でとり囲み、搬送する液体とともに搬送用液体を搬送する。これにより実装が簡易であり、複数の液体を安定して搬送し、液体内部の成分が吸着しにくく、移動に必要な電圧を下げることができ、試料の蒸発を防止できる液体搬送デバイス、及び、搬送する液体を、搬送する液体と混ざり合わない分画された搬送用液体中に順次導入し、搬送する液体とともに搬送用液体を次々と搬送する分析システムを提供する。
【0015】
分析システムの一例としては、第1の液体を供給する手段と、第2の液体を供給する手段とを具備する第1のユニットと、前記第1の液体を供給する手段から前記第1の液体を導入される導入部と、前記第1の液体を排出するための排出部と、複数の電極を備えてかつ前記導入部と前記排出部とをつなぐ液体搬送路と、前記液体搬送路の少なくとも一部に設けられた測定部と、前記複数の電極の少なくとも一部に電圧を印加する電圧印加手段とを具備する第2のユニットと、前記測定部を検出する検出系を具備する第3のユニットと、前記排出部から液体を排出するための第4のユニットとを有し、前記第2の液体は、前記第1の液体と不混和であり、前記第1のユニットは、前記第2の液体を、分画された第1の液体を内包するように分画して前記第2のユニットに供給し、前記電圧印加手段は、分画された第1の液体と前記分画された第1の液体を内包しかつ分画された第2の液体との複合体を、前記液体搬送路に沿って移動させるように、前記複数の電極の少なくとも一部に電圧を印加することを特徴とする。
【0016】
分析システムの別の例としては、第1の液体を供給する手段と、第2の液体を供給する手段とを具備する第1のユニットと、前記第1の液体を供給する手段から前記第1の液体を導入される第1導入部と、前記第2の液体を供給する手段から前記第2の液体を導入される第2導入部と、前記第1の液体を排出するための排出部と、複数の電極を備えてかつ前記第1導入部と前記排出部とをつなぐ液体搬送路と、前記液体搬送路の少なくとも一部に設けられた測定部と、前記複数の電極の少なくとも一部に電圧を印加する電圧印加手段とを具備する第2のユニットと、前記測定部に隣接して配置される検出系を具備する第3のユニットと、前記排出部から液体を排出するための第4のユニットとを有し、前記第2の液体は、前記第1の液体と不混和であり、前記第1の液体を供給する手段は、前記第1の液体を分画するように吐出し、前記第2の液体を供給する手段は、前記第2の液体を分画するように吐出し、前記電圧印加手段は、前記第1の液体を供給する手段によって分画された第1の液体を、前記第1導入部から前記第2導入部へ前記液体搬送路に沿って移動させ、かつ前記第2導入部に導入された第2の液体の少なくとも一部によって内包された第1の液体を前記液体搬送路に沿って移動させるように、前記複数の電極の少なくとも一部に電圧を印加することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、従来のオイルで満たした液体搬送デバイスに比べ、実装が簡易であり、分注・搬送などの液体操作により生じたオイルの流れにより液体が制御なしに移動することなく、複数の液体に安定して独立した操作をすることができる。また、分画されたオイル滴で取り囲まれた液体を次々と液体搬送デバイスに導入することが可能となり、複数の試料を処理する分析システムのスループットを高めることができる。
【実施例1】
【0018】
本実施例では液体搬送デバイス内で、搬送用液体の液滴としてオイル滴を用い,オイル滴に囲まれた液体を搬送する手順を示す。図1に本実施例における液体搬送デバイス10の液体搬送路における断面構成図を示す。液体搬送デバイス10は下側基板8及び上側基板9から構成されている。下側基板8では絶縁性基板4の上表面に液体(液滴)1の搬送方向に沿って多数の制御電極5が配置され、さらにその表面は絶縁膜7で覆われている。上側基板9では絶縁性基板4’の下表面に1つの共通電極6が配置され、さらにその表面は絶縁膜7’で覆われている。さらにそれぞれの絶縁膜7,7’の表面には液体が搬送しやすいよう、撥水性を付与するため表面に撥水膜100、100'が塗布されている。これらの二つの基板間に、搬送する液体1を配置し、その周囲をオイル滴2でとり囲む。すなわち、搬送する液体1の液滴がオイル滴2に内包され、液体1の液滴とオイル滴2の複合体となる。ここで内包とは、一のオイル滴が一の液体(液滴)の外表面を実質的に覆うように位置することをいう。オイル滴2の周囲には空気3が存在する。
【0019】
本実施例では絶縁性基板4,4’に石英を、制御電極5及び共通電極6にITO(Indium-Tin Oxide)を、絶縁膜7,7’にCVD(Chemical Vapor Deposition)で成膜したSiO2を用い、撥水膜として旭硝子社製CYTOP(登録商標)を用いた。ITOの厚みは70nmとし、CVDで成膜した絶縁膜7の厚みは200nmとした。また下側基板8と上側基板9の間の距離は0.5mmとした。また液体1として0.9wt% NaCl溶液を、オイル滴2としてシリコーンオイルを用い、液量はそれぞれ5μLとした。下側基板8と上側基板9の間にオイル滴2で取り囲まれた液体を設置することにより、オイルの蒸発防止効果が高まり、また、オイルが重力で引かれて液体から分離することを回避することができる。
【0020】
図2に本実施例で用いた液体搬送デバイスを上部から見た場合の、透視図を示す。略化してわかりやすくするため、本願では図2及び図8〜図15までの透視図には液体1、オイル滴2、制御電極5のみを図示し、電圧を印加している制御電極をハッチングで示す。また制御電極5上部に位置する共通電極6はアースに接続し、電圧は共通電極6と一部の制御電極5との間に印加する。また本願では電圧を印加していない制御電極5はどこにも接続されていないフロートの状態とし、印加電圧を切る場合は、電圧印加を停止してから制御電極5を一旦アースに接続した後、制御電極5をフロートの状態にする。これにより、印加電圧を切るときに、制御電極上の絶縁膜や撥水膜が部分的に帯電したままとなることを防ぐことができる。共通電極6と制御電極5との間に電圧を印加した場合、上部からみて制御電極5と一部重なる領域を持った液体1は電圧を印加した制御電極5に載るように移動する、すなわち電圧を印加した制御電極5に液体が載るように移動する。はじめに、図2(a)のように、液体搬送路に沿って制御電極5が複数配置され、制御電極5b近傍にオイル滴2に囲まれた液体1が存在するとき、制御電極5bに電圧を印加すると、図2(b)のように液体1が制御電極5bに載るように移動する。
【0021】
次に制御電極5cに電圧を印加し、制御電極5bの印加電圧を切ると、液体1は図2(c)のようにオイル滴2と空気3との気液界面と接した後、オイル滴2と空気3との気液界面を押しながら、図2(d)のようにオイル滴2と供に移動して、制御電極5cに載るように移動する。さらに制御電極5dに電圧を印加し、制御電極5cの印加電圧を切ると、液体1は図2(e)のようにオイル滴2と空気3との気液界面を押しながら、図2(f)のようにオイル滴2と供に移動して制御電極5dに載るように移動する。これを繰り返すことで液体1をオイル滴2に囲まれたまま搬送することが可能である。また、オイル滴2で囲まれた液体1は制御電極の配列に沿って移動することとなる。本実施例のように液体を搬送用液体でとり囲むことにより、基板表面への搬送する液体の内部の成分の吸着を防止でき、また液体の蒸発を防止できる。さらに液体1と液体搬送デバイス10との摩擦が小さいため,液体搬送デバイス内が空気で満たされている場合に比べ,低電圧であっても液体を搬送可能である。制御電極に印加する電圧は高すぎると絶縁膜が破壊されてしまう恐れがあるため,電圧の低減は有用である。また搬送用液体はオイル滴2として分画され区切られているため、液体1を搬送させたことによるオイルの流れを他の液体に伝えず、液体搬送デバイス内の複数の液体を安定して独立に操作することができる。
【0022】
本実施例では液体1としてNaCl溶液を用いたが、純水、緩衝液などのイオン性液体でもよい。また血液や、DNAが含まれる溶液でもよい。また液体にラテックス粒子、細胞、磁性ビーズなどが含まれていてもよい。またオイル滴2としてシリコーンオイルを用いたが、植物油、パラフィンオイル、デュポン社製Krytox(登録商標)などのフッ素系オイル、フッ素系溶媒など、搬送する液体と混ざり合わない液体、すなわち不混和な液体であればよい。また絶縁性基板4,4’として石英を用いたが、Si等の導電性基板上に酸化膜等の絶縁膜を成膜した基板や、樹脂性の基板でもよい。また絶縁膜7,7’にはCVDにて成膜したSiO2を用いたが,ポリシラザンや,SiN,Paryleneなどの絶縁膜でもよい。撥水膜100,100’として旭硝子社製CYTOPを用いたが、デュポン社製TeflonAF(登録商標)や、シリコーン系の撥水膜、CVDにて成膜したCF膜(Fluorocarbon film)でもよい。
【0023】
また本実施例では絶縁膜上に撥水膜を成膜したが,撥水性絶縁膜もしくは,絶縁性撥水膜でもよい。この場合は工程が減るためデバイス作製が簡易となる。また本実施例では共通電極6は1つとしたが、図3のように上側基板9に複数の共通電極6を配置してもよい。この場合には、搬送の際に液体の位置精度を高める効果がある。また本実施例では制御電極5、及び、共通電極6をそれぞれ絶縁膜7,7’で覆ったが、図4のように制御電極5表面を絶縁膜7で覆い、共通電極6表面に絶縁膜7’がなくともよい。この場合には、簡単な構成とすることができる。さらに共通電極6表面に撥水膜100,100’がコーティングされていていなくともよい。この場合には、より簡単な構成とすることができる。
【0024】
また、図5のように、下側基板8の制御電極5の間に共通電極6を配置するなど、上側基板9表面に共通電極6を配置せず,下側基板8に複数の電極を設けておき、この複数の電極のいずれかを制御電極5とし別のいずれかを共通電極6とすることもできる。この場合には、上側基板に電極を成膜する必要がないので,より簡単な構成となる。さらに上側基板9の絶縁性基板4’表面に撥水膜がコーティングされていなくともよい。この場合には、より簡単な構成にできる。また図6のように上側基板9を設けず、下側基板8のみの構成でも搬送できる。この場合は更に簡易な構成となる。
【0025】
また、本実施例では液体搬送デバイス10を構成する下側基板8、上側基板9を水平に配置したが、下側基板8、上側基板9の一部の面、もしくは全体が水平方向に対して角度をもって配置されていてもよい。従来のオイルで満たされた液体搬送デバイスでは、水平方向に対して角度をつけると、オイルが漏れることがあったが、本発明によれば、オイルは二枚の基板で保持されているために、オイルが流動しづらく,水平方向に対して角度をつけることが可能である。水平方向に対して角度をつけることができれば,装置全体の設置面積を低減することができ有用である。また、本実施例では液体1の周囲をシリコーンオイルで囲んだが、そのシリコーンオイルの周りをさらにフッ素系オイルもしくはフッ素系溶媒で囲んでもよい。
【0026】
次に、オイル滴2に囲まれた液体1が、オイル滴2の気液界面を押しながら搬送されるオイル滴搬送と、液体1の周囲が空気である場合の空気内搬送の速度を比較する。図7に各場合についての電圧変化に対する液体1の速度変化を示す。オイル滴搬送の場合20Vから液体を搬送可能であったが、空気内搬送の場合,20Vでは液体が搬送されず,40Vから液体が搬送可能であり,搬送に必要な電圧を低減できることがわかる。これは液体1と液体搬送デバイス表面との間にオイルが入り込み、摩擦が軽減されているからと考えられる。電極に印加する電圧は高すぎると絶縁膜が破壊されてしまう恐れがあるため,液体を搬送するための電圧の低減は有用である。
【0027】
また図8を用いて、オイル滴中に含まれている物質を、液体と同時に搬送する場合を説明する。図8(a)のように液体搬送路中の1つのオイル滴2中に、2つの液体(液滴、以下同様)1a、1bが存在するとき、図8(b)のように制御電極5eに電圧を印加すると、制御電極5eに重なりを持つ液体1bのみが制御電極5e上に移動する。このとき液体1aはオイル滴2のオイルと空気の気液界面に押され、図8(c)のように液体1bとともに一緒に搬送される。さらに図8(d)のように、制御電極5fに電圧を印加し、制御電極5eの印加電圧を切ると液体1bは制御電極5f上に移動し、液体1aもオイルと空気の気液界面に押されて移動する。オイル滴の中に2つ以上の液体があるときにも同様の移動ができる。以上のようにして、オイル滴2中に複数の液体(液滴)がある場合に、電圧を印加される液滴以外の液滴もオイル滴の気液界面に押されることで一緒に移動することができる。これにより、二つ以上の液体を同時に搬送する場合も、同じオイル滴で囲むことにより、1つの液体のみ制御すればよく、液体の制御が容易になる。
【0028】
本実施例ではオイル滴2中の物質として電圧が印加される液体とは別の液体を例としたが、オイル滴2に含まれる物質であればよく,粒子などの固体でも同様に移動することができる。通常、オイルは液体搬送デバイス内で制御し搬送することはできないが、本発明によりオイル滴としてオイルに含まれる液体を搬送することによりオイルを所定の位置に移動することが可能となる。これにより複数のオイルを移動し、混合することでオイルに含まれる物質を反応させることも可能となる。
【実施例2】
【0029】
本実施例では、オイル滴2に囲まれた2つの液体を混合等する手順を示す。混合する手順を合体と、撹拌に分けて以下説明する。
図9(a)のように制御電極5上に、オイル滴2aに囲まれた液体(液滴)1aとオイル滴2bに囲まれた1bを配置されているとき、2つの液体(液滴)の間に位置し、かつ各々の液滴の一部が各々重なっている制御電極5b、5dに電圧を印加すると、図9(b)のように液体(液滴)1a、1bをそれぞれの一部が重なっていた制御電極に載るように移動する。次に、図9(c)のように2つの液体(液滴)の間に配置された制御電極であって、さらに2つの液体(液滴)の移動先であった制御電極5b、5dの間に配置されている制御電極5cに電圧を印加し、制御電極5cに隣接する制御電極である制御電極5b、5dへの印加電圧を切る。これにより2つの液体の液滴が制御電極5cの上に移動しようとして、図9(d)のようにオイル2a、オイル2bが合体した後,図9(e)のように液体1a、液体1bが合体し1つのオイルに囲まれた液体1となる。本実施例のように合体する液体がオイル滴で囲まれていることにより、合体する液体以外の液体に、合体により生じるオイルの流れを伝えることなく、液体搬送デバイス内の複数の液体を安定して独立に操作することができる。
【0030】
次にオイル滴に囲まれた液体の成分を撹拌する手順を示す。図10に液体1を撹拌する制御電極の配置図を示す。図10のようにオイル滴2中の液体1が実質的な直線状に複数配置された制御電極(図中では四角で表示)上に位置しているとき、制御電極5に順次電圧を印加し、液体1を往復移動することで内部の成分を撹拌することができる。また図11のように、制御電極を方向が異なる複数の実質的な直線上に配置し、かつ当該実質的な直線を交差させ、液体1を2つの異なる方向に繰り返し往復移動させることでも撹拌することができる。この場合には、液体が異なる方向に搬送されることで液体の一部が変形し拡散が促進される。また図12のように、二次元アレイ状に配置された制御電極の上で液体1の移動方向に沿った制御電極へ電圧を印加することにより、液体1の移動方向を2次元で制御し攪拌させることもできる。例えば、円を描くように液体1を移動させることでも撹拌することができる。この場合には、液体が円を描いて移動する間に,液体の各部が変形し,拡散が促進される。またこの際、オイル滴2の大きさが大きければ、オイルと気体の気液界面に接触せずにオイル滴の内部で液体1の移動し、よりすばやく撹拌することができる。
【0031】
本実施例のように、撹拌する液体がオイル滴で囲まれていることにより、撹拌のために液体が移動しても、それにより発生するオイルの流れは他の液体に伝わらないため、攪拌している液体以外の液体を安定して制御できる。以上オイル滴中で合体と撹拌をあわせた混合操作を行うことで、他の液体に混合操作により生じたオイルの流れを伝えることなく、液体搬送デバイス内の複数の液体を安定して独立に操作することができる。このような混合操作は分析において重要であり,例えば血液中に含まれる総蛋白量を測定する生化学分析項目であるTP(Total Protein)項目を測定するためには,試料には血液を1μL,試薬には第一化学薬品株式会社製オートセラTP試薬10μLを混合し,10分後の吸光度を測定することにより求めることができる。
【実施例3】
【0032】
本実施例では、オイル滴2に囲まれた1つの液体1を、オイル滴2に囲まれた2つの液体1に分離する手順を示す。
【0033】
図13(a)のように直線状に配置された制御電極5上にオイル滴2に囲まれた液体1が配置されているとき、図13(b)のように液体1の一部が重なっており、かつ、液体1の中心付近に位置する制御電極5cと、液体の中心付近に位置する制御電極に隣接し、当該制御電極に対して対称な位置にある制御電極5bと5dに同時もしくは実質的に同時に電圧を印加する。すると図13(c)のように液体は横長に変形する。次に液体の中心付近に位置する制御電極5cの印加電圧を切る。これにより図13(d)のように2つの液体(液滴)1a、1bに分離する。このとき、制御電極の列における一方の端部側の方向に向かって制御電極5bより先に配置された制御電極5a 及び他方の端部側の方向に向かって制御電極5dより先に配置された制御電極5eの各々に電圧を印加し、制御電極5bと5dの印加電圧を切ることによって、図13(e)のように、オイル滴2aに囲まれた液体(液滴)1aと、オイル滴2bに囲まれた液体1b(液滴)に分離することができる。本実施例のように、オイル滴中で二つの液体を分離することで、分離する液体以外の液体に、分離操作により生じたオイルの流れによる影響を与えることなく、液体搬送デバイス内の複数の液体を安定して独立に操作することができる。
【実施例4】
【0034】
本実施例では液体搬送デバイス内でオイル滴に囲まれた液体を生成する手順を示す。
図14(a)のように直線状に配置された制御電極5上に、液体1とオイル滴2が別個に配置されている。ここで、複数制御電極の列において、液体1の中心が載っている電極からみてオイル滴2の中心が載っている電極へ向かう方向に配置されている制御電極5bに電圧を印加すると、図14(b)のように液体1が制御電極5bの上に移動する。次に図14(c)のように、液体1の移動先であった制御電極からみてオイル滴2の中心が載っている電極へ向かう方向に配置され、かつオイル滴2の中心が載っている電極からみて液体1の中心が載っている電極に向かう方向に配置されている制御電極5cに電圧を印加し、制御電極5bへの印加電圧を切る。このとき液滴1はオイル滴2に接触した後、図14(d)のようにオイル滴2が移動し、液体1全体を囲み,オイル滴に囲まれた液体1を生成することができる。本実施例のように、液体搬送デバイス内で、液体搬送しオイルに接触させることで、容易にオイル滴に囲まれた液体を生成することができる。例えば,液体搬送デバイスを用いて分析を行う場合には試料を液体搬送デバイス内で本実施例のような液体を多数分離し,それぞれを測定することにより,同時に多数の項目を測定することができ,スループットが上がるといった効果がある。
【0035】
また物理的な囲いもしくは表面の親水性、疎水性の状態により、液体搬送デバイスの一部に溜められているオイルバッファからオイル滴に囲まれた液体(液滴)を生成する手順を示す。図15(a)のように実質的な直線状に配置された制御電極5a、5b、5c、5d、5e、5f上に、液体1とオイル溜として形成されたオイル領域11が別個に配置されているとき、制御電極5bに電圧を印加すると、図15(b)のように液体1が制御電極5bの上に移動する。このとき液体1の一部はオイル領域11の位置する領域と重なる。続いて図15(c)のように制御電極5cに電圧を印加し、制御電極5bへの印加電圧を切る。すると液体1は制御電極5cに移動し、オイル領域11中に完全に囲まれる、次に図15(d)のように制御電極5dに電圧を印加し、制御電極5cの電圧を切る。すると制御電極5d上に移動する。
【0036】
次に図15(e)のように制御電極5e電圧を印加し、制御電極5d電圧を切る。するとオイル領域11の外側に液体1を移動する。このときまだオイルの一部がオイル領域11に接触しているが、更に図15(f)のように制御電極5fに電圧を印加し、制御電極5eの電圧を切ることによりオイル領域11より一定量のオイルを切り離し、オイル滴2に囲まれた液体1を生成することができる。またオイル領域11の囲いおよび親水性、疎水性の表面状態、及び、電極形状などを最適化することで、オイルをオイル領域から切り離し、より生成しやすくすることも可能である。本実施例のように、オイルの溜められたオイル領域に液体を搬送し、接触させることで、容易にオイルに囲まれた液体を生成することができる。また液体を次々とオイル領域に搬送することで、1つのオイル領域を用いて多数のオイルに囲まれた液体を生成することができる。
【実施例5】
【0037】
本実施例では液体搬送デバイスを分析システムに適用し、試料と試薬を粒状の液体、すなわち液滴として各々液体搬送デバイス内の一の領域に導入し、搬送用液体であるオイル滴で囲んでオイル滴と試料もしくはオイル滴と試薬等からなる複合液滴として搬送し、複合液滴を合体させて反応液として、攪拌し、検出した後、周囲を囲むオイル滴とともに排出するまでの手順を示す。
【0038】
図16に分析システムの構成を示す。分析システムは液体搬送デバイス10と液体搬送デバイス10内に試料21を分注するための試料ユニット12と、液体搬送デバイス10内に試薬槽に収容された試薬25を分注するための試薬ユニット13と、試料槽に収容された試料21についての検出、例えば試料21の内部の成分を測定するための検出ユニット14と、試料21、及び、試薬25、及び、オイル滴2を排出するための排出ユニット15から構成される。試料ユニット12には試料21、オイル22が配置され、それぞれ試料プローブ16、オイルプローブ17により一の領域すなわち試料導入口23より液体搬送デバイス10内に導入することができる。
【0039】
試薬ユニット13には試薬25、オイル22が配置され、それぞれ試薬プローブ18、オイルプローブ17により一の領域すなわち試薬導入口24より液体搬送デバイス10内に導入することができる。
【0040】
検出ユニット14は、試料等の導入部と排出部とをつなぐ液体搬送路の少なくとも一部に設置された測定部の隣接して設置される。
【0041】
排出ユニット15にはシッパー19と廃液タンク27が配置され、検出ユニットで検出された液体は排出口26からシッパー19により廃液タンク27へ排出される。
はじめ、試料ユニット12において、オイルプローブ17からオイル槽に収容されたオイル22を試料導入口23に一定量供給した後、試料プローブ16に試料21を一定量引き込み、引き込んだ試料21を試料導入口23より液体搬送デバイス10内に一定量吐出することで、試料21を分注する。これにより分注した一定量のオイルと分注した一定量の試料とが対応して液体搬送デバイス10に設置される。またこの際,試料導入口23にオイルを供給後,試料を導入することで,試料を液体搬送デバイス表面に付着させることなく,導入できる。一方、試薬ユニット13においても同様に、オイルプローブ17からオイル22を試薬導入口24に一定量供給した後、試薬ディスペンサ18から試薬25を一定量吐出し、試薬25を分注する。これにより分注した一定量のオイルと分注した一定量の試薬とが対応して液体搬送デバイス10に設置される。また試料と同様,試薬導入口24にオイルを供給後,試薬を導入することで,試薬を液体搬送デバイス表面に付着させることなく,導入できる。液体搬送デバイス10内に分注された試料21および試薬25は、液体搬送デバイス10内部でそれぞれ搬送され、検出ユニット14で検出され、排出口26から排出ユニット15のシッパー19により吸引され、廃液タンク27内に排出される。
【0042】
図17に液体搬送デバイス10内での操作のフローの例を示す。液体搬送デバイス10内では、まず、試料21が試料導入口23から分注され、試薬25が試薬導入口24から分注された後、分注された試料21と分注された試薬25とを混合し反応液31とした後、反応液31の吸光度を測定し、最終的に反応液31を排出口から排出する。
【0043】
図18に、液体搬送デバイス10内の各操作を行う各部の配置図を示す。液体搬送デバイス10内には、図17の各操作に対応して、試料21を導入する試料導入部108、試薬25を導入する試薬導入部109、試料21と試薬25とを合体させ、反応液31とし撹拌する混合部29、反応液31を測定するための測定部30、反応液31を排出する排出部101の各部が存在し、各部は図17の操作フローの順番に液体搬送デバイス10内に配置され、各部の間は液体搬送路28で結ばれる。液体搬送路28、試料導入部108、試薬導入部109、混合部29、測定部30、及び排出部110の各々の少なくとも一部には制御電極が配置されており、制御電極への印加電圧の制御により、試料や試薬などの液体の搬送や分析が制御される。測定部30は液体搬送路の少なくとも一部に設置される。試料導入部108から分注された試料21は、液体搬送路28を搬送され、同じく試薬導入部109から分注され搬送されてきた試薬25と混合部29において混合して反応液31となり、液体搬送路28を搬送し、測定部30で成分を測定後、搬送し、排出部110にて排出される。このように液体の導入部から排出部まで、液体搬送デバイス内での各操作の順番に従って配置することで、容易に複数の試料に対して複数の操作ができる。
【0044】
図19に本実施例で用いた液体搬送デバイスの外観図を示す。本実施例では高さ0.5mmのスペーサ32を二枚の上下基板8、9の間に挟み、一定の間隔を保つよう固定した。内部をオイルで満たした液体搬送デバイスの場合、側面はオイルが漏れ出さないようにシールする必要があるが、本実施例では空気で分画されたオイル滴で液体を囲み搬送するため、側面をオイルが漏れないようにする必要がなく、液体搬送デバイスの実装が簡易となる。
【0045】
図20に液体搬送デバイス10内で液体1を操作するための電圧制御手段101の構成を示す。本制御手段は、図16に示した分析システムに設けられ、制御用コンピュータ102と、制御用コンピュータ102で制御された印加電圧を液体搬送デバイス10の所定の電極へ印加するための連絡部103とを有する。制御用コンピュータにはCRT、プリンタ、電源が接続される。制御用コンピュータには、分析対象や液体搬送方法について適宜条件を入力するための入力部、各種液体搬送方法に応じた電圧制御パターンを記憶する電圧制御パターン格納部、入力部から入力された情報に基づいて分析対象に応じた電圧制御パターンの組合せを定める電圧制御パターン調整部、電圧制御パターン調整部で定めた電圧制御パターンの組合せに応じて電圧を液体搬送デバイス10印加する電圧印加制御部を備える。連絡部103は制御電極5に接続され、液体1を制御する際は入力部から入力された情報に従い、電圧印加制御部の制御を受けた電圧が連絡部103を介して所定の電極に印加される。
【0046】
図21に試料導入部108の断面構成図の例を示す。上側基板9の試料導入口23に容器に収容されたオイル22を導入するためのオイルプローブ17と容器に収容された試料21を分注するための試料プローブ16がそれぞれ上下移動可能なように設置されている。なお、試薬導入部109についても、試料プローブ16を容器に収容された試薬25を分注するための試薬プローブ18に置き換えることを除いて図21と同様の構成とすることができる。試料プローブ16は、試料導入部108に分画して分注されたオイル滴2に接しているときにオイル滴2の内部に試料を分画して分注する。これにより、オイル滴中に確実に試料を配置することができる。
なお、さらに試料プローブ16外側の少なくとも一部に撥水膜などを塗布し親油性を付与してもよい。この場合には、オイル22と試料プローブ16との親和性を良くし、より試料21を確実にオイル滴2内に吐出できる。
【0047】
また、ここでは1のオイル滴2の内部で1の試料21を1の液滴として吐出する構成を図示したが、1の液滴を吐出の後に制御電極5への電圧印加によって移動させ、オイル滴2の内部にさらに1つ以上の試料21の液滴を吐出することもできる。この際にも、吐出対象であるオイル滴2以外の液体搬送デバイス内に設置された液体に影響を与えることなく、液体分注を行なうことができる。これにより、図8に示すような、一つのオイル滴に複数の液体が存在する場合も生成可能である。
【0048】
また、図22のようにオイル22を収める容器22’及び試料を収める容器21’を用意し、まず図22(a)のようにプローブ16’でオイル22を容器22'から吸引した後、図22(b)のように容器21’から試料21を吸引することによって、プローブ16’内に吸引により格納されているオイル22に試料21を囲み、図22(c)のようにオイル22ごと液体搬送デバイス10内に吐出して分注する構成でもよい。このようにすることで、液体搬送デバイスに分注するための機構として試料プローブとオイルプローブの2種類のプローブを設置する必要がなくなり、機構の単純化を図ることができる。本発明の構成ではオイル滴2中で試料21を吐出することにより、オイル滴2と空気3との気液界面をプローブが通過する際に気液界面の表面張力による力を受け、プローブ16’に試料21が付着することなく、微少量の試料21も安定して脱離し分注することができる。また試薬導入部109においても同様の方法で試薬25を分注できる。従来、内部をオイル22で満たした液体搬送デバイス10では、このような分注を行う際にオイル界面の上下や、導入される液体によるオイルの流れが生じるが、本実施例のように液体周囲を分画したオイル滴で囲むことで、液体搬送デバイス内の他の液体に影響なく分注することができる。
【0049】
また本実施例では試料導入部108でのオイル22の供給はオイルプローブ17を用いたが、フローセルを用いて、オイル22に囲まれた試料21を液体搬送デバイス10に分注することもできる。図23にフローセルを用いた場合の試薬導入部の断面構成を示す。なお、試薬導入部109においても同様の方法で試薬25を分注できる。試料プローブ16とオイルプローブ17はフローセル33に接続され、フローセル33からはフローセルプローブ34が液体搬送デバイス10まで伸びている。はじめに試料21をフローセル内に一定量吐出した後、オイル22を試料プローブ16周囲に流すことで一定量の試料21を切り離し、オイル22ごと液体搬送デバイス10内に押し出すことで、オイル滴2に囲まれた試料21を分注する。このような構成にすることにより、試料をオイルと接触させたまま、液体搬送デバイス内に液体を分注することができる。
【0050】
また図29のように、オイル22はバルブ112を用いて供給されてもよい。この場合、オイルを吸引する時間が短縮でき、試料を次々と分注する際は,オイルを供給する時間短縮につながり,スループットを高めることができる。オイル供給時はバルブをB側とC側を繋げ、シリンジ111を用いてオイルをシリンジ内に溜める。次に図29(a)のようにバルブをA側とB側に繋げ、シリンジ111で試料21を吸引する。次に図29(b)のようにシリンジ111を用いて試料21を液体搬送デバイス10内に導入し、試料21を分注することができる。すなわち、バルブとシリンジとを有する送液部が、オイルを吸引した後に試料を吸引してから、オイルに囲まれた試料を吐出し、オイル滴に囲まれた試料として搬送デバイス10内に導入する。なお、試薬導入部109においても同様の方法で試薬25を分注できる。
【0051】
混合部29では実施例2で示した方法により、試料21と試薬25との合体、及び、撹拌を行う。本構成によれば、複数の液体を混合することにより生じるオイルの流れを、混合している液体以外の他の液体に伝えず、液体搬送デバイス内で複数の液体を安定して独立に操作することができる。
【0052】
図24に検出ユニット14と測定部30の構成を示す。本実施例ではLED35を用いて吸光度を測定した。LED35からの光36を照射レンズ37により、反応液31に入射して透過光をフォトダイオード38で検出する。本実施例ではLED35を用いたが、図25のようにハロゲンランプ39を用いて、照射光ファイバ40で導いた光36を、照射レンズ37により測定部30に照射し、透過光を集光レンズ41で集光光ファイバ42に集光し、分光手段を備えた検出系43で必要な波長に光を分光し検出してもよい。また、本実施例では測定部において光により測定を行ったが、電極を利用して液体もしくはオイル滴のインピーダンスを測定することや、イオン感応膜を備えた電極を配置し、液体内部の成分を電気的に測定してもよい。
【0053】
液体搬送デバイス内をオイルで満たした場合、導入口や排出口より気泡が入り込むと、気泡が液体と接触し、液体の搬送や、測定に影響を与える可能性が考えられるが、オイル中から気泡を取り除くためには、オイルと空気との界面に気泡を接触させるため、オイル全体を液体搬送デバイスから取り除きもう一度オイルを入れることで気泡を取り除くことが想定される。本実施例のように液体をオイル滴でとり囲むことにより、気泡をオイルと空気との界面に容易に接触させることができ、気泡をオイル滴中から取り除くことが可能となる。これにより測定においても安定して測定することができる。
【0054】
図26に排出部110の断面構成図を示す。排出口26に搬送された反応液31とオイル滴2は、排出ユニット15のシッパー19に吸引され、廃液タンク27に排出される。液体搬送デバイス内部がオイルで満たされている場合、液体を排出する際に、液体やオイルを吸引することで、オイルに流れが生じるが、本実施例のように、オイル滴に囲まれた液体を排出することで、液体搬送デバイス内の他の液体にオイルの流れによる影響を及ぼすことがなく、複数の液体を安定して操作可能である。また廃液タンク27内ではオイル滴2が排出され集まったオイル22と反応液31とが比重の違いにより分離するため、多数の反応液及びそれを囲むオイル滴が排出されても、オイルや反応液の処理が容易である。また、従来のオイルで満たされた液体搬送デバイスでは、試料や試薬に触れたオイルは次に流通されてくる試料や試薬に触れてしまい、オイルを介して試料や試薬の成分が混ざり合ってしまってしまう。一方、本構成によれば、試料または試薬または反応液とそれに接したオイルを一緒に排出できるため、次の試料や試薬と成分が混ざり合うことがなく、液体搬送デバイス内のオイルをクリーンに保てる。
【0055】
排出は排出口及びシッパー19を配置しなくとも、デバイス側面もしくは底面から排出してもよい。図27にその一例を示す。下側基板8に傾斜を設け、液体を傾斜のある排出口まで搬送し、その後重力の補助を受けながら、下部に配置した廃液タンクに排出する。この際、廃液タンクをアースに繋ぎ、廃液タンク側に電界の力により排出させてもよい。従来の液体搬送デバイスの内部がオイルで満たされていた場合は側面をオイルが漏れないようにシールしており、液体1を排出することは困難となる場合が考えられるが、本構成によれば、側面もしくは底面をオイルが漏れないようにする必要がなく、側面もしくは底面から液体を排出することが可能であり、排出部の構成が簡易となる。
【0056】
本実施例の構成により、試料及び試薬をオイル滴に囲み、それぞれ搬送させることで、液体搬送デバイス内で、多数の液体に対して、安定して操作を行うことが可能となる。また本実施例では分析システムへの応用を目的としたが、排出口から排出される反応液、及び、オイルをそれぞれ別々の容器に分取することにより、液体搬送デバイス内で複数の液体を反応させ生成する反応システムや、複数の液体の混合物を生成する混合システムにも当然ながら適用することができる。
【実施例6】
【0057】
本実施例では複数の液体搬送デバイスを繋ぐ手段を説明する。側面がシールされていない液体搬送デバイスを用いることにより、複数の液体搬送デバイスを組み合わせ、1つの液体搬送デバイスとして用いる。図28に二つの液体搬送デバイスを合わせた例を示す。液体搬送デバイス側面は外に対して開放されており、液体搬送デバイス側面に接合剤44を用いることにより複数の液体搬送デバイス10aと10bを接続する。接合剤44にはシリコーン系接着剤を用いたが、テフロン(登録商標)系の撥水膜などを用いて液体搬送デバイス同士を接触させてもよい。テフロン(登録商標)系の撥水膜の場合、接着する必要がないので、液体搬送デバイスを繋いだ後、また容易に分離することができる。またそれぞれの液体搬送デバイス内の液体搬送路は、デバイスを接続した際に1つの液体搬送路として機能するように配置する。試料は試料導入口23より液体搬送デバイス10a内に導入され、試薬導入口24aから導入された試薬と混合部29aにて混合され、液体搬送路28を搬送され、液体搬送デバイス10bに移動する。液体搬送デバイス10bにおいて試薬導入口24bから導入された試薬と混合部29bにて混合され、排出口26から排出される。このように複数の液体搬送デバイス間で液体が搬送可能となり、多数の試薬と反応させることや、多数の操作を行う際に、液体搬送デバイスを接続することで操作する各部を多数配置することができる。また多数の液体を独立して操作する場合、1つの液体搬送デバイスに複数の液体搬送路を持つこともありうるが、液体搬送デバイスを用いて、多数の液体を複数の液体搬送デバイスに分配し、それぞれの液体搬送デバイスで操作を行ってもよい。従来、オイルで満たした液体搬送デバイス内部は側面をシールしていたため、液体搬送デバイス同士を接続することは困難であったが、本発明によれば、側面をオイルが漏れないようにシールする必要がないため、複数の液体搬送デバイスを接続することが容易である。本実施例のように、複数の液体搬送デバイスを接続することが可能となれば、多数の液体を独立して多数の操作を行う分析システムや反応システム、混合システムに液体搬送デバイスを適用することが可能となる。
【実施例7】
【0058】
図30にオイル導入口113を試料導入口23と試薬導入口24にそれぞれ別途設け、別々の口から液体搬送デバイス10に導入し、液体搬送デバイス10内で、試料21の液体を搬送しかつオイルに接触させる分析システムを示す。本構成により、容易にオイル滴に囲まれた液体を生成する
図31に試料導入部の断面図を示す。試料21は試料プローブ16を用いて吸引し、試料導入口23より分注する。オイル22はオイルプローブ17を用いてオイル導入口113より分注する。それぞれに導入された試料21とオイル22は液体搬送デバイス10内で電極の配置された電極上に位置する。電極上にある試料21とオイル22は、実施例4で示した手順、すなわち図14や図15によって示される手順により試料の液滴やオイル滴の少なくともいずれかを搬送させて、オイル滴に囲まれた液体(液滴)を生成することができる。例えば、分画して分注された試料21を試料導入部からオイル導入部へ制御電極が配置された液体搬送路に沿って搬送し、オイル導入部に分画して分注されたオイル22の少なくとも一部によって内包されるようにし、オイル滴に囲まれて内包された液体として液体搬送路に沿って搬送することができる。
混合部、排出部の構成は実施例6と同様とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施形態1における液体搬送デバイスの液体搬送路の断面を示す図である。
【図2】本発明の実施形態1における液体搬送の手順を説明する略図である。
【図3】本発明の実施形態1における他の構成の液体搬送路の断面を示す図である。
【図4】本発明の実施形態1における他の構成の液体搬送路の断面を示す図である。
【図5】本発明の実施形態1における他の構成の液体搬送路の断面を示す図である。
【図6】本発明の実施形態1における他の構成の液体搬送路の断面を示す図である。
【図7】本発明における液体搬送デバイス内の速度の比較を示す図である。
【図8】本発明の実施形態1におけるオイル中に存在する物質を含めた液体を搬送する説明図である。
【図9】本発明の実施形態2を説明する略図である。
【図10】本発明の実施形態2を説明する略図である。
【図11】本発明の実施形態2を説明する略図である。
【図12】本発明の実施形態2を説明する略図である。
【図13】本発明の実施形態3を説明する略図である。
【図14】本発明の実施形態4を説明する略図である。
【図15】本発明の実施形態4を説明する略図である。
【図16】本発明の実施形態5における分析システムの略図である。
【図17】本発明の分析システム適用時の液体搬送デバイス内の操作手順を示す図である。
【図18】本発明の液体搬送デバイス内における各部の配置図である。
【図19】本発明の液体搬送デバイスの外観図である。
【図20】本発明の制御システムの略図である。
【図21】本発明の実施形態5における試料導入口の断面図である。
【図22】本発明の実施形態5における試料導入口の断面図である。
【図23】本発明の実施形態5における試薬導入口の断面図である。
【図24】本発明の実施形態5における測定部の断面図である。
【図25】本発明の実施形態5における測定部の断面図である。
【図26】本発明の実施形態5における排出口の断面図である。
【図27】本発明の実施形態5における排出口の断面図である。
【図28】本発明の実施形態6を説明する略図である。
【図29】本発明の実施形態5を説明する略図である。
【図30】本発明の実施形態7を説明する略図である。
【図31】本発明の実施形態7を説明する略図である。
【符号の説明】
【0060】
1…液体、2…オイル滴、3…空気、4…絶縁性基板、4'…絶縁性基板、5…制御電極、5a…制御電極、5b…制御電極、5c…制御電極、5d…制御電極、5e…制御電極、5f…制御電極、6…共通電極、7…絶縁膜、7'…絶縁膜、8…下側基板、9…上側基板、10…液体搬送デバイス、11…オイル領域、12…試料ユニット、13…試薬ユニット、14…検出ユニット、15…排出ユニット、16…試料プローブ、16'…プローブ、17…オイルプローブ、18…試薬プローブ、19…シッパー、21…試料、22…オイル、23…試料導入口、24…試薬導入口、25…試薬、26…排出口、27…廃液タンク、28…液体搬送路、29…混合部、30…測定部、31…反応液、32…スペーサ、33…フローセル、34…フローセルプローブ、35…LED、36…光、37…照射レンズ、38…フォトダイオード、39…ハロゲンランプ、40…照射光ファイバ、41…集光レンズ、42…集光光ファイバ、43…検出系、44…接合剤、100…撥水膜、100'…撥水膜、101…電圧制御手段、102…制御用コンピュータ、103…連絡部、108…試料導入部、109…試薬導入部、110…排出部、111…シリンジ、112…バルブ、113…オイル導入口。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板と、
前記第1の基板上に設けられた複数の第1電極と、
前記複数の第1電極を覆う第1の絶縁膜と、
第1の液体及び第2の液体を導入するための少なくとも1つの導入部と、
前記第1の液体及び前記第2の液体を排出するための排出部と、
前記複数の第1電極の少なくとも一部に電圧を印加する導電手段とを有し、
前記第2の液体は前記第1の液体と不混和であり、前記導電手段は、分画された第1の液体と前記分画された第1の液体を内包しかつ分画された第2の液体との複合体を、前記複数の第1電極に沿って移動させるように前記複数の第1電極の少なくとも一部を介して、前記分画された第1の液体に電圧を印加することを特徴とする液体搬送デバイス。
【請求項2】
前記第1の基板と対向する第2の基板と、
前記第2の基板上に設けられた第2電極と、
前記第2電極を覆う第2の絶縁膜とをさらに有し、
前記導電手段は、前記複数の第1電極の少なくとも一部と前記第2電極との間に電圧を印加することによって、前記分画された第1の液体に電圧を印加することを特徴とする請求項1に記載の液体搬送デバイス。
【請求項3】
前記導電手段は、前記電圧の印加を停止するときに前記複数の第1電極の少なくとも一部をアースに接続した後に停止することを特徴とする請求項1に記載の液体搬送デバイス。
【請求項4】
前記導入口は、前記第1の液体及び第2の気体の各々に対応した第1の導入部と第2の導入部であることを特徴とする。請求項1に記載の液体搬送デバイス。
【請求項5】
第1の液体を供給する手段と、第2の液体を供給する手段とを具備する第1のユニットと、
前記第1の液体を供給する手段から前記第1の液体を導入される導入部と、前記第1の液体を排出するための排出部と、複数の電極を備えてかつ前記導入部と前記排出部とをつなぐ液体搬送路と、前記液体搬送路の少なくとも一部に設けられた測定部と、前記複数の電極の少なくとも一部に電圧を印加する電圧印加手段とを具備する第2のユニットと、
前記測定部を検出する検出系を具備する第3のユニットと、
前記排出部から液体を排出するための第4のユニットとを有し、
前記第2の液体は、前記第1の液体と不混和であり、前記第1のユニットは、前記第2の液体を、分画された第1の液体を内包するように分画して前記第2のユニットに供給し、前記電圧印加手段は、分画された第1の液体と前記分画された第1の液体を内包しかつ分画された第2の液体との複合体を、前記液体搬送路に沿って移動させるように、前記複数の電極の少なくとも一部に電圧を印加することを特徴とする分析システム。
【請求項6】
前記第1の液体を供給する手段は、第1の液体を収める容器と、前記第1の液体を吸引及び吐出する第1のプローブを有し、前記第1のプローブは前記導入部に導入された第2の液体に接しているときに、前記導入された第2の液体の内部に前記第1の液体を導入することを特徴とする請求項5に記載の分析システム。
【請求項7】
前記第2の液体を供給する手段は、前記第2の液体を吸引及び吐出する第2のプローブを有することを特徴とする請求項6に記載の分析システム。
【請求項8】
前記第1のプローブは、外表面の少なくとも一部に撥水膜を設けられることを特徴とする請求項6に記載の分析システム。
【請求項9】
前記第1の液体と前記第2の液体とを分注するための分注プローブをさらに有し、前記第1の液体を供給する手段は前記第1の液体を収めるための第1容器を有し、前記第2の液体を供給する手段は前記第2の液体を収めるための第2容器を有し、前記分注プローブは、前記第2容器から前記第2の液体を吸引した後に前記第1の液体を吸引し、吸引された第2の液体及び第1の液体を前記第2にユニットに導入することを特徴とする請求項5に記載の分析システム。
【請求項10】
フローセルと前記フローセルに繋がるフローセル用プローブとを更に有し、前記第1の液体を供給する手段は前記第1の液体を収めるための第1容器と前記第1の液体を吸引及び吐出する第1のプローブを有し、前記第2の液体を供給する手段は前記第2の液体を収めるための第2容器と前記第2の液体を吸引及び吐出する第2のプローブを有し、前記フローセル用プローブは、前記第1のプローブと前記第2のプローブとから各々前記第1の液体と前記第2の液体とを導入され、前記第2の液体の液流により、前記複合体を前記第2のユニットに導入することを特徴とする請求項5に記載の分析システム。
【請求項11】
前記第1の液体を供給する手段は前記第1の液体を収めるための第1容器を有し、前記第2の液体を供給する手段は前記第2の液体を収めるための第2容器と前記第2の液体を送液するための送液部を有し、前記送液部は前記第2容器から前記第2の液体を吸引した後に第1の液体を吸引して前記複合体を形成し、前記複合体を前記第2にユニットに導入することを特徴とする請求項5に記載の分析システム。
【請求項12】
前記電圧印加手段は、複数の前記複合体を移動させるように前記電圧を印加するものであり、複数の前記複合体の各々は、周囲を気体で満たされることを特徴とする請求項5に記載の分析システム。
【請求項13】
第1の液体を供給する手段と、第2の液体を供給する手段とを具備する第1のユニットと、
前記第1の液体を供給する手段から前記第1の液体を導入される第1導入部と、前記第2の液体を供給する手段から前記第2の液体を導入される第2導入部と、前記第1の液体を排出するための排出部と、複数の電極を備えてかつ前記第1導入部と前記排出部とをつなぐ液体搬送路と、前記液体搬送路の少なくとも一部に設けられた測定部と、前記複数の電極の少なくとも一部に電圧を印加する電圧印加手段とを具備する第2のユニットと、
前記測定部に隣接して配置される検出系を具備する第3のユニットと、
前記排出部から液体を排出するための第4のユニットとを有し、
前記第2の液体は、前記第1の液体と不混和であり、前記第1の液体を供給する手段は、前記第1の液体を分画するように吐出し、前記第2の液体を供給する手段は、前記第2の液体を分画するように吐出し、前記電圧印加手段は、前記第1の液体を供給する手段によって分画された第1の液体を、前記第1導入部から前記第2導入部へ前記液体搬送路に沿って移動させ、かつ前記第2導入部に導入された第2の液体の少なくとも一部によって内包された第1の液体を前記液体搬送路に沿って移動させるように、前記複数の電極の少なくとも一部に電圧を印加することを特徴とする分析システム。
【請求項14】
前記第1のユニットは、複数の前記第1の液体を供給する手段と複数の前記第1導入部を有することを特徴とする請求項13に記載の分析システム。
【請求項15】
前記第1の液体を供給する手段は、前記第1の液体を吸引及び吐出する第1のプローブを有し、前記第2の液体を供給する手段は、前記第2の液体を吸引及び吐出する第2のプローブを有することを特徴とする請求項請求項13に記載の分析システム。
【請求項16】
前記第1のプローブは前記第1の液体を前記第1導入部に吐出し、前記第2のプローブは前記第2の液体を前記第2導入部に吐出することを特徴とする請求項15に記載の分析システム。
【請求項17】
前記電圧印加手段は、複数の前記第2導入部に導入された第2の液体の少なくとも一部によって内包された第1の液体を移送させるように、前記電圧を印加するものであり、複数の前記第2導入部に導入された第2の液体の少なくとも一部によって内包された第1の液体の各々について、前記第1の液体を内包する第2の液体の周囲は気体で満たされることを特徴とする請求項13に記載の分析システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2006−317299(P2006−317299A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−140581(P2005−140581)
【出願日】平成17年5月13日(2005.5.13)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】