説明

液体搬送装置、及び、液体搬送方法

【課題】液体搬送精度が高い液体搬送装置を提供する。
【解決手段】弾性を有するチューブと、前記チューブが液体を搬送する搬送方向に沿って並ぶ複数のフィンガーと、複数の前記フィンガーをそれぞれ駆動する駆動部と、を備え、前記チューブを押し潰すように前記フィンガーを駆動する閉鎖動作によって、前記チューブ内部の液体を前記搬送方向に搬送することと、押し潰された前記チューブの形状が復元することにより前記フィンガーが押し戻される開放動作によって、前記チューブ内部に液体を吸引することと、を行なう液体搬送装置であって、前記搬送方向の最下流側のフィンガーの閉鎖動作が完了し、前記搬送方向の最下流側のフィンガーと隣り合うフィンガーの開放動作が完了した後で、前記搬送方向の最上流側のフィンガーの閉鎖動作が開始される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体搬送装置、及び、液体搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を低速で搬送する装置として蠕動駆動方式のチューブポンプが知られている。このようなチューブポンプの一例として、ステップモーターを駆動源とし、複数のローラーを備えたローターを回転させ、ローターが複数のローラーを転動させながら弾性を有するチューブに沿って回転して液体の吸引及び吐出をするチューブポンプがある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−256812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、チューブポンプを用いて液体搬送を行なう場合、特許文献1に記載されているようなローラーや、複数の棒状の部材を用いて液体の搬送方向に順次チューブを押しつぶしていく。これにより、チューブをしごくようにして蠕動運動を生じさせて、チューブ内部の液体を所定量ずつ搬送する。そして、押しつぶされていたチューブが元の状態(元の形状)に復元する際に、該チューブ内部に液体を吸引する(取り込む)ことにより、次に搬送する分の液体を確保する。
【0005】
このようなチューブポンプは、医療現場における点滴に使用される等、液体の搬送(吐出)量を高精度に保つことが要求されることが多い。しかし、チューブポンプを用いた液体搬送において、液体搬送量を高精度に保つことが難しい場合がある。
【0006】
例えば、チューブポンプで搬送可能な液体の量は、上述のように、押しつぶされたチューブが元の状態に復元する際に、該チューブ内部に取り込まれる分の液体の量によって定まる。したがって、押しつぶされた後のチューブが元の状態に復元される前に液体の搬送動作が行われると、十分な量の液体をチューブ内に取り込むことができず、正確な液体搬送量を確保することができなくなる。
【0007】
本発明では、液体搬送精度が高い液体搬送装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための主たる発明は、弾性を有するチューブと、前記チューブが液体を搬送する搬送方向に沿って並ぶ複数のフィンガーと、複数の前記フィンガーをそれぞれ駆動する駆動部と、を備え、前記チューブを押し潰すように前記フィンガーを駆動する閉鎖動作によって、前記チューブ内部の液体を前記搬送方向に搬送することと、押し潰された前記チューブの形状が復元することにより前記フィンガーが押し戻される開放動作によって、前記チューブ内部に液体を吸引することと、を行なう液体搬送装置であって、前記搬送方向の最下流側のフィンガーの閉鎖動作が完了し、前記搬送方向の最下流側のフィンガーと隣り合うフィンガーの開放動作が完了した後で、前記搬送方向の最上流側のフィンガーの閉鎖動作が開始されることを特徴とする液体搬送装置である。
【0009】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態の送液ポンプ10の外観を示す斜視図である。
【図2】本実施形態に係るチューブポンプ20の送液機構を説明する概略図である。
【図3】フィンガー41〜47のそれぞれについて、開放・閉鎖の動作と時間との関係を表す図である。
【図4】図3の時間eにおけるチューブとフィンガーの関係を表す概念図である。
【図5】種々のチューブについて、押し潰された状態から復元するときの時間変位を表す図である。
【図6】比較例の場合に、フィンガー41〜47のそれぞれについて、開放・閉鎖の動作と時間との関係を表す図である。
【図7】図6の時間eにおけるチューブとフィンガーの関係を表す概念図である。
【図8】カム61の回転速度を調整した場合に、フィンガー41〜47のそれぞれについて、開放・閉鎖の動作と時間との関係を表す図である。
【図9】図9A及び図9Bはモーターの効率を考慮して液体搬送を行なう例について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
弾性を有するチューブと、前記チューブが液体を搬送する搬送方向に沿って並ぶ複数のフィンガーと、複数の前記フィンガーをそれぞれ駆動する駆動部と、を備えることを一つ目の前提とする。そして、前記チューブを押し潰すように前記フィンガーを駆動する閉鎖動作によって、前記チューブ内部の液体を前記搬送方向に搬送することと、押し潰された前記チューブの形状が復元することにより前記フィンガーが押し戻される開放動作によって、前記チューブ内部に液体を吸引することと、を行なう液体搬送装置であることを二つ目の前提とする。その上で、前記搬送方向の最下流側のフィンガーの閉鎖動作が完了し、前記搬送方向の最下流側のフィンガーと隣り合うフィンガーの開放動作が完了した後で、前記搬送方向の最上流側のフィンガーの閉鎖動作が開始されることを特徴とする液体搬送装置。
このような液体搬送装置によれば、液体搬送量の精度を高くすることができる。
【0012】
かかる液体搬送装置であって、複数の前記フィンガーのうち、前記搬送方向の最下流側のフィンガー及び前記搬送方向の最下流側のフィンガーと隣り合うフィンガーを駆動する速度よりも、他のフィンガーを駆動する速度の方が速いことが望ましい。
このような液体搬送装置によれば、フィンガーの動作を遅くする必要のない部分では動作を速くすることができるので、全体の液体搬送速度を向上させることができ、正確褐迅速な液体搬送を行うことが可能になる。
【0013】
かかる液体搬送装置であって、前記チューブが押し潰されていた時間が長いほど、前記搬送方向の最下流側のフィンガー及び前記搬送方向の最下流側のフィンガーと隣り合うフィンガーを駆動する際の速度を遅くすることが望ましい。
このような液体搬送装置によれば、チューブの使用条件によってチューブの復元時間が変化した場合であっても液体搬送量にばらつき等が生じることなく、正確な液体搬送を行なうことができる。
【0014】
かかる液体搬送装置であって、前記チューブが使用された期間と押し潰された前記チューブの形状が復元するまでの時間との関係に基づいて、前記搬送方向の最下流側のフィンガー及び前記搬送方向の最下流側のフィンガーと隣り合うフィンガーを駆動する際の速度を調整することが望ましい。
このような液体搬送装置によれば、チューブの復元時間が変化した場合であっても液体搬送量にばらつき等が生じることなく、正確な液体搬送を行なうことができる。
【0015】
かかる液体搬送装置であって、前記チューブの一部が円弧状に設けられ、複数の前記フィンガーはそれぞれ前記チューブの円弧中心方向から放射状に設けられ、前記駆動部は前記チューブの円弧中心を軸として回転するカムを備え、前記カムを所定の速度で回転させて、複数の前記フィンガーを前記搬送方向の上流側から下流側に順次押すことにより、前記チューブに蠕動運動を生じさせることが望ましい。
このような液体搬送装置によれば、カム機構によって正確な液体搬送を行なうことができるため、液体搬送装置の構成が単純になる。また、カムの回転速度やカムの形状を調整することによって、液体搬送の精度をコントロールすることができる。
【0016】
かかる液体搬送装置であって、前記液体の搬送量から決められる前記フィンガーを駆動する際の速度条件と、前記搬送方向の最下流側のフィンガーと隣り合うフィンガーの開放動作が完了した後で、前記搬送方向の最上流側のフィンガーの閉鎖動作が開始されるように前記フィンガーを駆動する際の速度条件と、を考慮して、前記駆動部の駆動効率が最も高くなるように前記カムを回転させる速度が決められることが望ましい。
このような液体搬送装置によれば、液体搬送量の精度を向上させつつ、搬送装置を高効率に駆動させることができる。
【0017】
また、液体を搬送する搬送方向に沿って並ぶ複数のフィンガーをそれぞれ駆動することと、弾性を有するチューブを押し潰すように前記フィンガーを駆動する閉鎖動作によって、前記チューブ内部の液体を前記搬送方向に搬送することと、押し潰された前記チューブの形状が復元することにより前記フィンガーが押し戻される開放動作によって、前記チューブ内部に液体を吸引することと、を有する液体搬送方法であることを前提とする。その上で、前記搬送方向の最下流側のフィンガーの閉鎖動作が完了し、前記搬送方向の最下流側のフィンガーと隣り合うフィンガーの開放動作が完了した後で、前記搬送方向の最上流側のフィンガーの閉鎖動作が開始されることを特徴とする液体搬送方法が明らかとなる。
【0018】
===第1実施形態===
<液体搬送装置の基本的構成>
本実施形態において用いられる液体搬送装置の形態として、送液ポンプ10を例に挙げて説明する。
【0019】
<送液ポンプ10の構成>
図1は、本実施形態の送液ポンプ10の外観を示す斜視図である。図1において、送液ポンプ10は、チューブを蠕動運動させることによって液体を搬送するチューブポンプ20と、液体を収容するパック状の液体収容容器90とを備える。そして、チューブポンプ20と液体収容容器90とは、チューブ80によって接続されている。
【0020】
液体収容容器90は、可撓性を有する合成樹脂からなり、本実施形態においては、シリコン系樹脂等によって形成されている。液体収容容器90の一方の端部にはチューブ保持部92が設けられ、チューブ80が圧着または熱溶着または接着等の手段で、液体が漏洩しないように密閉固定されている。
【0021】
なお、本発明で使用される液体の例としては、水や食塩水、薬液、油類、芳香液、インク等の流動性がある液体が挙げられる。
【0022】
チューブ80は、弾性を有する素材で形成され、一方の端部が液体収容容器90の内部に通じ、他方の端部はチューブポンプ20の外部へと伸びる。そして、当該チューブ80の一部がチューブポンプ20の内部において蠕動運動をすることによって、液体収容容器90内に収容されている液体をチューブポンプ20の外部へと搬送する。チューブ80の素材としては、例えばシリコンやウレタン樹脂、軟質ビニル等、柔らかく弾力性のあるものが適している。
【0023】
また、液体搬送が終了して液体収容容器90内の薬液等が空になった場合や、チューブ80が劣化した場合には、液体収容容器90及びチューブ80部分を一体的に交換できるようになっている。
【0024】
チューブポンプ20は、チューブ80に蠕動運動を生じさせる送液部に相当する。チューブポンプ20は、図1のように、下蓋82、ポンプユニット枠31、チューブ枠32、上蓋81を順次重ねて、それらを固定螺子95(図は、上蓋固定螺子を示す)等によって一体化されている。また、チューブポンプ20の内部には、液体を搬送するための送液機構(詳細は後述する)が格納されている。
【0025】
上蓋81及び下蓋82はチューブポンプ20本体の外形を構成する。チューブ枠32は、その内部にチューブ80を保持する。ポンプユニット枠31は、その内部に不図示のモーター等の駆動部(後述)を保持する。なお、下蓋82、ポンプユニット枠31、チューブ枠32、上蓋81及び液体収容容器90は、送液ポンプ10を生体に装着する場合においては、生体整合性の優れた材料、例えば、ポリスルホン、ウレタン等の合成樹脂を採用することが好ましい。
【0026】
図2は、本実施形態に係るチューブポンプ20の送液機構を説明する概略図である。なお、図2では説明を分かりやすくするために上蓋81を透視した状態を示している。
【0027】
図2に示されるように、チューブポンプ20の内部には、チューブ枠32に沿って回転軸Pを中心とする円弧状に保持されるチューブ80と、複数のフィンガー41〜47と、該フィンガーを駆動させる駆動部60(図2においてカム61)とが設けられる。カム61とフィンガー41〜47、及びチューブ80とは同じ平面上に存在する。
【0028】
駆動部60は、カム61と不図示のモーター及び動力伝達輪列から構成される。モーターの回転によって発生する動力は、動力伝達輪列を介してカム61へ伝達され、回転軸P(チューブ80の円弧中心でもある)を中心としてカム61を図2の平面上において反時計回り方向へと回転させる。
【0029】
本実施形態においては、モーターとして水晶時計等に採用されているステップモーターや、圧電素子によって構成されるピエゾモーター等を用いることができ、該モーターは駆動回路(図示せず)からの信号に基づいて回転される。駆動回路には、予め所定の駆動パターンが記憶されており、この駆動パターンに基づく信号によってモーターが駆動される。また、駆動部60の駆動源としては小型のボタン電池や乾電池等が用いられる。電池は下蓋82の内部に形成される空間に配置される。前述したように、下蓋82は固定螺子95によって螺合固定されているため、下蓋82を取り外せば電池交換を容易に行うことが可能な構造である。電源を内蔵し、外部電源が不要であることから、チューブポンプ20の形状はコンパクトに保たれ、携帯性にも優れる。ただし、内部に電源を設けず、外部から電源を供給する構造とすることも可能である。
【0030】
カム61は図2のように外周方向に凹凸を有し、回転しながら外周部でフィンガー41〜47を押すことで、フィンガー41〜47をそれぞれ駆動させる。カムの回転によってフィンガーを駆動させるので、装置(特に駆動部60)の構成が単純になり、また、カムの形状や回転速度を調整することでフィンガーの動作を制御することができる。
【0031】
フィンガー41〜47は、それぞれ、回転軸Pを中心として放射状に並ぶように配置され、チューブ80に対して直行するように設けられる。言い換えると、液体の搬送方向とフィンガー41〜47の軸方向とがそれぞれ直行するように設けられ、各フィンガーは搬送方向に沿うように並んでいる。フィンガー41〜47の形状は全て同一であり、一端側は半球状に丸められてカム61と接するように配置され、他端側は円盤状で、チューブ80と接するように配置される(図2参照)。なお、フィンガーの形状や数量(本数)はこの限りではなく、チューブポンプ20の仕様(例えば、単位時間当たりの液体の最大搬送量や吐出圧力等)に応じて変更可能である。
【0032】
各フィンガーは、駆動部60(カム61)によって駆動され、液体の搬送方向と直行する方向に往復移動することで、チューブ80に蠕動運動を生じさせ、チューブ内部の液体を搬送する。例えば、図2のフィンガー44のように、カム61の凸部によって一端側が押されると、他端側がチューブ80を押し潰すように動く(以下、この動作を「閉鎖」と呼ぶ)。一方、図2のフィンガー43のように、一端部がカム61の凸部から外れると、フィンガーによる力が加わらなくなるので、押し潰されていたチューブ80が元の形状に復元しようとする。このとき、フィンガー43はチューブの復元力によって押し戻されるように動く(以下、この動作を「開放」と呼ぶ)。
【0033】
<チューブポンプの液体搬送動作について>
チューブポンプ20による液体搬送動作について簡単に説明する。カム61が液体の搬送方向(回転方向)に所定の速度で回転するのに合わせて、搬送方向上流側から搬送方向下流側に順次フィンガーが押され(駆動され)、チューブを順番に押し潰していく(閉鎖動作)。すなわち、フィンガー41〜47まで、搬送方向に沿って順次フィンガーが駆動されていく。これにより、チューブ80に蠕動運動が生じ、チューブ内に充填された液体が回転方向下流側に押し出され、流出する。つまり、回転方向に液体が搬送される。そして、カム61の回転に応じて閉鎖されていたフィンガーがカム61の凸部から外れることにより、回転方向上流側のフィンガー41から回転方向下流側のフィンガー47へと順次開放されていく。このとき、チューブの復元力によって回転方向の上流側からチューブ内に液体が流入する。
この動作を繰り返すことによって、搬送方向(図2では回転方向)に液体が搬送される。
【0034】
<フィンガーの動作と液体の搬送量との関係>
図3は、フィンガー41〜47のそれぞれについて、開放・閉鎖の動作と時間との関係を表す図である。
【0035】
チューブポンプ20を用いた液体搬送は、前述のようにカム61の回転に応じてフィンガー41〜47が順次閉鎖・開放されることによって行なわれる。ここでは、搬送方向最上流側のフィンガー41を例として、フィンガーの動作について具体的に説明する。
【0036】
フィンガー41は、まず、時間aにおいてカム61の凸部に押されることにより閉鎖動作を開始し、時間bにおいて完全に閉鎖された状態となる。ここで、フィンガーが「閉鎖」された状態とは、カム61によってフィンガーが押し込まれることによりチューブ80が完全に押し潰された状態を意味する。
【0037】
フィンガー41は所定時間の間、閉鎖された状態を継続し、時間cにおいてカム61からの押圧がなくなると開放動作を開始する。前述のように、フィンガーの開放動作は、押し潰されていたチューブ80の形状が復元する際にフィンガーを押し戻すことによって行なわれる。そして、時間dにおいて完全に開放された状態となる。ここで、フィンガーが「開放」された状態とは、カム61によってフィンガーが押されていない状態であり、かつ、押し潰されたチューブ80が元の形状に復元することにより、フィンガーが完全に開いた状態のことを言う。
【0038】
フィンガー41は所定時間の間、開放された状態を継続し、時間eにおいてカム61の凸部に押されることにより再び閉鎖動作を開始する。
【0039】
フィンガー42〜47についても、所定の時間(図3においてはt秒)ずつずれながらフィンガー41と同様の動作をする。例えば、フィンガー41の閉鎖動作が開始されてからt秒後にフィンガー42の閉鎖動作が開始され、フィンガー42の閉鎖動作が開始されてからt秒後にフィンガー43の閉鎖動作が開始される。このように、各フィンガーは所定の時間間隔(t秒)を保ちつつ同じ動作を繰り返す。そして、搬送方向最下流側のフィンガー47の閉鎖動作が開始されてからt秒後(時間e)に、再び搬送方向最上流側のフィンガー41の閉鎖動作が開始される。これらの動作によってチューブに蠕動運動が生じ、液体が間欠的に搬送される。なお、正確な液体の搬送を行うためには、搬送方向最下流側のフィンガー47が閉鎖された状態においてチューブ内に充填された液体が搬送方向に対して逆流するのを防止する必要がある。そこで、本実施形態では搬送方向最上流側のフィンガー41と、搬送方向最下流側のフィンガー47とが同時に閉鎖される瞬間を設けることで、液体の逆流を防止している。
【0040】
本明細書中では、フィンガー41の閉鎖動作が開始されてから(例えば時間a)、再びフィンガー41の閉鎖動作が開始されるまで(例えば時間e)の動作を1サイクルとして考える。したがって、1サイクルの動作を行うのに要する時間は(e−a)で表される。
【0041】
次に、1サイクルの動作で搬送される液体の量について説明する。1サイクルの動作で搬送される液体の量は、図3の時間eの時点でフィンガー47が閉鎖されている状態において、その搬送方向上流側のチューブ内に取り込まれた(吸引された)分の液体である。言い換えると、搬送方向最上流側のフィンガー41から、搬送方向際下流側のフィンガー47に隣り合うフィンガー46までの各フィンガーが開放された状態において、当該部分のチューブ内に充填されている分の液体である。
【0042】
図4に、図3の時間eにおけるチューブとフィンガーの関係を表す概念図を示す。なお、本実施形態のチューブポンプ20では、チューブ80が円弧状に配置されるが(図2参照)、図4では説明のため、チューブ80を直線状に描いている。
【0043】
図4においてチューブ80の内部の斜線部の領域に充填(吸引)されている液体が1サイクルで搬送される液体の量を表している。実際の液体搬送時には、まずフィンガー47が開放され、続いてフィンガー41〜46が搬送方向に順次閉鎖されることによって、図4の斜線部で示される液体が搬送方向に押し出され、1サイクル分の液体が搬送される。
【0044】
したがって、1サイクルにおける液体の搬送予定量(以下、規定量とも呼ぶ)を正確に確保する為には、搬送方向最上流側のフィンガー41の閉鎖が開始される時点で、図4のようにチューブ80の内部に液体が満たされている必要がある。すなわち、図3の時間e(またはa)の時点において。フィンガー41〜46の部分のチューブ内に液体が完全に充填(吸引)されている必要がある。
【0045】
フィンガー41〜46の部分のチューブ内に液体が完全に充填されている状態とは、その部分のチューブ形状が完全に復元されていること、すなわち、図4に示されるようにフィンガー41〜46の部分でチューブが潰れていない状態であればよい。
【0046】
したがって、フィンガー41の閉鎖動作が開始される前に、フィンガー41〜46までの開放動作が完了していれば、当該部分のチューブ内に液体が完全に充填されることとなる。図3の関係で考えると、フィンガー46の開放動作が完了するタイミング(時間f)よりも、フィンガー41の閉鎖動作を開始するタイミング(時間e)が遅ければよい。言い換えると、f−e間の時間が0(ゼロ)よりも大きければよい。以下、このf−e間の時間をFilled-up timeと呼ぶ。
【0047】
<チューブの復元力>
1サイクル毎に規定量の液体を搬送するために、Filled-up time>0となればよいことを説明したが、当該Filled-up timeはチューブ80の復元力によって影響されるものである。
【0048】
フィンガー46の開放動作が開始されるタイミング(図3で時間g)は、カム61の形状や回転速度によって決定される。すなわち、フィンガー46がカム61の凸部によって押されている間は閉鎖状態を保っているが、凸部が外れるタイミングで開放動作が開始される。これに対して、開放動作が完了するタイミング(図3で時間f)は、チューブ80の復元力の強さによって決定される。前述のように、フィンガーの開放動作は、閉鎖動作によって押し潰されていたチューブ80が元の形状に復元する際に、フィンガーを押し戻すことによって行われる。したがって、チューブ80の復元力が弱ければ、開放動作には長い時間がかかる(時間fのタイミングが遅くなる)。逆に、チューブ80の復元力が強ければ、開放動作は短時間で終了する(時間fのタイミングが早くなる)。
【0049】
図5は、種々のチューブについて、押し潰された状態から復元するときの時間変位の様子を表す図である。図5では、素材や製造メーカーの異なる4種類のチューブ(チューブ1〜チューブ4)を用いて行なった実験の結果をプロットしている。4種類のチューブは全て同じサイズ(外径D、肉厚h)のものを使用する。実験の条件は、本実施形態と同様とする。すなわち、フィンガー41〜47と同様のフィンガーを用いて、同様の力で同様の時間だけ押し潰した場合に、各チューブが元の形状に戻るまでの時間をそれぞれ計測している。ここで、チューブが「復元」するとは、元のチューブの外径の90%の大きさまで戻る状態ことを言う。言い換えると、押し潰された各チューブの外径が0.9Dまで戻れば、チューブが「元の状態」に戻ったものとする。つまり、図5は各チューブが押し潰された状態から、外径がそれぞれ0.9Dの大きさに戻るまでの時間を表している。
【0050】
図に示されるようにいずれのチューブも、最終的にはほぼ元の形状に復元するが、戻るまでの時間がそれぞれ異なる。例えば、チューブ1は時間r1で元の形状に戻り、チューブ3及び4は時間r2で元の形状に戻ることがわかる。このことからチューブ1は最も復元力が強く、チューブ3、4は復元力が弱いと言える。したがって、本実施形態のチューブポンプ20でチューブ1を使用する場合は開放動作に要する時間が短くなり、チューブ3や4を使用する場合は開放動作に要する時間が長くなると考えられる。
【0051】
<比較例>
比較例として、チューブの復元力が弱い場合の例について説明する。図6は、比較例の場合に、フィンガー41〜47のそれぞれについて、開放・閉鎖の動作と時間との関係を表す図である。図7は、図6の時間eにおけるチューブとフィンガーの関係を表す概念図である。
【0052】
比較例では、チューブの復元力が弱いため、図3の場合と比較して、フィンガーの開放動作に要する時間(図6のc−d間に相当)が相対的に長くなっている。そのため、フィンガー46の開放が完了するタイミング(図6の時間f)よりもフィンガー41の閉鎖が開始されるタイミング(図6の時間e)が早くなっている。すなわちFilled-up time<0となっている。この場合、フィンガー41の閉鎖が開始される時間eにおいてフィンガー46の開放が完了していないため、図7のようにフィンガー46に対応する部分のチューブ内には十分な液体が充填されていない。この状態で液体の搬送が開始されてしまうため、規定量の液体を搬送することができなくなる。すなわち、液体搬送量の精度が悪化する。
【0053】
<第1実施例>
そこで、本実施形態では、チューブ80の復元力に応じて、常にFilled-up time>0となるように調整してフィンガーを動作させる。
【0054】
第1実施例では、チューブの復元時間について図5のような関係をあらかじめ調べておき、フィンガー46の開放動作が完了した後に、フィンガー41の閉鎖動作が開始されるようにカム61の回転速度を調整する。例えば、比較例のような復元力が弱いチューブを用いる場合、カム61の回転速度を落とすことで、フィンガー同士の閉鎖・解放動作の時間間隔(図3においてtに相当する時間間隔)を長く取る。
【0055】
図8は、カム61の回転速度を調整した場合に、フィンガー41〜47のそれぞれについて、開放・閉鎖の動作と時間との関係を表す図である。カム61の回転速度を遅くしたことにより、隣り合うフィンガー同士の動作間隔が長くなっている。例えば、フィンガー41が閉鎖動作を開始するタイミングと、フィンガー42が閉鎖動作を開始するタイミングとの時間間隔t´は、図3における時間間隔tよりも長くなる。
【0056】
図8で、フィンガー46とフィンガー41との動作に着目すると、チューブの復元力が弱いため、フィンガー46の開放動作に要する時間が長くなり、フィンガー46が完全に開放されるタイミング(時間f)は遅くなる。一方、フィンガー動作の時間間隔t´も長くなっているため、フィンガー41の閉鎖が開始されるタイミング(時間e)は、フィンガー46が完全に開放されるタイミング(時間f)よりも後になる。すなわち、Filled-up time>0が確保される。
【0057】
このようにカム61の回転速度を調整することで、チューブの種類によらず、常にFilled-up time>0とすることができる。したがって、1サイクルにおける液体搬送量も一定に保たれ、搬送精度を高くすることができる。
【0058】
<第2実施例>
第1実施例ではカム61の回転速度を遅くすることで、Filled-up time>0となるように調整を行うが、その分1サイクルの液体搬送時間(図8において時間aから時間eまで)が長くなってしまう。
【0059】
そこで、第2実施例として、カム61の回転速度を途中で変更する例について説明する。図8において、カム61の回転速度を遅くする必要があるのは、フィンガー46の開放動作が完了してからフィンガー41の閉鎖動作が開始されるまでの時間(Filled-up time)を確保するためである。したがって、当該フィンガーの動作について無関係な部分については、必ずしもカム61の回転速度を遅くする必要はない。そこで、図8の時間aから時間gまでの間ではカム61の回転速度を速くして、時間gから時間eまでの間のみカム61の回転速度を遅くする。すなわち、フィンガー41〜47のうち、搬送方向最下流側のフィンガー47、及びそれと隣り合うフィンガー46を駆動する速度よりも、他のフィンガー(41〜45)を駆動する速度を速くする。
【0060】
これにより、図8でa−g間の時間を短縮することができるため、Filled-up time>0として液体搬送量を高精度に保ちつつ、1サイクルの液体搬送時間を速くすることが可能となる。
【0061】
<第3実施例>
本実施形態では、カム61の回転速度を調整するに際してチューブ80の復元力を考慮するが、同じチューブを使用した場合であっても、使用条件によって押し潰されたチューブが復元するまでに要する時間が異なる場合がある。
そこで、第3実施例として、チューブの復元時間が変化する場合の例について説明する。
【0062】
まず、閉鎖状態が長く続く場合、すなわち、長時間にわたってチューブがフィンガーに押し潰されているような場合、チューブが元の形状に戻るまでの時間が長くなることがある。これは、チューブの材質等にも影響されるが、一般的に閉鎖状態が長いほど、戻り時間も長くなる傾向がある。そこで、閉鎖時間(例えば図3において時間b〜cの間)が長くなるほど、カム61の回転速度が遅くなるように調整する。すなわち、チューブが押し潰されていた時間が長いほど、フィンガーを駆動する際の速度、特にフィンガー46とフィンガー47を駆動する際の速度を遅くする。
【0063】
上述の場合と同様に、フィンガー46の開放動作に要する時間が長くなる分、フィンガー41の閉鎖が開始されるタイミングを遅らせることによって、Filled-up time>0となるように調整することができる。
【0064】
また、同じチューブを連続的に使用していると、蠕動運動を繰り返す間に、チューブの復元力が劣化する場合がある。このような場合、チューブが押し潰された状態から元の形状に戻るまでの時間が長くなる。そこで、あらかじめチューブを連続的に使用する等の耐久実験を行って、チューブの使用時間と復元力の劣化との関係を求めておく。そして、求められた関係に基づいて、実際の液体搬送時のチューブの使用期間に応じてカム61の回転速度を調整する。すなわち、チューブが使用された期間と押し潰されたチューブの形状が復元するまでの時間との関係に基づいて、フィンガーを駆動する際の速度、特にフィンガー46とフィンガー47を駆動する際の速度を調整する。例えば、チューブの使用期間が長いほど、カム61の回転速度が遅くなるように調整される。
【0065】
チューブの使用条件等に起因してフィンガー46の開放動作に要する時間が長くなるのに応じて、フィンガー41の閉鎖が開始されるタイミングを遅らせることによって、Filled-up time>0となるように調整することができる。
【0066】
このように、チューブの使用条件(復元時間)を詳細に考慮することにより、液体搬送量をより高精度に保つことができる。
【0067】
===第2実施形態===
第2実施形態では、第1実施形態で説明したFilled-up timeに加えて、駆動部60のモーター(不図示)の効率を考慮することにより、正確な液体搬送を実現しつつ、エネルギー効率の良い液体搬送を行なう。なお、送液ポンプ10の構成は第1実施形態と同様である。
【0068】
図9A及び図9Bはモーターの効率を考慮して液体搬送を行なう例について説明する図である。図の横軸はモーターの駆動速度を表す(つまりフィンガーを駆動する際の速度に対応する)。図の縦軸はモーター効率の大きさを表す。そして、実線で描かれる曲線が、或る駆動速度でモーターを駆動させた場合のモーター効率を表す。なお、モーターの「効率」はエネルギー供給量に対するモーターの仕事量(回転量や振動量)の割合を示す。例えばピエゾモーターを使用する場合であれば、或る大きさの電圧信号を圧電素子に印加したとき、共振周波数付近で振動する時の効率が最大となる。
【0069】
図の左側の斜線部で表される領域は液体搬送装置の使用目的上課される制限領域であり、この斜線部の領域ではモーター(フィンガー)を駆動させることはできない。例えば、単位時間当たりの液体搬送量の最小値が決められている場合には、モーター駆動速度の最低条件も決められる。すなわち、図のv1以上の速度でモーターを駆動させなければ、必要量の液体を搬送できないため、正確な液体搬送ができなくなる。
【0070】
また、図の右側の斜線部で表される領域はFilled-up timeを確保するための制限領域であり、この斜線部の領域ではモーター(フィンガー)を駆動させることはできない。例えば、この領域の速度でモーターを駆動させると、フィンガー46が開放される前にフィンガー41の閉鎖が開始されてしまい、Filled-up time<0となる。すなわち、図のv2以下の速度でモーターを駆動させなければ、Filled-up time>0を確保することができないため、正確な液体搬送ができなくなる。
【0071】
図9Aの場合、モーターの効率が最大となる速度v3は、v1以上かつv2以下(v1≦v3≦v2)の領域に含まれるため、モーターの駆動速度をv3とすることで、液体搬送の精度を確保しつつ(Filled-up time>0)、効率の良い駆動をすることができる。
【0072】
一方、図9Bの場合、モーターの効率が最大となる速度v3は、v2以上となる(v1≦v2≦v3)。この場合、モーターの駆動速度をv3とすると、Filled-up time確保のための制限領域中に含まれてしまうため、液体搬送の精度を確保することができなくなる(Filled-up time<0となる)。したがって、v1以上、v2以下の領域でモーター効率が最大となる速度v2でモーターを駆動することにより、液体搬送の精度を確保しつつ(Filled-up time>0)、効率の良い駆動をすることができる。
【0073】
このように、液体の単位時間当たりの液体搬送量等の使用目的から決められる駆動速度の条件、及び、Filled-up time>0を確保できる条件を考慮した上で、モーター効率が最も高くなるようにカム61を回転させる速度が決められる。これにより、正確な液体搬送を実現しつつ、エネルギー効率の良い液体搬送を行なうことができる。
【0074】
===第3実施形態===
前述の実施形態では、モーターが常に駆動(連続駆動)している場合の液体搬送について説明していたが、必ずしも連続的なモーター駆動が行われるとは限らない。例えば、液体搬送装置の使用用途に応じて30秒間駆動して、30秒間停止するような間欠駆動が行なわれる場合も考えられる。そこで、第3実施形態では、間欠駆動時にも効率の良い液体搬送を行なう。
【0075】
第2実施形態(または第1実施形態)における液体搬送量をDuty=100%とした時、間欠駆動時でも連続駆動時と同量の液体を搬送するためには、その分フィンガーの駆動を速くする必要がある。例えば、Duty=50%とすると、モーターの速度を2倍にして駆動する必要がある。このような場合、Dutyに対応するモーターの駆動速度を算出し、当該速度に応じてFilled-up time>0となるモーター駆動条件と、使用目的上のモーター駆動条件を求める。そして、前述の図9と同様にその条件を満たす範囲内でモーターの効率が最大となるときの駆動速度にてモーターを駆動する。これにより、間欠的に液体の搬送を行なう場合であっても、液体搬送の精度を確保しつつ(Filled-up time>0)、効率の良い駆動をすることができる。
【0076】
===その他の実施形態===
一実施形態としてフィンガーで押圧するチューブポンプを用いた液体搬送装置を説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
【0077】
<送液機構について>
前述した実施形態において、チューブポンプの送液機構として、フィンガーを用いてチューブを押す機構について説明しているが、この限りではない。例えば、送液機構としてローラーで押す機構や、タイヤ(リング)で押す機構などを用いてもよく、本発明は高精度の吐出が要求されるチューブポンプすべてに適用することができる。
【0078】
<駆動部について>
前述した実施形態において説明される駆動部60は、カム61を回転させることによってフィンガー41〜47を順次駆動させていたが、カム以外の構造を用いて各フィンガーを駆動させる構成であってもよい。例えば、各フィンガーの動作について、本明細書中で説明されたようなタイミングで動作を実現できるものであれば、クランク機構等を用いてフィンガーを駆動するのであってもよい。
【符号の説明】
【0079】
10 送液ポンプ、
20 チューブポンプ、31 ポンプユニット枠、32 チューブ枠、
41〜47 フィンガー、
60 駆動部、61 カム
80 チューブ、81 上蓋、82 下蓋、
90 液体収容容器、92 チューブ保持部、95 固定螺子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性を有するチューブと、
前記チューブが液体を搬送する搬送方向に沿って並ぶ複数のフィンガーと、
複数の前記フィンガーをそれぞれ駆動する駆動部と、
を備え、
前記チューブを押し潰すように前記フィンガーを駆動する閉鎖動作によって、前記チューブ内部の液体を前記搬送方向に搬送することと、
押し潰された前記チューブの形状が復元することにより前記フィンガーが押し戻される開放動作によって、前記チューブ内部に液体を吸引することと、
を行なう液体搬送装置であって、
前記搬送方向の最下流側のフィンガーの閉鎖動作が完了し、前記搬送方向の最下流側のフィンガーと隣り合うフィンガーの開放動作が完了した後で、
前記搬送方向の最上流側のフィンガーの閉鎖動作が開始されることを特徴とする液体搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体搬送装置であって、
複数の前記フィンガーのうち、前記搬送方向の最下流側のフィンガー及び前記搬送方向の最下流側のフィンガーと隣り合うフィンガーを駆動する速度よりも、
他のフィンガーを駆動する速度の方が速いことを特徴とする液体搬送装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の液体搬送装置であって、
前記チューブが押し潰されていた時間が長いほど、
前記搬送方向の最下流側のフィンガー及び前記搬送方向の最下流側のフィンガーと隣り合うフィンガーを駆動する際の速度を遅くすることを特徴とする液体搬送装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の液体搬送装置であって、
前記チューブが使用された期間と押し潰された前記チューブの形状が復元するまでの時間との関係に基づいて、
前記搬送方向の最下流側のフィンガー及び前記搬送方向の最下流側のフィンガーと隣り合うフィンガーを駆動する際の速度を調整することを特徴とする液体搬送装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の液体搬送装置であって、
前記チューブの一部が円弧状に設けられ、
複数の前記フィンガーはそれぞれ前記チューブの円弧中心方向から放射状に設けられ、
前記駆動部は前記チューブの円弧中心を軸として回転するカムを備え、
前記カムを所定の速度で回転させて、複数の前記フィンガーを前記搬送方向の上流側から下流側に順次押すことにより、
前記チューブに蠕動運動を生じさせることを特徴とする液体搬送装置。
【請求項6】
請求項5に記載の液体搬送装置であって、
前記液体の搬送量から決められる前記フィンガーを駆動する際の速度条件と、
前記搬送方向の最下流側のフィンガーと隣り合うフィンガーの開放動作が完了した後で、前記搬送方向の最上流側のフィンガーの閉鎖動作が開始されるように前記フィンガーを駆動する際の速度条件と、を考慮して、
前記駆動部の駆動効率が最も高くなるように前記カムを回転させる速度が決められることを特徴とする液体搬送装置。
【請求項7】
液体を搬送する搬送方向に沿って並ぶ複数のフィンガーをそれぞれ駆動することと、
弾性を有するチューブを押し潰すように前記フィンガーを駆動する閉鎖動作によって、前記チューブ内部の液体を前記搬送方向に搬送することと、
押し潰された前記チューブの形状が復元することにより前記フィンガーが押し戻される開放動作によって、前記チューブ内部に液体を吸引することと、
を有する液体搬送方法であって、
前記搬送方向の最下流側のフィンガーの閉鎖動作が完了し、前記搬送方向の最下流側のフィンガーと隣り合うフィンガーの開放動作が完了した後で、
前記搬送方向の最上流側のフィンガーの閉鎖動作が開始されることを特徴とする液体搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−24105(P2013−24105A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158731(P2011−158731)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)