説明

液体材料を所望のパターンで噴射する装置及び方法

液体材料を所望のパターンで噴射する装置10は、液体材料12の供給源に連結可能な噴射モジュール18を備える。ピストン46は、モジュール18内に高圧を急速に発生させることによって液体材料12がパターン板70から所望のパターンで噴射されるように、内部室42内で移動するように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的には液体材料を吐出する装置及び方法に関し、より詳細には、高粘性液体を所望のパターンで噴射する装置及び方法に関する。
【0002】
[相互参照]
本願は、2010年1月14日に出願された米国仮特許出願第61/294,951号(係属中)の優先権の利益を主張し、該出願の開示内容は、この参照によりその全体が本明細書に援用される。
【背景技術】
【0003】
はんだ付け用フラックス、絶縁保護コーティング、封入剤、アンダーフィル材料及び表面実装接着剤等の流体を噴射する液体ディスペンサーが当該技術分野において既知であり、液体ディスペンサーは、一般的に、弁座を弁部材と迅速に接触させて、ディスペンサーから少量の液体を噴出する別個の高圧パルスを生成することによって、少量の液体材料を基材に吐出するように動作する。本明細書において用いられる場合、液体材料の噴射とは、ディスペンサーから液体材料の個別の塊を高速で迅速に噴出させることを指す。噴射は、液体材料が一般的に接着剤の「ビード」と称される連続的な細長いフィラメントとして吐出される押し出しと対比される。液体材料の押し出し中に弁を迅速に開閉することによって、又は押し出されたビードを吐出させるときに空気を用いて粉砕することによって液滴を形成することができるが、これらのプロセスは、個別の液体塊がディスペンサーから直接的に高速で迅速に噴出される噴射プロセスとは明らかに異なる。
【0004】
図1A及び図1Bは、従来の噴射ディスペンサー10の動作を示す。図1Aにおいて、弁部材12が、流体通路14内を、出口18を有する弁座16の方向へ迅速に移動する。弁部材12が弁座16に近づくと、通路14内の液体材料20が弁先端部12aの周りに流れる。図1Bは、弁先端部12aが弁座16と接触する瞬間の噴射ディスペンサー10を示す。弁部材12と弁座16との間の衝突の運動量によって、少量の液体20aを出口18から噴出させる圧力パルスが生成される。ともに本願の出願人に譲渡されているSmith他への特許文献1及びMesserly他への特許文献2は、噴射ディスペンサーに関するものである。
【0005】
従来の噴射ディスペンサーは、一貫した量の液体材料がディスペンサーから噴射されることを確実にするために正確なタイミング制御を必要とする。例えば、弁のタイミングが早すぎると、液体材料がディスペンサー内に補充される十分な時間がなく、その結果として、吐出される液体は所望の量よりも少なくなる。同様に、タイミングが遅すぎると、結果として生じる液体の量が所望の量よりも多くなる。ホットメルト接着剤は、その高粘度性と、ホットメルト接着剤と噴射プロセスにおいて従来から用いられている液体材料との一般的なレオロジーの違いとに起因して、噴射ディスペンサーによって適切に吐出することはできないと長い間考えられてきた。したがって、ホットメルト接着剤は、一般的に、接着剤を吐出モジュールへ供給するために高圧を用いる専用のホットメルト接着剤吐出システムによって吐出されてきた。典型的な圧力は、2.758M Pa〜6.895 M Paの範囲である。吐出モジュール内の弁が開閉して、出口ノズルを通る高加圧ホットメルト接着剤の流れを調節する。
【0006】
従来の噴射ディスペンサーは、また、液体材料を個々の液滴として噴射するように一般的には構成されている。特定の用途では、液体材料、特にホットメルト接着剤等の高粘性液体材料を特定のパターンで吐出することが望ましい場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,747,102号明細書
【特許文献2】米国特許第6,253,957号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、ホットメルト接着剤等の高粘性材料を、個別の少量で、かつ所望のパターンで吐出し、従来の吐出システムのこれらの不都合点及び他の不都合点を克服する、方法及び装置が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、個別の少量の液体材料、特にホットメルト接着剤等の高粘性液体材料を所望のパターンで吐出するのに用いられる既知の吐出システムの前述及び他の欠点及び不都合点を克服する。本発明は、特定の実施形態に関連して記載されるが、本発明は、これらの実施形態に限定されないことが理解されるであろう。むしろ、本発明は、本発明の範囲内に含めることができるものとして全ての代替形態、変更形態及び均等物を含む。
【0010】
別の態様では、液体材料を噴射する装置が、液体材料の供給源に連結可能である噴射モジュールと、供給源から液体材料を受け入れる噴射モジュール内の内部室とを含む。パターン板が内部室と流体連通しており、液体材料を所望のパターンで噴射する少なくとも1つの出口を有する。内部室内に配置されているピストンが、液体材料が内部室内に入る位置から、次いで、高圧がピストンに近接して発生して個別量の液体材料をパターン板から出口を通して噴射させる第2の位置へ迅速に移動可能である。
【0011】
別の態様では、液体材料を噴射する装置が、液体材料の供給源に連結可能な液体室を有する噴射モジュールを含む。ピストン先端部を有するピストンは、液体室内に移動可能に配置されている。液体室及び液体通路と連通している凹部は、ピストン先端部の形状と相補的である形状を有することによって、ピストン先端部を凹部内に受け入れることができる。ピストンは、ピストン先端部が凹部から離間している位置から、ピストン先端部が凹部を効果的に密封する位置へ、次いで、ピストン先端部が凹部内に受け入れられて個別量の液体材料を凹部から通路を通して移動させる位置まで移動可能である。本装置は、液体材料を所望のパターンで噴射するように通路と連通している少なくとも1つの液体出口を有するパターン板を更に含む。
【0012】
本発明の上記の目的及び利点並びに他の目的及び利点は、添付の図面及びそれらの記載から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1A】従来の噴射ディスペンサーの動作を示す図である。
【図1B】従来の噴射ディスペンサーの動作を示す図である。
【図2】粘性液体を所望のパターンで噴射する例示的な噴射ディスペンサーの斜視図である。
【図3】図2の噴射ディスペンサーの部分断面立面図である。
【図4】図2の噴射ディスペンサーの噴射モジュールの分解斜視図である。
【図5】図4のノズル組立体及びパターン板の分解斜視図である。
【図6A】噴射ディスペンサーの動作を示す、図3の噴射モジュールの部分断面図である。
【図6B】噴射ディスペンサーの動作を示す、図3の噴射モジュールの部分断面図である。
【図6C】噴射ディスペンサーの動作を示す、図3の噴射モジュールの部分断面図である。
【図6D】噴射ディスペンサーの動作を示す、図3の噴射モジュールの部分断面図である。
【図7】図2に示されている噴射モジュールと同様の別の噴射モジュールの部分断面図である。
【図8】図7の噴射モジュールと同様の別の例示的な噴射モジュールの部分分解図である。
【図9】本開示による別の例示的な噴射モジュールの部分断面図である。
【図10】図9の噴射モジュールの部分断面図である。
【図11】別のパターン板が設けられた図8の噴射モジュールの部分断面図である。
【図12】液体材料を所望のパターンで噴射する例示的なノズルの斜視図である。
【図13】図12の噴射ノズルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図2及び図3は、本開示による例示的な噴射ディスペンサー10であって、ディスペンサー10の下を移動している基材14にホットメルト接着剤等の高粘性材料12を所望のパターンで吐出する、例示的な噴射ディスペンサー10を示す。例えば、噴射ディスペンサー10を用いて、約0.1Pas〜約20Pasの範囲の粘度を有する材料を吐出することができる。別の態様では、噴射ディスペンサー10を用いて、約0.1Pas〜約25Pasの範囲の粘度を有する材料を吐出することができる。ディスペンサー10は、好適な支持構造部16によって基材14から上方に或る距離に位置付けられる。支持構造部16は、本明細書では単純なフレーム状構成部材を含むものとして示されているが、例えばロボットマニピュレーター等の可動構造体を含む種々の他の構造を代替的に用いてディスペンサー10を支持し得ることが理解されるであろう。図2に示される実施形態では、噴射ディスペンサー10は、複数の支持ロッド20によって支持構造部16に取り付けることができる噴射モジュール18を含む。ディスペンサー10は、加圧空気を噴射モジュール18に供給する空気供給部22を更に含むことができる。空気供給部22は、アクチュエーターロッド28を迅速に作動させて空気供給部22に出入りさせるよう移動させるようにそれぞれの空気管路26a、26bに連結されている第1のマニホルド24aと第2のマニホルド24bとを含むことができる。
【0015】
引き続き図2及び図3を参照し、図4及び図5を更に参照すると、噴射モジュール18は、その第1端部34に形成されている中心に位置する凹部32と、第2端部38を通して形成されているとともに凹部32と連通している開口36とを有するハウジング30を備える。凹部32は、ノズル本体40を少なくとも部分的に内部に受け入れるように構成されており、ハウジング30の第1端部34に形成されている凹部32とノズル本体40に形成されている対応する凹部44との間に、内部室42を画定する。ピストン46が内部室42内に配置されており、ハウジング30の開口36を通って延在する第1端部48を有する。ピストン46の第1端部48は、空気供給部22のアクチュエーターロッド20に形成されている対応するねじ山52を受け入れて係合するようになっているねじ穴50を含む。ピストン46の第1端部48の外面54も、第1ナット56a及び第2ナット56bをその上に受け入れるようにねじが切られていて、以下でより完全に説明するように、内部室42内でのピストン46の第2端部58の変位を制限する。
【0016】
ピストン46の第2端部58は、ハウジングの凹部32とノズルの凹部44とによって画定されている内部室42内にぴったりと嵌まるように構成されている概ね円筒形のピストンヘッド60を画定している。ピストンヘッド60に形成されているOリング溝62は、ハウジングの凹部32の一部と密封係合するOリング64を支持し、内部室42からハウジング30の開口36を通る流体連通を防止する。噴射モジュール18は、ノズル本体40に連結されているパターン板70を更に含む。以下でより完全に説明するように、噴射モジュール18の内部室42内に受け入れられた液体材料は、内部室42からノズル本体40及びパターン板70を通って移動する。
【0017】
図示の実施形態では、ノズル本体40とパターン板70とは、ノズル本体の開口67とパターン板70の開口68とを通して受け入れられる締結具66によってハウジング30に連結される。ノズル本体40の周方向溝71は、ノズル本体40とハウジング30との間を密封するOリング75aを支持する。同様に、パターン板70の周方向溝73は、パターン板70とノズル本体40との間を密封するOリング75bを支持する。
【0018】
図3〜図5を参照すると、液体材料は、供給源(図示せず)から、ハウジング入口76に受け入れられる適切な管継手74によってハウジング30に連結される低圧導管72を通して内部室42へ供給される。非限定的な例として、低圧導管72は、約34.48kPa〜約275.8k Paの範囲の圧力、又は液体材料を内部室42へ供給するのに好適な他の圧力範囲の圧力に対応するように構成することができる。入口76は、入口通路78を介して内部室42と流体連通している。液体材料は、ハウジングの凹部32とノズル本体の凹部44とによって画定されている内部室42を充填するのに十分な圧力で供給部から供給される。ピストンヘッド60に形成されている周方向溝80は、ピストンヘッド60に形成されている複数の液体通路82に連通し、そして、ノズル本体40に形成されている複数のノズル通路84に連通し、パターン板70の第1面88に形成されている分配通路86まで到達している。分配通路86は、半径方向に延在する経路を画定しており、それらの経路は、パターン板70を貫く出口通路90のそれぞれと連通し、そして、パターン板70の第2面94内に形成されている環状凹部92と連通している。パターン板70の第2面94に連結されている輪状インサート96は、環状凹部92内に受け入れられて、パターン板70の第2面94に外側環状出口98aと内側環状出口98bとを画定し、これらの外側環状出口98a及び内側環状出口98bを通して液体材料12が噴射されて基材14上に同心円の輪形状パターンを形成する。輪状インサートは、パターン板70の開口97及び輪状インサート96の開口99内にそれぞれ受け入れられる締結具95によってパターン板に連結される。
【0019】
噴射モジュール18は、噴射モジュール18を通る液体材料12の動きを制御するために、ピストン46の第2端部58に連結される第1リード弁100と、ノズル本体40の第2面104に連結される第2リード弁102とを更に含む。第1リード弁100は、ピストン46の第2端部58に形成されているねじ孔108内に受け入れられる対応するねじ山付き締結具106aによってピストン46に連結される。同様に、第2リード弁102は、ノズル本体40の中央ねじ孔110内に受け入れられるねじ山付き締結具106bによってノズル本体40に固定される。第1リード弁100と第2リード弁102とは、噴射モジュール18の動作を示すために図6A〜図6Dを参照して記載するように、ピストンヘッド60に形成されている液体通路82と、ノズル本体40に形成されているノズル通路84とを覆うために、半径方向外方に延在する複数の裂片112を備える。
【0020】
図3及び図6Aを参照すると、液体材料は、供給源からハウジング入口76と入口通路78とを通って、ハウジングの凹部32とノズル本体の凹部44とによって画定されている内部室42に供給されている。ピストン46を内部室42内で移動させるようにディスペンサー10が数サイクル動作した後で、噴射モジュール18は、ノズル本体40及びパターン板70の通路全体にわたって液体材料が注入される。加圧空気が空気供給部22(図2)の管路26a、26bに供給されることで、アクチュエーターロッド28を、図6Aに示される伸張位置から図6Bに示される後退位置にピストン46を後退させる方向に駆動する。この変位の結果として、図6Bに示されるように、内部室42内の液体材料は、強制的にピストンヘッド60の液体通路82内に通され、第1リード弁100の裂片112を撓ませるとともにノズル通路84を充填する。第2リード弁102の裂片112がノズル本体40と接触したままであることで、ピストン46が空気供給部22へ向かう方向に移動するときに分配通路86及び出口通路90からの液体材料の逆流を防止する。
【0021】
次いで、加圧空気を空気供給部22に供給して、ピストン46をノズル本体40へ向かう方向に移動させる。ピストン46がノズル本体40へ向かって移動し始めると、第1リード弁100の裂片112が液体通路82の上に閉じられ、ピストン46の第1端部58と接触したままとなることで、ピストンヘッド60の液体通路82を通る液体材料の逆流を防止する。ノズル本体40へ向かうピストンヘッド60の移動によって、液体が強制的にノズル通路84に通されることで、第2リード弁102の裂片112が撓み、それによって、液体材料が、分配通路86内に強制的に入り、出口通路90と、パターン板70の第2面94に形成されている環状凹部92とを通って、パターン板70に連結されている輪状インサート96によって形成されている外側環状出口98a及び内側環状出口98bを通して吐出される。ノズル本体40へ向かうピストンヘッド60の移動は、内部室42内に高圧を急速に発生させ、個別量の液体材料12をパターン板70の外側環状出口98a及び内側環状出口98bから噴射して、基材14上に図6Dに示されるような同心円輪形状パターンを形成する。一実施形態では、内部室42内で発生する圧力は、約2.758M Pa〜約17.24MPaの範囲であるものとすることができる。
【0022】
ピストン46は、アクチュエーターロッド28によって駆動されて内部室42の相対寸法により許容される全行程にわたって移動することができるが、ピストン46の行程は代替的には、ピストン46の第1端部48に螺合している第1ナット56a及び第2ナット56bを調整することによって制限してもよく、それによって噴射ディスペンサー10が吐出する液体材料の量を選択的に調整することができる。
【0023】
図7は、図3の噴射モジュール10と同様の別の例示的な噴射モジュール120を示し、この場合、ピストン122は、液体材料の流れを制御するリード弁を含まない。モジュール120は、ハウジング124とノズル本体126とを含み、これらはそれぞれ、ノズル本体126がハウジング124に連結されると内部室132を画定するそれぞれの凹部128、130を有する。ノズル本体126のノズル通路134は、ノズル本体126とパターン板138との間に画定されている半径方向通路136と連通している。この実施形態では、パターン板138は、単一の環状出口140を画定しており、ピストン122がノズル本体126へ向かう方向に迅速に移動すると、単一の環状出口140を通して液体材料142が噴射されて、上述したやり方と同様のやり方で基材144上に単一のリング状パターンを形成する。パターン板138は、環状出口140を形成するように、締結具146a、146bによってノズル本体126に固定されている外側板部分138aと内側板部分138bとを備える。
【0024】
図8は、図7に示されるパターン板138と同様の別の例示的なパターン板150とともにノズル本体126の分解斜視図を示す。この実施形態では、パターン板150は、液体材料が複数の個別の液滴154として所望のパターンで噴射されるように、パターン板150とノズル本体126との間に画定されている半径方向通路136と連通する、パターン板150に形成されている複数の出口通路152を有する。液滴154は、基材156上に受け入れられた後、個別量の液体材料のままであることができるか、又は代替的には融合して所望のパターンを形成することもできる。図2〜図8を参照して図示及び記載した実施形態は、基材に噴射されるパターンが円環の形状である実施形態を示しているが、液体材料は、所望である場合は、パターン板の適切な変更によって種々の他の形状で噴射することができることが理解されるであろう。
【0025】
図9及び図10は、個別量の液体材料を円形パターン等の所望のパターンで噴射する更に別の例示的な噴射モジュール160を示す。ここで図9及び図10を参照すると、噴射モジュール160は、液体室164が内部に形成されているモジュール本体162を含む。液体供給通路166は、液体材料を接着剤供給部(図示せず)からマニホルド168を通して液体室164へ供給するように液体室164と連通している。図示の実施形態では、マニホルド168の中に形成されている液体通路170がモジュール本体162の液体供給通路166と連通しており、それによって、液体材料が液体供給通路170からモジュール本体162の供給通路166を通って液体室164へ流れる。図示の実施形態では、ホットメルト接着剤は、(約34.48kPa〜約275.8kPaの範囲の)低圧で、液体通路170を通ってモジュール160へ供給される。種々の他の配置及び構成を代替的に用いてホットメルト接着剤又は他の材料をモジュール160へ供給してもよいことが理解されるであろう。
【0026】
モジュール本体162は、開口している第1端部172を含み、開口している第1端部172は、液体室164と連通しているとともにノズル174を受け入れるようになっている。噴射モジュール160は、第1端部178を有するピストンロッド176を更に含み、ピストンロッド176は、液体室164内で往復動可能である。ピストン先端部180は、ピストンロッド176の第1端部178に連結されている。ピストンロッド176の第2端部182は、空気ピストン184に連結されており、空気ピストン184は、モジュール本体162内に形成されているピストン空洞186内で摺動可能である。液体室164とピストン空洞186との間に配置されているシール188a、188bは、液体室164をピストン空洞186から密封しながらピストンロッド176の摺動を可能にする。ノズル174がモジュール本体162の第1端部172に連結されると、圧縮ばね190は、シール188bをモジュール本体162に対して付勢して液体室164を密封する。空気源(図示せず)からの加圧空気が空気供給通路192、194を通ってピストン空洞186へ供給されることで、空気ピストン184と、したがってピストンロッド176及びピストン先端部180とを、ノズル174に接離する方向に迅速に移動させる。図示の実施形態では、空気供給通路192、194は、マニホルド168内の空気通路196、197と流体連通しており、そして、空気通路196、197は、空気源に動作可能に連結されている。空気供給通路192を通って供給される加圧空気は、ピストンをノズル174から離れる方向に駆動し、一方、空気供給通路194を通って供給される加圧空気は、ピストンをノズル174へ向かう方向に駆動する。加圧空気をピストン空洞186へ供給する種々の他の方法及び構成を代替的に用いてもよいことが理解されるであろう。モジュール160は、ピストンロッド176のサイクルごとにモジュール160により噴射される液体材料の量を変えることを容易にするために、ピストンロッド176の行程を選択的に調整する調整つまみ198を更に含む。
【0027】
ノズル174は、モジュール本体162の開口している第1端部172に連結されている。ノズル174は、ピストン先端部180の形状と相補的である形状に形成されている凹部202を有するノズル本体200を含み、それによって、ピストン先端部180を凹部202内に受け入れることができる。図示の実施形態では、ピストン先端部180は、半球状であり、凹部202は、概ね半球状の相補的な形状を有する。しかし、ノズル先端部180と凹部202とは、種々の他の相補的な形状を有していてもよいことが理解されるであろう。ノズル本体200は、ノズル通路206を介して凹部202と連通している出口204を更に含み、それによって、ピストン先端部180が凹部202内に受け入れられると液体室164内の液体材料が強制的にノズル通路206とノズル出口204とへ通される。ノズル174は、開口している第1端部172においてモジュール本体162に対して密封するOリング208を更に含むことができる。
【0028】
パターン板210は、ノズル出口204に近接してノズル本体200に連結されている。パターン板210に形成されている凹部は、ノズル本体200とパターン板210との間に分配通路212を形成している。分配通路212は、ノズル出口204と、パターン板210を貫通して形成されている複数の出口通路214とを流体連通し、複数の出口通路214を通って、液体材料が出口216から所望のパターンで基材へ噴射される。
【0029】
動作時には、加圧空気が空気供給通路192を通ってピストン空洞186へ供給され、ピストンロッド176をノズル174から離れる方向に移動させ、それによって、ピストン先端部180が凹部202から後退することにより液体材料が流体室164へ入って流体室164及び凹部202を充填する。液体材料は、流体室164及び凹部202を充填するには十分であるが液体材料をパターン板210の出口216から吐出させない圧力で、マニホルド168から供給通路166を通って供給される。次いで、加圧空気が空気供給通路194を通ってピストン空洞186へ供給され、それによって、ピストンロッド176がピストン先端部180をノズル174へ向かう方向に迅速に移動させる。ピストン先端部180が凹部202に入り始めると、ピストン先端部180は、凹部202を上縁218に沿って実質的に密封して、ピストン先端部180と凹部202との間に個別量の液体を画定する。ピストン先端部180と凹部202の上縁218との間には、ピストン先端部180を凹部202に対して固着させることなく凹部202に出入りさせることを可能にする幾らかの隙間が存在することが理解されるであろう。本明細書において用いる場合、ピストン先端部180と凹部202との間を実質的に密封するとは、ピストン先端部180と凹部202の上縁218との間の隙間が、液体材料がピストン先端部180の周りを単に移動するのではなく、ピストン先端部180によって強制的にノズル通路206とノズル出口204とを通って移動するほど十分に小さいことを意味する。
【0030】
ピストンロッド176は、ノズル174へ向かう方向に移動し続け、それによって、ピストン先端部180が凹部202に入り続けて凹部202内の液体材料をノズル通路206及びノズル出口204を通して移動させる。ピストン先端部180は、上述したように凹部202を効果的に密封するため、個別量の液体材料が画定され、ピストン先端部180が凹部202に入り続けるにつれて、ピストン先端部180と凹部202との間に高圧が発生する。生成される圧力は、約2.758MPa〜約17.24MPaの範囲であるものとすることができる。個別量の液体材料は、強制的にノズル出口204を通って分配通路212に入れられ、そして、出口通路214を通って出口216から所望のパターンで噴射される。
【0031】
ピストン先端部180が凹部202内で完全に着座して凹部202内の実質的に全量の液体材料を吐出するやり方でモジュール160の動作を記載及び例示したが、ピストン176の移動の範囲は、ピストン先端部180がピストン176の各行程の終端で凹部202内に完全には着座せず、それによって、凹部202内の液体材料の全量よりも少ない量を吐出することができるように、代替的に制御してもよいことが理解されるであろう。
【0032】
図9及び図10に関して図示及び記載した実施形態は、液体材料を概ね円形のパターンで噴射するように構成されているパターン板210を示すが、液体材料は、パターン板の適切な変更によって種々の他のパターンで代替的に噴射してもよいことが理解されるであろう。例えば、図11は、図9及び図10に関して図示及び記載した噴射モジュールと同様の別の例示的な噴射モジュールを示すが、ここでは、パターン板210aは、概ね矩形のパターンで配置されている複数の出口216aを有する。
【0033】
図8〜図11の噴射モジュール160を、1つ又は複数の出口216、216aが所望のパターンで配置されているパターン板210、210aとともに上述したが、本開示による噴射モジュールは、液体材料を所望のパターンで噴射するように出口がノズル本体に直接形成されているように代替的に構成してもよい。そのような実施形態では、液体材料は、付加的なパターン板を必要とすることなく所望のパターンで噴射することができる。
【0034】
図12及び図13は、図9を参照して図示及び記載したモジュール160とともに用いることができるノズル220の例示的な一実施形態を示し、この場合、ノズル本体224は、液体材料を所望のパターンで噴射するように配置及び構成されている1つ又は複数のノズル出口226を含む。使用時に、モジュール160は、上述したように動作するが、液体材料は、ノズル出口226から基材へ直接噴射される。図12及び図13は、ノズル出口226が液体材料を概ね円形のパターンで噴射するように配置及び構成されている実施形態を示すが、種々の他のパターンで代替的に噴射してもよいことが理解されるであろう。
【0035】
本発明の原理に従った種々の態様を種々の実施形態の記載によって説明し、これらの実施形態をかなり詳細に記載したが、それらの実施形態は本発明の範囲をそのような詳細に限定するか又はいかようにも制限することは意図しない。本明細書において図示及び記載される種々の特徴は、単独で又は任意の組み合わせで用いることができる。更なる利点及び変更形態が当業者には容易に明らかとなるであろう。したがって、本発明はそのより広範な態様では、図示及び記載される特定の詳細、代表的な装置及び方法、並びに例示的な例に限定されない。したがって、包括的な発明の概念の範囲から逸脱することなくそのような詳細から逸脱することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体材料を所望のパターンで噴射する装置であって、
液体材料の供給源に連結されている噴射モジュールと、
前記モジュール内の内部室と、
前記内部室内に少なくとも部分的に配置されているピストンと、
前記内部室と流体連通しているとともに液体材料を所望のパターンで噴射するように構成されている少なくとも1つの出口を有するパターン板と、
を備え、
前記ピストンは、前記内部室内で、前記供給源からの液体材料を前記内部室内に入らせる第1の位置から、次いで、前記ピストンに近接して高圧を発生させて個別量の液体材料を前記少なくとも1つの出口を通して前記パターン板から噴射させる第2の位置へ迅速に移動可能である装置。
【請求項2】
前記ピストンは、概ね平坦な面を有する請求項1に記載の装置。
【請求項3】
液体材料を所望のパターンで噴射する装置であって、
液体室を含み、液体材料の供給源に連結可能なディスペンサー本体と、
ピストン先端部を有し、前記液体室内に移動可能に配置されているピストンと、
前記液体室及び液体通路と流体連通し、前記ピストン先端部を受け入れるように前記ピストン先端部と相補的な形状に形成されている凹部と、
を備え、
前記ピストンは、前記ピストン先端部が前記凹部から離間している第1の位置から、前記ピストン先端部が前記凹部を効果的に密封して前記ピストン先端部と前記凹部との間に個別量を画定する第2の位置へ、次いで、前記ピストン先端部が前記凹部内に受け入れられて前記個別量を前記凹部から前記液体通路を通して移動させる第3の位置まで移動可能であり、
前記液体材料の前記所望のパターンを画定する少なくとも1つの液体出口を含み、前記液体通路と連通しているパターン板と、
を備える装置。
【請求項4】
前記パターン板は、前記所望のパターンに概ね対応するように配置されている複数の液体出口を含む請求項3に記載の装置。
【請求項5】
液体材料を所望のパターンで吐出する方法であって、
液体室を液体材料で充填するには十分であるが前記液体材料を前記液体室から吐出させるには十分でない圧力で、前記液体材料を前記液体室へ供給することと、
凹部に近接して個別量の液体材料を効果的に密封することと、
前記凹部において高圧を生成して、少なくとも1つの出口から前記個別量の液体材料を液体材料の前記所望のパターンで噴射することと、
を含む方法。
【請求項6】
吐出される液体材料の前記所望のパターンを画定するように配置されている複数の出口から、液体材料を噴射する請求項5に記載の方法。
【請求項7】
生成される前記圧力は、約2.758M Pa〜約17.24MPaの範囲である請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記凹部において高圧を生成することは、ピストンを短い距離にわたって迅速に移動させることを含む請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記個別量の液体材料は、複数の個々の量の液体材料として噴射される請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記個々の量を融合させて一体のパターンを形成することを更に含む請求項9に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2013−517124(P2013−517124A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−548979(P2012−548979)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【国際出願番号】PCT/US2011/020474
【国際公開番号】WO2011/087960
【国際公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(391019120)ノードソン コーポレーション (150)
【氏名又は名称原語表記】NORDSON CORPORATION
【Fターム(参考)】