説明

液体柔軟剤組成物

【課題】繊維製品に油っぽい風合いを与えることなく繊維製品の風合いを改善すると共に、柔軟処理した衣類等繊維製品の着用時には皮膚保湿性を高め、肌のかさつきやかゆみを軽減できる液体柔軟剤組成物を提供すること。
【解決手段】下記の(A)、(B)及び(C)成分を含有する液体柔軟剤組成物。
(A)シリコーン化合物
(B)カチオン性を有する水溶性高分子化合物
(C)植物抽出物

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣料などの繊維製品に使用する液体柔軟剤に関する。特に、本発明は繊維製品や衣料などに優れた滑らかさや柔軟性といった風合いを付与するだけでなく、柔軟処理した繊維製品の着用時における肌へのマイルド性を向上した柔軟剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
衣料および繊維製品は、着用・使用と洗濯・乾燥を繰り返すうちに繊維処理剤が洗い落とされたり、繊維が本来保有している柔らかさ、嵩高さなどの風合いが損なわれたり、繊維同士の摩擦力が上昇し、繊維の損傷が促進され風合いの低下を引き起こす。このような風合いの低下した衣料や繊維製品を使用(着用)し続けていると、違和感があるだけでなく、衣料と接触している部分の肌の角質層が物理的な刺激により徐々に損傷し、剥離してしまう。また、損傷や剥離してしまった角質層は、バリア機能が低下し、肌水分の損失、蒸散を招き、乾燥、掻痒、炎症等を生じやすくなる。そこで、スキンマイルド性を有する繊維処理剤のニーズが従来から存在する。
かような理由から、柔軟剤を使用することにより衣料の柔軟性を回復し、衣料を使い心地よい状態に仕上げる、という洗濯習慣が定着してはいるものの、これら従来の柔軟剤には長鎖アルキル基を有する4級アンモニウム塩や3級アミンの中和塩が用いられており、少量で各種繊維に対して良好な柔軟効果を発揮する性能を有するものであるが、繊維を油っぽい仕上がりや吸水性が悪くなるといった欠点もあり、しかも充分なスキンマイルド性を有するものではなかった。これに対して近年、シリコーン化合物にカチオン性高分子を併用して、繊維製品の吸水性を損なうことなく、柔軟性と滑らかさ及び防臭効果を付与する試みもなされている。しかし、残念ながらこれら成分のみでは充分なスキンマイルド性を付与できない。(特許文献1、2)
一方、肌のバリア機能を低下させない、あるいは改善させるものとして、植物や海草抽出物、NMF(天然保湿因子)などが挙げられる。例えば、植物抽出物をエステル基含有3級アミンもしくはその第4級アンモニウム塩と併用した衣料用防臭剤組成物や、セラミドなどの皮膚保湿成分と多糖誘導体と併用してスキンケア効果を衣料に付与できる処理剤組成物が提案されている。(特許文献3、4)
しかし、このような物質は直接皮膚に塗布した場合には、皮膚のバリア機能に対し効果を示すが、洗濯のすすぎ液中に添加した場合、皮膚保湿成分自体の衣料への吸着性等、複数の因子の影響を考慮しなけらばならないので、その物質を適用した繊維製品が十分な効果を示すか、皮膚上でバリア機能を発揮するからといって繊維製品上でも同様にバリア機能を発揮するかは不明である。
【0003】
【特許文献1】特開2004−131895号公報
【特許文献2】特開2005−187973号公報
【特許文献3】特開2005−163207号公報
【特許文献4】特開2005−82915号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、繊維製品の風合いを改善すると共に、柔軟処理した衣類等繊維製品の着用時には皮膚保湿性を高め、肌のかさつきやかゆみを軽減できる液体柔軟剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明により、下記の(A)、(B)及び(C)成分を含有することを特徴とする液体柔軟剤組成物を提供する。
(A)シリコーン化合物
(B)カチオン性を有する水溶性高分子化合物
(C)植物抽出物
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、繊維製品に油っぽさを伴うことなく、繊維製品の風合いを改善し、柔軟処理した衣類等の繊維製品の着用時に、皮膚保湿性を高め、肌のかさつきやかゆみを軽減できる液体柔軟剤組成物が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
[(A)成分:シリコーン化合物]
本発明の(A)成分としては、一般的に繊維処理に使用されており、繊維製品に吸着した時に、柔軟性、滑らかさを付与することが可能であれば特に限定されずに使用することができる。このようなシリコーン化合物としては、ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、エポキシ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、高級脂肪酸変性シリコーン、メチルハイドロジェンシリコーン、フッ素変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、ポリグリセロール変性シリコーン及びカルビノール変性シリコーンなどが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上の混合物として使用することができる。。
このシリコーン化合物の分子構造は、直鎖状であっても分岐や架橋していてもよい。また、変性シリコーン化合物は1種類の有機官能基により変性されていても構わないし、2種以上の有機官能基により変性されていてもよい。
シリコーン化合物はオイルとして使用でき、また任意の乳化剤によって分散された乳化物としても使用できる。特に、柔軟処理した繊維製品の黄変を防止するために、アミノ基を含有しないシリコーン化合物であることが好ましい。さらに、後述する(B)成分による(A)成分のシリコーン化合物を繊維へ吸着させる効果を高め、柔軟性、滑らかさを高める点から、(A)成分のシリコーン化合物は、非イオン性であることが好ましく、、ジメチルシリコーン、エポキシ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーンがより好ましい。ポリエーテル変性シリコーンはポリエーテル基を有していれば、アルキル基、カルボキシル基、エポキシ基などの有機官能基を含有していてもよく、その例としては、エポキシポリエーテル変性シリコーン、アルキルポリエーテル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーンが挙げられる。このなかでも特に好ましいシリコーン化合物としては、柔軟性付与及び水性液体柔軟剤組成物の外観を透明にし、商品価値を高めることができる等の観点から、ポリエーテル変性シリコーンを挙げることができる。該シリコーンは、ポリエーテル基を有しないジメチルシリコーンに比べ、キシミ感が少なく良好な柔軟性を有するとともに、透明または半透明な液体柔軟剤組成物を得るために、より好適である。
【0008】
ジメチルシリコーンは、処理布の動摩擦係数をより低くすることができるので好ましい。中でも、ジメチルシリコーンの重合度ないし動粘度が大きいものが好ましい。具体的には、動粘度が1,000mm2/s以上のものが好ましく、10,000mm2/s以上のものがより好ましい。なお、ここで、動粘度は、25℃において測定したときの温度である。重合度を高くするとそれに伴い粘度が増加する。そのため、粘度の高いジメチルシリコーンが動摩擦係数を低くするためには好適である。本発明において使用できるジメチルシリコーンとしては、信越化学(株)製の、KF96A-2cs,5cs,6cs,10cs,20cs,30cs,50cs,100cs,200cs,300cs,350cs,350cs,500cs,KF-96-1000cs,3000cs,KF-96A-5000cs,KF-96H-6000cs,1万cs,1.25万cs,3万cs,5万cs,6万cs,10万cs,30万cs,50万cs,100万cs,MF-7,MF-17,MF-32等があげられる。
【0009】
エポキシ変性シリコーンは、処理布の柔軟性を付与することが可能な液体柔軟剤組成物を得るのに好適である。エポキシ変性シリコーンも重合度ないし粘度を高めると動摩擦係数を低くすることが可能である。具体的には、動粘度が5,000mm2/s以上のものが好ましい。本発明において使用できるエポキシ変性シリコーンは信越化学(株)製の、Polon MF-11C,MF-18,MF-24等があげられる。
【0010】
ポリエーテル変性シリコーンは、ポリエーテル基を有しないジメチルシリコーンに比べ、キシミ感が少なく良好な柔軟性を有するとともに、動摩擦係数を低くすることが可能な液体柔軟剤組成物を得るのに好適である。好ましいポリエーテル変性シリコーンとしては、アルキル(炭素数1〜3)シロキサンとポリオキシアルキレン(アルキレン基の炭素数2〜5が好ましい)の共重合体が挙げられる。このうち、ジメチルシロキサンとポリオキシアルキレン(ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのランダム又はブロック共重合体など)の共重合体が好ましい。このようなものとして、下記一般式(I)又は(II)で表される化合物が挙げられる。
【0011】
【化1】

【0012】
(式中、M、N、a及びbは平均重合度であり、Rは水素又はアルキル基を表す。)
ここで、Mはジメチルシロキサン、Nはポリオキシアルキレン、aはポリオキシエチレン、bはポリオキシプロピレンの数を表す。M:ジメチルシロキサンは、100〜8000、好ましくは150〜7000、より好ましくは200〜5000、N:ポリオキシアルキレンは1〜100、好ましくは1〜50、さらに好ましくは1〜25である。M:ジメチルシロキサン/N:ポリオキシアルキレンが20以上、好ましくは50以上、さらに好ましくは100以上、もっとも好ましくは150以上である。aは2〜100、好ましくは5〜50、より好ましくは5〜20、bは0〜50、好ましくは0〜10が好ましい。Rとしては水素又は炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基であるのがより好ましい。
上記一般式(I)で表されるポリエーテル変性シリコーンは、一般に、Si−H基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、例えばポリオキシアルキレンアリルエーテル等の、炭素−炭素二重結合を末端に有するポリオキシアルキレンアルキルエーテルとを付加反応させることにより製造することができる。
【0013】
【化2】

【0014】
(式中、A、B、h、及びiは平均重合度であり、Rはアルキル基を表し、R’は水素又はアルキル基を表す。)
ここで、Aはジメチルシロキサン、Bはポリオキシアルキレン、hはポリオキシエチレン、iはポリオキシプロピレンの数を表す。A:ジメチルシロキサンは100〜8000、好ましくは150〜7000、より好ましくは200〜5000、B:ポリオキシアルキレンは1〜100、好ましくは1〜50、さらに好ましくは1〜25である。Aジメチルシロキサン/Bポリオキシアルキレンが20以上、好ましくは50以上、さらに好ましくは100以上、もっとも好ましくは150以上である。hは2〜100、iは0〜50が好ましい。Rとしては炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。R’としては水素又は炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。また、式(II)で表わされるブロック共重合体の重量平均分子量は、柔軟性、滑らかさの観点から15,000〜100,000,000であることが好ましい。
【0015】
上記線状ポリシロキサン−ポリオキシアルキレンブロック共重合体は、反応性末端基を有するポリオキシアルキレン化合物と、該化合物の反応性末端基と反応する末端基を有するジヒドロカルビルシロキサンとを反応させることにより製造することができる。
このようなポリエーテル変性シリコーンは、側鎖のポリオキシアルキレン鎖が長く、ポリシロキサン鎖の重合度が大きいものほど粘度が高くなるので、製造時の作業性改善および水性組成物への配合を容易にするために、各種有機溶剤または水に溶解させて使用するのが好ましい。使用される有機溶剤としては、エタノール、ジプロピレングリコール、ブチルカルビトール等が挙げられる。
【0016】
本発明で用いることのできるポリエーテル変性シリコーンの具体的な例としては、東レ・ダウ コーニング(株)製のSH3772M、SH3775M、SH3748、SH3749、SF8410、SH8700、BY22−008、BY22−029、BY16−8396、SF8421、SILWET L−7001、SILWET L−7002、SILWET L−7602、SILWET L−7604、SILWET FZ−2104、SILWET FZ−2120、SILWET FZ−2161、SILWET FZ−2162、SILWET FZ−2164、SILWET FZ−2171、ABN SILWET FZ−F1−009−01、ABN SILWET FZ−F1−009−02、ABN SILWET FZ−F1−009−03、ABN SILWET FZ−F1−009−05、ABN SILWET FZ−F1−009−09、ABN SILWET FZ−F1−009−11、ABN SILWET FZ−F1−009−13、ABN SILWET FZ−F1−009−54、ABN SILWET FZ−2222、信越化学工業(株)製のKF352A、KF6008、KF615A、KF6016、KF6017、GE東芝シリコーン(株)製のTSF4450、TSF4452等が挙げられ、これらを1種単独で又は2種以上の混合物として用いることができる。
【0017】
本発明で用いる(A)成分のシリコーン化合物の配合量は特に限定されないが、柔軟性、滑らかさ及び組成物の粘度の点から、組成物の全質量を基準として、3〜40質量%が好ましく、さらに好ましくは5〜30質量%、特に好ましくは6〜20質量%である。これにより、柔軟性、滑らかさなどの効果を優秀なものとすることができ、かつ、粘度の上昇を抑えて使用性を良好なものとすることができる。
【0018】
[(B)成分:カチオン性を有する水溶性高分子化合物]
本発明の(B)成分は、(A)成分のシリコーン高分子化合物と、(C)成分の植物抽出物を繊維表面に吸着させる効果を有するものである。カチオン性を有する水溶性高分子化合物としては、水に溶解した時にカチオン性を有するものが使用し得るが、特にカチオン性を有する水溶性高分子化合物としては、アミノ基もしくは第4級アンモニウム基から選ばれる1種以上のカチオン性基を有する水溶性高分子化合物が好ましい。なお、本発明において水溶性高分子とは、25℃の水100gに対し、水溶性高分子を1gを加えたときに、その液が濁らず透明であるものをいう。
(B)成分のカチオン性を有する水溶性高分子化合物は、カチオン化度が0.1%以上のものが好ましく、例えば0.1〜35であるのがよく、特に2.5%以上が好ましく、例えば2.5〜15であるのがよい。カチオン化度がこのような条件を満たすことにより、共存するシリコーン高分子化合物と植物抽出物とを繊維へ吸着させる効果を向上することができる。
【0019】
ここで、カチオン化度とは、高分子化合物がカチオン性モノマーの重合体、カチオン性モノマーとノニオン性モノマーの共重合体、及びノニオン性重合体の一部をカチオン性基で変性又は置換したもの(カチオン化セルロースなど)の場合には下記数式(1)により、また、高分子化合物がカチオン性モノマーとアニオン性モノマーの共重合体、及びカチオン性モノマーとアニオン性モノマーとノニオン性モノマーの共重合体の場合には、下記数式(2)により算出される値と定義する。
カチオン化度(%)=X×Y×100 …数式(1)
[X:高分子化合物のカチオン性基中のカチオン化された原子(窒素等)の原子量
Y:高分子化合物1g中に含まれるカチオン性基のモル数]
カチオン化度(%)=X×(Y−Z)×100 …数式(2)
[X:高分子化合物のカチオン性基中のカチオン化された原子(窒素等)の原子量
Y:高分子化合物1g中に含まれるカチオン性基のモル数
Z:高分子化合物1g中に含まれるアニオン性基のモル数
(Zのアニオン性基とは、高分子鎖中のモノマー単位に含まれるカルボキシル基、スルホン酸基などが挙げられる。具体的には、アクリル酸中のカルボン酸などである。ただし、カチオン性基の対イオンは含まない。)]
【0020】
カチオン化度の算出例として、下記式(III)で表されるマーコート(MERQUAT)280(ナルコ(NALCO)社製)の場合を示す。
X:14(窒素原子の原子量)
Y:4.95×10-3(カチオン性基の1g中の重量:0.8gとカチオン性基の分子量より算出)
Z:2.78×10-3(アニオン性基の1g中の重量:0.2gとアニオン性基の分子量より算出)
式(2)より、
カチオン化度(%)=
14×(4.95×10-3−2.78×10-3)×100=3.0
である。
【0021】
【化3】

【0022】
m:n=65:35
塩化ジメチルジアリルアンモニウムとアクリル酸との質量比=80:20
よって、上記記載のカチオン化度の算出法によれば、ノニオン性モノマーの重合体やアニオン性モノマーの重合体のカチオン化度は0となる。
(B)成分の水溶性高分子は、ポリエチレングリコールを標準物質としてゲルパーメーションクロマトグラフィ法で測定される重量平均分子量が、1,000〜5,000,000であることが好ましく、より好ましくは3,000〜1,000,000であり、さらに好ましくは5,000〜500,000である。これにより臭気を良好に防止することができ、かつ、粘度の上昇を抑えて使用性を優秀なものとすることが可能となる。
【0023】
(B)成分の例としては、マーコート(MERQUAT)100(ナルコ(NALCO)社製)、アデカカチオエースPD−50(旭電化工業(株))、ダイドールEC−004、ダイドールHEC、ダイドールEC(大同化成工業(株)製)等の塩化ジメチルジアリルアンモニウムの重合体、マーコート(MERQUAT)550、JL5(ナルコ(NALCO)社製)等の塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、マーコート(MERQUAT)280(ナルコ(NALCO)社製)等の塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体、レオガードKGP(ライオン(株)製)等のカチオン化セルロース、ルビカット(LUVIQUAT)−FC905(B・A・S・F社製)等の塩化イミダゾリニウム・ビニルピロリドン共重体、ルガルバン(LUGALVAN)−G15000(B・A・S・F社製)等のポリエチレンイミン、ポバールCM318((株)クラレ製)等のカチオン化ポリビニルアルコール、キトサン等のアミノ基を有する天然系の高分子誘導体、ジエチルアミノメタクリレート・エチレンオキシド等が付加された親水基を有するビニルモノマーとの共重合体等が挙げられるが、水に溶解時にカチオン性を有する高分子化合物であればよく、本例に限定されるものではない。この中で、シリコーンの付与する柔軟性などの風合いを妨げない観点から、(B)成分単独で吸着した時に繊維に付与する剛性の小さいものが好ましい。
【0024】
特に好ましい高分子としては、下記一般式(IV)に示すジメチルジアリルアンモニウム塩を重合して得られるカチオン性高分子である。この高分子の構造は、通常、下記一般式(V)又は下記一般式(VI)で表わされる。また、一般式(V)の構造単位と一般式(VI)の構造単位が共に含まれていてもよい。
【0025】
【化4】

(式中X-は、塩化物イオン、臭化物イオンなどの任意のマイナスイオンを示す。)





【0026】
【化5】

【0027】
【化6】

【0028】
式中、c、dは、各々平均重合度であり、各々6〜30000の範囲であることが好ましく、より好ましくは20〜6000、さらに好ましくは30〜3000の範囲である。
このような高分子の例としては、マーコート(MERQUAT)100(ナルコ(NALCO)社製)、アデカカチオエースPD−50(旭電化工業(株)製)、ダイドールEC−004、ダイドールHEC、ダイドールEC(大同化成工業(株)製)等が挙げられる。
【0029】
本発明の(B)成分としては、上記のカチオン性を有する水溶性高分子化合物1種類を単独で用いてもよいし、混合物として用いることもできる。
(B)成分の配合量は特に限定されないが、繊維製品に剛性を付与しない範囲のものとするのが好ましく、例えば、組成物の全質量を基準として、0.1〜30質量%とするのがよく、さらに好ましくは0.5〜15質量%とするのがよい。(B)成分の配合量をこのような範囲のものとすることにより、シリコーン高分子化合物と植物抽出物との繊維製品表面への吸着促進効果を高め、柔軟性、滑らかさなどの効果を十分なものとすることが可能となり、且つ、皮膚保湿成分を有効量吸着させ得る。
【0030】
本発明の液体柔軟剤組成物中において、(A)成分:(B)成分の質量比は、99:1〜50:50の範囲内である。好ましくは95:5〜60:40、さらに好ましくは90:10〜70:30の範囲である。このような範囲内の比とすることにより、ポリエステル、綿等の衣類に対し柔軟性、滑らかさ等の風合いの優れた機能が得られる。尚、(B)成分の割合がこの範囲内にあることにより、シリコーン高分子化合物と植物抽出物との繊維への吸着性を良好なものとすることができる。
【0031】
[(C)成分:植物抽出物]
(C)成分の植物抽出物は、肌の保湿効果の認められるものなら全て使用することが可能であるが、その中でも下記のものを含有することが好ましい。
アロエ、シラカバ、モモノハ、イヌエンジュ、ウワウルシ、エキナセア、エンジュ、クララ、ケイガイ、クチナシ、ダイズ、ヨモギ、ホオノキ、ゴボウ、ジャショウ(オカゼリ)、ワレモコウ、シュクシャ(シャジン)、ショウガ、セイタカアワダチソウ、セイヨウニワトコ、ホソバオケラ、ハナスゲ、チョウジ(クローブ)、ウンシュウミカン、ティーツリー、バーベリー、ドクダミ、ニュウコウ、シロガヤ、ボウフウ、オランダビユ、ホンシタン、マウンテングレープ、ムラサキタガヤサン、セイヨウヤマハッカ、ヒオウギ、ヤマジソ、バラ、バラン、スギ、ギレアドバルサムノキ、ハクセン、ハハキギ(ジフシ)、ミチヤナギ、ジンギョウ、フウ、ハマビシ、ヤブカラシ、オトギリソウ、アカハルニレ、イザヨイバラ、エキナセア、カシュウ、ギレアドバルサムノキ、キンギンカ、クリーバーズ、ケイガイ、ゲンチアナ、ゴボウシ、ゴミシ、コレウス、サボンソウ、サルサパリラ、シツリシ、ジフシ、シャカン、ジャショウシ、シャジン、ジャマイ、カドッグウッド、ジユ(ワレモコウ)、シンギョウ、スギ、スギナ、セイヨウイラクサ、セイヨウオトギリソウ、セイヨウキズタ、セイヨウタンポポ、セイヨウニワトコ、セイヨウネズ、ニアオイ、チモ、トールメンティル、ナツシロギク、ニュウコウ、ハクセンヒ、バンランコン、ヒャクブ、フキタンポポ、ヘンチク、ボウフウ、マロニレ、ムラサキツメクサ、モツヤク、ラカンカ、ロロツウ、ワイルドパンジー、ニーム、マツモ、オキナワモズク、モズク、カジメ、レッソニア属、ジャイアントケルプ、ヒバマタ、アスコフィラム、ダービリア、キリンサイが挙げられる。
これらの中でも、アロエ、シラカバ、モモノハ、クララ、ティーツリー、キンギンカ、チモ、ニーム、ダービリア、キリンサイ、イヌエンジュ、ウワウルシ、バラ及び緑茶の抽出物からなる群より選択される1種以上であるのが好ましい。アロエ、シラカバ、モモノハ、クララ、ティーツリー、キンギンカ、チモ、ニーム、ダービリア及びキリンサイの抽出物からなる群より選択される1種以上であるのがより好ましい。さらに好ましくは、アロエ、シラカバ、モモノハが皮膚の保湿効果の点で特に好ましい。
【0032】
植物の抽出物の製造法については、原体を生のままあるいは乾燥したものを適当な大きさに切断、粉砕加工したものを抽出して、それらの抽出エキスあるいは成分を分離精製したものとして用いることが出来る。抽出は常法による溶媒抽出することによって得ることができ、抽出溶媒が使用上無害のものであれば抽出液をそのまま用いても、適宜濃縮エキスとしたり、凍結乾燥などの乾燥粉末としたり、ぺ−スト状に調整したものなどが使用できる。
【0033】
上記植物抽出物を得るのに用いる溶媒としては、メタノ−ル、エタノ−ル、ブタノ−ル、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、酢酸エチル、アセトン、モノテルペン類などの一般に用いられる有機溶媒、グリセリン、1,3−ブチレングリコ−ル、ジプロピレングリコ−ル、プロピレングリコ−ルなどのグリコ−ル類および水などを挙げることができ、これらの1種類を単独でまたは2種類以上を混合して使用することが出来る。これらの溶媒の中では、特にエタノ−ル、水、1,3−ブチレングリコ−ル、モノテルペン類およびこれらの混合剤が好ましく、特にエタノール及び水とエタノールとの混合物が好ましい。水とエタノールとの混合物は、エタノール濃度が50〜90質量%となるのが好ましく、60〜80質量%となるのがより好ましい。。なお、抽出処理は、冷浸、温浸、加熱還流、パ−コレ−ション法など常法によって行うことが出来る。溶媒抽出のほかに、水蒸気蒸留、炭酸ガスを超臨界状態にして行う超臨界抽出によって得たエキスも同様にして行うことが出来る。それぞれの植物を個別に抽出するほか、数種を予め混合したあと、抽出することも出来る。また、抽出の分離精製は、抽出物を炭酸処理、液液分配、カラムクロマトグラフィ−、液体クロマトグラフィ−などで行うことが出来る。
本発明の抽出物の配合量は、抽出溶剤を除いた不揮発分に換算して、0.001〜10質量%配合するのがよい。好ましくは0.005〜5質量%配合するのがよい。配合量が0.001質量%未満であると、本発明の効果を十分に発揮できず、また、10質量%を超えるほど多量に用いる必要もない。
【0034】
[任意成分:ノニオン性界面活性剤]
さらに、本発明には、組成物を安定な透明液体状態を保持するため、上記成分に加えて、ノニオン性界面活性剤と水溶性溶剤を併用することがより望ましい。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば炭素数8〜20のアルキル基又はアルケニル基を1つ以上有するポリオキシアルキレンアルキルエーテルが好ましく、特にオキシアルキレン基が平均2〜50モル付加されたものが好ましい。さらに、下記一般式(VII)で表されるノニオン性界面活性剤が特に好ましい。
1−T−[(R2O)p−H]q (VII)
(式中、R1は、炭素数10〜18、好ましくは12〜18のアルキル基又はアルケニル基であり、R2は炭素数2又は3のアルキレン基であり、好ましくはエチレン基である。pは平均付加モル数であり、2〜50、好ましくは5〜30、特に好ましくは5〜20の数を示す。Tは−O−、−N−、−NH−、−N(C24OH)−、−CON−、−CONH−又はCON(C24OH)−であり、Tが−O−、−NH−、−N(C24OH)−、−CONH−、又は−CON(C24OH)−の場合は、qは1であり、Tが−N−又は−CON−の場合は、qは2である。)
【0035】
上記一般式(VII)の化合物の具体例として、下記一般式(VIII)、(IX)で表される化合物を挙げることができる。
1−O−(C24O)r−H (VIII)
(式中、R1は前記と同じ意味であり、rは平均付加モル数であり、2〜50、好ましくは5〜30の数である。)
1−O−(C24O)s(C36O)t−H (IX)
(式中、R1は前記と同じ意味であり、s及びtは平均付加モル数であり、sは2〜40、好ましくは5〜30の数であり、tは1〜20、好ましくは1〜10の数である。(C24O)と(C36O)はランダム又はブロック付加体であってもよい。)
【0036】
ノニオン活性剤を含有することにより、保存安定性がさらに向上するので好ましい。その配合量は、組成物の全質量を基準として、0.1〜20質量%とするのが好ましく、特に0.5〜15質量%、更に1〜10質量%が好ましい。このような配合量とすることにより、保存安定性の向上効果を十分なものとすることができ、かつ、効果が飽和に達した際の余分な添加を抑えて経済性を図ることが可能となり、さらに柔軟処理時の泡立ちの点からも好ましいものとすることができる。
【0037】
[任意成分:水溶性溶剤]
一方、特にシリコーン化合物の水性液体中への溶解性を向上させる目的で水溶性溶剤を併用することが好ましい。水溶性溶剤としては、エタノール、イソプロパノール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、及び下記一般式(X)で表わされる化合物、から選ばれる水溶性溶剤が好ましい。
3−O−(C24O)y−(C36O)z−H (X)
(式中、R3は、炭素数1〜8、好ましくは2〜6のアルキル基又はアルケニル基である。y及びzは平均付加モル数であり、yは2〜50、好ましくは2〜30、zは0〜50、好ましくは0〜20の数を示す。)
中でも好ましい例としては、エタノール、エチレングリコール、ブチルカルビトール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールモノプロピレングリコールモノブチルエーテル[C49(C36O)(C24O)2H]等が挙げられる。
これらの成分の配合量は、組成物の全質量を基準として、0.1〜30質量%とするのがよく、好ましくは2〜20質量%、さらに好ましくは5〜15質量%とすることができる。
【0038】
[任意成分:水]
水としては、水中に微量に存在するカルシウム、マグネシウムなどの硬度成分や鉄などの重金属を除去した水が好ましく、イオン交換水又は蒸留水を用いることができる。また、水を殺菌あるいは滅菌する目的から少量の塩素を含有しても差し支えない。
【0039】
[任意成分:香料組成物]
香料としては特に限定されないが、使用できる香料原料のリストは、様々な文献、例えば「Perfume and Flavor Chemicals 」,Vol.Iand II,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)および「合成香料 化学と商品知識」、印藤元一著、化学工業日報社(1996)および「Perfume and Flavor Materials of Natural Origin 」,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)および「香りの百科」、日本香料協会編、朝倉書店(1989)および「Perfumery Material Performance V.3.3」,Boelens Aroma Chemical Information Service(1996)および「Flower oils and Floral Compounds In Perfumery」,Danute Lajaujis Anonis,Allured Pub.Co.(1993)等で見られ、それぞれを引用することにより本明細書の開示の一部とされる。
【0040】
[任意成分:酸化防止剤]
本発明では、組成物の香気安定性や色調安定性向上のため、酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤としては、一般に知られている天然系酸化防止剤、合成系酸化防止剤ともに使用できる。具体的には、アスコルビン酸、アスコルビン酸パルミテート、没食子酸プロピルの混合物、BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)、BHA(ブチル化ヒドロキシアニソール)、没食子酸プロピル、及びクエン酸の混合物、ハイドロキノン、三級ブチルハイドロキノン、天然のトコフェロール系化合物、没食子酸の長鎖エステル(C8〜C22)、例えば没食子酸ドデシル、チバスペシャルティケミカル(株)から入手可能なイルガノックス系化合物、クエン酸及び/またはクエン酸イソプロピル、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(エチドロン酸)、4,5−ジヒドロキシ−m−ベンゼンスルホン酸/ナトリウム塩、ジメトキシフェノール、カテコール、メトキシフェノール、カロチノイド、フラン類、アミノ酸類等が挙げられる。
この中で、液体柔軟剤組成物の外観や保存安定性の観点から、BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)、メトキシフェノール、トコフェロール系化合物等が好ましい。
酸化防止剤の配合量は、0.01〜1質量%の範囲で使用されることが好ましい。
【0041】
[任意成分:防腐剤]
防腐剤は、主に長期保存中の防腐性を保つために使用し、具体的には、イソチアゾロン系の有機硫黄化合物、ベンズイソチアゾロン系の有機硫黄化合物、安息香酸類、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールなどが挙げられる。イソチアゾロン系の有機硫黄化合物の例としては、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−ブチル−3−イソチアゾロン、2−ベンジル−3−イソチアゾロン、2−フェニル−3−イソチアゾロン、2−メチル−4,5−ジクロロイソチアゾロン、5−クロロ−2−メチル−3−イソチアゾロン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、およびそれらの混合物があげられる。より好ましい防腐・殺菌剤は、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンとの水溶性混合物であり、さらに好ましくは約77%の5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと約23%の2−メチル-4−イソチアゾリン−3−オンとの水溶性混合物である。また、ベンズイソチアゾリン系の有機硫黄化合物の例としては、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4,5−トリメチレン−4−イソチアゾリン−3−オンなどがあげられ、類縁化合物としてジチオ−2,2−ビス(ベンズメチルアミド)なども使用できそれらを任意の混合比で使用することができる。このうち1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンが特に好ましい。安息香酸類の例としては、安息香酸又はその塩、パラヒドロキシ安息香酸又はその塩、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸ベンジル等を挙げることができ、防腐剤の配合量は、組成物全体に対して、0.0001〜1質量%である。
【0042】
[任意成分:染料]
染料としては特に限定されないが、添加の容易さから水溶性染料が好ましく、中でも酸性染料、直接染料から選ばれる水溶性染料の1種又は2種以上であることが好ましい。添加できる染料の具体例は、例えば染料便覧(有機合成化学協会編,昭和45年7月20日発行,丸善(株))、染料ノート第22版((株)色染社)、法定色素ハンドブック(日本化粧品工業連合会編、1988年11月28日発行、(株)薬事日報社)等に記載されており、それらを引用することにより本明細書の開示の一部とされる。染料の配合量は、組成物の全質量を基準として、好ましくは0.01〜50ppm、より好ましくは0.1〜30ppmとすることができる。このような配合量とすることにより、液体柔軟剤組成物に着色された色が非常に薄くなるのを防止でき、着色効果を充分なものとすることができる一方で、液体柔軟剤組成物に着色された色が濃くなりすぎるのを防止できる。
【0043】
[任意成分:消泡剤、その他添加成分]
消泡剤としては、例えば、シリカ等の微粉を含有するジメチルシリコーン等のシリコーン系消泡剤、アルコール系消泡剤、エステル系消泡剤、鉱油系消泡剤、植物油系消泡剤、及び合成油系消泡剤等が挙げられるが、柔軟剤計量時の泡立ちを抑えて計量性を向上させる観点からシリコーン系の消泡剤が好ましい。シリコーン系消泡剤としては、オイル型消泡剤、コンパウンド型消泡剤、自己乳化型消泡剤、エマルション型消泡剤、粉末型消泡剤及び固形型消泡剤等が挙げられ、この中でも、自己乳化型消泡剤及びエマルション型消泡剤が好ましい。消泡剤の配合量は特に限定されないが、組成物の全質量を基準として、0.1ppm〜1質量%とすることができ、さらに好ましくは1ppm〜0.05質量%とすることができる。その他の添加剤として、カチオン性界面活性剤、ヘキサン酸とグリセリンまたはペンタエリスリトールとの部分エステル化物や、食塩、塩化アンモニウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム等の水溶性塩、流動パラフィン、高級アルコールなどの油剤、尿素、炭化水素、非イオン性セルロース誘導体、紫外線遮蔽剤、蛍光増白剤、後述するpH調整剤等が挙げられる。なお、アニオン性界面活性剤、アニオン性高分子化合物は、配合する場合には、シリコーン高分子化合物の吸着効果を考慮して、(B)成分のカチオン性高分子化合物の含有量よりも少ない量で配合するのがよい。
【0044】
[pH、粘度]
本発明の液体柔軟剤組成物のpHは特に限定されないが、3〜8の範囲であることが好ましく、4〜6の範囲であることがより好ましい。必要に応じて、塩酸、硫酸、リン酸、アルキル硫酸、安息香酸、パラトルエンスルホン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、グリコール酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン等の短鎖アミン化合物、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属珪酸塩などのpH調整剤を用いることができる。
本発明の液体柔軟剤組成物の粘度は特に限定されないが、5〜50mPa・s(B型粘度計、TOKIMEC社製、25℃)であるのが好ましい。このような範囲にあると、使用性が良好であるので好ましい。
【0045】
[配合方法]
本発明の液体柔軟剤組成物は、上記(A)、(B)及び(C)成分、必要により任意成分を含有し、通常、残部は水である。具体的には、上記各成分を容器に充填し、これを十分に撹拌した後に水を添加して均一になるまで十分に撹拌することにより製造することができる。これらの成分の添加は、一緒に又は任意の順序で行うことができるが、例えば、(A)成分を撹拌した後、水を添加して撹拌し、次いで、(B)及び(C)成分を添加・撹拌することにより柔軟剤組成物を製造することができる。
【0046】
[繊維製品への使用方法]
また、本発明の液体柔軟剤組成物は、適度な濃度に希釈して使用される。具体的には、繊維製品の柔軟仕上げを行う際の全使用水量に対し、(A)成分の濃度が5ppm〜5000ppmとなるような量で使用するのが好ましく、さらに好ましくは10ppm〜300ppmとなるような量で使用され、(B)成分の濃度は0.5ppm〜100ppmとなるような量で使用するのが好ましく、さらに好ましくは3ppm〜30ppmとなるような量で使用される。使用方法は特に限定されないが、衣料を通常の洗濯を行い、すすぎの段階ですすぎ水に本発明の組成物を溶解させて処理を行ったり、また、たらいのような容器を用い本発明の組成物を水に溶解させ、更に衣料を入れて浸漬処理する方法などが挙げられる。繊維製品の処理はいずれの方法で行ってもよいが、浴比(繊維製品に対する処理液の比率)は3〜100倍、特に5〜50倍であることが好ましい。
【実施例】
【0047】
本発明を実施例に基づいて詳細に説明する。以下、「質量%」は「%」と略記する。
[柔軟剤組成物の配合例]
下記の(A)シリコーン化合物、及び共通成分1〜3のいずれか、の所定量を500mLビーカーに充填し、撹拌羽を用いて十分に撹拌した。次に、撹拌しながら、イオン交換水を添加し、さらに撹拌しながら、下記の(B)カチオン性を有する水溶性高分子化合物および(C)植物抽出物を添加し撹拌後、均一になるまで十分に撹拌して、400gの液体柔軟剤組成物を調製した。尚、特に断りが無い限り、配合温度は25±2℃で行った。各成分の組成は、表5,6に示す通りである。表5,6における(C)植物抽出物の量は、不揮発分(105℃2時間乾燥後)1%品の有り姿の量を示す。
【0048】
[(A-2)ポリエーテル変性シリコーンの製造例]
(CH33SiO(CH3CH3SiO)210(CH3HSiO)9Si(CH3)3で表されるハイドロジェンシロキサン828g、平均組成CH2=CHCH2O(CH2CH2O)9Hで表されるアリル化ポリエーテル210g、エチルアルコール726g及び塩化白金酸のClを中和したものを白金がアリル化ポリエーテルに対して重量で5ppmとなるように秤量して、反応温度80℃で攪拌し5時間反応させた。反応終了後溶媒を減圧留去することによりポリエーテル変性シリコーンを得た。
【0049】
[(A)成分:ポリエーテル変性シリコーン]
ポリエーテル変性シリコーンとしては、表1に示した平均構造を有するものを使用した。なお、表1中M、N、a、b及びRは、下記式(I)における記号を意味する。



【0050】
【表1】

【0051】
[(B)成分:カチオン性高分子化合物]
【0052】
【表2】

[(C)成分;植物抽出物]
・植物抽出物の調製例
各植物を乾燥、粉砕して粗末とし、粗末10gを70%エタノール(ダービリア、キリンサイでは水を用いた)に浸漬し、室温で1日間抽出した。残渣を濾過し得られた抽出液を減圧濃縮して植物抽出物を得た。該抽出物は、105℃にて2時間乾燥した際の蒸発残分が約1%である。植物抽出物5を除く抽出物混合品の場合は、夫々単独に得られた植物抽出物を有姿で等量ずつ混合して用いた。
【0053】
【表3】

【0054】
[共通成分1]
下記の成分は、〔 〕内に示した量(有姿での配合量、組成物の全量を基準とする)を添加した。
1-1 Protect BN(BASF(株))〔20ppm〕
1-2 Lutensol TO 5(イソトリデカノールEO5付加物、BASF(株))〔4%〕
1-3 95%合成未変性エタノール(日本合成アルコール(株))〔10%〕
1-4 X-50-963(シリコーン系エマルション型消泡剤、信越化学工業(株))〔15ppm〕
1-5 イソプロピルメチルフェノール(大阪化成) 〔0.1%〕
1-6 香料組成物A (表4記載)〔0.3%〕
[共通成分2]
下記の成分は、〔 〕内に示した量(有姿での配合量)を添加した。
2-1 ケーソンCG−ICP〔20ppm〕
2-2 ソフタノール90(C12-14第2級アルコールEO9付加物、日本触媒(株))〔3%〕
2-3 95%合成未変性エタノール(日本合成アルコール(株))〔10%〕
2-4 X-50-963(シリコーン系エマルション型消泡剤、信越化学工業(株))〔15ppm〕
2-5 C.I.アシッドブルー 9((株)洛東化学工業、ラクトーブリリアントブル-FCF)〔3ppm〕
2-6 香料組成物B(表4記載)〔0.3%〕
[共通成分3]
3-1 ケーソンCG−ICP(ローム&ハース) 〔100ppm〕
3-2 Lutensol TO 3(イソトリデカノールEO3付加物(BASF(株))にEOを4モル付加し合計7モルにしたもの 〔3%〕
3-3 95%合成未変性エタノール(日本合成アルコール(株)) 〔2.5%〕
3-4 ブチセノール(協和醗酵(株))〔7.5%〕
3-5 X-50-963(シリコーン系エマルション型消泡剤、信越化学工業(株))〔10ppm〕
3-7 香料組成物B(表4記載)〔0.6%〕





















【0055】
【表4】

【0056】
[液体柔軟剤組成物の評価方法と評価結果]
(1)柔軟処理布のパッチテスト後の皮膚の水分量変化
被検者1名に、柔軟剤組成物200μLをアクリルジャージ布(2cm×2cm)に塗布し、前腕内側または外側に貼付しセロハンテープで固定した。1時間後に布をはがし、残存する液を水洗し、水分をタオルで拭いた。5および60分後の皮膚の水分量を水分測定器(WSK-P500U,株式会社ウェイブサイバー)にて測定した。また、あらかじめ塗布する前の水分量も測定した。結果を表5に記載した。
【0057】
【表5】

【0058】
(2) 柔軟処理布の風合い(滑らかさと柔軟性)の評価
2-1)試験布の調製
市販のポリエステルサテン(J8500、谷頭商店製)、市販の綿タオル(植木工作所)を市販衣料用洗剤「トップ」(ライオン(株)製、成分:界面活性剤(アルファオレフィンスルホ脂肪酸エステルナトリウム、脂肪酸ナトリウム、直鎖アルキルベンゼン系、ポリオキシエチレンアルキルエーテル)、水軟化剤、アルカリ剤、酵素安定化剤、酵素、蛍光増白剤)により、家庭用二槽式洗濯機を用いて洗浄15分(洗剤は標準量使用、浴比30倍、45℃水道水)、次いで脱水5分の工程を2サイクル繰り返した後、流水すすぎ15分の後に、脱水5分の工程を5回繰り返し、自然乾燥したものを試験布とした。
2-2)柔軟剤による処理
上記処理を行った、綿タオルもしくはポリエステルサテンを各々市販衣料用洗剤「トップ」で15分洗浄し(洗剤は標準使用量、浴比30倍、25℃の水道水使用)、ためすすぎ2回目に、表に示す柔軟剤組成物を水量3リットルに対して1.5g加えて、衣料の柔軟処理(浴比30倍、25℃の水道水使用、3分)を行った。その後、20℃、40%RHの条件で自然乾燥し、以下の評価を行った。
2-3)風合いの評価
水のみで処理した綿タオルもしくはポリエステルサテンを対照として専門パネラー10人による官能一対比較を行い、以下に示す評価基準で評価を行った。
+2:対照よりはっきり良好
+1:対照よりやや良好
0 :対照とほぼ同じ
−1:対照の方がやや良好
−2:対照の方がはっきり良好
その評点の平均をとり、1.1〜2.0点を◎、0.1以上〜1.0点を○、−1.0〜−0.0点を△、−1.1点以下を×とした。
【0059】
(3)柔軟処理布の動摩擦係数の測定
一般的に動摩擦係数(μ)とは、物体が滑りながら進んでいるときにかかる摩擦力の大きさと物体の重さの比をいう。本明細書でいう動摩擦係数とは、ポリエステルサテン(品番J8500、谷頭商店製)をトライボマスターType:201D((株)トリニティーラボ)にて下記の条件で測定したときをいう。
計測条件は、垂直荷重200g,測定速度150mm/min,接触子:肌摩擦用面接触子(50×15mm)、20℃、湿度40%RHで行った。
具体的には、直動ユニットに測定ユニットを設置して測定機を構成した。次いで、処理布を肌摩擦用面接触子に巻き付け、肌と接触しない部位に両面粘着テープで測定中にずれないように固定した。接触子を測定ユニットにセットし、前腕内側上に接触子をぐらつかないように水平を保てる状態で置き、上部より200gの重りを載せ、垂直荷重をかけた。測定速度150mm/minとなるようにセットし、5cmの移動距離で測定を開始した。付属のソフトの計算により、動摩擦係数を得た。
未処理布の動摩擦係数と処理布の動摩擦係数との差すなわち動摩擦係数の低下度合いは、柔軟剤の実効を認知可能なレベルとして、0.05以上が好ましく、より好ましくは0.075、さらに好ましくは0.1以上が好ましい。
(2)、(3)の結果を表6に示した。















【0060】
【表6】

【0061】
(4)着用試験による柔軟処理布の乾燥及び掻痒に与える影響の評価
43名の被験者に、市販肌シャツ(BVD製)と市販洗剤および本発明柔軟剤(実施例2)を渡し、6週間の着用試験を行った。なお、試験開始前の皮膚状態による被験者の内訳は表7に示したとおりである。・試験期間:1月下旬〜3月上旬(国内の乾燥期)。
まず、最初の2週間は、柔軟剤を使用せず、市販洗剤のみで洗った肌シャツを一日一回着替えるように着用させた。なお、一日の着用時間は23時間程度であり、着用済みの肌シャツは各家庭で洗ってもらい繰り返して使用した。
次の4週間は洗剤および柔軟剤で洗った肌シャツを一日一回着替えるように着用させた。先と同様に、一日の着用時間は23時間程度であり、着用済みの肌シャツは各家庭で洗ってもらい繰り返して使用した。
〔被験者の皮膚の状態の判定方法〕
上半身背部全体の乾燥、掻痒の状態を、着用試験開始2週間(洗剤のみ使用)経過後および洗剤及び柔軟剤使用開始4週間後に観察し、下記の層別基準に基づき、皮膚科医が判定した。
・乾燥:高度、中等度、軽度、軽微、無しの5段階で判定。
・掻痒:高度、中等度、軽度、無しの4段階で判定。
〔結果〕
【0062】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(A)、(B)及び(C)成分を含有することを特徴とする液体柔軟剤組成物。
(A)シリコーン化合物
(B)カチオン性を有する水溶性高分子化合物
(C)植物抽出物
【請求項2】
(C)成分の植物抽出物が、アロエ、シラカバ、モモノハ、クララ、ティーツリー、クチナシ、ダイズ、ヨモギ、ダービリア、キリンサイ、イヌエンジュ、ウワウルシ、バラ及び緑茶の抽出物からなる群より選択される1種以上である請求項1に記載の液体柔軟剤組成物。
【請求項3】
(C)成分の植物抽出物が、アロエ、シラカバ及びモモノハの抽出物からなる群より選択される1種以上である請求項1に記載の液体柔軟剤組成物。
【請求項4】
(A)成分のシリコーン化合物がポリエーテル基を分子内に含有するシリコーン化合物である請求項1〜3のいずれか1項記載の液体柔軟剤組成物。

【公開番号】特開2007−321272(P2007−321272A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−151627(P2006−151627)
【出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】