説明

液体検出センサ

【課題】比較的簡単な構造で液体を高精度に検出することを可能とする液体検出センサを提供する。
【解決手段】第1のケース材2と第2のケース材3で構成される密閉空間B内に圧電振動素子5が配置されており、圧電振動素子5が、第1のケース材2と隙間Eを隔てて第1のケース材2に固定されており、第1及び第2のケース材2,3の少なくとも一方に密閉空間Bを外部と連通させる貫通孔3d,3eが形成されている液体検出センサ1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばインクジェットプリンタのインクのような液体を検出することを可能とする液体検出センサに関し、より詳細には、圧電振動素子を用いた液体検出センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクなどの液体を検出するために、様々なセンサ装置が提案されている。例えば、下記の特許文献1には、図5に示すセンサ装置が開示されている。図5に示すセンサ装置100は、液体検出素子101と、液体検出素子101を固定し、保持している振動防止層109とを有する液体検出素子101は、圧電振動素子102、振動板106、ケース材107及び筒状側壁部108を有する。圧電振動素子102は、圧電膜103を有する。圧電膜103の上面に励振電極104が形成されており、圧電膜103の下面に励振電極105が形成されている。上記圧電振動素子102は、振動板106に貼り合わされている。振動板106の下方に液体が導入される空間Aが形成されている。
【0003】
空間Aを取り囲むように、板状のケース材107と、板状のケース材107上に立接された筒状側壁部108とが設けられている。筒状側壁部108の上面が、振動板106の下面に接合されている。それによって、空間Aが形成されている。
【0004】
ケース材107には、複数の貫通孔107a,107bが形成されている。貫通孔107a,107bから空間Aに液体が導かれ、空間Aが液体で満たされると、液体に振動板106が接触する。他方、液体が少なくなると、液体が振動板106に接触しなくなる。従って、圧電振動素子102の共振特性が変化する。それによって、液体の有無を検出することができる。
【0005】
なお、上記液体検出素子101は、圧電振動素子102の振動に伴ってその全体が振動する。そのため、振動を阻害しないように、液体検出素子101の振動防止層109に固定されて保持されている。振動防止層109は、複数の合成樹脂層109a〜109cを積層した構造を有する。合成樹脂層109cの一部が下方に突出されており、該突出部に開口部109dが形成されている。開口部109dに貫通孔107a,107bが露出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−178642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のセンサ装置100では、振動板106に圧電振動素子102が貼り合わされた構造が上記空間Aを直接形成している。そして、上記圧電振動素子102の全周において、圧電振動素子102が振動板106を介してケースを構成している筒状側壁部108に固定されている。
【0008】
そのため、圧電振動素子102の振動が筒状側壁部108やケース材107に伝搬し、液体検出素子101全体が振動する。従って、共振特性、すなわち共振周波数、反共振周波数、共振抵抗、反共振抵抗または位相などを正確に検出することが困難であった。そのため、特許文献1では、圧電振動素子102の振動を妨げないように、振動防止層109により液体検出素子101を支持している。よって、センサ装置100の全体の構造が複雑であった。従って、多くの部品が必要であり、かつ組立コストも高くついていた。
【0009】
本発明の目的は、上述した従来技術の欠点を解消し、比較的簡単な構造で液体を高精度に検出することを可能とする液体検出センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る液体検出センサは、第1のケース材と、第1のケース材に接合されており、内部に密閉空間を形成するための第2のケース材とを備える。第1,第2のケース材の少なくとも一方に、密閉空間を外部に連通させる貫通孔が形成されている。また、本発明の液体検出センサは、上記密閉空間内において、上記第1のケース材の内面に隙間を隔てて配置された板状の圧電振動素子と、該圧電振動素子を第1のケース材の内面に固定し、支持している接合材とを備える。上記圧電振動素子は、交流電界の印加により振動する励振部と、励振部の外側に設けられた非励振部とを有するエネルギー閉じ込め型の圧電振動素子である。非励振部において圧電振動素子が上記接合材により第1のケース材の内面に固定されている。
【0011】
第2の発明に係る液体検出センサは、第1のケース材と、第1のケース材に接合されており、内部に密閉空間を形成するための第2のケース材とを備える。第1及び第2のケース材の少なくとも一方に、該密閉空間を外部に連通させるための貫通孔が形成されている。第2の発明の液体検出センサは、上記密閉空間内において、第1のケース材の内面に隙間を隔てて配置された圧電振動素子と、圧電振動素子を第1のケース材の内面に固定し、支持している接合材とを備える。上記圧電振動素子は、略矩形板状の圧電体の屈曲モードを利用した圧電振動素子である。この屈曲モードの振動のノードまたは振動のノードよりも外側部分において、上記接合材によって圧電振動素子が第1のケース材の内面に固定されている。
【0012】
第1,第2の発明(以下、第1,第2の発明を総称して本発明とする)では、好ましくは、上記接合材は導電性接着剤である。導電性接着剤の硬化物は半田などの金属接合材に比べて振動吸収性に優れている。従って、液体の有無による圧電振動素子の共振特性の変化をより高精度に検出することができる。
【0013】
本発明に係る液体検出センサの他の特定の局面では、圧電振動素子は、第1の主面と、第1の主面とは反対側の第2の主面とを有する圧電体と、圧電体の第1及び第2の主面にそれぞれ形成された第1及び第2の励振電極とを有する。この圧電振動素子は、第1の端部と、第1の端部とは反対側の第2の端部とを有し、第1及び第2の端部の少なくとも一方の端部側において上記接合材により第1のケース材の内面に固定されている。この場合には、液体の有無による共振特性の変化をより大きくすることができ、液体の有無をより高精度に検出することができる。
【0014】
本発明に係る液体検出センサの他の特定の局面では、前記圧電振動素子は、第1,第2の端部の双方の側において前記接合材により前記第1のケース材に固定されている。この場合には、圧電振動素子を第1のケース材により安定に固定することができる。
【0015】
本発明に係る液体検出センサのさらに他の特定の局面では、第1のケース材が基板である。そして、第2のケース材が天板部と、天板部の周囲から前記基板側に向かって延びる筒状側壁部とを有し、該筒状側壁部の天板部とは反対側の端部が基板側に向かって開いた開口を形成している。この場合には、第1,第2のケース材だけで上記密閉空間を形成することができる。従って、部品点数をより一層少なくすることができ、液体検出センサの構造をより一層簡略化することができる。
【発明の効果】
【0016】
第1の発明に係る液体検出センサでは、圧電振動素子が第1のケース材の内面に隙間を隔てて配置されており、かつ圧電振動素子の非励振部において圧電振動素子が接合材により第1のケース材の内面に固定されているため、圧電振動素子の振動が圧電振動素子を固定している構造により阻害され難い。従って、液体検出感度を高めることができる。従って、従来の液体検出センサにおいて用いられていた振動防止層を必要としない。よって、液体検出センサ及びその周囲の構造を簡略化することができ、部品点数の低減及びコストの低減を果たすことができる。
【0017】
加えて、圧電振動素子が第1のケース材の内面に隙間を隔てて配置されているので、液体と圧電振動素子の接触面積を大きくすることができる。従って、この接触面積を大きくすることによっても液体検出感度を高めることができる。
【0018】
第2の発明に係る液体検出センサでは、圧電振動素子が第1のケース材の内面に空間を隔てて配置されており、かつ屈曲モードの振動のノードまたは振動のノードよりも外側部分において圧電振動素子が第1のケース材の内面に固定されているので、圧電振動素子の振動が圧電振動素子を固定している構造により阻害され難い。従って、液体検出感度を高めることができる。従って、従来の液体検出センサにおいて用いられていた振動防止層を必要としない。よって、液体検出センサ及びその周囲の構造を簡略化することができ、部品点数の低減及びコストの低減を果たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】(a)は本発明の一実施形態に係る液体検出センサの分解斜視図であり、(b)はその正面断面図である。
【図2】本発明の一実施形態の液体検出センサで用いられている圧電振動素子を示す正面断面図である。
【図3】本発明の液体検出センサで用いられる圧電振動素子の他の例を示す正面断面図である。
【図4】本発明の液体検出センサの変形例を説明するための正面断面図である。
【図5】従来の液体検出センサ装置を示す部分切欠正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
【0021】
図1(a)は、本発明の一実施形態に係る液体検出センサの分解斜視図であり、(b)はその正面断面図である。
【0022】
液体検出センサ1は、第1の検出材としての基板2と、第2のケース材3とを有する。基板2は、適宜の絶縁性材料により形成されている。このような絶縁性材料としては、絶縁性セラミックスや合成樹脂などを挙げることができる。
【0023】
第2のケース材3は、天板部3aと、天板部3aの周囲から下方に延びる筒状側壁部3bとを有する。筒状側壁部3bの天板部3aとは反対側の端部において、下方に開いた開口3cが形成されている。また、天板部3aには、複数の貫通孔3d,3eが形成されている。第2のケース材3は、本実施形態では、金属からなる。もっとも、第2のケース材3は、セラミックスや樹脂により形成されていてもよい。
【0024】
図1(b)に示すように、第2のケース材3は、開口3c側から基板2に搭載され、接合されている。この接合は、接合材4により行われている。接合材4としては、接着剤や半田などの適宜の接合材料を用いることができる。
【0025】
上記第1のケース材としての基板2と第2のケース材3とにより密閉空間としての空間Bが形成されている。この空間Bは、上記貫通孔3d,3eにより外部と通じている。
【0026】
上記空間B内に圧電振動素子5が配置されている。図2に示すように、圧電振動素子5は、本実施形態では、厚み縦振動を利用したエネルギー閉じ込め型の圧電共振素子である。圧電振動素子5は、矩形板状の圧電体6を有する。圧電体6は、PZTなどの適宜の圧電セラミックスからなり、矢印方向に分極されている。
【0027】
圧電体6の第1の主面としての上面には、第1の励振電極7が形成されている。第1の主面とは反対側の第2の主面上には第2の励振電極8が形成されている。第1,第2の励振電極7,8は、圧電体6の長さ方向中央において対向している。第1,第2の励振電極7,8が対向している部分が励振部Cである。すなわち、第1及び第2の励振電極7,8から交流電界を印加することにより励振する部分が、励振部Cである。励振部Cの外側に非励振部D,Dか配置されている。
【0028】
第1の励振電極7は、上記励振部Cから一方の非励振部Dに至っており、かつ圧電振動素子5の第1の端部5a側の端面を通り、下面に至っている。同様に、第2の励振電極8は、励振部Cから他方の非励振部D内に至り、圧電振動素子5の第2の端部5b側の端面を経て圧電体6の上面に至っている。
【0029】
第1,第2の励振電極7,8はAlやAgなどの適宜の金属により形成されている。
【0030】
図1(b)に示すように、基板2の上面には、第1,第2の電極9,10が形成されている。第1の電極9に、導電性接合材11により第1の励振電極7の圧電体6の下面に至っている部分が接合されている。同様に、第2の電極10に、第2の励振電極8が、導電性接合材12により接合されている。第1,第2の電極9,10がある程度の厚みを有し、さらに導電性接合材11,12がある程度の高さを有するように形成されている。そのため、圧電振動素子5は、第1のケース材としての基板2の上面に対して隙間Eを隔てて基板2に固定され、支持されている。
【0031】
図1(b)に示されているように、上記導電性接合材11,12は、圧電振動素子5の一方の端部5a側及び他方の端部5b側にそれぞれ設けられている。従って、圧電振動素子5は、第1の端部5a側及び第2の端部5b側の双方において基板2に固定されている。ここで、端部側とは、端部及びその周辺を含む部分をいうものとする。すなわち、導電性接合材11,12による固定は、第1の端部5a及び第2の端部5bで行ってもよく、端部周辺で行ってもよい。いずれにしても、導電性接合材11,12は、図2に示した非励振部D,Dにおいて圧電振動素子5を基板2に固定している。
【0032】
上記導電性接合材11,12は、導電性接着剤や半田などの適宜の導電性接合材料により形成することができる。好ましくは、導電性接合材11,12として導電性接着剤が用いられる。導電性接着剤は、合成樹脂などを含む接着剤成分に導電性粒子を配合することにより構成されている。従って、導電性接合材11,12は、半田などの金属からなる接合材に比べて柔らかいため、圧電振動素子5の振動を妨げ難い。
【0033】
なお、本実施形態では、導電性接合材11,12が用いられているが、非導電性の接合材を用いてもよい。その場合には、非導電性接合材により圧電振動素子5を基板2に固定し、圧電振動素子5の第1,第2の励振電極7,8と基板側の第1,第2の電極9,10との電気的接続をワイヤーボンディングなどの他の方法により行えばよい。このような非導電性接着剤としては、合成樹脂系接着剤を好適に用いることができる。合成樹脂系接着剤では、硬化物が金属に比べて柔らかいため、圧電振動素子5の振動を妨げ難い。
【0034】
基板2の下面には、第1,第2の端子電極13,14が形成されている。第1,第2の端子電極13,14は、第1,第2のビアホール電極15,16により第1,第2の電極9,10に電気的に接続されている。
【0035】
電極9,10及び第1,第2の端子電極13,14並びに第1,第2のビアホール電極15,16は、AlやAgなどの適宜の導電性材料により形成することができる。
【0036】
本実施形態では、第1,第2の電極9,10は、第1,第2のビアホール電極15,16により第1,第2の端子電極13,14に電気的に接続されているが、第1,第2のビアホール電極15,16を用いずに、他の電気的接続構造を採用してもよい。例えば、基板2の上面から基板2の端面や側面を経て下面に至る接続電極を設け、第1,第2の電極9,10と第1,第2の端子電極13,14とを電気的に接続してもよい。あるいは、ワイヤーボンディングなどを用いてもよい。
【0037】
本実施形態の液体検出センサ1を使用するに際しては、図1(b)に示す向きに対して液体検出センサ1を上下反転させる。すなわち、下方に貫通孔3d,3eが位置するように液体検出センサ1を配置する。例えばインクジェットプリンタのインク収納部に液体検出センサ1を配置した場合、インクの残量が十分である場合には、貫通孔3d,3eから空間Bにインクが入り込み、インクが圧電振動素子5に接触する。他方、インクが減り、インク液面が下降し、圧電振動素子5から離れることとなる。従って、最初の共振特性に対し、インクが圧電振動素子5から分離すると共振特性が変化することとなる。この共振特性の変化により、インクの量が減少したことを検出することができる。
【0038】
特に、上記圧電振動素子5は、第1のケース材としての基板2から隙間Eを隔てて支持されて固定されている。しかも、圧電振動素子5自体はケース材すなわち空間Bを囲む部材として機能していない。さらに、圧電振動素子5が第1のケース材としての基板2から隙間Eを隔てて固定されている。よって、圧電振動素子5の振動が支持及び固定構造により影響を受け難い。そのため、上記共振特性の変化を高精度に検出することができる。
【0039】
上記共振特性の変化を測定するに際しては、共振周波数、反共振周波数、共振抵抗、反共振抵抗または位相などの様々な特性を利用することができる。
【0040】
特に、隙間Eを隔てて圧電振動素子5が固定されているため、液体は、圧電振動素子5の第1の励振電極7側すなわち第1の主面側だけでなく、第2の主面側においても圧電振動素子5に接触する。よって、検出感度をより一層高めることができる。
【0041】
加えて、本実施形態では、導電性接合材11,12が導電性接着剤からなるため、それによって、圧電振動素子5の振動の基板2側への漏洩を抑制することができる。従って、それによっても、共振特性の変化を高精度に検出することができる。
【0042】
図5に示した従来のセンサ装置100では、圧電振動素子102が振動板106に貼り合わされた構造すなわち振動部分自体がケースの一部を構成している。従って、検出感度を高めることができなかった。加えて、ケース自体が振動するため、振動防止層109を設けた複雑な構造を必要としていた。
【0043】
これに対して、本実施形態では、圧電振動素子5がケースの一部を構成していないため、上記のように圧電振動素子5の振動が阻害され難い。加えて、ケースの構造の簡略化を果たすことができる。よって、液体検出センサ1の製造工程の簡略化及びコストの低減を果たすことができる。
【0044】
なお、上記貫通孔3d,3eの数は、液体を空間Bに導き得る限り、任意である。1つの貫通孔のみが形成されていてもよい。さらに、図1(b)に破線Hで示すように、第1のケース材としての基板2側に貫通孔を設けてもよい。すなわち、空間Bを外部と連通させ、液体を導入する貫通孔は、第1及び第2のケース材の少なくとも一方に形成されておればよい。
【0045】
また、上記実施形態では、圧電振動素子5は、導電性接着剤からなる導電性接合材11,12により基板2に固定されていたが、一方の端部側においてのみ固定され、支持されていてもよい。すなわち、片持ち梁で圧電振動素子5が基板2に固定され、支持されていてもよい。その場合には、圧電振動素子5がより大きく変位し得るので、検出感度を高めることができる。
【0046】
もっとも、上記実施形態では、第1の端部5a側に第2の端部5b側の双方において圧電振動素子5が基板2に固定されているため、圧電振動素子の固定構造を、上記片持ち梁の場合に比べて安定化することができる。よって、検出感度のばらつきを低減することができる。
【0047】
また、上記実施形態では、図2に示した厚み縦振動モードを利用した圧電振動素子5を用いたが、他の圧電振動素子を用いてもよい。図3は、本発明において用いられる圧電振動素子の他の例を示す正面断面図である。圧電振動素子21は、複数の圧電体層22,23を積層してなる板状の圧電体24を有する。圧電体24の第1の主面に第1の励振電極25が形成されており、反対側の第2の主面に第2の励振電極26が形成されている。圧電体層22,23間の界面に内部励振電極27が形成されている。圧電体層22,23は、図示の矢印で示す方向に分極されている。
【0048】
第1,第2の励振電極25,26から交流電界を印加することにより、圧電体24が屈曲モードで振動する。図3の一点鎖線F及びGは屈曲モードにおける圧電体24の振動姿態を模式的に示す曲線である。すなわち、一点鎖線Fで示す振動姿態と、一点鎖線Gで示す振動姿態とを繰り返すように振動する。従って、圧電体24が変位しないノードN1,N2が現れる。このような圧電振動素子21を用いる場合、ノードN1,N2またはノードN1,N2よりも外側の部分において、導電性接合材11,12などを用いて基板2に固定すればよい。
【0049】
好ましくは、ノードN1,N2の下方位置において、圧電振動素子21を基板2に固定することが望ましい。それによって、圧電振動素子21の振動をより妨げずに、圧電振動素子21を支持することができる。
【0050】
もっとも、ノードN1,N2よりも外側、すなわち圧電振動素子21の端部側において支持してもよい。その場合においても、励振電極25,26及び内部励振電極27が重なり合っている部分の振動をさほど妨げることはない。
【0051】
この屈曲モードによる共振特性の変化を利用して液体の有無を検出してもよい。このように、本発明において用いられる圧電振動素子の構造及び利用する振動モードは特に限定されるものではない。
【0052】
本発明における第1,第2のケース材は特に限定されるものではない。例えば図4に示す変形例の液体検出センサ31では、第1のケース材32が、平坦な基板ではなく、底板部32aと、底板部32aの周囲から上方に延びる筒状側壁部32bとを有する。筒状側壁部32bの上端が開口cを形成している。底板部32a上に、第1の実施形態と同様にして、圧電振動素子5が固定され、支持されている。また、第1のケース材32においては、第1の実施形態の基板2の場合と同様に、第1,第2の電極9,10、第1,第2のビアホール電極15,16及び第1,第2の端子電極13,14が形成されている。
【0053】
上記第1のケース材32は、セラミックスまたは合成樹脂などの適宜の材料により形成することができる。
【0054】
この変形例では、筒状側壁部32bの上端の開口を閉成するように、平板状の第2のケース材33が第1のケース材32に接合される。第2のケース材33は、金属板や合成樹脂板などの適宜の板状材料により形成することができる。第2のケース材33に、貫通孔33a,33bが形成されている。
【0055】
変形例の液体検出センサ31から明らかなように、第1,第2のケース材は、空間Bを形成し、かつ空間Bを外部と連通させるための貫通孔を有する限り、また第1のケース材の内面に隙間を隔てて圧電振動素子を固定し、かつ支持し得る限り、特に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0056】
1…液体検出センサ
2…基板
3…第2のケース材
3a…天板部
3b…筒状側壁部
3c…開口
3d,3e…貫通孔
4…接合材
5…圧電振動素子
5a…第1の端部
5b…第2の端部
6…圧電体
7,8…第1,第2の励振電極
9,10…第1,第2の電極
11,12…導電性接合材
13,14…第1,第2の端子電極
15,16…第1,第2のビアホール電極
21…圧電振動素子
22,23…圧電体層
24…圧電体
25,26…第1,第2の励振電極
27…内部励振電極
31…液体検出センサ
32…第1のケース材
32a…底板部
32b…筒状側壁部
33…第2のケース材
33a,33b…貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のケース材と、
前記第1のケース材に接合され、第1のケース材と共に内部に密閉空間を形成するための第2のケース材とを備え、前記第1,第2のケース材の少なくとも一方に、密閉空間を外部に連通させる貫通孔が形成されており、
前記密閉空間内において、前記第1のケース材の内面に隙間を隔てて配置された板状の圧電振動素子と、
前記圧電振動素子を前記第1のケース材の内面に固定し、支持している接合材とを備え、
前記圧電振動素子が交流電界の印加により振動する励振部と、励振部の外側に設けられた非励振部とを有するエネルギー閉じ込め型の圧電振動素子であって、該非励振部において前記圧電振動素子が前記接合材により前記第1のケース材の内面に固定されている、液体検出センサ。
【請求項2】
第1のケース材と、
前記第1のケース材に接合され、第1のケース材と共に内部に密閉空間を形成するための第2のケース材とを備え、前記第1,第2のケース材の少なくとも一方に、密閉空間を外部に連通させる貫通孔が形成されており、
前記密閉空間内において、前記第1のケース材の内面に隙間を隔てて配置された圧電振動素子と、
前記圧電振動素子を前記第1のケース材の内面に固定し、支持している接合材とを備え、
前記圧電振動素子が略矩形板状の圧電体の屈曲モードを利用した圧電振動素子であり、該屈曲モードの振動のノード、または振動のノードよりも外側部分において前記接合材により前記圧電振動素子が前記第1のケース材の内面に固定されている、液体検出センサ。
【請求項3】
前記接合材が導電性接着剤である、請求項1または2に記載の液体検出センサ。
【請求項4】
前記圧電振動素子が第1の主面と、第1の主面とは反対側の第2の主面とを有する圧電体と、前記圧電体の第1,第2の主面にそれぞれ形成された第1,第2の励振電極とを有し、
該圧電振動素子が第1の端部と、第1の端部とは反対側の第2の端部とを有し、第1及び第2の端部の少なくとも一方の端部側において前記接合材により前記第1のケース材の内面に前記隙間を隔てて固定されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の液体検出センサ。
【請求項5】
前記圧電振動素子は、第1,第2の端部の双方の側において前記接合材により前記第1のケース材に固定されている、請求項4に記載の液体検出センサ。
【請求項6】
前記第1のケース材が基板であり、前記第2のケース材が、天板部と、天板部の周囲から前記基板側に向かって延びる筒状側壁部とを有し、該筒状側壁部の前記天板部とは反対側の端部が基板側に向かって開いた開口を形成している、請求項1〜5のいずれか1項に記載の液体検出センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−112436(P2011−112436A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−267419(P2009−267419)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】