説明

液体油用試料ホルダ

【課題】 より少量の液体油でも、高い分析精度を維持できる液体油の分光測定を行うための液体油用試料ホルダの提供。
【解決手段】 板状のベースメント部材(2)及び固定板(3)と、これらを付き合わせた固定状態を保持する固定具(8)と、を含み、固定状態でベースメント部材(2)及び固定板(3)を垂直に貫通する光透過窓としての貫通孔(2c、3c)を設けるとともに、ベースメント部材(2)には主面から貫通孔(2c)の周縁部を所定の深さまで座ぐり加工した座ぐり部(2d)を設け、座ぐり部内には貫通孔(2c)を閉塞するように2枚の板状の光学結晶板(6、4)を順に重ねて配置し、光学結晶板(4,6)同士を密着させる弾性部材(7)を固定板(3)の主面上の貫通孔(3c)の周縁部に沿って与え、少なくとも光透過窓に干渉しないように光学結晶板(4,6)の間にスペーサ部材(5)を挿入しこの間隙内に液体油(9)を保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外線分光測定装置内にセットされ液体油の分光測定を行うための液体油用試料ホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
赤外線分光分析は、測定物質へ赤外線を照射し、その透過光又は反射光の分光スペクトルから測定物質の化学結合を特定する分析手法である。ここで測定物質が液状物質である場合、赤外線透過物質を含む容器に液状物質を蓄え、赤外線分光測定装置内の赤外線の経路をよぎる位置にこれをセットして透過光で分析を行っていた。一方、少量の液状物質からなる測定物質を分析するためには、赤外線透過物質からなる光学結晶板の上に液状物質を滴下し、透過光で分析を行っていた。しかしながら、液状物質の表面張力により赤外線の透過部分のその厚さを均一とできず、定量的な分析を行うことは困難であった。これに対して、所定間隔だけ隔てて平行配置された2枚の光学結晶板の間に測定物質である液状物質を流し込む分析方法が知られている。
【0003】
特許文献1では、セルロースなどの天然繊維やポリエステルなどの合成繊維に測定物質である液状物質を吸収させ、この繊維を2枚の光学結晶板の間に挟んで液状物質を滲み出させ、滲み出し部分の分光分析を行う方法が開示されている。かかる滲み出し部分では、少量であっても赤外線の透過部分の液状物質の厚さ、すなわち赤外線の透過長さは、2枚の光学結晶板の間の距離と等しくなり、均一にできる。
【0004】
また、特許文献2では、2枚のシリコン単結晶からなる光学結晶板(窓板)の少なくとも一方に液状物質を保持する酸化シリコンからなる切り欠きを有する囲いを均一な高さに形成し、押え板の間に光学結晶板(窓板)を挟み込むことが開示されている。囲いの厚さを調整することで、2枚の光学結晶板の間の距離を一定にして平行に維持でき、液状物質の赤外線の透過長さを均一にできるのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−030990号公報
【特許文献2】実開平03−16047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、液体油の赤外線分光分析において、少量添加される添加剤などの化学結合は、液体油の主たる炭化水素の化学結合と比較して分光スペクトルを明瞭に区別しづらい。そこで、2枚の光学結晶板の間の距離を拡げて、赤外線の透過長さを延長してかかる分光スペクトルを明瞭にすることが求められる。その一方で、より少量の液体油を分析するには、赤外線の透過面積を減じることとなる。かかる場合、例えば、特許文献2のように光学結晶板の面積に対する囲いによって囲まれる液体油の保持部分の面積を小さくすることで赤外線の透過面積を減じられる。しかしながら、このように面積の小さな囲いでは2枚の光学結晶板の間の距離を一定にして平行に維持することは難しくなり、液状物質の赤外線の透過長さを均一にできない。つまり、定量的な分析を行うことは困難である。
【0007】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、より少量の液体油でも、高い分析精度を維持できる赤外線分光測定装置内にセットされ液体油の分光測定を行うための液体油用試料ホルダの提供である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による液体油用試料ホルダは、赤外線分光測定装置内にセットされ液体油の分光測定を行うための試料ホルダであって、互いに平行な第1及び第2の主面をそれぞれ有する板状のベースメント部材及び固定板と、前記ベースメント部材及び固定板の第1主面同士を付き合わせた固定状態を保持する固定具と、を含み、前記固定状態で前記ベースメント部材及び固定板を垂直に貫通する光透過窓としての貫通孔を設けるとともに、前記ベースメント部材には前記貫通孔の軸線に沿って前記第1主面から前記貫通孔の周縁部を所定の深さまで座ぐり加工した座ぐり部を設け、前記座ぐり部内には前記貫通孔を閉塞するように2枚の板状の光学結晶板を順に重ねて配置し、前記固定板を前記ベースメント部材に前記固定具で固定するのに併せて前記光学結晶板同士を密着させる弾性部材を前記固定板の前記第1の主面上の前記貫通孔の周縁部に沿って与え、少なくとも前記光透過窓に干渉しないように前記光学結晶板の間にスペーサ部材を挿入しこの間隙内に前記液体油を保持することを特徴とする。
【0009】
かかる発明によれば、互いに平行な第1及び第2の主面をそれぞれ有する板状のベースメント部材及び固定板を固定具で固定することにより、弾性部材を介した上で、ベースメント部材の座ぐり部と固定板によって、液体油を保持する2枚の光学結晶板とその間に挟みこまれたスペーサ部材とを押圧して固定できる。光学結晶板に対して広い面積を有するベースメント部材と固定板の主面を、互いに平行に付き合わせられることから、2枚の光学結晶板の主面は、液体油の量を減らし、赤外線の透過面積を減じさせても、平行に維持できる。よって、液状物質の赤外線の透過長さを均一にでき、定量的な分析をさせ得る。すなわち、より少量の液体油でも、高い分析精度を維持させて分光測定できる赤外線分光測定装置用の液体油用試料ホルダを得ることができる。
【0010】
上記した発明において、前記光透過窓は円形であることを特徴としてよい。かかる発明によれば、光透過窓を通過する赤外線は、その照射軸から全方位に均一に液体油を透過するので、より少量の液体油の分析においても高い分析精度を維持できる。
【0011】
上記した発明において、前記光学結晶板は四方形であることを特徴としてよい。かかる発明によれば、座ぐり部内で光学結晶板が位置ずれしづらくできて、より少量の液体油の分析においても高い分析精度を維持できる。また、光学結晶板のハンドリングが容易となり、光学結晶板の表面損傷による分析精度の低下を生じさせることなく、高い分析精度を維持できる。
【0012】
上記した発明において、前記スペーサ部材は貫通孔を包囲するような環状板体であることを特徴としてもよい。かかる発明によれば、赤外線を遮断させることなく、赤外線の液体油に対する照射面積を減少させず、得られる分光スペクトルの強度を低下させることがないため、定量的な分析をさせ、分析精度をより高く維持させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の1つの実施例の部品図である。
【図2】本発明の1つの実施例の組立て時の斜視図である。
【図3】本発明の1つの実施例の組立て時の断面図である。
【図4】本発明の1つの実施例を含む装置の構成図である。
【図5】本発明の1つの実施例により得られる分光スペクトルの図である。
【図6】本発明の1つの実施例と従来例により得られる分光スペクトルの図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の1つの実施例による試料ホルダについて図1乃至図3を用いてその詳細について説明する。
【0015】
図1に示すように、試料ホルダ1は、組立てて測定物質である液体油を保持できるホルダであって、ベースメント部材2と、固定板3と、上窓板4と、スペーサ部材5と、下窓板6と、弾性部材7とを含む。
【0016】
ベースメント部材2は、主面を長方形とする板体であり、その主面となるベースメント部材表面2aとベースメント部材裏面2bは互いに平行である。また、ベースメント部材2は、その主面に対して略垂直に貫通し略円筒形の内周面を有し、後述するように赤外線分光測定装置10内で照射させた赤外線を通過させることのできる窓としてベースメント部材孔2cを有している。ベースメント部材孔2cの軸線に沿って座ぐり加工、つまり、ベースメント部材孔2cの周囲の上面を円形に平滑に切削する加工がされている。かかる座ぐり加工により生じた略円筒形の内周面と底面(ベースメント部材孔2cの上端からつながる面)を座ぐり部2dとする。ベースメント部材表面2a上において、座ぐり部2dから所定の間隔で、すなわち、後述する固定板3のボルト用孔3dに対応する位置で、4本のボルト2eがその軸線をベースメント部材表面2aに対して略垂直にしてそれぞれ植設されている。
【0017】
固定板3は主面を長方形とする板体であり、その主面となる固定板表面3aと固定板裏面3bは互いに平行である。固定板3には、その主面に対して垂直に貫通する孔として、固定板孔3cと4つのボルト用孔3dが設けられている。固定板孔3cは赤外線を通過させることのできる円形の窓として、固定板3の略中央のベースメント部材孔2cに対応する位置に設けられている。ベースメント部材孔2cと固定板孔3cの開口部の直径は、同じである。ボルト用孔3dは、固定板孔3cから所定の間隔を取って、上記したボルト2eに対応する位置にそれぞれ設けられている。後述する組み立ての際に、ボルト2eをボルト用孔3dに通し、ナット8で締めることにより、ベースメント部材2と固定板3を締結させることができる(図2参照)。
【0018】
上窓板4及び下窓板6は、臭化カリウム(KBr)からなり、略直方体の形状を有する板体である。下窓板6は、下窓板上面6aを有する。なお、本実施例では、上窓板4及び下窓板6の材料として臭化カリウムを用いたが、一般的に赤外線分光分析で照射させる赤外線の波数域(4000〜400cm−1)内の赤外線を透過させることのできる光学結晶、例えば、塩化ナトリウム(NaCl)、セレン化亜鉛(ZnSe)、臭沃化タリウム(KRS−5)、ヨウ化セシウム(CsI)などを用いてもよい。
【0019】
図1に図3を併せて参照すると、スペーサ部材5は、鉛を含む材料からなる輪環状の板体であり、内周面5aを有する。スペーサ部材5は、試料ホルダ1において、ベースメント部材孔2c及び固定板孔3cに挟まれる円柱形状の領域9aを取り囲むように上窓板4と下窓板6の間に配置される。赤外線を固定板表面3aに略垂直に固定板3の上方より照射させると、赤外線は固定板孔3c、領域9a及びベースメント部材孔2cを通過する。なお、本実施例では、スペーサ部材5の材料として鉛を含む材料を用いたが、2枚の光学結晶板の間に挟み込まれても変形しない程度の機械的強度を有し、且つ液体油と接触して化学的安定を保つ物質、例えば、アルミニウムを含む材料などを用いてもよい。
【0020】
弾性部材7は、弾性を有するゴムからなり、輪環状の板体である。弾性部材7は、固定板孔3cを取り囲むように固定板裏面3b側に接着されている。なお、本実施例では、弾性部材7の形状を輪環体の板体としたが、環状の内周側の形状を円形とした板体であれば、外周側の形状は特に問わない。ナット8は、ボルト2と螺合されて、ベースメント部材2と固定板3を締め付けることができる。
【0021】
ここで、図4に示すように、1つの例として、赤外線分光測定装置10は、光源11と、干渉計12と、試料室13と、検出器14と、A/D変換器15と、コンピュータ16と、ディスプレイ17とを含む。光源11は高輝度セラミックス光源からなり、赤外線を照射することができる。
【0022】
干渉計12は、固定鏡12aと、移動鏡12bと、半透過鏡12cとを含む。固定鏡12aと移動鏡12bはいずれも反射鏡である。半透過鏡12cは、照射された光の一部を反射させ、その光の他の残部を透過させることができる。
【0023】
試料室13は、その内部において、試料ホルダ1に保持された液体油9に対して、移動鏡12bの移動により干渉を生じさせた赤外線を照射するために設けられている。そのため、試料室13は、かかる赤外線を固定板表面3aに対して略垂直に上方から照射させ、ベースメント部材孔2cと固体板孔3cを通過させて、液体油9を透過させることのできる位置に、試料ホルダ1をセットすることができるようになっている。
【0024】
検出器14は、液体油9を透過した赤外線を検出し、受光した赤外線の吸光度に対応したアナログ電気信号を生成し、A/D変換器15に向けて出力することができる。A/D変換器15は、検出器14から出力されたアナログ電気信号をデジタル電気信号へ変換し、コンピュータ16へ出力することができる。コンピュータ16は、演算処理装置とメモリなどの記憶装置を含む。コンピュータ16は、A/D変換器15より出力されたデジタル電気信号を、高速フーリエ変換して、分光スペクトルを得ることができる。ディスプレイ17は、液晶ディスプレイであり、コンピュータ16で得た分光スペクトルを可視化させて、操作者に確認させることができる。ディスプレイ17はプロジェクタやプリンタなどの他の出力装置であってもよい。
【0025】
次に、図1乃至図3を用いて、試料ホルダ1の組み立て方を説明する。
【0026】
図1乃至図3に示すように、まず、下窓板6にスペーサ部材5が載せられる。下窓板6の下窓板上面6aとスペーサ部材5の内周面5aで形成される領域を満たすように、液体油9が滴下される。この上に上窓板4が載せられ、液体油9は、上窓板4、下窓板6及びスペーサ部材5に挟み込まれる。下から順に下窓板6、スペーサ部材5、上窓板4を重ねたまま、これらを座ぐり部2dの底面に載置する。固定板裏面3b側に接着された弾性部材7により上窓板4を座ぐり部2dの底面に向けて押圧するように、固定板3をベースメント部材2にナット8で締結する。これにより、測定物質である液体油9は、上窓板4と下窓板6の間で、スペーサ部材5にその周囲を囲まれて、試料ホルダ1に保持される。
【0027】
ここでスペーサ部材5と弾性部材7は、赤外線の通り道となる領域9aを取り囲むように設置される。このようにスペーサ部材5と弾性部材7を設置すれば、赤外線の通過を遮断させることなく、得られる分光スペクトルの強度を低下させることがないため、定量的な分析をさせ、分析精度をより高く維持させることができる。
【0028】
次に、本実施例による試料ホルダ1により得られた液体油9の分光スペクトルについて説明する。なお、液体油9は炭化水素に添加剤を添加された潤滑油を用いた。
【0029】
図5には、本実施例による試料ホルダ1により得られた分光スペクトルが示されている。赤外線の透過長さとなる液体油9の膜厚は、スペーサ部材5により、図5(a)から(c)まで順に、0.025mm、0.05mm、0.1mmになされている。いずれにおいても、炭化水素に由来する分光スペクトルが明瞭に観察され、膜厚が大となるにつれ、ベース(基線)が波打つようになる。一方、波数1800〜500cm−1程度にある添加剤に由来する分光スペクトルのピークは、膜厚0.025mm、膜厚0.05mmで不明瞭であるが、膜厚0.1mmでは明瞭となる。膜厚0.1mmよりも膜厚を厚くするとノイズも大きくなる。例えば波数720cm−1付近の基油である炭化水素の吸収の特徴を表わすピークの吸収が強くなって、添加剤の吸収の特徴を表わすピークが再び不明瞭になる。つまり、この液体油9については、膜厚0.1mmとして得られた分光スペクトルを分析することが適当である。
【0030】
図6には、液体油9の膜厚を0.1mmとして得られた分光スペクトルが示されている。図6(a)は本実施例による試料ホルダ1を用いて得られた分光スペクトル、図6(b)は従来型の、すなわち液体油9の保持される領域の広い試料ホルダを用いて得られた比較例としての分光スペクトルである。これらを比較すると、液体油9の保持される領域を従来型より狭くしてより少量の液体油を保持する本実施例による試料ホルダ1であっても、従来型の試料ホルダと同等の強度の分光スペクトルを得られる。つまり、本実施例による試料ホルダ1では、従来型のホルダによって得られた過去の分析結果に対しても継続的に定量的な分析ができる。
【0031】
以上述べてきたように、本実施例によれば、互いに平行な主面をそれぞれ有する板状のベースメント部材2及び固定板3をボルト2e及びナット8で締結し固定することにより、弾性部材7を介した上で、ベースメント部材2の座ぐり部2dと固定板3の固定板裏面3bによって、液体油を保持する上窓板4及び下窓板6とその間に挟みこまれたスペーサ部材5とを押圧して固定できる。これにより、上窓板4と下窓板6に対して広い面積を有するベースメント部材2と固定板3とがベースメント部材表面2aと固定板裏面3bとを互いに平行に付き合わせられることから、上窓板4と下窓板6の主面は、液体油9の量を減らし、赤外線の透過面積を減じさせても、平行に維持できる。よって、液体油9の赤外線の透過長さを均一にでき、定量的な分析をさせ得る。
【0032】
さらに、ベースメント部材孔2c及び固定板孔3cは赤外線を通過させる円形の窓である。そのため、これらを通過する赤外線は、その照射軸から全方位に対して均一に液体油を透過する。したがって、より少量の液体油9の分析においても高い分析精度を維持できる。
【0033】
さらに、上窓板4及び下窓板6は四方形(略直方体形状)なので、例えばその四隅を周囲に当接させるなどすることで座ぐり部2d内における位置ずれを抑制できる。そのため、より少量の液体油の分析においても高い分析精度を維持できる。また、四方形である上窓板4と下窓板6は、その製造を容易とするとともにハンドリングを容易とし、ハンドリングミスによる表面の損傷を発生させづらい。よって、上窓板4と下窓板6の表面損傷による分析精度の低下を防止し、高い分析精度を維持できる。
【0034】
ここまで本発明による代表的実施例について説明したが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではない。当業者であれば、添付した特許請求の範囲を逸脱することなく、種々の代替実施例及び改変例を見出すことができるであろう。
【符号の説明】
【0035】
1 試料ホルダ
2 ベースメント部材
3 固定板
4 上窓板
5 スペーサ部材
6 下窓板
7 弾性部材
9 液体油

【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤外線分光測定装置内にセットされ液体油の分光測定を行うための試料ホルダであって、
互いに平行な第1及び第2の主面をそれぞれ有する板状のベースメント部材及び固定板と、前記ベースメント部材及び固定板の第1主面同士を付き合わせた固定状態を保持する固定具と、を含み、
前記固定状態で前記ベースメント部材及び固定板を垂直に貫通する光透過窓としての貫通孔を設けるとともに、前記ベースメント部材には前記貫通孔の軸線に沿って前記第1主面から前記貫通孔の周縁部を所定の深さまで座ぐり加工した座ぐり部を設け、前記座ぐり部内には前記貫通孔を閉塞するように2枚の板状の光学結晶板を順に重ねて配置し、前記固定板を前記ベースメント部材に前記固定具で固定するのに併せて前記光学結晶板同士を密着させる弾性部材を前記固定板の前記第1の主面上の前記貫通孔の周縁部に沿って与え、少なくとも前記光透過窓に干渉しないように前記光学結晶板の間にスペーサ部材を挿入しこの間隙内に前記液体油を保持することを特徴とする赤外線分光測定装置内にセットされる液体油用試料ホルダ。
【請求項2】
前記光透過窓は円形であることを特徴とする請求項1記載の液体油用試料ホルダ。
【請求項3】
前記光学結晶板は四方形であることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体油用試料ホルダ。
【請求項4】
前記スペーサ部材は貫通孔を包囲するような環状板体であることを特徴とする請求項1記載の液体油用試料ホルダ。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−37458(P2012−37458A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−179814(P2010−179814)
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【出願人】(000186913)昭和シェル石油株式会社 (322)
【Fターム(参考)】