説明

液体洗剤組成物

【課題】酵素の酵素活性の持続性が良く、長期間洗浄性を維持できる液体洗剤組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】下記(1)〜(3)の条件を満たす有機化合物(A)、酵素(a)、界面活性剤(b)及び水を含有する液体洗剤組成物;
(1)有機化合物(A)の分子にプロトンが付加した場合に、分子内の少なくとも1つの原子(Z)において、原子(Z)及び原子(Z)に結合している原子(Y)が有するπ電子により形成されているπ結合が共鳴構造をとっており、
原子(Z)及び原子(Y)が有する電子であって、
この共鳴構造のπ結合に関与しているπ電子が4つ以上であること
(2)0.1mol/dm3溶液のイオン強度が0.1以上であること
(3)分子量が300未満であること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体洗剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
衣料はその種類によって汚れが異なる。汚れの中で皮脂汚れ、タンパク汚れ及び粒子汚れ等の複合汚れは洗浄が困難であると考えられている。従来、このような汚れに対しては、皮脂汚れ除去及び粒子汚れの分散に優れた界面活性剤、タンパク汚れ分解に優れたプロテアーゼのような酵素を含む洗剤が有効であることが知られている。
【0003】
周知の通り、酵素は分解力の高さから今や洗剤に欠かすことのできないものとなっている。一方、洗剤は使い勝手の点で従来の固形洗剤から液体洗剤へ形態が変わりつつある。しかしながら、酵素は水溶液中で酵素活性の持続性が悪く、貯蔵中に酵素活性が著しく低下するといった問題が発生している。そのため酵素の酵素活性の持続性が高く、洗浄力を維持できる液体洗剤を提供することが大きな課題になっている。
【0004】
例えばプロテアーゼ阻害剤を添加することにより、酵素活性の持続性の改善が行われてきた。非特許文献1には、ボロニックアシッドがセリンプロテアーゼ、ズブチリシンを阻害する旨の記載がある。特許文献1には4−置換フェニルボロン酸がプロテアーゼ、サビナーゼを阻害する旨の記載がある。
また、酵素を安定化するために、特許文献2にはポリオール(例えば1,2−プロパンジオール、ソルビトール、グリセロール)を添加することも記載されている。
しかしながら、これらの組成物を含む液体洗剤では、一定の効果はあるものの、貯蔵時の酵素活性の低下を十分抑えるとは言えず、消費者のニーズに十分対応できる洗浄性を得ることができない。
なお、本発明において、「酵素活性の持続性が良い」とは、一定期間保管した後に測定した酵素活性と、保管する直前に測定した酵素活性との差が小さく、一定の酵素活性を示すことを意味する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表平11−507680号公報
【特許文献2】特開2009−507085号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Molecular & Cellular Biochemistry,51,1983,p5−32
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、酵素の酵素活性の持続性が良く、高い洗浄性を持つ液体洗剤組成物を提供すること、特に衣料用に高い洗浄性能を実現できる液体洗剤組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記の目的を達成するべく検討を行った結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明の液体洗剤組成物は、下記(1)〜(3)の条件を満たす有機化合物(A)、酵素(a)、界面活性剤(b)及び水を含有する液体洗剤組成物;
(1)有機化合物(A)の分子にプロトンが付加した場合に、分子内の少なくとも1つの原子(Z)において、原子(Z)及び原子(Z)に結合している原子(Y)が有するπ電cいるπ結合が共鳴構造をとっており、
原子(Z)及び原子(Y)が有する電子であって、この共鳴構造のπ結合に関与しているπ電子が4つ以上であること
(2)0.1mol/dm3溶液のイオン強度が0.1以上であること
(3)分子量が300未満であること
である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の液体洗剤組成物は、長期的に洗浄性を保つことができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、有機化合物(A)を単に化合物(A)とも表記する。
本発明の液体洗剤組成物は、下記(1)〜(3)の条件を満たす有機化合物(A)、酵素(a)、界面活性剤(b)及び水を含有する液体洗剤組成物である。
(1)有機化合物(A)の分子にプロトンが付加した場合に、分子内の少なくとも1つの原子(Z)において、原子(Z)及び原子(Z)に結合している原子(Y)が有するπ電子により形成されているπ結合が共鳴構造をとっており、
原子(Z)及び原子(Y)が有する電子であって、この共鳴構造のπ結合に関与しているπ電子が4つ以上であること
(2)0.1mol/dm3溶液のイオン強度が0.1以上であること
(3)分子量が300未満であること
【0011】
酵素を液体洗剤中で保存すると、酵素が凝集や加水分解を起こし酵素活性(力価)が著しく低下するという問題点があるが、本発明では、特定の化学構造を有する上記の化合物(A)を液体洗剤組成物中に含有させることにより解決できる。
【0012】
上記(1)の条件について説明する。
例えば、有機化合物(A)が下記一般式(1)で表されるグアニジン分子である場合、炭素原子(I)は、窒素原子(II)、(III)及び(IV)と結合している。グアニジンの分子にプロトンが付加した場合、炭素原子(I)はカチオンになり空軌道をもち、(II)〜(IV)はそれぞれsp3混成軌道に孤立電子対を有する。これら3つの孤立電子対は、炭素原子(I)との間にπ結合を形成することができ、共鳴構造をとっている。
すなわち、グアニジンの分子内の炭素原子(I)を原子(Z)とした場合に、この原子(Z)に結合している原子(Y)は、窒素原子(II)〜(IV)であり、この原子(Z){炭素原子(I)}および原子(Y)が有する電子であって、この共鳴構造のπ結合に関与しているπ電子は6つである。
なお、グアニジン分子にプロトンが付加した場合、窒素原子(II)〜(IV)は、それぞれ炭素原子(I)及び2つの水素原子と結合しており、それぞれの孤立電子対がπ結合を形成しているので、窒素原子(II)〜(IV)を原子(Z)とした場合は、それぞれπ結合に関与しているπ電子を2つ有している。
したがって、グアニジンは、炭素原子(I)が原子(Z)の条件を満たすので、(1)の条件を満たす。
【0013】
【化1】

【0014】
上記(1)の条件を満たす化合物としては、例えば、グアニジウム塩、グアナジン、グアナミン、ホルムアミジン、複素環化合物(ピロール、イミダゾール、ピリジン、ピリミジン、インドール、キノリン、イソキノリン、プリン等)、有機リン酸(炭素数1〜30のアルコールのリン酸エステル等)等が挙げられる。
【0015】
上記(2)の条件において、イオン強度Iとは、溶液中のイオン種iについて、それぞれのイオンのモル濃度mと電荷zの2乗の積を加え合わせ、さらにそれを1/2にしたものであり、以下の式で表される。
I=1/2Σmii2
つまり、0.1mol/dm3溶液のイオン強度が0.1以上であるとは、上式で計算されるIの値が0.1以上であることを示す。
【0016】
本発明の上記(1)〜(3)の条件を満たす有機化合物(A)としては、複素環化合物(A−1)、有機リン酸(A−2)、炭素数1〜20の窒素、酸素及び硫黄原子を2つ以上有する化合物(A−3)並びにこれらの塩(A−4)が挙げられる。
複素環化合物(A−1)としては、含窒素複素環化合物、含酸素複素環化合物、含硫黄複素環化合物、含リン複素環化合物が挙げられ、例えば、ピロール、イミダゾール、ピリジン、ピリミジン、インドール、キノリン、イソキノリン、プリン、インドール、キノリン、イソキノリン、フラン、チオフェン、オキサゾール、チアゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール等が挙げられる。
有機リン酸(A−2)としては、炭素数1〜20の有機リン酸が挙げられ、例えばメチルリン酸、エチルリン酸、イソプロピルリン酸、ブチルリン酸、ジメチルリン酸、ジエチルリン酸、ジプロピルリン酸、ジブチルリン酸、メチルピロリン酸、エチルピロリン酸等が挙げられる
炭素数1〜20の窒素、酸素及び硫黄原子を2つ以上有する化合物(A−3)としては、下記一般式(2)で表される化合物(A2)、アミジノ基含有化合物、アミド基含有化合物等が挙げられ、例えば、グアニジン、尿素、チオ尿素、フォルムアミジン、メチルアミジン、ビグアニド等が挙げられる。
これらの塩(A−4)としては、下記一般式(2)で表される化合物(a)の塩が挙げられ、例えば、塩酸塩、リン酸塩、硫酸塩等の無機酸塩、および炭酸塩、クエン酸塩、酢酸塩等の有機酸塩等が挙げられる。
【0017】
本発明の液体洗剤組成物中に含まれる有機化合物(A)の含有量(重量%)は、洗浄性の持続性の観点から液体洗剤組成物の重量に対し0.01〜30が好ましく、さらに好ましくは0.02〜10、次にさらに好ましくは0.03〜5、特に好ましくは0.05〜3である。
本発明の液体洗剤組成物中に含まれる化合物(A)の含有量(重量%)は、洗浄性の持続性の観点から、酵素の重量に対し、1〜1,000重量%となるように含有することが好ましく、さらに好ましくは5〜500重量%となるように含有することであり、次にさらに好ましくは10〜300重量%となるように含有することである。
【0018】
本発明の液体洗剤組成物において、洗浄性の持続性の観点から、有機化合物(A)としては、下記一般式(2)で表される化合物(A2)及び化合物(A2)の塩が好ましい。
【0019】
【化2】

【0020】
一般式(2)において、Xはイミノ基、酸素原子又は硫黄原子を表す。
【0021】
一般式(2)で表される化合物(A2)として、具体的にはグアニジン、尿素及びチオ尿素が挙げられる。
【0022】
一般式(2)で表される化合物(A2)の塩としては、グアニジンの塩が挙げられる。
塩としては塩酸塩、炭酸塩、ホウ酸塩、硫酸塩及びリン酸塩等が挙げられる。
【0023】
化合物(A2)及び化合物(A2)の塩としては、洗浄性の持続性の観点で、グアニジンの塩及び尿素が好ましく、さらに好ましくはグアニジンの塩、次にさらに好ましくはグアニジン塩酸塩である。
【0024】
本発明の液体洗剤組成物は、さらに下記一般式(3)で表される化合物(B)を含有することができる。洗浄性の持続性の観点から、(B)を含有することが好ましい。
【0025】
【化3】

【0026】
一般式(3)中、Qはアルキル基を表し、アルキル基中の水素原子の一部が水素原子以外の基に置換されていてもよい。
【0027】
Qのアルキル基としては炭素数1〜22のアルキル基が挙げられ、具体的にメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、セチル基、ステアリル基及びベヘニル基等が挙げられる。これらのアルキル基中の水素原子の一部が水素原子以外の基に置換されてもよい。
水素原子以外の置換基としては、アミノ基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、イミノ基及び水酸基等が挙げられる。置換基の数は1〜3が好ましく、さらに好ましくは2〜3である。例えばブチル基末端の水素原子2つが1つのアミノ基と1つのカルボキシル基で置換された場合は(B)はアルギニンをあらわす。
【0028】
化合物(B)としては、アルギニン又はその塩(B−1)及びアルギニン誘導体又はその塩(B−2)が挙げられる。
【0029】
(B−1)として、アルギニン、アルギニンの無機酸塩(塩酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、ピロリン酸塩、硫酸塩及びケイ酸塩等)及びアルギニンの有機酸塩(ギ酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、トリメリット酸塩及びピロメリット酸塩等)が挙げられる。
【0030】
(B−2)において、アルギニン誘導体は下記一般式(4)で表されるアルギニンのα−アミノ基若しくはα−カルボキシル基又はこれらの両方の基が置換された誘導体である。
α−アミノ基の置換は、下記一般式(5)で表されるN−アルキルカルボニル−アミド基又は一般式(6)で表されるイミノ基への置換であり、α−カルボキシル基の置換は下記一般式(7)で表されるエステル基又は下記一般式(8)で表されるN−アルキルアミド基への置換である。
【0031】
【化4】

【0032】
一般式(4)中、Yはアミノ基、下記一般式(5)で表されるN−アルキルカルボニル−アミド基(Y−1)又は一般式(6)で表されるイミノ基(Y−2)を表す。Zは、カルボキシル基、下記一般式(7)で表されるエステル基(Z−1)又は一般式(8)で表されるN−アルキルアミド基(Z−2)を表す。
【0033】
(B−2)は、α−アミノ基又はα−カルボキシル基の少なくともいずれか一方が置換されている。すなわち、Yがアミノ基の場合、Zは(Z−1)又は(Z−2)であり、Zがカルボキシル基の場合は、Yは(Y−1)又は(Y−2)である。
【0034】
【化5】

【0035】
一般式(5)中、R1は、水素原子又は炭素数1〜36の1価の炭化水素基を表し、この炭化水素基はその水素原子の一部が水素原子以外の他の官能基に置換されていてもよい。
【0036】
(Y−1)におけるR1の炭化水素基としては、炭素数1〜36の1価の炭化水素基であり、直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基が含まれる。
直鎖の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、パルミチル基、ステアリル基、オレイル基及びベヘニル基等が挙げられる。
分岐の脂肪族炭化水素基としては、イソプロピル基及びt−ブチル基等が挙げられる。
脂環式炭化水素基としては、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基及びシクロヘキシルメチル基等が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、メチルフェニル基、ベンジル基、フェニルエチル基及びメチルベンジル基等が挙げられる。
これらの炭化水素基のうち、洗浄性の持続性の観点から、直鎖の脂肪族炭化水素基が好ましく、さらに好ましくはメチル基及びエチル基、最も好ましくはメチル基である。
水素原子以外の置換基としては、アミノ基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、イミノ基及び水酸基等が挙げられる。
【0037】
(Y−1)として具体的には、ホルムアミド基、アセチルアミド基、プロピオン酸アミド基、ブチル酸アミド基、ヘキシル酸アミド基、シクロヘキシル酸アミド基、オクチル酸アミド基及びベンゾイルアミド基等が挙げられる。
【0038】
【化6】

【0039】
一般式(6)中、R2とR3はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜36の炭化水素基を表し、これらの炭化水素基はその水素原子の一部が水素原意以外の他の官能基に置換されていてもよい。
【0040】
(Y−2)において、R2とR3は、R1と同様の炭化水素基が含まれ、これらの炭化水素基はR1と同様に、その一部が他の官能基に置換されていてもよい。
【0041】
(Y−2)としては、メチルイミノ基等が挙げられる。
【0042】
【化7】

【0043】
一般式(7)中、R4は、炭素数1〜36の炭化水素基又は多価アルコール若しくは糖から1つの水酸基を除いた残基を表す。
この炭化水素基はその水素原子一部が他の官能基、例えば、水酸基、メトキシル基、エトキシル基、ニトロ基、ヒドロキシフェニル基等で置換されていてもよい。
【0044】
4が炭素数1〜36の炭化水素基の場合、その炭化水素基は、前記R1と同様の炭化水素基が含まれる。
4が炭素数1〜36の炭化水素基の場合、これらの炭化水素基のうち、洗浄性の持続性の観点から、直鎖の脂肪族炭化水素基が好ましく、さらに好ましくはメチル基及びエチル基、最も好ましくはエチル基である。
【0045】
多価アルコールとしては、2価〜3価のアルコールが含まれ、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール及びグリセリン等が挙げられる。
糖としては、グルコース、スクロース、ソルビトール、マンニトール及びトレハロース等が挙げられる。
【0046】
【化8】

【0047】
一般式(8)中、R5は、水素原子又は炭素数1〜36の炭化水素基を表し、この炭化水素基はその水素原子の一部が水素原子以外の他の官能基に置換されていてもよい。
【0048】
(Z−2)において、R5が炭素数1〜36の炭化水素基の場合、その炭化水素基としては、前記R1と同様の炭化水素基が含まれ、これらの炭化水素基はR1と同様に、その一部が他の官能基に置換されていてもよい。
5が炭素数1〜36の炭化水素基の場合、これらの炭化水素基のうち、洗浄性の持続性の観点から、直鎖の脂肪族炭化水素基が好ましく、さらに好ましくはメチル基及びエチル基、最も好ましくはメチル基である。
【0049】
(B−2)がアルギニン誘導体の塩の場合、無機酸塩(塩酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、ピロリン酸塩、硫酸塩及びケイ酸塩等)及び有機酸塩(ギ酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、トリメリット酸塩及びピロメリット酸塩等)が挙げられる。
【0050】
(B−2)の化合物として具体的に、N−アセチルアルギニンエチルエステル塩酸塩が挙げられる。
【0051】
本願発明の液体洗剤組成物中に含まれる化合物(B)としては、洗浄性の持続性の観点から、(B−2)が好ましく、さらに好ましくはアルギニンのα−アミノ基及びα−カルボキシル基の両方の基が置換された誘導体であり、特に好ましくはN−α−アセチルアルギニンエチルエステル塩酸塩である。
【0052】
本発明の液体洗剤組成物中に含まれる化合物(B)の含有量(重量%)は、洗浄性の持続性の観点から液体洗剤組成物の重量に対し0.01〜30が好ましく、さらに好ましくは0.03〜10、次にさらに好ましくは0.05〜5である。
本発明の液体洗剤組成物中に含まれる化合物(B)の含有量は、洗浄性の持続性の観点から、酵素の重量に対し、1〜1,000重量%となるように含有することが好ましく、さらに好ましくは5〜500重量%となるように含有することであり、次にさらに好ましくは10〜300重量%となるように含有することである。
【0053】
本発明の液体洗剤組成物は有機化合物(A)のみを含有すればよいが、洗浄性の持続性の観点から、有機化合物(A)及び化合物(B)を含有することが好ましい。
【0054】
(A)及び(B)を含有する場合、(A)と(B)との重量比((A)の重量/(B)の重量)は0.1〜9が好ましく、さらに好ましくは0.2〜8であり、特に好ましくは0.5〜5である。
【0055】
本発明における必須成分である酵素(a)としては、プロテアーゼ(a−1)、セルラーゼ(a−2)、アミラーゼ(a−3)、リパーゼ(a−4)及びオキシドレダクターゼ(a−5)が挙げられる。
【0056】
プロテアーゼ(a−1)としては、動物、植物又は微生物起源のものが含まれ、入手しやすさの観点から、微生物起源のものが好ましい。化学的に、又は遺伝子的に修飾された変異体も含まれる。プロテアーゼのうち、洗浄性の観点から、セリンプロテアーゼが好ましく、より好ましくはアルカリ性微生物プロテアーゼ及びトリプシン様プロテアーゼである。
【0057】
アルカリ性微生物プロテアーゼとしては、サブチリシン、特にバシラス菌(Bacillus)由来のもの、例えばサブチリシン Novo、サブチリシン Carlsberg、サブチリシン 309、サブチリシン 147及びサブチリシン 168が挙げられる。
トリプシン様プロテアーゼとしては、トリプシン(例えば、ブタ又はウシ起源のもの)及びフザリウム(Fusarium)プロテアーゼが挙げられる。
【0058】
市販のプロテアーゼとしては、ノボザイムス社のAlcalaseTM、SavinaseTM、PrimaseTM、DurazymTM及びEsperaseTM並びにジェネンコア社のPurafectTM及びPurafect OXPTM等が挙げられる。
【0059】
セルラーゼ(a−2)としては、細菌又は真菌起源のものが含まれる。化学的に、又は遺伝子的に修飾された変異体も含まれる。セルラーゼとしては、フミコーラ・インソレンス(Humicola insolens)から生産される真菌セルラーゼとして米国特許第4,435,307号明細書に開示されているものが含まれる。また、特に適当なセルラーゼは色彩保護(color care)に役立つセルラーゼであり、欧州特許出願第0 495 257号明細書に記載されたセルラーゼが含まれる。
市販のセルラーゼとしては、フミコーラ・インソレンス(Humicola insolens)の株により生産されたノボザイムス社のCelluzymeTM及び花王社のKAC−500(B)TMが挙げられる。
【0060】
アミラーゼ(a−3)としては、細菌又は真菌起源のものが含まれる。化学的に、又は遺伝子的に修飾された変異体も含まれる。アミラーゼとしては、例えば、英国特許第1,296,839号明細書に詳細に記載されているB.リヘニフォルミス(B.licheniformis)の特殊株から得られるα−アミラーゼが挙げられる。
市販のアミラーゼとしては、ノボザイムス社の DuramylTM、TermamylTM、FungamylTM及びBANTM並びにGist−Brocades社のRapidaseTM及びMaxamyl PTMが挙げられる。
【0061】
リパーゼ(a−4)としては、細菌又は真菌起源のものが含まれる。化学的に、又は遺伝子的に修飾された変異体も含まれる。リパーゼの例としては、フミコーラ・ランギノーザ(Humicola lanuginosa)リパーゼ(欧州特許第258 068号明細書及び欧州特許第305 216号明細書)、リゾムーコル・ミーヘイ(Rhizomucor miehei)リパーゼ及びカンジダ(Candida)リパーゼ(欧州特許第238 023号明細書)、C.アンタークティカ(C.ntarctica)リパーゼA及びB、シュードモナス(Pseudomonas )リパーゼ(欧州特許第214 761号明細書)、P.シュードアルカリゲネス(P.pseudoalcaligenes)及びP.アルカリゲネス(P.alcaligenes)リパーゼ(欧州特許第218 272号明細書)、P.セパシア(P.cepacia)リパーゼ(欧州特許第331 376号明細書)、P.スタッツェリ(P.stutzeri)リパーゼ、P.フルオレッセンス(P.fluorescens)リパーゼ及びバシラス(Bacillus)リパーゼ(英国特許第1,372,034号明細書)、B.サチリス(B.subtilis)リパーゼ(Dartois 他(1993), Biochemica et Biophysica Acta1131,253−260)、B.ステアロサーモフィラス(B.stearothermophilus)リパーゼ(特公昭64−744992号公報)並びにB.ピュミルス(B.pumilus)リパーゼ(国際公開第91/16422号)が挙げられる。
【0062】
市販のリパーゼとしては、ジェネンコア社の M1 LipaseTM、Luma fastTM及びLipomaxTM、ノボザイムス社のLipolaseTM及びLipolase UltraTM並びに天野エンザイム社のLipase P“Amano”TMが挙げられる。
【0063】
オキシドレダクターゼ(a−5)としては、ペルオキシダーゼ及びオキシダーゼ(例えばラッカーゼ)が含まれる。
ペルオキシダーゼとしては、植物、細菌又は真菌起源のものが含まれる。化学的に、又は遺伝子的に修飾された変異体も含まれる。ペルオキシダーゼとしては、コプリナス(Coprinus)(例えばC.シネレウス(Coprinus cinereus)又はC.マクロリザス(C.macrorhizus)の菌株由来のもの)、バシラス(Bacillus)(B.ピュミラス(B.pumilus)の菌株由来のもの)及び国際公開第91/05858号に記載されたペルオキシダーゼが好ましく、特に好ましくは国際公開第91/05858号に記載されたペルオキシダーゼである。
ラッカーゼとしては、細菌又は真菌起源のものが含まれる。ラッカーゼとしては、トラメテス(Trametes)(例えばT.ビロサ(T.villosa)又はT.ベルシコロール(T.versicolor)の菌株由来のもの]、コプリナス(Coprinus)[例えばC.シネレウス(C.cinereus)の菌株由来のもの]及びミセリオフトラ(Myceliophthora)[例えばM.サーモフィラ(M.thermophlla)の菌株由来のもの]が挙げられる。
【0064】
上記の酵素のうち、タンパク汚れ、脂汚れ、粒子汚れ及び炭水化物汚れに対する洗浄性の観点で、プロテアーゼ(a−1)、セルラーゼ(a−2)、アミラーゼ(a−3)及びリパーゼ(a−4)が好ましく、さらに好ましくは、プロテアーゼ(a−1)である。
【0065】
本発明において液体洗剤組成物に含まれる酵素(a)は、洗浄性の観点で2種以上を含むことができる。2種以上を含む場合の組み合わせとしては、プロテアーゼとセルラーゼ、プロテアーゼとセルラーゼとリパーゼ、プロテアーゼとアミラーゼ、及びプロテアーゼとセルラーゼとアミラーゼ等の組み合わせが挙げられる。
【0066】
本発明の液体洗剤組成物に含まれる酵素(a)の含有量は、洗浄性の観点から液体洗剤組成物の重量に対し、0.01〜5重量%が好ましく、さらに好ましくは0.05〜2重量%、0.1〜1重量%である。
【0067】
本発明の必須成分である界面活性剤(b)はノニオン性界面活性剤(b−1)、アニオン性界面活性剤(b−2)、カチオン性界面活性剤(b−3)及び両性界面活性剤(b−4)が挙げられる。
【0068】
ノニオン性界面活性剤(b−1)としては、脂肪族アルコール(炭素数8〜24)アルキレンオキサイド(炭素数2〜8)付加物(重合度=1〜100)[オレイルアルコールエチレンオキサイド11モル付加物等]、(ポリ)オキシアルキレン(炭素数2〜8、重合度=1〜100)グリコール高級脂肪酸(炭素数8〜24)エステル[モノステアリン酸ポリエチレングリコール(重合度=20)及びジステアリン酸ポリエチレングリコール(重合度=30)等]、多価(2価〜10価又はそれ以上)アルコール脂肪酸(炭素数8〜24)エステル[モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸エチレングリコール及びモノラウリン酸ソルビタン等]、多価(2価〜10価又はそれ以上)アルコール高級脂肪酸(炭素数8〜24)エステル(ポリ)アルキレンオキサイド付加物(アルキレン基の炭素数2〜8,重合度=1〜100)[ソルビタンモノラウレートエチレンオキサイド(重合度=10)付加物及びメチルグルコースジオレエートエチレンオキサイド(重合度=50)付加物等]、脂肪酸N−ヒドロキシアルキルアミド[1:1型ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド及び1:1型ラウリン酸ジエタノールアミド等]、アルキル(炭素数1〜22)(ポリ)オキシアルキレン(炭素数2〜8、重合度=1〜100)フェニルエーテル、アルキル(炭素数8〜24)(ポリ)オキシアルキレン(炭素数2〜8、重合度=1〜100)−アミノアルキル(炭素数8〜24)−エーテル及びアルキル(炭素数8〜24)ジアルキル(炭素数1〜6)アミンオキシド[ラウリルジメチルアミンオキシド等]等が挙げられる。
【0069】
アニオン性界面活性剤(b−2)としては、炭素数8〜24のアルキルエーテルカルボン酸又はその塩及び炭素数8〜24のアルキル(ポリ)オキシエチレンエーテルカルボン酸又はその塩[(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム及び(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルスルホコハク酸2ナトリウム等]、炭素数8〜24のアルキル硫酸エステル塩及び炭素数8〜24のアルキル(ポリ)オキシエチレン硫酸エステル塩[ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)硫酸ナトリウム及びラウリル(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)硫酸−トリエタノールアミン塩等]、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド硫酸スルホン酸ナトリウム、炭素数8〜24のアルキルフェニルスルホン酸塩[ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等]、炭素数8〜24のアルキルリン酸エステル塩及び炭素数8〜24のアルキル(ポリ)オキシエチレンリン酸エステル塩[ラウリルリン酸ナトリウム及び(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルエーテルリン酸ナトリウム等]、脂肪酸塩[ラウリン酸ナトリウム及びラウリン酸トリエタノールアミン等]、アシル化アミノ酸塩[ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸ザルコシンナトリウム、ヤシ油脂肪酸ザルコシントリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−
グルタミン酸ナトリウム及びラウロイルメチル−β−アラニンナトリウム等]が挙げられる。
【0070】
カチオン性界面活性剤(b−3)としては、第4級アンモニウム塩型[塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム及びエチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム等]及びアミン塩型[ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド乳酸塩、ジラウリルアミン塩酸塩及びオレイルアミン乳酸塩等]等が挙げられる。
【0071】
両性界面活性剤(b−4)としては、ベタイン型両性界面活性剤[ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン及びラウロイルアミドエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルベタインヒドロキシプロピルリン酸ナトリウム等]、アミノ酸型両性界面活性剤[β−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等]が挙げられる。
【0072】
(b)としては、1種又は2種以上が使用出来る。2種以上を使用する場合、その組み合わせとしては、例えばノニオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤とカチオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤と両性界面活性剤の組み合わせ等が挙げられる。
【0073】
(b)として、洗浄性の観点から、ノニオン性界面活性剤単独での使用、及びノニオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤との組み合わせでの使用が好ましい。
ノニオン性界面活性剤としては、洗浄性の観点から、脂肪族アルコール(炭素数8〜24)エチレンオキサイド付加物(重合度=1〜100)が好ましく、さらに好ましくは脂肪族アルコール(炭素数12〜18)エチレンオキサイド付加物(重合度4〜20)、次にさらに好ましくは脂肪族アルコール(炭素数12〜15)エチレンオキサイド付加物(重合度=8〜12)、特に好ましくはオレイルアルコールエチレンオキサイド11モル付加物である。
アニオン性界面活性剤としては、洗浄性の観点から、炭素数8〜24のアルキルフェニルスルホン酸塩、脂肪酸塩、炭素数8〜24のアルキル硫酸エステル塩及び炭素数8〜24のアルキル(ポリ)オキシエチレン硫酸エステル塩が好ましく、さらに好ましくは、炭素数12〜16のアルキルフェニルスルホン酸塩及び炭素数8〜16の脂肪酸塩、次にさらに好ましくは、ドデシルベンゼンスルホン酸モノエタノールアミン塩及びラウリン酸ナトリウムである。
【0074】
本発明の液体洗剤組成物に含まれる界面活性剤(b)の含有量は、洗浄性の観点から液体洗剤組成物の重量に対し、5〜80重量%が好ましく、さらに好ましくは10〜50重量%、特に好ましくは20〜40重量%である。
【0075】
本発明の必須成分である水は、特に限定するものではなく、水道水、イオン交換水、蒸留水及び逆浸透水等が挙げられる。
【0076】
本発明の液体洗剤組成物に含まれる水の含有量は、洗浄性の観点から、液体洗剤組成物の重量に対し、5〜90重量%が好ましく、さらに好ましくは13〜80重量%、特に好ましくは29〜70重量%である。
【0077】
本発明の液体洗剤組成物には、上記の化合物(A)及び(B)、酵素(a)、界面活性剤(b)並びに水以外に、無機塩(F)、多価アルコール(G)、糖(H)、アルギニン以外のアミノ酸(I)、ビルダー(J)、アルカリ剤(K)及びキレート剤(L)を含有
することができる。
【0078】
無機塩(F)として、塩化ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、ギ酸ナトリウム、硫酸マグネシウム及び硫酸アンモニウム等が挙げられる。
【0079】
多価アルコール(G)として、エチレングリコール、プロピレングリコール及びグリセリン等が挙げられる。
【0080】
糖(H)として、トレハロース、スクロース、デキストリン、シクロデキストリン、マルトース、フルクトース、ヒアルロン酸及びコンドロイチン硫酸等が挙げられる。
【0081】
アルギニン以外のアミノ酸(I)として、グリシン、アラニン、アスパラギン酸、アスパラギン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、ロイシン、リシン、ヒスチジン及びそれらの塩等が挙げられる。
【0082】
ビルダー(J)として、ポリ(メタ)アクリル酸塩及びポリカルボン酸{例えば、シュウ酸、クエン酸、コハク酸及びリンゴ酸}が挙げられる。
【0083】
アルカリ剤(K)として、例えば、苛性ソーダ、ソーダ灰、アンモニア、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン及びトリポリリン酸ソーダ等が挙げられる。
【0084】
キレート剤(L)としては、液体洗剤に用いられる公知のものを用いることができる。例えば、ニトリロ三酢酸、イミノ二酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、トリエチレンテトラアミン六酢酸及びジエンコル酸等のアミノポリ酢酸又はこれらの塩、ジグリコール酸、オキシジコハク酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、リンゴ酸、オキシジコハク酸、グルコン酸、カルボキシメチルコハク酸及びカルボキシメチル酒石酸等の有機酸又はこれらの塩並びにアミノトリ(メチレンホスホン酸)、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)又はこれらのアルカリ金属若しくは低級アミン塩等が挙げられる。
【0085】
本発明の液体洗剤組成物中に含まれる無機塩(F)の含有量(重量%)は、洗浄性の観点から液体洗剤組成物の重量に対し0.01〜10が好ましく、さらに好ましくは0.05〜5、次にさらに好ましくは0.1〜3である。
本発明の液体洗剤組成物中に含まれる多価アルコール(G)の含有量(重量%)は、液体洗剤組成物の均一性の観点から液体洗剤組成物の重量に対し0〜20が好ましく、さらに好ましくは0〜10、次にさらに好ましくは0〜5である。
本発明の液体洗剤組成物中に含まれる糖(H)の含有量(重量%)は、洗浄性の観点から液体洗剤組成物の重量に対し0〜5が好ましく、さらに好ましくは0〜3、次にさらに好ましくは0〜1である。
本発明の液体洗剤組成物中に含まれるアミノ酸(I)の含有量(重量%)は、洗浄性の観点から液体洗剤組成物の重量に対し0〜10が好ましく、さらに好ましくは0〜5、次にさらに好ましくは0〜3である。
本発明の液体洗剤組成物中に含まれるビルダー(J)の含有量(重量%)は、洗浄性の観点から液体洗剤組成物の重量に対し0〜5が好ましく、さらに好ましくは0〜3、次にさらに好ましくは0〜1である。
本発明の液体洗剤組成物中に含まれるアルカリ剤(K)の含有量(重量%)は、洗浄性の観点から液体洗剤組成物の重量に対し0〜5が好ましく、さらに好ましくは0.1〜4、次にさらに好ましくは0.5〜3である。
本発明の液体洗剤組成物中に含まれるキレート剤(L)の含有量(重量%)は、洗浄性の観点から液体洗剤組成物の重量に対し0〜5が好ましく、さらに好ましくは0〜3、次にさらに好ましくは0〜2である。
【0086】
本発明の液体洗剤組成物のpHは、洗浄性の観点から、1%(w/w)水溶液で7〜11が好ましく、さらに好ましくは7〜10である。
【0087】
本発明の液体洗剤組成物は、各成分を混合することにより得られ、製造方法は特に限定されるものではない。1例を下記に示す。
(1)水に界面活性剤、化合物(A)及び必要により化合物(B)を加え、25℃で均一になるまで撹拌する。
(2)酵素(a)以外の成分を所定量添加し均一に溶解させる。
(3)最後に酵素(a)を添加し溶解させ、液体洗剤組成物を製造する。
【0088】
本発明の液体洗剤組成物の使用方法は、従来の液体洗剤組成物の使用方法と同じでよく、特に限定されるものではない。1例を下記に示す。
(1)洗濯物が入った洗濯機に水道水を張り、液体洗剤組成物を25℃で添加し、軽く撹拌して溶解させる。
(2)洗濯機で洗濯物を洗浄する。
(3)洗濯機から液を抜き、水道水で1〜2回すすぐ。
(4)適宜脱水をかける。
【実施例】
【0089】
以下の実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0090】
<製造例1>
N−α−アセチルアルギニン{アルギニンアセトアミド、株式会社エムピーバイオジャパン}12.6重量部(0.05モル部)、メタンスルホン酸1部及びエタノール92重量部(2モル部)を均一混合し、80℃で5時間加熱攪拌し、エバポレーターで濃縮後、塩酸(濃度:35重量%)5.2重量部(0.05モル部)を加え中和した。その後、水から再結晶し、減圧乾燥{60℃、20Pa}して、化合物(B)であるN−α−アセチルアルギニンエチルエステル塩酸塩を得た。
【0091】
<実施例1〜20>
有機化合物(A)、化合物(B)、酵素(a)、界面活性剤(b)、アルカリ剤(K)及び水を表1の割合(表1中、各成分の単位は重量%を表す)で25℃で配合し、本発明の液体洗剤組成物をそれぞれ得た。
【0092】
<比較例1〜5>
従来の酵素安定化剤、酵素(a)、界面活性剤(b)、アルカリ剤(K)及び水を表2の割合(表2中、各成分の単位は重量%を表す)で25℃で配合し、比較例の液体洗剤組成物をそれぞれ得た。
【0093】
【表1】

【0094】
なお、表1及び表2において、化合物(A)、化合物(B)、酵素(a)及び界面活性剤(b)は下記の試薬を使用した。
グアニジン塩酸塩:和光純薬工業(株)製
尿素:和光純薬工業(株)製
ピリジン:和光純薬工業(株)製
アルギニン塩酸塩:和光純薬工業(株)製
アルギニンエチルエステル:和光純薬工業(株)製
アセチルアルギニン塩酸塩:和光純薬工業(株)製
プロテアーゼ:和光純薬工業(株)製
セルラーゼ:和光純薬工業(株)製
リパーゼ:和光純薬工業(株)製
アミラーゼ:和光純薬工業(株)製
オレイルアルコールEO11モル付加物:三洋化成工業(株)製「エマルミンNL−110」
ドデシルベンゼンスルホン酸モノエタノールアミン塩:アデカ(株)製「アデカホープSAN−40PD」
ラウリン酸ナトリウム:和光純薬工業(株)製
【0095】
【表2】

なお、表2において、従来の酵素安定化剤は下記の試薬を使用した。
ホウ酸:和光純薬工業(株)製
プロピレングリコール:和光純薬工業(株)製
グリセリン:和光純薬工業(株)製
【0096】
実施例1〜20及び比較例1〜5の液体洗剤組成物を用いて、下記の洗浄性試験を行った。
【0097】
<洗浄性試験>
<配合直後の洗浄除去率>
実施例1〜20及び比較例1〜5で得た液体洗剤組成物のそれぞれについて、液体洗剤組成物の作成後直ちに液体洗剤組成物0.8gを水999.2gに溶解させ溶液を得た。この溶液に、湿式人工汚染布(4cm×4cm)5枚を投入し、ターゴトメーター(大栄化学精器製作所製、機種「TM−4」)を用いて以下の条件にて洗浄及びすすぎをした後、布を取り出し、ギヤーオーブン(TABAI製、GPS−222)を用いて70℃で60分間乾燥し、試験布を得た。
ついで、多光源分光測色計(スガ試験機社製、機種「MSC−2」)を使用して、この試験布の540nmの反射率を、試験布1枚ごとに表裏2個所ずつ計4個所(試験布5枚で合計20個所)測定し、この平均値を求め、以下の式にて洗浄除去率(%)を算出した。結果を表1及び2に示す。
(洗浄条件)
時間:10分、温度:25℃、回転速度:120rpm
(すすぎ条件)
時間:1分、温度:25℃、回転速度:120rpm
(洗浄除去率)
洗浄除去率(%)={(R−R)/(R−R)}×100
なお、Rは清浄布の反射率、Rは洗浄布の反射率、Rは汚染布の反射率を示す。
また、使用した湿式人工汚染布は、表3の汚垢組成を有する財団法人洗濯科学協会製の湿式人工汚染布(540nmにおける反射率が40±5%)である。
【0098】
【表3】

【0099】
<25℃3ヶ月保管後の洗浄除去率>
実施例1〜20及び比較例1〜5で得た液体洗剤組成物のそれぞれについて、上記<配合直後の洗浄除去率>において、作成直後の液体洗剤組成物の代わりに、液体洗剤組成物の作成後25℃で3ヶ月保管した後の液体洗剤組成物を用いる以外は同様に洗浄性試験をおこない、洗浄除去率を算出した。結果を表1及び2に示す。
【0100】
<洗浄除去率比>
配合直後の洗浄除去率と25℃3ヶ月保管後の洗浄除去率との比を以下の式にて算出した。結果を表1及び2に示す。
洗浄除去率比=(25℃3ヶ月保管後の洗浄除去率)/(調製直後の洗浄除去率)
【0101】
表2の結果から、比較例5に示す従来の液体洗剤組成物は、調製直後から洗浄性が低く、25℃で3ヶ月保管後には洗浄性が大きく低下することがわかる。また、従来の安定化剤を加えた比較例6〜8では、若干洗浄性が改善されるが、25℃で3ヶ月保管後に洗浄性が低下し、長期の保管には適さないことがわかる。また、酵素を2種使用した比較例9の結果から、単純に酵素の種類を増やしても洗浄性は改善されないことがわかる。
一方、表1の結果から、化合物(A)を含む実施例1〜4の液体洗剤組成物は25℃で3ヶ月保管後に、洗浄性の低下が大きく抑えられており、長期的に洗浄性を保つことができることがわかる。さらに(B)を含む実施例5〜16では、25℃で3ヶ月保管後にも関わらず、洗浄性がほとんど低下せず、長期的に洗浄性を保つことができることがわかる。
また、酵素を複数種併用した実施例17〜20では、洗浄性がほとんど低下しないだけでなく、酵素を単独で使用した場合と比較して洗浄性がさらに向上することがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明の液体洗剤組成物は、酵素活性の持続性が良く、長期間洗浄性を持続でき、特に衣料用液体洗剤組成物に使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(1)〜(3)の条件を満たす有機化合物(A)、酵素(a)、界面活性剤(b)及び水を含有する液体洗剤組成物;
(1)有機化合物(A)の分子にプロトンが付加した場合に、分子内の少なくとも1つの原子(Z)において、原子(Z)及び原子(Z)に結合している原子(Y)が有するπ電子により形成されているπ結合が共鳴構造をとっており、
原子(Z)及び原子(Y)が有する電子であって、
この共鳴構造のπ結合に関与しているπ電子が4つ以上であること
(2)0.1mol/dm3溶液のイオン強度が0.1以上であること
(3)分子量が300未満であること。
【請求項2】
有機化合物(A)が一般式(2)で表される化合物(A2)の塩である請求項1に記載の液体洗剤組成物。
【化1】

[式中、Xはイミノ基、酸素原子又は硫黄原子を表す。]
【請求項3】
有機化合物(A)がグアニジン塩酸塩である請求項1又は2に記載の液体洗剤組成物。
【請求項4】
有機化合物(A)が下記一般式(2)で表される化合物(A2)である請求項1に記載の液体洗剤組成物。
【化2】

[式中、Xはイミノ基、酸素原子又は硫黄原子を表す。]
【請求項5】
さらに下記一般式(3)で表される化合物(B)を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の液体洗剤組成物。
【化3】

[式中、Qは、アルキル基を表し、アルキル基中の水素原子の一部が水素原子以外の基に置換されていてもよい。]
【請求項6】
酵素(a)がプロテアーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ及びリパーゼからなる群より選ばれる少なくとも1種の酵素である請求項1〜5のいずれかに記載の液体洗剤組成物。
【請求項7】
化合物(A)の含有量が液体洗剤組成物の重量を基準として0.01〜30重量%である請求項1〜6のいずれかに記載の液体洗剤組成物。

【公開番号】特開2011−94122(P2011−94122A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−214906(P2010−214906)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】