説明

液体洗浄剤組成物

【課題】繊維製品の生乾き臭の生成を抑制し、再発性の生乾き臭に対しても抑制効果の高い液体洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】非イオン界面活性剤(A)、特定の陽イオン界面活性剤(B)、過酸化水素(D)をそれぞれ特定範囲で含有し、水を含有する液体洗浄剤組成物であって、(A)として下記一般式(A1)で示される非イオン性化合物(A1)を組成物中に0.5〜10質量%含有し、(B)成分に対する、脂肪酸及びその塩以外の陰イオン界面活性剤(c1)の割合が(c1)/(B)の質量比で0〜1であり、JIS K3362:1998の8.3項に記載の20℃におけるpHが3.0〜7.0である、液体洗浄剤組成物。
R−O−(C24O)x−H (A1)
〔式中、Rは炭素数12の直鎖アルキル基であり、R−O−の酸素原子に結合するRの炭素原子が第1級炭素原子である。xはエチレンオキシ基の付加モル数であって2〜5の整数である。〕

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維製品のための液体洗浄剤組成物に関する。更には繊維製品用、中でも衣料用の液体洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、核家族化の増加に伴って、共働き世代が増えてきており、夜間や休日にまとめて洗濯し、室内干しする家庭が増えてきている。また最近の省エネルギー意識の高まりにより、エネルギー損失が少ない洗濯乾燥機として、エアコンの除湿機能を応用した低温乾燥という新たな乾燥技術が提案されている。しかしながら、洗濯物の部屋干しや低温乾燥は、生乾き臭を生成し易くする。
【0003】
一方、洗濯に対する意識も変わってきている。具体的には汚れを伴わずとも、臭いの付着を洗濯の判断基準とする傾向が強くなってきている。昔からタバコ臭や運動後の体臭の繊維製品への付着は、洗濯を想起させるための十分な因子であったが、最近は、微量な不快臭の付着又は発生でさえ、洗濯を想起させる対象になっている。従って、洗濯後の乾燥時の繊維製品の生乾き(half-dry)状態が継続することによる臭いの発生は望まれるものではなく、更には生乾き臭と細菌の繁殖とを関連付けた情報の流布に伴って、人々の関心は高まっている。ここで“生乾き”は、繊維製品が湿潤した状態、なかでも繊維製品が少量の水分で湿潤した状態を意味する。具体的には、繊維製品の洗浄、使用との関係でみると、洗浄後の繊維製品が、乾燥機を用いずに湿気の多い環境下で干されて乾燥に至るまでの湿潤した状態を意味する場合と、乾燥した繊維製品が、濡れた手や体のふき取り、雨や汗などの付着により湿潤した状態を意味する場合とがある。
【0004】
生乾き臭の原因としては種々知られているが、皮脂汚れの分解物、具体的には微生物の繁殖による代謝物質などが原因物質として指摘されている。非特許文献1には、生乾き臭(部屋干し臭)は、中鎖アルデヒド、中鎖アルコール、ケトンなどの「黴様の臭い」、短鎖脂肪酸、中鎖脂肪酸などの「酸っぱい臭い」、窒素化合物などの「生臭い臭い」及び硫黄化合物から構成される複合臭であり、特に中鎖脂肪酸の寄与度が大きいことが報告されている。非特許文献2には衣料の生乾き臭として、特に中鎖脂肪酸臭として4−メチル−3−へキセン酸が強い臭いであることが記載されている。また、特許文献1には特定構造の中鎖脂肪酸を生乾き臭の指標物質として使用することが提案されている。
【0005】
本発明の対象とする生乾き臭は、室内干しの際に生じる臭い、洗濯物を脱水後に放置した場合に生じる臭い、及び乾燥後、汗や雨などで湿潤すると生じる臭いとがある。室内干しの際に生じる臭いと洗濯槽内に放置した時に生じる臭いは、十分に乾燥することで除去ないし低減できる。しかしながら乾燥して再湿潤時に同じ臭いがぶり返す再発性の臭いについては、除去が難しく、繊維製品がこの生乾き臭を一度発生するようになると、洗濯後の十分な乾燥により一時的には臭いは除去されるが、使用時に再発し易くなる。再発した臭いは、使い込まれた雑巾やモップなどの床やテーブルなどに用いる清掃用具のような臭いを想像させる。このような再発し易い生乾き臭は、一度臭いが発生するようになると室外干し乾燥でも生じるようになり、なかなか除去することができない。
【0006】
この再発性の生乾き臭の特徴的な点は、洗濯し、十分に乾燥した後は、無臭ないし殆ど臭わないが、湿気を帯びることで臭いが発生する点にある。またこの生乾き臭は、長期間タンスなどに収納した場合に生じ易くなる。また、下着、ハンカチ又はタオルなど、ヒトの肌との接触機会が多く、洗浄−使用サイクルの期間の短い使用頻度の多い繊維製品は、一度この再発性の生乾き臭が発生するようになると使用中に臭いが再発してくることが多いだけでなく、洗濯回数が増えるほど再発性の生乾き臭の臭い強度が高まる傾向がある。
【0007】
従来、繊維製品から発生する異臭等の除去方法としては、香料成分を用いたマスキングや、殺菌又は抗菌剤を用いた異臭の原因となる微生物の抗菌や殺菌による消臭が知られている。香料成分又は香料成分の安定化剤として脂環式ケトン化合物を含有する布帛処理剤を用いたマスキング方法が知られている(例えば、特許文献2及び3参照)。異臭の原因となる微生物の抗菌や殺菌による消臭方法としては、ジケトン化合物や、陽イオン性有機抗菌剤、トリクロサン及びジクロロサンなどの殺菌剤を含有する処理剤を用いた方法などが知られている。例えば、特許文献4には、殺菌剤を用いて生乾き臭を抑制する技術が開示されている。その他、特許文献5には特定香料成分を用いた酵素阻害による揮発性硫黄化合物の生成抑制剤が開示されている。
【0008】
なお、過酸化水素、陽イオン界面活性剤及び非イオン界面活性剤を含有する、液体漂白剤も知られている。特許文献6には過酸化水素、HLBが5〜12の非イオン界面活性剤及びアニオン界面活性剤又はカチオン界面活性剤に香料を配合する液体漂白剤組成物が開示されている。このような非イオン界面活性、陽イオン界面活性剤を含有する液体漂白剤組成物としては、他に特許文献7及び8がある。またホウ素化合物と多価アルコールを配合することで、使用時の水希釈の際にpHをアルカリ性に変化させることで洗浄力を高める過酸化水素を含有する、液体洗浄剤組成物が知られており、特許文献9及び特許文献10を挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−244094号公報
【特許文献2】特開2010−31285号公報
【特許文献3】特開2007−314693号公報
【特許文献4】特開2009−263812号公報
【特許文献5】特開2008−173441号公報
【特許文献6】特開平9−59675号公報
【特許文献7】特開平9−188895号公報
【特許文献8】特開平9−217090号公報
【特許文献9】特開2007−169530号公報
【特許文献10】特開2007−177145号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】埴原,園田,「部屋干し臭を抑制する洗剤について」,香料,平成16年9月,No.223,p.109-116
【非特許文献2】竹内ら,「衣類の生乾き臭の解析」,2010年農芸化学会要旨集 p.149
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、繊維製品の生乾き臭の生成を抑制する液体洗浄剤組成物、更には、生乾き臭の中でも従来除去が困難であった再発性の生乾き臭に対しても抑制効果の高い液体洗浄剤組成物を提供することである。
【0012】
本発明のもう一つの課題は、洗浄力を低下させることなく、泡による細菌存在の視認性に優れる液体洗浄剤組成物及び、該視認による繊維製品の洗浄方法もまた提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題に鑑み、本発明者らは、繊維製品の洗浄、使用を踏まえた生乾き臭の原因物質、原因菌、及び発生のメカニズムの観点から鋭意検討を行った。その結果、本発明者らは、生乾き臭として、洗浄後の乾燥迄の湿潤状態が続いた場合の生乾き臭のみならず、繊維製品を十分に乾燥させた後、湿潤されることによりぶり返す再発性の生乾き臭に注目し、新しい知見を得た。すなわち、繊維製品は、洗浄後の乾燥により十分に生乾き臭が除去された後であっても、驚くべきことに微生物、特には細菌が繊維製品中に生存又はそこで増殖して産生される臭いであること、更に乾燥によって微量の臭いが繊維に囚われた状態になり、乾燥後は感知できなくなるが、繊維製品の湿潤、つまり生乾きにより再び解放され、低閾値であるため感じられ易いことを見出した。そして、その再発性の臭いを支配する化合物が、前記4−メチル−3−へキセン酸(以下、4M3Hという場合がある。)を主とする分岐の中鎖脂肪酸臭であることを見出した。そして4M3Hの原因菌としてモラクセラ属細菌(Moraxella sp.)であることを同定し、該細菌が乾燥状況下で耐性を有することを見出した。こうした背景から、従来、洗浄、乾燥後の消臭効果に優れていても、再発性の生乾き臭の抑制に効果があることを直ちに意味しないことが明らかとなった。再発性の生乾き臭に対する効果を正しく評価するためには、この課題を認識した観点から、新たに液体洗浄剤組成物の設計、評価を行う必要がある。
【0014】
その上で、本発明者らは、従来の生乾き臭の生成抑制だけでなく、再発性の生乾き臭、特には4−メチル−3−へキセン酸臭の生成を抑制するために、有効な液体洗浄剤組成物を開発するに至った。
【0015】
本発明は、非イオン界面活性剤(A)〔以下、(A)成分という〕を15〜70質量%、下記一般式(B1)で示される陽イオン界面活性剤(B)〔以下、(B)成分という〕を0.3〜5質量%、過酸化水素(D)〔以下、(D)成分という〕を0.3〜10質量%、及び水を含有する液体洗浄剤組成物であって、
(A)成分の少なくとも一部として下記一般式(A1)で示される非イオン性化合物(A1)を組成物中に0.5〜10質量%含有し、
(B)成分に対する、脂肪酸及びその塩以外の陰イオン界面活性剤(c1)の割合が(c1)/(B)の質量比で0〜1であり、
JIS K3362:1998の8.3項に記載の20℃におけるpHが3.0〜7.0である、
液体洗浄剤組成物に関する。
R−O−(C24O)x−H (A1)
〔式中、Rは炭素数12の直鎖アルキル基であり、R−O−の酸素原子に結合するRの炭素原子が第1級炭素原子である。xはエチレンオキシ基の付加モル数であって2〜5の整数である。〕
【0016】
【化1】

【0017】
〔式中、Rb1は炭素数12〜18の鎖式炭化水素基であり、Rb1中に−(A’O)s−を含んでも良い。A’Oは、エチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基であり、sはA’Oの平均付加モル数を表し0〜10であり、Rb2、Rb3、Rb4は、それぞれ独立にメチル基、エチル基、ベンジル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基であり、X-はCH3SO4-又はCH3CH2SO4-、ハロゲンイオンである。〕
【0018】
また、本発明は、上記本発明の液体洗浄剤組成物を水に溶解させた水溶液で繊維製品を洗浄する方法に関する。
【0019】
また、本発明は、非イオン界面活性剤(A)〔以下、(A)成分という〕を15〜70質量%、下記一般式(B1)で示される陽イオン界面活性剤(B)〔以下、(B)成分という〕を0.3〜5質量%、過酸化水素(D)〔以下、(D)成分という〕を0.3〜10質量%、及び水を含有する液体洗浄剤組成物であって、
(A)成分として下記一般式(A1)で示される非イオン性化合物(A1)を組成物中に0.5〜10質量%含有し、
(B)成分に対する、脂肪酸及びその塩以外の陰イオン界面活性剤(c1)の割合が(c1)/(B)の質量比で0〜1であり、
JIS K3362:1998の8.3項に記載の20℃におけるpHが3.0〜7.0である、
液体洗浄剤組成物を繊維製品に塗布して泡を発生させる工程を有する、繊維製品の洗浄方法、に関する。
R−O−(C24O)x−H (A1)
〔式中、Rは炭素数12の直鎖アルキル基であり、R−O−の酸素原子に結合するRの炭素原子が第1級炭素原子である。xはエチレンオキシ基の付加モル数であって2〜5の整数である。〕
【0020】
【化2】

【0021】
〔式中、Rb1は炭素数12〜18の鎖式炭化水素基であり、Rb1中に−(A’O)s−を含んでも良い。A’Oは、エチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基であり、sはA’Oの平均付加モル数を表し0〜10であり、Rb2、Rb3、Rb4は、それぞれ独立にメチル基、エチル基、ベンジル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基であり、X-はCH3SO4-又はCH3CH2SO4-、ハロゲンイオンである。〕
【発明の効果】
【0022】
本発明の液体洗浄剤組成物は、繊維製品から発生する生乾き臭、更に、乾燥後、湿潤によって生じる再発性の生乾き臭、特には4M3H臭に対して優れた抑制効果を有する。
【0023】
また本発明の液体洗浄剤組成物を繊維製品に塗布する使用方法による場合には、繊維製品内の細菌の存在により、視認し易い泡を形成するため、細菌の存在を確認しながら、塗布処理を行なうことができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の液体洗浄剤組成物について詳述する。
【0025】
<(A)成分>
本発明の液体洗浄剤組成物は、主たる界面活性剤として、(A)成分の非イオン界面活性剤を含有する。
【0026】
(A)成分の非イオン界面活性剤としては、分子中に炭素数が8〜22の鎖式炭化水素基と、エチレンオキシ基、ヒドロキシ基等の親水性基とを有する非イオン界面活性剤が挙げられる。更にはアルキレンオキシ基としてエチレンオキシ基を有するポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル、アルキレンオキシ基としてエチレンオキシ基を有するポリオキシアルキレンアルキル(更には炭素数1〜3のアルキル)エーテル脂肪酸エステル、アルキルポリグリコシド、アルキルグリコシド、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、その他多糖型界面活性剤、脂肪酸モノグリセライド、脂肪酸アルカノールアミド、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリンアルキルエーテル等が挙げられる。
【0027】
中でも洗浄力、防臭効果の観点から(A)成分が下記(a1)〜(a5)から選ばれる一種以上の非イオン界面活性剤であることが好ましい。下記(a1)および/又は(a2)と、(a3)とを併用することがより好ましく、洗浄力、防臭効果、及び細菌の存在する繊維製品と、塗布により接触して泡立つことによる視認性(以下、発泡視認性ということもある)の観点から、(a1)と(a3)とを併用することが更により好ましい。特に塗布による泡立ち特性は、(a1)の界面活性剤であって、更にPO基を有するものが好ましい。(a1)、(a2)及び(a3)の好ましい要件についてもまた続けて記載した。
【0028】
(a1):下記一般式(a1)で示されるポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル型非イオン界面活性剤〔以下、(a1)成分という〕
1a−O[(C24O)p/(AO)q]H (a1)
〔式中、R1aは炭素数8〜22のアルキル基又はアルケニル基である。AOは炭素数3〜5のアルキレンオキシ基である。p、qは平均付加モル数であり、pは8〜40の数であり、qは0〜5の数である。“/”はC24O基及びAO基が、ランダム又はブロックのいずれに結合したものであってもよいことを示す。〕
(a2):下記一般式(a2)で示されるポリオキシアルキレン短鎖アルキルエーテル脂肪酸エステル又は脂肪族アルキルエーテル型非イオン界面活性剤〔以下、(a2)成分という〕
2a(CO)lO−[(C24O)m/(AO)n]R21a (a2)
〔式中、R2aは炭素数8〜22のアルキル基又はアルケニル基ある。R21aは炭素数1〜3のアルキル基である。lは0又は1の数であって、AOは炭素数3〜5のアルキレンオキシ基である。m、nは平均付加モル数であって、mは5〜30の数であり、nは0〜5の数である。“/”はC24O基及びAO基が、ランダム又はブロックのいずれに結合したものであってもよいことを示す。〕
(a3):下記一般式(a3)で示されるポリオキシエチレンアルキルエーテル型非イオン界面活性剤〔以下、(a3)成分という〕
3a−O−(C24O)r−H (a3)
〔式中、R3aは、炭素数8〜22のアルキル基又はアルケニル基である。R3a−O−の酸素原子と結合するR3aの炭素原子が第1炭素原子及び/又は第2級炭素原子である。rは平均付加モル数であって、2以上8未満の数である。〕
(a4):ポリグリセリンアルキル又はアルケニルエーテル型非イオン界面活性剤〔以下、(a4)成分という〕
(a5)多糖型界面活性剤〔以下、(a5)成分という〕
【0029】
(a1)成分の好ましい態様は次の通りである。
【0030】
(a1)成分は、炭素数8〜22、好ましくは10〜18、より好ましくは12〜16のアルキル基又はアルケニル基、好ましくはアルキル基を有する1級又は2級のアルコールに、エチレンオキサイド[以下、EOという場合もある]と炭素数3〜5のアルキレンオキサイドとをランダム又はブロック的に付加反応することによって得ることができる。式(a1)中のR1aは、R1a−O−の酸素原子と結合するR1aの炭素原子が、第1炭素原子及び/又は第2級炭素原子、更には第1炭素原子であることが好ましく、且つ直鎖アルキル基であることが好ましい。
【0031】
また、一般式(a1)中のpはエチレンオキシ基(C24O、以下EO基という場合もある)の平均付加モル数であり、水への溶解性及び洗浄性能の点から8〜40、好ましくは10〜40、より好ましくは14〜35、更により好ましくは16〜30である。qはAO基の平均付加モル数であり、洗浄性能の点から0〜5、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜4であり、更により好ましくは1〜3である。またq=0の時、pは18〜35が好ましく、更には20〜30であることがより好ましい。
【0032】
一般式(a1)中のAO基は、炭素数3〜5のアルキレンオキサイドを付加反応させることによって得られるものであり、付加反応により結合した部分はメチル分岐、エチル分岐又はプロピル分岐した構造を有するものが好ましい。更にはAO基は、炭素数3のアルキレンオキシ基及び/又は炭素数4のアルキレンオキシ基が好ましく、具体的にはトリメチレンオキシ基、オキシプロパン−1,2−ジイル基、オキシブタン−1,2−ジイル基、オキシブタン−1,3−ジイル基、オキシブタン−2,3−ジイル基、オキシテトラメチレン基を挙げることができる。AO基は、オキシプロパン−1,2−ジイル基(以下、本発明ではオキシプロパン−1,2−ジイル基をプロピレンオキシ基又はPO基とする場合もある。)がより好ましい。
【0033】
本発明では、一般式(a1)において、R1aが炭素数10〜18、更には12〜16であり、R1a−O−の酸素原子と結合するR1aの炭素原子が、第1炭素原子ある直鎖アルキル基であって、EO基の平均付加モル数pが14〜35、更には16〜30であって、且つAO基がプロピレンオキシ基であり、その平均付加モル数qが1〜4、更には1〜3、より更には2〜3である非イオン界面活性剤〔以下、非イオン界面活性剤(a1’)、という〕を用いることが、低温保存安定性、洗浄性能、及び塗布使用時の発泡視認性の観点から好ましい。一般式(A1)の非イオン性化合物は、疎水性が強いため、エチレンオキシ基の付加モル数を多く含み、親水性の高い界面活性剤を用いることで、一般式(A1)で示される非イオン性化合物を組成物中に安定に含有することができ、本効果を発揮することができる。またプロピレンオキシ基を有することで、更なる液体洗浄剤組成物の安定化と洗浄力が得られるだけでなく、塗布使用の場合は細菌の存在下で泡立ち易く視認し易い一方で、その後速やかに泡が消え易く、繊維内部への液体洗浄剤組成物の浸透性に優れる。この観点から、本発明では、(A)成分として非イオン界面活性剤(a1’)を用いることが好ましい。
【0034】
一般式(a1)において“/”は、本発明の(a1)成分のEO基及びAO基の関係がランダム結合でもブロック結合でもいずれであってもよいことを意味している。またAO基は複数のブロック体として分かれていてもよい。
【0035】
一般式(a1)で表される非イオン界面活性剤としては、下記一般式(a1−1)〜(a1−6)で表される非イオン界面活性剤が挙げられる。
R1aO-(AO)q-(C2H4O)pH (a1-1)
R1aO-(C2H4O)p-(AO)qH (a1-2)
R1aO-[(C2H4O)p11・(AO)q]-(C2H4O)p12H (a1-3)
R1aO-(C2H4O)p11-[(AO)q・(C2H4O)p12]H (a1-4)
R1aO-(C2H4O)p11-(AO)q-(C2H4O)p12H (a1-5)
R1aO-(C2H4O)p11-[(AO)q・(C2H4O)p13]-(C2H4O)p12H (a1-6)
〔式中、R1a、p、q、AOは前記の意味であり、p11及びp12、p13は平均付加モル数であり、それぞれ、0ではない数であって、p=p11+p12+p13である。“・”はランダム結合であることを示す。〕
【0036】
一般式(a1−1)〜(a1−6)で示される非イオン界面活性剤は、R1aOHに対するアルキレンオキサイドの反応割合及び反応順序を考慮することで調製することができる。一般式(a1−1)〜(a1−6)において、各アルキレンオキシ基の平均付加モル数は、反応時のR1aOHに対して用いた各アルキレンオキシドのモル数であってもよく、或いは得られた化合物のアルキレンオキシ基の平均付加モル数のいずれの場合であってもよい。なお、p11及びp12は独立して1〜20が好ましく、p11は3〜20及びp12は1〜15がより好ましく、p11は4〜15、p12は3〜15が更により好ましい。またp13は0.1〜10が好ましい。p11、p12及びp13の範囲は、一般式(a1)のpやqの各範囲条件ないし好適な各範囲条件に従属するものとする。更には、非イオン界面活性剤(a1’)の下位概念として、前記一般式(a1−1)〜(a1−6)が規定されることがより好ましい。
【0037】
一般式(a1)中のR1aは前記したように天然油脂由来のアルコールのものを用いることができる。保存安定性の点から、前記一般式(a1−2)、(a1−4)、(a1−5)又は(a1−6)の非イオン界面活性剤が好ましく、このなかでも一般式(a1−5)又は(a1−6)の非イオン界面活性剤がより好ましく、更に一般式(a1−5)の非イオン界面活性剤がより好ましい。
【0038】
本発明の(a1)成分は、例えば、R1aOHに対して、一般式(a1−1)〜(a1−6)の構造に従って炭素数3〜5のアルキレンオキサイドとエチレンオキサイドとを反応させることで得られる。目的とする構造から、配合順序や条件を検討し、ブロックないしランダムに付加反応させてもよい。また、R1aOH、1モル当りに対する炭素数3〜5のアルキレンオキサイドとエチレンオキサイドの反応割合は、前記一般式(1)のp及びqの範囲、すなわちp=8〜40、q=0〜5、p=p11+p12+p13の条件や前記記載の好ましい範囲をもってくることができる。換言すれば、該脂肪族アルコールに付加させる炭素数3〜5のアルキレンオキサイドとエチレンオキサイドの反応割合は、p及びq、p11、p12、p13の数値範囲内であればよい。
【0039】
一般的に、前記R1aOHの1モルに付加反応させた各々のエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドの割合と、前記各々の一般式で示されるアルキレンオキシ基の平均付加モル数は実質的に同一になるが、製法によっては、本発明では異なっていてもよい。
【0040】
本発明の(a1)成分として、より好ましい非イオン界面活性剤は、一般式(a1−5)又は(a1−6)の構造であり、更に好ましくは一般式(a1−5)の構造である。そして一般式(a1−5)において、p11/(p11+p12)は0.2〜0.8が好ましい。
【0041】
前記p11、p12、p13及びqの範囲を更に絞り込んだ最適な製造条件として、下記、工程A〜工程Dを有する製造方法が挙げられる。
工程A:R1aOH1モル当りに対して、エチレンオキサイドを4モル〜14モル、好ましくは8〜12モル(数値範囲は前記、式中のp11として規定されてもよい)の割合で付加反応させる。
工程B:次にプロピレンオキサイドを1〜3モル、好ましくは2〜3モル(数値範囲は前記式中のqとして規定されてもよい)及びエチレンオキサイドを0〜4モル(数値範囲は前記式中のp13として規定されてもよい)をランダムないしブロック付加反応させる。より好ましくはプロピレンオキサイドだけを2〜3モル(数値範囲は前記式中のnとして規定されてもよい)付加反応させる。
工程C:その後再びエチレンオキサイドを4〜14モル、好ましくは8〜12モル(数値範囲は前記式中のp12として規定されてもよい)付加反応させる。
工程D:反応に用いた触媒のための処理を行う。例えばアルカリ触媒を用いた場合は酸で中和するか、固体触媒の場合は、ろ過などを行う。
【0042】
(a1)成分についてのp及びq等は、NMRや液体クロマトグラフ分析により求めることができ、アルキレンオキシ基が短い、例えばアルキル基が直鎖1級アルコールの1モル当りにエチレンオキサイドを8モル未満の割合で付加反応させて得られるような化合物の場合は、ガスクロマトグラフ分析を用いてもよい。或いは本発明では、p及びq等は、R1aO−Hの1モル当りに反応させた炭素数3〜5のアルキレンオキサイド及びエチレンオキサイドの割合であってよい。
【0043】
また(a2)成分の好ましい態様は次の通りである。
【0044】
(a2)成分の一般式(a2)中、R2aは炭素数8〜22のアルキル基又はアルケニル基であり、好ましくは炭素数10〜18、より好ましくは12〜14のアルキル基又はアルケニル基、更に好ましくは炭素数12〜14の直鎖のアルキル基である。R21aは炭素数1〜3のアルキル基、好ましくはメチル基である。lは0又は1の数、更に好ましくは1の数である。AOは炭素数3〜5のアルキレンオキシ基であり、炭素数3〜5のアルキレンオキサイドを付加反応させることによって得られるものであり、付加反応により結合した部分はメチル分岐、エチル分岐又はプロピル分岐した構造を有するものが好ましい。更にはAO基は炭素数3のアルキレンオキシ基及び/又は炭素数4のアルキレンオキシ基が好ましく、具体的にはトリメチレンオキシ基、オキシプロパン−1,2−ジイル基、オキシブタン−1,2−ジイル基、オキシブタン−1,3−ジイル基、オキシブタン−2,3−ジイル基、オキシテトラメチレン基を挙げることができる。このうちAO基は、オキシプロパン−1,2−ジイル基(以下、本発明ではオキシプロパン−1,2−ジイル基をプロピレンオキシ基又はPO基とする場合もある。)が好ましい。m、nは平均付加モル数であって、mは5〜30、更には8〜25、より更には10〜20が好ましく、nは0〜5、更には0〜3の数が好ましい。
【0045】
nが0<n≦3の場合、より更にはnが0.5〜3の場合、一般式(a2)で表される非イオン界面活性剤としては、下記一般式(a2−1)、(a2−2)又は(a2−3)で表される非イオン界面活性剤が好ましく、液体の保存安定性の観点から、一般式(a2−2)がより好ましい。AOはオキシプロパン−1,2−ジイル基(以下、本発明ではオキシプロパン−1,2−ジイル基をプロピレンオキシ基又はPO基とする場合もある。)が好ましく、mは5〜30、更には8〜25、更には10〜20が好ましい。一般式(a2−3)の場合はmは10〜30であることが好ましい。
【0046】
2a(CO)O−(AO)n−(C24O)m−CH3 (a2−1)
2a(CO)O−(C24O)m−(AO)n−CH3 (a2−2)
2a(CO)O−(C24O)m−CH3 (a2−3)
【0047】
また(a3)成分の好ましい態様は次の通りである。
【0048】
(a3)成分の一般式(a3)中、R3aは炭素数8〜22のアルキル基又はアルケニル基であり、好ましくは炭素数10〜18、より好ましくは12〜14のアルキル基又はアルケニル基、更に好ましくは炭素数12〜14の直鎖のアルキル基である。またRa3−O−の酸素原子に結合するR3aの炭素原子が第1炭素原子及び/又は第2級炭素原子である。なお本発明では分岐の炭化水素基と分別するために、第2級炭素原子を有するアルキル基又はアルケニル基の場合も直鎖と表現する場合がある。エチレンオキシ基の平均付加モル数rは2以上及び8未満、好ましくは2.5〜7.5、より好ましくは3〜7である。
【0049】
酸素原子に結合するR3aの炭素原子が第1炭素原子の非イオン界面活性剤の製造については、第1級アルコールに、エチレンオキシドを付加させる方法が挙げられる。また酸素原子に結合するR3aの炭素原子が第2炭素原子の非イオン界面活性剤の製造については、第2級アルコールにエチレンオキシドを付加させるか、1−オレフィン又は内部オレフィンにエチレンオキシドを反応させる方法、オレフィンにポリエチレングリコールを反応させる方法、n−パラフィンに水酸基を導入してエチレンオキシドを付加させる方法等の公知の製造方法を用いることできる。
【0050】
また(a4)成分の好ましい態様は次の通りである。
【0051】
(a4)成分は下記一般式(a4)で示される化合物が好ましい。
4a−O−[(AO)s/(Gly)t]−H (a4)
〔式中、R4aは炭素数8〜22の、アルキル基又はアルケニル基である。AOはエチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基、Glyはグリセリンに由来する残基、sはAOの平均付加モル数、tはGlyの平均付加モル数を表し、sは0〜5、tは2〜10である。/はAO及びGlyがランダム又はブロックであってもよいことを示す。〕
【0052】
一般式(a4)中のR4aは、炭素数12〜16が好ましく、炭素数12又は14がより好ましく、また、直鎖アルキル基、中でもR4a−O−の酸素原子と結合するR4aの炭素原子が第1炭素原子である直鎖アルキル基が好ましい。sは0が好ましい。tは平均付加モル数を示し2〜5が好ましい。
【0053】
一般式(a4)で示される化合物は、s=0であり、Glyの付加モル数t’(整数値)の異なる化合物を含む混合物であってよい。この場合、t’が3、4又は5である化合物を1種以上、更には2種以上含む混合物が好ましい。当該混合物中、t’が3、4又は5である化合物の合計の比率は、好ましくは40質量%以上であり、より好ましくは60質量%以上、更により好ましくは80質量%以上であり、また、低温での洗浄性能の観点から、好ましくは99質量%以下であり、より好ましくは90質量%以下であり、更により好ましくは85質量%以下である。また、当該混合物中、t’が1又は2である化合物が占める割合は50質量%未満が好ましく、35質量%未満であることがより好ましい。
【0054】
また(a5)成分の好ましい態様は次の通りである。
【0055】
(a5)成分としては、例えば、次の一般式(a5)で表される多糖型界面活性剤が挙げられる。
5a−(OR51axy (a5)
〔式中、R5aは炭素数8〜18のアルキル基又はアルケニル基、R51aは炭素数2〜4のアルキレン基、Zは炭素数5又は6の還元糖に由来する残基、xは平均付加モル数を示しxは0〜6の数、yは平均縮合度を示し、yは1〜10の数である。〕
【0056】
一般式(a5)中、R5aは炭素数12〜16が好ましく、炭素数12又は14がより好ましく、また、直鎖アルキル基、中でもR5a−O−の酸素原子と結合するR5aの炭素原子が第1炭素原子である直鎖アルキル基が好ましい。xは0が好ましい。また、Zはグルコース残基が好ましい。yの平均縮合度は1.2〜3が好ましい。一般式(a5)で示される化合物は、Zの縮合度y’(整数値)の異なる化合物を含む混合物であってよい。この場合、x=0であり、y’が1、2又は3である化合物を1種以上、更には2種以上含む混合物が好ましい。当該混合物中、y’が1、2又は3である化合物の合計の比率は、好ましくは60質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上である。
【0057】
本発明の液体洗浄剤組成物は、(A)成分として、下記一般式(A1)で示される非イオン性化合物〔以下、(A1)成分という場合がある〕を含有する。
R−O−(C24O)x−H (A1)
〔式中、Rは炭素数12の直鎖アルキル基であり、R−O−の酸素原子に結合するRの炭素原子が第1級炭素原子である。xはエチレンオキシ基の付加モル数であって2〜5の整数である。〕
【0058】
本発明の課題の達成の観点から、一般式(A1)中のRは、炭素数12の直鎖アルキルであって、酸素と結合するアルキル基の炭化水素基が第1炭素原子であることが重要である。(A1)成分の非イオン性化合物は、(B)成分の陽イオン界面活性剤と併用することで、従来除去が困難であった4M3Hを主とする生乾きによる繊維製品の臭いの発生を抑制することができるようになるだけなく、再発性の生乾き臭も抑制できるようになる。また(A1)成分は、EO基が3、4及び5モルの化合物が、生乾き臭、特には再発性の生乾き臭の抑制効果に優れることから、一般式(A1)中のxは3、4又は5が好ましい。更に、(A1)成分中、一般式(A1)中のxが3、4又は5である化合物の合計が70〜100質量%、更には80〜100質量%を占めることが好ましい。
【0059】
(A1)成分は、ポリエチレンオキシ基の付加モル数が単一の化合物を合成して本発明の組成物に配合してもよく、或いはエチレンオキシ基の付加モル数が異なるポリオキシエチレンアルキルエーテルの混合物として製造、入手できる非イオン界面活性剤中の成分として配合することができる。製造上の経済的な観点から、(A1)成分は例えば(a1)成分や(a3)成分由来の成分あってもよく、(a3)成分由来の場合は一般式(a3)のR3aは、炭素数12の直鎖のアルキル基であって、R3a−O−の酸素原子と結合するR3aの炭素原子が第1炭素原子である。一般式(a3)の非イオン界面活性剤の場合、例えばアルカリ触媒又は酸触媒下でラウリルアルコールにエチレンオキシドを平均で2モル以上8モル未満付加させることによって得られた非イオン界面活性剤を(A1)成分を含む非イオン界面活性剤として含有することが好ましい。この場合、(a3)成分はエチレンオキシ基の付加モル数が分布を有するポリオキシエチレンラウリルエーテルの混合物として製造され、(A1)成分は該混合物中に含まれる。(a3)成分中の(A1)成分に相当する化合物の含有量を確認しておき、(A)成分や(A1)成分の組成物中の含有量等を調整して配合する必要がある。
【0060】
(A1)成分は、製法によって異なるが、(a1)成分がq=0の場合であって、R1aがラウリルアルコールを由来とする場合(ラウリル基である場合)にも少量含まれる場合がある。よって、(a1)成分についても、構造、製法などを踏まえて、適宜(A1)成分に相当する化合物の含有量を確認しておき、(A)成分や(A1)成分の組成物中の含有量等を調整して配合することができる。なお(a1)成分がq≧1以上である場合、更にはAOとしてプロピレンオキシ基が含まれる場合は、(a1)成分由来の(A1)成分は殆ど含まれない。
【0061】
(A1)成分は、(a3)成分と同一であってもよい。例えば(a3)成分として、R3aが炭素数12の直鎖のアルキル基であって、Ra3−O−の酸素原子に結合するR3aの炭素原子が第1炭素原子であり、エチレンオキシ基の付加モル数が分布をもたない単一の付加モル数である場合は、平均付加モル数rが2、3、4又は5となり得ることから、このような化合物を(A1)成分として用いることができる。つまり、(a3)成分は(A1)成分を包含してよい。なお(A1)成分は、2種以上併用してもよい。
【0062】
また、(A1)成分を(a3)成分中の成分として配合する場合、反応に用いるエチレンオキシドの付加モル数が少ないことから、通常、未反応アルコールを含む混合物として入手される。未反応アルコールが、臭いの問題や組成物の保存安定性に影響する場合は、蒸留などにより低減化したものを用いてもよい。
【0063】
本発明では、未反応アルコール及びEO基が1モルの化合物、すなわち炭素数8〜22の炭化水素基を有する脂肪族アルコール及び該アルコールにEO基が1モル付加した化合物の割合は、(A)成分の非イオン界面活性剤中、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下が更により好ましい。但し、蒸留工程にかかるエネルギーや環境に配慮した上で、下限値が検討される。
【0064】
本発明の液体洗浄剤組成物は、繊維製品の生乾き臭抑制、特には4M3H臭抑制の観点から(A1)成分の非イオン性化合物を、0.5〜10質量%、好ましくは1〜8質量%、より好ましくは2〜5質量%含有する。なお(A1)成分は、(A)成分である非イオン界面活性剤の一部を構成している。
【0065】
本発明の液体洗浄剤組成物は、洗浄性の観点から、(A)成分の非イオン界面活性剤を、15〜70質量%、好ましくは20〜65質量%、より好ましくは25〜60質量%、更により好ましくは30〜55質量%含有する。この量には(A1)成分の含有量を含む。
【0066】
なお非イオン界面活性剤の具体例として挙げた(a1)成分〜(a5)成分、更には(a1)成分〜(a3)成分の非イオン界面活性剤の合計濃度が(A)成分中に占める割合は、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは60〜100質量%、更により好ましくは80〜100質量%である。このうち(a1)成分及び/又は(a2)成分の非イオン界面活性剤、更には(a1)成分の非イオン界面活性剤を主たる非イオン界面活性剤として用いることが好ましく、本発明の液体洗浄剤組成物は、洗浄性及び塗布使用の場合は発泡視認性の観点から(a1)成分及び/又は(a2)成分、より更には(a1)成分を好ましくは10〜60質量%、より好ましくは15〜55質量%、更により好ましくは20〜50質量%含有する。また本発明の液体洗浄剤組成物は、防臭効果と液体安定性の観点から、(a3)成分を好ましくは0.5〜20質量%、より好ましくは1〜18質量%、更により好ましくは2〜15質量%含有する。
【0067】
本発明の液体洗浄剤組成物は、(A1)成分及び(B)成分を組成物中に安定に含有し、洗浄力及び生乾き臭抑制効果を十分に発揮させるために、(A)成分及び(A)成分を以下に示す条件(1)〜(8)の少なくとも1つを満たして含有することが好ましい。
【0068】
条件(1):(A)成分を、液体洗浄剤組成物中に、20〜65質量%、好ましくは25〜60質量%含有する。
条件(2):(A1)成分を、液体洗浄剤組成物中に、1〜8質量%、好ましくは2〜5質量%含有する。
条件(3):(A)成分として、(a1)成分を含有する。
条件(4):(A)成分として、(a1)成分を含有し、該(a1)成分は、一般式(a1)、更に一般式(a1−5)において、R1aが炭素数12〜16であり、R1a−O−の酸素原子と結合するR1aの炭素原子が第1炭素原子あるアルキル基であり、AO基がプロピレンオキシ基であり、p=14〜35〔一般式(a1−5)の場合は、更にp11=1〜20、p12=1〜20である。〕、q=1〜3である。
条件(5):(a1)成分を、液体洗浄剤組成物中に、15〜55質量%、好ましくは20〜50質量%含有する。
条件(6):(A)成分として、(a3)成分を含有する。
条件(7):(A)成分として、(a3)成分を含有し、該(a3)成分は、一般式(a3)において、Ra3が炭素数12〜14の直鎖のアルキル基であり、Ra3−O−の酸素原子に結合するR3aの炭素原子が第1炭素原子であってrが3〜7である。
条件(8):(a3)成分を、液体洗浄剤組成物中に、1〜18質量%、好ましくは2〜15質量%含有する。
【0069】
上記条件を踏まえると、本発明の液体洗浄剤組成物は、
(A)成分を、液体洗浄剤組成物中に、20〜60質量%、好ましくは25〜55質量%含有し、
(A1)成分を、液体洗浄剤組成物中に、1〜8質量%、好ましくは2〜5質量%含有し、
(A)成分として、一般式(a1)、更に一般式(a1−5)において、R1aが炭素数12〜16であり、R1a−O−の酸素原子と結合するR1aの炭素原子が第1炭素原子あるアルキル基であり、AO基がプロピレンオキシ基であり、p=14〜35〔一般式(a1−5)の場合は、更にp11=1〜20、p12=1〜20である。〕、q=1〜3である(a1)成分を、液体洗浄剤組成物中に、15〜55質量%、好ましくは20〜50質量%含有し、
(A)成分として、一般式(a3)において、Ra3が炭素数12〜14の直鎖のアルキル基であり、Ra3−O−の酸素原子に結合するR3aの炭素原子が第1炭素原子であってrが3〜7である(a3)成分を、1〜18質量%、好ましくは2〜15質量%含有する、ことが好ましい。
【0070】
但し(A1)成分は(a3)成分のみならず(a1)成分由来であってもよい。なお各成分の構造上の好ましい態様は、前記した要件に従う。また下位概念の各非イオン界面活性剤の化合物の濃度範囲及びそれらの合計の濃度範囲は、上位概念である(A)成分の濃度範囲に包含される範囲内にあればよく、夫々の好ましい濃度範囲を組み合わせてもよい。
【0071】
また、上記の条件(1)〜(8)記載並びに好ましい要件は、塗布使用時の発泡視認性の観点からも好ましい要件でもある。
【0072】
<(B)成分>
本発明の液体洗浄剤組成物は、(B)成分として一般式(B1)で示される陽イオン界面活性剤を含有する。
【0073】
【化3】

【0074】
〔式中、Rb1は炭素数12〜18の鎖式炭化水素基であり、Rb1中に−(A’O)s−を含んでも良い。A’Oは、エチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基であり、sはA’Oの平均付加モル数を表し0〜10であり、Rb2、Rb3、Rb4は、それぞれ独立にメチル基、エチル基、ベンジル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基であり、X-はCH3SO4-又はCH3CH2SO4-、ハロゲンイオンである。〕
【0075】
一般式(B1)中のRb1の炭素数は14〜18が好ましく、14〜16がより好ましい。また、Rb1の鎖式炭化水素基は、ベンゼン環や環状構造の基を除くものである。鎖式炭化水素基は、直鎖アルキル基又は直鎖アルケニル基が好ましく、更には天然油脂由来のものであることがより好ましい。またsは0が好ましい。
【0076】
また、(B)成分の対イオンである一般式(B1)中のX-は、十分な臭い抑制効果を得るために、CH3SO4-又はCH3CH2SO4-が好ましい。
【0077】
(B)成分の陽イオン界面活性剤としては、例えば下記(b1)〜(b4)が使用できるが、(b1)、(b3)から選ばれる化合物を含有することがより好ましい。(b1)の化合物が(B)成分中の50質量%以上、更には60質量%以上、より更に好ましくは80質量%以上を占めることが好ましい。(b1)〜(b4)の化合物のRb1の炭素数は12〜16が好ましく、炭素数14〜16がより好ましく、鎖式炭化水素基は、直鎖アルキル基であることが好ましく、更には天然油脂由来のものが好ましい。対イオンは、CH3SO4-又はCH3CH2SO4-が好ましい。
【0078】
(b1)一般式(B1)中のRb1が炭素数12〜18の直鎖アルキル基であり、Rb2〜Rb4がそれぞれ炭素数1〜3のアルキル基である第4級アンモニウム塩。
(b2)一般式(B1)中のRb1が炭素数12〜18の分岐鎖アルキル基であり、Rb2〜Rb4がそれぞれ炭素数1〜3のアルキル基である第4級アンモニウム塩。
(b3)一般式(B1)中のRb1が炭素数12〜18の直鎖アルキル基であり、Rb3及びRb4がそれぞれ炭素数1〜3のアルキル基である第4級アンモニウム塩。
(b4)一般式(B1)中のRb1が炭素数12〜18の直鎖アルキル基であり、sが1〜5であり、Rb2、Rb3、Rb4がそれぞれ炭素数1〜3のアルキル基である第4級アンモニウム塩。
【0079】
(B)成分の陽イオン界面活性剤は、非イオン性化合物(A1)と組合せることにより、乾燥耐性に優れる繊維製品の臭い原因菌の繁殖を抑制することができる。すなわち生乾き臭のうち、繊維製品を十分に乾燥させた後、湿気を帯びることによりぶり返す再発性の生乾き臭に対して抜群の抑制効果を示す。すなわち前記した4−メチル−3−へキセン酸を主とする中鎖脂肪酸臭の発生抑制に効果的に働く。
【0080】
本発明の液体洗浄剤組成物は、生乾き臭抑制、特には4M3H臭の抑制及び洗浄性の観点から、(B)成分を、0.3〜5質量%、好ましくは0.3〜4質量%、より好ましくは0.5〜3質量%、より更に好ましくは0.8〜3質量%含有する。
【0081】
<(C)成分>
ところで、本発明の液体洗浄剤組成物は、界面活性剤として、非イオン性化合物(A1)を含む非イオン界面活性剤(A)及び陽イオン界面活性剤(B)とを必須成分として含有するが、陰イオン界面活性剤及び両性界面活性剤などのその他の界面活性剤(C)〔以下、(C)成分という〕を、制限付きで含有してもよい。
【0082】
陰イオン界面活性剤のうち脂肪酸及びその塩以外の陰イオン界面活性剤は、本発明の液体洗浄剤組成物の臭い抑制効果を低下させることが懸念されるため、脂肪酸及びその塩と分けて説明する。なお本発明の液体洗浄剤組成物のpHが酸性である場合、界面活性剤によっては、酸型の化合物として存在している場合があり、酸型の化合物も界面活性剤として考慮する。
【0083】
(c1)脂肪酸及びその塩以外の陰イオン界面活性剤
脂肪酸及びその塩以外の陰イオン界面活性剤の具体例としては、
(c1−1)平均炭素数10〜20のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸塩、
(c1−2)平均炭素数10〜20の直鎖1級アルコール又は直鎖2級アルコール由来のアルキル基又は分岐アルコール由来のアルキル基を有し、アルキレンオキシ基の平均付加モル数が1〜5であり、アルキレンオキシ基としてエチレンオキシ基を含み、平均付加モル数0.2〜2モルの範囲でプロピレンオキシ基を含んでいてもよい、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、
(c1−3)平均炭素数10〜20のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキル又はアルケニル硫酸エステル塩、及び
(c1−4)平均炭素数10〜20の直鎖1級アルコール又は直鎖2級アルコール由来のアルキル基又は分岐アルコール由来のアルキル基を有し、アルキレンオキシ基の平均付加モル数が1〜5であり、アルキレンオキシ基としてエチレンオキシ基を含み、平均付加モル数0.2〜2モルの範囲でプロピレンオキシ基を含んでいてもよい、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩、
などを挙げることができる。塩はナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩が生乾き臭の抑制の点から好ましい。
【0084】
本明細書では、陰イオン性基を有する漂白活性化剤、中でも炭素数が8〜22である直鎖又は分岐鎖のアルキル基を有するアルカノイルオキシベンゼンスルホン酸もしくはアルカノイルオキシベンゼンカルボン酸又はそれらのアルカリ金属塩は、脂肪酸及びその塩以外の陰イオン界面活性剤(c1)とする。
【0085】
(c2)脂肪酸及びその塩
脂肪酸及びその塩は、炭素数10〜18の脂肪酸及びその塩が好ましく、天然油脂から得られる脂肪酸分布を有するものを用いてもよい。脂肪酸及びその塩は、消泡剤として本発明の液体洗浄剤組成物に配合することができる。塩はナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩が好ましい。
【0086】
(c3)両性界面活性剤
両性界面活性剤としては、炭素数8〜22のアルキル基を有するスルホベタイン又は同カルボベタイン又は、炭素数7〜21のアルキル基を有する脂肪酸アミドプロピル(又はヒドロキシプロピル)ベタイン又は同カルボベタインを挙げることができる。
【0087】
(c4)(B)成分以外の陽イオン界面活性剤
(B)成分以外の陽イオン界面活性剤としては、(B)成分以外の4級アンモニウム化合物、アミン化合物、例えば炭素数7〜21の脂肪酸アミドプロピルジメチルアミンなどのアミン化合物を挙げることができる。
【0088】
脂肪酸及びその塩以外の陰イオン界面活性剤(c1)は、(A1)成分と(B)成分による殺菌効果を低下させることから、十分な繊維製品の生乾き臭の発生を抑制するために、その含有量は制限される。具体的には、陽イオン界面活性剤(B)に対する、脂肪酸及びその塩以外の陰イオン界面活性剤(c1)の割合、すなわち(c1)/(B)の質量比は、0〜1、好ましくは0〜0.8、より好ましくは0〜0.5、より好ましくは0〜0.1である。上記の通り、本発明では、陰イオン性基を有する漂白活性化剤も脂肪酸及びその塩以外の陰イオン界面活性剤(c1)として考慮するが、その配合比率は低い方がよい。陰イオン界面活性剤(c1)の質量は、酸型と仮定した場合の数値とする。このような(c1)/(B)質量比を満たした上で、脂肪酸及びその塩以外の陰イオン界面活性剤(c1)の含有量は液体洗浄剤組成物中に5質量%以下、更には3質量%以下、更には2質量%以下、更には0.4質量%以下であることが好ましい。
【0089】
両性界面活性剤は、本発明の効果を損なわない程度に配合することができるが、[(c1)+(c3)]/(B)の質量比が、前記(c1)/(B)の範囲となるような量で用いることが好ましい。また(c3)成分は組成物中に、前記質量比率を満たした上で、好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは3質量%以下であり、更により好ましくは1質量%以下である。
【0090】
脂肪酸及びその塩(c2)の組成物中の含有量は、脂肪酸に換算(酸型化合物に換算)して0.05〜5質量%、より好ましくは0.1〜4質量%、更により好ましくは0.1〜3質量%である。組成物中、脂肪酸塩はpHの関係上、酸型で存在している場合がある。塩はナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩が生乾き臭の抑制の点から好ましい。
【0091】
<(D)成分>
本発明の液体洗浄剤組成物は、生乾き臭の抑制のために、(D)成分として過酸化水素を含有する。本発明では、前記の非イオン性化合物(A1)、陽イオン界面活性剤(B)及び過酸化水素(D)を特定条件で用いることで、従来では十分に解決できなかった、前記したような再発し易い生乾き臭を含む、繊維製品全体の臭いの発生を抑制する効果を示す。
【0092】
本発明の液体洗浄剤組成物は、生乾き臭抑制及び過酸化水素安定性の観点から、(D)成分を0.3〜10質量%、好ましくは0.5〜8質量%、より好ましくは1〜6質量%含有する。なお、組成物中の過酸化水素濃度はヨウ化カリウム溶液を用いた逆滴定法によって測定することができる。
【0093】
<その他の成分>
以下、更に本発明に使用できるその他の成分について説明する。
【0094】
〔(E)成分〕
本発明の液体洗浄剤組成物は、(E)成分として水混和性有機溶剤を含有することが好ましい。本発明でいう水混和性有機溶剤とは、25℃のイオン交換水1Lに50g以上溶解するものであり、すなわち、溶解の程度が50g/L以上である溶剤を指す。
【0095】
(E)成分としては、水酸基及び/又はエーテル基を有する水混和性有機溶剤が好ましい。
【0096】
水混和性有機溶剤としては、(e1)エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールなどのアルカノール類、(e2)プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコールなどのグリコール類、(e3)ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールなどのグリコール類、(e4)ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−メチルグリセリンエーテル、2−メチルグリセリンエーテル、1,3−ジメチルグリセリンエーテル、1−エチルグリセリンエーテル、1,3−ジエチルグリセリンエーテル、トリエチルグリセリンエーテル、1−ペンチルグリセリルエーテル、2−ペンチルグリセリルエーテル、1−オクチルグリセリルエーテル、2−エチルヘキシルグリセリルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのアルキルエーテル類、(e5)2−フェノキシエタノール、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノフェニルエーテル、平均分子量約480のポリエチレングリコールモノフェニルエーテル、フェノキシプロピレングリコール、2−ベンジルオキシエタノール、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル等の芳香族エーテル類、が挙げられる。
【0097】
(E)成分は、組成物の粘度調整剤、ゲル化抑制剤として有効であり、上記の(e1)アルカノール類、(e2)グリコール類、(e4)アルキルエーテル類、(e5)芳香族エーテル類から選ばれる1種以上が好ましく、より好ましくは(e2)グリコール類、(d4)アルキルエーテル類、(e5)芳香族エーテル類から選ばれる1種以上を含有することで、より効果的に組成物の粘度調整、ゲル化抑制することができる。
【0098】
また、本発明の液体洗浄剤組成物において、過酸化水素を安定化させ生乾き臭を抑制するために、(e4)アルキルエーテル類及び/又は(e5)芳香族エーテル類が好ましく、中でもジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノフェニルエーテル、またはフェノキシプロピレングリコールが好適である。更に、ジエチレングリコールモノブチルエーテル及び/又はトリエチレングリコールモノフェニルエーテルがより好適である。
【0099】
本発明の液体洗浄剤組成物は、(E)成分を、好ましくは1〜40質量%、より好ましくは4〜20質量%、更により好ましくは5〜10質量%含有する。
【0100】
〔(F)成分〕
本発明の液体洗浄剤組成物には、組成物の安定性のために(F)成分としてハイドロトロープ剤を配合することが好ましい。本発明のハイドロトロープ剤は、陰イオン性基を有する有機化合物であり、更にはメチル基、エチル基又はプロピル基から選ばれるアルキル基を1〜2つ含み、スルホン酸基又はカルボン酸基を1つ有するアルキルベンゼンカルボン酸又はアルキルベンゼンスルホン酸又はそれらの塩、並びに安息香酸又はその塩を挙げることができる。より具体的にはパラトルエンスルホン酸、クメンスルホン酸、メタキシレンスルホン酸、安息香酸であり、塩はアルカリ金属塩が好ましい。本発明ではパラトルエンスルホン酸又はそのアルカリ金属塩が好ましく、酸として配合し、組成物中のアルカリ剤で中和してもよい。(F)成分は、生乾き臭の抑制を阻害することなく、安定性を付与することができる。
【0101】
(F)成分はアルカリ金属の塩として配合することが好ましいが、本発明の液体洗浄剤組成物は、(F)成分を、酸型の化合物に換算したときに、0.1〜5質量%、好ましくは0.5〜4質量%、より好ましくは1〜3質量%含有する。
【0102】
〔(G)成分〕
本発明の液体洗浄剤組成物では、過酸化水素の安定性などの点から、陰イオン界面活性剤、ハイドロトロープ剤、キレート剤等を酸型化合物で配合した場合のpHを調整するための中和剤等として、アルカリ剤〔以下、(G)成分という〕を使用するのが好ましい。本発明の液体洗浄剤組成物のpHが後述のように7.0以下である場合は、遊離のアルカリ剤は殆ど存在しないと考えられる。なお中和に用いるアルカリ剤としては、アルカリ金属水酸化物を使用することが好ましく、水酸化カリウム及び/又は水酸化ナトリウムがより好ましい。
【0103】
なお、水混和性の有機アミン化合物、更にはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミン等の総炭素数6以下のアルカノールアミン化合物〔以下(G’)成分という場合もある。〕は、中和剤として用いる場合、生乾き臭の抑制効果の点から、組成物中の含有量が1質量%未満、更には0.5質量%以下、より更には0.08質量%以下であることが好ましい。(G’)成分はアルカリ剤(pH調整のための中和剤)以外に陰イオン性化合物の塩として配合した分も(G’)成分の量に算入するものとする。
【0104】
〔(H)成分〕
本発明の液体洗浄剤組成物は、多価金属イオンをキレートすることができる有機キレート剤〔以下、(H)成分という〕を含有することが、本発明の効果を経時的に維持する点で好ましい。(H)成分の有機キレート剤は、例えば、ニトリロ三酢酸、イミノ二酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、トリエチレンテトラアミン六酢酸、ジエンコル酸等のアミノポリ酢酸又はその塩、ジグリコール酸、オキシジコハク酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、リンゴ酸、オキシジコハク酸、グルコン酸、カルボキシメチルコハク酸、カルボキシメチル酒石酸等のアミノポリ酢酸以外のポリカルボン酸又はその塩、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)等の有機ホスホン酸又はその塩が挙げられ、塩はアルカリ金属塩等が挙げられる。本発明では酸で配合し、系中でアルカリ剤によって中和した塩であってもよい。このうち、有機ホスホン酸又はその塩、中でも1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸が好適である。なお対イオンはアルカリ金属塩が好ましい。
【0105】
本発明では、保存による本発明の低下を抑制する上で有機キレート剤を含有することが好ましいが、これは組成物中に含まれる可能性のある重金属イオンによる過酸化水素の分解が有機キレート剤によって抑制される事に寄与する部分が多い。その一方で有機キレート剤は希釈時のpHの変動を抑制する性質を有する化合物が多いため、優れた洗浄力を得る上で、水によるpHの変動が中性付近に変わりやすくするために、その含有量は少量で効果的な剤であることが好ましい。そのような有機キレート剤として前記の有機ホスホン酸又はその塩が好ましく、塩はカリウム塩又はナトリウム塩であることが好ましい。
【0106】
(H)成分の組成物中の含有量は、酸型化合物に換算した場合に0.01〜0.5質量%が好ましく、より好ましくは0.03〜0.3質量%、より好ましくは0.05〜0.2質量%である。更に前記(H)成分該濃度範囲の制限において、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸として含有されることが好ましい。
【0107】
〔(I)成分〕
(I)成分として生乾き抑制効果を向上させる目的で水溶性高分子重合体を配合することが好ましい。高分子重合体としては、カルボン酸基を有する構成単位を含む高分子重合体が好ましく、ポリアクリル酸、アクリル酸−マレイン酸共重合体、アクリル酸又はマレイン酸と炭素数2〜5のオレフィンとの共重合体を挙げることができる。また、界面活性剤の含有量が多い高濃度界面活性剤系では、カルボン酸基を有する単量体からなる構成単位とポリオキシエチレン鎖を有する単量体からなる構成単位との両方が含まれている高分子重合体を用いることが好ましい。例えば特開平10−60476号公報や特開2004−155937号公報記載のポリマーを挙げることが出来る。(I)成分の組成物中の配合割合は、好ましくは0.1〜5質量%であり、より好ましくは0.5〜4質量%である。
【0108】
〔上記以外の成分〕
更に本発明の液体洗浄剤組成物には、次の(i)〜(vii)に示す成分を本発明の効果を損なわない程度で配合することができる。
(i)セルラーゼ、アミラーゼ、ペクチナーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ等の酵素
(ii)カルシウムイオン源(カルシウムイオン供給化合物)、ビヒドロキシ化合物、蟻酸等の酵素安定化剤
(iii)蛍光染料、例えばチノパールCBS(商品名、チバスペシャリティケミカルズ製)やホワイテックスSA(商品名、住友化学社製)として市販されている蛍光染料
(iv)ブチルヒドロキシトルエン、ジスチレン化クレゾール、亜硫酸ナトリウム及び亜硫酸水素ナトリウム等の酸化防止剤
(v)特表平11−513067号公報に記載されているゲル化防止重合体、更には重量平均分子量が600〜5000、更には1000〜4000のポリプロピレングリコール又はポリエチレングリコール。なお重量平均分子量は光散乱法を用いて決定することができ、ダイナミック光散乱光度計(DLS−8000シリーズ、大塚電子株式会社製等)により測定することができる。
(vi)オクタン、デカン、ドデカン、トリデカンなどのパラフィン類、デセン、ドデセンなどのオレフィン類、塩化メチレン、1,1,1−トリクロロエタンなどのハロゲン化アルキル類、D−リモネンなどのテルペン類などの水非混和性有機溶剤
(vii)その他、色素、香料、抗菌防腐剤、シリコーン等の消泡剤
【0109】
以下に本発明の液体洗浄剤組成物中、前記任意成分を配合する場合の指標としての濃度を示すが、本効果を損なわない程度に適宜調整され、配合に適さない場合は除外される。
(i)の酵素の含有量は0.001〜2質量%が好ましい。(ii)の酵素安定化剤の含有量は0.001〜2質量%が好ましい。(iii)の蛍光染料の含有量は0.001〜1質量%が好ましい。(iv)の酸化防止剤の含有量は0.01〜2質量%が好ましい。(v)のポリアルキレングリコール系ゲル化防止重合体は0.01〜2%が好ましい。(vi)の水非混和性有機溶剤は0.001〜2質量%が好ましい。(vii)のその他の成分は例えば公知の濃度で配合することができる。
【0110】
本発明の液体洗浄剤組成物は、液体安定性と過酸化水素の分解抑制の観点から、漂白活性化剤、例えば陰イオン性基を有する漂白活性化剤は1質量%未満であることが好ましく、0.4質量%以下であることがより好ましく、更には漂白活性化剤を含有しないことがより好ましい。本発明でいう漂白活性化剤は、水中で過酸化水素と反応、更には家庭環境下での使用のような穏和な条件で反応して有機過酸を生成する化合物を指す。漂白活性化剤としては、TAED(テトラアセルエチレンジアミン)の他に液体漂白剤組成物に配合することが知られている、炭素数が8〜22である直鎖又は分岐鎖のアルキル基を有する、アルカノイルオキシベンゼンスルホン酸もしくはアルカノイルオキシベンゼンカルボン酸又はそれらのアルカリ金属塩を挙げることができる。これらのうち、炭素数が8〜22である直鎖又は分岐鎖のアルキル基を有する、アルカノイルオキシベンゼンスルホン酸もしくはアルカノイルオキシベンゼンカルボン酸又はそれらのアルカリ金属塩は、過酸化水素と安定に配合できることが知られているが、本発明では、これら漂白活性化剤は脂肪酸及びその塩以外の陰イオン界面活性剤(c1)でもあり、(c1)/(B)の質量比の制限を受け、この質量比が所定範囲にある限りにおいて漂白活性化剤を含有することは可能である。しかしながら、本発明の液体洗浄剤組成物にこれら漂白活性化剤を配合した場合、漂白活性化剤の効果を十分に発揮することができない。更に漂白活性剤を安定に配合するために組成物の制約があるだけなく、本発明の防臭効果を低下させる原因になる。
【0111】
一般に過酸化水素を含む洗浄液や漂白液の場合、処理時の溶液のpHを高めることで漂白効果が向上する。しかしながら本発明の液体洗浄剤組成物は、水に希釈した際にpHをアルカリ性にするために用いられる、ホウ素化合物もまた実質的に含有しないことが好ましい。ホウ素化合物は、本発明では洗浄力を低下させる。ここで、ホウ素化合物は、ホウ酸、ホウ砂又はホウ酸塩などであって、具体的には、ホウ酸塩としては、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸アンモニウム、4ホウ酸ナトリウム、4ホウ酸カリウム、4ホウ酸アンモニウム等が挙げられる。また「実質的に含有しない」とは、例えば酵素の安定化剤として酵素製剤等から極めて微量に混入するような場合を除くことを意味する。具体的には、組成物中にホウ酸に換算して、但しホウ砂はそれ自体の質量として、ホウ素化合物の含有量が、0.1質量%未満、更には0.01質量%未満であることをいう。なお下限値は0質量%である。
【0112】
本発明の液体洗浄剤組成物の残部は水である。水は滅菌された脱イオン水を用いることが好ましい。
【0113】
本発明の液体洗浄剤組成物は、洗浄力及び防臭効果の観点から、JIS K3362:1998の8.3項に記載の20℃におけるpHが3.0〜7.0であり、更に3.5〜7.0、更により4.0〜6.0が好ましい。
【0114】
更には、脱イオン水に炭酸カルシウムを添加することによって調整した4°DHの20℃のpH6.0〜8.0の軟水3Lに対して、本発明の液体洗浄剤組成物を2ml溶解させた時の水溶液のpHが20℃で4.0〜8.5であることが好ましく、更には6.0〜8.0であることがより好ましい。
【0115】
本発明の液体洗浄剤組成物の20℃における粘度は、取り扱いの容易さの点で10〜1,000mPa・sが好ましく、50〜600mPa・sがより好ましく、100〜300mPa・sが更に好ましい。粘度は、配合成分中、(a1)成分、(a2)成分、(E)成分、水等の割合によって調整することができる。組成物を低粘度化する上で(a1)成分として前記した非イオン界面活性剤(a1’)が使用しやすい。
【0116】
本発明において粘度はB型粘度計により測定する。ローターは粘度に合ったものを選択する。回転数60r/minで回転し、回転開始から60秒後の粘度を液体洗浄剤組成物の粘度とする。
【0117】
本発明の液体洗浄剤組成物は、繊維製品用洗浄剤組成物として使用される。中でも衣料、タオル、足拭きマット、シーツ寝具製品等の、例えば家庭生活で使用される、繊維製品に関する液体洗浄剤組成物、更に衣料用の液体洗浄剤組成物として好適である。更に水洗い可能な繊維製品の液体洗浄剤組成物として好適である。
【0118】
本発明では、本発明の液体洗浄剤組成物と水とを含有する洗浄液、例えば、本発明の液体洗浄剤組成物を水に溶解させた水溶液で繊維製品を洗浄することで、優れた洗浄力及び防臭効果を得ることができる。好ましくは、洗浄液は、液体洗浄剤組成物を水1Lに対して、0.3〜1.0g/Lの割合で使用したものを用いる。このような水溶液等の洗浄液は一般に洗濯液と呼ばれる。洗浄時の洗浄液の温度は、特に限定されないが、本発明の液体洗浄剤組成物によると、水温が5℃〜40℃の幅広い温度域でも洗浄力と防臭効果を得ることができる。また洗浄前に漬け置き工程を設けてもよい。漬け置き工程を設ける場合は、液体洗浄剤組成物の濃度は、洗浄時の濃度の3〜6倍の濃度で行うことが好ましい。
【0119】
なお、本発明の液体洗浄剤組成物は、使用済みの繊維製品、更には着用済みの衣料品等の繊維製品に、塗布する(非発泡状態で塗布する)ことで、繊維製品に細菌が存在する場合、視認しやすい泡を形成する。泡は細菌中のカタラーゼによる不均化反応によって引き起こされる。興味深いことには、新品から1日だけ使用又は着用した繊維製品では発泡は観察されない。数回の使用又は着用と洗濯とを繰り返した繊維製品において、本発明の塗布による発泡を観察することができる。更には、使い古した繊維製品は、洗濯し乾燥した直後であっても、本発明の液体洗浄剤組成物の塗布による発泡を確認できる場合がある。
【0120】
従って本発明では、本発明の液体洗浄剤組成物を繊維製品に塗布して泡を発生させる工程を有する、繊維製品の洗浄方法もまた提供する。この方法では、泡の発生による細菌の存在を確認しながら繊維製品に該液体洗浄剤組成物の一部ないし全部を適用することができる。
【0121】
このような塗布を行う本発明の繊維製品の洗浄方法によると、繊維製品の細菌の存在状況を確認することができるだけでなく、細菌が存在する周辺に集中的に液体洗浄剤組成物を適用することができる。このような考え方は、硬質表面用洗浄剤に関し、特開2010−59296号公報に開示されている。また従来の一部の過酸化水素を含有する繊維製品用の液体漂白剤組成物が、細菌の存在により泡を発生することがある。しかしながら、従来の過酸化水素入りの液体漂白剤組成物の界面活性剤濃度は低く、十分な泡の視認性を得ることができなかった。また従来の繊維製品用漂白剤は、漂白効果を主たる課題とするため、目視でシミ汚れや襟袖の汚れが確認できるところに集中的に適用することが意図されている。これに対して、本発明のような、細菌に関連する防臭の課題を考慮する場合、発泡による可視化は非常に有意義である。
【0122】
本発明の液体洗浄剤組成物は、細菌との接触により発泡するものである。泡による細菌の視認性に優れる組成物の構成は、前記した液体洗浄剤組成物の好ましい条件に従う。特には非イオン界面活性剤(A)として、一般式(a1)及び一般式(a2)の化合物が好ましく、更にはPO基を分子内に平均1モル以上、3モル以下有するものが、細菌の存在により視認し易い泡を発生し易く、発泡から消泡までの時間も適正である。
【0123】
本発明は、本発明の液体洗浄剤組成物を繊維製品に塗布して発泡させる工程と、該液体洗浄剤組成物が塗布された繊維製品を、水を含有する洗浄液と接触させて洗浄処理を行なう工程とを含む、繊維製品の洗浄方法にも関する。塗布に本発明の液体洗浄剤組成物を用いた場合は、塗布された繊維製品と任意の洗浄剤を洗濯槽に投入して、その他任意の繊維製品とともに洗浄することができる。なお、任意の洗浄液は、塗布に用いた以外の本発明の液体洗浄剤組成物や他の洗浄剤を含むことを否定するものではない。具体的には、洗浄に用いる本発明の液体洗浄剤組成物(すなわち、洗浄に用いられる本発明の液体洗浄剤組成物の全量)の一部を繊維製品に塗布し、該液体洗浄剤組成物が塗布された繊維製品を、残部の本発明の液体洗浄剤組成物と水とを含有する洗浄液と接触させて洗浄処理を行なうことができる。より詳細には、例えば、本発明の液体洗浄剤組成物の一部を繊維製品に塗布した後、塗布された繊維製品、更に必要により任意の繊維製品と残部の本発明の液体洗浄剤組成物と水とを洗濯用槽に入れて、水溶液中で洗浄処理を行なう繊維製品の洗浄方法により、繊維製品の液体洗浄剤組成物が塗布された部分以外や、任意の繊維製品に対しても、優れた防臭効果を与えることができる。なお、洗浄に用いる本発明の液体洗浄剤組成物の全部を繊維製品に塗布して洗浄を行うこともできる。塗布する工程を含む場合、洗浄液中の本発明の液体洗浄剤組成物の濃度が前記0.3〜1.0g/L(この濃度は塗布量に基づく計算値であってよい)の範囲となるように用いることが、十分な効果を得るために好ましい。
【0124】
なお、ここでいう洗浄又は洗浄処理とは、洗濯機による機械式攪拌以外にも、手洗いによる処理も含まれ、たとえば擦り付け、叩き付け、足踏みなどがある。
【0125】
また、本発明の繊維製品の洗浄方法は、繊維製品の防臭方法又は防臭洗浄方法とすることで、従来との使用目的の違いを明確にしてもよい。
【実施例】
【0126】
<試験例(生乾き臭原因物質の特定)>
洗濯乾燥の後に生乾き臭が強く発生した木綿のタオルを家庭より回収して50gを裁断し、ジクロロメタン500mLよりニオイ成分を抽出後減圧濃縮した。更に、1M水酸化ナトリウム水溶液200mLを抽出溶液に添加し、水層を回収し、2M塩酸200mL添加し酸性にした。この溶液に、ジクロロメタン200mLを加え有機層を減圧濃縮し、酸性成分の濃縮物を1mLに定容した。
【0127】
続いて、アジレント社製ガスクロマトグラフィーにゲステル社製Preparative Fraction Collector(PFC)装置を接続したものを用い、濃縮物を下記の条件下でGC保持時間により分画し、目的成分周辺のGC30回分を内径6mm、長さ117mmのガラス管に充填した充填剤(商品名:TENAX TA、ジーエルサイエンス社製)200mgに捕集した。
【0128】
(GC−PFC条件)
GC:Agilent 6890N(商品名、アジレント社製)
カラム:DB-1(商品名、アジレント社製)、長さ30m、内径0.53mm、膜厚1μm
40℃1min.hold→6℃/min.to 60℃→4℃/min.to 300℃
Injection volume:2μL
PFC(Gerstel社製):trap time 18min.to 24min.、30times
trap:TENAX TA(商品名、ジーエルサイエンス社製)200mg
【0129】
最後にTENAX TAに捕集した目的成分をゲステル社製Thermal Desorption system(TDS)をアジレント社製GC−MSに接続した装置にて、下記条件下で分析した。
(TDS−GC−MS条件)
GC:Agilent 6890N(商品名、アジレント社製)
MS:Agilent 5973(商品名、アジレント社製)
TDS脱着条件:250℃、パージ流量50mL/min、パージ時間3min.
カラム:DB-FFAP(商品名、アジレント社製)、長さ30m、内径250μm、膜厚0.25μm
40℃1min.hold→6℃/min.to 60℃→2℃/min.to 240℃
【0130】
解析の結果、生乾き臭として4M3Hをはじめとする中級分岐脂肪酸が検出された。
【0131】
<実施例及び比較例>
(1)洗浄力評価
(1−1)衿片の調製方法
衿汚れ試験布として、3日間着用した綿/ポリエステル混紡ワイシャツの衿部分を裁断し収集したもののうち汚れの程度が同じものを選別した。選別された衿汚れ試験布を半裁し、30cm×30cmの綿布に1枚ずつ縫い付け(以後、衿片と呼ぶ)、これを表1〜3の液体洗浄剤組成物1つあたり6セット(全12枚)用意した。半裁した一方の6枚を実施例又は比較例の組成物に用い、他方の6枚を洗浄力判定用指標洗剤に用いた。
【0132】
(1−2)洗浄水調製方法
洗浄に用いる水は、硬度成分としてカルシウム/マグネシウム=8/2にするために、塩化カルシウム・2水和物25.14g及び塩化マグネシウム・6水和物8.70gを2966.13gのイオン交換水で溶解することによって得られた400゜DH硬水を用い、洗浄力試験使用時にイオン交換水によって希釈し4゜DHに調整して用いた。
【0133】
(1−3)判定方法
洗浄試験には、洗濯機(NA−FV8001;Panasonic社)を用い、上記方法により調製した水を用いた。洗浄力の判定は、10人のパネラー(30代男性)によって行われた。表1〜3の液体洗浄剤組成物(評価洗剤)で洗浄処理された衿片6枚と、洗剤をJIS K 3362:1998記載の指標洗剤に代えた以外は同様にして洗浄処理された衿片6枚との洗浄の程度を目視で判断した。対となる衿片のどちらが洗浄力に優れているかを判断し、評価洗剤を用いた方が洗浄力に優れている場合を「+1」点、指標洗剤を用いた方が洗浄力に優れている場合を「−1」点とする(パネラー一人あたりの評価点の合計は「+6」〜「−6」の範囲となる)。1つの評価洗剤につきパネラー10人が評価し、パネラー10人の評価点の合計で洗浄力を評価した。合計点が+5〜−5の場合は、評価洗剤と指標洗剤の洗浄力は同等と判断でき、+6以上の場合は評価洗剤の方が洗浄力に優れると判断でき、−6以下の場合は評価洗剤の方が洗浄力に劣ると判断できる。また、数値が大きいほど洗浄力に優れると判断できる。
【0134】
(2)生乾き臭の評価
複数回洗濯と着用を繰り返した20代〜40代の成人男子の肌着のうち、洗濯し十分に乾燥した時は臭わないが、湿り気を帯びたときに、同じ臭気の生乾き臭を発する肌着(綿100%)を収集した。肌着は、5cm×5cmに裁断し、湿り気を帯びた時に生成する臭いの程度が、同じ臭いレベルであると専門評価者により確認された裁断布を選別した。なお、同じ臭気の生乾き臭について定性的に分析したところ、4M3H臭を主とする中級分岐脂肪酸臭や硫黄臭等が含まれていることが確認された。
【0135】
集められ選別された裁断布を、なるべく同じ初期状態にして実衣料試験布として評価するために、上記の選別された裁断布を、香料を含まない下記組成の基準洗剤から調製した濃度0.67g/Lの洗濯液で、攪拌式洗浄試験機(Targot−o−Meter)により、水温25℃、攪拌速度85rpm、攪拌時間10分、浴比15の条件で洗浄処理した。試験布は水道水で十分濯ぎ、直ちに25℃、相対湿度35%環境下で24時間放置し、十分に乾燥させた。乾燥後の実衣料試験布の臭気強度は5人の専門評価者の合意により後述の評価基準1(「まったく臭わない」)のものを更に選別し、実衣料試験布とした。なお基準洗剤によって処理された実衣料試験布は、生乾き状態にすることで4M3Hを含む臭いを生じることが確認された。
【0136】
基準洗剤の組成は、(1)アルキル(炭素数12、直鎖)ベンゼンスルホン酸ナトリウム塩10質量%、(2)アルキル(炭素数12)硫酸エステルナトリウム塩2質量%、(3)ヤシ油由来の脂肪酸ナトリウム2質量%、(4)ポリオキシエチレン(平均付加モル数10)アルキル(炭素数12〜14)エーテル10質量%、(5)炭酸ナトリウム15質量%、(6)ゼオライト10質量%、(7)アクリル酸−マレイン酸共重合体(重量平均分子量70000、アクリル酸/マレイン酸モル比=6/4)5質量%、(8)2号珪酸ナトリウム1質量%、(9)硫酸ナトリウム残部(合計で100質量%)であった。
【0137】
次に、表1〜3に示す液体洗浄剤組成物を用いて、実衣料試験布を洗濯し、下記の臭気強度評価試験(臭気強度評価A、B)を行った。
【0138】
・臭気強度評価A(生乾き状態の繊維製品から短時間で発生する臭いの評価)
表1〜3に記載の液体洗浄剤組成物から濃度0.67g/Lの洗濯液を調製し、上記実衣料試験布5枚を1セットとして、攪拌式洗浄試験機(Targot−o−Meter)により、水温25℃、攪拌速度85rpm、攪拌時間10分、浴比15の条件で洗浄処理した。洗浄後、実衣料試験布は水道水で十分濯がれた後、生乾き臭の発生し易い環境下である30℃、相対湿度90%の培養庫において3時間保管された。保管後の実衣料試験布について、専門評価者5人により生乾き臭(S臭、N臭、アルデヒド臭、低級脂肪酸臭、4M3H臭等の中級分岐脂肪酸臭を含む複合臭)の官能評価を行った。
【0139】
・臭気強度評価B(乾燥状態の繊維製品から発生する再発性の生乾き臭の評価)
表1〜3に記載の液体洗浄剤組成物から濃度0.67g/Lの洗濯液を調製し、上記実衣料試験布5枚を1セットとして、攪拌式洗浄試験機(Targot−o−Meter)により、水温25℃、攪拌速度85rpm、攪拌時間10分、浴比15の条件で洗浄処理した。洗浄後、実衣料試験布は水道水で十分濯がれた後、生乾き臭の発生し易い環境下である30℃、相対湿度90%の培養庫において12時間保管された後、25℃、相対湿度35%の環境下に一昼夜放置して十分に乾燥させた。乾燥後の実衣料試験布からは生乾き臭がしなかった。
【0140】
その後実衣料試験布に、スプレー容器を用いて水道水0.1g噴霧し、再度湿潤させた実衣料試験布について、同専門評価者5人により再発性の生乾き臭(4M3H臭を主とする中級分岐脂肪酸臭)の官能評価を行った。
【0141】
前記臭気強度評価A、Bの評価結果は、下記評価基準に基づいて、専門評価者の合意により決定した。
(評価基準)
1:まったく臭わない
2:ほぼ臭わない
3:なんとなくわかる臭い
4:よく嗅ぐとわかる臭い
5:はっきりとわかる臭い
前記臭気強度評価A、Bの結果を表1〜3に示す。
評価基準3〜5の場合は、少なくとも4名は臭いを感じている。
【0142】
【表1】

【0143】
【表2】

【0144】
【表3】

【0145】
以下、本発明の液体洗浄剤組成物の配合例を表4に示す。
【0146】
【表4】

【0147】
各表中の配合成分を以下に示す。
<配合成分>
下記成分の説明において、エチレンオキシドをEO、プロピレンキシドをPOと略する。また塩になっている陰イオン性有機化合物は酸型化合物に換算した濃度を表中に示した。組成物のpHは水酸化ナトリウム水溶液又は塩酸水溶液で調整した。
【0148】
(A)成分
(a1)成分
・a1−1:ポリオキシエチレン(9)ポリオキシプロピレン(2)ポリオキシエチレン(9)アルキルエーテル(カッコ内の数値は平均付加モル数)〔炭素数10〜14の直鎖1級飽和アルコール1モル当りにエチレンオキシドを9モル、プロピレンオキシドを2モル、エチレンオキサイドを9モルの順にブロック付加させたもの、一般式(a1−5)において、p11=9、q=2、p12=9の化合物である。(A1)成分は含まれない。〕
・a1−2:ポリオキシエチレン(8)ポリオキシプロピレン(2)ポリオキシエチレン(8)アルキルエーテル(カッコ内の数値は平均付加モル数)〔炭素数10〜14の直鎖1級飽和アルコール1モル当りにエチレンオキシドを8モル、プロピレンオキシドを2モル、エチレンオキサイドを8モルの順にブロック付加させたもの、一般式(a1−5)において、p11=8、q=2、p12=8の化合物である。(A1)成分は含まれない。〕
・a1−3:ポリオキシエチレン(15)ポリオキシプロピレン(2)ポリオキシエチレン(15)アルキルエーテル(カッコ内の数値は平均付加モル数)〔炭素数10〜14の直鎖1級飽和アルコール1モル当りにエチレンオキシドを15モル、プロピレンオキシドを2モル、エチレンオキサイドを15モルの順にブロック付加させたもの、一般式(a1−5)において、p11=15、q=2、p12=15の化合物である。(A1)成分は含まれない。〕
・a1−4:ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(2)アルキルエーテル(カッコ内の数値は平均付加モル数)〔炭素数10〜14の直鎖1級飽和アルコール1モル当りにエチレンオキシドを20モル、プロピレンオキシドを2モルの順にブロック付加させたもの、一般式(a1−2)において、p=20、q=2の化合物である。(A1)成分は含まれない。〕
・a1−5:ポリオキシエチレン(14)ポリオキシプロピレン(2)ポリオキシエチレン(4)アルキルエーテル(カッコ内の数値は平均付加モル数)〔炭素数10〜14の直鎖1級飽和アルコール1モル当りにエチレンオキシドを14モル、プロピレンオキシドを2モル、エチレンオキサイドを4モルの順にブロック付加させたもの、一般式(a1−5)において、p11=14、q=2、p12=4の化合物である。(A1)成分は含まれない。〕
【0149】
(a2)成分
・a2−1:一般式(a2)中のR2aが炭素数11の直鎖1級アルキル基、lが1、mが15、nが0、R21aがメチル基の非イオン界面活性剤
・a2−2:一般式(a2)中のR2aが炭素数11の直鎖1級アルキル基、lが1、mが10、nが0、R21aがメチル基の非イオン性界面活性剤
【0150】
(a3)成分
・a3−1:一般式(a3)中、R3aは炭素数12〜14の直鎖アルキル基であって、R3a−O−の酸素原子と結合するR3aの炭素原子が第2炭素原子であって、r=7である非イオン界面活性剤(炭素数12〜14の2級直鎖飽和アルコール1モル当りにEOを7モル付加させた後に未反応アルコールを蒸留により除去したもの。Ra2OH含有量は0.1質量%未満。)
・a3−2:一般式(a3)中、R3aは、炭素数12の直鎖のアルキル基であって、R3a−O−の酸素原子と結合するR3aの炭素原子が第1炭素原子であって、r=3(ただし単一分布である)である非イオン界面活性剤であり、且つ(A1)成分として、一般式(A1)において、x=3の化合物が約100%を占める。
・a3−3:一般式(a3)中、R3aは、炭素数12の直鎖のアルキル基であって、R3a−O−の酸素原子と結合するR3aの炭素原子が第1炭素原子であって、r=5(ただし単一分布である)である非イオン界面活性剤であり、且つ(A1)成分として、一般式(A1)において、x=5の化合物が約100%を占める。
・a3−4:一般式(a3)中、R3aは、炭素数14の直鎖のアルキル基であって、R3a−O−の酸素原子と結合するR3aの炭素原子が第1炭素原子であって、r=5(ただし単一分布である)である非イオン界面活性剤。(A1)成分を含まない。
・a3−5:一般式(a3)中、R3aは、炭素数10の直鎖のアルキル基であって、R3a−O−の酸素原子と結合するR3aの炭素原子が第1炭素原子であって、r=5(ただし単一分布である)である非イオン界面活性剤。
・a3−6:ラウリルアルコールにエチレンオキサイドを付加させた、平均EO付加モル数が3モルである非イオン界面活性剤。すなわち一般式(a3)で示され、R3aが、炭素数12の直鎖のアルキル基であって、R3a−O−の酸素原子と結合するR3aの炭素原子が第1炭素原子であり、r=3の非イオン界面活性剤であり、且つ(A1)成分として、一般式(A1)で示される、x=2、3、4、5の非イオン性化合物は、a3−6中に合計50質量%含有され、更にx=3、4、5である非イオン性化合物は、a3−6中に合計32質量%含有される。なお便宜的に一般式(A1)の構造式で示され、Rの要件は一般式(A1)と同じであるが、x=0、1である非イオン性化合物は、a3−6中に合計33質量%含有される。
・a3−7:ラウリルアルコールにエチレンオキサイドを付加させた、平均EO付加モル数が6モルである非イオン界面活性剤。すなわち一般式(a3)で示され、R3aが、炭素数12の直鎖のアルキル基であって、R3a−O−の酸素原子と結合するR3aの炭素原子が第1炭素原子であり、r=6の非イオン界面活性剤であり、且つ(A1)成分として、一般式(A1)で示される、x=2、3、4、5の非イオン性化合物は、a3−7中に合計34質量%含有され、更にx=3、4、5である非イオン性化合物は、a3−7中に合計27質量%含有される。なお便宜的に一般式(A1)の構造式で示され、Rの要件は一般式(A1)と同じであるが、x=0、1である非イオン性化合物は、a3−7中に合計10質量%含有される。
・a3−8:一般式(a3)中、R3aは、炭素数12の直鎖のアルキル基であって、R3a−O−の酸素原子と結合するR3aの炭素原子が第1炭素原子であって、r=8(ただし単一分布である)である非イオン界面活性剤。(A1)成分を含まないが、便宜的に一般式(A1)で表すと、一般式(A1)において、x=8の化合物が約100%を占める。
【0151】
(B)成分
・b1−1:N−(1−ドデシル)−N,N,N−トリメチルアンモニウムエチルサルフェート。
・b1−2:N−(1−テトラデシル)−N,N−ジメチル−N−エチルアンモニウムエチルサルフェート。
・b1−3:N−(1−オクタデシル)−N,N,N−トリメチルアンモニウムメチルサルフェート。
【0152】
(C)成分
・LAS:炭素数10〜14の直鎖アルキル基(平均炭素数11.7)を有するアルキルベンゼンスルホン酸
・ヤシ油脂肪酸:ルナックL−55(商品名)、花王株式会社製
・ジ長鎖アルキル(C14)カチオン:ジ直鎖アルキル(炭素数14)ジメチルアンモニウムエチルサルフェート。ここで窒素原子に結合する2つの炭素数14のアルキル基の炭素原子は、いずれも第1炭素原子である。
【0153】
(E)成分
・e−1:ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブトキシジグリコールとも呼ばれる)
・e−2:トリエチレングリコールモノフェニルエーテル(PHG−30;日本乳化剤製)
・e−3:エタノール
【0154】
(F)成分
・f−1:パラトルエンスルホン酸ナトリウム(但し表中の濃度は酸型化合物としての濃度である。)
(H)成分
・h−1:1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸
(I)成分
・i−1:特開平10−60476号公報の4頁段落0020の合成例1の方法で合成した高分子化合物
(その他)
・蛍光染料:チノパールCBS−X(商品名)(チバスペシャリティケミカルズ製)
・酵素:エバラーゼ16.0L−EX(商品名)(プロテアーゼ、ノボザイム社製)
【0155】
<塗布による泡立ち性>
表2の実施例番号7〜20及び表3の比較例番号11の液体洗浄剤組成物が調製される。評価には、20代〜40代の任意の成人男子が、12時間着用し、前記生乾き臭の評価に記載の基準洗剤にて洗濯した後、20℃、60%RHの室内で乾燥し、再び着用する工程を10回行なうことで得られる黒色の綿製靴下を用いる。
【0156】
このように着用、洗濯を繰り返した靴下の足の裏の部分に、前記液体洗浄剤組成物を塗布すると、着用者によって泡立ちの違いはあるが、実施例の何れの組成物も明確な発泡がみられる。発泡は塗布後15秒以内に生じ、塗布から60秒以内に消泡する。過酸化水素を含有しない比較例11は全く泡立たない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非イオン界面活性剤(A)〔以下、(A)成分という〕を15〜70質量%、下記一般式(B1)で示される陽イオン界面活性剤(B)〔以下、(B)成分という〕を0.3〜5質量%、過酸化水素(D)〔以下、(D)成分という〕を0.3〜10質量%、及び水を含有する液体洗浄剤組成物であって、
(A)成分として下記一般式(A1)で示される非イオン性化合物(A1)を組成物中に0.5〜10質量%含有し、
(B)成分に対する、脂肪酸及びその塩以外の陰イオン界面活性剤(c1)の割合が(c1)/(B)の質量比で0〜1であり、
JIS K3362:1998の8.3項に記載の20℃におけるpHが3.0〜7.0である、
液体洗浄剤組成物。
R−O−(C24O)x−H (A1)
〔式中、Rは炭素数12の直鎖アルキル基であり、R−O−の酸素原子に結合するRの炭素原子が第1級炭素原子である。xはエチレンオキシ基の付加モル数であって2〜5の整数である。〕
【化1】


〔式中、Rb1は炭素数12〜18の鎖式炭化水素基であり、Rb1中に−(A’O)s−を含んでも良い。A’Oは、エチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基であり、sはA’Oの平均付加モル数を表し0〜10であり、Rb2、Rb3、Rb4は、それぞれ独立にメチル基、エチル基、ベンジル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基であり、X-はCH3SO4-又はCH3CH2SO4-、ハロゲンイオンである。〕
【請求項2】
(A)成分として、下記一般式(a1)及び/又は一般式(a2)で示される非イオン界面活性剤を10〜60質量%含有する請求項1に記載の液体洗浄剤組成物。
1a−O[(C24O)p/(AO)q]H (a1)
〔式中、R1aは炭素数8〜22のアルキル基又はアルケニル基である。AOは炭素数3〜5のアルキレンオキシ基である。p、qは平均付加モル数であり、pは8〜40の数であり、qは0〜5の数である。“/”はC24O基及びAO基が、ランダム又はブロックのいずれに結合したものであってもよいことを示す。〕
2a(CO)lO−[(C24O)m/(AO)n]R21a (a2)
〔式中、R2aは炭素数8〜22のアルキル基又はアルケニル基ある。R21aは炭素数1〜3のアルキル基である。lは0又は1の数であって、AOは炭素数3〜5のアルキレンオキシ基である。m、nは平均付加モル数であって、mは5〜30の数であり、nは0〜5の数である。“/”はC24O基及びAO基が、ランダム又はブロックのいずれに結合したものであってもよいことを示す。〕
【請求項3】
(A)成分として、下記一般式(a3)で示される非イオン界面活性剤を0.5〜20質量%含有する、請求項1又は2に記載の液体洗浄剤組成物。
3a−O−(C24O)r−H (a3)
〔式中、R3aは、炭素数8〜22のアルキル基又はアルケニル基である。R3a−O−の酸素原子と結合するR3aの炭素原子が第1炭素原子及び/又は第2級炭素原子である。rは平均付加モル数であって、2以上及び8未満の数である。〕
【請求項4】
更に脂肪酸及びその塩(c2)を脂肪酸に換算して0.05〜5質量%含有する請求項1〜3何れかに記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項5】
更に水混和性有機溶剤(E)を1〜40質量%含有する請求項1〜4何れかに記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項6】
更に有機キレート剤(H)を0.01〜0.5質量%含有する請求項1〜5何れかに記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項7】
水混和性有機アミン化合物の含有量が1質量%未満である、請求項1〜6何れかに記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項8】
漂白活性化剤を含有しない請求項1〜7何れかに記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項9】
請求項1〜8何れかに記載の液体洗浄剤組成物を水に溶解させた水溶液で繊維製品を洗浄する方法。
【請求項10】
非イオン界面活性剤(A)〔以下、(A)成分という〕を15〜70質量%、下記一般式(B1)で示される陽イオン界面活性剤(B)〔以下、(B)成分という〕を0.3〜5質量%、過酸化水素(D)〔以下、(D)成分という〕を0.3〜10質量%、及び水を含有する液体洗浄剤組成物であって、
(A)成分として下記一般式(A1)で示される非イオン性化合物(A1)を組成物中に0.5〜10質量%含有し、
(B)成分に対する、脂肪酸及びその塩以外の陰イオン界面活性剤(c1)の割合が(c1)/(B)の質量比で0〜1であり、
JIS K3362:1998の8.3項に記載の20℃におけるpHが3.0〜7.0である、
液体洗浄剤組成物を繊維製品に塗布して泡を発生させる工程を有する、繊維製品の洗浄方法。
R−O−(C24O)x−H (A1)
〔式中、Rは炭素数12の直鎖アルキル基であり、R−O−の酸素原子に結合するRの炭素原子が第1級炭素原子である。xはエチレンオキシ基の付加モル数であって2〜5の整数である。〕
【化2】


〔式中、Rb1は炭素数12〜18の鎖式炭化水素基であり、Rb1中に−(A’O)s−を含んでも良い。A’Oは、エチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基であり、sはA’Oの平均付加モル数を表し0〜10であり、Rb2、Rb3、Rb4は、それぞれ独立にメチル基、エチル基、ベンジル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基であり、X-はCH3SO4-又はCH3CH2SO4-、ハロゲンイオンである。〕
【請求項11】
液体洗浄剤組成物が、(A)成分として、下記一般式(a1)及び/又は一般式(a2)で示される非イオン界面活性剤を10〜60質量%含有する、請求項10に記載の繊維製品の洗浄方法。
1a−O[(C24O)p/(AO)q]H (a1)
〔式中、R1aは炭素数8〜22のアルキル基又はアルケニル基である。AOは炭素数3〜5のアルキレンオキシ基である。p、qは平均付加モル数であり、pは8〜40の数であり、qは0〜5の数である。“/”はC24O基及びAO基が、ランダム又はブロックのいずれに結合したものであってもよいことを示す。〕
2a(CO)lO−[(C24O)m/(AO)n]R21a (a2)
〔式中、R2aは炭素数8〜22のアルキル基又はアルケニル基ある。R21aは炭素数1〜3のアルキル基である。lは0又は1の数であって、AOは炭素数3〜5のアルキレンオキシ基である。m、nは平均付加モル数であって、mは5〜30の数であり、nは0〜5の数である。“/”はC24O基及びAO基が、ランダム又はブロックのいずれに結合したものであってもよいことを示す。〕
【請求項12】
洗浄に用いる前記液体洗浄剤組成物の一部を前記繊維製品に塗布し、該液体洗浄剤組成物が塗布された繊維製品を、残部の前記液体洗浄剤組成物と水とを含有する洗浄液と接触させて洗浄処理を行なう、請求項10又は11に記載の繊維製品の洗浄方法。

【公開番号】特開2012−233144(P2012−233144A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−128311(P2011−128311)
【出願日】平成23年6月8日(2011.6.8)
【特許番号】特許第4897933号(P4897933)
【特許公報発行日】平成24年3月14日(2012.3.14)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】