説明

液体洗浄剤組成物

【課題】弱酸性乃至中性領域で大腸菌及び黄色ブドウ球菌に対する殺菌力に優れ、更に泡立ち、泡のクリーミー性、及びすすぎ性に優れ、皮膚刺激性の少ない液体洗浄剤組成物の提供。
【解決手段】(A)ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸カリウム6質量%〜20質量%、(B)ノニオン性殺菌剤、及び(C)キレート剤のカリウム塩を含有し、前記(A)成分の含有量と、前記(C)成分の含有量との質量比(A/C)が、3〜200である液体洗浄剤組成物である。25℃でのpHが4〜7である態様、更に(D)多価アルコールを含有する態様、などが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャンプー、リンスインシャンプー等の毛髪洗浄剤、ボディソープ、ハンドソープ、泡ハンドソープ、クレンジングフォーム等の皮膚用洗浄剤、台所用洗剤、衣料用洗剤などに幅広く用いられる液体洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
液体洗浄剤組成物は、皮膚刺激性が弱く、泡立ち、泡のクリーミー性、及びすすぎ性に優れていることはもちろん、病原性細菌に対する殺菌効果を有することが性能として望まれている。
例えば、病原性細菌に対する高い殺菌効果を有する製剤として、脂肪酸塩:R−COOM(ただし、Mは、Na、Kである)を主基剤として含有する液体洗浄剤組成物が提案されている(特許文献1参照)。この脂肪酸塩を含有する液体洗浄剤組成物は、一般のアニオン性界面活性剤を含有するものに比べて大腸菌等のグラム陰性菌に対する殺菌効果が高く、泡のクリーミー性に優れ、ぬるつきの無さ、さっぱりとしたすすぎ感触を有することから、洗顔剤、ボディソープ、ハンドソープなどに用いられている。しかし、脂肪酸塩は、pH9〜11のアルカリ領域でしか界面活性剤として機能せず、特に、敏感肌の人には、皮膚刺激性がやや強いという問題がある。
【0003】
また、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウムを主基剤とする液体洗浄剤組成物は、起泡性に優れ、脂肪酸塩に比べて肌に対してマイルドであり、肌のpHに近い弱酸性乃至中性領域でも界面活性能を有するため、シャンプー、ハンドソープなどに広く用いられている。このようなポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウムを主基剤とする液体洗浄剤組成物は、トリクロサン等の殺菌剤と併用して殺菌力を確保する場合が多い(特許文献2参照)。しかし、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウムを主基剤とする液体洗浄剤組成物は、黄色ブドウ球菌等のグラム陽性菌に対する高い殺菌力を有するものの、大腸菌等のグラム陰性菌に対する殺菌力は十分ではないという課題がある。
【0004】
したがって、肌のpHに近い弱酸性乃至中性領域で大腸菌及び黄色ブドウ球菌に対する殺菌力に優れ、更に泡立ち、泡のクリーミー性、及びすすぎ性に優れ、皮膚刺激性の少ない液体洗浄剤組成物の提供が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−128783号公報
【特許文献2】特開2008−138027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、弱酸性乃至中性領域で大腸菌及び黄色ブドウ球菌に対する殺菌力に優れ、更に泡立ち、泡のクリーミー性、及びすすぎ性に優れ、皮膚刺激性の少ない液体洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、(A)ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸カリウムは、大腸菌等のグラム陰性菌に対する殺菌効果が高く、(B)ノニオン性殺菌剤と併用することで脂肪酸塩と比較してより肌に対してマイルドな弱酸性乃至中性領域(pH4〜7)で、グラム陽性菌及びグラム陰性菌のいずれにも高い殺菌力を有すると共に、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩をカリウム塩とすることですすぎ性の向上を実現できること、更に(C)キレート剤のカリウム塩を含むことによって、細菌膜表面の二価イオンを捕捉し細菌膜の物性を変化させることで殺菌効果が向上すると共に、水道水中の二価イオン(Ca2+、Mg2+等)を捕捉することにより、(A)ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸カリウムが不活化するのを抑制し、泡質を向上できること、好ましくは、(D)多価アルコールを添加して溶媒の極性を下げることにより、(A)ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸カリウムを気液界面に安定に並ばせることが可能となり、クリーミーな泡質を実現できることをそれぞれ知見した。
そして、前記(A)〜前記(C)成分、好ましくは前記(D)成分が相乗的に作用して、肌のpHに近い弱酸性乃至中性領域で大腸菌及び黄色ブドウ球菌に対する殺菌力に優れ、更に泡立ち、泡のクリーミー性、及びすすぎ性に優れ、皮膚刺激性の少ない液体洗浄剤組成物が得られることを知見し、本発明をなすに至った。
【0008】
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> (A)ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸カリウム6質量%〜20質量%、
(B)ノニオン性殺菌剤、及び
(C)キレート剤のカリウム塩
を含有し、
前記(A)成分の含有量と、前記(C)成分の含有量との質量比(A/C)が、3〜200であることを特徴とする液体洗浄剤組成物である。
<2> (B)成分のノニオン性殺菌剤が、トリクロサン及びトリクロカルバンの少なくともいずれかである前記<1>に記載の液体洗浄剤組成物である。
<3> (A)成分のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸カリウムの含有量と、(B)成分のノニオン性殺菌剤の含有量との質量比(A/B)が、20〜100である前記<1>から<2>のいずれかに記載の液体洗浄剤組成物である。
<4> (C)成分のキレート剤のカリウム塩が、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)のカリウム塩、シクロヘキサンジアミンテトラ酢酸(CDTA)のカリウム塩、及び1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸のカリウム塩から選ばれる少なくとも1種である前記<1>から<3>のいずれかに記載の液体洗浄剤組成物である。
<5> 25℃でのpHが4〜7である前記<1>から<4>のいずれかに記載の液体洗浄剤組成物である。
<6> 更に(D)多価アルコールを含有する前記<1>から<5>のいずれかに記載の液体洗浄剤組成物である。
<7> フォーマー容器に充填されてなる前記<1>から<6>のいずれかに記載の液体洗浄剤組成物である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決でき、前記目的を達成することができ、弱酸性乃至中性領域で大腸菌及び黄色ブドウ球菌に対する殺菌力に優れ、更に泡立ち、泡のクリーミー性、及びすすぎ性に優れ、皮膚刺激性の少ない液体洗浄剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の液体洗浄剤組成物は、(A)ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸カリウム、(B)ノニオン性殺菌剤、及び(C)キレート剤のカリウム塩を含有してなり、好ましくは(D)多価アルコールを含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
【0011】
<(A)ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸カリウム>
前記(A)成分のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸カリウムとしては、例えば、下記一般式(1)で表される化合物が用いられる。
R−O−(CHCHO)n−SOK ・・・ 一般式(1)
ただし、前記一般式(1)中、Rは、炭素数12〜18、好ましくは炭素数12〜16の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基である。nは、エチレンオキサイドの平均付加モル数を意味し、1〜4の数である。
【0012】
前記(A)成分のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸カリウムとしては、例えば、ポリオキシエチレン(1)ラウリルエーテル硫酸カリウム、ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸カリウム、ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル硫酸カリウム、ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル硫酸カリウム、ポリオキシエチレン(2)ミリスチルエーテル硫酸カリウム、ポリオキシエチレン(3)ミリスチルエーテル硫酸カリウム、ポリオキシエチレン(2)パルミチルエーテル硫酸カリウム、ポリオキシエチレン(3)パルミチルエーテル硫酸カリウム、ポリオキシエチレン(2)ステアリルエーテル硫酸カリウム、ポリオキシエチレン(3)ステアリルエーテル硫酸カリウム、ポリオキシエチレン(3)オレイルエーテル硫酸カリウム、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸カリウム、ポリオキシエチレン(2)ココイルエーテル硫酸カリウム、ポリオキシエチレン(3)ココイルエーテル硫酸カリウム、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸カリウム、ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル硫酸カリウム、ポリオキシエチレン(2)ミリスチルエーテル硫酸カリウム、ポリオキシエチレン(3)ミリスチルエーテル硫酸カリウム、ポリオキシエチレン(2)ココイルエーテル硫酸カリウム、ポリオキシエチレン(3)ココイルエーテル硫酸カリウム、ポリオキシエチレン(2)パルミチルエーテル硫酸カリウムが好ましく、大腸菌に対する殺菌力、及び泡立ちの点から、ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸カリウム、ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル硫酸カリウムが特に好ましい。
前記(A)成分のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸カリウムとしては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
【0013】
前記(A)成分のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸カリウムの含有量は、液体洗浄剤組成物全量に対して、6質量%〜20質量%であり、大腸菌に対する殺菌力、泡立ち、及びすすぎ性の点から、8質量%〜18質量%が好ましい。
前記含有量が、6質量%未満であると、大腸菌に対する殺菌力が弱くなり、泡立ちが悪くなることがあり、20質量%を超えると、すすぎ性が悪くなることがある。
【0014】
<(B)ノニオン性殺菌剤>
前記(B)成分のノニオン性殺菌剤としては、例えば、トリクロサン、トリクロカルバン、ピロクトンオラミン、ジンクピリチオン、イソプロピルメチルフェノール、パラクロロメタキシレノール(PCMX)、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、黄色ブドウ球菌に対する殺菌力の点から、トリクロサン、トリクロカルバンが特に好ましい。
前記(B)成分のノニオン性殺菌剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
【0015】
前記(B)成分のノニオン性殺菌剤の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、液体洗浄剤組成物全量に対して、0.01質量%〜0.5質量%が好ましく、黄色ブドウ球菌に対する殺菌力、及び皮膚刺激性の点から、0.1質量%〜0.4質量%がより好ましい。
前記含有量が、0.01質量%未満であると、黄色ブドウ球菌に対する殺菌力が確保できないことがあり、0.5質量%を超えると、皮膚刺激性が強くなりすぎることがある。
【0016】
−質量比(A/B)−
前記(A)成分のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸カリウムの含有量と、(B)成分のノニオン性殺菌剤の含有量との質量比(A/B)は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、大腸菌及び黄色ブドウ球菌に対する殺菌力の点から、20〜100が好ましく、30〜90がより好ましい。
前記質量比(A/B)が、20未満であると、大腸菌に対する殺菌力が低下し、皮膚刺激性が強くなりすぎることがあり、100を超えると、大腸菌及び黄色ブドウ球菌に対する殺菌力が低下することがある。
【0017】
<(C)キレート剤のカリウム塩>
前記(C)成分のキレート剤のカリウム塩としては、大腸菌に対する殺菌効果の点から組成物中でカリウム塩の状態をとり、カリウム塩の原料や試薬、又はフリーの酸の状態で添加し、組成物中でカリウム塩としてもよい。
前記キレート剤のカリウム塩におけるキレート剤の種類としては、金属イオンをキレートする能力を有するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アミノポリカルボン酸系キレート剤、芳香族又は脂肪族カルボン酸系キレート剤、エーテルポリカルボン酸系キレート剤、ホスホン酸系キレート剤、ヒドロキシカルボン酸系キレート剤、リン酸系キレート剤、ジメチルグリオキシム(DG)、その他のキレート剤、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0018】
前記アミノポリカルボン酸系キレート剤のカリウム塩としては、例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)のカリウム塩、シクロヘキサンジアミンテトラ酢酸(CDTA)のカリウム塩、ニトリロトリ酢酸(NTA)のカリウム塩、イミノジ酢酸(IDA)のカリウム塩、N−(2−ヒドロキシエチル)イミノジ酢酸(HIMDA)のカリウム塩、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)のカリウム塩、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミントリ酢酸(EDTA−OH)のカリウム塩、グリコールエーテルジアミンテトラ酢酸(GEDTA)のカリウム塩、などが挙げられる。
【0019】
前記芳香族又は脂肪族カルボン酸系キレート剤のカリウム塩としては、例えば、シュウ酸のカリウム塩、マロン酸のカリウム塩、コハク酸のカリウム塩、グルタール酸のカリウム塩、アジピン酸のカリウム塩、イタコン酸のカリウム塩、アコニット酸のカリウム塩、ピルビン酸のカリウム塩、サリチル酸のカリウム塩、フマル酸のカリウム塩、アセチルサリチル酸のカリウム塩、ヒドロキシ安息香酸のカリウム塩、アミノ安息香酸(アントラニル酸を含む)のカリウム塩、フタル酸のカリウム塩、トリメリット酸のカリウム塩、没食子酸のカリウム塩、クエン酸のカリウム塩、などが挙げられる。
【0020】
前記エーテルポリカルボン酸系キレート剤のカリウム塩としては、例えば、ジグリコール酸のカリウム塩、などが挙げられる。
【0021】
前記ホスホン酸系キレート剤のカリウム塩としては、例えば、イミノジメチルホスホン酸(IDP)のカリウム塩、アルキルジホスホン酸(ADPA)のカリウム塩、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(DEQUESTTM2010、Solutia Co.製)のカリウム塩、などが挙げられる。
【0022】
前記ヒドロキシカルボン酸系キレート剤のカリウム塩としては、例えば、リンゴ酸のカリウム塩、グリコール酸のカリウム塩、グルコン酸のカリウム塩、ヘプトン酸のカリウム塩、酒石酸のカリウム塩、乳酸のカリウム塩、などが挙げられる。
前記リン酸系キレート剤のカリウム塩としては、例えば、オルトリン酸のカリウム塩、ピロリン酸のカリウム塩、トリリン酸のカリウム塩、ポリリン酸のカリウム塩、などが挙げられる。
【0023】
前記その他のキレート剤のカリウム塩としては、例えば、アスコルビン酸のカリウム塩、チオグリコール酸のカリウム塩、フィチン酸のカリウム塩、グリオキシル酸のカリウム塩、グリオキサール酸のカリウム塩、などが挙げられる。
【0024】
前記(C)成分のキレート剤のカリウム塩中でも、大腸菌及び黄色ブドウ球菌に対する殺菌力、泡立ち、並びにすすぎ性の点から、エチレンジアミンテトラ酢酸のカリウム塩(2カリウム〜3カリウム)、シクロヘキサンジアミンテトラ酢酸のカリウム塩(2カリウム〜3カリウム)、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸のカリウム塩(2カリウム〜3カリウム)が好ましい。
これら各キレート剤はいくつかの酸解離定数を有し、組成物のpHによってその状態を変化させることができる。各キレート剤の塩の数については、同仁化学研究所のプロトコル集及び文献「Effect of Precipitating Conditions on the Formation of Calcium−HEDP Precipitates」の酸解離定数を参考に設定することができる。例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸は、25℃でpHが1.99以上2.67未満で1カリウム、pHが2.67以上6.12未満で2カリウム、pHが6.12以上10.17未満で3カリウム、pHが10.26以上で4カリウムに変化する。シクロヘキサンジアミンテトラ酢酸は、20℃でpHが2.43以上3.52未満で1カリウム、pHが3.52以上6.12未満で2カリウム、pHが6.12以上11.70未満で3カリウム、pHが11.70以上で4カリウムに変化する。1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸は、25℃でpHが1以上2.54未満で1カリウム、2.54以上6.97未満で2カリウム、6.97以上11.41未満で3カリウム、11.41以上で4カリウムに変化する。
【0025】
前記(C)成分のキレート剤のカリウム塩の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、液体洗浄剤組成物全量に対して、0.05質量%〜5質量%が好ましく、大腸菌及び黄色ブドウ球菌に対する殺菌力、泡立ち、並びにすすぎ性の点から、0.1質量%〜1質量%がより好ましく、0.1質量%〜0.8質量%が更に好ましい。前記含有量が、0.05質量%未満であると、大腸菌及び黄色ブドウ球菌に対する殺菌力、並びに泡立ちが悪くなることがあり、5質量%を超えると、すすぎ性が悪くなることがある。
【0026】
−質量比(A/C)−
前記(A)成分のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸カリウムの含有量と、前記(C)成分のキレート剤のカリウム塩の含有量との質量比(A/C)は、3〜200であり、大腸菌及び黄色ブドウ球菌に対する殺菌力、泡立ち、すすぎ性の点から、3〜150が好ましく、20〜100がより好ましい。
前記質量比(A/C)が、3未満であると、すすぎ性が悪くなることがあり、200を超えると、大腸菌及び黄色ブドウ球菌に対する殺菌力、並びに泡立ちが悪くなることがある。
【0027】
<(D)多価アルコール>
前記(D)成分の多価アルコールとしては、2価〜6価のアルコールであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール200(医薬部外品原料規格2006相当品)、ポリエチレングリコール300(医薬部外品原料規格2006相当品)、ポリエチレングリコール400(医薬部外品原料規格2006相当品)、ポリエチレングリコール600(医薬部外品原料規格2006相当品)、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、イソペンチルジオール、ペンチレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、ヘキシレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ソルビット、キシリトール、マンニトール、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、泡のクリーミー性、すすぎ性、及び皮膚刺激性の点から、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビットが好ましく、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビットが特に好ましい。
前記(D)成分の多価アルコールとしては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
【0028】
前記(D)成分の多価アルコールの含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、液体洗浄剤組成物全量に対して、1質量%〜30質量%が好ましく、泡のクリーミー性、すすぎ性、及び皮膚刺激性の点から、5質量%〜20質量%がより好ましい。
前記含有量が、1質量%未満であると、泡のクリーミー性、及び皮膚刺激性が低下することがあり、30質量%を超えると、すすぎ性、及び泡立ちが悪くなることがある。
【0029】
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、本発明の効果を損なわない範囲で、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、シリコーン類、(D)成分以外の保湿剤、(A)成分以外のアニオン性界面活性剤、ベタイン系の両性界面活性剤、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム等のカチオン性界面活性剤;グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルレチン酸、アラントイン等の抗炎症剤;ビタミン類;カチオン化セルロース、カチオン化グアーガム等のカチオン性ポリマー;アクリル酸−ジメチルジアリルアンモニウム共重合体等の両性ポリマー;アクリル酸系ポリマー等のアニオン性ポリマー;動物抽出エキス、植物抽出エキス、パール化剤、着色剤;ポリエチレン等のスクラブ剤;オクトピロックス等のフケ止め剤;各種香料;メチルパラベン、フェノキシエタノール等の防腐剤、などが挙げられる。
前記その他の成分の含有量としては、本発明の効果を損なわない範囲で、目的に応じて適宜選択することができる。
【0030】
<pH>
本発明の液体洗浄剤組成物のpHは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、皮膚刺激性、泡立ち、及びすすぎ性の点から、25℃で、4〜7が好ましい。前記pHが、4未満であると、泡立ちが悪くなり、皮膚刺激性が強くなることがあり、7を超えると、すすぎ性が悪くなり、皮膚刺激性が強くなることがある。
前記pHは、例えば、化粧品原料基準一般試験法pH測定法に準拠して測定することができる。
【0031】
<製造方法>
前記液体洗浄剤組成物の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記(A)成分、前記(B)成分、及び前記(C)成分、好ましくは前記(D)成分、更に必要に応じて前記その他の成分を混合して得ることができる。前記その他の成分における水は、前記液体洗浄剤組成物の全体が100質量%となるように残部として配合することが好ましい。
前記液体洗浄剤組成物は装置を用いて調製してもよい。前記装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、剪断力があり、全体を混合することができる攪拌羽根を備えた攪拌装置などが挙げられる。
前記攪拌羽根としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プロペラ、タービン、ディスパー、などが挙げられる。
【0032】
−容器−
本発明の液体洗浄剤組成物は、スクイズ容器、ポンプ容器、フォーマー容器に充填してもよい。
前記フォーマー容器としては、ノンガス型の泡吐出容器が挙げられる。前記ノンガス型の泡吐出容器としては、液体洗浄料を空気と混合して発泡状態で吐出できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ボトル胴部を手で圧搾することによって泡を吐出できるスクイズフォーマー容器、ノズル部を押し下げることによって泡を吐出できるポンプフォーマー容器、などが挙げられる。このようなフォーマー容器としては、例えば、大和製罐株式会社製、株式会社吉野工業所製の市販品を使用することができる。
前記ノンガス型の泡吐出容器は、通常、泡を形成するための多孔質膜体(材質はナイロン、ポリエステル、ポリオレフィン等のプラスチック材料が好ましい)を有し、液体洗浄剤組成物が多孔質膜体を通過することにより泡が形成される。前記多孔質膜体のメッシュとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100メッシュ以上が好ましく、100メッシュ〜400メッシュがより好ましく、200メッシュ〜350メッシュが更に好ましい。
前記多孔質膜体の枚数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、泡性能を向上させる観点から、2枚〜4枚が好ましい。
より具体的には、前記フォーマー容器としては、特開平7−315463号公報、特開平8−230961号公報、及び特開2005−193972号公報に記載されたものを好適に使用することができる。
【0033】
本発明の液体洗浄剤組成物の性状としては、常温で液体状であることが好ましい。また、フォーマー容器を使用する際には、例えば、ノズル部を押し下げることによって泡を吐出できるポンプフォーマー容器と、200メッシュ2枚使用する際において、液体洗浄剤組成物の粘度は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、25℃で、15mPa・s以下が好ましく、1mPa・s〜10mPa・sがより好ましい。前記粘度は、例えば、BL型粘度計(ローターNo.1、60rpm、1分間後、東京計器株式会社製)により測定することができる。
【0034】
本発明の液体洗浄剤組成物は、その形状及び剤型については特に制限されるものではなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、液状、クリーム状、ローション状、泡状等の各種形状や剤型に調製して利用でき、各剤型の常法に準じて調製することができる。
本発明の液体洗浄剤組成物は、例えば、シャンプー、リンスインシャンプー等の毛髪用洗浄剤、ボディソープ、ハンドソープ、泡ハンドソープ、クレンジングフォーム等の皮膚用洗浄剤、台所用洗剤、衣料用洗剤、などに幅広く用いることができる。これらの中でも、殺菌力の点から、ボディソープ、ハンドソープ、泡ハンドソープ、クレンジングフォーム等の皮膚用洗浄剤が特に好ましい。
【実施例】
【0035】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例に記載の成分量は全て純分換算である。
【0036】
まず、実施例で用いたポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸カリウム、ポリオキシエチレン(2)パルミチルエーテル硫酸カリウム、及びポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル硫酸カリウムを以下のようにして、調製した。POEはポリオキシエチレンの略で、( )内はエチレンオキサイドの平均付加モル数を意味する。
【0037】
(製造例1)
−ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸カリウムの製造−
ラウリルアルコール(製品名:コノール1275、新日本理化株式会社製)687.4gと、Mg/Al/Mn複合金属酸化物触媒(製品名:LICAT3、ライオン株式会社製)0.35gとを混合し、分散させた後、高温(180℃)で付加モル数が2となるようにエチレンオキサイドの付加を行い、ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテルを得た。
次いで、得られたポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテルを、硫黄の燃焼によって得られた三酸化硫黄含有ガスと接触させて硫酸化し、生成した反応生成物を水酸化カリウム水溶液で中和することにより、ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸カリウムを調製した。
【0038】
(製造例2)
−ポリオキシエチレン(2)パルミチルエーテル硫酸カリウムの製造−
製造例1において、ラウリルアルコール(製品名:コノール1275、新日本理化株式会社製)687.4gをセチルアルコール(製品名:コノール1695、新日本理化株式会社製)894.4gに代えた以外は、製造例1と同様にして、ポリオキシエチレン(2)パルミチルエーテル硫酸カリウムを調製した。
【0039】
(製造例3)
−ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル硫酸カリウムの製造−
ラウリルアルコール(製品名:コノール1275、新日本理化株式会社製)687.4gと、Mg/Al/Mn複合金属酸化物触媒(製品名:LICAT3、ライオン株式会社製)0.35gとを混合し、分散させた後、高温(180℃)で付加モル数が3となるようにエチレンオキサイドの付加を行い、ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテルを得た。
次いで、得られたポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテルを、硫黄の燃焼によって得られた三酸化硫黄含有ガスと接触させて硫酸化し、生成した反応生成物を水酸化カリウム水溶液で中和することにより、ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル硫酸カリウムを調製した。
【0040】
(実施例1〜49及び比較例1〜12)
−ハンドソープの調製−
液体洗浄剤組成物(ハンドソープ)を以下のようにして調製した。まず、表1に示す所定量の(A)、(B)、及び(C)成分、必要に応じて(D)成分と、所定量の95質量%に相当する質量の精製水を耐熱容器に秤取した。(A)、(B)、及び(C)成分、必要に応じて(D)成分を均一に溶解させ、共通成分を添加し均一になるまで攪拌した。続いて、pHメーターを用いてpHを測定しながら、(C)成分を酸で配合した場合は、水酸化カリウム(48質量%溶液)で、カリウム塩で配合した場合は、水酸化カリウム(48質量%溶液)又は硫酸を徐々に添加し、pHを調整した。最後に100質量%となるように精製水をバランスし、よく攪拌した後にpHを測定した。なお、pHは、pHメーター(HM−30V、東亜ディーケーケー株式会社製)を用い、25℃にしたサンプルを、2分間安定化させた後に測定した。
その後、ポンプディスペンサー付き容器(吐出量1mL、ノズル口径(直径)3.5mmφ、キャニオン社製)に充填して、各評価に供した。
【0041】
次に、得られた実施例1〜49及び比較例1〜12の液体洗浄剤組成物(ハンドソープ)について、以下のようにして諸特性を評価した。結果を表1に示す。
【0042】
<殺菌力>
(1)菌液の調製
下記の菌を初発菌数が10個/mLとなるように菌液を調製した。
黄色ブドウ球菌:Staphylococcus aureus NBRC13276
大腸菌:Escherichia coli NBRC3972
(2)試験液
得られた各液体洗浄剤組成物(ハンドソープ)を3度硬水で6倍に希釈したものを試験液とした。
〔殺菌力の試験法〕
25℃にて、試験液9mLに菌液1mLを添加して十分撹拌し、添加30秒間後に4.5mLのSCDLP培地(Soybean−Casein Digest Broth with Lecithin & Polysorbate 80、和光純薬工業株式会社製)に加え、10倍希釈液とした。同様の方法を繰り返して各希釈液を得た。各希釈液から1.0mLをシャーレに採取し、SCDLP寒天培地(Soybean−Casein Digest Ager with Lecithin & Polysorbate 80、和光純薬工業株式会社製)15mLを加えて均一化し、大腸菌は1日、黄色ブドウ球菌は2日間培養して(寒天平板希釈法)、コロニーをカウントして生存菌数を測定した。初発菌数と生存菌数から、下記数式1に基づいて殺菌力を算出し、下記評価基準で殺菌効果を評価した。
〔数式1〕
殺菌力=−log(生存菌数/初発菌数)
※殺菌力は数値が大きいほど効果が高いことを示す。
〔評価基準〕
◎:3以上
○:2以上3未満
△:1以上2未満
×:1未満
【0043】
<泡立ち、泡のクリーミー性、すすぎ性、及び皮膚刺激性>
専門評価パネラー10名が各液体洗浄剤組成物(ハンドソープ)を用いて皮膚を洗浄し、下記評価基準に基づいて、実施例1〜39及び比較例1〜12のハンドソープについては泡立ち、すすぎ性、及び皮膚刺激性を評価した。また、実施例40〜49のハンドソープについては泡立ち、泡のクリーミー性、すすぎ性、及び皮膚刺激性を評価した。それぞれの結果は、専門評価パネラー10名の評点平均値を求め、下記評点平均値の判定基準に基づき判定した。
【0044】
−泡立ち−
〔評価基準〕
5点:両手を10往復こすったとき、手からこぼれ落ちる程度泡立っており、泡立ちが非常に良好である
4点:両手を10往復こすったとき、余裕をもって手全体を覆える程度泡立っており、泡立ちが良好である
3点:両手を10往復こすったとき、手全体を丁度覆える程度泡立っており、泡立ちがやや良好である
2点:両手を10往復こすったとき、手のひらがほとんど見える程度泡立っており、泡立ちがやや悪い
1点:ほとんど泡立たず、泡立ちが非常に悪い
〔評点平均値の判定基準〕
◎ :4点以上5点以下
◎〜○:3.5点以上4点未満
○ :3点以上3.5点未満
△ :2.5点以上3点未満
× :2.5点未満
【0045】
−泡のクリーミー性−
〔評価基準〕
5点:泡のほとんどが細かい泡
4点:細かい泡の中に大きな粗い泡が一部混じっている
3点:細かい泡の中に大きな粗い泡が半分ぐらい混じっている
2点:大きな粗い泡のほうが細かい泡よりも多い
1点:大きな粗い泡しかない
〔評点平均値の判定基準〕
◎:4点以上5点以下
○:3点以上4点未満
△:2点以上3点未満
×:2点未満
【0046】
−すすぎ性−
〔評価基準〕
5点:ぬめり感がなく、すすぎ性が非常に良好である
4点:ぬめり感がほとんどなく、すすぎ性が良好である
3点:ぬめり感がわずかにあり、すすぎ性がわずかに悪い。
2点:ぬめり感がややあり、すすぎ性がやや悪い
1点:ぬめり感があり、すすぎ性が非常に悪い
〔評点平均値の判定基準〕
◎:4.5点以上5点以下
○:4点以上4.5点未満
△:3点以上4点未満
×:3点未満
【0047】
−皮膚刺激性−
〔評価基準〕
5点:皮膚刺激性がまったく感じられない
4点:皮膚刺激性がほとんど感じられない
3点:皮膚刺激性がわずかにある
2点:皮膚刺激性がややある
1点:皮膚刺激性が明らかにある
〔評点平均値の判定基準〕
◎ :4.5点以上5点以下
◎〜○:4点以上4.5点未満
○ :3.5点以上4点未満
△ :3点以上3.5点未満
× :3点未満
【0048】
−ハンドソープ−
【表1−1】

【0049】
−ハンドソープ−
【表1−2】

【0050】
−ハンドソープ−
【表1−3】

【0051】
−ハンドソープ−
【表1−4】

【0052】
−ハンドソープ−
【表1−5】

【0053】
−ハンドソープ−
【表1−6】

【0054】
−ハンドソープ−
【表1−7】

【0055】
−ハンドソープ−
【表1−8】

【0056】
−ハンドソープ−
【表1−9】

【0057】
−ハンドソープ−
【表1−10】

【0058】
−ハンドソープ−
【表1−11】

【0059】
−ハンドソープ−
【表2−1】

【0060】
−ハンドソープ−
【表2−2】

【0061】
表1及び表2において、(C)成分の(*1)〜(*5)は、以下の意味を表す。
*1:組成物中でのエチレンジアミンテトラ酢酸の状態を示す。エチレンジアミンテトラ酢酸の塩の数については、酸解離定数を参考に設定した。各成分の配合時にはエチレンジアミンテトラ酢酸の状態であり、組成物中では水酸化カリウムと反応して、表中のpHでのエチレンジアミンテトラ酢酸のカリウム塩(2カリウム又は3カリウム)となる。表中の(C)成分の( )内の値はエチレンジアミンテトラ酢酸の配合量を示す。
*2:組成物中でのエチレンジアミンテトラ酢酸の状態を示す。エチレンジアミンテトラ酢酸の塩の数については、酸解離定数を参考に設定した。各成分の配合時にはエチレンジアミンテトラ酢酸の状態であり、組成物中では水酸化ナトリウムと反応してエチレンジアミンテトラ酢酸2ナトリウムとなる。表中の(C)成分の( )内の値はエチレンジアミンテトラ酢酸の配合量を示す。
*3:組成物中でのシクロヘキサンジアミンテトラ酢酸の状態を示す。シクロヘキサンジアミンテトラ酢酸の塩の数については、酸解離定数を参考に設定した。各成分の配合時はシクロヘキサンジアミンテトラ酢酸の状態であり、組成物中では水酸化カリウムと反応してシクロヘキサンジアミンテトラ酢酸2カリウムとなる(同仁化学研究所のプロトコル集によると20℃での酸解離定数はシクロヘキサンジアミンテトラ酢酸2カリウムのpHは3.52〜6.12の範囲であり、25℃においてもpH5ではシクロヘキサンジアミンテトラ酢酸2カリウムの状態で存在する)。表中の(C)成分の( )内の値はシクロヘキサンジアミンテトラ酢酸の配合量を示す。
*4:組成物中での1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸の状態を示す。1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸の塩の数については、酸解離定数を参考に設定した。各成分の配合時には1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸の状態であり、組成物中では水酸化カリウムと反応して1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸2カリウムとなる。表中の(C)成分の( )内の値は1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸の配合量を示す。
*5:組成物中でのリンゴ酸の状態を示す。リンゴ酸の塩の数については、酸解離定数を参考に設定した。各成分の配合時にはリンゴ酸の状態であり、組成物中では水酸化カリウムと反応してリンゴ酸カリウムとなる。表中の(C)成分の( )内の値はリンゴ酸の配合量を示す。
【0062】
(実施例50)
−薬用泡ハンドソープ−
・ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル硫酸カリウム 12質量%
・トリクロサン 0.2質量%
・ソルビット 3.5質量%
・グリセリン 12質量%
・エチレンジアミンテトラ酢酸2カリウム 0.2質量%
・硫酸又は水酸化カリウム(48質量%溶液) 適量
・アクリル酸アルキル共重合体エマルジョン(固形分25質量%) 5質量%
・スチレン重合体エマルジョン(固形分35質量%) 1.2質量%
・香料 0.2質量%
・精製水 残部
合計 100質量%
上記の組成から常法にて薬用泡ハンドソープを調製し、フォーマーポンプ容器(フォーマー部:株式会社吉野工業所製、200メッシュ2枚、ボトル部:株式会社吉野工業所製)に充填した。次に、実施例40〜49と同様にして、殺菌力(大腸菌、黄色ブドウ球菌)、泡のクリーミー性、すすぎ性、及び皮膚刺激性を評価した。結果を以下に示す。
・質量比(A/B)=12/0.2=60
・質量比(A/C)=12/0.2=60
・pH=5.1
・粘度(25℃)=7mPa・s
・大腸菌に対する殺菌力:◎
・黄色ブドウ球菌に対する殺菌力:◎
・泡のクリーミー性:◎
・すすぎ性:◎
・皮膚刺激性:◎
【0063】
(実施例51)
−ボディソープ−
・ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸カリウム 18質量%
・イソプロピルメチルフェノール 0.2質量%
・トリクロサン 0.1質量%
・プロピレングリコール 10質量%
・エチレンジアミンテトラ酢酸2カリウム 0.4質量%
・硫酸又は水酸化カリウム(48質量%溶液) 適量
・ポリオキシエチレン(11)ステアリルエーテル 0.7質量%
・アクリル酸アルキル共重合体エマルジョン(固形分25質量%) 4.6質量%
・ラウリルジメチルアミンオキシド(固形分33質量%) 2.1質量%
・塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体エマルジョン
(固形分5.5質量%) 0.6質量%
・スチレン重合体エマルジョン(固形分35質量%) 1.3質量%
・香料 0.9質量%
・精製水 残部
合計 100質量%
上記の組成から常法にてボディソープを調製し、ポンプ容器(ポンプ部:株式会社吉野工業所製、ボトル部:凸版印刷株式会社製)に充填した。次に、実施例40〜49と同様にして、殺菌力(大腸菌、黄色ブドウ球菌)、泡立ち、泡のクリーミー性、すすぎ性、及び皮膚刺激性を評価した。結果を以下に示す。
・質量比(A/B)=18/0.3=60
・質量比(A/C)=18/0.4=45
・pH=5.0
・大腸菌に対する殺菌力:◎
・黄色ブドウ球菌に対する殺菌力:◎
・泡立ち:◎
・泡のクリーミー性:◎
・すすぎ性:◎
・皮膚刺激性:◎
【0064】
(実施例52)
−薬用クレンジングフォーム−
・ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル硫酸カリウム 10質量%
・イソプロピルメチルフェノール 0.1質量%
・グリセリン 10質量%
・エチレンジアミンテトラ酢酸2カリウム 0.1質量%
・ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン(固形分30質量%) 0.5質量%
・硫酸又は水酸化カリウム(48質量%溶液) 適量
・ポリオキシエチレン(11)ステアリルエーテル 1質量%
・スチレン重合体エマルジョン(固形分35質量%) 0.2質量%
・香料 0.2質量%
・色素 0.0005質量%
・精製水 残部
合計 100質量%
上記の組成から常法にて薬用クレンジングフォームを調製し、ポンプフォーマー容器(フォーマー部:株式会社吉野工業所製、200メッシュ2枚、ボトル部:株式会社吉野工業所製)充填した。次に、実施例40〜49と同様にして、殺菌力(大腸菌、黄色ブドウ球菌)、泡のクリーミー性、すすぎ性、及び皮膚刺激性を評価した。結果を以下に示す。
・質量比(A/B)=10/0.1=100
・質量比(A/C)=10/0.1=100
・pH=5.0
・粘度(25℃)=10mPa・s
・大腸菌に対する殺菌力:◎
・黄色ブドウ球菌に対する殺菌力:○
・泡のクリーミー性:◎
・すすぎ性:◎
・皮膚刺激性:◎
【0065】
(実施例53)
−薬用シャンプー−
・ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸カリウム 16質量%
・ピロクトンオラミン 0.2質量%
・1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸2カリウム 0.2質量%
(0.15質量%)
・プロピレングリコール 5質量%
・水酸化カリウム(48質量%溶液) 適量
・カチオン化グアーガム 0.3質量%
・ポリオキシエチレン(2)ラウリン酸モノエタノールアミド 1.5質量%
・ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油 0.6質量%
・香料 0.6質量%
・精製水 残部
合計 100質量%
上記の組成から常法にて薬用シャンプーを調製し、ポンプ容器(株式会社吉野工業所製)に充填した。次に、実施例40〜49と同様にして、殺菌力(大腸菌、黄色ブドウ球菌)、泡立ち、泡のクリーミー性、すすぎ性、及び皮膚刺激性を評価した。結果を以下に示す。
・質量比(A/B)=16/0.2=80
・質量比(A/C)=16/0.2=80
・pH=5.8
・大腸菌に対する殺菌力:◎
・黄色ブドウ球菌に対する殺菌力:○
・泡立ち:◎
・泡のクリーミー性:◎
・すすぎ性:◎
・皮膚刺激性:◎
【0066】
(実施例54)
−薬用リンスインシャンプー−
・ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸カリウム 12.5質量%
・ピロクトンオラミン 0.2質量%
・シクロヘキサンジアミンテトラ酢酸2カリウム 0.2質量%
(0.17質量%)
・グリセリン 5質量%
・水酸化カリウム(48質量%溶液) 適量
・ラウリン酸アミドプロピルベタイン 4.5質量%
・ラウリルジメチルアミンオキシド 0.5質量%
・ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油 1.5質量%
・塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 0.2質量%
・塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体エマルジョン
(固形分5.5質量%) 0.05質量%
・シリコーンエマルジョン 0.5質量%
・香料 0.6質量%
・色素 0.0001質量%
・精製水 残部
合計 100質量%
上記の組成から常法にて薬用リンスインシャンプーを調製し、ポンプ容器(株式会社吉野工業所製)に充填した。次に、実施例40〜49と同様にして、殺菌力(大腸菌、黄色ブドウ球菌)、泡立ち、泡のクリーミー性、すすぎ性、及び皮膚刺激性を評価した。結果を以下に示す。
・質量比(A/B)=12.5/0.2=63
・質量比(A/C)=12.5/0.2=63
・pH=5.2
・大腸菌に対する殺菌力:◎
・黄色ブドウ球菌に対する殺菌力:○
・泡立ち:◎
・泡のクリーミー性:◎
・すすぎ性:◎
・皮膚刺激性:◎
【0067】
なお、実施例1〜54及び比較例1〜12で用いた液体洗浄剤組成物の原料の具体的な内容は、下記表3に示すとおりである。
【0068】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明の液体洗浄剤組成物は、肌のpHに近い弱酸性乃至中性領域で大腸菌及び黄色ブドウ球菌に対する殺菌力に優れ、更に泡立ち、泡のクリーミー性、及びすすぎ性に優れ、皮膚刺激性が少ないので、例えば、シャンプー、リンスインシャンプー等の毛髪用洗浄剤、ボディソープ、ハンドソープ、泡ハンドソープ、クレンジングフォーム等の皮膚用洗浄剤、台所用洗剤、衣料用洗剤などに幅広く用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸カリウム6質量%〜20質量%、
(B)ノニオン性殺菌剤、及び
(C)キレート剤のカリウム塩
を含有し、
前記(A)成分の含有量と、前記(C)成分の含有量との質量比(A/C)が、3〜200であることを特徴とする液体洗浄剤組成物。
【請求項2】
(B)成分のノニオン性殺菌剤が、トリクロサン及びトリクロカルバンの少なくともいずれかである請求項1に記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項3】
(A)成分のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸カリウムの含有量と、(B)成分のノニオン性殺菌剤の含有量との質量比(A/B)が、20〜100である請求項1から2のいずれかに記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項4】
(C)成分のキレート剤のカリウム塩が、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)のカリウム塩、シクロヘキサンジアミンテトラ酢酸(CDTA)のカリウム塩、及び1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸のカリウム塩から選ばれる少なくとも1種である請求項1から3のいずれかに記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項5】
25℃でのpHが4〜7である請求項1から4のいずれかに記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項6】
更に(D)多価アルコールを含有する請求項1から5のいずれかに記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項7】
フォーマー容器に充填されてなる請求項1から6のいずれかに記載の液体洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2013−60423(P2013−60423A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−180779(P2012−180779)
【出願日】平成24年8月17日(2012.8.17)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】