説明

液体洗浄剤製品

【課題】洗浄力、泡立ち性、すすぎ性、低温安定性および泡吐出性に優れた液体洗浄剤製品の提供。
【解決手段】泡吐出容器に液体洗浄剤組成物を収納してなる液体洗浄剤製品であって、前記液体洗浄剤組成物が、(A)両性界面活性剤及び半極性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤0.1〜5質量%と、(B)脂肪酸(塩)1.5〜5質量%と、(C)非石鹸系アニオン界面活性剤0.1〜10質量%と、(D)キレート剤と、(E)水溶性溶剤と、を含有し、前記(B)成分に対する前記(A)成分の質量比(A/B)が0.1〜0.9であり、前記(A)〜(C)成分の合計に対する前記(B)成分の質量比(B/[A+B+C])が0.15〜0.4であることを特徴とする液体洗浄剤製品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、泡吐出型容器に液体洗浄剤組成物を収納してなる液体洗浄剤製品に関する。
【背景技術】
【0002】
浴室用の洗浄剤は、浴室内の浴槽、床、壁、用具類等に使用されているプラスチック類、タイル、ステンレス、陶磁器、ガラス等の硬表面に付着する汚れを除去するために用いられることから、湯垢に対する洗浄力や、石鹸カスに対する洗浄力が求められる。湯垢は主に人体からの皮脂やタンパク質に由来し、浴槽の喫水線等に付着する。石鹸カスは、石鹸やボディーシャンプー等に含まれる脂肪酸と水道水中のカルシウム分等が結合して生成する脂肪酸金属塩で、浴槽外の床や小物等に蓄積しやすい。
浴室用の洗浄剤としては、一般的に、液状のものが用いられており、従来、様々な組成のものが提案されている。たとえば特許文献1には、界面活性剤、キレート剤、高分子化合物、溶剤及び香料を含有する浴室用液体洗浄剤組成物が開示されている。特許文献2には、N−アルキルもしくはN−アルケニルアミノ酸および/またはその塩と、ノニオン界面活性剤と、脂肪酸および/またはその塩とをそれぞれ特定量含有する浴室用液体洗浄剤組成物が開示されている。
液体洗浄剤は、通常、吐出容器に収納されて液体洗浄剤製品とされ、該吐出容器によって霧状、泡状等の形態で壁面等の洗浄面に向かってスプレーされる。該吐出容器としては、壁面等への液体洗浄剤組成物の滞留性に優れることから、泡を吐出するタイプの吐出容器(泡吐出容器)が汎用されている。泡吐出容器としては、スプレー式フォーマー容器、スクイズ式フォーマー容器等のノンエアゾール型泡吐出容器、エアゾール型泡吐出容器等が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−183698号公報
【特許文献2】特開2008−63372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
泡吐出容器に収納される液体洗浄剤には、湯垢や石鹸カスに対する洗浄力はもちろん、泡吐出時の泡立ちやすさ、壁面等の洗浄面に付着した泡の安定性等の泡立ち性が求められる。このような泡立ち性は、洗浄力を判断する重要なファクターであり、また、液体洗浄剤組成物を壁面等にしっかり滞留させるために必要な重要な性能である。さらに、掃除の利便性向上、節水の点からは、使用時(スポンジでこすっている時など)には充分な泡が立ちながらも、すすぎ性が良好であることが求められる。
泡立ち性は、たとえば界面活性剤の配合量を増やすことで向上する。しかしこの場合、すすぎ性が低下する問題がある。
すすぎ性を向上させる方法として脂肪酸(塩)を配合する方法がある。しかし、脂肪酸(塩)を添加すると、液の低温安定性が低下し、保管場所の温度が0〜−5℃程度になると濁りや沈殿が生じることがある。
また、脂肪酸(塩)を添加すると、泡吐出性が低下し、スプレー後に泡が泡吐出容器の泡吐出方向先端部分に残留しやすい問題がある。図1〜3は、トリガースプレー式フォーマー容器、スクイズ式フォーマー容器、エアゾール型泡吐出容器それぞれの泡吐出口付近の構造の一例を示す部分断面図である。図1に示すトリガースプレー式フォーマー容器100は、泡吐出口101を備えたトリガースプレー式の噴射ノズル102が、液体洗浄剤を収納する容器本体103の開口部分に取り付けられた構造を有している。図2に示すスクイズ式フォーマー容器110は、泡吐出口111を備えたスクイズ式の噴射ノズル112が、液体洗浄剤を収納する容器本体113の開口部分に取り付けられた構造を有している。図3に示すエアゾール型泡吐出容器120は、エアゾール型の噴射ノズル122が、液体洗浄剤を収納する容器本体123の開口部分に取り付けられた構造を有している。これらの容器100、110、120においては、ノズル先端部104、114、124(泡吐出口101、111、121やその近傍(たとえば泡吐出口101、111、121付近の流路内、泡吐出口101の外側の開口周縁等))に泡が残留しやすい。残留した泡は、そのまま固化して泡吐出口の詰まりの原因になることがある。詰まりの問題は、特に、脂肪酸(塩)以外の界面活性剤として、両性界面活性剤および非石鹸系アニオン界面活性剤を含有する場合に生じやすい。
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、洗浄力、泡立ち性、すすぎ性、低温安定性および泡吐出性に優れた液体洗浄剤製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する本発明は、以下の態様を有する。
[1]泡吐出容器に液体洗浄剤組成物を収納してなる液体洗浄剤製品であって、
前記液体洗浄剤組成物が、(A)両性界面活性剤及び半極性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤0.1〜5質量%と、(B)脂肪酸(塩)1.5〜5質量%と、(C)非石鹸系アニオン界面活性剤0.1〜10質量%と、(D)キレート剤と、(E)水溶性溶剤と、を含有し、
前記(B)成分に対する前記(A)成分の質量比(A/B)が0.1〜0.9であり、前記(A)〜(C)成分の合計に対する前記(B)成分の質量比(B/[A+B+C])が0.15〜0.4であることを特徴とする液体洗浄剤製品。
[2]前記(B)成分が、炭素数12の脂肪酸カリウム塩と炭素数14の脂肪酸カリウム塩との混合物を含有する、[1]記載の液体洗浄剤製品。
[3]前記(A)成分が、炭素数12〜14のアルキル基を有するアルキルジメチルアミンオキシドを含有する、[1]または[2]に記載の液体洗浄剤製品。
[4]前記(C)成分が、炭素数10〜14の直鎖状のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸塩を含有する、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の液体洗浄剤製品。
[5]前記(D)成分が、エチレンジアミン四酢酸(塩)を含有する、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の液体洗浄剤製品。
[6]前記(E)成分が、ジエチレングリコールモノブチルエーテルを含有する、[1]〜[5]のいずれか一項に記載の液体洗浄剤製品。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、洗浄力、泡立ち性、すすぎ性、低温安定性および泡吐出性に優れた液体洗浄剤製品を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】トリガースプレー式フォーマー容器の一例を示す部分断面図である。
【図2】スクイズ式フォーマー容器の一例を示す部分断面図である。
【図3】エアゾール型泡吐出容器の一例を示す部分断面図である。
【図4】泡吐出容器の一実施形態において、泡吐出口を備える噴射ノズルのノズル先端部と、そこに取り付けられたノズルカバーの、泡吐出方向前方からの斜視図である。
【図5】図4に示すノズルカバーが備える壁部材の泡吐出方向先端部の形状、ならびに該壁部材と、噴射ノズルが備えるトラック楕円形状の造泡筒との位置関係を説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の液体洗浄剤製品は、泡吐出容器に液体洗浄剤組成物(以下、単に洗浄剤組成物ということがある。)を収納してなる液体洗浄剤製品であって、前記洗浄剤組成物が、(A)両性界面活性剤及び半極性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤0.1〜5質量%と、(B)脂肪酸(塩)1.5〜5質量%と、(C)非石鹸系アニオン界面活性剤0.1〜10質量%と、(D)キレート剤と、(E)水溶性溶剤と、を含有し、前記(B)成分に対する前記(A)成分の質量比(A/B)が0.1〜0.9であり、前記(A)〜(C)成分の合計に対する前記(B)成分の質量比(B/[A+B+C])が0.15〜0.4であることを特徴とする。
【0009】
≪液体洗浄剤組成物≫
<(A)成分>
(A)成分は、両性界面活性剤及び半極性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤である。(A)成分は、主に、湯垢洗浄力および泡立ち性の向上に寄与する。
(A)成分の種類は特に限定されず、公知の両性界面活性剤及び半極性界面活性剤のなかから適宜選択できる。たとえば両性界面活性剤として具体的には、アルキルベタイン型、アルキルアミドベタイン型、イミダゾリン型、アルキルアミノスルホンベタイン型、アルキルアミノカルボン酸型、アルキルアミドカルボン酸型、N−アシルアミノ酸塩、N−アシルメチルタウリン塩、アルキルアミノ酸型、リン酸型等が挙げられる。半極性界面活性剤として具体的には、アルキルアミンオキサイド型、アルキルアミドアミンオキサイド型等が挙げられる。これらの界面活性剤はいずれか1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
(A)成分としては、上記の中でも、アルキルアミノカルボン酸型両性界面活性剤、アルキルアミンオキサイド型半極性界面活性剤が好ましく、アルキルアミンオキサイド型半極性界面活性剤が特に好ましい。
アルキルアミノカルボン酸型両性界面活性剤としては、炭素数12〜14のアルキル基を有するものが好ましく、その具体例としては、ラウリン酸アミドプロピル−N,N−ジメチル−酢酸ベタイン、ミリスチン酸アミドプロピル−N,N−ジメチル−酢酸ベタイン、コカミドアミドプロピル−N,N−ジメチル酢酸ベタイン等が挙げられる。
アルキルアミンオキサイド型半極性界面活性剤としては、炭素数8〜18のアルキル基を有するアルキルジメチルアミンオキサイドが好ましく、炭素数12〜14のアルキル基を有するアルキルジメチルアミンオキサイドがより好ましい。それらの具体例としては、ラウリルジメチルアミンオキシド、ミリスチルジメチルアミンオキシド、ヤシジメチルアミンオキシド等が挙げられる。
洗浄剤組成物中、(A)成分の配合量は、洗浄剤組成物の総質量に対し、0.1〜5質量%であり、0.5〜3質量%がより好ましい。配合量が0.1質量%未満では湯垢洗浄力や泡立ち性の向上効果が乏しく、配合量が5質量%を超えると、泡吐出性が低下し、使用時に、泡吐出容器の泡吐出口が詰まりやすい傾向がある。
【0010】
<(B)成分>
(B)成分は、脂肪酸(塩)である。(B)成分は、主に、すすぎ性および泡吐出性の向上に寄与する。
「脂肪酸(塩)」は、脂肪酸およびその塩いずれか一方または両方を意味する。以下、「(塩)」という場合は同様の意味を有するものとする。
脂肪酸は、飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でもよく、飽和脂肪酸が好ましい。その炭素数は12〜16の脂肪酸が好ましく、12〜14がより好ましい。具体例としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、それらの2種以上の混合物(たとえばヤシ脂肪酸)等が挙げられる。
脂肪酸の塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン塩等が挙げられる。これらの中でもカリウム塩が好ましい。
(B)成分は、1種単独でも2種以上の混合物でもよい。
(B)成分としては、特に、炭素数12の脂肪酸カリウム塩と炭素数14の脂肪酸カリウム塩との混合物が好ましい。なかでも、該混合物中における炭素数12の脂肪酸カリウム塩の割合が、炭素数14の脂肪酸カリウム塩よりも少ない(C14>C12)ものが好ましい。このような混合物を含有すると、すすぎ性がさらに向上する。
洗浄剤組成物中、(B)成分の配合量は、洗浄剤組成物の総質量に対し、1.5〜5質量%であり、2〜4質量%がより好ましい。配合量が1.5質量%未満ではすすぎ性や泡吐出性の向上効果が乏しく、配合量が5質量%を超えると、低温安定性が低下する場合がある。
【0011】
<(C)成分>
(C)成分は、非石鹸系アニオン界面活性剤である。(C)成分は、主に、湯垢洗浄力および泡立ち性の向上に寄与する。
(C)成分の種類は特に限定されず、公知の非石鹸系アニオン界面活性剤のなかから適宜選択できる。具体的には、たとえばアルキルベンゼンスルホン酸(塩)、アルカンスルホン酸(塩)、硫酸アルキル(塩)、硫酸アルキルポリオキシエチレン(塩)、α−オレフィンスルホン酸(塩)、アルキルフェノキシフェニルジスルホン酸(塩)、α−スルホ脂肪酸(塩)、エーテルカルボン酸(塩)、リン酸アルキル(塩)、リン酸アルキルポリオキシエチレン(塩)、ジアルキルスルホコハク酸エステル(塩)、スルホコハク酸アルキル(塩)、アルケニルコハク酸(塩)等が挙げられる。
塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン塩等が挙げられる。
これらの界面活性剤はいずれか1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
(C)成分としては、上記の中でも、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキレンオキシド付加アルキル又はアルケニルエーテル硫酸塩が好ましく、アルキルベンゼンスルホン酸塩がより好ましい。なかでも、炭素数10〜14の直鎖状のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸塩が好ましい。
洗浄剤組成物中、(C)成分の配合量は、洗浄剤組成物の総質量に対し、0.1〜10質量%であり、2〜6質量%がより好ましい。配合量が0.1質量%未満では泡立ち性や湯垢洗浄力の向上効果が乏しく、配合量が10質量%を超えると、すすぎ性が低下する場合がある。
【0012】
<(D)成分>
(D)成分は、キレート剤である。(D)成分は、主に、石鹸カス洗浄力の向上に寄与する。
(D)成分の種類は特に限定されず、公知のキレート剤のなかから適宜選択できる。具体的には、たとえば有機カルボン酸類、アミノカルボン酸類、ホスホン酸類、ホスホノカルボン酸類、リン酸類等が挙げられる。
有機カルボン酸類は、カルボキシ基を有する化合物であり、該カルボキシ基は塩を形成していてもよい。有機カルボン酸類は、官能基としてカルボキシ基のみを有するものであってもよく、カルボキシ基以外の官能基を有するものであってもよい。カルボキシキ以外の官能基を有する有機カルボン酸類としては、たとえばヒドロキシカルボン酸(塩)が挙げられる。有機カルボン酸類の具体例としては、たとえば酢酸、アジピン酸、モノクロル酢酸、シュウ酸、コハク酸、オキシジコハク酸、カルボキシメチルコハク酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、グリコール酸、ジグリコール酸、乳酸、酒石酸、カルボキシメチル酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、グルコン酸、それらの塩等が挙げられる。
アミノカルボン酸類としては、ニトリロトリ酢酸、イミノジ酢酸、エチレンジアミンテトラ酢酸、ジエチレントリアミノペンタ酢酸、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン酢酸、エチレンジアミンテトラプロピオン酢酸、トリエチレンテトラヘキサ酢酸、エチレングリコールジエーテルジアミンテトラ酢酸、ヒドロキシエチルイミノジ酢酸、シクロヘキサン−1,2−ジアミンテトラ酢酸、メチルグリシン二酢酸、それらの塩等が挙げられる。
ホスホン酸類としては、エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸およびその誘導体、1−ヒドロキシエタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸、それらの塩等が挙げられる。
ホスホノカルボン酸類としては、2−ノスホノブタン−1,2−ジカルボン酸、1−ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸、α−メチルホスホノコハク酸、それらの塩等が挙げられる。
リン酸類としては、オルソリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、メタリン酸、ヘキサメタリン酸、フィチン酸等の縮合リン酸、それらの塩等が挙げられる。
塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン塩等が挙げられる。
これらのキレート剤はいずれか1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
(D)成分としては、上記の中でも、アミノカルボン酸類、ホスホン酸類が好ましく、アミノカルボン酸類がより好ましい。なかでもエチレンジアミンテトラ酢酸塩が好ましい。
洗浄剤組成物中、(D)成分の配合量は、特に限定されないが、石鹸カス洗浄力に優れることから、洗浄剤組成物の総質量に対し、0.5〜10質量%が好ましい。配合量が0.5質量%未満では泡立ち性や湯垢洗浄力の向上効果が乏しく、配合量が10質量%を超えると、すすぎ性が低下する場合がある。
【0013】
<(E)成分>
(E)成分は、水溶性溶剤である。(E)成分は、主に、湯垢に対する洗浄力、低温安定性等の向上に寄与する。また、(D)成分とともに、石鹸カスに対する洗浄力の向上に寄与する。
「水溶性溶剤」とは、20℃で液体の化合物であって、20℃の蒸留水1000gに1g以上溶解する化合物を示す。「溶解する」とは、均一な溶液となることを示す。
(E)成分としては、一般に他の物質を溶解する用途で用いられている任意の水溶性溶剤が利用でき、たとえば、アルコール類、エーテル類等が挙げられる。
アルコール類としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール等の1価アルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコール、グリセリン、等が挙げられる。
エーテル類としては、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のアルキルグリコールエーテル、イソステアリルグリセリルエーテル等のアルキルグリセリルエーテル、アルキルエーテルカルボン酸アミドアルコール、フェノキシエタノール等が挙げられる。
これらの溶剤はいずれか1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
(E)成分としては、上記の中でも、エーテル類が好ましく、アルキルグリコールエーテルがより好ましい。なかでも、ジエチレングリコールモノブチルエーテルが好ましい。
洗浄剤組成物中、(E)成分の配合量は、特に限定されないが、洗浄剤組成物の総質量に対し、2〜10質量%が好ましく、5〜10質量%がより好ましい。配合量が少なすぎると、石鹸カス洗浄力や低温安定性の向上効果が乏しく、配合量が10質量%を超えると、泡立ち性が低下する場合がある。
【0014】
洗浄剤組成物中、(B)成分に対する(A)成分の質量比(A/B)は、0.1〜0.9であり、0.2〜0.6が好ましい。
A/Bが0.9超であると、泡吐出性および低温安定性が悪くなる。これは、洗浄剤組成物がゲル化しやすくなるためと考えられる。ゲル化は、たとえば泡吐出口付近に溜まった液が乾燥した時に泡吐出口付近の詰まりの原因となる。A/Bが0.9以下となるように(B)成分を含有することで、ゲル化が抑制され、泡吐出性や低温安定性の向上につながると考えられる。
一方、A/Bが0.1未満である場合も、泡吐出性および低温安定性が悪くなる。これは、(B)成分の割合が多くなり(B)成分自身がゲル化しやすい性質を有するためと考えられる。
【0015】
洗浄剤組成物中、(A)〜(C)成分の合計に対する(B)成分の質量比(B/[A+B+C])は、0.15〜0.4であり、0.3〜0.4が好ましい。
B/[A+B+C]が0.15未満であるとすすぎ性が低下する傾向がある。B/[A+B+C]が4を超えると、すすぎ性は良好であるものの、低温安定性が悪化し、泡立ち性も低下する傾向がある。
【0016】
洗浄剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、前記(A)〜(E)成分以外の他の成分を含有してもよい。該他の成分としては、たとえば以下に示すものが挙げられる。
[a.非イオン性界面活性剤]
湯垢洗浄力の向上等の目的で、さらに、非イオン性界面活性剤を含有してもよい。
非イオン性界面活性剤の種類は特に限定されず、公知の非イオン性界面活性剤のなかから適宜選択できる。具体的には、たとえばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、アルキルポリグルコシド、脂肪酸ポリグリセリンエステル、脂肪酸ショ糖エステル、脂肪酸アルカノールアミド等が挙げられる。これらの非イオン界面活性剤はいずれか1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0017】
[b.高分子化合物]
粘度調整、泡調整、表面改質等の目的で、さらに、非イオン性界面活性剤を含有してもよい。
高分子化合物の種類は特に限定されず、配合目的に応じて公知の高分子化合物のなかから適宜選択できる。高分子化合物は、天然高分子、合成高分子、合成高分子のいずれも利用でき、たとえば天然高分子としては、アラビアガム、トラガントガム、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、アルギン酸、カラギーナン等が挙げられる。半合成高分子としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒトロキシプロピルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カチオン化セルロース等が挙げられる。合成高分子としては、ポリアクリル酸、ポリ−α−ヒドロキシアクリル酸、アクリル酸系共重合体、アクリル酸エステル系共重合体、メタクリル酸エステル系、ノニオン系ポリアクリルアミド、アニオン系ポリアクリルアミド、カチオン系ポリアクリルアミド、ポリアミノアルキルメタクリレート、アクリルアミド/アクリル酸共重合体、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、スルホン化マレイン酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリエーテル変性シリコン等が挙げられる。
【0018】
[c.その他配合成分]
さらに、必要に応じて、香料、色素、除菌剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可溶化剤、pH調整剤等を配合できる。これら成分は、それぞれ、通常、洗浄剤に使用されるものならどのようなものであっても良く、特に限定されるものではない。
【0019】
洗浄剤組成物の調製方法は、特に制限されるものではなく、通常の液体洗浄剤組成物と同様、常法に準じて調製できる。例えば上記(A)〜(E)成分およびその他の任意成分、更に適宜水を配合し、これらを混合することによって調製することができる。
洗浄剤組成物のpHは、特に限定されるものではないが、環境への影響や使用者の安全性を考慮すると、25℃におけるpHが5〜9であることが好ましい。洗浄剤組成物のpHは、pH調整剤等で調整できる。
【0020】
<泡吐出容器>
前記洗浄剤組成物を収納する泡吐出容器としては、内容物である液体洗浄剤組成物を泡状に吐出する泡吐出機構を備えるものであれば特に限定されず、公知の泡吐出容器が利用でき、たとえば、高圧ガスで泡を吐出するエアゾール型泡吐出容器、ノンエアゾール型泡吐出容器等が挙げられる。これらの中でも、使用性や環境への影響の点から、ノンエアゾール型泡吐出容器が好ましい。
ノンエアゾール型泡吐出容器は、内容物を空気と混合することにより泡状にして吐出する容器で、フォーマー容器とも称される。ノンエアゾール型泡吐出容器は、通常、洗浄剤組成物を収容する容器本体と、容器本体の開口に取り付けられ、容器本体内に収容された洗浄剤組成物を泡状にして外部に放出する噴射ノズルとを備えている。
噴射ノズルが容器本体内の洗浄剤組成物を泡状にする機構としては、噴射ノズルの先端に組み込まれた造泡筒部分に、容器本体から液体を導入し、該液体を造泡筒の壁部で衝突させて乱流を発生させ、空気との混合を促進するもの、噴射ノズルの前面に障壁やメッシュを配置して泡状にするもの等が一般的である。泡を生成するための空気は容器外部から導入される。これらの機構の詳細な構造については、従来公知のものが適用でき、特に限定されない。
ノンエアゾール型泡吐出容器としては、たとえばスプレー式フォーマー容器、スクイズ式フォーマー容器、ポンプ式フォーマー容器等が挙げられる。これらの中でも、浴室、浴槽を洗浄する際の使用性の点で、スプレー式フォーマー容器が好ましい。スプレー式フォーマー容器としては、たとえば、トリガースプレー式、ポンプスプレー式等が挙げられ、中でもトリガースプレー式が好ましい。
泡吐出容器の泡の吐出形態としては、特に限定されず、これまで提案されている任意のものを利用でき、たとえば略真円形状、楕円形状、帯形状等の様々な吐出形態のものを利用できる。ここで、「吐出形態」とは、吐出された洗浄剤組成物により、洗浄対象物(浴槽、浴室内の床、壁及び用具類等)の表面に形成されるパターンの形状である。吐出形態としては、これらの中でも、楕円形状または帯形状が好ましい。この場合、たとえば浴槽の内側側面の喫水線の位置に横長に付着するように泡を吐出させ、喫水線に蓄積する汚れに対して液体洗浄剤組成物を効果的に作用させることができる。
【0021】
特に好ましいスプレー式泡吐出容器の具体例として、特開2008−63372号公報に開示されるような、液体(洗浄剤組成物)を収容する容器本体と、該容器本体内に収容された液体を外部に放出する噴出口(泡吐出口)を備えた噴射ノズルと、該噴射ノズルの外側壁に取り付けられたノズルカバーとを備える液体噴射容器が挙げられる。該ノズルカバーは、噴射ノズルの外側壁に嵌合する嵌合部および噴射ノズルの噴出口を露出させる開口部を備える筒状のカバー本体と、前記カバー本体の周囲を囲む壁部材とを備え、該壁部材が、前記噴出口から放出される液体の噴出範囲を拡大させる形状を有している。このノズルカバーが設けられることで、洗浄剤組成物を洗浄対象物に吹き付けた際に、その付着が、広範囲で、均一なものとなるようになっている。
図4に、前記液体噴射容器の一実施形態において、噴射ノズルのノズル先端部と、そこに取り付けられたノズルカバーの、泡吐出方向前方からの斜視図を示す。図4中、符号1は噴射ノズルを示し、符号2はノズルカバーを示す。
図4に示す噴射ノズル1は、泡吐出口1aと、泡吐出口1aを取り囲むように、泡吐出口1aの開口面から泡の吐出方向に延在する楕円形状の造泡筒1bとを有する。
造泡筒1bは、所定の吐出形態を実現するために設けられており、噴射ノズル1による吐出形態は、造泡筒1bの形状と同様に、幅広のトラック楕円形状となる。
造泡筒1bの内側には、図示しない空気導入孔が複数設けられている。該空気導入孔は、噴射ノズル1の外壁に開口する空気導入部1cへ通じており、空気導入部1cおよび空気導入孔を介して造泡筒1bの内側に、泡を形成するための空気が導入されるようになっている。
ノズルカバー2は、噴射ノズル1の泡吐出口1aを露出させる楕円状の開口を有する筒状のカバー本体2bと、カバー本体2bの周囲を囲む壁部材2cとが一体化された構造を有する。
カバー本体2bの後端部の壁面には、切欠3が形成されており、噴射ノズル1の外側壁には凸部4が形成されている。この凸部4に切欠3を係止させることでノズルカバー2が噴射ノズル1に取り付けられている。
壁部材2cは、ノズルカバー2を噴射ノズル1に装着した際に、カバー本体2bおよび噴射ノズル1をともに内側に納めるようになっており、噴射ノズル1の先端から液体の噴出方向に向けて、その断面積が漸次拡大する異径(上下、左右の径寸法が異なる)のラッパ状(楕円形状)となっている。
このような壁部材2cが取り付けられていると、コアンダ効果によって、噴霧ノズル1から吐出された泡の流れる方向が、吐出直後の方向よりも壁部材2c方向寄りの方向に変化し、壁部材2cが取り付けられていない場合よりも、洗浄対象物の表面に付着する泡の面積が増大する。
【0022】
図5を用いて、ノズルカバー2が備える壁部材1cの泡吐出方向先端部の形状、ならびに該壁部材1cと造泡筒1bとの位置関係を説明する。図5(a)は、ノズルカバー2において、泡の吐出方向先端部を吐出方向前方から見た上面図であり、図5(b)は、壁部材1cの吐出方向先端部の長径方向における縦断面図であり、図5(c)は、壁部材1cの吐出方向先端部の短径方向における縦断面図である。
図5(a)中、Yは造泡筒1bの長辺方向の内径であり、Zは造泡筒1bの短辺方向の内径である。 図5(b)中、pは、吐出方向先端における壁部材2cの長辺方向の内径であり、qは、カバー本体2bの開口を含む平面と同一平面上における壁部材2cの長辺方向の内径であり、rは、カバー本体2bの開口面から壁部材2cの吐出方向先端面までの高さである。 図5(c)中、sは、吐出方向先端における壁部材2cの短辺方向の内径であり、tは、カバー本体2bの開口を含む平面と同一平面上における壁部材2cの短辺方向の内径である。
YおよびZの値はそれぞれ特に限定されないが、通常、Yは7〜10mmの範囲内であり、Zは3〜4mmの範囲内である。
YおよびZが上記範囲内である場合、pは、qの+1〜+8mmの範囲内であることが好ましい。該範囲内であると、コアンダ効果が生じやすく、泡の付着面積の増大効果に優れる。
pは、YおよびZが上記範囲内である場合、30〜37mmの範囲内であることが好ましく、35〜37mmの範囲内であることがより好ましい。
qは、YおよびZが上記範囲内である場合、26〜32mmの範囲内であることが好ましく、28〜30mmの範囲内であることがより好ましい。
rは、YおよびZが上記範囲内である場合、2〜8mmの範囲内であることが好ましく、4〜5.5mmの範囲内であることがより好ましい。
sは、特に限定されないが、YおよびZが上記範囲内である場合、18〜22mmの範囲内であることが好ましい。
tは、特に限定されないが、YおよびZが上記範囲内である場合、17〜21mmの範囲内であることが好ましい。
なお、上記実施形態では造泡筒が楕円形状である例を示したが、造泡筒の形状は所望する吐出形態に応じて決定でき、たとえば帯形状または略略真円形状であってもよい。
【0023】
本発明の液体洗浄剤製品は、泡吐出容器に洗浄剤組成物を収納することにより製造できる。
本発明の液体洗浄剤製品の使用方法は特に限定されず、一般的な液体洗浄剤製品と同様の方法で使用できる。
【0024】
本発明の液体洗浄剤製品において泡吐出容器に収納される液体洗浄剤組成物は、湯垢や石鹸カスに対する洗浄力、泡立ち性、すすぎ性、低温安定性および泡吐出性に優れたものである。これらの特性の向上には(A)〜(E)成分が相乗的に作用していると考えられるが、湯垢洗浄力向上には主に(A)成分および(C)成分が寄与し、石鹸カス洗浄力向上には主に(D)成分および(E)成分が寄与し、泡立ち性の向上には主に(A)〜(C)成分が寄与し、すすぎ性には主に(B)成分が寄与し、低温安定性および泡吐出性には主にA/B、B/[A+B+C]、(E)成分等が寄与していると考えられる。
たとえば本発明では、(B)成分を従来に比べ多量である1.5%〜5%の範囲で含有し、かつ、B/[A+B+C]を0.15〜0.4の範囲にすることで低温安定性(同時に泡吐出性)が良好となる。(B)成分を単に増量しただけでは、すすぎ性は向上するものの低温安定性は悪化する。(A)成分の添加や、(E)成分の添加による可溶化によって低温安定性は改善される傾向はあるものの充分ではない。
また、泡吐出容器を用いる場合、上述したように、泡吐出後に泡吐出口やその近傍(泡吐出口付近の流路内や泡吐出口の開口周縁等)に洗浄剤組成物の泡が残留し、そのまま固化すると詰まりの原因になることがある。(B)成分自身、吐出容器から吐出後に水分が揮発すると固まりやすい性質を持っているが、特に、洗浄力と泡立ち、さらにはすすぎ性を良好にするために(A)成分、(B)成分および(C)成分を多量に配合した洗浄剤組成物を泡吐出容器に収納した場合、スプレー後に吐出口が詰まり易い。この現象は、(B)成分を配合しない場合はさほど問題にならないが、特に、すすぎ向上のため(B)成分を配合した場合には、泡吐出口付近のつまり現象が顕著なものとなりやすい。本発明では、上記のように(B)成分を比較的多量に含有する組成物において、A/B比を0.1〜0.9、B/[A+B+C]を0.15〜0.4とすることで、低温安定性が向上するとともに、泡吐出口の詰まりが劇的に低減する。詳細は不明であるが、(A)成分は(B)成分や(C)成分と相互作用(複合体を形成)を有し、ゲル化や増粘することが知られているが、(B)成分が1.5%以上含む特定量の範囲内で、かつ、これらの界面活性剤との特定比率の範囲となることで、複合体の形成を阻害し、吐出口つまりの原因の1つである、吐出後の水分の揮発による組成物のゲル化や増粘がおこりにくくなったためと推定される。ただし、1.5質量%を超える割合で(B)成分を含有する場合は、A/BやB/[A+B+C]が上記範囲内であっても、泡吐出口の詰まりの抑制効果は得られない。
このような液体洗浄剤組成物を泡吐出容器に収納し、泡状にして吐出させ、洗浄面に付着させると、付着した液体洗浄剤組成物が泡の状態で洗浄面に長時間滞留するため、液体洗浄剤組成物が有する洗浄力が充分に発揮される。また、泡吐出容器を用いることから、浴室内の広い範囲に容易に液体洗浄剤組成物を付着させることができ、利便性が高い。洗浄後は、短時間ですすぎが完了することができ、浴室掃除の利便性向上、節水の点から有用である。
また、本発明の液体洗浄剤製品は、低温安定性および泡吐出性に優れることから、保管時や使用後において泡吐出容器内の液体洗浄剤組成物の濁りや沈殿、泡吐出容器の詰まり等の発生が抑制されている。
本発明の液体洗浄剤製品は特に、浴室用として有用である。ただし本発明はこれに限定されず、浴室用以外の用途に用いられるものであってもよい。浴室用以外の用途としては、たとえば洗面台やトイレの便器内等が挙げられる。
【実施例】
【0025】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下の各例で使用した原料を以下に示す。
【0026】
〔使用原料〕
<(A)成分>
アルキルジメチルアミンオキシド:n−ドデシルジメチルアミンオキサイド(ライオンアクゾ(株)製アロモックスDM12D−W)。
アルキルジメチルアミドプロピルアミンオキシド:ラウリルジメチルアミドプロピルアミンオキシド(下記合成例1で合成した合成品)。
アシルアミドプロピルベタイン:ラウリン酸アミドプロピルベタイン(一方社油脂工業製LPB−30)。
アルキルヒドロキシスルホベタイン:ラウリルヒドロキシスルホベタイン(花王(株)製Amphitol 20HD)。
アルキルアミノプロピオン酸Na:ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム(一方社油脂工業(株)製アンフォラックL−18)。
【0027】
[合成例1]
(1−1.ラウリン酸ジメチルアミノプロピルアミドの合成)
撹拌器、温度計、及び還流冷却器を備えた1リットルの四ツ口フラスコに、脂肪酸エステルとしてラウリン酸メチルエステル300g(ライオンケミカル製、パステルM12、分子量214)を仕込み、60℃にて窒素置換(13kPaに減圧後、常圧・窒素戻し)を2回行った後、180℃に昇温し、ジメチルアミノプロピルアミン(BASF製、以下「DMAPA」と略記する)186g(ラウリン酸メチルエステルに対するモル比:1.3)を3時間かけて滴下した。DMAPAの滴下中から滴下終了後、5時間まで180〜190℃に保持して反応物を調製した。反応により副生したメタノールは冷却器に80℃の温水を流すことにより系外へ留去し、DMAPAは還流させた。その後、180〜190℃に保持したまま、4.0kPaに減圧し、1時間保持することにより未反応のDMAPAを留去し、ラウリン酸ジメチルアミノプロピルアミドを得た。
【0028】
(1−2.ラウリルジメチルアミドプロピルアミンオキシドの合成)
撹拌機、温度計、還流式冷却器を備えた1リットルの四ツ口フラスコに、有効成分が30%になるように、上記にて合成したラウリン酸ジメチルアミノプロピルアミド200g(アミン価から算出した分子量286)、精製水200gを仕込み、撹拌しながら75℃で8.3%過酸化水素(三菱瓦斯化学、45%品を精製水で希釈したもの、対アミン1.05モル比)56gを2時間かけて滴下した。滴下終了後、85℃にて5時間熟成し、有効成分30.1%のラウリルジメチルアミドプロピルアミンオキシドを得た。
【0029】
<(B)成分>
ラウリン酸K:ラウリン酸カリウム(日光ケミカルズ製NIKKOL LK−120)。
ミリスチン酸K:ミリスチン酸カリウム(日本油脂製ヤシ脂肪酸を水酸化カリウム水溶液にて中和したもの)。
ヤシ脂肪酸K:ヤシ脂肪酸カリウム(ライオンケミカル製ヤシ脂肪酸カリウム(30%水溶液))。
ミリスチン酸Na:ミリスチン酸ナトリウム(日光ケミカルズ製NIKKOL MK−140)。
【0030】
<(C)成分>
(c1):テイカ製テイカポールNE1230(炭素数12〜14のアルキル基を有するポリオキシエチレン(平均3モル)アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム)。
(c2):炭素数10〜14の直鎖状のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(テイカ製テイカパワーL121)を水酸化ナトリウムにて中和したもの)。
(c3):ライオン製リポランLJ−443(炭素数14のα−オレフィンスルホン酸ナトリウム)。
【0031】
<(D)成分>
EDTA:エチレンジアミンテトラ酢酸2ナトリウム(アクゾノーベル製ディゾルビンNA2)。
MGDA:メチルグリシン二酢酸・3ナトリウム(BASF製Trilon M Powder)。
HEDP:1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸ナトリウム(ローディア製BRIQUEST ADPA−60SH)。
【0032】
<(E)成分>
DEMB:ジエチレングリコールモノブチルエーテル(日本乳化剤製ブチルジグリコール(95))。
フェノキシエタノール:フェノキシエタノール(日本乳化剤製フェニルグリコール)。
アルキルグリセリルエーテル:イソステアリルグリセリルエーテル(花王製ベネトール GE−IS)。
【0033】
<実施例1〜34、比較例1〜15>
表1〜5に示す(A)〜(E)成分およびバランス量の水を混合することにより、表1〜5に示す組成の洗浄剤組成物を調製した。
表1〜5中、各成分の配合量は、洗浄剤組成物(100質量%)中の割合(質量%)である。水のバランス量は、洗浄剤組成物の全量が100質量%となる量である。
得られた洗浄剤組成物について、以下の評価を行った。結果を表1〜5に示す。
【0034】
<泡立ち性・すすぎ性の評価>
ウレタン製のスポンジに、洗浄剤組成物10g(通常使用量設定)又は30g(過剰使用量設定)と水道水40gとを含ませた。このスポンジを用い、約10g/cmの荷重をかけながら、繊維強化プラスチック(FRP)製の浴槽(以下、FRP浴槽という。FRP浴槽の内側の寸法:100×75×65cm)の内側全面を円を描くようにこすった。
FRP浴槽の内側全面をこすり終えた後、こすった場所に付着した泡の状態から下記の評価基準により泡立ち性を評価した。なお、泡立ち性の評価は、通常使用量設定の場合のみ行い、過剰使用量設定の場合は行わなかった。
続いて、FRP浴槽の排水口を開けた状態で、その内側のすすぎを開始した。すすぎは、シャワーを用いて水道水(温度20℃、流量10L/分)で行った。
すすぎを開始した時点から、排水口周辺から泡が完全に消えるまでの時間を測定し、これをすすぎ時間とした。このすすぎ時間から下記の評価基準によりすすぎ性を評価した。
【0035】
[泡立ち性の評価基準]
◎:こすった場所全体に泡が残っている。
○:泡立ちにムラはあるが、全体に泡が残っている。
△:ところどころに、わずかに泡が残っている。
×:ほとんど泡が残っていない。
【0036】
[すすぎ性の評価基準]
◎:すすぎ時間が30秒未満。
○:すすぎ時間が30秒以上45秒未満。
△:すすぎ時間が45以上60秒未満。
×:60秒経過しても泡が消えない。
【0037】
<洗浄力の評価>
{a.湯垢汚れの除去状態の観察}
一般家庭の浴槽内側壁面にFRP製テストピース(3×10cm)を固定した後、成人男性1名、女性1名、小学生男児2名がそれぞれ2回入浴(1日につき1回入浴し、2日間繰り返し、その間風呂水は入れ替えずに沸かし直して使用)し、汚れ(湯垢汚れ)を付着させた。この湯垢汚れが付着したテストピースを充分乾燥させた後、洗浄剤組成物(原液)が全面濡れるように約20gスプレー(ライオン株式会社。商品名「おふろのルック」のトリガースプレーを使用)し、30秒間放置した後、水道水(15℃)ですすぎ流した。次いで、充分乾燥させた後、テストピース表面の湯垢汚れの除去状態を目視で観察した。
【0038】
{b.石鹸カス汚れの除去状態の観察}
一般家庭の浴室で3ヶ月間使用し、容易に除去できない石鹸カス汚れが付着したポリプロピレン製の洗面器を、洗浄剤組成物(原液)を5g含浸させたウレタン製のスポンジを用い、約20g/cmの加重を掛けながら5回往復こすった後、水道水(20℃)ですすぎ流した。次いで、充分乾燥させた後、洗面器表面の石鹸カス汚れの除去状態を目視で観察した。
【0039】
上記2種の汚れの除去状態の観察結果から、下記の評価基準により洗浄力を評価した。
[洗浄力の評価基準]
◎:湯垢汚れ、石鹸カス汚れともに汚れが残らず落ちる。
○:湯垢汚れ、石鹸カス汚れのいずれかが、わずかに汚れが残る。
△:湯垢汚れ、石鹸カス汚れのいずれかがところどころに汚れが残る。
×:湯垢汚れ、石鹸カス汚れともにほとんど汚れが落ちない。
【0040】
<泡吐出性>
泡吐出容器として、特開2008−63372号公報の実施例に記載の噴射ノズルA〜Hのうち、噴射ノズルBを備えたトリガースプレー式泡吐出容器を用意した。この噴射ノズルBは、図5に示す吐出方向先端部の形状において、Yが8.5mm、Zが3.5mm、pが36mm、rが4.5mm、qが29.0mm、sが19.2mm、tが18.2mmであるものである。
このトリガースプレー式泡吐出容器に各例の洗浄剤組成物を収納して液体洗浄剤製品とした。
得られた液体洗浄剤製品を用い、スプレーを10回連続で行った後、液体洗浄剤製品をそのまま50℃の乾燥機内に入れて2時間乾燥させた。この一連の操作を5回繰り返し、5回目の操作後、液体洗浄剤製品を乾燥機から取り出し、室温で1時間放置した。その後、泡吐出口周辺における固形物の付着状態を目視で観察するとともに、スプレーを再度行って泡吐出口の詰まり状態を確認した。その結果から、下記評価基準で泡吐出性を評価した。なお、下記評価基準においてスプレーパターンの乱れが発生している場合、吐出口内部に部分的に固形物が付着した状態であることを示している。
【0041】
[泡吐出性の評価基準]
◎:泡吐出口周辺に固形物の付着がみられない。また、泡が吐出され、そのスプレーパターンも通常通りである。
○:泡吐出口周辺に固形物の付着はみられない。また、泡は吐出されるが、そのスプレーパターンが乱れる。
△:泡吐出口周辺に固形物の付着がみられる。また、泡は吐出されるが、そのスプレーパターンが乱れる。
×:泡吐出口周辺に固形物が付着の付着がみられる。また、詰まって泡が吐出されない。
【0042】
<低温安定性>
各洗浄剤組成物100mLを、容量100mLの容器に入れ、−5℃にて7日間保存した後、各洗浄剤組成物の液外観を目視で観察し、その結果から、下記の評価基準で低温安定性を評価した。
[低温安定性の評価基準]
◎:外観上変化無し。
○:濁りを生じるが室温放置すると透明に戻る。
△:白色沈殿を生じる。
×:室温でも白色沈殿を生じる。
【0043】
【表1】

【0044】
【表2】

【0045】
【表3】

【0046】
【表4】

【0047】
【表5】

【0048】
上記結果に示すとおり、実施例1〜34は、泡立ち性、すすぎ性、洗浄力、泡吐出性、低温安定性すべての評価で良好(◎または○)な結果が得られた。
一方、(A)成分を含有しない比較例1は洗浄力が悪く、泡吐出性、低温安定性も不良で、(A)成分の含有量が6質量%の比較例2は泡吐出性が悪く、低温安定性も不良であった。(B)成分の含有量が1質量%の比較例3はすすぎ性および泡吐出性が悪く、(B)成分の含有量が7質量%の比較例4は低温安定性が悪かった。(C)成分を含有しない比較例5は洗浄力および低温安定性が悪く、(C)成分の含有量が12質量%の比較例6は、過剰使用量設定時のすすぎ性、泡吐出性、低温安定性が不良であった。(E)成分を含有しない比較例7は洗浄力および低温安定性が悪く、(D)成分を含有しない比較例8は洗浄力が悪かった。
また、A/B比が0.03の比較例9は洗浄力、泡吐出性、低温安定性も不良で、A/B比が1.3の比較例10は泡吐出性が悪く、低温安定性も不良であった。B/[A+B+C]が0.60の比較例11は低温安定性が悪く、B/[A+B+C]が0.12の比較例12はすすぎ性が不良であった。
また、比較例13は、洗浄力が低く、泡吐出性、低温安定性が不良であり、比較例14〜15は泡吐出性が悪かった。これは、B/[A+B+C]またはA/Bが大きいことと、(B)成分として使用したヤシ脂肪酸(C12の脂肪酸カリウム塩とC14の脂肪酸カリウム塩との混合物)中のC12の割合がC14よりも多いためではないかと推測される。
【符号の説明】
【0049】
1…噴射ノズル、1a…泡吐出口、1b…造泡筒、1c…空気導入部、2…ノズルカバー、2b…カバー本体、2c…壁部材、3…切欠、4…凸部、101…泡吐出口、102…泡吐出口、103…泡吐出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
泡吐出容器に液体洗浄剤組成物を収納してなる液体洗浄剤製品であって、
前記液体洗浄剤組成物が、(A)両性界面活性剤及び半極性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤0.1〜5質量%と、(B)脂肪酸(塩)1.5〜5質量%と、(C)非石鹸系アニオン界面活性剤0.1〜10質量%と、(D)キレート剤と、(E)水溶性溶剤と、を含有し、
前記(B)成分に対する前記(A)成分の質量比(A/B)が0.1〜0.9であり、前記(A)〜(C)成分の合計に対する前記(B)成分の質量比(B/[A+B+C])が0.15〜0.4であることを特徴とする液体洗浄剤製品。
【請求項2】
前記(B)成分が、炭素数12の脂肪酸カリウム塩と炭素数14の脂肪酸カリウム塩との混合物を含有する、請求項1記載の液体洗浄剤製品。
【請求項3】
前記(A)成分が、炭素数12〜14のアルキル基を有するアルキルジメチルアミンオキシドを含有する、請求項1または2に記載の液体洗浄剤製品。
【請求項4】
前記(C)成分が、炭素数10〜14の直鎖状のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸塩を含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の液体洗浄剤製品。
【請求項5】
前記(D)成分が、エチレンジアミン四酢酸(塩)を含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の液体洗浄剤製品。
【請求項6】
前記(E)成分が、ジエチレングリコールモノブチルエーテルを含有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の液体洗浄剤製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−131951(P2012−131951A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287269(P2010−287269)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】