説明

液体浄化装置、それを備えた液体制御弁及び液体供給システム

【課題】高純度液体に含まれるバクテリア等の微量な有機物を除去するとともに、簡易に設置することができる液体浄化装置を提供すること。
【解決手段】液体浄化装置12を構成する流路ブロック21は、透明に形成されている。流路ブロック21に形成された液体流路32の内面には、光触媒層36が設けられている。流路ブロック21の管状部37にはLED41の取付基板42が設けられ、流路ブロック21と光照射部22とが一体的に組みつけられている。LED41が発した紫外光は透明な管状部32を透過して光触媒層36に照射され、光触媒層36を活性化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光触媒によって高純度液体に対して滅菌等の浄化を行う液体浄化装置、それを備えた流体制御弁及び液体供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体、フラットパネルディスプレイ(FPD)及び太陽電池等の製造プロセスでは、各種薬液や純水等の液体を用いて、ウエハやパネル等に対する処理が行われている。そこでは、微細な粒子(パーティクル)の存在がウエハやパネルに形成される回路に障害をもたらすため、使用される液体には極めて高い純度が要求されている。
【0003】
ところで、前記パーティクルには、粉塵等の無機物だけでなく、バクテリア等の有機物も含まれる。このようなバクテリア等の有機物は、純水の流通を止めて流路中に滞留させることで繁殖を開始する。そして、こうした有機物が微量でも純水中に存在すれば、要求される純度を維持できなくなるという問題が生じる。このような問題は、純水ではなく薬液であってもその濃度によっては同様に生じ得る。
【0004】
そこで、従来、純水等の高純度液体中の有機物増加という問題を回避すべく、高純度液体をユースポイントへ供給する液体供給システムでは、その液体通路の途中に設けられる開閉弁として、バイパス流路を備えたものが用いられている(特許文献1〜3参照)。これにより、開閉弁の主流路が閉じられた場合でも、バイパス流路を通じて高純度液体が少量ながらも流し続けられるため、液体通路内に高純度液体が滞留することを防ぎ、バクテリア等の有機物が微量でも増加することを抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公平2−40365号公報
【特許文献2】特開平6−221457号公報
【特許文献3】特開2007−46725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来技術のように、バイパス流路を通じて高純度液体の流通を継続すれば、ウエハやパネルに対する処理として高純度液体が使用されない場合にも、その高純度液体を送り出すポンプ等、液体供給システムを構成する各種装置を駆動させることが必要となる。つまり、それら各種装置の常時駆動が必要となる。また、その間に消費された高純度液体は回収されて再利用されることになるが、その再利用のためのコストが余分に必要となる。このため、従来技術には、ランニングコストを増加させてしまうという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、高純度液体に微量に含まれるバクテリア等の有機物を除去するとともに、簡易に設置することができる液体浄化装置を提供することを主たる目的とし、もって、高純度液体が使用されない場合にその流通を完全に止めてランニングコストを低減させるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために、以下の手段を採用した。
【0009】
すなわち、第1の発明では、液体浄化装置として、高純度液体を流通させる液体流路、該液体流路への流入口及び流出口を有する流路ブロックと、前記液体流路内に設けられて、該液体流路中の前記高純度液体と接する光触媒部と、前記流路ブロックと一体的に組み付けられ、前記光触媒部に照射する光を発生させる光源を有する光照射部と、を備えた。
【0010】
この第1の発明によれば、流入口から流入した高純度液体は液体流路を流通して流出口に至る際、その液体流路内に設けられた光触媒部に接する。その光触媒部では、光照射部の光が照射されると、光触媒作用(光触媒分解作用)を引き起こす。この作用により、高純度液体の流通中に光触媒部に光を照射すれば、流通する高純度液体に含まれるバクテリア等の微量の有機物は光触媒部に接して分解、除去される。
【0011】
したがって、この液体浄化装置を、半導体製造プロセス等、高純度液体が使用される状況下に用いれば、滞留により高純度であった液体中に微量な有機物が含まれることになっても、その微量な有機物を分解、除去され、もとの高純度な状態へと浄化できる。その結果、高純度液体が使用されない場合にはその流通を完全に止めることができるようになり、ランニングコスト低減に役立てる。
【0012】
しかも、液体流路が形成された流路ブロックと、光触媒部に光を照射する光照射部とが一体的に組み付けられて、一個の装置として完結している。このため、流路ブロックや光照射部をそれぞれ個別に設置するのと異なり、液体浄化装置の設置を簡易に行うことができる。
【0013】
第2の発明では、前記液体流路のうち、少なくとも前記光触媒部の下流側では、その光触媒部の設置部分と流路断面が同一となるように形成されている。
【0014】
この第2の発明によれば、少なくとも光触媒部の下流側ではその光触媒部の設置部分と流路断面が同一に形成されているため、光触媒部を通過した後の液体流路に液溜まりができにくい状態となっている。これにより、光触媒部で浄化された液体が再び滞留して、バクテリア等の有機物を増加させる要因をなくせる。
【0015】
第3の発明では、前記流路ブロックは、前記液体流路の延びる方向の一部が薄肉化されてなる管状部を有し、前記光照射部は凹状に形成された前記管状部の外周部に設置されるとともに、少なくとも前記管状部は、前記光照射部の光が前記光触媒部に照射されるようにその光を透過する光透過部とされている。
【0016】
この第3の発明によれば、光照射部が凹状に形成された管状部の外周部に設置されているため、流路ブロックと光照射部とが一体的に組み付けられてなるこの装置をコンパクト化することができる。しかも、管状部が少なくとも光透過部とされ、その管壁の薄い部分を光が透過して光触媒部に照射されるため、光照射部で発せられた光が光透過部を透過する際の光量低下を抑制できる。これにより、光触媒部での分解作用を促進できる。なお、前記光触媒部は、少なくともこの管状部の範囲内で設けられることが好ましい。
【0017】
第4の発明では、前記光照射部の光源は、前記液体流路の周方向に複数設けられている。
【0018】
この第4の発明によれば、光触媒部には液体流路の周方向において、複数方向から光が照射されるため、光触媒を活性化させる上で単方向からの光照射に比べて十分な光量を確保することができる。
【0019】
第5の発明では、前記光照射部の光源は有機EL素子を有する発光シートであり、その発光シートが筒状をなすようにして前記管状部の外周面に設けられている。
【0020】
この第5の発明によれば、液体流路に設けられた光触媒部には管状部の周方向全域からくまなく光が照射されるため、光触媒部に対して均等に光を照射できる。これにより、液体流路に設けられた光触媒部の全域で光触媒分解作用が得られる。
【0021】
第6の発明では、前記光触媒部として、前記液体流路の内面に、該流路の流路断面の全域にわたって薄膜状の光触媒層が設けられているとした。
【0022】
この第6の発明によれば、液体流路の内面に設けられた光触媒層が光触媒部とされているため、構成を簡易化できるという点で好適である。しかも、光触媒層は薄膜状に形成されているため、光触媒部を液体流路内に設けたとしても液体の流通を阻害しない点でも好適である。
【0023】
第7の発明では、前記液体流路内に、該流路の延びる方向を回動軸心とするスクリュ部材が回動自在に設けられ、前記光触媒部として、前記スクリュ部材の外表面に光触媒層が設けられている。
【0024】
この第7の発明によれば、液体の流通に伴ってスクリュ部材が回動し、その回動によって液体が攪拌されるため、液体に含まれるバクテリア等の有機物がスクリュ表面の光触媒層と接触する機会が増える。これにより、光触媒層での浄化効果を向上させることができる。また、流路内面に光触媒層を設けた前述の構成と併用すると、光触媒層の表面積が増加する。これにより、より広範囲で光触媒分解が行われることになり、液体の浄化効果を向上させることができる。
【0025】
なお、このスクリュ部材を回動させる回転駆動機構が設置された構成を採用してもよい。これにより、スクリュ部材を積極回転させれば、その回転数次第で液体の攪拌効果を向上させたり、液体の流通を促進させたりすることができる。
【0026】
第8の発明では、前記液体流路内には、該流路外の光源から光が供給されて側面発光する光ファイバが設けられ、前記光触媒部として、前記光ファイバの外周面に薄膜状の光触媒層が設けられているとした。
【0027】
この第8の発明によれば、前記光照射部で発せられる光だけでなく、光ファイバの側面(外周面)からも光が発せられるため、光ファイバ表面の光触媒層に照射される光量が増加する。これにより、光触媒層での光触媒分解作用が一層促進され、液体の浄化効果を向上させることができる。この場合も、流路内面に光触媒層を設けた前述の構成と併用すれば、光触媒層の表面積増加による浄化効果向上も得られる。
【0028】
なお、前記光ファイバの設置構成としては、長尺状をなす前記光ファイバが前記液体流路の延びる方向に沿って配置されるとともに、該方向の両端部で前記液体流路内に設けられた光ファイバ支持部に支持されており、前記光ファイバ支持部には流通孔が形成されていることが好ましい。これにより、流通する液体中で、光ファイバの支持と液体流通の確保が可能となる。
【0029】
第9の発明では、前記流路ブロックには、前記流入口又は流出口が設けられた端部に、液体の流通を制御する液体制御弁との弁接続構造を有し、その弁接続構造としてH形シール部材が用いられている。
【0030】
この第9の発明によれば、弁接続構造を利用して液体浄化装置を流体制御弁と接続し、それと一体化させることができる。これにより、液体浄化装置を一体化させた液体制御弁が得られるため、両者間に接続用配管を不要として省スペース化に寄与できる。しかも、弁接続構造にはH形シール部材が用いられているため、Oリング等の他のシール部材が用いられた場合と異なり、接続部分で液溜まりが形成されない。これにより、微量なバクテリア等の有機物の発生をも防止するのに有効な接続構造となっている。
【0031】
第10の発明のように、前記高純度液体として主として用いられるのは純水である。半導体製造プロセス等においては、パーティクル含有に関して高純度な液体である純水が用いられるが、その純水はバクテリア等の有機物が発生しやすい。そこで、微量な有機物の除去を行う上記液体浄化装置の浄化対象として、この純水を用いることが好適となる。
【0032】
第11の発明では、弁体の開閉によって液体の流通を制御する液体制御弁であって、上記いずれか一の液体浄化装置における前記流入口に接続される弁側流出口と、浄化装置接続構造と、を備えた。
【0033】
この第11の発明によれば、浄化装置接続構造を用いて液体浄化装置と一体化された液体制御弁が得られる。このような浄化装置が一体型側の液体制御弁であれば、液体供給システム等に簡易に設置することができる。
【0034】
第12の発明では、液体供給源から液体供給先まで高純度液体を流通させる液体通路と、前記液体通路の途中に設けられた上記第11の発明である液体制御弁と、前記液体供給先へ液体供給を開始するのに合わせて光照射が行われるよう、前記液体浄化装置における前記光照射部を制御する浄化装置制御手段と、を備えた液体供給システムとした。
【0035】
この第12の発明によれば、高純度液体を供給先に供給する液体供給システムに第11の発明である液体制御弁が設置されているため、高純度であった液体中に微量なバクテリア等の有機物が含まれていても、それが分解、除去された状態で液体供給先に供給される。これにより、高純度液体が使用されない場合には液体供給システムでの液体の流通を完全に止めてもよくなり、ランニングコストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】浄化装置一体型開閉弁を示す断面図。
【図2】液体供給システムの基本構成を示す回路図。
【図3】液体浄化装置の別形態を示す断面図。
【図4】液体浄化装置の別形態を示す断面図。
【図5】液体浄化装置の別形態を示す断面図。
【図6】液体浄化装置の別形態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下に、本発明を具体化する実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0038】
この実施形態における液体浄化装置は、光触媒作用を利用して液体を浄化する装置である。光触媒作用とは、酸化チタン(TiO2)等の光触媒活性化物質が紫外光の照射を受けることで、それに接する有機物を分解するというものである。この作用を利用し、流通する液体中に含まれるバクテリア等の有機物を分解除去し、その液体を浄化する。
【0039】
かかる液体浄化装置は、半導体等の製造プロセスにおいて、純水や薬液等の高純度液体をユースポイントに供給する液体供給システムに設置される。液体供給システムの液体通路には、その途中に液体通路を開閉する開閉弁が設けられる。本実施形態における液体浄化装置は、この開閉弁と一体化されて液体通路の途中に設置されるようになっている。図1は、その浄化装置一体型開閉弁を示す断面図である。
【0040】
図1に示されているように、浄化装置一体型開閉弁11は、前述したとおり液体浄化装置12と開閉弁13とが接続されて一体化されている。このうち、液体浄化装置12は、流路ブロック21と、光照射部22とを備え、それらが一体的に組み付けられた構成となっている。
【0041】
流路ブロック21は全体として横長の直方体形状をなし、PFA等のフッ素樹脂を材料として、光(特に、紫外光)の透過性を付与すべく透明に形成されている。この流路ブロック21には、その長手方向の両側部にそれぞれ流路開口部31a,31bが設けられ、これら両流路開口部31a,31bに通じる液体流路32が前記長手方向に沿って直線状に形成されている。液体流路32は、その流路32が延びる方向に沿って同一の流路断面を有する。流路ブロック21の長手方向両端部のうち一方の側は、流路ブロック21に弁接続用端面33が形成されており、その弁接続用端面33に前記流路開口部31aが設けられている。その流路開口部31aの開口断面は液体流路32の流路断面と同一となっており、開口縁部にはH形シール部材14用の収容溝34が形成されている。これに対し、他方の側では、流路開口部31bの側方に、パイプ状の配管接続部35が設けられている。この配管接続部35には、前記液体流路32につながる配管が接続されるようになっている。
【0042】
前記液体流路32には、その内面に光触媒部としての光触媒層36が設けられている。その形成領域は、流路内面の周方向においてはその全域、液体流路32の延びる方向においては前記光照射部22の設置部分を少なくとも含む領域である。図示では、製造のしやすさといった観点から、液体流路32から配管接続部35の流路にわたる全域に光触媒層36が形成されている。光触媒層36は薄膜であり、蒸着等の適宜の方法によって流路内面にコーティングされている。なお、図1では比率を無視し、所定の厚みをもって図示されている。この光触媒層36は、酸化チタン(TiO2)等の光触媒活性化物質を材料として形成され、紫外光を照射することにより、その表面において有機物が二酸化炭素と水に分解される光触媒分解作用を発揮する。
【0043】
前記流路ブロック21は、前記液体流路32の延びる方向の大部分が薄肉化されている。流路ブロック21が薄肉化されることで、その部分の表面は外周全域にわたり液体流路32に接近するように凹状となり、これにより管状部37が形成されている。管状部37の凹状をなす外周部分は収容凹部38とされ、その収容凹部38に前記光照射部22が設けられている。
【0044】
光照射部22は、光源となるLED41と、そのLED41が取り付けられた取付基板42とを有している。LED41には、前記光触媒層36の光触媒活性化物質に光触媒分解作用を引き起こさせるため、紫外光を発するものが用いられている。取付基板42はLED41が取り付けられたLED取付面42aを内側として前記収容凹部38に収容され、その収容状態ではLED41が前記管状部37の外周面と対峙している。取付基板42には、液体流路32の延びる方向に沿って複数(図示では4個)のLED41が取り付けられるとともに、管状部37の周方向に沿っても複数のLED41が取り付けられている。このため、管状部37の周方向でも、複数方向(例えば、4方向や8方向)から液体流路32に向けて紫外光が発せられる。また、取付基板42の外表面にはケーブル接続部43が設けられ、そのケーブル接続部43には、取付基板42に形成された回路を通じてLED41へ電源供給したり、その点灯制御を行ったりするためのケーブル44が接続されている。
【0045】
前記流路ブロック21は、前述したように、その全体に光透過性を付与されているから、前記管状部37でも光透過性を有する。このため、管状部37の外周側に配置されたLED41で紫外光が発せられると、その紫外光が管状部37を透過して前記液体流路32の内面に設けられた光触媒層36に照射される。これにより、光触媒層36の光触媒活性化物質は活性化され、光触媒分解作用を引き起こす。そして、液体流路32を流通する液体にバクテリア等の有機物が微量に含まれている場合には、この光触媒分解作用により、その有機物が分解される。ちなみに、有機物の分解によって生成されるのは二酸化炭素及び水であるため、その分解生成物がパーティクルとはならない。これにより、流通する液体を浄化させることができる。
【0046】
次に、上記構成を有する液体浄化装置12が接続された開閉弁13の構成について、同様に図1を参照しながら説明する。
【0047】
図1に示されているように、開閉弁13は、流路ブロック51と、ダイアフラム弁体52と、該ダイアフラム弁体52を駆動する弁体駆動部53とを備え、それらが一体に組み付けられた構成となっている。
【0048】
流路ブロック51は略直方体形状をなし、前記液体浄化装置12の流路ブロック21と同様に、PFA等のフッ素樹脂を材料として形成されている。なお、光透過性については液体浄化装置12のものと同じである必要はない。流路ブロック51には、その一対の側部にそれぞれ外開口部61a,61bが設けられ、それら各外開口部61a,61bに通じる液体流路62が形成されている。液体流路62はその途中に前記ダイアフラム弁体52が設けられ、ダイアフラム弁体52を境にして第1流路62aと第2流路62bとに分けられている。
【0049】
第1流路62aにおいて、その外開口部61aの側方にはパイプ状の配管接続部63が設けられ、第1流路62aにつながる配管が接続されるようになっている。これに対し、第2流路62bの外開口部61bは、流路ブロック51に接続用端面64が形成され、その接続用端面64で開口している。その外開口部61bの開口断面は第2流路62bの流路断面と同一となっており、開口縁部にはH形シール部材14用の収容溝65が形成されている。
【0050】
第1流路62a及び第2流路62bは、そのダイアフラム弁体52側の流路端(外開口部61と逆側の流路端)が弁駆動部取付面51aで開口している。当該弁駆動部取付面51aにおいて、第1流路62aの弁体側開口部66aはその面の中央部に設けられ、その開口周囲を囲うように第2流路62bの弁体側開口部66bが形成されている。そして、第1流路62aの前記流路端部分は筒状部67となるように形成され、その先端部が弁座68となっている。この弁座68に対し、前記ダイアフラム弁体52のボス部71が当接又は離間することにより、流路間が連通又は遮断される。
【0051】
なお、第1流路62aにおける屈曲部を除く部分、及び第2流路62bにおける弁体側開口部66bを除く部分では、その流路断面が前記液体浄化装置12の液体流路32と同じとなるように形成されている。
【0052】
ここで、ダイアフラム弁体52はPTFE等のフッ素樹脂により構成され、ボス部71と、周縁部72と、その両者の間に形成されたダイアフラム膜部73とを有している。ボス部71は、前述したように、前記弁座68に対して当接又は離間して流路間を開閉する部分であり、周縁部72は前記流路ブロック51と前記弁体駆動部53とに狭持される部分である。
【0053】
前記弁体駆動部53は、このダイアフラム弁体52を駆動させる構造部であり、シリンダボディ81とそのカバー82とを有している。シリンダボディ81には、ピストンロッド83が収容されている。ピストンロッド83は、その中心軸線が前記第1流路62aの弁体側流路端を形成する筒状部67と同軸となるように配設され、その軸線方向に沿って摺動可能となっている。ピストンロッド83の弁体側端部は、ダイアフラム弁体52のボス部71と連結されている。このため、ピストンロッド83の摺動に伴ってダイアフラム弁体52が駆動することにより、そのボス部71は弁座68に当接又は離間する。ピストンロッド83とカバー82との間には、コイルバネ84が配設されている。このため、ピストンロッド83は、ボス部71を弁座68に当接させて閉弁する方向(図の下方)に常に付勢されている。したがって、本実施形態の開閉弁13はノーマルクローズ式のものである。
【0054】
ピストンロッド83のピストン部83aによって区画されたシリンダボディ81内の空間部のうち、弁体側は圧力制御室85となっており、その圧力制御室85にはエア導入ポート86及びエア流路87を介して、外部のエア供給源から操作エアが導入される構成となっている。この場合、圧力制御室85内のエア圧力が上昇することにより、ピストンロッド83がコイルバネ84の付勢力に抗して移動(図の上方に移動)する。なお、圧力制御室85の気密性は、シール部材88によって保持されている。このため、圧力制御室85に操作エアが導入されると、ピストンロッド83が移動してダイアフラム弁体52のボス部71が弁座68から離れる。これにより、ボス部71と弁座68との間の隙間を通じて第1流路62aと第2流路62bとの間が連通し、両流路間を液体が流通する。
【0055】
上記構成を有する開閉弁13と、最初に説明した液体浄化装置12とは両者が接続されて一体化されている。シール収容溝34,65にH形シール部材14を介在させた状態で、液体浄化装置12の前記弁接続用端面33と、開閉弁13の前記接続用端面64とが当接され、図示しない固定ボルト等の固定手段によってその当接状態が維持されている。
【0056】
このため、液体浄化装置12では、弁接続用端面33、シール収容溝34及びH形シール部材14を含む流路ブロック21の構造が弁接続構造とされている。同様に、開閉弁13では、接続用端面64、シール収容溝65及びH形シール部材14を含む流路ブロック51の構造が浄化装置接続構造となっている。なお、液体浄化装置12と開閉弁13との接続構造としては、係合部及び被係合部を設ける等、他の接続構造を採用してもよい。
【0057】
この場合、前述したように、開閉弁13の第2流路62bと、液体浄化装置12の液体流路32とは同じ流路断面を有する。そして、両流路32,62bの接続部分でも、H形シール部材14の内周面により流路が形成され、流路断面の同一性が維持されている。このため、開閉弁13の第2流路62bから液体浄化装置12の液体流路32にわたる全域が、同一の流路断面となっている。
【0058】
続いて、上記浄化装置一体型開閉弁11を利用した、液体供給システムの基本構成について、図2を参照しながら説明する。図2は、その液体供給システムの基本構成の一例を示す回路図である。なお、ここで説明するシステム構成は、浄化装置一体型開閉弁11の機能を説明するのに必要な基本部分だけである。実際の液体供給システムは、この基本構成に加えてフィルタ装置や他の液体制御弁等の各種装置が設置されたり、分岐通路が設けられたりして適宜構成される。
【0059】
図2に示されているように、液体供給システム91は、高純度液体が流通する液体通路92と、ポンプ装置93と、上記浄化装置一体型開閉弁11とを備えている。また、これら各装置の動作を制御するコントローラ94も有している。
【0060】
ポンプ装置93は、例えば、ダイアフラム等の可撓性膜を用いた圧送ポンプ等、周知の装置が用いられ、液体供給源LKから液体供給先であるユースポイント95に向けて高純度液体を送り出す。ポンプ装置93はコントローラ94からの制御信号により、その駆動又は停止が制御される。浄化装置一体型開閉弁11は、前記ポンプ装置93の二次側(下流側)かつ前記ユースポイント95の近傍において、開閉弁13が一次側(上流側)となるように設けられている。
【0061】
したがって、開閉弁13の第1流路62aが一次側流路であり、第2流路62bが二次側流路となっている。そして、この第2流路62bを流通した高純度液体が、液体浄化装置12の液体流路32に至る。この場合、開閉弁13及び液体浄化装置12において、それぞれ一次側となった外開口部61a及び流路開口部31aが流入口であり、外開口部61b及び流路開口部31bが流出口となっている。また、外開口部61bは開閉弁13が有する流出口としての弁側流出口に相当する。
【0062】
また、浄化装置一体型開閉弁11がユースポイント95の近傍に設けられていることにより、両者間の液体通路92は比較的短い経路となっている。このため、液体浄化装置12を通過して浄化されて高純度液体となった液体は、浄化による新鮮さを保持しながらユースポイント95に供給される。これにより、バクテリア等の有機物の発生が抑制される。
【0063】
開閉弁13のエア導入ポート86は、電磁切換弁96及び圧力制御弁97を介してエア供給源AKと接続されている。この電磁切換弁96は、エア導入ポート86が大気開放される状態を通常とし、コントローラ94からの制御信号を受けて、エア導入ポート86に操作エアが導入される状態への切換を行う。通常の大気開放状態では、ノーマルクローズ方式の開閉弁13により液体通路92が遮断される。一方、操作エアがエア導入ポート86に導入されると、開閉弁13が閉状態から開状態に切り換えられ、高純度液体の流通が可能な状態となる。
【0064】
以上より、この液体供給システム91では、液体供給源LKの高純度液体は、ポンプ装置93、開閉弁13、液体浄化装置12を経由してユースポイント95に導かれるようになっている。また、液体浄化装置12は、そのケーブル44を通じて光照射部22がコントローラ94と接続され、コントローラ94からの制御信号により、光照射部22のLED41が点灯制御されるようになっている。このコントローラ94が、浄化装置制御手段に相当する。
【0065】
この液体供給システム91において、コントローラ94は次のような制御を実施する。
【0066】
まず、ユースポイント95への液体供給を停止する場合には、電磁切換弁96への切換信号の送信を停止するとともに、ポンプ装置93に停止信号を送信する。これにより、液体通路92は開閉弁13によって遮断されるとともに、ポンプ装置93による高純度液体の送り出しが停止する。この状態では、液体通路92内の高純度液体は滞留し、バクテリア等の有機物が増殖し得る状態となる。
【0067】
続いて、ユースポイント95への液体供給を再開する場合には、電磁切換弁96に切換信号を送信するとともに、ポンプ装置93に駆動信号を送信する。これにより、ポンプ装置93により液体供給源LKから高純度液体が送り出され、ユースポイント95への液体供給が行われる。
【0068】
ここで、液体供給を停止していた時間が長時間(例えば、1日程度)に及んだ場合には、滞留していた液体通路92内の高純度液体中でバクテリア等の有機物が増加し、その純度は低下して、もはや高純度液体とはいえない状態となっている。かかる液体をそのままの状態で、半導体等の製造プロセスに使用することはできない。そこで、この液体をもとの高純度状態に回復させるべく、コントローラ94は前述した各信号を送信するのに合わせて、液体浄化装置12の光照射部22に点灯信号を送信する。すると、液体浄化装置12ではLED41によって光触媒層36に紫外光が照射され、その光触媒層36では光触媒活性化物質が活性化して光触媒分解作用を引き起こす。この光触媒分解作用により、液体中に含まれるバクテリア等の有機物は二酸化炭素及び水に分解される。このため、光触媒層36が設けられた液体流路32を流通した液体は浄化され、高純度液体として液体浄化装置12から流出する。したがって、滞留によって純度が低下した液体は、半導体等の製造プロセスに使用できる程度の高純度液体としてユースポイント95に供給される。
【0069】
なお、液体浄化装置12よりも二次側の液体通路92内で滞留していた液体は、液体供給の再開後、液体浄化装置12を通過しないでユースポイント95に供給されるため、純度を回復させることができない。この液体については、製造プロセスに使用しないまま回収対象となる。もっとも、前述したように、液体浄化装置12はユースポイント95の近傍に設置されているため、回収対象となるのは少量で済む。
【0070】
液体供給再開後に再び高純度液体の供給を停止する場合には、コントローラ94は前述したポンプ装置93等の制御の他、光照射部22に消灯信号を送信してLED41を消灯させる。
【0071】
以上より、本実施形態によれば、以下に示す有利な効果が得られる。
【0072】
(1)液体浄化装置12では、流路ブロック21に形成された液体流路32の内面に光触媒層36が形成されている。この光触媒層36は、光照射部22で発せられた光が透明な管状部37を透過して照射されると、光触媒作用(光触媒分解作用)を引き起こす。流入した液体に含まれるバクテリア等の有機物は、この光触媒作用により分解、除去されるため、液体を浄化できる。
【0073】
この液体浄化装置12を用いた液体供給システム91では、滞留により高純度であった液体中に微量なバクテリア等の有機物が含まれて純度が低下しても、その微量な有機物が液体浄化装置12で分解、除去され、もとの高純度な液体に浄化できる。そして、この高純度液体がユースポイント95に供給されることになる。これにより、高純度液体が使用されない場合にその流通を完全に止めることでき、ランニングコスト低減に役立てる。
【0074】
なお、半導体製造プロセス等においては、パーティクル含有に関して高純度な液体である純水が用いられるが、特に、その純水はバクテリア等の有機物が発生しやすい。そこで、高純度液体として純水を用いられた場合に好適となる。
【0075】
(2)液体浄化装置12は、光触媒層36を有する液体流路32が形成された流路ブロック21と、光触媒層36に光を照射する光照射部22とが一体的に組み付けられて、一個の装置として完結している。このため、液体供給システム91に対し、流路ブロック21や光照射部22をそれぞれ個別に設置するのと異なり、液体浄化装置12の設置を簡易に行うことができる。
【0076】
(3)液体浄化装置12では、液体流路32は同流路32が延びる方向に沿った全域で同一の流路断面を有し、また流路開口部31a,31bもそれと同一となる開口断面を有する。このため、光触媒層36の通過前後で液体流路32に液溜まりができにくい状態となっている。これにより、光触媒層36の形成領域へ液体をスムーズに導入できるのはもとより、光触媒層36で浄化されて高純度となった液体が再び滞留して、バクテリア等の有機物を増加させる要因もなくすことができる。
【0077】
(4)液体浄化装置12では、流路ブロック21の一部が薄肉化されて管状部37が形成され、凹状となるその管状部37の外周部に光照射部22が設置されている。このように、凹状部分を利用して光照射部22が一体的に組み付けられているため、装置をコンパクト化することができる。しかも、管壁の薄い管状部37を光が透過して光触媒層36に照射されるため、光照射部22で発せられた光が管壁を透過する際の光量低下を抑制し、光触媒層36での分解作用を促進できる。
【0078】
(5)液体浄化装置12では、液体流路32の内面に、流路断面の全域にわたって薄膜状の光触媒層36が設けられている。このため、液体流路32内に光触媒部を設ける場合にその構成を簡易化できるという点で好適である。しかも、光触媒層36は薄膜状に形成されているため、液体の流通を阻害しない点でも好適である。
【0079】
(6)液体浄化装置12では、流路ブロック21に弁接続用端面33やH形シール部材14を含む弁接続構造が設けられ、開閉弁13との接続が可能となっている。一方、開閉弁13でも、流路ブロック51に接続用端面64やH形シール部材14を含む浄化装置接続構造が設けられ、液体浄化装置12との接続が可能となっている。これら接続構造を利用することで、両者が一体化されているため、その間の接続用配管を不要として省スペース化を図れる。
【0080】
また、液体浄化装置12と開閉弁13との接続構造にはH形シール部材14が用いられているため、Oリング等の他のシール部材が用いられた場合と異なり、接続部分で液溜まりが形成されない。これにより、微量なバクテリア等の有機物の発生をも防止するのに有効な接続構造となっている。
【0081】
(7)浄化装置一体型開閉弁11では、開閉弁13の流出側となる第2流路62b及び外開口部61bから、液体浄化装置12の流入側となる流路開口部31a及び液体流路32に至るまで同一の流路断面となっている。このため、ダイアフラム弁体52を通過した液体は、開閉弁13の第2流路62bから液体浄化装置12の液体流路32へ、途中で液溜まりが形成されることなくスムーズに流通できる。したがって、この点でも微量なバクテリア等の有機物の発生をも抑制できる構造となっている。
【0082】
なお、以上説明した実施の形態に限らず、例えば以下に別例として示した形態で実施することもできる。
【0083】
[液体浄化装置の別形態]
浄化装置一体型開閉弁11のうち、液体浄化装置12に関して、他にも実施形態を考え得る。そのいくつかの例を、図3乃至図6に示した液体浄化装置の断面図を参照しながら説明する。なお、基本構成は同じであるから、異なる構成を中心に説明する。
【0084】
(a1)図3に示されているように、第1の別形態としての液体浄化装置101は、液体流路内にスクリュ部材102が配設されたものである。ここでは、開閉弁13が一次側であることを前提とする。
【0085】
流路ブロック21には、下流側となる配管接続部35側の端部で液体流路32を区画する区画壁部103が設けられている。区画壁部103には、それにより液体流路32が塞がれないように流通孔104が形成され、この流通孔104を通じて液体流路32での液体の流通が確保されている。この区画壁部103の上流側端面の中央部にはスクリュ軸支部が設けられ、液体流路32の延びる方向を回動軸とするスクリュ部材102が回動自在に軸支されている。スクリュ部材102は光照射部22による光照射範囲内のほぼ全域にわたる長さを有し、その表面には光触媒部としての光触媒層102aが設けられている。そして、液体流路32の内面に設けられた光触媒層36は薄膜であってそれ自身が光透過性を有している。このため、管状部37を透過したLED41の紫外光は流路内面の光触媒層36だけでなく、スクリュ部材102の表面の光触媒層102aにも照射される。
【0086】
この形態の液体浄化装置101では、液体流路32内のスクリュ部材102にも光触媒層102aが存在することで、液体と接触する光触媒層36,102aの表面積が大きくなる。これにより、より広範囲で光触媒分解が行われることになり、液体の浄化効果を向上させることができる。また、液体の流通に伴うスクリュ部材102の回動により液体が攪拌されるため、液体に含まれるバクテリア等の有機物が光触媒層36,102aと接触する機会も増え、それによる浄化効果の向上も期待できる。さらに、スクリュ部材102が回動不能な状態で設置しても液体を流通させることは可能であるが、それを回動させることによって液体の流通も促進される。
【0087】
(a2)図4に示されているように、第2の別形態としての液体浄化装置111は、上記第1別形態の液体浄化装置101において、前記スクリュ部材102を回動させる回転駆動機構を備えたものである。回転駆動機構は、スクリュ部材102の羽根部に設けられた永久磁石112と、光照射部22のLED取付面42aに設けられ、前記永久磁石112の外方に配置されるコイル部113とを備えている。このコイル部113には、ケーブル接続部43に接続されたケーブル44から取付基板42の回路を通じて駆動電流が供給され、それにより回転磁界を発生させる。この回転磁界を永久磁石112が受けることにより、スクリュ部材102は積極的に回転する。
【0088】
この形態の液体浄化装置111では、回転駆動機構によりスクリュ部材102を積極回転させることにより、第1別形態の液体浄化装置101と同様の効果を得るだけでなく、回転数次第で液体の攪拌効果を向上させたり、液体の流通を促進させたりすることができる。
【0089】
(a3)上記実施形態の液体浄化装置12は、光照射部22の光源としてLED41を用いているが、光源はそれ以外のものを利用してもよい。例えば、図5に示されているように、第3の別形態としての液体浄化装置121では、有機EL素子を有する発光シート122が用いられている。この発光シート122についても、紫外光を発するものが用いられる。そして、発光シート122は、管状部37の外周面に沿ってその全域に巻き付けられた状態で設置されている。
【0090】
この形態の液体浄化装置121では、管状部37の外周面全域で発光シート122による紫外光の照射がなされるため、液体流路32の内面全域に設けられた光触媒層36の周方向全域にくまなく紫外光を照射できる。これにより、照射される紫外光の光量が少ない部分が存在せず、光触媒層36の全体を活性化して十分な光触媒分解作用が得られる。
【0091】
(a4)図6に示されているように、第4の別形態としての液体浄化装置131は、光触媒層の表面積及び紫外光の光量の両者をより多くすべく、液体流路32に、光触媒部としての光触媒層132aを有する側面発光型の光ファイバ132が設置されたものである。直線状をなす光ファイバ132はその外周面から光を発するものである。その長手方向が液体流路32に沿うように配置され、両端部が光ファイバ支持部133によって支持されている。光ファイバ支持部133には流通孔(図示略)が形成されており、液体の流通が確保されている。光ファイバ132は光照射部22による光照射範囲内のほぼ全域にわたる長さを有し、その外周面には前述したように光触媒層132aが設けられている。この表面の光触媒層132aは薄膜であってそれ自身が光透過性を有するため、外周面で発せられた光は光触媒層132aを透過して周囲に発生される。
【0092】
光ファイバ132には、液体流路32の外に設けられた光源部から光供給ケーブル134を通じて紫外光が供給される。この光源部は光照射部22のLED41であってもよいし、液体浄化装置12の外部に紫外光発生部(図示略)を設けて、そこからケーブル44を通じて供給されるようにしてもよい。なお、設置される光ファイバ132の本数は、図示のように複数(図では4本のうち3本を図示)であっても、一つであってもよい。
【0093】
この形態の液体浄化装置131では、液体流路32内の光ファイバ132にも光触媒層132aが存在することで、液体と接触する光触媒層36,132aの表面積が大きくなり、液体の浄化効果を向上させることができる。その上、光照射部22のLED41だけでなく、光ファイバ132の外周面からも紫外光が発せられるため、光触媒層36,132aに照射される光量も増加する。これにより、光触媒層36,132aでの光触媒分解作用が一層促進され、液体の浄化効果を向上させることができる。
【0094】
(a5)その他、流通する液体が流路内面の光触媒層36と接触する可能性を高くすべく、内面に光触媒層36が形成された液体流路32の流路長を延長したり、流路断面を小さく形成したりしてもよい。また、液体流路32の流路長を延長する場合には、上記実施形態のように直線状をなすのではなく、蛇行させたり螺旋状に形成したりすることも考えられる。
【0095】
[他の別形態]
(b)上記実施の形態では、浄化装置一体型開閉弁11として、液体浄化装置12と開閉弁13とが一体化されているが、相互に設けられた接続構造をなくして、それぞれが単体の装置とされてもよい。その場合、液体浄化装置12及び開閉弁13は、それぞれの接続用端面33,64が設けられている側も、その反対側と同様に配管接続部として構成され、両者は配管等の液体通路を介して接続される。
【0096】
(c)上記実施の形態では、液体浄化装置12と接続される液体制御弁として、開閉弁13を例として説明したが、液体制御弁としては、チェック弁、サックバック弁、流量制御弁、圧力制御弁等といった他の制御弁であってもよい。また、開閉弁13についても上記実施形態のようにノーマルクローズ式ではなく、ノーマルオープン式であってもよい。
【0097】
(d)上記実施の形態では、液体供給システム91における浄化装置一体型開閉弁11はその開閉弁13が一次側となるように設置されているが、逆に、液体浄化装置12が一次側となるように設置されてもよい。また、開閉弁13の流路ブロック51は第2流路62bの外開口部61b側に接続用端面64が形成され、そこに液体浄化装置12が接続されるようになっているが、第1流路62aの外開口部61a側に接続用端面64が形成された構成を採用してもよい。
【0098】
(e)上記実施の形態では、構成材料を特定した部材もあるが、それは最適な材料を説明したものであって、他の材料を用いることも可能である。例えば、液体浄化装置12や開閉弁13の流路ブロック21,51をフッ素樹脂ではなく、光透過性を有する塩化ビニル等の他の樹脂によって形成してもよい。耐薬品性が要求される製造プロセスに用いられないのであれば、フッ素樹脂を用いる必要がないからである。
【0099】
(f)上記実施の形態では、液体浄化装置12の流路ブロック21はその全体に光透過性が付与されているが、少なくとも管状部37が光透過性を有する構成であればよい。この場合、流路ブロック21のうち、光透過性を付与された部分が光透過部となる。
【0100】
(g)上記実施の形態では、光照射部22は紫外光を発する構成とされているが、光触媒層36に用いられた光触媒活性化物質が可視光対応型のものであれば、それに応じて、可視光を発する光照射部22としてもよい。
【符号の説明】
【0101】
11…浄化装置一体型開閉弁、12…液体浄化装置、13…開閉弁(液体制御弁)、14…H形シール部材、21…流路ブロック、22…光照射部、31a,31b…流路開口部、32…液体流路、33…弁接続用端面(弁接続構造)、36,102a,132a…光触媒層(光触媒部)、37…管状部、61b…外開口部(弁側流出口)、62…液体流路、64…接続用端面(浄化装置接続構造)、91…液体供給システム、94…コントローラ(浄化装置制御手段)、102…スクリュ部材、104…流通孔、122…発光シート、132…光ファイバ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高純度液体を流通させる液体流路、該液体流路への流入口及び流出口を有する流路ブロックと、
前記液体流路内に設けられて、該液体流路中の前記高純度液体と接する光触媒部と、
前記流路ブロックと一体的に組み付けられ、前記光触媒部に照射する光を発生させる光源を有する光照射部と、
を備えたことを特徴とする液体浄化装置。
【請求項2】
前記液体流路のうち、少なくとも前記光触媒部の下流側では、その光触媒部の設置部分と流路断面が同一となるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液体浄化装置。
【請求項3】
前記流路ブロックは、前記液体流路の延びる方向の一部が薄肉化されてなる管状部を有し、前記光照射部は凹状に形成された前記管状部の外周部に設置されるとともに、少なくとも前記管状部は、前記光照射部の光が前記光触媒部に照射されるようにその光を透過する光透過部とされていることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体浄化装置。
【請求項4】
前記光照射部の光源は、前記液体流路の周方向に複数設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の液体浄化装置。
【請求項5】
前記光照射部の光源は有機EL素子を有する発光シートであり、その発光シートが筒状をなすようにして前記管状部の外周面に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の液体浄化装置。
【請求項6】
前記光触媒部として、前記液体流路の内面に、該流路の流路断面の全域にわたって薄膜状の光触媒層が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の液体浄化装置。
【請求項7】
前記液体流路内に、該流路の延びる方向を回動軸心とするスクリュ部材が回動自在に設けられ、前記光触媒部として、前記スクリュ部材の外表面に光触媒層が設けられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の液体浄化装置。
【請求項8】
前記液体流路内には、該流路外の光源から光が供給されて側面発光する光ファイバが設けられ、前記光触媒部として、前記光ファイバの外周面に薄膜状の光触媒層が設けられていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の液体浄化装置。
【請求項9】
前記流路ブロックには、前記流入口又は流出口が設けられた端部に、液体の流通を制御する液体制御弁との弁接続構造を有し、その弁接続構造としてH形シール部材が用いられていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の液体浄化装置。
【請求項10】
前記高純度液体は純水であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の液体浄化装置。
【請求項11】
弁体の開閉によって液体の流通を制御する液体制御弁であって、
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の液体浄化装置における前記流入口に接続される弁側流出口と、
浄化装置接続構造と、
を備えたことを特徴とする液体制御弁。
【請求項12】
液体供給源から液体供給先まで高純度液体を流通させる液体通路と、
前記液体通路の途中に設けられた請求項11に記載の液体制御弁と、
前記液体供給先へ液体供給を開始するのに合わせて光照射が行われるよう、前記液体浄化装置における前記光照射部を制御する浄化装置制御手段と、
を備えたことを特徴とする液体供給システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−167586(P2011−167586A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−30969(P2010−30969)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【出願人】(000106760)シーケーディ株式会社 (627)
【Fターム(参考)】