説明

液体浄化装置

【課題】液体の浄化に用いられる多孔質セラミックスフィルタの逆洗手段を有する液体浄化装置であって、逆洗時において多孔質セラミックスフィルタの破損を防止する、フィルタ破損防止機能を備える。
【解決手段】液体浄化槽82に設置された少なくとも1つの多孔質セラミックスフィルタ20を用いて液体の濾過を行う液体浄化装置10であって、多孔質セラミックスフィルタ20の逆洗手段28を有し、逆洗手段28は、洗浄液を供給する洗浄液供給手段56と、高圧空気を混合する高圧空気供給手段60と、洗浄液及び高圧空気を混合し気液二相流とする混合手段62と、気液二相流を多孔質セラミックスフィルタ20にその濾過方向と逆方向に供給する逆洗配管70と、洗浄液供給手段56と高圧空気供給手段60とをそれぞれ制御する制御部74とを備え、逆洗時において、制御部74は、高圧空気供給手段60を制御して、一定間隔ごとに高圧空気を供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は、逆洗手段を有する液体浄化装置に関し、詳しくは、液体の浄化に用いられる多孔質セラミックスフィルタの逆洗手段を有するプール水浄化装置などの液体浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、河川水や海水あるいは排水から飲料水を得るために飲料に不適な様々な汚染物質、悪臭(異臭)物質、不純物を濾過する濾過材として多孔質セラミックスフィルタを用いる濾過装置が提案され、また使用されている。一方、最近、井戸水や水道水中に少量含まれる有機物や無機物等のために悪臭(異臭)や味のまずさなどを除くための浄水器等が多く上市されているが、この中にも多孔質セラミックスフィルタを用いるものが多く用いられている。
【0003】
また、ビール、ワイン、日本酒、醤油などを醸造する時のように発酵生成物から固形物や不純物を除去する場合やソース、ジュース、果汁、食物油などを食物から得るために固形分や不純物を除去する場合などにも多孔質セラミックスフィルタが用いられている。このように、上述した飲料水や酒類、果汁、ジュース、ソース、食物油などは、飲用又は食用に供されるものであるので、浄化装置の性能は極めて厳しい性能が要求され、工業的規模で行う場合には、大型化が求められている。
【0004】
一方、最近の環境汚染に対する関心の高まりから、工場排水の水質については、厳しい規制が行われ、排水浄化のための浄化装置の高性能化、大型化が求められている。さらには、将来、種々の営業活動に伴う排水、学校、施設等々の排水、家庭排水や生活排水についても規制の動きがあり、小型から大型までの種々のタイプの高性能かつ低コストの浄化装置が求められている。
【0005】
ところで、近年のフィットネスブームに伴い、健康増進やストレス解消に適した全身運動として水泳を行うものが増え、老若男女を問わずプールに親しむものが増えている。これに伴い、水泳をより安全かつ衛生的に楽しむために、プールの衛生状況、特に水質に対する関心が高まっており、このプールの水質を決定する浄化装置に対する要求はますます厳しいものとなってきており、高性能化、及びそれに伴う大型化が進んでいる。
【0006】
ここで、プール水浄化装置を代表例として説明すると、プール水浄化装置は、一般的にプール水に含まれるゴミ、髪の毛等の不純物を取り除く前濾過装置、濾過装置、吸着浄化装置、プール水の殺菌を行う殺菌装置等を有するものであり、更に必要に応じて、濾過装置に濾過助剤を供給する装置や、また温水プールであればプール水の加温手段等が接続されて構成されるものであり、通常、プール水はこの浄化装置とプールとの間を循環されることにより浄化され、衛生的に保たれている。
【0007】
このような状況の中、プールの浄水設備に適用される濾過装置として、特許文献1及び2に記載のとおり、多孔質セラミックスフィルタが多く用いられている。多孔質セラミックスフィルタは、プール、特に温水プールの濾過に好ましい極めて微細な濾過空間を立体的に有し、従来のフィルタでは濾過することが不可能であった、人体より放出される油分等の有機質も好適に濾過することが可能である。
【0008】
ところで、プールを新規に建造する場合には、プールそのものを建造する工事等、他の作業との兼ね合いがあるため、現場における浄化装置の設置作業は、できるだけ簡易に行うことができ、かつ、できるだけ短期間で終了することが望ましい。このことは既存のプールの浄化装置を新規な装置に交換する場合でも同様であり、特に一年中利用される温水プールの場合には、いわゆるクロージングタイムを短くするためにも重要なことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第3354007号公報
【特許文献2】特公平7−63570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述の特許文献1及び2に記載の高性能な浄化能力を持った多孔質セラミックスフィルタ(以下、フィルタという)を用いた液体の浄化装置は、不純物の濾過や吸着浄化や殺菌等、プール水浄化装置などの未浄化液体を浄化する液体浄化装置に要求される能力を好適に満足させ、しかも、低コストで、コンパクトで、設置工事が容易であるものの、フィルタ自体が硬質であり、逆洗時において用いられるエア(空気)の振動によって割れ易い。
【0011】
フィルタは、割れてしまうと、新しいフィルタに交換するしかなく、フィルタ交換の際には、プール等の設備の稼働も停止しなければならないため、フィルタの破損によって受ける被害は甚大である。
【0012】
また、逆洗時においてフィルタの固定部(又は接合部分)等の締付が緩み、これらの箇所から洗浄液やエアが漏れてしまうと、満足に逆洗ができなくなる。
また、フィルタの固定部等の締付が更に緩み、液体浄化時に、フィルタの固定部等から未浄化液体や濾過助剤がフィルタ内部に入ってしまうと、満足に液体を浄化することができなくなり、液体浄化装置としては致命的な事態となる。
【0013】
そして、逆洗時において洗浄液やエアが漏れる場合、また、液体浄化時において未浄化液体や濾過助剤がフィルタ内部に入ってしまう場合、これらの箇所の確認や、ガスケットの交換、フィルタの固定部の締付など、事態の解消に多くの手間と時間が掛かる。
【0014】
また、特許文献2では、逆洗浄開始前に逆洗手段内の循環経路で洗浄液を循環させておくことで洗浄液ポンプを完全に立ち上げて、フィルタの逆洗時にその最大能力を発揮させることが可能となる旨が記載されているが、その分、逆洗手段内での循環経路の設置が必要となり、設置スペース及び設置コストが余分に掛かることとなる。
【0015】
また、特許文献2に記載のように、洗浄液の循環経路を持つ逆洗手段であっても、フィルタの数が多いと、逆洗の際に、洗浄液や空気の量、及びそれらの洗浄圧が足りなくなる場合があり、従来は、それぞれのセラミックスフィルタに対して逆洗に適した量の洗浄液及び空気を送るために、逆洗するフィルタを1本又は複数本選び、それ以外のフィルタは逆洗されないように、それらのフィルタに通じるバルブを手動で閉止していた。このため、全てのフィルタを逆洗するのに非常に手間が掛かっていた。
【0016】
以上より、本発明の目的は、液体の浄化に用いられるフィルタの逆洗手段を有する液体浄化装置であって、低コストで簡易に設置が可能であり、逆洗浄時においてフィルタの破損を防止する、フィルタ破損防止機能を備えた液体浄化装置を提供することにある。
また、フィルタの固定部等の締付が緩みにくく、逆洗時において、洗浄液やエアが漏れ難い、液体浄化時において、未浄化液体や濾過助剤がフィルタ内部に入り難いフィルタを備えた液体浄化装置を提供することにある。
また、逆洗手段内に洗浄液の循環経路を持たずとも、逆洗時において、フィルタに対して、好ましい量の洗浄液及び空気が送られ、フィルタの効果的な逆洗が自動で行われる自動逆洗手段を備えた液体浄化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するために、本発明は、液体浄化槽を備え、前記液体浄化槽に設置される少なくとも1つの多孔質セラミックスフィルタを用いて液体の濾過を行う液体浄化装置であって、前記多孔質セラミックスフィルタの逆洗手段を有し、前記逆洗手段は、前記洗浄液を供給する洗浄液供給手段と、前記洗浄液に高圧空気を混合する高圧空気供給手段と、前記洗浄液供給手段及び前記高圧空気供給手段の下流に配置され、前記洗浄液及び前記高圧空気を混合し気液二相流とする混合手段と、前記洗浄液供給手段から供給される前記洗浄液又は前記混合手段で発生せしめた前記気液二相流を前記多孔質セラミックスフィルタにその濾過方向と逆方向に供給する逆洗配管と、前記洗浄液供給手段と前記高圧空気供給手段とをそれぞれ制御する制御部と、を備え、逆洗時において、前記制御部は、前記高圧空気供給手段を制御して、一定間隔ごとに前記高圧空気を供給することを特徴とする液体浄化装置を提供する。
【0018】
また、前記液体浄化槽は、前記多孔質セラミックスフィルタによって形成されるフィルタユニットを少なくとも1つ備え、前記フィルタユニットは、前記液体浄化槽の下面又は上面に設置され、前記多孔質セラミックスフィルタによって浄化された液体を送水する送水管と連通し、前記フィルタユニットの一端を形成するジャケットと、前記ジャケットの端面から伸びて、前記フィルタユニットの中心を通るシャフトと、前記ジャケットの前記端面側に設置される複数の前記多孔質セラミックスフィルタと、前記多孔質セラミックスフィルタどうしを繋ぐ接合部材と、前記多孔質セラミックスフィルタに設置され、前記フィルタユニットのもう一端を形成するカバーと、前記シャフトと前記カバーとを固定する固定部とを有し、前記固定部は、前記カバーを貫通する前記シャフトに対して、前記フィルタユニットの内部への前記液体及び濾過助剤の浸入を防ぐガスケットと、前記ガスケットに重ねて用いられる特殊ワッシャと、前記特殊ワッシャを押圧するように前記シャフトの周囲に設置される少なくとも1つの皿ばねと、前記シャフトのねじ切り部分に設置され、前記シャフトと前記カバーとを締付固定するナットと、を有することが好ましい。
【0019】
また、前記特殊ワッシャは、円柱と、円柱の一端面を上底とする円錐台とが結合した形状の内孔を有し、前記ガスケットは、前記特殊ワッシャの前記円錐台側に接触するように設置され、押圧されることで、その変形分が前記円錐台状の内孔の間隙に食い込むことが好ましい。
【0020】
また、前記液体浄化槽は、前記多孔質セラミックスフィルタによって形成されるフィルタユニットを複数備え、前記固定部は、更に、前記シャフトによって貫通され、複数の前記フィルタユニットを繋ぐ連結部材を有し、前記連結部材は、前記ナットによって前記カバーと共に前記シャフトに締付固定されることが好ましい。
【0021】
また、前記液体浄化槽内の水圧と、前記フィルタユニット内の水圧とを検出する水圧検出手段と、前記検出された前記液体浄化槽の水圧と、前記フィルタユニット内の水圧とから、それらの差圧を算出する差圧算出手段とを備えることが好ましい。
【0022】
また、前記逆洗手段による前記多孔質セラミックスフィルタの逆洗は、前記差圧を基準として行われ、基準となる前記差圧は、略0.03MPaであることが好ましい。
【0023】
また、逆洗時において、前記制御部は、前記洗浄液供給手段と前記高圧空気供給手段とを制御することで、最初に、前記逆洗配管より前記多孔質セラミックスフィルタに前記洗浄液を供給し、その後、前記気液二相流を供給することが好ましい。
【0024】
また、前記一定間隔ごとの前記高圧空気の供給は、前記高圧空気の停止と供給とを2秒ごとに繰り返すことが好ましい。
【0025】
さらに、前記液体浄化槽は、前記多孔質セラミックスフィルタを複数備え、前記逆洗手段は、前記複数の多孔質セラミックスフィルタと前記逆洗配管との接続箇所の1つ1つに設置された複数の電磁バルブと、前記複数の多孔質セラミックスフィルタの内、逆洗を行う多孔質セラミックスフィルタを選択する選択手段を備え、前記制御部は、前記洗浄液供給手段と前記高圧空気供給手段との他に、前記選択手段に基づいて前記電磁バルブの開閉を個別に制御することが好ましい。
【0026】
前記選択手段は、一度に複数の多孔質セラミックスフィルタを選択することが可能であり、前記逆洗手段は、一度に複数の多孔質セラミックスフィルタを洗浄することが好ましい。
【0027】
さらに、前記逆洗手段は、自動逆洗手段を備え、前記自動逆洗手段が前記選択手段及び前記制御部を操作することで、前記多孔質セラミックスフィルタを順番に全て洗浄することが好ましい。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、液体浄化装置において、液体の浄化に用いられる多孔質セラミックスフィルタを破損の危険無く逆洗浄することができるため、液体浄化装置の掃除が簡便に行えることはもちろん、フィルタの破損によるプール等の設備の稼働停止を防ぐことができる。
また、フィルタの逆洗が自動でできるため、逆洗作業に掛かる負担を大幅に減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明のプール水浄化装置の一実施例を利用するプール水浄化システムの一例の概念図である。
【図2】図1に示す本発明のプール水浄化装置の概略断面図である。
【図3】図2に示すプール水浄化用フィルタ組立体(多孔質セラミックスフィルタ)を備える内側タンクの浄化時及び逆洗時の動作を説明する説明図である。
【図4】図3に示すプール水浄化用フィルタ組立体上部の詳細説明図である。
【図5】(a)は、図4に示すプール水浄化用フィルタ組立体上部の特殊ワッシャの断面図であり、(b)は、特殊ワッシャの斜視透視図である。
【図6】図4に示すプール水浄化用フィルタ組立体上部に設置された特殊ワッシャ及びガスケットの詳細説明図である。
【図7】図1に示す逆洗装置の一実施例を示すブロック図である。
【図8】図7に示す高圧空気供給手段の動作を説明するグラフである。
【図9】(a)及び(b)は、図7に示す逆洗装置の混合手段の一実施例を示す概略断面図である。
【図10】(a)及び(b)は、図7に示す逆洗装置の混合手段の他の実施例を示す概略断面図である。
【図11】図7の逆洗装置の他の実施例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明に係る液体浄化装置について、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて以下に詳細に説明する。
【0031】
図1は、本発明のプール水浄化装置を利用するプール水浄化システムの基本構成の一例を概念的に示す図である。同図に示されるプール水浄化装置システム(以下、浄化システムとする)は、プール12からオーバーフローしたプール水を貯留するオーバーフロータンク14と、プレフィルタ16a、16bと、プール水循環用ポンプ18a、18bと、本発明のプール水浄化装置10(以下、浄化装置10とする)と、限外濾過装置22と、浄化装置10の逆洗装置28と、限外濾過装置22の逆洗装置30と、濾過助剤供給装置32と、スラリーポンプ34とを有する。
【0032】
ここで、図1には本発明の浄化システムの基本構成のみを示すものであるので、図示例の浄化システムには、浄化システムにおいて通常用いられる種々のタンク、例えば、塩素タンク、アルカリタンクなどのタンク類、バルブ、配管、熱交換器等の機器類を必要に応じて有していることはもちろんである。
【0033】
オーバーフロータンク14は、プール12からオーバーフローしたプール水、あるいは自然排水もしくはポンプ等により強制排水されたプール水を一時的に貯留するものであり、所定量のプール水を、配管を通してプレフィルタ16a、16bに供給する。
【0034】
プレフィルタ16a、16bは、カーボンフィルタなどをタンク内に配置したものからなり、オーバーフロータンク14から流出したプール排水中に含まれ、あるいは浮遊している髪の毛、糸くず、絆創膏やゴミなどの粗大な不純物を除去するためのもので、後段の本発明の浄化装置10によるプール水浄化(特に、後述する多孔質セラミックスフィルタ20による濾過)をスムーズに行わせるために設けられる。プレフィルタは1個であっても3個以上であってもよい。
【0035】
ポンプ18a、18bは、循環ポンプであってプール水を本発明の浄化装置10の流路内で流動させるためのエネルギを与えるものであればどのようなものでもよい。この循環ポンプは1台のポンプであってもよいし、複数のポンプを並列又は直列に配置したものであってもよい。ポンプ18a、18bからのプール水は、次いで本発明の浄化装置10によって精密濾過、殺菌及び吸着浄化される。
【0036】
<浄化装置>
図2に、この浄化装置10の概略断面図が示される。同図に示されるように、浄化装置10は、上下面(上下面は、図2と逆でも良い。後述する図3の内側タンク82(本発明における液体浄化槽)は、図2の内側タンク82と上下面を逆に描いている。)が閉塞する同軸円筒状側壁を有する二重構造タンクの外側タンク80及び内側タンク82を有する装置本体10aと、集水部88と、殺菌装置90とより構成される。また、二重タンク構造の内側ケーシング(円筒状隔壁、上下壁面、蓋などによって構成される)81との間の外側タンク80内の主要部分には吸着浄化手段86が収納され、その上部の吸着浄化手段86が収納されていない部分には殺菌手段を構成する紫外線ランプ92が配置される。
【0037】
ポンプ18a、18bからのプール水は、バルブ84aを経て内側タンク82内に流入され、精密濾過手段84によって濾過される。精密濾過手段84は、多孔質セラミックスフィルタ(以下、セラミックスフィルタという。)20によってプール水中に持ち込まれてあるいは生成されて混在している浮遊金属塩類、油分、汚れなどの有機物、不純物、細菌などの微細粒子まで濾過して、プール水を洗浄するための装置である。精密濾過手段84には、上述した0.25〜1μm程度の微細粒子まで濾過可能なセラミックスフィルタ20が複数本、例えば、100〜150本装着されている。
【0038】
なお、セラミックスフィルタ20としては、通常の円筒状等の各種のものが利用可能である。例えば、長さ500mm、内径50mm、外形85mmの市販のセラミックスフィルタを用いることができる。
また、本発明のセラミックスフィルタ20は、内側タンク82内において、図2及び図3に示すように、接合部材120によって複数本(図示例では3本。なお、これに限定されないのはもちろんである。)が接合され、それらがカバー51とジャケット52とによって挟持され、ジャケット52の端面から伸び、セラミックスフィルタ20、接合部材120、及び、カバー51の中心を通るシャフト100に対して、後述する固定部112によってねじ止め(締付固定)され、プール水浄化用フィルタ組立体(以下、フィルタユニットという)50を形成する。
【0039】
図3は、前述の浄化装置10において、セラミックスフィルタ20を備える精密濾過手段84の詳細構成を示した説明図であり、図3に示すように、前述のフィルタユニット50は、内側タンク82内に複数本(図示例ではA〜Eの5本)が設置され、細長い薄板状の連結部材130によって互いに連結され、固定されている。
なお、図3の連結部材130は複数のフィルタユニット50を左右方向に連結しているが、連結部材130は、更に、複数のフィルタユニット50を前後方向にも連結する。つまり、複数のフィルタユニットは、連結部材130によって、前後左右方向(水平面方向)に連結され、固定される。
【0040】
また、精密濾過手段84は、前述のフィルタユニット50の他に、空気供給口24、ジェットノズル26、給水管29、送水管31、及び排出口33を備える。
精密濾過手段84は、通常動作時(液体濾過時)においては、給水管29よりプール水と、濾過助剤とが供給される。もちろん、排出口33は閉じられており、空気供給口24は、精密濾過手段84のある内側ケーシング83内に所定量のプール水が貯まるまで開放された後、閉止される。
【0041】
なお、濾過助剤供給装置32は、濾過助剤として、粉末状濾過助剤及び繊維状濾過助剤を内側タンク82内に供給するものである。粉末状濾過助剤としてはケイソウ土や石灰等が挙げられ、繊維状濾過助剤としてはパルプ繊維やアスベスト等が挙げられる。濾過助剤はプール水と共に内側タンク82内に入れられることで、セラミックスフィルタ20のプール水との接触面をプレコートする。
【0042】
このような濾過助剤が用いられることで、セラミックスフィルタ20の外側面に、除去が容易である粉末濾過助剤層からなる剥離層と、その上層に線以上濾過助剤層からなる濾過層とが形成され、この各助剤層を用いて濾過を行うことで、精密濾過手段84のプール水の処理能力を大幅に向上させることができ、また、セラミックスフィルタ20の逆洗が容易となる。
【0043】
プール水は、精密濾過手段84のセラミックスフィルタ20(フィルタユニット50)を、実線矢印方向に透過し、プレコートされた濾過助剤及びセラミックスフィルタ20において濾過がなされ、浄化される。図2及び3に示すとおり、浄化された浄化水は、ジャケット52と連通する送水管31を通って、集水部88、殺菌装置90を経て、外側タンク80に供給され、紫外線ランプ92によって紫外線消毒され、また、吸着浄化手段86を通って、再びプールに還流される。
【0044】
また、図4に詳細に示されるように、フィルタユニット50のカバー51及び連結部材130による固定部112の構造は、カバー51の中心と連結部材130とを貫通するシャフト100を中心として、カバー51に直に接するように設置されフィルタユニット50内への浄化前のプール水及び濾過助剤の浸入を防ぐガスケット102と、ガスケット102を押さえるために設置される特殊ワッシャ104と、特殊ワッシャ104と前述の連結部材130との間に設置される少なくとも1つの皿ばね106(図示例では、3つ設置されている。)と、連結部材130の上に設置されるワッシャ108と、シャフト100のねじ切りされた部分と結合しフィルタユニット50及び連結部材130を、シャフト100を基準に固定するナット110(図示例では緩みを防止するためにダブルナットとしている。)とによって構成される。
【0045】
なお、シャフト100は、引張等に耐えられる金属製のシャフトが好ましく、連結部材130、結合部材120、カバー51及びジャケット52も、金属製の割れにくいものが好ましい。
また、ガスケット102は、圧力を受けて変形する硬質ゴムのような柔軟部材が好ましく、特殊ワッシャ104は、ガスケット102を変形させ、また、押圧によっても割れにくい金属製であることが好ましい。
また、皿ばね106は、皿ばねに限定されるわけではなく、代わりに、圧縮コイルばね等の弾性体を利用しても良い。
【0046】
本発明の実施形態におけるフィルタユニット50は、上述の構成において、ナット110にトルクを掛けて締付固定されるため、カバー51におけるシャフト100の貫通孔と、シャフト100とガスケット102との間の間隙が、押圧され変形したガスケット102によって密閉され、また、カバー51とセラミックスフィルタ20との接合部、セラミックスフィルタ20と接合部材120との接合部、セラミックスフィルタ20とジャケット52との接合部における間隙が密閉されるため、プール水浄化時において、フィルタユニット50内へ浄化前のプール水(未浄化液体)及び濾過助剤の浸入を防ぎ、セラミックスフィルタ逆洗時において、フィルタユニット50からの洗浄液やエアの漏れを防ぐことができる。
なお、上述の接合部における間隙がより密閉されたものとなるように、カバー51、ジャケット52、接合部材120、シャフト100等の金属部材は、予めテフロン加工されていてもよい。
【0047】
また、図5(a)及び(b)に示すように、特殊ワッシャ104は、その内孔の形状が、円錐台と円柱とを組み合わせた形状となっており、前述のガスケット102と共に設置され、所定の圧力が掛けられると、図6に示すようにガスケット102の変形分を円錐台形状の内孔で吸収することで、ガスケット102自体の経時劣化を防ぎ、また、シャフト100に密着してカバー51の貫通孔をより確実に塞ぐため、フィルタユニット50内への浄化前のプール水(未浄化液体)及び濾過助剤の浸入をより長期間、より効果的に防ぐことができる。
【0048】
また、好ましくは、本出願人による特開平5−253451号公報に開示される、浄化する前のプール水と接触する外周面及びプール水が流れる中心貫通孔を限定する内周面とを有する筒状体からなり、この筒状体の外周面と内周面との間の肉厚部にその軸線方向に浄化後の液体が流れる複数の貫通孔を有するセラミックスフィルタが利用されてもよい。
このセラミックスフィルタを利用することにより優れた処理能力と精密濾過手段84の大幅な小型化とを両立することができ、高性能かつ小型の浄化装置10を実現することが可能となる。
以上が、浄化装置10の精密濾過手段84の構成及び通常動作時(液体濾過時)の基本的な動作である。
【0049】
<逆洗装置>
本発明のセラミックスフィルタ20に限らず、一般的なセラミックスフィルタは、所定時間使用され続けると目詰まりし、その浄化効率が低下する。
本発明においても、セラミックスフィルタ20によってプール水を濾過し続けると、セラミックスフィルタ20の外側面には濾滓が蓄積し、セラミックスフィルタ20の有する極めて微細な孔を塞いでしまう。このような状態になると、濾過効率が低下するのみならず、ひどい場合には高価なセラミックスフィルタ20を交換する必要まで生じてしまう。
従って、浄化効率維持のため、一定期間ごとに外側面に堆積した濾滓を除去し、セラミックスフィルタ20を洗浄する必要がある。
【0050】
図3の点線矢印で示すように、このようなセラミックスフィルタ20(つまり、フィルタユニット50)の洗浄は、洗浄液と空気とを混合して高速度で噴出するいわゆる気液二相流であるジェット水流を用いて、送水管31を逆側に、セラミックスフィルタ20の内側面から外側面に噴射する逆洗によって行われる。
また、前述の逆洗と共に、ジェット水流をジェットノズル26からセラミックスフィルタ20の外側面に吹き付けてもよい。これにより、セラミックスフィルタ20の外側表面に堆積した濾滓をより効果的に除去することができる。
【0051】
なお、前述の図4〜図6に示す、フィルタユニット50の固定部112の構造は、より効果的に逆洗を行うのに役立つ。
特に、図5及び図6に詳細を示す、特殊ワッシャ104と、それによって変形されるガスケット102とは、前述のとおり、カバー51とシャフト100との間の間隙をより効果的に密閉するため、逆洗時の洗浄液及び空気がフィルタユニット50の間隙より逃げることが無く、高い圧力を保ったまま、効果的な逆洗を行うことができる。同様に、上述のテフロン加工等の構成も効果的な逆洗を行うのに役立つ。
【0052】
また、セラミックスフィルタ20の逆洗の目安としては、浄化時において、フィルタユニット50内部と外部(つまり、フィルタユニット50の設置されている内側タンク82)との差圧が、0.03MPaを超えるか否かを基準に判断するとよいことが経験的に分かっている。差圧が0.03MPaを超え、0.04MPa付近となると、洗浄後のプール水の透明度が極端に下がるためである。
よって、内側タンク82内と複数のフィルタユニット50内とに水圧計(本発明における水圧検出手段)を設置して、内側タンク82内の水圧と複数のフィルタユニット50内の水圧とを常に検出し、それらの水圧に基づいて差圧が確認できるように、差圧算出手段を備えていてもよい。操作者は、算出された差圧に基づいて適切な時期にセラミックスフィルタ20の逆洗を行うことができる。なお、水圧計としては、種々の公知の水圧計を用いることが可能である。
【0053】
前述のように、セラミックスフィルタ20の逆洗を行うため、本発明の浄化装置10は、前述のとおり、水と空気とを混合して高速度で噴射するジェット水流によって、点線矢印で示される方向にセラミックフィルタ20を逆洗する逆洗装置28を備える。
【0054】
図7は、本発明の浄化装置10が備える逆洗装置28の詳細構成を示した説明図である。図7に示すように、逆洗装置28は、洗浄液供給源54と、洗浄液供給手段(逆洗ポンプ)56と、高圧空気供給手段60と、混合手段62とを備え、これらを結ぶ流路の間には、電磁バルブ61、64及び72が設けられる。
なお、上述の浄化装置10は逆洗装置30をも備えるが、逆洗装置28と逆洗装置30とは、共に同様の機能を備えるものであるため、精密濾過装置21の逆洗装置28を説明し、逆洗装置30の説明は省略する。
【0055】
また、逆洗装置28は、前記精密濾過手段84の備える複数のフィルタユニット50の内、逆洗を行うフィルタユニット50を選択する選択部76と、この選択部76、並びに前述の逆洗ポンプ56、高圧空気供給手段60、及び電磁バルブに接続され、前記選択部76の選択を受けて、前記逆洗ポンプ56、高圧空気供給手段60、及び電磁バルブの動作を制御する制御部74とを備える。
【0056】
なお、電磁バルブは、前述の電磁バルブ61、64及び72の他に、図2及び図3の少なくとも一方に示される、電磁バルブ84a、86a及び90aと、後述する逆洗の際に動作する電磁バルブ35及び84bとがある。
いずれの電磁バルブも図3に示す制御部74により個別に制御され、自動で開閉が行われる。もちろん、手動により電磁バルブの開閉が行われてもよい。なお、電磁バルブ35、84b、86a、90aは、複数あるが、もちろん、1つずつ個別に開閉を制御することができる。
【0057】
図7に示すとおり、逆洗装置28は、洗浄液が充填された洗浄液供給源54と、この洗浄液供給源54に充填された洗浄液を供給する逆洗ポンプ56と、逆洗に用いる高圧空気を供給する高圧空気供給手段60と、前記高圧空気供給手段60の下流側に配され、前記逆洗ポンプ56により供給される洗浄液と、前記高圧空気供給手段60により供給される高圧空気とを混合して、ジェット水流を発生させる混合手段62と、この混合手段62で発生せしめたジェット水流を前記セラミックスフィルタ20にその濾過方向と逆方向に供給するための逆洗配管70とを備える。
【0058】
洗浄液供給源54はジェット水流を形成する洗浄液を充填するものであり、通常の各種タンクが利用できる。なお、本発明の浄化装置の洗浄に適用される洗浄液には特に限定はなく、プールの水等、適用する濾過システムの使用目的に応じて、通常の水、水道水、及び洗浄効果のあるアルカリなどの洗剤を少量含有する水であってもよく、各種の洗浄液が適用可能である。
【0059】
逆洗ポンプ56は、送水ポンプであって洗浄液に前述の浄化装置10に流入させるためのエネルギを与えるものであればどのようなものでもよい。もちろん、セラミックフィルタ10の逆洗を行う際の洗浄液(ジェット水流)の流速及び洗浄圧は高い方が好ましい。
【0060】
高圧空気供給手段60は、洗浄液と空気とを混合して気液二相のジェット水流を形成するために、混合手段62に空気を供給するものである。本発明に適用される高圧空気供給手段60としては、必要にして十分な量及び圧力の空気を混合手段62に供給できる各種のコンプレッサ、空気ボンベ等の高圧空気供給手段がいずれも適用可能であり、特に限定はない。なお、高圧の空気をより安定して供給するために、高圧圧縮空気を充填することができるリザーブタンク等を有していてもよい。
【0061】
また、本発明の逆洗手段28は、図示しないフィルタ破損防止機能を備える。ここでいう図示しないフィルタ破損防止機能とは、逆洗開始時当初は空気の供給を停止し、フィルタユニット50内に洗浄液を供給した後に空気を供給する、前述の制御部74の、逆洗ポンプ56、高圧空気供給手段60、及び電磁バルブの制御機能である。前述の制御部74は、フィルタユニット50に対して、必ず最初に洗浄液を供給し、その後、気液二相のジェット水流を供給するように、各種手段及び電磁バルブを制御する。
最初に空気を供給すると(空気と洗浄液とを同時に供給すると)、洗浄液より質量の軽い空気の方がフィルタユニット50内に先に入り、空気による圧力及びセラミックスフィルタ通過時の振動で、セラミックスフィルタ20を破損してしまう可能性があるためである。
【0062】
また、逆洗装置28の高圧空気供給手段60は、図8のグラフに示すように、空気の供給停止と供給とを交互に繰り返すように制御されることが好ましい。なぜなら、最初の空気供給において、セラミックスフィルタ20の微細な隙間に空気が入り、これらの空気によってセラミックスフィルタ20の微細な隙間の締切が行われ、この締切によってセラミックスフィルタ20内部の圧力が上昇し、その後の洗浄液の供給、及び第2の空気供給、第3の空気供給によって、セラミックスフィルタ20の逆洗が勢いよく行われるためである。
【0063】
従って、図8のように、高圧空気の停止と供給とを一定間隔で繰り返すことで、常に逆洗ポンプ56の締切圧の効いたセラミックスフィルタ20の逆洗を行うことができる。
なお、高圧空気の停止と供給との繰り返しのタイミングは約2秒間隔で行うことが好ましい。高圧空気の停止と供給とを約2秒間隔で行うことで、経験的にセラミックスフィルタ20を効率よく逆洗できることが分かっている。
【0064】
さらに、逆洗装置28は、複数のフィルタユニット50の中から逆洗を行うフィルタユニット50を選択することできる選択部76を備える。
【0065】
また、選択部76は、どのようなインターフェイスであってもよく、例えば、精密濾過手段84内に配置された複数のフィルタユニット50に予めアルファベット又は番号(例えば、図3、A〜Eなど)が振ってあり、キーボード等の選択部76に付属した図示しない入力手段によって、対応する番号等を選択部76によって入力(選択)することで、制御部74へ対応するフィルタユニット50の逆洗指示が行われるようなものでもよい。 また、選択部76は図示しない表示手段を備え、その表示手段によって選択されたフィルタユニット50の配置や、逆洗の状況(逆洗の履歴等)を確認可能であってもよい。
さらに、選択部76は、その内部に自動逆洗手段78を備え、選択部76によって、手動で逆洗を行うか、自動で逆洗を行うかの選択が可能であってもよい。
【0066】
なお、図示しない表示手段によって、上述のとおりフィルタユニット50の逆洗の状況が確認できるのはもちろん、通常の液体浄化時において、内側タンク82の水圧、フィルタユニット50内の水圧、及びこれらの差圧が確認できてもよい。
前述のとおり、これらの差圧を確認することで、操作者は、適切な時期にフィルタユニット50(セラミックフィルタ20)の逆洗を行うことができる。
【0067】
前述の制御部74は、前述の選択部76で選択されたフィルタユニット50を洗浄するために、選択部76からの指示により、逆洗ポンプ56、高圧空気供給手段60、及び電磁バルブ35、61、64、72、84a、84b、86a、90aの開閉をそれぞれ個別に制御し、逆洗を行う。なお、逆洗時における動作の詳細は後述する。なお、上述のとおり、電磁バルブ35、84b、86a、90aは、複数あるが、1つずつ個別に開閉が制御される。
また、前述の自動逆洗手段78は、フィルタユニット50を順番(例えば、アルファベット順、又は番号順)に逆洗するように、前記選択部76を制御するものであってもよい。
【0068】
逆洗装置28は混合手段62を備える。混合手段62は、前述のとおり供給された洗浄液及び空気を混合して気液二相のジェット水流を形成するものである。
【0069】
図9(a)に、この混合手段62の洗浄液進行方向断面図が、図9(b)に同垂直方向(IX−IX線)断面図がそれぞれ概略的に示される。
図9に示す混合手段62は、円筒状の形状を有するものであり、洗浄液流入口65と、空気流入口66と、形成されたジェット水流の排出口67とを有するものである。
【0070】
逆洗ポンプ56によって供給された洗浄液は、洗浄液流入口65により流入し、貫通孔69を矢印x方向に進行する。一方、高圧空気供給手段60からの高圧空気は、矢印yで示されるように空気流入口66より供給され、貫通孔69を被嵌するように形成される円筒状の空間71を経て、貫通孔69を囲むように8個形成されるノズル73より、矢印方向に貫通孔69内に噴射される。
【0071】
従って、図示例の混合手段62においては、洗浄液と高圧空気とは、貫通孔69内の矢印x方向中間部付近で高圧空気が外周部より洗浄液中に噴射されることにより混合され、気液二相からなるジェット水流が形成されて排出口67より排出されてフィルタユニット50内へと噴射される。
【0072】
貫通孔69内への高圧空気の噴射方向は、図9に示す矢印方向以外にも各種の方向が適用可能である。ただし、前述のように、良好な洗浄を行うためにはジェット水流の流速及び洗浄圧は高い方が好ましいので、少なくとも洗浄液の進行を妨害しない方向、つまり洗浄液の進行方向である矢印x方向と略同方向であることが好ましい。
また、同様の理由で、空気の噴射方向が前記矢印x方向と略同方向である際には、貫通孔69内に噴射される空気は、洗浄液の速度を加速することができる噴射圧で噴射されるのが好ましい。
【0073】
また、図10(a)に本発明に適用される混合手段の他の実施例が、また、図10(b)にそのX−X線断面図が示される。
図9(a)に示される混合手段62は、貫通孔69の円周方向より、つまり洗浄液の流れに対して外周部より高圧空気を噴射するものであったが、図10(a)に示される混合手段162は、洗浄液の内部より、その流れと同方向に高圧空気を噴射してジェット水流を形成するものである。
【0074】
図10(a)に示される混合手段162は、前述の混合手段62と同様に基本的に円筒状の形状を有するものであり、洗浄液流入口165と、空気流入口166と、形成されたジェット水流の排出口167とを有するものである。
混合手段162において、逆洗ポンプ56によって供給された洗浄液は、洗浄液流入口165より流入し、貫通孔169を矢印x方向に進行する。一方、高圧空気供給手段60からの高圧空気は、矢印yで示されるように空気流入口166より供給され、貫通孔169と中心線を一致させる、すなわち洗浄液の流れと同方向にその中心線に高圧空気を噴射するノズル75より貫通孔169内に噴射されてジェット水流が形成され、排出口167よりフィルタユニット50内へ供給される。
【0075】
ここで、混合手段162においても前述の混合手段62と同様、洗浄効果をより良好なものとするためには、貫通孔169内に噴射される空気は洗浄液の速度を加速することができる圧力で噴射されるのが好ましい。
なお、本発明に適用される洗浄液と空気との混合手段は、図示例の混合手段62及び162に限定されるものではなく、各種の公知の気液混合手段がいずれも適用可能である。
【0076】
基本的に上記構成を有する本発明の洗浄装置によれば、能力を最大限に引き出された洗浄液ポンプ56より供給される洗浄液、及び、高圧空気供給手段60により供給される高圧空気を用い、混合手段62(162)によってジェット水流を形成するものである。従って、図3点線矢印で示されるように十分な洗浄圧を有するジェット水流を連続的に供給することができ、従来のような高圧空気や洗浄液を大量に充填するための大型、あるいは多数のエアタンクや洗浄タンクを用いなくても、良好かつ確実にセラミックスフィルタ20を洗浄することができる。
また、同様の理由で、洗浄液及び高圧空気が、共に従来に比べて少量で済むので、濾過システムのランニングコストも大幅に低減することができる。
【0077】
上記の例においては、混合手段62(162)において逆洗ポンプ56より送られた洗浄液と混合されるのは高圧空気のみであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、図8に示されるように、高圧空気供給手段60と共に第2の洗浄液供給源93及び第2の洗浄液供給手段(逆洗ポンプ)94を設け、高圧空気供給手段60から高圧空気を供給すると共に、逆洗ポンプ94によって洗浄液を供給し、予め空気と洗浄液とが混合された二相流であるジェット水流を混合手段62(162)に噴射して逆洗ポンプ56によって送られる洗浄液と混合してもよい。
以上が、本発明の液体浄化装置10における逆洗装置28である。
【0078】
次に、本発明の液体浄化装置10における逆洗の動作について簡単に説明する。
所定のフィルタユニット50を逆洗する際には、先ず、逆洗装置28の選択部76により、複数のフィルタユニット50(図3では、例えば、A〜E)の内、所定のフィルタユニット50が選択される。選択される所定のフィルタユニット50は、1つでもよく、また、複数でもよい。逆洗するフィルタユニット50が特定されると、制御部74は、電磁バルブ61を開放して逆洗ポンプ56を駆動することにより、洗浄液を供給し、更に、電磁バルブ72、84bを閉止し、更に、電磁バルブ35、84aを開放する。なお、解放される電磁バルブ35は、選択された所定のフィルタユニット50に直結する所定の電磁バルブ35である。それ以外の電磁バルブ35はもちろん閉止されている。選択された所定のフィルタユニット50を高圧で洗浄するためである。
【0079】
次いで、制御部78は、洗浄液が選択された所定のフィルタユニット50内に供給され、逆洗ポンプ56の供給圧力が高まったことを確認したら、高圧空気供給手段60の電磁バルブ72を開放して高圧空気を混合手段62に供給して、混合手段62で気液二相のジェット水流を形成してこれを選択された所定のフィルタユニット50の内部に噴射する。なお、この際も上述のとおり、逆流を防ぐために電磁バルブ84bは閉止されている。
なお、逆洗ポンプ56による供給圧力の高まりは、逆洗ポンプ56に掛かる負荷によって確認することができる。
【0080】
フィルタユニット50内に噴射されたジェット水流は、図3点線矢印に示されるようにセラミックスフィルタ20の内側面から外周面へ透過して、濾滓等をセラミックスフィルタ20の外側面から落とし、これらと共に排出口33から外部へ排出される。
【0081】
前述のとおり、高圧空気供給手段60からの高圧空気の供給が、制御部78により、図8に示すように制御されることで、逆洗装置28は、セラミックスフィルタ20を破損することなく、ジェット水流の圧力を最も有効に活用することができ、セラミックスフィルタ20の外側面に付着した濾滓をよりよく除去することができる。
【0082】
また、前述の自動逆洗手段78は、選択部76において、逆洗を行うセラミックスフィルタ20を順(例えば、図3のA〜Eの順番)に選択する。選択部76で逆洗を行うセラミックスフィルタを順次選択することで、順次セラミックスフィルタ20の逆洗が行われ、全てのセラミックスフィルタ20の逆洗が自動で行われる。
【0083】
なお、一度に逆洗を行うフィルタユニット50は1つでなくてもよい。選択部76は、一度に複数のフィルタユニット50を選択することができ、制御部74が、一度に複数のフィルタユニット50の電磁バルブを開放することで、一度に複数のフィルタユニット50を逆洗することができる。もちろん、複数のフィルタユニット50に対して逆洗を行う場合には、その分、1つのフィルタユニット50あたりの洗浄液及び高圧空気の供給量が落ち、逆洗の効果も落ちる。
以上が、本発明の液体浄化装置10における逆洗装置28の動作である。
【0084】
以上、本発明の液体浄化装置について、逆洗装置を中心に詳細に説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよい。
【符号の説明】
【0085】
10 プール水浄化装置
10a 装置本体
12 プール
14 オーバーフロータンク
16a,16b プレフィルタ
18a,18b ポンプ
20 多孔質セラミックスフィルタ(セラミックスフィルタ)
21 精密濾過装置
22 限外濾過装置
24 空気供給口
26 ジェットノズル
28、30 逆洗装置
29 給水管
31 送水管
32 濾過助剤供給装置
33 排出口
34 スラリーポンプ
50 プール水浄化用フィルタ組立体(フィルタユニット)
51 カバー
52 ジャケット
54、93 洗浄液供給源
56、94 洗浄液供給手段(逆洗ポンプ)
60 高圧空気供給手段
62、162 混合手段
35、61、64、72、84a、84b、86a、90a 電磁バルブ
65、165 洗浄液流入口
66、166 空気流入口
67、167 排出口
69、169 貫通孔
70 逆洗配管
71 円筒状の空間
73、75 ノズル
74 制御部
76 選択部
78 自動逆洗手段
80 外側タンク
81 外側タンクケーシング
82 内側タンク(液体浄化槽)
83 内側タンクケーシング(隔壁)
84 精密濾過手段
86 吸着浄化手段
88 集水部
90 殺菌装置
92 紫外線ランプ
100 シャフト
102 ガスケット
104 特殊ワッシャ
106 皿ばね
108 ワッシャ
110 ナット
112 固定部
120 接合部材
130 連結部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体浄化槽を備え、前記液体浄化槽に設置された少なくとも1つの多孔質セラミックスフィルタを用いて液体の濾過を行う液体浄化装置であって、
前記多孔質セラミックスフィルタの逆洗手段を有し、
前記逆洗手段は、
洗浄液を供給する洗浄液供給手段と、
前記洗浄液に高圧空気を供給する高圧空気供給手段と、
前記洗浄液供給手段及び前記高圧空気供給手段の下流に配置され、前記洗浄液及び前記高圧空気を混合し気液二相流とする混合手段と、
前記洗浄液供給手段から供給される前記洗浄液又は前記混合手段で発生せしめた前記気液二相流を前記多孔質セラミックスフィルタにその濾過方向と逆方向に供給する逆洗配管と、
前記洗浄液供給手段と前記高圧空気供給手段とをそれぞれ制御する制御部と、を備え、
逆洗時において、前記制御部は、前記高圧空気供給手段を制御して、一定間隔ごとに前記高圧空気を供給することを特徴とする液体浄化装置。
【請求項2】
前記液体浄化槽は、前記多孔質セラミックスフィルタによって形成されるフィルタユニットを少なくとも1つ備え、
前記フィルタユニットは、
前記液体浄化槽の下面又は上面に設置され、前記多孔質セラミックスフィルタによって浄化された液体を送水する送水管と連通し、前記フィルタユニットの一端を形成するジャケットと、
前記ジャケットの端面から伸びて、前記フィルタユニットの中心を通るシャフトと、
前記ジャケットの前記端面側に設置される複数の前記多孔質セラミックスフィルタと、
前記多孔質セラミックスフィルタどうしを繋ぐ接合部材と、
前記多孔質セラミックスフィルタに設置され、前記フィルタユニットのもう一端を形成するカバーと、
前記シャフトと前記カバーとを固定する固定部とを有し、
前記固定部は、
前記カバーを貫通する前記シャフトに対して、前記フィルタユニットの内部への前記液体及び濾過助剤の浸入を防ぐガスケットと、
前記ガスケットに重ねて用いられる特殊ワッシャと、
前記特殊ワッシャを押圧するように前記シャフトの周囲に設置される少なくとも1つの皿ばねと、
前記シャフトのねじ切り部分に設置され、前記シャフトと前記カバーとを締付固定するナットと、を有することを特徴とする請求項1に記載の液体浄化装置。
【請求項3】
前記特殊ワッシャは、円柱と、円柱の一端面を上底とする円錐台とが結合した形状の内孔を有し、
前記ガスケットは、前記特殊ワッシャの前記円錐台側に接触するように設置され、押圧されることで、その変形分が前記円錐台状の内孔の間隙に食い込むことを特徴とする請求項1又は2に記載の液体浄化装置。
【請求項4】
前記液体浄化槽は、前記多孔質セラミックスフィルタによって形成されるフィルタユニットを複数備え、
前記固定部は、更に、前記シャフトによって貫通され、複数の前記フィルタユニットを繋ぐ連結部材を有し、
前記連結部材は、前記ナットによって前記カバーと共に前記シャフトに締付固定されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液体浄化装置。
【請求項5】
前記液体浄化槽内の水圧と、前記フィルタユニット内の水圧とを検出する水圧検出手段と、
前記検出された前記液体浄化槽内の水圧と、前記フィルタユニット内の水圧とから、それらの差圧を算出する差圧算出手段とを備えることを特徴とする1〜4のいずれかに記載の液体浄化装置。
【請求項6】
前記逆洗手段による前記多孔質セラミックスフィルタの逆洗は、前記差圧を基準として行われ、基準となる前記差圧は、0.03MPaであることを特徴とする請求項5に記載の液体浄化装置。
【請求項7】
逆洗時において、前記制御部は、前記洗浄液供給手段と前記高圧空気供給手段とを制御することで、最初に、前記逆洗配管より前記多孔質セラミックスフィルタに前記洗浄液を供給し、その後、前記気液二相流を供給することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の液体浄化装置。
【請求項8】
前記一定間隔とは、2秒間隔である請求項1〜7のいずれかに記載の液体浄化装置。
【請求項9】
さらに、前記液体浄化槽に前記多孔質セラミックスフィルタを複数備え、
前記逆洗手段は、
前記複数の多孔質セラミックスフィルタと前記逆洗配管との接続箇所の1つ1つに設置された複数の電磁バルブと、
前記複数の多孔質セラミックスフィルタの内、逆洗を行う多孔質セラミックスフィルタを選択する選択手段を備え、
前記制御部は、前記洗浄液供給手段と前記高圧空気供給手段との他に、前記選択手段に基づいて前記電磁バルブの開閉を個別に制御することを特徴とする1〜8のいずれかに記載の液体浄化装置。
【請求項10】
前記選択手段は、一度に複数の多孔質セラミックスフィルタを選択することが可能であり、
前記逆洗手段は、一度に複数の多孔質セラミックスフィルタを洗浄することが可能である請求項9に記載の液体浄化装置。
【請求項11】
さらに、前記逆洗手段は、自動逆洗手段を備え、
前記自動逆洗手段が前記選択手段及び前記制御部を操作することで、前記多孔質セラミックスフィルタを順番に全て洗浄することを特徴とする請求項9又は10に記載の液体浄化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−85993(P2013−85993A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226831(P2011−226831)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【特許番号】特許第4991018号(P4991018)
【特許公報発行日】平成24年8月1日(2012.8.1)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(511248870)株式会社みかづきプールシステム (1)