説明

液体混合機構

【課題】配管を通過する液体に対して、薬液等の他の液体を混合する際の混合量を、簡単な操作で細かく制御できる液体混合機構を提供する。
【解決手段】液体混合機構10は、配管11を通過する液体12に他の液体13を混合するものであって、前記配管11に連通される一方の接続パイプ部21及び他方の接続パイプ部22を備える。液体12の流れ方向に沿って狭まる第一テーパ孔24及び該第一テーパ孔24に連通して流れ方向に沿って拡がる第二テーパ孔25が設けられ、前記第二テーパ孔24のテーパ面に連通して他の液体14を導入する混合液体用導入路を備える。前記混合液体導入路から導入される前記他の液体13の導入量を調整する導入量調整機構を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物の飲料水等の液体を供給する際に、供給配管を通過する液体に対して、薬液等の他の混合液体を所望量、混合することを可能とする液体混合機構に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、養豚、養鶏、乳牛などを飼育する際に、疾病予防や栄養管理等のために、抗菌性物質やビタミン剤などの水溶性の薬剤を、飲料水等の液体に混合して投与する。上記の水溶性薬剤の混合液体を混合するために、液体混合機構が従来から開発されている。
【0003】
従来の液体混合機構としては、例えば、特許文献1に示されている。
すなわち、特許文献1の液体混合機構は、飲水流通用の配管系に対して、水溶性薬剤導入用の支管路を接続すると共に、混合弁を配設して所定量の薬液を投入するものである。
【0004】
混合弁としては、液体通過用の配管系に接続される、液体流入孔と液体吐出孔とが形成された外枠体と、該外枠体に、回転可能に収納装填されたバルブ本体と、で構成される。バルブ本体には、第1の液体通過孔と第2の液体通過孔が、回転中心を挟んで略平行に形成されている。このバルブ本体を回転することによって、第1の液体通過孔と第2の液体通過孔が、前記液体流入孔と前記液体吐出孔に連通可能に切り替えられる。
【0005】
前記第1の液体通過孔は、ストレート孔である。前記第2の液体通過孔は、略中央部の孔径が、最も細くなるテーパ状に形成されている。さらに、薬剤などの他の液体(混合液体)を導入する混合液体導入孔が、前記第2の液体通過孔の略中央部よりも液体吐出孔側の孔壁適宜位置に穿設されている。前記混合液体導入孔は、給液チューブを経て液体タンクに連通されている。
【0006】
前記第1の液体通過孔では、単に液体のみを供給するときに使用される。一方、前記第2の液体通過孔では、液体に他の液体(混合液体)を混合するときに使用される。すなわち、液体が略中央部の最も細い孔径を通過すると、流体圧力が低くなって圧力差が生じる。この圧力差によって、液体タンク内の混合液体が、給液チューブおよび混合液体導入孔を経て吸引され、第2の液体通過孔を通過する液体に混合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3179541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の液体混合機構においては、バルブ本体を回転することによって、ストレート孔の第1の液体通過孔と、テーパ形状の最も細い孔径を有する第2の液体通過孔が、前記液体流入孔と液体吐出孔に連通可能に切り替えられるが、混合液体の混合量は、専ら、第2の液体通過孔を通過する液体流量に依存する構造である。液体通過用の配管系の液体が一定流量の場合は、第2の液体通過孔の最も細い孔径の前後の圧力差は一定であるので、吸引される混合液体の流量も一定となる。
【0009】
そのため、混合液体の混合量を調整したいときは、例えば、液体の供給源からの供給量を調整して配管系の液体流量を調整する必要がある。しかし、液体の供給源の流量調整では、混合液体の混合量を微妙に調整することが、容易ではない。
【0010】
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、配管を通過する液体に対して、薬液等の他の液体を混合する際の混合量を、簡単な操作で細かく制御できる液体混合機構を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の液体混合機構は、配管を通過する液体に他の液体を混合する液体混合機構であって、前記配管に連通され、上流側から順に、液体の流れ方向に沿って狭まる第一テーパ孔と該第一テーパ孔に連通して流れ方向に沿って拡がる第二テーパ孔とを備えた主流路と、前記主流路に連通して他の液体を導入する混合液体用導入路と、前記混合液体導入路から前記主流路に導入される前記他の液体の導入量を調整する導入量調整機構とを備えることを特徴とする。前記混合液体用導入路は、前記主流路を構成する第二テーパ孔のテーパ面に連通するように設けられていることが好ましい。
【0012】
前記導入量調整機構は、前記第一テーパ孔及び第二テーパ孔を含む主流路を有する装置本体と、前記装置本体を支持するベース部とを備えてなり、前記混合液体導入路が、前記装置本体に形成され、前記第二テーパ孔のテーパ面に連通する第一導入孔と、前記ベース部に形成され、前記装置本体の第一導入孔に連通可能であると共に、混合する前記他の液体の供給源に連通された第二導入孔とを有して構成され、前記第一導入孔と前記第二導入孔との重なり面積を調整できるように、前記装置本体が前記ベース部に対して回転可能に設けられている構成とすることが好ましい。
【0013】
また、前記混合液体導入路が、前記第一テーパ孔及び第二テーパ孔を含む主流路を有する装置本体において、前記第二テーパ孔のテーパ面に連通するように設けられており、前記導入量調整機構が、前記混合液体導入路における混合液体の通過可能面積を調整する構造とすることが好ましい。前記導入量調整機構は、前記装置本体に設けられ、前記混合液体導入路内に進退可能なピン部材を備えてなり、前記ピン部材の進退量を調整し、混合液体の通過可能面積を調整可能である構成とすることがより好ましい。
【0014】
前記主流路に設けられ、主流路内を流れる液体の流量を調整する流量調整弁をさらに備えることが好ましい。この場合、前記流量調整弁が、径方向に貫通形成したバルブ孔を備えたバルブ軸からなり、前記バルブ孔を前記主流路内に位置させて設けられ、前記バルブ軸を回転させることにより、前記バルブ孔を通過する液体の流量を調整する構成であることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、液体が主流路の第一テーパ孔を通過する時に、液体圧力が増加する。その液体が、第二テーパ孔を通過する時に、液体圧力が低下する。その圧力差によって、他の液体が混合液体用導入路から吸引され、第二テーパ孔を通過する液体に混合する。このとき、前記他の液体の導入量は、導入量調整機構によって調整できるため、主流路を通過する液体の液体流量を調整することなく制御できる。
【0016】
また、流量調整弁によって、主流路の液体流量を調整すると、主流路内を第一テーパ孔から第二テーパ孔へ流れる液体圧力を、容易に調整することができるので、他の液体の混合量を、簡単な操作で細かく制御できる。その主流路の流量調整と、前述の導入量調整機構による調整との組み合わせで、他の液体の混合量を、さらに微妙に制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の一の実施形態に係る液体混合機構を示す要部破断部を含む透視的な斜視図である。
【図2】図2は、上記実施形態の液体混合機構を示す縦断面図である。
【図3】図3は、上記実施形態の液体混合機構における分解構成図である。
【図4】図4は、上記実施形態における装置本体の第一導入孔と、ベース部の第二導入孔との重なり状態を示す平面図である。(A)は、全開状態を示す平面図で、(B)は、ほぼ半開状態を示す平面図で、(C)は、全閉状態を示す平面図である。
【図5】図5は、本発明の他のの実施形態に係る液体混合機構を示す図であり、(A)は平面図、(B)は(A)のC−C’断面図、(C)は(B)のA−A’断面図、(D)は(B)のB−B’断面図である。
【図6】図6は、上記他の実施形態の液体混合機構の作用を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
本実施形態に係る液体混合機構10は、図1ないしは図3に示すように、配管11に連結されて設けられる。配管11は、例えば、家畜の飲料水等の液体12を、家畜の水飲み場(受水槽)まで供給するものであり、液体混合機構10は、この配管11を流れる液体中に、他の液体13(以下、本実施形態では「混合液体」という)を混合する機構である。
【0019】
具体的には、配管11に連通して、液体12を通過させる主流路(後述の第一テーパ孔24及び第二テーパ孔25から構成される)を設けた装置本体20と、その装置本体20に回転自在に設けたバルブ軸30と、前記装置本体20を回転できるように支持するベース部40とを有して構成される。配管11の圧力の高いところでは、他の液体13を取り込むことができないため、液体混合機構10は、水飲み場(受水槽)に液体12を吐出する配管11の出口付近に主流路が連結される。
【0020】
なお、前記混合液体13とは、例えば、家畜に対する疾病予防や栄養管理等のために、抗菌性物質やビタミン剤などの水溶性の薬剤である。
【0021】
装置本体20は、配管11に連通し、両側に突出する接続パイプ部21,22と、一方の接続パイプ部21と他方の接続パイプ部22との間において、上流側から順に、液体12の流れ方向に沿って狭まる第一テーパ孔24と、その第一テーパ孔24に連通して流れ方向に沿って拡がる第二テーパ孔25とからなる主流路が形成されている。
【0022】
さらに、前記第一テーパ孔24と前記第二テーパ孔25との間であって、装置本体20の上下方向に貫通するバルブ軸穴23を設けている。そのバルブ軸穴23は、バルブ軸30を図3において下側から挿入できる形状となっており、上部が小径で、中間が中径で、下部が大径である。
【0023】
さらに、前記装置本体20は、主流路を構成する前記第二テーパ孔25のテーパ面に連通する第一導入孔26を備えている。その第一導入孔26は、混合液体13を導入するものであり、前記第二テーパ孔25の図2および図3において下側のテーパ面から、下方へ向けて装置本体20の下面に連通する。
【0024】
バルブ軸30は、上記バルブ軸穴23に回転可能に配置されると共に、主流路に臨む位置である前記第一テーパ孔24と前記第二テーパ孔25とに連通可能な位置にバルブ孔31を有している。このバルブ軸30が流量調整弁であり、バルブ軸30を回転することによって、第一テーパ孔24とバルブ孔31との重なり面積を変化させて、バルブ孔31内を通過する液体流量を調整できる。
【0025】
さらに、前記バルブ軸30は、前記バルブ軸穴23へ、図2および図3において下側から挿入する形状となっており、上部が小径部32で、中間が中径部33で、下部が大径部34となっている。また、前記小径部32の上端側は、バルブ軸30を回転するためのつまみ部35が形成されている。バルブ軸30を図2および図3において下側からバルブ軸穴23へ挿入したとき、前記つまみ部35は、バルブ軸穴23の上端から上方へ突出し、大径部34の下端側は、バルブ軸穴23の下端から下方へ突出する構成である。
【0026】
また、前記バルブ孔31は、前記中径部33に設けられている。前記中径部33の外周面には、溝部36が、前記バルブ孔31より上部に位置して形成される。その溝部36には、Oリング等のパッキン材38が装着される。一方、前記大径部34にも、その外周面に溝部37が形成される。その溝部37には、Oリング等のパッキン材39が装着される。パッキン材38,39は、主流路を流れる液体12が、バルブ軸穴23とバルブ軸30との隙間から漏れるのを、防止するものである。
【0027】
ベース部40は、その上面に、バルブ軸30の大径部34の下端側を挿入するための軸穴41を形成している。装置本体20をベース部40の上面に装着するとき、装置本体20の下面から下方へ突出したバルブ軸30の大径部34が、ベース部40の軸穴41へ挿入される。これにより、バルブ軸30は、その所定の位置で回転自在となる。また、装置本体20も、ベース部40に対してバルブ軸30を中心に回転可能に装着されることになる。
【0028】
本実施形態では、バルブ軸30を、ベース部40に対する装置本体20の回転軸として兼用している。これによって、構造を簡単にすることができ、低コスト化に寄与する。
【0029】
また、ベース部40は、前記装置本体20の第一導入孔26に連通する第二導入孔42を有する。第二導入孔42は、薬剤などの他の液体である混合液体13を第一導入孔26へ導入するものである。ベース部40の下面には突出部43が設けられているが、第二導入孔42は、この突出部43が設けられた位置において、ベース部40の上面から下方へ貫通形成されている。突出部43には、給液チューブ44の一端が接続され、他端が液体タンク60に貯留された混合液体13に浸漬される。
【0030】
また、ベース部40の上面には、第二導入孔42の外側を囲むように、ほぼ円形の溝部46が設けられており、その溝部46には、Oリング等のパッキン材47を装着する。そのパッキン材47は、混合液体13が、第一導入孔26と第二導入孔42の間から漏れるのを防止するものである。
【0031】
なお、本実施形態では、前記第一導入孔26と前記第二導入孔42が、混合液体導入路を構成する。また、前記装置本体20と、その装置本体20を回転可能に支持するベース部40とが、導入量調整機構を構成する。装置本体20を、ベース部40に対して、バルブ軸30を中心に回転させることによって、第一導入孔26と第二導入孔42との重なり面積が変化する。これによって、混合液体13の供給量が調整される。
【0032】
また、前記装置本体20は、図1および図4に示すように、前記ベース部40に対する回転の同心円上に、略円弧状の長孔27を設けている。本実施形態では、2箇所の長孔27が、回転中心を挟んで対向する位置に、装置本体20の上面と下面へ貫通するように設けられているが、長孔27の数と位置は、特に限定されない。
【0033】
さらに、装置本体20は、前記長孔27の内面に当接して、装置本体20の回転範囲を規制するストッパ部材28を設けている。本実施形態では、前記ストッパ部材28としては、ボルト28aを使用しており、前記装置本体20を前記ベース部40へ、ロック・アンロックするための機能を備えている。つまり、2本のボルト28aをワッシャ28bに挿入し、その2本のボルト28aを2箇所の長孔27へ挿入し、ベース部40の上面に設けたねじ穴(図示省略)にねじ込んでいる。
【0034】
2本のボルト28aを緩めた状態では、装置本体20が、ベース部40に対してアンロックされた状態となり、回転可能となる。装置本体20の回転範囲は、長孔27の内壁面がボルト28aに当接することによって、規制されることになる。その回転範囲は、第一導入孔26と第二導入孔42との重なり状態が、全開から全閉までの範囲を含むものである。
【0035】
その重なり状態を分かりやすくするために、本実施形態では、図4に示すように、位置合わせ基準となる基準溝29が、装置本体20の側面に形成されている。一方、ベース部40の上面に、3本の目盛線48a、48b、48cを設けている。
【0036】
例えば、図4(A)では、第一導入孔26と第二導入孔42との重なり面積状態が、全開である。このとき、2本のボルト28aは各長孔27のほぼ中央位置となる。また、基準溝29は、目盛線48bに位置する。
【0037】
図4(B)では、装置本体20を、図4(A)の位置から時計回り方向に向けて少し回転する。第一導入孔26と第二導入孔42との重なり面積状態が、ほぼ半開(全開に比べて1/2)である。このとき、基準溝29は、目盛線48bと目盛線48cの中間に位置する。
【0038】
図4(C)では、装置本体20を、図4(B)の位置から時計回り方向に向けて回転する。このとき、2本のボルト28aは、各長孔27へ当接した位置となる。第一導入孔26と第二導入孔42との重なり面積状態が、全閉である。基準溝29は、目盛線48cに位置する。
【0039】
なお、装置本体20を、図4(A)の位置から反時計回り方向に向けて回転した場合、基準溝29は、目盛線48bから目盛線48aの間に位置することになる。
【0040】
また、ベース部40は、図1および図2に示すように、例えば、液体タンク60のキャップ装着口61に取り付けられる略円筒状のキャップアタッチメント50の上面に、固定具である4本のボルト49にて固定される。
【0041】
上記構成の液体混合機構10の作用について説明する。
バルブ軸30のつまみ部35を回転させて、バルブ孔31を第一テーパ孔24および第二テーパ孔25に連通させる。また、装置本体20を、ベース部40に対してバルブ軸30を中心に回転させて、第一導入孔26と第二導入孔42を連通させる。
【0042】
配管11の液体12は、一方の接続パイプ部21へ流入し、第一テーパ孔24を通過する時に、液体圧力が増加する。さらに、前記液体12は、バルブ軸30のバルブ孔31を通過して第二テーパ孔25を通過する時に、液体圧力が低下して他方の接続パイプ部22から配管11へ流出する。
【0043】
したがって、第一テーパ孔24と第二テーパ孔25を流れる液体12に、圧力差が生じる。その圧力差によって、第二テーパ孔25のテーパ面に連通する第一導入孔26に、負圧が生じる。その結果、液体タンク60の混合液体13が、第一導入孔26、第二導入孔42および給液チューブ44を介して吸引され、第二テーパ孔25を通過する液体12に混合することになる。
【0044】
液体12に混合する混合液体13の混合量は、第一テーパ孔24と第二テーパ孔25との圧力差の大きさによって左右される。本実施形態では、バルブ軸30のつまみ部35を回転させて、流量調整弁を構成するバルブ孔31と第一テーパ孔24との重なり面積を変化させることによって、バルブ孔31へ流れる液体流量を、容易に調整することができる。その液体流量が変化すると、第二テーパ孔25へ流れる液体圧力が変化する。その結果、混合液体13の混合量を、容易に調整することができる。
【0045】
また、混合液体13の混合量は、上記したように、導入量調整機構を構成する装置本体20をベース部40に対して回転して、第一導入孔26と第二導入孔42との重なり面積を調整することによっても、バルブ軸30を回して主管路の液体流量を調整することと関係なく、簡単な操作で細かく制御できる。
【0046】
次に、混合液体13の混合量の変化について、試験例に基づいて説明する。
なお、バルブ孔31と第一テーパ孔24との重なり面積状態は、「液体流路絞り全開に対する絞りの割合」で表わす。また、第一導入孔26と第二導入孔42の重なり面積状態は、「混合液体導入路絞り全開に対する絞りの割合」で表わす。この試験例では、液体流路絞り全開におけるバルブ孔31の内径は、4.5mmである。一方、混合液体導入路絞り全開における第一導入孔26および第二導入孔42の内径は、1.8mmである。
【0047】
まず、他方の接続パイプ部22から流出される液体量、つまり配管11の液体供給量の調整による混合液体13の混合量について説明する。
液体流路絞り全開で、かつ、混合液体導入路絞り全開である場合、
他方の接続パイプ部22から流出される液体量が、4L(リットル)/minのとき、混合液体13の混合量は、14mL/minとなる。
他方の接続パイプ部22から流出される液体量が、5L(リットル)/minのとき、混合液体13の混合量は、82mL/minとなる。
他方の接続パイプ部22から流出される液体量が、6L(リットル)/minのとき、混合液体13の混合量は、136mL/minとなる。
【0048】
また、混合液体13の混合量は、液体流路絞り状態と、混合液体導入路絞り状態とによって異なってくるので、液体流路絞りを変化した場合と、混合液体導入路絞りを変化した場合について調査した。
【0049】
まず、液体流路絞り状態を変化させた場合における、混合液体13の混合量について、他方の接続パイプ部22から流出される液体量が、5L(リットル)/minの場合で説明する。
前述したように、液体流路絞り全開で、かつ、混合液体導入路絞り全開である場合は、混合液体13の混合量は、82mL/minとなる。
これに比べて、
液体流路絞り1/4(開口面積が全開の3/4)で、かつ、混合液体導入路絞り全開である場合、混合液体13の混合量は、122mL/minとなる。
液体流路絞り1/2(開口面積が全開の1/2)で、かつ、混合液体導入路絞り全開である場合、混合液体13の混合量は、136mL/minとなる。
【0050】
次に、混合液体導入路絞り状態を変化させた場合における、混合液体13の混合量について、他方の接続パイプ部22から流出される液体量が、5L(リットル)/minの場合で説明する。
前述したように、液体流路絞り全開で、かつ、混合液体導入路絞り全開である場合は、混合液体13の混合量は、82mL/minとなる。
これに比べて、
液体流路絞り全開で、かつ、混合液体導入路絞り1/2(開口面積が全開の1/2)である場合、混合液体13の混合量は、48mL/minとなる。
液体流路絞り全開で、かつ、混合液体導入路絞り3/4(開口面積が全開の1/4)である場合、混合液体13の混合量は、34mL/minとなる。
【0051】
以上のことから、本発明の実施形態の液体混合機構10では、混合液体13の混合量は、導入量調整機構を調整することによって、すなわち、装置本体20をベース部40に対して回転し、第一導入孔26と第二導入孔42との重なり面積を調整することによって、主流路の液体流量を調整することなく、簡単な操作で細かく制御できる。
【0052】
また、流量調整弁によって、すなわち、バルブ軸30を回転してバルブ孔31と第一テーパ孔24との重なり面積を調整することによって、主流路の液体流量を容易に調整することができる。その結果、混合液体13の混合量を、簡単な操作で細かく制御できる。
【0053】
さらに加えて、上記の主流路の流量調整と、前述の導入量調整機構による調整と、の両者の組み合わせで、混合液体13の混合量を、さらに微妙に制御できる。
【0054】
なお、例えば、家畜に対して、単に飲料水等の液体11のみにするときは、第一導入孔26と第二導入孔42との重なり面積を、全閉とするだけで良いので、簡単に調整できる。
【0055】
図5および図6は、本発明の他の実施形態に係る液体混合機構100を説明するための図である。なお、上記実施形態と同じ部材は同じ符号で示す。
【0056】
図5に示したように、本実施形態では、装置本体20に第一テーパ孔24および第二テーパ孔25が形成され、主流路の流量調整弁であるバルブ軸30が設けられていることは上記実施形態と同様である。
【0057】
本実施形態では、図5(D)に示したように、混合液体導入路70が、装置本体20の側面から第二テーパ孔25に向かって貫通形成されており、この混合液体導入孔70に、薬液等の混合液体が貯留された液体タンク60に他端が接続された給液チューブ44の一端が接続されている。
【0058】
導入量調整機構80は、装置本体20の上面から混合液体導入孔70に向かって貫通された貫通孔に配設されたピン部材81とこのピン部材81の後端に設けられたねじ部材82とを備えてなる。ねじ部材82を回転させるとピン部材81の先端部が、混合液体導入孔70内に進入する。従って、ねじ部材82を回転させ、ピン部材81の先端部の混合液体導入孔70内への進退量を調整すると、該混合液体導入孔70における混合液体の通過可能面積を調整できる。
【0059】
本実施形態の液体混合機構100は、導入量調整機構80が上記実施形態よりもコンパクトな構成である。従って、例えば、図6に示したように、水飲み場(受水槽)200内に突出している飲料水の配管11に接続しても、水飲み場(受水槽)200内にコンパクトに収まる。このため、水飲み場(受水槽)200の下方スペースに限らず、水飲み場(受水槽)200内に液体タンク60を配置することもできる。
【0060】
本実施形態によれば、例えば、飲料水が主流路である第一テーパ孔24、バルブ軸30のバルブ穴31を経て、第二テーパ孔25を通過していくが、その際に、混合液体導入孔70から薬剤やビタミン剤等の他の液体が混合される。そして、この他の液体が混合された飲料水が第二テーパ孔25の出口に接続された吐出部11aから水飲み場(受水槽)200に吐出される。水飲み場(受水槽)200には、ボールタップ210が設けられており、所定の水位に至るまで吐出部11aから飲料水が吐出される。所定の水位に至るとボールタップ210の作用により、飲料水の吐出が停止される。家畜が飲料水をのみ水位が下がると、再び、飲料水が吐出され、以降、このような動作を繰り返す。本実施形態においても、上記実施形態と同様に、導入量調整機構80の調整により、混合液体の導入量を容易に調整できる。また、流量調整弁であるバルブ軸31を回転させることにより、飲料水等の供給量も調整できるため、両者を併せて調整することで、他の液体の混合量を細かく制御することが可能である。
【符号の説明】
【0061】
10 液体混合機構 11 配管
12 液体 13 混合液体(他の液体)
20 装置本体 21 一方の接続パイプ部
22 他方の接続パイプ部 23 バルブ軸穴
24 第一テーパ孔 25 第二テーパ孔
26 第一導入孔
30 バルブ軸 31 バルブ孔
35 つまみ部
40 ベース部 42 第二導入孔
60 液体タンク
70 混合液体導入孔
80 導入量調整機構
81 ピン部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管を通過する液体に他の液体を混合する液体混合機構であって、
前記配管に連通され、上流側から順に、液体の流れ方向に沿って狭まる第一テーパ孔と該第一テーパ孔に連通して流れ方向に沿って拡がる第二テーパ孔とを備えた主流路と、
前記主流路に連通して他の液体を導入する混合液体用導入路と、
前記混合液体導入路から前記主流路に導入される前記他の液体の導入量を調整する導入量調整機構と
を備えることを特徴とする液体混合機構。
【請求項2】
前記混合液体用導入路が、前記主流路を構成する第二テーパ孔のテーパ面に連通するように設けられている請求項1記載の液体混合機構。
【請求項3】
前記導入量調整機構が、前記第一テーパ孔及び第二テーパ孔を含む主流路を有する装置本体と、前記装置本体を支持するベース部とを備えてなり、
前記混合液体導入路が、前記装置本体に形成され、前記第二テーパ孔のテーパ面に連通する第一導入孔と、前記ベース部に形成され、前記装置本体の第一導入孔に連通可能であると共に、混合する前記他の液体の供給源に連通された第二導入孔とを有して構成され、
前記第一導入孔と前記第二導入孔との重なり面積を調整できるように、前記装置本体が前記ベース部に対して回転可能に設けられている請求項1又は2記載の液体混合機構。
【請求項4】
前記混合液体導入路が、前記第一テーパ孔及び第二テーパ孔を含む主流路を有する装置本体において、前記第二テーパ孔のテーパ面に連通するように設けられており、
前記導入量調整機構が、前記混合液体導入路における混合液体の通過可能面積を調整する構造である請求項1又は2記載の液体混合機構。
【請求項5】
前記導入量調整機構は、前記装置本体に設けられ、前記混合液体導入路内に進退可能なピン部材を備えてなり、前記ピン部材の進退量を調整し、混合液体の通過可能面積を調整可能である請求項4記載の液体混合機構。
【請求項6】
前記主流路に設けられ、主流路内を流れる液体の流量を調整する流量調整弁をさらに備える請求項1〜5のいずれか1に記載の液体混合機構。
【請求項7】
前記流量調整弁が、径方向に貫通形成したバルブ孔を備えたバルブ軸からなり、前記バルブ孔を前記主流路内に位置させて設けられ、前記バルブ軸を回転させることにより、前記バルブ孔を通過する液体の流量を調整する構成である請求項6記載の液体混合機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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