説明

液体混合装置

【課題】高精度な混合率で液剤を混合でき、且つ、省エネルギーを達成しうる液体混合装置を提供すること。
【解決手段】液体混合装置1は、流体が流通する管路部7と、この管路部7へ液剤を供給するための液剤供給路17とを備える。液体混合装置1は、液剤供給路17に配設された液剤供給機構h2を備える。この液剤供給機構h2は、管路部7における上記流体の流れを利用した駆動装置によって駆動されている。好ましくは、管路部7は、分岐管路部7bを有している。好ましくは、液剤供給機構h2は、上記分岐管路部7bにおける上記流体の流れを利用した駆動装置によって駆動されている。好ましくは、液剤供給機構h2は、液剤供給路17から液剤を受け入れて所定量の液剤を計量する計量機能と、その計量された液剤を管路部7に供給する機能を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体混合装置に関する。さらに詳しくは、例えば、液体が流通する流路に、異なる液体を所望量供給する液体混合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記液体混合装置に類似した装置として、実公平04−36582号公報に開示された施肥装置が知られている。この施肥装置は、管路内を圧送されるペースト肥料に対して、管路に形成された開口から粒状肥料を供給するものである。上記開口には、粒状肥料を供給するためのホッパが取り付けられている。ホッパの下端には歯車状のロータが取り付けられている。このロータの回転により、ロータの溝部に入り込んだ粒状肥料が、管路内に投入される。このようにして、ロータの回転数に応じた所定量の粒状肥料がペースト肥料に混合される。ロータはモータによって回転駆動されており、この回転駆動には電力が消費される。
【0003】
特開平09−266731号公報には、いわゆるジェットポンプ(エジェクタ)を利用した園芸用散水器が開示されている。この散水器は、水に液肥を混合させたうえで散水するものである。この散水器は、給水用のノズルとデフューザとの隙間に発生する負圧を利用して液肥を吸い込み、この液肥を、ノズルから噴出される水に混入するものである。
【0004】
上記実公平04−36582号公報に開示された施肥装置では、管路内のペースト肥料が、開口を通して粒状肥料側に逆流することが考えられる。すなわち、ロータの回転により、粒状肥料を管路内に放出した溝部が、管路内のペースト肥料を汲み取ってホッパ内に送り込んでしまうおそれがある。
【0005】
特開平09−266731号公報に開示された散水器では、給水圧力の変化により、液肥の吸い込み量が変動する。従って、液肥濃度を薄くした場合、一定濃度に調整することが困難である。また、液肥の供給路の断面積を調節しても、水圧条件によっては、水が液肥の供給側に逆流することがあった。
【0006】
実用新案登録第2540072号公報には、上記特開平09−266731号公報の散水器と同様、いわゆるジェットポンプを利用した液剤混合装置が開示されている。この混合装置では、液剤の供給路に流量調整弁が装備されている。特開平08−156751号公報には、エジェクタを利用した薬液の希釈装置が開示されている。この希釈装置では、薬液吸引用エジェクタによって吸い上げられた薬液が、薬液混合用エジェクタによって水配管内に混入される。薬液の供給量は、薬液吸引用エジェクタに送られる空気量を、レギュレータによって調節することにより、調節される。上記のいずれの公報に開示された装置によっても、精確な液剤供給量の調節は容易ではない。エジェクタによっては、液剤の吸引量の精確な制御が困難だからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実公平04−36582号公報
【特許文献2】特開平09−266731号公報
【特許文献3】実用新案登録第2540072号公報
【特許文献4】特開平08−156751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、高精度な混合率で液剤を混合でき、且つ、省エネルギーを達成しうる液体混合装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る液体混合装置は、流体が流通する管路部と、この管路部へ液剤を供給するための液剤供給路と、上記液剤供給路に配設された液剤供給機構を備えている。上記液剤供給機構は、上記管路部における上記流体の流れを利用した駆動装置によって駆動されている。
【0010】
好ましくは、上記管路部は、分岐管路部を有している。好ましくは、上記液剤供給機構は、上記分岐管路部における上記流体の流れを利用した駆動装置によって駆動されている。
【0011】
好ましくは、この液剤供給機構は、液剤供給路から液剤を受け入れて所定量の液剤を計量する計量機能と、その計量された液剤を管路部に供給する機能を備える。
【0012】
好ましくは、上記液剤供給機構は、液剤供給部材を備えている。好ましくは、この液剤供給部材は、液剤供給路から液剤を受け入れる液剤受入位置と、液剤を管路部に排出する液剤排出位置とに変位可能に構成されている。好ましくは、上記液剤供給部材は、所定量の液剤を収容しうる計量部を有している。好ましくは、この計量部が、液剤供給部材が液剤受入位置にあるときには、液剤供給路と連通し且つ管路部には連通せず、液剤供給部材が液剤排出位置にあるときには、管路部と連通し且つ液剤供給路には連通しないように構成されている。
【0013】
好ましくは、上記駆動装置が、上記流体の流れを回転力に変換しうる回転力発生部を有している。好ましくは、上記液剤供給機構が、上記回転力発生部と同軸で回転する回転部材を有している。好ましくは、この回転部材に、上記計量部が設けられている。好ましくは、上記回転部材が回転駆動されることにより、上記液剤受入位置と液剤排出位置とに変位する。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る液体混合装置によれば、高精度な混合比率及び省エネルギーが達成されうる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明に係る混合液体供給システムの第一実施形態を示すブロック図である。
【図2】図2は、本発明に係る液体混合装置の一実施形態を示す斜視図である。
【図3】図3は、図2の液体混合装置に用いられている本体ブロックの斜視図である。
【図4】図4は、図2の液体混合装置の本体部h1の内部構造を示す斜視図である。
【図5】図5は、図4のF5−F5線に沿った断面図である。
【図6】図6は、図4のF6−F6線に沿った断面図である。
【図7】図7は、液剤供給部材の分解斜視図である。
【図8】図8(a)は、図6の要部が拡大された断面図である。この図8(a)は、液剤排出位置における断面図である。図8(b)は、図8(a)のF8B−F8B線に沿った断面図である。
【図9】図9(a)は、図6の要部が拡大された断面図である。この図9(a)は、液剤受入位置における断面図である。図9(b)は、図9(a)のF9B−F9B線に沿った断面図である。
【図10】図10は、押さえ弁と回転部材との関係を示す図である。
【図11】図11は、図2に示される液体混合装置の斜視図である。この図11では、駆動体収容部の内部が示されている。
【図12】図12は、図6のF12−F12線に沿った断面図である。
【図13】図13は、図12のF13−F13線に沿った断面図である。
【図14】図14は、流量調整弁の斜視図である。
【図15】図15(a)は、本発明に係る混合液体供給システムの第二実施形態を示すブロック図であり、図15(b)は、本発明に係る混合液体供給システムの第三実施形態を示すブロック図であり、図15(c)は、本発明に係る混合液体供給システムの第四実施形態を示すブロック図である。
【図16】図16(a)は、他の実施形態に係る液体混合装置を示す概略図であり、図16(b)は、更に他の実施形態に係る液体混合装置を示す概略図である。
【図17】図17は、他の実施形態に係る液体混合装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0017】
図1には、本発明の一実施形態に係る混合液供給システム100が概略的に示されている。このシステム100は、水に対し、例えば、肥料、薬剤、洗剤、糖分等の食品添加物、水耕栽培の水耕液等、インク、栄養素等の液剤を混合し、この混合液を種々の使用分野に供給するものである。上記「水」は、水道水等の水単体である他、水に各種液剤が予め混合されている混合水であってもよい。このシステム100は、給水源101、この給水源101に接続され、使用先110に混合液を供給する給水配管102、この給水配管102に設置された液体混合装置1、給水配管102の液体混合装置1より水流れ方向(以下、省略する)下流側に設置された液剤の濃度センサ103、給水配管102の濃度センサ103より下流側から液体混合装置1の上流側に接続された還流配管104を備えている。給水配管102における還流配管104の下流接続点Bより下流側には、ポンプ105が設置されている。給水配管102における還流配管104の上流接続点Aより下流側には第一開閉弁106設置されており、環流配管104には第二開閉弁107が設置されている。
【0018】
上記液体混合装置1は、給水配管102中を流れる水に所望量の液剤を混合する装置である。液体混合装置1には、流量調整弁VL1(後述)の動作を制御する制御装置108が接続されている。上記濃度センサ103は、給水配管102中を流れる液体の液剤濃度を検出する検出部103aと、この検出部103aによる検出結果を表示し、且つ、その濃度情報を制御装置108に送信する演算表示部103bとを有している。濃度センサ103及び制御装置108はそれぞれ交流電源109に接続されている。図示しないが、開閉弁105、106にも、必要に応じて交流又は直流の電源が接続される。図1においては、動力用電源系統は実線で示され、信号系統は破線で示されている。開閉弁106、107は、電磁式開閉弁であってもよく、モータ駆動の開閉弁であってもよく、油圧や空気圧式の開閉弁であってもよい。
【0019】
このシステム100では、濃度センサ103として、光屈折計が用いられている。光屈折計は、装備されたプリズムと測定対象となる液体との界面で生じる光の屈折程度に基づき、測定対象となる液体の液剤濃度を算出するものである。本発明では、濃度センサ103としては光屈折計には限定されず、例えば、比重測定計、導電率計、pH測定計、粘度計その他の公知の計測器を採用しうる。液量変化等の変動要因が存在しても高精度の測定が可能であること、適用対象が広いこと、扱い易いこと等から、光屈折計が好ましい。なお、屈折率は対象液の温度によって変化するため、対象液の屈折率とともに温度も測定し、測定温度に基づいて屈折率の補正が行われるのが好ましい。このため、屈折率及び温度の両方を測定しうるセンサが好ましい。例えば、株式会社アタゴ製のPRM−100α、CM−780N等が採用されうる。適用対象液が液肥の場合は、高精度と低コストが両立しうる導電率計が好ましい。導電率は対象液の温度の上昇とともに上昇するため、対象液の導電率とともに温度も測定し、測定温度に基づいて導電率の補正が行われるのが好ましい。又は、所定の温度補正率、例えば、予め2%/1°C等の補正率を設定しておくことにより、補正が行われてもよい。
【0020】
上記制御装置108は、予め設定された所望の液剤濃度と、濃度センサ103による濃度情報との比較に基づき、液体混合装置1に対して、時間当たりの液剤供給量の増減指令を発信する。液体混合装置1では、この指令信号により、後述される流量調整弁VL1を駆動するモータ6の動作が制御される。なお、後述されるように、制御装置108を液体混合装置1に接続することは、必須ではない。
【0021】
このシステム100では、濃度センサ103による検出濃度値が、予め設定された濃度値より低い場合には、制御装置108が、第一開閉弁106に対して閉弁指示を送り、第二開閉弁107に対して開弁指示を送ることがある。これにより、検出濃度値が規定値に達しない間は、使用先110への混合液の供給が停止され、混合液は給水配管102と還流配管104とを循環する。検出濃度値が規定値に達すると、制御装置108が、第一開閉弁106に対して開弁指示を送り、第二開閉弁107に対して閉弁指示を送り、混合液が使用先110に供給される。上記システム100の動作は一例である。なお、制御装置108から第一開閉弁106と第二開閉弁107の両方に開弁指示を送って使用先110に供給しながら還流配管104にも混合液を循環させ、検出濃度値が規定値に達したときに制御装置108から第二開閉弁107に対して閉弁指示を送り、混合水を使用先110に供給することも可能である。また、第一開閉弁106と第二開閉弁107のいずれか一方又は両方を、流量を調整しうる弁として、制御装置108によって流量を調整することも可能である。
【0022】
なお、液体混合装置1をシステム100に組み込むことは、液体混合装置1の用途の一例に過ぎない。液体混合装置1は、例えば、単独で用いられてもよい。また、他の実施形態に係るシステムは、後述される。
【0023】
図2は、液体混合装置1の斜視図である。液体混合装置1は、本体部h1と、駆動体収容部g1とを有する。図3は、本体部h1の一部を構成する本体ブロック2の斜視図である。図4は、本体部h1の内部構造を示す斜視図である。図5は、図4におけるF5−F5線に沿った断面図であり、図6は、図4におけるF6−F6線に沿った断面図である。
【0024】
本体部h1は、本体ブロック2と、本体ブロック2に組み込まれた円柱状の液剤供給部材3と、本体ブロック2に取り付けられた液剤容器4と、本体ブロック2に組み込まれた円筒状の押さえ弁5と、流量調整弁VL1(後述)を駆動するモータ6とを有している。なお図4では、モータ6及び調整弁用穴10の記載が省略されている。本体部h1は、液剤供給機構h2を有している。
【0025】
駆動体収容部g1は、分岐管路部7b(後述)と、ケースks1と、回転力発生部g2とを有する。ケースks1と本体部h1との境界面には、パッキンPkが設けられている(図6参照)。このパッキンPkにより、水密性が向上している。
【0026】
図3が示すように、本体ブロック2は、1つの調整弁用穴10と、2つの第一穴11と、2つの第二穴12とを有している。また、本体ブロック2は、2つの開口7hを有している。これらの開口7hは、分岐管路部7b(後述)の中途に位置する。更に、本体ブロック2は、入口側の突出管P1と、出口側の突出管P2とを有する。この本体ブロック2は、本体部h1のボディである。1つの調整弁用穴10には、流量調整弁VL1(後述)が挿入されている。
【0027】
液剤容器4は、第一穴11の開口部に取り付けられている。駆動モータ6は、調整弁用穴10の外側に取り付けられている。駆動モータ6としては、ステッピングモータ、サーボモータ、DCモータ等が採用されうる。しかし、回転角度の制御が可能な上、安価であり、比較的高精度であり、必要なトルクが得られるステッピングモータが好ましい。
【0028】
なお、駆動モータ6は、設けられなくても良い。駆動モータ6を有さない実施形態については、後述される。
【0029】
濃度センサ103及び制御装置108は、液剤濃度を精確に設定するため、また、液剤濃度を容易に変更できるようにするために付設されるのが好ましい。
【0030】
本体ブロック2及びケースks1には、水等の液体が流通する管路部7が形成されている。管路部7は、主管路部7aと分岐管路部7bとを有する。主管路部7aは、本体ブロック2に形成されている。主管路部7aは真っ直ぐに延びる1本の管である。分岐管路部7bは、主管路部7aから分岐し、且つ、主管路部7aに戻る。分岐管路部7bについては、後述される。
【0031】
図5では、主管路部7aの左端が入口8であり、右端が出口9である。本願発明では、左右端のいずれが入口8でも出口9でもよい。本体ブロック2には、上記主管路部7aに直交して連通する二本の円筒状の第一穴11が形成されている。第一穴11は、本体ブロック2の上面から鉛直下方に延び、主管路部7aにまで至っている。第一穴11の中心軸は、主管路部7aの中心軸にほぼ一致している。各第一穴11には、上記押さえ弁5が収容されている。
【0032】
本体ブロック2には、各第一穴11に直交して連通する円筒状の第二穴12が形成されている。第二穴12の中心軸は、第一穴11の中心軸と交わっている。第二穴12は、本体ブロック2の側面から水平に延び、第一穴11にまで至っている。この第二穴12は、上記主管路部7aに垂直な方向であって、主管路部7aのわずかに上方に延在している。更に、第二穴12は主管路部7aに連通している。第二穴12及び第一穴11は、ともに有底である。各第二穴12には、上記液剤供給部材3が自軸回りに回転可能に収容されている。液剤供給部材3の端部には、第二穴12の開口端に設置された水車WTの出力軸z1が接続されている。液剤供給部材3は、水車WTにより、自軸回りに回転駆動される。液剤供給部材3の回転部材21は、水車WTと同軸で回転する。水車WTは、駆動体収容部g1のケースks1内に配置されている(図6参照)。この水車WTは、回転力発生部g2である。この水車WTは、流体の流れを利用した駆動装置である。この水車WTの詳細については、後述される。
【0033】
この液体混合装置1では、一つの液剤供給部材3、一つの液剤容器4及び一つの押さえ弁5により、主管路部7aに対する一つの液剤混合ユニットが構成されている。この本体ブロック2では、一本の主管路部7aに沿って、直列に二つの液剤混合ユニットが構築されていることになる。本発明では、一つの本体ブロック2に対し、一つの液剤混合ユニットのみが構築されてもよく、三つ以上の液剤混合ユニットが構築されてもよい。一つの主管路部7aに複数個の液剤混合ユニットが構築されることにより、複数種の液剤の混合量を別々に調整しながら供給することができる。また、一つの本体ブロックに複数本の主管路部7aが形成され、各主管路部7aに液剤混合ユニットが構築されてもよい。このような、駆動装置によって回転駆動される部材(液剤供給部材3)は、回転数によって精密に液剤供給量を調整でき、また、前後移動の繰り返し等によって液剤を供給する装置に比して耐久性や低振動性に優れ、さらに装置コストも抑えることができる。従って、液剤供給機能としてこのような回転部材を採用することが好ましい。
【0034】
図5及び図6が示すように、上記押さえ弁5は、段差部13を介して大径部14と小径部15とから構成されている。押さえ弁5の中心軸に沿って貫通孔16が形成されている。この貫通孔16は、液剤が通る液剤供給路17を構成する。第一穴11の開口部には、フランジ部18fを有する円筒状の液剤容器止め具18が取り付けられている。液剤容器止め具18は、そのフランジ部18fが、本体ブロック2の外表面に、図示しないガスケットを介装し、図示しないボルト等によって着脱可能に取り付けられている。この液剤容器止め具18の上端の内径側には、液剤容器4の口部が水密に且つ着脱可能に装着されている。液剤容器止め具18の下端の内径側には、押さえ弁5の小径部15が、Oリング19を介して嵌合されている。押さえ弁5は、液剤容器止め具18に対して上下動可能である。液剤容器止め具18は、液剤容器4の脱着性をよくするため、または装着を確実にするために付設することが好ましい。
【0035】
第一穴11における、液剤容器止め具18の下面と押さえ弁5の段差部13との間の空間には、第一コイルばね20が圧縮状態で装着されている。この第一コイルばね20は、押さえ弁5の小径部15の外周に装着されている。この第一コイルばね20により、押さえ弁5の下端面5aは、回転部材21(後述)の外周面に弾力的に押圧されている。従って、上記液剤供給路17は、液剤容器4の口部から、貫通孔16を通って、回転部材21の外周面にまで至っている。液剤は回転部材21の外周面にまで充満する。
【0036】
押さえ弁5の下端面5aは、回転部材21の外周面と相補的な、部分円柱状の凹状に形成されている。回転部材21の外周面と、押さえ弁5の下端面5aの凹部とは、同一の曲率を有する円柱面状を呈している。この形状により、押さえ弁5の下端面5aは、自軸回りに回転する回転部材21の外周面に摺接する。この押さえ弁5の下端面5aが、回転部材21の摺接支持面を構成する。押さえ弁5は、この回転部材21の外周面に摺接することにより、閉弁が可能となる。押さえ弁5の大径部14の外径は、回転部材21の外径より大きくされている。押さえ弁5の開閉動作の詳細については後述する。
【0037】
図7は、液剤供給部材3の分解斜視図である。図8(a)は、図6の要部を拡大して示す断面図であり、図8(b)は、図8(a)におけるF8B−F8B線に沿った断面図である。図8(a)及び図8(b)は、液剤供給部材3が液剤排出位置にあるときの断面図である。図9(a)は、図6の要部を拡大して示す断面図であり、図9(b)は、図9(a)におけるF9B−F9B線に沿った断面図である。図9(a)及び図9(b)は、液剤供給部材3が液剤受入位置にあるときの断面図である。
【0038】
本実施形態では、この液剤供給部材3が液剤供給機構h2を構成している。液剤供給部材3は、上記回転部材21及び計量部形成部材22を有している。回転部材21は、自軸回りに回転可能に、第二穴12に収容されている。回転部材21は、出力軸z1との連結側端部(基端部という)に、大径被支持部33を有している。回転部材21は、その先端部に、小径被支持部34を有している。第二穴12の開口部近傍35は、上記大径被支持部33の外径とほぼ同一の内径を有している。第二穴12の奥端部近傍36は、上記小径被支持部34の外径とほぼ同一の内径を有している。回転部材21は、第二穴12の開口部近傍35及び奥端部近傍36、並びに、上記押さえ弁5の下端面(摺接支持面)10によって回転可能に支持されている。上記回転部材21における、長手方向(軸方向)の両端近傍それぞれに、Oリング37が装着されている。従って、液体が駆動体収容部g1側に進出することが防止されている。
【0039】
回転部材21には、収容凹所23が形成されている。収容凹所23は、回転部材21の軸方向に延びている。この収容凹所23に上記計量部形成部材22が収容される。この計量部形成部材22及び収容凹所23並びに後述する小径及び大径の貫通孔30、31が計量部を構成する。収容凹所23の開口部分は、蓋部材24によって閉止される。蓋部材24は、上記開口部分に装着されるものであり、接着剤、ネジ等によって上記開口部分に固着されていてもよい。上記計量部形成部材22は、基板25と、この基板25の上面に相互に離間して突設された一対の突起26と、基板25上における一対の突起26同士の間に突設された計量凸部27とを有している。突起26同士の間隔は、突起26の機能(押さえ弁5の下端面5aにより押圧される)を確保するために、押さえ弁5の大径部14の外径より小さくされている。一対の突起26と計量凸部27とは一直線に整列している。この詳細は、後に液体混合装置1の動作の説明において説明される。基板25の背面と蓋部材24との間には、第二コイルばね28が圧縮状態で装着されている。蓋部材24及び基板25それぞれの対向面には、第二コイルばね28の端部が嵌着されるばね座としての円形凹所29が形成されている。
【0040】
図7に示されるように、計量凸部27の高さは、突起26の高さよりわずかに低い。上記収容凹所23の底部には、三つの貫通孔30、31が形成されている。真ん中の大径貫通孔31には、上記計量凸部27が挿通される。大径貫通孔31の左右両側に形成された一対の小径の貫通孔30には、上記一対の突起26が挿通される。三つの貫通孔30、31は一直線に整列している。
【0041】
[進出位置:液剤排出位置]
図8(a)及び図8(b)に示されるように、計量部形成部材22が収容凹所23内に収容されて、第二コイルばね28の復元力によってその基板25の上面が収容凹所23の底面に接したとき、上記一対の突起26の先端が、小径貫通孔30の開口30aから外方へ突出する。すなわち、第二コイルばね28により、一対の突起26の先端が外方へ弾力的に突出させられる。即ち、計量部形成部材22は、進出位置にある。このとき、上記計量凸部27の先端は、大径貫通孔31の開口31a(液剤受入開口ともいう)にまで至る。しかし、計量凸部27の先端は、開口31aから外方へは突出せず、回転部材21の外周面と一致する。突起26及び計量凸部27は、このような高さに形成されている(図7も併せて参照)。計量凸部27の先端面の形状は、回転部材21の外周面と同一の曲率を有する部分円柱面にされている。従って、計量部形成部材22が進出位置にあるとき、回転部材21の外周面の大径貫通孔31の部分は、凹凸のない円柱外面となっている。本願において、この位置は、液剤供給部材3の液剤排出位置と称される。
【0042】
[後退位置:液剤受入位置]
一方、図9(a)及び図9(b)に示されるように、外方へ突出した一対の突起26の先端部が、外力により、第二コイルばね28の復元力に抗して小径貫通孔30の内方へ押し返されて、回転部材21の外周面と一致したとき、計量凸部27の先端は、回転部材21の外周面、すなわち液剤受入開口31aから大径貫通孔31を内方へに後退する。即ち、計量部形成部材22は、後退位置にある。従って、大径貫通孔31内の外方側には、空間32が形成される(図9(a)参照)。この空間32は、後述する液剤収容空間である。液剤収容空間32は、大径貫通孔31と計量凸部27の先端面とによって画される。液剤容器4から液剤供給路17を通ってきた液剤は、液剤受入開口31aから液剤収容空間32に受け入れられる。この位置は、液剤供給部材3の液剤受入位置である。
【0043】
このように、図9(a)及び図9(b)は、計量部形成部材22の後退位置である。kの後退位置は、液剤供給部材3の薬剤受入位置である。一方、前述した計量部形成部材22の進出位置(図8(a)及び図8(b))では、液剤収容空間32が消滅している。この進出位置は、液剤供給部材3の液剤排出位置である。
【0044】
押さえ弁5の貫通孔16の中心軸に垂直な断面積がS1とされ、上記大径貫通孔31の中心軸に垂直な断面積がS2とされる(図9(b)参照)。S2/S1の値が大きすぎると、液剤の粘度が高い場合や、時間当たりの液剤の混入量が多い場合に、液剤収容空間32への液剤の導入が不完全となるおそれがある。S2/S1の値が小さすぎると、貫通孔16における液剤のたまり部が大きくなり、装置の大型化、コストアップ等を招来する可能性がある。また、液剤収容空間32の体積Vが小さくなり、時間当たりの液剤導入量の上限が過度に制限される可能性もある。そこで、S2/S1の値は、0.3以上3.0以下が好ましい。下限値は0.5以上がさらに好ましく、0.7以上がさらに好ましい。また、上限値は2.0以下がさらに好ましく、1.5以下がさらに好ましく、0.95以下が特に好ましい。本実施形態では、S2/S1の値は0.9とされている。
【0045】
液剤収容空間32の体積Vが小さすぎると、時間当たりの液剤導入量の上限が過度に制限されるおそれがある。また、過度に小さい場合には、液剤の粘度が高い場合等において、液剤収容空間32への液剤の導入が不完全になるおそれがある。この体積Vが大きすぎると、混合液の時間当たりの濃度変化が大きくなり、細かい濃度設定が難しくなるおそれがある。そこで、上記体積Vは、0.05cc以上1.00cc以下が好ましい。下限値は0.10cc以上がさらに好ましく、0.15cc以上がさらに好ましい。また、上限値は0.50cc以下がさらに好ましく、0.30cc以下がさらに好ましく、0.20cc以下が特に好ましい。本実施形態では、体積Vは0.15ccとされている。
【0046】
図9(b)に示された液剤収容空間32の深さTが小さすぎると、装置1の組み立て時や運転時に、部材が液剤収容空間32に引っ掛かるおそれがある。逆に、深さTが大きすぎると、液剤の粘度が高い場合等において、液剤収容空間32への液剤の導入が不完全になるおそれがある。そこで、深さTの値は、0.2mm以上4.0mm以下が好ましい。下限値は0.5mm以上がさらに好ましく、0.8mm以上が特に好ましい。また、上限値は3.0mm以下がさらに好ましく、2.0mm以下が特に好ましい。本実施形態では、深さTは1.5mmとされている。
【0047】
液体混合装置1は、低混合率においても高精度な混合を行うことが期待できる。混合後の混合液の単位体積に対する、混入される液剤の体積割合が0.0001以上0.05以下の範囲において特に高精度な混合制御が期待できる。
【0048】
上記のように構成された液体混合装置1の動作が、図8(a)、図8(b)、図9(a)及び図9(b)が参照されつつ、以下に説明される。主管路部7aには水が流れている。液剤容器4内の液剤は、液剤供給路17内に充満し、液剤供給部材3の回転部材21の外周面にまで至っている。液剤供給部材3は、水車WT(回転力発生部g2)により、自軸回りに回転している。上記押さえ弁5の下端面5aは、回転部材21の外周面に摺接している。この摺接により、主管路部7aと液剤供給路17との間の液シールが実現されている。
【0049】
図8(a)及び図8(b)に示されるように、液剤供給部材3が回転して液剤排出位置に至ったとき、回転部材21の小径及び大径の貫通孔30、31の開口は、主管路部7a及び第一穴11が形成している空間に対向している。従って、突起26の先端は押されない。突起26は、上記空間7、11に向かって突出している。計量凸部27の先端は、回転部材21の外周面と一致し、液剤収容空間32が消滅している。
【0050】
液剤供給部材3が回転して液剤受入位置(図9(a)及び図9(b))に移行するとき、小径貫通孔30の開口から突出していた突起26の先端が、押さえ弁5の下端面5aによって小径貫通孔30の内方へ押される。これにより、計量部形成部材22が収容凹所23の内方へ後退する。計量凸部27も大径貫通孔31内を後退する。その結果、液剤受入開口31a及び液剤収容空間32が形成される。計量部形成部材22がこの状態のまま、液剤供給部材3がさらに回転し、図9(a)及び図9(b)に示される液剤受入位置に至る。この液剤受入位置では、液剤収容空間32は液剤供給路17である押さえ弁5の貫通孔16に対向している。液剤供給路17及び液剤受入開口31aを通って液剤が液剤収容空間32に流入する。
【0051】
液剤供給部材3が回転して液剤排出位置(図8(a)及び図8(b))に向かうとき、押さえ弁5の下端面5aによって閉止されていた小径貫通孔30の開口が開放される。これにより、突起26の先端が上記空間7、11に向かって突出する。これとともに、計量凸部27の先端が回転部材21の外周面まで進出する。これにより、液剤収容空間32が消滅し、液剤収容空間32内の液剤が主管路部7a内に排出される(図8(a)及び図8(b))。液剤供給部材3が一回転することにより、液剤収容空間32の容積とほぼ同一体積の液剤が、主管路部7a内を流れる水に混合される。水車WTの回転数を調整することにより、液剤供給部材3の回転数を調整し、時間当たりの液剤供給量を制御することができる。
【0052】
液剤供給部材3が回転し、液剤排出位置(図8(a)、図8(b))から液剤受入位置(図9(a)、図9(b))に向かうとき、主管路部7a内の水は液剤供給路17に逆流しない。すなわち、液剤排出位置から液剤受入位置に向かうとき、液剤収容空間32内に主管路部7a内の水が進入することが防止されている。これは、例えば、以下の構成による。
【0053】
図10は、押さえ弁5の下端と回転部材21との位置関係を示す正面図である。回転部材21の外周面に摺接している押さえ弁5の下端面の外周形状を、図10に示されるような形に定めることが可能である。回転部材21が、図10の矢印の方向に回転し、液剤供給部材3が液剤排出位置から液剤受入位置に向かっている状況を考える。この状況において、大径貫通孔31の液剤受入開口31aが先に押さえ弁5の下端面によって閉止され、その後、小径貫通孔30の開口が押さえ弁5の下端面の下に潜り込むことができる形状である。押さえ弁5の下端面をこのような形状とすることにより、液剤受入開口31aが閉止された後、計量凸部27が後退して液剤収容空間32が形成される。その結果、液剤供給部材3が液剤排出位置から液剤受入位置に向かうとき、主管路部7a内の水が液剤収容空間32内に進入することが防止される。主管路部7a内の水が液剤供給路17に逆流することが防止される。
【0054】
本実施形態では、突起26と計量凸部27とが一直線に整列し、小径貫通孔30と大径貫通孔31とが一直線に整列している。しかし、上記の水の逆流防止をより確実にするために、一対の突起26と計量凸部27との配置、及び、小径貫通孔30と大径貫通孔31との配置がわずかに変更されてもよい。図10において、大径貫通孔31だけが、回転方向に先行した位置(図10中のわずかに上方の位置)に変更されてもよい。計量凸部27の形成位置は、この大径貫通孔31の変更後の位置と一致するように、一対の突起26を結ぶ仮想直線上の位置から垂直方向(図中、上方)にわずかに変更される。
【0055】
押さえ弁5、回転部材21及び計量部形成部材22は、相互に当接及び摺接されるため、かかる使用条件に適した耐摩耗性を有する材料が選択される。耐摩耗性の観点から、特に、押さえ弁5と回転部材21とは、互いに硬度が異なる材料からなるのが望ましい。これらの部材5、21、22は、ポリプロピレン(PP)、ABS樹脂、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等から、射出成形、射出圧縮成形等によって形成されうる。特に回転部材21は、寸法精度が要求されるため、ABS樹脂から形成されるのが好ましい。押さえ弁5は、潤滑性が要求されるため、ポリアセタールから形成されるのが好ましい。本体ブロック2は、使用される水圧に十分耐えうる強度を有した合成樹脂が選択されうる。
【0056】
図11は、液体混合装置1の斜視図である。この図11では、液体混合装置1の内部に配置された駆動体収容部g1が示されている。図12は、図6のF12−F12線に沿った断面図である。図13は、図12のF13−F13線に沿った断面を含む一部断面斜視図である。なお図11から図13では、モータ6の記載が省略されている。
【0057】
駆動体収容部g1は、分岐管路部7bと、2つの水車WTと、これらの水車WTを配置するための空間Vxとを有している。管路部7は、第一分岐D1と、第二分岐D2とを有している。分岐管路部7bは、第一分岐D1から第二分岐D2までの管路である。分岐管路部7bの入口は第一分岐D1である。分岐管路部7bの出口は第二分岐D2である。
【0058】
分岐管路部7bは、上流部R1と、中間部R2と、下流部R3とを有する。上流部R1は、第一分岐D1から第一の開口7h(7h1)までの部分である。中間部R2は、第一の7h(7h1)から第二の開口7h(7h2)までの部分である。下流部R3は、第二の開口7h(7h2)から第二分岐D2までの部分である。
【0059】
上流部R1は、本体部h1の本体ブロック2に設けられている。中間部R2は、駆動体収容部g1に設けられている。下流部R3は、本体部h1の本体ブロック2に設けられている。上流部R1は円筒状の(真っ直ぐな)穴であり、下流部R3も円筒状の(真っ直ぐな)穴である。曲がっていない上流部R1及び下流部R3は、本体ブロック2の成形を容易としうる。
【0060】
水車WTは、軸z1と、中心部c1と、複数の翼部b1とを有する。複数の翼部b1は、水車WTの周方向において等間隔で配置されている。翼部b1は、1枚であってもよい。
【0061】
軸z1は、2箇所の軸支持部Asによって支持されている。本実施形態では、軸z1の一端部は、ケースks1に設けられた穴に嵌められている。水車WTの回転抵抗を減らす観点から、これらの軸支持部Asに軸受部材又は軸受が設けられても良い。この軸受部材として、摺動抵抗の少ない部材が好ましい。この軸受部材の材質として、テフロン(登録商標)やPOM(ポリアセタール)などの樹脂、メタルブッシュ、油含侵多孔体等が例示される。軸受としては、転がり軸受、すべり軸受、流体軸受等が挙げられる。
【0062】
図6が示すように、ケースks1と軸z1とは、相互に当接及び摺接されうる。よって、かかる使用条件に適した耐摩耗性を有する材料が選択される。軸z1とケースks1とは、互いに硬度が異なる材料からなるのが望ましい。これらの部材z1、ks1は、ポリプロピレン(PP)、ABS樹脂、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等から、射出成形、射出圧縮成形等によって形成されうる。水車WTについても、ポリプロピレン(PP)、ABS樹脂、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等から、射出成形、射出圧縮成形等によって形成されうる。水車WT及び軸z1は、寸法精度が要求されるため、ABS樹脂から形成されるのが好ましい。
【0063】
水車WTは、分岐管路部7bを流れる液体によって、回転する。水車WTの回転により、軸z1が回転する。軸z1の回転により、液剤供給部材3の回転部材21が回転する。水車WTは、液体の流れを回転力に変換する。水車WTは、液体の流れを利用した駆動装置である。
【0064】
分岐管路部7bの中間部R2と主管路部7aとは、平行に延在している。主管路部7aにおいて、前述された液剤供給部材3(液剤供給機構)は、第一分岐D1と第二分岐D2との間に設けられている。回転部材21の回転軸線と、軸z1の回転軸線とは共通である。本実施形態では、水車WTの軸z1が直接、回転部材21を駆動している。よって、水車WTの回転を回転部材21に伝達するための部材が不要とされうる。この構成は、部品点数及びコストを削減しうる。この構成は、液体混合装置1の小型化に寄与しうる。なお、水車WTの回転が、回転伝達機構によって、回転部材21に伝達されてもよい。この回転伝達機構として、歯車及びチェーンが例示される。
【0065】
分岐管路部7bが形成する空間と、空間Vxとの存在により、水車WTは円滑に回転しうる。水車WTの回転中において、翼部b1に触れるのは、液体のみである。
【0066】
下流部R3は、底面bf1を有する(図6及び図12参照)。図6における断面図は、翼部b1と軸z1の中心軸線とを含む断面cs1である。この断面cs1における翼部b1は、鉛直方向に沿っている。この断面cs1では、翼部b1の先端と底面bf1との距離が最接近距離G1である(図6参照)。この最接近距離G1は0よりも大きい。即ち、水車WTの回転中において、翼部b1は底面bf1に当接しない。
【0067】
底面bf1は平面とされている。上記断面cs1において、翼部b1の先端の輪郭線L1は、底面bf1の断面線に平行である(図6参照)。この構成は、少ない流量で効率的に水車WTを回転させうる。
【0068】
翼部b1と底面bf1との接触を避け、且つ寸法精度を緩和する観点から、最接近距離G1は、0.1mm以上が好ましく、0.3mm以上がより好ましく、0.4mm以上が更に好ましい。分岐管路部7bにおける流量が少ない場合でも水車WTを回転させる観点から、最接近距離G1は、3.0mm以下が好ましく、2.0mm以下がより好ましく、1.0mm以下が更に好ましい。
【0069】
図6において両矢印G2で示されているのは、水車WTの側面と分岐管路部7b(中間部R2)との隙間距離である。分岐管路部7bの内面と翼部b1との接触を避け、且つ寸法精度を緩和する観点から、隙間距離G2は、0.1mm以上が好ましく、0.3mm以上がより好ましく、0.4mm以上が更に好ましい。分岐管路部7bにおける流量が少ない場合でも水車WTを回転させる観点から、隙間距離G2は、3.0mm以下が好ましく、2.0mm以下がより好ましく、1.0mm以下が更に好ましい。
【0070】
液体混合装置1は、流量調整弁VL1を有する。流量調整弁VL1は、分岐管路部7bに設けられている。流量調整弁VL1は、分岐管路部7bの上流部R1に設けられている。流量調整弁VL1は、全ての水車WTよりも上流側に位置している。
【0071】
図14は、流量調整弁VL1の斜視図である。流量調整弁VL1は、頭部HE1と軸部AX1とを有する。頭部HE1は、フランジ40と回転係合部42とを有する。軸部AX1は、流路孔44を有する。流路孔44は軸部AX1を貫通している。軸部AX1は円筒形である。
【0072】
調整弁用穴10は、分岐管路部7b(上流部R1)と交差する交差部10aを有する(図13参照)。この交差部10aの内径は、軸部AX1の外形にほぼ等しい。交差部10aに軸部AX1が嵌められている。交差部10aと軸部AX1との当接により、調整弁用穴10は、回転可能に支持されている。この回転の中心は、調整弁用穴10の中心軸線である。
【0073】
なお、図13が示すように、フランジ40と本体ブロック2との間にOリング46が設けられている。このOリング46は、調整弁用穴10からの液体の漏れを防止している。
【0074】
回転係合部42は、保持体48によって支持されている(図13参照)。保持体48は、貫通孔を有するプレートである。保持体48の貫通孔の内径は、回転係合部42の外径と略同一である。この貫通孔との当接により、回転係合部42は回動可能に支持されている。また、保持体48は、調整弁用穴10と流量調整弁VL1の隙間からの液漏れを抑制しうる。
【0075】
回転係合部42は、溝42aを有している。溝42aは、流量調整弁VL1を回転させるための係合部となりうる。例えば、マイナスドライバーを溝42aに係合させることで、流量調整弁VL1を回転させることができる。
【0076】
本実施形態における回転係合部42の形態は、流量調整弁VL1を手動で回転させる場合に適している。この場合、前述したモータ6が不要とされうる。一方、モータ6によって流量調整弁VL1を回転させる場合、モータ6の軸の先端を、溝42aに係合する形状とすることができる。また、モータ6の回転を流量調整弁VL1に伝達する他の機構として、例えば歯車機構が挙げられる。
【0077】
図13では、流路孔44の中心軸線が上流部R1の中心線に対して平行になった状態が示されている。この状態において、流量調整弁VL1における流量は最大である。流量調整弁VL1を回転させると、流路孔44の中心軸線が、上流部R1の中心線に対して傾斜する。この傾斜の角度によって、流路孔44を通過する流量が調整されうる。
【0078】
本実施形態では、水車WTの回転数により、液剤供給部材3における混合量が調整されうる。水車WTの回転数は、第二フローf2の流量の他、水車WTの仕様によって調整することもできる。
【0079】
水車WT及び翼部b1の形態は限定されない。水流方向に対する翼部b1の角度を調整しうる角度調整機構が設けられてもよい。また、翼部b1において水流が当たる部分の面積が調整される調整機構が設けられても良い。これらの調整機構により、水車WTの回転数を調整する自由度が高まる。
【0080】
[液体の流れ]
液体は、入口8から管路部7に流入し、第一分岐D1に至る。第一分岐D1において、主管路部7aを流れる第一フローf1と、分岐管路部7bを流れる第二フローf2とに分かれる(図12及び図13参照)。第一フローf1と第二フローf2とは、第二分岐D2において合流する。この合流により第三フローf3が得られる(図13参照)。この第三フローf3が出口9から排出される。第二フローf2が、翼部b1に当たる。水車WTの回転は、第二フローf2により得られる。
【0081】
液体混合装置1では、回転部材21の回転に電力が必要とされない。液体の流れにより、回転部材21が回転する。液体混合装置1では、電力の消費を抑制する。液体混合装置1は、省エネルギーに寄与しうる。また、混合の対象となる液体自体を用いて回転力を発生させているため、水力用の液流を別途導入する必要がない。よって、省エネルギーとともに、構造の単純化及び節水性が実現しうる。
【0082】
第一フローf1と第二フローf2との間の流量比率は、流量調整弁VL1によって調整されうる。第二フローf2の流量が調整されることで、水車WTの回転数が調整されうる。この回転数の調整により、液剤供給部材3における混合量が調整されうる。
【0083】
本発明の液体混合装置を有するシステム100の一例は、前述した図1に示されている。以下では、本発明の液体混合装置を用いたシステムの他の例が説明される。
【0084】
図15(a)は、上記液体混合装置1を用いた混合液体供給システム200の概略構成を示すブロック図である。図15(b)は、上記液体混合装置50を用いた混合液体供給システム300の概略構成を示すブロック図である。図15(c)は、液体混合装置60を用いた混合液体供給システム400の概略構成を示すブロック図である。後述されるように、これらの液体混合装置50及び60は、液体混合装置1とは相違する。
【0085】
図15(a)で示されるシステム200は、前述した液体混合装置1と液剤濃度センサ103(楕円で表示)とを有している。入口8から出口9までが、液体混合装置1である。この図15(a)では、液体混合装置1の液剤供給機構h2が正方形で示されており、液体混合装置1の回転力発生部g2が円で示されている。センサ103の構成は前述した通りである。このセンサ103は、前述した制御装置108(図15(a)では図示省略)を介して、流量調整弁VL1を制御している。センサ103は、第二分岐D2の下流側に位置している。回転力発生部g2の水車WTは、液剤供給機構h2の回転部材21を直接的に駆動している。この液体混合装置1では、液剤供給機構が主管路部7aに設けられており、液体の流れを利用した駆動装置が分岐管路部7bに設けられている。液剤供給機構は、分岐管路部7bにおける流体の流れを利用した駆動装置(回転力発生部g2)によって駆動されている。
【0086】
システム200では、入口8から流れ込んだ液体は、第一分岐D1において、第一フローf1と第二フローf2とに分かれる。第一フローf1に、液剤供給機構h2が、液体を混合する。第二フローf2が、水力により回転力発生部g2を駆動する。第一フローf1と第二フローf2とは、第二分岐D2で合流する。この合流により、第三フローf3が生じる。この第三フローf3が出口9から排出される。第三フローf3の濃度が、センサ103によって測定される。
【0087】
なお、センサ103が液体混合装置1に内蔵されてもよい。この場合、混合液体の濃度を精確に管理する観点から、内蔵されたセンサ103は第3二分岐D2の下流側に設けられるのが好ましい。
【0088】
図15(b)で示されるシステム300は、液体混合装置50と液剤濃度センサ103とを有している。液体混合装置50において、回転力発生部g2の水車WTは、液剤供給機構h2の回転部材21を直接的に駆動している。この点は、液体混合装置1と同じである。
【0089】
液体混合装置50は、2つの出口9a及び9bを有している。この液体混合装置50では、第一分岐D1を有するが、第二分岐D2は有さない。即ちこの液体混合装置50では、流路の分岐が1箇所のみである。液体混合装置50では、第一分岐D1において第一フローf1と第二フローf2とに分かれるが、第一フローf1と第二フローf2とは合流しない。第一フローf1は出口9aから排出される。第二フローf2は出口9bから排出される。センサ103は、出口9aの下流側に位置している。このシステム300でも、システム200と同様に、センサ103が流量調整弁VL1を制御している。なお、センサ103が液体混合装置50に内蔵されてもよい。
【0090】
図15(c)で示されるシステム400は、液体混合装置60と液剤濃度センサ103とを有している。入口8から出口9までが、液体混合装置60である。この図15(c)では、液体混合装置60の液剤供給機構h2が正方形で示されており、液体混合装置60の回転力発生部g2が円で示されている。システム200と同様に、センサ103は、流量調整弁VL1を制御している。センサ103は、第二分岐D2の下流側に位置している。
【0091】
液体混合装置60において、回転力発生部g2は、第一分岐D1と第二分岐D2との間の分岐管路部7bに設けられている。この点は、液体混合装置1と同じである。しかし、この液体混合装置60では、液剤供給機構h2は、第二分岐D2の下流側に設けられている。
【0092】
液体混合装置60は、回転伝達機構t1を有している。図15(c)において、回転伝達機構t1は、二重円で示されている。回転力発生部g2における水車WTの回転は、回転伝達機構t1を介して、液剤供給機構h2に伝達される。回転伝達機構t1として、歯車機構、チェーン機構、ベルト機構等、公知の回転伝達機構が挙げられる。
【0093】
システム400では、入口8から流れ込んだ液体は、第一分岐D1において、第一フローf1と第二フローf2とに分かれる。第二フローf2が、水力によって回転力発生部g2を駆動させる。第一フローf1と第二フローf2とは、第二分岐D2で合流する。この合流により、第三フローf3が生じる。この第三フローf3に、液剤供給機構h2が、液体を混合する。液体が混合された第三フローf3が、出口9から排出される。
【0094】
なお、センサ103が液体混合装置60に内蔵されてもよい。この場合、内蔵されたセンサ103は液剤供給機構h2の下流側に設けられる。
【0095】
以上の3つのシステム200,300及び400を対比すると、以下のことが言える。
【0096】
システム200では、廃棄される水が無いため、節水性に優れる。また、システム200では、第一フローf1と第二フローf2との合流後の濃度(第三フローf3の濃度)がセンサ103によって測定される。よって、合流前の濃度(第一フローf1の濃度)が測定される場合と比較して、濃度が精確に管理される。即ち、システム200では、水力を取り出すために液路を分岐させ且つこの分岐のうちの1つに液体を混合しているにも関わらず、最終的に得られる混合液体の濃度が精確に管理されうる。また、回転伝達機構t1が不要であるため、低コストのシステムが実現されうる。
【0097】
システム300では、廃棄水が生じるため、節水性が劣る。システム300では、最終的に得られる混合液体(第一フローf1)の濃度がセンサ103によって測定される。よって、濃度が精確に管理される。回転伝達機構t1が不要であるため、低コストが達成されうる。また、液路の分岐が少なくされうるので、液路の構造が単純化されうる。よって、低コストの液体混合装置50が実現されうる。
【0098】
システム400では、廃棄される水が無いため、節水性に優れる。また、システム400では、第一フローf1と第二フローf2との合流後の濃度(第三フローf3の濃度)がセンサ103によって測定される。よって、合流前の濃度(第一フローf1の濃度)が測定される場合と比較して、濃度が精確に管理される。一方、回転伝達機構t1が必要であるため、システムのコストが上昇しうる。ただし、回転伝達機構t1を用いることで、回転力発生部g2と液剤供給機構h2とを離すことができる。よって、回転力発生部g2及び液剤供給機構h2の設置位置の自由度が向上する。即ち、システムの設計自由度が向上しうる。
【0099】
図16(a)及び図16(b)は、他の実施形態に係る液体混合装置の概略構成図である。
【0100】
図16(a)は、液体混合装置70の概略構成図である。この液体混合装置70は、分岐していない管路部7と、入口8と、出口9とを有する。管路部7は1本である。この管路部7に、液剤供給機構h2及び回転力発生部g2が取り付けられている。液剤供給機構h2と回転力発生部g2とが直列的に取り付けられている。液剤供給機構h2及び回転力発生部g2は、前述した液体混合装置1と同様である。
【0101】
この液体混合装置70は、回転伝達機構t1を有する。回転伝達機構t1により、回転力発生部g2で生じた回転駆動力が、液剤供給機構h2の回転部材21に伝達される。この回転伝達機構t1が、分岐の無い管路部7を可能としている。
【0102】
液体混合装置70では、回転力発生部g2が液剤供給機構h2の下流側に配置されている。よって、液剤が混合された後の液体(混合液体)が、回転力発生部g2を回転させる。液剤供給機構h2での液剤の供給により、流体の質量が増加する。この質量の増加は、回転力発生部g2における回転力を増加させうる。
【0103】
図16(b)は、液体混合装置80の概略構成図である。この液体混合装置80は、分岐していない管路部7と、入口8と、出口9とを有する。管路部7は1本である。この管路部7に、回転力発生部g2及び液剤供給機構h2が取り付けられている。回転力発生部g2と液剤供給機構h2とが直列的に取り付けられている。液剤供給機構h2及び回転力発生部g2は、前述した液体混合装置1と同様である。
【0104】
この液体混合装置80は、回転伝達機構t1を有する。回転伝達機構t1により、回転力発生部g2で生じた回転駆動力が、液剤供給機構h2の回転部材21に伝達される。この回転伝達機構t1が、分岐の無い管路部7を可能としている。
【0105】
液体混合装置80では、回転力発生部g2が液剤供給機構h2の上流側に配置されている。よって、液剤供給機構h2によって供給された液体(薬剤等)が回転力発生部g2(水車WTの翼部b1等)に付着することがない。
【0106】
液体混合装置70及び液体混合装置80では、管路部の構造が単純とされうる。これは、コストの低減及び小型化に寄与しうる。
【0107】
図17は、他の実施形態に係る液体混合装置90を示す断面図である。この液体混合装置90も、液体混合装置70及び液体混合装置80と同様に、管路部7が分岐を有さない例である。以下、液体混合装置1との相違点について説明する。
【0108】
液体混合装置90は、分岐を有さない管路部7と、入口(図示されず)と出口(図示されず)とを有している。管路部7は1本である。管路部7は、上記入口から上記出口まで、直線に沿って延びている。管路部7は、ケースks1(駆動体収容部g1)に設けられている。この管路部7に連通する上記入口及び上記出口も、ケースks1に設けられている。この管路部7の中央部分は、液体混合装置1における分岐管路部7bの中間部R2と同様である。本体部h1には、管路部が設けられていない。
【0109】
液体混合装置90は、液剤供給部材3から供給された液剤を管路部7に流入させる供給管部92を有する。供給管部92の入口94は、前述した計量部形成部材22(液剤収容空間32)の下側に位置している。液剤供給部材3から供給された液剤は、入口94から、供給管部92に流れ込む。液剤供給部材3から供給された液剤の全てを受け入れられるように、入口94の開口は広くされている。供給管部92の出口96は、管路部7に連通している。供給管部92は傾斜を有しており、供給管部92に流れ込んだ液剤は管路部7に流入する。この液体混合装置90では、管路部7が分岐を有さない。また、この液体混合装置90では、回転伝達機構t1が不要とされうる。この構造は、コストの低減及び小型化に寄与しうる。
【0110】
本発明の液体混合装置は、液剤供給路から液剤を受け入れて所定量の液剤を計量する計量機能とその計量された液剤を管路部に供給する機能を備える液剤供給機構を備えることによって、使用条件にかかわらず高精度な混合率を実現するものであり、以上説明された実施形態には限定されない。また、液体の流れを回転エネルギーとして利用しているため、省エネルギーが達成される。液剤供給機構としては、上述の実施形態の他にも、ポンプ部材の前後移動によって計量機能と供給機能をなすものや、インジェクション装置によるものなどの液剤供給機構を採用することも可能である。但し、高精度な混合率及び混合率変更の容易性と、高い耐久性やコスト上昇の抑制の総合的性能を高いレベルで実現する為には、液剤供給機構として、駆動装置によって回転駆動され、計量部が設けられており、回転駆動されることにより液剤受入位置と液剤排出位置とに変位する回転部材を採用するなど、以上で説明した実施形態の各々の構成を単独で又は組み合わせて採用するのが好ましい。
【0111】
前述した液体混合装置1では、第一の回転力発生部g2が第一の液剤供給機構h2を駆動し、第二の回転力発生部g2が第二の液剤供給機構h2を駆動している。第一の回転力発生部g2で得られる回転数がRp1とされ、第二の回転力発生部g2で得られる回転数がRp2とされる。前述した液体混合装置1では、回転数Rp1と回転数Rp2とが略同一である。一方、回転数Rp1と回転数Rp2とを相違させてもよい。例えば、第一の液剤供給機構h2と第二の液剤供給機構h2とで供給量を相違させたい場合の構成として、次の構成Xが例示される。
(構成X)回転数Rp1と回転数Rp2とが相違するように、2つの回転力発生部g2の仕様を相違させる。
【0112】
この構成Xでは、好ましくは、第一の液剤供給機構h2と第二の液剤供給機構h2とは、同一とされる。この場合、部品の共通化及び生産コストの低減が達成されうる。この構成Xにおいて、相違させうる水車WTの仕様としては、翼部b1の数、翼部b1の面積、液体の流れ方向に対する翼部b1の角度等が挙げられる。
【0113】
第一の液剤供給機構h2と第二の液剤供給機構h2とで供給量を相違させたい場合の他の構成として、次の構成Yが例示される。
(構成Y)回転部材21の一回転当たりに供給される供給量を、第一の液剤供給機構h2と第二の液剤供給機構h2とで相違させる。
【0114】
この構成Yでは、好ましくは、第一の回転力発生部g2と第二の回転力発生部g2とは、同一とされる。この場合、部品の共通化及び生産コストの低減が達成されうる。この構成Yにおいて、相違させうる仕様としては、液剤収容空間32の体積Vが例示される。
【0115】
上記構成Xと構成Yとが組み合わされてもよい。構成X及び/又は構成Yにより、複数種類の液剤を所望の比率で混合することが可能となる。また、回転力発生部g2及び液剤供給機構h2が3つ以上の場合、上記構成X及び/又は構成Yを適用することで、より多様な液体供給が達成されうる。
【0116】
上記モータ6を設けない実施形態の場合、電力が不要とされうる。上記モータ6を設けた場合でも、流量調整弁VL1の制御に必要な電力は少ない。よって例えば、電池によってモータ6を駆動することも可能である。また、太陽電池により生じる小電力であっても、流量調整弁VL1は駆動しうる。このような観点から、液体混合装置1は、流量調整弁VL1を駆動するための電源として、蓄電池又は太陽電池を有していてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明に係る液体混合装置は、例えば、水耕栽培、食品製造、薬品製造等の分野に好適である。
【符号の説明】
【0118】
1・・・液体混合装置
2・・・本体ブロック
3・・・液剤供給部材
4・・・液剤容器
5・・・押さえ弁
6・・・駆動モータ
7・・・管路部
7a・・・主管路部
7b・・・分岐管路部
8・・・(管路部の)入り口
9・・・(管路部の)出口
10・・・調整弁用穴
11・・・第一穴
12・・・第二穴
13・・・段差部
14・・・大径部
15・・・小径部
16・・・(押さえ弁の)貫通孔
17・・・液剤供給路
18・・・液剤容器止め具
19・・・Oリング
20・・・第一コイルばね
21・・・回転部材
22・・・計量部形成部材
23・・・収容凹所
24・・・蓋部材
25・・・基板
26・・・突起
27・・・計量凸部
28・・・第二コイルばね
29・・・円形凹所
30・・・小径貫通孔
31・・・大径貫通孔
32・・・液剤収容空間
33・・・大径被支持部
34・・・小径被支持部
35・・・(第二穴の)開口部近傍
36・・・(第二穴の)奥端部近傍
37・・・Oリング
50、60、70、80、90・・・液体混合装置
100・・・混合液供給システム
101・・・給水源
102・・・給水配管
103・・・濃度センサ
104・・・還流配管
105・・・ポンプ
106・・・第一開閉弁
107・・・第二開閉弁
108・・・制御装置
109・・・交流電源
110・・・使用先
200、300、400・・・混合液供給システム
A・・・(還流配管の)上流接続点
B・・・(還流配管の)下流接続点
h1・・・本体部
g1・・・駆動体収容部
h2・・・液剤供給機構
g2・・・回転力発生部
D1・・・第一分岐
D2・・・第二分岐
WT・・・水車
b1・・・翼部
z1・・・水車の軸(出力軸)
R1・・・分岐管路部の上流部
R2・・・分岐管路部の中間部
R3・・・分岐管路部の下流部
VL1・・・流量調整弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が流通する管路部と、
この管路部へ液剤を供給するための液剤供給路と、
上記液剤供給路に配設された液剤供給機構を備えており、
上記液剤供給機構が、上記管路部における上記流体の流れを利用した駆動装置によって駆動されている液体混合装置。
【請求項2】
上記管路部が、分岐管路部を有しており、
上記液剤供給機構が、上記分岐管路部における上記流体の流れを利用した駆動装置によって駆動されている請求項1に記載の液体混合装置。
【請求項3】
この液剤供給機構が、液剤供給路から液剤を受け入れて所定量の液剤を計量する計量機能と、その計量された液剤を管路部に供給する機能を備える請求項1又は2に記載の液体混合装置。
【請求項4】
上記液剤供給機構が、液剤供給部材を備えており、
この液剤供給部材が、液剤供給路から液剤を受け入れる液剤受入位置と、液剤を管路部に排出する液剤排出位置とに変位可能に構成されており、
上記液剤供給部材が、所定量の液剤を収容しうる計量部を有しており、
この計量部が、液剤供給部材が液剤受入位置にあるときには、液剤供給路と連通し且つ管路部には連通せず、液剤供給部材が液剤排出位置にあるときには、管路部と連通し且つ液剤供給路には連通しないように構成されている請求項1から3のいずれかに記載の液体混合装置。
【請求項5】
上記駆動装置が、上記流体の流れを回転力に変換しうる回転力発生部を有しており、
上記液剤供給機構が、上記回転力発生部と同軸で回転する回転部材を有しており、
この回転部材に、上記計量部が設けられており、
上記回転部材が回転駆動されることにより、上記液剤受入位置と液剤排出位置とに変位する請求項4に記載の液体混合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−81903(P2013−81903A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223604(P2011−223604)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(592243553)株式会社タカギ (31)
【Fターム(参考)】