説明

液体溶液を格納及び使用するための装置、システム及び方法

密閉されたタンクを中に形成するために一緒に密閉される可撓性第1層及び可撓性第2層を有し、第1層と第2層の間の接触面領域がタンクの外周部周辺のフレームを画定する格納装置。格納装置はまた、タンク内に位置する多孔性パッドと、タンク内の多孔性パッド内に格納される生理的流体を模倣するように構成される液体対照溶液とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液体溶液及び物質の一回投与包装品に関する。更により詳細には、本開示は生理学的又は生物学的なテストストリップ及び計器と共に使用される薬剤、試薬又は対照溶液を収容するのに使用することができる新規で改良された一回投与液体格納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの医療及び研究室用途において、診断システムを評価するために一回投与又は正確に計量された用量の薬剤、試薬及び対照溶液など液体薬剤を提供又は投与することが必要である。特に研究室用途において、及び診断テストを伴う特定の医療用途において、分析過程において極めて厳密な量で試薬を与えることが必要とされる。このような目的で、特定の薬剤及び試薬は、一回投与の液体のみを保持する、又は液体の複数投与容量から一回投与量のみの送達を実現するコンテナ又は包装品内で提供される。
【0003】
このような厳密な量の試薬流体が必要とされる上記の一用途は、血液、間質液、尿及び唾液など生理的流体中の検体(グルコース、コレステロール及び麻酔剤など)濃度を測定するシステムを製作する際、及び患者が使用する際である。このようなシステムは通常、生理的試料が添加される試薬物質を包含するテストストリップ、及びテストストリップを収容しテストストリップ上の試料の標的検体濃度を判定するように構成される計器を含む。
【0004】
テストストリップを製造及び製作する際、ストリップは通常、バッチサンプリング方法によって品質管理チェックを受け、血液を模倣して開発された監視薬剤(対照溶液と呼ばれることが多い)を使用してテストストリップの精度及び効力がテストされる。このような対照溶液の例は、米国特許第5、187、100号 及び米国特許第5、605、837号に開示されている。テストストリップ計器の精度は、また、品質管理標準に適合することが知られているテストストリップを有し、それらに添加されるこのような対照溶液を有する計器を使用して、製造工程中にチェックされる。
【0005】
このようなテストストリップ及び計器の品質管理は同様に、このような計器及びテストストリップの患者又は使用者、ならびにこのような患者を治療する医療関係者によって直接実行される。患者又は医療従事者は、計器を受け取る又はテストストリップの新規の包装品を取得する場合などに対照溶液を供給され、通常以下の事象、新しいテストストリップの包装品を開封する、新しい計器を使用する、計器及びテストストリップの使用を訓練する又は習う、計器を落とすなどした後、検体測定結果が現在患者がどのように感じているかを反映していない場合(例えば、グルコース測定結果は、実質的に高レベルの血液グルコースレベルを示しているが、患者はかなり正常であると感じている場合など)、又はグルコース測定結果は正常であるが、患者は具合が悪いと感じている場合のいずれかが生じた場合、品質管理チェックを実行するように指示される。管理結果が予測範囲外にある場合、使用者の手順違い、計器又はテストストリップコンテナの汚れ、テストストリップの汚染、劣化、損傷又は期限切れ、計器の動作不良、対照溶液の期限切れ、及び/又は対照溶液が許容可能な温度外にあるなどを示している場合がある。
【0006】
上記の対照溶液は通常、プラスチックコンテナ又はガラスバイアル中に包装されている。これらのコンテナの分配端部は通常、テーパの端部に小さな開口を有して構成され、この開口を介して瓶を圧搾することで比較的おおまかな対照溶液の液滴を分配することができる。コンテナは、通常約100から200投与を提供し、通常約3ヶ月間持続する約3から5mlの容積である液体対照溶液の容積を保持する。対照溶液を添加するために、キャップを外しコンテナを傾け、コンテナの分配部分がテストストリップ試薬領域上数ミリメータを維持するようにする。使用者は次いで、コンテナを軽く握って圧力を加え、試薬領域上に対照溶液の液滴を分配する。
【0007】
このようなコンテナ、及びコンテナから対照溶液を分配するステップにはそれぞれ欠点がある。まずコンテナは長期間にわたり繰り返し開封されるため、空気中の汚染物質、及び汚染物質を担持する使用者の指などの表面上の汚染物質に対照溶液が繰り返し曝されることになる。更にこのような対照溶液の使用者(糖尿病患者など)は手先が器用でないことが多いため、しばしばキャップを不器用に扱いキャップを落とすことがあり、これにより更に溶液を汚染する恐れがある。このような汚染は誤った検体テスト結果を引き起こす可能性がある。対照溶液が汚染されていると判断した場合、対照溶液はすべて捨てなければならず、新しいコンテナを開封することにより費用がかかる場合がある。更にこのようなことが起こった場合、使用者が対照溶液の新しいコンテナを容易に入手できない場合があり、彼又は彼女を医療上危険な状態に置くことになる可能性がある。
【0008】
更に従来の対照溶液コンテナは、このような比較的大容量の対照溶液が与えられると、対照溶液の大部分が使用されるかなり前に対照溶液の効力が失効することがあるため、やはり患者の治療費用を増加させる点で問題となる。その独自の格納容器内で密封された対照溶液の保存期限は通常約1から2年であるが、使用者が一度溶液コンテナを開封した場合、上記の汚染問題によって保存期限はわずか数ヶ月に急速に落ち込む。また、使用者がコンテナにキャップを戻すのを忘れた場合、対照溶液が蒸発することにより検体濃度が変化し、これにより誤った値になる恐れがある。更に、このような従来のコンテナ中から必要な容量の対照溶液を厳密に正確に分配することは困難である。分配される容量はかなり使用者次第であり、使用者がコンテナを過度に握ることにより加える対照溶液が多すぎる場合、又は十分に握らないことにより加える溶液が少なすぎる場合もある。
【0009】
従来の対照溶液ディスペンサには更に別の欠点があり、検体濃度を測定するシステム及び装置の開発は急速に進歩している一方、対照溶液の格納の領域における、及びこれら発展したシステム及び装置で使用するための分配の領域での進歩は制限されてきた。特に血液又は間質液試料を採取する際患者が体験する痛みを最小限にする、ならびにグルコース濃度測定を実行するのに必要な時間及びステップの数を最小減にする分野における進歩がなされてきた。前者は、正確な検体測定を達成するのに必要な試料の容積サイズ及び試液を採取するための針のサイズの両方を減少させることによって達成されてきた。後者は、測定過程で使用する種々の要素を一体化することによって実現されてきた。具体的には現在微細針は、テストストリップに一体化されている。これらの検査装置において、一体化した針/テストストリップは、微細針の遠位端の開口からテストストリップ内のセンサ試薬領域又はマトリクス領域まで延在する毛細管チャネルを含む。更にこれらの特定の実施形態において、試液を入手し収集するために検査装置は自動的に又は半自動的に計器から部分的に分配され、このような流体を入手及び収集する際計器に電気的に又は側光式に(場合によって)接触又は係合したままであるため、使用者がテストストリップを扱う必要がなくなる。
【0010】
患者に創傷がありストリップ及び計器に汚染物がある場合、微細針構造は明白に時間を短縮させリスクを回避する。したがって、単一ステップで生理的流体を入手し(微細針で皮膚を貫通することによって)、センサに必要な最小量の試料のみを送達し(毛細管チャネルによって)、この試料中の標的検体濃度を判定することができる(関連する計器によって)。
【0011】
このような一体式システムの性能を評価するために、計器は「内蔵された」診断用電子機器及びソフトウェアを装備し、テストストリップセンサの効力をテストするために対照溶液が与えられる。この場合、上記のようにテストストリップの指定センサ領域上に対照溶液の液滴を分配することによって、従来技術の対照溶液ディスペンサを使用してテストストリップを評価することができるが、一体化した微細針の効力を評価するための設備は存在しない。滅菌された基質の上に対照溶液の液滴を置いて、この液滴中に微細針の先端を配置することで毛細管チャネルの有効性を評価することができるが、基質が適切に滅菌されていない場合、付加的要素及び付加的ステップが必要となり、対照溶液が汚染される極めて高いリスクを伴うことになる。基質が確実に滅菌されている場合でも、作動条件を厳密に模倣する手段はなく、針は皮膚表面を貫通し、その下の到達した流体を排出するように分配される。より具体的には、実際の作動条件において生じるような速度、角度及び深さで皮膚を貫通する針の能力、針の先端の強度、及び固体媒体内からの流体に好適な毛細管作用を与える針の能力などの要因は評価することができない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、一回投与使用の対照溶液及び他の試薬及び薬剤を収容し、分配する改善された方法に対する要望がある。極めて正確に一回投与を繰り返すことを可能にし、未使用の対照溶液の汚染を防ぎ、分配される溶液に接触する使用者のリスクを最小限にし、例えば所与の時間にわたる単一の使用者、又は病院又は診療所などでの大勢の使用者による短期間の多くの使用のための実際の数の一回投与ユニットを提供し、保存期限及び対照溶液の効力を最大にするのを促進させ、一体式テストシステムの複数の態様の品質管理アセスメントを実現し、使用及び保存が容易で簡便であり、製造及び保存の費用効果が高い対照溶液格納装置の開発に特に関心が集まっている。
【0013】
当然のことながらこのような機能及び利点は、対象とする開示に様々な段階で存在する場合ある。ある方法又は別の方法で、本開示は患者の自己監視に対する障害を減少させることを助け、これにより糖尿病などの病気の管理における改善された結果につながることを意図している。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本開示は、液体溶液を収容及び使用するための装置、システム及び方法を包含する。新規の液体格納装置は、引き続き使用するための一回投与の液体溶液を収容するためである。このような液体格納装置の包装品も提供されている。システムは、少なくとも1つの格納装置、又は格納装置及び格納装置が収容することが意図される液体溶液の包装品を包含する。液体溶液は任意のタイプの薬剤、試薬又は対照溶液を有してよい。方法は液体格納装置、包装品及びシステムの使用を包含する。
【0015】
本開示は、特に生理学的又は生物学的流体を分析するのに使用されるシステムを周期的に評価するために使用される対照溶液と共に使用するのに好適である。対照溶液は評価する目的で特定の流体を模倣するように化学的に構成されている。本開示の特定の好適な一用途は、例えば診療所又は病院などの施設環境、及び糖尿病患者の家庭での使用の両方での血液グルコース測定の分野にある。
【0016】
本開示の例示の一実施形態によると、格納装置は、その間に気密に密閉されたタンクを形成するために一緒に密閉される可撓性第1層及び可撓性第2層を有し、第1層及び第2層の間の接触面領域がタンクの外周の周りにフレームを画定する。格納装置はまた、タンク内に配置される多孔性パッド及びタンク内のパッド中に収容されている生理的流体を模倣するように構成される液体対照溶液を包含する。パッドは液体対照溶液に非反応性の物質から作成される。
【0017】
いくつかの目的、利点及び機能の中でもとりわけ本開示は、一回投与で使用する対照溶液及び他の試薬及び薬剤を収容し分配する改良された手段を提供する。特に本開示の格納装置は極めて正確に一回投与を繰り返すことを可能にし、未使用の対照溶液の汚染を防ぎ、分配される溶液に接触する使用者のリスクを最小限にし、例えば所与の時間にわたる単一の使用者、又は病院又は診療所などでの大勢の使用者による短期間の多量の使用のための実際の一回投与ユニットの数を提供し、保存期限及び対照溶液の効力を最大にするのを促進させ、一体式テストシステムの複数の態様の品質管理評価を実現し、使用及び保存が容易で簡便であり、製造及び保存の費用効果が高い。更に本開示の格納装置は、使用者が格納装置を破る又は微細針によって穴を開けられる際に対照溶液が飛び散ったりこぼれたりする可能性が低く、空間を充填する不活性な多孔性パッドによって、目的の用途を実現するために収容する必要な溶液の量が最小になるという利点を実現する。
【0018】
以下により詳細に記載する本開示の方法及びシステムの詳細を読むことで、当業者に本開示のこれらの及び他の目的、利点及び機能が明らかになるであろう。
記載の理解を容易にするために、図面で共通の同様の要素を示すために、同様の参照番号が使用されている(実際の)。しかしながら、このような番号付けのいくつかは、明確に記載するために省略されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図面の図1−14及び17−18を参照すると、本開示にしたがって構成された液体格納装置の例示の実施形態が示されている。液体格納装置の各実施形態は、密閉された携帯用の形態で一回投与の試薬又は対照溶液(control solution)などの液体を収容するように構成されている。格納装置は単一のユニットとして個々に形成される、又は複数の格納装置が互いに隣接するパック又は包装品の一部として集合的に形成されてもよい。ある実施形態において、隣接する格納装置は容易に互に分離可能である。示されていないが、本開示の液体格納装置は更に、格納装置を個々に又は集合的に分配することができるディスペンサに装填されるように構成することができる。
【0020】
図1及び2を参照すると、本開示の液体格納装置10の第1の例示の実施形態が示され、これは次に使用される一回投与の液体対照溶液を保持する多孔性パッド14を包含する閉鎖式タンク12を含む。
【0021】
対照溶液又は他の薬剤が使用されている用途によって、タンク12の容積は約100nLから200μLの範囲であってよい。検体検知及び測定用のテストストリップセンサで使用される対照溶液に関して、タンク12の容積は通常、約1から20μLの範囲である。例示の一実施形態によれば、タンク12の開口寸法、幅すなわち長さ寸法は、約1から10mmの範囲であり、より典型的には約2から8mmの範囲であり、タンク12の深さすなわち厚みは約1から5mmの範囲であり、より典型的には約2から3mmの範囲である。
【0022】
セル、区画、空隙、ブリスタ、パウチなどと称されることもあるタンク12の容積は、任意の適切な形状を有してよい。任意の適切の三次元形状をタンクに採用することができ、任意の適切な二次元形状をタンクの断面領域に採用することができる。好適な三次元形状は以下に限定するものではないが、球形、楕円形、円柱形、円錐形などを含める。好適な二次元形状は以下に限定するものではないが、正方形、矩形、三角形、円形、楕円形、平行四辺形などの四辺形、五角形などの多角形などを含める。
【0023】
タンク12内に収容される多孔性パッド14は、対照溶液に対して不活性の物質で作成される。例示の一実施形態によると、多孔性パッド14は、ポリビニルアルコール(PVA)スポンジで構成される。PVAは、特に医療及び外科手術用途に適した100%ファイバーフリー連続気泡構造に形成された特有の物質である。例示の別の実施形態によると、多孔性パッド14はセルローススポンジで構成される。多孔性パッド14は、圧力が加わるとより多くの液体が流出するようなスポンジ状であってよい、又は非圧縮性であってよい。多孔性パッド14に使用され得る非圧縮性物質の一例は、フェルトである。図1に示す例示の実施形態において、パッド14は正方形である。しかしながら、パッドは他の形状で形成されてよい。
【0024】
多孔性パッド14は、タンク12内の容積を占めるように作用し、これにより液体格納装置10内に必要とされる液体の容積が減少する。液体の容積が減少することにより、特に高価な溶液に関してそれぞれの液体格納装置10の費用を実質的に減少させることができる。多孔性パッド14は、それ自体は吸収性である必要ななく、むしろ多孔性又は空間占拠性であり液体格納装置10、又は液体格納装置10内に収容される溶液に対して非反応性である。多孔性パッド14は、格納システム10が引き裂かれることにより開放される際又は針が貫通する際、対照溶液が滲出するのを防ぎ、これにより微細針又は他のこの種の装置による試料採取の可能性を高める。多孔性パッド14はまた対照溶液を保持し、格納システム10が貫通又は引き裂きのいずれかによって損なわれる際の漏出を防ぐ。対照溶液の機能によって、パッド14は固体を濾過するのにも使用され、パッド内を通る液体量を正確に調節し、液体タンクがアプリケーション端部と反対の端部に配置される際排出口として作用する。
【0025】
液体格納装置10は、気密式に密閉された液体タンク12を画定するように一緒に密閉された二つの一次層16、18を含む。この密閉は耐水性であり滅菌障壁を維持する。層16、18は共に可撓性であり、微細針によって貫通される。しかしながら、微細針を片側にのみ穿刺し使用者の手を貫通したり突き刺すことのないように、包装品の裏側に非貫通性物質を使用してよい。可撓性層の片方にのみ、又は両方の層内の一部に限定して液体タンク12を形成又は設置してよい。図1及び2の例示の実施形態において、液体タンク12は両方の層16、18内に部分的に形成されている。
【0026】
2つの可撓性層の間の接触面領域が、格納装置10のフレーム20を画定するように十分に剛性であるような物質が可撓性層16、18に使用される。使用者が格納装置を適切に保存し運搬し保持するように、フレーム20が格納装置10に対して十分な安定性を提供する。フレーム20はまた、装置10の外周部周辺に延在する平坦な表面領域を形成する。図1及び2の例示の実施形態において、フレーム20は正方形の形状を有するが、限定するものではないが、矩形、三角形、環状などを含めた任意の好適な形状を使用してよい。
【0027】
可撓性層16、18は一緒に接合され、液体格納装置10のフレーム20を形成するように連続する。好適な接合技術は、ヒートシーリング、高周波(RF)又は超音波溶接を含める。2つの層の接合は、包装品の保存期間の間水分障壁を形成しなければならない。当然のことながら、2つの一次層を接合する前に、タンク12は、試薬又は対照溶液など一回投与量の選択された液体薬剤を保持する多孔性パッド14で充填される。
【0028】
例示の一実施形態に依れば、格納装置の可撓性層16、18は、防水するポリマーフィルム物質と薄いホイル物質を組み合わせて作成され、この2つは一緒に積層される。好適な物質は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4、116、336号、米国特許第4、769、261号及び米国特許第6、287、612号に開示されているような医薬品及び食品包装品用途に一般に使用されるものを含む。可撓性層はそれぞれ微細針の貫通する長さを超えない厚みを有する。したがって、このような厚みは約1mmを超えず、典型的には約0.1から0.5mmの範囲である。
【0029】
格納装置内に提供され得る対照溶液は、機能を体現する生理的試料を模倣するために特定の特性を有するように構成される。血液グルコース計器用の対照溶液の実施例において、特性は、テストシステムによって測定され許容可能値の範囲と比較されるグルコース値を含む。さらなる使用のためにテストシステムを限定するために、グルコース値は許容値の範囲内になければならないので、格納システム内の対照溶液が蒸発しないように保護することが重要である。なぜならば対照溶液中のグルコース濃度は蒸発により変化し対照溶液が誤ったグルコース値を有することになるからである。溶液と接触するインナーライナーは、対象検体、又はその機能性に関して不可欠である成分に対して非反応性でなければならない。これは、Conlon等による米国特許第6、835、571号における酸素の部分的圧力又は酸素圧(pO2)に関して実証された。これらの対照溶液は、種々の環境条件で使用され、手先が器用でない使用者にも使用可能である。糖尿病患者は、それらと共に対照溶液を持ち歩くことを選択することができるため、包装品は頑強であるが、道具(はさみなど)を使用せずに簡単に開封される必要がある。この欠点が理由で使用する計器を限定することができない場合、患者は医学的に危険な状態におかれる恐れがある。
【0030】
したがって格納装置10の第1及び第2の一次層16、18は、層を介して蒸発することによる液体損失に対する障壁として作用するアルミニウムホイルなどの薄いホイル物質を含む。一部の対照溶液は対象検体を安定させるためにガスの存在を必要とするので、アルミニウムの代わりに、酸化ケイ素、酸化アルミニウム及び混合酸化物、又は同様のガス蒸気伝送特性を有する任意の物質などの透過性で高度の障壁ホイルを使用することができる。2つの層16、18の結合部すなわち内側面は、アルミニウムホイルに対して化学的に不活性であり、対照溶液に対して化学的に不活性の遮水のポリマーフィルム物質で構成される。ポリマーは、例えばいくつか名前を挙げるとポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンビニルアセテート、又はアクリル酸エチレンを有する。ポリマーは、対照溶液を収容するために液密密封を形成し、収容される対照溶液とアルミニウム層間のいかなるの反応も回避するために、熱及び圧力、高周波(RF)又は超音波によって溶解することができる。酸化などのこの種の反応がアルミニウム層を傷つけると、液体の過剰な損失が生じ、対照溶液を汚染する可能性がある。
【0031】
アルミニウム層が剥離すると、蒸発に対する障壁としてのその効果を損なう恐れがあり、収容される対照溶液の検体濃度を変えることになる。したがって格納装置10の第1及び第2層16、18の外面は、ナイロン、ポリエステル、Mylar(登録商標)又はSurlyn(登録商標)などの保護被覆を含み、保存、搬送及び使用の際に生じる可能性のある剥離による損傷からアルミニウム層を保護する。このタイプの物質はまた、必要なラベル情報を印すことができる。あるいは、保護被覆の上に紙を設置することにより、直接液体格納装置にロット又はバッチ番号及び有効期限を直接記すことが可能になる。
【0032】
第1及び第2層16、18は、例えば異なる物質を使用し、又は同様の物質を異なる配向で使用することによって、異なる引き裂き強度を有するように形成することができる。この様式において、格納装置10が引き裂かれる際、液体が上にたまることのできる狭い平坦な試料領域として第1層16の露出した内面を使用することができるように、第1層16の露出した内面は第2層18と同一平面上にはない。
【0033】
図1及び2の例示の実施形態において、格納装置10は全体的に正方形であり、多孔性パッド14に到達することができるように一次層16、18の引き裂きを容易にするためのノッチ22を含む。パッド14に到達しこれを露出すると、中に収容される対照溶液の所望の量を放出するためにパッド14を圧搾することができる。一次層の引き裂きが図1の線「A」で示す格納装置10の頂部縁部と平行な直線に沿って行われ得るようにノッチ22は成形され配置され配向され、ノッチ22を使用して格納装置が引き裂かれ開封されると、包含される多孔性パッド14の頂部全体が露出する。
【0034】
次に図3及び4を参照すると、本開示によって構成された改良された格納装置30の別の例示の実施形態が示されている。図3及び4の格納装置30は、図1及び2の各装置10を同様であり、同様の要素は同様の参照番号を有する。図3及び4の格納装置30は全体的に正方形であり、第1ノッチ22に加えて第2ノッチ32を更に含む。第2ノッチ32は、使用者の一次層16、18の引き裂きを促進するように第1ノッチ22に対して配置され、これにより多孔性パッド14の角の比較的小さな部分のみが露出する。詳細には、一次層16、18の引き裂きが、図3の線「B」で示す格納装置10の頂部縁部と一定の角度で第1ノッチ22及び第2ノッチ32の間に伸びる直線に沿って行われ得るように、第2ノッチ32が配置される。この様式において、多孔性パッド14の例えば角などの小さな部分のみが露出し、装置を圧搾することによって格納装置14を点滴器として使用することができる。露出する多孔性パッド14の小さな部分は、テストストリップ上に対照溶液を塗布するために使用することもできる。
【0035】
図5及び6を参照すると、本開示によって構成された改良された格納装置40の別の例示の実施形態が示されている。図5及び6の格納装置40は、図1及び2の格納装置10と同様であり、同様の要素は同様の参照番号を有する。図5及び6の格納装置40は底端部202と頂部端部204との間に延在する矩形形状であり、タンク12は、主本体205、及び主本体から格納装置の頂部端部204に向かって端部すなわち先端208まで上方に延在するネック206を有するボトル形状で形成されている。多孔性パッド14は同様にボトル状に成形され、タンク12の主本体205から先端208まで延在する。図5及び6の格納装置40は、第1ノッチ22に加えて第2ノッチ32を更に含む。第2ノッチ32は使用者がタンク12のネック206を横切って一次層16、18を引き裂くのを促進するように第1ノッチ22に対して配置され、これにより多孔性パッド14の端部210のみが露出する。詳細には、一次層16、18の引き裂きが、図5の線「C」で示す格納装置10の頂部縁部204と並行して第1ノッチ22及び第2ノッチ32に間に伸びる直線に沿って行われ得るように、第2ノッチ32が配置される。この様式において、多孔性パッド14の例えば端部210などの小さな部分のみが露出し、装置を圧搾することによって格納装置10を点滴器として使用することができる。露出する多孔性パッド14の端部210は、テストストリップ上に対照溶液を塗布するために使用することもできる。示されていないが、使用法を理解しやすくするために格納装置10の外部により従来的なバイアルを示す図形を印すことができる(すなわち引き裂くことによって「バイアル」の頂部を開封し、次いで注ぐ)。
【0036】
図17及び18に移って、本開示によって構成された改良された格納装置110の別の例示の実施形態が示されている。図17及び18の格納装置110は、図5及び6の格納装置40と同様であり、同様の要素は同様の参照番号を有する。図17及び18の格納装置110は、底端部202と頂部端部204の間に延在する正方形形状を有し、タンク12は、主本体205、及び格納装置10の頂部端部204に向かって上方に延在するネック206を有する全体的にボトル形状で形成される。多孔性パッド14は、タンク12の主本体205のみを満たすように成形され大きさを決められる。使用者がタンク12のネック206を横切って一次層16、18を引き裂くのを促進するために、第1ノッチ22に対して第2ノッチ32が配置される。詳細には、一次層16、18の引き裂きが、図17の線「C」で示す格納装置10の頂部縁部204と並行して第1ノッチ22及び第2ノッチ32に間に伸びる直線に沿って行われ得るように、第2ノッチ32が配置される。この様式において、タンク12のネック206のみが開放される。示されていないが、使用法を理解しやすくするために、格納装置10の外部により従来式のバイアルを示す図形を印すことができる(すなわち引き裂くことによって「バイアル」の頂部を開封し、次いで注ぐ)。
【0037】
例示の実施形態によると、図17及び18の格納装置110のタンク12は、比較的小さい容積で配置される。小さい容積は例えば、高価な液体を収容する場合、又は液体の消耗量を最小にする必要がある場合に望ましい。格納装置110の半分以上が密封されて閉鎖しているが、格納装置110は把持するのに十分な大きさ(例えば、幅5.08cm(2インチ)、長さ7.62cm(3インチ))である。更にパッド14は、タンク12のネック206から計量された量の液体を分配するために収縮部として作用するように構成される。
【0038】
図7及び8を参照すると、本開示によって構成された改良された格納装置50の別の例示の実施形態が示されている。図7及び8の格納装置50は、図1及び2の格納装置10と同様であり、同様の要素は同様の参照番号を有する。図7及び8の格納装置50は、円形の多孔性パッド14を含み、図9に示すようにこれを装置の中央に置くことにより微細針100を使用した液体抽出が可能になる。図7から9の格納装置50は、微細針を使用するように構成されているので、装置を引き裂くためのノッチを含まない。しかしながら所望であれば、図7から9の格納装置50は引き裂きノッチを備えて形成されてよい。更に、図1及び2の格納装置10は、引き裂きノッチ22を備えているが微細針を使用してよい。
【0039】
図10は、本開示によって構成された改良された格納装置60の別の例示の実施形態を示す。図10の格納装置60は、図9の格納装置10と同様であり、同様の要素は同様の参照番号を有する。図10の格納装置60は示されるように、微細針100と共に使用するためであり、また格納装置60を囲繞する保護ケース62を含む。保護ケース62は剛性であり、ファイバーボード又はプラスチックなどの好適な材料でつくられる。保護ケース62は、標的部位の明確な確認を実現し、液体格納装置に更に圧力を加えずに抽出装置(例えば微細針)を配置することができるように、多孔性パッド14と整合する格納装置60上の開口64を含む。保護ケース62は格納装置を不慮の損傷から保護する、ならびにこのような対照溶液の使用者は手先が器用でない及び/又は視力が悪い(糖尿病患者など)ことが多いため、保護ケース62により装置が扱い易くなる。また保護ケース62は、使用中の液体の漏出をなくすために抽出する際の格納装置に対する圧力を完全になくし、追加の又は複数の試液に使用するために格納装置を保持する能力を提供する。
【0040】
図10の格納装置60の第1すなわち底部一次層16は、剛性であってよい。好適な剛性物質は、限定するものではないが、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5、272、093号に開示されているものなど厚いホイル積層物質及び不活性プラスチックを含める。このような不活性プラスチックの例は、限定するものではないが、ポリプロピレン、ポリビニリデン塩化物、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレンターポリマー(ABS)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリビニル塩化物(PVC)などを含む。剛性の第1一次層16は、限定的に不活性プラスチック物質、又は2つが一緒に積層するホイル層との組合せで作成されてよい。
【0041】
図11から13は、本開示によって構成された改良された格納装置70の別の例示の実施形態が示されている。図11から13の格納装置70は、図7から9の格納装置10と同様であり、同様の要素は同様の参照番号を有する。図11から13の格納装置70は、円形の多孔性パッド14を含み、図13に示されるようにこれを装置の中央に置くことにより微細針100を使用した液体抽出が可能になる。図11から13の格納装置70の第1一次層16は、所望により剛性又は可撓性であってよい。
【0042】
格納装置70は更に、第2一次層の外面上に配置される天然ゴム、ネオプレン、Abbathane(商標)又はウレタンなどの非ラテックスゴムで構成される薄膜物質の皮膚模倣層72を含む。例示の一実施形態によると、皮膚模倣層72は0.15mmから1.5mmの厚みを備える。層72には多数の用途がある。しかしながらその名前が示唆するように、その一次用途において、皮膚模倣層72は、計器に対する試料の全体の提示、及び計器の血液抽出機構(例えば、機械駆動式の微細針)を更に向上させるために人の皮膚を模倣する目的で付加される。これらの血液抽出機構は、血液標本を取得するために、皮膚表面を貫通して抽出装置を駆動するための適切な深さ及び力を「知る」ために「情報(intelligence)」を備えてよい。皮膚模倣層72を加えることにより、抽出が低減される又は消滅することにより、格納装置70は測定においてかなり違いのある、より「人」に近い特性を与えられる。皮膚模倣層72はまた、格納装置70の複数の穿刺及び再使用を可能にするために自己密封式である。
【0043】
次に図14を参照すると、本開示によって構成された改良された格納装置80の別の例示の実施形態が示されている。図14の格納装置80は、図11から13の格納装置70と同様であり、同様の要素は同様の参照番号を有する。図14の格納装置80も図10の保護ケース62と同様に、格納装置80を囲繞する保護ケース62を含む。図14の格納装置80の第1一次層16は、所望により剛性であってよい。
【0044】
上記のように、本開示の液体格納装置は、パック形式で複数として集合的に配置されてよく、2つ以上の格納装置が隣接する構成で配置される。より具体的には、各格納装置は1パック内に形成され、各格納装置の少なくとも片側が少なくとも他の格納装置と隣接するように、それぞれの格納装置が少なくとも1つの他の格納装置と隣接する。1パック内に2つのような少ない格納装置が配置されるが、典型的には格納装置の配列の形態でより多くの数が形成される。このような配列は、任意の好適なサイズで形成されてよいマトリクス構造又はストリップ構造の形態であってよく、そのサイズはマトリクス構造に関して表面積(cm2)で、またストリップ構造に関しては長さ(cm)で測定される。マトリクス配列の形態の液体格納装置は、「シート」として記載され得る業務用など比較的多くの数で形成される場合、又はその人が携帯しやすいカードサイズとして記載され得る個人使用などの比較的小さなサイズで形成される場合がある。
【0045】
かなり長いストリップ形式の装置の配列に関して、ストリップは圧延した形態で形成されてよく、更に、使用者が彼又は彼女が必要とする又は所望する分だけ分配することができる接着テープ、郵便切手又はデンタルフロスに使用されるディスペンサと同様の構造のディスペンサ内に巻かれた又はスプールに巻かれた形態で形成されてよい。
【0046】
格納装置のパケットのある実施形態は、対照溶液のすべての投与量が使用されるまで完全な状態を維持する集合的な隣接フレーム構造を有するが、対象パックの他の実施形態は、目的とする格納装置を他から容易な分離するのを実現する。具体的には、上記のように溶液が充填された格納装置が密封された後、隣接する格納装置間にミシン目線又は事前切り込み線が形成される。このような実施形態によって、任意の数の格納装置が、必要又は所望に応じて隣接する配列から除去することができる。例えばこのような格納装置内の対照溶液を使用する前又は使用直後、単一の格納装置は残りの隣接する複数の格納装置から分離されてよい。
【0047】
図15及び16に本開示による複数使用の格納装置90の例示の実施形態が示されている。図15及び16の格納装置90は図1の格納装置10と同様であり、同様の要素は同様の参照番号を有する。図15及び16の格納装置90はより大型でありかつ一次層16、18の1つの外面上にプリント又はエンボス加工される標的92の配列を備えることにより、抽出装置及び/又は計器の品質保証テストに直面するなど高容積テスト環境での使用を実現する。各標的92は、多孔性パッド14から流体を抽出するために微細針によって穿刺され得る。
【0048】
本開示によるシステムは、次の使用のために作動可能に液体溶液を収容する上記の液体格納装置又はパックを含む。このような後続の使用は、限定するものではないが、液体の精密な量又は測定された一回投与量を使用するシステムの性能及び作動の評価を含む。用途の一タイプは、生理的試液に接近して厳密な容積を採取する分野、及び抽出された流体の1つ又は複数の特性を分析する分野である。対象システムは、血液又は間質液試料に接近して到達し採取するためのシステムの作動を評価するのに、又は抽出された流体の1つ又は複数の検体濃度を測定するのに特に適している。このような評価の環境は例えばこのような流体進入システムの形成中などの産業用、例えばこのようなシステムが極めて頻繁に使用される病院内などの組織用、又は例えば自分でテストするのに必要とする個人など個人用であってよい。
【0049】
本開示は、検体濃度測定用途の文脈、詳細には血液又は間質液中のグルコース濃度の文脈で本明細書に記載されているが、これは限定することを意図するものではなく、当業者は、開示の装置、システム及び方法が、試薬の使用を伴う例えば尿又は唾液などの他の生物学的物質の、例えば血液凝固時間、血液コレステロールレベル、合法又は非合法な薬剤の存在など物理的及び化学的な他の特性を測定するのに有益であることを理解するであろう。同様に本開示の装置、システム及び方法は、このようなタイプの物質又は薬剤の厳密な投与量を簡便に実現することを必要とする他のタイプの物質又は薬剤を使用する用途で有益である。
【0050】
種々のタイプの用途及び環境で使用される液体のタイプは多数あるので、本開示のシステムで使用され得る可能性のある液体のすべてを記載することは本開示の範囲を超えることになる。しかしながら、対象システムは頻繁に使用する又はまれしか使用されない液体の一回投与を必要とするいずれの用途で使用されてよい。以下に対象方法を記載する目的として、対象システムによって提供される液体は、生理的流体の試料中の検体濃度を測定するためのシステムの評価を実行するための対照溶液である。このような対照溶液の例は、米国特許第5、187、100号及び米国特許第5、605、837号に開示されている。
【0051】
本開示の方法は、上記の検体濃度測定システムの効果及び作動をチェックするために対照溶液を収容する格納装置を使用する点に関して記載され、このシステムは、一体式微細針と、テストストリップセンサと、このような微細針/テストストリップと共に使用する計器を含む。しかしながら方法は、本開示の任意の好適な液体格納装置及び液体格納パックに適合することが理解される。
【0052】
方法は、最初に単一の形態又はパックの形態のいずれかの少なくとも1つの格納装置を形成するステップを包含する。パック形態の場合、標的の格納装置は、複数の装置に関して選択される。標的の格納装置は残りのステップを実行する前に、パックから分離される又は単一化されてよく、あるいは検体測定処置中残りのパックと共に完全な状態のままにされ、次いで処置が完了した後除去されてよい。あるいは、使用された標的又は選択された格納装置はパックと共に完全な状態のままにされ、残りの格納装置と共に集合的に配置されてよく、またすべての装置が使用されるまでパックは完全な状態に保持される。
【0053】
次に、図7から9の格納装置に関して後続の方法ステップを記載する。対照溶液で充填されたタンク12を有する少なくとも1つの格納装置10は、可撓性層の1つが露出されてレベル表面上に配置され或いは使用者によって手動で保持されてよい。次いで評価される試験装置、又は評価される計器と共に使用する試験装置が提供される。示されていないが、試験装置はセンサ部を有するテストストリップと、テストストリップの遠位端で一体化された微細針とを含む。流体伝送チャネルが微細針からセンサ内まで伸びている。好ましくは、試験装置は、管理チェックのために計器(図示せず)内に作動するように装填されて設置されるが、試験装置は手動で保持され、次いで対照溶液の一回投与量を採取した後、計器に挿入されてよい。計器は作動可能に保持され、格納装置10の可撓性面に対して並置される。次いで、計器は試験装置を作動するように配置するために作動され、この作用により、微細針が可撓性面又は層を貫通してタンク内の所定の深さに穿刺及び貫通され、その深さは、タンク12内の対照溶液に対して遠位端チャネルを露出するのに十分な深さである。次いでチャネルは液体格納装置10内からの対照溶液を排出し、対照溶液を試験装置のセンサ部分に送達し、対照溶液はセンサの電気化学セル内の酸化還元反応システムに反応する。この反応によって生成される信号は、計器の電子機器によって検出され、対応する検体濃度値が表示される。
【0054】
検体濃度結果が予想範囲(試験装置又はテストストリップと共に包装された使用説明が提供される)外にある場合、未使用の試験装置を使用して管理テストを繰り返す必要がある。結果が依然として予想範囲外にある場合、新しい試験装置の包装品からの試験装置を使用して更に3回目を繰り返す必要がある。3回目の結果が予想範囲外である場合、計器に問題がある可能性があるので、使用者は試験装置及び計器の製造元に知らせて代わりの計器を要求しなければならない。試験装置及び計器の性能の制御チェックに加えて、格納装置を穿刺する際の微細針の効力も評価される場合がある。
【0055】
本開示によって、対象方法を実施するためのキットも提供される。キットは、選択された液体溶液を収容する少なくとも1つの液体格納装置を含むが、典型的にはそれぞれが選択された液体溶液を収容するシート、カード又はロールの形態で一緒に包装された複数の格納装置を含む。キットは更に、使い捨ての又は再使用可能な格納装置ディスペンサを含んでよい。格納装置は、一体式の微細針/試験装置及びそれと共に使用する計器の性能を評価するために血液を模倣する対照溶液など患者の手元での用途で選択される対照溶液を包含する。最後にキットは、上記の試験装置及び計器の制御チェック又は性能を評価するために格納装置を使用するための説明を含んでよい。これらの説明は包装品、ラベルインサートなどの1つ又は複数の上に提示されてよい。
【0056】
明確に理解する目的で、例証及び実施例によって上記の開示を幾分詳細に記載してきた。しかしながら、本開示は本明細書に記載の特定の変形態に限定するものではなく、本開示の本来の精神及び範囲から逸脱することなく、記載の開示に種々の変形又は修正を行うことができ、また等価物で代替することができる。更に本開示の教示に鑑みて、当業者は、添付の特許請求の範囲の精神又は範囲から逸脱することなく、特定の変形及び修正を本開示に行うことができることを容易に理解するであろう。特定の状況、材料、物質の組成、工程、目的に対する工程の作用又はステップ、本開示の精神又は範囲に適合するために、多くの修正を行うことができる。このような修正はすべて、本明細書に作成される特許請求の範囲内にあることを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本開示によって構成された液体格納装置の例示の実施形態の平面図である。
【図2】本開示によって構成された液体格納装置の例示の実施形態の断面図である。
【図3】本開示によって構成された液体格納装置の別の例示の実施形態の平面図である。
【図4】本開示によって構成された液体格納装置の別の例示の実施形態の断面図である。
【図5】本開示によって構成された液体格納装置の付加的な例示の実施形態の平面図である。
【図6】本開示によって構成された液体格納装置の付加的な例示の実施形態の断面図である。
【図7】本開示によって構成された液体格納装置の別の例示の実施形態の平面図である。
【図8】本開示によって構成された液体格納装置の別の例示の実施形態の断面図である。
【図9】格納装置に挿入された微細針が示されている、図7及び8の液体格納装置の断面図である。
【図10】格納装置に挿入された微細針が示されている、本開示によって構成された液体格納装置の別の例示の実施形態の断面図である。
【図11】本開示によって構成された液体格納装置の別の例示の実施形態の平面図である。
【図12】本開示によって構成された液体格納装置の別の例示の実施形態の断面図である。
【図13】格納装置に挿入された微細針が示されている、図11及び12の液体格納装置の断面図である。
【図14】格納装置に挿入された微細針が示されている、本開示によって構成された液体格納装置の付加的な例示の実施形態の断面図である。
【図15】本開示によって構成された液体格納装置の別の例示の実施形態の平面図である。
【図16】本開示によって構成された液体格納装置の別の例示の実施形態の断面図である。
【図17】本開示によって構成された液体格納装置の別の例示の実施形態の平面図である。
【図18】本開示によって構成された液体格納装置の別の例示の実施形態の断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
間で気密に密閉されたタンクを形成するように一緒に密閉された第1可撓性層及び第2可撓性層並びに前記タンク内に配置される多孔性パッドを含む少なくとも1つの格納装置と、
生理的流体を模倣するように構成され前記タンク内に収容された液体対照溶液と、
を備える、前記生理的流体抽出及び検体濃度測定システムの性能を評価するのに使用するシステム。
【請求項2】
前記多孔性パッドがポリビニルアルコール(PVA)スポンジを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記可撓性層が、第1及び第2ノッチを含み、前記第2ノッチが、前記ノッチ間の直線で前記層を引き裂くことで前記多孔性パッドの小さな部分のみを露出させるように前記第1ノッチに対して配置された、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記可撓性層が底部端部から頂部端部に伸びる矩形形状を有し、前記多孔性パッドが格納装置の頂部端部に向けて上方に先端まで伸びるネックを備えるボトル形状を有し、前記可撓性層が、前記ノッチ間の直線で前記層を引き裂くことで前記多孔性パッドの先端のみが露出するように配置されている第1及び第2ノッチを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記格納装置を囲繞する剛性の保護ケースを更に備え、前記格納装置に前記多孔性パッドと整列する開口を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1及び第2層の1つの外面に配置された薄膜物質の皮膚模倣層を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記皮膚模倣層が非ラテックスゴムを備える、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記皮膚模倣層が0.15mmから1.5mmの厚みを有する、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記皮膚模倣層が自己密閉式である、請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
前記液体対照溶液が複数投与量を備え、前記格納装置が前記層の1つの外面に標的の配列を含み、それぞれの標的が前記多孔性パッドから1投与量を抽出するために微細針によって穴明けされ得る、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記液体対照溶液が一回投与量を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記一回投与量が約100nLから200μLの容積を有する、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1及び第2可撓性層がポリマーフィルム及び金属ホイルを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1及び第2層が約1mmを超えない厚みを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1及び第2層が約0.1から0.5mmの間の厚みを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記第1及び第2可撓性層がそれぞれ、内部ポリマーフィルムと、外部保護被覆と、前記内部ポリマーフィルムと前記外部保護被覆の間に配置された金属ホイルとを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記タンクが前記第1層内の一部及び前記第2層内の一部に形成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記層が微細針によって貫通可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
複数の前記液体格納装置を更に備え、前記装置が互いに隣接する、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記隣接する液体格納装置が、前記液体格納装置の間に形成された事前分割マークによって分離可能である、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
間で気密に密閉されたタンクを形成するように一緒に固定され、第2層の1つが可撓性であり微細針によって貫通可能である第1及び第2可撓性層並びに前記タンク内に配置された多孔性パッドを含む少なくとも1つの格納装置と、
前記格納装置を囲繞し、前記格納装置の前記可撓性層上に前記多孔性パッドと整列する少なくとも1つの開口を含む剛性の保護ケースと、
生理的流体を模倣するように構成された前記タンク内に収容された液体対照溶液と、
を備える、前記生理的流体抽出及び検体濃度測定システムの性能を評価するのに使用するシステム。
【請求項22】
前記多孔性パッドがポリビニルアルコール(PVA)スポンジを備える、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記格納装置の前記可撓性第2層の外面に配置された薄膜物質の皮膚模倣層を更に備える、請求項21に記載のシステム。
【請求項24】
前記皮膚模倣層が非ラテックスゴムを備える、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記皮膚模倣層が0.15mmから1.5mmの厚みを有する、請求項23に記載のシステム。
【請求項26】
前記皮膚模倣層が自己密閉式である、請求項23に記載のシステム。
【請求項27】
前記液体対照溶液が複数投与量を備え、前記格納装置が前記可撓性第2層の外面に標的の配列を含み、それぞれの標的が前記多孔性パッドから1投与量を抽出するために微細針によって穴明けされることができ、前記格納装置を囲繞する前記剛性の保護ケースが、前記標的の配列と整合した開口の配列を含む、請求項21に記載のシステム。
【請求項28】
前記液体対照溶液が一回投与量を備える、請求項21に記載のシステム。
【請求項29】
前記第1層が剛性物質を備える、請求項21に記載のシステム。
【請求項30】
前記剛性物質が少なくとも1つの不活性プラスチック物質及び厚いホイル積層を備える、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記多孔性パッドが前記タンクの容積を完全に満たす、請求項21に記載のシステム。
【請求項32】
前記多孔性パッドが前記タンクの容積を完全に満たす、請求項1に記載のシステム。
【請求項33】
前記タンクがボトル形状を形成し、主本体及び主本体から伸びるネックを有し、前記可撓性層が、ノッチの間の直線で前記層を引き裂くことによって、前記タンクの前記ネックのみを切断するように配置された第1及び第2ノッチを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項34】
前記多孔性パッドが前記タンクの前記ネックまで伸びていない、請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
前記多孔性パッドが非圧縮性である、請求項1記載のシステム。
【請求項36】
間で気密に密閉されたタンクを形成するように一緒に密閉された第1可撓性層及び第2可撓性層を含む少なくとも1つの格納装置と、
生理的流体を模倣するように構成され前記タンク内に収容された液体対照溶液と、
を備える、前記生理的流体抽出及び検体濃度測定システムの性能を評価するのに使用するシステム。
【請求項37】
前記可撓性層が第1及び第2ノッチを含み、前記第2ノッチが、前記ノッチ間の直線で前記層を引き裂くことで前記タンクの小さな開口のみを露出するように前記第1ノッチに対して配置されている、請求項36に記載のシステム。
【請求項38】
前記可撓性層が底部端部から頂部端部に伸びる矩形形状を有し、前記タンクが前記格納装置の頂部に向けて上方に先端まで伸びるネックを備えたボトル形状を有し、前記可撓性層が、前記ノッチ間の直線で前記層を引き裂くことで前記タンクの先端のみが開放するように配置されている第1及び第2ノッチを含む、請求項36記載のシステム。
【請求項39】
前記格納装置を囲繞する剛性の保護ケースを更に備え、前記格納装置上及び前記タンクに整合している開口を含む、請求項36記載のシステム。
【請求項40】
前記第1及び第2層の1つの外面に配置されている薄膜物質の皮膚模倣層を更に備える、請求項36に記載のシステム。
【請求項41】
前記皮膚模倣層が非ラテックスゴムを備える、請求項40に記載のシステム。
【請求項42】
前記皮膚模倣層が0.15mmから1.5mmの厚みを有する、請求項40に記載のシステム。
【請求項43】
前記皮膚模倣層が自己密閉式である、請求項40に記載のシステム。
【請求項44】
前記液体対照溶液が複数投与量を備え、前記格納装置が前記層の1つの外面に標的の配列を含み、それぞれの標的が前記タンクから1投与量を抽出するために微細針によって貫通することができる、請求項36に記載のシステム。
【請求項45】
前記液体対照溶液が一回投与量を備える、請求項36に記載のシステム。
【請求項46】
前記第1及び第2可撓性層がポリマーフィルム及び金属ホイルを備える、請求項36に記載のシステム。
【請求項47】
前記第1及び第2層が約1mmを超えない厚みを有する、請求項36に記載のシステム。
【請求項48】
前記第1及び第2層が約0.1mmから0.5mmの範囲の厚みを有する、請求項36記載のシステム。
【請求項49】
前記第1及び第2可撓性層がそれぞれ内部ポリマーフィルム、外部保護被覆、及び前記内部ポリマーフィルムと前記外部保護被覆の間に配置されている金属ホイルを備える、請求項36に記載のシステム。
【請求項50】
前記タンクが前記第1層内の一部及び前記第2層内の一部に形成されている、請求項36に記載のシステム。
【請求項51】
複数の前記液体格納装置を更に備え、前記装置が互いに隣接する、請求項36に記載のシステム。
【請求項52】
前記隣接する液体格納装置が、前記液体格納装置の間に形成されている事前分割マークによって分離可能である、請求項51に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2008−542686(P2008−542686A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−510036(P2008−510036)
【出願日】平成18年4月25日(2006.4.25)
【国際出願番号】PCT/US2006/015374
【国際公開番号】WO2006/118843
【国際公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(507363875)バイオノスティックス・インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】