説明

液体漂白剤物品

【課題】香料の限定なしでオーバーキャップを開けたときの匂い立ちがよい液体漂白剤物品の提供を目的とする。
【解決手段】(A)香料組成物、(B)非イオン界面活性剤:2.5〜50質量%、(C)過酸化水素を含有する液体漂白剤組成物を、
前記液体漂白剤組成物を収納する収納容器に、前記容器の口元部に装着され注出ノズルを備えた中栓体と前記中栓体に装着されたオーバーキャップからなる注出具を前記収納容器の口元部に取り付けた液体注出容器に充填し、
液体漂白剤組成物500g中の溶存気体量が1.0mL以上2.0mL以下であり、液体漂白剤組成物を充填後の収納容器の空隙体積(mL)/注出具の容積(mL)の体積比が1/1〜4/1であり、かつ、収納容器の上部断面積(cm)/中栓体の断面積(cm)の面積比が2.5/1〜3.5/1であることを特徴とする液体漂白製物品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体漂白剤物品に関する。詳しくは衣料等の繊維製品の洗濯に使用される繊維製品用液体酸素系漂白剤物品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液体漂白剤はその利便性から広く普及しており、嗜好性の点から香料が配合されている(例えば、特許文献1〜2)。特許文献1の発明によれば、香料による安定性の悪化のない液体酸素系漂白剤が提案されている。特許文献2の発明によれば、酸素臭のマスキングし、保存後も香気が変化しない香料を用いた液体酸素系漂白剤が提案されている。さらに、特許文献3によれば、匂い立ちの優れた漂白剤組成物も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3−115399号公報
【特許文献2】特開昭60−23498号公報
【特許文献3】特開2000−160193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1〜2の液体漂白剤組成物は、組成物の安定性や酸素臭のマスキングには優れるものの、香料の匂い立ちに関しては考慮がされていない。また、特許文献3によれば、香料の匂い立ちは改善されているが、そのために香料の限定が必須となり、様々な使用者の嗜好性を満足させることができない。
【0005】
そこで、本発明は香料の限定をせずに匂い立ちがよい液体漂白剤物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意検討した結果、香料組成物、非イオン界面活性剤、過酸化水素を含有する液体漂白剤組成物を特定の注出具を有する液体注出容器に充填することで、香料の限定をせずともオーバーキャップ(計量キャップ)を開けたときの匂い立ちがよいことを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
即ち、本発明の液体漂白剤物品は、(A)香料組成物、(B)非イオン界面活性剤:2.5〜50質量%、(C)過酸化水素を含有する液体漂白剤組成物を、
前記液体漂白剤組成物を収納する収納容器に、前記容器の口元部に装着され注出ノズルを備えた中栓体と前記中栓体に装着されたオーバーキャップからなる注出具を前記収納容器の口元部に取り付けた液体注出容器に充填し、
液体漂白剤組成物500g中の溶存気体量が1.0mL以上2.0mL以下であり、液体漂白剤組成物を充填後の収納容器の空隙体積(mL)/注出具の容積(mL)の体積比が1/1〜4/1であり、かつ、収納容器の上部断面積(cm)/中栓体の断面積(cm)の面積比が2.5/1〜3.5/1であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、香料の限定をせずに匂い立ちに優れる液体漂白剤物品を提供できる。特に低温保管時での匂い立ちに優れる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の液体漂白剤物品に用いる液体注出容器(注出具の拡大図)の一例を示す模式図である。
【図2】本発明の液体漂白剤物品に用いる収納容器の一例を示す模式図である。
【図3】本発明の液体漂白剤物品に用いる収納容器の一例を示す模式図である。
【図4】本発明の液体漂白剤物品に用いる収納容器の一例を示す模式図である。
【図5】本発明の液体漂白剤物品に用いる注出具の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】
本発明の液体漂白剤物品は、
(A)香料組成物(以下、「(A)成分」という。)、(B)非イオン界面活性剤(以下、「(B)成分」という。):2.5〜50質量%、(C)過酸化水素(以下、「(C)成分」という。)を含有する液体漂白剤組成物を、
前記液体漂白剤組成物を収納する収納容器に、前記容器の口元部に装着され注出ノズルを備えた中栓体と前記中栓体に装着されたオーバーキャップからなる注出具を前記収納容器の口元部に取り付けた液体注出容器に充填し、
液体漂白剤組成物500g中の溶存気体量が1.0mL以上2.0mL以下であり、液体漂白剤組成物を充填後の収納容器の空隙体積(mL)/注出具の容積(mL)の体積比が1/1〜4/1であり、かつ、収納容器の上部断面積(cm)/中栓体の断面積(cm)の面積比が2.5/1〜3.5/1であることを特徴とする。
[(A)成分]
(A)成分は香料組成物であり、オーバーキャップを開けたときの匂いの成分となる。
【0012】
ここで、香料組成物とは、香料原料単体、又は香料原料、香料用溶剤、香料安定化剤等からなる混合物である香料組成物を含むものである。香料として使用される香料原料のリストは、様々な文献、例えば「Perfume and Flavor Chemicals 」,Vol.I and II,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)及び「合成香料 化学と商品知識」、印藤元一著、化学工業日報社(1996)及び「Perfume and Flavor Materials of NaturalOrigin 」,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)及び「香りの百科」、日本香料協会編、朝倉書店(1989)及び「Perfumery MaterialPerformance V.3.3」,Boelens Aroma Chemical Information Service(1996)及び「Flower oils and Floral CompoundsIn Perfumery」,Danute Lajaujis Anonis,Allured Pub.Co.(1993)等に記載されている。
【0013】
香料組成物の含有量は、組成物中0.01〜1質量%が好ましく、0.05〜0.5質量%がより好ましく、0.1〜0.2質量%が特に好ましい。香料組成物が0.01質量%未満であるとオーバーキャップをあけた際に過酸化水素の基剤臭を感じてしまう場合がある。一方、1質量%を超えると、オーバーキャップを開けたときの匂い立ちはよいが、洗濯をした際に衣類に香料成分が多量に残ってしまうことになり、柔軟剤等の香りを阻害してしまう場合がある。
[(B)成分]
(B)成分は、非イオン界面活性剤であり、漂白性能及び匂い立ちに寄与する。
非イオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、アルキル(ポリ)グリコシド、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルオキシエチレンプロピレンブロック重合体、脂肪酸モノグリセライド等が挙げられる。
上記のなかでも、過酸化水素等の漂白成分を含有する液体漂白剤組成物中での安定性、組成物の溶存気体量のコントロールのしやすさ等の点から、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルが好ましく、下記式で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテルが特に好ましい。
R−O−(AO)−H
[式中、Rは炭素数8〜16の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基またはアルケニル基であり;AOはオキシアルキレン基を示し;nはAOの平均付加モル数を示し、1〜20、好ましくは3〜15の数である。]
前記式中、Rにおいて、アルキル基の炭素数は8〜16であり、10〜14であるものが好ましく、12〜14であるものがより好ましい。アルケニル基の炭素数については、前記アルキル基の炭素数と同様である。炭素数が8以上であることにより洗浄力が良好となり、一方、炭素数が16以下であることにより溶解性が向上する。
なかでも、アルキル基が好ましく、具体的にはヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基が好ましく挙げられ、ドデシル基、テトラデシル基が特に好ましい。
【0014】
AOとしては、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシペンチレン基等が挙げられる。なかでも、オキシエチレン基、オキシプロピレン基が好ましく、オキシエチレン基が好ましい。AOは、1種単独で付加されていてもよく、2種以上が付加されていてもよい。
【0015】
nは、前記AOの種類にもよるが、たとえばAOがオキシエチレン基および/またはオキシプロピレン基の場合、3〜15とすることが好ましく、3〜8とすることが更に好ましい。
【0016】
また、nは、下記一般式(S)で表される、AOの付加モル数が異なるAO付加体の分布の割合を示すナロー率が55質量%以上のAO付加体であるものも好ましい。ナロー率は、55質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。該範囲の下限値以上であることにより、液体漂白剤組成物の液安定性、溶存気体量のコントロールのしやすさが向上する。該ナロー率は、液安定性、溶存気体量のコントロール性の点から高いほど好ましいが、上限値としては実質的には95質量%以下である。
【0017】
【数1】



【0018】
[式中、nmaxは全体のエチレンオキシド付加体中に最も多く存在するエチレンオキシド付加体のエチレンオキシドの付加モル数を示す。iはエチレンオキシドの付加モル数を示す。Yiは全体のエチレンオキシド付加体中に存在するエチレンオキシドの付加モル数がiであるエチレンオキシド付加体の割合(質量%)を示す。]
前記ナロー率は、例えば前記式で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテルの製造方法等によって制御することができる。かかる製造方法としては、特に制限されるものではないが、好適な方法としては、たとえば特開2000−144179号公報に記載の表面改質された複合金属酸化物触媒を用いて、脂肪酸アルキルエステルに酸化エチレンを付加重合させる方法等が挙げられる。
【0019】
(B)成分の含有量は、2.5〜50質量%であり、3〜50質量%が好ましく、更に好ましくは5〜30質量%、特に好ましくは5〜15質量%である。(B)成分の含有量が2.5質量%未満であると、溶存気体量が所望する範囲から外れるため匂い立ちを感じることができない、また香料も組成物中に完全に溶解させることが難しくなり保存安定性も悪くなる。50質量%を超えると、組成物の親油性が高くなり、香料が容器の空隙中に放出されにくくなるため、低温保管時などは匂い立ちが感じにくくなる。
[(C)成分]
(C)成分は、過酸化水素であり酸化力を有する。
(C)成分を用いることで、本発明の液体漂白剤組成物に漂白機能を付与できる。
(C)成分の含有量は、0.1〜5質量%が好ましく、特に好ましくは1〜3質量%である。(C)成分の含有量が0.1質量%以上であれば、含有量に比例して漂白機能が発揮され、5質量%以下であればオーバーキャップをあけたときに匂う香りの中に(C)成分の基剤臭を感じることがない。
[溶存気体量]
本発明における溶存気体量は以下の方法で測定した気体量である。
まず、各例記載の液体注出容器に収納した組成物を30回振とうさせた後、1晩(12時間)、室温(25℃)で静置させる。500mLスリ付き三角フラスコに、組成物をヘッドスペースが55mLになるように入れ、スリ付きガラス管(内径5mm)のスリ上部にシリコーングリースを付け、ガラス管の下端をフラスコの底から1cm上の高さになるようにして密閉するように取り付ける。このときのガラス管の液面にマジックで印を付けイニシャル(A)とする。これを、30℃(±1℃)の水を張った超音波装置に置き、15分超音波をかけたときの液の上昇分(B)を測定する。そして、下記計算式により溶存気体量を計算することができる。
【0020】
溶存気体量(mL)=(B−A)×0.02
溶存気体量は1.0〜2.0mLが好ましい。溶存気体量は香料の放出に大きく関わり、1.0mL未満であると、香料成分が徐々に放出されず、匂い立ちのよさが長く続かない。2.0mLを超えると香料成分が組成物中に溶け込みすぎることになり、オーバーキャップをあけたときに匂い立ちが感じられない。
[液体注出容器]
以下、本発明の液体注出容器の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の収納容器の一実施形態である液体注出容器の(a)注出具1の断面図及び(b)中栓体の正面図である。
【0021】
液体漂白剤組成物(以下、内容液と記すこともある)を収容する収納容器10に中栓体14Aが螺合するときに、注出方向を位置合わせするために、中栓体と収納容器の嵌合部位にはラチェット構造が設けられている。
【0022】
前記液体注出容器は、内容液を収容する収納容器10(部分的に図示)と、前記収納容器10の口元部10aに装着されて収納容器10を傾けることによって前記内容液を中空部12aから注出する概略筒状の注出ノズル12を有した中栓体14Aと、前記ノズル12から注出した内容液を受け止めて一時貯留し計量する(計量目盛りが設けられる)貯留筒部(計量部)18aを有しかつ前記ノズル12を覆って中栓体14Aに着脱自在に装着できるオーバーキャップ18とを備えたものであり、前記中栓体14Aをラチェット構造26によってラチェット効果を生じて容器に固定するものである。
【0023】
なお、中栓体14Aの筒状壁部20上端部に外面部に雄ネジ部を形成し、オーバーキャップ18の下部内面部に雌ネジ部を形成しており、筒状壁部20には、その上端部をオーバーキャップ18の下部で覆って、該オーバーキャップ18を回転させて螺合させるようになっている。
【0024】
前記中栓体14Aには、前記収納容器10の口元部10aをその外周から覆って装着するための椀状部24を形成している。前記収納容器10の口元部10a外周と前記中栓体14Aの椀状部24の内周との各対向部分における、収納容器10の口元部10a外周には、該口元部10aの軸中心(符号「O」で示す)から径方向外側に突出する係合部26bを設けると共に、前記中栓体14Aの椀状部24の内向き壁面に前記係合部26bに係合するための弁状の係合爪部26aを設け、この係合爪部26aは前記軸方向側端部が固定されずに前記の内向き壁面から径方向内側に向けて延在している。
【0025】
なお、収納容器10は、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、或いはエチレンビニルアルコール(EVOH)とポリエチレン等との多層構造等で樹脂成形されたものが好適に使用できる。
である。
【0026】
中栓体14Aおよびオーバーキャップ18は、PE、PP、ABS等で形成されたものが好適に使用できる。
【0027】
図1は、本発明の収納容器の一実施形態である液体注出容器の(a)注出具1の断面図及び(b)中栓体の正面図である。
【0028】
図2は、本発明の収納容器の一実施形態である収納容器1の(a)平面図、(b)正面図及び(c)右側面図である。
【0029】
図3は、本発明の収納容器の一実施形態である収納容器2の(a)平面図、(b)左側面図、(c)正面図及び(d)右側面図である。
【0030】
図4は、本発明の収納容器の一実施形態である収納容器3の(a)平面図、(b)正面図及び(c)右側面図である。
【0031】
図5は、本発明の収納容器の一実施形態である注出具2(注出ノズルを備えた中栓体とオーバーキャップからなる)の(a)平面図及び(b)正面図である。
【0032】
上記図2〜5では、収納容器と中栓体の係合部・螺合部、及び中栓体とオーバーキャップの螺合部が省略されているが、図1と同様な構造を使用することが出来る。
[収納容器の空隙体積/注出具の容積]
収納容器の空隙体積とは、収納容器に液体漂白剤組成物を充填し、注出具を取り付けた際の収納容器に存在する内部空気の体積である。
【0033】
具体的には、25℃50%RH環境下で24時間静置後、蒸留水を収納容器に満中まで入れ、そのときの蒸留水の量(mL)から収納容器の容積を測定することが出来、収納容器の空隙体積は、前記収納容器の容積から容器に入れた液体漂白剤組成物の量(mL)を差し引くことで計算することが出来る。
【0034】
注出具は図1に示すようにオーバーキャップと中栓体から構成されており、注出具の容積とは注出具の内部容積のことである。
【0035】
具体的には、25℃50%RH環境下で24時間静置後、注出具をオーバーキャップが底になるように倒立させて、蒸留水を中栓体の収納容器との嵌合部分の下端まで入れることにより、必要な蒸留水の量(mL)から注出具の容積を求めることが出来る。
【0036】
本発明では、収納容器の空隙体積/注出具の容積の体積比が、1/1〜4/1が好ましく、特に好ましくは1/1〜2/1である。体積比が1/1より小さい場合、注出具に存在する香料成分が多くなり、オーバーキャップを開けたときに中栓体の開口部から感じる匂い立ちが悪くなる。4/1以上では、収納容器の空隙体積が大きすぎることになり、香料を多量に使用しなければ匂い立ちが感じられないので、本発明に適さない。
[収納容器の上部断面積/中栓体の断面積]
本発明において、収納容器の上部断面積は、ボトルを正立させた時に注出具との嵌合部下端から下1cmの位置の部分の収納容器の断面積と定義する。
【0037】
中栓体の断面積は、筒状壁部の上端部の断面積と定義する。図1では中栓体14Aの筒状壁部20の上端の断面積となる。また、オーバーキャップ開口部の断面積から測定することもできる。
【0038】
本発明では、収納容器の上部断面積/中栓体の断面積の面積比が、2.5/1〜3.5/1が好ましく、特に3.0/1が好ましい。面積比が下限より低い値であると、収納容器上部の対流している香料が少ないため、オーバーキャップを開けた場合に中栓体の開口部から匂い立ちが感じられない。また、面積比が上限を超えると、中栓体の断面積が小さいことになり、オーバーキャップを開けた場合に中栓体の開口部から匂いが立ってこないか、または収納容器上部の断面積が中栓体の断面積に対して大きすぎるため、収納容器の中で対流が起こらず匂い立ちが感じられない。
[任意成分]
本発明の液体漂白剤物品中の液体漂白剤組成物には、前記(A)〜(C)成分以外に必要に応じて、陰イオン界面活性剤、両性界面活性剤、キレート剤、ラジカルトラップ剤、pH調整剤、ハイドロトロープ剤、無機塩類、ホウ酸化合物、漂白活性化剤、シクロデキストリン、スメクタイト型粘土鉱物、カチオン性化合物、再汚染防止剤、水等のその他の成分を匂い立ちが低下しない範囲で適宜、配合することができる。
(陰イオン界面活性剤)
陰イオン界面活性剤としては例えば直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)、アルキル硫酸塩(AS)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩(AES)、α−オレフィンスルホン酸塩(AOS)、アルカンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル塩(α−SF)、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩等が挙げられる。
(両性界面活性剤)
両性界面活性剤としては、アルキルベタイン型、アルキルアミドベタイン型、イミダゾリン型、アルキルアミノスルホン型、アルキルアミノカルボン酸型、アルキルアミドカルボン酸型、アミドアミノ酸型又はリン酸型の両性界面活性剤等が挙げられる。
【0039】
アミドアミン塩型界面活性剤としては、カプリル酸ジメチルアミノプロピルアミド、カプリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ラウリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミド、オレイン酸ジメチルアミノプロピルアミド等の長鎖脂肪族アミドアルキル3級アミンの塩;パルミチン酸ジエタノールアミノプロピルアミド塩、ステアリン酸ジエタノールアミノプロピルアミド塩等が挙げられる。
(キレート剤)
キレート剤は、Fe3+およびCu2+に対するキレート安定化定数の対数値(logK)がそれぞれ10以上であって、Ca2+に対するキレート安定化定数の対数値(logK)がそれぞれ5.5以上であるキレート剤である。Fe3+およびCu2+に対するキレート安定化定数の対数値(logK)は、それぞれ12以上が好ましい。
本発明の液体漂白剤組成物中に、微量の鉄イオンまたは銅イオンが存在すると、(C)成分の安定性が低下する場合がある。これら金属イオンを封鎖するには、キレート剤が有効であり、キレート剤効率の指標として一般的にキレート安定度定数の対数値(logK)が用いられ、この値が大きいほどキレート剤効率に優れるといえる。
なお、キレート安定度定数は下記(I)式で求められる。
【0040】
【数2】

【0041】
金属イオンとキレート剤の平衡反応・・・・M+AZ⇔MZ
M:金属イオン、Z:キレート剤、MZ:錯塩、A:1個のMと結合するZの数、
〔MZ〕:MZの濃度(mol/L)、〔M〕:Mの濃度(mol/L)、
〔Z〕:Zの濃度(mol/L)を表す。
【0042】
キレート剤としては、エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸塩、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、エタンヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、ニトリロトリメチレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸等の有機ホスホン酸誘導体が挙げられる。これらのなかでも、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸が好ましく、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸が特に好ましい。
1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸としては、市販品を用いることができ、例えばローディアジャパン株式会社製の「フェリオックス115」;オルブライトウィルソン社製の「BRIQUEST ADPA」;キレスト株式会社製の「キレストPH−210」;モンサント社製の「DEQUEST 2010」等が挙げられる。これらの何れを使用しても同様の効果が得られる。
【0043】
キレート剤の含有量は、液体漂白剤組成物100質量%中、0.1〜5質量%であることが好ましく、0.1〜3質量%であることがより好ましく、0.3〜3質量%であることが特に好ましい。キレート剤の含有量が上記範囲内であれば、液外観がより良好になると共に、液体漂白剤組成物の保存安定性や、(C)成分および後述する漂白活性化剤の安定性がより向上しやすくなる。
(ラジカルトラップ剤)
ラジカルトラップ剤としては、フェノール系ラジカルトラップ剤を用いるのが好ましい。特に、液体漂白剤組成物のpHが5以上になると、上述したキレート剤を配合するだけでは(C)成分の分解の抑制が不十分となる場合があるが、ラジカルトラップ剤をキレート剤と併用すれば、(C)成分の分解を効果的に抑制できる。
【0044】
また、誤使用などで液体漂白剤組成物を衣類に塗布した後、長時間放置してしまった際などには、金属分や、(C)成分と反応性の高い成分による(C)成分の異常分解が起こり、これにより衣類が損傷される場合もある。このような場合において、フェノール系ラジカルトラップ剤が液体漂白剤組成物に配合されていると、衣類の損傷を抑制することができる。
【0045】
フェノール系ラジカルトラップ剤とは、フェノールおよびフェノール誘導体であり、該フェノール誘導体としては、フェノール性のOH基を有する化合物、フェノール性のOH基のエステル誘導体、エーテル誘導体等が好ましく挙げられる。なお、置換位置は、オルト位、メタ位、パラ位のいずれでもよい。これらなかでも、フェノール性のOH基を有する化合物がより好ましく、特に「G.E.Penketh,J.Appl.Chem」,7,512〜521頁(1957)に記載された酸化還元電位(O.P.)が1.25V以下(より好ましくは0.75V以下)の化合物が好ましい。
【0046】
このようなフェノール誘導体としては、ジメトキシフェノール、カテコール、ハイドロキノン、4−メトキシフェノール、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)等が挙げられ、4−メトキシフェノールが特に好ましい。
【0047】
ラジカルトラップ剤の含有量は、液体漂白剤組成物100質量%中、0.01〜6質量%であることが好ましく、0.05〜1質量%であることがより好ましい。ラジカルトラップ剤の含有量が上記範囲内であれば、(C)成分の分解抑制効果が十分に得られると共に、経済性も良好となる。
(pH調整剤)
pH調整剤としては、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸;p−トルエンスルホン酸、クエン酸、ホスホン酸誘導体等の有機酸;ホウ酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アンモニア等を使用できる。
【0048】
pH調整剤は、1種または2種以上混合して用いることができる。
(ハイドロトロープ剤)
ハイドロトロープ剤としては、水混和性の有機溶剤が挙げられる。具体的には、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール等のアルコール類;プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール等のグリコール類;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、質量平均分子量が約200のポリエチレングリコール、質量平均分子量が約400のポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のポリグリコール類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルのアルキルエーテル類などが挙げられる。
【0049】
ハイドロトロープ剤の含有量は、液体漂白剤組成物100質量%中、0.1〜15質量%であることが好ましい。
(無機塩類)
無機塩類としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、珪酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、珪酸マグネシウム、塩化マグネシウムなどが使用できる。
(ホウ酸化合物)
ホウ酸化合物としては、例えばオルトホウ酸(HBO);ホウ酸イオン(BO3−)もしくは(BO5−)のつくる塩、またはそれらが縮合した陰イオンの塩(縮合ホウ酸塩)等が挙げられる。
【0050】
塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩;アンモニウム塩などが挙げられる。なかでも、アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩、カリウム塩がより好ましい。
【0051】
上述したホウ酸化合物のなかでも特に好適なものとしては、オルトホウ酸、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸アンモニウム、四ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸カリウム、四ホウ酸アンモニウム等が挙げられ、オルトホウ酸、四ホウ酸ナトリウムがより好ましい。
【0052】
前記四ホウ酸ナトリウムとしては、例えば四ホウ酸ナトリウム・5水塩、四ホウ酸ナトリウム・10水塩(ホウ砂)等の含水塩が特に好ましい。
【0053】
ホウ酸化合物は、1種または2種以上混合して用いることができる。
ホウ酸化合物の含有量は特に制限されるものではなく、液体漂白剤組成物100質量%中、0.2〜10質量%であることが好ましく、1〜5質量%であることがより好ましい。なお、ホウ酸化合物として四ホウ酸ナトリウムの含水塩を用いた場合の含有量は、四ホウ酸ナトリウム(Na)換算で算出した濃度(すなわち、Na量)を示す。
【0054】
ホウ酸化合物の含有量が0.2質量%以上であると、特に水性のしみ汚れに対する除去効率が向上する。一方、ホウ酸化合物の含有量が10質量%以下であると、液体漂白剤組成物の低温における保存安定性が向上する。
(漂白活性化剤)
漂白活性化剤としては、テトラアセチルエチレンジアミン、ペンタアセチルグルコース、オクタノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、ノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、デカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、ウンデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタノイルオキシ安息香酸、ノナノイルオキシ安息香酸、デカノイルオキシ安息香酸、ウンデカノイルオキシ安息香酸、ドデカノイルオキシ安息香酸、オクタノイルオキシベンゼン、ノナノイルオキシベンゼン、デカノイルオキシベンゼン、ウンデカノイルオキシベンゼン、ドデカノイルオキシベンゼン等の有機過酸前駆体等が挙げられる。
【0055】
これらのなかでも、ノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、デカノイルオキシ安息香酸が好ましく使用できる。
【0056】
漂白活性化剤は、1種または2種以上混合して用いることができる。
【0057】
漂白活性化剤の含有量は、液体漂白剤組成物100質量%中、0.1〜5.0質量%であることが好ましく、0.1〜2.0質量%であることがより好ましい。漂白活性化剤の含有量が上記範囲内であれば、液体漂白剤組成物の漂白力および保存安定性が向上すると共に、経済性も良好となる。
(シクロデキストリン)
シクロデキストリンとしては、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリンなどが挙げられる。
【0058】
これらシクロデキストリンは、γ、β、αの順で分子量当たりの内容積(Å3)が大きい。分子量当たりの内容積が大きいほど包接能力が高いので、(B)成分を包接しやすく、液体漂白剤組成物の塗布洗浄力が向上すると考えられ、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリンが好ましい。
【0059】
これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0060】
シクロデキストリンの含有量は、液体漂白剤組成物100質量%中、0.01〜1.4質量%が好ましく、0.1〜1.4質量%がより好ましく、0.3〜1.4質量%がさらに好ましく、0.6〜1質量%が特に好ましい。
(スメクタイト型粘土鉱物)
スメクタイト型粘土鉱物は、天然粘土鉱物および合成により得られる物質で、スメクタイト群に属し、特定の層状構造を有するものである。詳しくは、2八面体型(ジオクタヘドラル型)または3八面体型(トリオクタヘドラル型)の2:1層状ケイ酸塩で、層荷電0.6〜0.2のものの総称である。
【0061】
スメクタイト型粘土鉱物としては、ジオクタヘドラル型3層構造またはトリオクタヘドラル型3層構造を有するものが好ましい。
【0062】
ジオクタヘドラル型3層構造を有するスメクタイト型粘土鉱物としては、モンモリロナイト、ノントロナイト、バイデライト、パイロフィライトなどが挙げられる。
【0063】
トリオクタヘドラル型3層構造を有するスメクタイト型粘土鉱物としては、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、タルクなどが挙げられる。
【0064】
これらの中でも、トリオクタヘドラル型3層構造を有するものが好ましく、サポナイトおよび/またはヘクトライトが特に好ましい。
【0065】
本発明において、スメクタイト型粘土鉱物としては、合成スメクタイトが好ましい。
合成スメクタイトとしては、市販のものが使用でき、たとえばウィルバーエリス(株)製のラポナイトRD(合成ヘクトライト)、ズードケミー触媒(株)製のOptigelSH(合成ヘクトライト)、クニミネ工業(株)製のスメクトンSA(合成サポナイト)等が挙げられる。
【0066】
これらはいずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0067】
スメクタイト型粘土鉱物の配合量は、液体漂白剤組成物100質量%中、0.1〜10質量%が好ましく、0.2〜5.0質量%がより好ましく、0.5〜3.0質量%が特に好ましい。配合量が1質量%以上であると、天日干し臭抑制能等の性能面で良好な効果が得られる。10質量%以下であると、粘度等が、液体漂白剤組成物として使用し易いものとなり、また、コストの点でも好ましい。
(カチオン性化合物)
カチオン性化合物しては、カチオン界面活性剤やカチオン性高分子が挙げられる。
【0068】
カチオン界面活性剤としては、モノ長鎖炭化水素型第4級アンモニウム塩、ジ長鎖炭化水素型第4級アンモニウム塩等の各種第4級アンモニウム塩、アミドアミン型界面活性剤、アミドエステル型界面活性剤等が挙げられる。
【0069】
カチオン性高分子としては、カチオン性基を有する高分子であれば特に限定されず、ジメチルジアリルアンモニウム系ポリマー、ビグアニド系ポリマー、等が挙げられる。
【0070】
上記カチオン性化合物の中では、ジメチルジアリルアンモニウム系ポリマー、ビグアニド系ポリマーが好適に用いることできる。
【0071】
ジメチルジアリルアンモニウム系ポリマーの市販品としては、MERQUAT100(Calgon社製)、アデカカチオエースPD−50(株式会社ADEKA製)、ダイドールEC−004、ダイドールHEC、ダイドールEC(大同化成工業株式会社製)等が挙げられる。
【0072】
ビグアニド系ポリマーの市販品としては、ポリ(ヘキサメチレンビグアニド)塩酸塩、商品名Proxel IB(登録商標、アーチケミカルズジャパン株式会社製)が挙げられる。
【0073】
カチオン性化合物の含有量としては、0.001〜2質量%が好ましく、0.01〜2質量%がより好ましい。0.001質量%以上であれば、除菌効果及び抗菌効果が良好であり、2質量%を超えると保存安定性が低下する傾向にある。
(再汚染防止剤)
再汚染防止剤としては、アルキレンテレフタレート単位および/またはアルキレンイソフタレート単位と、オキシアルキレン単位および/またはポリオキシアルキレン単位とを有する水溶性ポリマー、カルボキシメチルセルロース、質量平均分子量600〜20000のポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドンなどが使用できる。
【0074】
このうち、アルキレンテレフタレート単位および/またはアルキレンイソフタレート単位と、オキシアルキレン単位および/またはポリオキシアルキレン単位とを有する水溶性ポリマーが好ましく、市販品の具体的例としては、クラリアントジャパン社製の「TexCare SRN−100(重量平均分子量3000)」、「TexCare SRN−300(重量平均分子量7000)」が挙げられる。
(水)
本発明にかかる液体漂白剤組成物において、水の含有量は、液体漂白剤組成物100質量%中、10〜95質量%であることが好ましく、20〜90質量%であることがより好ましい。
[液体漂白剤組成物の製造]
液体漂白剤組成物は、常法に準じて製造できる。例えば、上述した(A)〜(C)成分と必要に応じて任意成分とを、各成分の純分換算量で所望の含有量になるように、水(例えばイオン交換水など)等の溶媒に溶解して混合し、さらに必要に応じてpH調整剤を用いて所定のpHになるように調整することで得られる。
【実施例】
【0075】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[使用原料]
(A)成分として、表1〜6に記載の香料組成物A〜Dを用いた。
【0076】
【表1】

【0077】
【表2】

【0078】
【表3】

【0079】
【表4】

【0080】
【表5】

【0081】
【表6】



【0082】
(B)成分中、非イオン界面活性剤として、以下に示す化合物を用いた。
B−1:下記一般式(I)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル(エチレンオキサイド付加体)であって、前記一般式(S)で表されるナロー率(エチレンオキサイドの付加モル数が異なるエチレンオキサイド付加体の分布の割合)が特定されたエチレンオキサイド付加体、ライオン株式会社製。
O−(CHCHO)n’−H ・・・(I)。
[式中、Rはアルキル基を表し;nはエチレンオキシド平均付加モル数を表す。]
ナロー率84質量%、アルキル基R=C1225−、エチレンオキシド(EO)平均付加モル数n’=5。
B−2:ポリオキシエチレンアルキルエーテル(アルキル基の炭素数12、EOの平均付加モル数15;商品名「EMALEX715」、日本エマルジョン株式会社製)
なお、B−1及びB−2のナロー率は、以下のようにして求めた。
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用い、下記測定条件により、得られた合成品におけるエチレンオキサイドの付加モル数が異なるエチレンオキサイド付加体の分布を測定した。そして、B−1〜B−2のナロー率(質量%)を前記数式(S)に基づいて算出した。
(HPLCによるエチレンオキサイド付加体の分布の測定条件)
装置 :LC−6A(株式会社島津製作所製)。
検出器 :SPD−10A。
測定波長:220nm。
カラム :Zorbax C8 (Du Pont社製)。
移動相 :アセトニトリル/水=60/40(体積比)。
流速 :1mL/分。
温度 :20℃。
(C)成分として、以下に示す化合物を用いた。
C−1:過酸化水素(三菱ガス化学株式会社製)。
任意成分として、以下に示す化合物等を用いた。
LAS:直鎖アルキル(炭素数10〜14)ベンゼンスルホン酸[ライオン株式会社製、「ライポンLH−200(LAS−H)」、純分96質量%)]、表中の配合量は、純分としての値(質量%)を示す。
SAS:セカンダリーアルカンスルホン酸Na(クラリアントジャパン株式会社製、商品名「SAS30」(純分30質量%))、表中の配合量は純分としての値(質量%)を示す。
MQ:4−メトキシフェノール(川口化学工業株式会社製、商品名「MQ−F」)。
HEDP:1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(ローディアジャパン株式会社製、商品名「フェリオックス115」)、表中の配合量は純分としての値(質量%)を示す。
ホウ酸Na:四ホウ酸ナトリウム・5水塩(Borax社製、商品名「Neobor」)
漂白活性化剤:4−ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム(三井化学株式会社製)
シクロデキストリン:β−サイクロデキストリン(日本食品化工株式会社製、商品名「セルデックスB−100」)
スメクタイト:スメクタイト型合成珪酸塩ラポナイトRD(英国ラポルテ社製品、Laponite RD, Laporte IndustriesLtd.,U.K.)
カチオン性化合物:ポリヘキサメチレンビグアニド塩酸塩(アーチケミカルズジャパン株式会社製、「Proxel IB」)、表中の配合量は純分としての値(質量%)を示す。
SR剤:クラリアントジャパン株式会社製、商品名「Texcare SRN−100」、表中の配合量は純分としての値(質量%)を示す。
[実施例1〜18、比較例1〜13]
<液体漂白剤組成物の調製>
表7〜9に示す液体漂白剤組成物を、常法に準じて、以下のように製造した。
まず、サイズが8mmφ×40mmの撹拌子の入った1Lビーカーに、(B)成分を入れた。次に、700rpmで撹拌させながら(A)成分、任意成分を加え、精製水を加えた後、(C)成分を加えて液体漂白剤組成物を製造した。
なお、表7〜9中の配合量の単位は質量%であり、純分換算量を示す。
<評価>
[溶存気体量測定]
各例の液体漂白剤組成物を表7〜9に示す充填量を各例記載の液体注出容器に充填し、キャップ(中栓体、オーバーキャップ)を硬く閉めたあと、30回振とうし、1晩(12時間)、室温(25℃)で静置させる。その後、500mLスリ付き三角フラスコに組成物をヘッドスペースが55mLになるようにゆっくり入れ、スリ付きガラス管(内径5mm)のスリ上部にシリコーングリースを付け、ガラス管の下端をフラスコの底から1cm上の高さになるようにして密閉するように取り付ける。このときのガラス管の液面にマジックで印を付けイニシャル(A)とする。これを、30℃(±1℃)の水を張った超音波装置に置き、15分超音波をかけたときの液の上昇分(B)を測定する。測定後、下記計算式により溶存気体量を計算した。
【0083】
溶存気体量(mL)=(B−A)×0.02
なお、各例の充填量で前記ヘッドスペースにならない場合には、液体漂白剤組成物を充填した液体注出容器を2本使用した。
[匂い立ち評価]
各例の液体漂白剤組成物を表7〜9に示す充填量を各例記載の液体注出容器に充填し、オーバーキャップを硬く閉めたあと、10℃、50%RHの環境下で1日静置する。その後、オーバーキャップを開け、ボトル口(中栓体開口部)からの匂い立ちのよさ及び(C)成分の基剤臭の無さを専門パネラー3人で評価した。
匂い立ちは下記評価基準に分類し、評価した。
(評価基準)
5点:非常に匂い立ちがいい
4点:かなり匂い立ちがいい
3点:匂い立ちがいい
2点:やや匂い立ちがいい、または僅かに基剤臭を感じる
1点:匂い立ちが悪い、または基剤臭を感じる
2点以上を合格とした。
【0084】
液体注出容器として、以下に示す容器を用いた。
【0085】
溶存気体量測定、匂い立ち評価に用いた液体注出容器(収納容器、注出具)について、図1〜5を用いて説明する。
図1は、溶存気体量測定、匂い立ち評価に使用した液体注出容器の(a)注出具1の断面図及び(b)中栓体の正面図であり、注出具の容積は実測で45mL、注出具の断面積は12.6cmであった。
図2は、溶存気体量測定、匂い立ち評価に使用した収納容器1の(a)平面図、(b)正面図及び(c)右側面図であり、収納容器の容積は実測で685mL、収納容器の上部断面積は38.2cmであった。
図3は、溶存気体量測定、匂い立ち評価に使用した収納容器2の(a)平面図、(b)左側面図、(c)正面図及び(d)右側面図であり、収納容器の容積は実測で605mL、収納容器の上部断面積は63.0cmであった。
図4は、溶存気体量測定、匂い立ち評価に使用した収納容器3の(a)平面図、(b)正面図及び(c)右側面図であり、収納容器の容積は実測で575mL、収納容器の上部断面積は28.3cmであった。
図5は、溶存気体量測定、匂い立ち評価に使用した注出具2の(a)平面図及び(b)正面図であり、注出具の容積は実測で28mL、注出具の断面積は11.3cmであった。
【0086】
なお、注出具1〜2の材質は、ポリプロピレン、収納容器1〜3の材質は、高密度ポリエチレンであった。
【0087】
【表7】





【0088】
【表8】




【0089】
【表9】



【0090】
表7〜8記載の実施例1〜18から明らかなように、各実施例で示される液体漂白剤組成物による匂い立ちが良好であることが確認できた。
【0091】
一方、表9記載の比較例について、
(B)成分の含有量が範囲外の比較例1〜2、収納容器の空隙体積/注出具の容積の体積比が範囲外の比較例3〜4、比較例7〜8、収納容器の上部断面積/中栓体の断面積の面積比が範囲外の比較例5〜6、比較例9〜10はいずれも匂い立ちが感じられないことを確認した。
【符号の説明】
【0092】
10 収納容器
10a 収納容器の口元部
12 注出ノズル
14A 中栓体
24 椀状部
26 ラチェット構造(嵌合部位)
26a 係合爪部
26b 係合部
30 椀状部に形成のスリット
50 注出具
51 オーバーキャップ
52 中栓体
O 軸中心



【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)香料組成物、(B)非イオン界面活性剤:2.5〜50質量%、(C)過酸化水素を含有する液体漂白剤組成物を、
前記液体漂白剤組成物を収納する収納容器に、前記容器の口元部に装着され注出ノズルを備えた中栓体と前記中栓体に装着されたオーバーキャップからなる注出具を前記収納容器の口元部に取り付けた液体注出容器に充填し、
液体漂白剤組成物500g中の溶存気体量が1.0mL以上2.0mL以下であり、液体漂白剤組成物を充填後の収納容器の空隙体積(mL)/注出具の容積(mL)の体積比が1/1〜4/1であり、かつ、収納容器の上部断面積(cm)/中栓体の断面積(cm)の面積比が2.5/1〜3.5/1であることを特徴とする液体漂白剤物品。
【請求項2】
(A)成分の香料組成物を0.01〜1質量%含有し、(B)成分の非イオン界面活性剤がアルキレンオキシド付加型の非イオン界面活性剤であり、(B)成分を3〜50質量%含有する請求項1記載の液体漂白剤物品。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−111868(P2012−111868A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−262674(P2010−262674)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】