液体現像剤、及びこれを用いた表示装置の製造方法
【課題】トナー層を高解像度、高精度で形成し得る液体現像剤を得る。
【解決手段】熱可塑性樹脂微粒子被覆された核粒子表面に、電荷制御剤としてV族金属有機酸塩を含有するトナー粒子を含むことを特徴とする液体現像剤であって、V族金属有機酸塩に含まれる金属成分は、バナジウム、ニオブ、及びタンタルからなる群から選択される1種であり、有機塩成分は、オクチル酸、ナフテン酸、ネオデカン酸、オレイン酸、ラウリン酸及びステアリン酸等の炭素数6ないし30である有機酸であり、前記熱可塑性樹脂微粒子は0.1ないし5μmの平均粒径を有する。
【解決手段】熱可塑性樹脂微粒子被覆された核粒子表面に、電荷制御剤としてV族金属有機酸塩を含有するトナー粒子を含むことを特徴とする液体現像剤であって、V族金属有機酸塩に含まれる金属成分は、バナジウム、ニオブ、及びタンタルからなる群から選択される1種であり、有機塩成分は、オクチル酸、ナフテン酸、ネオデカン酸、オレイン酸、ラウリン酸及びステアリン酸等の炭素数6ないし30である有機酸であり、前記熱可塑性樹脂微粒子は0.1ないし5μmの平均粒径を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばプラズマディスプレイ、及びフィールド・エミッション・ディスプレイ等の表示装置の製造方法、それに使用される液体現像剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基材の表面に微細なパターンを形成する技術として、フォトリソグラフィー技術が中心的な役割を果たしてきた。しかしながら、このフォトリソグラフィー技術は、その解像度やパフォーマンスをますます高まる反面、巨大で高額な製造設備を必要とし、製造コストも解像度に応じて高くなりつつある。
【0003】
一方、半導体デバイスはもとより、画像表示装置などの製造分野においては、性能の改良とともに低価格化の要求が高まっている。しかしながら、上記フォトリソグラフィー技術では、このような要求を十分に満足できなくなってきている。
【0004】
このような状況下で、デジタル印刷技術を用いたパターン形成技術が注目されている。例えばインクジェット技術は、装置の簡便さや非接触パターニングといった特徴を生かしたパターニング技術として実用化され始めている。しかしながら、高解像度化や高生産性には限界があった。
【0005】
これに対し、液体トナーを用いた、電子写真技術等を含む電気泳動技術は、低価格、高解像度化、及び高生産性に関して、優れた可能性を有している。例えば、このような電気泳動技術を用いて、フラットパネルディスプレイ用の前面基板の蛍光体層を形成する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この方法では、蛍光体トナー用樹脂成分として、絶縁性溶媒に不溶又は膨潤する核部分と、絶縁性溶媒に膨潤又は溶解する外縁部分とからなる樹脂を使用している。
【0006】
しかしながら、トナー粒子製造時に樹脂を完全に十分に溶解し得る良溶媒を使用する必要がある。このため、絶縁性溶媒以外の揮発性有機溶媒を使用しなければならない上に、SP値をコントロールした樹脂を設計しなければならず、本来のトナー特性である帯電性や、粘着性、凝集性などをコントロールすることが困難であり、材料選定の幅が非常に制限されていた。
【特許文献1】特開平9−202995号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、トナー層を高解像度、高精度で、容易に形成し得る液体現像剤、及びこの液体現像剤を用いた画像表示装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の液体現像剤は、電気絶縁性溶媒と、
該電気絶縁性溶媒中に包含された、核粒子、該核粒子表面に設けられた熱可塑性樹脂微粒子被覆層、及び該熱可塑性樹脂微粒子被覆された核粒子表面に電荷制御剤として添加されたV族金属有機酸塩を含有するトナー粒子とを含むことを特徴とする。
【0009】
透明基板上に、複数の枠状またはストライプ状のパターンを有する遮光層を形成する工程と、
本発明の表示装置の製造方法は、電気絶縁性溶媒と、該電気絶縁性溶媒中に包含された、核粒子、該核粒子表面に設けられた熱可塑性樹脂微粒子被覆層、及び該熱可塑性樹脂微粒子被覆された核粒子表面に電荷制御剤として添加されたV族金属有機酸塩を含有するトナー粒子とを含む液体現像剤を、供給部材を介して像保持体の表面に供給し、該供給部材と像保持体との間に電界を形成して該像保持体表面に、ドット状またはストライプ状のパターン像を形成する現像工程と、
液体現像剤によるパターン像が形成された前記像保持体を、定位置に保持された、遮光層を有する透明基板に沿って転動させる転動工程と、
転動する前記像保持体と前記透明基板との間に電界を形成し、前記像保持体表面上のパターン像を前記透明基板へ転写し、該遮光層で区画された該基板上の各領域に、蛍光体層を形成する転写工程と、該蛍光体層上にメタルバック層を形成する工程とを含む前面基板の形成プロセスを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明を用いると、パターニング精度が向上し、トナー層を、高解像度、高精度で形成し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の液体現像剤は、電気絶縁性溶媒とトナー粒子とを含む。
【0012】
このトナー粒子は、核粒子と、該核粒子上に熱可塑性樹脂微粒子を被覆させた被覆層と、被覆層が設けられた核粒子上に添加されたV族金属の有機酸金属塩とを含む。
【0013】
図1に、本発明にかかる液体現像剤中のトナー粒子の構成を表す模式的な断面図を示す。
【0014】
図示するように、このトナー粒子60は、核粒子61と、核粒子61上に付着された樹脂微粒子63による被覆層が形成されている。
【0015】
ここで、被覆層は、トナー粒子表面の少なくとも一部を覆っているものとする。
【0016】
トナー粒子表面には、電荷制御剤として、図示しないV族金属の有機酸金属塩が添加されている。
【0017】
トナー粒子表面に添加された電荷制御剤は、この表面に吸着したり、あるいは表面の官能基に対して酸・塩基的な配位をとり得る。
【0018】
また、液体現像剤において、熱可塑性樹脂微粒子被覆層表面に添加されて、吸着あるいは配位されているのは、電気絶縁性溶媒中に存在する電荷制御剤及びこの有機化合物の少なくとも一部である。残部の電荷制御剤及びこの有機化合物は、熱可塑性樹脂微粒子被覆層表面に作用することなく、電気絶縁性溶媒中に存在し得る。
【0019】
本発明の液体現像剤は、帯電制御剤としてV族金属の有機酸金属塩を含むことにより、適度な導電性を有する。これにより、電気泳動を行った後、短時間で電流値が0に近くなり、電圧をかけ続けても、定常電流がほとんど流れない。このため、液体現像剤中に残留する電荷制御剤が移動することがなく、液体現像剤中に電荷制御剤の移動による対流が発生しないので、電着されたトナー層のパターニングに乱れが生じることがない。
【0020】
このように、本発明の液体現像剤は、パターニング精度が良好である。このため、本発明を用いると、トナー層を高解像度、高精度で形成することができる。
【0021】
本発明の液体現像剤を用いると平面型画像表示装置の蛍光体層やカラーフィルタ層を高解像度、高精度で形成できる。蛍光体層を形成する場合、核粒子として蛍光体を使用することができる。また、カラーフィルタを形成する場合には、核粒子として、無機顔料の着色剤等を使用することができる。
【0022】
液体現像剤100重量部に対し、トナー粒子と絶縁性溶媒の重量比は、2:98ないし50:50であることが好ましい。
【0023】
重量比が上記範囲外であると、所定の膜厚を得るために大量の溶媒を必要となったり、膜形成されるべきパターン以外にもトナー粒子が付着し、汚染の原因となったりする傾向がある。
【0024】
また、核粒子に対し、電荷制御剤はトナー粒子に対し1重量部ないし50重量部であることが好ましい。
【0025】
熱可塑性樹脂微粒子の添加量は、核粒子に対し5体積%ないし200体積%であることが好ましい。
【0026】
熱可塑性樹脂微粒子の添加量が、核粒子に対し5体積%未満であると、付着する熱可塑性樹脂の量が少なすぎるため核粒子が露出する確立が高くなり、電荷制御剤の吸着性及びそれによるトナー粒子の帯電性をコントロールすることが困難になる傾向がある。また、200体積%を超えると核粒子に対して熱可塑性樹脂が付着しきれなくなり、溶液中に遊離・凝集する傾向がある。この場合では電荷制御剤等を添加してトナー粒子に電荷を与えようとしても遊離した熱可塑性樹脂に吸着して、トナー粒子の帯電特性を阻害する傾向がある。これらの問題を加味し、さらに好ましくは熱可塑性樹脂微粒子の添加量は、核粒子に対して体積比率で10体積%以上150体積%以下である。
【0027】
また、V族金属有機酸塩がトナー粒子に対し1重量部未満であると、トナー電荷量が不十分なため電着膜が流れたり、膜形成されるべき部分以外にもトナー粒子が付着し汚染の原因となったりする傾向がある。また、50重量部を超えると、現像液中のイオン成分量が過剰となり現像液全体の抵抗が低くなりすぎるためトナー粒子の電気泳動性が低下する傾向がある。
【0028】
核粒子は、好ましくは、0.01μmないし10μmの平均粒径を有する。
【0029】
0.01μm未満であると、核粒子の分子間凝集が大きくなり、均一な分散が難しくなる傾向がある。このように平均粒径が小さく分散性の悪い核粒子(例えば数nmの平均粒径を持つ微小顔料粒子などは)を用いる場合には、より大きな平均粒径を持つ樹脂などに担持させることができる。これにより、分散性を改善し適用することができる。また、10μmを超えると、核粒子を均一に攪拌することが困難となり、結果的に均一な樹脂層を形成することが困難となる傾向がある。
【0030】
核粒子としては、例えば蛍光体粒子、無機顔料等の着色剤等があげられる。
【0031】
本発明に使用可能な蛍光体としては、Y2O3:Eu:YVO4:Eu、(Y,Gd)BO3:Eu、Y2O2S:Eu、γ−Zn3(PO4)2:Mn、(ZnCd)S:Ag+InO(以上赤色)、Zn2GeO2:Mn、BaAl12O19:Mn、Zn2SiO4:Mn、LaPO4:Tb、ZnS:(Cu,Al)、ZnS:(Au,Cu,Al)、(ZnCd)S:(Cu,Al)、Zn2SiO4:(Mn,As)、Y3Al5O12:Ce、Gd2O2S:Tb、Y3Al5O12:Tb、ZnO:Zn(以上緑色)、Sr5(PO4)3CI:Eu、BaMgAl14O23:Eu、BaMgAl16O27:Eu、ZnS:Ag+赤色顔料、Y2SiO3:Ce(以上青色)等が挙げられる。
【0032】
本発明に使用可能な無機顔料の例としては、黄土色等の天然顔料、黄鉛、ジンクイエロー、バリウムイエロー、クロムオレンジ、モリブデンレッド、クロムグリーン等のクロム酸塩、紺青等のフェロシアン化合物、酸化チタン、チタンイエロー、チタン白、ベンガラ、黄色酸化鉄、酸化亜鉛、亜鉛フェライト、亜鉛華、鉄黒、コバルトブルー、酸化クロム、スピネルグリーン等の酸化物、カドミウムイエロー、カドミウムオレンジ、カドミウムレッド等の硫化物、硫酸バリウム等の硫酸塩、珪酸カルシウム、群青等の珪酸塩、ブロンズ、アルミニウム等の金属粉等が挙げられる。
【0033】
本発明の電荷制御剤として添加しているV族金属の有機酸金属塩は、例えばオクチル酸バナジウム、オクチル酸ニオブ、オクチル酸タンタル、ナフテン酸バナジウム、ナフテン酸ニオブ、ナフテン酸タンタル、オレイン酸バナジウム、オレイン酸ニオブ、オレイン酸タンタル等が挙げられる。
【0034】
本発明の液体現像剤に用いられる電気絶縁性溶媒は、好ましくは70〜250℃の温度範囲に沸点を有し、109Ω・cm以上好ましくは1010ないし1017Ω・cmの体積比抵抗と3未満の誘電率を有する。
【0035】
このような電気絶縁性溶媒として、例えばn−ペンタン,ヘキサン,ヘプタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン,シクロヘキサン等脂環族炭化水素,塩素化されたアルカン,フッ素化されたアルカン,クロロフルオロカーボン等のハロゲン化された炭化水素溶媒,シリコンオイル類及びこれら混合物等を使用することが出来る。好ましくは、Exxon Corporation製 アイソパーG(登録商標),アイソパーH(登録商標),アイソパーK(登録商標),アイソパーL(登録商標),アイソパーM(登録商標)及びアイソパーV(登録商標)などの分枝型パラフィン溶媒混合物を使用することが出来る。
【0036】
また本発明の液体現像剤に用いられる熱可塑性樹脂微粒子は、例えば懸濁従合法や乳化重合法に代表される重合方法を用いて製造され得る。
【0037】
熱可塑性樹脂微粒子は、好ましくは0.1μm〜5μmの平均粒子径を有する。
【0038】
このような熱可塑性樹脂微粒子として、例えば乾燥された1次平均粒子径0.1μm〜5μm程度の粉末として得られるアクリル系微粒子などが利用できる。また微粒子状でなくとも、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ナイロン系樹脂等の熱可塑性樹脂を顆粒状、あるいはペレット状にしたもの、または微粉砕機などにより物理的に粉砕したものを使用することが出来る。
【0039】
また、サンドグラインダなどのビーズミルや、ボールミルなどによって絶縁性溶媒中で微粒子化した後に使用することも出来る。
【0040】
核粒子上に熱可塑性樹脂微粒子を設けるには、例えば核粒子及び熱可塑性樹脂微粒子を含む分散系を熱可塑性樹脂微粒子の軟化点以上温度で加熱撹拌する方法等があげられる。しかしながら、この核粒子として、親水性を有する蛍光体を使用すると、疎水性を有する熱可塑性樹脂微粒子を適用しても付着しにくい。このような場合には、核粒子を予めシランカップリング剤で表面処理し、このシランカップリング処理層が核粒子と熱可塑性樹脂微粒子とを親和させて、結合剤のように機能し、熱可塑性樹脂微粒子が核粒子上に付着させるか、もしくはワックス等を熱可塑性樹脂微粒子と一緒に核粒子に析出させることで該核粒子表面に熱可塑性樹脂微粒子を付着させることができる。
【0041】
核粒子に均一な表面処理を行うシランカップリング剤の水溶液もしくは水−アルコール溶液、pH4程度の酢酸水溶液の濃度は0.01重量%ないし5重量%であることが好ましい。
【0042】
0.01重量%未満であると、核粒子表面に十分なシランカップリング処理が行えず、熱可塑性樹脂微粒子の付着が不十分となる傾向があり、5重量%を超えると、シランカップリング剤が溶媒に溶解しきれないため、かえってシランカップリング処理にムラが発生してしまったり、凝集してしまう傾向がある。
【0043】
本発明にかかる平面型画像表示装置の製造方法は、前面基板を形成するプロセスを含む。
【0044】
この前面基板の形成プロセスは、
透明基板上に、格子状またはストライプのパターンを有する遮光層を形成する工程と、
本発明にかかる液体現像剤を、供給部材を介して像保持体の表面に供給し、供給部材と像保持体との間に電界を形成して像保持体表面に、ドットまたはストライプ状のパターン像を形成する現像工程と、
パターン像が形成された像保持体を、定位置に保持された、遮光層を有する透明基板に沿って転動させる転動工程と、
転動する像保持体と透明基板との間に電界を形成し、像保持体表面上のパターン像を透明基板へ転写し、遮光層で区画された透明基板上の各領域に、蛍光体層を形成する転写工程と、該蛍光体層上にメタルバック層を形成する工程とを含む。
【0045】
この方法では、液体現像剤の組成及び濃度等を調整することにより、得られる表示装置の蛍光体層やカラーフィルタ層の膜厚を制御できる。
【0046】
また、本発明の一実施態様においては、像保持体は、その表面にパターン像を形成するためのパターン状の電極層を有し得る。電極層の形状を変えることで、任意の形状に蛍光体層やカラーフィルタ層を簡便にかつ低コストにパターニングすることができる。
【0047】
次に、図2ないし図11を用いて、本発明に用いられる前面基板の形成プロセスの一例を説明する。
【0048】
図2は、前面基板の形成プロセスに使用されるパターン形成装置の一例を表す外観図を示す。
【0049】
図2に示すように、このパターン形成装置10は、図中時計回り方向(矢印R方向)に回転するドラム素管(後述する)の周面に巻かれた原版1(像保持体)、この原版1の後述する高抵抗層に電荷を与えて帯電させる帯電器2、原版1に各色(r:赤、g:緑、b:青)の液体現像剤を供給して現像する複数の現像装置3r、3g、3b(以下、総称して現像装置3と称する場合もある)、現像によって原版1に付着した液体現像剤の溶媒成分をエアブローによって気化して乾燥させる乾燥器4(乾燥装置)、原版1に付着した現像剤粒子を転写してパターンを形成する被転写媒体となる透明基板としてのガラス板5を定位置で保持するステージ6(保持機構)、転写に先立ってガラス板5の表面に高抵抗もしくは絶縁性の溶媒を塗布する塗布装置7(濡らし装置)、転写を終えた原版1をクリーニングするクリーナ8、および原版1の電荷を除去する除電器9を有する。
【0050】
各色の現像装置3r、3g、3bに収納される液体現像剤は、絶縁性溶媒中に帯電したトナー粒子が含まれたもので、この微粒子が電界で電気泳動することによって現像が行われる。このトナー粒子は、核粒子と、核粒子上に熱可塑性樹脂微粒子を被覆させた被覆層と、被覆層上に添加された電荷制御剤とを有し、その粒径は1ないし10μmである。核粒子としては、例えば平均粒径4(μm)程度の各色の蛍光体粒子、樹脂粒子の内部に各色の顔料微粒子を内包する構成、もしくは樹脂粒子の表面に各色の顔料微粒子を担持する構成などが実施可能である。
【0051】
また、r、g、bの液体現像剤のうち少なくとも1つは、電気絶縁性溶媒と、電気絶縁性溶媒中に包含された、ZnS系蛍光体からなる核粒子、核粒子表面に設けられた熱可塑性樹脂微粒子の被覆層、及び該熱可塑性樹脂微粒子被覆された核粒子表面に電荷制御剤として添加されたV族金属有機酸塩を少なくとも1種含む金属化合物を含有するトナー粒子を含む。
【0052】
図3(a)に平面図を示すように、原版1は、矩形の薄板状に形成されている。この原版1は、図3(b)に断面図を示すように、厚さ0.05(mm)ないし0.4(mm)、より好ましくは厚さ0.1(mm)ないし0.2(mm)の矩形の金属フィルム12の表面に高抵抗層13を形成して構成されている。金属フィルム12は可撓性を有し、アルミニウム、ステンレス、チタン、アンバーなどの素材で構成可能であるほかに、ポリイミドやPETなどの表面に金属を蒸着したものなどでも良いが、転写パターンを高い位置精度で形成するためには、熱膨張や応力による伸びなどが生じにくい素材で構成することが望ましい。また、高抵抗層13は、例えば、ポリイミド、アクリル、ポリエステル、ウレタン、エポキシ、テフロン(登録商標)、ナイロンなどの体積抵抗率が1010(Ωcm)以上の材料(絶縁体を含む)により形成され、その膜厚は、10(μm)〜40(μm)、より好ましくは20(μm)±5(μm)に形成されている。
【0053】
また、原版1の高抵抗層13の表面13aには、図4に部分的に拡大して示すような矩形の凹部14aを多数整列配置したドット状のパターン14が形成されている。本実施の形態では、例えば平面型画像表示装置の前面基板に形成する蛍光体スクリーンを製造する凹版として、1色分の画素に相当する凹部14aだけを高抵抗層13の表面13aから凹ませて形成し、図4中に破線で示す他の2色分の領域14bには凹部を形成しないでスペースだけを確保してある。
【0054】
図5には、1つの凹部14aを拡大した原版1の断面図を示してある。本実施の形態では、凹部14aの底には金属フィルム12の表面12aが露出しており、この金属フィルム12の露出した表面12aがこの発明のパターン状の電極層として機能する。凹部14aの深さは、高抵抗層13の層厚に概ね相当する。凹部14aの底に露出した金属フィルム12の表面12a、および高抵抗層13の表面13aを含む原版1の表面全体に、厚さ0.5(μm)ないし3(μm)程度の表面離型層をコーティングすれば、転写特性が向上しより好ましい特性が得られる。
【0055】
図6には、上記構造のフィルム状の原版1をドラム素管31に巻きつける様子を描いた概略断面図を示してある。ドラム素管31の図中上部の切り込み部31aには、原版1の一端を固定するクランプ32と他端を固定するクランプ33が設けられている。原版1をドラム素管31の周面上に巻き付ける場合、まず、原版1の一端をクランプ32に固定し、その後、原版1を架張しつつその他端34をクランプ33で固定する。これにより、たるみ無く原版1をドラム素管31周面の規定位置に巻き付けることができる。
【0056】
図7は、このようにしてドラム素管31に巻きつけられた原版1の高抵抗層13の表面13aを帯電器4によって帯電する工程を説明するための部分構成図である。帯電器4は、周知のコロナ帯電器であり、コロナワイヤー42とシールドケース43で基本的に構成されているが、メッシュ状のグリッド44を設けることで帯電の均一性を向上できる。例えば、原版1の金属フィルム12とシールドケース43を接地し、コロナワイヤー42に不図示の電源装置によって+5.5(kV)の電圧を印加し、更にグリッド44に+500(V)の電圧を印加して原版1を図中矢印R方向に移動させると、高抵抗層13の表面13aは略+500(V)に均一に帯電される。
【0057】
同図に示した除電器9は、帯電器4とほぼ同様の構造であるが、コロナワイヤー46に例えば実効電圧6(kV)、周波数50(Hz)の交流電圧を印加すべく不図示の交流電源に接続し、シールドケース47とグリッド48を設置すると、帯電器4による帯電に先立って原版1の高抵抗層13の表面13aを略0(V)となるよう除電することが可能で、高抵抗層13の繰り返し帯電特性を安定化させることができる。
【0058】
図8には、上記のように帯電された原版1に対する現像動作を説明するための図を示してある。現像時には、現像する色の現像器3を原板1に対向させて、その現像ローラ51(供給部材)とスクイズローラ52を原版1に近接させ、原版1に上述した液体現像剤を供給する。現像ローラ51は、搬送される原版1の高抵抗層13の表面13aに対して100〜150(μm)程度のギャップを介してその周面が対向する位置に配置され、原版1の回転方向と同じ方向(図中反時計回り方向)に1.5倍ないし4倍程度の速度で回転する。
【0059】
不図示の供給系によって現像ローラ51周面に供給される液体現像剤53は、絶縁性液体としての溶媒54に現像剤粒子としての帯電したトナー粒子55を分散させて構成されており、現像ローラ51の回転に伴って原版1の周面に供給される。ここで、現像ローラ51に図示しない電源装置によって例えば+250(V)の電圧を印加すると、正に帯電しているトナー粒子55は、接地電位の金属フィルム12に向かって溶媒54中を泳動し、原版1の凹部14a内に集められる。このとき、高抵抗層13の表面13aは、+500(V)程度に帯電されているので正帯電したトナー粒子55は表面13aから反発されて付着しない。
【0060】
このようにして原版1の凹部14a内にトナー粒子55が集められた後、トナー粒子55の濃度が薄くなった液体現像剤53が引き続いてスクイズローラ52と原版1が対向するギャップに進入する。ここでは、ギャップ(絶縁層13表面13aとスクイズローラ52表面の間の距離)が30(μm)ないし50(μm)、スクイズローラの電位が+250(V)で、スクイズローラ52は原版1とは逆向きに原版1の速度の3倍から5倍程度の速度で移動するように設定されているため、現像をさらに促進しつつ、同時に原版1に付着している溶媒56の一部を絞り取る効果を奏する。このようにして、原版1の凹部14aにトナーによるパターン57が形成される。
【0061】
ところで、ガラス板5上に3色の蛍光体のパターンを形成する場合、図9に示すように、まず、青色蛍光体粒子を含む液体現像剤を収納する現像器3bが原版1の直下に移動し、ここで図示しない昇降機構によって現像器3bが上昇して原版1に近接させる。この状態で、原板1が矢印R方向に回転して凹部14aによるパターンが現像される。青色パターンの現像が終了すると、現像器3bが下降して原版1から離間する。
【0062】
この青色現像プロセスの間に、図示しない搬送装置によって予め搬送されてステージ6上に保持されているガラス板5のステージ6から離間した表面に沿って塗布装置7が図中の破線矢印T1方向に移動し、ガラス板5の表面に溶媒(絶縁性液体)が塗布される。この溶媒の役割と材料組成については後述する。
【0063】
しかる後に、青色のパターンを周面に担持した原版1が回転しつつ図中の破線矢印に沿って移動(この動作を転動と称する)し、青色のパターン像がガラス板5の表面に転写される。転写の詳細についても後述する。青パターンの転写を終えた原版1は図中左方に平行移動し、現像時の初期位置に戻る。このとき、ガラス板5を保持したステージ6が下降して初期位置に戻る原版1との接触が避けられる。
【0064】
次に、3色の現像器3r、3g、3bが図中左方に移動し、緑色の現像器3gが原版1の直下に位置するところで停止し、青色の現像のときと同様にして現像器3gの上昇、現像、下降が行われる。引き続いて、上記と同様の操作で緑パターンが原版1からガラス板5の表面に転写される。このとき、緑色のパターンのガラス板5表面上の転写位置は、上述した青色のパターンから1色分ずらされることは言うまでもない。
【0065】
そして、上記の動作を赤色の現像についても繰り返し、ガラス板5の表面上に3色パターンを並べて転写して3色のパターン像をガラス板5の表面に形成する。このように、ガラス板5を定位置に保持して固定し、原版1をガラス板5に対して移動させることで、ガラス板5の往復移動が不要になり、大きな移動スペースの確保や装置の大型化を抑制できる。
【0066】
図10には、上述した原版1をガラス板5に沿って転動させるための転動機構の要部の構造を示してある。原版1を周面上に巻き付けたドラム素管31の軸方向両端には、ピニオンと呼ばれる歯車71が取り付けられている。原版1は、この歯車71とモーター72の駆動歯車73のかみ合わせによって回転するとともに、ステージ6の両端に設置されている直線軌道のラック74とピニオン(歯車71)の噛み合わせによって図中右方向に並進する。このとき、ステージ6上に保持されたガラス板5の表面と原版1の表面との間に相対的なズレを生じることのないように、転動機構の各部の構造が設計されている。特許請求の範囲では、このように回転しながらガラス板5に沿って平行に移動する動作を転動と称している。
【0067】
このようなラック・アンド・ピニオン機構によれば、駆動伝達用のアイドラが無いため、バックラッシュの無い高精度の回転・並進駆動を実現でき、ガラス板5上に例えば±5(μm)といった位置精度の高い高精細パターンを転写することが可能となる。
【0068】
一方、ガラス板5(図10では図示していない)は、図9に示すように、ステージ6の平らな接触面6aに対して、その裏面5b(原版1から離間した側の面)の略全面を面接させるようにステージ6上に配置される。その上、ガラス板5には、ステージ6を貫通して接触面6aまで延びた吸気口76に、接続パイプ75から主パイプ77を経由して不図示の真空ポンプを接続することによって、吸気口76の接触面6aに開口した図示しない吸着孔を介して負圧が作用され、ステージ6の接触面6a上に吸着される。この吸着機構によって、ガラス板5は、高い平面度を持った接触面6aにその裏面5bの略全面を押圧させて密着され、平面性が高い状態でステージ6上に保持される。このように平らな接触面6aにガラス板5を押し付けることにより、ガラス板5の歪み等をも矯正でき、後述する原版1との間の転写ギャップを高精度に維持できる。
【0069】
図11は、原版1からガラス板5にトナー粒子55を転写する際の様子を説明する要部断面図である。図示しない遮光層を有するガラス板5の表面5aには、例えば導電性高分子などで構成される導電層81が塗布されており、この導電層81の表面81aと原版1の高抵抗層13の表面13aとは、ギャップd2を介して非接触状態に設置される。d2は例えば10(μm)ないし40(μm)の範囲の値に設定される。高抵抗層13の厚さが例えば20(μm)の場合は、金属フィルム12と導電層81表面81aとの間の距離は、30(μm)ないし60(μm)となる。
【0070】
この状態で、電源装置82(転写装置)を介して導電層81に例えばー500(V)の電圧を印加すると、接地電位の金属フィルム12との間に500(V)の電位差が形成され、その電界によってトナー粒子55が溶媒54中を電気泳動して導電層81の表面81aに転写される。このように、トナー粒子55は非接触状態でも転写が可能なので、オフセット印刷やフレキソ印刷の場合のように、ブランケットやフレキソ版といった弾性体を介在させる必要がなく、常に位置精度の高い転写を実現することが可能となる。導電層81は、トナー粒子55の転写後、ガラス板5を図示しないベーク炉へ投入して焼成することで消失させる。このようにして、本発明にかかる表示装置の前面基板が得られる。
【0071】
なお、上記のように、電界を用いてトナー粒子をガラス板5に転写する場合、転写ギャップに溶媒が存在してガラス板5側の導電層81と原版1との間を濡らすことが必須条件となるため、転写に先立ってガラス板5の表面5aを溶媒でプリウェットしておくことが有効である。プリウェット溶媒としては絶縁性もしくは高抵抗であれば良いが、液体現像剤に用いられている溶媒と同一の溶媒、もしくはこれに帯電制御剤などが添加されたものであればなお好適である。プリウェット溶媒は、図9を用いて説明したように、塗布装置7によって適切なタイミングで適当な塗布量でガラス板5の表面5a上に塗布される。
【0072】
以上のように、上述した実施の形態によると、定位置に配置したガラス板5に対して原版1を転動させて現像したトナー粒子55をガラス板5の表面5aに転写するようにしたため、原版1を転動させる転動機構の構成を小型化でき、装置の設置スペースを小さくできる。また、上述した実施の形態によると、非接触状態で対向配置した原版1からガラス板5へ電界を用いてトナー粒子55を転写するようにしたため、従来のようにフレキソ版を用いた転写方式と比較して、転写像の解像度を高めることができ、高精細なパターンを形成できる。
【0073】
また、上述した実施の形態では、原版1の凹部14aに集めた(現像した)トナー粒子55を乾燥器4からのエアブローによって一旦適度に乾燥させた後、ガラス板5の表面5aを溶媒によって濡らして(プリウェットして)トナー粒子55を転写するようにしたため、ガラス板5の表面5aに転写されるトナー像の形状を安定させることができ、パターンの輪郭を鮮明にできる。
【0074】
図12にこのようにして得られた前面基板を模式的に表す断面図を示す。
【0075】
図12に示すように、得られた前面基板111は、透明基板5とその上にドット状に設けられた蛍光体層116と、蛍光体層116の周囲に格子状に設けられた遮光層117とを有する。
【0076】
図13は、本発明に係る表示装置としてのFEDの一例を表す斜視図を示す。
【0077】
また、図14には、そのA−A’断面図を示す。
【0078】
図13および図14に示すように、このFEDは、絶縁基板としてそれぞれ矩形状のガラス板からなる前面基板111、および背面基板112を備え、これらの基板は1〜2mmの隙間を置いて対向配置されている。そして、前面基板111および背面基板112は、矩形枠状の側壁113を介して周縁部同士が接合され、内部が真空状態に維持された扁平な矩形状の真空外囲器110を構成している。
【0079】
真空外囲器110の内部には、前面基板111および背面基板112に加わる大気圧荷重を支えるため、複数のスペーサ114が設けられている。スペーサ114としては、板状あるいは柱状のスペーサ等を用いることができる。
【0080】
前面基板111の内面上には、画像表示面として、赤、緑、青の蛍光体層116とマトリクス状の遮光層117とを有した蛍光面115が形成されている。これらの蛍光体層116はストライプ状あるいはドット状に形成してもよい。この蛍光面115上には、アルミニウム膜等からなるメタルバック120が形成されている。さらに真空外囲器110の内部圧力を下げるためにゲッタ膜121を形成し、内部の不要ガスを吸着している。ゲッタ粉末に接着効果のある材料を混ぜて接着している。
【0081】
背面基板112の内面上には、蛍光面115の蛍光体層116を励起する電子源として、それぞれ電子ビームを放出する多数の表面伝導型の電子放出素子118が設けられている。これらの電子放出素子118は、画素毎に対応して複数列および複数行に配列されている。各電子放出素子118は、図示しない電子放出部、この電子放出部に電圧を印加する一対の素子電極等で構成されている。また、背面基板112の内面には、電子放出素子118に電位を供給する多数本の配線121がマトリクス状に設けられ、その端部は真空外囲器110の外部に引出されている。
【0082】
このようなFEDでは、画像を表示する場合、蛍光面115およびメタルバック120にアノード電圧を印加して、電子放出素子118から放出された電子ビームをアノード電圧により加速して蛍光面へ衝突させる。これにより、蛍光面115の蛍光体層116が励起されて発光し、カラー画像を表示する。
【0083】
実施例
図15に、本発明に使用し得る実験装置の一例を表す概略図を示す。
【0084】
図示するように、この実験装置は、上下に分離可能な三つ口のセパラブルフラスコ30と、中央の口に差し込まれた撹拌羽根を有する攪拌機136、攪拌機136を回転駆動させ、かつ中央の口を封止する防爆モータ132、中央の口の両側の口の一方に設けられ、ジムロート還流冷却器131、他の一方の口からセパラブルフラスコ130内部まで差し込まれた熱電対133、熱電対133に接続されたリレー温調ユニット134、及びリレー温調ユニット134に接続されたマントルヒータ135を有する。
【0085】
この実験装置では、セパラブルフラスコ130の内容物を撹拌機136を用いて撹拌しながら、熱電対133で常に温度を計測し、計測された温度を基にリレー温調ユニット134にてマントルヒータ35の加熱を制御し、内容物の温度を常に一定に保つことができる。内容物からの溶媒蒸気は、ジムロート還流冷却器131により冷却、凝縮させて再び下部の容器内に戻され、これにより、セパラブルフラスコ130内圧力の過度な上昇を防ぐことができる。
【0086】
実施例1
1000mlビーカーに信越化学社製シランカップリング剤(KBM−603)水溶液を700g作成し、ZnS:Cu,Al系緑色発光蛍光体粒子(平均粒子径5.6μm、比重4.1)を50gを投入し、2時間攪拌した。その後、濾過して乾燥炉で120℃、3時間乾燥させることによりシランカップリング処理を行った後、篩にかけた。
【0087】
次に、500mlセパラブルフラスコに、沸点範囲が191〜205℃のエクソン化学社製 絶縁性炭化水素溶媒(アイソパーL)を180gを注ぎ、さらに比重1.0である綜研化学株式会社製 アクリル微粒子(MP4009)2gとシランカップリング処理を行ったZnS:Cu,Al系緑色発光蛍光体粒子18gを投入し、温度コントローラとしてリレー温調ユニットを100℃にセットして、攪拌機により加熱攪拌を行った。溶液温度が100℃の状態で2時間攪拌を続け、その後1.5時間かけて室温(25℃)まで冷却しながら攪拌を続けた。
【0088】
このようにして得られた固形分濃度10重量%の蛍光体粒子分散体に対し、帯電制御剤として、日本化学産業製 オクチル酸ニオブを2g添加し、緑色発光蛍光体含有液体現像剤を得た。
【0089】
また、比較として、電荷制御剤としてのオクチル酸ニオブの代わりにナフテン酸ジルコニウムを同じモル量添加したサンプルも作製した。
【0090】
図16に、電気泳動の電流値を測定するための装置の概要を示す。
【0091】
図示するように、この装置90には、シールド99内に設置された一対のITO透明電極基板91,92、一方のITO透明電極基板92に接続された配線に設けられたスイッチ93、スイッチ93を介して設けられた電源94、もう一方のITO透明電極基板91に接続された増幅器97,及び増幅器97に接続されたオシロスコープ96を有し、電源94及びオシロスコープ96には、さらに例えばパーソナルコンピュータ等のCPU15が接続され、電源94の制御及びオシロスコープ96の制御を行っている。2枚のITO透明電極基板91,92は、図示しないテフロン製スペーサを介して対向配置され、サンドイッチセルを構成している。
【0092】
また、使用されるテフロン製スペーサは、例えば一辺が40mmの正方形で、中央に30mm角の正方形の開孔が設けられ、その一辺から、開孔に通じる2つのパスを形成するようにスペーサの一部が除去されている。2つのパスの一方は、空気抜き穴として、もう一方は、液体現像剤の注入路として使用することができる。
【0093】
上記装置を用い、サンドイッチセル内に液体現像剤98を注入し、スイッチ93を入れて、直流電圧400Vを5秒間印加し、液体現像剤98中のトナー粒子89をITO透明電極基板91側に電気泳動させた後、スイッチを切った。また、このとき、オシロスコープ96にて電気泳動の電流値を測定し、得られた測定データに基づいてCPU95にてデータ処理を行い、電気泳動電流波形を求めた。
【0094】
得られた液体現像剤に関する電気泳動電流波形を表すグラフを図17に示す。
【0095】
図中、グラフ161は、電荷制御剤としてオクチル酸ニオブ、グラフ162は電荷制御剤としてナフテン酸ジルコニウムを用いた場合のグラフを、各々示す。
【0096】
グラフ161に示すように、オクチル酸ニオブを用いた液体現像剤では電圧を印加して約0.01秒後には電流値がピークを示し、ある程度急激に低下した。ここで、トナー粒子がITO透明電極基板上に電着されていることがわかる。その後、電流値は徐々に減少し、0.1秒後には、ほぼ0μAまで低下し、定常電流が流れなかった。
【0097】
このことから、これらの現像剤はすべて正極性に帯電しており、逆極性に帯電しているものは無いことが分かった。
【0098】
また、その後、サンドイッチセルを分解し、ITO透明電極基板11表面上に得られた電着膜の様子を観察した。いずれの場合もグランド側のITO電極91に均一な蛍光体電着膜が形成されており、正極側のITO電極92にはなにも付着していなかった。このときの負極側の電着膜の厚みは平均で11μmであり、十分な厚さの電着膜が形成されていることがわかった。
【0099】
また、蛍光体電着膜の電子線励起での輝度を測定したところ、スクリーン印刷で形成した蛍光膜と同程度となった。
【0100】
一方、グラフ162に示すように、ナフテン酸ジルコニウムを用いた液体現像剤では電圧を印加して0.1秒以内に電流値がピークを示し、その後ある程度急激に低下した。ここで、トナー粒子がITO透明電極基板11上に電着されていることがわかる。その後、、電流値は徐々に減少し、0.3秒後には、約0.33μA程度まで低下して定常電流となった。
【0101】
図17に示した電流波形から、ナフテン酸ジルコニウムとオクチル酸ニオブのそれぞれを電荷制御剤として用いた液体現像剤を比較すると、オクチル酸ニオブを電荷制御剤として用いた液体現像剤では定常電流が流れない。
【0102】
パターン精度評価
上記実施例1で得られた緑色発光蛍光体含有液体現像剤を、図2と同様の構成を有する現像装置に3gに収容し、幅147μm×長さ247μmの大きさのドットを多数整列配置したパターンを有する10mm×100mmの大きさを有する原版を適用して、現像、乾燥、及び転写を行うことにより、10mm×10mmの大きさを有する透明基板上に緑色発光蛍光体層を形成した。
【0103】
得られた各蛍光体層から無作為に30箇所選択し、その幅を計測し、標準偏差を測定した。
【0104】
その結果、横幅平均149.87μm、標準偏差1.43という結果が得られた。
【0105】
同様に作製した電荷制御剤をオクチル酸ニオブからナフテン酸ジルコニウムに代えたサンプルでは、横幅平均151.72μm、標準偏差1.66という結果が得られた。
【0106】
これにより、本発明に係る液体現像剤を用いた方がパターニング精度が向上したことがわかった。
【0107】
これは、オクチル酸ニオブを電荷制御剤として用いた液体現像剤では、定常電流が流れず、溶媒の対流等の流体的な運動が少ないためと考えられる。溶媒の対流等の流体的な運動は、電着後のドット形状の乱れの一因になると考えられ、定常電流が流れないオクチル酸ニオブを用いると、横幅の平均値が所望の大きさに近づき、標準偏差も小さくなると考えられる。
【0108】
実施例2
帯電制御剤をオクチル酸タンタル2gに変更すること以外は実施例1と同様にして、緑色発光蛍光体含有液体現像剤を得た。
【0109】
また、比較として、電荷制御剤としてオクチル酸ニオブの代わりにナフテン酸Zrを同じモル量添加したサンプルも作製した。
【0110】
得られた緑色発光蛍光体含有液体現像剤を用いて、電気泳動の電流値を測定した。
【0111】
このことから、これらの現像剤はすべて正極性に帯電しており、逆極性に帯電しているものは無いことが分かった。
【0112】
その後、サンドイッチセルを分解し、ITO透明電極基板11表面上に得られた電着膜の様子を観察した。いずれの場合もグランド側のITO電極91に均一な蛍光体電着膜が形成されており、正極側のITO電極92にはなにも付着していなかった。このときの負極側の電着膜の厚みは平均で11μmであり、十分な厚さの電着膜が形成されていることがわかった。
【0113】
蛍光体電着膜の電子線励起での輝度を測定したところ、スクリーン印刷で形成した蛍光膜と同程度となった。
【0114】
図18に、電着実験時の電流波形を示す。
【0115】
図中、171は、電荷制御剤として、オクチル酸ニオブを用いた場合、172はナフテン酸ジルコニウムを用いた場合のグラフを示す。
【0116】
図18に示した電流波形から、ナフテン酸ジルコニウムとオクチル酸ニオブのそれぞれを電荷制御剤として用いた液体現像剤を比較すると、オクチル酸ニオブを電荷制御剤として用いた液体現像剤では定常電流が流れない。これはトナー粒子の移動を伴う電流のみ流れ、バルクを通して電流が流れないことを意味している。
【0117】
上記緑色発光蛍光体含有液体現像剤を、実施例1と同様にして現像装置に適用し、緑色発光蛍光体層を形成した。
【0118】
得られた各蛍光体層について、実施例1と同様にして、その幅を計測し、標準偏差を測定した。
【0119】
その結果、オクチル酸タンタルを用いた液体現像剤については、横幅平均150.35μm、標準偏差1.53という結果が得られた。
【0120】
一方、ナフテン酸ジルコニウムを用いた液体現像剤については、横幅平均151.72μm、標準偏差1.66という結果が得られた。
【0121】
これにより、本発明に係る液体現像剤を用いた方がパターニング精度が向上したことがわかった。
【0122】
オクチル酸タンタルを電荷制御剤として用いた液体現像剤では、定常電流が流れないため、溶媒の対流等の流体的な運動が少ないと考えられる。溶媒の対流等の流体的な運動は、電着後のドット形状の乱れの一因になると考えられ、定常電流が流れないオクチル酸タンタルを用いると、横幅の平均値が所望の大きさに近づき、標準偏差も小さくなると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】本発明にかかる液体現像剤中のトナー粒子の構成を表す模式的な断面図
【図2】前面基板の形成プロセスに使用されるパターン形成装置の一例を表す外観図
【図3】図2のパターン形成装置で使用する原版を示す平面図(a)、および断面図(b)
【図4】図3の原版を部分的に拡大して示す部分拡大平面図
【図5】図3の原版の1つの凹部の構造を説明するための部分拡大斜視図
【図6】図3の原版をドラム素管に巻き付けた状態を示す概略図
【図7】図3の原版の高抵抗層の表面を帯電させるための構成を示す概略図
【図8】図3の原版に液体現像剤を供給してトナー粒子によるパターンを形成するための構成を示す概略図
【図9】図3の原版に形成したパターンをガラス板に転写するための構成を示す概略図
【図10】図3の原版をガラス板に沿って転動させるための転動機構の要部の構成を示す概略図
【図11】原版の凹部に集めたトナー粒子をガラス板に転写する動作を説明するための動作説明図
【図12】本発明にかかる前面基板の一例を模式的に表す断面図
【図13】本発明に係る表示装置としてのFEDの一例を表す斜視図
【図14】図13のA−A’断面図
【図15】本発明に使用し得る実験装置の一例を表す概略図
【図16】電気泳動の電流値を測定するための装置の概要を表す概略図
【図17】本発明の液体現像剤に関する電気泳動電流波形を表すグラフ
【図18】本発明の液体現像剤に関する電気泳動電流波形を表すグラフ
【符号の説明】
【0124】
1…原版、3r、3g、3b…現像装置、4…乾燥器、5…ガラス板、6…ステージ、7…塗布装置、10…パターン形成装置、12…金属フィルム、13…高抵抗層、14a…凹部、61…核粒子、62…被覆層、63…熱可塑性樹脂微粒子、60…トナー粒子、131…ジムロート還流冷却器、132…防爆モータ、133…熱電対、134…リレー温調ユニット、135…マントルヒータ、136…攪拌機、110…真空外囲器、111…前面基板、112…背面基板、113…側壁、115…蛍光面、116…蛍光体層、117…遮光層、118…電子放出素子、120…メタルバック、121…ゲッタ層、211,212…ITO電極、213…スペーサ、214…注入路、215…空気抜き穴
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばプラズマディスプレイ、及びフィールド・エミッション・ディスプレイ等の表示装置の製造方法、それに使用される液体現像剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基材の表面に微細なパターンを形成する技術として、フォトリソグラフィー技術が中心的な役割を果たしてきた。しかしながら、このフォトリソグラフィー技術は、その解像度やパフォーマンスをますます高まる反面、巨大で高額な製造設備を必要とし、製造コストも解像度に応じて高くなりつつある。
【0003】
一方、半導体デバイスはもとより、画像表示装置などの製造分野においては、性能の改良とともに低価格化の要求が高まっている。しかしながら、上記フォトリソグラフィー技術では、このような要求を十分に満足できなくなってきている。
【0004】
このような状況下で、デジタル印刷技術を用いたパターン形成技術が注目されている。例えばインクジェット技術は、装置の簡便さや非接触パターニングといった特徴を生かしたパターニング技術として実用化され始めている。しかしながら、高解像度化や高生産性には限界があった。
【0005】
これに対し、液体トナーを用いた、電子写真技術等を含む電気泳動技術は、低価格、高解像度化、及び高生産性に関して、優れた可能性を有している。例えば、このような電気泳動技術を用いて、フラットパネルディスプレイ用の前面基板の蛍光体層を形成する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この方法では、蛍光体トナー用樹脂成分として、絶縁性溶媒に不溶又は膨潤する核部分と、絶縁性溶媒に膨潤又は溶解する外縁部分とからなる樹脂を使用している。
【0006】
しかしながら、トナー粒子製造時に樹脂を完全に十分に溶解し得る良溶媒を使用する必要がある。このため、絶縁性溶媒以外の揮発性有機溶媒を使用しなければならない上に、SP値をコントロールした樹脂を設計しなければならず、本来のトナー特性である帯電性や、粘着性、凝集性などをコントロールすることが困難であり、材料選定の幅が非常に制限されていた。
【特許文献1】特開平9−202995号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、トナー層を高解像度、高精度で、容易に形成し得る液体現像剤、及びこの液体現像剤を用いた画像表示装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の液体現像剤は、電気絶縁性溶媒と、
該電気絶縁性溶媒中に包含された、核粒子、該核粒子表面に設けられた熱可塑性樹脂微粒子被覆層、及び該熱可塑性樹脂微粒子被覆された核粒子表面に電荷制御剤として添加されたV族金属有機酸塩を含有するトナー粒子とを含むことを特徴とする。
【0009】
透明基板上に、複数の枠状またはストライプ状のパターンを有する遮光層を形成する工程と、
本発明の表示装置の製造方法は、電気絶縁性溶媒と、該電気絶縁性溶媒中に包含された、核粒子、該核粒子表面に設けられた熱可塑性樹脂微粒子被覆層、及び該熱可塑性樹脂微粒子被覆された核粒子表面に電荷制御剤として添加されたV族金属有機酸塩を含有するトナー粒子とを含む液体現像剤を、供給部材を介して像保持体の表面に供給し、該供給部材と像保持体との間に電界を形成して該像保持体表面に、ドット状またはストライプ状のパターン像を形成する現像工程と、
液体現像剤によるパターン像が形成された前記像保持体を、定位置に保持された、遮光層を有する透明基板に沿って転動させる転動工程と、
転動する前記像保持体と前記透明基板との間に電界を形成し、前記像保持体表面上のパターン像を前記透明基板へ転写し、該遮光層で区画された該基板上の各領域に、蛍光体層を形成する転写工程と、該蛍光体層上にメタルバック層を形成する工程とを含む前面基板の形成プロセスを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明を用いると、パターニング精度が向上し、トナー層を、高解像度、高精度で形成し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の液体現像剤は、電気絶縁性溶媒とトナー粒子とを含む。
【0012】
このトナー粒子は、核粒子と、該核粒子上に熱可塑性樹脂微粒子を被覆させた被覆層と、被覆層が設けられた核粒子上に添加されたV族金属の有機酸金属塩とを含む。
【0013】
図1に、本発明にかかる液体現像剤中のトナー粒子の構成を表す模式的な断面図を示す。
【0014】
図示するように、このトナー粒子60は、核粒子61と、核粒子61上に付着された樹脂微粒子63による被覆層が形成されている。
【0015】
ここで、被覆層は、トナー粒子表面の少なくとも一部を覆っているものとする。
【0016】
トナー粒子表面には、電荷制御剤として、図示しないV族金属の有機酸金属塩が添加されている。
【0017】
トナー粒子表面に添加された電荷制御剤は、この表面に吸着したり、あるいは表面の官能基に対して酸・塩基的な配位をとり得る。
【0018】
また、液体現像剤において、熱可塑性樹脂微粒子被覆層表面に添加されて、吸着あるいは配位されているのは、電気絶縁性溶媒中に存在する電荷制御剤及びこの有機化合物の少なくとも一部である。残部の電荷制御剤及びこの有機化合物は、熱可塑性樹脂微粒子被覆層表面に作用することなく、電気絶縁性溶媒中に存在し得る。
【0019】
本発明の液体現像剤は、帯電制御剤としてV族金属の有機酸金属塩を含むことにより、適度な導電性を有する。これにより、電気泳動を行った後、短時間で電流値が0に近くなり、電圧をかけ続けても、定常電流がほとんど流れない。このため、液体現像剤中に残留する電荷制御剤が移動することがなく、液体現像剤中に電荷制御剤の移動による対流が発生しないので、電着されたトナー層のパターニングに乱れが生じることがない。
【0020】
このように、本発明の液体現像剤は、パターニング精度が良好である。このため、本発明を用いると、トナー層を高解像度、高精度で形成することができる。
【0021】
本発明の液体現像剤を用いると平面型画像表示装置の蛍光体層やカラーフィルタ層を高解像度、高精度で形成できる。蛍光体層を形成する場合、核粒子として蛍光体を使用することができる。また、カラーフィルタを形成する場合には、核粒子として、無機顔料の着色剤等を使用することができる。
【0022】
液体現像剤100重量部に対し、トナー粒子と絶縁性溶媒の重量比は、2:98ないし50:50であることが好ましい。
【0023】
重量比が上記範囲外であると、所定の膜厚を得るために大量の溶媒を必要となったり、膜形成されるべきパターン以外にもトナー粒子が付着し、汚染の原因となったりする傾向がある。
【0024】
また、核粒子に対し、電荷制御剤はトナー粒子に対し1重量部ないし50重量部であることが好ましい。
【0025】
熱可塑性樹脂微粒子の添加量は、核粒子に対し5体積%ないし200体積%であることが好ましい。
【0026】
熱可塑性樹脂微粒子の添加量が、核粒子に対し5体積%未満であると、付着する熱可塑性樹脂の量が少なすぎるため核粒子が露出する確立が高くなり、電荷制御剤の吸着性及びそれによるトナー粒子の帯電性をコントロールすることが困難になる傾向がある。また、200体積%を超えると核粒子に対して熱可塑性樹脂が付着しきれなくなり、溶液中に遊離・凝集する傾向がある。この場合では電荷制御剤等を添加してトナー粒子に電荷を与えようとしても遊離した熱可塑性樹脂に吸着して、トナー粒子の帯電特性を阻害する傾向がある。これらの問題を加味し、さらに好ましくは熱可塑性樹脂微粒子の添加量は、核粒子に対して体積比率で10体積%以上150体積%以下である。
【0027】
また、V族金属有機酸塩がトナー粒子に対し1重量部未満であると、トナー電荷量が不十分なため電着膜が流れたり、膜形成されるべき部分以外にもトナー粒子が付着し汚染の原因となったりする傾向がある。また、50重量部を超えると、現像液中のイオン成分量が過剰となり現像液全体の抵抗が低くなりすぎるためトナー粒子の電気泳動性が低下する傾向がある。
【0028】
核粒子は、好ましくは、0.01μmないし10μmの平均粒径を有する。
【0029】
0.01μm未満であると、核粒子の分子間凝集が大きくなり、均一な分散が難しくなる傾向がある。このように平均粒径が小さく分散性の悪い核粒子(例えば数nmの平均粒径を持つ微小顔料粒子などは)を用いる場合には、より大きな平均粒径を持つ樹脂などに担持させることができる。これにより、分散性を改善し適用することができる。また、10μmを超えると、核粒子を均一に攪拌することが困難となり、結果的に均一な樹脂層を形成することが困難となる傾向がある。
【0030】
核粒子としては、例えば蛍光体粒子、無機顔料等の着色剤等があげられる。
【0031】
本発明に使用可能な蛍光体としては、Y2O3:Eu:YVO4:Eu、(Y,Gd)BO3:Eu、Y2O2S:Eu、γ−Zn3(PO4)2:Mn、(ZnCd)S:Ag+InO(以上赤色)、Zn2GeO2:Mn、BaAl12O19:Mn、Zn2SiO4:Mn、LaPO4:Tb、ZnS:(Cu,Al)、ZnS:(Au,Cu,Al)、(ZnCd)S:(Cu,Al)、Zn2SiO4:(Mn,As)、Y3Al5O12:Ce、Gd2O2S:Tb、Y3Al5O12:Tb、ZnO:Zn(以上緑色)、Sr5(PO4)3CI:Eu、BaMgAl14O23:Eu、BaMgAl16O27:Eu、ZnS:Ag+赤色顔料、Y2SiO3:Ce(以上青色)等が挙げられる。
【0032】
本発明に使用可能な無機顔料の例としては、黄土色等の天然顔料、黄鉛、ジンクイエロー、バリウムイエロー、クロムオレンジ、モリブデンレッド、クロムグリーン等のクロム酸塩、紺青等のフェロシアン化合物、酸化チタン、チタンイエロー、チタン白、ベンガラ、黄色酸化鉄、酸化亜鉛、亜鉛フェライト、亜鉛華、鉄黒、コバルトブルー、酸化クロム、スピネルグリーン等の酸化物、カドミウムイエロー、カドミウムオレンジ、カドミウムレッド等の硫化物、硫酸バリウム等の硫酸塩、珪酸カルシウム、群青等の珪酸塩、ブロンズ、アルミニウム等の金属粉等が挙げられる。
【0033】
本発明の電荷制御剤として添加しているV族金属の有機酸金属塩は、例えばオクチル酸バナジウム、オクチル酸ニオブ、オクチル酸タンタル、ナフテン酸バナジウム、ナフテン酸ニオブ、ナフテン酸タンタル、オレイン酸バナジウム、オレイン酸ニオブ、オレイン酸タンタル等が挙げられる。
【0034】
本発明の液体現像剤に用いられる電気絶縁性溶媒は、好ましくは70〜250℃の温度範囲に沸点を有し、109Ω・cm以上好ましくは1010ないし1017Ω・cmの体積比抵抗と3未満の誘電率を有する。
【0035】
このような電気絶縁性溶媒として、例えばn−ペンタン,ヘキサン,ヘプタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン,シクロヘキサン等脂環族炭化水素,塩素化されたアルカン,フッ素化されたアルカン,クロロフルオロカーボン等のハロゲン化された炭化水素溶媒,シリコンオイル類及びこれら混合物等を使用することが出来る。好ましくは、Exxon Corporation製 アイソパーG(登録商標),アイソパーH(登録商標),アイソパーK(登録商標),アイソパーL(登録商標),アイソパーM(登録商標)及びアイソパーV(登録商標)などの分枝型パラフィン溶媒混合物を使用することが出来る。
【0036】
また本発明の液体現像剤に用いられる熱可塑性樹脂微粒子は、例えば懸濁従合法や乳化重合法に代表される重合方法を用いて製造され得る。
【0037】
熱可塑性樹脂微粒子は、好ましくは0.1μm〜5μmの平均粒子径を有する。
【0038】
このような熱可塑性樹脂微粒子として、例えば乾燥された1次平均粒子径0.1μm〜5μm程度の粉末として得られるアクリル系微粒子などが利用できる。また微粒子状でなくとも、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ナイロン系樹脂等の熱可塑性樹脂を顆粒状、あるいはペレット状にしたもの、または微粉砕機などにより物理的に粉砕したものを使用することが出来る。
【0039】
また、サンドグラインダなどのビーズミルや、ボールミルなどによって絶縁性溶媒中で微粒子化した後に使用することも出来る。
【0040】
核粒子上に熱可塑性樹脂微粒子を設けるには、例えば核粒子及び熱可塑性樹脂微粒子を含む分散系を熱可塑性樹脂微粒子の軟化点以上温度で加熱撹拌する方法等があげられる。しかしながら、この核粒子として、親水性を有する蛍光体を使用すると、疎水性を有する熱可塑性樹脂微粒子を適用しても付着しにくい。このような場合には、核粒子を予めシランカップリング剤で表面処理し、このシランカップリング処理層が核粒子と熱可塑性樹脂微粒子とを親和させて、結合剤のように機能し、熱可塑性樹脂微粒子が核粒子上に付着させるか、もしくはワックス等を熱可塑性樹脂微粒子と一緒に核粒子に析出させることで該核粒子表面に熱可塑性樹脂微粒子を付着させることができる。
【0041】
核粒子に均一な表面処理を行うシランカップリング剤の水溶液もしくは水−アルコール溶液、pH4程度の酢酸水溶液の濃度は0.01重量%ないし5重量%であることが好ましい。
【0042】
0.01重量%未満であると、核粒子表面に十分なシランカップリング処理が行えず、熱可塑性樹脂微粒子の付着が不十分となる傾向があり、5重量%を超えると、シランカップリング剤が溶媒に溶解しきれないため、かえってシランカップリング処理にムラが発生してしまったり、凝集してしまう傾向がある。
【0043】
本発明にかかる平面型画像表示装置の製造方法は、前面基板を形成するプロセスを含む。
【0044】
この前面基板の形成プロセスは、
透明基板上に、格子状またはストライプのパターンを有する遮光層を形成する工程と、
本発明にかかる液体現像剤を、供給部材を介して像保持体の表面に供給し、供給部材と像保持体との間に電界を形成して像保持体表面に、ドットまたはストライプ状のパターン像を形成する現像工程と、
パターン像が形成された像保持体を、定位置に保持された、遮光層を有する透明基板に沿って転動させる転動工程と、
転動する像保持体と透明基板との間に電界を形成し、像保持体表面上のパターン像を透明基板へ転写し、遮光層で区画された透明基板上の各領域に、蛍光体層を形成する転写工程と、該蛍光体層上にメタルバック層を形成する工程とを含む。
【0045】
この方法では、液体現像剤の組成及び濃度等を調整することにより、得られる表示装置の蛍光体層やカラーフィルタ層の膜厚を制御できる。
【0046】
また、本発明の一実施態様においては、像保持体は、その表面にパターン像を形成するためのパターン状の電極層を有し得る。電極層の形状を変えることで、任意の形状に蛍光体層やカラーフィルタ層を簡便にかつ低コストにパターニングすることができる。
【0047】
次に、図2ないし図11を用いて、本発明に用いられる前面基板の形成プロセスの一例を説明する。
【0048】
図2は、前面基板の形成プロセスに使用されるパターン形成装置の一例を表す外観図を示す。
【0049】
図2に示すように、このパターン形成装置10は、図中時計回り方向(矢印R方向)に回転するドラム素管(後述する)の周面に巻かれた原版1(像保持体)、この原版1の後述する高抵抗層に電荷を与えて帯電させる帯電器2、原版1に各色(r:赤、g:緑、b:青)の液体現像剤を供給して現像する複数の現像装置3r、3g、3b(以下、総称して現像装置3と称する場合もある)、現像によって原版1に付着した液体現像剤の溶媒成分をエアブローによって気化して乾燥させる乾燥器4(乾燥装置)、原版1に付着した現像剤粒子を転写してパターンを形成する被転写媒体となる透明基板としてのガラス板5を定位置で保持するステージ6(保持機構)、転写に先立ってガラス板5の表面に高抵抗もしくは絶縁性の溶媒を塗布する塗布装置7(濡らし装置)、転写を終えた原版1をクリーニングするクリーナ8、および原版1の電荷を除去する除電器9を有する。
【0050】
各色の現像装置3r、3g、3bに収納される液体現像剤は、絶縁性溶媒中に帯電したトナー粒子が含まれたもので、この微粒子が電界で電気泳動することによって現像が行われる。このトナー粒子は、核粒子と、核粒子上に熱可塑性樹脂微粒子を被覆させた被覆層と、被覆層上に添加された電荷制御剤とを有し、その粒径は1ないし10μmである。核粒子としては、例えば平均粒径4(μm)程度の各色の蛍光体粒子、樹脂粒子の内部に各色の顔料微粒子を内包する構成、もしくは樹脂粒子の表面に各色の顔料微粒子を担持する構成などが実施可能である。
【0051】
また、r、g、bの液体現像剤のうち少なくとも1つは、電気絶縁性溶媒と、電気絶縁性溶媒中に包含された、ZnS系蛍光体からなる核粒子、核粒子表面に設けられた熱可塑性樹脂微粒子の被覆層、及び該熱可塑性樹脂微粒子被覆された核粒子表面に電荷制御剤として添加されたV族金属有機酸塩を少なくとも1種含む金属化合物を含有するトナー粒子を含む。
【0052】
図3(a)に平面図を示すように、原版1は、矩形の薄板状に形成されている。この原版1は、図3(b)に断面図を示すように、厚さ0.05(mm)ないし0.4(mm)、より好ましくは厚さ0.1(mm)ないし0.2(mm)の矩形の金属フィルム12の表面に高抵抗層13を形成して構成されている。金属フィルム12は可撓性を有し、アルミニウム、ステンレス、チタン、アンバーなどの素材で構成可能であるほかに、ポリイミドやPETなどの表面に金属を蒸着したものなどでも良いが、転写パターンを高い位置精度で形成するためには、熱膨張や応力による伸びなどが生じにくい素材で構成することが望ましい。また、高抵抗層13は、例えば、ポリイミド、アクリル、ポリエステル、ウレタン、エポキシ、テフロン(登録商標)、ナイロンなどの体積抵抗率が1010(Ωcm)以上の材料(絶縁体を含む)により形成され、その膜厚は、10(μm)〜40(μm)、より好ましくは20(μm)±5(μm)に形成されている。
【0053】
また、原版1の高抵抗層13の表面13aには、図4に部分的に拡大して示すような矩形の凹部14aを多数整列配置したドット状のパターン14が形成されている。本実施の形態では、例えば平面型画像表示装置の前面基板に形成する蛍光体スクリーンを製造する凹版として、1色分の画素に相当する凹部14aだけを高抵抗層13の表面13aから凹ませて形成し、図4中に破線で示す他の2色分の領域14bには凹部を形成しないでスペースだけを確保してある。
【0054】
図5には、1つの凹部14aを拡大した原版1の断面図を示してある。本実施の形態では、凹部14aの底には金属フィルム12の表面12aが露出しており、この金属フィルム12の露出した表面12aがこの発明のパターン状の電極層として機能する。凹部14aの深さは、高抵抗層13の層厚に概ね相当する。凹部14aの底に露出した金属フィルム12の表面12a、および高抵抗層13の表面13aを含む原版1の表面全体に、厚さ0.5(μm)ないし3(μm)程度の表面離型層をコーティングすれば、転写特性が向上しより好ましい特性が得られる。
【0055】
図6には、上記構造のフィルム状の原版1をドラム素管31に巻きつける様子を描いた概略断面図を示してある。ドラム素管31の図中上部の切り込み部31aには、原版1の一端を固定するクランプ32と他端を固定するクランプ33が設けられている。原版1をドラム素管31の周面上に巻き付ける場合、まず、原版1の一端をクランプ32に固定し、その後、原版1を架張しつつその他端34をクランプ33で固定する。これにより、たるみ無く原版1をドラム素管31周面の規定位置に巻き付けることができる。
【0056】
図7は、このようにしてドラム素管31に巻きつけられた原版1の高抵抗層13の表面13aを帯電器4によって帯電する工程を説明するための部分構成図である。帯電器4は、周知のコロナ帯電器であり、コロナワイヤー42とシールドケース43で基本的に構成されているが、メッシュ状のグリッド44を設けることで帯電の均一性を向上できる。例えば、原版1の金属フィルム12とシールドケース43を接地し、コロナワイヤー42に不図示の電源装置によって+5.5(kV)の電圧を印加し、更にグリッド44に+500(V)の電圧を印加して原版1を図中矢印R方向に移動させると、高抵抗層13の表面13aは略+500(V)に均一に帯電される。
【0057】
同図に示した除電器9は、帯電器4とほぼ同様の構造であるが、コロナワイヤー46に例えば実効電圧6(kV)、周波数50(Hz)の交流電圧を印加すべく不図示の交流電源に接続し、シールドケース47とグリッド48を設置すると、帯電器4による帯電に先立って原版1の高抵抗層13の表面13aを略0(V)となるよう除電することが可能で、高抵抗層13の繰り返し帯電特性を安定化させることができる。
【0058】
図8には、上記のように帯電された原版1に対する現像動作を説明するための図を示してある。現像時には、現像する色の現像器3を原板1に対向させて、その現像ローラ51(供給部材)とスクイズローラ52を原版1に近接させ、原版1に上述した液体現像剤を供給する。現像ローラ51は、搬送される原版1の高抵抗層13の表面13aに対して100〜150(μm)程度のギャップを介してその周面が対向する位置に配置され、原版1の回転方向と同じ方向(図中反時計回り方向)に1.5倍ないし4倍程度の速度で回転する。
【0059】
不図示の供給系によって現像ローラ51周面に供給される液体現像剤53は、絶縁性液体としての溶媒54に現像剤粒子としての帯電したトナー粒子55を分散させて構成されており、現像ローラ51の回転に伴って原版1の周面に供給される。ここで、現像ローラ51に図示しない電源装置によって例えば+250(V)の電圧を印加すると、正に帯電しているトナー粒子55は、接地電位の金属フィルム12に向かって溶媒54中を泳動し、原版1の凹部14a内に集められる。このとき、高抵抗層13の表面13aは、+500(V)程度に帯電されているので正帯電したトナー粒子55は表面13aから反発されて付着しない。
【0060】
このようにして原版1の凹部14a内にトナー粒子55が集められた後、トナー粒子55の濃度が薄くなった液体現像剤53が引き続いてスクイズローラ52と原版1が対向するギャップに進入する。ここでは、ギャップ(絶縁層13表面13aとスクイズローラ52表面の間の距離)が30(μm)ないし50(μm)、スクイズローラの電位が+250(V)で、スクイズローラ52は原版1とは逆向きに原版1の速度の3倍から5倍程度の速度で移動するように設定されているため、現像をさらに促進しつつ、同時に原版1に付着している溶媒56の一部を絞り取る効果を奏する。このようにして、原版1の凹部14aにトナーによるパターン57が形成される。
【0061】
ところで、ガラス板5上に3色の蛍光体のパターンを形成する場合、図9に示すように、まず、青色蛍光体粒子を含む液体現像剤を収納する現像器3bが原版1の直下に移動し、ここで図示しない昇降機構によって現像器3bが上昇して原版1に近接させる。この状態で、原板1が矢印R方向に回転して凹部14aによるパターンが現像される。青色パターンの現像が終了すると、現像器3bが下降して原版1から離間する。
【0062】
この青色現像プロセスの間に、図示しない搬送装置によって予め搬送されてステージ6上に保持されているガラス板5のステージ6から離間した表面に沿って塗布装置7が図中の破線矢印T1方向に移動し、ガラス板5の表面に溶媒(絶縁性液体)が塗布される。この溶媒の役割と材料組成については後述する。
【0063】
しかる後に、青色のパターンを周面に担持した原版1が回転しつつ図中の破線矢印に沿って移動(この動作を転動と称する)し、青色のパターン像がガラス板5の表面に転写される。転写の詳細についても後述する。青パターンの転写を終えた原版1は図中左方に平行移動し、現像時の初期位置に戻る。このとき、ガラス板5を保持したステージ6が下降して初期位置に戻る原版1との接触が避けられる。
【0064】
次に、3色の現像器3r、3g、3bが図中左方に移動し、緑色の現像器3gが原版1の直下に位置するところで停止し、青色の現像のときと同様にして現像器3gの上昇、現像、下降が行われる。引き続いて、上記と同様の操作で緑パターンが原版1からガラス板5の表面に転写される。このとき、緑色のパターンのガラス板5表面上の転写位置は、上述した青色のパターンから1色分ずらされることは言うまでもない。
【0065】
そして、上記の動作を赤色の現像についても繰り返し、ガラス板5の表面上に3色パターンを並べて転写して3色のパターン像をガラス板5の表面に形成する。このように、ガラス板5を定位置に保持して固定し、原版1をガラス板5に対して移動させることで、ガラス板5の往復移動が不要になり、大きな移動スペースの確保や装置の大型化を抑制できる。
【0066】
図10には、上述した原版1をガラス板5に沿って転動させるための転動機構の要部の構造を示してある。原版1を周面上に巻き付けたドラム素管31の軸方向両端には、ピニオンと呼ばれる歯車71が取り付けられている。原版1は、この歯車71とモーター72の駆動歯車73のかみ合わせによって回転するとともに、ステージ6の両端に設置されている直線軌道のラック74とピニオン(歯車71)の噛み合わせによって図中右方向に並進する。このとき、ステージ6上に保持されたガラス板5の表面と原版1の表面との間に相対的なズレを生じることのないように、転動機構の各部の構造が設計されている。特許請求の範囲では、このように回転しながらガラス板5に沿って平行に移動する動作を転動と称している。
【0067】
このようなラック・アンド・ピニオン機構によれば、駆動伝達用のアイドラが無いため、バックラッシュの無い高精度の回転・並進駆動を実現でき、ガラス板5上に例えば±5(μm)といった位置精度の高い高精細パターンを転写することが可能となる。
【0068】
一方、ガラス板5(図10では図示していない)は、図9に示すように、ステージ6の平らな接触面6aに対して、その裏面5b(原版1から離間した側の面)の略全面を面接させるようにステージ6上に配置される。その上、ガラス板5には、ステージ6を貫通して接触面6aまで延びた吸気口76に、接続パイプ75から主パイプ77を経由して不図示の真空ポンプを接続することによって、吸気口76の接触面6aに開口した図示しない吸着孔を介して負圧が作用され、ステージ6の接触面6a上に吸着される。この吸着機構によって、ガラス板5は、高い平面度を持った接触面6aにその裏面5bの略全面を押圧させて密着され、平面性が高い状態でステージ6上に保持される。このように平らな接触面6aにガラス板5を押し付けることにより、ガラス板5の歪み等をも矯正でき、後述する原版1との間の転写ギャップを高精度に維持できる。
【0069】
図11は、原版1からガラス板5にトナー粒子55を転写する際の様子を説明する要部断面図である。図示しない遮光層を有するガラス板5の表面5aには、例えば導電性高分子などで構成される導電層81が塗布されており、この導電層81の表面81aと原版1の高抵抗層13の表面13aとは、ギャップd2を介して非接触状態に設置される。d2は例えば10(μm)ないし40(μm)の範囲の値に設定される。高抵抗層13の厚さが例えば20(μm)の場合は、金属フィルム12と導電層81表面81aとの間の距離は、30(μm)ないし60(μm)となる。
【0070】
この状態で、電源装置82(転写装置)を介して導電層81に例えばー500(V)の電圧を印加すると、接地電位の金属フィルム12との間に500(V)の電位差が形成され、その電界によってトナー粒子55が溶媒54中を電気泳動して導電層81の表面81aに転写される。このように、トナー粒子55は非接触状態でも転写が可能なので、オフセット印刷やフレキソ印刷の場合のように、ブランケットやフレキソ版といった弾性体を介在させる必要がなく、常に位置精度の高い転写を実現することが可能となる。導電層81は、トナー粒子55の転写後、ガラス板5を図示しないベーク炉へ投入して焼成することで消失させる。このようにして、本発明にかかる表示装置の前面基板が得られる。
【0071】
なお、上記のように、電界を用いてトナー粒子をガラス板5に転写する場合、転写ギャップに溶媒が存在してガラス板5側の導電層81と原版1との間を濡らすことが必須条件となるため、転写に先立ってガラス板5の表面5aを溶媒でプリウェットしておくことが有効である。プリウェット溶媒としては絶縁性もしくは高抵抗であれば良いが、液体現像剤に用いられている溶媒と同一の溶媒、もしくはこれに帯電制御剤などが添加されたものであればなお好適である。プリウェット溶媒は、図9を用いて説明したように、塗布装置7によって適切なタイミングで適当な塗布量でガラス板5の表面5a上に塗布される。
【0072】
以上のように、上述した実施の形態によると、定位置に配置したガラス板5に対して原版1を転動させて現像したトナー粒子55をガラス板5の表面5aに転写するようにしたため、原版1を転動させる転動機構の構成を小型化でき、装置の設置スペースを小さくできる。また、上述した実施の形態によると、非接触状態で対向配置した原版1からガラス板5へ電界を用いてトナー粒子55を転写するようにしたため、従来のようにフレキソ版を用いた転写方式と比較して、転写像の解像度を高めることができ、高精細なパターンを形成できる。
【0073】
また、上述した実施の形態では、原版1の凹部14aに集めた(現像した)トナー粒子55を乾燥器4からのエアブローによって一旦適度に乾燥させた後、ガラス板5の表面5aを溶媒によって濡らして(プリウェットして)トナー粒子55を転写するようにしたため、ガラス板5の表面5aに転写されるトナー像の形状を安定させることができ、パターンの輪郭を鮮明にできる。
【0074】
図12にこのようにして得られた前面基板を模式的に表す断面図を示す。
【0075】
図12に示すように、得られた前面基板111は、透明基板5とその上にドット状に設けられた蛍光体層116と、蛍光体層116の周囲に格子状に設けられた遮光層117とを有する。
【0076】
図13は、本発明に係る表示装置としてのFEDの一例を表す斜視図を示す。
【0077】
また、図14には、そのA−A’断面図を示す。
【0078】
図13および図14に示すように、このFEDは、絶縁基板としてそれぞれ矩形状のガラス板からなる前面基板111、および背面基板112を備え、これらの基板は1〜2mmの隙間を置いて対向配置されている。そして、前面基板111および背面基板112は、矩形枠状の側壁113を介して周縁部同士が接合され、内部が真空状態に維持された扁平な矩形状の真空外囲器110を構成している。
【0079】
真空外囲器110の内部には、前面基板111および背面基板112に加わる大気圧荷重を支えるため、複数のスペーサ114が設けられている。スペーサ114としては、板状あるいは柱状のスペーサ等を用いることができる。
【0080】
前面基板111の内面上には、画像表示面として、赤、緑、青の蛍光体層116とマトリクス状の遮光層117とを有した蛍光面115が形成されている。これらの蛍光体層116はストライプ状あるいはドット状に形成してもよい。この蛍光面115上には、アルミニウム膜等からなるメタルバック120が形成されている。さらに真空外囲器110の内部圧力を下げるためにゲッタ膜121を形成し、内部の不要ガスを吸着している。ゲッタ粉末に接着効果のある材料を混ぜて接着している。
【0081】
背面基板112の内面上には、蛍光面115の蛍光体層116を励起する電子源として、それぞれ電子ビームを放出する多数の表面伝導型の電子放出素子118が設けられている。これらの電子放出素子118は、画素毎に対応して複数列および複数行に配列されている。各電子放出素子118は、図示しない電子放出部、この電子放出部に電圧を印加する一対の素子電極等で構成されている。また、背面基板112の内面には、電子放出素子118に電位を供給する多数本の配線121がマトリクス状に設けられ、その端部は真空外囲器110の外部に引出されている。
【0082】
このようなFEDでは、画像を表示する場合、蛍光面115およびメタルバック120にアノード電圧を印加して、電子放出素子118から放出された電子ビームをアノード電圧により加速して蛍光面へ衝突させる。これにより、蛍光面115の蛍光体層116が励起されて発光し、カラー画像を表示する。
【0083】
実施例
図15に、本発明に使用し得る実験装置の一例を表す概略図を示す。
【0084】
図示するように、この実験装置は、上下に分離可能な三つ口のセパラブルフラスコ30と、中央の口に差し込まれた撹拌羽根を有する攪拌機136、攪拌機136を回転駆動させ、かつ中央の口を封止する防爆モータ132、中央の口の両側の口の一方に設けられ、ジムロート還流冷却器131、他の一方の口からセパラブルフラスコ130内部まで差し込まれた熱電対133、熱電対133に接続されたリレー温調ユニット134、及びリレー温調ユニット134に接続されたマントルヒータ135を有する。
【0085】
この実験装置では、セパラブルフラスコ130の内容物を撹拌機136を用いて撹拌しながら、熱電対133で常に温度を計測し、計測された温度を基にリレー温調ユニット134にてマントルヒータ35の加熱を制御し、内容物の温度を常に一定に保つことができる。内容物からの溶媒蒸気は、ジムロート還流冷却器131により冷却、凝縮させて再び下部の容器内に戻され、これにより、セパラブルフラスコ130内圧力の過度な上昇を防ぐことができる。
【0086】
実施例1
1000mlビーカーに信越化学社製シランカップリング剤(KBM−603)水溶液を700g作成し、ZnS:Cu,Al系緑色発光蛍光体粒子(平均粒子径5.6μm、比重4.1)を50gを投入し、2時間攪拌した。その後、濾過して乾燥炉で120℃、3時間乾燥させることによりシランカップリング処理を行った後、篩にかけた。
【0087】
次に、500mlセパラブルフラスコに、沸点範囲が191〜205℃のエクソン化学社製 絶縁性炭化水素溶媒(アイソパーL)を180gを注ぎ、さらに比重1.0である綜研化学株式会社製 アクリル微粒子(MP4009)2gとシランカップリング処理を行ったZnS:Cu,Al系緑色発光蛍光体粒子18gを投入し、温度コントローラとしてリレー温調ユニットを100℃にセットして、攪拌機により加熱攪拌を行った。溶液温度が100℃の状態で2時間攪拌を続け、その後1.5時間かけて室温(25℃)まで冷却しながら攪拌を続けた。
【0088】
このようにして得られた固形分濃度10重量%の蛍光体粒子分散体に対し、帯電制御剤として、日本化学産業製 オクチル酸ニオブを2g添加し、緑色発光蛍光体含有液体現像剤を得た。
【0089】
また、比較として、電荷制御剤としてのオクチル酸ニオブの代わりにナフテン酸ジルコニウムを同じモル量添加したサンプルも作製した。
【0090】
図16に、電気泳動の電流値を測定するための装置の概要を示す。
【0091】
図示するように、この装置90には、シールド99内に設置された一対のITO透明電極基板91,92、一方のITO透明電極基板92に接続された配線に設けられたスイッチ93、スイッチ93を介して設けられた電源94、もう一方のITO透明電極基板91に接続された増幅器97,及び増幅器97に接続されたオシロスコープ96を有し、電源94及びオシロスコープ96には、さらに例えばパーソナルコンピュータ等のCPU15が接続され、電源94の制御及びオシロスコープ96の制御を行っている。2枚のITO透明電極基板91,92は、図示しないテフロン製スペーサを介して対向配置され、サンドイッチセルを構成している。
【0092】
また、使用されるテフロン製スペーサは、例えば一辺が40mmの正方形で、中央に30mm角の正方形の開孔が設けられ、その一辺から、開孔に通じる2つのパスを形成するようにスペーサの一部が除去されている。2つのパスの一方は、空気抜き穴として、もう一方は、液体現像剤の注入路として使用することができる。
【0093】
上記装置を用い、サンドイッチセル内に液体現像剤98を注入し、スイッチ93を入れて、直流電圧400Vを5秒間印加し、液体現像剤98中のトナー粒子89をITO透明電極基板91側に電気泳動させた後、スイッチを切った。また、このとき、オシロスコープ96にて電気泳動の電流値を測定し、得られた測定データに基づいてCPU95にてデータ処理を行い、電気泳動電流波形を求めた。
【0094】
得られた液体現像剤に関する電気泳動電流波形を表すグラフを図17に示す。
【0095】
図中、グラフ161は、電荷制御剤としてオクチル酸ニオブ、グラフ162は電荷制御剤としてナフテン酸ジルコニウムを用いた場合のグラフを、各々示す。
【0096】
グラフ161に示すように、オクチル酸ニオブを用いた液体現像剤では電圧を印加して約0.01秒後には電流値がピークを示し、ある程度急激に低下した。ここで、トナー粒子がITO透明電極基板上に電着されていることがわかる。その後、電流値は徐々に減少し、0.1秒後には、ほぼ0μAまで低下し、定常電流が流れなかった。
【0097】
このことから、これらの現像剤はすべて正極性に帯電しており、逆極性に帯電しているものは無いことが分かった。
【0098】
また、その後、サンドイッチセルを分解し、ITO透明電極基板11表面上に得られた電着膜の様子を観察した。いずれの場合もグランド側のITO電極91に均一な蛍光体電着膜が形成されており、正極側のITO電極92にはなにも付着していなかった。このときの負極側の電着膜の厚みは平均で11μmであり、十分な厚さの電着膜が形成されていることがわかった。
【0099】
また、蛍光体電着膜の電子線励起での輝度を測定したところ、スクリーン印刷で形成した蛍光膜と同程度となった。
【0100】
一方、グラフ162に示すように、ナフテン酸ジルコニウムを用いた液体現像剤では電圧を印加して0.1秒以内に電流値がピークを示し、その後ある程度急激に低下した。ここで、トナー粒子がITO透明電極基板11上に電着されていることがわかる。その後、、電流値は徐々に減少し、0.3秒後には、約0.33μA程度まで低下して定常電流となった。
【0101】
図17に示した電流波形から、ナフテン酸ジルコニウムとオクチル酸ニオブのそれぞれを電荷制御剤として用いた液体現像剤を比較すると、オクチル酸ニオブを電荷制御剤として用いた液体現像剤では定常電流が流れない。
【0102】
パターン精度評価
上記実施例1で得られた緑色発光蛍光体含有液体現像剤を、図2と同様の構成を有する現像装置に3gに収容し、幅147μm×長さ247μmの大きさのドットを多数整列配置したパターンを有する10mm×100mmの大きさを有する原版を適用して、現像、乾燥、及び転写を行うことにより、10mm×10mmの大きさを有する透明基板上に緑色発光蛍光体層を形成した。
【0103】
得られた各蛍光体層から無作為に30箇所選択し、その幅を計測し、標準偏差を測定した。
【0104】
その結果、横幅平均149.87μm、標準偏差1.43という結果が得られた。
【0105】
同様に作製した電荷制御剤をオクチル酸ニオブからナフテン酸ジルコニウムに代えたサンプルでは、横幅平均151.72μm、標準偏差1.66という結果が得られた。
【0106】
これにより、本発明に係る液体現像剤を用いた方がパターニング精度が向上したことがわかった。
【0107】
これは、オクチル酸ニオブを電荷制御剤として用いた液体現像剤では、定常電流が流れず、溶媒の対流等の流体的な運動が少ないためと考えられる。溶媒の対流等の流体的な運動は、電着後のドット形状の乱れの一因になると考えられ、定常電流が流れないオクチル酸ニオブを用いると、横幅の平均値が所望の大きさに近づき、標準偏差も小さくなると考えられる。
【0108】
実施例2
帯電制御剤をオクチル酸タンタル2gに変更すること以外は実施例1と同様にして、緑色発光蛍光体含有液体現像剤を得た。
【0109】
また、比較として、電荷制御剤としてオクチル酸ニオブの代わりにナフテン酸Zrを同じモル量添加したサンプルも作製した。
【0110】
得られた緑色発光蛍光体含有液体現像剤を用いて、電気泳動の電流値を測定した。
【0111】
このことから、これらの現像剤はすべて正極性に帯電しており、逆極性に帯電しているものは無いことが分かった。
【0112】
その後、サンドイッチセルを分解し、ITO透明電極基板11表面上に得られた電着膜の様子を観察した。いずれの場合もグランド側のITO電極91に均一な蛍光体電着膜が形成されており、正極側のITO電極92にはなにも付着していなかった。このときの負極側の電着膜の厚みは平均で11μmであり、十分な厚さの電着膜が形成されていることがわかった。
【0113】
蛍光体電着膜の電子線励起での輝度を測定したところ、スクリーン印刷で形成した蛍光膜と同程度となった。
【0114】
図18に、電着実験時の電流波形を示す。
【0115】
図中、171は、電荷制御剤として、オクチル酸ニオブを用いた場合、172はナフテン酸ジルコニウムを用いた場合のグラフを示す。
【0116】
図18に示した電流波形から、ナフテン酸ジルコニウムとオクチル酸ニオブのそれぞれを電荷制御剤として用いた液体現像剤を比較すると、オクチル酸ニオブを電荷制御剤として用いた液体現像剤では定常電流が流れない。これはトナー粒子の移動を伴う電流のみ流れ、バルクを通して電流が流れないことを意味している。
【0117】
上記緑色発光蛍光体含有液体現像剤を、実施例1と同様にして現像装置に適用し、緑色発光蛍光体層を形成した。
【0118】
得られた各蛍光体層について、実施例1と同様にして、その幅を計測し、標準偏差を測定した。
【0119】
その結果、オクチル酸タンタルを用いた液体現像剤については、横幅平均150.35μm、標準偏差1.53という結果が得られた。
【0120】
一方、ナフテン酸ジルコニウムを用いた液体現像剤については、横幅平均151.72μm、標準偏差1.66という結果が得られた。
【0121】
これにより、本発明に係る液体現像剤を用いた方がパターニング精度が向上したことがわかった。
【0122】
オクチル酸タンタルを電荷制御剤として用いた液体現像剤では、定常電流が流れないため、溶媒の対流等の流体的な運動が少ないと考えられる。溶媒の対流等の流体的な運動は、電着後のドット形状の乱れの一因になると考えられ、定常電流が流れないオクチル酸タンタルを用いると、横幅の平均値が所望の大きさに近づき、標準偏差も小さくなると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】本発明にかかる液体現像剤中のトナー粒子の構成を表す模式的な断面図
【図2】前面基板の形成プロセスに使用されるパターン形成装置の一例を表す外観図
【図3】図2のパターン形成装置で使用する原版を示す平面図(a)、および断面図(b)
【図4】図3の原版を部分的に拡大して示す部分拡大平面図
【図5】図3の原版の1つの凹部の構造を説明するための部分拡大斜視図
【図6】図3の原版をドラム素管に巻き付けた状態を示す概略図
【図7】図3の原版の高抵抗層の表面を帯電させるための構成を示す概略図
【図8】図3の原版に液体現像剤を供給してトナー粒子によるパターンを形成するための構成を示す概略図
【図9】図3の原版に形成したパターンをガラス板に転写するための構成を示す概略図
【図10】図3の原版をガラス板に沿って転動させるための転動機構の要部の構成を示す概略図
【図11】原版の凹部に集めたトナー粒子をガラス板に転写する動作を説明するための動作説明図
【図12】本発明にかかる前面基板の一例を模式的に表す断面図
【図13】本発明に係る表示装置としてのFEDの一例を表す斜視図
【図14】図13のA−A’断面図
【図15】本発明に使用し得る実験装置の一例を表す概略図
【図16】電気泳動の電流値を測定するための装置の概要を表す概略図
【図17】本発明の液体現像剤に関する電気泳動電流波形を表すグラフ
【図18】本発明の液体現像剤に関する電気泳動電流波形を表すグラフ
【符号の説明】
【0124】
1…原版、3r、3g、3b…現像装置、4…乾燥器、5…ガラス板、6…ステージ、7…塗布装置、10…パターン形成装置、12…金属フィルム、13…高抵抗層、14a…凹部、61…核粒子、62…被覆層、63…熱可塑性樹脂微粒子、60…トナー粒子、131…ジムロート還流冷却器、132…防爆モータ、133…熱電対、134…リレー温調ユニット、135…マントルヒータ、136…攪拌機、110…真空外囲器、111…前面基板、112…背面基板、113…側壁、115…蛍光面、116…蛍光体層、117…遮光層、118…電子放出素子、120…メタルバック、121…ゲッタ層、211,212…ITO電極、213…スペーサ、214…注入路、215…空気抜き穴
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気絶縁性溶媒と、
該電気絶縁性溶媒中に包含された、核粒子、該核粒子表面に設けられた熱可塑性樹脂微粒子被覆層、及び該熱可塑性樹脂微粒子被覆された核粒子表面に電荷制御剤として添加されたV族金属有機酸塩を含有するトナー粒子を含むことを特徴とする液体現像剤。
【請求項2】
前記V族金属有機酸塩に含まれる金属成分は、バナジウム、ニオブ、及びタンタルからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の液体現像剤。
【請求項3】
前記V族金属有機酸塩の有機酸成分は、炭素数6ないし30である有機酸であることを特徴とする請求項1または2に記載の液体現像剤。
【請求項4】
前記有機酸は、オクチル酸、ナフテン酸、ネオデカン酸、オレイン酸、ラウリン酸、及びステアリン酸からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の液体現像剤。
【請求項5】
前記熱可塑性樹脂微粒子は、0.1ないし5μmの平均粒径を有する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の液体現像剤。
【請求項6】
透明基板上に、複数の枠状またはストライプ状のパターンを有する遮光層を形成する工程と、
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の液体現像剤を、供給部材を介して像保持体の表面に供給し、該供給部材と像保持体との間に電界を形成して該像保持体表面に、ドット状またはストライプ状のパターン像を形成する現像工程と、
液体現像剤によるパターン像が形成された前記像保持体を、定位置に保持された、遮光層を有する透明基板に沿って転動させる転動工程と、
転動する前記像保持体と前記透明基板との間に電界を形成し、前記像保持体表面上のパターン像を前記透明基板へ転写し、該遮光層で区画された該基板上の各領域に、蛍光体層を形成する転写工程と、該蛍光体層上にメタルバック層を形成する工程とを含む前面基板の形成プロセスを具備することを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項7】
前記転写工程の前に、前記像保持体表面に形成された前記パターン像を乾燥させる乾燥工程をさらに有することを特徴とする請求項6に記載の表示装置の製造方法。
【請求項8】
前記転写工程の前に、前記透明基板の表面を前記絶縁性液体によって濡らす濡らし工程をさらに有することを特徴とする請求項6または7に記載の表示装置の製造方法。
【請求項9】
前記像保持体は、その表面に前記パターン像を形成するためのパターン状の電極層を有することを特徴とする請求項6ないし8のいずれか1項に記載の表示装置の製造方法。
【請求項1】
電気絶縁性溶媒と、
該電気絶縁性溶媒中に包含された、核粒子、該核粒子表面に設けられた熱可塑性樹脂微粒子被覆層、及び該熱可塑性樹脂微粒子被覆された核粒子表面に電荷制御剤として添加されたV族金属有機酸塩を含有するトナー粒子を含むことを特徴とする液体現像剤。
【請求項2】
前記V族金属有機酸塩に含まれる金属成分は、バナジウム、ニオブ、及びタンタルからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の液体現像剤。
【請求項3】
前記V族金属有機酸塩の有機酸成分は、炭素数6ないし30である有機酸であることを特徴とする請求項1または2に記載の液体現像剤。
【請求項4】
前記有機酸は、オクチル酸、ナフテン酸、ネオデカン酸、オレイン酸、ラウリン酸、及びステアリン酸からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の液体現像剤。
【請求項5】
前記熱可塑性樹脂微粒子は、0.1ないし5μmの平均粒径を有する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の液体現像剤。
【請求項6】
透明基板上に、複数の枠状またはストライプ状のパターンを有する遮光層を形成する工程と、
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の液体現像剤を、供給部材を介して像保持体の表面に供給し、該供給部材と像保持体との間に電界を形成して該像保持体表面に、ドット状またはストライプ状のパターン像を形成する現像工程と、
液体現像剤によるパターン像が形成された前記像保持体を、定位置に保持された、遮光層を有する透明基板に沿って転動させる転動工程と、
転動する前記像保持体と前記透明基板との間に電界を形成し、前記像保持体表面上のパターン像を前記透明基板へ転写し、該遮光層で区画された該基板上の各領域に、蛍光体層を形成する転写工程と、該蛍光体層上にメタルバック層を形成する工程とを含む前面基板の形成プロセスを具備することを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項7】
前記転写工程の前に、前記像保持体表面に形成された前記パターン像を乾燥させる乾燥工程をさらに有することを特徴とする請求項6に記載の表示装置の製造方法。
【請求項8】
前記転写工程の前に、前記透明基板の表面を前記絶縁性液体によって濡らす濡らし工程をさらに有することを特徴とする請求項6または7に記載の表示装置の製造方法。
【請求項9】
前記像保持体は、その表面に前記パターン像を形成するためのパターン状の電極層を有することを特徴とする請求項6ないし8のいずれか1項に記載の表示装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2008−249760(P2008−249760A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−87194(P2007−87194)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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