説明

液体現像剤および画像形成方法

【課題】高速での画像形成が可能であるとともに、記録媒体へのトナー粒子の定着特性に優れた液体現像剤、およびかかる液体現像剤を用いた画像形成方法を提供すること。
【解決手段】本発明の液体現像剤は、トナー粒子と、主としてエポキシ変性化合物で構成された絶縁性液体と、カチオン型光重合開始剤とを含むことを特徴とする。エポキシ変性化合物は、植物油をエポキシ変性することにより得られるエポキシ化植物油であるのが好ましい。エポキシ化植物油のヨウ素価は15以下であるのが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体現像剤および画像形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
潜像担持体上に形成した静電潜像を現像するために用いられる現像剤として、顔料等の着色剤および結着樹脂を含む材料で構成されるトナーを電気絶縁性の担体液(絶縁性液体)に分散した液体現像剤が知られている。
【0003】
従来より、このような液体現像剤を構成するトナー粒子には、ポリエステル樹脂、スチレン−アクリル酸エステル共重合体やエポキシ樹脂等の樹脂材料が用いられている。このような樹脂材料は、取り扱いが容易で、得られる画像の発色性が良く、また、高い定着特性が得られるという特徴を有している。
【0004】
しかしながら、従来の液体現像剤では、トナー粒子を構成する樹脂材料と絶縁性液体との親和性が低く、絶縁性液体中へのトナー粒子の分散性を十分に高いものとするのが困難であった。また、従来の液体現像剤では、定着時においてトナー粒子と記録媒体との間に絶縁性液体が介在することによって、形成されるトナー画像の記録媒体への定着強度を十分とすることができなかった。
【0005】
このようなトナー粒子の分散性を向上させるために、トナー粒子を構成する樹脂材料として、絶縁性液体との親和性が高いロジン系樹脂を用いる試みが行われている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の液体現像剤では、トナー粒子の分散性は良好であるが、依然として絶縁性液体がトナー粒子と記録媒体との間に介在してトナー画像の定着を阻害しているため、トナー画像の記録媒体への定着強度が十分なものとはならなかった。
【0007】
【特許文献1】特許第3332961号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、トナー粒子の長期分散安定性に優れ、記録媒体へのトナー粒子の定着特性に優れた液体現像剤、およびかかる液体現像剤を用いた画像形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の液体現像剤は、ロジン系樹脂を含むトナー粒子と、
液体状のエポキシ変性化合物を含んで構成された絶縁性液体と、
カチオン型光重合開始剤とを含むことを特徴とする。
本発明の液体現像剤では、前記トナー粒子は、前記ロジン系樹脂の他に、ポリエステル樹脂を含むものであることが好ましい。
【0010】
本発明の液体現像剤では、前記トナー粒子は、前記ロジン樹脂を含むトナー母粒子をポリアルキレンイミンで表面改質したものであることが好ましい。
本発明の液体現像剤では、前記ポリアルキレンイミンは、ポリエチレンイミンであることが好ましい。
本発明の液体現像剤では、前記エポキシ変性化合物は、植物油をエポキシ変性することにより得られるエポキシ化植物油であることが好ましい。
【0011】
本発明の液体現像剤では、エポキシ変性に供される前記植物油は、不飽和二重結合を2以上有する不飽和脂肪酸を構成成分として含むものであることが好ましい。
本発明の液体現像剤では、前記エポキシ化植物油のヨウ素価をI、前記エポキシ化植物油のエポキシ変性に供される前記植物油のヨウ素価をIとしたとき、0≦I/I≦0.17、かつ、70≦I≦220の関係を満足することが好ましい。
【0012】
本発明の液体現像剤では、前記絶縁性液体は、脂肪酸モノエステルを含むことが好ましい。
本発明の液体現像剤では、前記カチオン型光重合開始剤は、芳香族スルホニウム塩、あるいは芳香族ヨードニウム塩であることが好ましい。
本発明の液体現像剤では、前記絶縁性液体は、さらに、増感剤を含むことが好ましい。
本発明の液体現像剤では、前記ロジン系樹脂は、マレイン酸変性ロジン樹脂、フェノール変性ロジン樹脂、ポリエステル変性ロジン樹脂から選択される少なくとも1種を含んで構成されることが好ましい。
【0013】
本発明の画像形成方法は、色の異なる複数の液体現像剤を用いて、各色に対応した複数の単色像を形成する現像工程と、
各色に対応した複数の前記単色像を記録媒体に転写し、前記記録媒体上に、複数の前記単色像を重ね合わせてなる未定着カラー画像を形成する転写工程と、
前記未定着カラー画像に紫外線を照射することにより、前記未定着カラー画像を前記記録媒体上に定着する定着工程とを有し、
前記液体現像剤が、トナー粒子と、主としてエポキシ変性化合物で構成された絶縁性液体と、カチオン型光重合開始剤とを含むことを特徴とする。
【0014】
本発明の画像形成方法では、前記定着工程において、前記未定着カラー画像に照射する紫外線の照射エネルギーは、25〜500mJ/cmであるとともに、前記記録媒体の搬送速度は50〜1000mm/secであることが好ましい。
本発明の画像形成方法は、前記定着工程では、前記未定着カラー画像に対し、熱を与えつつ圧力を加える処理を有することが好ましい。
【0015】
以上の構成を満足することにより、トナー粒子の長期分散安定性に優れ、記録媒体へのトナー粒子の定着特性に優れた液体現像剤、およびかかる液体現像剤を用いた画像形成方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施形態について、詳細に説明する。
≪液体現像剤≫
まず、本発明の液体現像剤について説明する。
本発明の液体現像剤は、液体状のエポキシ変性化合物およびカチオン型光重合開始剤を含んで構成された絶縁性液体と、絶縁性液体中に分散し、ロジン系樹脂を含むトナー粒子とを含有するものである。
【0017】
以下、各成分について詳細に説明する。
<トナー粒子>
本発明において、トナー粒子は、ロジン系樹脂を含むものである。また、本実施形態では、トナー粒子は、ロジン系樹脂を含む材料で構成されたトナー母粒子の表面がポリアルキレンイミンにより表面改質されたものである。
【0018】
[トナー母粒子]
トナー母粒子は、少なくとも、結着樹脂(樹脂材料)と着色剤とを含むものである。
1.樹脂材料(結着樹脂)
トナー母粒子は、主成分としての樹脂材料を含む材料で構成されている。
本発明において、トナー母粒子は、樹脂材料としてロジン系樹脂を含むものである。
【0019】
ロジン系樹脂は、後述するような絶縁性液体との親和性(相溶性)の高い成分である。したがって、このようなロジン系樹脂を有するトナー粒子は、後述するような絶縁性液体中における分散安定性が高いものとなる。
また、ロジン系樹脂は、その化学構造に多数の2重結合を有している。このため、定着時において、トナー粒子に含まれるロジン系樹脂と後述するようなエポキシ系化合物とが結合することができ、後述するような原理でエポキシ系化合物と一緒にトナー粒子が記録媒体へ十分な定着強度で固定される。
【0020】
また、ロジン系樹脂は、後述するようなポリアルキレンイミンとの親和性が高いため、トナー粒子の表面にポリアルキレンイミンを強固に付着(吸着)させることができる。また、このようなロジン系樹脂は、絶縁性液体によって可塑化されるため、ロジン系樹脂が露出している部分にポリアルキレンイミンをさらに強固に付着(吸着)させることができる。その結果、トナー粒子の分散性が長期にわたって特に優れたものとすることができるとともに、液体現像剤の帯電特性を優れたものとすることができる。
【0021】
なお、ロジン系樹脂は、トナー粒子の表面の少なくとも一部に存在することが好ましい。これにより、トナー粒子と絶縁性液体との親和性を十分に高いものとし、トナー粒子の絶縁性液体への分散性を特に優れたものとすることができる。なお、このような場合、トナー粒子の表面に偏在するものであってもよく、また、トナー粒子表面を覆うように存在するものであってもよい。ロジン系樹脂がトナー粒子表面を覆うように存在する場合、トナー粒子と絶縁性液体との親和性をより高いものとすることができるとともに、ポリアルキレンイミンをトナー粒子表面付近により多く存在(吸着)させることができる。また、絶縁性液体中のエポキシ系化合物とトナー粒子にあるロジン系樹脂とがより効率よく結合することができ、結果としてトナー粒子の記録媒体への定着強度が特に優れたものとなる。
【0022】
また、例えば、記録媒体の表面にロジン系樹脂が塗布されていた場合、ロジン系樹脂を含むトナー粒子と記録媒体との親和性が高いものとなり、トナー粒子が記録媒体へより強固に定着する。このような場合としては、例えば、記録媒体が紙であり、その紙表面にサイズ剤としてロジン樹脂が付与されていた場合が相当する。
このようなロジン系樹脂としては、例えば、マレイン酸編成ロジン樹脂、フェノール変性ロジン樹脂、ポリエステル変性ロジン樹脂、フマル酸変性ロジン樹脂、エステルガム等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。このなかでも、マレイン酸変性ロジン樹脂、フェノール変性ロジン樹脂、ポリエステル変性ロジン樹脂から選択される少なくとも1種を用いた場合、トナー粒子の長期分散安定性と、液体現像剤の定着特性とを特に優れたものとすることができる。
【0023】
上述したようなロジン系樹脂の軟化点は、60〜190℃であるのが好ましく、65〜170℃であるのがより好ましく、70〜160℃であるのがさらに好ましい。これにより、トナー粒子の長期分散安定性、帯電特性を優れたものとしつつ、トナー粒子の定着特性と耐熱保存性をより高い次元で両立することができる。
また、ロジン系樹脂の重量平均分子量は、500〜100000であるのが好ましく、1000〜80000であるのがより好ましく、1000〜50000であるのがさらに好ましい。これにより、トナー粒子の長期分散安定性、帯電特性を優れたものとしつつ、トナー粒子の定着特性と耐熱保存性をより高い次元で両立することができる。
【0024】
また、ロジン系樹脂の酸価は、40mgKOH/g以下であるのが好ましく、30mgKOH/g以下であるのがより好ましく、5〜25mgKOH/g以下であるのがさらに好ましい。これにより、ポリエチレンイミンによるトナー母粒子の表面の化学修飾をより好適に行うことができ、トナー粒子の長期分散安定性、帯電特性を特に優れたものとしつつ、トナー粒子の定着特性と耐熱保存性をより高い次元で両立することができる。
【0025】
また、トナー母粒子を構成する樹脂材料中におけるロジン系樹脂の含有率は、1〜50wt%であるのが好ましく、5〜40wt%であるのがより好ましい。これにより、トナー粒子の長期分散安定性、帯電特性を特に優れたものとしつつ、トナー粒子の定着特性と耐熱保存性をより高い次元で両立することができる。
また、トナー母粒子は、上述したようなロジン系樹脂以外の公知の樹脂が含まれていてもよい。
【0026】
特に、上述したようなロジン系樹脂と、エステル結合を有する樹脂材料とを併用するのが好ましい。このような結合を有する樹脂材料は、ロジン系樹脂との相溶性が低いため、ロジン系樹脂をトナー粒子の表面により確実に存在させることができる。その結果、トナー母粒子表面をより多くのポリアルキレンイミンで化学修飾させることができ、トナー粒子の正の帯電特性をより高いものとすることができるとともに、トナー粒子の分散安定性をより高いものとすることができる。また、液体現像剤の高温保存性をより高いものとすることができる。
【0027】
エステル結合を有する樹脂材料としては、例えば、ポリエステル樹脂、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、メタクリル樹脂等が挙げられる。これらの中でも、特に、ポリエステル樹脂を用いるのが好ましい。ポリエステル樹脂は、透明性が高く、結着樹脂として用いた場合、得られる画像の発色性を高いものとすることができる。また、ポリエステル樹脂は、ロジン系樹脂との相溶性が特に低いため、トナー母粒子中においてロジン系樹脂とより確実に相分離し、トナー母粒子の表面により効果的にロジン系樹脂を存在させることができる。
【0028】
トナー母粒子がポリエステル樹脂を含むものである場合、その酸価は、5〜20mgKOH/gであるのが好ましく、5〜15mgKOH/gであるのがより好ましい。
また、トナー母粒子がポリエステル樹脂を含むものである場合、その軟化点は、特に限定されないが、60〜160℃であるのが好ましく、60〜140℃であるのがより好ましく、60〜115℃であるのがさらに好ましい。これにより、トナー粒子の定着特性を特に優れたものとすることができる。なお、本明細書で、軟化点とは、高化式フローテスター(島津製作所製)における測定条件:昇温速度:5℃/min、ダイ穴径1.0mmで規定される軟化開始温度のことを指す。
【0029】
また、トナー母粒子がエステル結合を有する樹脂を含む場合、エステル結合を有する樹脂として、重量平均分子量が異なる2種以上の樹脂成分を含むことが好ましい。具体的には、トナー母粒子は、エステル結合を有する樹脂として、重量平均分子量が比較的小さい第1の樹脂成分と、第1の樹脂成分よりも重量分子量が大きな第2の樹脂成分とを含むことが好ましい。このように、複数種の樹脂成分を含むことにより、以下のような効果が得られる。
【0030】
比較的重量平均分子量が小さな第1の樹脂成分は、比較的低い温度であっても容易に溶融できる。このため、トナー母粒子はこのような第1の樹脂成分を含むことにより、定着時においてトナー画像を加熱する場合に、定着温度が比較的低温(例えば、100〜140℃)であっても、第1の樹脂成分がロジン系樹脂とともに溶融することができ、トナー粒子が容易に軟化して記録媒体に強固に定着することができる。また、このようにトナー粒子が比較的容易に溶融することで、定着時において複数の異なる着色剤を有するトナー粒子同士が容易に溶融、混合され、得られるトナー画像の発色性が優れたものとなる。
【0031】
一方で、比較的重量平均分子量が大きな第2の成分は、比較的高い温度環境下であっても溶融、軟化しにくい。このため、トナー母粒子がこのような第2の樹脂成分を含むことにより、液体現像剤が画像形成装置内等に未使用の状態で保存されている際に、液体現像剤が比較的高温(例えば40〜80℃)になった場合であっても、トナー粒子が溶融したり、トナー粒子が変形したりすることが防止される。特に、第1の樹脂成分やロジン系樹脂がこのような環境下で軟化し始めた場合であっても、このような第2の樹脂成分がトナー母粒子の骨格として作用する。この結果、液体現像剤中の複数のトナー粒子が上記のような高温環境下で互いに付着し合って凝集したり、変形することがより確実に防止される。
【0032】
以上より、トナー母粒子がロジン系樹脂に加え、上記のような第1の樹脂成分と第2の樹脂成分とを含むことにより、液体現像剤の定着特性およびトナー粒子の長期分散安定性が特に優れたものとなる。
このような場合、第1の樹脂成分の重量平均分子量は、3000〜12000であることが好ましく、4000〜10000であることがより好ましく、5000〜7000であることがさらに好ましい。また、第2の樹脂成分の重量平均分子量は、20000〜400000であることが好ましく、50000〜300000であることがより好ましく、10000〜250000であることがさらに好ましい。
【0033】
また、第1の樹脂成分の軟化温度Tfは、60〜120℃であるのが好ましく、80〜110℃であるのがより好ましい。また、第2の樹脂成分の軟化温度Tfは、60〜220℃であるのが好ましく、80〜190℃であるのがより好ましい。
また、トナー母粒子を構成する樹脂材料中の第1の樹脂成分の含有量は、30〜80wt%であることが好ましく、40〜75wt%であることがより好ましい。トナー母粒子を構成する樹脂材料中の第2の樹脂成分の含有量は、5〜40wt%であることが好ましく、10〜30wt%であることがより好ましい。
【0034】
2.着色剤
また、トナー母粒子は、着色剤を含んでいてもよい。着色剤としては、特に限定されず、例えば、公知の顔料、染料等を使用することができる。
3.その他の成分
また、トナー母粒子は、上記以外の成分を含んでいてもよい。このような成分としては、例えば、公知のワックス、磁性粉末等が挙げられる。
また、トナー母粒子の構成材料(成分)としては、上記のような材料のほかに、例えば、ステアリン酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化セリウム、シリカ、酸化チタン、酸化鉄、脂肪酸、脂肪酸金属塩等を用いてもよい。
【0035】
[ポリアルキレンイミン]
本実施形態では、上述したように、ロジン系樹脂を含む材料で構成されたトナー母粒子は、その表面がポリアルキレンイミンにより表面改質されている。なお、ポリアルキレンイミンによる表面改質とは、ポリアルキレンイミンのアミノ基の少なくとも一部と、トナー母粒子の表面のロジン系樹脂に由来する酸性基(主にカルボキシル基)の少なくとも一部とが化学反応し、共有結合(アミド結合)をなしていること、または、ロジン系樹脂の酸性基とポリアルキレンイミンのアミノ基とがイオン結合をなしていることをいう。
【0036】
ポリアルキレンイミンは、多数のアミノ基を有しているため、正帯電性の高い化合物である。ロジン系樹脂を含む材料で構成されたトナー母粒子の表面をポリアルキレンイミンで表面改質することにより、液体現像剤は、正帯電の帯電特性に優れ、かつ、トナー粒子の長期分散安定性に特に優れたものとなる。また、帯電特性、長期分散安定性に特に優れることから、液体現像剤は、現像効率、転写効率等の特性にも特に優れたものとなる。
【0037】
また、一般に用いられる帯電制御剤や分散剤とは異なり、ポリアルキレンイミンはトナー母粒子のロジン系樹脂と化学的に結合しているため、経時的に、ポリアルキレンイミンがトナー粒子(トナー母粒子)から脱離・脱落することがなく、長期にわたって安定した正帯電性、分散安定性が維持される。
また、後述するような画像形成装置において、現像部等で回収された液体現像剤を再利用する際に、回収された液体現像剤内のトナー粒子を容易に再分散させることができ、容易に再利用することができる。
なお、上記のようなポリアルキレンイミンの優れた効果は、ポリアルキレンイミンがトナー母粒子の表面を改質することにより得られるものであり、単に、液体現像剤中にポリアルキレンイミンを含むだけでは、得られるものではない。
【0038】
ポリアルキレンイミンとしては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、ポリブチレンイミン、ポリイソプロピレンイミン等が挙げられる。中でも、ポリエチレンイミンを用いるのが好ましい。これにより、トナー母粒子の表面を、より好適に化学修飾することができ、トナー粒子の長期分散安定性、正帯電の帯電特性をより優れたものとすることができる。
【0039】
ポリアルキレンイミンの数平均分子量は、300〜200000であるのが好ましく、10000〜80000であるのがより好ましい。ポリアルキレンイミンの数平均分子量がこのような範囲であると、トナー母粒子表面をより効果的に改質(化学修飾)することができるとともに、ポリアルキレンイミンの比較的長い分子鎖による立体障害によって、トナー粒子同士の凝集を効果的に防止することができ、トナー粒子の分散安定性を効果的に向上させることができる。
【0040】
[トナー粒子の形状]
上記のような材料で構成されたトナー粒子の平均粒径は、0.5〜3μmであるのが好ましく、1〜2.5μmであるのがより好ましく、1〜2μmであるのがさらに好ましい。トナー粒子の平均粒径が前記範囲内の値であると、各トナー粒子間での特性のばらつきを小さいものとし、液体現像剤全体としての信頼性を高いものとしつつ、液体現像剤により形成されるトナー画像の解像度を十分に高いものとすることができる。また、トナー粒子の絶縁性液体への分散を良好にし、液体現像剤の保存性を高いものとできる。なお、本明細書では、「平均粒径」とは、体積基準の平均粒径のことを指すものとする。
液体現像剤中におけるトナー粒子の含有率は、10〜60wt%であるのが好ましく、20〜50wt%であるのがより好ましい。
【0041】
<絶縁性液体>
次に、絶縁性液体について説明する。
本発明の液体現像剤を構成する絶縁性液体は、エポキシ変性化合物を含んで構成されている。
本発明において、エポキシ変性化合物とは、分子構造中にエポキシ基(オキシラン環)と呼ばれる三員環を有する化合物(エポキシド)であって、液体現像剤用の絶縁性液体として用いることのできる絶縁性の高い液状の化合物のことを言う。
【0042】
ところで、液体現像剤を用いた画像形成では、記録媒体にトナー粒子を定着させる際に、トナー粒子表面に絶縁性液体が付着している。従来の液体現像剤では、このトナー粒子表面に付着した絶縁性液体の存在により、トナー粒子の記録媒体への定着性が阻害される(定着強度が低下する)という問題点があった。また、トナー粒子の記録媒体に対する定着強度を向上させようと、定着時に比較的高い温度で、長時間加熱して、絶縁性液体を記録媒体上から完全に除去(乾燥)するような方法も考えられるが、かかる方法では、近年要求されている画像形成の高速化を実現することが困難であった。
【0043】
これに対して、本発明の液体現像剤では、エポキシ変性化合物を含んで構成された絶縁性液体と、後述するようなカチオン型光重合開始剤とを併用することにより、トナー粒子の記録媒体に対する定着強度を優れたものとすることができる。
一般に、上述したようなエポキシ変性化合物とカチオン型光重合開始剤とを含む液体では、紫外線(UV光)や電子線などのエネルギー線が照射されると、カチオン型光重合開始剤が活性化し、水素イオンが生成される。この水素イオンが、エポキシ変性化合物のエポキシ基と反応することにより、エポキシ変性化合物の硬化反応、重合反応が進行し、液体が固化する。特に、本発明では、上述したようにトナー粒子にロジン系樹脂が含まれている。ロジン系樹脂は、その化学構造中に多くの2重結合を有している。この2重結合は、エポキシ変性化合物の硬化、重合反応時において、エポキシ変性化合物と結合することができ、この結果、ロジン系樹脂を含むトナー粒子とエポキシ変性化合物を含む硬化した絶縁性液体とが強固に結合する。
【0044】
したがって、本発明では、記録媒体に転写されたトナー画像(液体現像剤)に対して、例えば、紫外線等を照射することにより、トナー画像中に含まれるエポキシ変性化合物がトナー粒子の周囲で固化し、トナー粒子が記録媒体に強固に定着される。このように、本発明では、記録媒体上に転写された絶縁性液体(例えば、トナー粒子表面に付着した絶縁性液体など)が、トナー粒子を記録媒体に定着させる役割を担う。また、硬化した絶縁性液体と、トナー粒子(またはその成分)とが化学的に結合することにより、一旦記録媒体へ定着したトナー粒子(またはトナー画像)は、記録媒体から脱落しにくいものとなる。
【0045】
また、このようなエポキシ変性化合物は、固化するまでの時間が極めて短いものである。そのため、従来の液体現像剤のように、未定着のトナー画像に熱エネルギーを付与し、トナー粒子を記録媒体に定着させるよりも、本発明の液体現像剤では、トナー粒子を記録媒体に速やかに定着させることができる。そのため、本発明の液体現像剤は、高速での画像形成に好適に適用することができるものとなる。
【0046】
また、一般的な液体現像剤を用いた画像形成では、トナー粒子が転写される領域以外にも、記録媒体上に絶縁性液体が存在する。かかる絶縁性液体は不揮発性の液体であるため、連続して画像形成を行うと、印字された記録媒体同士がお互いに貼り付く現象(ブロッキング)が起こるという問題があった。これに対して、本発明では、定着時に、液体現像剤を構成する絶縁性液体が記録媒体上で完全に固化されたものであるため、かかる問題の発生を効果的に防止することができる。
【0047】
また、本発明の液体現像剤を用いた画像形成では、記録媒体上の未定着トナー画像に対して、エネルギー線を照射するだけで、記録媒体にトナー画像を定着させることができる。したがって、熱処理により定着を行う従来の液体現像剤を用いた画像形成に比べて、省エネルギー化を図ることができる。
また、本発明の液体現像剤では、紙等の記録媒体にしみ込んだ絶縁性液体が固化することにより、固化した絶縁性液体と、記録媒体との間でアンカー効果が発現する。これにより、トナー粒子の記録媒体への定着強度は優れたものとなる。
【0048】
さらに、本発明の液体現像剤を用いた画像形成では、紙のような絶縁性液体を吸収する記録媒体以外にも、塩化ビニルやポリプロピレンフィルムのように、絶縁性液体を吸収しない記録媒体に対しても、トナー粒子の記録媒体に対する定着強度を比較的高いものとすることができる。
また、本実施形態では、トナー粒子は、ポリアルキレンイミンによってトナー母粒子の表面が改質されたものである。このようなトナー粒子を用いた場合、上述したようなエポキシ変性化合物による効果が顕著なものとなる。これは、ポリアルキレンイミンの化学構造中にある多数のアミノ基が、エポキシ変性化合物の硬化反応に関与しているためだと考えられる。
【0049】
このように、本発明では、絶縁性液体がエポキシ変性化合物を含み、かつ、トナー粒子がロジン系樹脂を含むことにより、はじめて優れた定着特性および長期分散安定性が得られる。これに対し、トナー粒子がロジン系樹脂を含まない場合、硬化するエポキシ変性化合物とトナー粒子とが十分に接着されず優れた定着強度が得られない。また、トナー粒子が長期にわたって安定して絶縁性液体中に分散することが困難である。一方、絶縁性液体がエポキシ変性化合物を含まない場合、上述したように絶縁性液体がトナー粒子の記録媒体へ定着を阻害するため、定着特性が劣るものとなる。
【0050】
このようなエポキシ変性化合物としては、例えば、植物油、鉱物油等が有する炭素−炭素二重結合(C=C)の少なくとも一部をエポキシ基に変性したエポキシドや、シリコーンオイルが有するメチル基の少なくとも一部をエポキシ基含有アルキル基に置換したエポキシ変性シリコーンオイル等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0051】
上述した中でも、エポキシ化植物油は、エポキシ変性に供される植物油が、構造中に多くの炭素−炭素二重結合を有することから、多くのエポキシ基を有するものであり、水素イオンによって、より好適に硬化反応、重合反応を起こす成分である。そのため、エポキシ変性化合物として、エポキシ化植物油を用いることにより、トナー粒子を記録媒体により強固に定着させることができる。また、このようなエポキシ化植物油は、前述したようなロジン系樹脂)との親和性に優れており、液体現像剤中でのトナー粒子の分散性をより優れたものとすることができる。その結果、液体現像剤の保存性が優れたものとなる。
【0052】
なお、植物油は、通常、脂肪酸とグリセリンとの間でのトリエステル(トリグリセリド)である脂肪酸トリグリセリドを主成分とするものであり、脂肪酸成分として不飽和脂肪酸(炭素−炭素二重結合を主鎖中に有する脂肪酸)を含むものである。
このようなエポキシ化植物油に供される植物油は、炭素−炭素二重結合を2以上有する不飽和脂肪酸を構成成分として含むものであるのが好ましい。このような植物油をエポキシ変性して得られるエポキシ化植物油は、より短時間で固化するとともに、固化後の硬度が十分に高いものとなる。
【0053】
本発明で用いるエポキシ化植物油のエポキシ変性に供される植物油としては、具体的には、脱水ひまし油、桐油、亜麻仁油、ひまわり油、ローズヒップ油、荏油等の乾性油や、大豆油、菜種油、サフラワー油、綿実油、胡麻油、トウモロコシ油等の半乾性油が挙げられる。
上述したような植物油の中でも、亜麻仁油または大豆油が好ましい。すなわち、エポキシ化植物油として、亜麻仁油をエポキシ変性して得られるエポキシ化亜麻仁油、または大豆油をエポキシ変性して得られるエポキシ化大豆油が好ましい。亜麻仁油および大豆油は、出発原料の構造中に比較的多くの炭素−炭素二重結合を有するものである。そのため、これらを出発原料としたエポキシ化亜麻仁油およびエポキシ化大豆油は、後述するカチオン型光重合開始剤から発生した水素イオンにより、好適に硬化反応、重合反応を起こす。
【0054】
また、このような植物油は、そのヨウ素価が、70〜220であるのが好ましく、80〜200であるのがより好ましい。このような条件を満足する植物油は、分子構造中に炭素−炭素二重結合が多数存在するため、かかる植物油をエポキシ変性して得られるエポキシ化植物油は、分子構造中に多量のエポキシ基(オキシラン環)を有するものとなる。
このようなエポキシ化植物油は、そのヨウ素価が15以下であるのが好ましく、10以下であるのがより好ましい。このようなエポキシ化植物油は、定着時において、より短時間で固化するとともに、固化後の硬度が十分に高いものとなる。
【0055】
また、エポキシ化植物油のヨウ素価をI、かかるエポキシ化植物油のエポキシ変性に供される植物油のヨウ素価をIとしたとき、0≦I/I≦0.17の関係を満足するのが好ましく、0.01≦I/I≦0.11の関係を満足するのがより好ましい。上述したような関係を満足するエポキシ化植物油は、その分子構造中に含まれるエポキシ基の含有率が十分に高いものとなり、定着時において、より短時間で固化するとともに、固化後の硬度が十分に高いものとなる。
【0056】
また、絶縁性液体として、上述したようなエポキシ変性化合物以外の成分を含むものであってもよい。
このような成分としては、例えば、アイソパーE、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL(アイソパー;エクソン化学社の商品名)、シエルゾール70、シエルゾール71(シエルゾール;シエルオイル社の商品名)、アムスコOMS、アムスコ460溶剤(アムスコ;スピリッツ社の商品名)、低粘度・高粘度流動パラフィン(和光純薬工業)等の鉱物油(炭化水素系液体)、脂肪酸グリセリド、中鎖脂肪酸エステル等を含む植物油、脂肪酸と一価のアルコールとの間のエステルである脂肪酸モノエステル、オクタン、イソオクタン、デカン、イソデカン、デカリン、ノナン、ドデカン、イソドデカン、シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等が挙げられる。
【0057】
特に、上述した中でも、絶縁性液体は、脂肪酸モノエステルを含むことが好ましい。
脂肪酸モノエステルは、トナー粒子を構成する樹脂材料の分子錯間に浸入しやすい性質を有するものであり、このようにして樹脂材料中に取り込まれた脂肪酸モノエステルは、トナー粒子(樹脂材料)を可塑化する可塑効果を有する。このように、トナー粒子が可塑化することにより、トナー粒子中のロジン系樹脂と、絶縁性液体とが接触しやすいものとなり、定着時においてエポキシ変性化合物とロジン系樹脂とが結合しやすいものとなる。この結果、脂肪酸モノエステルを含む場合、液体現像剤は、定着特性がより優れたものとなる。また、定着時において、トナー画像に熱を与える場合には、脂肪酸モノエステルによって可塑化されたトナー粒子は、比較的低温であっても、容易に溶融して記録媒体に定着させることができる。また、このように可塑化されたトナー粒子は、記録媒体に、より密着して定着されることができ、得られるトナー画像の定着強度は特に優れたものとなる。
【0058】
また、脂肪酸モノエステルは、天然由来の成分であり、環境に優しい成分である。したがって画像形成装置外への絶縁性液体の漏出や、使用済液体現像剤の廃棄などによる絶縁性液体の環境への負荷を低減することができる。その結果、環境に優しい液体現像剤を提供することができる。
このような脂肪酸モノエステルを構成する脂肪酸成分は、R−COOHの一般式で表され(ただし、Rはアルキル基)、特に限定されないが、例えば、オレイン酸、パルミトレイン酸、リノール酸、α−リノレン酸、γ−リノレン酸、アラキドン酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)等に代表される不飽和脂肪酸、酪酸、ラウリン酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ミスチリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸等に代表される飽和脂肪酸等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0059】
この中でも、脂肪酸モノエステルが、脂肪酸成分として飽和脂肪酸を含む場合、脂肪酸モノエステルは、劣化(酸化、分解など)が起こりづらい、化学的に特に安定なものとなる。
また、脂肪酸モノエステルは、脂肪酸成分として飽和脂肪酸を含む場合、飽和脂肪酸として、炭素数が8〜20の脂肪酸を含むことが好ましい。これにより、脂肪酸モノエステルのトナー粒子に対する可塑効果を、より好適に発現することができる。
【0060】
また、このような脂肪酸モノエステルは脂肪酸と一価のアルコールとのエステルであるが、当該一価のアルコールの炭素数は、1〜4であるのが好ましい。これにより、液体現像剤の化学的安定性は優れたものとなる。また、絶縁性液体の粘度を好適なものとし、記録媒体への液体現像剤の浸透をより好適なものとすることができる。このようなアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブタノール等が挙げられる。
【0061】
また、脂肪酸モノエステルは、植物油と、上記のような一価のアルコールとのエステル交換反応により生成されるものであってもよい。すなわち、本発明で用いる絶縁性液体は、前述したような脂肪酸、およびアルコールから選択される1種または2種以上を組み合わせた脂肪酸モノエステルを含むものであってもよい。
エステル交換反応に供される植物油としては、例えば、大豆油、菜種油、脱水ひまし油、桐油、紅花油、亜麻仁油、ひまわり油、コーン油、綿実油、ごま油、トウモロコシ油、大麻油、月見草油、パーム油(特に、パーム核油)、ココナッツ油、ヤシ油等が挙げられる。
【0062】
また、絶縁性液体中における脂肪酸モノエステルの含有量は、5〜50wt%であるのが好ましく、10〜45wt%であるのがより好ましく、15〜45wt%であるのがさらに好ましい。これにより、トナー粒子はより好適に可塑化される。
また、絶縁性液体が、エポキシ変性化合物以外の成分を含むものである場合、絶縁性液体中におけるエポキシ変性化合物の含有量は、50wt%以上であることが好ましく、60wt%以上であることがより好ましい。これにより、十分に高速での画像形成が可能となるとともに、トナー粒子の記録媒体への定着強度を特に優れたものとすることができる。
【0063】
また、このような絶縁性液体の室温(20℃)での電気抵抗は、1011Ωcm以上のものであるのが好ましく、1012Ωcm以上のものであるのがより好ましく、1013Ωcm以上のものであるのがさらに好ましい。
また、絶縁性液体の比誘電率は、3.5以下であるのが好ましい。
絶縁性液体の粘度は、特に限定されないが、5〜1000mPa・sであるのが好ましく、50〜800mPa・sであるのがより好ましく、50〜500mPa・sであるのがさらに好ましい。絶縁性液体の粘度が前記範囲内の値であると、液体現像剤が現像剤容器から塗布ローラにくみ出された場合において、適量の絶縁性液体がトナー粒子に付着し、高速での画像形成が可能であるとともに、トナー画像の記録媒体への定着特性は特に優れたものとなる。ただし、本明細書における粘度とは25℃において測定した値を指すものとする。
【0064】
<カチオン型光重合開始剤>
次に、カチオン型光重合開始剤について説明する。
本発明の液体現像剤中には、カチオン型光重合開始剤が含まれている。
このようなカチオン型光重合開始剤は、紫外線等のエネルギー線が照射されることにより、活性化して水素イオンを生成する化合物であり、絶縁性液体を構成するエポキシ変性化合物の硬化反応、重合反応を起こす機能を有するものである。
【0065】
このようなカチオン型光重合開始剤が液体現像剤中に含まれると、記録媒体に転写された未定着のトナー画像(液体現像剤)に紫外線等のエネルギー線を照射することにより、絶縁性液体が速やかに固化し、トナー粒子が記録媒体に強固に定着される。
このようなカチオン型光重合開始剤としては、例えば、ハロゲン系アニオン、スルホン酸系アニオン、カルボン酸系アニオン、硫酸アニオン等のアニオンを対イオンとするジアゾニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、およびホスホニウム塩等のオニウム塩が挙げられる。
【0066】
上述した中でも、分子構造中に芳香環を有する芳香族スルホニウム塩、あるいは芳香族ヨードニウム塩を用いるのが好ましい。このようなカチオン型光重合開始剤は、化学的に安定な化合物であり、エネルギー線以外のエネルギー(例えば、熱エネルギー等)では水素イオンを生成しにくいものである。そのため、液体現像剤の保存時に、これらのカチオン型光重合開始剤が活性化され、エポキシ変性化合物が硬化、重合してしまうのを確実に防止することができる。すなわち、このようなカチオン型光重合開始剤を含む液体現像剤では、液体現像剤を長期間にわたって保存性に優れたものとすることができるとともに、定着時には、速やかに絶縁性液体が固化し、トナー粒子を記録媒体に強固に定着させることができる。
【0067】
また、このようなカチオン型光重合開始剤は、前述したようなエポキシ変性化合物への溶解性が高く、液体現像剤中で析出しづらい化合物である。そのため、保存状態の液体現像剤中で、カチオン型光重合開始剤が析出し、トナー粒子の保存性が悪化するといった不具合の発生を確実に防止することができる。また、このようなカチオン型光重合開始剤は、液体現像剤中に均一に分散することができるため、定着時に、未定着のトナー画像(液体現像剤)にエネルギー線を照射することにより、より速やかに絶縁性液体を固化することができるとともに、トナー粒子の記録媒体に対する定着強度はムラのないものとなる。
また、液体現像剤中に含まれるカチオン型光重合開始剤の含有量は、絶縁性液体を構成するエポキシ変性化合物100重量部に対して、0.5〜8重量部であるのが好ましく、2〜5重量部であるのがより好ましい。
【0068】
<増感剤>
また、液体現像剤は、増感剤を含むことが好ましい。増感剤は、紫外線等の特定波長帯のエネルギー線を吸収し、その吸収したエネルギーをカチオン型重合開始剤に移行させる機能を有する。液体現像剤は増感剤を含むことにより、エネルギー線のカチオン型重合開始剤が吸収しない波長帯を増感剤が吸収し、吸収されたエネルギー線のエネルギーが増感剤からカチオン型重合開始剤に移行される。この結果、照射されるエネルギー線からより幅広い波長範囲のエネルギーを、有効にエポキシ変性化合物の重合反応のエネルギーとして用いることができる。
【0069】
液体現像剤に用いることのできる増感剤としては、特に限定されないが、例えば、アクリジン化合物、ベンゾフラビン類、ペリレン類、ナフタレン類、アントラセン類、チオキサントン化合物類、レーザ色素類等があげられ、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上述した中でも、増感剤として、ナフタレン類、アントラセン類、チオキサントン化合物類のうちいずれか1種以上を用いることが好ましく、アントラセン類を用いることがより好ましい。これにより、エネルギー線のエネルギーをより効率よくエポキシ変性化合物の重合反応のエネルギーとして用いることができる。特に、アントラセン類の増感剤の中でも、9,10-ジブトキシアントラセンを用いた場合、上述したような効果はより顕著なものとなる。
液体現像剤中に含まれる増感剤の含有量は、カチオン型重合開始剤100重量部に対して、20〜300重量部であることが好ましく、30〜200重量部であることがより好ましい。
【0070】
<分散剤>
また、液体現像剤には、分散剤が含まれていてもよい。
分散剤は、トナー粒子の分散安定性に寄与する成分である。
本発明で用いることのできる分散剤としては、特に限定されず、公知の分散剤を用いることができる。
【0071】
分散剤としては、特に、分子内に12−ヒドロキシステアリン酸骨格を有する高分子分散剤を用いるのが好ましい。このような骨格を有する分散剤は、絶縁性液体(特に、植物油や脂肪酸モノエステル)との相溶性が高く、絶縁性液体に好適に溶解させることができる。また、12−ヒドロキシステアリン酸骨格部分は、トナー粒子を構成する樹脂材料との親和性が高いため、分散剤をトナー粒子の表面に好適に付着させることができる。このように分散剤がトナー粒子の表面に付着すると、絶縁性液体中に単体で遊離する分散剤の量が少なくなり、絶縁性液体の絶縁性を高い状態に維持することができる。その結果、トナー粒子の分散安定性をより優れたものとすることができるとともに、液体現像剤の帯電特性をより優れたものとすることができる。
【0072】
また、上記のような骨格を備えた高分子分散剤は、分子鎖が長いため、トナー粒子の表面との接触機会が多く、トナー粒子の表面により強固に付着あるいは吸着することができる。その結果、トナー粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができる。
このような骨格を有する分散剤としては、例えば、ソルスパース11200、ソルスパース13940(ソルスパースはルーブリゾール社の商品名)等が挙げられる。
液体現像剤中における分散剤の含有率は、トナー粒子100重量部に対して、1〜7重量部であるのが好ましく、1.25〜5重量部であるのがより好ましい。分散剤の含有量が上記範囲であると、トナー粒子の分散安定性をより効果的に向上させることができるとともに、正帯電の帯電特性をより優れたものとすることができる。
【0073】
≪液体現像剤の製造方法≫
次に、本発明の液体現像剤の製造方法の好適な実施形態について説明する。
本実施形態の液体現像剤の製造方法は、ロジン系樹脂を含有するトナー母粒子が水系分散媒中に分散した分散液を準備する分散液準備工程と、ポリアルキレンイミンを前記分散液と混合し、前記トナー母粒子の表面をポリアルキレンイミンで改質し、トナー粒子を得る化学修飾工程と、前記トナー粒子を絶縁性液体中に分散させる絶縁性液体中分散工程とを有する。
【0074】
以下、液体現像剤の製造方法を構成する各工程について詳細に説明する。
[分散液準備工程(水系分散液準備工程)]
まず、ロジン系樹脂を含有するトナー母粒子が水系分散媒中に分散した分散液(水系分散液)を調製する。
水系分散液は、いかなる方法で調製されるものであってもよいが、ロジン系樹脂等のトナー母粒子の構成材料(母粒子材料)が有機溶媒に溶解した樹脂溶液を調製する樹脂溶液調製工程と、前記樹脂溶液中に水系液体を添加することにより、W/O乳化液を経由して、O/W乳化液を調製するO/W乳化液調製工程と、前記O/W乳化液中に含まれる分散質を合一させ、合一粒子を得る合一工程と、前記合一粒子中に含まれる前記有機溶媒を除去し、前記トナー母粒子を形成する有機溶媒除去工程とを経て、懸濁液として調製されるのが好ましい。これにより、水系分散液に含まれる分散質の大きさ、形状の均一性を特に高いものとすることができ、最終的に得られる液体現像剤中に含まれるトナー粒子の粒度分布を非常にシャープなものとすることができ、トナー粒子間での特性のばらつきを特に小さいものとすることができる。以下の説明では、樹脂溶液調製工程とO/W乳化液調製工程と合一工程と有機溶媒除去工程とを経て、水系分散液を調製する場合について、代表的に説明する。
【0075】
(樹脂溶液調製工程)
まず、ロジン系樹脂等を有機溶媒に溶解させた樹脂溶液を調製する。
調製された樹脂溶液は、前述したようなトナー母粒子の構成材料、および、次に述べるような有機溶媒(有機溶剤)を含むものである。
有機溶媒としては、樹脂材料の少なくとも一部を溶解するものであればいかなるものであってもよいが、後述する水系液体よりも沸点が低いものを用いるのが好ましい。これにより、有機溶媒を容易に除去することができる。
【0076】
また、有機溶媒は、後述する水系液体(水系分散媒)との相溶性が低いもの(例えば、25℃における水系液体100gに対する溶解度が30g以下のもの)であるのが好ましい。これにより、後述するO/W乳化液(水系乳化液)中において、母粒子材料で構成された分散質を安定した状態で微分散させることができる。
また、有機溶媒の組成は、例えば、前述したような樹脂材料、着色剤の組成や、水系液体(水系分散媒)の組成等に応じて適宜選択することができる。
【0077】
このような有機溶媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、MEK等のケトン系溶媒、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒等が挙げられる。
樹脂溶液は、例えば、樹脂材料、着色剤、有機溶媒等を、攪拌機等により混合することにより得ることができる。樹脂溶液の調製に用いることのできる攪拌機としては、例えば、DESPA(浅田鉄工社製)、T.K.ロボミクス/T.K.ホモディスパー2.5型翼(プライミクス社製)等の高速攪拌機が挙げられる。
また、攪拌時における材料温度は、20〜60℃であるのが好ましく、30〜50℃であるのがより好ましい。
【0078】
樹脂溶液中における固形分の含有率は、特に限定されないが、40〜75wt%であるのが好ましく、50〜73wt%であるのがより好ましく、50〜70wt%であるのがさらに好ましい。固形分の含有率が前記範囲内の値であると、後述する分散液(水系分散液)を構成する分散質を、より球形度の高いもの(真球に近い形状もの)とすることができ、最終的に得られるトナー粒子の形状を、より確実に好適なものとすることができる。
また、樹脂溶液の調製においては、調製すべき樹脂溶液の構成成分をすべて同時に混合してもよいし、予め、調製すべき樹脂溶液の構成成分のうち一部を混合して混合物(マスター)を得、その後、当該混合物(マスター)を、他の成分と混合してもよい。
【0079】
(O/W乳化液調製工程)
次に、上記樹脂溶液中に水系液体を添加することにより、W/O乳化液を経由して、O/W乳化液を調製する。
水系液体としては、主として水で構成されたものを用いることができる。
水系液体中には、例えば、水との相溶性に優れる溶媒(例えば、25℃での100重量部の水に対する溶解度が、50重量部以上である溶媒)を含むものであってもよい。
【0080】
また、水系液体には、必要に応じて乳化分散剤を添加してもよい。乳化分散剤を添加することにより、より容易に水系乳化液を調製することができる。乳化分散剤としては、特に限定されず、例えば、公知の乳化分散剤を用いることができる。
また、O/W乳化液の調製に際して、例えば、塩基性物質を用いてもよい。これにより、例えば、樹脂材料が有する官能基(例えば、カルボキシル基等)を中和することができ、調製されるO/W乳化液中における分散質の形状、大きさの均一性、分散質の分散性を特に優れたものとすることができ。このため、得られるトナー粒子は、粒度分布が特にシャープなものとなる。塩基性物質は、例えば、樹脂溶液に添加されるものであってもよいし、水系液体に添加されるものであってもよい。また、塩基性物質は、O/W乳化液の調製において、複数回に分けて添加されるものであってもよい。
【0081】
塩基性物質としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、塩基性物質の使用量は、樹脂材料が有する全カルボキシル基を中和するために必要な量の1〜3倍に相当する量(1〜3当量)が好ましく、1〜2倍に相当する量(1〜2当量)がより好ましい。これにより、異形の分散質が形成されるのを効果的に防止することができ、また、後に詳述する合一工程において得られる粒子の粒度分布を、よりシャープなものとすることができる。
【0082】
樹脂溶液への水系液体の添加は、いかなる方法で行うものであってもよいが、樹脂溶液を撹拌しつつ、樹脂溶液に水を含む水系液体を添加することが好ましい。すなわち、攪拌機等により樹脂溶液に剪断を加えつつ、樹脂溶液中に水系液体を徐々に添加(滴下)することにより行い、W/O型の乳化液(W/O乳化液)からO/W型の乳化液(O/W乳化液)に転相させるのが好ましい。これにより、O/W乳化液に含まれる分散質の大きさ、形状の均一性を特に高いものとすることができ、最終的に得られる液体現像剤中に含まれるトナー粒子の粒度分布を非常にシャープなものとすることができ、トナー粒子間での特性のばらつきを特に小さいものとすることができる。
【0083】
O/W乳化液の調製に用いることのできる攪拌機としては、例えば、DESPA(浅田鉄工社製)、T.K.ロボミクス/T.K.ホモディスパー2.5型翼(プライミクス社製)、スラッシャ(三井鉱山社製)、キャビトロン(ユーロテック社製)等の高速攪拌機、あるいは高速分散機等が挙げられる。
また、樹脂溶液への水系液体の添加時には、翼先端速度が10〜20m/秒となるように撹拌を行うことが好ましく、12〜18m/秒となるように撹拌を行うことがより好ましい。翼先端速度が前記範囲内の値であると、O/W乳化液を効率良く得ることができるとともに、O/W乳化液中における分散質の形状、大きさのばらつきを特に小さいものとすることができ、過剰に微細な分散質、粗大粒子の発生を防止しつつ、分散質の均一分散性を特に優れたものとすることができる。
【0084】
O/W乳化液中における固形分の含有率は、特に限定されないが、5〜55wt%であるのが好ましく、10〜50wt%であるのがより好ましい。これにより、O/W乳化液中における分散質同士の不本意な凝集をより確実に防止しつつ、液体現像剤の生産性を特に優れたものとすることができる。
また、本処理における材料温度は、20〜60℃であるのが好ましく、20〜50℃であるのがより好ましい。
【0085】
(合一工程)
次に、複数個の分散質を合一させ、合一粒子を得る。分散質の合一は、通常、有機溶媒を含む分散質が衝突することにより、これらが一体化して進行する。
複数個の分散質の合一は、O/W乳化液を撹拌しながら、O/W乳化液に電解質を添加することにより行う。これにより、容易かつ確実に合一粒子を得ることができる。また、電解質の添加量を調節することにより、容易かつ確実に、合一粒子の粒径、粒度分布を制御することができる。
【0086】
電解質としては、特に限定されず、公知の有機、無機の水溶性の塩等を1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、電解質は、1価のカチオンの塩であることが好ましい。これにより、得られる合一粒子の粒度分布を特にシャープなものとすることができる。また、1価のカチオンの塩を用いることで、本工程において、粗大粒子が発生することを確実に防止することができる。
【0087】
また、上述した中でも、電解質は、硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム)または炭酸塩であることが好ましく、硫酸塩であることが特に好ましい。これにより、合一粒子の粒径を特に容易に制御できる。
本工程で添加される電解質の量は、電解質が添加されるO/W乳化液に含まれる固形分:100重量部に対し、0.5〜3重量部であるのが好ましく、1〜2重量部であるのがより好ましい。これにより、合一粒子の粒径を特に容易かつ確実に制御できるとともに、粗大粒子の発生を確実に防止することができる。
【0088】
また、電解質は、水溶液の状態で添加されるのが好ましい。これにより、速やかにO/W乳化液全体に、電解質を拡散させることができるとともに、電解質の添加量を容易かつ確実に制御することができる。この結果、所望の粒径で、粒度分布が非常にシャープな合一粒子を得ることができる。
また、電解質を水溶液の状態で添加する場合、水溶液中における電解質の濃度は、2〜10wt%であることが好ましく、2.5〜6wt%であることがより好ましい。これにより、特に速やかにO/W乳化液全体に、電解質を拡散させることができ、電解質の添加量を容易かつ確実に制御することができる。また、このような水溶液を加えることにより、電解質を加え終えた際におけるO/W乳化液中の水の含有量が、好適なものとなる。このため、電解質添加後における合一粒子の成長速度を、生産性が落ちない程度に、適度に遅いものとすることができる。結果として、粒径をより確実に制御できる。また、不本意な合一粒子の合一を確実に防止することができる。
【0089】
また、電解質を水溶液で添加する場合、電解質水溶液の添加の速度は、電解質水溶液が添加されるO/W乳化液に含まれる固形分:100重量部に対し、0.5〜10重量部/分であるのが好ましく、1.5〜5重量部/分であるのがより好ましい。これにより、O/W乳化液中で、電解質の濃度のむらが発生することを防止することができ、粗大粒子が発生することを確実に防ぐことができる。また、合一粒子の粒度分布はさらにシャープなものとなる。さらに、このような速度で電解質を添加することで、合一の速度を特に容易に制御でき、合一粒子の平均粒径を制御することが特に容易になるとともに、液体現像剤の生産性を特に優れたものとすることができる。
【0090】
電解質の添加は、複数回に分けて行ってもよい。これにより、容易かつ確実に、所望の大きさの合一粒子を得ることができるとともに、得られる合一粒子の円形度を確実に、十分に大きいものとすることができる。
また、本工程は、O/W乳化液を攪拌した状態で行う。これにより、粒子間での形状、大きさのばらつきが特に小さい合一粒子を得ることができる。
【0091】
O/W乳化液の撹拌には、例えば、アンカー翼、タービン翼、ファウドラー翼、フルゾーン翼、マックスブレンド翼、半月翼等の攪拌翼を用いることができるが、中でも、マックスブレンド翼、フルゾーン翼が好ましい。これにより、添加した電解質をすばやく均一に分散、溶解させて、電解質の濃度むらが発生することを確実に防止することができる。また、分散質を効率良く合一させつつ、一旦形成された合一粒子が崩壊するのをより確実に防止することができる。その結果、粒子間での形状、粒径のばらつきの小さい合一粒子を効率良く得ることができる。
【0092】
攪拌翼の翼先端速度は、0.1〜10m/秒であるのが好ましく、0.2〜8m/秒であるのがより好ましく、0.2〜6m/秒であるのがさらに好ましい。翼先端速度が前記範囲内の値であると、添加した電解質を均一に分散、溶解させて、電解質の濃度むらが発生することを確実に防止することができる。また、分散質をより効率良く合一させつつ、一旦形成された合一粒子が崩壊するのをさらに確実に防止することができる。
得られる合一粒子の平均粒径は、0.5〜5μmであるのが好ましく、1.5〜3μmであるのがより好ましい。これにより、最終的に得られるトナー粒子の粒径を、より確実に適度なものとすることができる。
【0093】
(有機溶媒除去工程)
その後、O/W乳化液中(特に、分散質中)に含まれる有機溶媒を除去する。これにより、トナー母粒子が水系分散媒中に分散した分散液(水系分散液)が得られる。
有機溶媒の除去は、いかなる方法で行ってもよいが、例えば、減圧により行うことができる。これにより、樹脂材料等の構成材料の変性等を十分に防止しつつ、効率良く有機溶媒を除去することができる。
【0094】
また、本工程での処理温度は、合一粒子を構成する樹脂材料のガラス転移点(Tg)よりも低い温度であるのが好ましい。
また、本工程は、O/W乳化液(分散液)に、消泡剤を添加した状態で行ってもよい。これにより、効率良く有機溶媒を除去することができる。
消泡剤としては、例えば、鉱物油系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、シリコーン系消泡剤のほか、低級アルコール類、高級アルコール類、油脂類、脂肪酸類、脂肪酸エステル類、リン酸エステル類等を用いることができる。
【0095】
消泡剤の使用量は、特に限定されないが、O/W乳化液中に含まれる固形分に対して、重量比で、20〜300ppmであるのが好ましく、30〜100ppmであるのがより好ましい。
また、本工程においては、有機溶媒とともに、少なくとも一部の水系液体が除去されてもよい。
なお、本工程においては、必ずしも全ての有機溶媒(分散液中に含まれる有機溶媒の全量)が除去されなくてもよい。このような場合であっても、後述する工程において、残存する有機溶媒を十分に除去することができる。
【0096】
[洗浄工程(第1の洗浄工程)]
次に、上記のようにして得られたトナー母粒子の洗浄を行う。これにより、洗浄されたトナー母粒子を含む分散液(水系分散液)を得ることができる。
本工程を行うことにより、不純物として、有機溶媒等が含まれる場合であっても、これらを効率良く除去することができる。また、本工程を行うことにより、上述した工程で用いた電解質、塩基性物質、酸性物質や、酸塩基反応により生じた塩を効率良く除去することができる。その結果、最終的に得られるトナー粒子中における、揮発性有機化合物(TVOC)量を特に少ないものとすることができる。また、絶縁性液体の電気抵抗を特に高いものとすることができるとともに、トナー粒子の特性の安定性も向上する。
【0097】
本工程は、例えば、固液分離(水系液体からの分離)によりトナー母粒子を分離し、さらにその後、固形分(トナー母粒子)を水系液体(水系分散媒)中に再分散することにより行うことができる。固液分離、および、固形分の水中への再分散は、複数回、繰り返し行ってもよい。なお、洗浄は、固形分(トナー母粒子)を水系液体(水系分散媒)中に再分散した分散液(スラリー)の上澄み液の導電度が20μS/cm以下となるまで行うのが好ましい。
【0098】
[表面改質工程]
次に、上述したようなトナー母粒子を含む分散液(水系分散液)とポリアルキレンイミンとを混合し、上述したようなトナー母粒子をポリアルキレンイミンで表面改質する。
本工程は、水系分散液とポリアルキレンイミンとの混合により行うものであればよいが、分散液(水系分散液)の水素イオン指数(pH)を2〜8に調整した状態で行うのが好ましい。これにより、トナー母粒子の構成材料の不本意な変質等を確実に防止しつつ、ロジン系樹脂を含む材料で構成されたトナー母粒子の表面に存在する酸性基とポリアルキレンイミンとの反応をより効率よく進行させることができ、ポリアルキレンイミンをトナー母粒子表面により強固に結合させることができる。その結果、トナー粒子の長期分散安定性、帯電特性の安定性を特に優れたものとすることができる。上記のように、本工程における分散液(水系分散液)の水素イオン指数(pH)は、2〜8であるのが好ましいが、2.5〜6.5であるのがより好ましく、4〜5であるのがさらに好ましい。これにより、上記のような効果がさらに顕著に発揮される。
【0099】
上述した分散液のpH調整は、例えば、1Nの塩酸等を添加することにより行うことができる。
また、上記分散液とポリアルキレンイミンとの混合後、混合液を1〜3時間程度攪拌するのが好ましい。これにより、トナー母粒子表面をより均一に改質(化学修飾)することができる。
【0100】
また、攪拌は、常温下で行ってもよいし、混合液を30〜40℃程度に加温しつつ行ってもよい。加温して行うことにより、トナー母粒子表面をより効率よく改質(化学修飾)することができる。
本工程でのポリアルキレンイミンの使用量は、ロジン系樹脂:100重量部に対し、0.1〜10重量部であるのが好ましく、0.3〜6.0重量部であるのがより好ましく、0.5〜3.0重量部であるのがさらに好ましい。ポリアルキレンイミンの使用量の使用量が前記範囲内の値であると、最終的に得られる液体現像剤において、過剰のポリアルキレンイミンが絶縁性液体中に溶出する等の不都合を確実に防止しつつ、トナー粒子の長期分散安定性、正帯電の帯電特性を特に優れたものとすることができる。
【0101】
[洗浄工程(第2の洗浄工程)]
次に、上記のようにして得られたトナー粒子の洗浄を行う。
本工程を行うことにより、不純物として、有機溶媒等が含まれる場合であっても、これらを効率良く除去することができる。その結果、最終的に得られるトナー粒子中における、揮発性有機化合物(TVOC)量を特に少ないものとすることができる。また、トナー粒子の特性の安定性も向上する。
【0102】
なお、上記のようにポリアルキレンイミンは、ロジン系樹脂を含むトナー母粒子に強固に結合している。このため、従来の液体現像剤で用いられている分散剤等とは異なり、洗浄処理を施しても、トナー母粒子から脱離・脱落することが確実に防止されている。
本工程は、例えば、固液分離(水系液体からの分離)によりトナー粒子を分離し、さらにその後、固形分(トナー粒子)の水系液体(水系分散媒)中への再分散および固液分離(水系液体からのトナー粒子の分離)をすることにより行うことができる。固形分の水中への再分散および固液分離は、複数回、繰り返し行ってもよい。
【0103】
[乾燥工程]
その後、乾燥処理を施すことにより、トナー粒子を得ることができる。このような工程を行うことにより、確実にトナー粒子中の水分量を十分に低いものとすることができ、最終的に得られる液体現像剤の保存性、特性の安定性を特に優れたものとすることができる。
乾燥工程は、例えば、真空乾燥機(例えば、リボコーン(大川原製作所社製)、ナウター(ホソカワミクロン社製)等)、流動層乾燥機(大川原製作所社製)等を用いて行うことができる。本実施形態では、トナー粒子が、ロジン系樹脂を含む材料で構成されているため、乾燥工程を行った場合であっても、トナー粒子の凝集が確実に防止される。
【0104】
[絶縁性液体中分散工程]
次に、上記のようにして得られたトナー粒子を、絶縁性液体中に分散する。これにより、液体現像剤が得られる。また、本発明では、絶縁性液体は、エポキシ変性化合物を含んで構成されるものである。また、本工程においては、トナー粒子の分散とともに、カチオン型重合開始剤を絶縁性液体中に分散または溶解させる。
【0105】
トナー粒子の絶縁性液体への分散は、いかなる方法を用いてもよく、例えば、絶縁性液体とトナー粒子とをビーズミル、ボールミル等で混合することにより行うことができる。
また、この分散時において、絶縁性液体、トナー粒子以外の成分を混合してもよい。
また、トナー粒子の絶縁性液体への分散は、最終的に得られる液体現像剤を構成する絶縁性液体の全量を用いて行うものであってもよく、絶縁性液体の一部を用いて行うものであってもよい。
【0106】
また、絶縁性液体の一部を用いてトナー粒子を分散する場合、分散した後に、分散に用いた液体と同じ液体を絶縁性液体として添加するものであってもよいし、また、分散した後に、分散に用いた液体とは異なる液体を絶縁性液体として添加するものであってもよい。後者の場合、最終的に得られる液体現像剤の粘度等の特性を容易に調整することができる。
【0107】
また、この分散時において、絶縁性液体、トナー粒子およびカチオン型光重合開始剤以外の成分を混合するものであってもよい。
以上説明したような方法により液体現像剤を製造した場合、含まれるトナー粒子は、その構成材料が均一に分散したものとなるとともに、トナー粒子間での形状のばらつきが小さいものとなる。それにより、粒子表面の表面積が粒子間によって異なることがなくなる。
【0108】
≪画像形成方法および画像形成装置≫
<第1実施形態>
次に、本発明の画像形成方法の第1実施形態について説明する。
本実施形態の画像形成方法は、上述したような本発明の液体現像剤を用いて記録媒体上にカラー画像(トナー画像)を形成するものである。
【0109】
より具体的には、本実施形態の画像形成方法は、複数色の上述したような液体現像剤を用いて、各色に対応した複数の単色像を形成する現像工程と、各色に対応した複数の単色像を記録媒体に転写し、記録媒体上に、複数の単色像を重ね合わせてなる未定着のトナー画像を形成する転写工程(中間転写工程および2次転写工程)と、未定着のトナー画像に紫外線を照射することにより、トナー画像を記録媒体上に定着する定着工程とを有する。
【0110】
以下、本実施形態の画像形成方法について、具体的な画像形成装置を例に挙げて説明する。
図1は、本発明の画像形成方法の第1実施形態が適用される画像形成装置の一例を示す模式図、図1に示す画像形成装置の一部を拡大した拡大図、図3は、現像ローラ上の液体現像剤層内におけるトナー粒子の状態を示す模式図である。
【0111】
画像形成装置1000は、図1、図2に示すように、4つの現像部30Y、30M、30C、30Kと、中間転写部40と、2次転写ユニット(2次転写部)60と、紫外線照射手段(定着装置)F40と、4つの液体現像剤補給部90Y、90M、90C、90Kとを有している。
現像部30Y、30M、30Cは、それぞれ、イエロー系液体現像剤(Y)、マゼンダ系液体現像剤(M)、シアン系の液体現像剤(C)で、潜像を現像し、各色に対応したカラーの単色像を形成する機能を有している。また、現像部30Kは、ブラック系液体現像剤(K)で、潜像を現像し、ブラック(黒)の単色像を形成する機能を有している。
【0112】
現像部30Y、30M、30C、30Kの構成は同様であるので、以下、現像部30Yについて説明する。
現像部30Yは、図2に示すように、像担持体の一例としての感光体10Yと、感光体10Yの回転方向に沿って、帯電ローラ11Yと、露光ユニット12Yと、現像ユニット100Yと、感光体スクイーズ装置101Yと、1次転写バックアップローラ51Yと、除電ユニット16Yと、感光体クリーニングブレード17Yと、現像剤回収部18Yとを有している。
【0113】
感光体10Yは、円筒状の基材とその外周面に形成され、例えばアモルファスシリコン等の材料で構成された感光層を有し、中心軸を中心に回転可能であり、本実施の形態においては、図2中の矢印で示すように時計回りに回転する。
感光体10Yは、後述する現像ユニット100Yにより液体現像剤が供給され、表面に液体現像剤の層が形成されるものである。すなわち、感光体10Yの表面に単色像が現像される(現像工程)。
【0114】
帯電ローラ11Yは、感光体10Yを帯電するための装置であり、露光ユニット12Yは、レーザを照射することによって帯電された感光体10Y上に潜像を形成する装置である。この露光ユニット12Yは、半導体レーザ、ポリゴンミラー、F−θレンズ等を有しており、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ等の不図示のホストコンピュータから入力された画像信号に基づいて、変調されたレーザを帯電された感光体10Y上に照射する。
【0115】
現像ユニット100Yは、感光体10Y上に形成された潜像を、本発明の液体現像剤を用いて現像するための装置である。なお、現像ユニット100Yの詳細については後述する。
感光体スクイーズ装置101Yは、現像ユニット100Yより回転方向下流側に、感光体10Yに対向して配置されており、感光体スクイーズローラ13Yと、該感光体スクイーズローラ13Yに押圧摺接して表面に付着した液体現像剤を除去するクリーニングブレード14Yと、除去された液体現像剤を回収する現像剤回収部15Yとで構成される。この感光体スクイーズ装置101Yは、感光体10Yに現像された現像剤から余剰なキャリア(絶縁性液体)および本来不要なカブリトナーを回収し、顕像内のトナー粒子比率を上げる機能を有する。
【0116】
1次転写バックアップローラ51Yは、感光体10Yに形成された単色像を、後述する中間転写部40に転写するための装置である。
除電ユニット16Yは、1次転写バックアップローラ51Yによって中間転写部40上に中間転写像が転写された後に、感光体10Y上の残留電荷を除去する装置である。
感光体クリーニングブレード17Yは、感光体10Yの表面に当接されたゴム製の部材で、1次転写バックアップローラ51Yによって中間転写部40上に像が転写された後に、感光体10Y上に残存する液体現像剤を掻き落として除去する機能を有している。
【0117】
現像剤回収部18Yは、感光体クリーニングブレード17Yにより除去された液体現像剤を回収する機能を有している。
中間転写部40は、エンドレスの弾性ベルト部材であり、図示しないモータの駆動力が伝達されるベルト駆動ローラ41および一対の従動ローラ44、45に張架されている。また、中間転写部40は、1次転写バックアップローラ51Y、51M、51C、51Kで感光体10Y、10M、10C、10Kと当接しながらベルト駆動ローラ41により反時計回りに回転駆動される。
【0118】
さらに、中間転写部40は、テンションローラ49によって所定のテンションが付与されて、たるみが除去されるようになっている。このテンションローラ49は、一方の従動ローラ44より中間転写部40の回転(移動)方向下流側でかつ他方の従動ローラ45より中間転写部40の回転(移動)方向上流側に配設されている。
この中間転写部40に、1次転写バックアップローラ51Y、51M、51C、51Kにより、現像部30Y、30M、30C、30Kで形成された各色に対応した単色像が順次転写され、各色に対応した単色像が重ね合わされる。これにより、中間転写部40にフルカラー現像剤像(中間転写像)が形成される(中間転写工程)。
【0119】
中間転写部40には、このように複数の感光体10Y、10M、10C、10Kに形成した単色像を順次2次転写して重ね合わせて担持し、後述する2次転写ユニット60において一括して紙、フィルム、布等の記録媒体F5に2次転写する。そのため、2次転写行程において記録媒体F5にトナー像を転写するに当たって、記録媒体F5表面が繊維質などによって平滑でないシート材であっても、この非平滑なシート材表面に倣って2次転写特性を向上させる手段として、弾性ベルト部材を採用している。
【0120】
また、中間転写部40には、中間転写部クリーニングブレード46、現像剤回収部47、非接触式バイアス印加部材48からなるクリーニング装置が配置されている。
中間転写部クリーニングブレード46および現像剤回収部47は、従動ローラ45側に配されている。
中間転写部クリーニングブレード46は、2次転写ユニット(2次転写部)60によって記録媒体F5上に像が転写された後に、中間転写部40上に付着した液体現像剤を掻き落として除去する機能を有している。
【0121】
現像剤回収部47は、中間転写部クリーニングブレード46により除去された液体現像剤を回収する機能を有している。
非接触式バイアス印加部材48はテンションローラ49に対向する位置に中間転写部40から離間して配設されている。この非接触式バイアス印加部材48は、二次転写後に中間転写部40上に残留する液体現像剤のトナー(固形分)に、このトナーと逆極性のバイアス電圧を印加するものである。これにより、トナーが除電されて中間転写部40へのトナーの静電付着力が低減されるようにしている。この例では、非接触式バイアス印加部材48として、コロナ帯電器が用いられている。
【0122】
なお、非接触式バイアス印加部材48は、必ずしもテンションローラ49に対向する位置に配設する必要はなく、例えば従動ローラ42とテンションローラ49との間の位置等、従動ローラ44より中間転写部の移動方向下流側で、かつ、従動ローラ45より中間転写部の移動方向上流側の任意の位置に配設することができる。また、非接触式バイアス印加部材48はコロナ帯電器以外の公知の非接触式帯電器を用いることもできる。
【0123】
また、1次転写バックアップローラ51Yより中間転写部40の移動方向下流側に、中間転写部スクイーズ装置52Yが配されている。
この中間転写部スクイーズ装置52Yは、中間転写部40上に転写された液体現像剤が望ましい分散状態に至っていない場合に、転写された液体現像剤から余剰の絶縁性液体を除去する手段として設けられている。
【0124】
中間転写部スクイーズ装置52Yは、中間転写部スクイーズローラ53Yと、中間転写部スクイーズローラ53Yに押圧摺接して表面をクリーニングする中間転写部スクイーズクリーニングブレード55Yと、中間転写部スクイーズクリーニングブレード55Yで除去された液体現像剤を回収する現像剤回収部56Yとから構成される。
中間転写部スクイーズ装置52Yは、中間転写部40に1次転写された現像剤から余剰な絶縁性液体を回収し、像内のトナー粒子比率を上げると共に、本来不要なカブリトナーを回収する機能を有する。
【0125】
2次転写ユニット60は、互いに転写材移動方向に沿って所定間隔離間して配置された一対の2次転写ローラを備えている。これらの一対の2次転写ローラのうち、中間転写部40の移動方向の上流側に配置される2次転写ローラが上流側2次転写ローラ64である。この上流側2次転写ローラ64は、ベルト駆動ローラ41に中間転写部40を介して圧接可能となっている。
【0126】
また、一対の2次転写ローラのうち、転写材の移動方向の下流側に配置される2次転写ローラが下流側2次転写ローラ65である。この下流側2次転写ローラ65は、従動ローラ44に中間転写部40を介して圧接可能となっている。
すなわち、上流側2次転写ローラ64、下流側2次転写ローラ65は、それぞれ、ベルト駆動ローラ41および従動ローラ44に掛けられた中間転写部40に記録媒体F5を当接させて、中間転写部40上に色重ねして形成された中間転写像を記録媒体F5に2次転写する(2次転写工程)。
【0127】
この場合、ベルト駆動ローラ41および従動ローラ44は、それぞれ上流側2次転写ローラ64、下流側2次転写ローラ65のバックアップローラとしても機能する。すなわち、ベルト駆動ローラ41は、2次転写ユニット60において従動ローラ44より記録媒体F5の移動方向上流側に配置される上流側バックアップローラとして兼用される。また、従動ローラ44は、2次転写ユニット60においてベルト駆動ローラ41より記録媒体F5の移動方向下流側に配置される下流側バックアップローラとして兼用される。
【0128】
したがって、2次転写ユニット60に搬送されてきた記録媒体F5は、上流側2次転写ローラ64とベルト駆動ローラ41との圧接開始位置(ニップ開始位置)から下流側2次転写ローラ65と従動ローラ44との圧接終了位置(ニップ終了位置)までの転写材の所定の移動領域で中間転写部40に密着される。これにより、中間転写部40上のフルカラーの中間転写像が、中間転写部40に密着した状態の記録媒体F5に所定時間にわたって2次転写されるので、良好な2次転写が行われる。
【0129】
また、2次転写ユニット60は、上流側2次転写ローラ64に対して、2次転写ローラクリーニングブレード66と、現像剤回収部67とを備えている。また、2次転写ユニット60は、下流側2次転写ローラ65に対して、2次転写ローラクリーニングブレード68と、現像剤回収部69とを備えている。各2次転写ローラクリーニングブレード66、68は、それぞれ2次転写ローラ64、65に当接されて2次転写後に各2次転写ローラ64、65の表面に残留する液体現像剤を掻き落として除去する。また、各現像剤回収部67、69は、それぞれ各2次転写ローラクリーニングブレード66、68によって各2次転写ローラ64、65から掻き落とされた液体現像剤を回収して貯留する。
【0130】
2次転写ユニット60により記録媒体F5上に転写されたトナー画像(転写像)F5aは、紫外線照射手段(定着装置)F40に送られ、定着される(定着工程)。
紫外線照射手段F40は、上記のようにして排出された記録媒体F5のトナー画像F5aが形成されている面に対して紫外線を照射する機能を有している。紫外線照射手段F40からトナー画像F5aに紫外線が照射されることにより、トナー画像F5aを構成する絶縁性液体が固化される。これにより、トナー粒子は記録媒体に強固に定着され、トナー画像F5aの記録媒体F5に対する定着強度は優れたものとなる。本発明の画像形成方法は、この定着工程に特徴を有するものである。
【0131】
また、本発明の液体現像剤は、紫外線等のエネルギー線が照射されると、カチオン型光重合開始剤が活性化し、絶縁性液体がトナー粒子を固定しつつ速やかに固化するものである。したがって、従来から用いられているような、トナー粒子を熱により溶融して、記録媒体と定着させる熱定着に比べて、定着に要する時間を大幅に短縮することができる。その結果、印刷速度の高速化を容易に図ることができる。さらに、トナー画像F5aを記録媒体F5に定着させるのに大きい熱量を必要としないため、省エネルギー化も図ることができる。
【0132】
また、本発明の画像形成方法では、トナー画像F5aに非接触な状態で、トナー画像F5aを記録媒体F5に定着させることができる。これにより、トナー画像を記録媒体に接触方式で定着(例えば、トナー画像上から加熱したローラを押し当てて定着させる方式等)させた場合に比べて、得られるトナー画像F5aは滲みのない、鮮明なものとなる。
また、紫外線照射手段F40から照射される紫外線の照射エネルギーは、25〜500mJ/cmであるのが好ましく、40〜500mJ/cmであるのがより好ましい。これにより、液体現像剤中に含まれるカチオン型光重合開始剤がより確実に活性化され、エポキシ変性化合物の硬化反応、重合反応をより効率良く引き起こすことができる。その結果、トナー画像F5aを、記録媒体F5により短時間で、かつより強固に定着させることができる。
【0133】
また、紫外線照射手段F40における記録媒体F5(トナー画像F5a)の搬送速度は、50〜1000mm/secであるのが好ましく、200〜700mm/secであるのがより好ましい。本発明の液体現像剤を用いた画像形成では、上述したような範囲の速い搬送速度において、トナー画像F5aを記録媒体F5に強固に定着させることができる。
【0134】
また、上述した紫外線照射手段F40において定着されたトナー画像F5aに対して、さらに加熱および加圧する手段を設けてもよい。これにより、トナー画像F5aの記録媒体F5に対する定着強度をさらに優れたものとすることができる。
なお、トナー画像F5aを加熱する場合、このような加熱温度は、具体的には、70〜160℃であるのが好ましく、100〜150℃であるのがより好ましく、100〜140℃であることがさらに好ましい。
【0135】
次に、現像ユニット100Y、100M、100C、100Kについて、詳細に説明する。なお、以下の説明では、代表的に、現像ユニット100Yについて説明する。
現像ユニット100Yは、図2に示すように、液体現像剤貯留部31Yと、塗布ローラ32Yと、規制ブレード33Yと、現像剤攪拌ローラ34Y、連通部35Yと、回収スクリュー36Yと、現像ローラ20Yと、現像ローラクリーニングブレード21Yと、コロナ放電器(圧縮手段)25Yとを有している。
【0136】
液体現像剤貯留部31Yは、感光体10Yに形成された潜像を現像するための液体現像剤を貯留する機能を備えており、液体現像剤を現像部に供給する供給部31aYと、供給部31aY等で発生した余剰の液体現像剤を回収する回収部31bYと、供給部31aYと回収部31bYとを仕切る仕切31cYとを備えている。
供給部31aYは、液体現像剤を塗布ローラ32Yに供給する機能を有し、現像剤撹拌ローラ34Yを設置した凹状の部分を有する。また、供給部31aYには、液体現像剤貯留部31Yから連通部35Yを通じて液体現像剤が供給される。
【0137】
回収部31bYは、供給部31aYに過剰に供給された液体現像剤や現像剤回収部15Y、24Yで生じた余剰な液体現像剤を回収するものである。回収された液体現像剤は、後述する液体現像剤混合槽93Yに搬送され、再利用される。また、回収部31bYは、凹状の部分を有し、その底付近に回収スクリュー36Yが設置されている。
供給部31aYと回収部31bYとの境界には、壁状の仕切31cYが設けられている。仕切31cYは、供給部31aYと回収部31bYとを仕切り、回収された液体現像剤の新鮮な液体現像剤への混入を防ぐことができる。また、供給部31aYに過剰の液体現像剤が供給された際に、過剰分の液体現像剤は、仕切31cYを超えて供給部31aYから回収部31bYへあふれ出ることができる。このため、供給部31aYの液体現像剤の量が一定に保持されることができ、塗布ローラ32Yに供給される液体現像剤の液量を一定に維持することができる。このため、最終的に形成される画像の画質が安定したものとなる。
また、仕切31cYには、切欠部が設けられており、切欠部を通じて液体現像剤が供給部31aYから回収部31bYへあふれ出ることができる。
【0138】
塗布ローラ32Yは、液体現像剤を現像ローラ20Yへ供給する機能を備えたものである。
この塗布ローラ32Yは、鉄等金属性のローラの表面に溝が均一かつ螺旋状に形成されニッケルメッキが施された、いわゆるアニロクスローラを呼称されるものであり、その直径は約25mmである。本実施形態では、塗布ローラ32Yの回転方向に対して斜めに複数の溝が、いわゆる切削加工や転造加工等によって形成されている。この塗布ローラ32Yは、反時計回りに回転しながら液体現像剤に接触することによって、溝に、供給部31aY内の液体現像剤を担持して、該担持した液体現像剤を現像ローラ20Yへ搬送する。
【0139】
規制ブレード33Yは、塗布ローラ32Yの表面に当接して、塗布ローラ32Y上の液体現像剤の量を規制する。すなわち、当該規制ブレード33Yは、塗布ローラ32Y上の余剰液体現像剤を掻き取って、現像ローラ20Yに供給する塗布ローラ32Y上の液体現像剤を計量する役割を果たす。この規制ブレード33Yは、弾性体としてのウレタンゴムからなり、鉄等金属製の規制ブレード支持部材より支持されている。また、規制ブレード33Yは、塗布ローラ32Yが回転して液体現像剤から進出する側(すなわち、図2中右側)に設けられている。なお、規制ブレード33Yのゴム硬度は、JIS−Aで約77度であり、規制ブレード33Yの、塗布ローラ32Y表面への当接部の硬度(約77度)は、後述する現像ローラ20Yの弾性体の層の塗布ローラ32Y表面への圧接部の硬度(約85度)よりも低くなっている。また、掻き取られた余剰の液体現像剤は、供給部31aYに回収され、再利用される。
【0140】
現像剤攪拌ローラ34Yは、液体現像剤を一様分散状態に攪拌する機能を備えたものである。これにより、複数個のトナー粒子1が凝集した場合であっても、トナー粒子1同士を好適に分散させることができる。
供給部31aY内において、液体現像剤の中のトナー粒子1はプラスの電荷を有し、液体現像剤は、現像剤撹拌ローラ34Yにより撹拌されて一様分散状態になり、塗布ローラ32Yが回転することによって、液体現像剤貯留部31Yから汲み上げられ、規制ブレード33Yによって液体現像剤量が規制されて現像ローラ20Yに供給される。また、現像剤攪拌ローラ34Yによって攪拌されることにより、仕切31cYを超えて回収部31bY側に液体現像剤を安定して溢れさせることができ、液体現像剤が滞留し圧縮することを防ぐことができる。
【0141】
さらに、現像剤攪拌ローラ34Yは、連通部35Y付近に設けられている。このため、連通部35Yから供給された液体現像剤が素早く拡散することができ、液体現像剤が供給部31aYに補給されている場合であっても、供給部31aYの液面を安定したものとすることができる。このような現像剤攪拌ローラ34Yが連通部35Y付近に設けられることにより、連通部35Yが負圧になり、自然に液体現像剤が吸い上げられることができる。
【0142】
連通部35Yは、現像剤攪拌ローラ34Y鉛直下方に対して設けられ、液体現像剤貯留部31Yと連通し、液体現像剤混合槽93Yから液体現像剤を供給部31aYへ吸い上げる部分である。
連通部35Yを現像剤攪拌ローラ34Yの下方に設けることにより、連通部35Yから供給される液体現像剤は、現像剤攪拌ローラ34Yに止められることになり、吹き出しによる液上面の盛り上がりがなく、液上面がほぼ一定に保持され、塗布ローラ32Yに安定して現像剤を供給できる。
【0143】
また、回収部31bYの底部付近に設けられた回収スクリュー36Yは、円筒状の部材からなり、外周に螺旋状のリブを有し、回収した液体現像剤が流動性を保つ機能を有するとともに、液体現像剤の液体現像剤混合槽93Yへの搬送を促進させる機能を有している。
現像ローラ20Yは、感光体10Yに担持された潜像を液体現像剤により現像するために、液体現像剤を担持して感光体10Yと対向する現像位置に搬送する。
【0144】
現像ローラ20Yは、その表面に、前述した塗布ローラ32Yから液体現像剤を供給することにより、液体現像剤層201Yを形成するものである。
この現像ローラ20Yは、鉄等金属製の内芯の外周部に、導電性を有する弾性体の層を備えたものであり、その直径は約20mmである。また、弾性体の層は、二層構造になっており、その内層として、ゴム硬度がJIS−A約30度で、厚み約5mmのウレタンゴムが、その表層(外層)として、ゴム硬度がJIS−A約85度で、厚み約30μmのウレタンゴムが備えられている。そして、現像ローラ20Yは、前記表層が圧接部となって、弾性変形された状態で塗布ローラ32Yおよび感光体10Yのそれぞれに圧接している。
【0145】
また、現像ローラ20Yは、その中心軸を中心として回転可能であり、当該中心軸は、感光体10Yの回転中心軸よりも下方にある。また、現像ローラ20Yは、感光体10Yの回転方向(図2において時計方向)と逆の方向(図2において反時計方向)に回転する。なお、感光体10Y上に形成された潜像を現像する際には、現像ローラ20Yと感光体10Yとの間に電界が形成される。
【0146】
コロナ放電器(圧縮手段)25Yは、現像ローラ20Yに担持された液体現像剤のトナーを圧縮状態にする機能を備えた装置である。言い換えると、コロナ放電器25Yは、前述した液体現像剤層201Yに対してトナー粒子1と同極性の電界を印加することにより、図3に示すように、液体現像剤層201Y中において、現像ローラ20Yの表面近傍にトナー粒子1を偏在させる機能を備えた装置である。このようにトナー粒子を偏在させることにより、現像濃度(現像効率)を向上させることができ、その結果、品質の高い鮮明な画像を得ることができる。
【0147】
なお、現像ユニット100Yにおいて、塗布ローラ32Yと現像ローラ20Yとは、異なる動力源(図示せず)によって、別駆動している。そして、塗布ローラ32Yと現像ローラ20Yと回転速度(線速度)比を変えることで、現像ローラ20Y上に供給される液体現像剤の量を調整することができる。
また、現像ユニット100Yは、現像ローラ20Yの表面に当接されたゴム製の現像ローラクリーニングブレード21Yと、現像剤回収部24Yとを有している。この現像ローラクリーニングブレード21Yは、前記現像位置で現像が行われた後に、現像ローラ20Y上に残存する液体現像剤を掻き落として除去するための装置である。現像ローラクリーニングブレード21Yにより除去された液体現像剤は、現像剤回収部24Y内に回収される。
【0148】
また、図1、図2に示すように、画像形成装置1000は、液体現像剤を現像部30Y、30M、30C、30Kに補給する液体現像剤補給部90Y、90M、90C、90Kを備えている。これらの液体現像剤補給部90Y、90M、90C、90Kは、それぞれ、液体現像剤タンク91Y、91M、91C、91Kと、絶縁性液体タンク92Y、92M、92C、92Kと、液体現像剤混合槽93Y、93M、93C、93Kとを備えている。
【0149】
各液体現像剤タンク91Y、91M、91C、91Kには、それぞれ各色に対応した高濃度の液体現像剤が収納されている。また、各絶縁性液体タンク92Y、92M、92C、92Kには、それぞれ絶縁性液体が収納されている。さらに、各液体現像剤混合槽93Y、93M、93C、93Kには、各液体現像剤タンク91Y、91M、91C、91Kからの所定量の各高濃度液体現像剤と、各絶縁性液体タンク92Y、92M、92C、92Kからの所定量の各絶縁性液体とが供給されるようになっている。
【0150】
そして、各液体現像剤混合槽93Y、93M、93C、93Kは、それぞれ、供給された各高濃度液体現像剤および各絶縁性液体をそれぞれ備え付けられた攪拌装置により混合撹拌して、各供給部31aY、31aM、31aC、31aKで使用する各色に対応した液体現像剤を作製する。各液体現像剤混合槽93Y、93M、93C、93Kでそれぞれ作製された各液体現像剤は、それぞれ各供給部31aY、31aM、31aC、31aKに供給されるようになっている。
【0151】
また、液体現像剤混合槽93Yには、回収部31bYで回収された液体現像剤が回収され、再利用される。液体現像剤混合槽93M、93C、93Kも同様である。
なお、上記装置を用いた画像形成は、色の異なる複数の液体現像剤を用いて、感光体10(10Y、10M、10C、10K)に、各色に対応する複数の単色像を形成する現像工程と、感光体10に形成された複数の単色像を記録媒体F5に転写し、記録媒体F5上に複数の単色像を重ね合わせてなる未定着のトナー画像F5aを形成する転写工程と、未定着のトナー画像F5aに紫外線を照射することにより、未定着のトナー画像F5aを記録媒体F5上に定着する定着工程とにより行う。このような方法を用いることにより、記録媒体F5上にトナー画像F5aを速やかに定着することができ、その結果、高速での画像形成が可能となる。
【0152】
<第2実施形態>
次に、本発明の画像形成方法の第2実施形態について説明する。
本実施形態の画像形成方法は、未定着のトナー画像に対して、熱処理を行ってから、紫外線を照射することにより、記録媒体上にトナー画像を定着させる定着工程を有する点で、前記第1実施形態の画像形成方法とは異なる。
【0153】
以下、本実施形態の画像形成方法について、具体的な画像形成装置を例に挙げて説明する。
図4は、本発明の画像形成方法の第2実施形態が適用される画像形成装置の一例を示す模式図である。
図4に示す画像形成装置1000’は、定着装置F40’として、加熱ローラ(加熱手段)F41と、紫外線照射手段F42とを備えている以外は、前述した画像形成装置1000と同様の構成を有している。
【0154】
本実施形態の定着装置F40を構成する加熱ローラ(加熱手段)F41は、2次転写ユニット60と紫外線照射手段F40との間に設けられている。このような加熱ローラF41は、図4に矢印で示す反時計方向に回転し、記録媒体F5を紫外線照射手段F42に搬送しながら、加熱ローラF41に接触した記録媒体F5上に転写された未定着のトナー画像F5aを加熱するものである。
【0155】
また、紫外線照射手段F42は、前記第1実施形態で説明した紫外線照射手段F40と同様の構成を有するものであるため、本実施形態では説明を省略する。
画像形成装置1000’を用いた画像形成方法では、2次転写ユニット60で記録媒体F5上に転写されたトナー画像F5aが、加熱ローラF41において加熱された後に、紫外線照射手段F42において紫外線が照射されて、記録媒体F5に定着する。このような画像形成方法では、加熱ローラF41において、トナー画像F5aが加熱されることにより、トナー画像F5aを構成するトナー粒子が溶融する。そして、紫外線照射手段F42において、かかるトナー画像F5aに紫外線を照射し、絶縁性液体を固化する際に、溶融した状態のトナー粒子を記録媒体F5に強固に定着させることができる。そして、トナー粒子を記録媒体F5に定着させる際に、トナー粒子が溶融状態にあることから、隣接するトナー粒子同士が混ざり合って、トナー画像F5aの発色性が優れたものとなる。また、このように溶融したトナー粒子は、トナー粒子自身が紙等の記録媒体F5の表面付近に入り込み、記録媒体F5とトナー粒子との密着性が向上する。その結果、トナー画像F5aの定着強度は特に優れたものとなる。
【0156】
また、加熱ローラF41において、トナー画像F5aが転写された記録媒体F5を加熱する温度は、70〜160℃であるのが好ましく、100〜150℃であるのがより好ましく、100〜140℃であるのがさらに好ましい。
なお、上記の説明では、加熱手段としてローラ状のものについて説明したが、これに限定されず、例えば、トナー画像に対して熱風を吹き付ける方法であってもよい。
【0157】
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、本発明の液体現像剤は、前述したような画像形成方法および画像形成装置に適用されるものに限定されない。
また、本発明の画像形成方法は、前述したような画像形成装置に適用されるものに限定されない。
【0158】
また、本発明の液体現像剤は、前述したような製造方法により製造されたものに限定されない。
また、前述した実施形態では、水系乳化液を得、該水系乳化液に電解質を添加することにより合一粒子を得るものとして説明したが、本発明は、これに限定されない。例えば、合一粒子は、水系液体に、着色剤とモノマーと界面活性剤と重合開始剤とを分散させ、乳化重合により、水系乳化液を調製し、該水系乳化液に電解質を添加して会合させる乳化重合会合法を用いて調製されたものであってもよいし、得られた水系乳化液を噴霧乾燥することにより合一粒子を得るものであってもよい。
また、前述した実施形態では、画像形成装置として、コロナ放電器を有する構成について説明したが、コロナ放電器は無くてもよい。
【実施例】
【0159】
[1]液体現像剤の製造
実施例に先立ち、液体現像剤の製造に用いるトナー粒子A〜トナー粒子Jを製造した。温度が記載されていない工程については、室温(25℃)で行った。
<トナー粒子Aの製造>
[分散液準備工程(水系分散液準備工程)]
(着色剤マスター溶液の調製)
まず、樹脂材料として、ポリエステル樹脂L(重量平均分子量Mw:5,200、ガラス転移温度:46℃、軟化温度:95℃、酸価:10.0mgKOH/g):60重量部を用意した。
【0160】
次に、上記樹脂材料と、着色剤としてのシアン系顔料(大日精化社製、ピグメントブルー15:3)との混合物(質量比50:50)を用意した。これらの各成分を20L型のヘンシェルミキサーを用いて混合し、トナー製造用の原料を得た。
次に、この原料(混合物)を2軸混練押出機を用いて混練した。2軸混練押出機の押出口から押し出された混練物を冷却した。
上記のようにして冷却された混練物を粗粉砕し、平均粒径:1.0mm以下の着色剤マスターバッチとした。混練物の粗粉砕にはハンマーミルを用いた。
【0161】
(樹脂溶液調製工程)
上記着色剤マスターバッチ:97.5重量部にメチルエチルケトン:175重量部、前記ポリエステル樹脂L:117.0重量部、ポリエステル樹脂H(重量平均分子量Mw:237,000、ガラス転移温度:63℃、軟化温度:182℃、酸価:9.8mgKOH/g):55.3重量部、フェノール変性ロジン樹脂(荒川化学工業社製、商品名「タマノル145」、酸価:18mgKOH/g以下、軟化点:140〜155、重量平均分子量:10000〜20000):55.3重量部を高速分散機(プライミクス社製、T.K.ロボミクス/T.K.ホモディスパー2.5型翼)で混合し、乳化剤としてのネオゲンSC−F(第一工業製薬社製):1.38重量部を加えて樹脂溶液を作製した。なお、この溶液中において、顔料は均一に微分散していた。
【0162】
(O/W乳化液調製工程)
次いで容器内の樹脂溶液に1規定アンモニア水:72.8重量部を加えて、高速分散機(プライミクス社製、T.K.ロボミクス/T.K.ホモディスパー2.5型翼)により、攪拌翼の翼先端速度を7.5m/sとして十分に攪拌し、フラスコ内の溶液の温度を25℃に調整し、その後攪拌翼の翼先端速度を14.7m/sとして攪拌を行いつつ、400重量部の脱イオン水を滴下し、さらに、攪拌を継続しながら、脱イオン水:100重量部を加えることにより、W/O乳化液を経由して、樹脂材料を含む分散質が分散したO/W乳化液を得た。
【0163】
(合一工程)
次に、W/O乳化液を、マックスブレンド翼を有した攪拌容器に移し、攪拌翼の翼先端速度を1.0m/sとして攪拌を行いながらW/O乳化液の温度を25℃とした。
次に、同様の温度、攪拌条件を保ちつつ、5.0%の硫酸ナトリウム水溶液:200重量部を滴下し、分散質の合一を行い、合一粒子の形成を行った。滴下後、合一粒子についての50%体積粒径Dv(50)[μm]が2.5μmに成長するまで攪拌を続けた。合一粒子のDv(50)が2.5μmになったら、脱イオン水:200重量部を添加し、合一を終了した。
(有機溶媒除去工程)
次に、合一粒子を含むW/O乳化液を減圧環境下に置き、固形分含有量が23wt%となるまで有機溶媒を留去し、トナー母粒子のスラリー(分散液)を得た。
【0164】
[洗浄工程(第1の洗浄工程)]
次に、スラリー(分散液)に対し、固液分離を行い、さらに水中への再分散(リスラリー)、固液分離を繰り返し行うことによる洗浄処理を施した。なお、スラリーの上澄み液の導電度が20μS/cm以下となるまで、洗浄処理を行った。
その後、吸引ろ過法により、トナー母粒子のウェットケーキ(トナー母粒子ケーキ)を得、このウェットケーキを水中に分散することにより、洗浄されたトナー母粒子を含む分散液(水系分散液)を得た。
【0165】
[表面改質工程]
次に、洗浄されたトナー母粒子を含む分散液(水系分散液)に、1N塩酸を加えることにより、水素イオン指数(pH)を4.0に調整した。
その後、この水素イオン指数(pH)が4.0に調整された分散液(水系分散液)に、ポリエチレンイミン(数平均分子量:70000)を滴下しつつ攪拌した。このとき、ポリエチレンイミンは、ロジン系樹脂:100重量部に対して1.0重量部となるように、添加した。さらにその後、十分に攪拌を行い、分散液全体が十分に均一な組成となるようにした。
【0166】
[洗浄工程(第2の洗浄工程)]
次に、トナー粒子が分散した分散液に対し、固液分離を行い、さらに水中への再分散(リスラリー)、固液分離を繰り返し行うことによる洗浄処理を施した。その後、吸引ろ過法により、トナー粒子のウェットケーキ(トナー粒子ケーキ)を得た。このようにして得られたウェットケーキの含水率は35wt%であった。なお、固液分離により分離された液相・ろ液を調べたところ、ポリエチレンイミンは検出されなかった。
【0167】
[乾燥工程]
その後、真空乾燥機を用いて、得られたウェットケーキを乾燥することにより、トナー母粒子がポリエチレンイミンで表面改質(化学修飾)されたシアン系のトナー粒子Aを得た。
また、シアン系顔料の代わりに、マゼンダ系顔料:ピグメントレッド238(山陽色素社製)、イエロー系顔料:ピグメントイエロー180(クラリアント社製)、ブラック系顔料:カーボンブラック(デグサ社製、Printex L)に、それぞれ変更した以外は、上記と同様にして、マゼンダ系のトナー粒子A、イエロー系のトナー粒子A、ブラック系のトナー粒子Aを製造した。
【0168】
<トナー粒子B〜トナー粒子Hの製造>
用いる樹脂材料の種類、含有量および、表面改質に用いるポリエチレンイミンの重量平均分子量、使用量を表1に示すようにした以外は、前記トナー粒子Aと同様にして、トナー粒子B〜トナー粒子Hを製造した。
<トナー粒子Iの製造>
用いる樹脂材料の種類、含有量を表1に示すように変更し、ポリエチレンイミンによる表面改質を行わなかった以外は、前記トナー粒子Aと同様にして、トナー粒子Iを製造した。
<トナー粒子Jの製造>
用いる樹脂材料として、ロジン系樹脂を用いず、ポリエステル樹脂L、Hの含有量を表1に示すようにした以外は、前記トナー粒子Aと同様にして、トナー粒子Jを製造した。
【0169】
表1に各トナー粒子の製造に用いられた材料およびその含有量、使用量を示す。なお、表中、ポリエステル樹脂(重量平均分子量Mw:5,200、ガラス転移温度:46℃、軟化温度:95℃、酸価:10.0mgKOH/g)をL、ポリエステル樹脂(重量平均分子量Mw:237,000、ガラス転移温度:63℃、軟化温度:182℃、酸価:9.8mgKOH/g)をH、スチレン−アクリル酸エステル共重合体をST−AC、ポリエステル変性ロジン樹脂(荒川化学工業社製、商品名「TFS−015」、酸価:11.8mgKOH/g、軟化点:79℃、重量平均分子量:1300)をRPES、フェノール変性ロジン樹脂(荒川化学工業社製、商品名「タマノル145」、酸価:18mgKOH/g以下、軟化点:140〜155、重量平均分子量:10000〜20000)をRPH、マレイン酸変性ロジン樹脂(荒川化学工業社製、商品名「マルキードNo.1」、酸価:25mgKOH/g以下、軟化点:120〜130、重量平均分子量:3100)をRM、ポリエチレンイミンをPEIで示した。
【0170】
【表1】

【0171】
<液体現像剤の製造>
次に、以下のようにして液体現像剤を製造した。温度が記載されていない工程については、室温(25℃)で行った。
(実施例1)
[絶縁性液体中分散工程]
上記の方法で得られたシアン系のトナー粒子A:37.5重量部、カチオン型光重合開始剤としてのヨードニウム(4-メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]−ヘキサフルオロフォスフェート:3.0重量部、増感剤としての9,10−ジブトキシアントラセン:3.0重量部、エポキシ変性化合物としてのエポキシ化大豆油:90重量部、大豆油とメタノールとのエステル交換反応により生成された大豆油エステル交換液(粘度5.1mPa・s、日清オイリオ社製、商品名「大豆油脂肪酸メチル」):60重量部をセラミック製ポット(内容積600ml)に入れ、さらにジルコニアボール(ボール直径:1mm)を体積充填率85%になるようにセラミック製ポットに入れ、卓上ポットミルにて回転速度230rpmで24時間分散を行った。これにより、シアン系液体現像剤が得られた。なお、前述したエポキシ化大豆油としては、大豆油を過酢酸で酸化(エポキシ変性)させることにより得られた化合物を用いた。
【0172】
得られた液体現像剤中における、トナー粒子のDv(50)は、1.8μmであった。なお、得られたトナー粒子の50%体積粒径Dv(50)[μm]は、Mastersizer 2000粒子解析装置(Malvern Instruments Ltd.製)にて測定を行った。また、以下に説明する各実施例、各比較例で得られた粒子についても同様にして、粒径を求めた。
【0173】
また、得られた液体現像剤の25℃における粘度は、50mPa・sであった。
また、シアン系のトナー粒子Aの代わりに、マゼンダ系のトナー粒子A、イエロー系のトナー粒子A、ブラック系のトナー粒子Aに変更した以外は、上記と同様にして、マゼンダ系液体現像剤、イエロー系液体現像剤、ブラック系液体現像剤を製造した。
(実施例2〜15)
液体現像剤の各種材料の種類、含有量等を表3に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にして各色に対応する液体現像剤を製造した。
【0174】
(比較例1)
ロジン系樹脂を用いず、その分だけポリエステル樹脂の使用量を増やした以外は、前記実施例1と同様にして各色に対応する液体現像剤を製造した。なお、洗浄工程(第2の洗浄工程)において固液分離により分離された液相・ろ液を調べたところ、ポリアルキレンイミンが含まれていることが確認された。
【0175】
(比較例2)
絶縁性液体中として、エポキシ化大豆油の代わりに、流動パラフィン(コスモ石油社製、商品名「コスモホワイトP−70」)を用いた以外は、前記実施例1と同様にして各色に対応する液体現像剤を製造した。
(比較例3)
絶縁性液体中として、エポキシ化大豆油の代わりに、大豆油(日清オイリオ社製、商品名:「大豆白絞油」)を用いた以外は、前記実施例1と同様にして各色に対応する液体現像剤を製造した。
(比較例4)
カチオン型光重合開始剤を用いなかった以外は、前記実施例1と同様にして各色に対応する液体現像剤を製造した。
【0176】
表2に、各実施例および各比較例で用いたエポキシ変性化合物を示す。なお、表2中、上述したエポキシ化大豆油を化合物A、大豆油を過酢酸で酸化させることにより得られるエポキシ化亜麻仁油を化合物B、菜種油を過酢酸で酸化させることにより得られるエポキシ化菜種油を化合物C、化合物Cのエポキシ化菜種油と同様の製法で、異なるヨウ素価を有するエポキシ化菜種油を化合物D、ポリシロキサンの側鎖の一部と、両末端のメチル基をエポキシ基含有アルキル基に置換したエポキシ変性シリコーンオイル(信越シリコーン社製、商品名「X−22−9002」)を化合物Eで示している。
【0177】
また、表3に、各実施例および各比較例の液体現像剤の構成材料およびその液体現像剤中における含有量を示す。なお、表3中、ヨードニウム(4-メチルフェニル)[4-(2-メチルプロピル)フェニル]-ヘキサフルオロフォスフェートをa、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェートをb、9,10−ジブトキシアントラセンをc、9,10−ジエトキシアントラセンをd、アラキード251をeで示した。また、流動パラフィンは、コスモホワイトP−70(コスモ石油社製、商品名)であり、大豆油、大豆油脂肪酸メチルは、菜種油脂肪酸メチルは、日清オイリオ社製のものを用いた。
【0178】
【表2】

【0179】
【表3】

【0180】
[2]評価
上記のようにして得られた各液体現像剤について、以下のような評価を行った。
[2.1]定着強度
図1、図2に示すような画像形成装置を用いて、前記各実施例で得られた液体現像剤による所定パターンの画像を記録紙(セイコーエプソン社製、上質紙 LPCPPA4)上に形成し、記録紙の搬送速度を320mm/sec、画像に照射する紫外線の照射エネルギーを70mJ/cmとして、紫外線照射による定着を行った(条件1)。
【0181】
その後、非オフセット領域を確認した後、各実施例および各比較例の液体現像剤を用いて得られた記録紙上の定着像を消しゴム(ライオン事務機社製、砂字消し「LION 261−11」)を押圧荷重:1.5kgfで2回擦り、画像濃度の残存率をX−Rite Inc社製「X−Rite model 404」により測定し、以下の5段階の基準に従い評価した。
【0182】
(A) :画像濃度残存率が95%以上。(非常に良い)
(B) :画像濃度残存率が90%以上95%未満。(良い)
(C) :画像濃度残存率が80%以上90%未満。(許容範囲)
(D) :画像濃度残存率が70%以上80%未満。(やや悪い)
(E) :画像濃度残存率が70%未満。(悪い)
【0183】
また、図4に示すような画像形成装置を用いて、前記各実施例で得られた液体現像剤による所定パターンの画像を記録紙(セイコーエプソン社製、上質紙 LPCPPA4)上に形成した。その後、加熱ローラF41のニップ圧を3.5kgf/cm、設定温度を130℃に設定し、画像に照射する紫外線の照射エネルギーを70mJ/cm、記録紙の搬送速度を320mm/secとして、加熱ローラF41による加熱および加圧とともに紫外線照射を行うことにより定着を行ない(条件2)、上記と同様の基準で評価した。
【0184】
[2.2]定着印字面の耐ブロッキング性の評価
前記各実施例および前記各比較例で得られたトナーについて、以下のようにしてブロッキングに対する耐性(耐ブロッキング性)の評価を行った。
まず、図1、図2に示すような構成を有する画像形成装置を用意した。この画像形成装置を用いて、記録紙(セイコーエプソン社製、上質紙 LPCPPA4)上に、記録紙に形成されたトナー画像のトナー重量が0.75mg/cmとなるように、所定のパターンの単色のトナー像を転写した。このトナー像が転写された記録紙について、記録紙の搬送速度を320mm/secに設定し、[2.1]の条件1と同様の条件で、定着を行い、トナー画像を得た。
【0185】
画像形成を行った2枚の記録紙を、定着トナー画像同士が密着するように合わせ、55℃の温度下にて、記録紙上に重りを置いて1.0kgf/cmの荷重を加えながら、記録紙上の定着トナー画像同士を24時間密着させた。その後、記録紙上から重りを取り除き、記録紙が室温(25℃)になるまで放冷した。
放冷後、2枚の記録媒体を剥がすことで、密着させていた定着トナー画像同士を引き剥がした。剥がされた後の定着トナー画像を目視にて確認し、付着粉、光沢むら、濃度むら等の有無を以下の4段階の基準に従い評価した。
【0186】
A :定着トナー画像上に、付着粉、光沢むら、濃度むらがまったく認められない。
B :定着トナー画像上に、付着粉、光沢むら、濃度むらがほとんど認められない。
C :定着トナー画像上に、付着粉、光沢むら、濃度むらがわずかに認められる。
D :定着トナー画像上に、付着粉、光沢むら、濃度むらがはっきりと認められる。
また、定着の条件を[2.1]の条件2と同様として定着を行いトナー画像を得、当該トナー画像についても、上記と同様の評価を行った。ただし、2枚の記録紙に形成された定着トナー画像同士を密着させる際に加える荷重を1.2kgf/cmとした。
【0187】
[2.3]分散安定性試験
[2.3.1]方法1
各実施例および各比較例で得られた液体現像剤10mLを試験管(口径12mm、長さ120mm)に入れ、10日間静置後の沈降した深さ(液面からトナー粒子が沈降して形成された面までの距離)を測定し、以下の4段階の基準に従って評価した。
A :沈降した深さが0mm。
B :沈降した深さが0mmよりも大きく、2mm以下。
C :沈降した深さが2mmよりも大きく、5mm以下。
D :沈降した深さが5mmよりも大きい。
【0188】
[2.3.2]方法2
各実施例および各比較例で得られた液体現像剤45.5mLを遠沈管に入れ、回転半径5cm、回転数500、1000、2000、4000、5000rpm、3分間の条件で遠心分離機(コクサン社製)にかけた後、各回転数における沈降した深さを測定した。
遠心加速度rω(rω=1118×回転半径(cm)×1分当たりの回転数(rpm)×10−8×g(重力加速度))を横軸にとり、沈降した深さを縦軸にとって、上記測定結果に基づいてプロットした。各プロットに基づいて、1次近似により傾きkを求め、下記基準に従い評価した。なお、kの値が低いほど、分散安定性が高いと言える。
A:0≦k<0.004
B:0.004≦k<0.008
C:0.008≦k<0.012
D:k≧0.012
【0189】
[2.4]形成されたトナー画像の光沢度(グロス)評価
前記各実施例および各比較例で得られた液体現像剤を、図1、図2に示すような画像形成装置に適用して、所定パターンの画像を記録紙(セイコーエプソン社製、上質紙 LPCPPA4)上に形成し、記録紙の搬送速度を320mm/sec、画像に照射する紫外線の照射エネルギーを70mJ/cmとして、紫外線照射による定着を行った。このようにして得られた記録紙上の画像について、グロスメーター(村上色彩研究所製 GM−26D)を用い、光沢度(グロス)測定を行った。
【0190】
また、前記各実施例および各比較例で得られた液体現像剤を、図4に示すような画像形成装置に適用して、所定パターンの画像を記録紙(セイコーエプソン社製、上質紙 LPCPPA4)上に形成し、加熱ローラF41の設定温度を115℃に設定し、記録紙の搬送速度を320mm/sec、画像に照射する紫外線の照射エネルギーを70mJ/cm、紫外線照射による定着を行った。このようにして得られた記録紙上の画像について、グロスメーター(村上色彩研究所製 GM−26D)を用い、光沢度(グロス)測定を行った。
【0191】
各実施例および各比較例において、図1、図2に示される画像形成装置によって記録紙上に形成された画像の光沢度G1と、図4に示される画像形成装置によって記録紙上に形成された画像の光沢度G2とを比較し、以下の4段階の基準に従い評価した。
◎ :G2−G1≧4.0
○ :2.5≦G2−G1<4.0
△ :1.0≦G2−G1<2.5
× :G2−G1<1.0
これらの結果を表4に示す。
【0192】
【表4】

【0193】
表4から明らかなように、本発明の液体現像剤は、定着強度、耐ブロッキング性に優れるものであった。すなわち、本発明の液体現像剤は、定着特性に優れるものであった。また、本発明の液体現像剤は、トナー粒子の分散安定性にも優れたものであった。これに対し、各比較例の液体現像剤では、満足な結果が得られなかった。
また、各比較例の液体現像剤を図4の画像形成装置を用いてトナー画像を形成し、紫外線を照射せずに定着を行ない、[2.1]および[2.2]と同様の評価を行ったところ、紫外線を照射しつつ定着を行った場合と同様の結果が得られた。
また、前記各実施例で得られた液体現像剤を、それぞれ図1および図4に示すような画像形成装置に適用して画像形成を行った結果、図4に示すような画像形成装置を用いて得られた画像の方が、図1に示すような画像形成装置を用いて得られた画像よりも発色性に優れていた。
【図面の簡単な説明】
【0194】
【図1】本発明の画像形成方法の第1実施形態が適用される画像形成装置の一例を示す模式図である。
【図2】図1に示す画像形成装置の一部を拡大した拡大図である。
【図3】現像ローラ上の液体現像剤層内におけるトナー粒子の状態を示す模式図である。
【図4】本発明の画像形成方法の第2実施形態が適用される画像形成装置の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0195】
1…トナー粒子 1000、1000’…画像形成装置 10、10Y、10M、10C、10K…感光体 11Y…帯電ローラ 12Y…露光ユニット 13M、13Y…感光体スクイーズローラ 14M、14Y…クリーニングブレード 15M、15Y…現像剤回収部 16Y…除電ユニット 17Y…感光体クリーニングブレード 18Y…現像剤回収部 20Y、20M、20C、20K…現像ローラ 201Y…液体現像剤層 21Y…現像ローラクリーニングブレード 24Y…現像剤回収部 25Y…コロナ放電器(圧縮手段) 30Y、30M、30C、30K…現像部 31Y…液体現像剤貯留部 31aY…供給部 31bY…回収部 31cY…仕切 32Y…塗布ローラ 33Y…規制ブレード 34Y…現像剤撹拌ローラ 35Y…連通部 36Y…回収スクリュー 40…中間転写部 41…ベルト駆動ローラ 49…テンションローラ 44、45…従動ローラ 46…中間転写部クリーニングブレード 47…現像剤回収部 48…非接触式バイアス印加部材 51Y、51M、51C、51K…1次転写バックアップローラ 52Y…中間転写部スクイーズ装置 53Y…中間転写部スクイーズローラ 55Y…中間転写部スクイーズクリーニングブレード 56Y…現像剤回収部 60…2次転写ユニット 64…上流側2次転写ローラ 65…下流側2次転写ローラ 66、68…2次転写ローラクリーニングブレード 67、69…現像剤回収部 90Y、90M、90C、90K…液体現像剤補給部 91Y、91M、91C、91K…液体現像剤タンク 92Y、92M、92C、92K…絶縁性液体タンク 93Y、93M、93C、93K…液体現像剤混合槽 100Y…現像ユニット 101Y…感光体スクイーズ装置 F40…紫外線照射手段(定着装置) F40’…定着装置 F41…加熱ローラ(加熱手段) F42…紫外線照射手段 F5…記録媒体 F5a…トナー画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロジン系樹脂を含むトナー粒子と、
液体状のエポキシ変性化合物を含んで構成された絶縁性液体と、
カチオン型光重合開始剤とを含むことを特徴とする液体現像剤。
【請求項2】
前記トナー粒子は、前記ロジン系樹脂の他に、ポリエステル樹脂を含むものである請求項1に記載の液体現像剤。
【請求項3】
前記トナー粒子は、前記ロジン樹脂を含むトナー母粒子をポリアルキレンイミンで表面改質したものである請求項1または2に記載の液体現像剤。
【請求項4】
前記ポリアルキレンイミンは、ポリエチレンイミンである請求項3に記載の液体現像剤。
【請求項5】
前記エポキシ変性化合物は、植物油をエポキシ変性することにより得られるエポキシ化植物油である請求項1ないし4のいずれかに記載の液体現像剤。
【請求項6】
エポキシ変性に供される前記植物油は、不飽和二重結合を2以上有する不飽和脂肪酸を構成成分として含むものである請求項5に記載の液体現像剤。
【請求項7】
前記エポキシ化植物油のヨウ素価をI、前記エポキシ化植物油のエポキシ変性に供される前記植物油のヨウ素価をIとしたとき、0≦I/I≦0.17、かつ、70≦I≦220の関係を満足する請求項5または6に記載の液体現像剤。
【請求項8】
前記絶縁性液体は、脂肪酸モノエステルを含む請求項1ないし7のいずれかに記載の液体現像剤。
【請求項9】
前記カチオン型光重合開始剤は、芳香族スルホニウム塩、あるいは芳香族ヨードニウム塩である請求項1ないし8のいずれかに記載の液体現像剤。
【請求項10】
前記絶縁性液体は、さらに、増感剤を含む請求項1ないし9のいずれかに記載の液体現像剤。
【請求項11】
前記ロジン系樹脂は、マレイン酸変性ロジン樹脂、フェノール変性ロジン樹脂、ポリエステル変性ロジン樹脂から選択される少なくとも1種を含んで構成される請求項1ないし10のいずれかに記載の液体現像剤。
【請求項12】
色の異なる複数の液体現像剤を用いて、各色に対応した複数の単色像を形成する現像工程と、
各色に対応した複数の前記単色像を記録媒体に転写し、前記記録媒体上に、複数の前記単色像を重ね合わせてなる未定着カラー画像を形成する転写工程と、
前記未定着カラー画像に紫外線を照射することにより、前記未定着カラー画像を前記記録媒体上に定着する定着工程とを有し、
前記液体現像剤が、トナー粒子と、主としてエポキシ変性化合物で構成された絶縁性液体と、カチオン型光重合開始剤とを含むことを特徴とする画像形成方法。
【請求項13】
前記定着工程において、前記未定着カラー画像に照射する紫外線の照射エネルギーは、25〜500mJ/cmであるとともに、前記記録媒体の搬送速度は50〜1000mm/secである請求項12に記載の画像形成方法。
【請求項14】
前記定着工程では、前記未定着カラー画像に対し、熱を与えつつ圧力を加える処理を有する請求項12または13に記載の画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−60849(P2010−60849A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−226516(P2008−226516)
【出願日】平成20年9月3日(2008.9.3)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】