説明

液体現像剤および画像形成装置

【課題】正帯電の帯電特性に優れ、トナー粒子の長期分散安定性に優れた液体現像剤を提供すること、また、このような液体現像剤を用いた画像形成装置を提供すること。
【解決手段】本発明の液体現像剤は、ロジン系樹脂を含むトナー粒子と、トナー粒子を分散する絶縁性液体と、第2級アミンおよび/または第3級アミンを含む環状構造を複数有する分散剤とを含むことを特徴とする。分散剤は、カルボン酸基を複数有していることが好ましい。また、前記カルボン酸は、アルキルアンモニウムイオンとの塩をなしていることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体現像剤および画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
潜像担持体上に形成した静電潜像を現像するために用いられる現像剤として、顔料等の着色剤および結着樹脂を含む材料で構成されるトナーを電気絶縁性の担体液(絶縁性液体)に分散した液体現像剤が知られている。
従来より、このような液体現像剤を構成するトナー粒子には、ポリエステル樹脂、スチレン−アクリル酸エステル共重合体やエポキシ樹脂等の樹脂材料が用いられている。このような樹脂材料は、取り扱いが容易で、得られる画像の発色性が良く、また、高い定着特性が得られるという特徴を有している。
しかしながら、従来の液体現像剤では、トナー粒子を構成する樹脂材料と絶縁性液体との親和性が低く、絶縁性液体中へのトナー粒子の分散性を十分に高いものとするのが困難であった。
【0003】
このようなトナー粒子の分散性を向上させるために、トナー粒子を構成する樹脂材料として、絶縁性液体との親和性が高いロジン系樹脂を用いる試みが行われている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、特許文献1に記載の液体現像剤では、トナー粒子の初期の分散性は良好であるが、経時的にトナー粒子同士が凝集してしまい、長期にわたって分散性を維持するのが困難であった。また、従来の液体現像剤では、十分な帯電特性が得られず、特に、正帯電の帯電特性を得るのが困難であった。
【0004】
【特許文献1】特許第3332961号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、正帯電の帯電特性に優れ、トナー粒子の長期分散安定性に優れた液体現像剤を提供すること、また、このような液体現像剤を用いた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の液体現像剤は、ロジン系樹脂を含むトナー粒子と、
前記トナー粒子を分散する絶縁性液体と、
第2級アミンおよび/または第3級アミンを含む環状構造を複数有する分散剤とを含むことを特徴とする。
【0007】
本発明の液体現像剤では、前記ロジン系樹脂は、フェノール変性ロジン樹脂、ポリエステル変性ロジン樹脂から選択される少なくとも1種を含んで構成されることが好ましい。
本発明の液体現像剤では、前記ロジン系樹脂の酸価は、3〜40mgKOH/gであることが好ましい。
本発明の液体現像剤では、前記ロジン系樹脂の重量平均分子量は、500〜100000であることが好ましい。
【0008】
本発明の液体現像剤では、前記トナー粒子は、前記ロジン系樹脂の他に、ポリエステル樹脂を含むものであることが好ましい。
本発明の液体現像剤では、前記分散剤は、カルボン酸基を複数有していることが好ましい。
本発明の液体現像剤では、前記カルボン酸基は、アルキルアンモニウムイオンとの塩をなしていることが好ましい。
【0009】
本発明の液体現像剤では、前記分散剤は、無機オキソ酸とのエステル結合を有することが好ましい。
本発明の液体現像剤では、前記無機オキソ酸は、リン酸であることが好ましい。
本発明の液体現像剤では、前記分散剤は、重量平均分子量が8000〜100000であることが好ましい。
【0010】
本発明の液体現像剤では、前記環状構造は、アルキレン基と前記第2級アミンおよび/または第3級アミンとによって構成されていることが好ましい。
本発明の液体現像剤では、前記分散剤は、その化学構造中にウレタン結合を有していることが好ましい。
本発明の液体現像剤では、前記絶縁性液体は、脂肪酸モノエステルを含むことが好ましい。
【0011】
本発明の画像形成装置は、色の異なる複数の液体現像剤を用いて、複数の前記液体現像剤に対応した単色像を形成する複数の現像部と、
複数の前記現像部で形成された複数の前記単色像が順次転写され、転写された複数の前記単色像を重ね合わせてなる中間転写像を形成する中間転写部と、
前記中間転写像を記録媒体に転写し、前記記録媒体上に未定着カラー画像を形成する2次転写部と、
前記未定着カラー画像を前記記録媒体上に定着する定着部と、を有し、
前記液体現像剤が、ロジン系樹脂を含むトナー粒子と、前記トナー粒子を分散する絶縁性液体と、第2級アミンおよび/または第3級アミンを含む環状構造を複数有する分散剤とを含むことを特徴とする。
このような構成により、正帯電の帯電特性に優れ、トナー粒子の長期分散安定性に優れた液体現像剤を提供することができる。また、このような液体現像剤を用いた画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施形態について、詳細に説明する。
≪液体現像剤≫
まず、本発明の液体現像剤について説明する。
本発明の液体現像剤は、ロジン系樹脂を含むトナー粒子と、トナー粒子を分散する絶縁性液体と、第2級アミンおよび/または第3級アミンを含む環状構造を複数有する分散剤(以下、アミン環状分散剤とも言う)とを含有するものである。
以下、各成分について詳細に説明する。
【0013】
<トナー粒子>
[トナー粒子の構成材料]
トナー粒子は、少なくとも、結着樹脂(樹脂材料)と着色剤とを含むものである。
1.樹脂材料(結着樹脂)
本発明において、トナー粒子は、樹脂材料としてロジン系樹脂を含むものである。
ロジン系樹脂は、後述するような絶縁性液体との親和性(相溶性)の高い成分である。したがって、このようなロジン系樹脂を有するトナー粒子は、後述するような絶縁性液体中における分散安定性が特に高いものとなる。
【0014】
また、ロジン系樹脂は、その化学構造中に多くのカルボン酸基を有する。また、ロジン系樹脂は、嵩高い立体構造を有しており、化学構造中のカルボン酸が、その分子表面に露出しやすい。このため、後述するようなアミン環状分散剤が、当該アミン環状分散剤の第2級アミン、第3級アミンとロジン系樹脂のカルボン酸基とがひきつけあうようにして、ロジン系樹脂を含むトナー粒子の表面に強固に付着する。その結果、トナー粒子の分散性が長期にわたって優れたものとすることができるとともに、液体現像剤の正帯電の帯電特性を優れたものとすることができる。なお、この点については、後に詳述する。
【0015】
なお、ロジン系樹脂は、トナー粒子の表面の少なくとも一部に存在するものであればよく、トナー粒子の表面に偏在するものであってもよく、また、トナー粒子表面を覆うように存在するものであってもよい。後者の場合、後述するようなアミン環状分散剤をトナー粒子表面付近により多く存在(吸着)させることができる。
このようなロジン系樹脂としては、例えば、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性マレイン樹脂、ロジン変性ポリエステル樹脂、フマル酸変性ロジン樹脂、エステルガム等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0016】
上述したようなロジン系樹脂の軟化点は、80〜190℃であるのが好ましく、80〜160℃であるのがより好ましく、80〜130℃であるのがさらに好ましい。これにより、トナー粒子の長期分散安定性、帯電特性を優れたものとしつつ、トナー粒子の定着特性と耐熱保存性をより高い次元で両立することができる。なお、本明細書で、軟化点とは、高化式フローテスター(島津製作所製)における測定条件:昇温速度:5℃/min、ダイ穴径1.0mmで規定される軟化開始温度のことを指す。
【0017】
また、ロジン系樹脂の重量平均分子量は、500〜100000であるのが好ましく、1000〜80000であるのがより好ましく、1000〜10000であるのがさらに好ましい。これにより、トナー粒子の長期分散安定性、帯電特性を優れたものとしつつ、トナー粒子の定着特性と耐熱保存性をより高い次元で両立することができる。
また、ロジン系樹脂の酸価は、3〜40mgKOH/gであるのが好ましく、3〜30mgKOH/gであるのがより好ましく、5〜25mgKOH/gであるのがさらに好ましい。これにより、後述するような分散剤をトナー粒子表面付近により多く存在(吸着)させることができる。
【0018】
また、トナー粒子を構成する樹脂材料中におけるロジン系樹脂の含有率は、1〜50wt%であるのが好ましく、5〜40wt%であるのがより好ましい。これにより、トナー粒子表面にロジン系樹脂をより確実に存在させることができ、トナー粒子の長期分散安定性をより効果的に向上させることができる。
また、トナー粒子は、上述したようなロジン系樹脂以外の公知の樹脂が含まれていてもよい。
【0019】
特に、上述したようなロジン系樹脂と、エステル結合を有する樹脂材料とを併用するのが好ましい。このような結合を有する樹脂材料は、ロジン系樹脂との相溶性が低いため、ロジン系樹脂をトナー粒子の表面により確実に存在させることができる。
エステル結合を有する樹脂材料としては、例えば、ポリエステル樹脂、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、メタクリル樹脂等が挙げられる。これらの中でも、特に、ポリエステル樹脂を用いるのが好ましい。ポリエステル樹脂は、透明性が高く、結着樹脂として用いた場合、得られる画像の発色性を高いものとすることができる。また、ポリエステル樹脂は、ロジン系樹脂との相溶性が特に低いため、トナー粒子中においてロジン系樹脂とより確実に相分離し、トナー粒子の表面により効果的にロジン系樹脂を存在させることができる。
【0020】
トナー粒子中に含まれるロジン系樹脂以外の樹脂材料の酸価は、5〜20mgKOH/gであるのが好ましく、5〜15mgKOH/gであるのがより好ましい。これにより、トナー粒子表面にロジン系樹脂をより確実に存在させることができ、後述するようなアミン環状分散剤をより効果的に、トナー粒子表面付近に吸着させることができる。その結果、トナー粒子の長期分散安定性、正帯電の帯電特性をより優れたものとすることができる。
【0021】
トナー粒子中に含まれるロジン系樹脂以外の樹脂材料の軟化点は、特に限定されないが、50〜130℃であるのが好ましく、50〜120℃であるのがより好ましく、60〜115℃であるのがさらに好ましい。これにより、トナー粒子の定着特性を特に優れたものとすることができる。
また、トナー粒子がエステル結合を有する樹脂を含む場合、エステル結合を有する樹脂として、重量平均分子量が異なる2種以上の樹脂成分を含むことが好ましい。具体的には、トナー粒子は、エステル結合を有する樹脂として、重量平均分子量が比較的小さい第1の樹脂成分と、第1の樹脂成分よりも重量分子量が大きな第2の樹脂成分とを含むことが好ましい。このように、複数種の樹脂成分を含むことにより、以下のような効果が得られる。
【0022】
比較的重量平均分子量が小さな第1の樹脂成分は、比較的低い温度であっても容易に溶融できる。このため、トナー粒子はこのような第1の樹脂成分を含むことにより、定着時においてトナー画像を加熱する場合に、定着温度が比較的低温(例えば、100〜140℃)であっても、第1の樹脂成分がロジン系樹脂とともに溶融することができ、トナー粒子が容易に軟化して記録媒体に強固に定着することができる。また、このようにトナー粒子が比較的容易に溶融することで、定着時において複数の異なる着色剤を有するトナー粒子同士が容易に溶融、混合され、得られるトナー画像の発色性が優れたものとなる。
【0023】
一方で、比較的重量平均分子量が大きな第2の成分は、比較的高い温度環境下であっても溶融、軟化しにくい。このため、トナー粒子がこのような第2の樹脂成分を含むことにより、液体現像剤が画像形成装置内等に未使用の状態で保存されている際に、液体現像剤が比較的高温(例えば40〜80℃)になった場合であっても、トナー粒子が溶融したり、トナー粒子が変形したりすることが防止される。特に、第1の樹脂成分やロジン系樹脂がこのような環境下で軟化し始めた場合であっても、このような第2の樹脂成分がトナー粒子の骨格として作用する。この結果、液体現像剤中の複数のトナー粒子が上記のような高温環境下で互いに付着し合って凝集したり、変形することがより確実に防止される。
以上より、トナー粒子がロジン系樹脂に加え、上記のような第1の樹脂成分と第2の樹脂成分とを含むことにより、液体現像剤の定着特性およびトナー粒子の長期分散安定性が特に優れたものとなる。
【0024】
このような場合、第1の樹脂成分の重量平均分子量は、3000〜12000であることが好ましく、4000〜10000であることがより好ましく、5000〜7000であることがさらに好ましい。また、第2の樹脂成分の重量平均分子量は、20000〜400000であることが好ましく、50000〜300000であることがより好ましく、10000〜250000であることがさらに好ましい。
【0025】
また、第1の樹脂成分の軟化温度Tfは、60〜120℃であるのが好ましく、80〜110℃であるのがより好ましい。また、第2の樹脂成分の軟化温度Tfは、60〜220℃であるのが好ましく、80〜190℃であるのがより好ましい。
また、トナー粒子を構成する樹脂材料中の第1の樹脂成分の含有量は、30〜80wt%であることが好ましく、40〜75wt%であることがより好ましい。トナー粒子を構成する樹脂材料中の第2の樹脂成分の含有量は、5〜40wt%であることが好ましく、10〜30wt%であることがより好ましい。
【0026】
2.着色剤
また、トナー粒子は、着色剤を含んでいてもよい。着色剤としては、特に限定されず、例えば、公知の顔料、染料等を使用することができる。
3.その他の成分
また、トナー粒子は、上記以外の成分を含んでいてもよい。このような成分としては、例えば、公知のワックス、磁性粉末等が挙げられる。
また、トナー粒子の構成材料(成分)としては、上記のような材料のほかに、例えば、ステアリン酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化セリウム、シリカ、酸化チタン、酸化鉄、脂肪酸、脂肪酸金属塩等を用いてもよい。
【0027】
[トナー粒子の形状]
上記のような材料で構成されたトナー粒子の平均粒径は、0.5〜3μmであるのが好ましく、1〜2.5μmであるのがより好ましく、1〜2μmであるのがさらに好ましい。トナー粒子の平均粒径が前記範囲内の値であると、各トナー粒子間での特性のばらつきを小さいものとし、液体現像剤全体としての信頼性を高いものとしつつ、液体現像剤により形成されるトナー画像の解像度を十分に高いものとすることができる。また、トナー粒子の絶縁性液体への分散を良好にし、液体現像剤の保存性を高いものとできる。なお、本明細書では、「平均粒径」とは、体積基準の平均粒径のことを指すものとする。
液体現像剤中におけるトナー粒子の含有率は、10〜60wt%であるのが好ましく、20〜50wt%であるのがより好ましい。
【0028】
<分散剤>
また、液体現像剤には、分散剤が含まれる。
分散剤は、一般に、その分子内に複数個の極性基を有し、その極性基の一部がトナー粒子の表面に付着し、残りの極性基がトナー粒子の周囲に配置されることにより、トナー粒子の表面に極性(帯電性)および絶縁性液体への親和性を付与する。この結果、分散剤は、トナー粒子の帯電性およびトナー粒子の絶縁性液体への分散安定性を向上させる機能を有する。
【0029】
そして、本発明において液体現像剤は、分散剤として、第2級アミンおよび/または第3級アミンを含む環状構造を複数有するアミン環状分散剤を含む。アミン環状分散剤は、含まれる第2級アミン、第3級アミン等により、トナー粒子に正帯電の帯電特性を付与する。
また、アミン環状分散剤の第2級アミンおよび/または第3級アミンを含む環状構造は、トナー粒子の表面に露出しているロジン系樹脂のカルボン酸基に対し、第2級アミン、第3級アミンが、トナー粒子への付着点として、引きつけられるようにして付着する。そして、複数の環状構造がトナー粒子の表面に付着することにより、トナー粒子の表面付近に複数の環状構造からなる付着面が形成される。
【0030】
アミン環状分散剤は、このような付着面を介してトナー粒子に付着することにより、強固にトナー粒子に固定される。また、このように複数の付着点からなる付着面が形成されることにより、例えば、付着面にある一つの付着点がトナー粒子から外れた時であっても、他の複数の付着点がトナー粒子に付着していることにより、付着面は、トナー粒子に付着した状態が保たれる。そして、一旦トナー粒子に付着したアミン環状分散剤は、トナー粒子から脱離しにくいものとなる。この結果、トナー粒子は、長期にわたって分散安定性が優れたものとなり、正帯電の帯電特性が優れた状態で維持される。
【0031】
また、トナー粒子から脱離するアミン環状分散剤が少ないことにより、絶縁性液体中に遊離して存在するアミン環状分散剤が少ないものとなる。この結果、分散剤の存在による絶縁性液体の絶縁性の低下を防止することができる。このように長期にわたって絶縁性液体の絶縁性が維持され、かつトナー粒子の帯電性が維持されることにより、画像形成時におけるトナー粒子の電荷に対する挙動が安定し、トナー粒子の転写性、現像性が長期にわたって優れたものとなる。
【0032】
また、アミン環状分散剤は、複数の環状構造が連なった、いわゆる縮合多環構造を有することが好ましい。これにより、環状構造による付着面がより容易に形成されることができ、アミン環状分散剤がトナー粒子により強固に付着される。
また、環状構造には、それぞれ、複数の第2級アミンおよび/または第3級アミンが含まれることが好ましい。これにより、ロジン系樹脂のカルボン酸基に対する環状構造の付着点(第2級アミン、第3級アミン)が増加して、アミン環状分散剤がトナー粒子により強固に付着される。
【0033】
また、環状構造に含まれるアミン基は、第3級アミンを主として構成されることが好ましい。これにより、上記の縮合多環構造が大きなものとなる。
また、アミン環状分散剤の環状構造は、アルキレン基と第2級アミンおよび/または第3級アミンとによって構成されていることが好ましい。これにより、環状構造は、自由度が大きく、変形しやすいものとなり、トナー粒子の表面の凹凸に応じて密着することができる。このため、アミン環状分散剤は、より強固にトナー粒子の表面に付着する。
【0034】
アルキレン基の炭素数は、特に限定されないが、1〜10であることが好ましく、2〜6であることがより好ましい。また、アルキレン基は、直鎖状であってもよいし、分岐鎖を有していてもよい。
また、アミン環状分散剤は、その化学構造中にウレタン結合を有していることが好ましい。これにより、環状構造は、自由度が大きく、変形しやすいものとなり、トナー粒子の表面の凹凸に応じて密着することができる。
【0035】
また、アミン環状分散剤は、環状構造とは別に、極性を有する複数の末端基を有することが好ましい。アミン環状分散剤がトナー粒子に付着した際に、このような末端基は、環状構造の立体障害により、トナー粒子に直接は接しにくく、トナー粒子から立ち上がるようにして配置されやすい。このため、このような末端基によりトナー粒子の表面付近に帯電性が付与される。また、環状構造は、このような場合、主にトナー粒子との付着するための構造として機能する。なお、本発明においては、このような場合、末端基は、トナー粒子の正帯電の帯電性を付与する。
【0036】
上述したような末端基としては、トナー粒子に正帯電性を付与するものであればよいが、例えば、塩構造をなすカルボン酸基を有する末端基、無機オキソ酸とのエステル結合を有する末端基等が挙げられ、これらを1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
上述した塩構造に用いることのできるカルボン酸基の対イオン(カチオン)としては、特に限定されないが、アルキルアンモニウムイオンを用いることが好ましい。アルキルアンモニウムイオンのアミン部分は、トナー粒子に正帯電の帯電特性を付与することができ、アルキル鎖の部分は、分散しているトナー粒子の表面と後述する絶縁性液体との親和性を高める機能を有している。
【0037】
また、上述したエステル結合を有する末端基に用いられる無機オキソ酸としては、特に限定されないがリン酸であることが好ましい。これにより、トナー粒子の帯電特性を優れたものとすることができる。
また、アミン環状分散剤は、重量平均分子量が8000〜100000であることが好ましく、10000〜60000であることがより好ましい。
【0038】
上述したようなアミン環状分散剤としては、特に限定されないが、例えば、Disperbyk−140、Disperbyk−142、Disperbyk−145(以上、ビックケミー社製)等が挙げられる。
また、液体現像剤には、アミン環状分散剤以外の分散剤が含まれていてもよい。このような分散剤としては、特に限定されず、公知の分散剤を用いることができる。
【0039】
また、このような場合、液体現像剤中に含まれる全ての分散剤の含有量に対するアミン環状分散剤の含有量の割合は、50wt%以上であることが好ましく、70wt%以上であることがより好ましい。
液体現像剤中における分散剤(アミン環状分散剤も含む)の含有率は、トナー粒子100重量部に対して、1〜7重量部であるのが好ましく、1.25〜5重量部であるのがより好ましい。分散剤の含有量が上記範囲であると、トナー粒子の分散安定性をより効果的に向上させることができるとともに、正帯電の帯電特性をより優れたものとすることができる。
【0040】
<絶縁性液体>
次に、絶縁性液体について説明する。
絶縁性液体は、十分に絶縁性の高い液体であればよいが、具体的には、室温(20℃)での電気抵抗が1×10Ωcm以上であるのが好ましく、1×1011Ωcm以上であるのがより好ましく、1×1013Ωcm以上であるのがさらに好ましい。
また、絶縁性液体の比誘電率は、3.5以下であるのが好ましい。
【0041】
このような条件を満足する絶縁性液体としては、例えば、アイソパーE、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL(アイソパー;エクソン化学社の商品名)、シエルゾール70、シエルゾール71(シエルゾール;シエルオイル社の商品名)、アムスコOMS、アムスコ460溶剤(アムスコ;スピリッツ社の商品名)、低粘度・高粘度流動パラフィン(和光純薬工業)等の鉱物油(炭化水素系液体)、脂肪酸グリセリド、脂肪酸モノエステル、中鎖脂肪酸エステル等の脂肪酸エステルまたはそれらを含む植物油、オクタン、イソオクタン、デカン、イソデカン、デカリン、ノナン、ドデカン、イソドデカン、シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上述した中でも、特に、植物油は、上記ロジン系樹脂との親和性(相溶性)が特に高いため、トナー粒子の分散安定性をさらに向上させることができる。
【0042】
また、上述した中でも、特に、絶縁性液体は、脂肪酸モノエステルを含むことが好ましい。脂肪酸モノエステルは、脂肪酸と一価のアルコールとのエステルである。脂肪酸モノエステルは、トナー粒子を構成する樹脂材料の分子錯間に浸入しやすい性質を有するものであり、このようにして樹脂材料中に取り込まれた脂肪酸モノエステルは、トナー粒子(樹脂材料)を可塑化して膨潤させる可塑効果を有する。このように、トナー粒子の表面が可塑化することにより、トナー粒子中のロジン系樹脂のカルボン酸基がより多く露出することができ、アミン環状分散剤がトナー粒子により付着しやすいものとなる。また、定着時において、脂肪酸モノエステルによって可塑化されたトナー粒子は、比較的低温であっても、容易に溶融して記録媒体に定着させることができる。また、このように可塑化されたトナー粒子は、記録媒体に、より密着して定着されることができ、得られるトナー画像の定着強度は特に優れたものとなる。
【0043】
また、脂肪酸モノエステルは、例えば、植物油と、一価のアルコールとのエステル交換反応により生成されることができる。
エステル交換反応に供される植物油としては、例えば、大豆油、菜種油、脱水ひまし油、桐油、紅花油、亜麻仁油、ひまわり油、コーン油、綿実油、ごま油、トウモロコシ油、大麻油、月見草油、パーム油(特に、パーム核油)、ココナッツ油、ヤシ油等が挙げられる。
【0044】
また、脂肪酸モノエステルは、例えば、各種飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸と、一価のアルコールとのエステル交換反応によって生成されたものであってもよい。
また、絶縁性液体中における脂肪酸モノエステルの含有量は、5〜45wt%であるのが好ましく、5〜35wt%であるのがより好ましく、10〜20wt%であるのがさらに好ましい。これにより、トナー粒子はより好適に可塑化される。
また、液体現像剤(絶縁性液体)中には、上述した成分以外に、公知の酸化防止剤、帯電制御剤等を含んでいてもよい。
【0045】
絶縁性液体の粘度は、特に限定されないが、5〜1000mPa・sであるのが好ましく、50〜800mPa・sであるのがより好ましく、100〜500mPa・sであるのがさらに好ましい。絶縁性液体の粘度が前記範囲内の値であると、液体現像剤が現像剤容器から塗布ローラにくみ出された場合において、適量の絶縁性液体がトナー粒子に付着し、トナー画像の現像性、転写性を特に優れたものにできる。加えて、トナー粒子の凝集、沈降をより効果的に防止でき、絶縁性液体中におけるトナー粒子の分散性をより高いものとすることができる。ただし、本明細書における粘度とは25℃において測定した値を指すものとする。
また、このような絶縁性液体の室温(20℃)での電気抵抗は、1011Ωcm以上のものであるのが好ましく、1012Ωcm以上のものであるのがより好ましく、1013Ωcm以上のものであるのがさらに好ましい。
また、絶縁性液体の比誘電率は、3.5以下であるのが好ましい。
【0046】
≪液体現像剤の製造方法≫
次に、本発明の液体現像剤の製造方法の好適な実施形態について説明する。
本実施形態の液体現像剤の製造方法は、上述したような樹脂材料、着色剤が水系分散媒に分散した分散液を調製する分散液調製工程と、複数個の分散質を合一させ、合一粒子を得る合一工程と、合一粒子に含まれる有機溶剤を除去し、樹脂材料と着色剤とを含むトナー粒子を得る脱溶剤工程と、絶縁性液体にアミン環状分散剤を添加するとともに、トナー粒子を絶縁性液体に分散させる分散工程とを有する。
以下、液体現像剤の製造方法を構成する各工程について詳細に説明する。
【0047】
[分散液調製工程(水系分散液調製工程)]
まず、分散液(水系分散液)を調製する。
水系分散液は、いかなる方法で調製されるものであってもよいが、例えば、樹脂材料(ロジン系樹脂およびその他の樹脂材料)、着色剤等のトナー粒子の構成材料(トナー材料)を有機溶剤中に溶解、分散させて樹脂液を得(樹脂液調製処理)、水系液体で構成された水系分散媒を樹脂液に添加することにより、トナー材料を含む分散質(液状の分散質)を水系液体中に形成し、分散質が分散した分散液(水系分散液)を得る(分散質形成処理)。
【0048】
(樹脂液調製処理)
まず、樹脂材料(ロジン系樹脂およびその他の樹脂材料)を有機溶剤に溶解または分散させた樹脂液を調製する。
調製された樹脂液は、前述したようなトナー粒子の構成材料、および、次に述べるような有機溶剤を含むものである。
【0049】
有機溶剤としては、樹脂材料の少なくとも一部を溶解するものであればいかなるものであってもよいが、後述する水系液体よりも沸点が低いものを用いるのが好ましい。これにより、有機溶剤を容易に除去することができる。
【0050】
また、有機溶剤は、後述する水系分散媒(水系液体)との相溶性が低いもの(例えば、25℃における水系分散媒100gに対する溶解度が30g以下のもの)であるのが好ましい。これにより、水系乳化液中において、トナー材料を安定した状態で微分散させることができる。
また、有機溶剤の組成は、例えば、前述したような樹脂材料、着色剤の組成や、水系分散媒の組成等に応じて適宜選択することができる。
【0051】
このような有機溶剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、MEK等のケトン系溶媒、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒等が挙げられる。
樹脂液は、例えば、樹脂材料、着色剤、有機溶剤等を、攪拌機等により混合することにより得ることができる。樹脂液の調製に用いることのできる攪拌機としては、例えば、DESPA(浅田鉄工社製)、T.K.ロボミクス/T.K.ホモディスパー2.5型翼(プライミクス社製)等の高速攪拌機が挙げられる。
また、攪拌時における材料温度は、20〜60℃であるのが好ましく、30〜50℃であるのがより好ましい。
【0052】
樹脂液中における固形分の含有率は、特に限定されないが、40〜75wt%であるのが好ましく、50〜73wt%であるのがより好ましく、50〜70wt%であるのがさらに好ましい。固形分の含有率が前記範囲内の値であると、後述する分散液(乳化懸濁液)を構成する分散質を、より球形度の高いもの(真球に近い形状もの)とすることができ、最終的に得られるトナー粒子の形状を、より確実に好適なものとすることができる。
また、樹脂液の調製においては、調製すべき樹脂液の構成成分をすべて同時に混合してもよいし、予め、調製すべき樹脂液の構成成分のうち一部を混合して混合物(マスター)を得、その後、当該混合物(マスター)を、他の成分と混合してもよい。
【0053】
(分散質形成処理)
次に、水系分散液(分散液)を調製する。
水系液体で構成された水系分散媒を樹脂液に添加することにより、トナー材料を含む分散質(液状の分散質)を水系液体中に形成し、分散質が分散した分散液(水系分散液)を得る。
水系分散媒は、水系液体で構成されたものである。
【0054】
水系液体としては、主として水で構成されたものを用いることができる。
水系液体中には、例えば、水との相溶性に優れる溶媒(例えば、25℃での100重量部の水に対する溶解度が、50重量部以上である溶媒)を含むものであってもよい。
また、水系分散媒には、必要に応じて乳化分散剤を添加してもよい。乳化分散剤を添加することにより、より容易に水系乳化液を調製することができる。
乳化分散剤としては、特に限定されず、例えば、公知の乳化分散剤を用いることができる。
【0055】
また、水系分散液の調製に際して、例えば、中和剤を用いてもよい。これにより、例えば、樹脂材料が有する官能基(例えば、カルボキシル基等)を中和することができ、調製される水系分散液中における分散質の形状、大きさの均一性、分散質の分散性を特に優れたものとすることができ。このため、得られるトナー粒子は、粒度分布が特に狭いものとなる。
中和剤は、例えば、樹脂液に添加されるものであってもよいし、水系液体に添加されるものであってもよい。
【0056】
また、中和剤は、水系分散液の調製において、複数回に分けて添加されるものであってもよい。
中和剤としては、塩基性化合物を用いることができ、より具体的には、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩基や、ジエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン等の有機塩基等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、中和剤は、上記のような化合物を含む水溶液であってもよい。
【0057】
また、塩基性化合物の使用量は、樹脂材料が有する全カルボキシル基を中和するために必要な量の1〜3倍に相当する量(1〜3当量)が好ましく、1〜2倍に相当する量(1〜2当量)がより好ましい。これにより、異形の分散質が形成されるのを効果的に防止することができ、また、後に詳述する合一工程において得られる粒子の粒度分布を、よりシャープなものとすることができる。
【0058】
樹脂液への水系液体の添加は、いかなる方法で行うものであってもよいが、樹脂液を撹拌しつつ、樹脂液に水を含む水系液体を添加することが好ましい。すなわち、攪拌機等により樹脂液に剪断を加えつつ、樹脂液中に水系液体を徐々に添加(滴下)することにより行い、W/O型の乳化液からO/W型の乳化液に転相させて、最終的に、水系液体中に、樹脂液由来の分散質が分散した水系分散液を得るのが好ましい。
水系分散液の調製に用いることのできる攪拌機としては、例えば、DESPA(浅田鉄工社製)、T.K.ロボミクス/T.K.ホモディスパー2.5型翼(プライミクス社製)、スラッシャ(三井鉱山社製)、キャビトロン(ユーロテック社製)等の高速攪拌機、あるいは高速分散機等が挙げられる。
【0059】
また、樹脂液への水系液体の添加時には、翼先端速度が10〜20m/秒となるように撹拌を行うことが好ましく、12〜18m/秒となるように撹拌を行うことがより好ましい。翼先端速度が前記範囲内の値であると、水系分散液を効率良く得ることができるとともに、水系分散液中における分散質の形状、大きさのばらつきを特に小さいものとすることができ、過剰に微細な分散質、粗大粒子の発生を防止しつつ、分散質の均一分散性を特に優れたものとすることができる。
【0060】
水系分散液中における固形分の含有率は、特に限定されないが、5〜55wt%であるのが好ましく、10〜50wt%であるのがより好ましい。これにより、水系分散液中における分散質同士の不本意な凝集をより確実に防止しつつ、トナー粒子の生産性を特に優れたものとすることができる。
また、本処理における材料温度は、20〜60℃であるのが好ましく、20〜50℃であるのがより好ましい。
【0061】
[合一工程]
次に、複数個の分散質を合一させ、合一粒子を得る(合一工程)。分散質の合一は、通常、有機溶剤を含む分散質が衝突することにより、これらが一体化して進行する。このように合一する過程において、ロジン系樹脂とその他の樹脂材料とは相溶性が低いので、層分離を起こしやすい。また、ロジン系樹脂は、カルボン酸を多く含むため水系液体との親和性が高く分散質や合一粒子の表面に存在しやすい。このため、最終的に得られるトナー粒子の表面に確実にロジン系樹脂を存在(偏在)させることができる。
【0062】
複数個の分散質の合一は、分散液を撹拌しながら、分散液に電解質を添加することにより行う。これにより、容易かつ確実に合一粒子を得ることができる。また、電解質の添加量を調節することにより、容易かつ確実に、合一粒子の粒径、粒度分布を制御することができる。
電解質としては、特に限定されず、公知の有機、無機の水溶性の塩等を1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0063】
また、電解質は、1価のカチオンの塩であることが好ましい。これにより、得られる合一粒子の粒度分布を狭いものとできる。また、1価のカチオンの塩を用いることで、本工程において、粗大粒子が発生することを確実に防止することができる。
また、上述した中でも、電解質は、硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム)または炭酸塩であることが好ましく、硫酸塩であることが特に好ましい。これにより、特に容易に合一粒子の粒径を制御できる。
本工程で添加される電解質の量は、電解質が添加される分散液に含まれる固形分:100重量部に対し、0.5〜3重量部であるのが好ましく、1〜2重量部であるのがより好ましい。これにより、特に容易かつ確実に合一粒子の粒径を制御できるとともに、粗大粒子の発生を確実に防止することができる。
【0064】
また、電解質は、水溶液の状態で添加されるのが好ましい。これにより、速やかに分散液全体に、電解質を拡散させることができるとともに、電解質の添加量を容易かつ確実に制御することができる。この結果、所望の粒径で、粒度分布の特に狭い合一粒子を得ることができる。
また、電解質を水溶液の状態で添加する場合、水溶液中における電解質の濃度は、2〜10wt%であることが好ましく、2.5〜6wt%であることがより好ましい。これにより、特に速やかに分散液全体に、電解質を拡散させることができ、電解質の添加量を容易かつ確実に制御することができる。
【0065】
また、電解質を水溶液で添加する場合、電解質水溶液の添加の速度は、電解質水溶液が添加される分散液に含まれる固形分:100重量部に対し、0.5〜10重量部/分であるのが好ましく、1.5〜5重量部/分であるのがより好ましい。これにより、分散液中で、電解質の濃度のむらが発生することを防止することができ、粗大粒子が発生することを確実に防ぐことができる。また、合一粒子の粒度分布は特に狭いものとなる。さらに、このような速度で電解質を添加することで、合一の速度を特に容易に制御でき、合一粒子の平均粒径を制御することが特に容易になるとともに、トナーの生産性を特に優れたものとすることができる。
【0066】
電解質の添加は、複数回に分けて行ってもよい。これにより、容易かつ確実に、所望の大きさの合一粒子を得ることができるとともに、得られる合一粒子の円形度を確実に、十分に大きいものとすることができる。
【0067】
また、本工程は、分散液を攪拌した状態で行う。これにより、粒子間での形状、大きさのばらつきが特に小さい合一粒子を得ることができる。
分散液の撹拌には、例えば、アンカー翼、タービン翼、ファウドラー翼、フルゾーン翼、マックスブレンド翼、半月翼等の攪拌翼を用いることができるが、中でも、マックスブレンド翼、フルゾーン翼が好ましい。これにより、添加した電解質をすばやく均一に分散、溶解させて、電解質の濃度むらが発生することを確実に防止することができる。また、分散質を効率良く合一させつつ、一旦形成された合一粒子が崩壊するのをより確実に防止することができる。その結果、粒子間での形状、粒径のばらつきの小さい合一粒子を効率良く得ることができる。
【0068】
攪拌翼の翼先端速度は、0.1〜10m/秒であるのが好ましく、0.2〜8m/秒であるのがより好ましく、0.2〜6m/秒であるのがさらに好ましい。翼先端速度が前記範囲内の値であると、添加した電解質を均一に分散、溶解させて、電解質の濃度むらが発生することを確実に防止することができる。また、分散質をより効率良く合一させつつ、一旦形成された合一粒子が崩壊するのをさらに確実に防止することができる。
得られる合一粒子の平均粒径は、0.5〜5μmであるのが好ましく、1.5〜3μmであるのがより好ましい。これにより、最終的に得られるトナー粒子の粒径を適度なものとすることができる。
【0069】
[脱溶剤(脱溶媒)工程]
その後、分散液中に含まれる有機溶剤を除去する。これにより、分散液中に分散した樹脂微粒子(トナー粒子)が得られる。このようにして得られたトナー粒子は、その表面の少なくとも一部にロジン系樹脂が存在するものとなる。
有機溶剤の除去は、いかなる方法で行ってもよいが、例えば、減圧により行うことができる。これにより、樹脂材料等の構成材料の変性等を十分に防止しつつ、効率良く有機溶剤を除去することができる。
【0070】
また、本工程での処理温度は、合一粒子を構成する樹脂材料のガラス転移点(Tg)よりも低い温度であるのが好ましい。
また、本工程は、分散液に、消泡剤を添加した状態で行ってもよい。これにより、効率良く有機溶剤を除去することができる。
消泡剤としては、例えば、鉱物油系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、シリコーン系消泡剤のほか、低級アルコール類、高級アルコール類、油脂類、脂肪酸類、脂肪酸エステル類、リン酸エステル類等を用いることができる。
【0071】
消泡剤の使用量は、特に限定されないが、分散液中に含まれる固形分に対して、重量比で、20〜300ppmであるのが好ましく、30〜100ppmであるのがより好ましい。
また、本工程においては、有機溶剤とともに、少なくとも一部の水系液体が除去されてもよい。
なお、本工程においては、必ずしも全ての有機溶剤(分散液中に含まれる有機溶剤の全量)が除去されなくてもよい。このような場合であっても、後述する他の工程において、残存する有機溶剤を十分に除去することができる。
【0072】
[洗浄工程]
次に、上記のようにして得られた樹脂微粒子(トナー粒子)の洗浄を行う(洗浄工程)。
本工程を行うことにより、不純物として、有機溶剤等が含まれる場合であっても、これらを効率良く除去することができる。その結果、最終的に得られる樹脂微粒子における、揮発性有機化合物(TVOC)量を特に少ないものとすることができる。
本工程は、例えば、固液分離(水系液体からの分離)により樹脂微粒子を分離し、さらにその後、固形分(樹脂微粒子)の水中への再分散および固液分離(水系液体からの樹脂微粒子の分離)をすることにより行うことができる。固形分の水中への再分散および固液分離は、複数回、繰り返し行ってもよい。
【0073】
[乾燥工程]
その後、乾燥処理を施すことにより、トナー粒子を得ることができる(乾燥工程)。
乾燥工程は、例えば、真空乾燥機(例えば、リボコーン(大川原製作所社製)、ナウター(ホソカワミクロン社製)等)、流動層乾燥機(大川原製作所社製)等を用いて行うことができる。
【0074】
[分散工程]
次に、絶縁性液体にアミン環状分散剤を添加するとともに、上記のようにして得られたトナー粒子を絶縁性液体中に分散する。これにより、液体現像剤を得る。
トナー粒子の絶縁性液体への分散は、いかなる方法を用いてもよく、例えば、絶縁性液体とトナー粒子とアミン環状分散剤とをビーズミル、ボールミル等で混合することにより行うことができる。このような方法で混合することにより、アミン環状分散剤をトナー粒子の表面により確実に付着または吸着させることができる。
【0075】
また、この分散時において、絶縁性液体、トナー粒子およびアミン環状分散剤以外の成分を混合するものであってもよい。
また、トナー粒子および前記分散剤の絶縁性液体への分散は、最終的に得られる液体現像剤を構成する絶縁性液体の全量を用いて行うものであってもよく、絶縁性液体の一部を用いて行うものであってもよい。
【0076】
また、絶縁性液体の一部を用いてトナー粒子および前記分散剤を分散する場合、分散した後に、分散に用いた液体と同じ液体を絶縁性液体として添加するものであってもよいし、また、分散した後に、分散に用いた液体とは異なる液体を絶縁性液体として添加するものであってもよい。後者の場合、最終的に得られる液体現像剤の粘度等の特性を容易に調整することができる。
【0077】
以上説明したような方法により液体現像剤を製造した場合、含まれるトナー粒子は、その表面の少なくとも一部にロジン系樹脂が存在するものとなるとともに、トナー粒子間での形状のばらつきが小さいものとなる。それにより、粒子表面の表面積が粒子間によって異なることがなくなり、アミン環状分散剤をトナー粒子の表面により均一に付着または吸着させることができる。その結果、トナー粒子の長期分散安定性を優れたものとしつつ、トナー粒子間での帯電特性のばらつきを効果的に抑制することができるとともに、現像、転写プロセスにおいても現像、転写に用いる装置の構成を簡易なものとすることができる。
【0078】
≪画像形成装置≫
次に、本発明の画像形成装置の好適な実施形態について説明する。本発明の画像形成装置は、上述したような本発明の液体現像剤を用いて記録媒体上にカラー画像を形成するものである。
図1は、本発明の液体現像剤が適用される画像形成装置の第2実施形態を示す模式図、図2は、図1に示す画像形成装置の一部を拡大した拡大図である。
【0079】
画像形成装置1000は、図1、図2に示すように、4つの現像部30Y、30M、30C、30Kと、中間転写部40と、2次転写ユニット(2次転写部)60と、定着部(定着装置)F40と、4つの液体現像剤補給部90Y、90M、90C、90Kとを有している。
現像部30Y、30M、30Cは、それぞれ、イエロー系液体現像剤(Y)、マゼンダ系液体現像剤(M)、シアン系の液体現像剤(C)で、潜像を現像し、各色に対応したカラーの単色像を形成する機能を有している。また、現像部30Kは、ブラック系液体現像剤(K)で、潜像を現像し、ブラック(黒)の単色像を形成する機能を有している。
【0080】
現像部30Y、30M、30C、30Kの構成は同様であるので、以下、現像部30Yについて説明する。
現像部30Yは、図2に示すように、像担持体の一例としての感光体10Yと、感光体10Yの回転方向に沿って、帯電ローラ11Yと、露光ユニット12Yと、現像ユニット100Yと、感光体スクイーズ装置101Yと、1次転写バックアップローラ51Yと、除電ユニット16Yと、感光体クリーニングブレード17Yと、現像剤回収部18Yとを有している。
【0081】
感光体10Yは、円筒状の基材とその外周面に形成され、例えばアモルファスシリコン等の材料で構成された感光層を有し、中心軸を中心に回転可能であり、本実施の形態においては、図2中の矢印で示すように時計回りに回転する。
感光体10Yは、後述する現像ユニット100Yにより液体現像剤が供給され、表面に液体現像剤の層が形成されるものである。
【0082】
帯電ローラ11Yは、感光体10Yを帯電するための装置であり、露光ユニット12Yは、レーザを照射することによって帯電された感光体10Y上に潜像を形成する装置である。この露光ユニット12Yは、半導体レーザ、ポリゴンミラー、F−θレンズ等を有しており、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ等の不図示のホストコンピュータから入力された画像信号に基づいて、変調されたレーザを帯電された感光体10Y上に照射する。
【0083】
現像ユニット100Yは、感光体10Y上に形成された潜像を、本発明の液体現像剤を用いて現像するための装置である。なお、現像ユニット100Yの詳細については後述する。
感光体スクイーズ装置101Yは、現像ユニット100Yより回転方向下流側に、感光体10Yに対向して配置されており、感光体スクイーズローラ13Yと、該感光体スクイーズローラ13Yに押圧摺接して表面に付着した液体現像剤を除去するクリーニングブレード14Yと、除去された液体現像剤を回収する現像剤回収部15Yとで構成される。この感光体スクイーズ装置101Yは、感光体10Yに現像された現像剤から余剰なキャリア(絶縁性液体)および本来不要なカブリトナーを回収し、顕像内のトナー粒子比率を上げる機能を有する。
【0084】
1次転写バックアップローラ51Yは、感光体10Yに形成された単色像を、後述する中間転写部40に転写するための装置である。
除電ユニット16Yは、1次転写バックアップローラ51Yによって中間転写部40上に中間転写像が転写された後に、感光体10Y上の残留電荷を除去する装置である。
感光体クリーニングブレード17Yは、感光体10Yの表面に当接されたゴム製の部材で、1次転写バックアップローラ51Yによって中間転写部40上に像が転写された後に、感光体10Y上に残存する液体現像剤を掻き落として除去する機能を有している。
【0085】
現像剤回収部18Yは、感光体クリーニングブレード17Yにより除去された液体現像剤を回収する機能を有している。
中間転写部40は、エンドレスの弾性ベルト部材であり、図示しないモータの駆動力が伝達されるベルト駆動ローラ41および一対の従動ローラ44、45に張架されている。また、中間転写部40は、1次転写バックアップローラ51Y、51M、51C、51Kで感光体10Y、10M、10C、10Kと当接しながらベルト駆動ローラ41により反時計回りに回転駆動される。
【0086】
さらに、中間転写部40は、テンションローラ49によって所定のテンションが付与されて、たるみが除去されるようになっている。このテンションローラ49は、一方の従動ローラ44より中間転写部40の回転(移動)方向下流側でかつ他方の従動ローラ45より中間転写部40の回転(移動)方向上流側に配設されている。
この中間転写部40に、1次転写バックアップローラ51Y、51M、51C、51Kにより、現像部30Y、30M、30C、30Kで形成された各色に対応した単色像が順次転写され、各色に対応した単色像が重ね合わされる。これにより、中間転写部40にフルカラー現像剤像(中間転写像)が形成される。
【0087】
中間転写部40には、このように複数の感光体10Y、10M、10C、10Kに形成した単色像を順次2次転写して重ね合わせて担持し、後述する2次転写ユニット60において一括して紙、フィルム、布等の記録媒体F5に2次転写する。そのため、2次転写行程において記録媒体F5にトナー像を転写するに当たって、記録媒体F5表面が繊維質などによって平滑でないシート材であっても、この非平滑なシート材表面に倣って2次転写特性を向上させる手段として、弾性ベルト部材を採用している。
【0088】
また、中間転写部40には、中間転写部クリーニングブレード46、現像剤回収部47、非接触式バイアス印加部材48からなるクリーニング装置が配置されている。
中間転写部クリーニングブレード46および現像剤回収部47は、従動ローラ45側に配されている。
中間転写部クリーニングブレード46は、2次転写ユニット(2次転写部)60によって記録媒体F5上に像が転写された後に、中間転写部40上に付着した液体現像剤を掻き落として除去する機能を有している。
【0089】
現像剤回収部47は、中間転写部クリーニングブレード46により除去された液体現像剤を回収する機能を有している。
非接触式バイアス印加部材48はテンションローラ49に対向する位置に中間転写部40から離間して配設されている。この非接触式バイアス印加部材48は、二次転写後に中間転写部40上に残留する液体現像剤のトナー(固形分)に、このトナーと逆極性のバイアス電圧を印加するものである。これにより、トナーが除電されて中間転写部40へのトナーの静電付着力が低減されるようにしている。この例では、非接触式バイアス印加部材48として、コロナ帯電器が用いられている。
【0090】
なお、非接触式バイアス印加部材48は、必ずしもテンションローラ49に対向する位置に配設する必要はなく、例えば従動ローラ44とテンションローラ49との間の位置等、従動ローラ44より中間転写部の移動方向下流側で、かつ、従動ローラ45より中間転写部の移動方向上流側の任意の位置に配設することができる。また、非接触式バイアス印加部材48はコロナ帯電器以外の公知の非接触式帯電器を用いることもできる。
【0091】
また、1次転写バックアップローラ51Yより中間転写部40の移動方向下流側に、中間転写部スクイーズ装置52Yが配されている。
この中間転写部スクイーズ装置52Yは、中間転写部40上に転写された液体現像剤が望ましい分散状態に至っていない場合に、転写された液体現像剤から余剰の絶縁性液体を除去する手段として設けられている。
【0092】
中間転写部スクイーズ装置52Yは、中間転写部スクイーズローラ53Yと、中間転写部スクイーズローラ53Yに押圧摺接して表面をクリーニングする中間転写部スクイーズクリーニングブレード55Yと、中間転写部スクイーズクリーニングブレード55Yで除去された液体現像剤を回収する現像剤回収部56Yとから構成される。
中間転写部スクイーズ装置52Yは、中間転写部40に1次転写された現像剤から余剰な絶縁性液体を回収し、像内のトナー粒子比率を上げると共に、本来不要なカブリトナーを回収する機能を有する。
【0093】
2次転写ユニット60は、互いに転写材移動方向に沿って所定間隔離間して配置された一対の2次転写ローラを備えている。これらの一対の2次転写ローラのうち、中間転写部40の移動方向の上流側に配置される2次転写ローラが上流側2次転写ローラ64である。この上流側2次転写ローラ64は、ベルト駆動ローラ41に中間転写部40を介して圧接可能となっている。
【0094】
また、一対の2次転写ローラのうち、転写材の移動方向の下流側に配置される2次転写ローラが下流側2次転写ローラ65である。この下流側2次転写ローラ65は、従動ローラ44に中間転写部40を介して圧接可能となっている。
すなわち、上流側2次転写ローラ64、下流側2次転写ローラ65は、それぞれ、ベルト駆動ローラ41および従動ローラ44に掛けられた中間転写部40に記録媒体F5を当接させて、中間転写部40上に色重ねして形成された中間転写像を記録媒体F5に2次転写する。
【0095】
この場合、ベルト駆動ローラ41および従動ローラ44は、それぞれ上流側2次転写ローラ64、下流側2次転写ローラ65のバックアップローラとしても機能する。すなわち、ベルト駆動ローラ41は、2次転写ユニット60において従動ローラ44より記録媒体F5の移動方向上流側に配置される上流側バックアップローラとして兼用される。また、従動ローラ44は、2次転写ユニット60においてベルト駆動ローラ41より記録媒体F5の移動方向下流側に配置される下流側バックアップローラとして兼用される。
【0096】
したがって、2次転写ユニット60に搬送されてきた記録媒体F5は、上流側2次転写ローラ64とベルト駆動ローラ41との圧接開始位置(ニップ開始位置)から下流側2次転写ローラ65と従動ローラ44との圧接終了位置(ニップ終了位置)までの転写材の所定の移動領域で中間転写部40に密着される。これにより、中間転写部40上のフルカラーの中間転写像が、中間転写部40に密着した状態の記録媒体F5に所定時間にわたって2次転写されるので、良好な2次転写が行われる。
【0097】
また、2次転写ユニット60は、上流側2次転写ローラ64に対して、2次転写ローラクリーニングブレード66と、現像剤回収部67とを備えている。また、2次転写ユニット60は、下流側2次転写ローラ65に対して、2次転写ローラクリーニングブレード68と、現像剤回収部69とを備えている。各2次転写ローラクリーニングブレード66、68は、それぞれ2次転写ローラ64、65に当接されて2次転写後に各2次転写ローラ64、65の表面に残留する液体現像剤を掻き落として除去する。また、各現像剤回収部67、69は、それぞれ各2次転写ローラクリーニングブレード66、68によって各2次転写ローラ64、65から掻き落とされた液体現像剤を回収して貯留する。
【0098】
2次転写ユニット60により記録媒体F5上に転写されたトナー画像(転写像)F5aは、定着部(定着装置)F40に送られ、加熱および加圧されて、記録媒体F5上に定着される。
なお、定着温度は、具体的には、80〜160℃であるのが好ましく、100〜150℃であるのがより好ましく、100〜140℃であることがさらに好ましい。
【0099】
次に、現像ユニット100Y、100M、100C、100Kについて、詳細に説明する。なお、以下の説明では、代表的に、現像ユニット100Yについて説明する。
現像ユニット100Yは、図2に示すように、液体現像剤貯留部31Yと、塗布ローラ32Yと、規制ブレード33Yと、現像剤攪拌ローラ34Y、連通部35Yと、回収スクリュー36Yと、現像ローラ20Yと、現像ローラクリーニングブレード21Yとを有している。
液体現像剤貯留部31Yは、感光体10Yに形成された潜像を現像するための液体現像剤を貯留する機能を備えており、液体現像剤を現像部に供給する供給部31aYと、供給部31aY等で発生した余剰の液体現像剤を回収する回収部31bYと、供給部31aYと回収部31bYとを仕切る仕切31cYとを備えている。
【0100】
供給部31aYは、液体現像剤を塗布ローラ32Yに供給する機能を有し、現像剤撹拌ローラ34Yを設置した凹状の部分を有する。また、供給部31aYには、液体現像剤混合槽93Yから連通部35Yを通じて液体現像剤が供給される。
回収部31bYは、供給部31aYに過剰に供給された液体現像剤や現像剤回収部15Y、24Yで生じた余剰な液体現像剤を回収するものである。回収された液体現像剤は、後述する液体現像剤混合槽93Yに搬送され、再利用される。また、回収部31bYは、凹状の部分を有し、その底付近に回収スクリュー36Yが設置されている。
【0101】
供給部31aYと回収部31bYとの境界には、壁状の仕切31cYが設けられている。仕切31cYは、供給部31aYと回収部31bYとを仕切り、回収された液体現像剤の新鮮な液体現像剤への混入を防ぐことができる。また、供給部31aYに過剰の液体現像剤が供給された際に、過剰分の液体現像剤は、仕切31cYを超えて供給部31aYから回収部31bYへあふれ出ることができる。このため、供給部31aYの液体現像剤の量が一定に保持されることができ、塗布ローラ32Yに供給される液体現像剤の液量を一定に維持することができる。このため、最終的に形成される画像の画質が安定したものとなる。
【0102】
また、仕切31cYには、切欠部が設けられており、切欠部を通じて液体現像剤が供給部31aYから回収部31bYへあふれ出ることができる。
塗布ローラ32Yは、液体現像剤を現像ローラ20Yへ供給する機能を備えたものである。
この塗布ローラ32Yは、鉄等金属性のローラの表面に溝が均一かつ螺旋状に形成されニッケルメッキが施された、いわゆるアニロクスローラを呼称されるものであり、その直径は約25mmである。本実施形態では、塗布ローラ32Yの回転方向に対して斜めに複数の溝が、いわゆる切削加工や転造加工等によって形成されている。この塗布ローラ32Yは、反時計回りに回転しながら液体現像剤に接触することによって、溝に、供給部31aY内の液体現像剤を担持して、該担持した液体現像剤を現像ローラ20Yへ搬送する。
【0103】
規制ブレード33Yは、塗布ローラ32Yの表面に当接して、塗布ローラ32Y上の液体現像剤の量を規制する。すなわち、当該規制ブレード33Yは、塗布ローラ32Y上の余剰液体現像剤を掻き取って、現像ローラ20Yに供給する塗布ローラ32Y上の液体現像剤を計量する役割を果たす。この規制ブレード33Yは、弾性体としてのウレタンゴムからなり、鉄等金属製の規制ブレード支持部材より支持されている。また、規制ブレード33Yは、塗布ローラ32Yが回転して液体現像剤から進出する側(すなわち、図2中右側)に設けられている。なお、規制ブレード33Yのゴム硬度は、JIS−Aで約77度であり、規制ブレード33Yの、塗布ローラ32Y表面への当接部の硬度(約77度)は、後述する現像ローラ20Yの弾性体の層の塗布ローラ32Y表面への圧接部の硬度(約85度)よりも低くなっている。また、掻き取られた余剰の液体現像剤は、供給部31aYに回収され、再利用される。
【0104】
現像剤攪拌ローラ34Yは、液体現像剤を一様分散状態に攪拌する機能を備えたものである。これにより、複数個のトナー粒子が凝集した場合であっても、トナー粒子同士を好適に分散させることができる。特に、本発明の液体現像剤は、分散安定性に優れるとともに再分散性にも優れているため、再利用した液体現像剤であっても、容易に分散させることができる。
【0105】
供給部31aY内において、液体現像剤の中のトナー粒子はプラスの電荷を有し、液体現像剤は、現像剤撹拌ローラ34Yにより撹拌されて一様分散状態になり、塗布ローラ32Yが回転することによって、液体現像剤貯留部31Yから汲み上げられ、規制ブレード33Yによって液体現像剤量が規制されて現像ローラ20Yに供給される。また、現像剤攪拌ローラ34Yによって攪拌されることにより、仕切31cYを超えて回収部31bY側に液体現像剤を安定して溢れさせることができ、液体現像剤が滞留し圧縮することを防ぐことができる。
【0106】
さらに、現像剤攪拌ローラ34Yは、連通部35Y付近に設けられている。このため、連通部35Yから供給された液体現像剤が素早く拡散することができ、液体現像剤が供給部31aYに補給されている場合であっても、供給部31aYの液面を安定したものとすることができる。このような現像剤攪拌ローラ34Yが連通部35Y付近に設けられることにより、連通部35Yが負圧になり、自然に液体現像剤が吸い上げられることができる。
【0107】
連通部35Yは、現像剤攪拌ローラ34Y鉛直下方に対して設けられ、液体現像剤貯留部31Yと連通し、液体現像剤混合槽93Yから液体現像剤を供給部31aYへ吸い上げる部分である。
連通部35Yを現像剤攪拌ローラ34Yの下方に設けることにより、連通部35Yから供給される液体現像剤は、現像剤攪拌ローラ34Yに止められることになり、吹き出しによる液上面の盛り上がりがなく、液上面がほぼ一定に保持され、塗布ローラ32Yに安定して現像剤を供給できる。
【0108】
また、回収部31bYの底部付近に設けられた回収スクリュー36Yは、円筒状の部材からなり、外周に螺旋状のリブを有し、回収した液体現像剤が流動性を保つ機能を有するとともに、液体現像剤の液体現像剤混合槽93Yへの搬送を促進させる機能を有している。
現像ローラ20Yは、感光体10Yに担持された潜像を液体現像剤により現像するために、液体現像剤を担持して感光体10Yと対向する現像位置に搬送する。
【0109】
現像ローラ20Yは、その表面に、前述した塗布ローラ32Yから液体現像剤を供給することにより、液体現像剤層を形成するものである。
この現像ローラ20Yは、鉄等金属製の内芯の外周部に、導電性を有する弾性体の層を備えたものであり、その直径は約20mmである。また、弾性体の層は、二層構造になっており、その内層として、ゴム硬度がJIS−A約30度で、厚み約5mmのウレタンゴムが、その表層(外層)として、ゴム硬度がJIS−A約85度で、厚み約30μmのウレタンゴムが備えられている。そして、現像ローラ20Yは、前記表層が圧接部となって、弾性変形された状態で塗布ローラ32Yおよび感光体10Yのそれぞれに圧接している。
【0110】
また、現像ローラ20Yは、その中心軸を中心として回転可能であり、当該中心軸は、感光体10Yの回転中心軸よりも下方にある。また、現像ローラ20Yは、感光体10Yの回転方向(図2において時計方向)と逆の方向(図2において反時計方向)に回転する。なお、感光体10Y上に形成された潜像を現像する際には、現像ローラ20Yと感光体10Yとの間に電界が形成される。
なお、現像ユニット100Yにおいて、塗布ローラ32Yと現像ローラ20Yとは、異なる動力源(図示せず)によって、別駆動している。そして、塗布ローラ32Yと現像ローラ20Yと回転速度(線速度)比を変えることで、現像ローラ20Y上に供給される液体現像剤の量を調整することができる。
【0111】
また、現像ユニット100Yは、現像ローラ20Yの表面に当接されたゴム製の現像ローラクリーニングブレード21Yと、現像剤回収部24Yとを有している。この現像ローラクリーニングブレード21Yは、前記現像位置で現像が行われた後に、現像ローラ20Y上に残存する液体現像剤を掻き落として除去するための装置である。現像ローラクリーニングブレード21Yにより除去された液体現像剤は、現像剤回収部24Y内に回収される。
【0112】
また、図1、図2に示すように、画像形成装置1000は、液体現像剤を現像部30Y、30M、30C、30Kに補給する液体現像剤補給部90Y、90M、90C、90Kを備えている。これらの液体現像剤補給部90Y、90M、90C、90Kは、それぞれ、液体現像剤タンク91Y、91M、91C、91Kと、絶縁性液体タンク92Y、92M、92C、92Kと、液体現像剤混合槽93Y、93M、93C、93Kとを備えている。
【0113】
各液体現像剤タンク91Y、91M、91C、91Kには、それぞれ各色に対応した高濃度の液体現像剤が収納されている。また、各絶縁性液体タンク92Y、92M、92C、92Kには、それぞれ絶縁性液体が収納されている。さらに、各液体現像剤混合槽93Y、93M、93C、93Kには、各液体現像剤タンク91Y、91M、91C、91Kからの所定量の各高濃度液体現像剤と、各絶縁性液体タンク92Y、92M、92C、92Kからの所定量の各絶縁性液体とが供給されるようになっている。
【0114】
そして、各液体現像剤混合槽93Y、93M、93C、93Kは、それぞれ、供給された各高濃度液体現像剤および各絶縁性液体をそれぞれ備え付けられた攪拌装置により混合撹拌して、各供給部31aY、31aM、31aC、31aKで使用する各色に対応した液体現像剤を作製する。各液体現像剤混合槽93Y、93M、93C、93Kでそれぞれ作製された各液体現像剤は、それぞれ各供給部31aY、31aM、31aC、31aKに供給されるようになっている。
【0115】
また、液体現像剤混合層93Yには、回収部31bYで回収された液体現像剤が回収され、再利用される。液体現像剤混合槽93M、93C、93Kも同様である。
ここで、トナー粒子は、上記のように、ロジン系樹脂を含むトナー粒子の表面にアミン環状分散剤が強固に付着している。このため、回収に伴うストレス(例えば、クリーニングブレードによるストレス)が加えられたトナー粒子1であっても、アミン環状分散剤がトナー粒子から脱離・脱落することが確実に防止されており、また、上記のようなトナー粒子は、絶縁性液体中への再分散性が高い。したがって、回収されたトナー粒子を、好適に画像形成に再利用することができる。
【0116】
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、本発明の液体現像剤は、前述したような画像形成装置に適用されるものに限定されない。
また、本発明の液体現像剤は、前述したような製造方法により製造されたものに限定されない。
【0117】
また、前述した実施形態では、水系乳化液を得、該水系乳化液に電解質を添加することにより合一粒子を得るものとして説明したが、本発明は、これに限定されない。例えば、合一粒子は、水系液体に、着色剤とモノマーと界面活性剤と重合開始剤とを分散させ、乳化重合により、水系乳化液を調製し、該水系乳化液に電解質を添加して会合させる乳化重合会合法を用いて調製されたものであってもよいし、得られた水系乳化液を噴霧乾燥することにより合一粒子を得るものであってもよい。
また、前述した実施形態では、画像形成装置として、コロナ放電器を有する構成について説明したが、コロナ放電器は無くてもよい。
【実施例】
【0118】
[1]液体現像剤の製造
以下のようにして、液体現像剤を製造した。
(実施例1)
まず、トナー粒子の製造を行った。なお、温度が記載されていない工程については、室温(25℃)で行った。
【0119】
<分散液調整工程>
(着色剤マスター溶液の調製)
まず、樹脂材料として、まず、樹脂材料として、ポリエステル樹脂L(重量平均分子量Mw:5,200、ガラス転移温度:46℃、軟化温度:95℃、酸価:10.0mgKOH/g):100重量部を用意した。
次に、上記樹脂材料と、着色剤としてのシアン系顔料(大日精化社製、ピグメントブルー15:3)との混合物(質量比50:50)を用意した。これらの各成分を20L型のヘンシェルミキサーを用いて混合し、トナー製造用の原料を得た。
【0120】
次に、この原料(混合物)を2軸混練押出機を用いて混練した。2軸混練押出機の押出口から押し出された混練物を冷却した。
上記のようにして冷却された混練物を粗粉砕し、平均粒径:1.0mm以下の粉末とした。混練物の粗粉砕にはハンマーミルを用いた。
得られた混練物の粉末に固形分含有量が30wt%となるようにメチルエチルケトンを加え、アイガーモーターミル(米国アイガー社製:M−1000)で湿式分散して着色剤マスター溶液を調製した。
【0121】
(樹脂液調製処理)
上記着色剤マスター溶液:132重量部にメチルエチルケトン:42.6重量部、前記ポリエステル樹脂L:66.62重量部、ポリエステル樹脂H(重量平均分子量Mw:237,000、ガラス転移温度:63℃、軟化温度:182℃、酸価:9.8mgKOH/g):28.81重量部、前記ロジン変性ポリエステル樹脂(荒川化学工業社製、商品名「トラフィックス4012」、酸価:5〜20mgKOH/g、軟化点:120〜150℃、重量平均分子量:10000〜20000):28.81重量部および乳化剤としてのネオゲンSC−F(第一工業製薬社製):1.1重量部を加えて、高速分散機(プライミクス社製、T.K.ロボミクス/T.K.ホモディスパー2.5型翼)で混合し、樹脂液を作製した。なお、この溶液中において、顔料は均一に微分散していた。
【0122】
(分散質形成処理)
次いで容器内の樹脂液に1規定アンモニア水:50重量部を加えて、高速分散機(プライミクス社製、T.K.ロボミクス/T.K.ホモディスパー2.5型翼)により、攪拌翼の翼先端速度を7.5m/sとして十分に攪拌し、フラスコ内の溶液の温度を25℃に調整し、その後攪拌翼の翼先端速度を14.7m/sとして攪拌を行いつつ、170重量部の脱イオン水を滴下して転相乳化を起こした。攪拌を継続しながら、上記樹脂液に対して、さらに脱イオン水:70重量部を加えた。これにより、樹脂材料を含む分散質が分散した水系分散液を得た。
【0123】
<合一工程>
次に、水系分散液をマックスブレンド翼を有した攪拌容器に移し、攪拌翼の翼先端速度を1.0m/sとして攪拌を行いながら水系分散液の温度を25℃とした。
次に、同様の温度、攪拌条件を保ちつつ、5.0%の硫酸アンモニウム水溶液:300重量部を滴下し、分散質の合一を行い、合一粒子の形成を行った。滴下後、合一粒子のトナー粒子についての50%体積粒径Dv(50)[μm]が3μmに成長するまで攪拌を続けた。合一粒子のDv(50)が2.5μmになったら、脱イオン水:120.6重量部を添加し、合一を終了した。
【0124】
<脱溶剤工程>
得られた合一粒子分散液に対して、減圧下で、固形分含有量が23wt%となるまで有機溶剤を留去を行い、樹脂微粒子のスラリーを得た。
<洗浄工程>
次に、スラリーに対し、固液分離を行い、さらに水中への再分散(リスラリー)、固液分離を繰り返し行うことによる洗浄処理を施した。その後、吸引ろ過法により、着色樹脂微粒子のウェットケーキ(樹脂微粒子ケーキ)を得た。なお、ウェットケーキの含水率は35wt%であった。
【0125】
<乾燥工程>
その後、真空乾燥機を用いて、得られたウェットケーキを乾燥することにより、トナー粒子を得た。
<分散工程>
上記の方法で得られたトナー粒子:37.5重量部、アミン環状分散剤としてのDisperbyk−140(ビックケミー社製、重量平均分子量:10000〜60000):1.88重量部(固形分重量)、菜種油(日清オイリオ社製、商品名「ハイオレイック菜種油」):135重量部、菜種油(日清オイリオ社製、商品名「ハイオレイック菜種油」):135重量部、帯電制御剤としてのステアリン酸アルミニウム(日本油脂製):0.5重量部をセラミック製ポット(内容積600ml)に入れ、さらにジルコニアボール(ボール直径:1mm)を体積充填率85%になるようにセラミック製ポットに入れ、卓上ポットミルにて回転速度230rpmで24時間分散を行った。これにより、液体現像剤が得られた。
【0126】
得られた液体現像剤中における、トナー粒子のDv(50)は、1.85μmであった。なお、得られたトナー粒子の50%体積粒径Dv(50)[μm]は、Mastersizer 2000粒子解析装置(Malvern Instruments Ltd.製)にて測定を行った。また、以下に説明する各実施例、各比較例で得られた粒子についても同様にして、粒径を求めた。
【0127】
また、上述したDisperbyk−140は、縮合多環構造を有し、それぞれの環状構造には、複数の第3級アミンと、アルキレン基とが含まれていた。また、Disperbyk−140は、ウレタン結合をその化学構造中に有していた。また、また、Disperbyk−140は、アルキルアンモニウムイオンとの塩構造をなすカルボン酸基を多数有していた。
【0128】
また、得られた液体現像剤の25℃における粘度は、80mPa・sであった。
また、シアン系顔料の代わりに、マゼンダ系顔料:ピグメントレッド122、イエロー系顔料:ピグメントイエロー180、ブラック系顔料:カーボンブラック(デグサ社製、Printex L)に、それぞれ変更した以外は、上記と同様にして、マゼンダ系液体現像剤、イエロー系液体現像剤、ブラック系液体現像剤を製造した。
【0129】
(実施例2〜12)
樹脂材料、アミン環状分散剤、絶縁性液体の組成、配合量を表1に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様に各色に対応する液体現像剤を製造した。
(比較例1〜4)
アミン環状分散剤の代わりに表1に示す分散剤を用いた以外は、前記実施例1と同様にして各色に対応する液体現像剤を製造した。
(比較例5)
ロジン系樹脂を用いず、さらに、樹脂材料の配合比率を表1に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にして各色に対応する液体現像剤を製造した。
【0130】
以上の各実施例および比較例について、液体現像剤の組成、物性、分散剤の物性、含有量等を表1に示した。なお、表中、ロジン変性ポリエステル樹脂(荒川化学工業社製、商品名「トラフィックス4102」)をR1と、ロジン変性フェノール樹脂(荒川化学工業社製、商品名「タマノル361」、酸価:5〜20mgKOH/g、軟化点:140℃以上、重量平均分子量:10000〜20000)をR2と、ロジン変性フェノール樹脂(荒川化学工業社製、商品名「KG2212」、酸価:6〜22mgKOH/g、軟化点:172〜182、重量平均分子量:100000)をR3と、ポリエステル樹脂LをLと、ポリエステル樹脂HをHと、Disperbyk−140をD140と、Disperbyk−142(ビックケミー社製、重量平均分子量:10000〜60000)をD142と、Disperbyk−145(ビックケミー社製、重量平均分子量:2000〜8000)をD145と、アラキード251(荒川化学工業社製)をA251と、Agrisperse 712(ニューセンチュリーコーティングス社製、アミン価:100mgKOH/g)をA712と、ナイミーンDT208(日油株式会社製)をDT208(日油株式会社製)と、ナイミーンT2−202(日油株式会社製)をT2202と、上述した菜種油をL1と、上述した菜種油脂肪酸メチルをL2と、大豆油(日清オイリオ社製)をL3と、大豆油脂肪酸メチル(粘度5.1mPa・s、日清オイリオ社製、商品名「大豆油脂肪酸メチル」)をL4と、示した。
【0131】
また、上述したDisperbyk−142およびDisperbyk−145は、縮合多環構造を有し、それぞれの環状構造に複数の第3級アミンと、アルキレン基とが含まれていた。また、Disperbyk−142およびDisperbyk−145は、ウレタン結合をその化学構造中に有していた。また、また、Disperbyk−142およびDisperbyk−145は、末端基としてリン酸エステル基を一部有していた。
【0132】
【表1】

【0133】
[2]帯電性評価
上記のようにして得られた各液体現像剤について、以下のような評価を行った。
[2.1]現像効率
図1、図2に示すような画像形成装置を用いて、画像形成装置の現像ローラ上に前記各実施例および各比較例で得られた液体現像剤による液体現像剤層を形成した。次に、現像ローラの表面電位を300Vとし、感光体の表面電位を500Vで均一に帯電させ、感光体に露光を行い、感光体表面の帯電を減衰させ、表面電位を50Vとした。液体現像剤層が感光体と現像ローラとの間を通過した後の、現像ローラ上のトナー粒子と、感光体上のトナー粒子とをテープで採取した。採取に用いた各テープを記録紙上に貼り付け、それぞれのトナー粒子の濃度を測定した。測定後、感光体上で採取されたトナー粒子の濃度を、感光体上で採取されたトナー粒子の濃度と現像ローラ上で採取されたトナー粒子の濃度との総和で除した数値に100を掛けた値を現像効率として求め、以下の4段階の基準に従い評価した。なお、現像効率が高いほど、トナー粒子は、帯電特性に優れているといえる。
A :現像効率が95%以上であり、現像効率に特に優れる。
B :現像効率が90%以上、95%未満であり、現像効率に優れる。
C :現像効率が80%以上、90%未満であり、実用上問題のない。
D :現像効率が80%よりも小さく、現像効率に劣る。
【0134】
[2.2]経時安定性
各実施例および各比較例の液体現像剤を室温下で30日間放置した。次に、これらの液体現像剤について、[2.1]と同様にして現像効率を求めた。そして、現像効率の低下率を算出し、下記の4段階の基準に従い評価した。なお、現像効率の低下が少ないほど、トナー粒子の帯電特性の経時的な変化が少ないものとみなすことができ、液体現像剤の帯電特性がより長期にわたって保持されているといえる。
A :現像効率の低下が3%未満。
B :現像効率の低下が3%以上、5%未満。
C :現像効率の低下が5%以上、10%未満。
D :現像効率の低下が10%以上。
【0135】
[3]分散安定性評価
[3.1]分散安定性試験−1(条件1)
まず、分散剤を用いない以外は各実施例および各比較例で得られた液体現像剤と同様にして、各実施例および各比較例で得られた液体現像剤に対応する液体現像剤を得た。そして、分散剤が含まれていない、各実施例および各比較例に対応する液体現像剤の粘度η[mPa・s]と、各実施例および各比較例の液体現像剤の粘度η[mPa・s]とを求め、下記の4段階の基準に従い、評価した。なお、各実施例および各比較例の液体現像剤の粘度が、上記の各実施例および各比較例に対応する液体現像剤よりも低くなるほど、トナー粒子が好適に分散していると考えられ、トナー粒子の分散安定性が優れているといえる。
A : η/η≦0.80
B : 0.80≦η/η≦0.90
C : 0.90≦η/η≦0.95
D : 0.95≦η/η
【0136】
[3.2]分散安定性試験−2(条件2)
各実施例および各比較例で得られた液体現像剤10mLを試験管(口径12mm、長さ120mm)に入れ、30日間静置後の沈降した深さ(液面からトナー粒子が沈降して形成された面までの距離)を測定し、以下の4段階の基準に従って評価した。
A :沈降した深さが0mm。
B :沈降した深さが0mmよりも大きく、2mm以下。
C :沈降した深さが2mmよりも大きく、5mm以下。
D :沈降した深さが5mmよりも大きい。
【0137】
[4] 耐久性試験
前記各実施例および前記各比較例で得られた液体現像剤を用いて、それぞれ、図1、図2に示すような画像形成装置により、所定パターンの画像を10000枚の記録紙(セイコーエプソン社製、上質紙 LPCPPA4)上に形成した。この画像形成は、各色の液体現像剤タンクから対応する各色の撹拌装置への液体現像剤の供給を停止した状態で行った。10000枚の記録紙への画像形成を行った後、固形分含有率が20wt%となるように、撹拌装置に回収されたトナー粒子を絶縁性液体で希釈することにより再生した液体現像剤(リサイクル液体現像剤)について、上記[3.2]と同様の試験を行い、トナー粒子の耐久性を評価した。なお、リサイクル液体現像剤中のトナー粒子の分散安定性が優れているほど、トナー粒子に外部からのストレスのかかる環境下においても、トナー粒子表面に分散剤が十分に付着した状態が維持されやすいと考えることができる。
【0138】
【表2】

【0139】
表2から明らかなように、本発明の液体現像剤は、帯電特性(正帯電の帯電特性)および、トナー粒子の長期分散安定性に優れていた。これに対し、比較例の液体現像剤では、満足な結果が得られなかった。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】本発明の液体現像剤が適用される画像形成装置の一例を示す模式図である。
【図2】図1に示す画像形成装置の一部を拡大した拡大図である。
【符号の説明】
【0141】
1000…画像形成装置 10Y、10M、10C、10K…感光体 11Y…帯電ローラ 12Y…露光ユニット 13M、13Y…感光体スクイーズローラ 14M、14Y…クリーニングブレード 15M、15Y…現像剤回収部 16Y…除電ユニット 17Y…感光体クリーニングブレード 18Y…現像剤回収部 20Y、20M、20C、20K…現像ローラ 21Y…現像ローラクリーニングブレード 24Y…現像剤回収部 30Y、30M、30C、30K…現像部 31Y…液体現像剤貯留部 31aY、31aM、31aC、31aK…供給部 31bY…回収部 31cY…仕切 32Y…塗布ローラ 33Y…規制ブレード 34Y…現像剤撹拌ローラ 35Y…連通部 36Y…回収スクリュー 40…中間転写部 41…ベルト駆動ローラ 44、45…従動ローラ 46…中間転写部クリーニングブレード 47…現像剤回収部 48…非接触式バイアス印加部材 49…テンションローラ 51Y、51M、51C、51K…1次転写バックアップローラ 52Y、52M、52C、52K…中間転写部スクイーズ装置 53Y…中間転写部スクイーズローラ 55Y…中間転写部スクイーズクリーニングブレード 56Y…現像剤回収部 60…2次転写ユニット 64…上流側2次転写ローラ 65…下流側2次転写ローラ 66、68…2次転写ローラクリーニングブレード 67、69…現像剤回収部 90Y、90M、90C、90K…液体現像剤補給部 91Y、91M、91C、91K…液体現像剤タンク 92Y、92M、92C、92K…絶縁性液体タンク 93Y、93M、93C、93K…液体現像剤混合槽 100Y、100M、100C、100K…現像ユニット 101Y…感光体スクイーズ装置 F40…定着部(定着装置) F5…記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロジン系樹脂を含むトナー粒子と、
前記トナー粒子を分散する絶縁性液体と、
第2級アミンおよび/または第3級アミンを含む環状構造を複数有する分散剤とを含むことを特徴とする液体現像剤。
【請求項2】
前記ロジン系樹脂は、フェノール変性ロジン樹脂、ポリエステル変性ロジン樹脂から選択される少なくとも1種を含んで構成される請求項1に記載の液体現像剤。
【請求項3】
前記ロジン系樹脂の酸価は、3〜40mgKOH/gである請求項1または2に記載の液体現像剤。
【請求項4】
前記ロジン系樹脂の重量平均分子量は、500〜100000である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の液体現像剤。
【請求項5】
前記トナー粒子は、前記ロジン系樹脂の他に、ポリエステル樹脂を含むものである請求項1ないし4のいずれか1項に記載の液体現像剤。
【請求項6】
前記分散剤は、カルボン酸基を複数有している請求項1ないし5のいずれか1項に記載の液体現像剤。
【請求項7】
前記カルボン酸基は、アルキルアンモニウムイオンとの塩をなしている請求項6に記載の液体現像剤。
【請求項8】
前記分散剤は、無機オキソ酸とのエステル結合を有する請求項1ないし7のいずれか1項に記載の液体現像剤。
【請求項9】
前記無機オキソ酸は、リン酸である請求項8に記載の液体現像剤。
【請求項10】
前記分散剤は、重量平均分子量が8000〜100000である請求項1ないし9のいずれか1項に記載の液体現像剤。
【請求項11】
前記環状構造は、アルキレン基と前記第2級アミンおよび/または第3級アミンとによって構成されている請求項1ないし5のいずれか1項に記載の液体現像剤。
【請求項12】
前記分散剤は、その化学構造中にウレタン結合を有している請求項1ないし8のいずれか1項に記載の液体現像剤。
【請求項13】
前記絶縁性液体は、脂肪酸モノエステルを含む請求項1ないし10のいずれか1項に記載の液体現像剤。
【請求項14】
色の異なる複数の液体現像剤を用いて、複数の前記液体現像剤に対応した単色像を形成する複数の現像部と、
複数の前記現像部で形成された複数の前記単色像が順次転写され、転写された複数の前記単色像を重ね合わせてなる中間転写像を形成する中間転写部と、
前記中間転写像を記録媒体に転写し、前記記録媒体上に未定着カラー画像を形成する2次転写部と、
前記未定着カラー画像を前記記録媒体上に定着する定着部と、を有し、
前記液体現像剤が、ロジン系樹脂を含むトナー粒子と、前記トナー粒子を分散する絶縁性液体と、第2級アミンおよび/または第3級アミンを含む環状構造を複数有する分散剤とを含むことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate