液体生物活性物質の固体配合物
本発明は、安定化物質に完全に結び付けられた液体生物活性物質を含む固体生成物、とりわけ、安定化物質としての重合体、及び、液体、好ましくは、水不混和性の生物活性物質を含む、透明で、安定で、安定化されたナノ分散物、又は、充填されたミセルに再構成することができる固体生成物に関連する。本発明は、さらに、上記の固体生成物、とりわけ、固体生成物のケーキ、若しくは、粉末の水和反応により製造され、例えば、両親媒性ブロック共重合体、若しくは、低分子量の界面活性物質のような安定化物質としての重合体を含み、プロポフォールのような液体生物活性物質、任意の添加物、及び、適切な溶媒で充填された安定化された溶液の効果的な処理によって製造されるミセル、又は、ナノ分散の製造方法に向けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーキ状、粉末状等の形状中における固体生成物の調製に関連し、これは、水、水溶液、少なくとも一つの非水溶性有機溶媒、又は、その組み合わせを含む溶媒を少なくとも一つの安定化物質と混合し、続いて、少なくとも一つの液体生物活性物質を上記混合物に追加し、さらに、本質的に溶媒を含まない上記固体生成物を生じさせるための条件下でその全体を処理することによる。さらにとりわけ、本発明は、上記の固体生成物、並びに、それによって、本質的に透明で脂質を含まず無菌で安定な前記の安定化物質、及び、生物活性物質のナノ分散、又は、ミセルを含む水溶性生成物が形成されるその迅速な水溶性媒体中での再構成方法に関連し、さらに、前記生物活性物質を必要とする患者を前記の安定な水溶性生成物の投与により処置する方法にも関連する。好ましい実施態様において、この生物活性物質は水不混和性であり、プロポフォールとして一般に知られる2,6-ビス-(1-メチルエチル)フェノール、又は、2,6-ジイソプロピルフェノール、2-フェノキシエタノール、キナルジン、メトキシフルラン等、及び、その組み合わせから選択されてもよい。最も好ましい生物活性物質は、プロポフォールである。
【背景技術】
【0002】
プロポフォール(2,6-ビス-(1-メチルエチル)フェノールとして知られ、2,6-ジイソプロピルフェノールとしても知られる)は、現在、世界中で最も有名な麻酔剤である。プロポフォールは、ヒト、又は、動物への投与によって、知覚麻痺、又は、鎮静の誘発、及び、維持のために使用される。プロポフォールの薬用量の静脈注射は、迅速に催眠を引き起こし、たいてい投与開始から40秒以内に最小限の興奮を伴う。速いオンセット、及び、短い半減期(10分間から15分間)は、迅速な回復を伴う臨床上有用な特性を可能にする。医療費の上昇のために、この迅速な回復時間は、ますます一般的になっている外来患者にとってとりわけ好都合である。
【0003】
室温で、プロポフォールは、水と不混和性(およそ 0.154 mg/mL の水溶解性)で、1 % 又は、2 % (w/w)の濃度(2 % は、より長い鎮静用に使用される)でエマルションで提供される油である。現在市販されているプロポフォール水中油型エマルションは、DIPRIVAN(登録商標)(アストラゼネカ製薬株式会社製)、BAXTER(登録商標)IPP(Gensia Sicor株式会社製)、及び、プロポフォール注射剤エマルション(Bedford Laboratories製)である。
血流中の大きな液滴サイズのプロポフォールは、ヒトにおける塞栓症につながるので、エマルション中にプロポフォールを十分に分配するために製造の間に極度の配慮を払わなければならない。これらのエマルションは、通常は、ダイズ油(100 mg/mL)、グリセロール(22.5 mg/mL)、及び、タマゴレシチン(12 mg/mL)を含んでいる。エマルションは、大きな粒子サイズ、一般的には、200 nm よりも大きな粒子サイズにより定義され、それにより、乳白色の不透明な配合物を作り出す。これは、配合物中の異質な粒子の麻酔科医による目視検査をより困難にする。これらのエマルションの高い脂質含有量は、高脂血症にもつながる。
【0004】
これらのエマルション中のタマゴレシチン、及び、ダイズ油の存在は、また、エマルションを微生物増殖、及び、アレルギー反応に対して高感受性にもしてしまう。細菌の増殖を抑えるために、製造業者らは、保存料のEDTA(エチレンジアミン四酢酸)を 0.05 mg/mL でDIPRIVAN(登録商標)に、そして、メタ重亜硫酸ナトリウムを 0.25 mg/mL でBAXTER(登録商標)PPIプロポフォールへ、さらに、ベンジルアルコールを 1 mg/mL でBedford Laboratoriesのプロポフォール注射剤エマルションに加えている。
これらの保存料の一部は、ヒトにおいて副作用を引き起こすことが知られている。メタ重亜硫酸ナトリウムは、特定のスルファイトに感受性の個人において、アナフィラキシー性の症状、及び、重篤な、又は、喘息性のエピソードを含むアレルギー型の反応を引き起こすことが知られているスルファイトである。メタ重亜硫酸ナトリウムは、また、プロポフォールの分解を触媒することも知られている。同様に、EDTAのキレート化する特性は、それらの心機能、及び腎機能への好ましくない影響のために、FDAにとっての懸念である。さらに、これらのエマルションは、熱力学的に極めて不安定で、所要のずり応力の下で分離しがちなので、標準的な滅菌フィルターを使用して効果的に滅菌することができない。当該のエマルションは、また、希釈、及び/又は、生理食塩水、ブドウ糖、若しくは、別の医薬品を含む溶液との混合に対しても不安定である。さらに、乳化剤としてのタマゴレシチン、及び、可溶化剤としてのダイズ油の存在は、タマゴ、及び/又は、ダイズに対し過敏なヒトにおいて、アナフィラキシー性反応、及び、アナフィラキシー様反応を引き起こすかもしれない。
【0005】
プロポフォールエマルションは、熱力学的に不安定であることが知られている、つまりは、油、及び、水の成分が、希釈されたとき、剪断されたとき、冷却されたとき、加熱されたとき、又は、別の溶液と混合されたときに分離する傾向がある。さらに、この分離は、この配合物が、低温で、すなわち 2 ℃ よりも低い温度で、又は、高温、すなわち 25 ℃ よりも高い温度で保存されるときに促進される。さらに、これらの脂質を基盤としたエマルションは、多くの場合注射の際に局所的な麻酔薬の使用を伴わせる注射部位における痛みを伴う。
種々の方法、及び、手段が、少なくとも一つの疎水性化合物、とりわけ、医薬品の体内の好ましい場所への効果的な運搬のための安定な配合物の調製のために、先行技術において記載されている。これらの手段のいくつかは、補助的な溶媒、界面活性剤、薬剤の溶解性の形態、例えば、塩、及び、溶媒和物、薬剤の化学的に修飾した形態、例えば、プロドラッグ、溶解性の重合体−薬剤複合体、リポソームのような特別の薬剤キャリア等に基づいている。
【0006】
実際に、界面活性剤に基づくミセルの使用は、水溶性の環境下で疎水性薬物を可溶性にすることが可能な潜在的に有効な薬剤キャリアとして非常に多くの関心を集めている。一般的に、ミセル、及び、ナノ分散は、運搬するための生物学的物質の薬物動態(さらに通常は薬力学)を変化させることが明らかになっている。従って、それらの内部に薬剤を隔離することにより、それらは、循環時間を延長するかもしれないし、より多くの薬剤を特定の場所に運搬することを可能にするかもしれないし、及び/又は、薬剤単独の投与と比較した時に異なった体内分布を可能にするかもしれない。
しかしながら、上記の方法の各々は、とりわけ、プロポフォールのような”オン/オフ”型の麻酔剤の運搬を考慮する時に、特定の欠点を伴う。例えば、疎水性の薬剤を可溶性にするために界面活性剤ミセルを使用することを基盤とした方法は、界面活性剤の一部に比較的毒性があり(例えば、Cremophor EL(登録商標))、希釈される時に疎水性の薬剤の沈殿が起こるかもしれないという点で本質的な問題になることがある。別の調製方法は、乏しい封入効率(例えば、平衡法)、比較的大きな粒子サイズ(エマルション)を生じるか、又は、多大な時間を必要とする。
最終的に、ミセルによる運搬、又は、リポソームによる運搬を伴う長期の循環時間は、プロポフォールのような麻酔薬剤の所要の”オン/オフ”特性に有害な影響を与えうる。
【0007】
さらに、シクロデキストリン誘導体の使用を基盤とした研究がされており、この誘導体は、疎水性の内部空洞を有する水溶性の環状炭水化物化合物であり、プロポフォールと複合体を形成して水への薬剤の溶解を可能にし、透明な溶液を形成する。しかしながら、シクロデキストリンは高価であり、血行動態の有害事象を伴う。また、シクロデキストリン配合物の長期の安定性は、処方上の課題を有している。より重要なことには、シクロデキストリンは、高用量で腎毒性に関連している。
【0008】
プロポフォールホスファートを含む水溶性プロドラッグの使用を研究する種々の試みもある。しかしながら、たいてい、プロドラッグは、本発明と同程度の反応のためには、はるかに高い用量を要求し(10倍以上まで)、たいてい、作用のより遅いオンセット、及び、より遅いクリアランスを明示する。さらに、いくつかのプロポフォールプロドラッグの中で、副生成物の内の一つは、発癌物質になる可能性があるホルムアルデヒドである。プロドラッグは、また、著しく不安定であり、結果として短い貯蔵寿命、又は、安定性を維持するための低い貯蔵温度をもたらす。有益な薬物動態は、プロドラッグの使用によって変えられる。
さらに、プロポフォールのような液体の生物活性物質が上記で議論された技術と共に処方される時、液体剤形が製造される。しかしながら、前記の液体配合物の安定性は、いつも、存続期間、及び、貯蔵条件に対する懸念である。
従って、技術的に欠けているものは、種々の異なる温度、及び、希釈状態において長期間安定であり、細菌の増殖を支持しない本質的に透明で無菌の液体を製造するための水溶性媒体を使用して容易に再構成される、プロポフォールのような水不混和性の液体薬剤から形成され、水溶性媒体中に薬剤が充填されたミセル、若しくは、ナノ分散を含む、軽量のドライパウダー、又は、ケーキである。このミセル、又は、ナノ分散は、水溶性の再構成媒体の追加後、直接的に、及び、自発的に生成されるが、プロポフォール、又は、別の生物活性液体の高い充填水準を安定性に本質的に影響を与えることなく達成することを可能にする。
【0009】
多くの研究、学術論文、及び、特許が、非経口的な投与、とりわけ、プロポフォール、及び、液体形態の別の薬剤の投与に適した安定な麻酔剤組成物を形成することに向けられている。
例えば、国際公開番号:WO 02/45709 A1 は、プロポフォール、水溶性乳化剤(TPGS)、及び、水を含み、非経口的な投与に適した安定で透明な無菌の水溶性組成物、並びに、その製造方法を開示する。しかしながら、この最終生成物は液体であり、製造方法は、効果的な滅菌を実現するために、マイクロンサイズのフィルターを通した組成物の濾過、及び、濾液を詰め込んだシール容器のオートクレーブ滅菌の両方を必要とする。
国際公開番号:WO 03/030862 A2 は、麻酔剤組成物の吸入、及び、水溶液中で麻酔剤の懸濁を含む方法を開示する。この引例は、ミセル中に麻酔剤(すなわち、プロポフォール)を被包するための界面活性剤であるポロクサマー(アメリカでは、Pluronics(登録商標)として、ヨーロッパでは、Lutrols(登録商標)として知られる)の使用を教示する。好ましい実施態様は、プロポフォールの十分な溶解性を実現するためにプロピレングリコールの存在を必要とする。しかしながら、この生成物は液体として提供され、吸入される麻酔剤中の水の存在は、胸水のような肺障害を有する患者にとって常に有益とは限らない。
この引例に開示される組成物が、液体組成物を構成するために液体の混合物を使用して調製されることに気付くだろう。
【0010】
国際公開番号:WO 01/64187 A2 、及び、対応する米国PGPUB番号:2003/0138489 A1 は、それに対して、プロピレングリコールのような水混和性の共溶媒を含まず、透明で注射可能な溶液を形成するためにポロクサマーの組み合わせを使用する、水溶性のミセル調製物中で可溶性にされたプロポフォールを開示する。国際公開番号:WO 01/64187 A2 によれば、水混和性の共溶媒の使用は、表在性血栓性静脈炎、血管内溶血性反応(intravasal haemolytic reactions)、及び、見込まれる遊離プロポフォール構成の増加のような好ましくない医学的な影響を有する可能性がある。さらに、国際公開番号:WO 01/64187 A2 は、再乳化を必要とする程度までミセルを乱すことが知られているので、配合物が無菌性に濾過される時に、オートクレーブすることは好ましくないかもしれないと示唆する。さらに、ポロクサマーは、容易に分解できず、堅固な接合点を切り開くかもしれない洗浄剤のような界面活性物質である。さらに、洗浄剤界面活性剤は、注射による疼痛の原因であるかもしれず、局部の疼痛を低減するためにリドカインの追加を必要とする。この最終生成物は、液体である。
【0011】
米国特許番号:6,322,805 は、親水性の環境下で固体の疎水性薬剤を可溶性にする能力のある生物分解性の重合体の薬剤キャリアミセル組成物を開示する。この特許は、生物分解性の重合体の薬剤キャリアミセル、及び、薬剤が重合体の薬剤キャリアミセル内に物理的に捕捉され、重合体の薬剤キャリアミセルに共有結合的に結合されていない疎水性薬剤を開示する。この薬剤運搬ミセルは、その溶液を形成するための水中に溶解する能力があり、この薬剤キャリアは、親水性のポリ(酸化アルキレン)成分、及び、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)、ポリ(ε-カプロラクトン)、その誘導体、又は、その混合物からなる群より選択された生物分解性の疎水性重合体成分を有する両親媒性のブロック重合体を含む。この開示されたミセルは、疎水性薬剤に対する可溶化剤として特徴付けされる。この疎水性薬剤は、重合体の薬剤キャリアミセル溶液と混合され、この混合物は、攪拌され、過熱され、超音波処理にさらされ、溶媒の蒸発、又は、透析のどちらかにさらされることにより、疎水性の薬剤が疎水性の重合体中心に組み込まれ、その後、疎水性の薬剤は水溶液中に形成される。
【0012】
米国特許番号:5,543,158 は、本質的にポリ(アルキレングリコール)、及び、生物分解性の重合体、ポリ(乳酸)からなるブロック共重合体で形成されたナノ粒子、又は、マイクロ粒子を開示する。ナノ粒子、又は、マイクロ粒子中で、共重合体の生物分解性成分は、ナノ粒子、又は、マイクロ粒子の中心に存在し、ポリ(アルキレングリコール)成分は、細胞内皮系によるナノ粒子、又は、マイクロ粒子の取り込みを減少させるための有効量でナノ粒子、又は、マイクロ粒子の表面上に存在する。従って、このナノ粒子、又は、マイクロ粒子は、血流中で長い間循環するように作られている。この特許中で、ブロック共重合体の分子量は、とても大きすぎて水に溶解することができず、ナノ粒子は、まずブロック共重合体、及び、薬剤を有機溶媒中に溶解し、超音波処理、及び、攪拌によりo/wエマルションを形成し、さらにそれから、薬剤を含む沈殿されたナノ粒子を回収することにより調製できるだけである。この特許は、疎水性の薬剤の可溶化という構想を提供せず、重合体/薬剤混合物を含む透明で滅菌可能な溶液の形成、及び、後のその凍結乾燥物(これは、結果として容易に再構成によって形成される分散性ミセル、若しくは、ナノ分散になる。)を教唆、又は、示唆のどちらもしない。
【0013】
欧州特許出願番号:0520888 A1 は、ポリ(乳酸)、及び、ポリ(酸化アルキレン)のブロック共重合体で作られたナノ粒子を開示する。高分子量のポリ(乳酸)が使用され、界面活性剤が、ナノ粒子のコロイド状懸濁液の調製に用いられる。この特許中で、ナノ粒子は、有機溶媒中でブロック共重合体、及び、薬剤を溶解し、有機水溶液を乳化し、さらに、有機溶媒を蒸発させることにより調製され、薬剤を含むナノ粒子を沈殿させる。結果として生じるナノ粒子は、親水性成分、及び、疎水性成分の両方を有する純度の高い粒子であり、これらは、透明で安定な水溶性の液体を形成することができない。
【0014】
米国特許番号:4,997,454 は、直径3ミクロン以下の粒子の懸濁液としての静脈内投与用の均等な大きさの粒子を固体化合物から製造する方法を教唆する。適切な固体化合物が適切な溶媒中に溶解され、沈殿液体が注入されることにより、液体混合物から分離された非凝集性の粒子を形成する。この生成物は、固体ミクロスフェアの懸濁液を含む液体である。
米国特許番号:4,370,349 、及び、4,311,712 は、凍結乾燥したリポソームの混合物の下記のどちらかを含む調製方法を開示する;(a)少なくとも一つのリポソーム形成親水性脂質、少なくとも一つの生物活性化合物、及び、一つ以上の補助剤を適切な溶媒中に溶解してもよく、それからこの溶液を凍結乾燥すること、又は、(b)いずれかの既知の方法により少なくとも一つの生物活性化合物を含む水溶性のリポソーム組成物を調製し、それから、前記水溶性のリポソーム組成物を凍結乾燥すること。この特許は、とりわけ、処理(a)、又は、処理(b)により得られた前記の凍結乾燥され潜在的にリポソームの混合物を適切な水溶性の媒体中に分散させることを含む水溶性のリポソーム組成物の調製方法に向けられる。当該発明の方法は、リポソーム生成には向けられていない。
【0015】
米国特許番号:6,780,324 は、独特な方法を教唆するが、その中で溶液は、分散剤、及び、適切な溶媒、又は、溶媒混合物(さらに水を含んでいてもよい)と組み合わせて疎水性の生物活性物質から形成され、この混合物は、凍結乾燥され、その後、再水和されて、生物活性物質が充填されたミセル、又は、ナノ分散を形成する。当該発明は、液体で疎水性の生物活性物質から生物活性物質が充填されたミセル、又は、ナノ分散を形成するための改良された方法を提供するが、この方法は、液体で疎水性の生物活性物質を加えられる安定化物質、及び、溶媒(溶媒は単に水だけを含んでいてもよい)の溶液を最初に形成することによる。これは、凍結乾燥、及び/又は、結果として本質的に溶媒を含まない固体生成物になるいずれかの処理により続く。
【0016】
米国特許番号:6,835,396 は、薬理学的に活性のある化合物を水不混和性の溶媒と混合し、有機相を形成することによるサブミクロンサイズの粒子の調製を開示する。他方では、界面活性化合物を含む水相を提供する。この有機相、及び、水相が混合されて未精製の分散を形成し、後者のものは、キャビテーションが起こるのを可能にする超音波処理装置で処理される。この分散は、それから凍結され、さらに凍結乾燥され、500 nm 未満の平均粒子サイズを有する粒子を提供する。
従って、理想的にプロポフォールは、注射のために準備ができる透明で安定な溶液を形成するために瞬時に水和されることが可能な固体生成物として利用可能であるべきである。この目的のために、水、及び、プロポフォールの混合物を凍結乾燥することによる試験が用意された。結果は、水、及び、プロポフォールは全て蒸発し、何も残らないというものであった。これは、別の目的達成のための方法が研究されなければならないことを示唆している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
従って、本発明の主要な目的は、親水性の生物分解性重合体中に液体生物活性物質を含む無菌で固体の充填されたミセル、又は、ナノ分散の形成方法を提供することである。
本発明の付加的な目的は、安定化された薬剤ナノ分散、もしくは、充填されたミセルを含む本質的に透明で水溶性の液体を形成するために容易に再構成される安定なケーキ、又は、粉末を生成することである。
本発明のまださらなる目的は、生物活性物質、重合体、及び、必要に応じて添加剤(例えば、バルク形成物質、凍結防止剤、分散防止剤)、及び/又は、安定化物質を含む透明な液体を凍結乾燥、噴霧乾燥等のような処理に先立って、いずれかの適切な溶媒を使用して形成する方法を提供することである。
本発明の別の目的は、ボーラス(高濃度に濃縮された)注射に加えて長期間の注入のための、患者への投与前に容易に再構成される貯蔵可能な粉末を提供することである。
【0018】
本発明の別の目的は、瞬時に投与後の体液、及び、組織中に放出する液性生物活性物質を充填されたミセル、又は、ナノ分散を提供することである。
本発明のさらに別の目的は、より長い貯蔵寿命、及び、より軽い生成物をもたらす粉末の形成である。
まださらなる本発明の目的は、保存料の必要性なしに無菌の配合物を提供することである。
本発明の別の目的は、一般に、現在市販されている配合物に付随する投与における痛みのあらゆる感覚を減らすか、又は、除去する配合物を提供することである。
本発明のさらなる目的は、室温において、高い薬剤充填水準で、24時間よりも長い間安定な一度再構成された液体の医療用配合物を提供することである。
【0019】
本発明の別の目的は、希釈後、ずり応力にさらされた時、又は、生理食塩水、ブドウ糖、若しくは、別の薬剤を含む溶液(例えば、注射剤リドカイン溶液)と混合された時に安定な配合物を提供することである。
本発明の別の目的は、再構成の際に、細菌の増殖を支持しない固体配合物を提供することである。
本発明の別の目的は、脂質を含まない配合物を提供することである。
【0020】
(定義)
本明細書、及び、特許請求の範囲で使用されるように、”安定化物質”という用語は、水不溶性薬剤の水溶性の調製を可能にする媒体、又は、物質を意味している。
本明細書、及び、特許請求の範囲で使用されるように、”本質的に透明”という用語は、少なくとも一つの安定化物質、及び、安定化物質中に充填された少なくとも一つの液体生物活性物質の完全な混合物を含む固体生成物が、再構成に際して、前記少なくとも一つの生物活性物質が、およそ 13 % の薬剤充填水準までの安定化されたナノ分散、又は、充填されたミセルとして存在する透明で安定な再構成された溶液、およそ 13 % からおよそ 20 % の薬剤充填水準でだんだんと乳白光を発し透明な溶液、さらに、およそ 20 % を越える薬剤充填水準で透明な濁った懸濁液を形成する、再構成溶媒、及び、再構成された固体の安定な溶液を意味している。それでもなお、本発明のこれら全ての配合物は、24時間を越えて安定、つまりは、これらは、水、及び/又は、35 g/L のアルブミン溶液中に希釈しても沈殿しない。
PPF-PMとは、プロポフォール-重合体ミセルを意味する。
【課題を解決するための手段】
【0021】
(発明の開示)
先行技術が直面する課題を克服するために、本発明は、当業者に公知の凍結乾燥、噴霧乾燥等の処理に依存しており、これは、水、水溶液、少なくとも一つの非水溶性の有機溶媒、又は、その組み合わせから選択された溶媒を少なくとも一つの安定化物質と一番目の溶液を提供するための条件下で混合し、その後、プロポフォール等のような少なくとも一つの液体生物活性物質を追加し、二番目の溶液を生じさせることにより得られる。後者のものは、液体生物活性物質が完全に結び付けられ、本質的に全ての溶媒、又は、溶媒類が除去され、実質的にこの処理の間に薬剤の損失が全く起こらない固体生成物を生じる条件下で凍結乾燥、噴霧乾燥等されるが、この処理は任意で、緩衝液、バルク形成添加剤、凍結防止剤、及び、分散防止剤を含む限定されない例の添加剤がこの処理の間のいかなる段階で加えられてもよい。
【0022】
当該液体は、上記処理に先立って、滅菌濾過を受けることが可能であり、粉末、ケーキ等を形成する。上記処理により生じた固体生成物は、貯蔵し、輸送することが可能であり、さらに、その後の使用に先立って、水溶性媒体中にナノ分散、又は、ミセルを含む、本質的に透明で安定な無菌の液体を形成するために、水溶液、例えば、水、生理食塩水、ブドウ糖等の追加により再構成することが可能な軽量の脂質を含まない物質である。
当該の工程は、不溶性の液体薬剤、及び、安定化物質の完全な結び付きを含む液体由来の固体生成物を形成するための単純で簡潔な手段を明らかにする。溶媒、不溶性の液体薬剤、及び、安定化物質の完全な結び付きを含む液体は、不溶性の液体薬剤が安定化物質と親密に結び付いたままでいるために実質的に全ての薬剤がこの工程の間保持される工程により、乾燥されてもよい。この生成物は、上で記載したとおりの乾燥した固体である。この乾燥した固体生成物は、水、又は、水溶液を追加されて自然に再構成し、液体生物活性物質を充填された薬剤ミセル、又は、薬剤ナノ分散を含む本質的に透明で安定な液体を形成する。
【0023】
大まかに、本発明は、それに対する水溶性の溶媒の追加による透明で安定な溶液への再構成に適した固体生成物に関連し:
前記固体生成物は、少なくとも一つの安定化物質、及び、少なくとも一つの液体生物活性物質の完全な混合物を含み;
前記液体生物活性物質の限定されない例は、プロポフォール、2-フェノキシエタノール、キナルジン、メトキシフルラン等であって;
前記液体生物活性物質は、実質的に固体の生成物内で前記安定化物質と完全に結び付けられた方式で、前記安定化物質内に充填されている。
実質的に固体の生成物は、再構成水溶性溶媒、又は、溶液との再水和により、少なくとも一つの生物活性物質が前記の少なくとも一つの生物活性物質を充填されたナノ分散、又は、ミセルとして存在する、本質的に透明で安定な溶液を形成する能力がある。
【0024】
本発明は、また、水溶液のそれに対する追加による透明で安定な溶液への再構成に適した固体生成物の製造方法にも関連し:
これはミセル、又は、ナノ分散を獲得するための条件下で、少なくとも一つの安定化物質、及び、少なくとも一つの溶媒の溶液を含む一番目の混合物を形成し;
その後、プロポフォール、2-フェノキシエタノール、キナルジン、メトキシフルラン等のような少なくとも一つの液体生物活性物質をそれと共に前記ミセル、又は、ナノ分散に充填するような方法で一番目の混合物へ追加して二番目の混合物を形成し;
さらに、前記二番目の混合物を、完全に前記安定化物質と結び付けられた前記液体生物活性物質を含む実質的に固体の生成物を形成する間に、前記溶媒をそこから除去するために効果的な条件下で処理することにより製造され;
前記固体生成物は、再水和で、前記少なくとも一つの生物活性物質が、前記少なくとも一つの生物活性物質を充填されたナノ分散、又は、ミセルとして存在する、本質的に透明で安定な溶液を形成する能力を有する。
【0025】
本発明は、また、液体生物活性物質を含む安定化されたナノ分散、又は、充填されたミセルの製造方法をも含み、これは、上記液体生物活性物質を含む安定化されたナノ分散、又は、充填されたミセルを提供するための条件下で上記の固体生成物を水和することによる。
本発明は、また、上記で定義された固体生成物を再構成することにより得られる本質的に透明な液体生成物、及び、前記の液体生物活性物質の安定化されたナノ分散、又は、充填されたミセルを含む上記の本質的に透明な液体を患者に投与することを含む医学的な処置方法をも含む。
【0026】
本発明は、さらに、液体生物活性物質の固体配合物の製造装置を含み:
前記装置は、
容器;
前記容器へ少なくとも一つの安定化物質、及び、少なくとも一つの溶媒を追加する手段;
前記容器と共にその中にミセル、又は、ナノ分散を得るための条件下で、前記安定化物質、及び、前記溶媒の一番目の混合物を形成することが可能な混合手段;
続いて、液体生物活性物質を前記一番目の混合物に追加して、二番目の混合物を形成する手段;
前記二番目の混合物を処理するための条件下で、前記混合手段を操作して、前記ミセル、又は、前記ナノ分散を前記生物活性物質で充填する手段;、及び、
前記の充填されたミセル、又は、ナノ分散を処理して、前記安定化物質と完全に結び付けられ、実質的に前記溶媒のない前記の液体生物活性物質を含む固体生成物を形成する手段を含む。
【0027】
適切な安定化物質の例としては、親水性部分が、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(N-ビニルピロリドン)(poly(N-vinylpyrrolidone))、ポリ(N-2-ヒドロキシプロピルメタクリルアミド)、ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)、ポリ(グリシドール)、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリラート)、ポリ(ビニルアルコール)(poly(vinylalcohol)、ポリ(メタクリル酸)誘導体、ポリ(ビニルピリジニウム)、ポリ((アンモニウアルキル)メタクリラート)、ポリ((アミノアルキル)メタクリラート)、並びに、その組み合わせ、及び、誘導体からなる群より選択された少なくとも一つのメンバーを含んでいてもよく、さらに、疎水性部分が、ポリ(エステル)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(アミド)、ポリ(エステル-アミド)、ポリ(無水物)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(テトラヒドロフラン)、及び、その組み合わせからなる群より選択された少なくとも一つのメンバーを含んでいてもよい直鎖状、分鎖状、又は、星状のブロック両親媒性共重合体のような両親媒性重合体が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
前記ポリ(エステル)は、ポリ(ε-カプロラクトン)、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)(poly(hydroxy alkanoates))(例えば、ポリ(γ-ヒドロキシブチラート)、ポリ(δ-ヒドロキシバレラート))、ポリ(β-リンゴ酸)、及び、その誘導体からなる群より選択された少なくとも一つのメンバーであってもよい。
【0028】
安定化物質の別の限定されない実例として、ナトリウムラウリルサルファート、ヘキサデシルピリジニウムクロリド、ポリソルバート類、ソリビタン類、ポリ(オキシエチレン)アルキルエーテル類、ポリ(オキシエチレン)アルキルエステル類等、及び、その種々の組み合わせを含むものからなる群より選択された少なくとも一つのメンバーを含んでいてもよい。
本発明の発明の範囲を制限することなく、本発明の教唆に従って製造されるナノ分散、又は、ミセルへの充填に適切な物質は、プロポフォールのような少なくとも一つの麻酔剤物質を、生理的な有効量で、好ましくは、およそ 0.1 % から 15 % まで、好ましくは、1 % から 10 % (w/v)までのプロポフォールの濃度で含んでいてもよい。一般的に、限定されるわけではないが、年齢、体重、及び/又は、健康を含む身体的特徴は、必要な生理的な有効量、又は、投与量に影響する。
【0029】
適切な溶媒、又は、その混合物は、液体生物活性物質の変性、又は、分解なしに、適切な量の液体生物物質と同様に適切な量の安定化物質を可溶性にする能力を有している。好ましい溶媒(又は、溶媒類の混合物)は、凍結乾燥、噴霧乾燥等の処理の間に除去される。多くの溶媒が、本発明の方法に合致して機能することが可能であるが、当該溶媒の限定されない実例としては、単独でも組み合わせても有用である、水、ブドウ糖水溶液、生理食塩水、DMSO、DMF、ジオキサン、ピリジン、ピリミジン、ピペラジン、並びに、メタノール、エタノール、n-ブタノール、及び、t-ブタノールのようなアルコール類、並びに、アセトンが挙げられ、さらには、例えば水と混合されて、二成分の混合物を形成してもよい。別の溶媒が、薬剤の溶解を促進するために少量で加えられてもよい。
【0030】
本発明の目的、及び、利益は、図解と実施例を手段として本発明の特定の実施態様を示す添付の図面と共に取り入れられた以下の記載から明らかとなる。この図面は本明細書の一部分を構成し、本発明の典型的な実施態様を含み、さらに、その種々の目的、及び、特徴を明らかにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
図20に示された概略図に従って、所定量の安定化物質、例えば、適切な重合体、共重合体、又は、界面活性剤、又は、分散剤、及び、添加剤、例えば、緩衝液、凍結防止剤/分散防止剤/バルク形成物質等(例えば、市販のポリ(ビニルピロリドン) Kollidon 12 PF(登録商標)、又は、17 PF(登録商標)、BASF)、及び/又は、補足的な安定化物質を溶媒、例えば、水、水溶液、少なくとも一つの非水溶性有機溶媒、又は、水、若しくは、水溶液、及び、前記少なくとも一つの非水溶性有機溶媒の組み合わせに溶解して一番目の混合物をミセル溶液の形態中に形成する。適切な混合がミセル物、又は、ナノ分散を一番目の混合物中にもたらすことが理解される。
この一番目の混合物がうまく形成されたらすぐに、液体薬剤、当業者に好評であるようなあらゆる別の液体生物活性物質が使用されてもよいが、ここではプロポフォールが、当業者に公知の条件下でこの一番目の混合物に追加され、それによって、このミセル、又は、ナノ分散は、薬剤ミセルの透明な溶液形態の二番目の混合物中で、液体薬剤を充填される。
【0032】
上記で記載されたどちらか一方、又は、両方の混合処置において、適切な”添加剤”を当業者に公知の目的のために追加することができる。限定されない添加剤の例としては、緩衝液、凍結防止剤、分散防止剤、及び、バルク形成物質が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。別の適切な添加剤としては、溶媒、又は、溶媒混合物に溶解性の、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(エチレングリコール)、糖類(乳糖、トレハロース)、多価アルコール類(マンニトール)、サッカライド類、及び、アミノ酸類が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。本明細書に大まかに列挙されるとおり、”溶媒”という用語は、水だけ、少なくとも一つの非水溶性有機溶媒を伴う水、又は、水、及び、前記少なくとも一つの非水溶性有機溶媒の組み合わせを意味していることが理解される。ある実例となる実施態様において、補足的な溶解促進手段、ここでは攪拌が、固体生成物を形成するための処置に先立って、生物活性物質、安定化物質、及び、溶媒を含む液体の形成を援助するために用いられてもよい。実例となる前記の溶解促進手段の例としては、例えば、必要な場合は、混合物が攪拌され、ボルテックスされ、超音波処理されてもよい方法が挙げられるが、これに限定されない。いくつかの重合体に対しては、溶解を促進するために、溶液が加熱される必要があってもよい。
【0033】
示された実施態様において、溶液は、滅菌フィルターを通して、例えば、0.2 μm のフィルターを通して濾過される。その後、この溶液は凍結乾燥され、無菌の乾燥ケーキ、又は、粉末等を形成する。
最後に、患者への投与のために、乾燥した粉末、又は、ケーキが、水、0.9 % の生理食塩水、5 % のブドウ糖、又は、別の適切な溶媒、又は、薬剤を含む水溶性溶液で再構成され、それによって、安定なナノ分散、又は、充填されたミセルがその後生産される。
【0034】
ナノ分散、又は、ミセルを適切な(通常、水溶性)溶媒中に含む再構成された配合物は、下記により特徴付けされてもよい;
1.例えば、動的光散乱により測定されるナノ分散、又は、ミセルの粒子サイズ、及び、粒子サイズ分布;
2.例えば、660 nm での光線透過率の度合いにより測定される液体の透明度;
3.pH;
4.薬剤含有量/投与量/濃度;
5.粘度(実施例中にはないけれども)
6.オスモル濃度
【0035】
本発明において、1 % から 10 % までの薬剤充填水準は、10 mg/mL (市販のプロポフォールエマルションで検出される)から 100 mg/mL までのいかなる再構成容量においても、透明で/安定な溶液を形成することが判明した。しかしながら、後者の濃度において、溶液の粘度が注射に対しての問題となる。従って、水中の重合体濃度は、配合物の再構成容量に対する制限因子である。
【0036】
およそ 13 % の薬剤充填水準から始まり、本質的に透明なままの再構成された溶液は、だんだんと乳白光を発するようになり、13 % で青い色合いを有する透明になり、20 % 以上で濁った懸濁液となる。それにもかかわらず、本発明のこれらの配合物の全ては、24時間を越えて安定である、すなわち、これらは、水、及び/又は、35 g/L のアルブミン溶液中への希釈に際して沈殿しないことが判明した。乳白光は、肉眼により観察される光の回折を引き起こすミセルのより大きいサイズへの膨張を示唆する。
【0037】
アルブミンの存在は、本発明のプロポフォール配合物の安定性に影響を及ぼさない。5 % 、7 % 、10 % 、及び 15 % の薬剤充填率の配合物の 35 g/L アルブミン溶液への 10 mg/mL 、20 mg/mL 、及び、40 mg/mL の希釈は、特筆すべき濁度、又は、水中、生理食塩水中、若しくは、ブドウ糖中で再構成された溶液との優位な違いを示さなかった。つまり、透明な溶液は、重合体、及び/又は、アルブミン、及び/又は、浮遊したプロポフォールの明らかな沈殿なく透明なままであった(相分離は存在しない)。同様に、乳白光を発する懸濁液は、乳白光を発するままであったが、希釈後により乳白光が弱まり、重合体、及び/又は、アルブミン、及び/又は、浮遊したプロポフォールの沈殿はなかった。
【0038】
図2に関連して、本発明に記載される固体生成物の調製を実施するための装置は、容器1を含み、これは、既知の方法で、溶媒、ここでは水の供給3、及び、安定化物質、ここではPVP-PDLLAの供給5につながれる。攪拌機7は、ミセル、又は、ナノ分散を形成するための条件下で、水、及び、PVP-PDLLAの混合物を攪拌するために容器1中に準備される。
プロポフォールの供給9も、攪拌機7を経てミセル、又は、ナノ分散が得られたらすぐに、既知の方法で、そこへプロポフォールを追加するために容器1につながれ、それによって、プロポフォールを充填されたミセル、又は、ナノ分散を含む二番目の混合物を形成する。
【0039】
限定されない示された実施態様において、フィルター11がミセル、又は、ナノ分散の滅菌を可能にするために準備され、フィルター11は、既知の方法で、ダクト13を介して容器1につながれる。バイアル15が、滅菌されたミセル、又は、ナノ分散の濾過された容量を受けるために、フィルター11の下流に準備される。バイアル15は、既知の方法で、ダクト17を介してフィルター11につながれる。
この装置は、また、既知の方法で、バイアル15の下流でダクト21を介してバイアル15につながれた既知構成の凍結乾燥機19を含む。受取器23が、最後に、凍結乾燥を経て得られる固体生成物27を回収するために、ダクト25を介してバイアル15につながれる。
【実施例】
【0040】
本発明は、ここで、以下の実施例によって明らかとされるが、これに限定されるわけではない。液体生物活性物質がプロポフォールである一方で、使用される安定化物質は市販のポリ(N-ビニルピロリドン) ポリ(d,l-ラクチド)共重合体とは異なる型である。別の安定化物質、及び、液体生物活性物質もまた、当業者に高く評価されるような同様の結果を持って使用することができることが理解される。
以下の実施例中で使用されるPVP-PDLLAロットの特性は、表1に与えられる。
【表1】
【0041】
実施例1:PVP-PDLLA(重合体1、及び、重合体2)サンプルを水、及び、種々の量のtert-ブチルアルコール(TBA)の混合物中に溶解した。プロポフォールを次にPVP-PDLLA溶液に加えた。水を次に好ましい最終的な容量になるまでTBA/PVP-PDLLA/プロポフォール溶液に加えた。これらの溶液中の最終的なTBA濃度は、10 % から 30 % であった。薬剤充填水準、プロポフォール/(プロポフォール + PVP-PDLLA)の % w/w は、また、5 % から、7 % 、8 % 、10 % 、12 % 、15 % 、及び 20 % に変えられた。溶液を次にドライアイス/アセトン浴中で凍結し、少なくとも24時間凍結乾燥した。得られた凍結乾燥ケーキを次に水を追加することにより再構成し、30秒未満で 1 % のプロポフォール水溶液を得た。総合的な結果は、10 % 以下の薬剤充填水準で、溶液が 100 % 均質であることを示唆した。10 % を越える薬剤重点水準において、この溶液は、徐々にますます乳白光を発するようになった(回折された光により引き起こされる青っぽい色合い)。20 % で、溶液は濁るが、安定であった(8時間を越えて沈殿なし)。
【0042】
実施例2:PVP-PDLLA(重合体1)を 100 mg/mL から 350 mg/mL までの間の濃度で水に直接溶解した。プロポフォールをPVP-PDLLA溶液に加え、均質な溶液が得られるまで混合した。この溶液を次に 1 % w/v のプロポフォール濃度になるまで希釈する。7 % 、10 % 、及び、12 % の薬剤充填水準を試験した。全ての溶液を次に 0.2 μm の滅菌フィルターを使用して濾過し、アセトン/ドライアイス浴中、又は、-80 ℃ の冷凍庫で少なくとも4時間凍結し、48時間凍結乾燥した。7 % 、10 % 、及び 12 % の固体の凍結乾燥ケーキを注射のために水を追加して再構成した。7 % 、及び、10 % の薬剤充填水準は、均質な溶液を生じ、一方で、12 % は、わずかに乳白光を発する溶液を生じた(青っぽい色合い)。全てのものは8時間を越えて安定、つまりは、目視観察下で、沈殿、又は、相分離がなかった。
【表2】
【0043】
実施例3:表2に見られる配合物を雌のスプラーグドーリーラットにおいて 10 mg/kg の投与量で試験した。注射時間は1分間であった。調製された全ての配合物は、プロポフォールを 1 % w/v 、つまりは、10 mg/mL の濃度で有していた。
【表3】
【0044】
上記試験の結果は、図1に示され、上記試験は、ラットにおける 10 mg/kg のプロポフォール配合物の静脈内投与による睡眠/回復試験である(1分間未満の睡眠のオンセット)。
【0045】
実施例4:PVP-PDLLA(重合体2)を、100 mg/mL から 350 mg/mL までの濃度で水に溶解した。プロポフォールをPVP-PDLLA溶液に追加し、均質な溶液が得られるまで混合した。この溶液は次に、1 % w/v のプロポフォール濃度まで希釈される。7 % 、10 % 、及び、12 % の薬剤充填水準を試験した。全ての溶液を次に、0.2 μm の滅菌フィルターを使用して濾過し、アセトン/ドライアイス浴中で凍結し、48時間凍結乾燥した。7 % 、10 % 、及び、12 % の固体の凍結乾燥ケーキを水の追加により再構成した。7 % 、及び、10 % の薬剤充填水準は均質な溶液を生じたが、一方で、12 % のものは、わずかに乳白光を発する溶液を生じた(弱々しい青い色合い)。全てのものは8時間を越えて安定、つまりは、目視観察下で、沈殿、又は、相分離がなかった。
【0046】
実施例5:PVP-PDLLA(重合体3)を、100 mg/mL から 350 mg/mL までの濃度で水に溶解した。プロポフォールをPVP-PDLLA溶液に追加し、均質な溶液が得られるまで混合した。この溶液は次に、1 % w/v のプロポフォール濃度まで希釈される。7 % 、10 % 、及び、12 % の薬剤充填水準を試験した。全ての溶液を次に、0.2 μm の滅菌フィルターを使用して濾過し、アセトン/ドライアイス浴中で凍結し、48時間凍結乾燥した。7 % 、10 % 、及び、12 % の固体の凍結乾燥ケーキを水の追加により再構成した。7 % 、及び、10 % の薬剤充填水準は均質な溶液を生じたが、一方で、12 % のものは、わずかに乳白光を発する溶液を生じた(弱々しい青い色合い)。全てのものは8時間を越えて安定、つまりは、目視観察下で、沈殿、又は、相分離がなかった。
【0047】
実施例6:PVP-PDLLA(ロット番号:重合体2)を pH 7.4 のリン酸ナトリウム緩衝液に溶解した。プロポフォールをPVP-PDLLA溶液に追加し、均質な溶液が得られるまで混合した。10 % の薬剤充填水準を試験した。次に、1 % w/v のプロポフォール濃度、及び、10 mM から 100 mM までの範囲の濃度のリン酸ナトリウム緩衝液を得るために水を追加した。再構成された溶液のオスモル濃度、pH、及び、粒子サイズを得た(表4)。
【表4】
【0048】
実施例7:PVP-PDLLA(重合体1、重合体2、重合体3、重合体4、及び、重合体5)を 100 mg/mL から 350 mg/mL までの濃度で、pH 7.4 で 100 mM のリン酸ナトリウム緩衝液に直接溶解した。プロポフォールをPVP-PDLLA溶液に追加し、均質な溶液が得られるまで混合した。次に、この溶液を、1 % w/v のプロポフォール濃度、及び、70 mM のリン酸ナトリウム緩衝液濃度まで希釈した。7 % 、10 % 、及び、12 % の薬剤充填水準を試験した。全ての溶液を次に 0.2 μm の滅菌フィルターを使用して濾過し、アセトン/ドライアイス浴中、又は、-80 ℃ の冷凍庫で少なくとも4時間凍結し、48時間凍結乾燥した。7 % 、10 % 、及び 12 % の固体の凍結乾燥ケーキを注射用水を追加して再構成した。7 % 、及び、10 % の薬剤充填水準は、均質な溶液を生じ、一方で、12 % は、わずかに乳白光を発する溶液を生じた(青っぽい色合い)。全ての再構成溶液は24時間を越えて安定、つまりは、目視観察下で、沈殿、又は、相分離がなかった。サンプルの特性は、表5、表6、及び、表7に見つけることができる。
【表5】
【表6】
【表7】
【0049】
実施例8:PVP-PDLLA(重合体4)を薬剤充填水準に応じて、140 mg/mL から 300 mg/mL までの濃度で、pH 7.4 で 100 mM のリン酸ナトリウム緩衝液に直接溶解した。二つの 10 % の薬剤充填水準の配合物の一つを水に溶解した。プロポフォールをPVP-PDLLA溶液に追加し、均質な溶液が得られるまで混合した。次に、この溶液を、1 % w/v のプロポフォール濃度、及び、70 mM のリン酸ナトリウム緩衝液濃度まで希釈した。7 % 、10 % 、及び、12 % の薬剤充填水準を試験した。全ての溶液を次に 0.2 μm の滅菌フィルターを使用して濾過し、-80 ℃ の冷凍庫で少なくとも4時間凍結し、48時間凍結乾燥した。5 % のブドウ糖中で再構成されたリン酸緩衝液を含まないひとつの配合物を除いて、7 % 、10 % 、及び 12 % の固体の凍結乾燥ケーキを注射のために水を追加して再構成した。再構成された全ての溶液は、24時間を越えて安定、つまりは、目視観察下で、沈殿、又は、相分離がなかった。
【0050】
実施例9:In-vivo 002。実施例8に示されるプロポフォール-PM配合物、及び、Diprivan(登録商標)(市販用の 1 % のプロポフォール配合物)を用いて、薬力学的試験を行った。この試験の目的は:
1.配合物中のPVP-PDLLA分子量を変化させることの薬力学的な効果を評価すること、
2.pH、及び、オスモル濃度を制御するためにリン酸ナトリウム緩衝液を使用する時の薬力学的パラメーターの変化を評価すること、
3.結果を比較すること、
である。
凍結乾燥された固体のプロポフォール-PM配合物を注射のための水(WFI)、又は、注射のための 5 % のブドウ糖(サンプル MT050816-3)を追加することにより均質な溶液にするために再構成した。最終的な溶液中のプロポフォール濃度は、1 % であり、これは市販用の配合物Diprivan(登録商標)と等価である。雌のスプラーグドーリーラットに60秒間で 10 mg/kg の大量瞬時投与量を注射した。薬力学的パラメーターを次に測定した。表8、及び、表9は、関心の選び出された特性、及び、パラメーターを示す。
in vivo 002、及び、in vivo 001 睡眠/回復試験において測定された正向反射までの時間の比較のために、図2を参照する。
【表8】
【表9】
【0051】
実施例10:In-vivo 003。実施例8の手順に従って調製された配合物を使用して、メスのスプラーグドーリーラットで薬物動態学的、及び、薬力学的な試験を行った。Diprivan(登録商標)を含む試験された配合物、及び、薬物動態学的試験設計は、下記表に示される。
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【0052】
実施例11:PVP-PDLLA(重合体1)を140 mg/mL から 350 mg/mL までの濃度で水に直接溶解した。プロポフォールをPVP-PDLLA溶液に追加し、均質な溶液が得られるまで混合した。この溶液を次に、1 % w/v のプロポフォール濃度まで希釈した(7 % 、9 % 、10 % 、及び、12 % の薬剤充填水準)。この溶液を次に、0.2 μm の滅菌フィルターを使用して濾過し、アセトン/ドライアイス浴中で凍結し、48時間凍結乾燥した。固体の凍結乾燥ケーキを注射用の無菌の 5 % ブドウ糖の追加により再構成し、1 % w/v (10 mg/mL)の濃度のプロポフォールを得た。ミセルサイズ分布が次に、希釈の影響を評価するために 1 % w/v 、及び、0.1 % w/v のプロポフォール濃度で測定した。0.01 % w/v(1/100 希釈)で、光散乱信号は、見て分かるとおり非常に弱かった。7 % の薬剤充填水準におけるサンプルは、0.01 % のプロポフォール濃度で一回だけ測定された。全ての溶液は、外観上は安定であり、相分離、又は、沈殿は、希釈により観察されなかった。これらの配合物の特性は、下記の表中に示される。
【表14】
【0053】
実施例12:微生物の増殖試験。実施例2によって調製された配合物を四つの異なる菌株の細菌を接種した三つの異なる媒体(注射のための水、5 % のブドウ糖、及び、0.9 % の生理食塩水)中で再構成した。さらに、再構成媒体のみ(生理食塩水、5 % のブドウ糖、及び、注射のための水)、及び、全ての三つの異なる再構成媒体中にプロポフォールを全く含まない重合体溶液にも対照用に接種した。1 x 104 cfu/mL を各々の試験される物品(溶液、配合物、媒体)に加えた。Diprivan(登録商標)エマルションにもまた対照用に接種した。微生物の増殖の異なる試験における、重合体溶液、及び、伴われる配合物の特性(表)、並びに、図式的な結果は、下に示される。
【表15】
【0054】
微生物の増殖試験の結果は、本発明のPVP-PLA溶液(プロポフォールを含まない)が、たいてい、再構成媒体(注射のための水、WFI、0.9 % の生理食塩水、及び、5% のブドウ糖)のみの中に観察される増殖と比べて有意差があるとは言えないことを示唆する。プロポフォール重合体ミセル(PPF-PM)配合物を形成するためのプロポフォールの追加は、プロポフォールの内在性の殺菌性質が、再構成媒体、又は、重合体と非依存的に、接種された全ての細菌を殺す際に有効であることを明示する。Diprivan(登録商標)は、図のように、全て場合において、最も高く微生物の増殖を支持する。
図7から図18:試験した全ての四つの菌株細菌の重合体溶液(PVP-PLA)、プロポフォール重合体ミセル配合物(PPF-PM)、Diprivan(登録商標)、及び、再構成媒体の微生物増殖時間特性。
【0055】
実施例12:PVP-PDLLA(重合体4)を pH 7.4 で 100 mM のリン酸ナトリウム緩衝液に直接溶解した。プロポフォールを溶液に追加し、混合した。透明な溶液が得られたらすぐに、この溶液を 1 % w/v のプロポフォール濃度、及び、75 mM の最終的な緩衝液濃度まで希釈した。この溶液を次に、凍結乾燥した。この凍結乾燥ケーキを次に、2 % 、1 % 、及び、0.2 % のリドカイン溶液で直接再構成した。粒子サイズ、及び、溶液のpHを5日間にわたって毎日測定した。結果は、下記に提示される。
【表16】
【0056】
実施例13:二つの別の液体生物活性物質もまた同一の手段を用いてPVP-PLAミセル中にうまく充填された。2-フェノキシエタノール(50 mg/mL)、及び、キナルジン(10 mg/mL)を75 mM(最終濃度)のリン酸ナトリウム緩衝液(pH 7.4)を含む水溶性のPVP-PLA溶液(90 mg/mL)に加えた。この透明な溶液を次に、UV吸収度測定に適した濃度まで希釈し、凍結、及び、凍結乾燥した。結果として生じる凍結乾燥物を次に、ほぼ同じ濃度まで、すなわち2-フェノキシエタノールに対して 50 mg/mL で、キナルジンに対して 10 mg/mL の濃度まで水を追加することにより再構成した。透明な溶液が得られた。UV吸収度を次に測定し、この二つの薬剤の存在を見積もった。下記の結果は、この二つの生物活性物質がPVP-PLAミセル中に保持されていたことを示唆する。
【表17】
【表18】
【0057】
当然のことながら、本発明の特定の形式が例証される一方で、本明細書に記載され、示される特定の形式、又は、処置に限定されない。種々の変更が本発明の範囲から逸脱することなくなされ、本発明が明細書、及び、図面/図に示され、並びに、記載されるものに限定されているとみなされないことは、当業者にとって明らかである。本発明が、本来そこに備わっているものと同様に、目的を成し遂げ、記載された結果、及び、効果を得るためにうまくアレンジされることを当業者は容易に理解する。本明細書に記載される実施態様、方法、手段、及び、技術は、好ましい実施態様の目下の代表であり、模範的であることを意図しており、発明の範囲における限定となることを意図していない。その中の変更、及び、別の用途は、当業者が思いつき、これは、本発明の精神の中に包含され、添えられる特許請求の範囲の発明の範囲によって定義される。本発明は、特定の好ましい実施態様と共に記載されているけれども、請求されるように本発明が当該特定の実施態様に極度に限定されるべきでないことは理解されるべきである。実際に、本発明を成し遂げるために記載された態様の当業者にとって自明の種々の変更は、特許請求の範囲の発明の範囲内にあることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】図1は、Diprivan(登録商標)、及び、三つのプロポフォール重合体ミセル配合物を雌のスプラーグドーリーラットで比較した in vivo 001(実施例3)で得られた薬力学的パラメーター試験のグラフ表示である。
【図2】図2は、薬力学的試験番号1(実施例3)及び、番号2(実施例9)における正向反射までの時間の比較を示したグラフである。
【図3】図3は、Diprivan(登録商標)、及び、三つのPPF-PM配合物の静脈内投与後の血液中プロポフォールの平均濃度−時間の特性を示すグラフである。
【図4】図4は、Diprivan(登録商標)、及び、三つのPPF-PM配合物の静脈内投与後の血漿中プロポフォールの平均濃度−時間の特性を示すグラフである。
【図5】図5は、in vivo 003 試験(実施例10)で得られた雌のスプラーグドーリーラットにおけるDiprivan(登録商標)、PPF-PM 7 % 、PPF-PM 10 % 、及び、PPF-PM 12 % の静脈内投与後の平均(±SD)の引込め反射時間、一番目の動作の時間、並びに、正向反射の時間を示すグラフである。
【図6】図6は、in vivo 003 試験(実施例10)で得られた雌のスプラーグドーリーラットにおけるDiprivan(登録商標)、PPF-PM 7 % (PPF-PM & %)、PPF-PM 10 % 、及び、PPF-PM 12 % の静脈内投与後の平均(±SD)の引込め反射時間を示すグラフである。
【図7】図7は、水中、重合体水溶液中、注射用プロポフォール重合体ミセル(PPF-PM)水溶液、及び、Diprivan(登録商標)の黄色ブドウ球菌(Staphylococcus Aureus)増殖を示すグラフである。
【図8】図8は、ブドウ糖中、重合体ブドウ糖溶液(PVP-PLA)、プロポフォール重合体ミセル(PPF-PM)ブドウ糖溶液、及び、Diprivan(登録商標)の黄色ブドウ球菌(Staphylococcus Aureus)増殖を示すグラフである。
【図9】図9は、生理食塩水中、重合体生理食塩水溶液(PVP-PLA)、プロポフォール重合体ミセル(PPF-PM)生理食塩水溶液、及び、Diprivan(登録商標)の黄色ブドウ球菌(Staphylococcus Aureus)増殖を示すグラフである。
【図10】図10は、水中、重合体水溶液(PVP-PLA)中、プロポフォール重合体ミセル(PPF-PM)水溶液、及び、Diprivan(登録商標)のE.Coli増殖を示すグラフである。
【図11】図11は、ブドウ糖中、重合体ブドウ糖溶液(PVP-PLA)、プロポフォール重合体ミセル(PPF-PM)ブドウ糖溶液、及び、Diprivan(登録商標)のE.Coli増殖を示すグラフである。
【図12】図12は、生理食塩水中、重合体生理食塩水溶液(PVP-PLA)、プロポフォール重合体ミセル(PPF-PM)生理食塩水溶液、及び、Diprivan(登録商標)のE.Coli増殖を示すグラフである。
【図13】図13は、水中、重合体水溶液(PVP-PLA)中、プロポフォール重合体ミセル(PPF-PM)水溶液、及び、Diprivan(登録商標)の緑膿菌(Pseudomonas Aeruginosa)増殖を示すグラフである。
【図14】図14は、ブドウ糖中、重合体ブドウ糖溶液(PVP-PLA)、プロポフォール重合体ミセル(PPF-PM)ブドウ糖溶液、及び、Diprivan(登録商標)の緑膿菌(Pseudomonas Aeruginosa)増殖を示すグラフである。
【図15】図15は、生理食塩水中、重合体生理食塩水溶液(PVP-PLA)、プロポフォール重合体ミセル(PPF-PM)生理食塩水溶液、及び、Diprivan(登録商標)の緑膿菌(Pseudomonas Aeruginosa)増殖を示すグラフである。
【図16】図16は、水中、重合体水溶液(PVP-PLA)中、プロポフォール重合体ミセル(PPF-PM)水溶液、及び、Diprivan(登録商標)のカンジダ・アルビカンス(Candida Albicans)増殖を示すグラフである。
【図17】図17は、ブドウ糖中、重合体ブドウ糖溶液(PVP-PLA)、プロポフォール重合体ミセル(PPF-PM)ブドウ糖溶液、及び、Diprivan(登録商標)のカンジダ・アルビカンス(Candida Albicans)増殖を示すグラフである。
【図18】図18は、生理食塩水中、重合体生理食塩水溶液(PVP-PLA)、プロポフォール重合体ミセル(PPF-PM)生理食塩水溶液、及び、Diprivan(登録商標)のカンジダ・アルビカンス(Candida Albicans)増殖を示すグラフである。
【図19A】図19Aは、全ての菌株、及び、全ての再構成媒体、重合体溶液、及び、配合物の24時間保温後のコロニー数を図解する。
【図19B】図19Bは、全ての菌株、及び、全ての再構成媒体、重合体溶液、及び、配合物の24時間保温後のコロニー数を図解する。
【図19C】図19Cは、全ての菌株、及び、全ての再構成媒体、重合体溶液、及び、配合物の24時間保温後のコロニー数を図解する。
【図20】図20は、本発明に記載された薬剤充填方法、及び、その本質的に透明な溶液の調製の概略図である。
【図21】図21は、本発明に記載された固体の薬剤配合物を製造するための装置の概略図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーキ状、粉末状等の形状中における固体生成物の調製に関連し、これは、水、水溶液、少なくとも一つの非水溶性有機溶媒、又は、その組み合わせを含む溶媒を少なくとも一つの安定化物質と混合し、続いて、少なくとも一つの液体生物活性物質を上記混合物に追加し、さらに、本質的に溶媒を含まない上記固体生成物を生じさせるための条件下でその全体を処理することによる。さらにとりわけ、本発明は、上記の固体生成物、並びに、それによって、本質的に透明で脂質を含まず無菌で安定な前記の安定化物質、及び、生物活性物質のナノ分散、又は、ミセルを含む水溶性生成物が形成されるその迅速な水溶性媒体中での再構成方法に関連し、さらに、前記生物活性物質を必要とする患者を前記の安定な水溶性生成物の投与により処置する方法にも関連する。好ましい実施態様において、この生物活性物質は水不混和性であり、プロポフォールとして一般に知られる2,6-ビス-(1-メチルエチル)フェノール、又は、2,6-ジイソプロピルフェノール、2-フェノキシエタノール、キナルジン、メトキシフルラン等、及び、その組み合わせから選択されてもよい。最も好ましい生物活性物質は、プロポフォールである。
【背景技術】
【0002】
プロポフォール(2,6-ビス-(1-メチルエチル)フェノールとして知られ、2,6-ジイソプロピルフェノールとしても知られる)は、現在、世界中で最も有名な麻酔剤である。プロポフォールは、ヒト、又は、動物への投与によって、知覚麻痺、又は、鎮静の誘発、及び、維持のために使用される。プロポフォールの薬用量の静脈注射は、迅速に催眠を引き起こし、たいてい投与開始から40秒以内に最小限の興奮を伴う。速いオンセット、及び、短い半減期(10分間から15分間)は、迅速な回復を伴う臨床上有用な特性を可能にする。医療費の上昇のために、この迅速な回復時間は、ますます一般的になっている外来患者にとってとりわけ好都合である。
【0003】
室温で、プロポフォールは、水と不混和性(およそ 0.154 mg/mL の水溶解性)で、1 % 又は、2 % (w/w)の濃度(2 % は、より長い鎮静用に使用される)でエマルションで提供される油である。現在市販されているプロポフォール水中油型エマルションは、DIPRIVAN(登録商標)(アストラゼネカ製薬株式会社製)、BAXTER(登録商標)IPP(Gensia Sicor株式会社製)、及び、プロポフォール注射剤エマルション(Bedford Laboratories製)である。
血流中の大きな液滴サイズのプロポフォールは、ヒトにおける塞栓症につながるので、エマルション中にプロポフォールを十分に分配するために製造の間に極度の配慮を払わなければならない。これらのエマルションは、通常は、ダイズ油(100 mg/mL)、グリセロール(22.5 mg/mL)、及び、タマゴレシチン(12 mg/mL)を含んでいる。エマルションは、大きな粒子サイズ、一般的には、200 nm よりも大きな粒子サイズにより定義され、それにより、乳白色の不透明な配合物を作り出す。これは、配合物中の異質な粒子の麻酔科医による目視検査をより困難にする。これらのエマルションの高い脂質含有量は、高脂血症にもつながる。
【0004】
これらのエマルション中のタマゴレシチン、及び、ダイズ油の存在は、また、エマルションを微生物増殖、及び、アレルギー反応に対して高感受性にもしてしまう。細菌の増殖を抑えるために、製造業者らは、保存料のEDTA(エチレンジアミン四酢酸)を 0.05 mg/mL でDIPRIVAN(登録商標)に、そして、メタ重亜硫酸ナトリウムを 0.25 mg/mL でBAXTER(登録商標)PPIプロポフォールへ、さらに、ベンジルアルコールを 1 mg/mL でBedford Laboratoriesのプロポフォール注射剤エマルションに加えている。
これらの保存料の一部は、ヒトにおいて副作用を引き起こすことが知られている。メタ重亜硫酸ナトリウムは、特定のスルファイトに感受性の個人において、アナフィラキシー性の症状、及び、重篤な、又は、喘息性のエピソードを含むアレルギー型の反応を引き起こすことが知られているスルファイトである。メタ重亜硫酸ナトリウムは、また、プロポフォールの分解を触媒することも知られている。同様に、EDTAのキレート化する特性は、それらの心機能、及び腎機能への好ましくない影響のために、FDAにとっての懸念である。さらに、これらのエマルションは、熱力学的に極めて不安定で、所要のずり応力の下で分離しがちなので、標準的な滅菌フィルターを使用して効果的に滅菌することができない。当該のエマルションは、また、希釈、及び/又は、生理食塩水、ブドウ糖、若しくは、別の医薬品を含む溶液との混合に対しても不安定である。さらに、乳化剤としてのタマゴレシチン、及び、可溶化剤としてのダイズ油の存在は、タマゴ、及び/又は、ダイズに対し過敏なヒトにおいて、アナフィラキシー性反応、及び、アナフィラキシー様反応を引き起こすかもしれない。
【0005】
プロポフォールエマルションは、熱力学的に不安定であることが知られている、つまりは、油、及び、水の成分が、希釈されたとき、剪断されたとき、冷却されたとき、加熱されたとき、又は、別の溶液と混合されたときに分離する傾向がある。さらに、この分離は、この配合物が、低温で、すなわち 2 ℃ よりも低い温度で、又は、高温、すなわち 25 ℃ よりも高い温度で保存されるときに促進される。さらに、これらの脂質を基盤としたエマルションは、多くの場合注射の際に局所的な麻酔薬の使用を伴わせる注射部位における痛みを伴う。
種々の方法、及び、手段が、少なくとも一つの疎水性化合物、とりわけ、医薬品の体内の好ましい場所への効果的な運搬のための安定な配合物の調製のために、先行技術において記載されている。これらの手段のいくつかは、補助的な溶媒、界面活性剤、薬剤の溶解性の形態、例えば、塩、及び、溶媒和物、薬剤の化学的に修飾した形態、例えば、プロドラッグ、溶解性の重合体−薬剤複合体、リポソームのような特別の薬剤キャリア等に基づいている。
【0006】
実際に、界面活性剤に基づくミセルの使用は、水溶性の環境下で疎水性薬物を可溶性にすることが可能な潜在的に有効な薬剤キャリアとして非常に多くの関心を集めている。一般的に、ミセル、及び、ナノ分散は、運搬するための生物学的物質の薬物動態(さらに通常は薬力学)を変化させることが明らかになっている。従って、それらの内部に薬剤を隔離することにより、それらは、循環時間を延長するかもしれないし、より多くの薬剤を特定の場所に運搬することを可能にするかもしれないし、及び/又は、薬剤単独の投与と比較した時に異なった体内分布を可能にするかもしれない。
しかしながら、上記の方法の各々は、とりわけ、プロポフォールのような”オン/オフ”型の麻酔剤の運搬を考慮する時に、特定の欠点を伴う。例えば、疎水性の薬剤を可溶性にするために界面活性剤ミセルを使用することを基盤とした方法は、界面活性剤の一部に比較的毒性があり(例えば、Cremophor EL(登録商標))、希釈される時に疎水性の薬剤の沈殿が起こるかもしれないという点で本質的な問題になることがある。別の調製方法は、乏しい封入効率(例えば、平衡法)、比較的大きな粒子サイズ(エマルション)を生じるか、又は、多大な時間を必要とする。
最終的に、ミセルによる運搬、又は、リポソームによる運搬を伴う長期の循環時間は、プロポフォールのような麻酔薬剤の所要の”オン/オフ”特性に有害な影響を与えうる。
【0007】
さらに、シクロデキストリン誘導体の使用を基盤とした研究がされており、この誘導体は、疎水性の内部空洞を有する水溶性の環状炭水化物化合物であり、プロポフォールと複合体を形成して水への薬剤の溶解を可能にし、透明な溶液を形成する。しかしながら、シクロデキストリンは高価であり、血行動態の有害事象を伴う。また、シクロデキストリン配合物の長期の安定性は、処方上の課題を有している。より重要なことには、シクロデキストリンは、高用量で腎毒性に関連している。
【0008】
プロポフォールホスファートを含む水溶性プロドラッグの使用を研究する種々の試みもある。しかしながら、たいてい、プロドラッグは、本発明と同程度の反応のためには、はるかに高い用量を要求し(10倍以上まで)、たいてい、作用のより遅いオンセット、及び、より遅いクリアランスを明示する。さらに、いくつかのプロポフォールプロドラッグの中で、副生成物の内の一つは、発癌物質になる可能性があるホルムアルデヒドである。プロドラッグは、また、著しく不安定であり、結果として短い貯蔵寿命、又は、安定性を維持するための低い貯蔵温度をもたらす。有益な薬物動態は、プロドラッグの使用によって変えられる。
さらに、プロポフォールのような液体の生物活性物質が上記で議論された技術と共に処方される時、液体剤形が製造される。しかしながら、前記の液体配合物の安定性は、いつも、存続期間、及び、貯蔵条件に対する懸念である。
従って、技術的に欠けているものは、種々の異なる温度、及び、希釈状態において長期間安定であり、細菌の増殖を支持しない本質的に透明で無菌の液体を製造するための水溶性媒体を使用して容易に再構成される、プロポフォールのような水不混和性の液体薬剤から形成され、水溶性媒体中に薬剤が充填されたミセル、若しくは、ナノ分散を含む、軽量のドライパウダー、又は、ケーキである。このミセル、又は、ナノ分散は、水溶性の再構成媒体の追加後、直接的に、及び、自発的に生成されるが、プロポフォール、又は、別の生物活性液体の高い充填水準を安定性に本質的に影響を与えることなく達成することを可能にする。
【0009】
多くの研究、学術論文、及び、特許が、非経口的な投与、とりわけ、プロポフォール、及び、液体形態の別の薬剤の投与に適した安定な麻酔剤組成物を形成することに向けられている。
例えば、国際公開番号:WO 02/45709 A1 は、プロポフォール、水溶性乳化剤(TPGS)、及び、水を含み、非経口的な投与に適した安定で透明な無菌の水溶性組成物、並びに、その製造方法を開示する。しかしながら、この最終生成物は液体であり、製造方法は、効果的な滅菌を実現するために、マイクロンサイズのフィルターを通した組成物の濾過、及び、濾液を詰め込んだシール容器のオートクレーブ滅菌の両方を必要とする。
国際公開番号:WO 03/030862 A2 は、麻酔剤組成物の吸入、及び、水溶液中で麻酔剤の懸濁を含む方法を開示する。この引例は、ミセル中に麻酔剤(すなわち、プロポフォール)を被包するための界面活性剤であるポロクサマー(アメリカでは、Pluronics(登録商標)として、ヨーロッパでは、Lutrols(登録商標)として知られる)の使用を教示する。好ましい実施態様は、プロポフォールの十分な溶解性を実現するためにプロピレングリコールの存在を必要とする。しかしながら、この生成物は液体として提供され、吸入される麻酔剤中の水の存在は、胸水のような肺障害を有する患者にとって常に有益とは限らない。
この引例に開示される組成物が、液体組成物を構成するために液体の混合物を使用して調製されることに気付くだろう。
【0010】
国際公開番号:WO 01/64187 A2 、及び、対応する米国PGPUB番号:2003/0138489 A1 は、それに対して、プロピレングリコールのような水混和性の共溶媒を含まず、透明で注射可能な溶液を形成するためにポロクサマーの組み合わせを使用する、水溶性のミセル調製物中で可溶性にされたプロポフォールを開示する。国際公開番号:WO 01/64187 A2 によれば、水混和性の共溶媒の使用は、表在性血栓性静脈炎、血管内溶血性反応(intravasal haemolytic reactions)、及び、見込まれる遊離プロポフォール構成の増加のような好ましくない医学的な影響を有する可能性がある。さらに、国際公開番号:WO 01/64187 A2 は、再乳化を必要とする程度までミセルを乱すことが知られているので、配合物が無菌性に濾過される時に、オートクレーブすることは好ましくないかもしれないと示唆する。さらに、ポロクサマーは、容易に分解できず、堅固な接合点を切り開くかもしれない洗浄剤のような界面活性物質である。さらに、洗浄剤界面活性剤は、注射による疼痛の原因であるかもしれず、局部の疼痛を低減するためにリドカインの追加を必要とする。この最終生成物は、液体である。
【0011】
米国特許番号:6,322,805 は、親水性の環境下で固体の疎水性薬剤を可溶性にする能力のある生物分解性の重合体の薬剤キャリアミセル組成物を開示する。この特許は、生物分解性の重合体の薬剤キャリアミセル、及び、薬剤が重合体の薬剤キャリアミセル内に物理的に捕捉され、重合体の薬剤キャリアミセルに共有結合的に結合されていない疎水性薬剤を開示する。この薬剤運搬ミセルは、その溶液を形成するための水中に溶解する能力があり、この薬剤キャリアは、親水性のポリ(酸化アルキレン)成分、及び、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)、ポリ(ε-カプロラクトン)、その誘導体、又は、その混合物からなる群より選択された生物分解性の疎水性重合体成分を有する両親媒性のブロック重合体を含む。この開示されたミセルは、疎水性薬剤に対する可溶化剤として特徴付けされる。この疎水性薬剤は、重合体の薬剤キャリアミセル溶液と混合され、この混合物は、攪拌され、過熱され、超音波処理にさらされ、溶媒の蒸発、又は、透析のどちらかにさらされることにより、疎水性の薬剤が疎水性の重合体中心に組み込まれ、その後、疎水性の薬剤は水溶液中に形成される。
【0012】
米国特許番号:5,543,158 は、本質的にポリ(アルキレングリコール)、及び、生物分解性の重合体、ポリ(乳酸)からなるブロック共重合体で形成されたナノ粒子、又は、マイクロ粒子を開示する。ナノ粒子、又は、マイクロ粒子中で、共重合体の生物分解性成分は、ナノ粒子、又は、マイクロ粒子の中心に存在し、ポリ(アルキレングリコール)成分は、細胞内皮系によるナノ粒子、又は、マイクロ粒子の取り込みを減少させるための有効量でナノ粒子、又は、マイクロ粒子の表面上に存在する。従って、このナノ粒子、又は、マイクロ粒子は、血流中で長い間循環するように作られている。この特許中で、ブロック共重合体の分子量は、とても大きすぎて水に溶解することができず、ナノ粒子は、まずブロック共重合体、及び、薬剤を有機溶媒中に溶解し、超音波処理、及び、攪拌によりo/wエマルションを形成し、さらにそれから、薬剤を含む沈殿されたナノ粒子を回収することにより調製できるだけである。この特許は、疎水性の薬剤の可溶化という構想を提供せず、重合体/薬剤混合物を含む透明で滅菌可能な溶液の形成、及び、後のその凍結乾燥物(これは、結果として容易に再構成によって形成される分散性ミセル、若しくは、ナノ分散になる。)を教唆、又は、示唆のどちらもしない。
【0013】
欧州特許出願番号:0520888 A1 は、ポリ(乳酸)、及び、ポリ(酸化アルキレン)のブロック共重合体で作られたナノ粒子を開示する。高分子量のポリ(乳酸)が使用され、界面活性剤が、ナノ粒子のコロイド状懸濁液の調製に用いられる。この特許中で、ナノ粒子は、有機溶媒中でブロック共重合体、及び、薬剤を溶解し、有機水溶液を乳化し、さらに、有機溶媒を蒸発させることにより調製され、薬剤を含むナノ粒子を沈殿させる。結果として生じるナノ粒子は、親水性成分、及び、疎水性成分の両方を有する純度の高い粒子であり、これらは、透明で安定な水溶性の液体を形成することができない。
【0014】
米国特許番号:4,997,454 は、直径3ミクロン以下の粒子の懸濁液としての静脈内投与用の均等な大きさの粒子を固体化合物から製造する方法を教唆する。適切な固体化合物が適切な溶媒中に溶解され、沈殿液体が注入されることにより、液体混合物から分離された非凝集性の粒子を形成する。この生成物は、固体ミクロスフェアの懸濁液を含む液体である。
米国特許番号:4,370,349 、及び、4,311,712 は、凍結乾燥したリポソームの混合物の下記のどちらかを含む調製方法を開示する;(a)少なくとも一つのリポソーム形成親水性脂質、少なくとも一つの生物活性化合物、及び、一つ以上の補助剤を適切な溶媒中に溶解してもよく、それからこの溶液を凍結乾燥すること、又は、(b)いずれかの既知の方法により少なくとも一つの生物活性化合物を含む水溶性のリポソーム組成物を調製し、それから、前記水溶性のリポソーム組成物を凍結乾燥すること。この特許は、とりわけ、処理(a)、又は、処理(b)により得られた前記の凍結乾燥され潜在的にリポソームの混合物を適切な水溶性の媒体中に分散させることを含む水溶性のリポソーム組成物の調製方法に向けられる。当該発明の方法は、リポソーム生成には向けられていない。
【0015】
米国特許番号:6,780,324 は、独特な方法を教唆するが、その中で溶液は、分散剤、及び、適切な溶媒、又は、溶媒混合物(さらに水を含んでいてもよい)と組み合わせて疎水性の生物活性物質から形成され、この混合物は、凍結乾燥され、その後、再水和されて、生物活性物質が充填されたミセル、又は、ナノ分散を形成する。当該発明は、液体で疎水性の生物活性物質から生物活性物質が充填されたミセル、又は、ナノ分散を形成するための改良された方法を提供するが、この方法は、液体で疎水性の生物活性物質を加えられる安定化物質、及び、溶媒(溶媒は単に水だけを含んでいてもよい)の溶液を最初に形成することによる。これは、凍結乾燥、及び/又は、結果として本質的に溶媒を含まない固体生成物になるいずれかの処理により続く。
【0016】
米国特許番号:6,835,396 は、薬理学的に活性のある化合物を水不混和性の溶媒と混合し、有機相を形成することによるサブミクロンサイズの粒子の調製を開示する。他方では、界面活性化合物を含む水相を提供する。この有機相、及び、水相が混合されて未精製の分散を形成し、後者のものは、キャビテーションが起こるのを可能にする超音波処理装置で処理される。この分散は、それから凍結され、さらに凍結乾燥され、500 nm 未満の平均粒子サイズを有する粒子を提供する。
従って、理想的にプロポフォールは、注射のために準備ができる透明で安定な溶液を形成するために瞬時に水和されることが可能な固体生成物として利用可能であるべきである。この目的のために、水、及び、プロポフォールの混合物を凍結乾燥することによる試験が用意された。結果は、水、及び、プロポフォールは全て蒸発し、何も残らないというものであった。これは、別の目的達成のための方法が研究されなければならないことを示唆している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
従って、本発明の主要な目的は、親水性の生物分解性重合体中に液体生物活性物質を含む無菌で固体の充填されたミセル、又は、ナノ分散の形成方法を提供することである。
本発明の付加的な目的は、安定化された薬剤ナノ分散、もしくは、充填されたミセルを含む本質的に透明で水溶性の液体を形成するために容易に再構成される安定なケーキ、又は、粉末を生成することである。
本発明のまださらなる目的は、生物活性物質、重合体、及び、必要に応じて添加剤(例えば、バルク形成物質、凍結防止剤、分散防止剤)、及び/又は、安定化物質を含む透明な液体を凍結乾燥、噴霧乾燥等のような処理に先立って、いずれかの適切な溶媒を使用して形成する方法を提供することである。
本発明の別の目的は、ボーラス(高濃度に濃縮された)注射に加えて長期間の注入のための、患者への投与前に容易に再構成される貯蔵可能な粉末を提供することである。
【0018】
本発明の別の目的は、瞬時に投与後の体液、及び、組織中に放出する液性生物活性物質を充填されたミセル、又は、ナノ分散を提供することである。
本発明のさらに別の目的は、より長い貯蔵寿命、及び、より軽い生成物をもたらす粉末の形成である。
まださらなる本発明の目的は、保存料の必要性なしに無菌の配合物を提供することである。
本発明の別の目的は、一般に、現在市販されている配合物に付随する投与における痛みのあらゆる感覚を減らすか、又は、除去する配合物を提供することである。
本発明のさらなる目的は、室温において、高い薬剤充填水準で、24時間よりも長い間安定な一度再構成された液体の医療用配合物を提供することである。
【0019】
本発明の別の目的は、希釈後、ずり応力にさらされた時、又は、生理食塩水、ブドウ糖、若しくは、別の薬剤を含む溶液(例えば、注射剤リドカイン溶液)と混合された時に安定な配合物を提供することである。
本発明の別の目的は、再構成の際に、細菌の増殖を支持しない固体配合物を提供することである。
本発明の別の目的は、脂質を含まない配合物を提供することである。
【0020】
(定義)
本明細書、及び、特許請求の範囲で使用されるように、”安定化物質”という用語は、水不溶性薬剤の水溶性の調製を可能にする媒体、又は、物質を意味している。
本明細書、及び、特許請求の範囲で使用されるように、”本質的に透明”という用語は、少なくとも一つの安定化物質、及び、安定化物質中に充填された少なくとも一つの液体生物活性物質の完全な混合物を含む固体生成物が、再構成に際して、前記少なくとも一つの生物活性物質が、およそ 13 % の薬剤充填水準までの安定化されたナノ分散、又は、充填されたミセルとして存在する透明で安定な再構成された溶液、およそ 13 % からおよそ 20 % の薬剤充填水準でだんだんと乳白光を発し透明な溶液、さらに、およそ 20 % を越える薬剤充填水準で透明な濁った懸濁液を形成する、再構成溶媒、及び、再構成された固体の安定な溶液を意味している。それでもなお、本発明のこれら全ての配合物は、24時間を越えて安定、つまりは、これらは、水、及び/又は、35 g/L のアルブミン溶液中に希釈しても沈殿しない。
PPF-PMとは、プロポフォール-重合体ミセルを意味する。
【課題を解決するための手段】
【0021】
(発明の開示)
先行技術が直面する課題を克服するために、本発明は、当業者に公知の凍結乾燥、噴霧乾燥等の処理に依存しており、これは、水、水溶液、少なくとも一つの非水溶性の有機溶媒、又は、その組み合わせから選択された溶媒を少なくとも一つの安定化物質と一番目の溶液を提供するための条件下で混合し、その後、プロポフォール等のような少なくとも一つの液体生物活性物質を追加し、二番目の溶液を生じさせることにより得られる。後者のものは、液体生物活性物質が完全に結び付けられ、本質的に全ての溶媒、又は、溶媒類が除去され、実質的にこの処理の間に薬剤の損失が全く起こらない固体生成物を生じる条件下で凍結乾燥、噴霧乾燥等されるが、この処理は任意で、緩衝液、バルク形成添加剤、凍結防止剤、及び、分散防止剤を含む限定されない例の添加剤がこの処理の間のいかなる段階で加えられてもよい。
【0022】
当該液体は、上記処理に先立って、滅菌濾過を受けることが可能であり、粉末、ケーキ等を形成する。上記処理により生じた固体生成物は、貯蔵し、輸送することが可能であり、さらに、その後の使用に先立って、水溶性媒体中にナノ分散、又は、ミセルを含む、本質的に透明で安定な無菌の液体を形成するために、水溶液、例えば、水、生理食塩水、ブドウ糖等の追加により再構成することが可能な軽量の脂質を含まない物質である。
当該の工程は、不溶性の液体薬剤、及び、安定化物質の完全な結び付きを含む液体由来の固体生成物を形成するための単純で簡潔な手段を明らかにする。溶媒、不溶性の液体薬剤、及び、安定化物質の完全な結び付きを含む液体は、不溶性の液体薬剤が安定化物質と親密に結び付いたままでいるために実質的に全ての薬剤がこの工程の間保持される工程により、乾燥されてもよい。この生成物は、上で記載したとおりの乾燥した固体である。この乾燥した固体生成物は、水、又は、水溶液を追加されて自然に再構成し、液体生物活性物質を充填された薬剤ミセル、又は、薬剤ナノ分散を含む本質的に透明で安定な液体を形成する。
【0023】
大まかに、本発明は、それに対する水溶性の溶媒の追加による透明で安定な溶液への再構成に適した固体生成物に関連し:
前記固体生成物は、少なくとも一つの安定化物質、及び、少なくとも一つの液体生物活性物質の完全な混合物を含み;
前記液体生物活性物質の限定されない例は、プロポフォール、2-フェノキシエタノール、キナルジン、メトキシフルラン等であって;
前記液体生物活性物質は、実質的に固体の生成物内で前記安定化物質と完全に結び付けられた方式で、前記安定化物質内に充填されている。
実質的に固体の生成物は、再構成水溶性溶媒、又は、溶液との再水和により、少なくとも一つの生物活性物質が前記の少なくとも一つの生物活性物質を充填されたナノ分散、又は、ミセルとして存在する、本質的に透明で安定な溶液を形成する能力がある。
【0024】
本発明は、また、水溶液のそれに対する追加による透明で安定な溶液への再構成に適した固体生成物の製造方法にも関連し:
これはミセル、又は、ナノ分散を獲得するための条件下で、少なくとも一つの安定化物質、及び、少なくとも一つの溶媒の溶液を含む一番目の混合物を形成し;
その後、プロポフォール、2-フェノキシエタノール、キナルジン、メトキシフルラン等のような少なくとも一つの液体生物活性物質をそれと共に前記ミセル、又は、ナノ分散に充填するような方法で一番目の混合物へ追加して二番目の混合物を形成し;
さらに、前記二番目の混合物を、完全に前記安定化物質と結び付けられた前記液体生物活性物質を含む実質的に固体の生成物を形成する間に、前記溶媒をそこから除去するために効果的な条件下で処理することにより製造され;
前記固体生成物は、再水和で、前記少なくとも一つの生物活性物質が、前記少なくとも一つの生物活性物質を充填されたナノ分散、又は、ミセルとして存在する、本質的に透明で安定な溶液を形成する能力を有する。
【0025】
本発明は、また、液体生物活性物質を含む安定化されたナノ分散、又は、充填されたミセルの製造方法をも含み、これは、上記液体生物活性物質を含む安定化されたナノ分散、又は、充填されたミセルを提供するための条件下で上記の固体生成物を水和することによる。
本発明は、また、上記で定義された固体生成物を再構成することにより得られる本質的に透明な液体生成物、及び、前記の液体生物活性物質の安定化されたナノ分散、又は、充填されたミセルを含む上記の本質的に透明な液体を患者に投与することを含む医学的な処置方法をも含む。
【0026】
本発明は、さらに、液体生物活性物質の固体配合物の製造装置を含み:
前記装置は、
容器;
前記容器へ少なくとも一つの安定化物質、及び、少なくとも一つの溶媒を追加する手段;
前記容器と共にその中にミセル、又は、ナノ分散を得るための条件下で、前記安定化物質、及び、前記溶媒の一番目の混合物を形成することが可能な混合手段;
続いて、液体生物活性物質を前記一番目の混合物に追加して、二番目の混合物を形成する手段;
前記二番目の混合物を処理するための条件下で、前記混合手段を操作して、前記ミセル、又は、前記ナノ分散を前記生物活性物質で充填する手段;、及び、
前記の充填されたミセル、又は、ナノ分散を処理して、前記安定化物質と完全に結び付けられ、実質的に前記溶媒のない前記の液体生物活性物質を含む固体生成物を形成する手段を含む。
【0027】
適切な安定化物質の例としては、親水性部分が、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(N-ビニルピロリドン)(poly(N-vinylpyrrolidone))、ポリ(N-2-ヒドロキシプロピルメタクリルアミド)、ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)、ポリ(グリシドール)、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリラート)、ポリ(ビニルアルコール)(poly(vinylalcohol)、ポリ(メタクリル酸)誘導体、ポリ(ビニルピリジニウム)、ポリ((アンモニウアルキル)メタクリラート)、ポリ((アミノアルキル)メタクリラート)、並びに、その組み合わせ、及び、誘導体からなる群より選択された少なくとも一つのメンバーを含んでいてもよく、さらに、疎水性部分が、ポリ(エステル)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(アミド)、ポリ(エステル-アミド)、ポリ(無水物)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(テトラヒドロフラン)、及び、その組み合わせからなる群より選択された少なくとも一つのメンバーを含んでいてもよい直鎖状、分鎖状、又は、星状のブロック両親媒性共重合体のような両親媒性重合体が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
前記ポリ(エステル)は、ポリ(ε-カプロラクトン)、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)(poly(hydroxy alkanoates))(例えば、ポリ(γ-ヒドロキシブチラート)、ポリ(δ-ヒドロキシバレラート))、ポリ(β-リンゴ酸)、及び、その誘導体からなる群より選択された少なくとも一つのメンバーであってもよい。
【0028】
安定化物質の別の限定されない実例として、ナトリウムラウリルサルファート、ヘキサデシルピリジニウムクロリド、ポリソルバート類、ソリビタン類、ポリ(オキシエチレン)アルキルエーテル類、ポリ(オキシエチレン)アルキルエステル類等、及び、その種々の組み合わせを含むものからなる群より選択された少なくとも一つのメンバーを含んでいてもよい。
本発明の発明の範囲を制限することなく、本発明の教唆に従って製造されるナノ分散、又は、ミセルへの充填に適切な物質は、プロポフォールのような少なくとも一つの麻酔剤物質を、生理的な有効量で、好ましくは、およそ 0.1 % から 15 % まで、好ましくは、1 % から 10 % (w/v)までのプロポフォールの濃度で含んでいてもよい。一般的に、限定されるわけではないが、年齢、体重、及び/又は、健康を含む身体的特徴は、必要な生理的な有効量、又は、投与量に影響する。
【0029】
適切な溶媒、又は、その混合物は、液体生物活性物質の変性、又は、分解なしに、適切な量の液体生物物質と同様に適切な量の安定化物質を可溶性にする能力を有している。好ましい溶媒(又は、溶媒類の混合物)は、凍結乾燥、噴霧乾燥等の処理の間に除去される。多くの溶媒が、本発明の方法に合致して機能することが可能であるが、当該溶媒の限定されない実例としては、単独でも組み合わせても有用である、水、ブドウ糖水溶液、生理食塩水、DMSO、DMF、ジオキサン、ピリジン、ピリミジン、ピペラジン、並びに、メタノール、エタノール、n-ブタノール、及び、t-ブタノールのようなアルコール類、並びに、アセトンが挙げられ、さらには、例えば水と混合されて、二成分の混合物を形成してもよい。別の溶媒が、薬剤の溶解を促進するために少量で加えられてもよい。
【0030】
本発明の目的、及び、利益は、図解と実施例を手段として本発明の特定の実施態様を示す添付の図面と共に取り入れられた以下の記載から明らかとなる。この図面は本明細書の一部分を構成し、本発明の典型的な実施態様を含み、さらに、その種々の目的、及び、特徴を明らかにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
図20に示された概略図に従って、所定量の安定化物質、例えば、適切な重合体、共重合体、又は、界面活性剤、又は、分散剤、及び、添加剤、例えば、緩衝液、凍結防止剤/分散防止剤/バルク形成物質等(例えば、市販のポリ(ビニルピロリドン) Kollidon 12 PF(登録商標)、又は、17 PF(登録商標)、BASF)、及び/又は、補足的な安定化物質を溶媒、例えば、水、水溶液、少なくとも一つの非水溶性有機溶媒、又は、水、若しくは、水溶液、及び、前記少なくとも一つの非水溶性有機溶媒の組み合わせに溶解して一番目の混合物をミセル溶液の形態中に形成する。適切な混合がミセル物、又は、ナノ分散を一番目の混合物中にもたらすことが理解される。
この一番目の混合物がうまく形成されたらすぐに、液体薬剤、当業者に好評であるようなあらゆる別の液体生物活性物質が使用されてもよいが、ここではプロポフォールが、当業者に公知の条件下でこの一番目の混合物に追加され、それによって、このミセル、又は、ナノ分散は、薬剤ミセルの透明な溶液形態の二番目の混合物中で、液体薬剤を充填される。
【0032】
上記で記載されたどちらか一方、又は、両方の混合処置において、適切な”添加剤”を当業者に公知の目的のために追加することができる。限定されない添加剤の例としては、緩衝液、凍結防止剤、分散防止剤、及び、バルク形成物質が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。別の適切な添加剤としては、溶媒、又は、溶媒混合物に溶解性の、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(エチレングリコール)、糖類(乳糖、トレハロース)、多価アルコール類(マンニトール)、サッカライド類、及び、アミノ酸類が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。本明細書に大まかに列挙されるとおり、”溶媒”という用語は、水だけ、少なくとも一つの非水溶性有機溶媒を伴う水、又は、水、及び、前記少なくとも一つの非水溶性有機溶媒の組み合わせを意味していることが理解される。ある実例となる実施態様において、補足的な溶解促進手段、ここでは攪拌が、固体生成物を形成するための処置に先立って、生物活性物質、安定化物質、及び、溶媒を含む液体の形成を援助するために用いられてもよい。実例となる前記の溶解促進手段の例としては、例えば、必要な場合は、混合物が攪拌され、ボルテックスされ、超音波処理されてもよい方法が挙げられるが、これに限定されない。いくつかの重合体に対しては、溶解を促進するために、溶液が加熱される必要があってもよい。
【0033】
示された実施態様において、溶液は、滅菌フィルターを通して、例えば、0.2 μm のフィルターを通して濾過される。その後、この溶液は凍結乾燥され、無菌の乾燥ケーキ、又は、粉末等を形成する。
最後に、患者への投与のために、乾燥した粉末、又は、ケーキが、水、0.9 % の生理食塩水、5 % のブドウ糖、又は、別の適切な溶媒、又は、薬剤を含む水溶性溶液で再構成され、それによって、安定なナノ分散、又は、充填されたミセルがその後生産される。
【0034】
ナノ分散、又は、ミセルを適切な(通常、水溶性)溶媒中に含む再構成された配合物は、下記により特徴付けされてもよい;
1.例えば、動的光散乱により測定されるナノ分散、又は、ミセルの粒子サイズ、及び、粒子サイズ分布;
2.例えば、660 nm での光線透過率の度合いにより測定される液体の透明度;
3.pH;
4.薬剤含有量/投与量/濃度;
5.粘度(実施例中にはないけれども)
6.オスモル濃度
【0035】
本発明において、1 % から 10 % までの薬剤充填水準は、10 mg/mL (市販のプロポフォールエマルションで検出される)から 100 mg/mL までのいかなる再構成容量においても、透明で/安定な溶液を形成することが判明した。しかしながら、後者の濃度において、溶液の粘度が注射に対しての問題となる。従って、水中の重合体濃度は、配合物の再構成容量に対する制限因子である。
【0036】
およそ 13 % の薬剤充填水準から始まり、本質的に透明なままの再構成された溶液は、だんだんと乳白光を発するようになり、13 % で青い色合いを有する透明になり、20 % 以上で濁った懸濁液となる。それにもかかわらず、本発明のこれらの配合物の全ては、24時間を越えて安定である、すなわち、これらは、水、及び/又は、35 g/L のアルブミン溶液中への希釈に際して沈殿しないことが判明した。乳白光は、肉眼により観察される光の回折を引き起こすミセルのより大きいサイズへの膨張を示唆する。
【0037】
アルブミンの存在は、本発明のプロポフォール配合物の安定性に影響を及ぼさない。5 % 、7 % 、10 % 、及び 15 % の薬剤充填率の配合物の 35 g/L アルブミン溶液への 10 mg/mL 、20 mg/mL 、及び、40 mg/mL の希釈は、特筆すべき濁度、又は、水中、生理食塩水中、若しくは、ブドウ糖中で再構成された溶液との優位な違いを示さなかった。つまり、透明な溶液は、重合体、及び/又は、アルブミン、及び/又は、浮遊したプロポフォールの明らかな沈殿なく透明なままであった(相分離は存在しない)。同様に、乳白光を発する懸濁液は、乳白光を発するままであったが、希釈後により乳白光が弱まり、重合体、及び/又は、アルブミン、及び/又は、浮遊したプロポフォールの沈殿はなかった。
【0038】
図2に関連して、本発明に記載される固体生成物の調製を実施するための装置は、容器1を含み、これは、既知の方法で、溶媒、ここでは水の供給3、及び、安定化物質、ここではPVP-PDLLAの供給5につながれる。攪拌機7は、ミセル、又は、ナノ分散を形成するための条件下で、水、及び、PVP-PDLLAの混合物を攪拌するために容器1中に準備される。
プロポフォールの供給9も、攪拌機7を経てミセル、又は、ナノ分散が得られたらすぐに、既知の方法で、そこへプロポフォールを追加するために容器1につながれ、それによって、プロポフォールを充填されたミセル、又は、ナノ分散を含む二番目の混合物を形成する。
【0039】
限定されない示された実施態様において、フィルター11がミセル、又は、ナノ分散の滅菌を可能にするために準備され、フィルター11は、既知の方法で、ダクト13を介して容器1につながれる。バイアル15が、滅菌されたミセル、又は、ナノ分散の濾過された容量を受けるために、フィルター11の下流に準備される。バイアル15は、既知の方法で、ダクト17を介してフィルター11につながれる。
この装置は、また、既知の方法で、バイアル15の下流でダクト21を介してバイアル15につながれた既知構成の凍結乾燥機19を含む。受取器23が、最後に、凍結乾燥を経て得られる固体生成物27を回収するために、ダクト25を介してバイアル15につながれる。
【実施例】
【0040】
本発明は、ここで、以下の実施例によって明らかとされるが、これに限定されるわけではない。液体生物活性物質がプロポフォールである一方で、使用される安定化物質は市販のポリ(N-ビニルピロリドン) ポリ(d,l-ラクチド)共重合体とは異なる型である。別の安定化物質、及び、液体生物活性物質もまた、当業者に高く評価されるような同様の結果を持って使用することができることが理解される。
以下の実施例中で使用されるPVP-PDLLAロットの特性は、表1に与えられる。
【表1】
【0041】
実施例1:PVP-PDLLA(重合体1、及び、重合体2)サンプルを水、及び、種々の量のtert-ブチルアルコール(TBA)の混合物中に溶解した。プロポフォールを次にPVP-PDLLA溶液に加えた。水を次に好ましい最終的な容量になるまでTBA/PVP-PDLLA/プロポフォール溶液に加えた。これらの溶液中の最終的なTBA濃度は、10 % から 30 % であった。薬剤充填水準、プロポフォール/(プロポフォール + PVP-PDLLA)の % w/w は、また、5 % から、7 % 、8 % 、10 % 、12 % 、15 % 、及び 20 % に変えられた。溶液を次にドライアイス/アセトン浴中で凍結し、少なくとも24時間凍結乾燥した。得られた凍結乾燥ケーキを次に水を追加することにより再構成し、30秒未満で 1 % のプロポフォール水溶液を得た。総合的な結果は、10 % 以下の薬剤充填水準で、溶液が 100 % 均質であることを示唆した。10 % を越える薬剤重点水準において、この溶液は、徐々にますます乳白光を発するようになった(回折された光により引き起こされる青っぽい色合い)。20 % で、溶液は濁るが、安定であった(8時間を越えて沈殿なし)。
【0042】
実施例2:PVP-PDLLA(重合体1)を 100 mg/mL から 350 mg/mL までの間の濃度で水に直接溶解した。プロポフォールをPVP-PDLLA溶液に加え、均質な溶液が得られるまで混合した。この溶液を次に 1 % w/v のプロポフォール濃度になるまで希釈する。7 % 、10 % 、及び、12 % の薬剤充填水準を試験した。全ての溶液を次に 0.2 μm の滅菌フィルターを使用して濾過し、アセトン/ドライアイス浴中、又は、-80 ℃ の冷凍庫で少なくとも4時間凍結し、48時間凍結乾燥した。7 % 、10 % 、及び 12 % の固体の凍結乾燥ケーキを注射のために水を追加して再構成した。7 % 、及び、10 % の薬剤充填水準は、均質な溶液を生じ、一方で、12 % は、わずかに乳白光を発する溶液を生じた(青っぽい色合い)。全てのものは8時間を越えて安定、つまりは、目視観察下で、沈殿、又は、相分離がなかった。
【表2】
【0043】
実施例3:表2に見られる配合物を雌のスプラーグドーリーラットにおいて 10 mg/kg の投与量で試験した。注射時間は1分間であった。調製された全ての配合物は、プロポフォールを 1 % w/v 、つまりは、10 mg/mL の濃度で有していた。
【表3】
【0044】
上記試験の結果は、図1に示され、上記試験は、ラットにおける 10 mg/kg のプロポフォール配合物の静脈内投与による睡眠/回復試験である(1分間未満の睡眠のオンセット)。
【0045】
実施例4:PVP-PDLLA(重合体2)を、100 mg/mL から 350 mg/mL までの濃度で水に溶解した。プロポフォールをPVP-PDLLA溶液に追加し、均質な溶液が得られるまで混合した。この溶液は次に、1 % w/v のプロポフォール濃度まで希釈される。7 % 、10 % 、及び、12 % の薬剤充填水準を試験した。全ての溶液を次に、0.2 μm の滅菌フィルターを使用して濾過し、アセトン/ドライアイス浴中で凍結し、48時間凍結乾燥した。7 % 、10 % 、及び、12 % の固体の凍結乾燥ケーキを水の追加により再構成した。7 % 、及び、10 % の薬剤充填水準は均質な溶液を生じたが、一方で、12 % のものは、わずかに乳白光を発する溶液を生じた(弱々しい青い色合い)。全てのものは8時間を越えて安定、つまりは、目視観察下で、沈殿、又は、相分離がなかった。
【0046】
実施例5:PVP-PDLLA(重合体3)を、100 mg/mL から 350 mg/mL までの濃度で水に溶解した。プロポフォールをPVP-PDLLA溶液に追加し、均質な溶液が得られるまで混合した。この溶液は次に、1 % w/v のプロポフォール濃度まで希釈される。7 % 、10 % 、及び、12 % の薬剤充填水準を試験した。全ての溶液を次に、0.2 μm の滅菌フィルターを使用して濾過し、アセトン/ドライアイス浴中で凍結し、48時間凍結乾燥した。7 % 、10 % 、及び、12 % の固体の凍結乾燥ケーキを水の追加により再構成した。7 % 、及び、10 % の薬剤充填水準は均質な溶液を生じたが、一方で、12 % のものは、わずかに乳白光を発する溶液を生じた(弱々しい青い色合い)。全てのものは8時間を越えて安定、つまりは、目視観察下で、沈殿、又は、相分離がなかった。
【0047】
実施例6:PVP-PDLLA(ロット番号:重合体2)を pH 7.4 のリン酸ナトリウム緩衝液に溶解した。プロポフォールをPVP-PDLLA溶液に追加し、均質な溶液が得られるまで混合した。10 % の薬剤充填水準を試験した。次に、1 % w/v のプロポフォール濃度、及び、10 mM から 100 mM までの範囲の濃度のリン酸ナトリウム緩衝液を得るために水を追加した。再構成された溶液のオスモル濃度、pH、及び、粒子サイズを得た(表4)。
【表4】
【0048】
実施例7:PVP-PDLLA(重合体1、重合体2、重合体3、重合体4、及び、重合体5)を 100 mg/mL から 350 mg/mL までの濃度で、pH 7.4 で 100 mM のリン酸ナトリウム緩衝液に直接溶解した。プロポフォールをPVP-PDLLA溶液に追加し、均質な溶液が得られるまで混合した。次に、この溶液を、1 % w/v のプロポフォール濃度、及び、70 mM のリン酸ナトリウム緩衝液濃度まで希釈した。7 % 、10 % 、及び、12 % の薬剤充填水準を試験した。全ての溶液を次に 0.2 μm の滅菌フィルターを使用して濾過し、アセトン/ドライアイス浴中、又は、-80 ℃ の冷凍庫で少なくとも4時間凍結し、48時間凍結乾燥した。7 % 、10 % 、及び 12 % の固体の凍結乾燥ケーキを注射用水を追加して再構成した。7 % 、及び、10 % の薬剤充填水準は、均質な溶液を生じ、一方で、12 % は、わずかに乳白光を発する溶液を生じた(青っぽい色合い)。全ての再構成溶液は24時間を越えて安定、つまりは、目視観察下で、沈殿、又は、相分離がなかった。サンプルの特性は、表5、表6、及び、表7に見つけることができる。
【表5】
【表6】
【表7】
【0049】
実施例8:PVP-PDLLA(重合体4)を薬剤充填水準に応じて、140 mg/mL から 300 mg/mL までの濃度で、pH 7.4 で 100 mM のリン酸ナトリウム緩衝液に直接溶解した。二つの 10 % の薬剤充填水準の配合物の一つを水に溶解した。プロポフォールをPVP-PDLLA溶液に追加し、均質な溶液が得られるまで混合した。次に、この溶液を、1 % w/v のプロポフォール濃度、及び、70 mM のリン酸ナトリウム緩衝液濃度まで希釈した。7 % 、10 % 、及び、12 % の薬剤充填水準を試験した。全ての溶液を次に 0.2 μm の滅菌フィルターを使用して濾過し、-80 ℃ の冷凍庫で少なくとも4時間凍結し、48時間凍結乾燥した。5 % のブドウ糖中で再構成されたリン酸緩衝液を含まないひとつの配合物を除いて、7 % 、10 % 、及び 12 % の固体の凍結乾燥ケーキを注射のために水を追加して再構成した。再構成された全ての溶液は、24時間を越えて安定、つまりは、目視観察下で、沈殿、又は、相分離がなかった。
【0050】
実施例9:In-vivo 002。実施例8に示されるプロポフォール-PM配合物、及び、Diprivan(登録商標)(市販用の 1 % のプロポフォール配合物)を用いて、薬力学的試験を行った。この試験の目的は:
1.配合物中のPVP-PDLLA分子量を変化させることの薬力学的な効果を評価すること、
2.pH、及び、オスモル濃度を制御するためにリン酸ナトリウム緩衝液を使用する時の薬力学的パラメーターの変化を評価すること、
3.結果を比較すること、
である。
凍結乾燥された固体のプロポフォール-PM配合物を注射のための水(WFI)、又は、注射のための 5 % のブドウ糖(サンプル MT050816-3)を追加することにより均質な溶液にするために再構成した。最終的な溶液中のプロポフォール濃度は、1 % であり、これは市販用の配合物Diprivan(登録商標)と等価である。雌のスプラーグドーリーラットに60秒間で 10 mg/kg の大量瞬時投与量を注射した。薬力学的パラメーターを次に測定した。表8、及び、表9は、関心の選び出された特性、及び、パラメーターを示す。
in vivo 002、及び、in vivo 001 睡眠/回復試験において測定された正向反射までの時間の比較のために、図2を参照する。
【表8】
【表9】
【0051】
実施例10:In-vivo 003。実施例8の手順に従って調製された配合物を使用して、メスのスプラーグドーリーラットで薬物動態学的、及び、薬力学的な試験を行った。Diprivan(登録商標)を含む試験された配合物、及び、薬物動態学的試験設計は、下記表に示される。
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【0052】
実施例11:PVP-PDLLA(重合体1)を140 mg/mL から 350 mg/mL までの濃度で水に直接溶解した。プロポフォールをPVP-PDLLA溶液に追加し、均質な溶液が得られるまで混合した。この溶液を次に、1 % w/v のプロポフォール濃度まで希釈した(7 % 、9 % 、10 % 、及び、12 % の薬剤充填水準)。この溶液を次に、0.2 μm の滅菌フィルターを使用して濾過し、アセトン/ドライアイス浴中で凍結し、48時間凍結乾燥した。固体の凍結乾燥ケーキを注射用の無菌の 5 % ブドウ糖の追加により再構成し、1 % w/v (10 mg/mL)の濃度のプロポフォールを得た。ミセルサイズ分布が次に、希釈の影響を評価するために 1 % w/v 、及び、0.1 % w/v のプロポフォール濃度で測定した。0.01 % w/v(1/100 希釈)で、光散乱信号は、見て分かるとおり非常に弱かった。7 % の薬剤充填水準におけるサンプルは、0.01 % のプロポフォール濃度で一回だけ測定された。全ての溶液は、外観上は安定であり、相分離、又は、沈殿は、希釈により観察されなかった。これらの配合物の特性は、下記の表中に示される。
【表14】
【0053】
実施例12:微生物の増殖試験。実施例2によって調製された配合物を四つの異なる菌株の細菌を接種した三つの異なる媒体(注射のための水、5 % のブドウ糖、及び、0.9 % の生理食塩水)中で再構成した。さらに、再構成媒体のみ(生理食塩水、5 % のブドウ糖、及び、注射のための水)、及び、全ての三つの異なる再構成媒体中にプロポフォールを全く含まない重合体溶液にも対照用に接種した。1 x 104 cfu/mL を各々の試験される物品(溶液、配合物、媒体)に加えた。Diprivan(登録商標)エマルションにもまた対照用に接種した。微生物の増殖の異なる試験における、重合体溶液、及び、伴われる配合物の特性(表)、並びに、図式的な結果は、下に示される。
【表15】
【0054】
微生物の増殖試験の結果は、本発明のPVP-PLA溶液(プロポフォールを含まない)が、たいてい、再構成媒体(注射のための水、WFI、0.9 % の生理食塩水、及び、5% のブドウ糖)のみの中に観察される増殖と比べて有意差があるとは言えないことを示唆する。プロポフォール重合体ミセル(PPF-PM)配合物を形成するためのプロポフォールの追加は、プロポフォールの内在性の殺菌性質が、再構成媒体、又は、重合体と非依存的に、接種された全ての細菌を殺す際に有効であることを明示する。Diprivan(登録商標)は、図のように、全て場合において、最も高く微生物の増殖を支持する。
図7から図18:試験した全ての四つの菌株細菌の重合体溶液(PVP-PLA)、プロポフォール重合体ミセル配合物(PPF-PM)、Diprivan(登録商標)、及び、再構成媒体の微生物増殖時間特性。
【0055】
実施例12:PVP-PDLLA(重合体4)を pH 7.4 で 100 mM のリン酸ナトリウム緩衝液に直接溶解した。プロポフォールを溶液に追加し、混合した。透明な溶液が得られたらすぐに、この溶液を 1 % w/v のプロポフォール濃度、及び、75 mM の最終的な緩衝液濃度まで希釈した。この溶液を次に、凍結乾燥した。この凍結乾燥ケーキを次に、2 % 、1 % 、及び、0.2 % のリドカイン溶液で直接再構成した。粒子サイズ、及び、溶液のpHを5日間にわたって毎日測定した。結果は、下記に提示される。
【表16】
【0056】
実施例13:二つの別の液体生物活性物質もまた同一の手段を用いてPVP-PLAミセル中にうまく充填された。2-フェノキシエタノール(50 mg/mL)、及び、キナルジン(10 mg/mL)を75 mM(最終濃度)のリン酸ナトリウム緩衝液(pH 7.4)を含む水溶性のPVP-PLA溶液(90 mg/mL)に加えた。この透明な溶液を次に、UV吸収度測定に適した濃度まで希釈し、凍結、及び、凍結乾燥した。結果として生じる凍結乾燥物を次に、ほぼ同じ濃度まで、すなわち2-フェノキシエタノールに対して 50 mg/mL で、キナルジンに対して 10 mg/mL の濃度まで水を追加することにより再構成した。透明な溶液が得られた。UV吸収度を次に測定し、この二つの薬剤の存在を見積もった。下記の結果は、この二つの生物活性物質がPVP-PLAミセル中に保持されていたことを示唆する。
【表17】
【表18】
【0057】
当然のことながら、本発明の特定の形式が例証される一方で、本明細書に記載され、示される特定の形式、又は、処置に限定されない。種々の変更が本発明の範囲から逸脱することなくなされ、本発明が明細書、及び、図面/図に示され、並びに、記載されるものに限定されているとみなされないことは、当業者にとって明らかである。本発明が、本来そこに備わっているものと同様に、目的を成し遂げ、記載された結果、及び、効果を得るためにうまくアレンジされることを当業者は容易に理解する。本明細書に記載される実施態様、方法、手段、及び、技術は、好ましい実施態様の目下の代表であり、模範的であることを意図しており、発明の範囲における限定となることを意図していない。その中の変更、及び、別の用途は、当業者が思いつき、これは、本発明の精神の中に包含され、添えられる特許請求の範囲の発明の範囲によって定義される。本発明は、特定の好ましい実施態様と共に記載されているけれども、請求されるように本発明が当該特定の実施態様に極度に限定されるべきでないことは理解されるべきである。実際に、本発明を成し遂げるために記載された態様の当業者にとって自明の種々の変更は、特許請求の範囲の発明の範囲内にあることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】図1は、Diprivan(登録商標)、及び、三つのプロポフォール重合体ミセル配合物を雌のスプラーグドーリーラットで比較した in vivo 001(実施例3)で得られた薬力学的パラメーター試験のグラフ表示である。
【図2】図2は、薬力学的試験番号1(実施例3)及び、番号2(実施例9)における正向反射までの時間の比較を示したグラフである。
【図3】図3は、Diprivan(登録商標)、及び、三つのPPF-PM配合物の静脈内投与後の血液中プロポフォールの平均濃度−時間の特性を示すグラフである。
【図4】図4は、Diprivan(登録商標)、及び、三つのPPF-PM配合物の静脈内投与後の血漿中プロポフォールの平均濃度−時間の特性を示すグラフである。
【図5】図5は、in vivo 003 試験(実施例10)で得られた雌のスプラーグドーリーラットにおけるDiprivan(登録商標)、PPF-PM 7 % 、PPF-PM 10 % 、及び、PPF-PM 12 % の静脈内投与後の平均(±SD)の引込め反射時間、一番目の動作の時間、並びに、正向反射の時間を示すグラフである。
【図6】図6は、in vivo 003 試験(実施例10)で得られた雌のスプラーグドーリーラットにおけるDiprivan(登録商標)、PPF-PM 7 % (PPF-PM & %)、PPF-PM 10 % 、及び、PPF-PM 12 % の静脈内投与後の平均(±SD)の引込め反射時間を示すグラフである。
【図7】図7は、水中、重合体水溶液中、注射用プロポフォール重合体ミセル(PPF-PM)水溶液、及び、Diprivan(登録商標)の黄色ブドウ球菌(Staphylococcus Aureus)増殖を示すグラフである。
【図8】図8は、ブドウ糖中、重合体ブドウ糖溶液(PVP-PLA)、プロポフォール重合体ミセル(PPF-PM)ブドウ糖溶液、及び、Diprivan(登録商標)の黄色ブドウ球菌(Staphylococcus Aureus)増殖を示すグラフである。
【図9】図9は、生理食塩水中、重合体生理食塩水溶液(PVP-PLA)、プロポフォール重合体ミセル(PPF-PM)生理食塩水溶液、及び、Diprivan(登録商標)の黄色ブドウ球菌(Staphylococcus Aureus)増殖を示すグラフである。
【図10】図10は、水中、重合体水溶液(PVP-PLA)中、プロポフォール重合体ミセル(PPF-PM)水溶液、及び、Diprivan(登録商標)のE.Coli増殖を示すグラフである。
【図11】図11は、ブドウ糖中、重合体ブドウ糖溶液(PVP-PLA)、プロポフォール重合体ミセル(PPF-PM)ブドウ糖溶液、及び、Diprivan(登録商標)のE.Coli増殖を示すグラフである。
【図12】図12は、生理食塩水中、重合体生理食塩水溶液(PVP-PLA)、プロポフォール重合体ミセル(PPF-PM)生理食塩水溶液、及び、Diprivan(登録商標)のE.Coli増殖を示すグラフである。
【図13】図13は、水中、重合体水溶液(PVP-PLA)中、プロポフォール重合体ミセル(PPF-PM)水溶液、及び、Diprivan(登録商標)の緑膿菌(Pseudomonas Aeruginosa)増殖を示すグラフである。
【図14】図14は、ブドウ糖中、重合体ブドウ糖溶液(PVP-PLA)、プロポフォール重合体ミセル(PPF-PM)ブドウ糖溶液、及び、Diprivan(登録商標)の緑膿菌(Pseudomonas Aeruginosa)増殖を示すグラフである。
【図15】図15は、生理食塩水中、重合体生理食塩水溶液(PVP-PLA)、プロポフォール重合体ミセル(PPF-PM)生理食塩水溶液、及び、Diprivan(登録商標)の緑膿菌(Pseudomonas Aeruginosa)増殖を示すグラフである。
【図16】図16は、水中、重合体水溶液(PVP-PLA)中、プロポフォール重合体ミセル(PPF-PM)水溶液、及び、Diprivan(登録商標)のカンジダ・アルビカンス(Candida Albicans)増殖を示すグラフである。
【図17】図17は、ブドウ糖中、重合体ブドウ糖溶液(PVP-PLA)、プロポフォール重合体ミセル(PPF-PM)ブドウ糖溶液、及び、Diprivan(登録商標)のカンジダ・アルビカンス(Candida Albicans)増殖を示すグラフである。
【図18】図18は、生理食塩水中、重合体生理食塩水溶液(PVP-PLA)、プロポフォール重合体ミセル(PPF-PM)生理食塩水溶液、及び、Diprivan(登録商標)のカンジダ・アルビカンス(Candida Albicans)増殖を示すグラフである。
【図19A】図19Aは、全ての菌株、及び、全ての再構成媒体、重合体溶液、及び、配合物の24時間保温後のコロニー数を図解する。
【図19B】図19Bは、全ての菌株、及び、全ての再構成媒体、重合体溶液、及び、配合物の24時間保温後のコロニー数を図解する。
【図19C】図19Cは、全ての菌株、及び、全ての再構成媒体、重合体溶液、及び、配合物の24時間保温後のコロニー数を図解する。
【図20】図20は、本発明に記載された薬剤充填方法、及び、その本質的に透明な溶液の調製の概略図である。
【図21】図21は、本発明に記載された固体の薬剤配合物を製造するための装置の概略図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性の再構成溶媒の追加による本質的に透明で安定な溶液への再構成に適した固体生成物であって:
前記固体生成物が、少なくとも一つの安定化物質、及び、少なくとも一つの液体生物活性物質の完全な混合物を含み;
前記液体生物活性物質が、実質的に固体の生成物内の前記安定化物質と完全に結び付けられた方式で前記安定化物質内に充填され;
その結果、再構成水溶性溶媒、又は、溶液との水和反応により、前記固体生成物が、前記の本質的に透明で安定な溶液を形成し;
この溶液中で、前記の少なくとも一つの生物活性物質が、前記の少なくとも一つの生物活性物質を充填された安定なナノ分散、又は、ミセルとして存在する、固体生成物。
【請求項2】
前記生物活性物質をおよそ 0.1 % w/w からおよそ 25 % w/w まで含む請求項1に記載の固体生成物。
【請求項3】
前記生物活性物質をおよそ 1 % からおよそ 12 % まで含む請求項2に記載の固体生成物。
【請求項4】
前記液体生物活性物質が、水に不溶性である請求項1に記載の固体生成物。
【請求項5】
前記液体生物活性物質を、静脈内注射としての使用に適合させた請求項1に記載の固体生成物。
【請求項6】
前記液体生物活性物質が、麻酔性物質である請求項1に記載の固体生成物。
【請求項7】
前記液体生物活性物質が、プロポフォール、2-フェノキシエタノール、キナルジン、メトキシフルラン、及び、その組み合わせからなる群より選択された請求項1に記載の固体生成物。
【請求項8】
前記麻酔性物質が、プロポフォールである請求項6に記載の固体生成物。
【請求項9】
前記の少なくとも一つの安定化物質、前記の少なくとも一つの液体生物活性物質、及び、少なくとも一つの溶媒の混合物を凍結乾燥すること、又は、噴霧乾燥する結果により得られる請求項1に記載の固体生成物。
【請求項10】
前記安定化物質が、分散剤、及び、界面活性剤からなる群より選択された請求項1に記載の固体生成物。
【請求項11】
前記安定化物質が、分散剤を含む請求項1に記載の固体生成物。
【請求項12】
前記分散剤が、両親媒性の共重合体である請求項11に記載の固体生成物。
【請求項13】
前記両親媒性の重合体が、直鎖状、分鎖状、又は、星状のブロック重合体である請求項12に記載の固体生成物。
【請求項14】
前記両親媒性の重合体が、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(N-ビニルピロリドン)、ポリ(N-2-ヒドロキシプロピルメタクリルアミド)、ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)、ポリ(グリシドール)、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリラート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリメタクリル酸誘導体、ポリ(ビニルピリジニウム)、ポリ((アンモニウムアルキル)メタクリラート)、ポリ((アミノアルキル)メタクリラート)、並びに、その組み合わせ、及び、誘導体からなる群より選択された少なくとも一つのメンバーを含む親水性部分、並びに、ポリ(エステル)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(アミド)、ポリ(エステルアミド)、ポリ(無水物)、ポリ(プロフィレンオキシド)、ポリ(テトラヒドロフラン)、及び、その組み合わせからなる群より選択された疎水性部分を含む請求項12に記載の固体生成物。
【請求項15】
前記疎水性部分が、ポリ(ε-カプロラクトン)、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)、ポリ(ヒドロキシル-アルカノアート)、ポリ(β-リンゴ酸)、及び、その誘導体からなる群より選択されたポリ(エステル)を含む請求項14に記載の固体生成物。
【請求項16】
前記の両親媒性共重合体が、PVP-PDLLAからなる請求項12に記載の固体生成物。
【請求項17】
前記安定化物質が、界面活性剤を含む請求項1に記載の固体生成物。
【請求項18】
前記界面活性剤が、ラウリルサルファート、ヘキサデシルピリジニウムクロライド、ポリソルバート類、ソルビタン類、ポリ(オキシエチレン)アルキルエーテル類、ポリ(オキシエチレン)アルキルエステル類、及び、その組み合わせからなる群より選択された請求項17に記載の固体生成物。
【請求項19】
前記溶媒が、水、t-ブタノール、n-ブタノール、ジオキサン、ピリジン、ピリミジン、ピペリジン、pH 7.4 のリン酸ナトリウム緩衝液、及び、その混合物からなる群より選択された請求項9に記載の固体生成物。
【請求項20】
前記溶媒が、水を含む請求項19に記載の固体生成物。
【請求項21】
水溶性の溶液の追加による透明で安定な溶液への再構成に適した固体生成物の製造方法であって:
ミセル、又は、ナノ分散形態を得るための条件下で、少なくとも一つの安定化物質、及び、少なくとも一つの溶媒の溶液を含む一番目の混合物を形成し;
少なくとも一つの液体生物活性物質を前記ミセル、又は、ナノ分散に充填する方式で、前記一番目の混合物へ追加して二番目の混合物を形成し;
前記二番目の混合物を、完全に前記安定化物質と結び付けられた前記液体生物活性物質を含む実質的に固体の生成物を形成する間に、前記溶媒をそこから除去するために効果的な条件下で処理することを含み;
前記固体生成物が、水和反応で、前記少なくとも一つの生物活性物質が、前記少なくとも一つの生物活性物質を充填されたナノ分散、又は、ミセルとして存在する、透明で安定な溶液を形成する能力を有する製造方法。
【請求項22】
液体生物活性物質を含む安定化されたナノ分散、又は、充填されたミセルの製造方法であって、請求項1で定義された固体生成物を前記安定化されたナノ分散、又は、充填されたミセルを調製するための条件下で水和することを含む製造方法。
【請求項23】
少なくとも一つの添加剤を前記一番目の混合物、及び/又は、前記二番目の混合物に追加することを含む請求項21に記載の製造方法。
【請求項24】
無菌の濾液を生じるために前記溶液を濾過することを含む請求項21に記載の製造方法。
【請求項25】
前記溶媒が、水、t-ブタノール、n-ブタノール、ジオキサン、ピリジン、ピリミジン、ピペリジン、pH 7.4 のリン酸ナトリウム緩衝液、及び、その組み合わせからなる群より選択された請求項21に記載の製造方法。
【請求項26】
前記溶媒が、水からなる請求項25に記載の製造方法。
【請求項27】
前記の水和処置が、前記固体生成物を十分量の水、生理食塩水、又は、ブドウ糖水溶液と混合することを含む請求項22に記載の製造方法。
【請求項28】
前記添加剤が、前記溶媒に溶解性の緩衝液、凍結保護物質、分散保護物質、バルク形成物質、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(エチレングリコール)、ラクトース、トレハロース、マンニトール、糖類、アミノ酸類、又は、その組み合わせからなる群より選択された少なくとも一つのメンバーである請求項23に記載の製造方法。
【請求項29】
前記の形成処置が、さらに、超音波処理すること、ボルテックスすること、及び、加熱することからなる群より選択された少なくとも一つの溶解を高める手段を含む請求項21に記載の製造方法。
【請求項30】
前記安定化物質が、重合体、共重合体、低分子量の界面活性剤、及び、その組み合わせからなる群より選択された少なくとも一つのメンバーである請求項21に記載の製造方法。
【請求項31】
前記の液体生物活性物質が、水不溶解性である請求項21に記載の製造方法。
【請求項32】
前記の水不溶解性の液体生物活性物質が、プロポフォール、2-フェノシエタノール、キナルジン、及び、メトキシフルラン、及び、その組み合わせからなる群より選択された請求項21に記載の製造方法。
【請求項33】
およそ 0.1 % w/v からおよそ 15 % w/v までの間の前記液体生物活性物質を前記の一番目の混合物に追加することを含む請求項21に記載の製造方法。
【請求項34】
およそ 1 % w/v からおよそ 10 % w/v までの間の前記液体生物活性物質を前記の一番目の混合物に追加することを含む請求項33に記載の製造方法。
【請求項35】
前記の液体生物活性物質が、プロポフォールを含む請求項32に記載の製造方法。
【請求項36】
水和溶媒、及び、請求項1で定義された固体生成物を含む安定なナノ分散、又は、ミセルからなる透明な液体。
【請求項37】
患者に請求項36で定義された透明な液体を投与することを含む医学的な処置方法。
【請求項38】
液体生物活性物質の固体配合物の製造のための装置であって:
容器;
前記容器へ少なくとも一つの安定化物質、及び、少なくとも一つの溶媒を追加する手段;
前記容器と共にその中にミセル、又は、ナノ分散を得るための条件下で前記安定化物質、及び、前記溶媒の一番目の混合物を形成することが可能な混合手段;
続いて、液体生物活性物質を前記一番目の混合物に追加し、二番目の混合物を形成するための手段;
前記ミセル、又は、前記ナノ分散を前記生物活性物質で充填するために前記の二番目の混合物を処理するための条件下で、前記混合手段を操作する手段;及び、
前記安定化物質と完全に結び付けられ、実質的に前記溶媒のない前記の液体生物活性物質を含む固体生成物を形成するために前記の充填されたミセル、又は、ナノ分散を処理する手段を含む、製造装置。
【請求項1】
水溶性の再構成溶媒の追加による本質的に透明で安定な溶液への再構成に適した固体生成物であって:
前記固体生成物が、少なくとも一つの安定化物質、及び、少なくとも一つの液体生物活性物質の完全な混合物を含み;
前記液体生物活性物質が、実質的に固体の生成物内の前記安定化物質と完全に結び付けられた方式で前記安定化物質内に充填され;
その結果、再構成水溶性溶媒、又は、溶液との水和反応により、前記固体生成物が、前記の本質的に透明で安定な溶液を形成し;
この溶液中で、前記の少なくとも一つの生物活性物質が、前記の少なくとも一つの生物活性物質を充填された安定なナノ分散、又は、ミセルとして存在する、固体生成物。
【請求項2】
前記生物活性物質をおよそ 0.1 % w/w からおよそ 25 % w/w まで含む請求項1に記載の固体生成物。
【請求項3】
前記生物活性物質をおよそ 1 % からおよそ 12 % まで含む請求項2に記載の固体生成物。
【請求項4】
前記液体生物活性物質が、水に不溶性である請求項1に記載の固体生成物。
【請求項5】
前記液体生物活性物質を、静脈内注射としての使用に適合させた請求項1に記載の固体生成物。
【請求項6】
前記液体生物活性物質が、麻酔性物質である請求項1に記載の固体生成物。
【請求項7】
前記液体生物活性物質が、プロポフォール、2-フェノキシエタノール、キナルジン、メトキシフルラン、及び、その組み合わせからなる群より選択された請求項1に記載の固体生成物。
【請求項8】
前記麻酔性物質が、プロポフォールである請求項6に記載の固体生成物。
【請求項9】
前記の少なくとも一つの安定化物質、前記の少なくとも一つの液体生物活性物質、及び、少なくとも一つの溶媒の混合物を凍結乾燥すること、又は、噴霧乾燥する結果により得られる請求項1に記載の固体生成物。
【請求項10】
前記安定化物質が、分散剤、及び、界面活性剤からなる群より選択された請求項1に記載の固体生成物。
【請求項11】
前記安定化物質が、分散剤を含む請求項1に記載の固体生成物。
【請求項12】
前記分散剤が、両親媒性の共重合体である請求項11に記載の固体生成物。
【請求項13】
前記両親媒性の重合体が、直鎖状、分鎖状、又は、星状のブロック重合体である請求項12に記載の固体生成物。
【請求項14】
前記両親媒性の重合体が、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(N-ビニルピロリドン)、ポリ(N-2-ヒドロキシプロピルメタクリルアミド)、ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)、ポリ(グリシドール)、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリラート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリメタクリル酸誘導体、ポリ(ビニルピリジニウム)、ポリ((アンモニウムアルキル)メタクリラート)、ポリ((アミノアルキル)メタクリラート)、並びに、その組み合わせ、及び、誘導体からなる群より選択された少なくとも一つのメンバーを含む親水性部分、並びに、ポリ(エステル)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(アミド)、ポリ(エステルアミド)、ポリ(無水物)、ポリ(プロフィレンオキシド)、ポリ(テトラヒドロフラン)、及び、その組み合わせからなる群より選択された疎水性部分を含む請求項12に記載の固体生成物。
【請求項15】
前記疎水性部分が、ポリ(ε-カプロラクトン)、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)、ポリ(ヒドロキシル-アルカノアート)、ポリ(β-リンゴ酸)、及び、その誘導体からなる群より選択されたポリ(エステル)を含む請求項14に記載の固体生成物。
【請求項16】
前記の両親媒性共重合体が、PVP-PDLLAからなる請求項12に記載の固体生成物。
【請求項17】
前記安定化物質が、界面活性剤を含む請求項1に記載の固体生成物。
【請求項18】
前記界面活性剤が、ラウリルサルファート、ヘキサデシルピリジニウムクロライド、ポリソルバート類、ソルビタン類、ポリ(オキシエチレン)アルキルエーテル類、ポリ(オキシエチレン)アルキルエステル類、及び、その組み合わせからなる群より選択された請求項17に記載の固体生成物。
【請求項19】
前記溶媒が、水、t-ブタノール、n-ブタノール、ジオキサン、ピリジン、ピリミジン、ピペリジン、pH 7.4 のリン酸ナトリウム緩衝液、及び、その混合物からなる群より選択された請求項9に記載の固体生成物。
【請求項20】
前記溶媒が、水を含む請求項19に記載の固体生成物。
【請求項21】
水溶性の溶液の追加による透明で安定な溶液への再構成に適した固体生成物の製造方法であって:
ミセル、又は、ナノ分散形態を得るための条件下で、少なくとも一つの安定化物質、及び、少なくとも一つの溶媒の溶液を含む一番目の混合物を形成し;
少なくとも一つの液体生物活性物質を前記ミセル、又は、ナノ分散に充填する方式で、前記一番目の混合物へ追加して二番目の混合物を形成し;
前記二番目の混合物を、完全に前記安定化物質と結び付けられた前記液体生物活性物質を含む実質的に固体の生成物を形成する間に、前記溶媒をそこから除去するために効果的な条件下で処理することを含み;
前記固体生成物が、水和反応で、前記少なくとも一つの生物活性物質が、前記少なくとも一つの生物活性物質を充填されたナノ分散、又は、ミセルとして存在する、透明で安定な溶液を形成する能力を有する製造方法。
【請求項22】
液体生物活性物質を含む安定化されたナノ分散、又は、充填されたミセルの製造方法であって、請求項1で定義された固体生成物を前記安定化されたナノ分散、又は、充填されたミセルを調製するための条件下で水和することを含む製造方法。
【請求項23】
少なくとも一つの添加剤を前記一番目の混合物、及び/又は、前記二番目の混合物に追加することを含む請求項21に記載の製造方法。
【請求項24】
無菌の濾液を生じるために前記溶液を濾過することを含む請求項21に記載の製造方法。
【請求項25】
前記溶媒が、水、t-ブタノール、n-ブタノール、ジオキサン、ピリジン、ピリミジン、ピペリジン、pH 7.4 のリン酸ナトリウム緩衝液、及び、その組み合わせからなる群より選択された請求項21に記載の製造方法。
【請求項26】
前記溶媒が、水からなる請求項25に記載の製造方法。
【請求項27】
前記の水和処置が、前記固体生成物を十分量の水、生理食塩水、又は、ブドウ糖水溶液と混合することを含む請求項22に記載の製造方法。
【請求項28】
前記添加剤が、前記溶媒に溶解性の緩衝液、凍結保護物質、分散保護物質、バルク形成物質、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(エチレングリコール)、ラクトース、トレハロース、マンニトール、糖類、アミノ酸類、又は、その組み合わせからなる群より選択された少なくとも一つのメンバーである請求項23に記載の製造方法。
【請求項29】
前記の形成処置が、さらに、超音波処理すること、ボルテックスすること、及び、加熱することからなる群より選択された少なくとも一つの溶解を高める手段を含む請求項21に記載の製造方法。
【請求項30】
前記安定化物質が、重合体、共重合体、低分子量の界面活性剤、及び、その組み合わせからなる群より選択された少なくとも一つのメンバーである請求項21に記載の製造方法。
【請求項31】
前記の液体生物活性物質が、水不溶解性である請求項21に記載の製造方法。
【請求項32】
前記の水不溶解性の液体生物活性物質が、プロポフォール、2-フェノシエタノール、キナルジン、及び、メトキシフルラン、及び、その組み合わせからなる群より選択された請求項21に記載の製造方法。
【請求項33】
およそ 0.1 % w/v からおよそ 15 % w/v までの間の前記液体生物活性物質を前記の一番目の混合物に追加することを含む請求項21に記載の製造方法。
【請求項34】
およそ 1 % w/v からおよそ 10 % w/v までの間の前記液体生物活性物質を前記の一番目の混合物に追加することを含む請求項33に記載の製造方法。
【請求項35】
前記の液体生物活性物質が、プロポフォールを含む請求項32に記載の製造方法。
【請求項36】
水和溶媒、及び、請求項1で定義された固体生成物を含む安定なナノ分散、又は、ミセルからなる透明な液体。
【請求項37】
患者に請求項36で定義された透明な液体を投与することを含む医学的な処置方法。
【請求項38】
液体生物活性物質の固体配合物の製造のための装置であって:
容器;
前記容器へ少なくとも一つの安定化物質、及び、少なくとも一つの溶媒を追加する手段;
前記容器と共にその中にミセル、又は、ナノ分散を得るための条件下で前記安定化物質、及び、前記溶媒の一番目の混合物を形成することが可能な混合手段;
続いて、液体生物活性物質を前記一番目の混合物に追加し、二番目の混合物を形成するための手段;
前記ミセル、又は、前記ナノ分散を前記生物活性物質で充填するために前記の二番目の混合物を処理するための条件下で、前記混合手段を操作する手段;及び、
前記安定化物質と完全に結び付けられ、実質的に前記溶媒のない前記の液体生物活性物質を含む固体生成物を形成するために前記の充填されたミセル、又は、ナノ分散を処理する手段を含む、製造装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19A】
【図19B】
【図19C】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19A】
【図19B】
【図19C】
【図20】
【図21】
【公表番号】特表2008−521755(P2008−521755A)
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−541612(P2007−541612)
【出願日】平成17年11月28日(2005.11.28)
【国際出願番号】PCT/CA2005/001790
【国際公開番号】WO2006/056064
【国際公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(507176404)ラボファーム インコーポレイテッド (8)
【出願人】(507175050)ラボファーム ユーロープ リミテッド (8)
【出願人】(507175142)ラボファーム (バルバドス) リミテッド (6)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月28日(2005.11.28)
【国際出願番号】PCT/CA2005/001790
【国際公開番号】WO2006/056064
【国際公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(507176404)ラボファーム インコーポレイテッド (8)
【出願人】(507175050)ラボファーム ユーロープ リミテッド (8)
【出願人】(507175142)ラボファーム (バルバドス) リミテッド (6)
【Fターム(参考)】
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