説明

液体用紙容器

【課題】内容物から発生する酸素ガスによる容器の膨張が抑制され、取り扱いが容易で、かつ再封可能な液体用紙容器を提供することにある。
【解決手段】板紙を基材層とし、ポリエチレン層(表面層)/基材層/ポリエチレン層/中間層/ポリエチレン層(裏面層)が順次積層された積層板のブランクを、ポリエチレン層(裏面層)を裏面とし、折り曲げ線を折り曲げ、シールしてなる四角筒状の液体用紙容器30において、前記ブランクに形成された左側パネル、表パネル、右側パネル、裏パネルの、少なくとも、いずれかのパネルの側壁部C及び/またはいずれかのパネルの頂部Bの前記中間層に微細傷が刻設されていることを特徴とする液体用紙容器である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を収容した紙容器に関し、特に過酸化水素を含む液体を収容した紙容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ヘアカラ―用として、カラ―薬剤の第1剤、酸化剤の第2剤を使用する二剤型染毛剤の商品が多い。特にヘアカラー第2剤は過酸化水素、その他の薬剤が溶け込んだ水溶液であり、20℃前後の温度では比較的に安定化しているが、酸素発生しつつ徐々に分解する。
【0003】
特に第2剤を収容した包装容器は、酸素ガスの発生により膨張する問題があり、剛性が必要になる。よってポリエチレン樹脂からなるボトル容器が多く使用されている。
【0004】
しかし、このボトル容器は、廃棄処理する場合には、潰すことができないために嵩高になる問題がある。
【0005】
これらの問題を解決するために、第2剤の過酸化水素を含んだ水溶液を収容する包装容器であって、該包装容器の酸素透過率が、過酸化水素の分解により発生する単位時間当たりの酸素発生量に等しいかまたはそれよりも大きく、かつ水蒸気透過率が単位時間当たりの過酸化水素の分解する質量を過酸化水素含有率で除した値に略等しく設定されているフィルムからなる包装容器の提案がある(特許文献1)。
【0006】
しかし包装容器は、ガゼット包装袋で、包装袋の下部の一部分に貫通孔とそれと連結して開閉可能なコネクターを取付けた形態になっている。包装袋を構成しているフィルムは、酸素透過率、水蒸気透過率から選定すればよいが、包装形態が複雑であり、取り扱い難い問題がある。
【0007】
第2剤の包装容器として、剛性を有し、容易に注出ができ、かつ廃棄処理の際に潰して減容化できる液体用紙容器の要望がある。
【0008】
液体用紙容器において、単にポリエチレン層/基材層/ポリエチレン層の構成の紙容器では、内容物から発生する酸素ガスを透過させ、紙容器の膨張を抑制することができるが、紙容器の剛性が不足していたり、シール時での加熱によりピンホールが発生し、内容物の液漏れに繋がる心配がある。
【0009】
また、紙容器の剛性および耐熱性を向上させたポリエチレン層/基材層/ポリエチレン層/ポリエチレンテレフタレートフィルム/ポリエチレン層の構成では、シール時での加熱によりピンホールの発生を防ぐことができるが、ポリエチレンテレフタレートフィルムがポリエチレン層(フィルム)より酸素透過度が小さいために、酸素ガスにより紙容器が膨張してしまう問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2003−267454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、背景技術の問題を鑑みて、内容物から発生する酸素ガスによる容器の膨張が抑制され、取り扱いが容易で、かつ再封可能な液体用紙容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、発明者らは鋭意検討を行い、本発明を完成した。
【0013】
本発明の請求項1に係る発明は、板紙を基材層とし、ポリエチレン層(表面層)/基材層/ポリエチレン層/中間層/ポリエチレン層(裏面層)が順次積層された積層板のブランクを、ポリエチレン層(裏面層)を裏面とし、折り曲げ線を折り曲げ、シールしてなる四角筒状の液体用紙容器において、
前記ブランクに形成された左側パネル、表パネル、右側パネル、裏パネルの、少なくとも、いずれかのパネルの側壁部及び/またはいずれかのパネルの頂部の前記中間層に微細傷が刻設されていることを特徴とする液体用紙容器である。
【0014】
本発明の請求項2に係る発明は、前記中間層が、ポリエチレンテレフタレートフィルムまたは無機酸化物を蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする請求項1記載の液体用紙容器である。
【0015】
本発明の請求項3に係る発明は、前記微細傷が、レーザーによって刻設されていることを特徴とする請求項1または2記載の液体容器である。
【0016】
本発明の請求項4に係る発明は、前記積層板を構成するポリエチレン層の総厚が、80μm以上であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の液体用紙容器である。
【0017】
本発明の請求項5に係る発明は、前記液体用紙容器が、ゲーブルトップ型紙容器またはフラットトップ型紙容器であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の液体用紙容器である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の請求項1によれば、板紙を基材層とし、ポリエチレン層(表面層)/基材層/ポリエチレン層/中間層/ポリエチレン層(裏面層)が順次積層された積層板のブランクを、ポリエチレン層(裏面層)を裏面とし、折り曲げ線を折り曲げ、シールしてなる四角筒状の液体用紙容器において、
前記ブランクに形成された左側パネル、表パネル、右側パネル、裏パネルの、少なくとも、いずれかのパネルの側壁部及び/またはいずれかのパネルの頂部の前記中間層に微細傷が刻設されていることを特徴とする。中間層は、紙容器の耐熱性、剛性を向上させるために積層する。しかし積層することにより酸素ガスの透過度を小さくしてしまうことになる。よって透過度を大きくするために、中間層に微細傷を刻設するのである。刻設することにより発生する酸素ガスを紙容器から透過し易くし、膨張を抑制することができる。また微細傷の刻設する領域は、各パネル、即ち左側パネル、表パネル、右側パネル、裏パネルの、少なくとも、それぞれの側壁部または頂部に形成する。液体用容器を形成するためのシール部には刻設しないようにする。それはシール部の耐熱性が不足した場合、内容部が漏れるのを防ぐためである。即ち背シールパネル、トップシール部、底部のそれぞれの中間層には刻設しない。内容物から発生する酸素ガスを紙容器から透過させて容器の膨張を防ぐことができる。
【0019】
本発明の請求項2によれば、前記中間層が、ポリエチレンテレフタレートフィルムまたは無機酸化物を蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする。本発明の液体用紙容器は、中間層にポリエチレンテレフタレートフィルムを積層したもの
である。積層することにより、紙容器を作成する際のシール時でのピンホールの発生がなく、液漏れの心配がない紙容器になる。また紙容器自体の剛性もあり、取り扱いが容易である。またポリエチレンテレフタレートフィルムは、ポリエチレン層(フィルム)より酸素ガスの透過度が小さいために、酸素ガスによる膨張が発生し易い。よって酸素ガスの透過度を大きくするためにポリエチレンテレフタレートフィルムに微細傷を刻設するのである。また内容物の保存性を向上させるために、中間層に無機酸化物を蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルムを用いてもよい。該無機酸化物を蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルムは、焼却してもカスとして残存せず問題がない。
【0020】
本発明の請求項3によれば、前記微細傷が、レーザーによって刻設されていることを特徴とする。積層体の裏面層側からレーザーを照射し、中間層のポリエチレンテレフタレートフィルムのみに微細傷を刻設する。裏面層のポリエチレン層には微細傷を刻設はしない。よって内容物の漏れの心配のない紙容器ができる。
【0021】
本発明の請求項4によれば、前記積層板を構成するポリエチレン層の総厚が、80μm以上であることを特徴とする。積層体を構成するポリエチレン層の総厚が80μm以上であることが必要である。酸素ガス透過度を大きくさせるために、ポリエチレンフィルムの厚みを薄くすれば透過度は大きくなる。しかし液体用紙容器としての保形性、剛性、取り扱い性などを維持するためには、ポリエチレン層の総厚が80μm以上が必要である。
【0022】
本発明の請求項5によれば、前記液体用紙容器が、ゲーブルトップ型紙容器またはフラットトップ型紙容器であることを特徴とする。本発明の液体用紙容器の頂部をゲーブルトップ型またはフラットトップ型にすることで、通常使用されている紙容器の成型ラインを使用することができる。特殊な成型ラインを使用することはない。また注ぎ易くするために、頂部に注ぎ口である口部を設けることで、開閉し易く、取り扱いが容易な液体用紙容器ができる。使用後の廃棄の際には、減容化して廃棄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の液体用紙容器を形成するためのブランク(表面を示す)の一例を示す説明図である。
【図2】本発明の液体用紙容器を形成するためのブランク(裏面を示す)の一例を示す説明図である。
【図3】図1のブランクを組み立て、液体用紙容器(ゲーブルトップ型)の一例を示す説明図である。
【図4】本発明の液体用紙容器を形成するためのブランク(裏面を示す)の一例を示す説明図である。
【図5】図4のブランクを組み立て、液体用紙容器(ゲーブルトップ型)の一例を示す説明図である。
【図6】本発明のブランクを形成する積層体の一例を示す断面図である。
【図7】本発明の液体用紙容器(フラットトップ型)の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下本発明を実施するための形態につき説明する。ゲーブルトップ型紙容器を作成するためのブランクを例として説明する。
【0025】
図1は、本発明の液体用紙容器を形成するためのブランク(表面を示す)の一例を示す説明図である。ブランクシート1は、背シールパネル110と左側パネル120、表パネル130、右側パネル140、裏パネル150からなり、各パネルには、それぞれ側壁部C、該側壁部の上部には頂部B、下部には底部Dが形成されている。左側パネル120、右側パネル140の頂部には折り曲げ線160を介して折り込みできるようになっている
。また頂部Bの上部にトップシール部Aがそれぞれ形成されている。また頂部には口部を装着するための孔(170´)が形成されている。
【0026】
図2は、本発明の液体用紙容器を形成するためのブランク(裏面を示す)の一例を示す説明図である。それぞれの側壁部Cまたは頂部Bの裏面に、レーザーによる微細傷180を横状に連続に刻設した線190を複数形成したものである。また頂部に形成された折り曲げ線、口部を装着するための孔の周りを避けて刻設した方が好ましい。
【0027】
図3は、図2のブランクを組み立て、液体用紙容器(ゲーブルトップ型)の一例を示す説明図である。ブランクの背シールパネル110の外面と裏パネル150の内面をシールし、スリーブ状にしてから、底部Dをシールし、充填後トップシール部Aをシールして密封された液体用紙容器130を形成する。また内容物を注ぎ易くするため、口部170を設けている。
【0028】
本発明の微細傷180を刻設する面積は、内容物から発生する酸素ガスの量により、該酸素ガスが紙容器から透過する量(透過度)を考慮して刻設する面積を決めることができる。即ち紙容器からの透過度を発生する量に比べて等しいかまたはそれ以上の紙容器であれば膨張しない。
【0029】
図4は、本発明の液体用紙容器を形成するためのブランク(裏面を示す)の一例を示す説明図である。それぞれの側壁部Cの裏面に、レーザーによる微細傷180を縦状に連続に刻設した線200を複数形成したものである。内容物から発生する酸素ガスの量により、該酸素ガスが紙容器から透過する量(透過度)を考慮して刻設する面積を決めることができる。
【0030】
図5は、図4のブランクを組み立て、液体用紙容器(ゲーブルトップ型)の一例を示す説明図である。紙容器の膨張性が抑制された握持しやすく、注ぎ易い紙容器である。
【0031】
図6は、本発明のブランクを形成する積層体1の一例を示す断面図である。図6−1は液体用紙容器の積層体1は、ポリエチレン層(表面層)3/基材層4/ポリエチレン層5/ポリエチレンテレフタレートフィルム7/接着層8/ポリエチレン層(裏面層)9が順次積層された積層板からなっている。絵柄印刷などを使用する場合は、表面に印刷層2を設ければよい。ブランクの裏面側からレーザーを照射することにより、ポリエチレンテレフタレートフィルム7に微細傷180を刻設する。即ちレーザーは、ポリエチレン層(裏面層)9を透過し、ポリエチレンテレフタレートフィルム7のみに刻設する。裏面層から所望の部位に刻設すればよい。図6−2は、ポリエチレン層(表面層3)/基材層4/ポリエチレン層5/無機酸化物蒸着層6/ポリエチレンテレフタレートフィルム7/接着層8/ポリエチレン層(裏面層)9が順次積層された積層板からなっている。内容物の保存性を向上させるために無機酸化物蒸着層6/ポリエチレンテレフタレートフィルム7を中間層として積層する。
【0032】
レーザーとしては、例えば連続またはパルス発振形式を有する炭酸ガスレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザーが挙げられるが、本発明の液体用紙容器の積層体に使用される、ポリエチレンテレフタレートフィルムに吸収する波長10.63μm(赤外線)の炭酸ガスレーザーが好適である。即ち炭酸ガスレーザーを集光レンズで集光し、積層体の裏面から照射する。裏面のポリエチレン層9や、該ポリエチレン層とポリエチレンテレフタレートフィルム7とを接着する接着層8には、微細傷180を刻設しないように、ポリエチレンテレフタレートフィルム7のみに微細傷180を刻設するのである。
【0033】
刻設される微細傷180の形状は、直線状または点状で連続に、縦方向や横方向に刻設
することができる。また刻設された線幅も自由に設定できる。特に形状は、限定されず、酸素ガスの透過度により、微細傷の深さ、微細傷の面積など踏まえコントロールすることができる。
【0034】
図7は、本発明の液体用紙容器(フラットトップ型)の一例を示す説明図である。本発明の液体用紙容器のフラットトップ型の紙容器を示している。紙容器の天部には口部が装着され、注ぎし易く、再封できるようにしている。
【0035】
更に本発明を詳しく説明する。
【0036】
本発明に用いる基材層としては、坪量200〜500g/mを使用できる。例えばミルク原紙などの板紙が使用できる。
【0037】
表面層、接着層、裏面層に用いるポリエチレン層としては、ポリエチレン樹脂が主に使用できる。表面層としてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンを主体とするブレンド樹脂などのオレフィン系樹脂、またはポリエチレンを主体とするポリエチレンテレフタレート樹脂とのブレンド樹脂などの熱融着性ポリオレフィン系樹脂を使用できる。接着層としては、ポリエチレン樹脂、エチレンーメチルアクリレートやエチレンーメチルメタアクリレートなどのエチレン共重合体樹脂などが使用できる。裏面には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンを主体とするブレンド樹脂などのポリオレフィン系樹脂を使用できる。
【0038】
ポリエチレン樹脂を積層する方法として、押出し機により押出しラミネートして積層することができる。表面層は、厚み30〜40μm形成する。接着層は、厚みは30〜70μm形成する。裏面層は30〜120μm形成する。押出し方法もポリエチレン樹脂を単層または共押出しにて複層にして積層することができる。また内容物の保護性から、裏面層は、厚みが50μm以上必要であることから、予め共押出し法にて作成したポリエチレンフィルムを、接着剤を用いてドライラミネートして積層することもできる。
【0039】
本発明の液体用紙容器は、積層体のポリエチレン層の総厚を80μm以上とすることにより、紙容器の剛性、内容物の保護性を持たせることができる。また中間層にポリエチレンテレフタレートフィルムを積層することによりシール時の耐熱性が向上、かつ紙容器の剛性が向上する。ポリエチレンテレフタレートフィルムの厚みについては特に限定されない。紙容器の剛性、シール時の熱安定性、製函性から決めればよい。また無機酸化物を蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルムを使用できる。内容物の保存性を向上することができる。無機酸化物としては、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどが使用できる。
【0040】
また積層体の表面に絵柄や文字情報を印刷する方法としては、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷など、通常使用される印刷方式を使用することができる。
【0041】
以下、本発明の具体的実施例について説明する。
【実施例1】
【0042】
坪量400g/mの板紙の表面に、低密度ポリエチレンを20μm押出しラミネートした。次に中間層に使用するポリエチレンテレフタレートフィルム12μと裏面層の低密度ポリエチレン60μmをポリウレタン系接着剤を用いて貼り合わせた。裏面層の低密度ポリエチレン60μmは、予め押出し法により作成した。
【0043】
次にラミネートされた板紙の裏面と中間層のポリエチレンテレフタレートフィルムとを高密度ポリエチレン40μmにて押出し、サンドラミネートして積層体を得た。
【0044】
このように作成した積層体を、70角1000ml用液体用紙容器を形成するためのブランクを作成した。ブランクに形成した左側パネル、表パネル、右側パネル、裏パネルのそれぞれの側壁部の裏面に、微細傷を横状に連続に刻設した線を、横方向の長さ50mm、ピッチ10mm間隔で9本、図2に示すように形成した。またそれぞれの頂部の裏面にも図2に示すように2本形成した。尚折り曲げ線および口部装着用の孔部を避けて形成した。微細傷は、裏面層側から中間層であるポリエチレンテレフタレートフィルムに炭酸ガスレーザーを用いて刻設した。
【0045】
次にこのブランクをスリーブ状に組み立て、底部を成形し、口部を装着し、内容物を充填後トップシール部をシールして液体用紙容器を形成した。
【実施例2】
【0046】
坪量350g/mの板紙の表面に、低密度ポリエチレンを15μm押出しラミネートした。次に中間層に使用する酸化珪素蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム12μと裏面層の低密度ポリエチレン50μmをポリウレタン系接着剤を用いて貼り合わせた。裏面層としての低密度ポリエチレン50μmは、予め押出し法により作成した。
【0047】
次にラミネートされた板紙の裏面と中間層の酸化珪素蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルムの酸化珪素蒸着面とをエチレンメタアルリレート共重合体樹脂を用いて40μm押出し、サンドラミネートして積層体を得た。
【0048】
このように作成した積層体を、70角1000ml用液体用紙容器の形成するためのブランクを作成した。ブランクに形成した左側パネル、表パネル、右側パネル、裏パネルのそれぞれの側壁部の裏面に、微細傷を縦状に連続に刻設した線を、縦方向の長さ150mm、ピッチ10mm間隔で4本、図4に示すように形成した。微細傷は、裏面層側から中間層である酸化珪素蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルムのポリエチレンテレフタレートフィルムに炭酸ガスレーザーを用いて刻設した。
【0049】
次にこのブランクをスリーブ状に組み立て、底部を成形し、口部を装着し、内容物を充填後トップシール部をシールして液体用紙容器を形成した。
【0050】
<比較例1>
実施例1で、中間層のポリエチレンテレフタレートフィルムに微細傷を刻設しなかった以外は、実施例1と同様にして液体用紙容器を形成した。
【0051】
<比較例2>
実施例2で、中間層の酸化珪素蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルムに微細傷を形成しなかった以外は、実施例2と同様にして液体用紙容器を形成した。
【0052】
<比較例3>
坪量300g/mの板紙の表面に、低密度ポリエチレンを25μm押出しラミネートした。次に裏面に低密度ポリエチレンを50μm押出しラミネートした。この積層体のブランクを実施例1のように作成し、かつ液体用紙容器を得た。
【0053】
作成した液体用紙容器を以下の方法で評価した。
【0054】
<内容物>
1:ヘアカラー2剤(過酸化水素濃度:6%)
2:ヘアカラー2剤(過酸化水素濃度:3%)
内容液量:1L
<膨張性>
上記内容物をそれぞれ収容した液体用紙容器を40℃×30%RH恒温恒湿槽に6ヶ月保存。液体用紙容器の膨張度合いを確認、4cm以下を「○」と判定した。
【0055】
<重量変化>
上記内容物をそれぞれ収容した液体用紙容器を40℃×30%RH恒温恒湿槽に6ヶ月保存。内容物の重量変化率3%以下を、「○」と判定した。
【0056】
<シール性能>
内容物が充填されていない液体用紙容器に、浸透液を注射針にて入れて紙容器の内壁面に行き渡るようにしてから、2時間保存。浸透液が液体用紙容器の外面まで染み出してきたものを「×」と判定した。(シール温度:320℃)。
【0057】
実施例、比較例の評価結果を表1に示す。
【0058】
【表1】

実施例1、実施例2とも膨張性、内容物の重量変化、シール性能が良好であった。比較例1では、内容物が過酸化水素6%では、膨張した結果になった。比較例2では、内容物が過酸化水素6%、3%でも、膨張した結果になった。共にレーザーでの微細傷を刻設した効果が出ている。比較例3では、膨張性は良かったが、シール時の加熱により、ピンホールが生じ、シール性能は良くなかった。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の液体用紙容器は、酸素ガスを発生させるような内容物に利用できる。また固体の内容物でも利用することができる。また酸素ガス以外のガスにも利用できる。
【符号の説明】
【0060】
1 :積層体
2 :印刷層
3 :ポリエチレン層
4 :基材層
5 :ポリエチレン層
6 :無機酸化物蒸着層
7 :ポリエチレンテレフタレートフィルム層
8 :接着層
9 :ポリエチレン層
10:本発明の液体用紙容器を形成するためのブランク(表面)
20:本発明の液体用紙容器を形成するためのブランク(裏面)
30:本発明の液体用紙容器(ゲーブルトップ型)
40:本発明の液体用紙容器(フラットトップ型)
110:背シールパネル
120:左側パネル
130:表パネル
140:右側パネル
150:裏パネル
160:折り曲げ線
170:口部
170´;口部装着用孔
180:微細傷
190:横状に連続に刻設した線
200:縦状に連続に刻設した線
A :トップシール部
B :頂部
C :側壁部
D :底部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板紙を基材層とし、ポリエチレン層(表面層)/基材層/ポリエチレン層/中間層/ポリエチレン層(裏面層)が順次積層された積層板のブランクを、ポリエチレン層(裏面層)を裏面とし、折り曲げ線を折り曲げ、シールしてなる四角筒状の液体用紙容器において、
前記ブランクに形成された左側パネル、表パネル、右側パネル、裏パネルの、少なくとも、いずれかのパネルの側壁部及び/またはいずれかのパネルの頂部の前記中間層に微細傷が刻設されていることを特徴とする液体用紙容器。
【請求項2】
前記中間層が、ポリエチレンテレフタレートフィルムまたは無機酸化物を蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする請求項1記載の液体用紙容器。
【請求項3】
前記微細傷が、レーザーによって刻設されていることを特徴とする請求項1または2記載の液体容器。
【請求項4】
前記積層板を構成するポリエチレン層の総厚が、80μm以上であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の液体用紙容器。
【請求項5】
前記液体用紙容器が、ゲーブルトップ型紙容器またはフラットトップ型紙容器であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の液体用紙容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−224370(P2012−224370A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93955(P2011−93955)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】