説明

液体皮膚洗浄剤組成物

【課題】溶剤としてグリセリンを用い、泡の持続性、低温での外観安定性及び高温での色調安定性に優れた、脂肪酸カリウム塩を含有する液体皮膚洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】(A)〜(F)を含む液体皮膚洗浄剤組成物。
(A)式(1)で表される脂肪酸カリウム塩 5〜30質量%
1COOK (1)
(R1は一価炭化水素基を示し、R1の炭素数が11以下の脂肪酸カリウム塩と、R1の炭素数が12以上の脂肪酸カリウム塩との質量比(C11以下/C12以上)が0.3〜1.5未満である。)
(B)グリセリン 4〜50質量%
(C)式(2)で表されるアミン 0.2〜3質量%
2−NH2 (2)
(D)両性界面活性剤、アシル第3級アミンオキシド及びアシル第3級フォスホンオキシドから選ばれる1種以上 1〜10質量%
(E)式(3)で表される化合物 0.3〜3質量%
3O(R4O)nH (3)
(F)炭素数1〜3のアルコール 2〜7質量%

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、泡の持続性、低温安定性(外観)及び高温安定性(色調)に優れた、脂肪酸カリウム塩を含有する液体皮膚洗浄剤組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、洗浄成分として高級脂肪酸塩が用いられている。しかしながら、液体洗浄剤に用いた場合、高級脂肪酸塩のクラフト点は高いため、冬季における低温保管時に析出しやすく、低温安定性が悪いという課題があった。この解決のため、よりクラフト点の低いラウリン酸等の脂肪酸鎖長の短い脂肪酸塩を用いて低温安定性を改善する試みが行われている。しかしながら、ラウリン酸塩は、皮膚刺激が発生する場合があり、泡の持続性が不十分であった。
【0003】
高級脂肪酸塩の対イオン、即ち、脂肪酸の中和に窒素化合物を用いて、低温安定性を改善する技術が提案されている(特許文献1:特開平10−316551号公報、特許文献2:特開2006−342293号公報参照)。この技術は、高級脂肪酸の塩基性アミノ酸、トリエタノールアミンの塩を用いているが、低温安定性は改善されるものの、泡の持続性が低く、さらに泡の持続性の良好な脂肪酸鎖長の長いミリスチン酸塩や、ラウリン酸のカリウム塩を用いると、低温安定性を良好にすることが困難であった。
【0004】
一方、低温安定性を改善する手段として、1,3−ブチレングリコールやプロピレングリコール等の多価アルコールを溶剤として配合することが従来から行われている(特許文献1,2)。これらの溶剤は、低温安定性の改善はできるものの、泡の持続性が弱くなる傾向にあり、また、昨今の消費者の天然志向、石油由来原料の低減の要望に応えるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−316551号公報
【特許文献2】特開2006−342293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
1,3−ブチレングリコールやプロピレングリコール等の多価アルコールに代わる溶剤として、植物由来の多価アルコールにグリセリンがあるが、溶剤としての効果が小さく、ミリスチン酸塩を含む組成物において、低温保管時の析出を抑制する効果は低いものである。本発明は上記事情に鑑みなされたもので、溶剤としてグリセリンを用い、泡の持続性、低温での外観安定性、及び高温での色調安定性に優れた、脂肪酸カリウム塩を含有する液体皮膚洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、(A)脂肪酸カリウム塩を含有する液体皮膚洗浄剤組成物に、溶剤として(B)グリセリンを用い、さらに、特定の(C)一般式(2)で表されるアミン、(D)両性界面活性剤、アシル第3級アミンオキシド及びアシル第3級フォスホンオキシドから選ばれる1種以上、特定の(E)ポリアルキレンエーテル化合物、及び(F)炭素数1〜3のアルコールを配合することにより、(A)脂肪酸カリウム塩の低温での析出が抑制され、低温安定性(外観)が向上し、さらにそれぞれの成分を特定量にすることで、優れた泡性能を維持しつつ、その泡の持続性が向上し、高温での色調安定性が良好となることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0008】
従って、本発明は液体皮膚洗浄剤組成物を提供する。
[1].下記(A)〜(F)を含有する液体皮膚洗浄剤組成物。
(A)下記一般式(1)で表される脂肪酸カリウム塩 5〜30質量%
1COOK (1)
(式中、R1は炭素数5〜25の直鎖又は分岐鎖の一価炭化水素基を示し、一価炭化水素基の水素原子の一部が水酸基で置換されていてもよく、R1の炭素数が11以下の脂肪酸カリウム塩(C11以下)と、R1の炭素数が12以上の脂肪酸カリウム塩(C12以上)との質量比(C11以下/C12以上)が、0.3〜1.5未満である。)
(B)グリセリン 4〜50質量%
(C)下記一般式(2)で表されるアミン 0.2〜3質量%
2−NH2 (2)
(式中、R2は炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖の一価炭化水素基を示し、一価炭化水素基の水素原子の一部が水酸基で置換されていてもよい。)
(D)両性界面活性剤、アシル第3級アミンオキシド及びアシル第3級フォスホンオキシドから選ばれる1種以上 1〜10質量%
(E)下記一般式(3)で表される化合物 0.3〜3質量%
3O(R4O)nH (3)
(式中、R3は炭素数12〜16の直鎖又は分岐鎖の一価炭化水素基を示し、一価炭化水素基の水素原子の一部が水酸基で置換されていてもよく、R4は炭素数2又は3の二価炭化水素基であり、nは2〜30を示す。)
(F)炭素数1〜3のアルコール 2〜7質量%
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、泡の持続性、低温安定性(外観)及び高温安定性(色調)に優れた、脂肪酸カリウム塩を含有する液体皮膚洗浄剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の液体皮膚洗浄剤組成物は、下記(A)〜(F)成分を、それぞれ特定量含有するものである。
【0011】
(A)下記一般式(1)で表される脂肪酸カリウム塩
(A)成分は、下記一般式(1)で表される脂肪酸カリウム塩であり、洗浄剤、起泡成分であって、優れた泡性能を有する。
1COOK (1)
(式中、R1は炭素数5〜25、好ましくは11〜17の直鎖又は分岐鎖の一価炭化水素基を示し、一価炭化水素基は飽和でも不飽和でもよく、一価炭化水素基の水素原子の一部が水酸基で置換されていてもよく、R1の炭素数が11以下の脂肪酸カリウム塩(C11以下)と、R1の炭素数が12以上の脂肪酸カリウム塩(C12以上)との質量比(C11以下/C12以上)が、0.3〜1.5未満である。)
【0012】
一般式(1)で表される脂肪酸カリウム塩としては、カプロン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、カプロレイン酸、ウンデシレン酸、ラウロレイン酸、2−エチルブタン酸、イソペンタン酸、2−エチルペンタン酸、2−エチルヘキサン酸、イソノナン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、トリデカン酸、テトラメチルノナン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、ゴンドイン酸、エルカ酸、セラコレイン酸、リノール酸、リノエライジン酸、リノレン酸、アラキドン酸、2−ヘキシルデカン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、カプリン酸等の混合物であるヤシ油脂肪酸等の塩が挙げられ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。脂肪酸カリウム塩としては、泡の持続性の点から、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸カリウム、パルミチン酸カリウム、ステアリン酸カリウム、イソステアリン酸カリウム、オレイン酸カリウム、ヤシ油脂肪酸カリウムが好ましく、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸カリウム、パルミチン酸カリウムがより好ましい。
【0013】
1の炭素数が11以下の脂肪酸カリウム塩(C11以下)と、R1の炭素数が12以上の脂肪酸カリウム塩(C12以上)との質量比(C11以下/C12以上)が、0.3〜1.5未満である。
例えば、R1の炭素数が11以下の脂肪酸カリウム塩(C11以下)としては、ラウリン酸カリウムが挙げられ、R1の炭素数が12以上の脂肪酸カリウム塩(C12以上)としては、ミリスチン酸カリウム、パルミチン酸カリウムが挙げられる。R1の炭素数が11以下の脂肪酸カリウム塩が多いほうが、低温安定性(外観)が良好であるが、本発明の構成とすることで、0.3〜1.5未満であっても、低温安定性(外観)を保持できると共に、泡の持続性が向上する。泡の持続性の点から、0.5〜0.8が好ましい。なお、上記比率は少数点第2位を四捨五入した値である。
【0014】
(A)成分の含有量は組成物中5〜30質量%である。5質量%未満だと、泡の持続性が悪くなり、30質量%を超えると低温安定性(外観)が悪くなる。また、泡の持続性及び低温安定性(外観)の点から、10〜25質量%が好ましく、15〜25質量%がより好ましい。
【0015】
(B)グリセリン
グリセリンを配合することで、低温安定性(外観)を向上させると共に、天然由来のもので消費者の志向にも沿うことができる。また、1,3−ブチレングリコールやプロピレングリコール等の多価アルコールは、低温安定性(外観)は維持できるが、泡の持続性が悪く、皮膚刺激性を感じやすいが、グリセリンはこのような問題はない。なお、本発明は、1,3−ブチレングリコールやプロピレングリコール等の多価アルコール未配合であっても、目的とする低温安定性(外観)を得ることができる。
【0016】
(B)成分の含有量は組成物中4〜50質量%である。4質量%未満だと、低温安定性(外観)が悪くなり、50質量%を超えると泡の持続性が悪くなる。また、泡の持続性及び低温安定性(外観)の点から、5〜20質量%が好ましく、5〜10質量%がより好ましい。
【0017】
(C)下記一般式(2)で表されるアミン
(C)成分の配合により、低温安定性(外観)が向上する。
2−NH2 (2)
(式中、R2は炭素数1〜6、好ましくは2〜3の直鎖又は分岐鎖の一価炭化水素基を示し、一価炭化水素基は飽和でも不飽和でもよく、一価炭化水素基の水素原子の一部が水酸基で置換されていてもよい。)
【0018】
一般式(2)で表されるアミンとしては、pKaが9.0以上のものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、モノエタノールアミン(pKa=9.64)、エチルアミン(pKa=10.66)、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(pKa=9.82)、イソプロパノールアミン(pKa=9.68)、イソプロピルアミン(pKa=10.93)等が挙げられる。これらは、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。中でも、低温安定性(外観)、着色のなさ点から、モノエタノールアミン(pKa=9.64)、エチルアミン(pKa=10.66)、イソプロパノールアミン(pKa=9.68)がより好ましく、モノエタノールアミン(pKa=9.64)がさらに好ましい。なお、pKaとは、−log〔Ka(酸解離定数)〕であり、酸解離定数Kaは、25℃で測定した値である。
【0019】
(C)成分の含有量は組成物中0.2〜3質量%である。0.2質量%未満だと、低温安定性(外観)の向上が不充分となり、3質量%を超えると、泡の持続性及び高温での色調安定性が悪くなる。泡の持続性、高温安定性(色調)及び低温安定性(外観)の点から、0.5〜2質量%、特に0.5〜1質量%が好ましい。
【0020】
(D)両性界面活性剤、アシル第3級アミンオキシド及びアシル第3級フォスホンオキシドから選ばれる1種以上
(D)成分の配合により、より低温安定性(外観)及び泡持続性が向上する。(D)成分は1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0021】
両性界面活性剤としては、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン等のカルボベタイン型両性界面活性剤、アルキルスルホベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン等のスルホベタイン型両性界面活性剤、ホスホベタイン型両性界面活性剤、イミダゾリン型両性界面活性剤、アミドアミノ酸塩等が挙げられる。アルキルベタインとしては、ラウリルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等が挙げられる。アルキルアミドベタインとしては、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等が挙げられる。アルキルスルホベタインとしてはヤシ油脂肪酸ジメチルスルホプロピルベタイン等、アルキルヒドロキシスルホベタインとしては、ラウリルジメチルアミノヒドロキシスルホベタイン等が挙げられる。ホスホベタイン型両性界面活性剤としてはラウリルヒドロキシホスホベタイン等が挙げられる。イミダゾリン型両性界面活性剤としては、ヤシ油アルキル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。
【0022】
アシル第3級アミンオキシドとしては、ラウリルジメチルアミンオキシド、POEヤシ油アルキルジメチルアミンオキシド、ジヒドロキシエチルラウリルアミンオキシド等が挙げられる。アシル第3級ホスフォンオキシドとしては、ラウリルジメチルホスフォンオキサイド等が挙げられる。
【0023】
(D)成分としては、泡の持続性及び低温安定性(外観)の点から、カルボベタイン型両性活性剤とアシル第3級アミンオキシドが好ましく、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキシドがより好ましい。なお、両性界面活性剤は、製造工程で塩化ナトリウムを含有している場合があり、低温安定性(外観)を向上させる観点から脱塩処理し、前記両性界面活性剤水溶液中に塩化ナトリウムを1質量%以下にしたものがより好ましい。
【0024】
(D)成分の含有量は組成物中1〜10質量%である。1質量%未満だと、低温安定性(外観)の向上が不充分となり、10質量%を超えると、高温での色調安定性が低下する。また、泡の持続性、高温安定性(色調)及び低温安定性(外観)の点から、2〜5質量%が好ましい。
【0025】
(E)下記一般式(3)で表される化合物
(E)成分の配合により、低温安定性(外観)が向上する。特に、R1の炭素数が11以下と12以上の脂肪酸カリウム塩の質量比(C11以下/C12以上)が、0.3〜1.5未満である(A)成分を用いる場合は、(E)成分が重要である。(E)成分は1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
3O(R4O)nH (3)
(式中、R3は炭素数12〜16の直鎖又は分岐鎖の一価炭化水素基を示し、一価炭化水素基は飽和でも不飽和でもよく、一価炭化水素基の水素原子の一部が水酸基で置換されていてもよく、R4は炭素数2又は3の二価炭化水素基であり、nは2〜30を示す。)
【0026】
3は炭素数12〜16の直鎖又は分岐鎖の一価炭化水素基を示すが、この範囲とすることで、泡の持続性及び低温安定性(外観)がよい組成物を得ることができる。R4は炭素数2又は3の二価炭化水素基であり、中でも、R4が炭素数2のR4Oがエチレンオキサイドがより好ましい。nは2〜30であり、nが2未満だと、泡の持続性と低温安定性(外観)が悪く、30を超えると低温安定性(外観)が悪い。中でも、低温安定性(外観)の点から5〜30が好ましい。
【0027】
(E)成分としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(E.O.3)(なお、POE(3)ラウリルエーテルと表記する場合がある。以下同様)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(E.O.10)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(E.O.20)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(E.O.30)、ポリオキシエチレンセチルエーテル(E.O.2)、ポリオキシエチレンセチルエーテル(E.O.5)、ポリオキシエチレンセチルエーテル(E.O.10)、ポリオキシエチレンセチルエーテル(E.O.20)、ポリオキシエチレンセチルエーテル(E.O.30)が挙げられ、中でも、ポリオキシエチレンラウリルエーテルのエチレンオキサイド2〜30付加物(POE(2〜30)ラウリルエーテル)、ポリオキシエチレンセチルエーテルのエチレンオキサイド2〜30付加物(POE(2〜30)セチルエーテル)がより好ましい。
【0028】
(E)成分の含有量は組成物中0.3〜3質量%であり、0.3質量%未満だと、低温安定性(外観)が悪くなり、3質量%を超えると泡の持続性が悪くなる。泡の持続性及び低温安定性(外観)の点から、0.5〜2質量%、特に0.5〜1質量%が好ましい。
【0029】
(F)炭素数1〜3のアルコール
(F)成分の配合により、低温安定性(外観)が向上する。(D)成分は1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。(D)成分としては、エタノール、イソプロパノール等が挙げられ、中でも、においが良好な点から、エタノールが好ましい。
【0030】
(F)成分の含有量は組成物中2〜7質量%である。2質量%未満だと低温安定性(外観)が悪くなり、7質量%を超えると泡の持続性が悪くなる。泡の持続性及び低温安定性(外観)の点から、3〜5質量%が好ましい。
【0031】
本発明の液体皮膚洗浄剤組成物には、適宜選択したその他成分を本発明の目的を妨げない範囲で配合することができる。その他成分としては、液体皮膚洗浄剤組成物に通常用いられているものの中から適宜選択することができ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて、適量用いることができる。その他成分としては、例えば、動物性油脂、植物性油脂等の油分、環状、直鎖又は分岐鎖のジメチルポリシロキサン、メチルポリシロキサン、ポリシロキサン、アルキル変性シリコーン、メチルフェニルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン等のシリコーン類、低級又は高級アルコール、糖アルコール等のアルコール類、ラノリン誘導体、蛋白誘導体、アクリル酸アルキル共重合体エマルジョン、スチレン重合体エマルジョン、ポリエチレン末等の等の(共)重合体、アクリル樹脂分散液、ビタミンE等のビタミン等の薬剤、イソプロピルメチルフェノール等の殺菌剤、防腐剤、水酸化カリウム、クエン酸等のpH調整剤、α−トコフェロール、トコトリエノール、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、アスコルビン酸等の酸化防止剤、エデト酸、エデト酸二ナトリウム、エタンヒドロキシジホスホン酸、エチレンジアミン四酢酸塩、ヘキサメタリン酸塩、グルコン酸等の金属封鎖剤、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、tert−ブチルメトキシジベンゾイルメタン、オクチルジメチルパラアミノベンゾエート、エチルヘキシルパラメトキシシンナメート、酸化チタン、カオリン、タルク等の紫外線吸収剤、カミツレエキス等の動植物抽出物又はその誘導体、色素、香料、顔料、無機粉体、粘土鉱物、ナイロン、ポリエチレン等の水不溶性ポリマー粉体等が挙げられる。
【0032】
本発明の液体皮膚洗浄剤組成物の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、上記(A)〜(F)成分、必要に応じて任意成分、及び水(液体皮膚洗浄剤組成物全体が100質量%となるように残部配合)を混合して得ることができる。また、液体皮膚洗浄剤組成物を調製する装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、剪断力があり、全体混合のできる攪拌羽根(プロペラ、タービン、ディスパー等)を備えた攪拌装置等が挙げられる。
【0033】
本発明における「液体」とは、25℃で1〜20,000mPa・sをいう。なお、粘度は、BM型粘度計(株式会社東京計器製)を用いて、試料温度25℃にて、以下の条件で測定する。粘度が、1〜20mPa・sは、BLアダプタ、回転数30rpm、1分間後の粘度を測定する。粘度が、20mPa・sを超え40mPa・s以下は、ローターNo.2、回転数30rpm、1分間後の粘度を測定する。粘度が、40mPa・sを超え4,000mPa・s以下は、ローターNo.3、回転数30rpm、1分間後の粘度を測定する。粘度が、4,000mPa・sを超え20,000mPa・s以下は、ローターNo.4、回転数30rpm、1分間後の粘度を測定する。なお、フォーマー容器を使用する際、例えば、ノズル部を押し下げることによって泡を吐出できるポンプフォーマー容器と200メッシュ2枚使用する場合は、使用する温度条件下で液体皮膚洗浄剤組成物の粘度は、15mPa・s以下が好ましく、1〜10mPa・sがより好ましい。
【0034】
本発明の液体皮膚洗浄剤組成物のpH(25℃)は、使用時の泡立ちやその持続性、及び洗浄力を向上させるため、9.5〜11.0であることが好ましく、低温安定性(外観)の点から、9.8〜10.6であることがより好ましい。pHが、9.5未満であると、低温安定性(外観)が悪くなる場合があり、11.0を超えると、皮膚の弱い人に、皮膚刺激性が生じる場合がある。
【0035】
本発明の液体皮膚洗浄剤組成物は、例えば、スクイズ容器、ポンプ容器、フォーマー容器等に充填して用いることができる。上記フォーマー容器としては、ノンガス型の泡吐出容器が挙げられる。上記ノンガス型の泡吐出容器としては、液体皮膚洗浄剤組成物と空気とを多孔質膜体を通過させて発泡状態で吐出できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ボトル胴部を手で圧搾することによって泡を吐出できるスクイズフォーマー容器、ノズル部を押し下げることによって泡を吐出できるポンプフォーマー容器等が挙げられる。このようなフォーマー容器としては、大和製罐株式会社製、株式会社吉野工業所製等を使用することができる。上記ノンガス型の泡吐出容器は、通常、泡を形成するための多孔質膜体(材質はナイロン、ポリエステル、ポリオレフィン等のプラスチック材料が好ましい)を有し、液体皮膚洗浄剤組成物が該多孔質膜体を空気と通過することにより泡が形成されるものである。前記多孔質膜体のメッシュとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、100メッシュ以上が好ましく、100〜400メッシュがより好ましく、200〜350メッシュが更に好ましい。前記多孔質膜体の枚数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、泡性能を向上させる観点から2〜4枚が好ましい。より具体的には、特開平7−315463号公報、特開平8−230961号公報及び特開2005−193972号公報に記載されたフォーマー容器を好適に使用することができる。
【0036】
本発明の液体皮膚洗浄剤組成物の用途としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば洗顔料、ハンドソープ、ボディソープ、ボディシャンプー、クレンジングフォーム、メイク落とし等が挙げられる。
【実施例】
【0037】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において特に明記のない場合は、組成の「%」は質量%、比率は質量比を示し、表中の各成分の量は純分換算した量である。
【0038】
[実施例1〜38、比較例1〜17]
(B)成分と精製水を、パドル式攪拌機を用いて70℃で均一に混合した。攪拌を続けながら、(A)成分を徐々に添加し、均一溶解させた。次いで、(D)成分と(E)成分を添加して溶解後、撹拌しながら30℃まで冷却した。更に、(C)成分と(F)成分を添加して溶解し、25℃まで冷却した。続いてpHメーターHM−30V(東亜ディーケーケー株式会社製)を用いてpHを測定し、水酸化カリウムを用いて目標のpHとし、表1に示す組成の実施例1の液体皮膚洗浄剤組成物を得た。これに準じて、下記各表の実施例及び比較例の液体皮膚洗浄剤組成物を得た。
実施例の皮膚洗浄剤組成物は全て25℃で液体であり、泡性能のよいものであった。得られた液体皮膚洗浄剤組成物について、下記評価を行った。結果を表中に併記する。
【0039】
(1)低温安定性(外観)
高さ8cm、口径3cmの硬質透明ガラス瓶(容量55mL)に、組成物を50mL充填し、−5℃の環境下において保存し、外観を観察し、下記評価基準に基づき、組成物の安定性を評価した。
<評価基準>
◎:4週間保存後、相分離や析出物がなく、透明で、均一な状態。
○:4週間保存後、相分離や析出物がないが、外観が均一にわずかに濁ってみえる。
△:2週間保存後は相分離や析出物がないが、4週間保存後、相分離又は析出物がある。
×:2週間保存後、相分離又は析出物がある。
【0040】
(2)泡の持続性
泡の持続力は、専門評価パネル3名が、以下の方法で評価した。組成物をイオン交換水にて50倍希釈し、ノンガス型ポンプフォーマー容器((株)吉野工業所製、200メッシュ、2枚)に充填し、ポンプを一押しして、平板上に泡を吐出し、泡高さが半分以下になるまでの時間を計測した。3回計測した時間の平均から、下記評価基準に基づき泡の持続性を評価した。
<平均値の評価基準>
◎:20分を超えても泡高が吐出直後の半分以下にならない。
○:10分を超え、20分以内で泡高が吐出直後の半分以下になる。
△:5分を超え、10分以内で泡高が吐出直後の半分以下になる。
×:5分以内に泡高が吐出直後の半分以下になる。
【0041】
(3)高温安定性(着色)
高さ8cm、口径3cmの硬質透明ガラス瓶(容量55mL)に、組成物を50mL充填し、50℃の環境下において4週間保存して外観を観察し、下記評価基準に基づき、組成物の安定性を評価した。保存後の外観を目視観察し、以下の基準で判断した。
なお、各試料の安定性評価開始と同時に遮光し、−5℃にて4週間保存したものを、標準品として使用した。
◎:標準品と比較し、着色がない。
○:標準品と比較し、着色がわずかに認められる。
△:標準品と比較し、着色がやや認められる。
×:標準品と比較し、明らかな着色を認める。
【0042】
【表1】

【0043】
【表2】

【0044】
【表3】

【0045】
【表4】

【0046】
【表5】

【0047】
【表6】

【0048】
[実施例39]
ラウリン酸カリウム 7.6%
ミリスチン酸カリウム 7.6%
パルミチン酸カリウム 3.8%
グリセリン 6.0%
モノエタノールアミン 0.5%
ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン 3.0%
ポリオキシエチレンセチルエーテル(E.O.5) 1.0%
エタノール 3.0%
アクリル酸アルキル共重合体エマルジョン 4.0%
スチレン重合体エマルジョン 0.5%
エデト酸 0.2%
ビタミンE 0.1%
カミツレエキス 0.001%
ポリエチレン末 0.3%
イソプロピルメチルフェノール 0.2%
青色403号 0.0001%
香料 0.5%
精製水 100.0%
(A)成分(C11以下/C12以上)=0.7 pH:10.2
評価結果
低温安定性(外観): ◎
泡の持続性: ◎
高温安定性(色調): ◎
【0049】
実施例及び比較例を調製する際に用いた原料を以下に示す。
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)〜(F)を含有する液体皮膚洗浄剤組成物。
(A)下記一般式(1)で表される脂肪酸カリウム塩 5〜30質量%
1COOK (1)
(式中、R1は炭素数5〜25の直鎖又は分岐鎖の一価炭化水素基を示し、一価炭化水素基の水素原子の一部が水酸基で置換されていてもよく、R1の炭素数が11以下の脂肪酸カリウム塩(C11以下)と、R1の炭素数が12以上の脂肪酸カリウム塩(C12以上)との質量比(C11以下/C12以上)が、0.3〜1.5未満である。)
(B)グリセリン 4〜50質量%
(C)下記一般式(2)で表されるアミン 0.2〜3質量%
2−NH2 (2)
(式中、R2は炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖の一価炭化水素基を示し、一価炭化水素基の水素原子の一部が水酸基で置換されていてもよい。)
(D)両性界面活性剤、アシル第3級アミンオキシド及びアシル第3級フォスホンオキシドから選ばれる1種以上 1〜10質量%
(E)下記一般式(3)で表される化合物 0.3〜3質量%
3O(R4O)nH (3)
(式中、R3は炭素数12〜16の直鎖又は分岐鎖の一価炭化水素基を示し、一価炭化水素基の水素原子の一部が水酸基で置換されていてもよく、R4は炭素数2又は3の二価炭化水素基であり、nは2〜30を示す。)
(F)炭素数1〜3のアルコール 2〜7質量%

【公開番号】特開2012−158586(P2012−158586A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−376(P2012−376)
【出願日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】