説明

液体石鹸用ディスペンサー

【課題】 片手に持って振るだけで適量の石鹸液を容易に取り出すことができるとともに、静置時には石鹸液の漏出を確実に止めることができ、且つ、構造が簡単で、石鹸液の詰まりを生じにくく衛生的な液体石鹸用ディスペンサーを提供する。
【解決手段】 ディスペンサー本体2の内部に石鹸液の貯留室5が形成され、下面中央部4Aには貯留室5に連通する開口部4Bが開口している。開口部4Bは、栓体7の口金部7Aで密閉され、弁室7Bには球状の弁体8が組み込まれている。ディスペンサー本体2を上下に振ると、弁体8が上下動して石鹸液が撹拌され、且つ流出量を制限されながら栓体7の排出孔7Fから滴状に振り出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状のハンドソープやボディソープ等の液体石鹸を収容し、手に持って適量ずつ振り出して使用することのできる液体石鹸用ディスペンサーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、手の洗浄や入浴時に体を洗う際には、固形のハンドソープや、ポンプが付属した容器に入った液体石鹸が用いられている。
固形のハンドソープは、石鹸トレイや石鹸箱に入れておくと、水分を吸ってドロドロに溶けてしまったりこれらの底に開いている水切り孔から溶けた石鹸が流れ落ちて、周囲が不潔になる問題があり、また、使っているうちに減って小さくなったり、崩れてしまって、手で掴みにくくなる問題があった。
【0003】
また、ポンプが付属した容器に入った液体石鹸は、石鹸液の取り出し時にポンプを押す手加減が難しく、押し過ぎて必要量以上に石鹸液を出し過ぎて無駄にしてしまう問題があり、また、使っているうちにポンプの出口に石鹸液が固まって堆積し、詰まりを生じる問題もあった。
【0004】
そこで、このような問題を解消するために、例えば、特許文献1に記載されているような、液体石鹸用のディスペンサーが提案されている。同文献に開示されているディスペンサーは、ユーザーが手を洗う際に手の間に保持するのに適した固形石鹸の形と寸法のケースを有しており、そのケース内部に石鹸液が収容されている。
【0005】
前記ケースには、常時バネで付勢されるボールで閉じられている出口オリフィスが設けられており、ユーザーが出口オリフィスからケース表面に一部突出しているボールを手にこすりつけて押し込むと、ボールが没入して出口オリフィスが開かれてケース内部の石鹸液がボールの回転につれて出口オリフィスから取り出され、ユーザーがボールから手を離すと、バネの復元力によってボールは出口オリフィスを閉じて石鹸液の流出が止まるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2010−526622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述したような、特許文献1に記載されている液体石鹸用のディスペンサーは、石鹸液を取り出す際に、出口オリフィスを塞いでいるボールを手で押し込む必要があるため、入浴時に体を洗うような場合、タオルやスポンジの上に直接石鹸液を取り出して使用することができなかった。
【0008】
また、ボールを付勢するバネや、これを案内保持するための部品類が石鹸液が入っているケース内部に組み込まれているため、構造が複雑になるとともに、長時間ケース内に石鹸液が留まったままにしておくと、バネの周囲等に石鹸液が堆積して付着し、出口オリフィスが詰まってしまう虞もあった。
【0009】
そこで、本発明は、前述したような従来の液体石鹸用のディスペンサーにおける問題点を解消し、片手に持って振るだけで適量の石鹸液を容易に取り出すことができるとともに、静置時には石鹸液の漏出を確実に止めることができ、且つ、構造が簡単で、石鹸液の詰まりを生じにくく衛生的な液体石鹸用ディスペンサーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明の液体石鹸用ディスペンサーは、中央部上面が中高の凸曲面で構成され、周縁部が下方に向けて湾曲する上半部分と、前記上半部分の周縁部に滑らかに連続し、そのさらに下方が中央に向けて内側に湾曲して下面中央部がその周囲よりも上方に凹んだ連続曲面で構成された下半部分からなり、内部に石鹸液の貯留室が形成されて、前記下面中央部に前記貯留室に連通する開口部が開口されている、片手で保持可能なサイズのハンドソープ型のディスペンサー本体と、前記ディスペンサー本体内に配置され、前記貯留室に連通する弁室と、当該弁室の下方に連続して前記開口部を密閉する口金部からなる栓体と、前記弁室内に、上下方向に遊動可能に組み込まれた球状の弁体とを備え、前記口金部下面は、ディスペンサー本体の下面中央部の周囲よりも上方に引っ込んで位置し、口金部下面には、弁室内と連通する少なくとも一つの排出孔が貫通形成され、前記排出孔の弁室内の開口部周囲には、弁体が着座して排出孔へ貯留室からの石鹸液の流れを遮断する着座面が設けられ、前記弁室の内壁面は、弁体周囲との間に石鹸液が通過可能な隙間を有するとともに、当該内壁面の少なくとも下方部分は、弁体が下方へ移動するときに着座面に向けて案内する曲面乃至錐面で構成され、前記排出孔の孔径は、ディスペンサー本体を口金部側を下向きにして静置したときに、石鹸液の重力作用による当該排出孔からの漏出を、石鹸液の表面張力によって阻止可能なサイズに設定されているとともに、ディスペンサー本体を上下に振ることによる弁体の上下動により、石鹸液が撹拌され且つ流出量を制限されつつ、排出孔から滴状に振り出されるようにしたものである。
【0011】
本発明の液体石鹸用ディスペンサーにおいては、ディスペンサー本体が金属製であり、その内部に、貯留室とは椀状の隔壁で隔てられた共鳴室を画成し、前記共鳴室内には、一端が当該共鳴室の内壁に溶接され、他端が自由端とされた水平なループ状でディスペンサー本体と同一材料からなる発音リングと、当該発音リングの内側に、ディスペンサー本体を揺動させた際に、発音リングに衝突して発音させる発音球を組み込んであることが望ましい。また、ディスペンサー本体が、チタンまたはチタン合金を鋳造することにより製作されていることも望ましい。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載された発明に係る液体石鹸用ディスペンサーによれば、ディスペンサー本体を片手に持って上下に振る毎に、石鹸液を排出孔から滴状に振り出すことができるので、これを他方の手で受け、取り出された石鹸液をディスペンサー本体外面に付着させてこれを固形ハンドソープと同様に使用して手を洗うことができる。
【0013】
したがって、従来の固形ハンドソープのように、使用に伴ってサイズが小さくなって、持ちにくくなったり、水分を吸って変形したり崩れて最後まで使えなくなる不便を解消することができる。さらに、石鹸液を直接タオルやスポンジに振りかけて使用することもできる。
【0014】
また、排出孔から振り出される石鹸液は、弁室内を上下する球状の弁体によって、その流出量が制限され、排出孔から滴状に振り出されるため、多量の石鹸液を無駄に使用してしまうことが防止できる。さらに、石鹸液の使用量が少なく抑えられることにより、排水による河川等の環境汚染の低減に貢献することができる。
【0015】
また、弁体が上下動することによって、弁室内の石鹸液が撹拌されるため、石鹸液が固まって排出孔に詰まる虞がなく、さらに、ディスペンサー本体を口金部側を下向きにして静置した状態では、石鹸液の表面張力によって、排出孔からの石鹸液の漏出を確実に止めておくことができるため、ディスペンサーを置いた場所の周囲を衛生的に保つことができる。
【0016】
請求項2に記載された発明に係る液体石鹸用ディスペンサーによれば、さらに、使用中にディスペンサー本体を振るたびに、発音球が発音リングに衝突してこれが振動し、この振動が共鳴室に伝達されると、鈴(りん)のような高く澄んだ音に拡大されてディスペンサー本体から発音されるため、入浴時等において、気分をリラックスさせる効果が得られるとともに、石鹸液を振り出す量を音をカウントして確認することができる。
【0017】
請求項3に記載された発明に係る液体石鹸用ディスペンサーによれば、さらに、ディスペンサー本体が軽量且つ丈夫で耐蝕性に優れているとともに、金属アレルギーを起こしにくく、また、ディスペンサー本体を構成するチタンまたはチタン合金の表面に酸化チタンの被膜が常時生成されて、これが、光が当たると活性酸素を発生させる光触媒として機能するため、雑菌やカビの繁殖を抑えることができ、抗菌効果や防臭効果が得られる。
【0018】
さらに、ディスペンサー本体の表面に生成される酸化チタンの被膜の厚さによって、様々な色に発色させることが容易にできるため、装飾的効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の液体石鹸用ディスペンサーの1実施形態を示す縦断面図である。
【図2】本発明の液体石鹸用ディスペンサーの1実施形態を示す平面図である。
【図3】本発明の液体石鹸用ディスペンサーの1実施形態を示す底面図である。
【図4】本発明の液体石鹸用ディスペンサーの1実施形態を示す分解斜視図である。
【図5】本発明の液体石鹸用ディスペンサーの1実施形態に用いている栓体の部分縦断面図である。
【図6】本発明の液体石鹸用ディスペンサーの1実施形態に用いている栓体の斜視図である。
【図7】本発明の液体石鹸用ディスペンサーの別の実施形態に用いている栓体の縦断面図である。
【図8】本発明の液体石鹸用ディスペンサーの別の実施形態に用いている栓体の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の液体石鹸用ディスペンサーの1実施形態における内部構造を示す縦断面図、図2は、平面図、図3は、底面図、図4は、分解斜視図であって、これらの図に示すように、液体石鹸用ディスペンサー(以下、ディスペンサーという。)1は、片手で保持可能なサイズの固形ハンドソープ型のディスペンサー本体2を備えている。
【0021】
ディスペンサー本体2は、それぞれチタン鋳物で製作された平面視円形の上半部分3と下半部分4のそれぞれの周縁部端面どうしを上下に突き合わせ、全周に亘って溶接することによって一体に形成されており、内部には、石鹸液Sが収容される貯留室5が形成されている。
【0022】
また、この実施形態のものにおいては、上半部分3の中央部3Aの上面は、中高のドーム型凸曲面で構成されている。中央部3Aは周縁部3Bと別体に製作されており、周縁部3Bと溶接された後、両者が滑らかに連続するように研磨仕上されている。
【0023】
中央部3Aの下方には、椀状の隔壁3Cが設けられていて、この隔壁3Cの周囲が、周縁部3Bと中央部3Aとの溶接部wの近傍位置で、当該周縁部3Bと連続しており、中央部3Aと隔壁3Cとの間で、後述する共鳴室6が形成されている。
【0024】
一方、ディスペンサー本体2の下半部分4は、下方が中央に向けて内側に湾曲して中央部4Aの下面がその周囲よりも上方に凹んだ形状になっており、中央部4Aには、貯留室5に連通する開口部4Bが開口されている。また、本実施形態のものにおいては、中央部4Aの周囲に、後述する複数の半球状の突部4Cが2列同心円状に形成されている。
【0025】
前記開口部4Bは、栓体7の口金部7Aによって液密に密閉されている。図5は、栓体7の部分縦断面図、図6はその斜視図であって、これらの図に示すように、栓体7は、前述した中央部4Aの下面の開口部4B周囲に当接する鍔状の口金部7Aと、その上方に連続する円筒状の弁室7Bから構成されており、容易に弾性変形する柔軟なシリコンゴム素材で一体成形されている。
【0026】
また、栓体7には弁室7Bの外周面に全周に亘って、環状のビード部7Cが形成されている。このビード部7Cは、栓体7を開口部4Bに挿入すると、図1に示すように、鍔状の口金部7Aがディスペンサー本体2の開口部4B周囲に密着した位置で、前記開口部4Bの内側の周縁部と弾性係合して、栓体7が固定されるようになっている。
【0027】
また、栓体7を開口部4Bから取り外す場合には、鍔状の口金部7Aの外周縁に爪を掛けて引っ張ることにより、ビード部7Cは弾性変形して開口部4Bとの係合が外れ、栓体7を開口部4Bから簡単に取り外すことができる。
【0028】
図5に示すように、本実施形態のものにおいては、栓体7の弁室7Bの内壁面7Dは、球面状に形成されており、前記内壁面7Dで画成される弁室7B内の空間には、球状の弁体8が遊動自在に組み込まれている。ここでは、弁体8には外径3mmのステンレス球が用いられている。なお、弁体8の素材としては、これに限らず、チタン、ガラス、セラミック等を用いてもよい。
【0029】
一方、弁室7Bの上端面中央部には、ディスペンサー本体2の貯留室5と前記空間内とを連通する、弁体8よりも小径の連通孔7Eが形成されており、また、口金部7Aの下面中央には、弁室7B内の空間に連通する、弁体8より小径の排出孔7Fが形成されている。なお、排出孔7Fの孔径は、石鹸液の重力作用による漏出をその表面張力によって阻止可能なサイズとしてある。
【0030】
また、排出孔7Fの弁室7B内に開口する周縁部で弁体8の着座面7Gが構成されており、図1に示すように、ディスペンサー本体2を口金部7Aを真下に向けて静置した状態では、弁体8は、球面状の内壁面7Dに案内されて自重により下方へ移動して、着座面7G上に着座し、排出孔7Fは塞がれている。
【0031】
前述したように構成されているディスペンサー1を、手で掴んで上下に振ると、これに伴って弁体8は着座面7Gを離れて弁室7B内で上下動する。その結果、貯留室5内部と排出孔7Fは断続的に連通して、排出孔7Fから石鹸液が滴状に振り出される。この際、弁体8の上下動により、弁室7B内の石鹸液が撹拌されるので、排出孔7F付近で石鹸液が固まって詰まることを防止できる。
【0032】
ディスペンサー1から振り出された石鹸液は、手やタオル等で受けて使用することができる。この際、ディスペンサー本体2は、固形のハンドソープの形状をしているため、実際のハンドソープと同様の使い勝手で使用することができる。
【0033】
特に、本実施形態のものにおいては、ディスペンサー本体2の底面に形成されている複数の突部4Cの間に石鹸液が保持されるため、石鹸液の泡立ちを良くすることができる。なお、突部4Cは、ディスペンサー本体2の全体に形成してもよい。なお、洗髪に用いる場合には、石鹸液にシャンプーを使用し、ディスペンサー1を頭上で振ることによって、適量の液体シャンプーを頭髪に振りかけて使用することができる。
【0034】
一方、本実施形態のディスペンサー1には、前述したように、ディスペンサー本体2の上半部分3の内側に貯留室5とは椀状の隔壁で隔てられた共鳴室6が形成されている。前記共鳴室6内には、一端が当該共鳴室6の内壁に溶接され、他端が自由端となっているループ状の発音リング9が組み込まれているとともに、当該発音リング9の内側には、ディスペンサー本体2を揺動させた際に、発音リング9に衝突して発音させる発音球10が組み込まれている。
【0035】
したがって、ディスペンサー1を手に持って振るたびに、発音球10の衝突で発音リング9が振動して発音し、この振動が共鳴室に伝達されると、鈴(りん)のような高く澄んだ音に拡大されてディスペンサー本体から発音するため、入浴等の使用時において、気分をリラックスさせる付加的効果も得られるとともに、石鹸液を振り出す量を音をカウントして確認することができる。
なお、本実施形態のものにおいては、音の響きを良くするため、発音リング9はディスペンサー本体2と同様なチタン素材を用いており、発音球10にはステンレス球を用いている。
【0036】
次に、図7は、本発明の液体石鹸用ディスペンサーの別の実施形態に用いている栓体の縦断面図、図8は、その斜視図であって、これらの図に示す栓体11は、図1に示すディスペンサー本体2の開口部4Bに、栓体7と同様に装着されるものであって、前記栓体7と同様なシリコンゴムからなり、中央部4Aの下面の開口部4B周囲に当接する鍔状の口金部11Aと、その上方に連続する円筒状の弁室11Bから構成されている。
【0037】
また、栓体11は、前述した栓体7と同様に開口部4Bに挿入すると、弁室11Bの外周面に形成されている環状のビード部11Cが、前記開口部4Bの内側の周縁部と弾性係合して液密に固定されるようになっている。
【0038】
弁室11Bの内壁面11Dは、下方が狭まったテーパ状に形成されていて、前記内壁面11で包囲されている弁室11B内の空間の上端開口部11Eは、当該弁室11Bの上端面に嵌着されるキャップ状の樹脂製の網蓋12によって塞がれている。
前記網蓋12は、前記開口部11Eを覆って、石鹸液が流通可能な網目部12Aと、弁室11Bの上端外周部に形成された係合段部11Fに弾性係合する縁部12Bとが一体成形されている。
【0039】
また、前記弁室11内の空間には、球状の弁体13が遊動自在に設けられており、前記網蓋12によって弁室11上方への抜け出しが規制されている。また、テーパ状の内壁面11Dの下端部に連続して、弁体13に適合する球面状の着座面11Gが形成されている。ここでは、弁体13は外径8mmのステンレス球が用いられている。なお、弁体13の素材には、前述した弁体8と同様、チタンやセラミック、ガラス等を用いてもよい。
【0040】
一方、口金部11Aの下面側中央部には、弁室11内部の空間に連通する凹部11Hが形成されており、前記凹部11Hの下面には、複数の排出孔14Aを有する多孔板14が嵌着されている。前記多孔板14は、本実施形態のものにおいては、硬質の樹脂で製作されていて、排出孔14Aの孔径は、石鹸液の重力作用による漏出をその表面張力によって阻止可能なサイズとしてある。
【0041】
前述したように構成されている栓体11においては、口金部11Aを下方に向けて静置した状態では、弁体13は、テーパ状の内壁面11Dに案内されて自重により下方へ移動して、着座面11Gに着座しており、弁室11内部の空間から排出孔14Aへの石鹸液の流れは遮断されている。
【0042】
そして、栓体11を装着したディスペンサー(図示を省略)を、手で掴んで上下に振ると、これに伴って弁体13は着座面11Gを離れて弁室11B内で上下動する。その結果、各排出孔14Aは、ディスペンサー本体内の貯留室と断続的に連通し、各排出孔14Aを通して石鹸液が滴状に振り出される。また、弁体13の動きによる石鹸液の撹拌作用によって、排出孔14A付近で石鹸液が固まって詰まることを防止できる。
【0043】
一方、ディスペンサーを振るのを止めて口金部11Aを下方に向けて静置すると、弁体13は再び着座面11Gへ着座したままの状態になり、排出孔14Aへの石鹸液の流れは遮断される。この際、凹部11Hや各排出孔14A内にはまだ石鹸液が残留しているが、石鹸液の表面張力の作用によって、排出孔14Aから外部へ石鹸液の漏出は阻止される。
【0044】
なお、本発明の液体石鹸用ディスペンサーは、前述した実施形態のものだけに限定するものではなく、発音リングや発音球を内蔵する共鳴室を省略してもよい。また、前述した実施形態においては、ディスペンサー本体をチタン鋳物によって製作しているが、ステンレス等他の金属材料を用いてもよく、さらに、ガラスや樹脂材料を用いてもよい。また、プレス加工や切削加工、成形加工等によって製作してもよい。
【0045】
特に、ディスペンサー本体の素材にチタンやチタン合金を用いた場合には、軽量且つ丈夫であるとともに、耐蝕性が極めて優れており、また、金属アレルギーを起こしにくい利点がある。また、表面に酸化チタンの被膜が常時生成されて、これが、光が当たると活性酸素を発生させる光触媒として機能するため、雑菌やカビの繁殖を抑えることができ、抗菌効果や防臭効果も得られる。
【0046】
さらに、酸化チタンの被膜の厚さを陽極酸化処理工程で調整することにより、表面を様々な美しい色に発色させることが容易にでき、装飾的な付加価値を高めることができる。
【0047】
また、前述した実施形態においては、栓体をシリコンゴム素材で形成しているが、これも限定するものではなく、チタンやステンレス等の金属を用いて製作してもよい。なお、金属製の栓体を用いる場合には、例えば、開口部と栓体をねじ結合構造とし、両者の間にOリング等のシール部材を介在させることで開口部を栓体で密閉することができる。
【0048】
さらに、前述した実施形態においては、栓体で密閉する開口部が石鹸液の充填口を兼用しているが、これに限定するものではなく、独立した充填口を、例えば、ディスペンサー本体の上半部分等に設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の液体石鹸用ディスペンサーは、ハンドソープやボディソープのディスペンサーとして好適に利用できるほか、頭髪用シャンプーのディスペンサー等にも利用することが可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 ディスペンサー
2 ディスペンサー本体
3 上半部分
3A 中央部
3B 周縁部
3C 隔壁
4 下半部分
4A 中央部
4B 開口部
4C 突部
5 貯留室
6 共鳴室
7 栓体
7A 口金部
7B 弁室
7C ビード部
7E 連通孔
7F 排出孔
7G 着座面
8 弁体
9 発音リング
10 発音球
11 栓体
11A 口金部
11B 弁室
11C ビード部
11D 内壁面
11E 開口部
11F 係合団部
11G 着座面
11H 凹部
12 網蓋
12A 網目部
12B 縁部
13 弁体
14 多孔板
14A 排出孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央部上面が中高の凸曲面で構成され、周縁部が下方に向けて湾曲する上半部分と、前記上半部分の周縁部に滑らかに連続し、そのさらに下方が中央に向けて内側に湾曲して下面中央部がその周囲よりも上方に凹んだ連続曲面で構成された下半部分からなり、内部に石鹸液の貯留室が形成されて、前記下面中央部に前記貯留室に連通する開口部が開口されている、片手で保持可能なサイズのハンドソープ型のディスペンサー本体と、
前記ディスペンサー本体内に配置され、前記貯留室に連通する弁室と、当該弁室の下方に連続して前記開口部を密閉する口金部からなる栓体と、
前記弁室内に、上下方向に遊動可能に組み込まれた球状の弁体とを備え、
前記口金部下面は、ディスペンサー本体の下面中央部の周囲よりも上方に引っ込んで位置し、口金部下面には、弁室内と連通する少なくとも一つの排出孔が貫通形成され、
前記排出孔の弁室内の開口部周囲には、弁体が着座して排出孔へ貯留室からの石鹸液の流れを遮断する着座面が設けられ、
前記弁室の内壁面は、弁体周囲との間に石鹸液が通過可能な隙間を有するとともに、当該内壁面の少なくとも下方部分は、弁体が下方へ移動するときに着座面に向けて案内する曲面乃至錐面で構成され、
前記排出孔の孔径は、ディスペンサー本体を口金部側を下向きにして静置したときに、石鹸液の重力作用による当該排出孔からの漏出を、石鹸液の表面張力によって阻止可能なサイズに設定されているとともに、ディスペンサー本体を上下に振ることによる弁体の上下動により、石鹸液が撹拌され且つ流出量を制限されつつ、排出孔から滴状に振り出されるようにしたことを特徴とする液体石鹸用ディスペンサー。
【請求項2】
ディスペンサー本体が金属製であり、その内部に、貯留室とは椀状の隔壁で隔てられた共鳴室を画成し、前記共鳴室内には、一端が当該共鳴室の内壁に溶接され、他端が自由端とされた水平なループ状でディスペンサー本体と同一材料からなる発音リングと、当該発音リングの内側に、ディスペンサー本体を揺動させた際に、発音リングに衝突して発音させる発音球を組み込んだことを特徴とする請求項2記載の液体石鹸用ディスペンサー。
【請求項3】
ディスペンサー本体が、チタンまたはチタン合金を鋳造することにより製作されていることを特徴とする請求項1又は2に記載された液体石鹸用ディスペンサー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−95942(P2012−95942A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−248261(P2010−248261)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(506285415)
【Fターム(参考)】