説明

液体組成物の製造方法

【課題】界面活性剤を含有する液体組成物の製造時に生じる泡を消泡でき、得られる液体組成物の泡立ち性や保存安定性も良好な製造方法の提供。
【解決手段】両性界面活性剤およびアニオン界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤(A)を含有する液体組成物を製造する方法であって、前記界面活性剤(A)と水とを混合して混合液を調製する工程と、前記混合液に対して水溶性固体粒子からなる消泡剤(X)を添加する工程と、を含むことを特徴とする液体組成物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両性界面活性剤およびアニオン界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を含有する液体組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シャンプー等の毛髪洗浄剤をはじめとする液体洗浄剤組成物には、一般的に、洗浄性、泡立ち性等を付与するために、アニオン界面活性剤や両性界面活性剤が配合されている。
近年、すすぎ時のきしみ感の改善、乾燥後の毛髪のパサツキの防止、なめらかさの向上、櫛通りの改善等を目的として、毛髪洗浄剤組成物中にリンス成分であるカチオン界面活性剤および高級アルコールを配合することが提案されている(たとえば特許文献1)。該毛髪洗浄剤組成物は、すすぎ時に形成される液晶(カチオン界面活性剤と高級アルコールとの会合体)が毛髪に吸着してなめらかさを発現する。
【0003】
上記液体洗浄剤組成物のような、界面活性剤を含有する液体組成物の製造においては、界面活性剤を水やその他成分と混合することが行われている。しかし、アニオン界面活性剤や両性界面活性剤を配合する場合、撹拌時の泡立ちが多く、混合不良等の製造上の問題を生じやすい。そのため、かかる界面活性剤を含む水性液を撹拌する際には消泡処理が行われる。
消泡処理としては、従来、超音波等の機械的方法(非特許文献1)、シリコーン系、金属石けん、高級アルコール、パラフィンワックス等の消泡剤を添加する方法(非特許文献2)が知られている。また、液面上にノズルからアルコールを散布する方法(特許文献2)、静置または減圧により気泡を抜く方法(特許文献3)等も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−307463号公報
【特許文献2】特開平11−9905号公報
【特許文献3】特開2005−307069号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】「泡の発生メカニズムと制御およびトラブル対策」第2刷、技術情報協会発行(1999年9月30日)、第41〜72頁
【非特許文献2】「泡の発生メカニズムと制御およびトラブル対策」第2刷、技術情報協会発行(1999年9月30日)、第75〜92頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のうち、消泡剤を添加する方法は、特殊な装置を用いる必要がない点で簡便である。しかし、従来用いられている消泡剤はいずれも疎水性の成分であるため、水への溶解に時間がかかり、製造性への弊害がある。また、該成分により最終製品の泡立ち性や保存安定性が阻害される問題もある。特に、両性界面活性剤やアニオン界面活性剤と、上述したカチオン界面活性剤および高級アルコールとを併用する場合、生じた泡が強固なものとなりやすく、充分に消泡できずに製品中に気泡が混入し、製品の保存安定性を損ないやすい。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、界面活性剤を含有する液体組成物の製造時に生じる泡を消泡でき、得られる液体組成物の泡立ち性や保存安定性も良好な製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは鋭意検討の結果、消泡剤として水溶性固体粒子を用いることにより上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成させた。
上記課題を解決する本発明は以下の態様を有する。
[1]両性界面活性剤およびアニオン界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤(A)を含有する液体組成物を製造する方法であって、
前記界面活性剤(A)と水とを混合して混合液を調製する工程と、
前記混合液に対して水溶性固体粒子からなる消泡剤(X)を添加する工程と、を含むことを特徴とする液体組成物の製造方法。
[2]前記消泡剤(X)を添加する工程の前および/または後に、さらに、前記混合液に対してカチオン界面活性剤(C)および炭素数16以上の高級アルコール(D)を添加する工程を含む、[1]に記載の液体組成物の製造方法。
[3]前記混合液を調製する工程にて、前記界面活性剤(A)および水とともに、水膨潤性粘土鉱物(B)を混合する、[2]に記載の液体組成物の製造方法。
[4]前記液体組成物が毛髪洗浄剤組成物である、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の液体組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、界面活性剤を含有する液体組成物の製造時に生じる泡を消泡でき、得られる液体組成物の泡立ち性や保存安定性も良好な製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例で用いた(X)成分または疎水性成分粒子の消泡効果、溶解時間および泡立ち性への影響の評価に用いた器具の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の製造方法は、両性界面活性剤およびアニオン界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤(A)(以下、(A)成分という。)と水とを混合して混合液を調製する工程(以下、混合液調製工程という。)と、前記混合液に対して水溶性固体粒子からなる消泡剤(X)(以下、(X)成分という。)を添加する工程(以下、(X)成分添加工程という。)と、を含む。
(X)成分を添加することで、(A)成分と水とを混合して混合液を調製する際、または該混合液に任意に他の成分を添加して撹拌した際に生じた泡を消泡でき、しかも、最終的に得られる液体組成物の泡立ち性に及ぼす影響が少なく、保存安定性も良好である。また、(X)成分が短時間で水性媒体に溶解するため、製造性も良好である。
【0011】
本発明の製造方法は、(X)成分添加工程の前および/または後に、さらに、前記混合液に対してカチオン界面活性剤(C)(以下、(C)成分という。)および炭素数16以上の高級アルコール(D)(以下、(D)成分という。)を添加して混合する工程(以下、(C)/(D)成分混合工程という。)を含むことが好ましい。
これにより、得られる液体組成物の毛髪洗浄剤組成物としての有用性が向上する。つまり、該液体組成物を用いて毛髪の洗浄を行うと、すすぎ時に(C)成分と(D)成分とが会合して構造体(液晶)を形成する。該構造体が毛髪に吸着することで、乾燥後の毛髪に滑らかさ、広がりにくさ等が発現する。
また、(C)成分および(D)成分を(A)成分とともに混合すると、(C)成分および(D)成分を添加しない場合に比べて、生成した泡が強固になり、従来の消泡剤では充分に消泡できない傾向があるが、(X)成分は、このような強固な泡に対しても充分な消泡効果を発揮するため、本発明の有用性が高い。
(C)/(D)成分混合工程を行う場合、(X)成分添加工程は、混合液調製工程後、(C)/(D)成分混合工程を行う前に行ってもよく、(C)/(D)成分混合工程後に行ってもよく、それら両方のタイミングで行ってもよいが、特に(C)/(D)成分混合前の方が、泡が強固になる前に消泡を実施出来る点で製造効率上好ましい。
【0012】
前記(C)/(D)成分混合工程を行う場合、前記混合液調製工程にて、(A)成分および水とともに、水膨潤性粘土鉱物(B)(以下、(B)成分という。)を混合することが好ましい。(C)〜(D)成分を配合する場合、得られる液体組成物中に分離が生じやすい傾向があるが、(B)成分を配合することで、該(B)成分が、(C)成分と(D)成分とが構造体を形成する際の核として働き、また、その一部が該構造体の表面に配向し立体障壁となることで微細で均一な構造体が得られるため、該分離を充分に抑制できる。
以下、(X)成分、(A)〜(D)成分および各工程についてより詳細に説明する。
【0013】
[(X)成分]
(X)成分において、「水溶性固体粒子」とは、水溶性の固体成分からなる粒子を意味する。「水溶性」は、25℃の水に対する溶解度が10g/100mL以上であることを意味する。本発明における「水溶性固体粒子」は、内径60mmのガラス製容器の中に25℃の水100gを入れ、直径30mmの3枚プロペラ翼を使用して、700rpmで攪拌している中へ当該固体粒子10gを投入したとき30分以内で溶解するものが好ましい。
【0014】
(X)成分は、平均粒子径が100μm以上であることが好ましく、500μm以上がより好ましく、800μm以上がさらに好ましい。該平均粒子径が大きいほど、消泡効果に優れ、最終製品の泡立ち性や保存安定性も良好である。該平均粒子径の上限は、水性媒体への溶解時間を考慮すると、2500μm以下が好ましく、2000μm以下がより好ましく、1500μm以下がさらに好ましい。
ここで、平均粒子径は、9段の篩(目開き1700μm、1400μm、1000μm、710μm、500μm、350μm、250μm、150μm及び100μm)と受け皿とを用い、下記手順に従い求められる値(平均粒子径(D50))である。
はじめに、受け皿に、目開きの小さな篩から目開きの大きな篩の順に積み重ね、最上部の目開き1700μmの篩の上から100g/回のサンプルを入れ、蓋をしてロータップ型篩い振盪機((株)飯田製作所製、タッピング:156回/分、ローリング:290回/分)に取り付け、10分間振動させた後、それぞれの篩及び受け皿上に残留したサンプルを篩目ごとに回収して、サンプルの質量を測定する。
受け皿と各篩との質量頻度を積算し、積算の質量頻度が50%以上となる最初の篩の目開きを「aμm」とし、aμmよりも一段大きい篩の目開きを「bμm」とし、受け皿からaμmの篩までの質量頻度の積算値を「c%」、また、aμmの篩上の質量頻度を「d%」とし、次式により得られた値を平均粒子径(D50)とする。
平均粒子径は、粉砕、篩分けにより調節できる。
【0015】
【数1】

【0016】
(X)成分は、真比重が1〜4g/mLであることが好ましく、1.5〜3g/mLがより好ましく、1.5〜2g/mLがさらに好ましい。真比重が上記範囲内であると消泡効果が高く、最終製品の泡立ち性や保存安定性も良好である。
ここで、真比重は、JIS Z 8807の規定に準じて測定される値である。
【0017】
(X)成分を構成する材質としては、上記水溶性を有するものであれば特に限定されない。具体例として、たとえば無機酸、無機酸塩、有機酸、有機酸塩等が挙げられる。無機酸塩および有機酸における塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が好ましい。
無機酸としては、たとえばリン酸が挙げられる。
無機酸塩としては、たとえば硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化カルシウム、リン酸水素カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸カリウム等が挙げられる。
有機酸としては、たとえばクエン酸、リンゴ酸、酒石酸等が挙げられる。
有機酸塩としては、たとえばクエン酸三ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、クエン酸一ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム等が挙げられる。
これらの中でも、消泡効果に優れることから、有機酸および有機酸塩から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0018】
(X)成分は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
(X)成分の配合量は、液体組成物の総質量に対し、0.05〜3質量%が好ましく、0.1〜2質量%がより好ましく、0.2〜1質量%がさらに好ましい。該含有量が該範囲の下限値以上であることにより、消泡効果が向上し、上限値以下であると、添加後の溶解時間が短く製造効率が向上する。
【0019】
[(A)成分]
両性界面活性剤としては、特に限定されず、目的に応じて公知の両性界面活性剤のなかから適宜選択できる。両性界面活性剤としてより具体的には、N−アルキルアミノ酸型界面活性剤、アルケニルアミノ酸型界面活性剤、ベタイン型界面活性剤等が挙げられる。これらの中でもベタイン型のものが好ましい。
【0020】
N−アルキルアミノ酸型界面活性剤としては、N−アルキルアミノ酸およびその塩が挙げられる。具体的には、窒素原子にアルキル基が結合し、さらに−R−COOHで表される基が1つ又は2つ結合した構造を有する化合物、およびその塩が挙げられる。−R−COOHが1つ結合している化合物においては、窒素原子にさらに水素原子が結合している。
窒素原子に結合するアルキル基の炭素数は10〜20が好ましい。該アルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。
−R−COOHで表される基において、Rは2価の炭化水素基を示す。該炭化水素基としては、アルキレン基が好ましく、炭素数1〜2のアルキレン基が特に好ましい。
N−アルキルアミノ酸の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩が特に好ましい。
N−アルキルアミノ酸型界面活性剤としては、アルキルアミノプロピオン酸またはそのナトリウム塩が好ましく、ラウリルアミノプロピオン酸またはそのナトリウム塩がより好ましい。
【0021】
アルケニルアミノ酸型界面活性剤としては、アルケニルアミノ酸およびその塩が挙げられる。具体的には、窒素原子にアルケニル基が結合し、さらに−R−COOHで表される基が1つ又は2つ結合した構造を有する化合物、およびその塩が挙げられる。−R−COOHが1つ結合している化合物においては、窒素原子にさらに水素原子が結合している。
窒素原子に結合するアルケニル基の炭素数は10〜20が好ましい。該アルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。
−R−COOHで表される基において、Rは2価の炭化水素基を示す。該炭化水素基としては、アルキレン基が好ましく、炭素数1〜2のアルキレン基が特に好ましい。
アルケニルアミノ酸の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩が特に好ましい。
アルケニルアミノ酸型界面活性剤としては、アルケニルアミノプロピオン酸またはそのナトリウム塩(例えば、オレイルアミノプロピオン酸ナトリウム)が好ましい。
【0022】
ベタイン型界面活性剤としては、アルキルベタイン型界面活性剤、アミドベタイン型界面活性剤、スルホベタイン型界面活性剤、ヒドロキシスルホベタイン型界面活性剤、アミドスルホベタイン型界面活性剤、ホスホベタイン型界面活性剤、イミダゾリニウムベタイン型界面活性剤等が挙げられる。
好ましいベタイン型界面活性剤の具体例として、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等の脂肪酸アミドプロピルベタイン;ラウリン酸ジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸ジメチルアミノ酢酸ベタイン等の脂肪酸ジメチルアミノ酢酸ベタイン;2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン;等が挙げられる。
脂肪酸アミドプロピルベタイン、脂肪酸ジメチルアミノ酢酸ベタインにおける脂肪酸残基は炭素数12〜18の脂肪酸残基が好ましく、ラウリン酸残基が特に好ましい。
上記のなかでも、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸ジメチルアミノ酢酸ベタインが好ましい。
【0023】
アニオン界面活性剤としては、特に限定されず、目的に応じて公知の両性界面活性剤のなかから適宜選択できる。アニオン界面活性剤としてより具体的には、硫酸エステル塩型アニオン界面活性剤、スルホン酸塩型アニオン界面活性剤、カルボン酸塩型アニオン界面活性剤、リン酸エステル塩型アニオン界面活性剤等が挙げられる。
これらのアニオン界面活性剤における塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;トリエタノールアミン等のアルカノールアミン塩、またはアンモニウム塩が挙げられ、アルカリ金属塩が好ましい。
上記の中でも、他成分と配合時した時の安定性に優れることや泡立ち性、コスト面からも、硫酸エステル塩型アニオン界面活性剤が好ましい。
【0024】
硫酸エステル塩型アニオン界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルフェニルエーテル硫酸塩、アルキル多価アルコールエーテル硫酸塩等が挙げられる。
より具体的には、アルキル硫酸塩またはアルケニル硫酸塩としては、炭素数10〜20のアルキル硫酸塩またはアルケニル硫酸塩が挙げられる。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルフェニルエーテル硫酸塩は、それぞれ、アルキルエーテル硫酸塩、アルケニルエーテル硫酸塩、アルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルケニルフェニルエーテル硫酸塩にアルキレンオキサイドが付加したものである。
アルキレンオキサイドとしては、炭素数2〜4のアルキレンオキサイドのいずれか、またはエチレンオキサイド(EO)とプロピレンオキサイド(PO)とが混在したものが好ましい。EOとPOとが混在する場合、その比率は、モル比でEO/PO=0.1/9.9〜9.9/0.1の範囲内であることが好ましい。アルキレンオキサイドとしては、特に、EOが好ましい。
アルキレンオキサイドの付加モル数は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩またはポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸塩の場合は、平均で、0.5〜10モルが好ましい。また、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルフェニルエーテル硫酸塩の場合は、平均で、3〜30モルが好ましい。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルフェニルエーテル硫酸塩におけるアルキル基またはアルケニル基の炭素数は8〜20が好ましい。該アルキル基またはアルケニル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。
アルキル多価アルコールエーテル硫酸塩としては、たとえば、炭素数10〜20のアルキルグリセリルエーテルスルホン酸塩等が挙げられる。
【0025】
硫酸エステル塩型アニオン界面活性剤としては、他成分と配合時した時の安定性に優れることや泡立ち性、コスト面からの点から、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩が好ましい。
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩の好適なものとしては、下記一般式(1)で表される化合物が例示できる。
【0026】
【化1】

[式(1)中、Rは炭素数8〜20のアルキル基を示し;nはエチレンオキサイドの平均付加モル数を示し;Mはアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アルカノールアミンまたはアンモニウムを示す。]
【0027】
前記一般式(1)中、Rは、炭素数8〜20のアルキル基である。該アルキル基の炭素数は、8〜18が好ましく、10〜16がより好ましく、12〜13がさらに好ましい。Rの炭素数が8以上であると、疎水性が高まるため、洗浄力が向上する。一方、Rの炭素数が20以下であれば、化合物自体の溶解性が良好となるため、保存時における析出が抑制される。該アルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。
nは、エチレンオキサイドの平均付加モル数を示し、1〜6が好ましく、1〜4がより好ましく、1〜3がさらに好ましい。
Mは、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アルカノールアミンまたはアンモニウムを示す。
アルカリ金属原子としては、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。
アルカリ土類金属原子としては、カルシウム、マグネシウム等が挙げられる。
アルカノールアミンとしては、トリエタノールアミン等が挙げられる。
上記のなかでも、Mとしては、アルカリ金属原子が好ましく、ナトリウムが特に好ましい。
【0028】
スルホン酸塩型アニオン界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸塩、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩等が挙げられる。
より具体的には、アルキルベンゼンスルホン酸塩としては、炭素数8〜18のアルキル基を有する直鎖状または分岐鎖状のアルキルベンゼンスルホン酸塩が挙げられる。
アルカンスルホン酸塩としては、アルカンスルホン酸塩は、パラフィンスルホン酸塩とも呼ばれ、たとえば炭素数10〜21のアルカンスルホン酸塩が挙げられる。アルカンスルホン酸塩としては、二級アルカンスルホン酸塩を含むことが好ましい。好ましいアルカンスルホン酸塩としては、たとえば、1分子当り10〜21個の炭素原子、好ましくは少なくとも80質量%以上、より好ましくは少なくとも90質量%以上が1分子当り10〜14個の炭素原子をもつ二級アルキルスルホン酸塩と、少量の一級アルキルスルホン酸塩、ジスルホン酸塩、またはポリスルホン酸塩との混合物が挙げられる。
α−オレフィンスルホン酸塩としては、炭素数10〜20のα−オレフィンスルホン酸塩が挙げられる。
α−スルホ脂肪酸塩としては、炭素数8〜20の飽和もしく不飽和のα−スルホ脂肪酸塩が挙げられる。
α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩としては、前記α−スルホ脂肪酸塩のメチル、エチルもしくはプロピルエステル塩が挙げられる。
【0029】
カルボン酸塩型アニオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテルカルボン酸塩、炭素数10〜20の高級脂肪酸塩(石鹸)等が挙げられる。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテルカルボン酸塩におけるアルキレンオキサイドとしては、前記硫酸エステル塩型アニオン界面活性剤の説明で挙げたものと同様のものが挙げられる。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテルカルボン酸塩におけるアルキル基またはアルケニル基の炭素数は10〜20が好ましい。該アルキル基またはアルケニル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。
リン酸エステル型アニオン界面活性剤としては、長鎖モノアルキルリン酸塩、長鎖ジアルキルリン酸塩、長鎖セスキアルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンモノアルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンジアルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンセスキアルキルリン酸塩等が挙げられる。「長鎖」のアルキル基は、炭素数が8以上のものを示し、好ましくは10〜20である。
【0030】
(A)成分は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
(A)成分は、両性界面活性剤、アニオン界面活性剤のいずれか一方を用いてもよく、両方を併用してもよく、目的に応じて適宜選択できる。たとえば当該液体組成物を毛髪洗浄剤組成物として用いる場合は、(A)成分として少なくとも両性界面活性剤を含むことが好ましい。これにより、充分な泡立ち性および洗浄力に加えて、乾燥後の毛髪に滑らかさ、広がりにくさ等を付与できる。
(A)成分の配合量は、当該液体組成物の用途や使用する(A)成分の種類に応じて適宜設定できる。たとえば(A)成分として両性界面活性剤のみを用いる場合は、液体組成物の総質量に対し、5〜20質量%が好ましく、8〜16質量%がより好ましい。また、(A)成分としてアニオン界面活性剤のみを用いる場合は、液体組成物の総質量に対し、0.1〜3質量%が好ましく、0.5〜1.5質量%がより好ましい。該含有量が上記範囲内であると、泡立ち性や洗浄力など、(A)成分による効果が充分に得られる。
両性界面活性剤およびアニオン界面活性剤を併用する場合は、上述したそれぞれの好ましい配合量の範囲とそれらの混合比率に応じて適宜調整すればよい。
【0031】
[(B)成分]
(B)成分は水膨潤性粘土鉱物である。
ここで「粘土鉱物」は層状構造を有する無機化合物であり、「水膨潤性」とは、水を吸収し体積を増す特徴を有することを意味する。
(B)成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、膨潤力が20mL/2g以上であるものが好ましい。
前記膨潤力は、第15改正日本薬品局方に定められたベントナイトの試験方法を準用して測定される値であり、粘土鉱物2gの水膨潤体積(mL)で表される。具体的には、粘土鉱物2.0gを取り、水100mLを入れた100mLのメスシリンダーに10回に分けて加え、これを25℃で24時間放置したときの器底の塊の見かけ容積を目盛りから読み取る。なお、粘土鉱物を10回に分けて水に加えるとき、先に加えた試料がほとんど沈着した後、次の試料を加える。
前記膨潤力が20mL/2g以上である(B)成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、天然物、天然物の精製品、天然の膨潤性を改質したもの、合成されたものなどが挙げられる。
【0032】
粘土鉱物としては、たとえばスメクタイト、カオリナイト等が挙げられる。スメクタイトとしては、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチーブンサイト等が挙げられる。また、膨潤性の雲母等も使用できる。これらの粘土鉱物には天然産出品と合成品とが存在する。天然には、主に、粘土の主成分として産出され、たとえばベントナイトはモンモリロナイトを主成分として含んでいる。本発明においては、天然産出品、合成品のいずれも使用できる。また、粘土を第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤、非イオン性界面活性剤等で処理した有機変性粘土鉱物や、前記粘土鉱物のイオン交換反応を行った、膨潤性を向上させた高金属イオン置換粘土鉱物等が使用できる。
(B)成分としては、市販されているものを使用することもでき、例えば、ポーラゲル(アメリカンコロイド社製)、ラポナイト(日本シリカ工業社製)、ベンゲル(豊順鉱業社製)、ルーセンタイト(コープケミカル社製)、クニピア(クニミネ工業社製)、ベンクレイ(水澤化学工業社製)、ビーガム(バンダービルト社製)などが挙げられる。なお、(B)成分として、天然物を使用する場合には、水膨潤性を有する成分の含有量が、(B)成分中、90質量%以上(非膨潤性の夾雑物(カルサイト、トリジマイト、クリストバライト、石英、各種無機物など)は、10質量%未満)が好ましく、95質量%以上(非膨潤性の夾雑物は、5%未満)がより好ましい。
(B)成分としては、上記の中でも、ベントナイト、モンモリロナイト、サポナイトが好ましい。
(B)成分は、1種を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
(B)成分の配合量は、液体組成物の総質量に対し、0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましい。0.01質量%以上であると、(B)成分を配合することによる効果が充分に得られる。(B)成分の配合量の上限は、使用時の毛髪のきしみ感を抑えることを考慮すると、2質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。
【0033】
[(C)成分]
(C)成分はカチオン界面活性剤である。
(C)成分としては、液体組成物に配合し得るものであれば、その種類は特に制限されず、公知のものを使用できる。たとえばアミノ酸型カチオン界面活性剤、アミドアミン型カチオン界面活性剤、アルキル第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤、グアニジン誘導体型カチオン界面活性剤等が挙げられる。これらの中でも、アルキル第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤が好ましい。
【0034】
アミノ酸型カチオン界面活性剤としては、たとえばモノ−N−長鎖アシル塩基性アミノ酸アルキルエステル塩が挙げられる。
該化合物を構成する塩基性アミノ酸としては、たとえばオルニチン、リシン及びアルギニン等の天然アミノ酸を挙げることができる。また、α,γ−ジアミノ酪酸のような合成アミノ酸を用いることも可能である。これらは光学活性体でもラセミ体でもよい。
該化合物を構成する長鎖アシル基は、炭素数8〜22の飽和または不飽和の高級脂肪酸残基である。該高級脂肪酸残基は、天然のものでも合成されたものでもよい。たとえばラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基等の単一高級脂肪酸残基でも、ヤシ油脂肪酸残基、牛脂高級脂肪酸残基等の天然の混合高級脂肪酸残基でもよい。
該化合物においてエステルを構成するアルキル基としては、炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基またはオクチル基が好適である。
塩としては、たとえば塩酸塩、臭素酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機塩であってもよく、グリコール酸塩、酢酸塩、乳酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、酸性アミノ酸塩、高級脂肪酸塩、ピログルタミン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩等の有機酸塩であってもよい。これらのうち、塩酸塩、L−またはDL−ピロリドンカルボン酸塩または酸性アミノ酸塩の形が好ましい。
【0035】
アミドアミン型カチオン界面活性剤としては、たとえば下記一般式(c1)で表される化合物およびその塩が挙げられる。
式(c1)中、Rは炭素数7〜23の脂肪酸残基であり、RおよびRはそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基であり、mは2〜4の整数である。
の炭素数は9〜22が好ましく、13〜22がより好ましい。
およびRにおけるアルキル基は、メチル基またはエチル基が好ましい。
mは2または3が好ましい。
【0036】
【化2】

【0037】
上記式(c1)で表される化合物としては、たとえばステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノエチルアミド、パルミチン酸ジエチルアミノエチルアミド、ヤシ油脂脂肪酸ジエチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノエチルアミド、ミリスチン酸ジエチルアミノエチルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノエチルアミド、ベヘニン酸ジエチルアミノエチルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジエチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘニン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミド等が挙げられる。
該化合物の塩としては、たとえば塩酸塩、臭素酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機塩であってもよく、グリコール酸塩、酢酸塩、乳酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、酸性アミノ酸塩、高級脂肪酸塩、ピログルタミン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩等の有機酸塩であってもよい。これらのうち、酸性アミノ酸塩、クエン酸塩、塩酸塩が好ましい。
これらの塩は、上記化合物を対応する酸で中和することにより調製できる。中和に用いられる塩は1種又は2種以上を併用してもよい。
上記の中でも、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ヤシ油脂脂肪酸ジエチルアミノプロピルアミドが好ましい。
【0038】
アルキル第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤としては、たとえば下記一般式(c2)で表される化合物およびその塩が挙げられる。
式(c2)中、R〜Rはそれぞれ独立にアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルケニル基、ポリアルキレンオキシド基またはベンジル基であり、R〜Rのうちの1つまたは2つは炭素数10〜24(好ましくは16〜22)の直鎖状のアルキル基、ヒドロキシアルキル基またはアルケニル基であり、残りの3つまたは2つはメチル基、エチル基、ベンジル基またはポリアルキレンオキシド基であり、これらは互いに同一でも異なっていてもよい。
前記ポリアルキレンオキシド基としては、−(CO)−H[qは1〜5の整数である。]または−(CO)−H[rは1〜5の整数である。]で表される基が好ましい。
はアニオンを示す。Zとしては、たとえば塩酸イオン、臭素酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン等の無機アニオンであってもよく、グリコール酸イオン、酢酸イオン、乳酸イオン、コハク酸イオン、酒石酸イオン、クエン酸イオン、酸性アミノ酸イオン、高級脂肪酸イオン、ピログルタミン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン等の有機アニオンであってもよい。
【0039】
【化3】

【0040】
上記式(c2)で表される化合物としては、特に、R〜Rのうちの1つまたは2つが炭素数10〜24の直鎖状のアルキル基であり、残りの3つまたは2つがメチル基であるものが好ましい。すなわち、アルキルトリメチルアンモニウム塩またはジアルキルジメチルアンモニウム塩が好ましい。なかでもアルキルトリメチルアンモニウム塩が好ましい。また、塩としては、塩酸塩または臭素酸塩が好ましい。
具体的には、たとえばステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、セトステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジベヘニルジメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
上記の中でも、炭素数16〜22の直鎖アルキル基を有するものが好ましく、具体的に、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライドが挙げられる。
【0041】
グアニジン誘導体型カチオン界面活性剤としては、たとえば下記一般式(c3)で表される化合物が挙げられる。
式(c3)中、R10は炭素数1〜21の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基またはアルケニル基であり、R11は炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基またはアルケニレン基であり、tは1〜5の整数である。
10におけるアルキル基またはアルケニル基は、炭素数が11〜19であることが好ましい。具体的には、C1123−、C1225−、C1327−、C1429−、C1531−、C1633−、C1735−、(C17CH−、4−(C)C1530−等が挙げられる。
11におけるアルキレン基またはアルケニレン基は、炭素数が1〜10であることが、2〜6であることがより好ましい。具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、イソプロピレン基、2−ペンテニル基、2−エチルブチレン基等が挙げられる。
tが2以上である場合、式中の複数のR11はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0042】
【化4】

【0043】
該化合物の塩としては、たとえば塩酸塩、臭素酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機塩であってもよく、グリコール酸塩、酢酸塩、乳酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、酸性アミノ酸塩、高級脂肪酸塩、ピログルタミン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩等の有機酸塩であってもよい。これらのうち、酸性アミノ酸塩、クエン酸塩、塩酸塩が好ましい。
これらの塩は、上記化合物を対応する酸で中和することにより調製できる。中和に用いられる塩は1種又は2種以上を併用してもよい。
【0044】
(C)成分は、1種を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
(C)成分の配合量は、液体組成物の総質量に対し、0.5〜5質量%が好ましく、1〜4質量%がより好ましい。配合量が上記範囲の上限値以下であると、得られる液体組成物の泡立ち性が良好で、下限値以上であると、当該液体組成物を毛髪洗浄剤組成物として用いた場合に、乾燥後の毛髪に滑らかさ、広がりにくさ等を付与できる。
【0045】
[(D)成分]
(D)成分は炭素数16以上の高級アルコールである。該炭素数は、16〜22が好ましい。(D)成分は、1価アルコールでも多価アルコールでもよく、1価アルコールが好ましい。
(D)成分としては、保存安定性の観点から、炭素数16〜22の直鎖状の1価アルコールが特に好ましい。
(D)成分として具体的には、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、2−ヘキシルデシルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オクチルドデシルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、硬化ナタネ油アルコール、オレイルアルコール、エライジルアルコール、リノレイルアルコール、カルナービルアルコール、セリルアルコール、コレステロール、フィトステロールなどが挙げられる。これらの中でも、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等が好ましく、ステアリルアルコール、べへニルアルコールが特に好ましい。
(D)成分は、1種を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
(D)成分の配合量は、液体組成物の総質量に対し、1〜10質量%が好ましく、4質量%〜8質量%がより好ましい。配合量が上記範囲内であると、当該液体組成物を毛髪洗浄剤組成物として用いた場合に、乾燥後の毛髪に滑らかさ、広がりにくさを付与でき、当該液体組成物の保存安定性も良好である。
また、液体組成物中の(C)成分および(D)成分の配合量の比率(質量比)は、(D)/(C)の値として、1〜7が好ましく、1.5〜6がより好ましい。
【0046】
<混合液調製工程>
本工程では、(A)成分と水とを混合して混合液を調製する。
水としては特に制限なく使用することができ、精製水が好ましい。
水の使用量は、得られる混合液中の(A)成分の含有量が、該混合液の総質量に対し、0.5〜25質量%の範囲内となる量が好ましく、15〜19質量%の範囲内となる量がより好ましい。
(A)成分と水との混合は、公知の方法により実施できる。
(A)成分と水とを混合する際の温度は50〜80℃が好ましく、60〜80℃がより好ましい。80℃以下であると、熱による加水分解が抑制でき、50℃以上であると、水との混合時のゲル化を抑制できる。
(A)成分と水との混合は、減圧下で行うことが好ましい。混合時の圧力は、相対圧として、−30〜−70kPaが好ましく、−40〜−60kPaがより好ましい。−70kPa以下であると、沸騰による泡立ちを抑制でき、−30kPa以上であると、撹拌により混入した気泡を効率的に除去できる。
混合はパドル、ディスパー、ディスクタービン、アンカー翼等の撹拌装置を用いて実施でき、特に傾斜付パドル及びアンカー翼を有するアジホモミキサーが好ましい。
撹拌速度は、撹拌時の温度や圧力、使用する撹拌装置に応じて、泡立ちやせん断抑制等を考慮して適宜設定できる。たとえば真空式アジホモミキサーを用い、温度70〜80℃、相対圧−40〜−60kPa程度の条件下で撹拌を行う場合、カキトリミキサー回転数10〜40rpm等の撹拌条件で撹拌することが好ましい。このときの撹拌時間は、10〜30分間が好ましい。
【0047】
(A)成分はそのまま水と混合してもよいが、予め湿潤剤と混合しておいてもよい。これにより、ゲル化抑制が可能となり溶解時間が短縮できる。特に、(A)成分としてアニオン界面活性剤を用いる場合は予め湿潤剤と混合しておくことが好ましい。
湿潤剤としては、公知のものが特に制限なく使用でき、たとえばソルビット、グリセリン、キシリット、マルチット、ラクチット等の糖アルコール;プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール4000、ポリエチレングリコール6000、ポリエチレングリコール8000)等の多価アルコール;などが挙げられる。これらの中では、ソルビット、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコール400が好ましく、ソルビット、グリセリン、プロピレングリコールが特に好ましい。これらはいずれか1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
(A)成分と混合する湿潤剤の配合量は、湿潤剤/(A)の値が質量比で5〜20となる量が好ましく、10〜15となる量がより好ましい。
(A)成分と湿潤剤とを混合する際の温度は40〜80℃が好ましく、50〜70℃がより好ましい。
【0048】
また、本工程後に(C)/(D)成分混合工程を行う場合は、上述したように、(A)成分および水とともに、(B)成分を混合することが好ましい。
この場合、(B)成分は、その効果を充分に得るためには、予め、混合液の調製に用いる水の一部と混合して膨潤させた後、(A)成分と混合することが好ましい。
該水の使用量は、水/(B)の値が質量比で20〜40程度となる量が好ましい。
(B)成分と水との混合は、40〜80℃程度の温度条件下にて行うことが好ましい。これにより、(B)成分を良好に膨潤させることができる。
このとき、(B)成分および水以外に、前述した湿潤剤を配合してもよい。これによりママ粉の生成を抑制できる。湿潤剤としては前記と同様のものが挙げられる。
(B)成分と混合する湿潤剤の配合量は、湿潤剤/(B)の値が質量比で5〜20となる量が好ましく、10〜18となる量がより好ましい。
【0049】
<(C)/(D)成分混合工程>
本工程では、前記混合液に(C)成分および(D)成分を添加し、混合する。
混合液への(C)成分および(D)成分の添加、混合は、公知の方法により実施できる。
(C)成分および(D)成分はそのまま混合液に添加してもよいが、予め湿潤剤と混合しておいてもよい。これにより、融解温度を低下させ製造効率を向上できる。湿潤剤としては前記と同様のものが挙げられる。
(C)成分および(D)成分と混合する湿潤剤の配合量は、湿潤剤/[(C)+(D)]の値が質量比で0.1〜1.0となる量が好ましく、0.2〜0.5となる量がより好ましい。
なお、液体組成物中における湿潤剤の総配合量は、使用時のべたつき低減を考慮すると、液体組成物の総質量に対し、25質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましい。
(C)成分および(D)成分を添加した混合液の混合条件(温度、圧力、撹拌速度等)は、前記混合液調製工程で(A)成分および水を混合する際の混合条件として挙げたものと同様であってよい。
【0050】
<(X)成分添加工程>
(X)成分の添加は、従来、消泡剤の添加に用いられている方法と同様の方法で実施でき、たとえば該混合液の液面上方から(X)成分を添加すればよい。これにより、液面上に形成されている泡に(X)成分が接触して消泡効果が得られる。
(X)成分の添加は、混合液を撹拌せずに行ってもよく、撹拌下で行ってもよい。撹拌下で行う場合、(X)成分添加時の混合液の撹拌条件(温度、圧力、撹拌速度等)は、前記混合液調製工程または(C)/(D)成分混合工程で各成分を混合する際の混合条件として挙げたものと同様であってよい。
撹拌時間は、特に限定されず、所望の消泡程度に応じて適宜設定できる。通常、混合液の液面が視認可能な程度にまで消泡されるまで行うことが好ましい。
【0051】
上述した混合液調製工程または(C)/(D)成分混合工程において、またはそれらの工程後、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、上記混合液に、さらに、上記(X)成分、(A)〜(D)成分および湿潤剤以外の他の成分を添加してもよい。
該他の成分としては、目的に応じて公知の添加剤のなかから適宜選択できる。たとえば毛髪洗浄剤組成物の場合、該添加剤としては、たとえばノニオン界面活性剤、シリコーン化合物、保湿剤、トニック剤、可溶化剤、BHTやα−トコフェロール等の酸化防止剤、トリクロサン、トリクロロカルバン等の殺菌剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、タンパク誘導体、動植物抽出液、ピロクトンオラミン、ジンクピリチオン等のフケ防止剤、グリチルリチン酸ジカリウム等の抗炎症剤、安息香酸及びその塩、パラベン類、ケーソンCG等の防腐剤、クエン酸、トリエタノールアミン等のpH調整剤、エチレングリコールジ脂肪酸エステル等のパール化剤、乳濁剤、ハイドロトロープ、低級アルコール、ジグルコシル没食子酸、ビタミン類、揮発性油分、疎水性溶媒、希釈性溶媒、色素、香料等が挙げられ、これらを任意に添加することができる。これらの添加剤は1種単独でも2種以上を混合して配合してもよい。
香料としては、特に限定されず、目的に応じて公知の香料のなかから適宜選択でき、たとえば特開2003−300811号公報の段落[0021]〜[0035]に記載の香料成分の少なくとも1種を含むものが挙げられる。香料は、香料成分以外に、溶剤(香料用溶剤)を含有してもよい。香料用溶剤としてはたとえば特開2003−300811号公報の段落[0050]に記載のものが挙げられる。
香料については、製品の香気の点から特に冷却後50℃以下で配合することが好ましい。
【0052】
上記のようにして得られた液体組成物は、毛髪洗浄剤組成物、住居用洗浄剤組成物、食器用洗剤組成物、衣料用洗剤組成物等の液体洗浄剤組成物等として使用できる。特に前記(A)〜(D)成分を全て含む場合は毛髪洗浄剤組成物として好適である。
【実施例】
【0053】
本発明について、実施例を示してさらに具体的に説明する。ただし本発明はこれらの限定されるものではない。
以下の各例で使用した原料の商品名および製造元を以下に示す。
以下の各例において使用した(X)成分の平均粒子径(D50)および真比重については、前述した手順に従って測定した。
(X)成分は、必要に応じて、卓上粉砕機により粉砕し、篩分けすることにより平均粒子径を調整した。
【0054】
[(X)成分]
クエン酸:精製クエン酸(結晶)、扶桑化学工業(株)製。
クエン酸三ナトリウム:精製クエン酸ナトリウム(結晶)、扶桑化学工業(株)製。
酒石酸:L−酒石酸、扶桑化学工業(株)製。
酒石酸ナトリウム:L−酒石酸ナトリウム、扶桑化学工業(株)製。
リンゴ酸:リンゴ酸フソウ、扶桑化学工業(株)製。
硫酸ナトリウム:硫酸ナトリウム、高杉製薬(株)製。
【0055】
[(A)成分]
(両性界面活性剤)
ラウリン酸アミドプロピルベタイン:エナジコールL−30B、一方社油脂工業(株)製、有効成分30%。
ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン:レボンLD−36、三洋化成(株)製、有効成分30%。
(アニオン界面活性剤)
ラウリル硫酸ナトリウム:長治合成化学(中国)製、有効成分100%。
POE(ポリオキシエチレン)ラウリル硫酸ナトリウム(2E.O.):シノリンSPE1250、新日本理化(株)製、有効成分66.7%。
「E.O.」はエチレンオキサイドの平均付加モル数を示す。
【0056】
[(B)成分]
ベントナイト:クニピアG、クニミネ工業(株)製。
【0057】
[(C)成分]
塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム:アーカード22−80、ライオンアクゾ(株)製、有効成分80%。
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム:アーカードT−800、ライオンアクゾ(株)製、有効成分50%。
【0058】
[(D)成分]
ベヘニルアルコール:LANETTE22、コグニスジャパン(株)製、C22含量:80%。
ステアリルアルコール:コノール30S、新日本理化(株)製。
【0059】
[疎水性成分粒子]
パラフィンワックス:Paraffin Wax−155 顆粒品、日本精鑞社製。
シリコーンオイルエマルション:KM−72、信越シリコーン社製。
【0060】
[任意成分]
濃グリセリン:濃グリセリン、阪本薬品工業(株)製。
ヒドロキシプロピルメチルセルロース:メトローズ 60SH−4000、信越化学工業(株)製。
アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体エマルション(40%):DOW CORNING TORAY SM 8904 COSMETIC EMULSION、東レ・ダウコーニング社製、有効成分40%。
アミノガムシリコーンエマルション:X−52−2362、信越化学工業(株)製、有効成分60%。
ポリオキシエチレンベヘニルエーテル(10E.O.):BHA−10 日本エマルション(株)製。
ラウリルジメチルアミンオキシド:AX剤−S、ライオンアクゾ(株)製、有効成分33%。
ヒドロキシエタンジホスホン酸:フェリオックス115、ライオン(株)製、有効成分60%。
プロピレングリコール:プロピレングリコール、アデカ(株)製。
香料:特開2003−300811号公報の表8記載の香料組成物A。
【0061】
[実施例1〜5、8〜16、比較例1〜2]
以下の手順で表1〜2に示す組成の液体組成物16kgを調製した。各成分の配合量(質量%)は、最終的に得る液体組成物の全量を100重量%とした量である。精製水の「バランス」は液体組成物の全量が100質量%となる量である。なお、(A)成分については、有効成分としての配合量(質量%)で示す。
(工程1)
真空式アジホモミキサー(みづほ工業社製、PVT−1−20)を用いて(A)成分0.2質量%または1質量%を75℃に加温した水残部に添加し、相対圧−40〜−80kPaでカキトリミキサー80rpm、パドルミキサー80rpmで30分間混合した。
((X)成分添加工程)
上記工程1の後、前記真空式アジホモミキサー内の混合液に対し、表1〜2に示す(X)成分を上面から添加後、温度70〜80℃に制御しながら、相対圧−53kPaに減圧しカキトリミキサー20rpmで液面が見えるまで撹拌を続けて脱泡を行った。
(工程2)
次いで、相対圧−53〜−80kPaに減圧し、カキトリミキサー70rpmで撹拌を継続しながら40℃まで1〜5℃/分で冷却することにより液体組成物を得た。
【0062】
[実施例6,7]
以下の手順で表1に示す組成の液体組成物16kgを調製した。各成分の配合量(質量%)は、最終的に得る液体組成物の全量を100重量%とした量である。精製水の「バランス」は液体組成物の全量が100質量%となる量である。なお、(A)成分及び(C)成分については、有効成分としての配合量(質量%)で示す。
(工程1)
1−1:(B)成分0.3質量%と、水10.5質量%とを80℃でプロペラを用いて混合分散して第一の予備混合物を調製した。
1−2:(A)成分のうちのアニオン界面活性剤0.8質量%と水10質量%を60℃でプロペラを用いて混合して第二の予備混合物を調製した。
1−3:前記第一の予備混合物と、第二の予備混合物と、水4質量%と、(A)成分のうちの両性界面活性剤を14質量%とを真空式アジホモミキサー(みづほ工業社製、PVT−1−20)に投入し、温度70〜80℃に制御しながら、相対圧−53kPaに減圧しカキトリミキサー20rpmで10分間撹拌した。
(工程2)
2−1:(C)成分を2.3質量%と、(D)成分を6質量%とを75℃でプロペラを用いて混合して第三の予備混合物を調製した。
2−2:前記第三の予備混合物を、真空式アジホモミキサー内に投入し、温度70〜80℃に制御しながら、相対圧−53kPaに減圧しカキトリミキサー51rpm、パドルミキサー45rpmで10分間撹拌した。
((X)成分添加工程)
上記工程2−2の後、前記真空式アジホモミキサー内の混合液に対し、表1〜2に示す(X)成分を上面から添加後、温度70〜80℃に制御しながら、相対圧−53kPaに減圧しカキトリミキサー20rpmで液面が見えるまで撹拌を続けて脱泡を行った。
(工程3)
次いで、相対圧−53〜−80kPaに減圧し、カキトリミキサー70rpmで撹拌を継続しながら40℃まで1〜5℃/分で冷却することにより液体組成物を得た。
【0063】
<消泡効果>
上記実施例1〜16および比較例1〜2で用いた(X)成分または疎水性成分粒子の消泡効果を以下の手順で評価した。その結果を表1〜2に示す。
実施例1〜5、8〜16、比較例1〜2では工程1、実施例6,7では工程2−2(いずれも(X)成分添加工程の前の工程)で得られた混合液100mLをそれぞれ図1(a)に示すガラス容器1(直径60mm)に入れ、75℃に維持した。
その液面に、図1(b)に示す撹拌部材2の撹拌翼2aを先端側から半分浸漬(液面から約5mmの深さまで浸漬)させ、その状態から、新東科学工業製スリーワンモーターFBL−1200を用いて回転数800rpmにて撹拌部材2を回転させることにより10分間撹拌を行った。
撹拌停止後、生じた泡層の厚み(液面から泡の上端までの距離)H1を測定した。
続いて、撹拌停止した状態で、該混合液の上面に(X)成分を表1〜2に示す配合量で添加し、添加してから1分後の泡層の厚みH2を測定した。
測定したH1およびH2の値から、下記式により、(X)成分または疎水性成分粒子による消泡率を算出した。該消泡率が低いほど、消泡効果が低い。
消泡率=(H1−H2)/H1
【0064】
<溶解時間>
上記消泡効果の評価にて、添加した(X)成分が完全に溶解するまでの時間(分)を「溶解時間」として求めた。その結果を表1〜2に示す。(X)成分が完全に溶解したかどうかは、ADVANTEC社製定性濾紙No.3を用いて吸引ろ過を行い濾紙上の固体成分の有無により確認した。
【0065】
<泡立ち性への影響>
(X)成分または疎水性成分粒子が液体組成物の泡立ち性に与える影響を以下の手順で評価した。その結果を表1〜2に示す。
(1)(X)成分または疎水性成分粒子添加前の混合液の20倍希釈品の泡高さH3の測定:
上記工程1で得られた混合液を40℃の水で20倍希釈し、該希釈液100mLを図1(a)に示すガラス容器1(直径60mm)に入れ、40℃に維持した。
その液面を、撹拌部材2を用いて前記消泡効果の評価と同様の手順で10分間撹拌した。撹拌停止後、生じた泡層の厚みH3を測定した。
【0066】
(2)(X)成分または疎水性成分粒子添加後の混合液の20倍希釈品の泡高さH4の測定:
前記消泡効果の評価にて(X)成分または疎水性成分粒子を添加した後の混合液を40℃の水で20倍希釈し、該希釈液100mLを図1(a)に示すガラス容器1(直径60mm)に入れ、40℃に維持し、前記(1)と同じ条件で撹拌した。撹拌停止後、生じた泡層の厚みH4を測定した。
測定したH3およびH4の値から、H3に対するH4の比率(H4/H3)を算出した。該比率が低いほど、(X)成分または疎水性成分粒子の添加により液体組成物の泡立ち性が低下している。
【0067】
【表1】

【0068】
【表2】

【0069】
上記結果に示すとおり、実施例1〜16では、(X)成分の添加によって、泡立ち性にほとんど影響を与えることなく、消泡を行うことができた。特に(X)成分として平均粒子径が800μm以上のものを用いた例で消泡効果が高かった。また、(X)成分として平均粒子径が1100μm以下のものを用いた例では溶解時間も短く、製造性に優れていた。
一方、(X)成分の代わりに疎水性成分粒子を添加した比較例1〜2は、消泡効果は得られたものの、液体組成物の泡立ち性が大きく低下した。特にパラフィンワックスを使用した比較例1は溶解時間も長く、製造性が悪かった。
【0070】
[実施例17〜19]
以下の手順で表3に示す組成の液体組成物16kgを調製した。各成分の配合量(質量%)は、最終的に得る液体組成物の全量を100質量%とした量である。精製水の「バランス」は液体組成物の全量が100質量%となる量である。なお、(A)成分及び(C)成分、ラウリルジメチルアミンオキシド、ヒドロキシエタンジホスホン酸、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体エマルション、アミノガムシリコーンエマルションについては、有効成分としての配合量(質量%)で示す。
(工程1)
1−1:濃グリセリン5質量%と、(B)成分0.3質量%と、ヒドロキシプロピルメチルセルロース0.05質量%と、水10.5質量%とを75℃でプロペラを用いて混合分散して第一の予備混合物を調製した。
1−2:濃グリセリン10質量%と、(A)成分のうちのアニオン界面活性剤0.8質量%とを60℃でプロペラを用いて混合して第二の予備混合物を調製した。
1−3:前記第一の予備混合物と、第二の予備混合物と、水4質量%と、(A)成分のうちの両性界面活性剤14質量%または12質量%と、ラウリルジメチルアミンオキシド1質量%と、ヒドロキシエタンジホスホン酸0.1質量%とを真空式アジホモミキサー(みづほ工業社製、PVT−1−20)に投入し、温度70〜80℃に制御しながら、相対圧−53kPaに減圧しカキトリミキサー20rpmで10分間撹拌した。
【0071】
((X)成分添加工程)
上記工程1の1−3の後、前記真空式アジホモミキサー内の混合液に対し、表3に示す(X)成分を上面から添加後、温度70〜80℃に制御しながら、相対圧−53kPaに減圧しカキトリミキサー20rpmで液面が見えるまで撹拌を続けて脱泡を行った。
このとき、(X)成分の全量を添加してから液面が見えるまでに要した時間(分)を「脱泡時間」として表3に併記する。また、添加した(X)成分が完全に溶解するまでの時間(分)を「溶解時間」として表3に併記する。(X)成分が完全に溶解したかどうかは、上下からサンプリングを行い、前記<溶解時間>の測定方法により確認した。
【0072】
(工程2)
2−1:(C)成分2.3質量%と、(D)成分6質量%と、プロピレングリコール3質量%とを75℃でプロペラを用いて混合して第三の予備混合物を調製した。
2−2:アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体エマルション0.3質量%と、アミノガムシリコーンエマルション2質量%とをプロペラにより混合して第四の予備混合物を調製した。
2−3:前記第三の予備混合物と、第四の予備混合物とを、前記脱泡を行った後の真空式アジホモミキサー内に投入し、温度70〜80℃に制御しながら、相対圧−53kPaに減圧しパドル51rpm、タービン45rpmで10分間撹拌した。
【0073】
(工程3)
3−1:上記工程2の後、相対圧−53〜−80kPaに減圧し、カキトリミキサー70rpmで撹拌を継続しながら40℃まで1℃/分で冷却した。
3−2:冷却後、香料0.55質量%を真空式アジホモミキサー内に投入し、相対圧−80kPaに減圧し、カキトリミキサー55rpm、パドルミキサー63rpmで15分間撹拌することにより液体組成物を得た。
【0074】
[実施例20]
(X)成分添加工程を、前記工程1の1−3の後には行わず、前記工程2の2−3の後に行った以外は前記実施例17と同様にして、表3に示す組成の液体組成物を得た。
【0075】
[実施例21〜29]
(X)成分の種類、配合量及び粒子径を表3〜4に示すものに変更した以外は前記実施例20と同様にして、表3〜4に示す組成の液体組成物を得た。
【0076】
[比較例3]
(X)成分添加工程を行わなかった以外は前記実施例17と同様にして、表4に示す組成の液体組成物を得た。
【0077】
[比較例4]
(X)成分の代わりに、疎水性成分粒子であるパラフィンワックス(平均粒子径900μm)を用いた以外は前記実施例23と同様にして、表4に示す組成の液体組成物を得た。
【0078】
得られた実施例17〜29および比較例3〜4の液体組成物について、以下の評価を行った。その結果を表3〜4に示す。
<保存安定性>
容量50mL、内径35mmの円筒型ガラスバイヤルビンに液体組成物約40mLを充填し、50℃にて1ヶ月間保存し、その外観を目視にて観察し、下記評価基準に基づいて保存安定性(分離安定性)を評価した。
−評価基準−
◎:外観に変化がなく、分離が認められない。
○:一部色調に不均一な濃淡が認められるが、分離は認められない。
△:僅かに分離が認められる。
×:分離が認められる。
【0079】
<洗浄時の泡立ち性>
30代〜40代の女性20名を被験者として各洗浄剤組成物を7日間使用し、泡立ちの早さと泡の量を総合的に評価してもらい、その回答から、下記評価基準に基づいて評価した。
−評価基準−
◎:良好と回答した被験者が15名〜20名
○:良好と回答した被験者が10名〜14名。
△:良好と回答した被験者が5名〜9名。
×:良好と回答した被験者が0名〜4名。
【0080】
【表3】

【0081】
【表4】

【0082】
上記結果に示すとおり、実施例17〜29では、(X)成分を添加しなかった比較例3(対照)に比べて脱泡時間が充分に短く、(C)〜(D)成分の添加前、添加後のいずれの段階で(X)成分を添加しても消泡を良好に行うことができることが確認された。また、得られた液体組成物は、比較例1の液体組成物に比べて、保存安定性、洗浄時の泡立ち性ともに向上していた。これらの結果は、特に、(X)成分として平均粒子径が600μm〜1800μmのものを用いた実施例17〜27で優れており、なかでも、(X)成分として有機酸または有機酸塩を用いた実施例17〜26では溶解時間も短く、製造性に優れていた。また、(X)成分を添加するタイミング以外は同じ条件で液体組成物を製造した実施例17と20とを比較すると、工程1の後に添加した実施例17の方が、工程2の後に添加した実施例20に比べて、脱泡時間が短く、製造性が良好であった。
一方、(X)成分の代わりに疎水性成分粒子を添加した比較例4は、消泡効果が実施例よりも低く、保存安定性、洗浄時の泡立ち性ともに悪かった。また、溶解時間も長く、製造性が悪かった。
【符号の説明】
【0083】
1…ガラス容器、2…撹拌部材、2a…撹拌翼

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両性界面活性剤およびアニオン界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤(A)を含有する液体組成物を製造する方法であって、
前記界面活性剤(A)と水とを混合して混合液を調製する工程と、
前記混合液に対して水溶性固体粒子からなる消泡剤(X)を添加する工程と、を含むことを特徴とする液体組成物の製造方法。
【請求項2】
前記消泡剤(X)を添加する工程の前および/または後に、さらに、前記混合液に対してカチオン界面活性剤(C)および炭素数16以上の高級アルコール(D)を添加する工程を含む、請求項1に記載の液体組成物の製造方法。
【請求項3】
前記混合液を調製する工程にて、前記界面活性剤(A)および水とともに、水膨潤性粘土鉱物(B)を混合する、請求項2に記載の液体組成物の製造方法。
【請求項4】
前記液体組成物が毛髪洗浄剤組成物である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の液体組成物の製造方法。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2011−168653(P2011−168653A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−31737(P2010−31737)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】